JP6931272B2 - 蒸留酒類 - Google Patents

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Description

本発明は、蒸留酒類に関する。本発明はまた、焼酎、混和焼酎及び焼酎の製造方法にも関する。
蒸留酒は、原料である醸造酒等のアルコール含有物を蒸留することによって製造される。そして、蒸留酒の品質を決定づけるうえで、味わいや風味は非常に重要である。これまでにも、蒸留酒の製造においては、香味を改善するための様々な技術が開示されている。例えば、特許文献1では、麦を原料の一部に用いたアルコール含有物を、減圧かつ非加熱の条件下で蒸留する工程を含む、蒸留酒の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、麦類のみを実質的に主原料とし、バニリン含量がアルコール濃度25v/v%換算で0.2〜0.5mg/Lであり、かつ、フルフラール含量がアルコール濃度25v/v%換算で15mg/L以下であることを特徴とする麦焼酎が開示されている。
特開2014−200176号公報 特開2009−273401号公報
本発明は、香味の中でも特にフルーティーさ、発酵感及び麦焼酎らしさが優れた蒸留酒類を提供することを目的とする。
本発明は、酢酸エチル濃度が8mg/L以上125mg/L以下であり、アセトアルデヒド濃度が0mg/L超12mg/L以下であり、かつ、バニリン濃度が0.5μg/L以上40μg/L以下である、蒸留酒類を提供する。
本発明に係る蒸留酒類は、酢酸エチル、アセトアルデヒド及びバニリンを特定濃度で含有するため、フルーティーさ、発酵感及び麦焼酎らしさ(穀物的な香り等の麦焼酎独特の風味)が優れている。
本発明に係る蒸留酒類は、原料の少なくとも一部に麦を用いたものであることが好ましい。これにより、フルーティーさ、発酵感及び麦焼酎らしさがより優れたものとなる。
本発明に係る蒸留酒類は、焼酎であることが好ましく、麦焼酎であることがより好ましい。蒸留酒類が焼酎(特に、麦焼酎)であることにより、フルーティーさ、発酵感及び麦焼酎らしさがより一層優れたものとなる。
本発明はまた、本発明に係る焼酎又は麦焼酎を含む、混和焼酎を提供する。
本発明に係る混和焼酎は、本発明に係る焼酎又は麦焼酎を含むため、フルーティーさ、発酵感及び麦焼酎らしさに優れると共に、更に味の切れが優れている。
上記混和焼酎は、甲乙混和焼酎であってもよい。
本発明は更に、少なくとも一次発酵工程、二次発酵工程及び蒸留工程を備える、本発明に係る焼酎又は麦焼酎の製造方法であって、二次発酵工程でのもろみ最高温度を28℃以上30℃以下にする、製造方法を提供する。
上記製造方法は、二次発酵工程のもろみ最高温度を所定温度範囲としているため、酢酸エチル、アセトアルデヒド及びバニリンを特定濃度で含有する本発明に係る焼酎又は麦焼酎を製造することができる。
上記製造方法は、更に一次発酵工程でのもろみ最高温度を28℃以上30℃以下にすることが好ましい。
上記製造方法は、原料の少なくとも一部に麦が用いられるものであってもよい。
本発明によれば、香味の中でも特にフルーティーさ、発酵感及び麦焼酎らしさが優れた蒸留酒類を提供することができる。
また、本発明によれば、フルーティーさ、発酵感及び麦焼酎らしさが優れると共に、更に味の切れが優れた混和焼酎を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
〔蒸留酒類〕
