JPWO2016143835A1 - アシロキシシラン類の製造方法、それにより得られるアシロキシシラン類、およびその用途 - Google Patents

アシロキシシラン類の製造方法、それにより得られるアシロキシシラン類、およびその用途 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2016143835A1
JPWO2016143835A1 JP2017505386A JP2017505386A JPWO2016143835A1 JP WO2016143835 A1 JPWO2016143835 A1 JP WO2016143835A1 JP 2017505386 A JP2017505386 A JP 2017505386A JP 2017505386 A JP2017505386 A JP 2017505386A JP WO2016143835 A1 JPWO2016143835 A1 JP WO2016143835A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
acyloxysilanes
reaction
carbon atoms
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017505386A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6739733B2 (ja
Inventor
浩 山下
浩 山下
真紀子 羽鳥
真紀子 羽鳥
充代 吉永
充代 吉永
韓 立彪
立彪 韓
島田 茂
茂 島田
佐藤 一彦
一彦 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Publication of JPWO2016143835A1 publication Critical patent/JPWO2016143835A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6739733B2 publication Critical patent/JP6739733B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F7/00Compounds containing elements of Groups 4 or 14 of the Periodic Table
    • C07F7/02Silicon compounds
    • C07F7/08Compounds having one or more C—Si linkages
    • C07F7/18Compounds having one or more C—Si linkages as well as one or more C—O—Si linkages
    • C07F7/1896Compounds having one or more Si-O-acyl linkages
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F7/00Compounds containing elements of Groups 4 or 14 of the Periodic Table
    • C07F7/02Silicon compounds
    • C07F7/025Silicon compounds without C-silicon linkages
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F7/00Compounds containing elements of Groups 4 or 14 of the Periodic Table
    • C07F7/02Silicon compounds
    • C07F7/08Compounds having one or more C—Si linkages
    • C07F7/18Compounds having one or more C—Si linkages as well as one or more C—O—Si linkages

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)

Abstract

機能性化学品として有用なアシロキシシラン類を効率的に製造する方法、それにより得られるアシロキシシラン類、およびその用途の提供。アルコキシシラン類とカルボン酸無水物を触媒存在下で反応させる反応工程を含むアシロキシシラン類の製造方法であって、前記アルコキシシラン類が、所定の一般式(I)で表されるアルコキシシラン類であり、前記カルボン酸無水物が、所定の一般式(IIA)または(IIB)で表されるカルボン酸であり、前記触媒が、酸触媒であり、前記反応工程で得られるアシロキシシラン類が、所定の一般式(IIIA)または(IIIB)で表されるアシロキシシラン類であることを特徴とする、アシロキシシラン類の製造方法、および、表面処理剤等としての用途。

Description

本発明は、アシロキシシラン類等の効率的な製造方法、それにより得られるアシロキシシラン類、およびその用途に関する。
アシロキシシラン類は、医・農薬、電子材料等の精密合成用試薬、合成中間体として利用される他、表面修飾剤や、ゾル・ゲル材料、ナノ材料、有機無機ハイブリッド材料用の原料等として利用される機能性化学品である。
アシロキシシラン類の一般的な製造方法としては、たとえば、(A)クロロシランとカルボン酸を直接あるいは塩基存在下で反応させる方法(特許文献1、2)、(B)クロロシランとカルボン酸金属塩を反応させる方法(特許文献3)、(C)アシロキシシランとカルボン酸を反応させる方法(特許文献4)、(D)ヒドロシランとカルボン酸を遷移金属触媒存在下で反応させる方法(特許文献5)、(E)クロロシランとカルボン酸無水物を反応させる方法(特許文献6)、(F)シラノールとカルボン酸無水物を反応させる方法(非特許文献1)、(G)アルコキシシランとカルボン酸無水物を反応させる方法(非特許文献2)が知られている。
しかし、クロロシランを用いる方法では、(1)加水分解により腐食性の塩化水素を発生するクロロシランを使用するため、原料の取り扱いが容易でない(方法A、B)、(2)カルボン酸との反応で塩基を使用しない場合、腐食性の塩化水素が副生する(方法A)、(3)カルボン酸との反応で塩基を使用する場合、大量の塩が副生する(方法A)、(4)カルボン酸金属塩との反応でも大量の塩が副生する(方法B)、(5)カルボン酸無水物との反応では、加水分解しやすく腐食性の塩化水素を発生しやすいアシル塩化物が副生する(方法E)等の問題点があった。また、アシロキシシラン、ヒドロシラン、またはシラノールを用いる方法(方法C、D、F)では、それらのケイ素化合物等の入手が必ずしも容易でない、あるいは、高価である等の問題点があった。一方、アルコキシシランを用いる方法(方法G)では、原料の混合物を高温の還流温度で長時間加熱する必要がある等の問題点があり、工業的により有利な方法が求められていた。
一方、アシロキシシランや関連するケイ素化合物の応用に関しては、固体材料の表面処理方法の一つとして、トリエトキシまたはトリメトキシシラン等のトリアルコキシシランや、反応性がより高いトリアセトキシシラン等を、いわゆるシランカップリング剤として用いる方法が知られていた(非特許文献3)。
しかしながら、トリアルコキシシランを用いる方法では、それらが固体材料表面と直接には反応しにくく、一般的には水が存在する条件下でアルコキシ基の加水分解を行い、シラノールの構造にする必要があるため、作業工程が簡便でない等の問題があるほか、表面との反応以外にシラノール同士のカップリング反応が同時に進行するため、表面処理の効率が必ずしも高くない、等の問題点があった。それに対して、トリアセトキシシランを用いる方法では、固体材料表面との反応性は高いものの、従来法では製造コストが高い、あるいは、トリアセトキシシランが湿気や水に不安定で保管安定性が低い、等の理由で、市販されている入手容易なトリアセトキシシランの種類が特定のものに限定されている、等の問題点があった。
特開昭54−103500号公報 欧州特許第0837067号明細書 米国特許第4379766号明細書 特開平7−70152号公報 特開平10−182666号公報 独国特許第882401号明細書
J.Am.Chem.Soc.,68,2282−2284(1946) J.Org.Chem.,5,443−448(1940) 全面改訂版シランカップリング剤の効果と使用法、第1章、S&T出版(2012)
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであって、アシロキシシラン類をより効率的に製造する方法、それにより得られる新規なアシロキシシラン類、およびその用途を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、入手容易なアルコキシシラン類とカルボン酸無水物との反応が、特定の触媒存在下でスムーズに進行し、アシロキシシラン類が効率よく得られること、および、得られたアシロキシシラン類が固体材料の表面処理剤等として使用できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、この出願は以下の発明を提供するものである。
〈1〉アルコキシシラン類とカルボン酸無水物を触媒存在下で反応させる反応工程を含むアシロキシシラン類の製造方法であって、前記アルコキシシラン類が、下記一般式(I)で表されるアルコキシシラン類であり、前記カルボン酸無水物が、下記一般式(IIA)または(IIB)で表されるカルボン酸無水物であり、前記触媒が、酸触媒であり、前記反応工程で得られるアシロキシシラン類が、下記一般式(IIIA)または(IIIB)で表されるアシロキシシラン類であることを特徴とする、アシロキシシラン類の製造方法。
Si(OR4−(p+q+r) (I)
(式中、p、q、r、およびp+q+rは、0以上3以下の整数である。R、R、およびRは、それぞれ独立に炭素数1〜24の炭化水素基または水素原子であり、Rは、炭素数1〜6のアルキル基である。R、R、およびRが、炭化水素基である場合、炭化水素基の水素原子の一部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
(R5CO)2O (IIA)
(式中、R5は、炭素数1〜24の炭化水素基であり、炭化水素基の水素原子の一部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
(式中、R6は、炭素数2〜24の2価の炭化水素基であり、炭化水素基の水素原子の一部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
Si(OR4−(p+q+r+s)(OCOR5s (IIIA)
(式中、p、q、r、R、R、R、R、およびR5は、それぞれ前記と同義であり、sは、1以上4−(p+q+r)以下の整数である。)
(式中、p、q、r、R1、R2、R3、R4、およびR6は、それぞれ前記と同義であり、sは、1以上4−(p+q+r)以下の整数である。)
〈2〉前記酸触媒が、無機系または有機系の酸である、〈1〉に記載のアシロキシシラン類の製造方法。
〈3〉前記無機系の酸が、規則的細孔および/または層状構造を有する無機系固体酸である、〈2〉に記載のアシロキシシラン類の製造方法。
〈4〉前記無機系固体酸が、ゼオライトおよび/またはモンモリロナイトである、〈3〉に記載のアシロキシシラン類の製造方法。
〈5〉前記ゼオライトのシリカ/アルミナ比(物質量比)が3〜1000である、〈4〉に記載のアシロキシシラン類の製造方法。
〈6〉前記ゼオライトが、USY型、ベータ型、Y型、ZSM−5型、およびモルデナイト型からなる群より選ばれる少なくとも1種である、〈4〉又は〈5〉に記載のアシロキシシラン類の製造方法。
〈7〉前記無機系の酸が、鉄、ルテニウム、アルミニウム、スカンジウム、スズ、またはインジウムから選ばれる元素を含む、塩化物、臭化物、または過塩素酸塩である、〈2〉に記載のアシロキシシラン類の製造方法。
〈8〉前記無機系または有機系の酸が、スルホン酸、スルホニルイミド、または、それらの酸と、鉄、ルテニウム、アルミニウム、スカンジウム、スズ、またはインジウムから選ばれる元素から生成する塩である、〈2〉に記載のアシロキシシラン類の製造方法。

