JP2021130642A - シロキサン化合物の製造方法、新規なシロキサン化合物、およびそれらの用途 - Google Patents

シロキサン化合物の製造方法、新規なシロキサン化合物、およびそれらの用途 Download PDF

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浩 山下
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真紀子 羽鳥
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Masayasu IGARASHI
正安 五十嵐
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Kazuhiko Sato
一彦 佐藤
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Abstract

【課題】機能性化学品として有用なSi−O−Si結合を有するシロキサン化合物を効率的に製造する方法、新規なシロキサン化合物、および、シロキサン化合物の用途の提供。【解決手段】触媒の存在下で、Si−OCO結合(OCOはオキシカルボニル基のO−C(=O)を示す。)を有する第1のアシロキシシランとSi−OH結合を有する第1のシラノールとを反応させる第1の反応工程を含み、前記触媒が、下記(1)または(2)から選ばれる塩基性化合物である、シロキサン化合物の製造方法。(1)アルカリ金属の炭酸塩または酢酸塩。(2)共役酸のpKaが6〜50である有機化合物、アミジン化合物、グアニジン化合物、脂肪族系の3級もしくは2級アミン、ホスファゼン化合物、または、それらの化合物に由来する基を有する、有機ポリマー系もしくは無機系の化合物。【選択図】なし

Description

本開示は、シロキサン化合物の効率的な製造方法、それにより得られる新規なシロキサン化合物、および、それらの用途に関する。
Si−O−Si結合を有する、ジシロキサン、トリシロキサン、ポリシロキサン等のシロキサン化合物は、オイル、ゴム、レジン等の形態で、建築、電気、自動車、医療、生活用品等、産業上のさまざまな分野で利用される機能性化学品および機能性材料である。そのようなケイ素系化学品およびケイ素系材料の高機能化および高性能化を図るためには、ケイ素原子の配列を精密に制御することが重要な課題であり、規則的構造を有するSi−O−Si結合を形成する一つの方法として、二種類の異なるケイ素化合物をクロスカップリング形式で反応させる方法が考えられてきた。
そのようなクロスカップリング形式の反応を用いる方法としては、たとえば、(A)クロロシランまたはアシロキシシランとシラノールとを、アシロキシシランまたはシラノールに対して当量以上の塩基を存在させて反応させる方法(特許文献1、非特許文献1)、(B)アミノシランまたはウレイドシランとシラノールとを反応させる方法(非特許文献2〜4)、(C)ヒドロシランまたはアルコキシシランとシラノールとを触媒存在下で反応させる方法(特許文献2、非特許文献4〜6)、(D)クロロシランとアルコキシシランとを触媒存在下で反応させる方法(特許文献3、非特許文献7)、(E)アシロキシシランとシラノールとを、塩基を存在させない条件下(無触媒あるいは酸触媒を用いる条件下)で反応させる方法(特許文献4)等が知られていた。
独国特許第1157611号明細書 特開2015−196672号公報 特開2014−218449号公報 特開2018−184395号公報
K.-A.T.Nguyen, S.R.Clarke, J.Matisons, B.W.Skelton, A.H.White, E.Markovic, Silicon, 6, 21 (2014) C.U.Pittman, Jr.,W.J.Patterson, S.P.Mcmanus, J. Polym. Sci., Polym. Chem. Ed., 14, 1715 (1976) G.N.Babu, S.S.Christopher, R.A.Newmarkt, Macromolecules, 20, 2654 (1987) D.Zhou, Y.Kawakami, Macromolecules, 38, 6902 (2005) Z.M.Michalska, Trans. Met. Chem., 5, 125 (1980) D.B.Thompson, M.A.Brook, J. Am. Chem. Soc., 130, 32 (2008) R.Wakabayashi, K.Kawahara, K.Kuroda, Angew. Chem. Int. Ed., 49, 5273 (2010)
しかし、それらの方法では、加水分解しやすく、腐食性の塩化水素を発生しやすいクロロシランを用いる必要がある(方法A、D);反応で生成する塩化水素またはカルボン酸
を捕捉するために塩基を大量(クロロシランまたはアシロキシシランに対して当量以上)使用する必要がある上、塩基との反応で生成する大量の塩を分離する必要がある(方法A);入手が容易でない場合も多い、アミノシラン、ウレイドシランもしくはアルコキシシラン、または、製造コストが高いヒドロシランを用いる必要がある(方法B、C、D);アシロキシランおよびシラノールの種類またはその組み合わせによっては、反応速度が遅く、目的物を効率よく製造することが困難である(方法E);などの問題点がある。
これらのことから、従来技術の問題点を解決できる、工業的により有利な方法が求められている。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであって、規則的構造のSi−O−Si結合を有するシロキサン化合物をより効率的に製造する方法、その方法等により得られる新規なシロキサン化合物、および、それらのシロキサン化合物の用途、を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、カルボン酸の脱離を伴うアシロキシシランとシラノールのカップリング反応が、特定の塩基性化合物が触媒量存在する条件下において、効率よく進行することなどを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、従来、塩基を使用して反応を行う場合、共生成物であるカルボン酸の中和と捕捉のために、当量以上の塩基を使用していたが(たとえば、特許文献1では、2当量のジアセトキシシランと1当量のシランジオールの反応において、約2.1当量のピリジンを使用)、本発明者等は、さまざまな塩基性化合物による反応促進効果を検討した結果、特定の塩基性化合物を使用する場合には、微量の触媒量でも、効率よく反応が進行することを見出した。
また、生成したシロキサン化合物にアシロキシ基が残存する場合、水、アルコール等の修飾剤を添加することにより、アシロキシ基をヒドロキシ基またはアルコキシ基に変換することが可能である。さらに、ヒドロキシ基を有する修飾後のシロキサン化合物をシラノールとしてアシロキシシランと反応させることにより、配列を制御したオリゴシロキサンの製造を行うこともできる。
加えて、これらの反応で生成した化合物の用途に関して、アシロキシ基等を有するシロキサン化合物は、固体材料の表面処理剤として効果的に使用できる。
すなわち、この出願は以下の発明を提供するものである。
<1>
触媒の存在下で、Si−OCO結合(OCOはオキシカルボニル基のO−C(=O)を示す。)を有する第1のアシロキシシランとSi−OH結合を有する第1のシラノールとを反応させる第1の反応工程を含み、
前記触媒が、下記(1)または(2)から選ばれる塩基性化合物である、Si−O−Si結合を有するシロキサン化合物の製造方法。
(1)アルカリ金属の炭酸塩または酢酸塩
(2)共役酸のpKaが6〜50である有機化合物、アミジン化合物、グアニジン化合物、脂肪族系の3級もしくは2級アミン、ホスファゼン化合物、または、それらの化合物に由来する基を有する、有機ポリマー系もしくは無機系の化合物
<2>
前記(1)の塩基性化合物が、炭酸セシウム、炭酸ルビジウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、酢酸セシウム、酢酸ルビジウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、および、酢酸リチウムから選ばれる化合物である、<1>に記載のシロキサン化合物の製造方法。
<3>
前記(2)の塩基性化合物が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN);7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD);トリエチルアミン;トリプロピルアミン;トリブチルアミン;トリヘキシルアミン;イソプロピルジメチルアミン;ジイソプロピルメチルアミン;ジシクロヘキシルメチルアミン;ジエチルアミン;ジブチルアミン;N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA);1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO);1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン(ABCO);tert−ブチルイミノ−トリ(ピロリジノ)ホスホラン(BTPP);2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチルペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリン(BEMP);1−tert−ブチル−2,2,4,4,4−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2λ,4λ−カテナジ(ホスファゼン)(P2−t−Bu);1−tert−ブチル−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]−2λ,4λ−カテナジ(ホスファゼン)(P4−t−Bu);4−ジメチルアミノピリジン(DMAP);ヘキサメチレンテトラミン(HMTA);および、トリメチルアミン、ジソプロピルメチルアミン、DBU、MTBD、または、BEMPに由来する基を有するポリマー;から選ばれる化合物である、<1>または<2>に記載のシロキサン化合物の製造方法。
<4>
前記第1のアシロキシシランが、下記一般式(IA)で表されるアシロキシシランである、<1>〜<3>の何れかに記載のシロキサン化合物の製造方法。
Si(OCOR (IA)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または水素原子であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよく;Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、前記炭素数1〜10の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)

<5>
前記第1のシラノールが、下記一般式(IIA1)または(IIA2)で表されるシラノールである、<1>〜<4>の何れかに記載のシロキサン化合物の製造方法。
Si(OH)4−(a+b+c) (IIA1)
(式中、a、b、およびcは、それぞれ独立に、0以上3以下の整数であり;a+b+cは、0以上3以下の整数であり;R、R、およびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または水素原子であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
HO(SiRO)H (IIA2)
(式中、dは、2以上4以下の整数であり;RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、またはヒドロキシ基であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
<6>
前記第1のアシロキシシランが、下記一般式(IA)で表されるアシロキシシランであり、
前記第1のシラノールが、下記一般式(IIA2)で表されるシラノールであり、
前記第1の反応工程の反応生成物が、下記一般式(IIIA1)で表される環状シロキサン化合物である、<1>〜<3>の何れかに記載のシロキサン化合物の製造方法。
Si(OCOR (IA)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または水素原子であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよく;Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、前記炭素数1〜10の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
HO(SiRO)H (IIA2)
(式中、dは、2以上4以下の整数であり;RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、またはヒドロキシ基であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
Figure 2021130642
(式中、R、R、R、R、およびdは、前記と同義である。)
<7>
前記第1のアシロキシシランが、下記一般式(IA)で表されるアシロキシシランであり、
前記第1のシラノールが、下記一般式(IIA1)または(IIA2)で表されるシラノールであり、
前記第1の反応工程の生成物が、下記一般式(IIA1)または(IIA2)で表されるシラノールのヒドロキシ基の水素原子の一部または全部を、下記一般式(IVA)で表されるアシロキシシリル基で置換した構造を有するシロキサン化合物である、<1>〜<3>の何れかに記載のシロキサン化合物の製造方法。
Si(OCOR (IA)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または水素原子であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよく;Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、前記炭素数1〜10の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
Si(OH)4−(a+b+c) (IIA1)
(式中、a、b、およびcは、それぞれ独立に、0以上3以下の整数であり;a+b+cは、0以上3以下の整数であり;R、R、およびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または水素原子であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
HO(SiRO)H (IIA2)
(式中、dは、2以上4以下の整数であり;RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、またはヒドロキシ基であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
−SiR(OCOR) (IVA)
(式中、R、R、およびRは、前記と同義である。)
<8>
水または下記一般式(VA)で表されるアルコールとの反応により、前記アシロキシシリル基のアシロキシ基を下記一般式(VIA)で表されるアルコキシ基に変換する修飾工程をさらに含む、<7>に記載のシロキサン化合物の製造方法。
ROH (VA)
(式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基である。)
−OR (VIA)
(式中、Rは、前記と同義である。)
<9>
前記第1の反応工程の反応生成物がアシロキシ基を有するシロキサン化合物であり、かつ、
水または下記一般式(VA)で表されるアルコールとの反応により、前記アシロキシ基をヒドロキシ基または下記一般式(VIA)で表されるアルコキシ基に変換する修飾工程をさらに含む、<1>〜<3>の何れかに記載のシロキサン化合物の製造方法。
ROH (VA)
(式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基である。)
−OR (VIA)
(式中、Rは、前記と同義である。)
<10>
前記修飾工程が、水との反応により、前記第1の反応工程の前記反応生成物のアシロキシ基をヒドロキシ基に変換する工程であり、
前記(1)または(2)から選ばれる塩基性化合物の存在下で、前記修飾工程の反応生成物とSi−OCO結合を有する第2のアシロキシシランとを反応させる第2の反応工程をさらに含む、<9>に記載のシロキサン化合物の製造方法。
<11>
前記第1の反応工程の反応生成物がアシロキシ基を有し、かつ、
前記(1)または(2)から選ばれる塩基性化合物の存在下で、前記第1の反応工程の前記反応生成物とSi−OH結合を有する第2のシラノールとを反応させる第3の反応工程をさらに含む、<1>〜<3>の何れかに記載のシロキサン化合物の製造方法。
<12>
前記第1のアシロキシシランが、下記一般式(IA)で表されるアシロキシシランであり、
前記第1のシラノールが、下記一般式(IIA1’)で表されるシラノールであり、
前記第1の反応工程の反応生成物が、1分子中にアシロキシ基を1個有するシロキサン化合物であり、かつ、
前記第1の反応工程の後に、
水との反応により、前工程で得たシロキサン化合物のアシロキシ基をヒドロキシ基に変換する修飾工程と、
前記(1)または(2)から選ばれる塩基性化合物の存在下で、前記修飾工程の反応生成物と下記一般式(IA)で表されるアシロキシシランとを反応させ、1分子中にアシロキシ基を1個有するシロキサン化合物を得る第4の反応工程と
を交互に行う、<1>〜<3>の何れかに記載のシロキサン化合物の製造方法。
Si(OCOR (IA)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または水素原子であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよく;Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、前記炭素数1〜10の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
SiOH (IIA1’)
(式中、a、b、およびcは、それぞれ独立に0以上3以下の整数であり;a+b+cは、3であり;R、R、およびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または水素原子であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
<13>
前記第1のアシロキシシランが、下記一般式(IA)で表されるアシロキシシランであり、
前記第1のシラノールが、下記一般式(IIA1’’)または(IIA2)で表されるシラノールであり、かつ、
前記第1の反応工程の反応生成物が、RCO−[Si]−O−(Si)−O−[Si]−OCORで表される骨格を有するアシロキシ末端シロキサン化合物(前記第1のシラノール1分子に対して前記第1のアシロキシシラン2分子が反応して生成する構造であり;[Si]は、前記第1のアシロキシシランに由来するシリレン基であり;(Si)は、前記第1のシラノールに由来するシリレン基であり;Rは、式(IA)中のRと同義である。)であり、かつ、
前記アシロキシ末端シロキサン化合物を、水および前記(1)または(2)から選ばれる塩基性化合物の存在下で反応させて、下記一般式(IIIA2)の構造を有する環状シロキサン化合物を製造する環化工程をさらに含む、<1>〜<3>の何れかに記載のシロキサン化合物の製造方法。
Si(OCOR (IA)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または水素原子であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよく;Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、前記炭素数1〜10の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
Si(OH)4−(a+b) (IIA1’’)
(式中、aおよびbは、それぞれ独立に、0以上2以下の整数であり;a+bは、0以上2以下の整数であり;R、R、およびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または水素原子であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
HO(SiRO)H (IIA2)
(式中、dは、2以上4以下の整数であり;RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、またはヒドロキシ基であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
Figure 2021130642
<14>
下記一般式(IIIB1)〜(IIIB4)で表されるシロキサン化合物。
1011Si−O−SiR1213 (IIIB1)
141516Si−O−SiR1718−O−SiR1920 (IIIB2)
212223Si−O−SiR2425−O−SiR2627−O−SiR
29 (IIIB3)
303132Si−O−SiR3334−O−SiR35−O−SiR363738 (IIIB4)
(これら式中、R〜R38は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、フェニル基、および、ビニル基の中から選ばれる基であり、X〜Xは、それぞれ独立に、アセトキシ基、トリフルオロアセトキシ基、またはヒドロキシ基である。)
<15>
<1>〜<13>の何れかに記載の製造方法で得られるシロキサン化合物であって、アシロキシ基およびヒドロキシ基の少なくとも一方を有するシロキサン化合物、並びに<14>に記載のシロキサン化合物から選ばれるシロキサン化合物を含有する組成物からなる、表面処理剤。
<16>
<15>に記載の表面処理剤を用いて、固体材料の表面処理を行う方法。
本発明により、Si−O−Si結合を有するシロキサン化合物を従来の方法に比べより効率的に製造できるとともに、新規なシロキサン化合物、および、それらのシロキサン化合物の用途、を提供できるという効果を有する。
詳細には、本発明の一実施態様であるSi−O−Si結合を有するシロキサン化合物の製造方法(以下、「本実施態様に係る製造方法」と略す場合がある。)は、次のような特徴を有する。
(1)原料および触媒が入手し易く、取り扱いが容易で安全性も高い。
(2)室温程度の温和な条件でも反応が進行する。
(3)大量の塩などの廃棄物を生じない。
(4)固体触媒を使用する場合、触媒の分離、回収、および再利用を容易に行うことができる。
(5)ジシロキサン系の化合物だけでなく、トリシロキサン系、テトラシロキサン系など、さまざまな種類のシロキサン化合物を製造できる。
(6)アシロキシ基等を有するシロキサン化合物は、固体材料の表面処理剤として、効果的に利用できる。
本実施態様に係る製造方法は、製造プロセスの低コスト化、高効率化、新規なシロキサン化合物、それらの用途の提供等を可能にするもので、従来技術に比べて経済性、低環境負荷性、高性能高機能性化学品、高性能高機能性材料等の創出等の面で、大きな利点を有する。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、特段の記載がない限り、本明細書中のある式中の記号が他の式においても用いられる場合、同一の記号は同一の意味を示す。
1.第1の反応工程
本発明の一実施態様に係るシロキサン化合物の製造方法は、Si−OCO結合を有する第1のアシロキシシランと、Si−OH結合を有する第1のシラノールを、特定の塩基性化合物が存在する条件下において反応させ、Si−O−Si結合を有するシロキサン化合物を生成させる第1の反応工程を含む。
第1の反応工程は、触媒である塩基性化合物の存在下で、第1のアシロキシシランに対する第1のシラノールの求核的置換反応を行う工程であり、前記求核置換反応は、カルボン酸の脱離を伴いながら進行する。
1−1.第1のアシロキシシラン
本実施態様において、原料として使用することができる第1のアシロキシシランとしては、たとえば、下記一般式(IA)で表されるアシロキシシランが挙げられる。
Si(OCOR (IA)
一般式(IA)において、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または水素原子であり、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基である。前記炭素数1〜20の炭化水素基、前記炭素数1〜20のアルコキシ基および前記炭素数1〜10の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。
炭化水素基の具体例としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基等が挙げられる。
およびRで表される炭素数1〜20の炭化水素基がアルキル基の場合、炭素数が好ましくは1〜16、より好ましくは1〜12である。アルキル基の炭素上の水素原子の一部または全部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。なお、アルキル基は、直鎖状、分岐状および環状の何れであってもよい。
反応に関与しない基の具体例としては、炭素数が1〜6のアルコキシ基、炭素数が1〜6のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等が挙げられる。アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子をより具体的に示せば、メトキシ基、エトキシ基、ヘキソキシ基等のアルコキシ基;メトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;を挙げることができる。
反応に関与しない基で置換されていてもよいアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、2−メトキシエチル基、3−エトキシプロピル基、2−メトキシカルボニルエチル基、トリフルオロメチル基、3−クロロプロピル基等が挙げられる。