本明細書において、蒸留酒類には、蒸留酒及び蒸留酒と糖類その他の物品(酒類を含む。)を原料とした酒類が含まれる。本明細書において、蒸留酒には、焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール及びスピリッツが含まれる。本明細書において、蒸留酒と糖類その他の物品(酒類を含む。)を原料とした酒類には、リキュールが含まれる。また、本明細書においてアルコールとは、特に言及しない限りエタノールを意味する。
焼酎には、単式蒸留焼酎及び連続式蒸留焼酎、並びに単式蒸留焼酎と連続式蒸留焼酎とを混和した混和焼酎が含まれる。
本明細書において、「単式蒸留焼酎」とは、酒税法(平成二七年六月二四日法律第四五号)に定義される「単式蒸留しようちゆう」と同義である。本明細書において、単式蒸留焼酎を乙類焼酎とも呼ぶことがある。単式蒸留焼酎は、原料由来の独特の風味を有する。
本明細書において、「連続式蒸留焼酎」とは、酒税法(平成二七年六月二四日法律第四五号)に定義される「連続式蒸留しようちゆう」と同義である。本明細書において、連続式蒸留焼酎を甲類焼酎と呼ぶことがある。連続式蒸留焼酎は、単式蒸留焼酎と比較し、独特な風味は減少するが、連続蒸留機を用いて製造することから大量生産に適しているため、比較的安価である。
本明細書において、「混和焼酎」とは、単式蒸留焼酎と連続式蒸留焼酎とを混和したものである。混和焼酎は、「単式蒸留焼酎」又は「連続式蒸留焼酎」に含まれる概念でもある。混和焼酎における、単式蒸留焼酎の混和割合は特に制限されるものではなく、0%超かつ100%未満のいずれであってもよい。また、本明細書において、単式蒸留焼酎の混和割合が0%超かつ50%未満である混和焼酎を特に「甲乙混和焼酎」と呼び、単式蒸留焼酎の混和割合が50%以上100%未満である混和焼酎を特に「乙甲混和焼酎」と呼ぶ。なお、「単式蒸留焼酎の混和割合」とは、混和焼酎の全アルコール量に占める単式蒸留焼酎のアルコール量の割合である。
本明細書において、「ウイスキー」、「ブランデー」、「原料用アルコール」及び「スピリッツ」とは、酒税法(平成二七年六月二四日法律第四五号)に定義される「ウイスキー」、「ブランデー」、「原料用アルコール」及び「スピリッツ」とそれぞれ同義である。
本明細書において、「リキュール」とは、蒸留酒をベースにすることの他は、酒税法(平成二七年六月二四日法律第四五号)に定義される「リキュール」と同義である。
本明細書において、「麦」とは、通常の蒸留酒類の原料として用いられる麦又は麦由来の加工品のことをいい、例えば、麦芽、大麦、精白大麦、大麦エキス、大麦フレーク、小麦、ハト麦、ライ麦、エン麦等をあげることができる。
本明細書において、「麦焼酎」とは、麦を主原料(掛原料)として用いて製造された焼酎のことをいう。
本実施形態に係る蒸留酒類は、酢酸エチルを8mg/L以上125mg/L以下、アセトアルデヒドを0mg/L超12mg/L以下、及びバニリンを0.5μg/L以上40μg/L以下の濃度で含有する。本明細書において、蒸留酒類中の酢酸エチル、アセトアルデヒド及びバニリンの濃度は、アルコール濃度25v/v%換算での濃度を意味する。
酢酸エチルは、エステル成分であり、フルーティーな香気に寄与するとされる香気成分である。また、アセトアルデヒドは、刺激臭を有する香気成分である。そして、バニリンは、ウイスキー様の香味特徴を有する香気成分である。本実施形態に係る蒸留酒類は、これら3成分を特定濃度で含むことにより、フルーティーさ、発酵感及び麦焼酎らしさが優れるという予想外の効果が得られる。
本実施形態に係る蒸留酒類は、酢酸エチル濃度が8mg/L以上125mg/L以下であればよく、70mg/L以上125mg/L以下であることが好ましく、70mg/L以上105mg/L以下であることがより好ましく、75mg/L以上95mg/L以下であることが更に好ましい。
