JPWO2016170814A1 - ビール様発泡性飲料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、苦味成分や好ましい香気成分を過度に損なうことなく、プリン体や硫化水素等の不快な臭気成分を活性炭処理により除去するビール様発泡性飲料を製造する方法を提供する。本発明は、原料仕込工程以降の溶液に対して、平均細孔径1.0nm未満の活性炭に接触させる活性炭処理を行う、ビール様発泡性飲料の製造方法、及び、プリン体濃度が0.4mg/100mL以下であり、イソα酸含有量が10〜20ppmであり、リナロール含有量が15〜30ppbであり、β−シトロネロール含有量が1.5〜6ppbであり、ゲラニオール含有量が1.0〜5.0ppbであり、β−フェネチルアルコール含有量が5.0〜15ppmであり、硫化水素濃度が3ppb以下である、ビール様発泡性飲料である。

Description

本発明は、苦味成分や好ましい香気成分を過度に損なうことなく、プリン体や硫化水素等の不快な臭気成分が充分に除去されたビール様発泡性飲料を製造する方法に関する。
本願は、2015年4月21日に、日本に出願された特願2015−086449号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
ビールや発泡酒等のビール様発泡性飲料においては、消費者の嗜好の多様化にともない、多種多様の商品が上市されている。さらに、近年の消費者の健康志向から、ビール様発泡性飲料における糖やカロリー量、さらにはプリン体含有量への関心が高まっている。
ビール様発泡性飲料中のプリン体含有量を低減させる方法としては、活性炭を用いてプリン体を除去する方法が知られている。また、活性炭処理により、劣化臭の原因物質であるトランス−2−ノネナール及びその前駆体を除去できることも知られている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
一方、活性炭処理では、プリン体や劣化臭の原因物質だけではなく、色素や苦味物質、ビールらしさを引き出す香気成分等の有用な成分も同時に吸着除去されてしまう。活性炭処理を行っても色素や苦味物質を充分に含有するビール様発泡性飲料を製造する方法としては、例えば、予め活性炭処理前の麦汁の苦味価及び色度を通常よりもより高く調製する方法がある(例えば、特許文献3参照。)。その他、例えば、よりプリン体を選択的に吸着除去するために、活性炭処理に、平均細孔直径が1.8〜2.4nmである活性炭を用いる方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
特許第3831256号公報 特開2010−124748号公報 特許第4076901号公報 特許第3730935号公報
特許文献4に記載の方法では、プリン体を効率よく除去させることができるものの、色素や苦味物質等が吸着除去される量も多く、吸着剤処理後のビール様発泡性飲料は、風味のバランスがまだ不充分であった。
本発明は、苦味成分や好ましい香気成分を過度に損なうことなく、プリン体や硫化水素等の不快な臭気成分が充分に除去されたビール様発泡性飲料を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、平均細孔径1.0nm未満の小さい活性炭を用いることにより、ビールらしさに有用な苦味成分や香気成分を過度に吸着除去することなく、プリン体や不快臭の原因物質を充分に吸着除去し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係るビール様発泡性飲料の製造方法及びビール様発泡性飲料は、下記[1]〜[8]である。
[1] 原料仕込工程以降の溶液に対して、平均細孔径1.0nm未満の活性炭に接触させる活性炭処理を行う、ビール様発泡性飲料の製造方法。
[2] 前記ビール様発泡性飲料が発酵工程を経て製造される発酵ビール様発泡性飲料であり、前記溶液が、発酵工程後の発酵液である、前記[1]のビール様発泡性飲料の製造方法。
[3] 前記ビール様発泡性飲料が、原料を調合した後、得られた原料調合液に炭酸ガスを導入して製造される非発酵ビール様発泡性飲料であり、前記溶液が、炭酸ガス導入前又は導入後の原料調合液である、前記[1]のビール様発泡性飲料の製造方法。
[4] 前記活性炭処理前の溶液の苦味価に対する、前記活性炭処理後の溶液の苦味価の比が、0.70以上である、前記[1]〜[3]のいずれかのビール様発泡性飲料の製造方法。
[5] 前記活性炭処理前の溶液のイソα酸含有量に対する、前記活性炭処理後の溶液のイソα酸含有量の比、前記活性炭処理前の溶液のリナロール含有量に対する、前記活性炭処理後の溶液のリナロール含有量の比、前記活性炭処理前の溶液のβ−シトロネロール含有量に対する、前記活性炭処理後の溶液のβ−シトロネロール含有量の比、及び前記活性炭処理前の溶液のゲラニオール含有量に対する、前記活性炭処理後の溶液のゲラニオール含有量の比が、いずれも0.40以上である、前記[1]〜[4]のいずれかのビール様発泡性飲料の製造方法。
[6] 前記活性炭処理前の溶液のβ−フェネチルアルコール含有量に対する、前記活性炭処理後の溶液のβ−フェネチルアルコール含有量の比、及び前記活性炭処理前の溶液の硫化水素含有量に対する、前記活性炭処理後の溶液の硫化水素含有量の比が、いずれも0.60以下である、前記[1]〜[5]のいずれかのビール様発泡性飲料の製造方法。
