JP5585075B2 - 成長ホルモン分泌促進剤 - Google Patents

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本発明は、成長ホルモンの分泌、特に睡眠中の成長ホルモン分泌を促進する成長ホルモン分泌促進剤に関するものである。
成長ホルモン(growth hormone,以下GHと記す場合がある)は、脳下垂体前葉のGH分泌細胞から分泌されるホルモンであり、成長に関する作用と代謝をコントロールする作用がある。具体的には、肝・骨・筋肉・性腺等の多くの臓器に対する細胞増殖、筋組織の成長、皮膚厚の増加、ハリと潤いのある皮膚の生成、軟骨形成の促進、骨形成の促進、骨密度増加、軟骨細胞の分化促進、LDL低下、HDL増加、体脂肪の減少、免疫機能の強化、心臓の拍出力の強化、視力の改善、記憶力の改善、肝臓からのグルコース放出、インスリンに対する拮抗作用、カルシウムの消化管吸収促進、性成熟促進作用、性的能力の維持、心理面での健康感の維持、健康感や意欲の改善、活力を高める、肝細胞におけるIGF−1産生促進が挙げられ、身体にとって様々なプラスの効果を発揮する。
近年、これらのプラスの効果を得るために、成長ホルモンを注入する治療が行われている。しかし、医師の管理下で実施する必要があること、非常に高価であることから多くの人が実施するには至っていない。
γ−アミノ酪酸(γ−aminobutyric acid:以下GABAと記す場合がある)は、近年発芽玄米等の流行により一般的に広く知られるようになったアミノ酸の一種であり、野菜、果物をはじめ発酵食品に至るまで自然界の動植物に幅広く含まれており、我々の食生活の中で通常摂取されている食品成分のひとつである。一方、医薬効果も非常に高く、1日3gの摂取で頭部外傷後遺症に伴う諸症状(頭痛、頭重、昜疲労性、のぼせ感、耳鳴り、記憶障害、睡眠障害、意欲低下)に対して改善効果が認められている。しかしながら、健常人に対し1日3g以上もの高濃度GABAの摂取は、服用する量としても多すぎて、現実的な量ではない。
一方、特開2004−269361号公報(特許文献1)にも示されている通り、GABAを実際に摂取できる量(3000mg以下)の投与では、顕著な成長ホルモン分泌促進効果が期待できなかった。
特開2004−269361号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、GABAを実際に摂取できる量(3000mg以下)で、顕著な成長ホルモン分泌促進効果を有する成長ホルモン分泌促進剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、γ−アミノ酪酸と、酢酸含有水溶液をカルシウム化合物で中和後乾燥して得られる中和酢粉末とを併用することで、これを摂取することにより、睡眠中の成長ホルモン(GH)の分泌を促進し、その分泌量を増大させることができることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は下記成長ホルモン分泌促進剤を提供する。
[1].γ−アミノ酪酸と、酢酸含有水溶液をカルシウム化合物で中和後乾燥して得られる中和酢粉末とを有効成分として含有し、γ−アミノ酪酸の成人1日あたりの摂取量が、250〜1500mg、中和酢粉末中の酢酸の成人1日あたりの摂取量が、749〜1600mgとなるように配合され、γ−アミノ酪酸/中和酢粉末中の酢酸が、1/5〜1.4/1(質量比)である成長ホルモン分泌促進剤。
[2].酢酸含有水溶液が、トマト酢であることを特徴とする[1]記載の成長ホルモン分泌促進剤。
[3].中和酢粉末中の酢酸の成人1日あたりの摂取量が、750〜1600mgとなるように配合され、γ−アミノ酪酸/中和酢粉末中の酢酸が、1/5〜1/1(質量比)である、[1]又は[2]記載の成長ホルモン分泌促進剤。
[4].剤型が、錠剤である[1]〜[]のいずれかに記載の成長ホルモン分泌促進剤。
本発明によれば、GABAを実際に摂取できる量(3000mg以下)で、顕著な成長ホルモン分泌促進効果を有する成長ホルモン分泌促進剤を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の成長ホルモン分泌促進剤は、γ−アミノ酪酸と、酢酸含有水溶液をカルシウム化合物で中和後乾燥して得られる中和酢粉末とを有効成分として含有するものである。
[γ−アミノ酪酸(GABA)]
