JPWO2016121899A1 - 優れた焼成適性を有するクリームチーズおよびその製造方法 - Google Patents

優れた焼成適性を有するクリームチーズおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2016121899A1
JPWO2016121899A1 JP2016572162A JP2016572162A JPWO2016121899A1 JP WO2016121899 A1 JPWO2016121899 A1 JP WO2016121899A1 JP 2016572162 A JP2016572162 A JP 2016572162A JP 2016572162 A JP2016572162 A JP 2016572162A JP WO2016121899 A1 JPWO2016121899 A1 JP WO2016121899A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cream cheese
cheese
raw material
lactic acid
cream
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016572162A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6817075B2 (ja
Inventor
素晴 小森
素晴 小森
裕美 森川
裕美 森川
基史 高橋
基史 高橋
典明 松永
典明 松永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Meiji Co Ltd
Original Assignee
Meiji Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Meiji Co Ltd filed Critical Meiji Co Ltd
Publication of JPWO2016121899A1 publication Critical patent/JPWO2016121899A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6817075B2 publication Critical patent/JP6817075B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23CDAIRY PRODUCTS, e.g. MILK, BUTTER OR CHEESE; MILK OR CHEESE SUBSTITUTES; MAKING THEREOF
    • A23C19/00Cheese; Cheese preparations; Making thereof
    • A23C19/06Treating cheese curd after whey separation; Products obtained thereby
    • A23C19/068Particular types of cheese
    • A23C19/076Soft unripened cheese, e.g. cottage or cream cheese
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A21BAKING; EDIBLE DOUGHS
    • A21DTREATMENT, e.g. PRESERVATION, OF FLOUR OR DOUGH, e.g. BY ADDITION OF MATERIALS; BAKING; BAKERY PRODUCTS; PRESERVATION THEREOF
    • A21D13/00Finished or partly finished bakery products
    • A21D13/80Pastry not otherwise provided for elsewhere, e.g. cakes, biscuits or cookies

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Dairy Products (AREA)
  • Bakery Products And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Abstract

本発明の課題は、製菓や製パン向けの加工適性を高めたクリームチーズを提供することである。本発明は、多糖類、とくに乳酸菌由来の多糖類が3〜200μg/mL含有するクリームチーズに関する。このクリームチーズは、滑らかな食感で離水が少なく、このクリームチーズを原料にチーズケーキにした場合においても、組織の縮みや沈みといったボリュームの低下が起こらず、良好な食感となる。また、当該クリームチーズを、更に加熱し、均質化して加熱処理したクリームチーズとすることで、本発明の効果をより高められる。