[7] 前記活性炭の平均細孔径が0.5nm未満である、前記[1]〜[6]のいずれかのビール様発泡性飲料の製造方法。
[8] プリン体濃度が0.4mg/100mL以下であり、イソα酸含有量が10〜20ppmであり、リナロール含有量が15〜30ppbであり、β−シトロネロール含有量が1.5〜6ppbであり、ゲラニオール含有量が1.0〜5.0ppbであり、β−フェネチルアルコール含有量が5.0〜15ppmであり、硫化水素濃度が3ppb以下である、ビール様発泡性飲料。
本発明により、プリン体や不快な臭気成分の含有量が充分に低く、かつ苦味と香気のバランスがとれたビール様発泡性飲料を提供できる。
本発明及び本願明細書におけるビール様発泡性飲料とは、麦芽やホップの使用の有無にかかわらず、ビールらしさ(香味上ビールを想起させる呈味)を有する発泡性飲料を意味する。本発明におけるビール様発泡性飲料は、酵母による発酵工程を経て製造される発酵ビール様発泡性飲料であってもよく、発酵工程を経ずに製造される非発酵ビール様発泡性飲料であってもよい。また、ビール様発泡性飲料のアルコール濃度は限定されず、0.5容量%以上のアルコール飲料であってもよく、0.5容量%未満のいわゆるノンアルコール飲料であってもよい。具体的には、ビール、発泡酒、ノンアルコールビール等が挙げられる。その他、発酵工程を経て製造された飲料を、アルコール含有蒸留液と混和して得られたリキュール類であってもよい。
なお、アルコール含有蒸留液とは、蒸留操作により得られたアルコールを含有する溶液であり、一般に蒸留酒に分類されるものを用いることができる。例えば、原料用アルコール、スピリッツ、ウィスキー、ブランデー、ウオッカ、ラム、テキーラ、ジン、焼酎等を用いることができる。
本発明に係るビール様発泡性飲料の製造方法は、原料仕込工程以降の溶液に対して、平均細孔径1.0nm未満の活性炭に接触させる活性炭処理を行うことを特徴とする。通常、ビール様発泡性飲料のプリン体除去に用いられる平均細孔径1〜4nmの活性炭では、プリン体に加えて、イソα酸等のホップ由来の苦味成分や、ホップ由来香気成分、発酵時に生成するエステル類、色素等も吸着されてしまうため、活性炭処理によりビール様発泡性飲料の風味のバランスが悪化してしまうという問題がある。これに対して、本発明において用いられる平均細孔径が1.0nm未満の活性炭は、ビールの苦味に重要なイソα酸や色素をほとんど吸着せず、かつ、平均細孔径が1〜3nmの活性炭に比べて、ビールらしさに重要な苦味成分や香気成分に対する吸着除去効率が充分に低く、硫化水素やβ−フェネチルアルコール等の不快な香気成分に対する吸着除去効率は高い。このため、平均細孔径1.0nm未満の活性炭に接触させる活性炭処理により、ビールらしい苦味と香気を過度に損なうことなく、不快な臭気成分を効率よく吸着除去することができ、苦味と香気のバランスがとれたビール様発泡性飲料を製造できる。
本発明において用いられる活性炭は、平均細孔径が1.0nm未満のものであれば特に限定されるものではないが、平均細孔径が0.5nm未満のものが好ましく、0.3nm以上0.5nm未満のものがより好ましい。なお、活性炭の平均細孔径は、細孔を円筒形と仮定することによって、下記式(1)から求めることができる。
式(1): 平均細孔直径 = 4×(細孔容積)/(比表面積)
本発明における活性炭処理において、溶液に接触させる活性炭の量(濃度)や接触時間、接触温度等の処理条件は、最終製品に求められる品質特性に応じて適宜決定することができる。使用する活性炭の量が多くなるほど、また、接触時間が長くなるほど、硫化水素等の不快な香気成分の吸着除去効率が高くなるが、有用な香気成分が吸着除去されるリスクも高くなる。
本発明における活性炭処理としては、活性炭処理によって苦味成分や色素が過度に吸着除去されない条件で行うことが好ましい。例えば、活性炭処理前の溶液の苦味価に対する、活性炭処理後の溶液の苦味価の比([活性炭処理後の溶液の苦味価(EBC B.U.)]/[活性炭処理前の溶液の苦味価(EBC B.U.)])が0.70以上となる処理条件で行うことが好ましく、当該比が0.80以上となる処理条件で行うことがより好ましい。また、活性炭処理前の溶液の色度に対する、活性炭処理後の溶液の色度の比([活性炭処理後の溶液の色度(°EBC)]/[活性炭処理前の溶液の色度(°EBC)])が0.90以上となる処理条件で行うことが好ましく、当該比が0.95以上となる処理条件で行うことがより好ましく、0.99以上となる処理条件で行うことがさらに好ましい。
色度は、EBC(European Brewery Convention)のAnalytica−EBC標準法、又はこれに準じた方法により測定できる。EBCとは、ビールの分析での色度の単位で、ビールの色の濃淡を数値(EBC色度の9つのガラスディスクを持ったコンパレーターにより目視で測定する、若しくは波長430nmでの吸光度を基に算出する。)であらわしたものである。また、苦味価は、例えばEBC法(ビール酒造組合:「ビール分析法」8.15 1990年)により測定することができる。