γ−アミノ酪酸(γ−aminobutyric acid:GABA)は、野菜、発芽玄米、お茶、発酵食品等に含まれる成分である。本発明のγ−アミノ酪酸の調製方法は特に限定されず、上記野菜等から抽出する方法、乳タンパク質から乳酸菌発酵により得る方法等から適宜選択され、特に限定されず、市販品を用いてもよい。
γ−アミノ酪酸の成人1日あたりの摂取量は、成長ホルモン分泌促進効果の点から、50mg以上が好ましく、服用性の点から3000mg以下が好ましい。また、成長ホルモン分泌促進効果の点から、100〜2500mgがより好ましく、150〜1500mgがさらに好ましく、250〜1500mgが特に好ましい。摂取量を50mg以上とすることで十分な効果が得られる。なお、成長ホルモン分泌促進剤の剤型中の配合量は、上記摂取量となるように適宜選定されるが、例えば、1日に50〜3000mg摂取する場合、1日5錠の錠剤であれば、1錠中に10〜600mg配合される。
[中和酢粉末]
本発明の中和酢粉末は、酢酸含有水溶液をカルシウム化合物で中和後乾燥して得られるものである。γ−アミノ酪酸と酢酸とを併用することで、成長ホルモン分泌促進効果をより向上させ、さらに、中和粉末化することで、通常の飲用酢に比べて酢酸をより多く摂取することができ、成長ホルモン分泌促進効果をさらに向上させると共に、消化管等の粘膜への負担の軽減を図ることができ、また、錠剤にした場合には、錠剤の安定性が向上する。
中和酢粉末の製造方法としては、例えば、酢酸含有水溶液にカルシウム化合物を浸漬し、中和反応させた後、スプレードライ、フリーズドライ等により水分を除去して得る方法が挙げられる。酢酸含有水溶液としては、酢酸が含まれていれば特に限定されず、酢酸を水に溶解して得ることができる。その他、合成酢、醸造酢を用いることもできる。醸造酢としては例えば、米酢、リンゴ酢、ブルーベリー酢等の果実酢、野菜酢、粕酢、麦芽酢、アルコール酢、蒸留酢、濃縮酢、黒酢、トマト酢が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、米酢、果実酢、野菜酢、粕酢、アルコール酢、トマト酢が好ましく、トマト酢がより好ましい。
トマト酢とは、トマト原料を用いて酢酸発酵により製造した醸造酢である。本発明で用いるトマト原料としては、生果搾汁液であるトマトジュース、トマト濃縮物、トマトエキスが利用可能である。これらのトマト原料は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。トマト酢の酸度は4.0質量%以上が好ましく、無塩可溶性固形分は1.2〜8.0質量%が好ましい。なお、酸度は醸造酢のJAS試験法にて測定する。
カルシウム化合物としては特に限定されないが、貝殻焼成カルシム、乳酸カルシウム、酸化カルシウム、骨焼成カルシウム、卵殻焼成カルシウム、鶏卵等のカルシウム素材を用いることができ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、貝殻焼成カルシウムが好ましい。酢酸とカルシウムとの配合モル比は、酢酸含有水溶液中の酢酸が酢酸カルシウムに中和する量であり、特に限定されず、過剰量使用すると、工程中で液性がアルカリになるため好ましくない。上記中和反応させた後に、スプレードライ、フリーズドライ等により水分を除去する。得られた中和酢粉末中には、酢酸含有水溶液としてトマト酢を用いた場合には、トマト酢中の酢酸以外の成分も含まれる。
中和酢粉末の酢酸酸度は10〜75質量%が好ましく、30〜65質量%がより好ましい。また、中和酢粉末の平均粒径は10〜1000μmが好ましく、100〜750μmがより好ましい。なお、平均粒径の測定方法は、レーザー散乱回析法粒度分布測定装置LS 13 320(BECKMAN COULTER社製)を用いて測定することができる。
中和酢粉末の成人1日あたりの摂取量は酢酸摂取量により適宜選定されるが、100〜3000mgが好ましく、500〜2500mgがより好ましい。摂取量を100mg以上とすることで十分な効果が得られ、3000mgを超えると、服用に困難を生じるおそれがある。なお、成長ホルモン分泌促進剤の剤型中の配合量は、上記摂取量となるように適宜選定されるが、例えば、1日に100〜3000mg摂取する場合、1日5錠の錠剤であれば、1錠中に20〜600mg配合される。
