JP2004135515A - 粉末状組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】粉末原料に酢酸カルシウムを含有させるによって、粉末状組成物の保存時に、潮解現象や吸湿等によって生じる粉末原料の固結化(ケーキング現象)を有意に防止し、長期間保存安定性に優れた粉末状組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】、吸湿性、潮解性並びに固結化が問題となる粉末状保存剤に、酢酸カルシウムを添加することにより、保存時における吸湿性、潮解性並びに固結化という不都合な現象が有意に防止できた粉末状組成物を提供する。この粉末組成物は、食品、医薬品、医薬部外品、工業製品、化粧品、飼料等の原料として利用することができる。
【選択図】なし
【解決手段】、吸湿性、潮解性並びに固結化が問題となる粉末状保存剤に、酢酸カルシウムを添加することにより、保存時における吸湿性、潮解性並びに固結化という不都合な現象が有意に防止できた粉末状組成物を提供する。この粉末組成物は、食品、医薬品、医薬部外品、工業製品、化粧品、飼料等の原料として利用することができる。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉末状組成物、若しくは粒状組成物に関する。より詳細には、粉末状組成物の保存時に、潮解現象や吸湿等によって生じる粉末原料の固結化(ケーキング現象)を有意に防止し、長期間保存安定性に優れた粉末状組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、例えば食品業界では、調味料、強化剤、保存料、酸味料等は、粉末原料である有機酸や無機酸又はそれらの塩、アミノ酸類等が使用されている。これらの中には、保存中に他の成分と反応して固結化したり、空気中の水分を吸収して潮解、固結化したりしてしまうという問題があった。
【0003】
特に保存料や日持ち向上剤の大半は粉末タイプで、その主成分には、酢酸ナトリウムやグリシンをベースとし、ε−ポリリジンやプロタミン、卵白リゾチーム、或いは有機酸(塩)、縮合リン酸塩を組み合わせたものが多い。これらに使用される物質の多くが、保管中に固結化する性質を有することから、固結防止策として製剤中にデキストリン、澱粉、炭酸カルシウム等が配合されているが、下記のような問題があった。
【0004】
デキストリンは、水溶性である事から、一般的によく使用されているものであるが、上記保存料等の固結を防止する為には、製剤中に5〜30重量%程度配合する必要があり、また、製剤中にグリシン等のアミノ酸系の抗菌物質が配合されていれば、保管中に糖・アミノ酸反応による褐変現象を起こすという欠点がある。
【0005】
また、澱粉も、製剤の固結防止にはデキストリンと同様5〜30重量%程度する必要があるが、デキストリンとは異なり、保管中に糖・アミノ酸反応による褐変現象が生じない。しかし、澱粉は水には溶解しないので、液状食品では使用できないものもあるので、用途が限られており、固結防止剤として製剤に使用される頻度はデキストリンよりは少ない。
【0006】
また、炭酸カルシウムは、製剤への配合量が1〜10重量%程度で効果を有するのであるが、有機酸が配合されている製剤では、粉末状態でも常温にて反応し、炭酸ガスを発生する。この為、袋詰包装品のガス膨張による爆発の危険性もあり、使用にあたっては条件が限定される。また、水に溶けないことから、澱粉と同様、液状食品では使用できないものもある。
【0007】
更に、粉末原料の固結防止としては、固結防止剤として炭酸カルシウムや微粉の二酸化ケイ素を配合する方法(非特許文献参照)、油脂を溶解して有機酸などの表面を前面被覆する方法として、1)有機酸と動植物性硬化油の溶融混合物を噴霧冷却することによって被覆有機酸を製造する方法(特許文献1参照)、2)有機酸と乳酸カルシウムを混合し、加熱することによって被覆有機酸を製造する方法(特許文献2参照)、3)ソルビン酸を含有する有機酸及び硬化油を、低沸点アルコール類に溶解し減圧下に噴霧して被覆有機酸類を製造する方法(特許文献3参照)、4)溶融食用油脂及び燐脂質からなる溶媒中に有機酸粉末を懸濁加熱し、次いで冷却して被覆有機酸を製造する方法(特許文献4参照)が知られている。
【0008】
しかしながら、炭酸カルシウムを用いる方法は、前述のように炭酸カルシウムは強アルカリ性であることに起因して、対象物のpHを上昇させたり、酸性の物質と反応してガスを発生したりする等の欠点があり、適応する粉末状組成物の機能を損なうといった問題がある。二酸化ケイ素を用いる方法は、炭酸カルシウムと同じく、水に溶けないので、液状食品では扱い辛いという問題がある。また、油脂を用いる方法は、製剤表面が油脂でコーティングされる結果、固結現象は防止できるものの、常温では水不溶性状態で加熱により表面にコーティングされている油脂を加熱により溶解しなくてはならないといった制限があり、また、コーティングに製剤の6〜7割もの大量の油脂が必要性であるので、経済性に欠けるといった問題があった。