本発明における活性炭処理としては、活性炭処理によって、特に、苦味成分のうちのイソα酸と、香気成分のうちのリナロール、β−シトロネロール、及びゲラニオールとが、いずれも過度に吸着除去されない条件で行うことが好ましい。例えば、活性炭処理前の溶液のイソα酸含有量に対する、活性炭処理後の溶液のイソα酸含有量の比([活性炭処理後の溶液のイソα酸濃度]/[活性炭処理前の溶液のイソα酸濃度])、活性炭処理前の溶液のリナロール含有量に対する、活性炭処理後の溶液のリナロール含有量の比([活性炭処理後の溶液のリナロール濃度]/[活性炭処理前の溶液のリナロール濃度])、活性炭処理前の溶液のβ−シトロネロール含有量に対する、活性炭処理後の溶液のβ−シトロネロール含有量の比([活性炭処理後の溶液のβ−シトロネロール濃度]/[活性炭処理前の溶液のβ−シトロネロール濃度])、及び活性炭処理前の溶液のゲラニオール含有量に対する、活性炭処理後の溶液のゲラニオール含有量の比([活性炭処理後の溶液のゲラニオール濃度]/[活性炭処理前の溶液のゲラニオール濃度])が、いずれも0.40以上となる処理条件で行うことが好ましい。中でも、[活性炭処理後の溶液のイソα酸濃度]/[活性炭処理前の溶液のイソα酸濃度]が、0.80以上となる処理条件で行うことが好ましく、0.90以上となる処理条件で行うことがより好ましく、0.99以上となる処理条件で行うことがさらに好ましい。また、[活性炭処理後の溶液のリナロール濃度]/[活性炭処理前の溶液のリナロール濃度]が0.70以上、[活性炭処理後の溶液のβ−シトロネロール濃度]/[活性炭処理前の溶液のβ−シトロネロール濃度]が0.50以上、[活性炭処理後の溶液のゲラニオール濃度]/[活性炭処理前の溶液のゲラニオール濃度]が0.40以上となる処理条件で行うことが好ましい。
本発明における活性炭処理としては、活性炭処理によって、特に、不快な臭気成分のうちの硫化水素とβ−フェネチルアルコールが、いずれも充分に吸着除去される条件で行うことが好ましい。例えば、活性炭処理前の溶液の硫化水素含有量に対する、活性炭処理後の溶液の硫化水素含有量の比([活性炭処理後の溶液の硫化水素濃度]/[活性炭処理前の溶液の硫化水素濃度])、及び活性炭処理前の溶液のβ−フェネチルアルコール含有量に対する、活性炭処理後の溶液のβ−フェネチルアルコール含有量の比([活性炭処理後の溶液のβ−フェネチルアルコール濃度]/[活性炭処理前の溶液のβ−フェネチルアルコール濃度])が、いずれも0.60以下となる処理条件で行うことが好ましい。中でも、[活性炭処理後の溶液の硫化水素濃度]/[活性炭処理前の溶液の硫化水素濃度]が0.55以下、[活性炭処理後の溶液のβ−フェネチルアルコール濃度]/[活性炭処理前の溶液のβ−フェネチルアルコール濃度]が0.50以下となる処理条件で行うことが好ましい。
このように、平均細孔径が1.0nm未満の活性炭は、イソα酸、リナロール、β−シトロネロール、及びゲラニオールに対する吸着除去率が低く、プリン体、β−フェネチルアルコールと硫化水素の吸着除去率は高い。そこで、本発明に係るビール様発泡性飲料の製造方法により、イソα酸、リナロール、β−シトロネロール、及びゲラニオールの含有量は充分であるが、プリン体、β−フェネチルアルコール、及び硫化水素の含有量が低く、プリン体含有量が低いにもかかわらず、苦味と香気のバランスがとれたビール様発泡性飲料が製造できる。例えば、最終飲料中のプリン体濃度が0.4mg/100mL以下であり、イソα酸含有量が10〜20ppmであり、リナロール含有量が15〜30ppbであり、β−シトロネロール含有量が1.5〜6ppbであり、ゲラニオール含有量が1.0〜5.0ppbであり、β−フェネチルアルコール含有量が5.0〜15ppmであり、かつ硫化水素濃度が3ppb以下であるビール様発泡性飲料を製造できる。
本発明に係るビール様発泡性飲料の製造方法は、原料仕込工程以降の溶液に対して活性炭処理を行う以外は、一般的なビール様発泡性飲料と同様にして製造できる。一般的なビール様発泡性飲料の製造工程を下記に示す。酵母による発酵工程を経て製造される場合と、発酵工程を経ずに製造される場合を、それぞれ分けて示す。
酵母による発酵工程を経て発酵ビール様発泡性飲料を製造する場合には、まず、原料仕込工程として、穀物原料及び糖質原料からなる群より選択される1種以上から発酵原料液を調製する。具体的には、まず、穀物原料と糖質原料の少なくともいずれかと原料水とを含む混合物を調製して加温し、穀物原料等の澱粉質を糖化させる。当該混合物には、穀物原料等と水以外の副原料を加えてもよい。当該副原料としては、例えば、ホップ、食物繊維、酵母エキス、甘味料、果汁、苦味料、着色料、香草、香料等が挙げられる。また、必要に応じて、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ等の糖化酵素やプロテアーゼ等の酵素剤を添加することができる。
糖化処理は、穀物原料等由来の酵素や、別途添加した酵素を利用して行う。糖化処理時の温度や時間は、用いた穀物原料等の種類、発酵原料全体に占める穀物原料の割合、添加した酵素の種類や混合物の量、目的とする発酵ビール様発泡性飲料の品質等を考慮して、適宜調整される。例えば、糖化処理は、穀物原料等を含む混合物を35〜70℃で20〜90分間保持する等、常法により行うことができる。
糖化処理後に得られた糖液を煮沸することにより、煮汁(糖液の煮沸物)を調製することができる。糖液は、煮沸処理前に濾過し、得られた濾液を煮沸処理することが好ましい。また、この糖液の濾液に替わりに、麦芽エキスに温水を加えたものを用い、これを煮沸してもよい。煮沸方法及びその条件は、適宜決定することができる。