中和酢粉末中の酢酸の成人1日あたりの摂取量は、成長ホルモン分泌促進効果の点から、30mg以上が好ましく、服用性の点から2250mg以下が好ましい。また、成長ホルモン分泌促進効果の点から、400〜2000mgがより好ましく、750〜1800mgがさらに好ましく、1000〜1600mgが特に好ましい。なお、成長ホルモン分泌促進剤の剤型中の配合量は、上記摂取量となるように適宜選定されるが、例えば、1日に30〜2250mg摂取する場合、1日5錠の錠剤であれば、1錠中に6〜450mg配合される。
γ−アミノ酪酸と中和酢粉末との含有質量比は、成長ホルモン分泌促進効果の点から、γ−アミノ酪酸/中和酢粉末中の酢酸=1/32〜20/1の範囲が好ましい。この比が1/32より小さい場合、20/1より大きい場合は、成長ホルモン分泌促進効果が上記範囲に比べやや劣る。また、成長ホルモン分泌促進効果の点から、上記比は1/10〜2/1がより好ましく、1/5〜2/1がさらに好ましく、1/5〜1/1が特に好ましい。
成長ホルモン分泌促進剤の剤型は特に限定されず、例えば、粉末、錠剤、カプセル等に製剤化される。中でも、服用のしやすさの点から、錠剤が好ましい。本発明の成長ホルモン分泌促進剤には、上記成分以外の任意成分、例えば、賦形剤、崩壊剤、甘味料、酸味料、滑沢剤、色素、香料等を配合することができる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせ、それぞれ適量を用いることができる。
賦形剤としては、セルロース類、糖類、デンプン類、二酸化ケイ素等の粉体が挙げられ、セルロース類の粉体、デンプン類の粉体が好ましく、セルロース類の粉体がより好ましい。
セルロース類の粉体として具体的には、結晶セルロース、粉末セルロース、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等が挙げられる。
糖類の粉体として具体的には、単糖類、二糖類以上の多糖類(砂糖(グラニュー糖等)、乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖等)、糖アルコール(パラチニット、ソルビトール、ラクチトール、エリスリトール、キシリトール、還元澱粉糖化物、マルチトール、マンニトール等)、水飴、異性化糖類、オリゴ糖、スクロース、トレハロース、還元澱粉糖化物(還元澱粉分解物)等が挙げられる。
デンプン類の粉体として具体的には、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)、バレイショデンプン(ポテトスターチ)、コムギデンプン、コメデンプン等のデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、部分α化デンプン等のデンプン誘導体等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、クロスカルメロース、クロスポビドン、寒天等が挙げられる。香料としては、例えば、メントール、リモネン、植物精油(ハッカ油、ミント油、ライチ油、オレンジ油、レモン油等)等が挙げられる。
甘味料としては、例えば、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビア、グリチルリチン酸ジカリウム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、スクラロース等が挙げられる。
酸味料としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸又はそれらの塩等が挙げられる。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
錠剤は、例えば、上記必須成分及び任意成分を混合し打錠して得ることができる。打錠された素錠には、オパドライ、メタクリル酸コポリマー、グリセリン、流動パラフィン、シリコーン樹脂、ステアリン酸、ゼラチン、ソルビトール、トウモロコシ油、ポリビニルアルコール、マクロゴール、リン酸水素カルシウム、リン酸水素ナトリウム等のフィルムコーティングを施したり、エチルセルロース、結晶セルロース、アラビアゴム末、乳糖、マクロゴール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の糖衣を被せたりしてもよい。