Description

本発明は、優れた焼成適性を有するクリームチーズおよびその製造方法に関する。
クリームチーズは、クリーム単独、またはクリームと乳の混合物に乳酸菌を添加して発酵させ、生成した乳酸により乳を凝固させて得られる、非熟成タイプのやわらかいチーズである。クリームチーズは、乳酸菌由来の発酵風味およびさわやかな酸味を有することから、甘さとの相性が良く、ケーキ、パン、並びにデザートなどの製造の際の製菓用または製パン用の加工原料として使用される。
製菓用または製パン用の加工原料としてクリームチーズを使用する場合には、焼成直後には、組織の膨らみは最大となるが、冷却した後に、組織の縮みや沈みといったボリュームの低下が起こることが知られている。組織のボリュームが低下すると、見た目が悪く、組織自体も破壊されるため食感も悪くなる傾向にある。例えば、クリームチーズを使用してチーズケーキを製造する場合には、その傾向が顕著に見られる。
焼成工程などの加熱工程によるクリームチーズを使用した部分の組織の縮みや沈みといったボリュームの低下を抑制するために、耐熱性を向上させることを目的とした乳化剤、増粘剤、ゲル化剤などを添加し、溶融塩とともに加熱して得られる、クリームチーズを原料チーズとしてプロセスチーズ、またはチーズフードとすることが知られている。
このようなプロセスチーズ化、またはチーズフード化したクリームチーズには、例えば、乳タンパク濃縮物を4%以上含有し、pHを4.5〜5.7に、および脂肪球平均径を1.8μm以下に設定することにより、カット適性、調理混合適性、焼成適性を有する新規なクリームチーズ類が得られることが知られている(特許文献1)。また、特許文献1では、原料クリームチーズに未変性のβラクトグロブリンを含有させることにより、カット適性、調理混合適性、焼成適性を有するクリームチーズ類が得られることも記載されている。
一方で、プロセスチーズ化、またはチーズフード化しない、いわゆるナチュラルチーズとしてのクリームチーズの範疇でその焼成適性を高める方法として、クリームチーズ中のホエイたん白質に対するカゼインたん白質の質量比およびクリームチーズの硬度を所定の値に設定することが知られている(特許文献2)。例えば、特許文献2では、クリームチーズ中のカゼインたん白質/ホエイたん白質の質量比が1.77〜1.89であり、10℃での硬度が8.3〜8.9Nであるクリームチーズに焼成適性が高いことも記載されている。
特開2013−66432号公報 特開2013−212096号公報
これまでに、焼成適性を向上させるなど、クリームチーズに対し、製菓や製パン向けの加工適性を高めるためには、特許文献1などのようなプロセスチーズ化、またはチーズフード化、および、特許文献2などのようなナチュラルチーズの範疇でタンパク質組成の見直しなど、本来のクリームチーズにあるナチュラルさを損なうものであった。一方、生乳やクリームなど、天然の原料をそのまま使用し、ナチュラルさを残したまま製造されたクリームチーズには、上記の理由から、製菓や製パン向けの加工適性を高めることができなかった。
このように、生乳やクリームなどの天然の原料をもとに作られたクリームチーズでありながらも、製菓や製パン向けの加工適性を高めたクリームチーズ、およびその製造方法を開発することが課題であった。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、多糖類が3〜200μg/mL含有するクリームチーズとすることで、滑らかな食感で離水が少なく、このクリームチーズを原料にチーズケーキにした場合においても、組織の縮みや沈みといった、チーズケーキのボリュームの低下が起こらず、良好な食感となることを見出した。
また、本発明者らは、上記の多糖類を3〜200μg/mL含有するクリームチーズの製造において、原料ミックス(原料乳ともいう)を発酵し、ホエイを分離して得られたチーズカードを、更に加熱し、均質化して加熱処理したクリームチーズとすることで、上記のチーズケーキの優れた特性をより高めることができることを見出した。そして、本発明者らは、これらの知見に基づき、さらに検討を進め、本発明を完成するに至った。
従来技術では、生乳やクリームなどの天然の原料で構成された原料ミックスから製造されたクリームチーズを製菓や製パン向けの加工原料として使用する場合、焼成直後に最大となった組織の膨らみが、冷却後に縮みや沈みが起こり、これを改善するためにはタンパク質などの各種成分の構成および/または含量を調整することが必要であると考えられていたため、上記の本発明の奏する現象は驚くべきものであった。
したがって、本発明は、以下のとおりである。
[1]多糖類を3〜200μg/mL含有する、クリームチーズ。
[2]多糖類が、乳酸菌由来の多糖類である、前記[1]のクリームチーズ
[3]チーズケーキ製造用である、前記[1]または[2]に記載のクリームチーズ。
[4]乳酸菌が、クリームチーズ用原料ミックスを発酵させ、クリームチーズ完成時に、クリームチーズ中に3〜200μg/mLの多糖類を産生する菌学的性質を有する、前記[2]または[3]に記載のクリームチーズ。
[5]前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載のクリームチーズを原料とした、チーズケーキ。
[6]原料ミックスを、多糖類を産生する乳酸菌により発酵させる工程、および、発酵した原料ミックスからホエイを分離してチーズカードを得る工程を含む、乳酸菌由来の多糖類を3〜200μg/mL含有するクリームチーズの製造方法。
[7]得られたチーズカードを加温する工程、加温されたチーズカードを均質化する工程をさらに含む、前記[6]に記載のクリームチーズの製造方法。
[8]均質化が5〜50MPaの圧力による、前記[7]に記載のクリームチーズの製造方法。
[9]クリームチーズが、チーズケーキ製造用である、前記[6]〜[8]のいずれか一項に記載のクリームチーズの製造方法。
[10]前記[9]に記載の製造方法により製造されたチーズケーキ製造用クリームチーズを原料として用いる、チーズケーキの製造方法。
[11]焼成工程を含む、前記[10]に記載のチーズケーキの製造方法。
また本発明は、次のとおりの態様であり得る。
[12]乳酸菌由来の多糖類を3〜200μg/mL含有するクリームチーズ。
[13]前記[12]に記載のクリームチーズを加熱し、均質化して得られる、乳酸菌由来の多糖類を3〜200μg/mL含有する加熱処理したクリームチーズ。
[14]均質化が5〜50MPaの圧力による前記[13]に記載の乳酸菌由来の多糖類を3〜200μg/mL含有する加熱処理したクリームチーズ。
[15]前記[12]に記載のクリームチーズ、前記[13]に記載の加熱処理したクリームチーズ、および前記[14]に記載の加熱処理したクリームチーズから、1または2以上を原料として含有するチーズケーキ。
[16]原料ミックスを、多糖類を産生する乳酸菌により発酵させ、ホエイを分離してチーズカードを得ることを特徴とする、乳酸菌由来の多糖類を3〜200μg/mL含有するクリームチーズの製造方法。
[17]前記[16]に記載のクリームチーズの製造方法で得られたクリームチーズを、その後、加熱し、均質化することを特徴とする、乳酸菌由来の多糖類を3〜200μg/mL含有する加熱処理したクリームチーズの製造方法。
[18]均質化が5〜50MPaの圧力によることを特徴とする、前記[17]に記載の乳酸菌由来の多糖類を3〜200μg/mL含有する加熱処理したクリームチーズの製造方法。