【0009】
【特許文献1】
特公昭45−32217号公報
【特許文献2】
特公昭44−30583号公報
【特許文献3】
特開昭63−36759号公報
【特許文献4】
特開昭55−88666号公報
【非特許文献】
食品添加物便覧95年度版 第341頁
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、保存時に潮解現象や吸湿等によって生じるケーキング現象が問題となる粉末状組成物に関して、その保存時に潮解現象や吸湿等によって生じるケーキング現象の問題を有意に防止して、保存安定性の優れた粉末状組成物を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、吸湿性、潮解性並びに固結化が問題となる粉末状保存剤に、酢酸カルシウムを添加することにより、保存時における吸湿性、潮解性並びに固結化という不都合な現象が有意に防止できることを見いだした。本発明は、かかる知見に基づいて開発されたものである。
【0012】
すなわち、本発明は下記にあげる粉末状保存剤組成物である。
1.粉末原料に、酢酸カルシウムが含有させることを特徴とする粉末状組成物。
2.粉末原料が、有機酸塩、無機酸塩、該酸塩の水和物、アミノ酸類、中鎖脂肪酸モノグリセライド及び無機塩基からなる群より選ばれる1種以上を含有するものである項1記載の粉末状組成物。
3.酢酸カルシウムを10重量%含有することを特徴とする項1記載の粉末状組成物。
また、本発明は下記にあげる粉末原料の固結防止方法である。
4.粉末原料を酢酸カルシウムで処理することを特徴とする粉末原料の固結防止方法。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の粉末原料とは、常温で粉末状、或いは粒状を呈し、保存時に他の成分との反応によって固結化が起るか、空気中の水分によって、吸湿、潮解又は固結化が問題となるものである。例えば、有機酸塩、無機酸塩、該酸塩の水和物、アミノ酸類、中鎖脂肪酸モノグリセライド及び無機塩基からなる群より選ばれる1種以上を含有するものであり、保存時に吸湿、潮解又は固結化が問題となる粉末原料を意味するものである。
【0014】
かかる粉末原料としては、酢酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸三カリウム等の有機酸塩;塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素アンモニウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、ピロリン酸四ナトリウム等の無機酸塩;L−グルタミン酸カリウム、L−グルタミン酸カルシウム、L−グルタミン酸マグネシウム、L−アスパラギン酸ナトリウム、L−ヒスチジン塩酸塩、L−システイン塩酸塩、植物蛋白質加水分解物(HVP)、動物蛋白質分解物(HAP)等のアミノ酸類;炭素数が8〜12の中鎖脂肪酸モノグリセリド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基;ε−ポリリジン;乳清ミネラル等や粉末醤油などがあげられる。
【0015】
上述した中でも特に酸性メタリン酸ナトリウムの配合されたものは潮解性が高く、また、上述した酸塩、中でも酢酸ナトリウム、アンモニウムミョウバン、生ミョウバン等は、単体でも固結化するが、炭酸塩等のアルカリ剤とともに製剤化すると、酸アルカリ反応を起こして水分を遊離して更に固結化する。
【0016】
本発明に用いる酢酸カルシウムの塩の形態は、特に制限されない。好ましくは酢酸カルシウムの無水物から1/2水塩が好ましく、1水塩では、固結化を抑制する効果が低い。
【0017】
酢酸カルシウムの添加量は、対象とする粉末原料によって異なるが、粉末原料に対して10重量%以上、好ましくは10〜95重量%を例示することができる。10重量%より少ない場合には、固結化を抑制する効果が低くなり、また、特に上限は制限するものではないが、多すぎると固結化を目的とする成分の量が少なくなってしまうので、目的に応じて酢酸カルシウムの添加量を検討すれば良い。
【0018】
本発明の粉末状組成物は、前述した粉末原料と酢酸カルシウムを粉体混合することによって調整できるが、具体的には、粉末原料と酢酸カルシウムの混合物を混合し、均一に混ざる方法であれば特に制限はされない。例えば、粉末原料にポリソルベートを添加し、混練機を用いて粉体に均一に混ざるようにする方法があげられる。
【0019】
