JP2005336143A - 体脂肪合成抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 食経験の豊富な食品に含まれていて安全性の面で安心であり、副作用がほとんどなく、しかも安価で入手の容易な化合物からなり、経口摂取により余剰体脂肪の合成及び蓄積が抑制される体脂肪合成抑制剤を提供すること。
【解決手段】 酢酸及び酢酸塩から選択される少なくとも1種の化合物からなる体脂肪合成抑制剤を経口摂取することによって、余剰体脂肪の合成及び蓄積が抑制される。体脂肪合成抑制剤は、酢酸塩、特に酢酸カルシウムを含有することが好ましい。また、当該体脂肪合成抑制剤は食品又は医薬品として用いられ、例えばカプセル又は錠剤として提供される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、体脂肪合成抑制剤に関する。特に、酢酸及び酢酸塩から選択される少なくとも1種の化合物からなる体脂肪合成抑制剤に関する。また、そのような体脂肪合成抑制剤からなる食品及び医薬品に関する。
近年、生活習慣病が大きな社会問題として取り上げられている。代表的な生活習慣病である糖尿病、脳卒中、心臓病、高脂血症などの発症に対して、肥満は大きな危険因子であるとされている。したがって、これらの生活習慣病の予防のためには、肥満を防止すること、すなわち、体脂肪の合成及び蓄積を抑制することが重要である。
現在、肥満防止やダイエット(痩身)を目的とする、さまざまな健康食品や医薬品が提案されている。例えば、コラの種子からの抽出物を含有するもの(特許文献1)や、カフェインなどの脂肪分解性物質と成長因子とを組み合わせて含有するもの(特許文献2)等が有効であるとの報告がなされている。しかしながら、生理活性を有する物質を摂取する場合には副作用の発生も予想されるので、痩身効果を期待して長期間使用することには問題を有する場合も多い。したがって、食経験のある食品の中から体脂肪の合成を抑制する効果を有する物質が見出されることが長く望まれていた。
現在市販されている健康食品の中で、ダイエット効果を謳っているものの中には、黒酢の関与した商品が多い。しかしながら、そのほとんどが、クエン酸とアミノ酸の効果を謳っており、酢酸が有効であるとしているものは皆無である。そのため、酢酸を特別に除去した製品が市販されているほどである。
特開2002−193797号公報(特許文献3)には、長期摂取によってインスリン抵抗性を改善する組成物であって、酢酸、酢酸イオン及び酢酸塩から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とするインスリン抵抗性改善用食品又は医薬品組成物が記載されている。インスリン抵抗性は生活習慣病発症に大きく関与しているため、その発症の予防が期待でき、具体的には、耐糖能異常、食後高脂血症、高トリグリセリド血症に代表される高脂血症、高尿酸血症、低HDL血症、プラスミノーゲン活性化阻害因子の上昇、糖尿病などが原因となって発症する動脈硬化症を予防することが期待できるとされている。当該公報の実施例1においては、Zucker Fattyラットに対して酢酸を摂取させて、血糖値及びインスリン値を測定する試験が行われており、酢酸の摂取によってインスリン抵抗性が改善されることが示されているが、体重増加については、酢酸摂取群と対照群との間に有意差は認められなかった。また、当該公報の実施例8では、酢酸をデキストリンに吸着・乾燥させた粉末が、実施例9には酢酸ナトリウムを含有する錠剤が、それぞれ記載されている。
特開2004−57178号公報(特許文献4)には、酢酸カルシウム1%ないし30%を醸造酢に溶解した機能性調味料が記載されている。当該調味料は、酢酸カルシウムとしての機能を有しながら食味が改善された調味料であることが記載されている。
特表平3−504241号公報 特表平5−506668号公報 特開2002−193797号公報(特許請求の範囲、発明の効果、実施例) 特開2004−57178号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、食経験の豊富な食品に含まれていて安全性の面で安心であり、副作用がほとんどなく、しかも安価で入手の容易な化合物からなり、経口摂取により余剰体脂肪の合成及び蓄積が抑制される体脂肪合成抑制剤を提供することを目的とするものである。また、そのような体脂肪合成抑制剤からなる食品及び医薬品を提供することを目的とするものである。
