JP5748261B2 - フレッシュチーズ - Google Patents

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Description

本発明は、従来のフレッシュチーズとは異なり、発酵臭が少なく、ミルク感があり、酸味が少ないフレッシュチーズに関する。
クリームチーズやクワルク、カッテージチーズといったフレッシュチーズは、世界中で広く製造されている非熟成型チーズである。フレッシュチーズは酸凝固させるチーズであり、一般的に中温性乳酸菌を20〜30℃にて発酵させ、凝固させた調整乳を加熱、ホエー分離することで製造することができる。
フレッシュチーズを製造する中温性乳酸菌として、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティス(Lc.lactis subsp.lactis)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・クレモリス( Lc.lactis subsp.cremoris)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクチス・バイオバラエティー・ジアセチラクチス(Lc.lactis ssp.lactis biovar diacetylactis)、ロイコノストック・メセンテロイデス・サブスピーシズ・クレモリス(Leu. mesenteroides subsp. cremoris)等が広く知られている。これらの乳酸菌のうち、酸生成の主体となる乳酸菌は、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティス(Lc.lactis subsp.lactis)とラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・クレモリス( Lc.lactis subsp.cremoris)であり、芳香成分生成の主体となる乳酸菌は、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクチス・バイオバラエティー・ジアセチラクチス(Lc.lactis ssp.lactis biovar diacetylactis)とロイコノストック・メセンテロイデス・サブスピーシズ・クレモリス(Leu. mesenteroides subsp. cremoris)である。
これまで、フレッシュチーズの風味を改良させる方法として、リパーゼやプロテアーゼならびに乳酸菌で製造したフレーバーを添加する方法(例えば、特許文献1参照)、乳製品を乳酸菌で発酵させたフレーバーを添加する方法(例えば、特許文献2参照)や乳酸菌で発酵させたヨーグルトを添加させる方法(例えば、特許文献3参照)が開示されている。
また、フレッシュチーズで使用する乳酸菌を変更した例として、ストレプトコッカス・サーモフィラス(S. thermophilus)を使用して舌ざわりを改良する方法(例えば、特許文献4参照)、ストレプトコッカス属やラクトコッカス属等を使用することで食感を改良する方法(例えば、特許文献5参照)、低分子熱ショックタンパク質をコードするプラスミドを有するストレプトコッカス・サーモフィラス(S. thermophilus) やラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティス(Lc.lactis subsp.lactis)を使用して口当たりを柔らかくする方法(例えば、特許文献6参照)も開示されている。
特開平3−127962号公報 特開2007−97591号公報 特開平2−258597号公報 特表2009−527233号公報 特表2006−520590号公報 特表2005−519597号公報
上記従来の技術によると、例えば、これまでの中温性乳酸菌にて製造されるフレッシュチーズは、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクチス・バイオバラエティー・ジアセチラクチス(Lc.lactis ssp.lactis biovar diacetylactis)やロイコノストック・メセンテロイデス・サブスピーシズ・クレモリス(Leu. mesenteroides subsp. cremoris)が含まれているため、該乳酸菌により生産される芳香成分等によって発酵臭が強く感じられ、ミルク感が少なくなってしまう場合が多く認められる。これらの乳酸菌による発酵臭は、欧州等ではチーズ風味の一種として認識されるため好まれる場合もあるが、チーズ臭に馴染みの薄い日本等では、芳香成分等の発酵臭が好ましくない風味と感じられる場合が非常に多い状況である。
特許文献1に記載されるリパーゼやプロテアーゼならびに乳酸菌で製造したフレーバーを添加する方法は、酵素等によってミルキー風味およびこく味を有する発酵乳フレーバーを製造する方法に関するものであり、あくまでフレーバーの製造に関するものである。さらに、使用している乳酸菌もラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティス(Lc.lactis subsp.lactis)であり、本発明とは使用している菌種も異なる。