[19]前記[16]に記載のクリームチーズの製造方法で得られたクリームチーズ、前記[17]に記載の加熱処理したクリームチーズの製造方法で得られた加熱処理したクリームチーズ、および前記[18]に記載の加熱処理したクリームチーズの製造方法で得られた加熱処理したクリームチーズから、1または2以上を原料として含有するチーズケーキの製造方法。
[20]前記[19]に記載のチーズケーキの製造方法が、焼成工程を含むことを特徴とする、チーズケーキの製造方法。
本発明では、乳酸菌由来の多糖類が3〜200μg/mL含有するクリームチーズとすることで、滑らかな食感で離水が少なく、このクリームチーズを原料にチーズケーキにした場合においても、組織の縮みや沈みといった、チーズケーキのボリュームの低下が起こらず、良好な食感となるクリームチーズを提供することができる。
以下では、本発明を詳細に説明するが、本発明は、個々の形態には限定されない。
本発明において、「クリームチーズ」とは、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年12月27日厚生省令第52号)、および公正競争規約で定めるナチュラルチーズの規格のうちいずれかに該当するものであって、一般的にクリームチーズと呼ばれるものをすべて包含するものとする。したがって、例えば、国際食品規格(Codex Standard)で規定されるクリームチーズ(CODEX STAN 275-1973)や、米国連邦規則で規定されるクリームチーズ(21CFR§133.133)などを包含する。
クリームチーズの製造方法は、例えば、下記の通りである。
原料として、牛乳、山羊乳、羊乳等の哺乳類から得られた生乳、脱脂乳、クリームなどの乳原料を用い、クリームチーズ用の原料ミックスとすることができる。クリームチーズ用の原料ミックスは、生乳および/または脱脂乳にクリームを加えて、乳脂肪の含量を、例えば、7〜20重量%、7〜18重量%、7〜16重量%、7〜14重量%、7〜12重量%、8〜20重量%、8〜18重量%、8〜16重量%、8〜14重量%、8〜12重量%、9〜20重量%、9〜18重量%、9〜16重量%、9〜14重量%、9〜12重量%、10〜20重量%、10〜18重量%、10〜16重量%、10〜14重量%、10〜12重量%に調整する。
クリームチーズ用の原料ミックスの乳脂肪の含量を7重量%以上とすることで、後述するクリームチーズのチーズカードとホエイを分離しやすくなり好ましい。また、クリームチーズ用の原料ミックスの乳脂肪の含量を20重量%以下とすることで、クリームチーズの風味および食感がくどくなく好ましい。したがって、かかる観点からは、乳脂肪の含量は、7〜20重量%、8〜20重量%、9〜20重量%、または10〜20重量%がより好ましい。
なお、濃厚で重みのある風味および食感のクリームチーズを得る場合には、クリームチーズ用の原料ミックスの乳脂肪の含量を、20重量%を超えて調整することもできる。このように調整する場合の上限は、油分の分離、保形性等の観点から、45重量%程度である。したがって、濃厚で重みのある風味および食感のクリームチーズを得る場合、乳脂肪の含量は、7〜45重量%、8〜40重量%、9〜35重量%、または10〜30重量%が好ましい。
クリームチーズ用の原料ミックスの殺菌方法としては、例えば、63℃で30分間、72〜74℃で15分間以上、82〜88℃で300〜360秒間、95℃で300秒間、などの条件で加熱殺菌を行うことができるが、これらの記載に限られず、公知のチーズ製造における原料ミックスの殺菌方法を、目標とするクリームチーズの品質や風味によって選択することが可能である。また、必要に応じて、原料ミックスの加熱殺菌前に、均質機(例えば、HA4733 TYPE H-20-2(SANWA MACHINE CO.,INC)など)を使用して0〜25MPaの均質化圧力で均質化処理を行なうこともできる。
クリームチーズ用の原料ミックスを殺菌し、冷却した後に、クリームチーズ用の原料ミックスを凝固させる。凝固させる方法としては、酸による凝固が一般的であるが、目標とするクリームチーズの品質や風味によって、凝乳酵素(レンネット)による凝固、加熱による凝固を、単独にて、もしくは酸による凝固との併用にて採用することができる。
殺菌処理したクリームチーズ用の原料ミックスを酸により凝固させる方法として、例えば、乳酸菌を添加して発酵させながら凝固させる方法、有機酸(乳酸やクエン酸など)を添加して凝固させる方法、ならびにこれらの方法の併用がある。
添加する乳酸菌は、発酵至適温度が約40℃の高温菌、発酵至適温度が約25℃の中温菌を使用することが一般的である。例えば、ヘルベチカス菌(Lactobacillus helveticus)、ラクチス菌(Lactococcus lactis)、ジアセチルラクチス菌(Lactococcus lactis subsp. lactis biovar. diacetylactis)、クレモリス菌(Lactococcus lactis subsp. cremoris)を乳酸菌として使用することが一般的であるが、これらに限られず、乳(乳糖)を発酵できる乳酸菌であれば、目標とするクリームチーズの品質や風味によって選択することができる。
また、有機酸(乳酸やクエン酸など)を使用する場合は、食品添加物用に該当するもの、および/または有機酸を含有する食品(果汁など)から、目標とするクリームチーズの品質や風味によって選択することができる。なお、殺菌処理したクリームチーズ用の原料ミックスを酸により凝固させる場合には、カゼインの等電点のpHが4.6であることも考慮し、凝固した時のpHは例えば、pH3〜5、pH3.5〜5、pH3.7〜5、pH3.9〜5、pH4〜5、pH4.1〜5、pH4.2〜5、pH4.3〜5、pH4.4〜5、pH4.5〜5であり、目標とするクリームチーズの品質や風味によって選択することができる。ここで、凝固した時のpHが3以上であれば、クリームチーズの酸味が強くなく、好ましい。また、凝固した時のpHが5以下であれば、十分に酸による凝固がなされており、後述するホエイとの分離が容易であり、好ましい。
凝固したクリームチーズ用の原料ミックスは、ホエイを分離することにより、チーズカードを得ることができる。ホエイの分離方法は、膜またはメッシュなどによる濾過、遠心力を利用した分離など、公知のチーズの製造で使用しているホエイを分離する方法を、目標とするクリームチーズの品質や風味によって選択すればよい。典型的には、得られたチーズカードがクリームチーズである。
本発明のクリームチーズは、多糖類、好ましくは乳酸菌由来の多糖類を3〜200μg/mL含有する。ここでいう、多糖類とは、グリコシド結合によって単糖分子が多数重合したものであって、乳糖などの二糖類は包含しない。多糖類としては、食品に用いられるものであれば、とくに限定されないが、例えば、ローカストビーンガム、グアーガム、カラギーナン、キサンタンガム、トラガントガム、タマリンドシードガム、ペクチン、アラビアガム、カードラン、タラガム、ジェランガム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルギン酸ナトリウム、プルランなどが挙げられる。また、乳酸菌由来の多糖類とは、乳酸菌の発酵(代謝)により生成された多糖類である。本発明のクリームチーズとする一つの態様として、クリームチーズ用の原料ミックスに、乳酸菌由来の多糖類を生成する乳酸菌を添加することである。このときに、最終的なクリームチーズ中に乳酸菌由来の多糖類が3〜200μg/mL含有すれば、乳酸菌の菌種および/または菌株には特に制限されない。すなわち、本発明に用い得る乳酸菌は、クリームチーズ用原料ミックスを発酵させ、クリームチーズ完成時に、クリームチーズ中に、所定量、例えば3〜200μg/mLの多糖類を産生する菌学的性質を有していれば、特に限定されない。かかる多糖類を産生する能力については、例えば、本実施例に記載の方法に準じてクリームチーズを製造し、かかるクリームチーズ中の多糖類の濃度を測定すればよく、たとえば公知のフェノール・硫酸法によって当業者が容易に確認できる。なお、かかる菌学的性質を有している乳酸菌は、公知の入手可能な乳酸菌から、適宜、性質を確認したうえで、本発明に利用可能である。