混練機には、メランジャ等のホイール型混練機、ニーダー、オーガ、パドルミキサ、リボンミキサ、スクリューミキサ、タービュレントミキサ、マルチミックス、サーマルプロセッサ、ホーバーグミキサ及びフードミキサ、スパイラルミキサ、クッキングミキサ、ポニーミキサ、ユニミックス、ナウタミキサ、ファインミキサ及びコントラミックス等のブレード型混練機、ロールミル及びテーパーロール等のロール型混練機等があげられる。
【0020】
混練は、熱時や冷時に制限されないが、熱時に液状になる粉末原料に、酢酸カルシウムを加えた後に、そのものが固体になる温度まで冷却後、篩過等常法にて粉末化する方法でも良い。
【0021】
本発明の、粉末状組成物は、粉末原料が食品原料や調味料、保存料または日持ち向上剤等の食品添加物であれば、通常に食品等に添加することができる。例えば、タマゴサラダ、ポテトサラダ、ツナサラダ等のサラダ類、ソーセージ、ハム、ハンバーグ、ミートボール、シューマイ、餃子等の畜肉加工品、たれ、つゆ、ドレッシング等の調味料、蒲鉾、ちくわ等の水産練り製品、イカ塩辛、魚卵、一夜干し、味醂干し等の水産加工品、しば漬け、浅漬け、たくあん、キムチ等の漬物類、卵焼き、オムレツ、スクランブルエッグ等の卵製品、うどん、そば、焼きそば等の麺類、卵サンド、ハムサンド等のサンドイッチ類、赤飯、かやくご飯、おむすび等の米飯加工品、イカ佃煮、のり佃煮等の佃煮類、おでん、筑前煮、コンブ煮、野菜の煮物類、エビフライ、イカフライ、天ぷら、コロッケ等の揚げ物類、ホットケーキ、パン、クッキー等の焼き菓子類、清涼飲料、嗜好飲料、乳飲料および酸乳飲料等の飲料類、ゼリー、ヨーグルト、ババロアおよびプリン等のデザート類があげられる。特に、酢酸カルシウムが水に可溶なので、透明性が要求される物への応用に有効である。
【0022】
本発明の粉末状組成物の添加方法は特に限定されるものではないが、通常は、調理前、調理中に粉末状組成物をそのまま或いは水溶液にして、混和、練り込み、噴霧等で添加して、通常の調理を行えば良い。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、吸湿性、潮解性又は固結化の問題がある粉末原料に、酢酸カルシウムを添加することによって、当該粉末原料の固結化を有意に抑えることができる。
【0024】
【実験例】以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0025】
【実験例1】酢酸ナトリウム−酢酸カルシウム
表1の配合にて酢酸ナトリウムと酢酸カルシウムとを粉末混合し、その混合物を各1kgづつポリ袋に詰め、ヒートシールし、これを40℃の恒温機に入れて保存し、経時的に固結の状態の観察評価を行った。
【0026】
【表1】
評価
1←――――→5
数字が大きいほど固結して硬くなる。
「−」は状態に変化がない。(粉末状態)
【0027】
上記のように、酢酸ナトリウムに酢酸カルシウムを10重量%含有させることによって、酢酸ナトリウムの固結が防止された。
【0028】
【実験例2】酸性メタリン酸ナトリウム−酢酸カルシウム
表2の配合にて酸性メタリン酸ナトリウムと酢酸カルシウムとを粉末混合し、その混合物を各1kgづつポリ袋に詰め、ヒートシールし、これを40℃の恒温機に入れて保存し、経時的に固結の状態の観察評価を行った。
【0029】
【表2】
評価
1←――――→5
数字が大きいほど固結して硬くなる。
「−」は状態に変化がない。(粉末状態)
【0030】
上記のように、酸性メタリン酸ナトリウムに酢酸カルシウムを10重量%含有させることによって、酸性メタリン酸ナトリウムの固結が防止された。
【0031】
【実験例3】サンソフト700−P2(カプリル酸モノグリセリド:太陽化学株式会社社製)−酢酸カルシウム
表3の配合にて予め70℃に加温したサンソフト700−P2に酢酸カルシウム添加して混合し、室温まで冷却後、20メッシュの篩過をして混合物を得た。その混合物各1kgづつポリ袋に詰め、ヒートシールし、これを40℃の恒温機に入れて保存し、経時的に固結の状態の観察評価を行った。
【0032】
【表3】
評価
1←――――→5
数字が大きいほど固結して硬くなる。
「−」は状態に変化がない。(粉末状態)
【0033】
上記のように、カプリル酸モノグリセリドに酢酸カルシウムを70%含有させることによって、カプリル酸モノグリセリドの粉末物の固結が防止された。
【0034】
【比較例1】サンソフト700−P2−NSD−C(デキストリン:日本資糧工業株式会社製)
実施例3の酢酸カルシウムをデキストリンに代えて同様の試験を行った。
【0035】
【表4】
評価
1←――――→5
数字が大きいほど固結して硬くなる。
「−」は状態に変化がない。(粉末状態)
【0036】
上記のように、カプリル酸に希釈剤等にて通常使用されるデキストリンを含有させても、カプリル酸モノグリセリドの固結が充分に防止されなかった。
【0037】
【実験例4】プロエキスMF−G2(コーングルテン加水分解物:播州調味料社製)−酢酸カルシウム
