JPWO2016190295A1 - チョコレート - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、油脂中にブルーム耐性向上剤などを含有する場合であっても、テンパリング状態の管理が容易なチョコレートを提供することである。加えて、上記チョコレートの製造に適した、ハードバター、および、チョコレートの添加剤を提供することである。本発明は、チョコレート中の油脂に占める、MMMの含有量が0.01質量%以上5質量%未満であるチョコレートである。ただし、MおよびMMMは、以下を意味する。M:炭素数6〜10の脂肪酸MMM:グリセロール1分子に3分子のMが結合したトリアシルグリセロール

Description

本発明は、テンパリング管理が容易なチョコレートに関する。
チョコレートは、カカオ豆を主原料とし、優れた香味および口どけを有する菓子である。一般的なチョコレートとして知られるテンパー型チョコレートは、カカオ豆に含まれるココアバターを油脂分として含む。テンパー型チョコレートは、チョコレート原料から得られた融液状のチョコレート生地を、テンパリングし、次いで生地を冷却固化する工程を経て、製造される。テンパリングとは、融液状のチョコレート生地中に安定結晶の結晶核を生じさせる操作である。テンパリングにより、冷却固化されたチョコレートは、様々な結晶構造をとり得るココアバターを安定結晶の状態で保持できる。テンパリングは、具体的には、例えば、40〜50℃で融解しているチョコレート生地を、品温を27〜28℃程度まで下げた後に、再度29〜31℃程度まで加温する操作として知られる。
テンパリングで生じる安定結晶の量が適正であれば、チョコレート生地の冷却時における固化速度が速くなる。また、チョコレート生地は固化する際に十分な体収縮が生じる。そのため、固化後のチョコレートは成形型から良好に剥離して型抜けが良い。さらに、ファットブルーム(チョコレート表面に白い斑点状の油脂結晶が生成する現象を指し、以下、「ブルーム」という)の発生が抑えられる。得られたチョコレートは、優れた光沢を有するばかりでなく、その保存中におけるブルーム耐性もよい。こうした適正なテンパリング状態は「プロパーテンパー」と呼ばれる。
他方、テンパリングで生じる安定結晶の量が少なすぎると、多くの場合、冷却固化後のチョコレートにブルームが発生する。また、得られたチョコレートは、保存中におけるブルーム耐性も低下している。製造時にブルームの発生がなくても、保存中のチョコレートに短期間でブルームが発生する可能性がある。こうしたテンパリング状態は「アンダーテンパー」と呼ばれる。
また、テンパリングで生じる安定結晶の量が多すぎると、チョコレートのキメが粗くなる。そのため、チョコレートの保存中におけるブルーム耐性も低下する可能性がある。こうしたテンパリング状態は「オーバーテンパー」と呼ばれる。チョコレートの製造においては、アンダーテンパーおよびオーバーテンパーを回避するため、テンパリング状態の適切な管理が重要である。
テンパリング状態の管理は、従来、オペレーターの経験に頼ってきた。現在では、テンパーメーターを使用して、テンパリングの状態を数値(テンパーインデックス)で管理する方法が開発されている。テンパーインデックスは、チョコレート生地を冷却し、経時的にチョコレート生地中の油脂を結晶化させることで生じる発熱量をパターン化したものである。テンパーインデックスは、テンパリング状態を表す指標として利用されている。例えば、テンパーインデックスが1〜3の場合はアンダーテンパーであり、安定結晶が不足した状態を表す。テンパーインデックスが4〜6の場合はプロパーテンパーであり、テンパリングが良好な状態を表す。そして、7〜9の場合はオーバーテンパーであり、安定結晶の量が多くなりすぎ、粘度が上昇した状態を表す。
ところで、チョコレートの油脂中に、特殊なトリアシルグリセロールを含ませることにより、チョコレートのブルーム耐性を向上させる方法が知られている。例えば、特開平2−138937号公報には、モノUジS型トリグリセリド(SSU)を有効成分とする抗ブルーム剤が記載されている。また、特開平5−311190号公報には、構成脂肪酸の1つが炭素数12以下の飽和脂肪酸(B)であり、残る2つの脂肪酸が炭素数16以上の飽和脂肪酸(A)であるトリグリセリドからなる油脂のグレイニング防止剤(A2B)が記載されている。
上記のようなトリアシルグリセロール(ブルーム耐性向上剤)がチョコレートの油脂中に少量含まれると、チョコレートのブルーム耐性は向上する。しかしながら、テンパーインデックスがプロパーテンパーであったものがアンダーテンパーになるなど、テンパリング状態の管理が難しくなるという欠点があった。
特開平2−138937号公報 特開平5−311190号公報
本発明の目的は、特に、油脂中にブルーム耐性向上剤などを含有する場合であっても、テンパリングの管理が容易なチョコレートを提供することである。本発明の目的は、また、上記チョコレートの製造に適した、ハードバター、および、チョコレートの添加剤を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、3分子の炭素数6〜10の脂肪酸(M)がグリセロールにエステル結合したトリアシルグリセロール(MMM)を、チョコレート中の油脂に少量含有させることにより、チョコレート生地(油脂結晶が完全に溶けた融液状態にあるチョコレート)がプロパーテンパーの状態となることを見出した。これにより、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のようなものを提供する。