例えば、発酵中に多糖類を生成する乳酸菌として、ラクトバチルス・デルブリュッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)(以下、ブルガリア菌という)OLL1247株(受託番号:NITE BP−01814)(以下、ブルガリア菌OLL1247株という)、またはラクトバチラス・デルブルッキー・サブスピーシス・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus)OLL1073R−1株(受託番号:FERM BP−10741)(以下、ブルガリア菌OLL1073R−1株)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)(以下、サーモフィラス菌という)OLS3618株(受託番号:NITE BP−01815)(以下、サーモフィラス菌OLS3618株)、またはストレプトコッカス・サーモフィラス OLS3078株(受託番号:NITE BP−01697)(以下、サーモフィラス菌OLS3078株)などを単独で使用することができる。
また、例えば、ブルガリア菌とサーモフィラス菌の組み合わせとして、ブルガリア菌OLL1247株とサーモフィラス菌OLS3618株との組み合わせ、ブルガリア菌OLL1247株とサーモフィラス菌OLS3078株との組み合わせ、ブルガリア菌OLL1073R−1株とサーモフィラス菌OLS3078株との組み合わせ、などを使用することができる。さらに、上記の多糖類を産生する菌学的性質を有する乳酸菌に加えて、目的に応じて、他の市販の乳酸菌を併用することができる。例えば、滑らかで濃厚な食感の発酵乳向けの乳酸菌を選定すれば、本発明のクリームチーズに利用することができる。
本明細書における「ブルガリア菌OLL1247株」(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus OLL1247)は、独立行政法人製品評価技術基盤機構(IPOD, NITE)(日本国 〒292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室)へ、2014年3月6日付にてブダペスト条約に基づく国際寄託され、受託番号NITE BP−01814が付与されている。
本明細書における「ブルガリア菌OLL1073R−1株」(Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R−1)は、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(IPOD, AIST)(日本国 〒305−8566 茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に受領番号:FERM P−17227(識別のための表示: Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R−1)、平成11(1999)年2月22日に国内受託されており、平成18(2006)年11月29日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP−10741が付与されている。なお、Budapest Notification No. 282 (http://www.wipo.int/treaties/en/notifications/budapest/treaty_budapest_282.html)に記載されるとおり、独立行政法人製品評価技術基盤機構(IPOD, NITE)が独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(IPOD, AIST)より特許微生物寄託業務を承継したため、現在は、独立行政法人製品評価技術基盤機構(IPOD, NITE)(千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 120号室)に寄託されている(受託番号FERM BP−10741)。
本明細書における「サーモフィラス菌OLS3618」(Streptococcus thermophilus OLS3618)は、独立行政法人製品評価技術基盤機構(IPOD, NITE)(日本国 〒292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室)へ、2014年3月6日付にてブダペスト条約に基づく国際寄託され、受託番号NITE BP−01815が付与されている。
本明細書における「サーモフィラス菌OLS3078」(Streptococcus thermophilus OLS3078)は、独立行政法人製品評価技術基盤機構(IPOD, NITE)(日本国 〒292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室)へ、2013年8月23日付にてブダペスト条約に基づく国際寄託され、受託番号NITE BP−01697が付与されている。
本発明において、使用するクリームチーズ用の原料ミックスに乳酸菌由来の多糖類を生成する乳酸菌は、上記のブルガリア菌および/またはサーモフィラス菌の他に、任意の乳酸菌を添加することができる。特に、ラクチス菌を始めとするラクトコッカス属(Lactococcus)乳酸菌、カゼイ菌(Lactobacillus casei)を始めとするラクトバチルス属(Lactobacillus)乳酸菌を添加することで、クリームチーズ中の多糖類の含有量が増加し、本発明の効果がより高まる。なお、これらのラクトコッカス属乳酸菌、ならびにラクトバチルス属乳酸菌は、市販の乳酸菌を含む公知のものを使用することができる。
クリームチーズ用の原料ミックスに乳酸菌由来の多糖類を生成する乳酸菌を添加し、発酵するにあたり、本発明のクリームチーズが得られる限りには、その温度、発酵時間において特に制限はない。ブルガリア菌やサーモフィラス菌などの高温菌を使用する場合には、発酵温度は、30〜55℃、30〜50℃、32〜48℃、33〜47℃、34〜46℃、35〜45℃、36〜44℃であってよく、特に、風味、発酵遅延の観点から、35〜45℃が好ましく、より好ましくは、36〜44℃である。ラクチス菌やクレモリス菌などの中温菌を使用する場合には、発酵温度は、20〜35℃、21〜34℃、22〜33℃、23〜32℃、24〜31℃、25〜30℃であってよく、特に、風味、発酵遅延の観点から、24〜31℃が好ましく、より好ましくは、25〜30℃である。発酵時間は、pH3〜5、好適には、pH4.8までに到達するまでの時間であれば、特に制限はないが、例えば、1〜40時間、2〜30時間、3〜25時間、4〜20時間、5〜15時間程度で所定のpHに到達する。