表5の配合にてプロエキスMF−G2と酢酸カルシウムとを粉末混合し、その混合物を各1kgづつポリ袋に詰め、ヒートシールし、これを40℃の恒温機に入れて保存し、経時的に固結の状態の観察評価を行った。
【0038】
【表5】
評価
1←――――→5
数字が大きいほど固結して硬くなる。
「−」は状態に変化がない。(粉末状態)
【0039】
上記のように、コーングルテン加水分解物に酢酸カルシウム10重量%を含有させることによって、コーングルテン加水分解物の固結が防止された。
【0040】
【比較例2】プロエキスMF−G2−NSD−C
実施例4の酢酸カルシウムをデキストリンに代えて同様の試験を行った。
【0041】
【表6】
評価
1←――――→5
数字が大きいほど固結して硬くなる。
「−」は状態に変化がない。(粉末状態)
【0042】
上記のように、コーングルテン加水分解物に希釈剤等にて通常使用されるデキストリンを含有させても、コーングルテン加水分解物の固結が防止されなかった。
【0043】
【実施例5】アンモニウムミョウバン−酢酸カルシウム
表7の配合にてアルミニウムミョウバンと酢酸カルシウムとを粉末混合し、その混合物を各1kgづつポリ袋に詰め、ヒートシールし、これを40℃の恒温機に入れて保存し、経時的に固結の状態の観察評価を行った。
【0044】
【表7】
評価
1←――――→5
数字が大きいほど固結して硬くなる。
「−」は状態に変化がない。(粉末状態)
【0045】
上記の様に、アンモニウムミョウバンに酢酸カルシウム10重量%を含有させることによって、アンモニウムミョウバンの固結が防止された。
【0046】
【比較例3】アンモニウムミョウバン−炭酸カルシウム
実施例5の酢酸カルシウムを炭酸カルシウムに代えて同様の試験を行った。
【0047】
【表8】
評価
1←――――→5
数字が大きいほど固結して硬くなる。
「−」は状態に変化がない。(粉末状態)
【0048】
上記の様に、アルミニウムミョウバンに固結防止剤として通常使用される炭酸カルシウムを含有させても、アルミニウムミョウバンの固結は防止された。しかし、実施例5に示したように、酢酸カルシウムの方が固結防止の効果があり、かつ、炭酸カルシウムを用いたものは、炭酸カルシウムが水不溶性のため、液状食品には向かないが、酢酸カルシウムを用いたものは水にも溶解するので、液状食品に限らず、様々な食品に応用することができた。
【0049】
【実験例6】ε−ポリリジン(チッソ社製)−酢酸カルシウム
ε−ポリリジンと酢酸カルシウムの混合物を下記の表の配合割合で調製し、各1kgづつポリ袋に詰め、ヒートシールをせずに、これを40℃の恒温機に入れて保存し、経時的に固結の状態の観察評価を行った。また、比較例として、酢酸カルシウムの代わりに炭酸カルシウムにしたものを比較例4とした。
【0050】
【表9】
【表10】
評価
1←――――→5
数字が大きいほど固結して硬くなる。
「−」は状態に変化がない。(粉末状態)
【0051】
上記のように、酢酸カルシウムは、従来固結防止剤として用いられている炭酸カルシウムと同等の効果があり、更に、水に溶解した場合は、炭酸カルシウムを用いたものは不溶物が生じるのに対して、酢酸カルシウムを用いたものは、水に透明に溶解でき、幅広い用途で使用することができる。
【0052】
【実施例1】粉末保存剤
酢酸カルシウム 10 (重量部)
酢酸ナトリウム 52
ε−ポリリジン 1.5
グリシン 25.5
ピロリン酸2水素2ナトリウム 5
クエン酸(無水) 6
上記原料を粉体混合し、粉末保存料とした。上記、酢酸カルシウムの代わりに、酢酸ナトリウムにした粉末保存料を比較例5、酢酸カルシウムの代わりに炭酸カルシウムにした粉末保存料を比較例6、更に酢酸カルシウムの代わりにNSD−C(デキストリン)とした粉末保存料を比較例7とした。
【0053】
これら粉末保存料を各1kgづつポリ袋に詰め、ヒートシールし、これを40℃の恒温機に入れて保存し、経時的に固結の状態の観察評価を行った。
【0054】
【表11】
評価
1←――――→5
数字が大きいほど固結して硬くなる。
「−」は状態に変化がない。(粉末状態)
【0055】
上記のように、酢酸カルシウムの代わりに酢酸ナトリウム、デキストリンを用いたものは、固結化した。炭酸カルシウムを用いたものは、固結化はしなかったが、炭酸カルシウムが水に不溶性のため透明な液状食品等に使用することはできなかった。
【0056】
【発明の効果】本発明は、保存時に潮解現象や吸湿等によって生じるケーキング現象が問題となる粉末状組成物を、その保存時に潮解現象や吸湿等によって生じるケーキング現象の問題を有意に防止して、保存安定性の優れた粉末状組成物を提供する。