また、RおよびRで表される炭素数1〜20の炭化水素基がアリール基の場合、炭化水素環系または複素環系の1価の芳香族有機基を使用できる。アリール基が炭化水素環系の場合、炭素数が好ましくは6〜18、より好ましくは6〜14である。それらアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基等が挙げられる。また、アリール基が複素環系の場合、複素環中のヘテロ原子は硫黄、酸素原子等であり、炭素数が好ましくは4〜12、より好ましくは4〜8であり、それらアリール基の具体例としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基等が挙げられる。
アリール基の水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。反応に関与しない基の具体例としては、前記のアルキル基の場合に示したもの等を挙げることができる。また、その他の反応に関与しない基として、環上の2つの炭素原子を結合させる2価の基であるオキシエチレン基、オキシエチレンオキシ基等が挙げられる。
反応に関与しない基で置換されていてもよいアリール基の具体例としては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、オクトキシフェニル基、メチル(メトキシ)フェニル基、フルオロ(メチル)フェニル基、クロロ(メトキシ)フェニル基、ブロモ(メトキシ)フェニル基、2,3−ジヒドロベンゾフラニル基、1,4−ベンゾジオキサニル基等が挙げられる。
さらに、RおよびRで表される炭素数1〜20の炭化水素基がアラルキル基の場合には、炭素数が好ましくは7〜19、より好ましくは7〜15である。アラルキル基の炭素上の水素原子の一部または全部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。反応に関与しない基の具体例としては、上記のアルキル基の場合について示したもの等を挙げる
ことができる。
反応に関与しない基で置換されていてもよいアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、2−ナフチルメチル基、9−アントリルメチル基、(4−クロロフェニル)メチル基、1−(4−メトキシフェニル)エチル基等が挙げられる。
また、RおよびRで表される炭素数1〜20の炭化水素基がアルケニル基の場合には、炭素数が好ましくは2〜18、より好ましくは2〜14である。アルケニル基の炭素上の水素原子の一部または全部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。反応に関与しない基の具体例としては、前記のアルキル基の場合について示したもの等の他、前記に示したアリール基等を挙げることができる。
反応に関与しない基で置換されていてもよいアルケニル基の具体例としては、ビニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、5−ヘキセニル基、9−デセニル基、2−フェニルエテニル基、2−(メトキシフェニル)エテニル基、2−ナフチルエテニル基、2−アントリルエテニル基等が挙げられる。
一方、RおよびRで表される炭素数1〜20の炭化水素基がアルコキシ基の場合は、炭素数が好ましくは1〜16、より好ましくは1〜12である。アルコキシ基の炭素上の水素原子の一部または全部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。反応に関与しない基の具体例としては、前記のアルキル基の場合について示したもの等を挙げることができる。
反応に関与しない基を有していてもよいアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
で表される炭素数1〜10の炭化水素基は、炭素数が好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3である。炭素数1〜10の炭化水素基の具体例としては、RおよびRで表される1〜20の炭化水素基の具体例として挙げたものの中で、炭素数1〜10のもの等が挙げられる。炭素数1〜10の炭化水素基は、炭素上の水素原子の一部または全部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。反応に関与しない基の具体例としては、RおよびRで表される1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20のアルコキシ基が有していてもよい反応に関与しない基として示した官能基等が挙げられる。
反応に関与しない基を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
したがって、それらの炭化水素基等を有する前記一般式(IA)のアシロキシシランの具体例としては、ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc))、ジアセトキシジエチルシラン(EtSi(OAc))、ジアセトキシメチルフェニルシラン(MePhSi(OAc))、ジアセトキシジフェニルシラン(PhSi(OAc))、ジアセトキシ(ベンジル)メチルシラン((PhCH)MeSi(OAc))、ジアセトキシメチルビニルシラン(MeViSi(OAc))、ジアセトキシフェニルビニルシラン(PhViSi(OAc))、ジアセトキシジビニルシラン(ViSi(OAc))、ジアセトキシメチルシラン(HMeSi(OAc))、ジメチルビス(トリフルオロアセトキシ)シラン(MeSi(OCOCF)、メチルフェニルビス(トリフルオロアセトキシ)シラン(MePhSi(OCOCF)等を挙げることができる。
1−2.第1のシラノール
前記第1のアシロキシシランと反応させる第1のシラノールとしては、たとえば、下記一般式(IIA1)で表されるシラノール(以下、「シラノール(IIA1)」と称することがある。)または下記一般式(IIA2)で表されるシラノール(以下、「シラノール(IIA2)」と称することがある。)が挙げられる。
Si(OH)4−(a+b+c) (IIA1)
HO(SiRO)H (IIA2)
一般式(IIA1)中、a、b、およびcは、それぞれ独立に、0以上3以下の整数であり、a+b+cは、0以上3以下の整数である。また、R、R、およびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または水素原子である。前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。
さらに、一般式(IIA2)中、dは、2以上4以下の整数である。また、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、またはヒドロキシ基である。前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。
〜Rで表される炭素数1〜20の炭化水素基の具体例としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基等が挙げられる。また反応に関与しない基の具体例としては、前記一般式(IA)中のRおよびRで表される1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20のアルコキシ基が有していてもよい反応に関与しない基と同様のものが挙げられる。
炭化水素基中の炭素数に関しては、炭化水素基がアルキル基の場合には、好ましくは1〜16、より好ましくは1〜12であり、さらに好ましくは1〜6であり;アリール基の場合には、好ましくは6〜18、より好ましくは6〜14であり、さらに好ましくは6〜10であり;アラルキル基の場合には、好ましくは7〜19、より好ましくは7〜15であり;アルケニル基の場合には、好ましくは2〜18、より好ましくは2〜14であり、さらに好ましくは2〜8である。
アルキル基、アリール基、アラルキル基およびアルケニル基の具体例としては、前記一般式(IA)のRおよびRの説明において示したもの等を挙げることができる。
〜Rで表される炭素数1〜20のアルコキシ基は、炭素数が、好ましくは1〜16、より好ましくは1〜12であり、炭素上の水素原子の一部または全部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。反応に関与しない基で置換されていてもよいアルコキシ基の具体例としては、前記一般式(IA)のRおよびRの説明において示したもの等を挙げることができる。
したがって、シラノール(IIA1)の具体例としては、トリメチルシラノール(MeSiOH)、トリエチルシラノール(EtSiOH)、tert−ブチルジメチルシラノール(BuMeSiOH)、ジメチルフェニルシラノール(MePhSiOH)、メチルジフェニルシラノール(MePhSiOH)、トリフェニルシラノール(PhSiOH)、ジメチルシランジオール(MeSi(OH))、ジフェニルシランジオール(PhSi(OH))、メチルフェニルシランジオール(MePhSi(OH))、メチルビニルシランジオール(MeViSi(OH))、フェニルビニルシランジオール(PhViSi(OH))、メチルシラントリオール(MeSi(OH))、フェニルシラントリオール(PhSi(OH))、ビニルシラントリオール(ViSi(OH))、トリ−tert−ブトキシシラノール((BuO)SiOH)、シランテトラオール(Si(OH))等が挙げられる。
また、シラノール(IIA2)の具体例としては、1,3−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(HO(SiMeO)H)、1,3−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン(HO(SiPhO)H)、1,1,1,3,3,3−ヘキサヒドロキシジシロキサン(HO[Si(OH)O]H)、1,5−ジヒドロキシ−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(HO(S
iMeO)H)等が挙げられる。
第1のアシロキシシランに対する第1のシラノールのモル比は任意に選ぶことができるが、シロキサン化合物の収率を向上させる観点から、通常0.01以上50以下であり、より好ましくは0.02以上30以下であり、さらに好ましくは0.05以上15以下である。
1−3.触媒
第1のアシロキシシランと第1のシラノールを反応させてシロキサン化合物を製造する第1の反応工程では、反応を促進するために、次の(1)または(2)から選ばれる塩基性化合物を触媒として使用する。
(1)アルカリ金属の炭酸塩または酢酸塩
(2)共役酸のpKaが6〜50である有機化合物、アミジン化合物、グアニジン化合物、脂肪族系の3級もしくは2級アミン、ホスファゼン化合物、または、それらの化合物に由来する基(「基」には「ユニット」を含む。)を有する、ポリマー系もしくは無機系の化合物
(1)の塩基性化合物としては、たとえば、炭酸セシウム、炭酸ルビジウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、酢酸セシウム、酢酸ルビジウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム等が挙げられる。
それらの中で、反応速度の点では、炭酸セシウム、炭酸ルビジウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、酢酸セシウム、酢酸ルビジウム、酢酸カリウム、または酢酸ナトリウムが好ましく、炭酸セシウム、炭酸ルビジウム、炭酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸ルビジウム、または酢酸カリウムがより好ましく、炭酸セシウム、または酢酸セシウムがさらに好ましい。
(2)の塩基性化合物としては、たとえば、共役酸のpKaが6〜50である有機化合物が挙げられる。pKaの範囲については、好ましくは7〜45、より好ましくは7〜42である。
本明細書において、有機化合物の共役酸のpKaは、特に断りのない限り、水中25℃で測定した数値に基づくものであるが、アセトニトリル等の有機溶媒中25℃で測定した数値を使用することもできる。
共役酸のpKaが6〜50の有機化合物については、従来公知の各種の文献に示されているものなどが挙げられる。それら文献の具体例としては、たとえば、下記の参考文献(A)〜(E)が挙げられる。
(A)化学便覧基礎編II(改訂4版)、II−317、丸善、1993
(B)J.Am.Che.Soc.,79,5441(1957)
(C)Beilstein J.Org.Chem.,7,173(2011)
(D)Eur.J.Org.Chem.,4852(2006)
(E)J.Org.Chem.,70,1019(2005)
(F)メルク社ホームページのホスファゼン塩基の製品説明(https://www.sigmaaldrich.com/chemistry/chemical-synthesis/technology-spotlights/phosphazenes.html)
したがって、有機化合物の具体例としては(括弧内は、水中での共役酸のpKaの数値と前記文献の記号を示す。また、*は、アセトニトリル中での共役酸のpKaの数値を示す。)、トリメチルアミン(9.80、A)、トリエチルアミン(10.72、A)、ジエチルアミン(10.98、B)、ジプロピルアミン(11.00、B)、ジブチルアミン(11.25、B)、ジイソプロピルアミン(11.05)、ジイソブチルアミン(1
0.50)、tert−ブチルシクロヘキシルアミン(11.23,B)、ベンジルメチルアミン(9.58、B)、ベンジルエチルアミン(9.68、B)、ジ−sec−ブチルアミン(11.01、B)、ジメチルエチルアミン(9.99、B)、メチルジエチルアミン(10.29、B)、ジメチルプロピルアミン(9.99、B)、ジメチルブチルアミン(10.02、B)、ジメチルイソブチルアミン(9.91、B)、ジメチルイソプロピルアミン(10.30、B)、ジメチル−sec−ブチルアミン(10.40、B)、ジメチル−tert−ブチルアミン(10.52、B)、トリプロピルアミン(10.65、B)、トリブチルアミン(10.89、B)、ベンジルジメチルアミン(8.93、B)、ベンジルジエチルアミン(9.48、B)、N−エチルピペリジン(10.40、B)、N−エチルモルホリン(7.70、B)、N−メチルピペリジン(10.08、B)、N−メチルモルホリン(7.41、B)、N−メチルトリメチレンイミン(10.40、B)、N−メチルピロリジン(10.46、B)、ジイソプロピルエチルアミン(10.75、C)、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン(ABCO)(10.76、D)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)(8.72、D)、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(9.42、D)、N,N,N’,N’−テトラメチルトリメチレンジアミン(9.81、D)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)(24.34*、E)、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD)(25.49*、E)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(17.95*、E)、tert−ブチルイミノ−トリ(ピロリジノ)ホスホラン(BTPP)(28.4*,F)、tert−ブチルイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホラン(P1−t−Bu)(26.9*、F)、2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチルペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリン(BEMP)(27.6*、F)、tert−オクチルイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホラン(P1−t−Oct)(26.5*、F)、1−エチル−2,2,4,4,4−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2λ,4λ−カテナジ(ホスファゼン)(P2−Et)(32.9*、F)、1−tert−ブチル−2,2,4,4,4−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2λ,4λ−カテナジ(ホスファゼン)(P2−t−Bu)(33.5*、F)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]−2λ,4λ−カテナジ(ホスファゼン)(P4−t−Bu)(41.9*、F)、1−tert−オクチル−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]−2λ,4λ−カテナジ(ホスファゼン)(P4−t−Oct)(42.7*、F)等が挙げられる。
また、(2)の塩基性化合物としては、アミジン化合物、グアニジン化合物、脂肪族系の3級または2級アミン、およびホスファゼン化合物を挙げることもできる。なお、これらの塩基性化合物の共役酸のpKaは、特に限定されない。
アミジン化合物、グアニジン化合物、脂肪族系の3級または2級アミン、およびホスファゼン化合物の具体例としては、共役酸のpKaが6〜50である有機化合物として例示した化合物に加え、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)、トリヘキシルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ヘキサメチレンテトラミン(HMTA)等が挙げられる。
さらに、(2)の塩基性化合物としては、共役酸のpKaが6〜50の範囲である有機化合物、アミジン化合物、グアニジン化合物、脂肪族系の3級もしくは2級アミン、またはホスファゼン化合物に由来する基を有する有機ポリマー系(以下、「有機系固体塩基」と称することがある。)または無機系の化合物(以下、「無機系固体塩基」と称することがある。)が挙げられ、各種市販品を用いることができる。
それらの具体例としては、トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、ジソプロピルメチルアミン、メチルピペリジン、DBU、MTBD、BEMP、または、P2−t−Bu
に由来する基等を有する、ポリスチレンゲル(スチレンとジビニルベンゼンの共重合体)、ポリアクリル酸アミド、ポリエチレン、あるいは、シリカゲル等が挙げられる。
有機ポリマー系の化合物について、市販品の具体例を示すと、トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、N−メチルピペリジン、DBU、MTBD、BEMP、または、P2−t−Buに由来する基またはユニットを有するものとしては、メルク社より市販されている、それぞれ、製品番号39205、製品番号31866、製品番号538736、製品番号80723、製品番号595128、製品番号358754、製品番号536490、または、製品番号71477等の化合物が挙げられる。また、アルキル基で置換されたアミノ基を有するポリマーとしては、ダウ・ケミカル社より市販されている、アンバーリストA21等、三菱ケミカル社より市販されている、WA10、WA21J等の化合物が挙げられる。
有機ポリマー系の化合物の中では、ジイソプロピルメチルアミン、DBU、MTBD、または、BEMPに由来する基を有する有機ポリマー系の化合物が好ましく、DBU、MTBD、または、BEMPに由来する基を有する有機ポリマー系の化合物がより好ましい。
有機系固体塩基は、それ自体を触媒として用いてもよく、シリカ等の無機物に担持させたものを触媒として用いてもよい。また、有機系固体塩基と無機系固体塩基とを複数組み合わせて使用してもよい。さらに、有機系固体塩基または無機系固体塩基は、共役酸のpKaが6〜50の範囲である有機化合物、アミジン化合物、グアニジン化合物、脂肪族系の3級もしくは2級アミン、またはホスファゼン化合物と組み合わせて使用してもよい。
原料に対する触媒量は任意に決めることができるが、原料のアシロキシシランあるいはシラノールに対するモル比(固体塩基の場合、塩基性部位のモル比)または重量比では、通常0.0001以上、好ましくは0.001以上、また、通常2以下、好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.1以下である。
1−4.反応条件
第1の反応工程は、反応温度または反応圧力に応じて、液相または気相状態で行うことができる。また、反応装置の形態としては、バッチ型、フロー型等、従来知られている各種形態で行うことができる。
反応温度は、通常は−20℃以上、好ましくは−10〜300℃、より好ましくは、−10〜200℃である。また、第1のアシロキシシランまたは第1のシラノールの反応性を制御するために、室温で反応を行う場合には、室温の温度範囲としては、通常は0〜40℃、好ましくは5〜40℃、より好ましくは10〜35℃である。
さらに、反応圧力は、通常は、0.1〜100気圧で、好ましくは0.1〜50気圧、より好ましくは0.1〜10気圧である。
反応時間は、原料の量、触媒の量、反応温度、反応装置の形態等に依存するが、生産性および効率を考慮すると、通常は、1分〜72時間、好ましくは1分〜48時間、より好ましくは1分〜24時間程度である。
反応を液相系で行う場合、溶媒の有無にかかわらず実施できるが、溶媒を用いる場合には、デカリン(デカヒドロナフタレン)、デカン等の炭化水素;クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;tert−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド;アセト
ン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;等、原料または触媒と反応するものを除いた各種の溶媒が使用可能で、2種以上混合して用いることもできる。
また、核磁気共鳴スペクトル分析で、反応液中の生成物を分析する場合、重アセトニトリル、重ベンゼン、重クロロホルム、重テトラヒドロフラン等、重水素化された化合物を反応溶媒として使用することができる。
さらに、反応を気相で行う場合には、窒素等の不活性ガスを混合して反応を行うこともできる。
第1の反応工程は、マイクロ波照射下で行うこともできる。本工程では、原料である第1のアシロキシシランおよび第1のシラノール等の誘電損失係数が比較的大きく、マイクロ波を効率よく吸収するため、マイクロ波照射下では原料、触媒等が活性化され、反応をより効率的に行うことができる。
マイクロ波照射反応では、接触式または非接触式の温度センサーを備えた各種の市販装置等を使用できる。また、マイクロ波照射の出力、キャビティの種類(マルチモード、シングルモード)、照射の形態(連続的、断続的)等は、反応のスケール、種類等に応じて任意に決めることができる。マイクロ波の周波数としては、通常、0.3〜30GHzである。その中で好ましいのは、産業、科学、または医療分野で使用するために割り当てられたIMS周波数帯で、さらにその中でも、2.45GHz帯、5.8GHz帯等がより好ましい。
また、マイクロ波照射反応では、反応系をより効率よく加熱するために、マイクロ波を吸収して発熱する加熱材(サセプター)を反応系に添加することができる。加熱材の種類としては、活性炭、黒鉛、炭化ケイ素、炭化チタン等、従来公知の各種のものを使用できる。また、先に記載した触媒と加熱材の粉末を混合して、セピオライト、ホルマイト等の適当なバインダーを利用して焼成加工した成形触媒を用いることもできる。
第1の反応工程は、密閉系の反応装置でも進行するが、反応装置を開放系にして、反応生成物を反応系外に連続的に除去することにより、反応をより効率的に進行させることもできる。
本実施態様において、固体触媒を用いる場合、反応後の触媒の分離および回収は、濾過、遠心分離等の方法により容易に行うことができる。
また、生成したシロキサン化合物の精製も、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の有機化学上通常用いられる手段により容易に達せられる。
2.修飾工程
本実施態様に係る製造方法は、第1の反応工程、または、後述する第2の反応工程、第3の反応工程、もしくは第4の反応工程の反応生成物が、アシロキシ基を有するシロキサン化合物である場合、その反応生成物に修飾剤を反応させることで、アシロキシ基を他の官能基に変換する修飾工程を含んでいてもよい。なお、各反応工程と、反応工程後に行う修飾工程は、精製したシロキサン化合物だけでなく、未精製のシロキサン化合物を用いて行うこともできる。すなわち、シロキサン化合物を含む反応液に、修飾剤を添加して、アシロキシ基を他の置換基にワンポットで変換することが可能である。
修飾工程において使用される修飾剤としては、アシロキシ基と反応するものであればとくに制限はなく、たとえば、水、アルコール等を挙げることができる。
修飾剤として水を用いることで、アシロキシ基をヒドロキシ基に変換することができ、修飾剤としてアルコールを用いることで、アシロキシ基をアルコキシ基に変換することが
できる。
アルコールとしては、たとえば、下記一般式(VA)で表されるアルコールが挙げられ、当該アルコールとの反応により、アシロキシ基は下記一般式(VIA)で表されるアルコキシ基に変換される。
ROH (VA)
−OR (VIA)
一般式(VA)および(VIA)において、Rは、炭素数1〜6のアルキル基である。アルキル基の炭素数は好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3である。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等を挙げることができる。それらの基を有する一般式(VA)のアルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等を挙げることができる。また、それらの基を有する一般式(VIA)で表されるアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等を挙げることができる。
また、修飾工程において、たとえば水を反応させる場合には、反応を促進するために、塩基性化合物等を共存させて反応を行うこともできる。そのような塩基性化合物としては、有機系および無機系のものが使用可能である。有機系化合物の具体例としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ピリジン、ジメチルアニリン等を挙げることができる。無機系化合物の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム等を挙げることができる。