(1)チョコレート中の油脂に占める、MMMの含有量が0.01質量%以上5質量%未満であるチョコレート。
ただし、MおよびMMMは、以下を意味する。
M:炭素数6〜10の脂肪酸
MMM:グリセロール1分子に3分子のMが結合したトリアシルグリセロール
(2)前記油脂に占める、L2MおよびLM2の合計含有量が0.01〜10質量%である、(1)1に記載のチョコレート。
ただし、L、L2MおよびLM2は、以下を意味する。
L:炭素数16〜24の飽和脂肪酸
L2M:グリセロール1分子に2分子のLと1分子のMが結合したトリアシルグリセロール
LM2:グリセロール1分子に1分子のLと2分子のMが結合したトリアシルグリセロール
(3)前記油脂に占める、前記LM2の含有量に対する前記L2Mの含有量の質量比(L2M/LM2)が、0.05〜4.5である、(2)のチョコレート。
(4)前記油脂に占める、LOLの含有量が45〜95質量%である、(1)〜(3)の何れか1つのチョコレート。
ただし、OおよびLOLは、以下を意味する。
O:オレイン酸
LOL:グリセロール1分子の、1位と3位にLが、2位にOが結合した、トリアシルグリセロール
(5)前記LOLに占める、SOSの含有量が25〜60質量%である、(1)〜(4)の何れか1つのチョコレート。
ただし、SおよびSOSは、以下を意味する。
S:ステアリン酸
SOS:1,3−ジステアロイル−2−オレオイルグリセロール
(6)0.03〜15質量%のMMM、0.03〜30質量%のL2MおよびLM2、および、45〜95質量%のLOL、を含むハードバター。
ただし、L、M、O、MMM、L2M、LM2およびLOLは、以下を意味する。
L:炭素数16〜24の飽和脂肪酸
M:炭素数6〜10の脂肪酸
O:オレイン酸
MMM:グリセロール1分子に3分子のMが結合したトリアシルグリセロール
L2M:グリセロール1分子に2分子のLと1分子のMが結合したトリアシルグリセロール
LM2:グリセロール1分子に1分子のLと2分子のMが結合したトリアシルグリセロール
LOL:グリセロール1分子の、1位と3位にLが、2位にOが結合した、トリアシルグリセロール
(7)前記ハードバターに占める、前記LM2の含有量に対する前記L2Mの含有量の質量比(L2M/LM2)が、0.05〜4.5である、(6)のハードバター。
(8)前記LOLに占める、SOSの含有量が30〜90質量%である、(6)または(7)のハードバター。
ただし、SおよびSOSは、以下を意味する。
S:ステアリン酸
SOS:1,3−ジステアロイル−2−オレオイルグリセロール
(9)(6)〜(8)の何れか1つのハードバターを、油脂中に3〜100質量%含有するチョコレート。
(10)2〜70質量%のMMMと、20〜98質量%のL2MおよびLM2と、を含むチョコレート用添加剤。
ただし、L、M、MMM、L2MおよびLM2は、以下を意味する。
L:炭素数16〜24の飽和脂肪酸
M:炭素数6〜10の脂肪酸
MMM:グリセロール1分子に3分子のMが結合したトリアシルグリセロール
L2M:グリセロール1分子に2分子のLと1分子のMが結合したトリアシルグリセロール
LM2:グリセロール1分子に1分子のLと2分子のMが結合したトリアシルグリセロール
(11)前記チョコレート用添加剤に占める、前記LM2の含有量に対する前記L2Mの含有量の質量比(L2M/LM2)が、0.05〜4.5である、(10)のチョコレート用添加剤。
(12)エステル交換油脂であって、前記エステル交換油脂が有する構成脂肪酸全量のうち、炭素数6〜10の構成脂肪酸が、25〜65質量%を占め、炭素数16〜18の飽和の構成脂肪酸が、35〜75質量%を占める、エステル交換油脂である、(10)または(11)のチョコレート用添加剤。
(13)(10)〜(12)の何れか1つのチョコレート用添加剤を、油脂中に0.05〜15質量%含むチョコレート。
本発明によると、油脂中にブルーム耐性向上剤などを含有する場合であっても、テンパリング管理が容易なチョコレートを提供できる。本発明によると、また、上記チョコレートの製造に適した、ハードバター、およびチョコレートの添加剤を提供できる。
以下、本発明のチョコレートについて順を追って記述する。
本発明においてチョコレートとは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(全国チョコレート業公正取引協議会)または法規上の規定等により規定されているチョコレートに限定されない。すなわち、本発明におけるチョコレートは、食用油脂、及び糖類を主原料とする。主原料には、必要に応じてカカオ成分(カカオマス、ココアパウダー等)、乳製品、香料、および乳化剤等が加えられる。このチョコレートは、チョコレート製造の工程(混合工程、微粒化工程、精練工程、成形工程、および冷却工程等)の一部又は全部を経て製造される。また、本発明におけるチョコレートは、ダークチョコレート、およびミルクチョコレートの他に、ホワイトチョコレートおよびカラーチョコレートも含む。