煮沸処理前又は煮沸処理中に、香草等を適宜添加することにより、所望の香味を有する発酵ビール様発泡性飲料を製造することができる。特にホップは、煮沸処理前又は煮沸処理中に添加することが好ましい。ホップの存在下で煮沸処理することにより、ホップの風味・香気成分を効率よく煮出することができる。ホップの添加量、添加態様(例えば数回に分けて添加するなど)及び煮沸条件は、適宜決定することができる。
原料仕込工程後、発酵工程前に、調製された煮汁から、沈殿により生じたタンパク質等の粕を除去することが好ましい。粕の除去は、いずれの固液分離処理で行ってもよいが、一般的には、ワールプールと呼ばれる槽を用いて沈殿物を除去する。この際の煮汁の温度は、15℃以上であればよく、一般的には50〜80℃程度で行われる。粕を除去した後の煮汁(濾液)は、プレートクーラー等により適切な発酵温度まで冷却する。この粕を除去した後の煮汁が、発酵原料液となる。
次いで、発酵工程として、冷却した発酵原料液に酵母を接種して、発酵を行う。冷却した発酵原料液は、そのまま発酵工程に供してもよく、所望のエキス濃度に調整した後に発酵工程に供してもよい。発酵に用いる酵母は特に限定されるものではなく、通常、酒類の製造に用いられる酵母の中から適宜選択して用いることができる。上面発酵酵母であってもよく、下面発酵酵母であってもよいが、大型醸造設備への適用が容易であることから、下面発酵酵母であることが好ましい。
発酵工程におけるアルコール発酵を抑制することにより、発酵により生成されるアルコール量がより低減される。したがって、特に、アルコール濃度が1容量%未満の発酵ビール様発泡性飲料を製造する場合には、発酵工程における発酵度を下げることも好ましい。
さらに、貯酒工程として、得られた発酵液を、貯酒タンク中で熟成させ、0℃程度の低温条件下で貯蔵し安定化させた後、濾過工程として、熟成後の発酵液を濾過することにより、酵母及び当該温度域で不溶なタンパク質等を除去して、目的の発酵ビール様発泡性飲料を得ることができる。当該濾過処理は、酵母を濾過除去可能な手法であればよく、例えば、珪藻土濾過、平均孔径が4〜5μm程度のフィルターによるフィルター濾過等が挙げられる。また、所望のアルコール濃度とするために、濾過前又は濾過後に適量の加水を行って希釈してもよい。得られた発酵ビール様発泡性飲料は、通常、充填工程により瓶詰めされて、製品として出荷される。
その他、酵母による発酵工程以降の工程において、例えばアルコール含有蒸留液と混和することにより、酒税法におけるリキュール類に相当する発酵ビール様発泡性飲料を製造することができる。アルコール含有蒸留液の添加は、アルコール濃度の調整のための加水前であってもよく、加水後であってもよい。添加するアルコール含有蒸留液は、より好ましい麦感を有する発酵ビール様発泡性飲料を製造し得ることから、麦スピリッツが好ましい。
発酵ビール様発泡性飲料を製造する場合、活性炭処理は、原料仕込工程後、発酵工程前の発酵原料液に対して行ってもよく、発酵工程後の発酵液に対して行ってもよい。発酵工程で生じた不快な臭気成分も吸着除去可能なため、本発明においては、発酵工程後の発酵液に対して活性炭処理を行うことが好ましい。活性炭処理は、発酵工程後、貯酒工程前の発酵液に対して行ってもよく、貯酒工程後の発酵液に対して行ってもよい。
酵母による発酵工程を経ずに非発酵ビール様発泡性飲料を製造する場合には、例えば、各原料を混合する方法(調合法)によって製造できる。具体的には、液体及び固体の原料を混合することにより、調合液を調製する原料仕込工程と、前記原料仕込工程により得られた調合液に炭酸ガスを加える炭酸ガス導入工程とにより製造できる。
まず、原料仕込工程において、液体及び固体の原料を混合することにより、調合液を調製する。各原料を混合する順番は特に限定されるものではない。原料水に、全ての原料を同時に添加してもよく、先に添加した原料を溶解させた後に残る原料を添加する等、順次原料を添加してもよい。また、例えば、原料水に、固形(例えば粉末状や顆粒状)の原料(例えば、苦味物質、酸味料、起泡剤、着色料、甘味成分、香味料等)、及び必要に応じてアルコールを混合してもよく、固形原料を予め水溶液としておき、これらの水溶液、及びアルコール、必要に応じて原料水を混合してもよい。
原料仕込工程において調製された調合液に、不溶物が生じた場合には、炭酸ガス導入工程の前に、当該調合液に対して濾過等の不溶物を除去する処理を行うことが好ましい。不溶物除去処理は、特に限定されるものではなく、濾過法、遠心分離法等の当該技術分野で通常用いられている方法で行うことができる。本発明においては、不溶物は濾過除去することが好ましく、珪藻土濾過により除去することがより好ましい。
次いで、炭酸ガス導入工程として、原料仕込工程により得られた調合液に炭酸ガスを加える。これにより、非発酵ビール様発泡性飲料を得る。炭酸を加えることによって、ビールと同様の爽快感が付与される。なお、炭酸ガスの添加は、常法により行うことができる。例えば、原料仕込工程により得られた調合液、及び炭酸水を混合してよく、原料仕込工程により得られた調合液に炭酸ガスを直接加えて溶け込ませてもよい。