上記課題は、酢酸及び酢酸塩から選択される少なくとも1種の化合物からなり、経口摂取により余剰体脂肪の合成及び蓄積が抑制されることを特徴とする体脂肪合成抑制剤を提供することによって解決される。すなわち、醸造酢の主成分である酢酸そのものに、体脂肪の合成を抑制する作用があることを見出したものである。
このとき、前記体脂肪合成抑制剤において、酢酸根(CHCOO)の含有率が0.3重量%以上であることが好適であり、7重量%以上であることがより好適である。また、前記化合物の全部又は一部が酢酸塩であること、特に酢酸カルシウムであることが好ましく、塩を形成していない酢酸根(F)と、塩を形成している酢酸根(S)の比(F/S)が5以下であることがより好ましい。酢酸を吸収した粉体からなることも好適である。
前記体脂肪合成抑制剤からなる食品及び医薬品が好適な実施態様である。前記体脂肪合成抑制剤を収容したカプセルが好適な実施態様であり、1カプセル中に含まれる酢酸根の含有量が50mg以上であることがより好適である。また、前記体脂肪合成抑制剤からなる錠剤も好適な実施態様であり、1錠中に含まれる酢酸根の含有量が50mg以上であることがより好適である。
本発明の体脂肪合成抑制剤は、食経験の豊富な食品に含まれていて安全性の面で安心であり、副作用がほとんどなく、しかも安価で入手の容易な化合物からなるものである。これを経口摂取することにより、余剰体脂肪の合成及び蓄積を抑制することができる。
本発明の体脂肪合成抑制剤は、酢酸及び酢酸塩から選択される少なくとも1種の化合物からなるものである。古来より調味料として広く食されている醸造酢は発酵生産物であるが、その主成分である酢酸そのものに余剰体脂肪の合成及び蓄積を抑制する作用があることを、今回初めて見出したものである。
後に説明する実施例に示すように、酢酸を長期間にわたって経口摂取したラットは、対照のラットに比べて、摂食効率が低下して、体重増加が有意に抑制されることがわかった。このとき、酢酸の経口摂取によって、腹腔内の脂肪量も大きく低下しているし、脂肪細胞から放出されるホルモンであるレプチンの血中濃度も大幅に低下していることから、体脂肪の合成及び蓄積が抑制されていることが明らかである。さらに、肝臓での脂肪合成酵素遺伝子の発現動態について調べたところ、肝臓における脂肪合成の律速酵素であるアセチル−CoAカルボキシラーゼ(ACC)、アセチルCoA合成酵素1(ACS1)及び脂肪合成酵素(FAS)、並びに脂肪合成酵素の転写を活性化すると報告されているSREBP(sterol regulatory element binding protein)の発現が、酢酸の経口摂取によっていずれも大きく低下しており、このような観点からも、酢酸が脂肪合成を抑制する作用を有することが明らかにされたものである。
ここで、酢酸又は酢酸塩は、その一部又は全部が酢酸イオンとして解離していても構わない。すなわち、本発明の体脂肪合成抑制剤においては、その有効成分が、解離していない酢酸、酢酸塩の結晶、酢酸イオンのいずれの状態で含まれていても良い。経口摂取された本発明の体脂肪合成抑制剤中の有効成分の吸収が行われる胃や小腸以降の腸管のpHは、通常、摂取物の組成によってそれほど影響を受けず、各部位毎にほぼ一定に保たれている。したがって、経口摂取する際の酢酸又は酢酸塩の状態は、有効成分の吸収のしやすさには大きく影響しないと考えられる。そのため、酢酸水溶液をラットに経口摂取させて確認された効果は、酢酸塩であっても発現すべきものであるし、解離の状態によっても大きな影響を受けないものであると考えられる。