本発明のチョコレートは、好ましくは25〜65質量%の油脂を含有する。本発明のチョコレート中の油脂の含有量は、より好ましくは28〜55質量%であり、さらに好ましくは30〜45質量%である。なお、本発明におけるチョコレート中の油脂は、配合される油脂以外に、含油原料(カカオマス、ココアパウダー、全脂粉乳等)由来の油脂(ココアバター、乳脂等)も含む。例えば、一般的に、カカオマス中の油脂(ココアバター)の含有量は55質量%(含油率0.55)であり、ココアパウダー中の油脂(ココアバター)の含有量は11質量%(含油率0.11)であり、全脂粉乳中の油脂(乳脂)の含有量は25質量%(含油率0.25)である。よって、チョコレート中の油脂の含有量は、チョコレート中の各原料の配合量(質量%)に含油率を掛け合わせた値の合計値となる。
本発明のチョコレート中の油脂は、MMMを0.01質量%以上5質量%未満含有する。以下、MおよびMMMは、次を意味する。Mは、炭素数6〜10の脂肪酸である。MMMは、グリセロール1分子に3分子のMがエステル結合しているトリアシルグリセロールである。MMMの、これら3つの脂肪酸(M)は、すべて同一であってもよいし、異なる脂肪酸を含んでいてもよい。さらに、MMMは、複数の異なる化合物の混合物であってもよい。このような混合物の例として、トリオクタノイルグリセロールとトリデカノイルグリセロールとの混合物を挙げることができる。MMMを構成する炭素数6〜10の脂肪酸は、直鎖の飽和脂肪酸であることが好ましい。チョコレートに含まれる油脂中のMMMの含有量は、好ましくは、0.04〜4質量%であり、より好ましくは0.08〜3質量%であり、さらに好ましくは、0.12〜2質量%である。チョコレートに含まれる油脂中のMMMの含有量が上記範囲内にあると、チョコレートのテンパーインデックスがプロパーテンパーの範囲になりやすく、テンパリングの管理が容易である。
本発明のチョコレート中の油脂には、上記MMMが含まれる。このMMMが有する構成脂肪酸全量のうち炭素数6の脂肪酸が占める割合は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。さらに、上記MMMの有する構成脂肪酸全量のうち炭素数10の脂肪酸が占める割合は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20〜100質量%、さらに好ましくは40〜80質量%である。
本発明のチョコレートの好ましい実施の形態の一例として、チョコレートに含まれる油脂の0.01質量%以上5質量%未満が、以下のMMMであるチョコレートが挙げられる。すなわち、このMMMが有する構成脂肪酸全量のうち、95質量%以上を占める構成脂肪酸が、オクタン酸(炭素数8)、あるいは、デカン酸(炭素数10)である。さらに、オクタン酸と、デカン酸の質量比は、好ましくは100:0〜10:90であり、より好ましくは80:20〜20:80である。
本発明のチョコレート中の油脂に含まれるMMMは、従来公知の方法を用いて製造できる。例えば、炭素数6〜10の脂肪酸とグリセロールとを、120〜180℃に加熱し、脱水縮合させることにより製造できる。この縮合反応は、減圧下で行うのが好ましい。上記縮合反応には、触媒を用いることができる。しかし、無触媒下で、上記縮合反応を行うことが好ましい。
本発明のチョコレート中の油脂は、L2MおよびLM2を合計で0.01〜10質量%含むことが好ましい。以下、L、L2MおよびLM2は、次を意味する。Lは、炭素数16〜24の飽和脂肪酸である。L2Mは、グリセロール1分子に2分子のLと1分子のMが結合したトリアシルグリセロールである。LM2は、グリセロール1分子に1分子のLと2分子のMが結合したトリアシルグリセロールである。Lは、好ましくは炭素数16〜20の飽和脂肪酸であり、より好ましくは、炭素数16〜18の飽和脂肪酸である。本発明のチョコレート中の油脂は、L2MおよびLM2を合計で、より好ましくは0.05〜5質量%含み、さらに好ましくは0.1〜3質量%含み、最も好ましくは0.25〜2.5質量%含む。チョコレート中の油脂に占める、L2MおよびLM2の合計含有量(以下、L2M+LM2とも表す)が上記範囲内にあると、チョコレートのブルーム耐性が向上する。
上記L2MおよびLM2は、チョコレート中の油脂に占める、LM2の含有量に対するL2Mの含有量の質量比(L2M/LM2)が、好ましくは0.05〜4.5であり、より好ましくは0.3〜3であり、さらに好ましくは0.55〜2.5である。L2M/LM2が上記範囲内にあると、チョコレートのテンパーインデックスの低下(プロパーテンパーからアンダーテンパーへの移行)が抑えられる。
上記L2MおよびLM2が有する構成脂肪酸中のMの全量のうち、炭素数6の脂肪酸が占める割合は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。さらに、上記L2MおよびLM2が有する構成脂肪酸中のMの全量のうち、炭素数10の脂肪酸が占める割合は、好ましくは10質量%以上、より好ましく20〜100質量%、さらに好ましくは40〜100質量%、最も好ましくは60〜100質量%である。