〈9〉前記反応工程がマイクロ波照射下で行われる、〈1〉〜〈8〉の何れかに記載のアシロキシシラン類の製造方法。
〈10〉下記一般式(IIIC)または(IIID)で表されるアシロキシシラン類。
7 s8 tSi(OR94−(s+t+u)(OCOR10u (IIIC)
(式中、R7、R8、R9、およびR10は、それぞれ独立に炭素数1〜12の炭化水素基または水素原子の一部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜12の炭化水素基であり、それらのうち少なくとも一つは、炭素数3以上である、アルケニル基である、あるいは、ハロゲン原子を含む。s、t、およびs+tは、0以上2以下の整数である。uおよび4−(s+t+u)は、1以上3以下の整数である。)
〈11〉〈1〉〜〈9〉の何れかに記載の方法で製造されるアシロキシシラン類を含む表面処理剤。
〈12〉〈10〉に記載の一般式(IIIC)または(IIID)で表されるアシロキシシラン類を含む表面処理剤。
〈13〉〈11〉または〈12〉に記載の表面処理剤を用いて、固体材料の表面処理を行う方法。
(式中、R11、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に炭素数1〜12の炭化水素基であり、R15は、炭素数2〜8の2価の炭化水素基である。v、w、x、およびv+w+xは、0以上3以下の整数である。yは、1以上4−(v+w+x)以下の整数である。)
本発明の製造方法を用いることによりアシロキシシラン類を従来の方法に比べより効率的に製造できるとともに、新規なアシロキシシラン類を提供できるという効果を有する。
詳細には、本発明の製法は、次のような特徴を有する。
(1)原料や触媒が入手し易く、取り扱いが容易で安全性も高い。
(2)固体触媒を使用する反応系では、触媒の分離・回収等も容易である。
(3)反応条件を制御することにより、複数のアルコキシ基の一部または全部を選択的にアシロキシ基に変換することが可能である。
(4)環状カルボン酸無水物の使用により、アルコキシカルボニル基をアシロキシ基の末端に有するアシロキシシラン類を製造することができる。
(5)マイクロ波照射により、反応を促進することができる。
(6)本発明の製造方法により新規なアシロキシシラン類を提供できる。
本発明の製造方法は、製造プロセスの低コスト化、高効率化を可能にするもので、従来技術に比べて経済性、環境負荷等の面で大きな利点を有すると考える。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の製造方法は、アルコキシランシラン類を、触媒の存在下で、カルボン酸無水物と反応させる反応工程を含むことを特徴とする。
本発明において、原料として使用するアルコキシシラン類は、下記一般式(I)
3 Si(OR4−(p+q+r) (I)
で表される。
一般式(I)において、p、q、r、およびp+q+rは、0以上3以下の整数である。また、R、R、およびRは、それぞれ独立に炭素数1〜24の炭化水素基または水素原子であり、Rは、炭素数1〜6のアルキル基である。R、R、およびRが、炭化水素基である場合、炭化水素基の水素原子の一部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。
炭化水素基の具体例としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基等が挙げられる。
炭化水素基がアルキル基の場合、炭素数が好ましくは1〜20、より好ましくは1〜18であり、炭素上の水素原子の一部または全部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。
反応に関与しない基の具体例としては、炭素数が1〜6のアルコキシ基、炭素数が1〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数が1〜6のジアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が挙げられ、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子をより具体的に示せば、メトキシ基、エトキシ基、ヘキソキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を挙げることができる。それらの基等を有するアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、2−メトキシエチル基、3−エトキシプロピル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−ジメチルアミノエチル基、2−シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロオクチル基、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル基等が挙げられる。
また、炭化水素基がアリール基の場合、炭化水素環系または複素環系の1価の芳香族有機基を使用できる。アリール基が炭化水素環系の場合、炭素数が好ましくは6〜22、より好ましくは6〜14であり、それらアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、ペンタセニル基等が挙げられる。また、アリール基が複素環系の場合、複素環中のヘテロ原子は硫黄、酸素原子等であり、炭素数が好ましくは4〜12、より好ましくは4〜8であり、それらアリール基の具体例としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基等が挙げられる。
アリール基の水素原子の一部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。反応に関与しない基の具体例としては、上記のアルキル基の場合に示したもの等を挙げることができる。また、その他の反応に関与しない基として、環上の2つの炭素原子を結合させる2価の基であるオキシエチレン基やオキシエチレンオキシ基等が挙げられる。それらの基等を有するアリール基の具体例としては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、オクトキシフェニル基、メチル(メトキシ)フェニル基、フルオロ(メチル)フェニル基、クロロ(メトキシ)フェニル基、ブロモ(メトキシ)フェニル基、2,3−ジヒドロベンゾフラニル基、1,4−ベンゾジオキサニル基等が挙げられる。
さらに、炭化水素基がアラルキル基の場合には、炭素数が好ましくは7〜23、より好ましくは7〜16であり、炭素上の水素原子の一部または全部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。
反応に関与しない基の具体例としては、上記のアルキル基の場合について示したもの等を挙げることができる。
それらの基等を有するアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、2−ナフチルメチル基、9−アントリルメチル基、(4−クロロフェニル)メチル基、1−(4−メトキシフェニル)エチル基等が挙げられる。
また、炭化水素基がアルケニル基の場合には、炭素数が好ましくは2〜23、より好ましくは2〜20であり、炭素上の水素原子の一部または全部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。
反応に関与しない基の具体例としては、上記のアルキル基の場合について示したもの等の他、上記に示したアリール基等を挙げることができる。
それらの基等を有するアルケニル基の具体例としては、ビニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、5−ヘキセニル基、9−デセニル基、2−フェニルエテニル基、2−(メトキシフェニル)エテニル基、2−ナフチルエテニル基、2−アントリルエテニル基等が挙げられる。
したがって、それらの炭化水素基等を有する原料のアルコキシシラン類の具体例としては、トリメチル(メトキシ)シラン、トリメチル(エトキシ)シラン、メチルフェニルジ(メトキシ)シラン、ジメチルジ(メトキシ)シラン、ジメチルジ(エトキシ)シラン、ジ(エトキシ)(フェニル)ビニルシラン、メチルトリ(メトキシ)シラン、メチルトリ(エトキシ)シラン、フェニルトリ(メトキシ)シラン、フェニルトリ(エトキシ)シラン、ビニルトリ(メトキシ)シラン、ビニルトリ(エトキシ)シラン、トリ(メトキシ)シラン、トリ(エトキシ)シラン、テトラ(メトキシ)シラン、テトラ(エトキシ)シラン、テトラ(プロポキシ)シラン、テトラ(ブトキシ)シラン等を挙げることができる。
一方、上記アルコキシシラン類と反応させるカルボン酸無水物は、下記一般式(IIA)
(R5CO)2O (IIA)
または、下記一般式(IIB)
で表される。
一般式(IIA)において、R5は、炭素数1〜24の炭化水素基であり、炭化水素基の水素原子の一部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。
それら炭化水素基の具体例としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基等が挙げられ、反応に関与しない基の具体例としては、上記の一般式(I)のR、R、またはRの説明において示したもの等を挙げることができる。
炭化水素基中の炭素数に関しては、炭化水素基がアルキル基の場合には、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜18であり、アリール基の場合には、好ましくは4〜20、より好ましくは4〜18であり、アラルキル基の場合には、好ましくは5〜21、より好ましくは5〜19であり、アルケニル基の場合には、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜18である。
それらの基の具体例としては、上記の一般式(I)のR、R、またはRの説明において示したもの等を挙げることができる。
したがって、それらの炭化水素基を有するカルボン酸無水物(IIA)の具体例としては、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、イソ酪酸無水物、吉草酸無水物、イソ吉草酸無水物、ピバル酸無水物、ヘキサン酸無水物、ヘプタン酸無水物、シクロヘキサンカルボン酸無水物、オクタン酸無水物、ノナン酸無水物、デカン酸無水物、ラウリン酸無水物、ミリスチン酸無水物、パルミチン酸無水物、ステアリン酸無水物、ジフルオロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、トリクロロ酢酸無水物、クロロジフルオロ酢酸無水物、安息香酸無水物、トルイル酸無水物、ナフトエ酸無水物、フェニル酢酸無水物、クロトン酸無水物、イソクロトン酸無水物、チグリン酸無水物、オレイン酸無水物等が挙げられる。
また、一般式(IIB)において、Rは、炭素数2〜24の2価の炭化水素基であり、炭化水素基の水素原子の一部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。
2価の炭化水素基の具体例としては、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基等が挙げられ、反応に関与しない基の具体例としては、上記の一般式(I)のR、R、またはRの説明において示したもの等を挙げることができる。
また、2価の炭化水素基中の炭素数に関しては、2価の炭化水素基がアルキレン基の場合には、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜18であり、アリーレン基の場合には、好ましくは4〜20、より好ましくは4〜18であり、アルケニレン基の場合には、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜18である。
それらの基の具体例としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基、4−メチルシクロ−1,2−ジイル基、1,2−フェニレン基、4−メチル−1,2−フェニレン基、4−ブロモ−1,2−フェニレン基、ビニレン基、2−メチルプロペニレン基等を挙げることができる。
したがって、それらの炭化水素基等を有するカルボン酸無水物(IIB)の具体例としては、コハク酸無水物、オクチルコハク酸無水物、2,2−ジメチルコハク酸無水物、グルタル酸無水物、3−メチルグルタル酸無水物、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、フタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、4−ブロモフタル酸無水物、4−ニトロフタル酸無水物、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸無水物、ナフタレン−1,8−ジカルボン酸無水物、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
原料のアルコキシシラン類に対するカルボン酸無水物のモル比は任意に選ぶことができるが、アルコキシシラン類に対するアシロキシシラン類の収率を考慮すれば、通常0.4以上300以下であり、より好ましくは0.5以上200以下であり、さらに好ましくは0.5以上150以下である。
本発明によれば、上記一般式(I)のアルコキシシラン類と、上記一般式(IIA)または(IIB)のカルボン酸無水物との反応により、下記一般式(IIIA)
Si(OR4−(p+q+r+s)(OCOR5s (IIIA)
または下記一般式(IIIB)
で表されるアシロキシシラン類を、それぞれ製造できる。
一般式(IIIA)および(IIIB)中のp、q、r、R、R、R、R、R、およびRは前記と同義であり、それらの具体例としては、上記一般式(I)(IIA)、および(IIB)で示したもの等を挙げることができる。また、sは、1以上4−(p+q+r)以下の整数である。
さらに、本発明の製造方法により、下記一般式(IIIC)および(IIID)で表されるアシロキシシラン類を提供できる。
7 s8 tSi(OR94−(s+t+u)(OCOR10u (IIIC)
一般式(IIIC)において、R7、R8、R9、およびR10は、それぞれ独立に炭素数1〜12の炭化水素基または水素原子の一部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜12の炭化水素基であり、それらのうち少なくとも一つは、炭素数3以上である、アルケニル基である、あるいは、ハロゲン原子を含む。また、s、t、およびs+tは、0以上2以下の整数であり、uおよび4−(s+t+u)は、1以上3以下の整数である。
また、一般式(IIID)において、R11、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に炭素数1〜12の炭化水素基であり、R15は、炭素数2〜8の2価の炭化水素基であり、v、w、x、およびv+w+xは、0以上3以下の整数であり、yは、1以上4−(v+w+x)以下の整数である。
一般式(IIIC)および一般式(IIID)における炭素数1〜12の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基等を挙げることができ、それらの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、フェニル基、ベンジル基、ビニル基、アリル基等を挙げることができる。また、一般式(IIIC)における水素原子の一部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜12の炭化水素基としては、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、クロロジフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロオクチル基、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル基等を挙げることができる。
さらに、一般式(IIIC)において、R7、R8、R9、およびR10のうち、炭素数3以上である、アルケニル基である、あるいは、ハロゲン原子を含む、少なくとも一つの炭化水素基の具体例としては、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、クロロジフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロオクチル基、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル基等を挙げることができる。
一方、一般式(IIID)における炭素数2〜8の2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基等を挙げることができ、それらの具体例としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,2−フェニレン基、ビニレン基等を挙げることができる。
したがって、一般式(IIIC)において、(R7、R8、R9、R10、s、t、u)の組み合わせとして好ましいものを例示すると、(メチル基、フェニル基、メチル基、メチル基、1、1、1)、(メチル基、フェニル基、メチル基、エチル基、1、1、1)、(フェニル基、−、メチル基、メチル基、1、0、1)、(フェニル基、−、メチル基、メチル基、1、0、2)、(フェニル基、ビニル基、エチル基、1、1、1)、(ビニル基、−、エチル基、メチル基、1、0、1)、(ビニル基、−、エチル基、メチル基、1、0、2)、(ビニル基、−、メチル基、メチル基、1、0、1)、(ビニル基、−、メチル基、メチル基、1、0、2)、(ヘキシル基、−、エチル基、メチル基、1、0、1)、(ヘキシル基、−、エチル基、メチル基、1、0、2)、(フェニル基、−、エチル基、メチル基、1、0、1)、(フェニル基、−、エチル基、メチル基、1、0、2)、(3,3,3−トリフルオロプロピル基、−、メチル基、メチル基、1、0、1)、(3,3,3−トリフルオロプロピル基、−、メチル基、メチル基、1、0、2)、(1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロオクチル基、−、エチル基、メチル基、1、0、1)、(1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロオクチル基、−、エチル基、メチル基、1、0、2)、(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル基、−、エチル基、メチル基、1、0、1)、(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル基、−、エチル基、メチル基、1、0、2)、(メチル基、−、エチル基、トリクロロメチル基、2、0、1)、(−、−、エチル基、トリクロロメチル基、0、0、1)等が挙げられる。