酢酸又は酢酸塩の種類及び状態は特に限定されない。化学的に合成された酢酸を使用しても構わないし、醸造酢など発酵由来の酢酸を使用しても構わない。後に説明する実施例に示されるように、摂食効率や、一部の脂肪合成酵素遺伝子の発現動態においては酢酸水溶液よりも醸造酢(米酢)を摂取したほうが効果が大きい場合があり、醸造酢由来の成分を含んだままで酢酸を主成分とする体脂肪合成抑制剤とすることも好適である。また、醸造酢由来の酢酸を精製して体脂肪合成抑制剤としても良い。いずれにしても、天然発酵物由来の成分を使用することで、摂取する者に対して安心感を与えることが可能である。もちろん、化学的に合成されたものであっても、純度を確保すれば使用可能であるし、コスト面では有利である。
酢酸塩の種類は特に限定されず、具体的には、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどのアルカリ金属塩、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウムなどのアルカリ土類金属塩などの金属塩が例示される。アルカリ性が強すぎず、摂取される金属イオンによる副作用が少ないという点からは、アルカリ土類金属塩が好ましい。なかでも、安全性に優れ、カルシウム補給の効果も期待できる酢酸カルシウムが最適である。また、マグネシウム塩は適当量摂取することが好ましい塩でありながら不足しがちな塩であることから、酢酸マグネシウムも好適に使用される。さらに、アルカリ金属塩であるカリウム塩も限られた量であれば、ナトリウムイオンの排出を促すなど、健康に資することが可能である。したがって、これらの酢酸塩を適当に配合した体脂肪合成抑制剤とすることも好適である。例えば、酢酸カルシウムと酢酸マグネシウムを含有するもの、酢酸カルシウムと酢酸カリウムを含有するもの、あるいは酢酸カルシウムと酢酸マグネシウムと酢酸カリウムとを含有するものなどが好適なものとして例示される。このように混合使用する場合には、酢酸カルシウムが主成分であることが好ましい。
酢酸塩の製造方法は、特に限定されないが、摂取する者の安心感を考慮すれば、発酵生産物である酢酸を中和して得られたものを使用することが好ましい。例えば、醸造酢に金属の水酸化物、酸化物あるいは炭酸塩などを配合して中和させることによって酢酸塩を生成させたものをそのまま、あるいは乾燥させて、あるいは濾別して使用することができる。例えば、酢酸カルシウムを得るのであれば、水酸化カルシウム、酸化カルシウムあるいは炭酸カルシウムなどで中和すればよい。また、天然物であるにがりを焼成して得られるマグネシウム化合物(酸化マグネシウムを主成分とし、その他のミネラルを含有するもの)で中和すれば、酢酸マグネシウムを得ることができる。その他、化学的に合成された酢酸塩を使用することも可能である。酢酸塩を使用する場合には、酸味を抑制することも可能であるから、比較的大量に摂取することが容易になる。また、固体にできることから錠剤化やカプセル化が容易である。
後の実施例にはラットを用いた試験結果を記載しているが、当該実施例においては、0.9体積%の酢酸水溶液を、1日当たり5ml/kg体重(体重1kg当たり5ml)投与した場合に十分な体脂肪合成抑制効果を確認することができた。このときの摂取量を体重60kgの人に換算すると、1日当たり酢酸として2.83g(酢酸根として2.79g)である。醸造酢の酢酸含有量は通常4〜6重量%程度であることが多いから、前記量の酢酸を醸造酢から摂取しようとすると、醸造酢の摂取量は47〜71gにもなり、長期間にわたって、毎日これだけの量の醸造酢を摂取するのは大きな負担である。単なる肥満は、格別の苦痛を伴うわけでもないので、減量のための努力を長時間継続するのが困難な場合が多い。したがって、いかに容易にかつ継続的に摂取できるようにするかが非常に重要である。
本発明の体脂肪合成抑制剤の有効成分である酢酸及び酢酸塩は、食品(飲料も含む)の中に含有させることによって摂取することも可能であるが、酢酸根(CHCOO)の含有率があまりにも低いと、そのような食品を大量に摂取しなければならなくなる。特定の食品を毎日大量に摂取するのは困難であるから、一定以上の濃度で酢酸根を含有することが好ましい。また、食品そのものの有する熱量を同時に摂取してしまうので、肥満防止という観点からは、必ずしも好ましくない。したがって、本発明の体脂肪合成抑制剤における酢酸根の含有率は0.3重量%以上であることが好ましい。酢酸根の含有量が0.3重量%の場合に上記2.79gの酢酸根を摂取するためには、約930gの量の食品(体脂肪合成抑制剤)を摂取する必要があり、特定の食品として摂取する量としては、かなり大量である。酢酸根の含有量は、より好適には1重量%以上であり、さらに好適には4重量%以上である。