【発明の属する技術分野】本発明は、粉末状組成物、若しくは粒状組成物に関する。より詳細には、粉末状組成物の保存時に、潮解現象や吸湿等によって生じる粉末原料の固結化(ケーキング現象)を有意に防止し、長期間保存安定性に優れた粉末状組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、例えば食品業界では、調味料、強化剤、保存料、酸味料等は、粉末原料である有機酸や無機酸又はそれらの塩、アミノ酸類等が使用されている。これらの中には、保存中に他の成分と反応して固結化したり、空気中の水分を吸収して潮解、固結化したりしてしまうという問題があった。
【0003】
特に保存料や日持ち向上剤の大半は粉末タイプで、その主成分には、酢酸ナトリウムやグリシンをベースとし、ε−ポリリジンやプロタミン、卵白リゾチーム、或いは有機酸(塩)、縮合リン酸塩を組み合わせたものが多い。これらに使用される物質の多くが、保管中に固結化する性質を有することから、固結防止策として製剤中にデキストリン、澱粉、炭酸カルシウム等が配合されているが、下記のような問題があった。
【0004】
デキストリンは、水溶性である事から、一般的によく使用されているものであるが、上記保存料等の固結を防止する為には、製剤中に5〜30重量%程度配合する必要があり、また、製剤中にグリシン等のアミノ酸系の抗菌物質が配合されていれば、保管中に糖・アミノ酸反応による褐変現象を起こすという欠点がある。
【0005】
また、澱粉も、製剤の固結防止にはデキストリンと同様5〜30重量%程度する必要があるが、デキストリンとは異なり、保管中に糖・アミノ酸反応による褐変現象が生じない。しかし、澱粉は水には溶解しないので、液状食品では使用できないものもあるので、用途が限られており、固結防止剤として製剤に使用される頻度はデキストリンよりは少ない。
【0006】
また、炭酸カルシウムは、製剤への配合量が1〜10重量%程度で効果を有するのであるが、有機酸が配合されている製剤では、粉末状態でも常温にて反応し、炭酸ガスを発生する。この為、袋詰包装品のガス膨張による爆発の危険性もあり、使用にあたっては条件が限定される。また、水に溶けないことから、澱粉と同様、液状食品では使用できないものもある。
【0007】
更に、粉末原料の固結防止としては、固結防止剤として炭酸カルシウムや微粉の二酸化ケイ素を配合する方法(非特許文献参照)、油脂を溶解して有機酸などの表面を前面被覆する方法として、1)有機酸と動植物性硬化油の溶融混合物を噴霧冷却することによって被覆有機酸を製造する方法(特許文献1参照)、2)有機酸と乳酸カルシウムを混合し、加熱することによって被覆有機酸を製造する方法(特許文献2参照)、3)ソルビン酸を含有する有機酸及び硬化油を、低沸点アルコール類に溶解し減圧下に噴霧して被覆有機酸類を製造する方法(特許文献3参照)、4)溶融食用油脂及び燐脂質からなる溶媒中に有機酸粉末を懸濁加熱し、次いで冷却して被覆有機酸を製造する方法(特許文献4参照)が知られている。
【0008】
しかしながら、炭酸カルシウムを用いる方法は、前述のように炭酸カルシウムは強アルカリ性であることに起因して、対象物のpHを上昇させたり、酸性の物質と反応してガスを発生したりする等の欠点があり、適応する粉末状組成物の機能を損なうといった問題がある。二酸化ケイ素を用いる方法は、炭酸カルシウムと同じく、水に溶けないので、液状食品では扱い辛いという問題がある。また、油脂を用いる方法は、製剤表面が油脂でコーティングされる結果、固結現象は防止できるものの、常温では水不溶性状態で加熱により表面にコーティングされている油脂を加熱により溶解しなくてはならないといった制限があり、また、コーティングに製剤の6〜7割もの大量の油脂が必要性であるので、経済性に欠けるといった問題があった。
【0009】
【特許文献1】
特公昭45−32217号公報
【特許文献2】
特公昭44−30583号公報
【特許文献3】
特開昭63−36759号公報
【特許文献4】
特開昭55−88666号公報
【非特許文献】
食品添加物便覧95年度版 第341頁
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、保存時に潮解現象や吸湿等によって生じるケーキング現象が問題となる粉末状組成物に関して、その保存時に潮解現象や吸湿等によって生じるケーキング現象の問題を有意に防止して、保存安定性の優れた粉末状組成物を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、吸湿性、潮解性並びに固結化が問題となる粉末状保存剤に、酢酸カルシウムを添加することにより、保存時における吸湿性、潮解性並びに固結化という不都合な現象が有意に防止できることを見いだした。本発明は、かかる知見に基づいて開発されたものである。
【0012】
すなわち、本発明は下記にあげる粉末状保存剤組成物である。
1.粉末原料に、酢酸カルシウムが含有させることを特徴とする粉末状組成物。
2.粉末原料が、有機酸塩、無機酸塩、該酸塩の水和物、アミノ酸類、中鎖脂肪酸モノグリセライド及び無機塩基からなる群より選ばれる1種以上を含有するものである項1記載の粉末状組成物。