本実施形態に係る蒸留酒類は、アセトアルデヒド濃度が0mg/L超12mg/L以下であればよく、0.5mg/L以上12mg/L以下であることが好ましく、5mg/L以上12mg/L以下であることがより好ましく、5mg/L以上10mg/L以下であることが更に好ましい。
本実施形態に係る蒸留酒類は、バニリン濃度が0.5μg/L以上40μg/L以下であればよく、1μg/L以上40μg/L以下であることが好ましく、1μg/L以上10μg/L以下であることがより好ましく、1μg/L以上5μg/L以下であることが更に好ましい。
本実施形態に係る蒸留酒類は、バニリン濃度に対する酢酸エチル濃度の比率(酢酸エチル濃度/バニリン濃度)が、22000以上100000以下であることが好ましい。これにより、飲料としてより適したものとなる。上記比率は、25000以上95000以下であることがより好ましく、28000以上90000以下であることが更に好ましく、30000以上85000以下であることが更により好ましい。
本実施形態に係る蒸留酒類は、例えば、常法に従って製造された蒸留酒類に対し、酢酸エチル、アセトアルデヒド及びバニリンを添加する等によって、これらの濃度が上述した範囲内に入るように調整することにより製造することができる。また、本実施形態に係る蒸留酒類が焼酎である場合、後述するように、発酵工程でのもろみ最高温度を所定温度に制御することによっても製造することができる。
本実施形態に係る蒸留酒類は、原料の少なくとも一部に麦を用いたものであることが好ましい。これにより、フルーティーさ、発酵感及び麦焼酎らしさがより優れたものとなる。
本実施形態に係る蒸留酒類は、その他の副材料として、酸化防止剤、着色料、炭酸ガス等を含んでもよい。
本実施形態に係る蒸留酒類は、容器詰めされて提供されてもよい。容器としては、アルコール飲料に用いられる公知のものを用いることができ、例えば、缶、ビン、ペットボトル等のプラスチック容器、紙容器、パウチ容器等が挙げられる。
〔焼酎の製造方法〕
本実施形態に係る蒸留酒類が焼酎である場合の一実施形態に係る製造方法を説明する。
本実施形態に係る製造方法は、少なくとも一次発酵工程、二次発酵工程及び蒸留工程を備え、二次発酵工程でのもろみ最高温度を28℃以上30℃以下にするものである。本実施形態に係る製造方法は、二次発酵工程に加えて、更に一次発酵工程でのもろみ最高温度を28℃以上30℃以下にすることが好ましい。
なお、本明細書において、「もろみ最高温度を28℃以上30℃以下にする」とは、発酵工程におけるもろみの最高温度が28℃以上30℃以下に管理されることを意味するが、最高温度が完全に上記温度帯を外れないことを意味するものではない。例えば、若干の温度範囲(例えば、1℃以内、好ましくは0.5℃以内)で、若干の時間(例えば、24時間以内、好ましくは12時間以内、より好ましくは6時間以内)であれば、もろみ最高温度が上記温度帯を外れてもよい。
一次発酵工程は、一次もろみを製造するため、温度等を管理しながら麹原料等を発酵させる工程である。本実施形態に係る製造方法では、一次発酵工程は、例えば、もろみ最高温度を22℃以上30℃以下にすることができ、もろみ最高温度を28℃以上30℃以下にすることが好ましい。一次発酵工程における発酵期間は、例えば、5〜10日間とすることができ、7〜10日間とすることが好ましい。また、一次発酵工程において、発酵温度が28℃以上30℃以下である発酵期間が、発酵期間全体の30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。