摂取する体脂肪合成抑制剤の重量を減少させるためには、醸造酢が通常含有する酢酸根の濃度よりも高い濃度とすること、具体的には、酢酸根の含有量を7重量%以上とすることが特に好ましい。一定以上の酢酸根を容易に摂取できるようにするという観点からは、酢酸根の含有量は、好適には10重量%以上であり、より好適には20重量%以上であり、さらに好適には50重量%以上である。純粋な酢酸の場合の酢酸根の含有量は98.3重量%であり、純粋な酢酸カルシウムの酢酸根の含有量は74.7重量%である。塩を形成せず、濃度の高すぎる酢酸は、消化器壁を傷めるおそれもあることから、酢酸根の含有量は90重量%以下であることが好ましく、80重量%以下であることがより好ましい。
塩を形成していない酢酸を一定以上の含有量で含む場合には、酸味が強すぎて、経口摂取が困難になる場合が多い。したがって、酢酸の一部又は全部を酢酸塩とすることによって酸味を緩和させることが好ましい。すなわち、体脂肪合成抑制剤を構成する化合物の全部又は一部が酢酸塩であることによって比較的大量の酢酸根を無理なく摂取することが可能になる。この場合、塩を形成していない酢酸根(F)と、塩を形成している酢酸根(S)の比(F/S)が5以下であることが好適である。すなわち、含まれる酢酸根の一定割合以上が塩を形成していることが好適である。より好適には比(F/S)は1以下であり、さらに好適には比(F/S)は0.2以下である。実質的に全ての酢酸根が塩を形成している酢酸根(S)であること、すなわち、酢酸塩であることも好適な態様である。この場合、例えば純粋な酢酸カルシウムとして摂取するのであれば、前述の最適摂取量である酢酸根としての2.79gを摂取するのに要する酢酸カルシウムの重量は3.74gである。3〜4g程度の量であれば、錠剤あるいはカプセルとしての摂取することが容易である。
また、酢酸を吸収した粉体からなる体脂肪合成抑制剤とすることも好適である。粉体化することによって製剤化が容易になるし、酸味の軽減も可能である。この場合、酢酸を吸収することの可能な粉体に酢酸を吸収させることになるが、原料とする粉体は特に限定されない。デキストリンなどが好適な粉体として例示される。得られた粉体の酢酸含有量は、通常、1〜30重量%程度である。粉体化することによって、例えば醸造酢が通常含有する酢酸含有量よりも高い含有量の粉体を得ることもできる。また、酢酸塩にして粉体化する場合に比べて過剰の塩分を摂取することを防止することもできる。また、このようにして粉体化したものを酢酸塩と併用することも好ましい。
本発明の体脂肪合成抑制剤は、それからなる食品又は医薬品として好適に使用される。ここで、食品又は医薬品は主として人間を対象とするものであるが、人間以外の動物を対象とするものを排除するものではない。近年では、ペットなどの動物においても、その飼育環境によっては人間の生活習慣病のような症状が発生することがあり、そのような動物に対して使用することが望まれる場合があるからである。すなわち、本発明においては、食品は飼料を包含し、医薬品は動物用医薬品を包含するということである。
食品としては、調味料や飲料(ドリンク)が好適な実施態様として例示される。この場合、一定以上の量を摂取しやすくするためには、酢酸の少なくとも一部が酢酸塩を形成していることが好適である。例えば、醸造酢の一部を中和して酢酸塩にした調味料は、本発明の好適な実施態様の一つである。また、酢酸塩を含有する飲料も本発明の好適な実施態様の一つである。その他、各種の食品に酢酸又は酢酸塩を加えたものを摂取することができる。以上のような食品は、体脂肪合成の抑制という特殊な機能を備えた機能性食品ということができる。