炭酸ガスを添加した後、得られた非発酵ビール様発泡性飲料に対して、さらに濾過等の不溶物を除去する処理を行ってもよい。不溶物除去処理は、特に限定されるものではなく、当該技術分野で通常用いられている方法で行うことができる。
非発酵ビール様発泡性飲料を製造する場合、活性炭処理は、原料仕込工程後、炭酸ガス導入工程前に、炭酸ガス導入前の原料調合液に対して行ってもよく、炭酸ガス導入工程後、炭酸ガス導入後の原料調合液に対して行ってもよい。
本発明における活性炭処理において、処理対象となる溶液に接触させる活性炭の量は、例えば、溶液中の活性炭濃度が0.05〜1質量%となる量が好ましく、0.1〜0.5質量%となる量がより好ましく、0.2〜0.4質量%となる量がさらに好ましい。活性炭の形状が粉末状又は粒子状の場合には、処理対象となる溶液に活性炭を直接添加して混合することによって活性炭処理を行うことができる。例えば、処理対象となる溶液に対して、平均細孔径1.0nm未満の活性炭を100〜1000ppmとなるように添加することにより、溶液全体に活性炭が充分に分散し、プリン体や硫化水素等を効率よく吸着除去することができる。活性炭処理後には、濾過処理等の固液分離処理を行うことにより、当該溶液から活性炭を分離除去する。
本発明における活性炭処理としては、濾過処理と同時に行うことが好ましい。例えば、表面に予め活性炭をコートしておいた濾過材を用いて濾過処理を行うことができる。本発明における活性炭処理としては、キャンドルフィルター等のフィルターに予め珪藻土及び活性炭をプリコートしたものを用いることが好ましい。活性炭がプリコートされた珪藻土フィルターを用いることにより、プリン体や硫化水素等の除去効率を高めることができ、かつ濾過開始時から安定した除去率を達成することができる。フィルターにプリコートされる前記活性炭の量は、フィルターの濾過表面積を基準として、0.1〜2kg/mであり、好ましくは0.2〜1kg/m、より好ましくは0.3〜0.8kg/mである。また、フィルターにプリコートされる珪藻土の量は、通常濾過時に使用する量に準じ、1.5〜3.0kg/m程度が好ましい。
なお、本発明及び本願明細書において、プリン体とは、アデニン、キサンチン、グアニン、ヒポキサンチンのプリン体塩基4種の総量を指す。ビール様発泡性飲料中のプリン体含有量は、例えば、過塩素酸による加水分解後にLC−MS/MSを用いて検出する方法(「酒類のプリン体の微量分析のご案内」、財団法人日本食品分析センター、インターネット<URL: http://www.jfrl.or.jp/item/nutrition/post-31.html>、平成25年1月検索)により測定することができる。
ビール様発泡性飲料を平均細孔径が1.0nm未満の活性炭を用いた活性炭処理することにより、処理前と比較して、よりすっきりとした味となる。特に、麦芽を原料とした場合には、本発明に係るビール様発泡性飲料の製造方法により、麦臭さが少なく、軽快で飲み易い上に、香味バランスもよいビール様発泡性飲料が製造できる。従来、すっきりとした発酵ビール様発泡性飲料を製造するためには、製造された発酵ビール様発泡性飲料を水で薄めたり、エキス分の低い麦汁を発酵させる必要があったが、これらの方法で得られた発酵ビール様発泡性飲料は、すっきりとしているものの、全体として味が薄く、香味が乏しくなる。味の薄さをカバーするため、別途香料を添加することもあるが、香料を別添した発酵ビール様発泡性飲料では、味のバランスが崩れてしまう場合が多い。これに対して、エキス分が充分量である発酵原料液を発酵させた後、平均細孔径が1.0nm未満の活性炭を用いた活性炭処理を行うことによって、香味のバランスがよく、かつすっきりとした軽快なビール様発泡性飲料を製造することができる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
平均細孔径の異なる3種類の活性炭を用いてビール様発泡性飲料を活性炭処理し、苦味価、色度、及びプリン体濃度に対する活性炭処理の影響を調べた。
まず、苦味価が26.0EBC B.U.、色度が16.0 EBC、プリン体濃度が0.676mg/100mLのビール様発泡性飲料500mLに対して、平均細孔径0.4nmの活性炭(A社製)、平均細孔径1.84nmの活性炭(B社製)、又は平均細孔径3.37nmの活性炭(C社製)を、室温にて1000 ppm(500mg)混合した後、20分間攪拌した。その後、0.45μmフィルター(ADVANTEC社製)を用いて濾過処理を行うことにより、ビール様発泡性飲料から活性炭を除去した。
活性炭後のビール様発泡性飲料の苦味価、色度、及びプリン体濃度を測定した。
苦味価は、EBC法に準じて測定した。
プリン体濃度は、過塩素酸による加水分解後にLC−MS/MSを用いた方法(日本食品分析センター:「酒類のプリン体の微量分析のご案内」)により測定した。当該測定方法においては、アデニン、グアニン、キサンチン、及びヒポキサンチンのそれぞれについての定量限界値は、0.02mg/100mLであった。
色度は、各飲料の430nmの吸光度を測定し、測定値から下記式(2)により色度(°EBC)を算出した。式(2)中、「C」は色度(EBC単位)を、「F」は希釈率を、「A430」は430nmの吸光度を、それぞれ意味する。式(2)中の「25」は、EBC色度に換算するためのファクターである。
式(2): C =25×F×A430