本発明のチョコレート中の油脂に含まれるL2MおよびLM2としては、従来公知の方法を用いて製造できる、L2MおよびLM2含有油脂(L2MおよびLM2を合計で、40質量%以上、好ましくは60質量%以上含有する油脂)を使用してもよい。L2MおよびLM2含有油脂は、例えば、10〜65質量部(より好ましくは20〜55質量部)のMMMと、35〜90質量部(より好ましくは45〜80質量部)のヨウ素価5以下かつ構成脂肪酸として炭素数16以上の飽和脂肪酸の含有量が90質量%以上の油脂(例えば、菜種油、大豆油、パーム油などを原料とする、極度硬化油)との混合油脂をエステル交換した後、分別した油脂であってもよい。また、MMMと、構成脂肪酸として炭素数16以上の飽和脂肪酸の含有量が90質量%以上の油脂(例えば、菜種油、大豆油、パーム油など)との混合油脂をエステル交換した後、さらに極度硬化、次いで分別した油脂であってもよい。
水素添加(硬化)反応、エステル交換反応、および分別は、従来公知の方法が適用できる。エステル交換反応は、ナトリウムメトキシド等の合成触媒を使用した化学的エステル交換、ならびに、リパーゼを触媒とした酵素的エステル交換のどちらの方法でも適用できる。分別は、従来公知の、ドライ分別(自然分別)、乳化分別(界面活性剤分別)、ならびに、溶剤分別等の通常の方法が適用できる。
L2MおよびLM2含有油脂は、また、L2M含有油脂とLM2含有油脂とを混合して調製してもよい。L2M含有油脂(L2Mを40質量%以上、好ましくは60質量%以上含有する油脂)、もしくは、LM2含有油脂(LM2を40質量%以上、好ましくは60質量%以上含有する油脂)は、MMMとLの低級アルコールエステルとを、エステル交換し、脂肪酸エステルを蒸溜した後、残余の油脂を分別して調製してもよい。
本発明のチョコレートは、チョコレート中の油脂が、MMMを0.01質量%以上5質量%未満含有する。この条件が満たされている限り、本発明のチョコレートの製造にどのような油脂原料を使用してもよい。例えば、ヤシ油、パーム核油、パーム油、パーム分別油(パームオレイン及びパームスーパーオレイン等)、シア脂、シア分別油、サル脂、サル分別油、イリッペ脂、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、乳脂、およびココアバター、ならびにこれらの混合油および加工油脂を使用してもよい。
本発明のチョコレートはテンパー型に適したチョコレートである。本発明のチョコレートに含まれる油脂は、上記MMMに加えて、LOLを含有することが好ましい。以下、OおよびLOLは、次を意味する。Oは、オレイン酸である。LOLは、2位にオレイン酸(O)、ならびに、1位および3位に炭素数16〜24の飽和脂肪酸(L)が結合したトリアシルグリセロールである。チョコレートに含まれる油脂中の、LOLの含有量は、好ましくは45〜95質量%であり、より好ましくは50〜90質量%であり、さらに好ましくは55〜85質量%である。LOLの1位および3位に結合している炭素数16〜24の飽和脂肪酸は、必ずしも同じ飽和脂肪酸でなくともよい。さらに、用いられるLOLの有する構成脂肪酸Lの全量のうち、炭素数16〜18の飽和脂肪酸が占める割合は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上である。チョコレートに含まれる油脂中のLOL含有量が上記範囲内にあると、チョコレートのテンパリングがしやすくなる。
本発明のチョコレートに含まれる油脂が上記LOLを含有するために、チョコレートに含まれる油脂として、LOLを豊富に含む油脂(40質量%以上、好ましくは60質量%以上のLOLを含む油脂)を使用してもよい。LOLを豊富に含む油脂(以下、LOL含有油脂とも表す)の例として、ココアバター、パーム油、シア脂、サル脂、アランブラッキア脂、モーラー脂、イリッペ脂、およびマンゴー核油、ならびに、それらの分別油が挙げられる。さらに、すでに知られているように、パルミチン酸、ステアリン酸、あるいは、それらの低級アルコールエステルと、ハイオレイックヒマワリ油等の高オレイン酸油脂との混合物を、1,3位選択性リパーゼ製剤を用いて、エステル交換反応をさせた後、反応物を必要に応じて蒸溜および分別して得られる油脂を使用してもよい。
本発明のチョコレート中の油脂は、LOLの1つとして、2位にオレイン酸、1位および3位にステアリン酸が結合した、SOS(1,3−ジステアロイル−2−オレオイルグリセロール)を含有してもよい。チョコレートに含まれる油脂が含有するLOL中の、SOSの含有量は、好ましくは25〜60質量%であり、より好ましくは30〜55質量%である。LOL中のSOS含有量を上記範囲内とするためには、SOS含有油脂(40質量%以上、好ましくは60質量%以上のSOSを含む油脂)を使用してもよい。SOS含有油脂としては、上記LOL含有油脂の中でSOS含有量が40質量%以上の油脂を使用すればよい。LOL中のSOSの含有量が上記範囲内にあると、チョコレートのテンパリングがしやすくなる。