また、一般式(IIID)において、(R11、R12、R13、R14、R15、v、w、x、y)の組み合わせとして好ましいものを例示すると、(メチル基、メチル基、メチル基、エチル基、エチレン基、1、1、1、1)、(メチル基、メチル基、メチル基、エチル基、トリメチレン基、1、1、1、1)、(メチル基、メチル基、メチル基、エチル基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基、1、1、1、1)、(メチル基、メチル基、メチル基、エチル基、1,2−フェニレン基、1、1、1、1)、(メチル基、メチル基、メチル基、エチル基、ビニレン基、1、1、1、1)等が挙げられる。
本発明における反応工程は、言い換えれば、アルコキシ基を有する原料のアルコキシシラン類に対するカルボン酸無水物による求核的置換反応を伴う反応工程である。
したがって、上記一般式(IIA)で表される非環状のカルボン酸無水物を用いた場合、本発明における反応はカルボン酸エステルの脱離を伴う反応となり、その反応工程は、モノアルコキシシラン類の反応ではたとえば下記反応式で表すことができる。
一方、上記一般式(IIB)で表される環状のカルボン酸無水物を用いる場合は、非環状のカルボン酸無水物の場合とは異なり、本発明における反応はカルボン酸エステルの脱離を伴わない反応となり、その反応工程は、たとえば下記反応式で表すことができる。
すなわち、環状カルボン酸無水物を用いる場合は、形式的には、原料のアルコキシシラン類のケイ素−酸素結合に環状カルボン酸無水物が挿入された構造のアシロキシシラン類が得られる。
これらの反応において、原料のアルコキシシラン類は、モノアルコキシシラン類、ジアルコキシシラン類、トリアルコキシシラン類、テトラアルコキシシラン類のいずれであってもよい。
したがって、たとえば、非環状のカルボン酸無水物を用いる反応では、下記反応式に示すようなアシロキシシラン類を得ることができる。
すなわち、本発明の反応工程で得られるアシロキシシラン類は、モノアルコキシシラン類を原料とする場合は1種類であるが、ジアルコキシシラン類、トリアルコキシシラン類、テトラアルコキシシラン類を原料とする場合は、1種類のアシロキシシラン類に限られるものではなく、たとえばジアルコキシシラン類を原料とする場合、アルコキシ基が1つ置換されたアシロキシシラン類、アルコキシ基が2つ置換されたアシロキシシラン類、またはこれらの混合物であってもよいことを意味する。さらにトリアルコキシシラン類を原料とする場合、アルコキシ基が1つ置換されたアシロキシシラン類、アルコキシ基が2つ置換されたアシロキシシラン類、アルコキシ基が3つ置換されたアシロキシシラン類、またはこれらの混合物であってもよく、加えてテトラアルコキシシラン類を原料とする場合、アルコキシ基が1つ置換されたアシロキシシラン類、アルコキシ基が2つ置換されたアシロキシシラン類、アルコキシ基が3つ置換されたアシロキシシラン類、アルコキシ基が4つ置換されたアシロキシシラン類、またはこれらの混合物であってもよいことを意味する。
本発明の製造方法により提供されるアシロキシシラン類は、アルコキシ基よりも反応性が高いアシロキシ基を有しているため、原料のアルコキシシラン類に比べて一般に高い反応性を有する。そのため、合成中間体として利用する際の反応や、表面処理剤、ゾル・ゲル材料等として利用する際の反応を、原料のアルコキシシラン類を用いる場合よりも温和な条件で、より効率的に行うことができると考えられ、機能性化学品として高い利用価値を有する。
アシロキシシラン類を製造する本発明の反応工程では、反応を促進するために従来公知の各種の酸触媒を使用することができる。
酸触媒としては、触媒の分離・回収等が容易な固体酸触媒を用いることができる。
固体酸触媒の具体例としては、金属塩、金属酸化物等の固体無機物等が挙げられ、より具体的に示せば、プロトン性水素原子あるいは金属カチオン(アルミニウム、チタン、ガリウム、鉄、セリウム、スカンジウム等)を有する、ゼオライト、メソポーラスシリカ、モンモリロナイトなどのほか、シリカゲル、ヘテロポリ酸や、カーボン系素材を担体とする無機系固体酸が挙げられる。
これらの中では、触媒活性や生成物に対する選択性等の点で、規則的細孔および/または層状構造を有する無機系固体酸である、ゼオライト、メソポーラスシリカ、モンモリロナイト系等の固体酸が好ましく、ゼオライト、モンモリロナイト系の固体酸がより好ましく使用される。無機系固体酸の規則的細孔および/または層状構造の種類にとくに制限はないが、反応する分子や生成する分子の拡散のしやすさを考慮すると、細孔構造を有する固体酸触媒では、細孔径の範囲としては、0.2〜20nm、好ましくは、0.3〜15nm、より好ましくは0.3〜10nmの範囲内のものである。また、層状構造を有する固体酸触媒では、層間距離の範囲としては、0.2〜20nm、好ましくは、0.3〜15nm、より好ましくは0.3〜10nmの範囲内のものである。
規則的細孔構造を有する無機系固体酸触媒としてゼオライトを使用する場合、その種類としては、Y型、ベータ型、ZSM−5型、モルデナイト型、SAPO型等の基本骨格を有する各種のゼオライトが使用可能である。また、Y型ゼオライト(Na−Y)を二次的処理して得られる、SUSY型(Super Ultrastable Y)、VUSY型(Very Ultrastable Y)、SDUSY型(Super dealuminated ultrastable Y)等として知られるUSY型(Ultrastable Y、超安定Y型)のものも好ましく使用できる(USY型については、たとえば、“Molecular Sieves”、Advances in Chemistry、Volume 121、American Chemical Society、1973、Chapter 19、等を参照)。
反応速度の点では、これらゼオライトの中では、USY型、ベータ型、Y型、ZSM−5型、およびモルデナイト型が好ましく、USY型、ベータ型、およびY型がより好ましく、USY型およびベータ型がさらに好ましい。また、複数のアルコキシ基の一部または全部を選択的にアシロキシ基に変換するためのゼオライトとしても、USY型およびベータ型が好ましい。
これらゼオライトにおいては、プロトン性水素原子を有するブレンステッド酸型のものや金属カチオンを有するルイス酸型のものなど、各種のゼオライトを使用できる。この中で、プロトン性水素原子を有するプロトン型のものは、H−Y型、H−SDUSY型、H−SUSY型、H−ベータ型、H−モルデナイト型、H−ZSM−5型等で表される。また、アンモニウム型のものである、NH−Y型、NH−VUSY型、NH−ベータ型、NH−モルデナイト型、NH−ZSM−5型等のゼオライトを焼成して、プロトン型に変換したものも使用することができる。
さらに、ゼオライトのシリカ/アルミナ比(物質量比)については、反応条件に応じて各種の比を選択できるが、通常は3〜1000であり、好ましくは3〜800、より好ましくは5〜600、さらに好ましくは5〜400である。
それらゼオライトとしては、市販品を含む各種のものを使用できる。市販品の具体例を示すと、USY型ゼオライトとしては、ゼオリスト社より市販されている、CBV760、CBV780、CBV720、CBV712、およびCBV600等、Y型ゼオライトとしては、東ソー社より市販されているHSZ−360HOAおよびHSZ−320HOA等が挙げられる。また、ベータ型ゼオライトとしては、ゼオリスト社より市販されている、CP811C、CP814N、CP7119、CP814E、CP7105、CP814CN、CP811TL、CP814T、CP814Q、CP811Q、CP811E−75、CP811E、およびCP811C−300等、東ソー社より市販されているHSZ−930HOAおよびHSZ−940HOA等、UOP社より市販されているUOP−Beta等が挙げられる。さらに、モルデナイト型ゼオライトとしては、ゼオリスト社より市販されているCBV21AおよびCBV90A等、東ソー社より市販されている、HSZ−660HOA、HSZ−620HOA、およびHSZ−690HOA等が挙げられ、ZSM−5型ゼオライトとしては、ゼオリスト社より市販されている、CBV5524G、CBV8020、およびCBV8014N等が挙げられる。
また、上記の無機系固体酸のほかに、酸性官能基を有する有機系固体酸も効果的に使用できる。有機系固体酸は、酸性官能基を有するポリマー等であり、酸性官能基の種類としては、スルホ基、カルボキシ基、ホスホリル基等が挙げられ、ポリマーの種類としては、パーフルオロ側鎖を有するテフロン(登録商標)骨格ポリマーやスチレン−ジビニルベンゼン共重合ポリマー等が挙げられる。それらの具体例としては、スルホ基を有する、ナフィオン(Nafion、登録商標、デュポン社より入手可能)、ダウエックス(Dowex、登録商標、ダウ・ケミカル社より入手可能)、アンバーライト(Amberlite、登録商標、ローム&ハス社より入手可能)、アンバーリスト(Amberlyst、登録商標、ダウ・ケミカル社より入手可能)等が挙げられる。それらをより具体的に示せば、ナフィオンNR50、ダウエックス50WX2、ダウエックス50WX4、ダウエックス50WX8、アンバーライトIR120、アンバーライトIRP−64、アンバーリスト15、アンバーリスト36等を挙げることができる。さらに、シリカ等の無機物にナフィオン等の有機系固体酸を担持した触媒(たとえば、ナフィオンSAC−13等)を用いることもでき、無機系固体酸と有機系固体酸を複数組み合わせて使用することもできる。
さらに、ブレンステッド酸性またはルイス酸性を有する、固体酸以外の無機系または有機系の酸も触媒として使用できる。それらの具体例としては、無機系のものとしては、硫酸、硝酸、塩酸等のブレンステッド酸性の化合物や、塩化スカンジウム(III)、塩化イットリウム(III)、塩化チタン(IIIまたはIV)、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、過塩素酸鉄(III)、塩化ルテニウム(III)、塩化亜鉛(II)、フッ化ホウ素(III)、塩化ホウ素(III)、塩化アルミニウム(III)、臭化アルミニウム(III)、塩化ガリウム(III)、塩化インジウム(III)、塩化スズ(IV)、塩化ビスマス(III)等のルイス酸性の化合物が挙げられる。それらの化合物は、水和物の形態で使用してもよい。また、有機系のものとしては、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド等のブレンステッド酸性の化合物が挙げられる。加えて、有機系のものとしては、それらブレンステッド酸性の化合物の金属塩やトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等でルイス酸性の化合物も使用できる。ルイス酸性の金属塩中の金属カチオンの種類としては、スカンジウム(III)、イットリウム(III)、鉄(III)、コバルト(II)、銅(II)、銀(I)、亜鉛(II)、スズ(II)、ビスマス(III)等の他、ランタノイド系元素のランタン(III)、プラセジウム(III)、サマリウム(III)、ネオジム(III)、イッテリビウム(III)等が挙げられる。
それらの中で、触媒活性の点では、無機系の酸においては、鉄、ルテニウム、アルミニウム、スカンジウム、スズ、またはインジウムから選ばれる元素を含む、塩化物、臭化物、または、過塩素酸塩等が好ましく、それらの具体例としては、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、過塩素酸鉄(III)、塩化ルテニウム(III)、塩化インジウム(III)、塩化スズ(IV)等が挙げられる。また、それらの元素の塩化物や臭化物に、過塩素酸銀等を添加し、塩化物や臭化物を過塩素酸塩に変換して使用することも、好ましい方法である。
さらに、有機系の酸においては、スルホン酸、スルホニルイミド等が好ましく、それらの酸と、鉄、ルテニウム、アルミニウム、スカンジウム、スズ、またはインジウム等から選ばれる元素から生成する塩も好ましく使用される。それらのスルホン酸、スルホニルイミドの具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、メタンスルホン酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられ、それらと塩を形成する元素のカチオン種としては、スカンジウム(III)、鉄(III)、ルテニウム(III)、アルミニウム(III)、ガリウム(III)、インジウム(III)、ビスマス(III)、スズ(IV)等が挙げられる。固体酸以外の無機系と有機系の酸は、それらを複数組み合わせて使用することもでき、上記の固体酸と組み合わせて使用することもできる。
原料に対する触媒量は任意に決めることができるが、重量比では、通常は0.0001〜10程度で、好ましくは0.001〜8程度、より好ましくは0.001〜6程度である。
本発明の反応は、反応温度や反応圧力に応じて、液相または気相状態で行うことができる。また、反応装置の形態としては、バッチ型、フロー型等、従来知られている各種形態で行うことができる。
反応温度は、通常は−20℃以上、好ましくは−10〜300℃、より好ましくは、−10〜200℃である。また、アルコールの反応性を制御するために、室温で反応を行う場合には、室温の温度範囲としては、通常は0〜40℃、好ましくは5〜40℃、より好ましくは10〜35℃である。
さらに、反応圧力は、通常は0.1〜100気圧で、好ましくは0.1〜50気圧、より好ましくは0.1〜10気圧である。
反応時間は、原料や触媒の量、反応温度、反応装置の形態等に依存するが、生産性や効率を考慮すると、通常は0.1〜1200分、好ましくは0.1〜600分、より好ましくは0.1〜300分程度である。
また、反応を液相系で行う場合、溶媒の有無にかかわらず実施できるが、溶媒を用いる場合には、デカリン(デカヒドロナフタレン)、デカン等の炭化水素、クロロベンゼン、1,2−または1,3−ジクロロベンゼン、1,2,3−または1,2,4−トリクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、tert−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル等、原料と反応するものを除いた各種の溶媒が使用可能で、2種以上混合して用いることもできる。また、反応を気相で行う場合には、窒素等の不活性ガスを混合して反応を行うこともできる。
本発明の反応は、マイクロ波照射下で行うこともできる。本反応系では、原料のカルボン酸無水物や酸触媒等の誘電損失係数が比較的大きく、マイクロ波を効率よく吸収するため、マイクロ波照射下ではカルボン酸無水物や触媒等が活性化され、反応をより効率的に行うことができる。
マイクロ波照射反応では、接触式または非接触式の温度センサーを備えた各種の市販装置等を使用できる。また、マイクロ波照射の出力、キャビティの種類(マルチモード、シングルモード)、照射の形態(連続的、断続的)等は、反応のスケールや種類等に応じて任意に決めることができる。マイクロ波の周波数としては、通常、0.3〜30GHzである。その中で好ましいのは、産業・科学・医療分野で使用するために割り当てられたIMS周波数帯で、さらにその中でも、2.45GHz帯、5.8GHz帯等がより好ましい。
また、マイクロ波照射反応では、反応系をより効率よく加熱するために、マイクロ波を吸収して発熱する加熱材(サセプター)を反応系に添加することができる。加熱材の種類としては、活性炭、黒鉛、炭化ケイ素、炭化チタン等、従来公知の各種のものを使用できる。また、先に記載した触媒と加熱材の粉末を混合して、セピオライト、ホルマイト等の適当なバインダーを利用して焼成加工した成形触媒を用いることもできる。
本発明の反応工程は、密閉系の反応装置でも進行するが、反応装置を開放系にして、反応生成物を反応系外に連続的に除去することにより、反応をより効率的に進行させることもできる。
本発明の製造方法で、固体酸触媒を用いる場合、反応工程後の触媒の分離・回収は、濾過、遠心分離等の方法により容易に行うことができる。
また、生成したアシロキシシラン類の精製も、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の有機化学上通常用いられる手段により容易に達せられる。
本発明の製造方法により提供されるアシロキシシラン類は、アルコキシ基よりも反応性が高いアシロキシ基を有しているため、原料のアルコキシシラン類に比べて高い反応性を有し、合成中間体や表面処理剤等の機能性化学品として利用価値が高い。
たとえば、表面処理剤に関しては、ガラス等の固体材料に対して、室温で数分程度の温和な条件下で迅速に表面処理を行うことが可能で、使用するアシロキシシラン類の種類に応じて、固体材料表面の親水性・疎水性を容易に制御することができる。
また、本発明の表面処理剤は、上記の反応で製造されるアシロキシシラン類を含むもので、単離精製したアシロキシシラン類だけでなく、複数のアシロキシシラン類を含む混合溶液を使用することもできる。
さらに、本発明によるアシロキシシラン類の製造方法では、入手容易なアルコキシシラン類を原料として、さまざまなアシロキシシラン類を温和な条件下で簡便に製造できるため、アシロキシシラン類を含む反応液をそのまま使用する表面処理方法も、本発明の特長を示す方法である。
アシロキシシラン類を表面処理剤として用いる場合は、必要に応じて、トルエン、ヘキサン等のアシロキシシラン類と反応しない有機溶剤で希釈して用いることもできる。
固体材料の表面処理の方法については、ディップ法(浸漬法)、キャスト法、スピンコート法、スプレーコート法等、従来公知の各種の方法により行うことができる。
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(エトキシ)トリメチルシラン(Ia) 3.2mmol、酢酸無水物(IIAa) 6.4mmol、ゼオライト CBV780(ゼオリスト社製) 5mgの混合物を反応管に入れ、マイクロ波照射装置(Biotage社Initiator)を用いて、110℃で5分攪拌した。生成物をガスクロマトグラフおよびガスクロマトグラフ質量分析計で分析し、生成物の収率をガスクロマトグラフ分析で測定した結果、(アセトキシ)トリメチルシラン(IIIAa)が89%の収率で生成したことがわかった(表1−1参照)。
(実施例2〜85、比較例1〜2)
反応条件(触媒、原料、温度、時間等)を変えて、実施例1と同様に反応および分析を行い、生成物の収率をガスクロマトグラフ分析または核磁気共鳴スペクトル分析で測定した結果を表1−1〜表1−7に示す。