一方、乳酸菌で発酵させる場合には、より低温で発酵させることで、乳酸菌由来の多糖類を生成しやすくなる。従って、上記の発酵温度を基準にして、低めの温度(例えば、20〜45℃、好ましくは、25〜40℃程度)で発酵させることで本発明の効果が高まる。
本発明のクリームチーズに使用する乳酸菌は、乳酸菌由来の多糖類を3〜200μg/mLのクリームチーズとなれば、それ以外の要素は任意に選択できるため、目標とするクリームチーズの発酵風味の強さに応じて、発酵風味を生成する適当な菌株を選択できる。発酵風味は、実際にクリームチーズを食べた時の風味をもとに行う官能評価のほか、ジアセチルを指標物質として、クリームチーズ中のジアセチル含量で評価することができる。クリームチーズ中のジアセチルの含有量は、発酵風味の強いクリームチーズとするには、1〜20ppm、2〜19ppm、3〜18ppm、4〜17ppm、5〜16ppm、5〜15ppmであり、発酵風味の弱いクリームチーズとするには、0〜1ppm、0〜0.5ppm、0〜0.4ppm、0〜0.3ppm、0〜0.2ppm、0〜0.1ppmである。
本発明のクリームチーズを製造するにあたり、乳酸菌由来の多糖類を生成しない乳酸菌を添加して発酵する場合、または有機酸(乳酸、クエン酸など)を添加する場合においても、乳酸菌由来の多糖類を、クリームチーズ用の原料ミックスに直接添加し、クリームチーズ用の酸による凝固工程中に直接添加し、あるいは、クリームチーズのチーズカードに直接添加することができる。
本発明のクリームチーズに含有する、乳酸菌由来の多糖類は、例えば、3〜200μg/mL、3〜150μg/mL、3〜100μg/mL、3〜80μg/mL、3〜60μg/mL、3〜50μg/mL、3〜40μg/mL、3〜30μg/mL、3〜25μg/mL、3〜20μg/mL、3〜15μg/mLである。本発明のクリームチーズに含有する、乳酸菌由来の多糖類が3μg/mL以上であれば、本発明のクリームチーズが滑らかな食感で離水が少なく、このクリームチーズを原料にチーズケーキにした場合においても、組織の縮みや沈みといったボリュームの低下が起こらず、良好な食感となるため好ましい。また、本発明のクリームチーズに含有する、乳酸菌由来の多糖類が200μg/mL以下であれば、滑らかで口どけの良好な食感となるため好ましい。クリームチーズ中の乳酸菌由来の多糖類が多いと、保水性や焼成適性が良いという傾向があり、少ないと、保水性や焼成適性が悪いという傾向がある。好ましい多糖類の含量は、3〜50μg/mLであり、とくに好ましくは、3〜20μg/mLである。なお、本発明のクリームチーズの乳酸菌由来の多糖の含量は、公知のフェノール・硫酸法にて測定できる。
本発明のクリームチーズは、乳酸菌由来の多糖類を3〜200μg/mLを含むことにより、クリームチーズ用の原料のタンパク質の構成を変えずに、ナチュラルチーズの規格を維持しているにも関わらず、滑らかな食感で離水が少なく、このクリームチーズを原料にチーズケーキにした場合においても、組織の縮みや沈みといったボリュームの低下が起こらず、良好な食感となる。また、本発明のクリームチーズは、溶融塩や乳化剤などを添加して再度の加熱乳化をするような、プロセスチーズ化をしていないため、乳の自然な風味や食感を感じることができる。さらに、本発明のクリームチーズは、クリームチーズ用の原料のタンパク質の構成を人為的に変えておらず、クリームチーズの本来の風味や食感を感じることができる。
本発明のクリームチーズは、その後の加熱し、均質化処理をして、加熱処理したクリームチーズとすることで、本発明の効果である、滑らかな食感で離水が少なく、このクリームチーズを原料にチーズケーキにした場合においても、組織の縮みや沈みといったボリュームの低下が起こらず、良好な食感となることを、さらに高めることができる。ここで加熱の温度は、本発明のクリームチーズの効果が損なわれない限り、特に制限はないが、例えば60〜100℃、65〜95℃、70〜90℃、75〜85℃、77℃〜83℃、78℃〜82℃である。また、加熱の保持時間は10〜90分間、15〜60分間、20〜40分間、25〜35分間である。好ましくは、70〜90℃で20〜40分間の加熱であり、とくに好ましくは、78〜82℃で25〜35分間の加熱である。
本発明のクリームチーズを、その後に加熱処理するために均質化の条件は、本発明のクリームチーズの効果が損なわれない限り、特に制限はないが、均質機を使用する場合の均質化圧は、例えば、5〜50MPa、6〜40MPa、7〜35MPa、10〜33MPa、12〜31MPa、15〜30MPa、15〜25MPaである。本発明のクリームチーズの均質化圧が5MPa以上であれば、本発明の効果が得られるため、好ましい。また、本発明のクリームチーズの均質化圧が50MPa以下であれば、過剰なせん断による本発明の効果が失われることがないため、好ましい。均質機としては、当該分野において用いられる一般的なものを用いることができ、具体的な均質機の例としては、HA4733 TYPE H-20-2(SANWA MACHINE CO.,INC)などが挙げられる。また、均質化を行う温度は、特に限定されないが、均質化の前の加熱処理の温度や、均質化後の処理を考慮し、例えば、約80℃で行われる。
本発明のクリームチーズ、および本発明の加熱処理したクリームチーズは、従来のクリームチーズと比較して、製菓、製パン用の加工原料として使用する場合には、焼成直後には、組織の膨らみは最大となるが、冷却した後に、組織の縮みや沈みといったボリュームの低下が起こらない。製菓、製パン用の加工原料として本発明の本発明のクリームチーズ、および本発明の加熱処理したクリームチーズを使用する場合には、特に、焼成工程のあるスフレチーズケーキでその効果が期待できる。焼成の条件は、本発明のクリームチーズの効果が損なわれない限り、特に制限はないが、焼成の温度は、例えば、150〜300℃、150〜250℃、150〜220℃、160〜200℃、170〜190℃である。また、焼成の保持時間は10〜90分間、15〜60分間、20〜40分間、25〜35分間である。好ましくは、160〜200℃で20〜40分間の焼成であり、とくに好ましくは、170〜190℃で25〜35分間の焼成である。
本発明のクリームチーズ、および本発明の加熱処理したクリームチーズの調製時にその他の食品原料および/または食品添加物を添加することは、本発明の効果が損なわれない限り、特に制限はない。また、本発明のクリームチーズ、および本発明の加熱処理したクリームチーズにその他の食品原料および/または食品添加物を添加することは、本発明の効果が損なわれない限り、特に制限はない。例えば、スフレチーズケーキを作る場合、本発明のクリームチーズ、および本発明の加熱処理したクリームチーズの他に、白ワイン、牛乳、卵黄、卵白、グラニュー糖、バターを添加することができる。
以下では、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これにより限定されない。
[実施例1]