本発明のチョコレートに含まれる油脂の、MMM含有量、L2M含有量、LM2含有量、L2O含有量およびS2O含有量は、例えば、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)に準じて測定できる。LOL含有は、LOL/L2O比を、例えば、J.High Resol.Chromatogr.,18,105−107(1995)に準じた方法で測定し、この値とL2O含有量を基に算出できる。SOS含有量も同様に算出できる。ただし、上記L2Oは、グリセロール1分子に2分子のLと1分子のOがエステル結合したトリアシルグリセロールであり、上記S2Oは、グリセロール1分子に2分子のSと1分子のOがエステル結合したトリアシルグリセロールである。
本発明のチョコレートは、油脂以外に、好ましくは糖類を含有する。糖類としては、例えば、ショ糖(粉糖)、乳糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、還元澱粉糖化物、液糖、酵素転化水飴、異性化液糖、ショ糖結合水飴、還元糖ポリデキストロース、オリゴ糖、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトース、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ラフィノース、およびデキストリンを使用できる。本発明のチョコレート中の糖類の含有量は、好ましくは20〜60質量%であり、より好ましくは25〜55質量%であり、さらに好ましくは30〜50質量%である。
本発明のチョコレートには、油脂および糖類以外にも、チョコレートに一般的に配合される原料を使用できる。具体的には、例えば、全脂粉乳および脱脂粉乳等の乳製品、カカオマスおよびココアパウダー等のカカオ成分、大豆粉、大豆蛋白、果実加工品、野菜加工品、抹茶粉末、およびコーヒー粉末等の各種粉末、ガム類、澱粉類、乳化剤、酸化防止剤、着色料、ならびに香料を使用できる。
本発明のチョコレートは、従来公知の方法により製造できる。本発明のチョコレートの製造には、例えば、油脂、カカオ成分、糖類、乳製品、および乳化剤等を原料として使用できる。本発明のチョコレートは、混合工程、微粒化工程(リファイニング)、精練工程(コンチング)、および冷却工程等を経て、製造できる。本発明のチョコレートは、好ましくは、精錬工程の後に、テンパリングを行い、冷却固化することにより製造される。
本発明のチョコレートの製造工程において、チョコレート生地は、好ましくはテンパリングされる。テンパリングは、油脂結晶が完全に融けた状態のチョコレート(チョコレート生地)中の油脂に、安定結晶の結晶核を生じさせる操作である。この操作により、チョコレート生地に含まれる油脂中のLOLを、安定な結晶として、固化できる。テンパリングは、例えば、40〜50℃で融解しているチョコレートを、品温が26〜29℃程度になるまで下げた後に、再度28〜31℃程度まで加温する操作が挙げられる。あるいは、テンパリングに替えて、シーディングを行ってもよい。シーディングは、例えば、SOSあるいはBOB(1,3−ジベヘノイル−2−オレオイルグリセロール)のようなLOLの安定結晶であるシード剤をチョコレート生地に分散させる操作である。すなわち、上記シード剤の安定結晶が完全に融けてしまわない温度において、チョコレート中の油脂に対して、0.05〜5質量%のシード剤の添加(シーディング)は、テンパリングを代替できる。
本発明のチョコレートは、全てのチョコレート用途に使用できる。例えば、型抜きまたはカッティングされたチョコレート塊として、そのまま食することができる。その他、製菓製パン製品、例えば、パン、ケーキ、洋菓子、焼き菓子、ドーナツ、およびシュー菓子に使用できる。本発明のチョコレートは、製菓製パン製品に、コーティング材、フィリング材、または、生地へ混ぜ込むチョコチップとして、使用できる。
本発明は、また、本発明のチョコレートの製造に適した、本発明のハードバターを提供する。本発明のハードバターは、0.03〜15質量%のMMM、0.03〜30質量%のL2MおよびLM2、および、45〜95質量%のLOLを含む。本発明のハードバターに占めるMMMの含有量は、好ましくは0.2〜10質量%、より好ましくは0.4〜6質量%である。本発明のハードバターに占めるL2MおよびLM2の含有量の合計は、好ましくは0.2〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%である。本発明のハードバターに占めるLOLの含有量は、好ましくは50〜90質量%、より好ましくは55〜85質量%である。本発明のハードバターの、MMM、L2MとLM2、および、LOL、の含有量が上記範囲内にあると、本発明のハードバターを使用したチョコレートは、テンパリングがしやすい上、ブルーム耐性に優れる。
また、本発明のハードバターは、ハードバター中のLOLに占めるSOSの含有量が、好ましくは30〜90質量%であり、より好ましくは35〜85質量%であり、さらに好ましくは40〜80質量%である。ハードバター中のLOLに占めるSOSの含有量が、上記範囲内にあると、本発明のハードバターを使用したチョコレートは、さらに、テンパリングがしやすい上、ブルーム耐性に優れる。
本発明のハードバターは、チョコレートの油脂中に、好ましくは3〜100質量%、より好ましくは5〜60質量%、さらに好ましくは7〜30質量%、最も好ましくは9〜20質量%含まれる。また、本発明のハードバターは、チョコレートの油脂中に、ココアバター100質量部に対して、10〜1000質量部使用されてもよい。