測定結果に基づき、除去率{([活性炭処理前のビール様発泡性飲料の測定値]−[活性炭処理後のビール様発泡性飲料の測定値])/[活性炭処理前のビール様発泡性飲料の測定値]}、「[総プリン体除去率(%)]/[苦味価除去率(%)]」、及び「[総プリン体除去率(%)]/[色度除去率(%)]」を算出した。算出結果を表1に示す。平均細孔径1.84nmの活性炭で処理したサンプル1−2及び平均細孔径3.37nmの活性炭で処理したサンプル1−3に対し、平均細孔径0.4nmの活性炭で処理したサンプル1−1では、「総プリン体除去率」は同程度であるにもかかわらず、「苦味価除去率」及び「色度除去率」は低い値を示していた。これらの結果から、平均細孔径0.4nmの活性炭で処理した場合には、苦味成分や色素成分の吸着除去量が少ないことが示された。
Figure 2016170814
[実施例2]
平均細孔径の異なる5種類の活性炭を用いて、ビール様発泡性飲料を活性炭処理し、苦味価、色度、及びプリン体濃度に対する活性炭処理の影響を調べた。
まず、苦味価が16.0EBC B.U.、色度が7.6EBC、プリン体が0.450mg/100mLのビール様発泡性飲料500mLに対して、平均細孔径0.2nmの活性炭(A社製)、平均細孔径0.31nmの活性炭(A社製)、実施例1で用いた平均細孔径0.4nmの活性炭(A社製)、平均細孔径0.57nmの活性炭(A社製)、又は実施例1で用いた平均細孔径1.84nmの活性炭(B社製)を、室温にて1000 ppm(500mg)混合した後、20分間攪拌した。その後、0.45μmフィルター(ADVANTEC社製)を用いて濾過処理を行うことにより、ビール様発泡性飲料から活性炭を除去した。
実施例1と同様にして、活性炭後のビール様発泡性飲料の苦味価、色度、及びプリン体濃度を測定し、除去率、「[総プリン体除去率(%)]/[苦味価除去率(%)]」、及び「[総プリン体除去率(%)]/[色度除去率(%)]」を算出した。算出結果を表2に示す。平均細孔径0.2nmの活性炭の活性炭で処理したサンプル2−1、平均細孔径0.31nmの活性炭の活性炭で処理したサンプル2−2、平均細孔径0.4nmの活性炭の活性炭で処理したサンプル2−3、及び平均細孔径0.57nmの活性炭の活性炭で処理したサンプル2−4の「[総プリン体除去率(%)]/[苦味価除去率(%)]」、及び「[総プリン体除去率(%)]/[色度除去率(%)]」は、いずれも、平均細孔径1.84nmの活性炭で処理したサンプル2−5よりも高い値を示していた。すなわち、平均細孔径1.0nm未満の活性炭で処理したサンプルでは、平均細孔径1.0nm以上の活性炭で処理したサンプルに比べて、苦味価成分と色度成分に対してプリン体を選択的に除去することが示された。加えて、サンプル2−4に比べて、サンプル2−1〜2−3の方が、「[総プリン体除去率(%)]/[苦味価除去率(%)]」及び「[総プリン体除去率(%)]/[色度除去率(%)]」のいずれもより高い値を示していたことから、当該効果は、平均細孔径0.5nm未満の活性炭で処理する方が好ましいことが示唆された。
Figure 2016170814
[実施例3]
平均細孔径の異なる2種類の活性炭を用いて、ビール様発泡性飲料を活性炭処理し、苦味価、色度、及びプリン体濃度に対する活性炭処理の影響を調べた。
まず、苦味価が26.0EBC B.U.、色度が9.2EBC、プリン体が11.7mg/100mLのビール様発泡性飲料500mLに対して、実施例1で用いた平均細孔径0.4nmの活性炭(A社製)又は実施例1で用いた平均細孔径1.84nmの活性炭(B社製)を、室温にて1000 ppm(500mg)混合した後、20分間攪拌した。その後、0.45μmフィルター(ADVANTEC社製)を用いて濾過処理を行うことにより、ビール様発泡性飲料から活性炭を除去した。
実施例1と同様にして、活性炭後のビール様発泡性飲料の苦味価、色度、及びプリン体濃度を測定し、除去率、「[総プリン体除去率(%)]/[苦味価除去率(%)]」、及び「[総プリン体除去率(%)]/[色度除去率(%)]」を算出した。算出結果を表3に示す。平均細孔径0.4nmの活性炭の活性炭で処理したサンプル3−1の「[総プリン体除去率(%)]/[苦味価除去率(%)]」、及び「[総プリン体除去率(%)]/[色度除去率(%)]」は、平均細孔径1.84nmの活性炭で処理したサンプル3−2よりも高い値を示していた。すなわち、平均細孔径1.0nm未満の活性炭で処理したサンプルでは、平均細孔径1.0nm以上の活性炭で処理したサンプルに比べて、苦味価や色度が高く、総プリン体を比較的多く含有するビール様発泡性飲料においても、苦味価成分・色度成分に対してプリン体を選択的に除去することが示された。
Figure 2016170814
[実施例4]
実施例1で用いた平均細孔径0.4nmの活性炭(A社製)及び平均細孔径1.84nmの活性炭(B社製)を用いてビール様発泡性飲料を活性炭処理し、各種成分濃度に対する活性炭処理の影響を調べた。
まず、苦味価が14.5EBC B.U.、リナロール濃度が31.7ppb、β−シトロネロール濃度が5.2ppb、ゲラニオール濃度が4.4ppb、β−フェネチルアルコール濃度が11.0ppm、硫化水素濃度が4.9ppbのビール様発泡性飲料120Lに対して、活性炭を、0℃にて200ppm(24g)混合した後、濾過により活性炭を除去した。