医薬品あるいは健康食品(サプリメント)として使用する場合には、錠剤又はカプセルの形態にすることが好ましい。すなわち、本発明の好適な実施態様の一つは、上記体脂肪合成抑制剤を収容したカプセルである。このとき、カプセルであれば、粉体のみならず、液状のものやスラリー状のものを収容することが可能である。この場合、1カプセル中に含まれる酢酸根の含有量が50mg以上であることが好適である。こうすることによって、比較的少ない数のカプセルを服用することでも十分な効果を得ることができる。多数のカプセルを服用することは、長期間の経口摂取を考えると面倒であり、この点は重要である。1カプセル中に含まれる酢酸根の量は、100mg以上であることがより好適であり、200mg以上であることがさらに好適である。
このような観点から、酢酸カルシウム粉末に代表される酢酸塩を収容したカプセルは、本発明の特に好適な実施態様である。金属塩の摂取量を過剰にしたくない場合には、酢酸を吸収したデキストリンなどの粉体を収容したカプセルも好適な実施態様である。また、酢酸塩と酢酸を吸収した粉体を混合してカプセルに収容することも好ましい。カプセルの素材は特に限定されず、ゼラチンカプセルや腸溶性カプセルなどを使用することができる。
また、本発明の好適な実施態様の一つは、上記体脂肪合成抑制剤からなる錠剤である。この場合、液状のままでは錠剤化することが困難であるので、酢酸塩又は酢酸を吸収した粉体とすることによって錠剤化を可能にすることが必要である。錠剤にする場合には、酢酸塩又は酢酸を吸収した粉体のみを原料として打錠することもできるが、さらに、製剤素材としての賦形剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、香料、遮光剤などを含有していてもよい。「賦形剤」としては、例えば、乳糖、デンプン、白糖、マンニット、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられる。「結合剤」としては、例えば、デキストリン、プルラン、マルトース、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム粉末、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロースなどが挙げられる。「滑沢剤」としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。「着色剤」としては、例えば黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄などが挙げられる。「香料」としては、合成物および天然物のいずれでもよく、例えばレモンフレーバー、ライムフレーバー、オレンジフレーバー、メントールなどが挙げられる。「遮光剤」としては、例えば酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。通常これらの各種製剤素材と混合してから、成形機を用いて打錠する。打錠後に、必要に応じてコーティングを施してもよい。なお、前述のようなカプセルとする場合にも、上記各種製剤素材を含有させても良い。
錠剤とする場合、1錠中に含まれる酢酸根の含有量が50mg以上であることが好適である。こうすることによって、比較的少ない数の錠剤を服用することでも十分な効果を得ることができる。多数の錠剤を服用することは、長期間の経口摂取を考えると面倒であり、この点はカプセルの場合と同様である。したがって、1錠中に含まれる酢酸根の量は、100mg以上であることがより好適であり、200mg以上であることがさらに好適である。このような観点から、酢酸カルシウム粉末に代表される酢酸塩を主成分として打錠した錠剤は、本発明の特に好適な実施態様である。
以下、実施例を使用して本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
実施例1
市販固形飼料及び水を自由摂食させた7週齢雄性SD(Sprague-Dawley)ラットを用いた。これを対照群と試験群に分け、試験群には、市販の果汁100%のグレープフルーツジュース、野菜ジュース、乳酸菌飲料、ウーロン茶、緑茶、市販紅茶、市販缶コーヒー及び醸造酢をそれぞれ0.5g/日給与し、それぞれ10日間飼育した後、体重測定を行った。その結果、効果のあった食品として、醸造酢が確認できた。ここで使用した醸造酢は、穀物酢であり、酸度(酢酸重量換算値)が4.3%のものである。対照群の摂食効率が0.09g/g dietであるのに対して、醸造酢の摂食効率は0.06g/g dietであった。ここで、摂食効率とは食餌1gあたりの体重増加量(g/g diet)を示すものである。よって摂食効率が低いことは、同じ食餌量で比較したときに体重増加が低いことを示すものである。