それらの塩基性化合物は、触媒量であってもよく、各反応工程において使用するものと同一でも異なっていてもよい。触媒として使用する場合、通常は、とくに塩基を添加することなく、水、アルコール等の修飾剤を、ワンポット的に添加することにより、アシロキシ基を、ヒドロキシ基、アルコキシ基等に変換できる。
修飾剤の量は任意に選ぶことができるが、アシロキシ基を有するシロキサン化合物中のアシロキシ基1個に対するモル比として、通常は1以上30以下、好ましくは1以上20以下、より好ましくは1以上10以下である。また、反応温度も任意に選ぶことができるが、通常は−20℃以上、好ましくは−10〜300℃、より好ましくは−10〜200℃である。反応時間は、アシロキシ基を有するシロキサン化合物の量、触媒の量、反応温度、反応装置の形態等に依存するが、生産性および効率を考慮すると、通常は、1分〜72時間、好ましくは1分〜48時間、より好ましくは1分〜24時間程度である。
3.その他反応工程
本実施態様に係る製造方法は、第1の反応工程または修飾剤として水を用いた修飾工程の反応生成物がアシロキシ基またはヒドロキシ基を有するシロキサン化合物である場合には、第1の反応工程に準じ、当該反応生成物を、シラノールまたはアシロキシシランと反応させてもよい。また、それにより得られたシロキサン化合物がアシロキシ基またはヒドロキシ基を有している場合も同様である。また、アシロキシ基またはヒドロキシ基を有するシロキサン化合物を環化反応に供してもよい。このように、反応工程、修飾工程等を組み合わせることにより、多種多様なシロキサン化合物を製造することができる。
以下に、本実施態様に係る製造方法が、第1の反応工程以外にも含み得る反応工程の例を説明する。
3−1.第2の反応工程
第1の反応工程の反応生成物がアシロキシ基を有するシロキサン化合物であり、修飾剤
として水を用いた修飾工程により該アシロキシ基をヒドロキシ基に変換すると、シラノール基を有するシロキサン化合物が得られる。本実施態様に係る製造方法は、このシラノール基を有するシロキサンを、触媒の存在下でSi−OCO結合を有する第2のアシロキシシランと反応させる第2の反応工程を含んでいてもよい。
第2の反応工程は、第1の反応工程における第1のシラノールを、前記シラノール基を有するシロキサン化合物に変更したものである。従って、第2のアシロキシシランとしては、第1のアシロキシシランと同様のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。また、第2の反応工程における触媒および反応条件としては、第1の反応工程における触媒および反応条件を採用することができる。
なお、第1の反応工程、修飾工程、および第2の反応工程を、ワンポットで連続的に行う場合、第2の反応工程の反応系内には、第1の反応工程の触媒が残存している。そのため、第2の反応工程を行う際に、反応系内に触媒をさらに添加してもよいが、触媒をさらに添加することなく、第1の反応工程の触媒をそのまま用いて第2の反応工程を行ってもよい。
3−2.第3の反応工程
第1の反応工程の反応生成物がアシロキシ基を有するシロキサン化合物の場合、このアシロキシ基を有するシロキサン化合物を、触媒の存在下でSi−OH結合を有する第2のシラノール化合物と反応させる第3の反応工程を行ってもよい。
第3の反応工程は、第1の反応工程における第1のアシロキシシランを、前記アシロキシ基を有するシロキサン化合物に変更したものである。従って、第2のシラノールとしては、第1のシラノールと同様のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。また、第3の反応工程における触媒および反応条件としては、第1の反応工程における触媒および反応条件を採用することができる。
なお、第1の反応工程および第3の反応工程を、ワンポットで連続的に行う場合、第3の反応工程の反応系内には、第1の反応工程の触媒が残存している。そのため、第3の反応工程を行う際に、反応系内に触媒をさらに添加してもよいが、触媒をさらに添加することなく、第1の反応工程の触媒をそのまま用いて第3の反応工程を行ってもよい。
3−3.第4の反応工程
第1の反応工程において、第1のアシロキシシランが上記一般式(IA)で表されるアシロキシシランであり、第1のシラノールが下記一般式(IIA1’)で表されるシラノール(シラノール(IIA1)において、a+b+cが3である態様)であり、かつ、第1の反応工程の反応生成物が1分子中にアシロキシ基を1個有するシロキサン化合物である場合、修飾剤として水を用いた修飾工程により、該アシロキシ基をヒドロキシ基に変換してシラノール基を有するシロキサン化合物とした後に、このシラノール基を有するシロキサン化合物と上記一般式(IA)で表されるアシロキシシランとを、触媒の存在下で反応させる第4の反応工程を行ってもよい。
SiOH (IIA1’)
そして、第4の反応工程の反応生成物が1分子中にアシロキシ基を1個有するシロキサン化合物であれば、さらに修飾剤として水を用いた修飾工程および第4の反応工程を交互に行うことで、配列の制御された所望のオリゴシロキサン化合物またはポリシロキサン化合物を得ることができる。
第4の反応工程は、第1の反応工程における第1のシラノールを、修飾工程により得られた前記シラノール基を有するシロキサン化合物に変更したものである。
第4の反応工程における触媒および反応条件としては、第1の反応工程における触媒および反応条件を採用することができる。
なお、第1の反応工程、修飾工程、第4の反応工程、ならびに必要に応じて修飾工程および第4の反応工程を交互に行う場合であって、これらの一連の反応をワンポットで行う場合、第4の反応工程の反応系内には、第1の反応工程の触媒が残存している。そのため、第4の反応工程を行う際に、反応系内に触媒をさらに添加してもよいが、触媒をさらに添加することなく、第1の反応工程の触媒をそのまま用いて第4の反応工程を行ってもよい。
3−4.環化工程
第1の反応工程において、上記一般式(IA)で表されるアシロキシシランと、下記一般式(IIA1’’)で表されるシラノール(シラノール(IIA1)において、aおよびbが、それぞれ独立に0以上2以下の整数であり、a+bが0以上2以下の整数である態様)または上記一般式(IIA2)で表されるシラノールとを1:2のモル比で反応させ、第1の反応工程の反応生成物としてRCO−[Si]−O−(Si)−O−[Si]−OCORで表される骨格を有するアシロキシ末端シロキサン化合物([Si]は、前記第1のアシロキシシランに由来する下記シリレン基であり;(Si)は、前記第1のシラノールに由来する下記シリレン基であり;Rは、式(IA)中のRと同義である。)を得た場合は、続けて環化工程を行ってもよい。
環化工程では、前記アシロキシ末端シロキサン化合物を水の存在下で反応させることで、一方の末端アシロキシ基がヒドロキシ基に変換し、続いて、触媒の存在下での分子内環化反応により、環状シロキサン化合物を合成する。かかる反応により、下記一般式(IIIA2)の構造を有する環状シロキサン化合物を製造することができる。
Figure 2021130642
Figure 2021130642
環化工程は、修飾剤として水を用いた修飾工程と同様に行うことができる。
また、本工程において用いる触媒としては、第1の反応工程における触媒を採用することができる。
なお、第1の反応工程および環化工程をワンポットで連続的に行う場合、環化工程の反応系内には、第1の反応工程の触媒が残存している。そのため、環化工程を行う際に、反応系内に触媒をさらに添加してもよいが、触媒をさらに添加することなく、第1の反応工程の触媒をそのまま用いて環化工程を行うことができる。
本工程において、添加する水の量は、とくに限定されないが、RCO−[Si]−O−(Si)−O−[Si]−OCORの骨格を有するシロキサン化合物に対する収率を考慮すれば、RCO−[Si]−O−(Si)−O−[Si]−OCORの1骨格当たり、好ましくは1〜5当量で、より好ましくは1〜3当量である。
また、とくに水を添加しなくても、第1のアシロキシシランと第1のシラノールとの反応を行う際に使用される溶媒に微量の水が含まれる場合は、その水によって分子内環化反応を進行させて、環状構造を有するシロキサン化合物を製造することもできる。
4.反応スキーム
以下に、本実施態様に係る製造方法により、所望のシロキサン化合物を得る際の具体的な反応スキームを示す。
4−1.スキーム1
ジアシロキシシランとシランモノオールとの反応は、たとえば、下記スキーム1で表すことができる。
Figure 2021130642
4−2.スキーム2
アシロキシシランとして、アシロキシ基を2個有する化合物を使用し、シラノールとして、ヒドロキシ基を1〜4個有する化合物を使用する場合、ヒドロキシ基の一部または全部に、アシロキシシランが反応した化合物が生成する。
シラノールの1個のヒドロキシ基に対して、アシロキシ基を2個有するアシロキシシランを当量以上用いて反応させて得られるシロキサン化合物には、反応性のアシロキシ基が1個以上残存するため、適当な修飾剤を反応させて、アシロキシ基を変換したシロキサン化合物を製造することができる。
たとえば、下記スキーム2に示すように、アシロキシ基を2個有するアシロキシシランと、ヒドロキシ基を1個有するシランモノオールの反応で得られるシロキサン化合物(A)において、修飾剤として水を用いた場合には、アシロキシ基をヒドロキシ基に変換したシロキサン化合物であるヒドロキシジシロキサン(B)が生成する。
Figure 2021130642
4−3.スキーム3
下記のスキーム3に示すように、ジアシロキシシランにシランモノオールを反応させて得られる、1分子中に1個のアシロキシ基を有するシロキサン化合物(C)に、水を反応させて、アシロキシ基をヒドロキシ基に変換したシロキサン化合物(D)を製造した後、それをシラノールとして、別のジアシロキシシランを反応させることにより、シロキサン結合の鎖長を伸ばしたシロキサン化合物(E)が得られる。
このシラノールおよびジアルコキシシランの反応工程と水による修飾工程とを繰り返して行うことにより、シロキサン結合の鎖長を順次伸ばすことが可能である。たとえば、末端ケイ素原子上にアシロキシ基またはヒドロキシ基を有するテトラシロキサン化合物の(G)または(H)を得ることができる。
シラノールおよびジアルコキシシランの反応工程と修飾工程とを繰り返して行う工程は、ワンポット的な方法で行うことが可能であり、極めて簡便な操作で、配列を制御したオリゴシロキサン化合物を製造できる。
Figure 2021130642
4−4.スキーム4
スキーム3に示したような、シラノールおよびジアルコキシシランの反応工程と修飾工程とを繰り返す工程において、アシロキシシランとしてトリアシロキシシランを用いることもできる。たとえば、スキーム4に示すように、スキーム3のシラノール(D)に、トリアシロキシシランとシランモノオールを反応させて得られるジアシロキシジシロキサン(J)を反応させることにより、内部ケイ素原子上にアシロキシ基を有するテトラシロキサン(K)を得ることができる。さらに、水による修飾工程を行うことで、内部ケイ素原子上にアシロキシ基を有するテトラシロキサン(L)を得ることもできる。
Figure 2021130642
4−5.スキーム5
前記一般式(IA)のアシロキシシランと前記一般式(IIA2)のシラノールを、1:1のモル比で反応させた場合、一般式(IIIA1)で表される環状シロキサン化合物を製造できる。
Figure 2021130642
この反応では、まず、片方の末端ケイ素原子上にアシロキシ基が結合し、もう片方の末端ケイ素原子にはヒドロキシ基が結合したシロキサン化合物が生成すると考えられる。次いで、このシロキサン化合物は、分子内でアシロキシ基とヒドロキシ基が反応して、環状シロキサン化合物を与える。たとえば、前記一般式(IIA2)において、d=2の場合は、アシロキシ基とヒドロキシ基を有するトリシロキサン化合物が生成した後、分子内環化反応を起こし、シクロトリシロキサン化合物が生成する。
Figure 2021130642
4−6.スキーム6
同様の環状シロキサン化合物は、次のプロセスによっても製造できる。
前記一般式(IA)で表されるアシロキシシランと、下記一般式(IIA1’’)で表されるシラノール(シラノール(IIA1)において、aおよびbが、それぞれ独立に0以上2以下の整数であり、a+bが0以上2以下の整数である態様)または上記一般式(IIA2)表されるシラノールとを2:1のモル比で反応させて、RCO−[Si]−O−(Si)−O−[Si]−OCORで表される骨格を有するシロキサン化合物を製造し、そのシロキサン化合物を水及び触媒の存在下で反応させることにより、下記一般式(IIIA2)の構造を有する環状シロキサン化合物を製造できる。
Si(OH)4−(a+b) (IIA1’’)
Figure 2021130642
なお、[Si]−O−(Si)−O−[Si]は、シラノールのヒドロキシ基1個に対して1分子中に2個のアシロキシ基を有するアシロキシシランが1分子反応して生成する構造であり、[Si]および(Si)は、それぞれ、アシロキシシランおよびシラノールに由来するシリレン基を示す。
たとえば、ジアシロキシランとシランジオールの反応では、次のスキーム6に示すように、それらを1:1のモル比で反応させる場合、ジシロキサン型化合物(M)が生成するが、それらを2:1のモル比で反応させる場合は、そのジシロキサン化合物(M)に、ジアシロキシシランがさらに反応して、両末端にアシロキシ基を有するトリシロキサン化合物(N)が生成する。
このトリシロキサン化合物(N)は、水および触媒の存在下で反応させると、片方のアシロキシ基がヒドロキシ基に変換されるとともに、分子内環化反応が進行して、環状シロキサン化合物(O)が生成する。
Figure 2021130642
環状シロキサン化合物の(O)を製造する際は、いったん(N)を精製してからそれに水を添加して反応させることもできるが、(N)を精製せずに、(N)を含む反応液に水を添加することにより、ワンポットで水を連続的に反応させて(O)を製造することもできる。
5.シロキサン化合物
以下、本実施態様に係る製造方法により製造されるシロキサン化合物について、より具体的に説明する。
第1のアシロキシシランおよび第1のシラノールが、それぞれ、前記一般式(IA)、および、前記一般式(IIA1)または(IIA2)で表される化合物である場合には、前記一般式(IIA1)または(IIA4)のヒドロキシ基の水素原子の一部または全部を、1価のシリル基のR (RCO3−(a+b)Si基(a、b、R、R、およびRは、前記と同義である。)で置換した構造のシロキサン化合物を製造することができる。
したがって、前記一般式(IA)で表されるアシロキシシランと前記一般式(IIA1)で表されるシラノールの反応で製造されるシロキサン化合物の具体例としては、1−アセトキシ−1,1−ジメチル−3,3,3−トリフェニルジシロキサン((AcO)MeSiOSiPh)、1−アセトキシ−3,3,3−トリエチル−1,1−ジメチルジシロキサン((AcO)MeSiOSiEt)、1−アセトキシ−3−tert−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン((AcO)MeSiOSiBuMe)、1−アセトキシ−1,1,3,3−テトラメチル−3−フェニルジシロキサン((AcO)MeSiOSiMePh)、1−アセトキシ−1,1,3−トリメチル−3,3−ジフェニルジシロキサン((AcO)MeSiOSiMePh)、1−アセトキシ−1−メチル−1,3,3,3−テトラフェニルジシロキサン((AcO)MePhSiOSiPh)、1−アセトキシ−3,3,3−トリエチル−1−メチル−1−フェニルジシロキサン((AcO)MePhSiOSiEt)、1−アセトキシ−3−tert−ブチル−1,3,3−トリメチル−1−フェニルジシロキサン((AcO)MePhSiOSiBuMe)、1−アセトキシ−1,3,3−テトラメチル−1,3
−ジフェニルジシロキサン((AcO)MePhSiOSiMePh)、1−アセトキシ−1,3−ジメチル−1,3,3−トリフェニルジシロキサン((AcO)MePhSiOSiMePh)、1−アセトキシ−3,3,3−トリエチル−1,1−ジフェニルジシロキサン((AcO)PhSiOSiEt)、1−アセトキシ−3−tert−ブチル−3,3−ジメチル−1,1−ジフェニルジシロキサン((AcO)PhSiOSiBuMe)、1−アセトキシ−3,3−ジメチル−1,1,3−トリフェニルジシロキサン((AcO)PhSiOSiMePh)、1−アセトキシ−3−メチル−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン((AcO)PhSiOSiMePh)、1−アセトキシ−1,3,3,3−テトラフェニル−1−ビニルジシロキサン((AcO)PhViSiOSiPh)、1−アセトキシ−3,3,3−トリエチル−1−フェニル−1−ビニルジシロキサン((AcO)PhViSiOSiEt)、1−アセトキシ−3−tert−ブチル−3,3−ジメチル−1−フェニル−1−ビニルジシロキサン((AcO)PhViSiOSiBuMe)、1−アセトキシ−3,3−ジメチル−1,3−ジフェニル−1−ビニルジシロキサン((AcO)PhViSiOSiMePh)、1−アセトキシ−3−メチル−1,3,3−トリフェニル−1−ビニルジシロキサン((AcO)PhViSiOSiMePh)、1−アセトキシ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−3,3−ジフェニルジシロキサン((AcO)MeSiOSiPh(OH))、1,5−ジアセトキシ−1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジフェニルトリシロキサン([(AcO)MeSiO]SiPh)、1−アセトキシ−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキサン((AcO)MeSiOSiMe)、1−アセトキシ−1,1,3,3,3−ペンタフェニルジシロキサン((AcO)PhSiOSiPh)、1−アセトキシ−1,3,3,3−テトラメチル−1−フェニルジシロキサン((AcO)MePhSiOSiMe)、1−アセトキシ−3,3,3−トリメチル−1−フェニル−1−ビニルジシロキサン((AcO)PhViSiOSiMe)、1−アセトキシ−3,3,3−トリメチル−1,1−ジフェニルジシロキサン((AcO)PhSiOSiMe)、1,5−ジアセトキシ−1,1,5,5−テトラメチル−3−フェニル−3−ビニルトリシロキサン([(AcO)MeSiO]SiPhVi)、1−アセトキシ−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−3−フェニル−3−ビニルジシロキサン((AcO)MeSiOSiPhVi(OH))、1,5−ジアセトキシ−1,1,3,5,5−ペンタメチル−3−フェニルトリシロキサン(MePhSi[OSiMe(OAc)])、トリス(アセトキシジメチルシロキシ)フェニルシラン(PhSi[OSiMe(OAc)])等を挙げることができる。
さらに、前記の方法で得られるシロキサン化合物にアシロキシ基(−OCOR)が残存している場合、修飾工程として、たとえば水を反応させて、残存しているアシロキシ基をヒドロキシ基に変換したシロキサン化合物を製造することができる。
たとえば、前記一般式(IA)で表されるアシロキシシランと、前記一般式(IIA)で表されるシラノールを反応させて得られるシロキサン化合物に、水を反応させて得られるシロキサン化合物の具体例としては、1,1−ジメチル−1−ヒドロキシ−3,3,3−トリフェニルジシロキサン((HO)MeSiOSiPh)、1,1,1−トリエチル−3−ヒドロキシ−3,3−ジメチルジシロキサン((HO)MeSiOSiEt)、1−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン((HO)MeSiOSiBuMe)、1−ヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチル−3−フェニルジシロキサン((HO)MeSiOSiMePh)、1−ヒドロキシ−1,1,3−トリメチル−3,3−ジフェニルジシロキサン((HO)MeSiOSiMePh)、1−ヒドロキシ−1−メチル−1,3,3,3−テトラフェニルジシロキサン((HO)MePhSiOSiPh)、1,1,1−トリエチル−3−ヒドロキシ−3−メチル−3−フェニルジシロキサン((HO)MePhSiOSiEt)、1−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−1,1,3−トリメチル−3−フェニ
ルジシロキサン((HO)MePhSiOSiBuMe)、1−ヒドロキシ−1,3,3−トリメチル−1,3−ジフェニルジシロキサン((HO)MePhSiOSiMePh)、1−ヒドロキシ−1,3−ジメチル−1,3,3−トリフェニルジシロキサン((HO)MePhSiOSiMePh)、1,1,1−トリエチル−3−ヒドロキシ−3,3−ジフェニルジシロキサン((HO)PhSiOSiEt)、1−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−3,3−ジフェニルジシロキサン((HO)PhSiOSiBuMe)、1−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−1,1,3−トリフェニルジシロキサン((HO)PhSiOSiMePh)、1−ヒドロキシ−3−メチル−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン((HO)PhSiOSiMePh)、1−ヒドロキシ−1,3,3,3−テトラフェニル−1−ビニルジシロキサン((HO)PhViSiOSiPh)、1,1,1−トリエチル−3−ヒドロキシ−3−フェニル−3−ビニルジシロキサン((HO)PhViSiOSiEt)、1−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−3−フェニル−3−ビニルジシロキサン((HO)PhViSiOSiBuMe)、1−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−1,3−ジフェニル−1−ビニルジシロキサン((HO)PhViSiOSiMePh)、1−ヒドロキシ−3−メチル−1,3,3−トリフェニル−1−ビニルジシロキサン((HO)PhViSiOSiMePh)等を挙げることができる。
また、前記一般式(IA)のアシロキシシランに対して、前記一般式(IIA2)のシラノールを1当量用いて反応させる場合には、前記一般式(IIIA1)で表される環状シロキサン化合物が生成する。たとえば、前記一般式(IIA2)において、d=2の場合には、前記スキーム5に示すように、前記一般式(IA)と前記一般式(IIA2)の反応で生成するアシロキシ基とヒドロキシ基を有するトリシロキサン化合物が、分子内環化反応により、シクロトリシロキサン化合物を与える
それらシクロトリシロキサンの具体例としては、1,1−ジメチル−3,3,5,5−テトラフェニルシクロトリシロキサン((SiMeO)(SiPhO))、1,3,3,5,5−ペンタメチル−1−ビニルシクロトリシロキサン((SiMeViO)(SiMeO))、1,1,3,3−テトラメチル−5−フェニル−5−ビニルシクロトリシロキサン((SiPhViO)(SiMeO))等を挙げることができる。
さらに、アシロキシシランが前記一般式(IA)で表されるアシロキシシランであり、シラノールが前記一般式(IIA1)で表されるシラノールで、かつd+e=0、1、または2、およびf=0を満たすシラノールである反応の場合、RCO−[Si]−O−(Si)−O−[Si]−OCORの骨格を有するシロキサン化合物(シラノールのヒドロキシ基1個に対してアシロキシシランが1分子反応して生成する構造で、[Si]および(Si)は、それぞれ、アシロキシシランおよびシラノールに由来する2価のシリレン基を示す。)が生成するが、これに水を反応させることにより、分子内環化反応が進行して、前記一般式(IIIA2)で表されるシクロトリシロキサン構造を有するシロキサン化合物を製造することができる。
前記のRCO−[Si]−O−(Si)−O−[Si]−OCORの骨格を有する化合物の具体例としては、1,5−ジアセトキシ−1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジフェニルトリシロキサン(PhSi[OSiMe(OAc)])、1,5−ジアセトキシ−1,1,3,5,5−ペンタメチル−3−フェニルトリシロキサン(MePhSi[OSiMe(OAc)])、1,1,5,5−テトラアセトキシ−1,5−ジメチル−3,3−ジフェニルトリシロキサン(PhSi[OSiMe(OAc))、テトラキス(アセトキシジメチルシロキシ)シラン(Si[OSiMe(OAc)])、1,7−ジアセトキシ−1,1,7,7−テトラメチル−3,3,5,5−テトラフェニルテトラシロキサン((AcO)MeSiO(SiPhO)SiMe(O
Ac))等を挙げることができる。
また、それらの反応により製造される一般式(IIIA2)のシロキサン化合物の具体例としては、1,1,3,3−テトラメチル−5,5−ジフェニルシクロトリシロキサン((SiMeO)(SiPhO))、1,1,3,3−テトラメチル−5−ジフェニル−5−ビニルシクロトリシロキサン((SiMeO)(SiPhViO))、1,1,3,3,5−ペンタメチル−5−フェニルシクロトリシロキサン((SiMePhO)(SiMeO))、1,3,3,5,5−ペンタメチル−1−ビニルシクロトリシロキサン((SiMeViO)(SiMeO))、1,1,3,3−テトラメチル−5,5,7,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン((SiMeO)(SiPhO))等を挙げることができる。
また、本実施態様に係る製造方法等により、下記一般式(IIIB1)〜(IIIB4)で表されるシロキサン化合物が提供される。
1011Si−O−SiR1213 (IIIB1)
141516Si−O−SiR1718−O−SiR1920 (IIIB2)
212223Si−O−SiR2425−O−SiR2627−O−SiR2829 (IIIB3)
303132Si−O−SiR3334−O−SiR35−O−SiR363738 (IIIB4)
これら式中、R〜R38は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、フェニル基、および、ビニル基の中から選ばれる基であり、X〜Xは、それぞれ独立に、アセトキシ基、トリフルオロアセトキシ基、またはヒドロキシ基である。
6.シロキサン化合物の用途
本実施態様に係る製造方法等により提供されるシロキサン化合物の中で、反応性が高い、アシロキシ基またはヒドロキシ基を有しているシロキサン化合物は、合成中間体、表面処理剤、ゾルゲル材料の原料等、機能性化学品として高い利用価値を有する。また、ポリマー性シロキサン化合物(ポリシロキサン)が生成する場合は、シリコーン系機能性材料として使用できる。