3.酢酸カルシウムを10重量%含有することを特徴とする項1記載の粉末状組成物。
また、本発明は下記にあげる粉末原料の固結防止方法である。
4.粉末原料を酢酸カルシウムで処理することを特徴とする粉末原料の固結防止方法。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の粉末原料とは、常温で粉末状、或いは粒状を呈し、保存時に他の成分との反応によって固結化が起るか、空気中の水分によって、吸湿、潮解又は固結化が問題となるものである。例えば、有機酸塩、無機酸塩、該酸塩の水和物、アミノ酸類、中鎖脂肪酸モノグリセライド及び無機塩基からなる群より選ばれる1種以上を含有するものであり、保存時に吸湿、潮解又は固結化が問題となる粉末原料を意味するものである。
【0014】
かかる粉末原料としては、酢酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸三カリウム等の有機酸塩;塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素アンモニウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、ピロリン酸四ナトリウム等の無機酸塩;L−グルタミン酸カリウム、L−グルタミン酸カルシウム、L−グルタミン酸マグネシウム、L−アスパラギン酸ナトリウム、L−ヒスチジン塩酸塩、L−システイン塩酸塩、植物蛋白質加水分解物(HVP)、動物蛋白質分解物(HAP)等のアミノ酸類;炭素数が8〜12の中鎖脂肪酸モノグリセリド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基;ε−ポリリジン;乳清ミネラル等や粉末醤油などがあげられる。
【0015】
上述した中でも特に酸性メタリン酸ナトリウムの配合されたものは潮解性が高く、また、上述した酸塩、中でも酢酸ナトリウム、アンモニウムミョウバン、生ミョウバン等は、単体でも固結化するが、炭酸塩等のアルカリ剤とともに製剤化すると、酸アルカリ反応を起こして水分を遊離して更に固結化する。
【0016】
本発明に用いる酢酸カルシウムの塩の形態は、特に制限されない。好ましくは酢酸カルシウムの無水物から1/2水塩が好ましく、1水塩では、固結化を抑制する効果が低い。
【0017】
酢酸カルシウムの添加量は、対象とする粉末原料によって異なるが、粉末原料に対して10重量%以上、好ましくは10〜95重量%を例示することができる。10重量%より少ない場合には、固結化を抑制する効果が低くなり、また、特に上限は制限するものではないが、多すぎると固結化を目的とする成分の量が少なくなってしまうので、目的に応じて酢酸カルシウムの添加量を検討すれば良い。
【0018】
本発明の粉末状組成物は、前述した粉末原料と酢酸カルシウムを粉体混合することによって調整できるが、具体的には、粉末原料と酢酸カルシウムの混合物を混合し、均一に混ざる方法であれば特に制限はされない。例えば、粉末原料にポリソルベートを添加し、混練機を用いて粉体に均一に混ざるようにする方法があげられる。
【0019】
混練機には、メランジャ等のホイール型混練機、ニーダー、オーガ、パドルミキサ、リボンミキサ、スクリューミキサ、タービュレントミキサ、マルチミックス、サーマルプロセッサ、ホーバーグミキサ及びフードミキサ、スパイラルミキサ、クッキングミキサ、ポニーミキサ、ユニミックス、ナウタミキサ、ファインミキサ及びコントラミックス等のブレード型混練機、ロールミル及びテーパーロール等のロール型混練機等があげられる。
【0020】
混練は、熱時や冷時に制限されないが、熱時に液状になる粉末原料に、酢酸カルシウムを加えた後に、そのものが固体になる温度まで冷却後、篩過等常法にて粉末化する方法でも良い。
【0021】
本発明の、粉末状組成物は、粉末原料が食品原料や調味料、保存料または日持ち向上剤等の食品添加物であれば、通常に食品等に添加することができる。例えば、タマゴサラダ、ポテトサラダ、ツナサラダ等のサラダ類、ソーセージ、ハム、ハンバーグ、ミートボール、シューマイ、餃子等の畜肉加工品、たれ、つゆ、ドレッシング等の調味料、蒲鉾、ちくわ等の水産練り製品、イカ塩辛、魚卵、一夜干し、味醂干し等の水産加工品、しば漬け、浅漬け、たくあん、キムチ等の漬物類、卵焼き、オムレツ、スクランブルエッグ等の卵製品、うどん、そば、焼きそば等の麺類、卵サンド、ハムサンド等のサンドイッチ類、赤飯、かやくご飯、おむすび等の米飯加工品、イカ佃煮、のり佃煮等の佃煮類、おでん、筑前煮、コンブ煮、野菜の煮物類、エビフライ、イカフライ、天ぷら、コロッケ等の揚げ物類、ホットケーキ、パン、クッキー等の焼き菓子類、清涼飲料、嗜好飲料、乳飲料および酸乳飲料等の飲料類、ゼリー、ヨーグルト、ババロアおよびプリン等のデザート類があげられる。特に、酢酸カルシウムが水に可溶なので、透明性が要求される物への応用に有効である。
【0022】