二次発酵工程は、二次もろみを製造するため、温度等を管理しながら発酵させる工程である。本実施形態に係る製造方法では、二次発酵工程は、もろみ最高温度を28℃以上30℃以下とする。二次発酵工程における発酵期間は、例えば、10〜20日間とすることができ、14〜20日間とすることが好ましい。また、二次発酵工程において、発酵温度が28℃以上30℃以下である発酵期間が、発酵期間全体の30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。
蒸留工程は、二次もろみを蒸留する工程である。蒸留は、単式蒸留機又は連続式蒸留機を用いて行われる。本実施形態に係る製造方法では、フルーティーさ、発酵感及び麦焼酎らしさが優れた焼酎が得られるという観点から、蒸留は、単式蒸留機を用いて行うのが好ましい。
本実施形態に係る製造方法は、一次仕込工程、二次仕込工程、濾過工程、貯蔵工程及び割水工程等の焼酎の通常の製造で行われる工程を更に備えていてもよい。
一次仕込工程は、麹原料、酵母及び水を仕込む工程である。麹原料は、一次もろみの原料となる麦、米、芋等を洗浄・水切し、蒸した原料を放冷した後、原料に種麹(白麹菌、黒麹菌等)を種付して、製麹を行うことで得られる。
二次仕込工程は、一次もろみに、水や主原料(掛原料)を加える工程である。主原料としては、麦、米、サツマイモ、ジャガイモ、黒糖、そば、栗等が挙げられる。なお、主原料の種類によって焼酎の種類が決定され、例えば、主原料として麦を用いた場合は麦焼酎となる。
濾過工程は、蒸留後の原酒を濾過する工程である。貯蔵工程は、原酒を貯蔵する工程である。割水工程は、原酒に割水を実施する工程である。
〔混和焼酎〕
本実施形態に係る蒸留酒類は、混和焼酎であってよい。本実施形態に係る混和焼酎は、本発明に係る焼酎(例えば、麦焼酎)を含むため、フルーティーさ、発酵感及び麦焼酎らしさを有しつつ、更に味の切れが改善されている。
本実施形態に係る混和焼酎は、単式蒸留焼酎の混和割合は特に制限されない。本実施形態に係る混和焼酎は、本発明による効果をより顕著に奏することから、単式蒸留焼酎の混和割合が、5%以上95%未満であることが好ましく、5%以上50%未満であることがより好ましく、10%以上50%未満であることが更に好ましく、10%以上40%以下であることが更により好ましく、15%以上35%以下であることが更によりまた好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
〔試験例1:酢酸エチル添加試験〕
(蒸留酒類の調製)
原料用アルコール(サッポロビール社製、アルコール濃度:65.5v/v%、連続式蒸留)、酢酸エチル標品(長岡香料社製)及び水を混合し、酢酸エチルが表1に示す濃度となるように参考例1〜7の蒸留酒類(アルコール濃度25v/v%)を調製した。
(蒸留酒類の評価)
参考例1〜7の蒸留酒のフルーティーさ、発酵感、麦焼酎らしさ及び総合評価について、訓練されたパネル5名により、評点1〜7の7段階[フルーティーさ、発酵感、麦焼酎らしさ:1(弱い)〜4(中庸)〜7(強い)、総合評価:1(劣る)〜4(中庸)〜7(優れている)]で官能評価を行った。5名のパネルによる評点の平均値並びに香り及び味に関する代表的な評価コメントを表1に示す。フルーティーさは、評点が高いほど、フルーティーさが強いことを示す。発酵感は、評点が高いほど発酵感が強いことを示す。麦焼酎らしさは、評点が高いほど麦焼酎らしさが強いことを示す。総合評価は、評点が高いほど飲料として適していることを示す。
Figure 0006931272