実施例2
市販の固形飼料を自由摂取させた7週齢雄性SDラットを無作為に3群に分けた。対照群には、1日当たり生理的食塩水5ml/kgを投与した。酢酸群には1日当たり0.9体積%の酢酸水溶液5ml/kg体重を投与した。醸造酢群には、酸度4.5%の米酢を希釈して酸度0.9%にし、1日当たり5ml/kg体重を投与した。これらは給餌給水とは別に毎日12日間投与した。それぞれの体重増加量から求めた摂食効率は、対照群0.09g/g diet、酢酸群0.05g/g diet、醸造酢群0.04g/g dietであった。このことから、醸造酢に効果が認められ、なかでも醸造酢成分中の酢酸が有効であることが確認できた。
酢酸および醸造酢投与による肝臓での脂肪合成酵素遺伝子の発現動態について調べた。肝臓における脂肪合成の律速酵素であるアセチル−CoAカルボキシラーゼ(ACC)の発現は、生食投与群に比較して酢酸および醸造酢投与群において発現が低下していた。その程度は酢酸群において生食群の0.3倍、醸造酢群(米酢群)ではノザンブロットのバンドを判断できないレベルであった。また同様にアセチルCoA合成酵素1(ACS1)及び脂肪合成酵素(FAS)の発現の低下、さらに脂肪合成酵素の転写を活性化すると報告されているSREBP(sterol regulatory element binding protein)の発現も顕著に低下していた。それらのレベルは、ACS1において生食群に比較して酢酸群で0.6倍、醸造酢群では0.3倍に減少していた。FASにおいては、酢酸群で生食群の0.2倍、醸造酢群で0.1倍に減少していた。そしてSREBPは酢酸、醸造酢群とも生食群に比較して0.5倍に減少していた(図1)。
実施例3
OLETF(Otsuka Long-Evans Tokushima Fatty)ラットは24−30週齢で肥満、高脂血症及び2型糖尿病を発症するモデル動物である。一方、LETO(Long-Evans Tokushima Ostuka)ラットはOLETFラットの対照群として用いられ、OLETFラットと遺伝的には近縁であるが、糖尿病を発症しない動物である。4週齢のOLETF雄ラットを無作為に生理食塩水群(生食群)及び酢酸群に分け、生理食塩水群には生理食塩水を1日当たり5ml/kg体重、酢酸群には0.9体積%の酢酸水溶液を1日当たり5ml/kg体重、それぞれ週に5日間、5週齢から30週齢までの約半年間投与した。またLETO群は生理食塩水及び酢酸の投与を行わずに飼育した。そうして、当該飼育期間中におけるラットの体重および摂食量を測定した。その結果、生食群および酢酸群の体重は30週齢でそれぞれ625±50gおよび477±17gであった(図2)。生食群と比較して酢酸群の体重増加は0.8倍と小さく、また酢酸群の摂食効率は、12週齢から30週齢のいずれの週齢においても、生食群より有意に低値を示した(図3:P<0.05、P<0.01)。
さらに、30週飼育後のOLETFラットの肝臓における脂肪合成系酵素の遺伝子発現を調べると、OLETFラットにおいてもSDラットと同様に、酢酸投与群において脂肪合成系酵素の遺伝子発現の減少傾向が見られた(図4)。これより、酢酸には、肝臓における脂肪合成系酵素の発現を、転写レベルで抑制する作用があると考えられる。SDラットおよびOLETFラットの酢酸投与群において、体重増加が抑制されたのは、酢酸の肝臓における体脂肪合成抑制作用によるものであると考えられる。
12、21及び30週齢における、摂食時の血中の中性脂肪、コレステロール、グルコース及びレプチンの濃度、並びに12及び30週齢におけるインスリン濃度を、生食群と酢酸群とで比較した(表1)。血中中性脂肪濃度は、酢酸群がどの週齢においても生食群の約0.7倍と有意に低値を示した。血中コレステロール濃度についても、12、21及び30週齢において、酢酸群は生食群のそれぞれ0.9倍、0.8倍及び0.7倍と低かった。さらに血中レプチン濃度についても酢酸群は生食群のそれぞれ0.5倍、0.5倍及び0.4倍と著しく低値を示した。これより当該量の酢酸を摂取すると高脂血症の改善及び体脂肪の蓄積が抑制されることが明らかである。肥満は2型糖尿病の発症の重要なリスクファクターである。そこで血中グルコース濃度についても調べると、酢酸群はどの週齢においても生食群より低値を示した。血中インスリン濃度についても、いずれの週齢においても酢酸群は生食群の0.8倍と低かった。これより、酢酸を投与したラットでは、インスリン抵抗性が著しく改善されている。