活性炭後のビール様発泡性飲料のイソα酸濃度、リナロール濃度、β−シトロネロール濃度、ゲラニオール濃度、β−フェネチルアルコール濃度、硫化水素濃度、及びプリン体濃度を測定した。プリン体濃度は、実施例1と同等にして測定した。
リナロール、β−シトロネロール、及びゲラニオールの濃度は、攪拌枝吸着抽出法(SBSE法:Stir Bar Sorptive Extraction)を用いて測定した。詳細には、測定対象であるビール様発泡性飲料(試料)に、内部標準としてβダマスコンを0.1ppbになるように添加した後に5倍希釈し、希釈サンプル20mLを30mL容バイアルに採取した。47μLのPDMS(ポリジメチルシロキサン)でコーティングした攪拌枝(長さ=20mm;Twister(商品名);Gerstel社製,Germany)を当該バイアルに入れ、蓋を締め、40℃で2時間攪拌し、攪拌枝に各香気成分を吸着させた。次いで、攪拌枝をバイアルから取り出し、水滴を完全に除去後、加熱脱着ユニット(Thermal desorption unit(TDU);Gerstel社製)とプログラマブル温度−蒸発インレット(Programmable temperature−vaporization inlet;CIS4;Gerstel社製)を装備したGC−MSに挿入した。GC−MS条件は、以下の通りである。
装置:ガスクロマトグラフ装置6890(Agilent Technologies社製)
検出器:MSD5973N四重極マススペクトル(Agilent Technologies社製)
カラム:DB−WAX capillary column(長さ:60m、内径:0.25mm、膜厚:0.25μm、Agilent Technologies社製)
注入口:250℃ パルス化スプリットレスインジェクションモード(pulsed splitless injection mode)
注入量:1μL
キャリアガス:ヘリウム(1mL/分)
カラム温度設定:40℃(5分間保持)−(3℃/分)−240℃(20分間)
質量−電荷比(mass−to−charge ratio):30〜350(m/z)
イオン化条件:70eV、シングルイオン−モニタリングモード(single ion−monitoring(SIM) mode)
定量方法:各香気成分のピークエリア面積と内部標準品のピークエリア面積との比較によって行った。
β-フェネチルアルコールは、ビール様発泡性飲料に所定量の塩化ナトリウムを入れ、塩酸存在下でクロロホルムに成分を抽出し、FID検出器付きのガスクロマトグラフで分析した。
イソα酸の分析は、Analytica−EBC(1987),Method 9.6の方法に従い、HPLCにて測定した。
硫化水素の分析は、まず、ビール様発泡性飲料を一定量採取し、スターラーバーの入ったバイアル瓶に入れ、塩化ナトリウム所定量を加えた後、3N塩酸、内部標準液(硫化エチルメチル10mg/mL)を所定量加えて、アルミキャップで密栓した。次いで、室温10分間でスターラーバーを回転させて塩化ナトリウムを溶解させた後、ヘッドスペースGC−FPDによって、内部標準比からビール様発泡性飲料中の溶存硫化水素濃度を定量することによって行った。
測定結果に基づき、活性炭処理前のビール様発泡性飲料の測定値に対する、活性炭処理後のビール様発泡性飲料の測定値の比([活性炭処理後のビール様発泡性飲料の測定値]/[活性炭処理前のビール様発泡性飲料の測定値])を算出した。算出結果をプリン体濃度と共に表4に示す。表4中、「イソα酸活性炭処理後質量比」は、[活性炭処理後のビール様発泡性飲料のイソα酸濃度]/[活性炭処理前のビール様発泡性飲料のイソα酸濃度]を意味し、「リナロール活性炭処理後質量比」は、[活性炭処理後のビール様発泡性飲料のリナロール濃度]/[活性炭処理前のビール様発泡性飲料のリナロール濃度]を意味し、「β−シトロネロール活性炭処理後質量比」は、[活性炭処理後のビール様発泡性飲料のβ−シトロネロール濃度]/[活性炭処理前のビール様発泡性飲料のβ−シトロネロール濃度]を意味し、「ゲラニオール活性炭処理後質量比」は、[活性炭処理後のビール様発泡性飲料のゲラニオール濃度]/[活性炭処理前のビール様発泡性飲料のゲラニオール濃度]を意味し、「β−フェネチルアルコール活性炭処理後質量比」は、[活性炭処理後のビール様発泡性飲料のβ−フェネチルアルコール濃度]/[活性炭処理前のビール様発泡性飲料のβ−フェネチルアルコール濃度]を意味し、「硫化水素活性炭処理後質量比」は、[活性炭処理後のビール様発泡性飲料の硫化水素濃度]/[活性炭処理前のビール様発泡性飲料の硫化水素濃度]を意味する。
Figure 2016170814
平均細孔径1.84nmの活性炭で処理したサンプル4−2に対し、平均細孔径0.4nmの活性炭で処理したサンプル4−1では、プリン体濃度はほぼ同等であったものの、苦味価、リナロール、β−シトロネロール、及びゲラニオールの活性炭処理後質量比が高かったのに対して、β−フェネチルアルコールや硫化水素では活性炭処理後質量比は低い値を示していた。これらの結果から、平均細孔径0.4nmの活性炭で処理した場合には、イソα酸に代表されるような苦味や、リナロール・β−シトロネロール・ゲラニオールといったホップ香気をバランス良く残しながらも、硫化水素のような不快臭や高級アルコール成分であるβ−フェネチルアルコールを低減できることが示唆された。