上記実施例で得られたアシロキシシラン類(IIIA)または(IIIB)の質量分析スペクトルおよび29Si核磁気共鳴スペクトル(29Si−NMR)のデータを表2−1〜表2−3に示す。なお、表2−1〜表2−3において、アシロキシシラン類が前記一般式(IIIC)または(IIID)のアシロキシシラン類に相当する場合には、(IIIA)または(IIIB)の化合物番号の後の括弧内に(IIIC)または(IIID)としての化合物番号を示した。
本発明の製造方法では、触媒を用いることにより効率よく反応が進行するため、室温のような低温でも反応が容易に進行する。
たとえば、(Ii)と(IIAa)の反応では、触媒が存在しない場合、表1−3の比較例1および2に示すように、25℃または100℃で20分撹拌の条件では、アシロキシシランはまったく得られなかったが、触媒を用いる本発明の方法では、実施例31に示すように、25℃で10分撹拌の条件でも、アシロキシシラン(IIIAo)を81%の良好な収率で得ることができた。
この結果は、本発明の方法による触媒を用いることにより、アシロキシシランを低温でも効率的に製造できることを示している。
また、本発明では、触媒の種類や反応条件を制御することにより、原料のアルコキシシラン中の複数のアルコキシ基の一部または全部を選択的にアシロキシ基に変換することが可能である。
たとえば、アルコキシシラン(Id)とカルボン酸無水物(IIAa)の反応では、表1−1の実施例20および22に示すように、触媒としてCBV780を用いて25℃で5分撹拌の条件、または、触媒としてCBV600を用いて110℃で5分撹拌の条件で反応を行うことにより、原料のアルコキシシラン中の2個のメトキシ基の1個がアセトキシ基に変換された化合物(IIIAi−1)と2個が変換された化合物(IIIAi−2)を、(≧99:1)の比で得ることができ、2個のメトキシ基のうちの1個だけを変換した化合物を選択的に得ることができた。一方、実施例21に示すように、触媒としてCBV780を用いて110℃で5分撹拌の条件で反応を行うことにより、(IIIAi−1)と(IIIAi−2)を(≦1:99)の比で得ることができ、2個のメトキシ基を全部アセトキシ基に変換した化合物を選択的に得ることができた。
また、アルコキシシラン(Ii)とカルボン酸無水物(IIAa)の反応では、表1−3〜表1−4の実施例67〜72に示すように、触媒の種類等によってアシロキシ基の導入量を制御でき、触媒として塩化ルテニウム(III)を使用する場合は、原料のアルコキシシラン中の2個のエトキシ基がアセトキシ基に変換された化合物(IIIAo−2)が主に得られ(実施例67)、触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸アルミニウム(III)またはトリフルオロメタンスルホン酸を使用する場合は、原料のアルコキシシラン中の3個のエトキシ基がアセトキシ基に変換された化合物(IIIAo−3)が主に得られ(実施例68、72)、触媒として過塩素酸鉄(III)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドスカンジウム(III)、またはビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドインジウム(III)を使用する場合は、原料のアルコキシシラン中の4個のエトキシ基がアセトキシ基に変換された化合物(IIIAo−4)が主に得られた(実施例69〜71)。さらに、触媒として過塩素酸鉄(III)を使用する場合に、溶媒としてアセトニトリルを使用して反応を行うと、原料のアルコキシシラン中の2個のエトキシ基がアセトキシ基に変換された化合物(IIIAo−2)を選択的に得ることができた(実施例72)。
これらの結果は、反応温度、触媒の種類、溶媒等の反応条件を適切に制御することにより、原料のアルコキシシラン中の複数のアルコキシ基の一部または全部を選択的にアシロキシ基に変換できることを示している。
さらに、本発明の製造方法では、マイクロ波照射を用いて加熱を行うことにより、反応を加速することができる。
たとえば、アルコキシシラン(Ia)とカルボン酸無水物(IIAc)の反応では、表1−2の実施例48および50に示すように、マイクロ波照射装置を用いて反応を行った場合のアシロキシシラン(IIIAc)の収率は、60℃で5分撹拌または80℃で5分撹拌の反応条件の場合、それぞれ41%または81%であった。一方、実施例49および51に示すように、マイクロ波照射装置の代わりにオイルバス加熱装置を用いて、同じ反応温度と時間で反応を行った場合の(IIIAc)の収率は、それぞれ36%または73%であった。
また、アルコキシシラン(Ia)とカルボン酸無水物(IIBa)の反応においても、表1−3の実施例52および54に示すように、マイクロ波照射装置を用いて反応を行った場合のアシロキシシラン(IIIBa)の収率は、120℃で5分または15分撹拌の反応条件の場合、それぞれ42%または70%であった。それに対して、実施例53および55に示すように、マイクロ波照射装置の代わりにオイルバス加熱装置を用いて、同じ反応温度と時間で反応を行った場合の(IIIBa)の収率は、それぞれ32%または65%であった。
これらの結果は、本発明の製造方法が、オイルバス加熱等の通常加熱を用いる方法でも十分効率よく行うことができるが、マイクロ波加熱を用いることによりさらに効率よく行うことができることを示している。
上記製造方法により得られたアシロキシシラン類は、次の実施例に示すように、触媒を遠心分離、ろ過等で分離した後、蒸留、再結晶等の操作により、容易に単離精製することができる。
(実施例86)
(エトキシ)ジメチル(フェニル)シラン(Ib) 4.8mmol、酢酸無水物(IIAa) 19.3mmol、CBV780(ゼオリスト社製) 15mgの混合物を反応管に入れ密閉し、マイクロ波照射装置(バイオタージ製Initiator)を用いて、110℃で10分攪拌した。触媒の固体を遠心分離で分離し、上澄み液を分離した後、触媒をトルエンで洗浄し(1mLで1回)、先の上澄み液と洗浄液を合わせて減圧下濃縮して、ショートパス蒸留装置で蒸留を行った結果、(アセトキシ)ジメチル(フェニル)シラン(IIIAg)が、3.26mmol(収率68%)得られた。
(IIIAg)の物性値、スペクトルデータ等は次の通りであった。
沸点:95-100℃/3mmHg(ショートパス蒸留での留出温度)
IR (液膜): 1722, 1429, 1370, 1251, 1122, 1018, 936, 840, 821, 796, 733, 698, 471, 407 cm-1
1H-NMR (CDCl3): δ 0.58 (s, 6H, SiCH3), 2.09 (s, 3H, CH3CO), 7.38-7.45 and 7.63-7.66 (each m, 5H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -1.7, 22.8, 127.9, 130.1, 133.6, 135.6, 171.6
29Si-NMR (CDCl3): δ 11.7
(実施例87)
(エトキシ)メチルジ(フェニル)シラン(Ic) 4.0mmol、酢酸無水物(IIAa) 16.1mmol、CBV780(ゼオリスト社製) 50mgの混合物を反応管に入れ密閉し、マイクロ波照射装置(バイオタージ製Initiator)を用いて、110℃で10分攪拌した。実施例86と同様に後処理および蒸留を行った結果、(アセトキシ)メチルジ(フェニル)シラン(IIIAh)が、3.24mmol(収率81%)得られた。
(IIIAh)の物性値、スペクトルデータは次の通りであった。
沸点:135-140℃/1mmHg(ショートパス蒸留での留出温度)
IR (液膜): 1726, 1429, 1369, 1247, 1122, 1018, 935, 797, 767, 737, 698, 476, 445 cm-1
1H-NMR (CDCl3): δ 0.88 (s, 3H, SiCH3), 2.16 (s, 3H, CH3CO), 7.38-7.47 and 7.63-7.66 (each m, 10H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -2.7, 22.9, 127.9, 130.3, 133.9, 134.5, 171.4
29Si-NMR (CDCl3): δ 0.3
(実施例88)
メチルジ(メトキシ)(フェニル)シラン(Id) 5.0mmol、酢酸無水物(IIAa) 7.5mmol、CBV780(ゼオリスト社製) 15mgの混合物を反応管に入れ密閉し、室温(25℃)で7分攪拌した。実施例86と同様に後処理および蒸留を行った結果、(アセトキシ)メチル(メトキシ)(フェニル)シラン(IIIAi−1)が、3.25mmol(収率65%)得られた。
(IIIAi−1)の物性値、スペクトルデータは次の通りであった。
沸点:95-105℃/3.5mmHg(ショートパス蒸留での留出温度)
IR (液膜): 1729, 1430, 1371, 1250, 1192, 1124, 1092, 1019, 938, 829, 798, 777, 740, 699, 476, 431 cm-1
1H-NMR (CDCl3): δ 0.58 (s, 3H, SiCH3), 2.15 (s, 3H, CH3CO), 3.64 (s, 3H. CH3O), 7.38-7.47 and 7.64-7.68 (each m, 5H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -4.0, 22.7, 51.6, 128.0, 130.7, 132.5, 133.8, 171.0
29Si-NMR (CDCl3): δ -14.0
(実施例89)
メチルジ(メトキシ)(フェニル)シラン(Id) 3.3mmol、酢酸無水物(IIAa) 13.2mmol、CBV780(ゼオリスト社製) 10mgの混合物を反応管に入れ密閉し、マイクロ波照射装置(バイオタージ製Initiator)を用いて、110℃で5分攪拌した。実施例86と同様に後処理および蒸留を行った結果、ジ(アセトキシ)メチル(フェニル)シラン(IIIAi−2)が、2.67mmol(収率81%)得られた。
(IIIAi−2)の物性値、スペクトルデータは次の通りであった。
沸点:95-105℃/0.9mmHg(ショートパス蒸留での留出温度)
IR (液膜): 1736, 1431, 1371, 1237, 1125, 1018, 940, 801, 741, 698, 597, 474, 432 cm-1
1H-NMR (CDCl3): δ 0.82 (s, 3H, SiCH3), 2.14 (s, 6H, CH3CO), 7.39-7.50 and 7.70-7.73 (each m, 5H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -3.0, 22.6, 128.0, 130.9, 131.3, 133.9, 170.6
29Si-NMR (CDCl3): δ -11.7
(実施例90)
メチルジ(メトキシ)(フェニル)シラン(Id) 7.5mmol、プロピオン酸無水物(IIAb) 11.3mmol、CBV780(ゼオリスト社製) 45mgの混合物を反応管に入れ密閉し、室温(25℃)で15分攪拌した。実施例86と同様に後処理および蒸留を行った結果、メチル(メトキシ)(フェニル)(プロパノイロキシ)シラン(IIIAj−1)が、5.78mmol(収率77%)得られた。
(IIIAj−1)の物性値、スペクトルデータは次の通りであった。
沸点:100-105℃/4mmHg(ショートパス蒸留での留出温度)
IR (液膜): 1727, 1430, 1361, 1261, 1189, 1124, 1084, 997, 892, 829, 799, 741, 699, 478, 441 cm-1
1H-NMR (CDCl3): δ 0.58 (s, 3H, SiCH3), 1.15 (t, J = 7.5 Hz, 3H, CH3CCO), 2.429 and 2.430 (each q, each J = 7.5 Hz, 2H, CH2CO), 3.64 (s, 3H. CH3O), 7.38-7.47 and 7.64-7.68 (each m, 5H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -4.0, 9.1, 29.0, 51.5, 128.0, 130.7, 132.6, 133.8, 174.3
29Si-NMR (CDCl3): δ -14.0