本発明は、また、本発明のチョコレートの製造に適したチョコレート用添加剤を提供する。本発明のチョコレート用添加剤は、2〜70質量%のMMM、および、20〜98質量%のL2MおよびLM2を含む、MMM、L2MおよびLM2含有油脂であってもよい。本発明のチョコレート用添加剤に占めるMMMの含有量は、好ましくは4〜40質量%、より好ましくは8〜25質量%である。本発明のチョコレート用添加剤に占めるL2MおよびLM2の合計含有量は、好ましくは40〜94質量%、より好ましくは55〜88質量%である。
本発明のチョコレート用添加剤は、構成脂肪酸全量のうち、炭素数6〜10の脂肪酸が25〜65質量%を占め、炭素数16〜18の飽和の脂肪酸が、35〜75質量%を占める、エステル交換油脂であってもよい。当該エステル交換油脂は、構成脂肪酸全量のうち、炭素数6〜10の脂肪酸が占める割合が、好ましくは30〜60質量%、より好ましくは35〜55質量%である。また、構成脂肪酸全量のうち、炭素数16〜18の飽和脂肪酸が占める割合が、好ましくは40〜70質量%、より好ましくは45〜65質量%である。上記エステル交換油脂は、MMM、L2MおよびLM2を適当量含むので、そのまま、チョコレートの添加剤として使用できる。
上記エステル交換油脂は、従来公知の方法を用いて製造できる。例えば、25〜65質量部(より好ましくは30〜60質量部)のMMMと、35〜75質量部(より好ましくは40〜70質量部)のヨウ素価5以下かつ構成脂肪酸として炭素数16以上の飽和脂肪酸の含有量が90質量%以上の油脂(例えば、菜種油、大豆油、パーム油などを原料とする極度硬化油)との混合油脂をエステル交換したエステル交換油脂であってもよい。また、MMMと、構成脂肪酸として炭素数16以上の飽和脂肪酸の含有量が90質量%以上の油脂(例えば、菜種油、大豆油、パーム油など)との混合油脂をエステル交換した後、極度硬化した油脂であってもよい。水素添加(硬化)反応およびエステル交換反応は、従来公知の方法が適用できる。エステル交換反応は、ナトリウムメトキシド等の合成触媒を使用した化学的エステル交換、ならびに、リパーゼを触媒とした酵素的エステル交換のどちらの方法でも適用できる。
本発明のチョコレート用添加剤は、チョコレートに含まれる油脂中に、好ましくは0.05〜15質量%、より好ましくは0.1〜12.7質量%、さらに好ましくは0.2〜8質量%、最も好ましくは0.4〜5.5質量%含まれる。本発明のチョコレート用添加剤を使用したチョコレートは、テンパリングがしやすい上、ブルーム耐性に優れる。
本発明の、ハードバターおよびチョコレート用添加剤に含まれる、上記L2MおよびLM2は、LM2の含有量に対するL2Mの含有量の質量比(L2M/LM2)が、好ましくは0.05〜4.5であり、より好ましくは0.3〜3であり、さらに好ましくは0.55〜2.5である。L2M/LM2が上記範囲内にあると、ハードバター、もしくは、チョコレート用添加剤を使用したチョコレートは、油脂中にL2MおよびLM2を適当量含むので、チョコレートのテンパーインデックスの低下(プロパーテンパーからアンダーテンパーへの移行)が抑えられる。
次に実施例により本発明を説明する。しかし、本発明はこれらの実施例により限定されない。
〔分析方法〕
油脂のMMM含有量、L2M含有量、LM2含有量、L2O含有量およびS2O含有量は、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)に準じて測定した。LOL/L2O比は、J.High Resol.Chromatogr.,18,105−107(1995)に準じた方法で測定した。LOL含有量は、LOL/L2O比とL2O含有量を基に算出した。SOS含有量も同様に算出した。
チョコレートのテンパーインデックスは、チョコレートを融液状態(チョコレート中の油脂の結晶が融解した状態)とし、テンパーメーター(TENPERMETER E5、Sollich GmbH&Co.製)を用いて測定した。
テンパーインデックスは、以下を意味する。
3.9以下: アンダーテンパーであり、好ましくない。
4.0〜6.0: プロパーテンパーであり、好ましい。
(4.6〜5.4: プロパーテンパーの中でも、さらに好ましい。)
6.1以上: オーバーテンパーであり、好ましくない。
〔MMMの調製〕
(MMM−1):構成脂肪酸がカプリル酸とカプリン酸であり、その質量比が75:25であるMMMを合成し、(MMM−1)とした。
(MMM−2):構成脂肪酸がカプリル酸とカプリン酸であり、その質量比が3:7であるMMMを合成し、(MMM−2)とした。
〔L2M含有油脂の調製〕
(L2M−1):1モルのトリカプリリンと6モルのステアリン酸エチルとを混合した。次いで、1,3−位特異性リパーゼによりエステル交換して、エステル交換混合物を得た。エステル交換混合物より脂肪酸エチルを蒸留した後、蒸溜残渣を溶剤分別することにより、(L2M−1)を得た。(L2M−1)は、L2Mに該当するS8S(1,3−ジステアロイル−2−カプリルグリセロール)含有量が96.8質量%である。