未殺菌の生乳(牛乳)80kgにクリーム20kgを加えて、乳脂肪の含量が15重量%になるよう調整し、クリームチーズ用の原料ミックスとした。この原料ミックスを95℃で60秒間保持して殺菌した後、75℃まで冷却してから均質化圧15MPaで均質処理した。殺菌処理した原料ミックスを37℃まで冷却し、「明治ブルガリアヨーグルト」(株式会社明治製、日本)から分離したブルガリア菌とサーモフィラス菌を接種し、原料ミックスのpHが4.8になるまで18時間の静置発酵をした。発酵した原料ミックスを撹拌しながら80℃まで加温した後、カードとホエイを分離して、実施例1のクリームチーズを得た。実施例1のクリームチーズの多糖量をフェノール・硫酸法(Thermo Slide-A-Lyzer Dialysis Cassette G2 7,000MWCO(Thermo Fisher Scientific、米国))にて測定したところ、4.6μg/mLであった。このクリームチーズを4℃まで冷却した。
[実施例2]
未殺菌の生乳(牛乳)80kgにクリーム20kgを加えて、乳脂肪の含量が15重量%になるよう調整し、クリームチーズ用の原料ミックスとした。この原料ミックスを95℃で60秒間保持して殺菌した後、75℃まで冷却してから均質化圧15MPaで均質処理した。殺菌処理した原料ミックスを37℃まで冷却し、「明治ブルガリアヨーグルト」(株式会社明治製、日本)から分離したブルガリア菌とサーモフィラス菌、市販のナチュラルチーズより分離したラクチス菌、を接種し、原料ミックスのpHが4.8になるまで18時間の静置発酵をした。発酵した原料ミックスを撹拌しながら80℃まで加温した後、カードとホエイを分離して、実施例2のクリームチーズを得た。実施例2のクリームチーズの多糖量をフェノール・硫酸法(Thermo Slide−A−Lyzer Dialysis Cassette G2 7,000MWCO(Thermo Fisher Scientific、米国))にて測定したところ、7.5μg/mLであった。このクリームチーズを4℃まで冷却した。
[実施例3]
未殺菌の生乳(牛乳)80kgにクリーム20kgを加えて、乳脂肪の含量が15重量%になるよう調整し、クリームチーズ用の原料ミックスとした。この原料ミックスを95℃で60秒間保持して殺菌した後、75℃まで冷却してから均質化圧15MPaで均質処理した。殺菌処理した原料ミックスを37℃まで冷却し、「明治ブルガリアヨーグルト」(株式会社明治製、日本)から分離したブルガリア菌とサーモフィラス菌、市販の乳酸菌飲料より分離したカゼイ菌、を接種し、原料ミックスのpHが4.8になるまで18時間の静置発酵をした。発酵した原料ミックスを撹拌しながら80℃まで加温した後、カードとホエイを分離して、実施例3のクリームチーズを得た。実施例3のクリームチーズの多糖量をフェノール・硫酸法(Thermo Slide−A−Lyzer Dialysis Cassette G2 7,000MWCO(Thermo Fisher Scientific、米国))にて測定したところ、10.7μg/mLであった。このクリームチーズを4℃まで冷却した。
[実施例4]
未殺菌の生乳(牛乳)80kgにクリーム20kgを加えて、乳脂肪の含量が15重量%になるよう調整し、クリームチーズ用の原料ミックスとした。この原料ミックスを95℃で60秒間保持して殺菌した後、75℃まで冷却してから均質化圧15MPaで均質処理した。殺菌処理した原料ミックスを15℃まで冷却し、「明治ブルガリアヨーグルト」(株式会社明治製、日本)から分離したブルガリア菌とサーモフィラス菌、市販の乳酸菌飲料より分離したカゼイ菌、を接種し、10時間撹拌しながら保持した。その後に乳酸菌を摂取した原料ミックスを37℃まで昇温した後に、原料ミックスのpHが4.8になるまで18時間の静置発酵をした。発酵した原料ミックスを撹拌しながら80℃まで加温した後、カードとホエイを分離して、実施例4のクリームチーズを得た。実施例4のクリームチーズの多糖量をフェノール・硫酸法(Thermo Slide−A−Lyzer Dialysis Cassette G2 7,000MWCO(Thermo Fisher Scientific、米国))にて測定したところ、8.9μg/mLであった。このクリームチーズを4℃まで冷却した。
[比較例1]
未殺菌の生乳(牛乳)80kgにクリーム20kgを加えて、乳脂肪の含量が15重量%になるよう調整し、クリームチーズ用の原料ミックスとした。この原料ミックスを95℃で60秒間保持して殺菌した後、75℃まで冷却してから均質化圧15MPaで均質処理した。殺菌処理した原料ミックスを37℃まで冷却し、市販のナチュラルチーズより分離したラクチス菌、を接種し、原料ミックスのpHが4.8になるまで18時間の静置発酵をした。発酵した原料ミックスを撹拌しながら80℃まで加温した後、カードとホエイを分離して、比較例1のクリームチーズを得た。比較例1のクリームチーズの多糖量をフェノール・硫酸法(Thermo Slide−A−Lyzer Dialysis Cassette G2 7,000MWCO)(Thermo Fisher Scientific、米国)にて測定したところ、0.6μg/mLであった。このクリームチーズを4℃まで冷却した。
実施例1〜4のクリームチーズ、および比較例1のクリームチーズを「食感の滑らかさ」、「目視による離水」の指標で評価した。「食感の滑らかさ」において、「◎」はとても滑らか、「○」は滑らか、「×」は不良で判定した。「目視による離水」において、「◎」は離水なし、「○」は微かな離水が見られるが許容範囲、「×」は離水が多く不良で判定した。評価は、10名のチーズの専門パネルで実施した。
結果を表1に示す。
表1より、実施例1〜4はクリームチーズとしての滑らかさがあり、離水も少なかった。一方、比較例1では、滑らかさ、離水とも不適であった。以上より、クリームチーズの多糖量が所定量以上含有することで、クリームチーズの加工適性が高まることが示唆された。また、実施例2〜4のクリームチーズは、良好な発酵風味であり、特に、37℃での発酵をする前に10℃で10時間の撹拌処理をした実施例4の発酵風味は顕著であった。
[試験例1]
実施例3で得られたクリームチーズを80℃まで加温し、そのまま30分間保持した。その後に、以下の表2に示す均質化圧(7〜35MPa)で均質化処理をしてから4℃まで冷却した(実施例5〜実施例10)。冷却した加熱処理したクリームチーズの食感の滑らかさを、「◎」はとても滑らか、「○」は滑らか、「×」は不良で判定した。
さらに、ここで得られた加熱処理したクリームチーズを原料としてスフレチーズケーキを以下の通りに調製した。
(1)卵黄3g、グラニュー糖1.1g、コーンスターチ0.5gを混ぜ合わせ、予め温めた牛乳13.1gを加え、裏ごしする。
(2)裏漉ししたものを加熱し、無塩バター3.7gを加える。
(3)加熱を止め、加熱処理したクリームチーズ20gと白ワイン1.4gを混ぜ合わせたものを加え全体を均一に混ぜる。
(4)卵白4gとグラニュー糖4gからメレンゲを作り、(3)にメレンゲの3分の1を添加し、泡を潰すようによく混ぜる。
(5)メレンゲの残り3分の2を加え、泡を潰さないように混ぜる。容器に流し込み、180℃30分湯煎焼きをする。
得られたチーズケーキはそれぞれ4℃まで冷却し、食感の滑らかさを、「◎」はとても滑らか、「○」は滑らか、「×」は不良で判定した。評価は、10名のチーズの専門パネルで実施した。
表2より、加熱処理した実施例5〜10はクリームチーズとしての滑らかさがあり、またスフレチーズケーキにしても滑らかさがあり、良好な食感であった。特に、均質化圧15〜30MPaで処理した実施例7〜9では、クリームチーズに由来するとても滑らかな食感が得られた。実施例5〜10に共通して、従来のクリームチーズ(比較例1)で見られるような、チーズケーキに加工した際に、組織の縮みや沈みといったボリュームの低下が起こらなかった。