(実施例91)
メチルジ(メトキシ)(フェニル)シラン(Id) 5.0mmol、プロピオン酸無水物(IIAb) 14.9mmol、CBV780(ゼオリスト社製) 30mgの混合物を反応管に入れ密閉し、マイクロ波照射装置(バイオタージ製Initiator)を用いて、110℃で30分攪拌した。実施例86と同様に後処理および蒸留を行った結果、メチル(フェニル)ジ(プロパノイロキシ)シラン(IIIAj−2)が、4.05mmol(収率81%)得られた。
(IIIAj−2)の物性値、スペクトルデータは次の通りであった。
沸点:120-130℃/2.5mmHg(ショートパス蒸留での留出温度)
IR (液膜): 1735, 1463, 1430, 1360, 1263, 1172, 1125, 1082, 997, 897, 809, 741, 698, 476, 439 cm-1
1H-NMR (CDCl3): δ 0.82 (s, 3H, SiCH3), 1.13 (t, J = 7.5 Hz, 3H, CH3CCO), 2.429 and 2.433 (each q, each J = 7.5 Hz, 2H, CH2CO), 7.39-7.50 and 7.70-7.74 (each m, 5H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -2.9, 8.9, 28.9, 128.0, 131.18, 131.25, 133.9, 173.9
29Si-NMR (CDCl3): δ -12.0
(実施例92)
トリ(メトキシ)(フェニル)シラン(If) 4.9mmol、酢酸無水物(IIAa) 7.3mmol、CBV780(ゼオリスト社製) 30mgの混合物を反応管に入れ密閉し、室温(25℃)で30分攪拌した。実施例86と同様に後処理および蒸留を行った結果、(アセトキシ)ジ(メトキシ)(フェニル)シラン(IIIAl−1)が、2.45mmol(収率50%)得られた。
(IIIAl−1)の物性値、スペクトルデータは次の通りであった。
沸点:120-130℃/2.5mmHg(ショートパス蒸留での留出温度)
IR (液膜): 1741, 1431, 1372, 1253, 1193, 1132, 1095, 1020, 942, 826, 778, 742, 700, 483 cm-1
1H-NMR (CDCl3): δ 2.15 (s, 3H, CH3CO), 3.70 (s, 6H, CH3O), 7.38-7.50 and 7.70-7.73 (each m, 5H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ 22.5, 51.6, 128.03, 128.05, 131.2, 134.8, 170.0
29Si-NMR (CDCl3): δ -57.4
(実施例93)
トリ(メトキシ)(フェニル)シラン(If) 4.9mmol、酢酸無水物(IIAa) 19.4mmol、CBV780(ゼオリスト社製) 60mgの混合物を反応管に入れ密閉し、マイクロ波照射装置(バイオタージ製Initiator)を用いて、50℃で20分攪拌した。実施例86と同様に後処理および蒸留を行った結果、ジ(アセトキシ)(メトキシ)(フェニル)シラン(IIIAl−2)が、2.45mmol(収率50%)得られた。
(IIIAl−2)の物性値、スペクトルデータは次の通りであった。
沸点:115-120℃/1mmHg(ショートパス蒸留での留出温度)
1H-NMR (CDCl3): δ 2.17 (s, 6H, CH3CO), 3.80 (s, 3H, CH3O), 7.40-7.52 and 7.76-7.79 (each m, 5H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ 22.4, 52.5, 126.8, 128.0, 131.7, 134.9, 169.6
29Si-NMR (CDCl3): δ -60.3
(実施例94)
テトラ(エトキシ)シラン(Ii) 7.5mmol、プロピオン酸無水物(IIAb) 11.3mmol、CBV780(ゼオリスト社製) 45mgの混合物を反応管に入れ密閉し、室温(25℃)で15分攪拌した。実施例86と同様に後処理および蒸留を行った結果、トリ(エトキシ)(プロパノイロキシ)シラン(IIIAp−1)が、6.75mmol(収率90%)得られた。
(IIIAp−1)の物性値、スペクトルデータは次の通りであった。
沸点:80-90℃/9mmHg(ショートパス蒸留での留出温度)
IR (液膜): 1739, 1392, 1362, 1279, 1205, 1169, 1107, 1085, 1002, 972, 898, 797, 471 cm-1
1H-NMR (CDCl3): δ 1.14 (t, J = 7.5 Hz, 3H, CH3CCO), 1.25 (t, J = 7.0 Hz, 9H, CH3CO, 2.41 (q, J = 7.5 Hz, 2H, CH2CO), 3.93 (q, J = 7.0 Hz, 6H, CH2O)
13C-NMR (CDCl3): δ 9.0, 17.9, 28.8, 59.9, 173.0
29Si-NMR (CDCl3): δ -86.1
(実施例95)
(エトキシ)トリメチルシラン(Ia) 3.2mmol、コハク酸無水物(IIBa) 2.6mmol、CBV780(ゼオリスト社製) 20mg、1,2−ジクロロベンゼン 4mLの混合物を反応管に入れ密閉し、マイクロ波照射装置(バイオタージ製Initiator)を用いて、120℃で60分攪拌した。実施例86と同様に後処理および蒸留を行った結果、[(3−エトキシカルボニル)プロパノイロキシ]トリメチルシラン(IIIBa)が、1.56mmol(収率60%)得られた。
(IIIBa)の物性値、スペクトルデータは次の通りであった。
沸点:90-100℃/2.5mmHg(ショートパス蒸留での留出温度)
IR (液膜): 1738, 1720, 1415, 1372, 1351, 1322, 1254, 1213, 1166, 1025, 890, 852, 764, 736 cm-1
1H-NMR (CDCl3): δ 0.28 (s, 9H, SiCH3), 1.26 (t, J = 7.2 Hz, 3H, CCH3), 2.56-2.65 (m, 4H, CH2CH2), 4.15 (q, J = 7.2 Hz, 2H, OCH2)
13C-NMR (CDCl3): δ -0.3, 14.2, 29.4, 30.7, 60.6, 172.4, 172.7
29Si-NMR (CDCl3): δ 24.1
(実施例96)
(エトキシ)トリメチルシラン(Ia) 3.4mmol、グルタル酸無水物(IIBb) 2.6mmol、CBV780(ゼオリスト社製) 20mg、1,2−ジクロロベンゼン 4mLの混合物を反応管に入れ密閉しマイクロ波照射装置(バイオタージ製Initiator)を用いて、120℃で60分攪拌した。実施例86と同様に後処理および蒸留を行った結果、(3−エトキシカルボニル)プロパノイロキシ]トリメチルシラン(IIIBb)が、1.61mmol(収率62%)得られた。
(IIIBb)の物性値、スペクトルデータは次の通りであった。
沸点:85-95℃/1.8mmHg(ショートパス蒸留での留出温度)
IR (液膜): 1737, 1717, 1419, 1375, 1318, 1254, 1198, 1155, 1030, 906, 851, 764 cm-1
1H-NMR (CDCl3): δ 0.28 (s, 9H, SiCH3), 1.26 (t, J = 7.2 Hz, 3H, CCH3), 1.92 (quint, J = 7.5 Hz, 2H, CH2CCO), 2.36 and 2.37 (each t, J = 7.5 Hz, each 2H, CH2CO), 4.13 (q, J = 7.2 Hz, 2H, OCH2)
13C-NMR (CDCl3): δ -0.3, 14.2, 20.2, 33.3, 34.9, 60.3, 173.0, 173.5
29Si-NMR (CDCl3): δ 23.6
(実施例97)
(エトキシ)トリメチルシラン(Ia) 3.2mmol、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物(IIBc) 2.6mmol、CBV780(ゼオリスト社製) 60mg、1,2−ジクロロベンゼン 2mLの混合物を反応管に入れ密閉しマイクロ波照射装置(バイオタージ製Initiator)を用いて、90℃で45分攪拌した。実施例86と同様に後処理および蒸留を行った結果、(2−エトキシカルボニル)シクロヘキサニルカルボニルオキシ]トリメチルシラン(IIIBc)が、1.56mmol(収率60%)得られた。
(IIIBc)の物性値、スペクトルデータは次の通りであった。
沸点:125-130℃/5mmHg(ショートパス蒸留での留出温度)
1H-NMR (CDCl3): δ 0.25 (s, 9H, SiCH3), 1.22 (t, J = 7.2 Hz, 3H, CCH3), 1.32-1.55, 1.67-1.80, and 1.90-2.03 (each m, each 2H, (CH2)4), 2.70-2.85 (m, 2H, CHCH), 4.07-4.17 (m, 2H, OCH2)
13C-NMR (CDCl3): δ -0.4, 14.2, 23.7, 23.9, 26.2, 26.5, 42.7, 43.7, 60.2, 173.7, 174.2
29Si-NMR (CDCl3): δ 23.6
上記の方法で得られたアシロキシシランは、ガラス等の固体材料の表面処理剤として使用可能である。表面処理の具体的な方法としては、次の実施例に示すように、アルコキシシランとカルボン酸無水物の反応で得られたアシロキシシランを含む組成物を、適当な溶媒に希釈して、固体材料を浸漬させる方法等により行うことができる。
(実施例98)
トリ(エトキシ)(フェニル)シラン(Il) 2.0mmol、酢酸無水物(IIAa) 2.2mmol、CBV780(ゼオリスト社製) 10mgの混合物を反応管に入れ密閉し、室温(25℃)で20分攪拌した。触媒の固体を遠心分離で分離し、上澄み液をガスクロマトグラフ分析または核磁気共鳴スペクトル分析で測定した結果、アシロキシシラン((アセトキシ)ジ(エトキシ)(フェニル)シラン(IIIAs−1)およびジ(アセトキシ)(エトキシ)(フェニル)シラン(IIIAs−2)、(IIIAs−1):(IIIAs−2)=83:17)が、1.7mmol(収率84%)生成していることがわかった。
このアシロキシシランを含む上澄み液0.04mLをトルエン0.96mLに溶解して、表面処理用の溶液を調製した。調製溶液にガラス板(1.8×1.8cm)を室温で2分間浸漬し、トルエン3mLおよびアセトン3mLで順次洗浄し、80℃で5分間乾燥させた。ガラス板の水に対する接触角を、接触角計(協和界面科学製 自動接触角計 DMe−201)で測定した結果、未処理の状態の20°から処理後の状態の71°に変化したことがわかった。このことは、ガラス板の表面が、アシロキシシランにより修飾され、撥水性が高くなったことを示している(表3)。
(参考例1)
トリ(エトキシ)(フェニル)シラン(Il) 0.04mlをトルエン0.96mLに溶解して、表面処理用の溶液を調製した。この溶液にガラス板(1.8×1.8cm)を室温で2分間浸漬し、実施例98と同様に、ガラス板を洗浄、乾燥後、水の接触角を測定した結果、接触角は23°で、未処理の状態の20°とほとんど同じであった。このことは、実施例98のアセトキシシランによる表面処理の場合とは異なり、原料のアルコキシシランのままでは固体材料表面との反応性が低く、同じ処理条件ではガラス板表面がほとんど修飾されないことを示している(表3)
(実施例99〜105)
反応条件(原料、温度、時間等)を変えて、実施例98と同様に、アルコキシシランの反応と分析を行い、得られたアシロキシランを用いてガラス板の表面処理を行った結果を表3に示す。
実施例98〜105の結果は、本発明の方法で得られたアシロキシシランを含む組成物を用いて、その組成物を含む溶液に、室温で短時間浸すだけという簡便な手法により、ガラス板の表面処理を行うことができ、ガラス板表面の水に対する接触角を、未処理の20°に対して、71〜112°の範囲で制御できることを示している。
本発明の製造方法により、機能性化学品として有用なアシロキシシラン類をより効率的かつ安全に製造できるとともに、新規なアシロキシシラン類、およびその用途を提供できるため、本発明の利用価値は高く、その工業的意義は多大である。