酢酸エチル濃度が8mg/L以上である参考例2〜7の蒸留酒類は、酢酸エチル濃度が8mg/L未満である参考例1の蒸留酒類と比べて、フルーティーさ、発酵感、及び麦焼酎らしさが優れており、かつ飲料として適したものであった。特に、酢酸エチル濃度が85mg/Lである参考例5の蒸留酒類は顕著にフルーティーさ、発酵感、及び麦焼酎らしさが優れており、かつ特に飲料として適したものであった。
〔試験例2:アセトアルデヒド添加試験〕
(蒸留酒類の調製)
原料用アルコール、酢酸エチル、アセトアルデヒド標品(長岡香料社製)及び水を混合し、アセトアルデヒドが表2に示す濃度となるように参考例8〜14の蒸留酒類(アルコール濃度25v/v%)を調製した。なお、各蒸留酒類に含まれる酢酸エチル濃度は、85mg/Lの一定濃度とした。
(蒸留酒類の評価)
参考例8〜14の蒸留酒類のフルーティーさ、発酵感、麦焼酎らしさ及び総合評価について、試験例1と同様に評価した。5名のパネルによる評点の平均値並びに香り及び味に関する代表的な評価コメントを表2に示す。
Figure 0006931272
酢酸エチルを含み、アセトアルデヒド濃度が0mg/L超12mg/L以下である参考例8〜12の蒸留酒類は、アセトアルデヒド濃度が12mg/L超の参考例13〜14の蒸留酒類と比べて、フルーティーさ、発酵感、及び麦焼酎らしさが優れており、かつ飲料として適したものであった。特に、酢酸エチル濃度が85mg/Lであり、かつアセトアルデヒド濃度が8.5mg/Lである参考例11の蒸留酒類は顕著に発酵感が優れており、かつ特に飲料として適したものであった。
〔試験例3:バニリン添加試験〕
(蒸留酒の調製)
原料用アルコール、酢酸エチル、アセトアルデヒド及び水を混合し、バニリン標品(長岡香料社製)が表3に示す濃度となるように実施例1〜5及び比較例1〜2の蒸留酒類(アルコール濃度25v/v%)を調製した。なお、各蒸留酒類に含まれる酢酸エチル濃度は、85mg/Lの一定濃度とし、アセトアルデヒド濃度は、8.5mg/Lの一定濃度とした。
(蒸留酒の評価)
実施例1〜5及び比較例1〜2の蒸留酒類のフルーティーさ、発酵感、麦焼酎らしさ及び総合評価について、試験例1と同様に評価した。5名のパネルによる評点の平均値並びに香り及び味に関する代表的な評価コメントを表3に示す。
Figure 0006931272
酢酸エチル及びアセトアルデヒドを含み、バニリン濃度が0.5μg/L以上40μg/L以下である実施例1〜5の蒸留酒類は、バニリン濃度が0.5μg/L未満の比較例1及び40μg/L超の比較例2の蒸留酒類と比べて、フルーティーさ、発酵感、及び麦焼酎らしさが優れており、かつ飲料として適したものであった。特に、酢酸エチル濃度が、85mg/Lであり、アセトアルデヒド濃度が8.5mg/Lであり、かつバニリン濃度が3μg/Lである実施例3の蒸留酒類は、麦焼酎らしさが顕著に優れており、特に飲料として適したものであった。
〔試験例4:乙類焼酎の製造と香気成分分析〕
(実施例6:乙類焼酎の製造)
一次もろみの原料となる大麦1000kgを洗浄・水切し、蒸した後、放冷した。そして、放冷した後の麦に焼酎用種麹1000g(ビオック株式会社製、麦用専用品、粒状品)を種付けして、製麹を行った。その後、焼酎用乾燥酵母S−2号50g(財団法人日本醸造協会製)及び水1200Lを加え、発酵時のもろみ最高温度を28〜30℃として、7日間発酵(一次発酵)させることで、一次もろみを製造した。得られた一次もろみに大麦(掛麦)2000kg及び水3000Lを加えた。そして、発酵時のもろみ最高温度を28〜30℃として、14日間発酵(二次発酵)させることで、二次もろみを製造した。次いで、二次もろみを単式蒸留機により減圧蒸留した。蒸留後の原酒に活性炭を添加した後、濾過を施した。濾過後の原酒を常温で6月以上熟成させ、実施例6の乙類焼酎(アルコール濃度44v/v%)を得た。