[実施例5]
実施例4で調製したサンプル4−1及び4−2について、8名の専門パネルによる官能評価を行った。官能評価は、具体的には、「すっきりと飲みやすいながらも、ホップ由来の香りがあって飲みごたえもある」ことを本製品の‘ビールらしさ’の評点とし、最も「ビールらしい」ビールの評点を3.0と定義し、各サンプルのビールらしさを評価した。実施例4で用いたビール様発泡性飲料(苦味価が14.5EBC B.U.、リナロール濃度が31.7ppb、β−シトロネロール濃度が5.2ppb、ゲラニオール濃度が4.4ppb、β−フェネチルアルコール濃度が11.0ppm、硫化水素濃度が4.9ppbのビール様発泡性飲料)120Lに対して、活性炭を混合せずに濾過により活性炭を除去したものを、サンプル4−3とし、対照として同様に評価した。
官能評価の結果を表5に示す。活性炭処理を行っていないサンプル4−3に対し、活性炭処理を行ったサンプル4−1及び4−2は‘ビールらしさ’の評点が低くなったが、サンプル4−1のほうが、サンプル4−2よりも‘ビールらしさ’の評点が高く保たれていた。すなわち、活性炭処理によりビールらしさは損なわれる傾向にあるものの、平均細孔径1.0nm未満の活性炭を使用することにより、平均細孔径1.0nm以上の活性炭を使用するよりも、‘ビールらしさ’が損なわれるのを抑制することができることが示唆された。
Figure 2016170814
[実施例6]
実施例4で調製したサンプル4−1及び4−2について、濾過により活性炭を除去した後、37℃で1週間保存した後に、8名の専門パネルによる官能評価を行った。官能評価は、具体的には、飲用時に感じた印象を、自由にコメントする形式で行った。各サンプルについてなされたコメントと、当該コメントを行った専門パネルの人数を表6に示す。
Figure 2016170814
平均細孔径1.84nmの活性炭を使用したサンプル4−2に対し、平均細孔径0.4nmの活性炭を使用したサンプル4−1では、「老化」や「カードボード」のコメントが少なく、「穀物」・「ヨーグルト」・「ラズベリー」のような雑味の指摘が無かった。加えて、サンプル4−1では、サンプル4−2に対し、「軽快」や「すっきり」のコメントが増加していた。すなわち、平均細孔径1.0nm未満の活性炭を使用した場合には、平均細孔径1.0nm以上の活性炭を使用した場合に比べて、ビール様発泡性飲料の保存による劣化を抑制しつつ、軽快ですっきりした味感を維持できることが示唆された。

Claims (8)

  1. 原料仕込工程以降の溶液に対して、平均細孔径1.0nm未満の活性炭に接触させる活性炭処理を行う、ビール様発泡性飲料の製造方法。
  2. 前記ビール様発泡性飲料が発酵工程を経て製造される発酵ビール様発泡性飲料であり、
    前記溶液が、発酵工程後の発酵液である、請求項1に記載のビール様発泡性飲料の製造方法。
  3. 前記ビール様発泡性飲料が、原料を調合した後、得られた原料調合液に炭酸ガスを導入して製造される非発酵ビール様発泡性飲料であり、
    前記溶液が、炭酸ガス導入前又は導入後の原料調合液である、請求項1に記載のビール様発泡性飲料の製造方法。
  4. 前記活性炭処理前の溶液の苦味価に対する、前記活性炭処理後の溶液の苦味価の比が、0.70以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のビール様発泡性飲料の製造方法。
  5. 前記活性炭処理前の溶液のイソα酸含有量に対する、前記活性炭処理後の溶液のイソα酸含有量の比、
    前記活性炭処理前の溶液のリナロール含有量に対する、前記活性炭処理後の溶液のリナロール含有量の比、
    前記活性炭処理前の溶液のβ−シトロネロール含有量に対する、前記活性炭処理後の溶液のβ−シトロネロール含有量の比、及び
    前記活性炭処理前の溶液のゲラニオール含有量に対する、前記活性炭処理後の溶液のゲラニオール含有量の比、
    が、いずれも0.40以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のビール様発泡性飲料の製造方法。
  6. 前記活性炭処理前の溶液のβ−フェネチルアルコール含有量に対する、前記活性炭処理後の溶液のβ−フェネチルアルコール含有量の比、及び
    前記活性炭処理前の溶液の硫化水素含有量に対する、前記活性炭処理後の溶液の硫化水素含有量の比、
    が、いずれも0.60以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のビール様発泡性飲料の製造方法。
  7. 前記活性炭の平均細孔径が0.5nm未満である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のビール様発泡性飲料の製造方法。
  8. プリン体濃度が0.4mg/100mL以下であり、イソα酸含有量が10〜20ppmであり、リナロール含有量が15〜30ppbであり、β−シトロネロール含有量が1.5〜6ppbであり、ゲラニオール含有量が1.0〜5.0ppbであり、β−フェネチルアルコール含有量が5.0〜15ppmであり、硫化水素濃度が3ppb以下である、ビール様発泡性飲料。
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