たとえば、本実施態様に係る製造方法により製造されるシロキサン化合物にアシロキシ基またはヒドロキシ基が存在している場合は、それらの基がガラス等の固体表面と反応性を有しているため、それらのシロキサン化合物を含有する組成物は、固体材料等の表面処理剤として用いることができる。表面処理においては、反応性が高いアシロキシ基が有利で、表面処理に適したアシロキシ基としては、アセトキシ基、トリフルオロアセトキシ基等が挙げられる。
それらのアシロキシ基が存在するシロキサン化合物を用いた表面処理は、固体表面との反応効率が高いため、ガラス等の固体材料に対して、一般に、室温で数分程度の温和な条件下で迅速に表面処理を行うことが可能である。加えて、使用するシロキサン化合物の種類に応じて、固体材料表面の親水性または疎水性を容易に制御することができる。
また、表面処理剤は、本実施態様に係る製造方法により製造されるシロキサン化合物を含有する組成物からなるところ、当該組成物は、単一のシロキサン化合物だけでなく、複数の種類のシロキサン化合物を含んでいてよい。
さらに、本実施態様に係るシロキサン化合物の製造方法では、入手容易な原料から、さまざまなシロキサン化合物を温和な条件下で簡便に製造できるため、生成したシロキサン化合物を含む反応液をそのまま表面処理剤として使用し、固体材料の表面を処理することもできる。
シロキサン化合物を含有する組成物は、必要に応じて、トルエン、ヘキサン、アセトン等のシロキサン化合物と反応しない有機溶剤を含有してもよい。
固体材料の表面処理の方法については、ディップ法(浸漬法)、キャスト法、スピンコート法、スプレーコート法等、従来公知の各種の方法により行うことができる。
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例で使用した主な分析装置等は、以下の通りである。
・核磁気共鳴スペクトル分析(以下、NMRと称する場合がある。):ブルカー製 AVANCE III HD 600MHz(クライオプローブ装着)
・ガスクロマトグラフ分析(以下、GCと称する場合がある。):島津製作所製 GC−2014
・ガスクロマトグラフ質量分析(以下、GC−MSと称する場合がある。):島津製作所製 GCMS−QP2010Plus
・高分解能飛行時間型質量分析(以下、HR−TOF−MSと称する場合がある。):ブルカー製 micrOTOFII
・ショートパス蒸留:柴田科学製 ガラスチューブオーブンGTO−350RD
・分取ゲル浸透クロマトグラフ(以下、分取GPCと称する場合がある。):日本分析工業製 LC−908
・接触角測定:協和界面科学製 自動接触角計DMe−201
また、以下の実施例で使用したアシロキシシラン、シラノール、塩基性化合物等は、いずれも、市販品を用いて、容易に入手または製造できるものである。
たとえば、アシロキシシランのジアセトキシメチルフェニルシラン(MePhSi(OAc))、ジアセトキシフェニルビニルシラン(PhViSi(OAc))、および、ジアセトキシジフェニルシラン(PhSi(OAc))、シラノールのメチルジフェニルシラノール(MePhSiOH)、フェニルビニルシランジオール(PhViSi(OH))は、次の合成例等により、容易に製造できる。
(合成例1)
メチルジ(メトキシ)フェニルシラン(MePhSi(OMe)) 18mmol、無水酢酸 45mmol、および、ゼオライトCBV780(ゼオリスト社製) 75mgを反応容器に入れ、60℃で30分撹拌した。触媒を濾別後、トルエンで洗浄した(0.8mLで1回)。濾液と洗浄液を合わせて減圧下で濃縮して、ショートパス蒸留(100−110℃/1.5mmHg)を行った結果、ジアセトキシメチルフェニルシラン(MePhSi(OAc))が、16.4mmol(収率91%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.83 (s, 3H, SiCH3), 2.14 (s, 6H, COCH3), 7.39-7.51 and 7.76-7.71 (each m, 5H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -3.0, 22.6, 128.1, 131.0, 131.3, 134.0, 170.6
29Si-NMR (CDCl3): δ -11.7
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 223 (M+-15 (Me), 67), 181 (70), 161 (30), 139 (100), 137 (34), 121 (11), 119 (95), 91 (17), 77 (51), 45 (27), 43 (23)
(合成例2)
ジ(エトキシ)フェニルビニルシラン(PhViSi(OEt)) 12mmol、無水酢酸 30mmol、および、ゼオライトCBV780(ゼオリスト社製) 100mgを反応容器に入れ、100℃で20分撹拌した。触媒を濾別後、トルエンで洗浄した(0.8mLで1回)。濾液と洗浄液を合わせて減圧下で濃縮して、ショートパス蒸留(
130−140℃/1.5mmHg)を行った結果、ジアセトキシフェニルビニルシラン(PhViSi(OAc))が、10.8mmol(収率90%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 2.18 (s, 6H, COCH3), 6.13 (dd, J = 19.7, 4.0 Hz, 1H, SiCH=CHa H b), 6.36 (dd, J = 15.1, 4.0 Hz, 1H, SiCH=CH aHb), 6.42 (dd, J = 19.7, 15.1 Hz, 1H, SiCH=CH2), 7.40-7.52 and 7.74-7.79 (each m, 5H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ 22.6, 128.1, 128.99, 129.00, 131.5, 134.8, 139.4, 170.3
29Si-NMR (CDCl3): δ -29.7
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 250 (M+, 0.54), 223 (45), 190 (39), 181 (71), 173 (21), 149 (17), 148 (12), 139 (100), 131 (58), 123 (18), 121 (16), 104 (11), 89 (26), 77 (17), 45 (25), 43 (25)
(合成例3)
ジ(メトキシ)ジフェニルシラン(PhSi(OMe)) 12mmol、無水酢酸 30mmol、および、ゼオライトCBV780(ゼオリスト社製) 240mgを反応容器に入れ、120℃で30分撹拌した。触媒を濾別後、トルエンで洗浄した(0.8mLで2回)。濾液と洗浄液を合わせて減圧下で濃縮して、ショートパス蒸留(150−160℃/0.6mmHg)を行った結果、ジアセトキシジフェニルシラン(PhSi(OAc))が、11.3mmol(収率94%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 2.23 (s, 6H, COCH3), 7.45-7.57 and 7.84-7.89 (each m, 10H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ 22.7, 128.2, 129.3, 131.6, 135.3, 170.1
29Si-NMR (CDCl3): δ -29.2
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 300 (M+, 0.12), 223 (100), 199 (14), 181 (97), 139 (87), 77 (15), 45 (11), 43 (11)
(合成例4)
(エトキシ)メチルジフェニルシラン(MePhSi(OEt)) 13.4mmol、水 134mmol、ゼオライトCBV780(ゼオリスト社製) 80mg、および、アセトニトリル 8mLを反応容器に入れ、約25℃(室温)で1.5時間撹拌した。触媒を濾別後、アセトニトリルで洗浄した(0.5mLで1回)。濾液と洗浄液を合わせて減圧下で濃縮して、ショートパス蒸留(125−135℃/0.5mmHg)を行った結果、メチルジフェニルシラノール(MePhSiOH)が、12.7mmol(収率95%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.68 (s, 3H, CH3), 3.75 (br s, 1H, OH), 7.41-7.52 and 7.65-7.69 (each m, 10H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -1.1, 128.0, 130.0, 134.2, 137.2
29Si-NMR (CDCl3): δ -2.8
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 214 (M+, 15), 199 (100), 137 (15), 77 (14)
(合成例5)
ジ(エトキシ)フェニルビニルシラン(PhViSi(OEt)) 1mmol、水
20mmol、ゼオライトCBV780(ゼオリスト社製) 6mg、および、アセトニトリル 0.8mLを反応容器に入れ、約25℃(室温)で15分撹拌した。触媒を濾別後、アセトニトリルで洗浄した(0.5mLで1回)。濾液と洗浄液を合わせて、約0℃付近で減圧下濃縮した結果、フェニルビニルシランジオール(PhViSi(OH))が、0.45mmol(収率90%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CD3CN): δ 4.41 (s, 2H, OH), 5.90 (dd, J = 20.3, 4.2 Hz, 1H, SiCH=CHa H b), 6.10 (dd, J = 15.0, 4.2 Hz, 1H, SiCH=CH aHb), 6.20 (dd, J = 20.3, 15.0 Hz, 1H, SiCH=CH2), 7.39-7.47 and 7.64-7.67 (each m, 5H, C6H5)
13C-NMR (CD3CN): δ 128.8, 130.9, 135.0, 135.4, 136.4, 137.4
29Si-NMR (CD3CN): δ -32.6
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 166 (M+, 22), 139 (100), 121 (19), 104 (81), 89 (13), 78 (15), 77 (23), 63 (18), 51 (17), 45 (22)
以下、それらのアシロキシシラン、シラノール等を用いて行ったシロキサン化合物の製造等に関する実施例を示す。
(実施例1)
ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc)) 1.3mmol、トリフェニルシラノール(PhSiOH) 1.2mmol、炭酸セシウム 0.012mmol、および、アセトニトリル 2mLを反応容器に入れ、約25℃(室温)で1時間、振とう攪拌した。生成物の構造をGC、GC−MS、およびNMRで分析して、生成物の収率をNMRで測定した結果、1−アセトキシ−1,1−ジメチル−3,3,3−トリフェニルジシロキサン((AcO)MeSiOSiPh)が、94%の収率で生成したことがわかった(表1−1)。また、その生成物のNMR等の測定結果は表2−1の通りであった。
(実施例2〜101)
反応条件(原料、触媒の種類、溶媒、温度、時間等)を変えて、実施例1と同様に反応および分析を行い、生成物の収率をNMRで測定した結果を表1−1〜表1−6に示す。また、それらの生成物のNMRおよび/またはGC−MSの測定結果は表2−1および表2−2の通りであった。
Figure 2021130642
Figure 2021130642
Figure 2021130642
Figure 2021130642
Figure 2021130642
Figure 2021130642
表1−1〜表1−6中の注釈を以下に示す。
1) Me2Si(OAc)2:ジアセトキシジメチルシラン
MePhSi(OAc)2:ジアセトキシメチルフェニルシラン
PhViSi(OAc)2:ジアセトキシフェニルビニルシラン
Ph2Si(OAc)2:ジアセトキシジフェニルシラン
2) Ph3SiOH:トリフェニルシラノール
Me3SiOH:トリメチルシラノール
Et3SiOH:トリエチルシラノール
tBuMe2SiOH:tert-ブチルジメチルシラノール
Me2PhSiOH:ジメチルフェニルシラノール
MePh2SiOH:メチルジフェニルシラノール
Ph2Si(OH)2:ジフェニルシランジオール
PhViSi(OH)2:フェニルビニルシランジオール
HO(SiPh2O)2H:1,3-ジヒドロキシ-1,1,3,3-テトラフェニルジシロキサン
HO(SiMe2O)2H:1,3-ジヒドロキシ-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン
3) Cs2CO3:炭酸セシウム
K2CO3:炭酸カリウム
Na2CO3:炭酸ナトリウム
AcOCs:酢酸セシウム
AcORb:酢酸ルビジウム
AcOK:酢酸カリウム
AcONa:酢酸ナトリウム
AcOLi:酢酸リチウム
Et3N:トリエチルアミン
Pr3N:トリプロピルアミン
Bu3N:トリブチルアミン
Hex3N:トリヘキシルアミン
iPrMe2N:イソプロピルジメチルアミン
iPr2MeN:ジイソプロピルメチルアミン
iPr2EtN:ジイソプロピルエチルアミン
Et2NH:ジエチルアミン
Bu2NH:ジブチルアミン
Cy2MeN:ジシクロヘキシルメチルアミン
TMEDA:N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン
ABCO:1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン
DABCO:1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン
HMTA:ヘキサメチレンテトラミン
DMAP:ジメチルアミノピリジン
DBU:1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン
DBN:1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン
MTBD:7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン
BTPP:tert-ブチルイミノ-トリ(ピロリジノ)ホスホラン
P2-t-Bu:1-tert-ブチル-2,2,4,4,4-ペンタキス(ジメチルアミノ)-2λ5,4λ5-カテナジ(ホスファゼン)
P4-t-Bu:1-tert-ブチル-4,4,4-トリス(ジメチルアミノ)-2,2-ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]-2λ5,4λ5-カテナジ(ホスファゼン)
PhNH2:アニリン
PhNMe2:ジメチルアニリン
Py:ピリジン
MTBD-Pol:MTBDユニット含有ポリマー(メルク社製、製品番号358754)
BEMP-Pol:BEMPユニット含有ポリマー(メルク社製、製品番号536490)
DBU-Pol:DBUユニット含有ポリマー(メルク社製、製品番号595128)
iPr2N-Pol:ジイソプロピルアミノ基含有ポリマー(メルク社製、製品番号538736)
Amberlyst A21:ジメチルアミノ基含有ポリマー(ダウ・ケミカル社製、アンバーリストA21)
WA10:ジメチルアミノ基含有ポリマー(三菱ケミカル社製、ダイヤイオンWA10)
WA21J:アミノ基含有ポリマー(三菱ケミカル社製、ダイヤイオンWA21J)(ポリマー系の化合物は、減圧下、80℃で乾燥したものを使用)
4) 触媒が低分子の場合のモル数。触媒がポリマーの場合は、塩基性ユニットのモル数(三菱ケミカル製ダイヤイオン以外)または酸吸着量のモル数(三菱ケミカル製ダイヤイオン)。
5) CD3CN:重アセトニトリル
Me2CO:アセトン
MeCN:アセトニトリル
EtCN:プロピオニトリル、
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMAc:N,N-ジメチルアセトアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
6) 25℃は、室温での反応を示す。
7) (AcO)Me2SiOSiPh3:1-アセトキシ-1,1-ジメチル-3,3,3-トリフェニルジシロキサン
(AcO)Me2SiOSiMe3:1-アセトキシ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシロキサン
(AcO)Me2SiOSiEt3:1-アセトキシ-3,3,3-トリエチル-1,1-ジメチルジシロキサン
(AcO)Me2SiOSitBuMe2:1-アセトキシ-3-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン
(AcO)Me2SiOSiMe2Ph:1-アセトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-3-フェニルジシロキサン
(AcO)Me2SiOSiMePh2:1-アセトキシ-1,1,3-トリメチル-3,3-ジフェニルジシロキサン
(AcO)MePhSiOSiMe3:1-アセトキシ-1,3,3,3-テトラメチル-1-フェニルジシロキサン
(AcO)MePhSiOSiEt3:1-アセトキシ-3,3,3-トリエチル-1-メチル-1-フェニルジシロキサン
(AcO)MePhSiOSitBuMe2:1-アセトキシ-3-tert-ブチル-1,3,3-トリメチル-1-フェニルジシロキサン
(AcO)MePhSiOSiMe2Ph:1-アセトキシ-1,3,3-トリメチル-1,3-ジフェニルジシロキサン
(AcO)MePhSiOSiMePh2:1-アセトキシ-1,3-ジメチル-1,3,3-トリフェニルジシロキサン
(AcO)MePhSiOSiPh3:1-アセトキシ-1-メチル-1,3,3,3-テトラフェニルジシロキサン
(AcO)PhViSiOSiMe3:1-アセトキシ-3,3,3-トリメチル-1-フェニル-1-ビニルジシロキサン
(AcO)PhViSiOSiEt3:1-アセトキシ-3,3,3-トリエチル-1-フェニル-1-ビニルジシロキサ
(AcO)PhViSiOSitBuMe2:1-アセトキシ-3-tert-ブチル-3,3-ジメチル-1-フェニル-1-ビニルジシロキサン
(AcO)PhViSiOSiMe2Ph:1-アセトキシ-3,3-ジメチル-1,3-ジフェニル-1-ビニルジシロキサン
(AcO)PhViSiOSiMePh2:1-アセトキシ-3-メチル-1,3,3-トリフェニル-1-ビニルジシロキサン
(AcO)PhViSiOSiPh3:1-アセトキシ-1,3,3,3-テトラフェニル-1-ビニルジシロキサン
(AcO)Ph2SiOSiMe3:1-アセトキシ-3,3,3-トリメチル-1,1-ジフェニルジシロキサン
(AcO)Ph2SiOSiEt3:1-アセトキシ-3,3,3-トリエチル-1,1-ジフェニルジシロキサン
(AcO)Ph2SiOSitBuMe2:1-アセトキシ-3-tert-ブチル-3,3-ジメチル-1,1-ジフェニルジシロキサン
(AcO)Ph2SiOSiMe2Ph:1-アセトキシ-3,3-ジメチル-1,1,3-トリフェニルジシロキサン
(AcO)Ph2SiOSiMePh2:1-アセトキシ-3-メチル-1,1,3,3-テトラフェニルジシロキサン
(AcO)Ph2SiOSiPh3:1-アセトキシ-1,1,3,3,3-ペンタフェニルジシロキサン
(AcO)Me2SiOSiPh2(OH):1-アセトキシ-3-ヒドロキシ-1,1-ジメチル-3,3-ジフェニルジシロキサン
[(AcO)Me2SiO]2SiPh2:1,5-ジアセトキシ-1,1,5,5-テトラメチル-3,3-ジフェニルトリシロキサン
(AcO)Me2SiOSiPhVi(OH):1-アセトキシ-3-ヒドロキシ-1,1-ジメチル-3-フェニル-3-ビニルジシロキサン
[(AcO)Me2SiO]2SiPhVi:1,5-ジアセトキシ-1,1,5,5-テトラメチル-3-フェニル-3-ビニルトリシロキサン
(SiMe2O)(SiPh2O)2:1,1-ジメチル-3,3,5,5-テトラフェニルシクロトリシロキサン
(SiPhViO)(SiMe2O)2:1,1,3,3-テトラメチル-5-フェニル-5-ビニルシクロトリシロキサン
8) NMRによる収率(原料のシラノールに対するシロキサン生成物の収率)。
Figure 2021130642
Figure 2021130642
表2−1および表2−2中の注釈を以下に示す。
1) 各シロキサン化合物の名称は、表1−1〜表1−6の脚注7に記載。
2) 29Si NMRの化学シフト値。NMR溶媒として、CD3CNを使用。緩和試薬Cr(acac)3(クロム(III)アセチルアセトナート)を添加して測定。括弧内はピーク面積の積分比に基づくケイ素原子の個数またはその比。
3) GC-MS:ガスクロマトグラフ質量分析、EI法:電子衝撃イオン化法(70eV)。
4) HR-TOF-MS:高分解能飛行時間型質量分析、ESI法:エレクトロスプレーイオン化法。
本発明のシロキサン化合物の製造方法では、アシロキシシシランとシラノールの反応が、塩基性合物を触媒として用いることにより効率よく進行するため、室温のような温和な条件でも、反応が短時間で終了する。
とくに、ジアシロキシシランとシラノールの反応では、触媒の使用が効果的である。たとえば、ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc))とトリフェニルシラノール(PhSiOH)との反応では、触媒であるアルカリ金属の炭酸塩または酢酸塩の存在下において、アセトニトリル中、25℃で1時間撹拌の条件で、シロキサン化合物(MeSiOSiPh)を65〜94%の収率で得ることができた(実施例1〜7)。一方、触媒が存在しない場合は、シロキサン化合物の収率は0.5%未満であった(比較例1)。
アセトン中で反応を行った場合も、触媒であるアルカリ金属の炭酸塩または酢酸塩の存在下では、25℃で1時間撹拌の条件で、シロキサン化合物(MeSiOSiPh)を76〜93%の収率で得ることができたが(実施例9〜14)、触媒が存在しない場合は、シロキサン化合物の収率は20%であった(比較例2)。
また、ジアセトキシジメチルシランとトリフェニルシラノール以外のシラノールとの反応においても、触媒として炭酸セシウムを用いた場合は、無触媒の場合よりもはるかに高い収率でシロキサン化合物を与えることができた。たとえば、ジアセトキシジメチルシランとトリメチルシラノール(MeSiOH)との反応では、シロキサン化合物の収率は、触媒を用いた場合には89%であり(実施例17)、触媒を用いない場合には18%であった(比較例3)。ジアセトキシジメチルシランとトリエチルシラノール(EtSiOH)との反応では、シロキサン化合物の収率は、触媒を用いた場合には94%であり(実施例18)、触媒を用いない場合には13%であった(比較例4)。ジアセトキシジメチルシランとtert−ブチルジメチルシラノール(BuMeSiOH)との反応では、シロキサン化合物の収率は、触媒を用いた場合には90%であり(実施例19)、触媒を用いない場合には3%であった(比較例5)。また、ジアセトキシジメチルシランとジメチルフェニルシラノール(MePhSiOH)との反応では、シロキサン化合物の収率は、触媒を用いた場合には95%であり(実施例20)、触媒を用いない場合には10%であった(比較例6)。このように、いずれのシラノールでも、触媒が存在する場合は存在しない場合よりはるかに高い収率でシロキサン化合物を得ることができた。
また、触媒として有機塩基を用いた場合、塩基の種類により大きな違いが観察された。
たとえば、ジアセトキシジメチルシランとトリフェニルシラノールとの反応において、共役酸のpKaが10.65のトリエチルアミンまたは24.34のDBUを触媒とした場合、25℃、1時間の反応で、対応するシロキサン化合物が、それぞれ92%および96%の収率で得られた(実施例40、55)。一方、アニリン、ジメチルアニリン、およびピリジンは、その共役酸のpKaが、それぞれ。4.62、5.07、および5.25の塩基性が弱い化合物であり、それらの塩基を触媒として用いた場合は、シロキサン化合物の収率は、それぞれ、<0.5%、<0.5%、または20%の低い値であった(比較例7〜9)。したがって、共役酸のpKaとして6以上の塩基性を有する塩基性化合物を用いることで、反応を効率よく進行させることができると考えられる。
また、加熱条件下での反応でも、触媒の有無により大きな差が観察された。
たとえば、トリエチルアミンを触媒とした場合、0.2mol%のトリエチルアミン存在下、90℃、1時間の反応で、対応するシロキサン化合物が98%の収率で得られた(実施例67)。一方、触媒が存在しない場合は、シロキサン化合物の収率は18%であった(比較例10)。
さらに、シラノールとしてシランジオールを用いた反応系でも、触媒の有無により生成物の種類において、大きな差が観察された。
たとえば、ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc))とジフェニルシランジオール(PhSi(OH))とのモル比が2:1の反応系において、アセトン中、25℃で1時間の反応条件で、酢酸ナトリウムまたは炭酸セシウムを触媒として用いた場合、ジアセトキシジメチルシランとジフェニルシランとが2:1のモル比で反応したシロキサン化合物が、それぞれ、78%または73%の収率で生成した(実施例93、94)。一方、触媒が存在しない場合は、当該シロキサン化合物は生成しなかった(比較例11)。
また、上記以外の溶媒中での反応においても、触媒の有無による大きな差が観察された。
たとえば、重アセトニトリル中、25℃、4時間の反応条件で、トリエチルアミンまたはDBUを触媒にした場合、両者が2:1の比で反応したシロキサン化合物が、それぞれ、81%および92%の収率で生成した(実施例95、96)。一方、触媒が存在しない場合は、当該シロキサンは、4%の収率でしか生成しなかった(比較例12)。
さらに、ジアシロキシシランと1,3−ジヒドロキシジシロキサンから環状シロキサン化合物を合成する反応系でも、触媒の有無による大きな差が見られた。
たとえば、ジアセトキシジメチルシランと1,3−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサンとの反応系において、重アセトニトリル中、25℃、1時間の反応条件で、触媒としてジエチルアミンが存在する場合は、シクロトリシロキサンが97%の収率で生成した(実施例99)。一方、触媒が存在しない場合、シクロトリシロキサンの収率はわずか1%であった(比較例13)。