Claims (13)

  1. アルコキシシラン類とカルボン酸無水物を触媒存在下で反応させる反応工程を含むアシロキシシラン類の製造方法であって、前記アルコキシシラン類が、下記一般式(I)で表されるアルコキシシラン類であり、前記カルボン酸無水物が、下記一般式(IIA)または(IIB)で表されるカルボン酸無水物であり、前記触媒が、酸触媒であり、前記反応工程で得られるアシロキシシラン類が、下記一般式(IIIA)または(IIIB)で表されるアシロキシシラン類であることを特徴とする、アシロキシシラン類の製造方法。
    Si(OR4−(p+q+r) (I)
    (式中、p、q、r、およびp+q+rは、0以上3以下の整数である。R、R、およびRは、それぞれ独立に炭素数1〜24の炭化水素基または水素原子であり、Rは、炭素数1〜6のアルキル基である。R、R、およびRが、炭化水素基である場合、炭化水素基の水素原子の一部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
    (R5CO)2O (IIA)
    (式中、R5は、炭素数1〜24の炭化水素基であり、炭化水素基の水素原子の一部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。)

    (式中、R6は、炭素数2〜24の2価の炭化水素基であり、炭化水素基の水素原子の一部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
    Si(OR4−(p+q+r+s)(OCOR5s (IIIA)
    (式中、p、q、r、R、R、R、R、およびR5は、それぞれ前記と同義であり、sは、1以上4−(p+q+r)以下の整数である。)