本発明の粉末状組成物の添加方法は特に限定されるものではないが、通常は、調理前、調理中に粉末状組成物をそのまま或いは水溶液にして、混和、練り込み、噴霧等で添加して、通常の調理を行えば良い。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、吸湿性、潮解性又は固結化の問題がある粉末原料に、酢酸カルシウムを添加することによって、当該粉末原料の固結化を有意に抑えることができる。
【0024】
【実験例】以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0025】
【実験例1】酢酸ナトリウム−酢酸カルシウム
表1の配合にて酢酸ナトリウムと酢酸カルシウムとを粉末混合し、その混合物を各1kgづつポリ袋に詰め、ヒートシールし、これを40℃の恒温機に入れて保存し、経時的に固結の状態の観察評価を行った。
【0026】
【表1】
評価
1←――――→5
数字が大きいほど固結して硬くなる。
「−」は状態に変化がない。(粉末状態)
【0027】
上記のように、酢酸ナトリウムに酢酸カルシウムを10重量%含有させることによって、酢酸ナトリウムの固結が防止された。
【0028】
【実験例2】酸性メタリン酸ナトリウム−酢酸カルシウム
表2の配合にて酸性メタリン酸ナトリウムと酢酸カルシウムとを粉末混合し、その混合物を各1kgづつポリ袋に詰め、ヒートシールし、これを40℃の恒温機に入れて保存し、経時的に固結の状態の観察評価を行った。
【0029】
【表2】
評価
1←――――→5
数字が大きいほど固結して硬くなる。
「−」は状態に変化がない。(粉末状態)
【0030】
上記のように、酸性メタリン酸ナトリウムに酢酸カルシウムを10重量%含有させることによって、酸性メタリン酸ナトリウムの固結が防止された。
【0031】
【実験例3】サンソフト700−P2(カプリル酸モノグリセリド:太陽化学株式会社社製)−酢酸カルシウム
表3の配合にて予め70℃に加温したサンソフト700−P2に酢酸カルシウム添加して混合し、室温まで冷却後、20メッシュの篩過をして混合物を得た。その混合物各1kgづつポリ袋に詰め、ヒートシールし、これを40℃の恒温機に入れて保存し、経時的に固結の状態の観察評価を行った。
【0032】
【表3】
評価
1←――――→5
数字が大きいほど固結して硬くなる。
「−」は状態に変化がない。(粉末状態)
【0033】
上記のように、カプリル酸モノグリセリドに酢酸カルシウムを70%含有させることによって、カプリル酸モノグリセリドの粉末物の固結が防止された。
【0034】
【比較例1】サンソフト700−P2−NSD−C(デキストリン:日本資糧工業株式会社製)
実施例3の酢酸カルシウムをデキストリンに代えて同様の試験を行った。
【0035】
【表4】
評価
1←――――→5
数字が大きいほど固結して硬くなる。
「−」は状態に変化がない。(粉末状態)
【0036】
上記のように、カプリル酸に希釈剤等にて通常使用されるデキストリンを含有させても、カプリル酸モノグリセリドの固結が充分に防止されなかった。
【0037】
【実験例4】プロエキスMF−G2(コーングルテン加水分解物:播州調味料社製)−酢酸カルシウム
表5の配合にてプロエキスMF−G2と酢酸カルシウムとを粉末混合し、その混合物を各1kgづつポリ袋に詰め、ヒートシールし、これを40℃の恒温機に入れて保存し、経時的に固結の状態の観察評価を行った。
【0038】
【表5】
評価
1←――――→5
数字が大きいほど固結して硬くなる。
「−」は状態に変化がない。(粉末状態)
【0039】
上記のように、コーングルテン加水分解物に酢酸カルシウム10重量%を含有させることによって、コーングルテン加水分解物の固結が防止された。
【0040】
【比較例2】プロエキスMF−G2−NSD−C
実施例4の酢酸カルシウムをデキストリンに代えて同様の試験を行った。
【0041】
【表6】
評価
1←――――→5
数字が大きいほど固結して硬くなる。
「−」は状態に変化がない。(粉末状態)
【0042】
上記のように、コーングルテン加水分解物に希釈剤等にて通常使用されるデキストリンを含有させても、コーングルテン加水分解物の固結が防止されなかった。
【0043】
【実施例5】アンモニウムミョウバン−酢酸カルシウム
表7の配合にてアルミニウムミョウバンと酢酸カルシウムとを粉末混合し、その混合物を各1kgづつポリ袋に詰め、ヒートシールし、これを40℃の恒温機に入れて保存し、経時的に固結の状態の観察評価を行った。
【0044】
【表7】
評価
1←――――→5
数字が大きいほど固結して硬くなる。
「−」は状態に変化がない。(粉末状態)
【0045】
上記の様に、アンモニウムミョウバンに酢酸カルシウム10重量%を含有させることによって、アンモニウムミョウバンの固結が防止された。
【0046】
【比較例3】アンモニウムミョウバン−炭酸カルシウム