以上の結果は、本発明の製造方法による特定の塩基性触媒を用いることにより、シロキサン化合物を、室温等の温和な条件下、短時間で効率的に製造できることを示している。
本発明の製造方法によれば、触媒として、ポリマー等に塩基性基を担持した固体塩基を使用することにより、次の実施例に示すように、触媒の回収および再利用を容易に行うことができる。
(実施例102)
ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc)) 0.264mmol、トリフェニルシラノール(PhSiOH) 0.24mmol、MTBDユニット含有ポリマー(メルク社製、製品番号358754) 0.00096mmol、および、アセトニトリル 0.24mLを反応容器に入れ、70℃で20分撹拌した。生成物の構造と収率をNMRで分析した結果、1−アセトキシ−1,1−ジメチル−3,3,3−トリフェニルジシロキサン((AcO)MeSiOSiPh)が、97%の収率で生成したことがわかった。
固体触媒のポリマーを遠心分離で分離し、ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc)) 0.264mmol、トリフェニルシラノール(PhSiOH) 0.24mmol、およびアセトニトリル 0.24mLの混合物を添加して、70℃で20分撹拌した。生成物を同様に分析した結果、同じシロキサン化合物が、99%の収率で生成したことがわかった。
固体触媒の遠心分離と、再利用の反応を、さらに3回繰り返して行った結果、シロキサン化合物の収率は、99%、99%、および96%であった。
これらの結果は、この固体触媒を用いた反応系では、収率の低下を伴わずに、触媒の回収と再利用を繰り返して行うことができることを示すものである。
生成したシロキサン化合物中にアシロキシ基が残存している場合は、修飾剤を添加することにより、アシロキシ基を他の置換基に容易に変換することができる。この修飾工程の反応は、精製したシロキサン化合物だけでなく、未精製のシロキサン化合物を用いて行うこともでき、シロキサン化合物を含む反応液に、修飾剤を添加して、アシロキシ基を他の置換基にワンポットで変換することも可能である。
とくに、修飾剤として、水、アルコール等を用いる場合は、反応工程で使用する塩基性化合物が、修飾工程においても触媒として作用し、修飾反応をより効率的に行うことができる。
修飾剤として、水またはメタノールを用いて、アシロキシ基が残存するシロキサン化合物の変換反応を行った結果を、次の実施例に示す。
(実施例103)
1−アセトキシ−1,1−ジメチル−3,3,3−トリフェニルジシロキサン((AcO)MeSiOSiPh) 0.006mmol、水 0.3mmol、および、アセトニトリル 0.2mLを反応容器に入れ、90℃で1時間加熱した。生成物の構造と収率をNMRで分析した結果、1−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−3,3,3−トリフェニルジシロキサン((HO)MeSiOSiPh)が、≧95%の収率で生成したことがわかった(表3−1)。また、その生成物のNMR等の測定結果は表4−1の通りであった。
(実施例104〜128)
反応条件(シロキサン化合物の種類等)を変えて、実施例103と同様に反応および分析を行い、生成物の収率をNMRで測定した結果を表3−1および表3−2に示す。また、生成物のNMR等の測定結果は表4−1および表4−2の通りであった。
生成したシロキサン化合物の両末端にアシロキシ末端が残存している場合は、水の存在下での反応により、環状シロキサンを製造することが可能である。
実施例103〜126の修飾工程と同様の反応条件で、アシロキシ末端シロキサン化合物の環化反応を行った結果を、次の実施例に示す。
(実施例129〜133)
シロキサン化合物をアシロキシ末端シロキサン化合物に変え、反応条件を表3−2の通りに代えた以外は、実施例103〜126と同様の手順で反応を行い、環状シロキサン化合物を製造した。生成物の収率をNMRで測定した結果を表3−2に示す。また、生成物のNMR等の測定結果は表4−2の通りであった。
Figure 2021130642
Figure 2021130642
表3−1および表3−2中の注釈を以下に示す。
1) アシロキシ基含有シロキサンは、表1−1〜表1−6の実施例または同様の条件の反応で生成したもので、精製後のアシロキシ基含有シロキサン化合物、または、それらを製造する反応で得られた反応溶液を用いて、修飾剤との反応を行った。
2) H2O:水
MeOH:メタノール
3) 触媒の名称については、表1−1〜表1〜6の脚注3)を参照。
4) MeCN:アセトニトリル
CD3CN:重アセトニトリル
5) 25℃は、室温での反応を示す。
6) (HO)Me2SiOSiPh3:1-ヒドロキシ-1,1-ジメチル-3,3,3-トリフェニルジシロキサン
(HO)Me2SiOSiEt3:1,1,1-トリエチル-3-ヒドロキシ-3,3-ジメチルジシロキサン
(HO)Me2SiOSitBuMe2:1-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン
(HO)Me2SiOSiMe2Ph:1-ヒドロキシ-1,1,3,3-テトラメチル-3-フェニルジシロキサン
(HO)MePhSiOSiEt3:1,1,1-トリエチル-3-ヒドロキシ-3-メチル-3-フェニルジシロキサン
(HO)MePhSiOSitBuMe2:1-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-1,1,3-トリメチル-3-フェニルジシロキサン
(HO)MePhSiOSiMe2Ph:1-ヒドロキシ-1,3,3-トリメチル-1,3-ジフェニルジシロキサン
(HO)MePhSiOSiMePh2:1-ヒドロキシ-1,3-ジメチル-1,3,3-トリフェニルジシロキサン
(HO)PhViSiOSiEt3:1,1,1-トリエチル-3-ヒドロキシ-3-フェニル-3-ビニルジシロキサン
(HO)PhViSiOSitBuMe2:1-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-1,1-ジメチル-3-フェニル-3-ビニルジシロキサン
(HO)PhViSiOSiMe2Ph:1-ヒドロキシ-3,3-ジメチル-1,3-ジフェニル-1-ビニルジシロキサン
(HO)PhViSiOSiMePh2:1-ヒドロキシ-3-メチル-1,3,3-トリフェニル-1-ビニルジシロキサン
(HO)Ph2SiOSiEt3:1,1,1-トリエチル-3-ヒドロキシ-3,3-ジフェニルジシロキサン
(HO)Ph2SiOSitBuMe2:1-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-1,1-ジメチル-3,3-ジフェニルジシロキサン
(HO)MePhSiOSiPh3:1-ヒドロキシ-1-メチル-1,3,3,3-テトラフェニルジシロキサン
(HO)Ph2SiOSiMe2Ph:1-ヒドロキシ-3,3-ジメチル-1,1,3-トリフェニルジシロキサン
(SiMe2O)2(SiPh2O):1,1,3,3-テトラメチル-5,5-ジフェニルシクロトリシロキサン
(SiMe2O)2(SiPhViO):1,1,3,3-テトラメチル-5-ジフェニル-5-ビニルシクロトリシロキサン
(MeO)Me2SiOSiPh3:1,1-ジメチル-1-メトキシ-3,3,3-トリフェニルジシロキサン
[(MeO)Me2SiO]2SiPh2:1,1,5,5-テトラメチル-1,5-ジメトキシ-3,3-ジフェニルトリシロキサン
7) NMRによる収率(アシロキシ基含有シロキサンに対する収率)。
Figure 2021130642
Figure 2021130642
表4−1および表4−2中の注釈を以下に示す。
1) 各シロキサン化合物の名称は、表3−1および表3−2の脚注6に記載。
2) 29Si NMRの化学シフト値。NMR溶媒として、CD3CNを使用。緩和試薬Cr(acac)3(クロム(III)アセチルアセトナート)を添加して測定。括弧内はピーク面積の積分比に基づくケイ素原子の個数またはその比。
3) GC-MS:ガスクロマトグラフ質量分析、EI法:電子衝撃イオン化法(70eV)。
4) HR-TOF-MS:高分解能飛行時間型質量分析、ESI法:エレクトロスプレーイオン化法。5) NMR溶媒として、CDCl3を使用。
6) 表2−2中の化合物((SiPhViO)(SiMe2O)2)と同一の化合物である。
本発明の製造方法を用いることにより、アシロキシランがシラノールと、効率的に高い選択率で反応し、高収率でシロキサン化合物が得られるため、生成したシロキサン化合物は、次の実施例に示すように、ショートパス蒸留等の簡便な操作によって、単離精製できる。
(実施例134)
ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc)) 1.7mmol、トリフェニルシラノール(PhSiOH) 1.6mmol、酢酸セシウム 0.016mmol、および、アセトン 2.5mLを反応容器に入れ、約25℃(室温)で4時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮して、ショートパス蒸留(170−180℃/0.15mmHg)を行った結果、1−アセトキシ−1,1−ジメチル−3,3,3−トリフェニルジシロキサン((AcO)MeSiOSiPh)が、1.50mmol(収率94%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.30 (s, 6H, SiCH3), 1.92 (s, 3H, COCH3), 7.36-7.46 and 7.60-7.63 (each m, 15H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -0.0, 22.7, 127.8, 130.0, 135.0, 135.3, 170.9
29Si-NMR (CDCl3): δ -19.7, -6.8
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 377 (M+-15 (Me), 3), 315 (100), 273 (25), 257 (12), 195 (68), 43 (13)
(実施例135)
ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc)) 0.7mmol、tert−ブチルジメチルシラノール(BuMeSiOH) 0.7mmol、炭酸セシウム
0.007mmol、および、アセトニトリル 1.1mLを反応容器に入れ、約25℃(室温)で1時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮して、ショートパス蒸留(110−120℃/40mmHg)を行った結果、1−アセトキシ―3−tert−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン((AcO)MeSiOSiBuMe)が、0.56mmol(収率80%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.083 and 0.28 (each s, 12H, SiCH3), 0.90 (s, 9H, C(CH3)3), 2.08 (s, 3H, COCH3)
13C-NMR (CDCl3): δ -3.3, -0.2, 18.0, 22.9, 25.5, 170.9
29Si-NMR (CDCl3): δ -9.7, 12.9
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 233 (M+-15 (Me), 10), 191 (71), 149 (100), 133 (38), 43 (22)
(実施例136)
ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc)) 1.1mmol、ジメチル
フェニルシラノール(MePhSiOH) 1.1mmol、炭酸セシウム 0.011mmol、および、アセトニトリル 2.2mLを反応容器に入れ、約25℃(室温)で1時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮して、ショートパス蒸留(135−145℃/9mmHg)を行った結果、1−アセトキシ−1,1,3,3−テトラメチル−3−フェニルジシロキサン((AcO)MeSiOSiMePh)が、0.935mmol(収率85%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.30 and 0.60 (each s, 12H, SiCH3), 2.05 (s, 3H, COCH3), 7.38-7.43 and 7.58-7.62 (each m, 5H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -0.2, 0.4, 22.8, 127.8, 129.4, 133.0, 139.2, 171.0
29Si-NMR (CDCl3): δ -8.2, 0.1
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 253 (M+-15 (Me), 57), 211 (46), 195 (12), 193 (11), 191 (51), 149 (20), 133 (100), 43 (29)
(実施例137)
ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc)) 0.5mmol、メチルジフェニルシラノール(MePhSiOH) 0.4mmol、炭酸セシウム 0.004mmol、および、アセトニトリル 0.9mLを反応容器に入れ、約25℃(室温)で1時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮して、ショートパス蒸留(150−160℃/0.2mmHg)を行った結果、1−アセトキシ−1,1,3−トリメチル−3,3−ジフェニルジシロキサン((AcO)MeSiOSiMePh)が、0.368mmol(収率92%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.33 (s, 6H, Si(CH3)2), 0.70 (s, 3H, SiCH3), 2.00 (s, 3H, COCH3), 7.39-7.47 and 7.60-7.64 (each m, 10H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -0.9, -0.1, 22.7, 127.8, 129.7, 133.9, 137.2, 170.9
29Si-NMR (CDCl3): δ -10.0, -7.4
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 315 (M+-15 (Me), 12), 273 (11), 253 (100), 211 (25), 195 (56), 133 (31), 43 (18)
(実施例138)
ジアセトキシメチルフェニルシラン(MePhSi(OAc)) 0.5mmol、トリエチルシラノール(EtSiOH) 0.5mmol、炭酸セシウム 0.005mmol、および、アセトニトリル 1.0mLを反応容器に入れ、約25℃(室温)で1時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮して、ショートパス蒸留(150−160℃/8mmHg)を行った結果、1−アセトキシ−3,3,3−トリエチル−1−メチル−1−フェニルジシロキサン((AcO)MePhSiOSiEt)が、0.40mmol(収率80%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.59 (s, 3H, SiCH3), 0.64 (q, J = 8.0 Hz, 6H, SiCH2), 0.98 (t, J = 8.0 Hz, 9H, SiCCH3), 2.11 (s, 3H, COCH3), 7.38-7.49 and 7.66-7.71 (each m,
5H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -1.5, 6.0, 6.6, 22.9, 127.8, 130.3, 133.6, 134.8, 170.7
29Si-NMR (CDCl3): δ -24.6, 14.0
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 295 (M+-15 (Me), 1), 281 (100), 239 (45), 181 (12), 161 (22), 133 (39), 105 (23), 43 (21)
(実施例139)
ジアセトキシメチルフェニルシラン(MePhSi(OAc)) 0.5mmol、tert−ブチルジメチルシラノール(BuMeSiOH) 0.5mmol、炭酸セシウム 0.005mmol、および、アセトニトリル 1.0mLを反応容器に入れ、約25℃(室温)で1時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮して、ショートパス蒸留(145−155℃/53mmHg)を行った結果、1−アセトキシ−3−tert−ブチル−1,3,3−トリメチル−1−フェニルジシロキサン((AcO)MePhSiOSiBuMe)が、0.405mmol(収率81%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.13 and 0.14 (each s, 6H, Si(CHa 3)(CHb 3)), 0.59 (s, 9H, C(CH3)3), 2.11 (s, 3H, COCH3), 7.39-7.48 and 7.67-7.70 (each m, 5H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -3.2, -1.5, 18.1, 22.9, 25.6, 127.8, 130.4, 133.7, 134.7, 170.7
29Si-NMR (CDCl3): δ -24.4, 14.3
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 295 (M+-15 (Me), 5), 253 (100), 211 (59), 195 (12), 133 (92), 43 (24)
(実施例140)
ジアセトキシメチルフェニルシラン(MePhSi(OAc)) 0.6mmol、ジメチルフェニルシラノール(MePhSiOH) 0.6mmol、炭酸セシウム 0.006mmol、および、アセトニトリル 1.2mLを反応容器に入れ、約25℃(室温)で1時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮して、ショートパス蒸留(170−180℃/0.9mmHg)を行った結果、1−アセトキシ−1,3,3−トリメチル−1,3−ジフェニルジシロキサン((AcO)MePhSiOSiMePh)が、0.48mmol(収率80%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.46 and 0.47 (each s, 6H, Si(CHa 3)(CHb 3)), 0.59 (s, 3H, SiCH3), 2.07 (s, 3H, COCH3), 7.39-7.49 and 7.62-7.70 (each m, 10H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -1.5, 0.46*, 0.50*, 22.8, 127.8, 127.9, 129.5, 130.5, 133.1, 133.7, 134.4, 138.9, 170.8 (* Si(CHa 3)(CHb 3)のシグナル)
29Si-NMR (CDCl3): δ -23.2, 1.4
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 315 (M+-15 (Me), 59), 273 (27), 253 (74), 211 (17), 195 (100), 133 (25), 91 (15), 43 (28)
(実施例141)
ジアセトキシメチルフェニルシラン(MePhSi(OAc)) 0.7mmol、メチルジフェニルシラノール(MePhSiOH) 0.7mmol、炭酸セシウム 0.007mmol、および、アセトニトリル 1.4mLを反応容器に入れ、約25℃(室温)で1時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮して、ショートパス蒸留(190−200℃/0.15mmHg)を行った結果、1−アセトキシ−1,3−ジメチル−1,3,3−トリフェニルジシロキサン((AcO)MePhSiOSiMePh)が、0.63mmol(収率90%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.62 and 0.75 (each s, 6H, SiCH3), 2.02 (s, 3H, COCH3), 7.39-7.50 and 7.64-7.71 (each m, 15H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -1.5, -0.9, 22.7, 127.8, 127.9, 129.8, 130.5, 133.8, 134.0, 134.2, 137.0*, 137.1*, 170.7 (* Si(C6H5)a(C6H5)bのipso位Cのシグナル)
29Si-NMR (CDCl3): δ -22.4, -8.8
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 377 (M+-15 (Me), 9), 315 (100), 273 (20), 257 (48), 195 (54), 43 (16)
(実施例142)
ジアセトキシフェニルビニルシラン(PhViSi(OAc)) 0.4mmol、トリエチルシラノール(EtSiOH) 0.4mmol、炭酸セシウム 0.004mmol、および、アセトニトリル 0.9mLを反応容器に入れ、約25℃(室温)で1時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮して、ショートパス蒸留(130−140℃/1.2mmHg)を行った結果、1−アセトキシ−3,3,3−トリエチル−1−フェニル−1−ビニルジシロキサン((AcO)PhViSiOSiEt)が、0.30mmol(収率75%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.65 (q, J = 8.0 Hz, 6H, SiCH2), 0.98 (t, J = 8.0 Hz, 9H, SiCCH3), 2.13 (s, 3H, COCH3), 5.96 (dd, J = 20.4, 3.7 Hz, 1H, SiCH=CHa H b), 6.21 (dd, J = 15.0, 3.7 Hz, 1H, SiCH=CH aHb), 6.33 (dd, J = 20.4, 15.0 Hz, 1H, SiCH=CH2),
7.39-7.49 and 7.68-7.72 (each m, 5H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ 6.1, 6.6, 22.8, 127.8, 130.5, 132.5, 132.8, 134.3, 136.7, 170.4
29Si-NMR (CDCl3): δ -40.3, 14.8
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 293 (M+-29 (Et), 100), 251 (36), 223 (12), 195 (10), 173 (14), 147 (11), 145 (22), 117 (13), 43 (19)
(実施例143)
ジアセトキシフェニルビニルシラン(PhViSi(OAc)) 0.4mmol、tert−ブチルジメチルシラノール(BuMeSiOH) 0.4mmol、炭酸セシウム 0.004mmol、および、アセトニトリル 0.9mLを反応容器に入れ、約25℃(室温)で1時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮して、ショートパス蒸留(145−155℃/1.7mmHg)を行った結果、1−アセトキシ−3−tert−ブチル−3,3−ジメチル−1−フェニル−1−ビニルジシロキサン((AcO)PhViSiOSiBuMe)が、0.32mmol(収率80%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.138 and 0.144 (each s, 6H, Si(CHa 3)(CHb 3)), 0.93 (s, 9H, C(CH3)3), 2.14 (s, 3H, COCH3), 5.95 (dd, J = 20.3, 3.7 Hz, 1H, SiCH=CHa H b), 6.21 (dd, J = 15.0, 3.7 Hz, 1H, SiCH=CH aHb), 6.32 (dd, J = 20.3, 15.0 Hz, 1H, SiCH=CH2), 7.39-7.49 and 7.68-7.72 (each m, 5H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -3.15*, -3.14*, 18.2, 22.8, 25.6, 127.8, 130.5, 132.5, 132.7, 134.3, 136.9, 170.5 (* Si(CH3)a(CH3)bのシグナル)
29Si-NMR (CDCl3): δ -40.0, 15.1
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 307 (M+-15 (Me), 4), 265 (100), 223 (57), 195 (19), 145 (54), 119 (25), 43 (23)
(実施例144)
ジアセトキシフェニルビニルシラン(PhViSi(OAc)) 0.4mmol、ジメチルフェニルシラノール(MePhSiOH) 0.4mmol、炭酸セシウム 0.004mmol、および、アセトニトリル 0.9mLを反応容器に入れ、約25℃(室温)で1時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮して、ショートパス蒸留(160−170℃/0.13mmHg)を行った結果、1−アセトキシ−3,3−ジメチル−1,3−