    (式中、p、q、r、R1、R2、R3、R4、およびR6は、それぞれ前記と同義であり、sは、1以上4−(p+q+r)以下の整数である。)
  2. 前記酸触媒が、無機系または有機系の酸である、請求項1に記載のアシロキシシラン類の製造方法。
  3. 前記無機系の酸が、規則的細孔および/または層状構造を有する無機系固体酸である、請求項2に記載のアシロキシシラン類の製造方法。
  4. 前記無機系固体酸が、ゼオライトおよび/またはモンモリロナイトである、請求項3に記載のアシロキシシラン類の製造方法。
  5. 前記ゼオライトのシリカ/アルミナ比(物質量比)が3〜1000である、請求項4に記載のアシロキシシラン類の製造方法。
  6. 前記ゼオライトが、USY型、ベータ型、Y型、ZSM−5型、およびモルデナイト型からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項4又は5に記載のアシロキシシラン類の製造方法。
  7. 前記無機系の酸が、鉄、ルテニウム、アルミニウム、スカンジウム、スズ、またはインジウムから選ばれる元素を含む、塩化物、臭化物、または過塩素酸塩である、請求項2に記載のアシロキシシラン類の製造方法。
  8. 前記無機系または有機系の酸が、スルホン酸、スルホニルイミド、または、それらの酸と、鉄、ルテニウム、アルミニウム、スカンジウム、スズ、またはインジウムから選ばれる元素から生成する塩である、請求項2に記載のアシロキシシラン類の製造方法。
  9. 前記反応工程がマイクロ波照射下で行われる、請求項1〜8の何れか1項に記載のアシロキシシラン類の製造方法。
  10. 下記一般式(IIIC)または(IIID)で表されるアシロキシシラン類。
    7 s8 tSi(OR94−(s+t+u)(OCOR10u (IIIC)
    (式中、R7、R8、R9、およびR10は、それぞれ独立に炭素数1〜12の炭化水素基または水素原子の一部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜12の炭化水素基であり、それらのうち少なくとも一つは、炭素数3以上である、アルケニル基である、あるいは、ハロゲン原子を含む。s、t、およびs+tは、0以上2以下の整数である。uおよび4−(s+t+u)は、1以上3以下の整数である。)