(L2M−2):1モルのトリカプリンと6モルのステアリン酸エチルとを混合した。次いで、1,3−位特異性リパーゼによりエステル交換して、エステル交換混合物を得た。エステル交換混合物より脂肪酸エチルを蒸留した後、蒸溜残渣を溶剤分別することにより、(L2M−2)を得た。(L2M−2)はL2Mに該当するS10S(1,3−ジステアロイル−2−カプリングリセロール)含有量が94.8質量%である。
〔L2MおよびLM2含有油脂の調製〕
(L2M+LM2−1):86質量部の菜種油と14質量部のMMM−1とを混合した。次いで、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換して、エステル交換油脂を得た。エステル交換油脂を極度硬化した後、溶剤分別することにより、(L2M+LM2−1)を得た。(L2M+LM2−1)は、L2MおよびLM2の合計含有量が95.4質量%であり、LM2含有量に対するL2M含有量の質量比(L2M/LM2)が4.1である。
(L2M+LM2−2):70質量部の菜種油と30質量部のMMM−2とを混合した。次いで、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換して、エステル交換油脂を得た。エステル交換油脂を極度硬化したものを溶剤分別することにより、(L2M+LM2−2)を得た。(L2M+LM2−2)は、L2MおよびLM2の合計含有量が98.1質量%であり、LM2含有量に対するL2M含有量の質量比(L2M/LM2)が1.6である。
(L2M+LM2−3):50質量部の菜種油と50質量部のMMM−2とを混合した。次いで、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換して、エステル交換油脂を得た。エステル交換油脂を極度硬化したものを溶剤分別することにより、(L2M+LM2−3)を得た。(L2M+LM2−3)は、L2MおよびLM2の合計含有量が97.2質量%であり、LM2含有量に対するL2M含有量の質量比(L2M/LM2)が0.7である。
〔MMM、L2MおよびLM2含有油脂の調製〕
(MMM+L2M+LM2−1):50質量部の菜種油の極度硬化油と50質量部のMMM−2とを混合した。次いで、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換することにより、(MMM+L2M+LM2−1)を得た。(MMM+L2M+LM2−1)は、MMMの含有量が19.9質量%、L2MおよびLM2の合計含有量が74.6質量%であり、LM2含有量に対するL2M含有量の質量比(L2M/LM2)が0.7である。
〔SOS含有油脂の調製〕
(SOS−1):40質量部のハイオレイックヒマワリ油と60質量部のステアリン酸エチルとを混合した。次いで、1,3−位特異性リパーゼによりエステル交換して、エステル交換混合物を得た。エステル交換混合物より脂肪酸エチルを蒸留した後、蒸溜残渣を溶剤分別することにより、(SOS−1)を得た。(SOS−1)は、SOS含有量が66.7質量%である。
〔チョコレートの調製1〕
表1の配合に従って、参考例1、比較例1および実施例1〜3のチョコレートを調製した。すなわち、常法に従って、混合、微粒化、精練し、融液状態のチョコレートを得た。各融液状態のチョコレートのテンパーインデックスを測定し、結果を表1に示した。
Figure 2016190295
〔チョコレートの調製2〕
表2の配合に従って、比較例2〜5および実施例4のチョコレートを調製した。すなわち、常法に従って、混合、微粒化、精練し、融液状態のチョコレートを得た。各融液状態のチョコレートのテンパーインデックスを測定し、結果を表2に示した。
Figure 2016190295
〔チョコレートの調製3〕
表3の配合に従って、実施例5〜9のチョコレートを調製した。すなわち、常法に従って、混合、微粒化、精練し、融液状態のチョコレートを得た。各融液状態のチョコレートのテンパーインデックスを測定し、結果を表3に示した。
Figure 2016190295
上記チョコレートの調整1〜3より、次のことが分る。特許文献2に記載のグレイニング防止剤(ブルーム耐性向上剤)であるL2Mを含有する比較例2〜3は、参考例1と比較して、テンパーインデックスが著しく低下する。MMMを含有する実施例1〜3および5〜9は、L2Mを含有しても、プロパーテンパーがとれる。実施例1〜9より、MMMを含有することで、テンパーインデックスはプロパーテンパーで安定する。
〔ハードバターおよびチョコレートの調製〕
90質量部の市販のハードバター(商品名:Vienta50C、日清オイリオグループ株式会社製)、1.4質量部の(MMM−2)、および、8.6質量部の(L2M+LM2−2)を混合して、ハードバターAを得た。ハードバターAの組成を表4に示した。
また、83.6質量部の市販のハードバター(商品名:Vienta50C、日清オイリオグループ株式会社製)に、16.4質量部の(MMM+L2M+LM2−1)を混合して、ハードバターBを得た。ハードバターBの組成を表4に示した。
表4の配合に従って、実施例10〜11のチョコレートを、常法に従って、混合、微粒化、精練し、融液状態のチョコレートを得た。各融液状態のチョコレートのテンパーインデックスを測定し、表4に示した。