(香気成分の分析)
得られた実施例6の乙類焼酎の香気成分(アセトアルデヒド、酢酸エチル及びバニリン)を分析し、アルコール濃度25v/v%に換算した分析値を表4に示す。
アセトアルデヒド及び酢酸エチル濃度はHS−GC/MS(GC:Agilent 6890、MS:Agilent 5973、ともにAgilent Technologies社製)を用いて分析を行い、バニリン濃度は、LC/MS/MS(LC:UPLC AQUITY、MS:QuattroPremier XE、ともにWaters社製)を用いて分析した。
Figure 0006931272
実施例6の乙類焼酎の香気成分を分析した結果、アルコール濃度25v/v%換算で酢酸エチルを8mg/L以上125mg/L以下の濃度で含み、アルコール濃度25v/v%換算でアセトアルデヒドを0mg/L超12mg/L以下の濃度で含み、かつ、アルコール濃度25v/v%換算でバニリンを0.5μg/L以上40μg/L以下の濃度で含む乙類焼酎が得られたことが示された。
〔試験例5:混和焼酎の製造及び評価〕
(単式蒸留焼酎)
単式蒸留焼酎として、実施例6の乙類焼酎を使用した。
(連続式蒸留焼酎)
連続式蒸留焼酎として、サッポロビール社群馬工場製造品(アルコール濃度25v/v%、主原料:糖蜜、連続式蒸留)を使用した。
(混和焼酎の製造)
単式蒸留焼酎として実施例6の乙類焼酎を使用し、連続式蒸留焼酎と所定の割合で混和させることにより実施例7〜12の甲乙混和焼酎を製造した。また、実施例6の乙類焼酎を割水により、アルコール濃度25v/v%に調製し、実施例13(乙類焼酎)とした。
なお、単式蒸留焼酎の混和割合は、甲乙混和焼酎の全アルコール量に占める単式蒸留焼酎のアルコールの割合である。したがって、例えば、単式蒸留焼酎の混和割合が15%の混和焼酎の場合、単式蒸留焼酎(アルコール濃度25v/v%)と連続式蒸留焼酎(アルコール濃度25v/v%)とを液量の比率が15:85となるように混和させた。
(混和焼酎の評価)
実施例7〜12の混和焼酎及び実施例13の乙類焼酎のフルーティーさ、発酵感、麦焼酎らしさ、及び総合評価について、試験例1と同様に5名のパネルにより評価した。また、味の切れについて、訓練されたパネル4名により、評点1〜7の7段階[1(劣る)〜4(中庸)〜7(優れている)]で官能評価を行った。味の切れは評点が高いほど、味の切れが優れていることを示す。4名又は5名のパネルによる評点の平均値並びに香り及び味に関する代表的な評価コメントを表5に示す。
Figure 0006931272
本発明に係る乙類焼酎を含む実施例7〜12の混和焼酎は、混和焼酎として優れたフルーティーさ、発酵感及び麦焼酎らしさを有すると共に、味の切れに優れていた。特に、乙類焼酎の混和割合が15〜30%である実施例9〜11の混和焼酎は、味の切れが顕著に優れていることが示された。

Claims (6)

  1. 酢酸エチル濃度が8mg/L以上125mg/L以下であり、アセトアルデヒド濃度が0mg/L超12mg/L以下の濃度であり、かつ、バニリン濃度が0.5μg/L以上5μg/L以下である、蒸留酒類。
  2. 原料の少なくとも一部に麦を用いたものである、請求項1に記載の蒸留酒類。
  3. 焼酎である、請求項1又は2に記載の蒸留酒類。
  4. 麦焼酎である、請求項3に記載の蒸留酒類。
  5. 請求項3又は4に記載の蒸留酒類を含む、混和焼酎。
  6. 甲乙混和焼酎である、請求項5に記載の混和焼酎。
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