Claims (11)

  1. 多糖類を3〜200μg/mL含有する、クリームチーズ。
  2. 多糖類が、乳酸菌由来の多糖類である、請求項1に記載のクリームチーズ。
  3. チーズケーキ製造用である、請求項1または2に記載のクリームチーズ。
  4. 乳酸菌が、クリームチーズ用原料ミックスを発酵させ、クリームチーズ完成時に、クリームチーズ中に3〜200μg/mLの多糖類を産生する菌学的性質を有する、請求項2または3に記載のクリームチーズ。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のクリームチーズを原料とした、チーズケーキ。
  6. 原料ミックスを、多糖類を産生する乳酸菌により発酵させる工程、および、発酵した原料ミックスからホエイを分離してチーズカードを得る工程を含む、乳酸菌由来の多糖類を3〜200μg/mL含有するクリームチーズの製造方法。
  7. 得られたチーズカードを加温する工程、加温されたチーズカードを均質化する工程をさらに含む、請求項6に記載のクリームチーズの製造方法。
  8. 均質化が5〜50MPaの圧力による、請求項7に記載のクリームチーズの製造方法。
  9. クリームチーズが、チーズケーキ製造用である、請求項6〜8のいずれか一項に記載のクリームチーズの製造方法。
  10. 請求項9に記載の製造方法により製造されたチーズケーキ製造用クリームチーズを原料として用いる、チーズケーキの製造方法。
  11. 焼成工程を含む、請求項10に記載のチーズケーキの製造方法。
JP2016572162A 2015-01-29 2016-01-29 優れた焼成適性を有するクリームチーズおよびその製造方法 Active JP6817075B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015015769 2015-01-29
JP2015015769 2015-01-29
PCT/JP2016/052576 WO2016121899A1 (ja) 2015-01-29 2016-01-29 優れた焼成適性を有するクリームチーズおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2016121899A1 true JPWO2016121899A1 (ja) 2018-01-11
JP6817075B2 JP6817075B2 (ja) 2021-01-20