Figure 2016190295
〔チョコレート用添加剤〕
上記実施例1〜10で使用の、MMM含有油脂、L2M含有油脂およびL2MおよびLM2含有油脂は、実施例1〜10における配合割合で予め混合したものを、チョコレート用添加剤として使用できる。実施例1〜10において、チョコレート用添加剤とした場合の各混合物の組成を表5および表6に示した。なお、実施例11でハードバターに配合した(MMM+L2M+LM2−1)(MMMの含有量が19.9質量%、L2MおよびLM2の合計含有量が74.6質量%であり、LM2含有量に対するL2M含有量の質量比(L2M/LM2)が0.7)は、それ自体が本発明のチョコレート用添加剤である。
Figure 2016190295
Figure 2016190295

Claims (13)

  1. チョコレート中の油脂に占める、MMMの含有量が0.01質量%以上5質量%未満であるチョコレート。
    ただし、MおよびMMMは、以下を意味する。
    M:炭素数6〜10の脂肪酸
    MMM:グリセロール1分子に3分子のMが結合したトリアシルグリセロール
  2. 前記油脂に占める、L2MおよびLM2の合計含有量が0.01〜10質量%である、請求項1に記載のチョコレート。
    ただし、L、L2MおよびLM2は、以下を意味する。
    L:炭素数16〜24の飽和脂肪酸
    L2M:グリセロール1分子に2分子のLと1分子のMが結合したトリアシルグリセロール
    LM2:グリセロール1分子に1分子のLと2分子のMが結合したトリアシルグリセロール
  3. 前記油脂に占める、前記LM2の含有量に対する前記L2Mの含有量の質量比(L2M/LM2)が、0.05〜4.5である、請求項2に記載のチョコレート。
  4. 前記油脂に占める、LOLの含有量が45〜95質量%である、請求項1〜3の何れか1項に記載のチョコレート。
    ただし、OおよびLOLは、以下を意味する。
    O:オレイン酸
    LOL:グリセロール1分子の、1位と3位にLが、2位にOが結合した、トリアシルグリセロール
  5. 前記LOLに占める、SOSの含有量が25〜60質量%である、請求項1〜4の何れか1項に記載のチョコレート。
    ただし、SおよびSOSは、以下を意味する。
    S:ステアリン酸
    SOS:1,3−ジステアロイル−2−オレオイルグリセロール
  6. 0.03〜15質量%のMMM、0.03〜30質量%のL2MおよびLM2、および、45〜95質量%のLOL、を含むハードバター。
    ただし、L、M、O、MMM、L2M、LM2およびLOLは、以下を意味する。
    L:炭素数16〜24の飽和脂肪酸
    M:炭素数6〜10の脂肪酸
    O:オレイン酸
    MMM:グリセロール1分子に3分子のMが結合したトリアシルグリセロール
    L2M:グリセロール1分子に2分子のLと1分子のMが結合したトリアシルグリセロール
    LM2:グリセロール1分子に1分子のLと2分子のMが結合したトリアシルグリセロール
    LOL:グリセロール1分子の、1位と3位にLが、2位にOが結合した、トリアシルグリセロール
  7. 前記ハードバターに占める、前記LM2の含有量に対する前記L2Mの含有量の質量比(L2M/LM2)が、0.05〜4.5である、請求項6に記載のハードバター。
  8. 前記LOLに占める、SOSの含有量が30〜90質量%である、請求項6または7に記載のハードバター。
    ただし、SおよびSOSは、以下を意味する。
    S:ステアリン酸
    SOS:1,3−ジステアロイル−2−オレオイルグリセロール
  9. 請求項6〜8の何れか1項に記載のハードバターを、油脂中に3〜100質量%含有するチョコレート。
  10. 2〜70質量%のMMMと、20〜98質量%のL2MおよびLM2と、を含むチョコレート用添加剤。
    ただし、L、M、MMM、L2MおよびLM2は、以下を意味する。
    L:炭素数16〜24の飽和脂肪酸
    M:炭素数6〜10の脂肪酸
    MMM:グリセロール1分子に3分子のMが結合したトリアシルグリセロール
    L2M:グリセロール1分子に2分子のLと1分子のMが結合したトリアシルグリセロール
    LM2:グリセロール1分子に1分子のLと2分子のMが結合したトリアシルグリセロール
  11. 前記チョコレート用添加剤に占める、前記LM2の含有量に対する前記L2Mの含有量の質量比(L2M/LM2)が、0.05〜4.5である、請求項10に記載のチョコレート用添加剤。
  12. エステル交換油脂であって、前記エステル交換油脂が有する構成脂肪酸全量のうち、炭素数6〜10の構成脂肪酸が、25〜65質量%を占め、炭素数16〜18の飽和の構成脂肪酸が、35〜75質量%を占める、エステル交換油脂である、請求項10または11に記載のチョコレート用添加剤。
  13. 請求項10〜12の何れか1項に記載のチョコレート用添加剤を、油脂中に0.05〜15質量%含むチョコレート。
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