ジフェニル−1−ビニルジシロキサン((AcO)PhViSiOSiMePh)が、0.34mmol(収率85%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.470 and 0.473 (each s, 6H, Si(CHa 3)(CHb 3)), 2.08 (s, 3H, COCH3), 5.95 (dd, J = 20.4, 3.6 Hz, 1H, SiCH=CHa H b), 6.21 (dd, J = 15.0, 3.6 Hz, 1H, SiCH=CH aHb), 6.34 (dd, J = 20.4, 15.0 Hz, 1H, SiCH=CH2), 7.38-7.50 and 7.62-7.71 (each m, 10H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ 0.48*, 0.51*, 22.7, 127.78, 127.85, 129.5, 130.6, 132.2, 132.4, 133.1, 134.3, 137.1, 138.8, 170.6 (* Si(CH3)a(CH3)bのシグナル)
29Si-NMR (CDCl3): δ -39.0, 2.1
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 327 (M+-15 (Me), 82), 285 (25), 265 (100), 223 (21), 207 (65), 195 (38), 181 (21), 145 (21), 137 (14), 91 (10), 43 (34)
(実施例145)
ジアセトキシフェニルビニルシラン(PhViSi(OAc)) 0.4mmol、メチルジフェニルシラノール(MePhSiOH) 0.4mmol、炭酸セシウム 0.004mmol、および、アセトニトリル 0.9mLを反応容器に入れ、約25℃(室温)で1時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮して、ショートパス蒸留(195−205℃/0.2mmHg)を行った結果、1−アセトキシ−3−メチル−1,3,3−トリフェニル−1−ビニルジシロキサン((AcO)PhViSiOSiMePh)が、0.36mmol(収率90%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.74 (s, 3H, SiCH3), 2.00 (s, 3H, COCH3), 5.95 (dd, J = 20.4,
3.6 Hz, 1H, SiCH=CHa H b), 6.20 (dd, J = 15.0, 3.6 Hz, 1H, SiCH=CH aHb), 6.33 (dd,
J = 20.4, 15.0 Hz, 1H, SiCH=CH2), 7.36-7.50 and 7.61-7.70 (each m, 15H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -0.9, 22.6, 127.8, 127.9, 129.8, 130.7, 132.0, 132.2, 134.1, 134.4, 136.89*, 136.93*, 137.4, 170.5 (* Si(C6H5)a(C6H5)bのipso位Cのシグナル)
29Si-NMR (CDCl3): δ -38.4, -8.2
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 389 (M+-15 (Me), 7), 327 (100), 285 (16), 269 (20), 257 (15), 207 (28), 181 (12), 43 (15)
(実施例146)
ジアセトキシジフェニルシラン(PhSi(OAc)) 0.4mmol、トリエチルシラノール(EtSiOH) 0.4mmol、炭酸セシウム 0.004mmol、および、アセトニトリル 0.7mLを反応容器に入れ、約25℃(室温)で1時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮して、ショートパス蒸留(170−180℃/0.1mmHg)を行った結果、1−アセトキシ−3,3,3−トリエチル−1,1−ジフェニルジシロキサン((AcO)PhSiOSiEt)が、0.28mmol(収率70%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.66 (q, J = 8.0 Hz, 6H, SiCH2), 0.96 (t, J = 7.9 Hz, 9H, SiCCH3), 2.18 (s, 3H, COCH3), 7.40-7.50 and 7.70-7.74 (each m, 10H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ 6.1, 6.6, 22.9, 127.8, 130.5, 133.0, 134.6, 170.2
29Si-NMR (CDCl3): δ -39.6, 15.1
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 343 (M+-29 (Et), 100), 301 (19), 243 (11), 223 (20), 195 (35), 167 (29), 43 (20)
(実施例147)
ジアセトキシジフェニルシラン(PhSi(OAc)) 0.4mmol、tert−ブチルジメチルシラノール(BuMeSiOH) 0.4mmol、炭酸セシウム 0.004mmol、および、アセトニトリル 0.7mLを反応容器に入れ、約25℃(室温)で1時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮して、ショートパス蒸留(155−165℃/0.12mmHg)を行った結果、1−アセトキシ−3−tert−ブチル−3,3−ジメチル−1,1−ジフェニルジシロキサン((AcO)PhSiOSiBuMe)が、0.34mmol(収率85%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.14 (s, 6H, SiCH3), 0.94 (s, 9H, C(CH3)3), 2.18 (s, 3H, COCH3), 7.40-7.50 and 7.70-7.74 (each m, 10H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -3.1, 18.2, 22.9, 25.6, 127.8, 130.6, 132.8, 134.7, 170.1
29Si-NMR (CDCl3): δ -39.3, 15.4
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 357 (M+-15 (Me), 3), 315 (100), 273 (31), 195 (86), 43 (18)
(実施例148)
ジアセトキシジフェニルシラン(PhSi(OAc)) 0.5mmol、ジメチルフェニルシラノール(MePhSiOH) 0.5mmol、炭酸セシウム 0.005mmol、および、アセトニトリル 1.0mLを反応容器に入れ、約25℃(室温)で1時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮して、ショートパス蒸留(185−195℃/0.08mmHg)を行った結果、1−アセトキシ−3,3−ジメチル−1,1,3−トリフェニルジシロキサン((AcO)PhSiOSiMePh)が、0.40mmol(収率80%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.48 (s, 6H, SiCH3), 2.12 (s, 3H, COCH3), 7.38-7.51 and 7.61-7.73 (each m, 15H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ 0.5, 22.8, 127.8, 127.9, 129.5, 130.7, 132.6, 133.2, 134.7, 138.7, 170.3
29Si-NMR (CDCl3): δ -38.5, 2.4
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 377 (M+-15 (Me), 79), 335 (18), 315 (100), 273 (16), 257 (96), 195 (64), 91 (11), 43 (29)
(実施例149)
ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc)) 0.49mmol、トリフェニルシラノール(PhSiOH) 0.46mmol、MTBDユニット含有ポリマー(メルク社製、製品番号358754) 0.0092mmol、および、アセトニトリル 0.4mLを反応容器に入れ、70℃で1時間攪拌した。固体触媒のポリマーを濾別し、アセトニトリルで触媒を洗浄した(0.15mLで2回)。濾液と洗浄液を合わせて、反応液を減圧下濃縮して、ショートパス蒸留(170−180℃/0.1mmHg)を行った結果、1−アセトキシ−1,1−ジメチル−3,3,3−トリフェニルジシロキサン((AcO)MeSiOSiPh)が、0.37mmol(収率80%)得られた。
(実施例150)
ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc)) 0.45mmol、トリエチルシラノール(EtSiOH) 0.40mmol、MTBDユニット含有ポリマー(メルク社製、製品番号358754) 0.008mmol、および、アセトニトリル
0.8mLを反応容器に入れ、約25℃(室温)で1時間攪拌した。固体触媒のポリマーを濾別し、アセトニトリルで触媒を洗浄した(0.13mLで2回)。濾液と洗浄液を合わせて、反応液を減圧下濃縮して、ショートパス蒸留(140−150℃/53mmHg)を行った結果、1−アセトキシ−3,3,3−トリエチル−1,1−ジメチルジシロキサン((AcO)MeSiOSiEt)が、0.34mmol(収率85%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.26 (s, 6H, SiCH3), 0.55 (q, J = 8.0 Hz, 6H, SiCH2), 0.94 (t, J = 8.0 Hz, 9H, SiCCH3), 2.05 (s, 3H, COCH3)
13C-NMR (CDCl3): δ -0.2, 6.0, 6.6, 22.9, 170.9
29Si-NMR (CDCl3): δ -9.8, 12.7
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 233 (M+-15 (Me), 5.9), 219 (100), 177 (88), 149
(43), 121 (24), 119 (21), 105 (15), 75 (11), 43 (28)
また、アシロキシ基が残存するシロキサン化合物の修飾工程の反応において、水を修飾剤として用いた場合は、一般的に、ヒドロキシ基を含有する修飾シロキサン化合物が高収率で生成するため、下記の実施例に示すように、反応液の減圧下濃縮等の簡便な操作によって、修飾シロキサン化合物を単離精製できる。
(実施例151)
1−アセトキシ−1,1−ジメチル−3,3,3−トリフェニルジシロキサン((AcO)MeSiOSiPh) 0.06mmol、水 0.3mmol、アセトニトリル 0.2mLの混合物を反応容器に入れ、90℃で1時間撹拌した。反応溶液を、減圧下濃縮した結果、1−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−3,3,3−トリフェニルジシロキサン((HO)MeSiOSiPh)が、0.06mmol(収率100%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.18 (s, 6H, SiCH3), 2.22 (br s, 1H, OH), 7.38-7.50 and 7.62-7.69 (each m, 15H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ 0.5, 127.9, 130.0, 135.0, 135.7
29Si-NMR (CDCl3): δ -20.9, -8.3
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 350 (M+, 9.3), 273 (40), 257 (36), 195 (100), 181 (14), 121 (11)
HR-TOF-MS (ESI): 計算値 C20H21O2Si2(M-H)- 349.1075, 測定値 349.1072
(実施例152)
1−アセトキシ−1,1,3,3−テトラメチル−3−フェニルジシロキサン((AcO)MeSiOSiMePh) 0.06mmol、水 1.2mmol、および、アセトニトリル 0.2mLを反応容器に入れ、90℃で1時間撹拌した。反応溶液を、0℃付近で冷却しながら減圧下濃縮した結果、1−ヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチル−3−フェニルジシロキサン((HO)MeSiOSiMePh)が、0.058mmol(収率97%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.16 and 0.40 (each s, 12H, SiCH3), 2.08 (br s, 1H, OH), 7.38-7.42 and 7.59-7.62 (each m, 5H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ 0.5, 0.7, 127.8, 129.4, 133.0, 139.6
29Si-NMR (CDCl3): δ -9.4, -1.7
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 211 (M+-15 (Me), 51), 133 (100), 89 (15)
HR-TOF-MS (ESI): 計算値 C10H17O2Si2(M-H)- 225.0762, 測定値 225.0766
(実施例153)
1−アセトキシ−1,1,3−トリメチル−3,3−ジフェニルジシロキサン((AcO)MeSiOSiMePh) 0.06mmol、水 0.6mmol、および、アセトニトリル 0.2mLを反応容器に入れ、60℃で1時間撹拌した。反応溶液を、減圧下濃縮した結果、1−ヒドロキシ−1,1,3−トリメチル−3,3−ジフェニルジシロキサン((HO)MeSiOSiMePh)が、0.06mmol(収率100%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.18 (s, 6H, Si(CH3)2), 0.68 (s, 3H, SiCH3), 2.21 (br s, 1H, OH), 7.38-7.46 and 7.60-7.64 (each m, 10H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -0.6, 0.5, 127.9, 129.7, 133.9, 137.7
29Si-NMR (CDCl3): δ -11.6, -8.7
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 288 (M+, 0.37), 273 (61), 195 (100), 133 (23), 91 (12)
HR-TOF-MS (ESI): 計算値 C15H19O2Si2(M-H)- 287.0918, 測定値 287.0920
(実施例154)
1−アセトキシ−3,3,3−トリエチル−1−メチル−1−フェニルジシロキサン((AcO)MePhSiOSiEt) 0.06mmol、水 0.6mmol、および、アセトニトリル 0.2mLを反応容器に入れ、90℃で0.5時間撹拌した。反応溶液を、減圧下濃縮した結果、3−ヒドロキシ−1,1,1−トリエチル−3−メチル−3−フェニルジシロキサン((HO)MePhSiOSiEt)が、0.059mmol(収率98%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.40 (s, 3H, SiCH3), 0.62 (q, J = 7.9 Hz, 6H, SiCH2), 0.98 (t, J = 8.0 Hz, 9H, SiCCH3), 2.41 (br s, 1H, OH), 7.38-7.46 and 7.63-7.67 (each m,
5H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -1.0, 6.2, 6.7, 127.8, 129.9, 133.3, 137.5
29Si-NMR (CDCl3): δ -24.6, 12.4
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 253 (M+-15 (Me), 0.94), 239 (100), 181 (11), 161 (36), 137 (16), 133 (84), 105 (47), 91 (17)
HR-TOF-MS (ESI): 計算値 C13H23O2Si2(M-H)- 267.1231, 測定値 267.1232
(実施例155)
1−アセトキシ−3−tert−ブチル−1,3,3−トリメチル−1−フェニルジシロキサン((AcO)MePhSiOSiBuMe) 0.06mmol、水 0.6mmol、および、アセトニトリル 0.2mLを反応容器に入れ、60℃で1時間撹拌した。反応溶液を、減圧下濃縮した結果、1−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−1,1,3−トリメチル−3−フェニルジシロキサン((HO)MePhSiOSiBuMe)が、0.058mmol(収率97%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.12 and 0.13 (each s, 6H, Si(CHa 3)(CHb 3)), 0.39 (s, 3H, SiCH3), 0.94 (s, 9H, C(CH3)3), 2.54 (br s, 1H, OH), 7.38-7.46 and 7.63-7.67 (each m,
5H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -3.0, -0.9, 18.1, 25.7, 127.8, 129.9, 133.4, 137.4
29Si-NMR (CDCl3): δ -24.3, 12.6
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 253 (M+-15 (Me), 0.63), 211 (52), 133 (100)
HR-TOF-MS (ESI): 計算値 C13H23O2Si2(M-H)- 267.1242, 測定値 267.1247
(実施例156)
1−アセトキシ−1,3,3−トリメチル−1,3−ジフェニルジシロキサン((AcO)MePhSiOSiMePh) 0.06mmol、水 0.2mmol、および、アセトニトリル 0.2mLを反応容器に入れ、90℃で0.5時間撹拌した。反応溶液を、減圧下濃縮した結果、1−ヒドロキシ−1,3,3−トリメチル−1,3−ジフェニルジシロキサン((HO)MePhSiOSiMePh)が、0.057mmol(収率95%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.39 (s, 3H, SiCH3), 0.43 (s, 6H, Si(CH3)2), 2.39 (br s, 1H, OH), 7.38-7.47 and 7.60-7.66 (each m, 10H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -0.9, 0.69*, 0.72*, 127.8, 127.9, 129.5, 130.0, 133.0, 133.4, 137.0, 139.3 (* Si(CH3)a(CH3)bのシグナル)
29Si-NMR (CDCl3): δ -23.1, -0.3
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 288 (M+, 2.0), 273 (62), 195 (100), 137 (12), 133 (12), 120 (10), 91 (13)
HR-TOF-MS (ESI): 計算値 C15H19O2Si2(M-H)- 287.0918, 測定値 287.0919
(実施例157)
1−アセトキシ−1,3−ジメチル−1,3,3−トリフェニルジシロキサン((AcO)MePhSiOSiMePh) 0.06mmol、水 1.2mmol、および、アセトニトリル 0.2mLを反応容器に入れ、90℃で1時間撹拌した。反応溶液を、減圧下濃縮した結果、1−ヒドロキシ−1,3−ジメチル−1,3,3−トリフェニルジシロキサン((HO)MePhSiOSiMePhが、0.06mmol(収率100%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.40 and 0.71 (each s, 6H, SiCH3), 2.42 (br s, 1H, OH), 7.36-7.47 and 7.61-7.66 (each m, 15H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -0.9, -0.6, 127.9, 129.8, 130.0, 133.4, 134.0, 136.8, 137.39*, 137.41* (* Si(C6H5)a(C6H5)bのipso位Cのシグナル)
29Si-NMR (CDCl3): δ -22.4, -10.2
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 350 (M+, 3.8), 335 (58), 257 (100), 195 (45), 91 (11), 78 (10)
HR-TOF-MS (ESI): 計算値 C20H21O2Si2(M-H)- 349.1075, 測定値 349.1083
(実施例158)
1−アセトキシ−3,3,3−トリエチル−1−フェニル−1−ビニルジシロキサン((AcO)PhViSiOSiEt) 0.06mmol、水 0.6mmol、および、アセトニトリル 0.2mLを反応容器に入れ、90℃で0.5時間撹拌した。反応溶液を、減圧下濃縮した結果、1,1,1−トリエチル−3−ヒドロキシ−3−フェニル−3−ビニルジシロキサン((HO)PhViSiOSiEt)が、0.058mmol(収率97%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.63 (q, J = 7.9 Hz, 6H, SiCH2), 0.98 (t, J = 7.9 Hz, 9H, SiCCH3), 2.49 (br s, 1H, OH), 5.96 (dd, J = 19.7, 4.5 Hz, 1H, SiCH=CHa H b), 6.14 (dd, J = 14.9, 4.5 Hz, 1H, SiCH=CH aHb), 6.20 (dd, J = 19.7, 14.9 Hz, 1H, SiCH=CH2),
7.38-7.47 and 7.64-7.70 (each m, 5H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ 6.3, 6.6, 127.8, 130.1, 134.0, 134.5, 135.5, 135.6
29Si-NMR (CDCl3): δ -39.1, 13.2
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 251 (M+-29 (Et), 100), 223 (20), 195 (19), 173 (24), 167 (12), 147 (17), 145 (47), 123 (19), 119 (11), 117 (22), 91 (16)
HR-TOF-MS (ESI): 計算値 C14H23O2Si2(M-H)- 279.1231, 測定値 279.1237
(実施例159)
1−アセトキシ−3−tert−ブチル−3,3−ジメチル−1−フェニル−1−ビニルジシロキサン((AcO)PhViSiOSiBuMe) 0.06mmol、水
0.6mmol、および、アセトニトリル 0.2mLを反応容器に入れ、60℃で1時間撹拌した。反応溶液を、減圧下濃縮した結果、1−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−3−フェニル−3−ビニルジシロキサン((HO)PhViSiOSiBuMe)が、0.059mmol(収率98%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.13 (s, 6H, SiCH3), 0.94 (s, 9H, C(CH3)3), 2.59 (br s, 1H, OH), 5.96 (dd, J = 19.4, 4.9 Hz, 1H, SiCH=CHa H b), 6.14 (dd, J = 14.9, 4.9 Hz, 1H,
SiCH=CH aHb), 6.20 (dd, J = 19.4, 14.9 Hz, 1H, SiCH=CH2), 7.38-7.47 and 7.65-7.69 (each m, 5H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -2.9, 18.1, 25.7, 127.8, 130.1, 134.0, 134.5, 135.5, 135.6
29Si-NMR (CDCl3): δ -38.8, 13.5
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 265 (M+-15 (Me), 0.67), 223 (96), 195 (26), 145
(100), 133 (12), 119 (40), 75 (19)
HR-TOF-MS (ESI): 計算値 C14H23O2Si2(M-H)- 279.1242, 測定値 279.1246
(実施例160)
1−アセトキシ−3,3−ジメチル−1,3−ジフェニル−1−ビニルジシロキサン((AcO)PhViSiOSiMePh) 0.06mmol、水 0.6mmol、および、アセトニトリル 0.2mLを反応容器に入れ、60℃で0.5時間撹拌した。反応溶液を、減圧下濃縮した結果、1−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−1,3−ジフェニル−1−ビニルジシロキサン((HO)PhViSiOSiMePhが、0.057mmol(収率95%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.441 and 0.444 (each s, 6H, Si(CHa 3)(CHb 3)), 2.51 (br s, 1H,