実施例5の酢酸カルシウムを炭酸カルシウムに代えて同様の試験を行った。
【0047】
【表8】
評価
1←――――→5
数字が大きいほど固結して硬くなる。
「−」は状態に変化がない。(粉末状態)
【0048】
上記の様に、アルミニウムミョウバンに固結防止剤として通常使用される炭酸カルシウムを含有させても、アルミニウムミョウバンの固結は防止された。しかし、実施例5に示したように、酢酸カルシウムの方が固結防止の効果があり、かつ、炭酸カルシウムを用いたものは、炭酸カルシウムが水不溶性のため、液状食品には向かないが、酢酸カルシウムを用いたものは水にも溶解するので、液状食品に限らず、様々な食品に応用することができた。
【0049】
【実験例6】ε−ポリリジン(チッソ社製)−酢酸カルシウム
ε−ポリリジンと酢酸カルシウムの混合物を下記の表の配合割合で調製し、各1kgづつポリ袋に詰め、ヒートシールをせずに、これを40℃の恒温機に入れて保存し、経時的に固結の状態の観察評価を行った。また、比較例として、酢酸カルシウムの代わりに炭酸カルシウムにしたものを比較例4とした。
【0050】
【表9】
【表10】
評価
1←――――→5
数字が大きいほど固結して硬くなる。
「−」は状態に変化がない。(粉末状態)
【0051】
上記のように、酢酸カルシウムは、従来固結防止剤として用いられている炭酸カルシウムと同等の効果があり、更に、水に溶解した場合は、炭酸カルシウムを用いたものは不溶物が生じるのに対して、酢酸カルシウムを用いたものは、水に透明に溶解でき、幅広い用途で使用することができる。
【0052】
【実施例1】粉末保存剤
酢酸カルシウム 10 (重量部)
酢酸ナトリウム 52
ε−ポリリジン 1.5
グリシン 25.5
ピロリン酸2水素2ナトリウム 5
クエン酸(無水) 6
上記原料を粉体混合し、粉末保存料とした。上記、酢酸カルシウムの代わりに、酢酸ナトリウムにした粉末保存料を比較例5、酢酸カルシウムの代わりに炭酸カルシウムにした粉末保存料を比較例6、更に酢酸カルシウムの代わりにNSD−C(デキストリン)とした粉末保存料を比較例7とした。
【0053】
これら粉末保存料を各1kgづつポリ袋に詰め、ヒートシールし、これを40℃の恒温機に入れて保存し、経時的に固結の状態の観察評価を行った。
【0054】
【表11】
評価
1←――――→5
数字が大きいほど固結して硬くなる。
「−」は状態に変化がない。(粉末状態)
【0055】
上記のように、酢酸カルシウムの代わりに酢酸ナトリウム、デキストリンを用いたものは、固結化した。炭酸カルシウムを用いたものは、固結化はしなかったが、炭酸カルシウムが水に不溶性のため透明な液状食品等に使用することはできなかった。
【0056】
【発明の効果】本発明は、保存時に潮解現象や吸湿等によって生じるケーキング現象が問題となる粉末状組成物を、その保存時に潮解現象や吸湿等によって生じるケーキング現象の問題を有意に防止して、保存安定性の優れた粉末状組成物を提供する。
Claims (4)
- 粉末原料に、酢酸カルシウムを含有させることを特徴とする粉末状組成物。
- 粉末原料が、有機酸塩、無機酸塩、該酸塩の水和物、アミノ酸類、中鎖脂肪酸モノグリセライド及び無機塩基からなる群より選ばれる1種以上を含有するものである請求項1記載の粉末状組成物。
- 酢酸カルシウムを10重量%以上含有することを特徴とする請求項1記載の粉末状組成物。
- 粉末原料を酢酸カルシウムで処理することを特徴とする粉末原料の固結防止方法。
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JP2002300991A JP2004135515A (ja) | 2002-10-15 | 2002-10-15 | 粉末状組成物 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005336143A (ja) * | 2004-05-31 | 2005-12-08 | Okayama Prefecture | 体脂肪合成抑制剤 |
JP2010148479A (ja) * | 2008-12-26 | 2010-07-08 | Asahi Flour Mills Co Ltd | 打ち粉及びその製造方法 |
JP2014023527A (ja) * | 2013-06-20 | 2014-02-06 | Mitejima Kagaku Kk | 食品添加用組成物、食品添加剤 |
JP2015006170A (ja) * | 2013-05-31 | 2015-01-15 | 奥野製薬工業株式会社 | 食品用日持向上剤 |
-
2002
- 2002-10-15 JP JP2002300991A patent/JP2004135515A/ja active Pending
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