Family

ID=56543503

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016572162A Active JP6817075B2 (ja) 2015-01-29 2016-01-29 優れた焼成適性を有するクリームチーズおよびその製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6817075B2 (ja)
TW (1) TW201633922A (ja)
WO (1) WO2016121899A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7146187B2 (ja) * 2018-05-16 2022-10-04 テーブルマーク株式会社 菌体外多糖生産性乳酸菌およびその利用

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2832519B2 (ja) * 1995-02-20 1998-12-09 雪印乳業株式会社 リン酸化多糖類を有効成分とする安定剤及びその利用
JP3073455B2 (ja) * 1997-02-28 2000-08-07 雪印乳業株式会社 カッテージチーズ及びその製造方法
WO1999018807A2 (en) * 1997-10-13 1999-04-22 Unilever N.V. Method of preparing a dairy spread
LT2723181T (lt) * 2011-06-24 2017-04-25 Chr. Hansen A/S Sūrio gamyba

Also Published As

Publication number Publication date
TW201633922A (zh) 2016-10-01
WO2016121899A1 (ja) 2016-08-04
WO2016121899A9 (ja) 2016-10-06
JP6817075B2 (ja) 2021-01-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7358099B2 (ja) ヨーグルト及びヨーグルトの製造方法
JP7358098B2 (ja) ヨーグルト及びヨーグルトの製造方法
EP2448419A2 (en) A method for producing a fermented milk product
JP6203050B2 (ja) 液状発酵乳及びその製造方法
JP4580138B2 (ja) 殺菌済み軟質ナチュラルチーズ及びその製造方法
US20120164273A1 (en) Method for producing pasteurized fresh cheese
JP4464324B2 (ja) 発酵乳飲料の製造法
JP6901350B2 (ja) 発酵乳飲料の製造方法
JP7232177B2 (ja) 乳酸菌スターター及び発酵乳の製造方法
JP6817075B2 (ja) 優れた焼成適性を有するクリームチーズおよびその製造方法
JP5748261B2 (ja) フレッシュチーズ
JP6860350B2 (ja) 生産効率の優れたクリームチーズの製造方法
US11992023B2 (en) Fermented milk soft cheese product and process of making same
JP2013212095A (ja) 発酵乳およびその製造方法
JP2018050493A (ja) 低温殺菌した原料ミックスを用いた発酵乳の製造方法
JPWO2017057319A1 (ja) 乳酸菌スターターの調製方法及び発酵乳の製造方法
JP5568380B2 (ja) 発酵乳の製造方法
JP4248993B2 (ja) 糸引き粘性を有する殺菌発酵乳の製造方法
JP6850610B2 (ja) 酸味を改良したクリームチーズおよびその製造方法
JP2018157784A (ja) 発酵乳の製造方法
JP2018143221A (ja) 発酵乳
JP2018170981A (ja) 低温発酵による発酵乳の製造方法および該方法により製造された発酵乳
JP2016067352A (ja) クリームチーズの製造方法
JP2016136915A (ja) 濃厚ヨーグルト、及び濃厚ヨーグルトの製造方法
JP2021040526A (ja) 低脂肪フレッシュチーズおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170726

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190108

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191210

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200610

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200730

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201202

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201224

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6817075

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150