OH), 5.96 (dd, J = 19.5, 4.7 Hz, 1H, SiCH=CHa H b), 6.15 (dd, J = 14.9, 4.7 Hz, 1H, SiCH=CH aHb), 6.20 (dd, J = 19.5, 14.9 Hz, 1H, SiCH=CH2), 7.38-7.48 and 7.61-7.68 (each m, 10H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ 0.8, 127.8*, 129.5, 130.2, 133.1, 134.0, 134.2, 135.2, 135.9, 139.2 (* 2種類のSiC6H5のm位Cのシグナル (2C+2C))
29Si-NMR (CDCl3): δ -37.8, 0.6
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 300 (M+, 0.18), 285 (56), 257 (12), 222 (56), 207 (100), 195 (35), 181 (29), 145 (16), 137 (27), 91 (12)
HR-TOF-MS (ESI): 計算値 C16H19O2Si2(M-H)- 299.0918, 測定値 299.0918
(実施例161)
1−アセトキシ−3−メチル−1,3,3−トリフェニル−1−ビニルジシロキサン((AcO)PhViSiOSiMePh) 0.06mmol、水 1.2mmol、および、アセトニトリル 0.2mLを反応容器に入れ、90℃で1時間撹拌した。反応溶液を、減圧下濃縮した結果、1−ヒドロキシ−3−メチル−1,3,3−トリフェニル−1−ビニルジシロキサン((HO)PhViSiOSiMePh)が、0.058mmol(収率97%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.71 (s, 3H, SiCH3), 2.49 (br s, 1H, OH), 5.95 (dd, J = 19.6,
4.5 Hz, 1H, SiCH=CHa H b), 6.13 (dd, J = 14.9, 4.5 Hz, 1H, SiCH=CH aHb), 6.19 (dd,
J = 19.6, 14.9 Hz, 1H, SiCH=CH2), 7.36-7.47 and 7.61-7.67 (each m, 15H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -0.6, 127.8, 127.9, 129.8, 130.2, 134.0, 134.1*, 134.9, 136.1, 137.3 (* Si(C6H5)(OH)のo位C+SiCH=CH2のCシグナル (2C+1C))
29Si-NMR (CDCl3): δ -37.2, -9.5
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 362 (M+, 0.27), 347 (48), 284 (80), 269 (100), 257 (33), 243 (25), 207 (35), 199 (28), 195 (18), 181 (22), 165 (15), 137 (15), 121 (14), 78 (18), 77 (18)
HR-TOF-MS (ESI): 計算値 C21H21O2Si2(M-H)- 361.1075, 測定値 361.1073
(実施例162)
1−アセトキシ−3,3,3−トリエチル−1,1−ジフェニルジシロキサン((AcO)PhSiOSiEt) 0.06mmol、水 0.6mmol、および、アセトニトリル 0.2mLを反応容器に入れ、90℃で1時間撹拌した。反応溶液を、減圧下濃縮した結果、1,1,1−トリエチル−3−ヒドロキシ−3,3−ジフェニルジシロキサン((HO)PhSiOSiEt)が、0.059mmol(収率98%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.64 (q, J = 7.9 Hz, 6H, SiCH2), 0.96 (t, J = 7.9 Hz, 9H, SiCCH3), 2.72 (br s, 1H, OH), 7.38-7.47 and 7.68-7.71 (each m, 10H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ 6.3, 6.7, 127.8, 130.1, 134.3, 135.6
29Si-NMR (CDCl3): δ -38.3, 13.7
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 301 (M+-29 (Et), 100), 223 (39), 199 (12), 195 (76), 167 (49), 123 (17), 122 (16)
HR-TOF-MS (ESI): 計算値 C18H25O2Si2(M-H)- 329.1388, 測定値 329.1400
(実施例163)
1−アセトキシ−3−tert−ブチル−3,3−ジメチル−1,1−ジフェニルジシロキサン((AcO)PhSiOSiBuMe) 0.06mmol、水 0.6mmol、および、アセトニトリル 0.2mLを反応容器に入れ、90℃で0.5時間撹拌した。反応溶液を、減圧下濃縮した結果、1−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−3,3−ジフェニルジシロキサン((HO)PhSiOSiBuMe)が、0.06mmol(収率100%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.12 (s, 6H, SiCH3), 0.94 (s, 9H, C(CH3)3), 2.84 (br s, 1H, OH), 7.38-7.48 and 7.67-7.71 (each m, 10H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ -2.9, 18.2, 25.7, 127.8, 130.1, 134.3, 135.5
29Si-NMR (CDCl3): δ -38.0, 14.0
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 315 (M+-15 (Me), 0.35), 273 (63), 195 (100)
HR-TOF-MS (ESI): 計算値 C18H25O2Si2(M-H)- 329.1399, 測定値 329.1399
(実施例164)
1−アセトキシ−3,3−ジメチル−1,1,3−トリフェニルジシロキサン((AcO)PhSiOSiMePh) 0.06mmol、水 1.2mmol、および、アセトニトリル 0.2mLを反応容器に入れ、90℃で1時間撹拌した。反応溶液を、減圧下濃縮した結果、1−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−1,1,3−トリフェニルジシロキサン((HO)PhSiOSiMePh)が、0.059mmol(収率98%)得られた。
得られた化合物のスペクトルデータは、次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.43 (s, 6H, SiCH3), 2.69 (br s, 1H, OH), 7.36-7.48 and 7.60-7.70 (each m, 15H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ 0.8, 127.9, 129.5, 130.2, 133.1, 134.3, 135.2, 139.1
29Si-NMR (CDCl3): δ -37.0, 0.9
GC-MS (EI, 70eV): m/z (相対強度) 350 (M+, 3.9), 335 (64), 257 (100), 195 (34), 121 (11)
HR-TOF-MS (ESI): 計算値 C20H21O2Si2(M-H)- 349.1075, 測定値 349.1085
本発明の製造方法は、前記の実施例に限定されるものではなく、生成するシロキサン化合物中にアシロキシ基またはヒドロキシ基が残存している場合には、それらの基を利用して、さらに他のシラノールまたはアシロキシシランと反応を行うことが可能で、次の実施例に示すように、複数の原料を用いて、シロキサン化合物を生成させる反応工程と、水を用いた修飾工程の反応を組み合わせて、段階的に反応を行うことにより、多種多様なシロキサン化合物を製造することができる。
(実施例165)
ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc)) 0.4mmol、ジメチルフェニルシラノール(MePhSiOH) 0.4mmol、炭酸セシウム 0.004mmol、および、重アセトニトリル 0.45mLを反応容器に入れ、約25℃で2時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−アセトキシ−1,1,3,3−テトラメチル−3−フェニルジシロキサン((AcO)MeSiOSiMePh)が93%の収率(ジメチルフェニルシラノールに対する収率で、以下の収率もそのシラノールに対する収率である。)で生成したことがわかった。
この反応溶液に、水 0.4mmolを添加して、約25℃で12時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−ヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチル−3−フェニルジシロキサン((HO)MeSiOSiMePhが90%の収率で生成したことがわかった。
さらに、この反応溶液に、ジアセトキシメチルフェニルシラン(MePhSi(OAc)) 0.4mmolを添加して、約25℃で7時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−アセトキシ−1,3,3,5,5−ペンタメチル−1,5−ジフェニルトリシロキサン((AcO)MePhSiOSiMeOSiMePh)が88%の収率で生成したことがわかった。この化合物のNMRデータ等は、表5−1の通りであった。
この反応溶液に、水 0.4mmolを添加して、約25℃で6時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−ヒドロキシ−1,3,3,5,5−ペンタメチル−1,5−ジフェニルトリシロキサン((HO)MePhSiOSiMeOSiMePh)が71%の収率で生成したことがわかった。
さらに、この反応溶液に、ジアセトキシフェニルビニルシラン(PhViSi(OAc)) 0.4mmolを添加して、約25℃で6時間放置した。生成物の構造と収率を
NMR、GC−MSで分析した結果、1−アセトキシ−3,5,5,7,7−ペンタメチル−1,3,7−トリフェニル−1−ビニルテトラシロキサン((AcO)PhViSiOSiMePhOSiMeOSiMePh)が61%の収率で生成したことがわかった。この化合物のNMRデータ等は、表5−1の通りであった。
この反応は、次のスキーム7に示すように、段階的なワンポットプロセスで進行するため、各段階のシロキサン化合物を簡便に製造することが可能であった。
Figure 2021130642
(実施例166)
ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc)) 0.2mmol、メチルジフェニルシラノール(MePhSiOH) 0.2mmol、酢酸セシウム 0.002mmol、および、重アセトニトリル 0.45mLを反応容器に入れ、60℃で30分加熱した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−アセトキシ−1,1,3−トリメチル−3,3−ジフェニルジシロキサン((AcO)MeSiOSiMePh)が85%の収率(メチルジフェニルシラノールに対する収率で、以下の収率もそのシラノールに対する収率である。)で生成したことがわかった。
この反応溶液に、水 0.2mmolを添加して、60℃で30分加熱した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−ヒドロキシ−1,1,3−トリメチル−3,3−ジフェニルジシロキサン((HO)MeSiOSiMePh)が80%の収率で生成したことがわかった。
さらに、この反応溶液に、ジアセトキシメチルフェニルシラン(MePhSi(OAc)) 0.2mmolを添加して、60℃で30分加熱した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−アセトキシ−1,3,3,5−テトラメチル−1,5,5−トリフェニルトリシロキサン((AcO)MePhSiOSiMeOSiMePh)が75%の収率で生成したことがわかった。
この反応溶液に、水 0.2mmolを添加して、60℃で30分加熱した。生成物の
構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−ヒドロキシ−1,3,3,5−テトラメチル−1,5,5−トリフェニルトリシロキサン((HO)MePhSiOSiMeOSiMePh)が72%の収率で生成したことがわかった。
この反応は、次のスキーム8に示すように、段階的なワンポットプロセスで進行する反応系で、各段階のシロキサン化合物を簡便に製造できた。
Figure 2021130642
(実施例167)
ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc)) 0.3mmol、トリエチルシラノール(EtSiOH) 0.3mmol、DBU 0.003mmol、および、重アセトニトリル 0.45mLを反応容器に入れ、60℃で1時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−アセトキシ−3,3,3−トリエチル−1,1−ジメチルジシロキサン((AcO)MeSiOSiEt)が81%(トリエチルシラノールに対する収率で、以下の収率もそのシラノールに対する収率である。)の収率で生成したことがわかった。
この反応溶液に、水 0.3mmolを添加して、60℃で2時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−ヒドロキシ−3,3,3−トリエチル−1,1−ジメチルジシロキサン((HO)MeSiOSiEt)が70%の収率で生成したことがわかった。
さらに、この反応溶液に、トリアセトキシビニルシラン(ViSi(OAc)) 0.3mmolを添加して、約25℃で1時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1,1−ジアセトキシ−5,5,5−トリエチル−3,3−ジメチル−1−ビニルトリシロキサン((AcO)ViSiOSiMeOSiEt)が60%の収率で生成したことがわかった。この化合物のNMRデータ等は、表5−1の通りであった。
この反応溶液に、トリエチルチルシラノール(EtSiOH) 0.3mmolを添加して、約25℃で1日放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、3−アセトキシ−1,1,1,7,7,7−ヘキサエチル−5,5−ジメチル−3−ビニルテトラシロキサン(EtSiOSi(OAc)ViOSiMeSiEt)が50%の収率で生成したことがわかった。この化合物のNMRデータ等は、表5−1の通りであった。
この反応は、次のスキーム9に示すように、段階的なワンポットプロセスで進行する反
応系で、各段階のシロキサン化合物を簡便に製造できた。
Figure 2021130642
(実施例168)
ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc)) 0.3mmol、トリフェニルシラノール(PhSiOH) 0.3mmol、DBU 0.003mmol、および、重アセトニトリル 0.45mLを反応容器に入れ、約25℃(室温)で21時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−アセトキシ−1,1−ジメチル−3,3,3−トリフェニルジシロキサン((AcO)MeSiOSiPh)が99%の収率(トリフェニルシラノールに対する収率で、以下の収率もそのシラノールに対する収率である。)で生成したことがわかった。
この反応溶液に、水 0.3mmolを添加して、約25℃で24時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−3,3,3−トリフェニルジシロキサン((HO)MeSiOSiPh)が92%の収率で生成したことがわかった。
さらに、この反応溶液に、トリアセトキシビニルシラン(ViSi(OAc)) 0.3mmolを添加して、約25℃で1時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1,1−ジアセトキシ−5,5,5−トリフェニル−3,3−ジメチル−1−ビニルトリシロキサン((AcO)ViSiOSiMeOSiPh)が79%の収率で生成したことがわかった。この化合物のNMRデータ等は、表5−1の通りであった。
この反応溶液に、ジメチルフェニルシラノール(MePhSiOH) 0.3mmolを添加して、約25℃で24時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、3−アセトキシ−1,1,5,5−テトラメチル−1,7,7,7−テトラフェニル−3−ビニルテトラシロキサン(MePhSiOSi(OAc)ViOSiMeOSiPh)が55%の収率で生成したことがわかった。この化合物のNMRデータ等は、表5−1の通りであった。
この反応は、次のスキーム10に示すように、段階的なワンポットプロセスで進行する反応系で、各段階のシロキサン化合物を簡便に製造できた。
Figure 2021130642
(実施例169)
ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc)) 0.3mmol、トリフェニルシラノール(PhSiOH) 0.3mmol、DBU 0.003mmol、および、重アセトニトリル 0.45mLを反応容器に入れ、約25℃で21時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−アセトキシ−1,1−ジメチル−3,3,3−トリフェニルジシロキサン((AcO)MeSiOSiPh)が91%の収率(トリフェニルシラノールに対する収率で、以下の収率もそのシラノールに対する収率である。)で生成したことがわかった。
この反応溶液に、水 0.3mmolを添加して、約25℃で24時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−3,3,3−トリフェニルジシロキサン((HO)MeSiOSiPh)が87%の収率で生成したことがわかった。
さらに、この反応溶液に、ジアセトキシフェニルビニルシラン(PhViSi(OAc)) 0.3mmolを添加して、約25℃で23時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−アセトキシ−3,3−ジメチル−1,5,5,5−テトラフェニル−1−ビニルトリシロキサン((AcO)PhViSiOSiMeOSiPh)が85%の収率で生成したことがわかった。この化合物のNMRデータ等は、表5−1の通りであった。
この反応溶液に、水 0.3mmolを添加して、約25℃で24時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−1,5,5,5−テトラフェニル−1−ビニルトリシロキサン((HO)PhViSiOSiMeOSiPh)が80%の収率で生成したことがわかった。この化合物のNMRデータ等は、表5−1の通りであった。
さらに、この反応溶液に、ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc)) 0.3mmolを添加して、約25℃で23時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−アセトキシ−1,1,5,5−テトラメチル−3,7,7,7−テトラフェニル−3−ビニルテトラシロキサン((AcO)MeSiOSiPhViOSiMeOSiPh)が77%の収率で生成したことがわかった。この化合物のNMRデータ等は、表5−1の通りであった。
この反応溶液に、水 0.3mmolを添加して、約25℃で20時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−ヒドロキシ−1,1,5,5−テトラメチル−3,7,7,7−テトラフェニル−3−ビニルテトラシロキサン((HO)MeSiOSiPhViOSiMeOSiPh)が63%の収率で生成したこ
とがわかった。
なお、最後に生成したシロキサン化合物については、分取GPC(溶出液トルエン)で、生成物を分離精製した結果、そのシロキサン化合物が、0.15mmol(収率50%)得られた。
最終生成物のスペクトルデータは、表5−2および次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.113 (s, 6H, Si(CH3)2OH), 0.115 and 0.127 (each s, 6H, Si(CHa 3)(CHb 3)OSi), 2.00 (br s, 1H, OH), 5.85 (dd, J = 19.4, 4.7 Hz, SiCH=CHa H b), 6.04 (dd, J = 14.9, 4.7 Hz, SiCH=CH aHb), 6.08 (dd, J = 19.4, 14.9 Hz, SiCH=CH2), 7.28-7.46 and 7.54-7.63 (each m, C6H5, 15H)
13C-NMR (CDCl3): δ 0.36, 1.39, 1.41, 127.7, 127.8, 129.85, 129.91, 133.9, 134.8, 135.1, 135.2, 135.6, 135.8
29Si-NMR (CDCl3): δ -48.6, -21.3, -18.4, -9.4
HR-TOF-MS (ESI): 計算値 C30H36O4Si4Na (M+Na)+ 595.1583, 測定値 595.1578
この反応は、次のスキーム11に示すように、段階的なワンポットプロセスで進行する反応系で、各段階のシロキサン化合物を簡便に製造できた。
Figure 2021130642
(実施例170)
ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc)) 0.3mmol、トリフェニルシラノール(PhSiOH) 0.3mmol、DBU 0.003mmol、および、重アセトニトリル 0.45mLを反応容器に入れ、60℃で1時間加熱した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−アセトキシ−1,1−ジメチル−3,3,3−トリフェニルジシロキサン((AcO)MeSiOSiPh)が95%の収率(トリフェニルシラノールに対する収率で、以下の収率もそのシラノールに対する収率である。)で生成したことがわかった。
この反応溶液に、水 0.3mmolを添加して、60℃で2時間加熱した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−3,3,3−トリフェニルジシロキサン((HO)MeSiOSiPh)が90%の収率で生成したことがわかった。
さらに、この反応溶液に、ジアセトキシメチルフェニルシラン(MePhSi(OAc)) 0.3mmolを添加して、60℃で1時間加熱した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−アセトキシ−1,3,3−トリメチル−1,5,5,5−テトラフェニルトリシロキサン((AcO)MePhSiOSiMeOSiPh)が75%の収率で生成したことがわかった。この化合物のNMRデータ等は、表5−2の通りであった。
この反応溶液に、水 0.3mmolを添加して、60℃で1時間加熱した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−ヒドロキシ−1,3,3−トリメチル−1,5,5,5−テトラフェニルトリシロキサン((HO)MePhSiOSiMeOSiPh)が73%の収率で生成したことがわかった。この化合物のNMRデータ等は、表5−2の通りであった。
さらに、この反応溶液に、ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc)) 0.3mmolを添加して、約25℃で15時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−アセトキシ−1,1,3,5,5−ペンタメチル−3,7,7,7−テトラフェニルテトラシロキサン((AcO)MeSiOSiMePhOSiMeOSiPh)が60%の収率で生成したことがわかった。この化合物のNMRデータ等は、表5−2の通りであった。
この反応は、次のスキーム12に示すように、段階的なワンポットプロセスで進行する反応系で、各段階のシロキサン化合物を簡便に製造できた。
Figure 2021130642
(実施例171)
ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc)) 0.3mmol、トリエチルシラノール(EtSiOH) 0.3mmol、DBU 0.003mmol、および、重アセトニトリル 0.45mLを反応容器に入れ、約25℃で2時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−アセトキシ−3,3,3−トリエチル−1,1−ジメチルジシロキサン((AcO)MeSiOSiEt)が84%の収率(トリエチルシラノールに対する収率で、以下のトリエチルシリル基を含む化合物の収率も、そのシラノールに対する収率である。)で生成したことがわかった。
この反応溶液に、水 0.3mmolを添加して、約25℃で19時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1,1,1−トリエチル−3−ヒドロキシ−3,3−ジメチルジシロキサン((HO)MeSiOSiEt)が75%の収率で生成したことがわかった。この反応溶液を、反応溶液Aとする。