本発明によれば、GABAを実際に摂取できる量(3000mg以下)で、顕著な成長ホルモン分泌促進効果を有する成長ホルモン分泌促進剤を提供することができ、肝・骨・筋肉・性腺等の多くの臓器に対する細胞増殖、筋組織の成長、皮膚厚の増加、ハリと潤いのある皮膚の生成、軟骨形成の促進、骨形成の促進、骨密度増加、軟骨細胞の分化促進、LDL低下、HDL増加、体脂肪の減少、免疫機能の強化、心臓の拍出力の強化、視力の改善、記憶力の改善、肝臓からのグルコース放出、インスリンに対する拮抗作用、カルシウムの消化管吸収促進、性成熟促進作用、性的能力の維持、心理面での健康感の維持、健康感や意欲の改善、活力を高める、肝細胞におけるIGF−1産生促進等の身体にとって様々なプラスの効果を発揮することができる。
以下、実施例、参考例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[調製例1]
〈酢中和物:酢酸水溶液(酢酸酸度5.0質量%)と貝殻焼成カルシウムとの中和反応乾燥物(酢酸酸度;75質量%)の調製〉
酢酸水溶液100質量部に対し貝殻焼成カルシウム約2.6質量部を浸漬し、中和(pH6.5〜7.5)させた。得られた溶液をスプレードライにより乾燥固化させた。
[調製例2]
〈トマト酢中和物:トマト酢と貝殻焼成カルシウムの中和反応乾燥物(酢酸酸度;52質量%)の調製〉
トマト酢100質量部に対し貝殻焼成カルシウム約2.6質量部を浸漬し、中和(pH6.5〜7.5)させた。得られた溶液をスプレードライにより乾燥固化させた。
[実施例1〜11、参考例1〜16、比較例1〜3]
下記表1〜6に示す組成物を混合して調製した。得られた組成物について、下記成長ホルモン分泌促進評価を行った。結果を表中に併記する。なお、γ−アミノ酪酸は、パンプキンギャバ99(γ−アミノ酪酸含量99質量%以上、豊玉香料(株)製)を使用した。
成長ホルモンの分泌は夜間睡眠時に多く分泌されるため、試験は就床前から開始した。早朝尿中の成長ホルモン濃度は、睡眠時の血中成長ホルモン濃度の指標とした。
(1)各組成物を被験者に摂取させた。(180mLの水で飲用)
(2)摂取1時間後に就床した。
(3)翌朝の一番尿を採取した。
(4)尿中の成長ホルモン濃度は、外部臨床検査機関(株式会社エスアールエル)に依頼し、CLEIA法で測定した(単位;pg/mL・CRE)。パネラーは30〜40代の男性9名で行った。結果は、早朝尿中成長ホルモン濃度と、対コントロールの成長ホルモン(GH)濃度比について、9名の平均値を示す。
Figure 0005585075
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上記結果からも明らかなように、実施例では顕著に、尿中成長ホルモン濃度は増加していた。以上の結果より、γ−アミノ酪酸と酢酸加工品を含有した組成物は、成長ホルモン濃度を増加させる効果を有することが確認できた。
[処方例]
1日飲用量(mg)
γ−アミノ酪酸300mg
トマト酢中和物(調製例2)1800mg
D−マンニトール1500mg
ステアリン酸マグネシウム20mg
上記組成の千倍量を量り、V型混合機V−5型((株)徳寿工作所製)にて均一に混合した。この混合物を、ロータリー式打錠機((株)菊水製作所製)で、1錠あたり402mgとなるように打錠した。D−マンニトールは製品名ペアリトール100SD(ロケットジャパン(株)製)、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株)製)を使用した。

Claims (4)

  1. γ−アミノ酪酸と、酢酸含有水溶液をカルシウム化合物で中和後乾燥して得られる中和酢粉末とを有効成分として含有し、γ−アミノ酪酸の成人1日あたりの摂取量が、250〜1500mg、中和酢粉末中の酢酸の成人1日あたりの摂取量が、749〜1600mgとなるように配合され、γ−アミノ酪酸/中和酢粉末中の酢酸が、1/5〜1.4/1(質量比)である成長ホルモン分泌促進剤。
  2. 酢酸含有水溶液が、トマト酢であることを特徴とする請求項1記載の成長ホルモン分泌促進剤。
  3. 中和酢粉末中の酢酸の成人1日あたりの摂取量が、750〜1600mgとなるように配合され、γ−アミノ酪酸/中和酢粉末中の酢酸が、1/5〜1/1(質量比)である、請求項1又は2記載の成長ホルモン分泌促進剤。
  4. 剤型が、錠剤である請求項1〜のいずれか1項記載の成長ホルモン分泌促進剤。
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