30週齢における生食群および酢酸群の腹腔内脂肪量を比較した(図5)。酢酸群は生食群の半分量以下の0.4倍と、実際の脂肪蓄積量が非常に低かった。
グルコースを2g/kg体重の量経口的に投与する経口糖質負荷試験(OGTT)において血糖値変動を測定した結果、酢酸群は生食群の0.6倍であった(図6)。投与後120分値においても0.6倍と血糖値は有意に低かった。酢酸群の血糖値変動は、LETO群の血糖値変動とほぼ同様であり、血糖値上昇は緩やかだった。これより、酢酸又は酢酸塩を摂取する習慣を身につけることにより糖尿病発症因子を持っていても肥満になりにくく、2型糖尿病発症に対する予防効果が得られると考えられる。
実施例4
食酢100mlに炭酸カルシウム1.1gを加え、pH4.0の酸性調味液を調製した。この酸性調味液を使用し、すし飯を作った。通常2合のすし飯を作る場合に使用する食酢の量は約40mlであるが、固めに炊飯し、本調味液を用いてすし飯を調製すれば、当該調味液として100ml(酢酸根換算値で約4.5g:そのうち約29%がカルシウム塩)使用することが可能となり、上記食酢40ml使用のときと比べて酸味は、官能的に大差ないものであった。すなわち、すし飯調製のみならず、酢の物用として使用する場合にも、三杯酢等を作る場合にも、食酢単独で使用するよりも大量に摂取できる調味料である。
実施例5
0.5gの酢酸カルシウムを腸溶解性のカプセルに入れて打錠して錠果を作製した。このカプセルを服用するのであれば、一日6錠で、体重60kgの人の最適摂取量を摂取できる計算になるので、継続的な服用が容易である。
SDラットにおいて、生食、酢酸および米酢投与による肝臓での脂肪合成酵素遺伝子の発現動態について調べた結果を示した図である。 酢酸群及び生食群の体重の経時変化を比較したグラフである。 酢酸群及び生食群の摂食効率の経時変化を比較したグラフである。 OLETFラットにおいて、生食及び酢酸投与による肝臓での脂肪合成酵素遺伝子の発現動態について調べた結果を示した図である。 30週齢における生食群および酢酸群の腹腔内脂肪量を比較したグラフである。 経口糖質負荷試験(OGTT)における血糖値変動を測定したグラフである。

Claims (13)

  1. 酢酸及び酢酸塩から選択される少なくとも1種の化合物からなり、経口摂取により余剰体脂肪の合成及び蓄積が抑制されることを特徴とする体脂肪合成抑制剤。
  2. 酢酸根(CHCOO)の含有率が0.3重量%以上である請求項1記載の体脂肪合成抑制剤。
  3. 酢酸根の含有率が7重量%以上である請求項2記載の体脂肪合成抑制剤。
  4. 前記化合物の全部又は一部が酢酸塩である請求項1〜3のいずれか記載の体脂肪合成抑制剤。
  5. 塩を形成していない酢酸根(F)と、塩を形成している酢酸根(S)の比(F/S)が5以下である請求項4記載の体脂肪合成抑制剤。
  6. 酢酸塩が酢酸カルシウムである請求項4又は5記載の体脂肪合成抑制剤。
  7. 酢酸を吸収した粉体からなる請求項1〜6のいずれか記載の体脂肪合成抑制剤。
  8. 請求項1〜7のいずれか記載の体脂肪合成抑制剤からなる食品。
  9. 請求項1〜7のいずれか記載の体脂肪合成抑制剤からなる医薬品。
  10. 請求項1〜7のいずれか記載の体脂肪合成抑制剤を収容したカプセル。
  11. 1カプセル中に含まれる酢酸根の含有量が50mg以上である請求項10記載のカプセル。
  12. 請求項4〜7のいずれか記載の体脂肪合成抑制剤からなる錠剤。
  13. 1錠中に含まれる酢酸根の含有量が50mg以上である請求項12記載の錠剤。
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