次に、ビニルトリアセトキシシラン(ViSi(OAc)) 0.3mmol、トリフェニルシラノール(PhSiOH) 0.3mmol、重アセトニトリル 0.45mLを別の反応容器に入れ、約25℃で1時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1,1−ジアセトキシ−3,3,3−トリフェニル−1−ビニルジシロキサン((AcO)ViSiOSiPh)が95%の収率(トリフェニルシラノールに対する収率)で生成したことがわかった。この反応溶液を、反応溶液Bとする。この化合物のNMRデータ等は、表5−2の通りであった。
先に得られた反応溶液Aと反応溶液Bを混合して、約25℃で22時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、3−アセトキシ−7,7,7−トリエチル−5,5−ジメチル−1,1,1−トリフェニル−3−ビニルテトラシロキサン(PhSiOSi(OAc)ViOSiMeOSiEt)が70%の収率で生成したことがわかった。この化合物のNMRデータ等は、表5−2の通りであった。
この反応溶液に、水 0.3mmolを添加して、約25℃で3日放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、7,7,7−トリエチル−3−ヒドロキシ−5,5−ジメチル−1,1,1−トリフェニル−3−ビニルテトラシロキサン(PhSiOSi(OH)ViOSiMeOSiEt)が66%の収率で生成したことがわかった。
なお、最後に生成したシロキサン化合物については、分取GPC(溶出液トルエン)で、生成物を分離精製した結果、そのシロキサン化合物が、0.18mmol(収率60%)得られた。
最終生成物のスペクトルデータは、表5−2および次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.001 and 0.006 (each s, 6H, Si(CHa 3)(CHb 3)), 0.50 (q, J = 7.8 Hz, 6H, SiCH2), 0.90 (t, J = 7.8 Hz, 9H, SiCCH3), 5.86-6.00 (m, 3H, SiCH=CH2),
2.24 (br s, 1H, OH), 7.33-7.45 and 7.58-7.65 (each m, 15H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ 0.92, 0.94, 6.1, 6.7, 127.8, 129.9, 131.7, 135.1, 135.4, 135.5
29Si-NMR (CDCl3): δ -70.2, -20.7, -20.2, -10.6
HR-TOF-MS (ESI): 計算値 C28H40O4Si4Na (M+Na)+ 575.1896, 測定値 575.1892
この反応は、次のスキーム13に示すように、段階的なワンポットプロセスで進行する反応系で、各段階のシロキサン化合物を簡便に製造できた。
Figure 2021130642
(実施例172)
ジアセトキシジフェニルシラン(PhSi(OAc)) 0.3mmol、トリエチルシラノール(EtSiOH) 0.3mmol、DBU 0.003mmol、および、重アセトニトリル 0.45mLを反応容器に入れ、約25℃で2時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1−アセトキシ−3,3,3−トリエチル−1,1−ジフェニルジシロキサン((AcO)PhSiOSiEt)が80%の収率(トリエチルシラノールに対する収率で、以下のトリエチルシリル基を含む化合物の収率も、そのシラノールに対する収率である。)で生成したことがわかった。
この反応溶液に、水 0.3mmolを添加して、約25℃で19時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1,1,1−トリエチル−3−ヒドロキシ−3,3−ジフェニルジシロキサン((HO)PhSiOSiEt)が79%の収率で生成したことがわかった。この反応溶液を、反応溶液Aとする。
次に、ビニルトリアセトキシシラン(ViSi(OAc)) 0.3mmol、トリフェニルシラノール(PhSiOH) 0.3mmol、および、重アセトニトリル 0.45mLを別の反応容器に入れ、約25℃で1時間放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、1,1−ジアセトキシ−3,3,3−トリフェニル−1−ビニルジシロキサン((AcO)ViSiOSiPh)が95%の収率(トリフェニルシラノールに対する収率)で生成したことがわかった。この反応溶液を、反応溶液Bとする。この化合物のNMRデータ等は、表5−2の通りであった。
先に得られた反応溶液Aと反応溶液Bを混合して、約25℃で3日放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、3−アセトキシ−7,7,7−トリエチル−1,1,1,5,5−ペンタフェニル−3−ビニルテトラシロキサン(PhSiOSi(OAc)ViOSiPhOSiEt)が65%の収率で生成したことがわかった。この化合物のNMRデータ等は、表5−2の通りであった。
この反応溶液に、水 0.3mmolを添加して、約25℃で3日放置した。生成物の構造と収率をNMR、GC−MSで分析した結果、7,7,7−トリエチル−3−ヒドロ
キシ−1,1,1,5,5−ペンタフェニル−3−ビニルテトラシロキサン(PhSiOSi(OH)ViOSiPhOSiEt)が60%の収率で生成したことがわかった。
最後に生成したシロキサン化合物については、分取GPC(溶出液トルエン)で、生成物を分離精製した結果、そのシロキサン化合物が、0.16mmol(収率53%)得られた。
最終生成物のスペクトルデータは、表5−2および次の通りであった。
1H-NMR (CDCl3): δ 0.53 (q, J = 7.9 Hz, 6H, SiCH2), 0.85 (t, J = 7.9 Hz, SiCCH3), 2.21 (br s, 1H, OH), 5.79-5.95 (m, 3H, SiCH=CH2), 7.20-7.42 and 7.50-7.59 (each m, 25H, C6H5)
13C-NMR (CDCl3): δ 6.2, 6.7, 127.6*, 127.7*, 127.8, 129.84*, 129.86*, 129.91,
131.3, 134.24*, 134.28*, 135.1, 135.2, 135.6*, 135.7*, 136.0 (* Si(C 6 H5)a(C 6 H5)bのシグナル)
29Si-NMR (CDCl3): δ -70.1, -47.6, -19.8, -13.3
HR-TOF-MS (ESI): 計算値 C38H44O4Si4Na (M+Na)+ 699.2209, 測定値 699.2212
この反応は、次のスキーム14に示すように、段階的なワンポットプロセスで進行する反応系で、各段階のシロキサン化合物を簡便に製造できた。
Figure 2021130642
Figure 2021130642
Figure 2021130642
表5−1および表5−2中の注釈を以下に示す。
1) 29Si NMRの化学シフト値(反応溶液中)。NMR溶媒として、CD3CNを使用。緩和試薬Cr(acac)3(クロム(III)アセチルアセトナート)を添加して測定。括弧内はピーク面積の積分比に基づくケイ素原子の個数またはその比。
2) GC-MS:ガスクロマトグラフ質量分析、EI法:電子衝撃イオン化法(70eV)。
3) HR-TOF-MS:高分解能飛行時間型質量分析、ESI法:エレクトロスプレーイオン化法。4) 2種類のジアステレオマー異性体の混合物(生成比は約1:1)。
さらに、本発明の製造方法により製造されるシロキサン化合物に、アシロキシ基、ヒドロキシ基等の反応性置換基が存在している場合は、次の実施例に示すように、それらのシロキサン化合物を固体材料の表面処理剤として用いることができる。
(実施例173)
ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc)) 0.6mmol、トリフェニルシラノール(PhSiOH) 0.6mmol、トリエチルアミン 0.006mmol、および、アセトニトリル 0.5mLを反応容器に入れ、約25℃で4時間攪拌した。生成物の構造と収率をNMRで分析した結果、1−アセトキシ−1,1−ジメチル−3,3,3−トリフェニルジシロキサン((AcO)MeSiOSiPh)が95%の収率で生成したことがわかった。
この反応溶液をトルエンで希釈して、表面処理溶液(シロキサン化合物の濃度は約0.3M)を調製した。調製溶液にガラス板(ホウケイ酸ガラス、1.8×1.8cm、ガラス板は、使用前に、アルカリ洗浄液、硝酸水溶液、および純水で順次洗浄)を室温で15分間浸漬し、トルエンおよびアセトンで順次洗浄し、80℃で5分乾燥させた。ガラス板の水に対する接触角を、接触角計(協和界面科学製 自動接触角計 DMe−201)で測定した結果、未処理の状態では約20°であり、処理後の状態では76°であった。これにより、ガラス板の表面が、シロキサン化合物により疎水的に修飾されたことが示された。
(実施例174)
ジアセトキシジメチルシラン(MeSi(OAc)) 1.2mmol、ジフェニルシランジオール(PhSi(OH) 0.6mmol、トリエチルアミン 0.006mmol、および、アセトニトリル 0.5mLを反応容器に入れ、約25℃で1時間攪拌した。生成物の構造と収率をNMRで分析した結果、1,5−ジアセトキシ−1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジフェニルトリシロキサン([(AcO)MeSiO]SiPh)が96%の収率で生成したことがわかった。
この反応溶液をトルエンで希釈して、表面処理溶液(シロキサン化合物の濃度は約0.3M)を調製した。この溶液を用いて、実施例171と同様に、ガラス板の表面処理を行い、水に対する接触角を測定した結果、未処理の状態では約20°であり、処理後の状態では70°であった。これにより、ガラス板の表面が、シロキサン化合物により疎水的に修飾されたことが示された。
本発明の製造方法により、機能性化学品および機能性材料として有用なさまざまなシロキサン化合物をより効率的かつ安全に製造できるとともに、新規なシロキサン化合物、それらの表面処理剤等としての用途を提供できるため、本発明の利用価値は高く、その工業的意義は多大である。

Claims (16)

  1. 触媒の存在下で、Si−OCO結合(OCOはオキシカルボニル基のO−C(=O)を示す。)を有する第1のアシロキシシランとSi−OH結合を有する第1のシラノールとを反応させる第1の反応工程を含み、
    前記触媒が、下記(1)または(2)から選ばれる塩基性化合物である、Si−O−Si結合を有するシロキサン化合物の製造方法。
    (1)アルカリ金属の炭酸塩または酢酸塩
    (2)共役酸のpKaが6〜50である有機化合物、アミジン化合物、グアニジン化合物、脂肪族系の3級もしくは2級アミン、ホスファゼン化合物、または、それらの化合物に由来する基を有する、有機ポリマー系もしくは無機系の化合物
  2. 前記(1)の塩基性化合物が、炭酸セシウム、炭酸ルビジウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、酢酸セシウム、酢酸ルビジウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、および、酢酸リチウムから選ばれる化合物である、請求項1に記載のシロキサン化合物の製造方法。
  3. 前記(2)の塩基性化合物が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN);7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD);トリエチルアミン;トリプロピルアミン;トリブチルアミン;トリヘキシルアミン;イソプロピルジメチルアミン;ジイソプロピルメチルアミン;ジシクロヘキシルメチルアミン;ジエチルアミン;ジブチルアミン;N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA);1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO);1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン(ABCO);tert−ブチルイミノ−トリ(ピロリジノ)ホスホラン(BTPP);2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチルペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリン(BEMP);1−tert−ブチル−2,2,4,4,4−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2λ,4λ−カテナジ(ホスファゼン)(P2−t−Bu);1−tert−ブチル−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]−2λ,4λ−カテナジ(ホスファゼン)(P4−t−Bu);4−ジメチルアミノピリジン(DMAP);ヘキサメチレンテトラミン(HMTA);および、トリメチルアミン、ジソプロピルメチルアミン、DBU、MTBD、または、BEMPに由来する基を有するポリマー;から選ばれる化合物である、請求項1または2に記載のシロキサン化合物の製造方法。
  4. 前記第1のアシロキシシランが、下記一般式(IA)で表されるアシロキシシランである、請求項1〜3の何れか1項に記載のシロキサン化合物の製造方法。
    Si(OCOR (IA)
    (式中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または水素原子であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよく;Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、前記炭素数1〜10の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
  5. 前記第1のシラノールが、下記一般式(IIA1)または(IIA2)で表されるシラノールである、請求項1〜4の何れか1項に記載のシロキサン化合物の製造方法。
    Si(OH)4−(a+b+c) (IIA1)
    (式中、a、b、およびcは、それぞれ独立に、0以上3以下の整数であり;a+b+c
    は、0以上3以下の整数であり;R、R、およびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または水素原子であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
    HO(SiRO)H (IIA2)
    (式中、dは、2以上4以下の整数であり;RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、またはヒドロキシ基であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
  6. 前記第1のアシロキシシランが、下記一般式(IA)で表されるアシロキシシランであり、
    前記第1のシラノールが、下記一般式(IIA2)で表されるシラノールであり、
    前記第1の反応工程の反応生成物が、下記一般式(IIIA1)で表される環状シロキサン化合物である、請求項1〜3の何れか1項に記載のシロキサン化合物の製造方法。
    Si(OCOR (IA)
    (式中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または水素原子であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよく;Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、前記炭素数1〜10の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
    HO(SiRO)H (IIA2)
    (式中、dは、2以上4以下の整数であり;RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、またはヒドロキシ基であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部が反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
    Figure 2021130642
    (式中、R、R、R、R、およびdは、前記と同義である。)
  7. 前記第1のアシロキシシランが、下記一般式(IA)で表されるアシロキシシランであり、
    前記第1のシラノールが、下記一般式(IIA1)または(IIA2)で表されるシラノールであり、
    前記第1の反応工程の生成物が、下記一般式(IIA1)または(IIA2)で表されるシラノールのヒドロキシ基の水素原子の一部または全部を、下記一般式(IVA)で表されるアシロキシシリル基で置換した構造を有するシロキサン化合物である、請求項1〜3の何れか1項に記載のシロキサン化合物の製造方法。
    Si(OCOR (IA)
    (式中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または水素原子であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよく;Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、前記炭素数1〜10の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、
    反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
    Si(OH)4−(a+b+c) (IIA1)
    (式中、a、b、およびcは、それぞれ独立に、0以上3以下の整数であり;a+b+cは、0以上3以下の整数であり;R、R、およびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または水素原子であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
    HO(SiRO)H (IIA2)
    (式中、dは、2以上4以下の整数であり;RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、またはヒドロキシ基であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
    −SiR(OCOR) (IVA)
    (式中、R、R、およびRは、前記と同義である。)
  8. 水または下記一般式(VA)で表されるアルコールとの反応により、前記アシロキシシリル基のアシロキシ基を下記一般式(VIA)で表されるアルコキシ基に変換する修飾工程をさらに含む、請求項7に記載のシロキサン化合物の製造方法。
    ROH (VA)
    (式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基である。)
    −OR (VIA)
    (式中、Rは、前記と同義である。)
  9. 前記第1の反応工程の反応生成物がアシロキシ基を有するシロキサン化合物であり、かつ、
    水または下記一般式(VA)で表されるアルコールとの反応により、前記アシロキシ基をヒドロキシ基または下記一般式(VIA)で表されるアルコキシ基に変換する修飾工程をさらに含む、請求項1〜3の何れか1項に記載のシロキサン化合物の製造方法。
    ROH (VA)
    (式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基である。)
    −OR (VIA)
    (式中、Rは、前記と同義である。)
  10. 前記修飾工程が、水との反応により、前記第1の反応工程の前記反応生成物のアシロキシ基をヒドロキシ基に変換する工程であり、
    前記(1)または(2)から選ばれる塩基性化合物の存在下で、前記修飾工程の反応生成物とSi−OCO結合を有する第2のアシロキシシランとを反応させる第2の反応工程をさらに含む、請求項9に記載のシロキサン化合物の製造方法。
  11. 前記第1の反応工程の反応生成物がアシロキシ基を有し、かつ、
    前記(1)または(2)から選ばれる塩基性化合物の存在下で、前記第1の反応工程の前記反応生成物とSi−OH結合を有する第2のシラノールとを反応させる第3の反応工程をさらに含む、請求項1〜3の何れか1項に記載のシロキサン化合物の製造方法。
  12. 前記第1のアシロキシシランが、下記一般式(IA)で表されるアシロキシシランであり、
    前記第1のシラノールが、下記一般式(IIA1’)で表されるシラノールであり、
    前記第1の反応工程の反応生成物が、1分子中にアシロキシ基を1個有するシロキサン化合物であり、かつ、
    前記第1の反応工程の後に、
    水との反応により、前工程で得たシロキサン化合物のアシロキシ基をヒドロキシ基に変換する修飾工程と、
    前記(1)または(2)から選ばれる塩基性化合物の存在下で、前記修飾工程の反応生成物と下記一般式(IA)で表されるアシロキシシランとを反応させ、1分子中にアシロキシ基を1個有するシロキサン化合物を得る第4の反応工程と
    を交互に行う、請求項1〜3の何れか1項に記載のシロキサン化合物の製造方法。
    Si(OCOR (IA)
    (式中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または水素原子であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよく;Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、前記炭素数1〜10の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
    SiOH (IIA1’)
    (式中、a、b、およびcは、それぞれ独立に0以上3以下の整数であり;a+b+cは、3であり;R、R、およびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または水素原子であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
  13. 前記第1のアシロキシシランが、下記一般式(IA)で表されるアシロキシシランであり、
    前記第1のシラノールが、下記一般式(IIA1’’)または(IIA2)で表されるシラノールであり、かつ、
    前記第1の反応工程の反応生成物が、RCO−[Si]−O−(Si)−O−[Si]−OCORで表される骨格を有するアシロキシ末端シロキサン化合物(前記第1のシラノール1分子に対して前記第1のアシロキシシラン2分子が反応して生成する構造であり;[Si]は、前記第1のアシロキシシランに由来するシリレン基であり;(Si)は、前記第1のシラノールに由来するシリレン基であり;Rは、式(IA)中のRと同義である。)であり、かつ、
    前記アシロキシ末端シロキサン化合物を、水および前記(1)または(2)から選ばれる塩基性化合物の存在下で反応させて、下記一般式(IIIA2)の構造を有する環状シロキサン化合物を製造する環化工程をさらに含む、請求項1〜3の何れか1項に記載のシロキサン化合物の製造方法。
    Si(OCOR (IA)
    (式中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または水素原子であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよく;Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、前記炭素数1〜10の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
    Si(OH)4−(a+b) (IIA1’’)
    (式中、aおよびbは、それぞれ独立に、0以上2以下の整数であり;a+bは、0以上2以下の整数であり;R、R、およびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または水素原子であり、前記炭素数1〜20の炭化水素基および前記炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
    HO(SiRO)H (IIA2)
    (式中、dは、2以上4以下の整数であり;RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、またはヒドロキシ基であり、前
    記炭素数1〜20の炭化水素基および炭素数1〜20のアルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
    Figure 2021130642
  14. 下記一般式(IIIB1)〜(IIIB4)で表されるシロキサン化合物。
    1011Si−O−SiR1213 (IIIB1)
    141516Si−O−SiR1718−O−SiR1920 (IIIB2)
    212223Si−O−SiR2425−O−SiR2627−O−SiR2829 (IIIB3)
    303132Si−O−SiR3334−O−SiR35−O−SiR363738 (IIIB4)
    (これら式中、R〜R38は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、フェニル基、および、ビニル基の中から選ばれる基であり、X〜Xは、それぞれ独立に、アセトキシ基、トリフルオロアセトキシ基、またはヒドロキシ基である。)
  15. 請求項1〜13の何れか1項に記載の製造方法で得られるシロキサン化合物であって、アシロキシ基およびヒドロキシ基の少なくとも一方を有するシロキサン化合物、並びに請求項14に記載のシロキサン化合物から選ばれるシロキサン化合物を含有する組成物からなる、表面処理剤。
  16. 請求項15に記載の表面処理剤を用いて、固体材料の表面処理を行う方法。
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CN115232162B (zh) * 2022-06-25 2024-05-28 南方科技大学 硅手性硅醇化合物及其合成方法

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