    (式中、R11、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立に炭素数1〜12の炭化水素基であり、R15は、炭素数2〜8の2価の炭化水素基である。v、w、x、およびv+w+xは、0以上3以下の整数である。yは、1以上4−(v+w+x)以下の整数である。)
  11. 請求項1〜9の何れかに記載の方法で製造されるアシロキシシラン類を含む表面処理剤。
  12. 請求項10に記載の一般式(IIIC)または(IIID)で表されるアシロキシシラン類を含む表面処理剤。
  13. 請求項11または12に記載の表面処理剤を用いて、固体材料の表面処理を行う方法。
JP2017505386A 2015-03-10 2016-03-09 アシロキシシラン類の製造方法、それにより得られるアシロキシシラン類、およびその用途 Active JP6739733B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015046808 2015-03-10
JP2015046808 2015-03-10
PCT/JP2016/057466 WO2016143835A1 (ja) 2015-03-10 2016-03-09 アシロキシシラン類の製造方法、それにより得られるアシロキシシラン類、およびその用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2016143835A1 true JPWO2016143835A1 (ja) 2018-03-22
JP6739733B2 JP6739733B2 (ja) 2020-08-12

Family

ID=56879489

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017505386A Active JP6739733B2 (ja) 2015-03-10 2016-03-09 アシロキシシラン類の製造方法、それにより得られるアシロキシシラン類、およびその用途

Country Status (3)

Country Link
US (1) US10316046B2 (ja)
JP (1) JP6739733B2 (ja)
WO (1) WO2016143835A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108358963A (zh) * 2018-03-14 2018-08-03 广州雷斯曼新材料科技有限公司 一种应用于硅酮密封胶的酸性交联剂及其制备方法
JP7129693B2 (ja) * 2018-06-20 2022-09-02 国立研究開発法人産業技術総合研究所 アルコキシ基とアシロキシ基を有するシラン類の製造方法、新規なシラン類、およびそれらの用途
JP7497011B2 (ja) * 2020-03-25 2024-06-10 国立研究開発法人産業技術総合研究所 カルボシランの製造方法
JP7497014B2 (ja) 2020-04-15 2024-06-10 国立研究開発法人産業技術総合研究所 アシロキシシランの製造方法
CN114315890B (zh) * 2022-01-05 2023-11-17 湖北江瀚新材料股份有限公司 一种甲基丙烯酰氧丙基三乙酰氧基硅烷的制备方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS49133331A (ja) * 1973-05-02 1974-12-21
JPH04295486A (ja) * 1991-03-25 1992-10-20 Nippon Shokubai Co Ltd 有機珪素化合物におけるモノ交換体化合物の製造方法
JPH10230166A (ja) * 1997-02-20 1998-09-02 Asahi Chem Ind Co Ltd 固定化ビスパーフルオロアルキルスルホニルイミド金属塩を含有する触媒
JP2002275140A (ja) * 2001-03-15 2002-09-25 Sumitomo Chem Co Ltd β−アミノカルボニル化合物の製造方法
JP2003073383A (ja) * 2001-07-06 2003-03-12 Atofina シラン化(メタ)アクリレートの製造方法
JP2003212823A (ja) * 2002-01-18 2003-07-30 Mitsubishi Rayon Co Ltd アダマンタン誘導体の製造方法
WO2014136822A1 (ja) * 2013-03-07 2014-09-12 独立行政法人産業技術総合研究所 アルコキシシラン類の製造方法

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE882401C (de) 1946-11-29 1953-07-09 Rhone Poulenc Sa Verfahren zur Herstellung von Mono- und Dimethylacetoxysilanen
GB1212365A (en) * 1966-12-10 1970-11-18 Sanyo Electric Co A microwave heating apparatus
DE2801780A1 (de) 1978-01-17 1979-07-19 Wacker Chemie Gmbh Verfahren zum herstellen von acyloxysilanen und gegebenenfalls acyloxysiloxanen
JPS5761052A (en) 1980-09-30 1982-04-13 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The Molding composition
US4379766A (en) 1982-06-01 1983-04-12 Conoco Inc. Silyl esters of carboxylic acids by phase transfer catalysts
JPH03156468A (ja) 1989-11-15 1991-07-04 Ricoh Co Ltd 静電潜像現像用トナー
JPH0770152A (ja) 1993-09-03 1995-03-14 Yokohama Rubber Co Ltd:The アシロキシシランの製造方法
US5902892A (en) 1996-10-17 1999-05-11 Sivento Inc. Preparation of acyloxysilanes
JPH10182666A (ja) 1996-12-20 1998-07-07 Chisso Corp アシルオキシシランの製造方法
JP5968585B2 (ja) * 2010-06-28 2016-08-10 コニカミノルタ株式会社 電子写真感光体の製造方法
US8679711B2 (en) 2010-06-28 2014-03-25 Konica Minolta Business Technologies, Inc. Electrophotographic photoreceptor

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS49133331A (ja) * 1973-05-02 1974-12-21
JPH04295486A (ja) * 1991-03-25 1992-10-20 Nippon Shokubai Co Ltd 有機珪素化合物におけるモノ交換体化合物の製造方法
JPH10230166A (ja) * 1997-02-20 1998-09-02 Asahi Chem Ind Co Ltd 固定化ビスパーフルオロアルキルスルホニルイミド金属塩を含有する触媒
JP2002275140A (ja) * 2001-03-15 2002-09-25 Sumitomo Chem Co Ltd β−アミノカルボニル化合物の製造方法
JP2003073383A (ja) * 2001-07-06 2003-03-12 Atofina シラン化(メタ)アクリレートの製造方法
JP2003212823A (ja) * 2002-01-18 2003-07-30 Mitsubishi Rayon Co Ltd アダマンタン誘導体の製造方法
WO2014136822A1 (ja) * 2013-03-07 2014-09-12 独立行政法人産業技術総合研究所 アルコキシシラン類の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6739733B2 (ja) 2020-08-12
US20180044359A1 (en) 2018-02-15
US10316046B2 (en) 2019-06-11
WO2016143835A1 (ja) 2016-09-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6739733B2 (ja) アシロキシシラン類の製造方法、それにより得られるアシロキシシラン類、およびその用途
JP7157998B2 (ja) シロキサン化合物の製造方法、新規なシロキサン化合物、およびそれらの用途
US9657039B2 (en) Production method for alkoxysilanes
JP7129693B2 (ja) アルコキシ基とアシロキシ基を有するシラン類の製造方法、新規なシラン類、およびそれらの用途
JP2018165261A (ja) ボロシロキサンの製造方法
Kadam et al. Mild and efficient silylation of alcohols and phenols with HMDS using Bi (OTf) 3 under solvent-free condition
JP7497014B2 (ja) アシロキシシランの製造方法
JP7497011B2 (ja) カルボシランの製造方法
JP7560857B2 (ja) スルホン酸シリルエステルの製造方法および新規なケイ素化合物
JP6631907B2 (ja) アルコキシシラン類、オリゴシロキサン類およびその製造方法
JP2023083771A (ja) アシロキシシラン類の製造方法
JP7551100B2 (ja) スルホン酸シリルエステルの製造方法および新規なケイ素化合物
JP2021130642A (ja) シロキサン化合物の製造方法、新規なシロキサン化合物、およびそれらの用途
JP7539140B2 (ja) アシロキシシランの製造方法
JP7370053B2 (ja) シラノール類の製造方法および新規なシラノール類
JP2023079049A (ja) チオノアシロキシシラン類の製造方法
EP2028183B1 (en) Novel epoxy compound and method for producing the same
JP7489711B2 (ja) ジメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物の製造方法
JP2023110137A (ja) ハロシラン類の製造方法
JP5052209B2 (ja) 新規エポキシ化合物とその製造方法
JP2022124640A (ja) アルキニルシランの製造方法
JP2022022505A (ja) アルキニルシランの製造方法
JP5319033B2 (ja) シラオキサシクレンの製造
Safa et al. Synthesis of 2-aryl-1, 1-bis (silyl) alkenes containing alkyl (aryl) amine groups
PL165181B1 (pl) Sposób otrzymywania 3-podstawlonych trl{alkoksy,alkllo} slllloalkllowych pochodnych /ddiketnóów

Legal Events

Date Code Title Description
AA64 Notification of invalidation of claim of internal priority (with term)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A241764

Effective date: 20171114

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171226

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180531

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190319

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190517

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191029

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191220

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200602

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200630

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6739733

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250