特許文献2に記載される乳製品を乳酸菌で発酵させたフレーバーを添加する方法は、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ジアセチラクティス(Lactococcus lactis spp.diacetylactis)やロイコノストック・クレモリス(Leuconostoc cremoris)からなる群をもちいてフレーバーを生成し、チーズや乳製品に添加しているが、あくまでフレーバー組成物の製造に関するものであるし、使用している乳酸菌も異なる。
特許文献3に記載されるチーズ溶液にヨーグルト様乳酸菌スターターを接種して製造する方法は、クリームチーズを原材料の一部として用いたヨーグルトの製造に関するものであり、得られたチーズヨーグルトのpHは4.2と低く、酸味を低減するといった目的や課題についての示唆や記載はなく、またそのような検討や結果もなされていない。
特許文献4、5には、発酵乳製品や食品の食感や舌触りを改良するためにストレプトコッカス・サーモフィラス(S. thermophilus)を用いることが開示されているが、あくまで食感や舌触りの改良や付与に関するものであり、風味改善や乳製品の酸味を低減させるといった目的や課題等の記載や示唆も一切ない。また、ストレプトコッカス・サーモフィラス(S. thermophilus)を43℃の高温で培養しており、酸生成が多く、酸味が強く、本発明の目的とするフレッシュチーズとは全く異なるものである。
さらに、特許文献6は、低分子熱ショックタンパク質を発現する好熱性のストレプトコッカス・サーモフィラスや中温性のラクトコッカス・ラクティスに関するものであるが、遺伝子組み換えや変異誘発技術を使用して特異的に改変する必要があるとともに、実際の食品への応用は難しい状況である。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ストレプトコッカス・サーモフィラス(S. thermophilus、以下サーモフィラス菌)を用いてサーモフィラス菌の最適温度よりも低い温度で発酵させることによって、チーズ製造工程を変更することなく、発酵臭が少なく、ミルク感があり、酸味が少ないフレッシュチーズを製造することが可能となった。
したがって、本発明は、下記のいずれかの構成からなる発明である。
(1)原料乳を均質する工程と、前記均質した原料乳を殺菌する工程と、前記殺菌した原料乳を冷却する工程と、前記冷却した原料乳をサーモフィラス菌のみを用いて25〜28℃で発酵させる工程をによって得られる、フレッシュチーズ100gあたり、酢酸量が5〜20mg、ガラクトース量が0.2〜0.4gであって、発酵後のpHが4.4〜4.8であることを特徴とするフレッシュチーズ。
(2)フレッシュチーズがクリームチーズ又はクワルクである(1)に記載のフレッシュチーズ。
(3)(1)又は(2)に記載のフレッシュチーズを用いた飲食品。
本発明によれば、発酵臭が少なく、ミルク感があり、酸味が少ないフレッシュチーズを製造することが可能となる。
実施例1の香気成分分析結果を示す図 実施例2の香気成分分析結果を示す図
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明におけるフレッシュチーズとは、熟成していないか、ほとんど熟成させていない
タイプのチーズをいい、例えば、カッテージチーズ、モツアレラチーズ、クワルク、クリ
ームチーズ、マスカルポーネ、フェタ、フロマージブラン等を挙げることができるが、特
に限定されるものではない。
本発明の原料としては、例えば、牛、羊、ヤギ、水牛等から得られる生乳やクリーム、
バター、バターミルク、バターオイル、クリームパウダー、カゼイン、脱脂乳、低脂肪乳、無脂肪乳、加工乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、部分脱脂粉乳、全脂濃縮乳、ホエイタンパク質、ホエイタンパク質濃縮物、等を用いることができる。これらの原料を1種以上混合し、目的に応じて脂肪量を調整して用いることができる。クリームチーズの場合は、例えば3〜12%、クワルクの場合は0〜5%、カッテージの場合は0〜5%に調整したものを用いることができる。
また、必要に応じて、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤、
キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアガム等の安定剤やゼラチンや寒天等のゲル化剤等を用いることもできる。さらに、香りや風味を付与するためにフレーバー、果汁、液糖、甘味料、調味料、等を用いることもできる。
本発明のフレッシュチーズの製造方法は、サーモフィラス菌を用いてサーモフィラス菌
の最適温度よりも低い温度で発酵させること以外は、一般的なフレッシュチーズの製造方
法と同様の方法で製造をすることができる。
本発明では、一般的なフレッシュチーズに用いるラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティス(Lc.lactis subsp.lactis)やラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・クレモリス( Lc.lactis subsp.cremoris)の中温菌スターターではなく、サーモフィラス菌をスターターとして用いる。
使用するサーモフィラス菌は、脱脂乳等で培養した培養物を用いることもできるし、凍結菌体や凍結乾燥菌体を用いることもできる。すなわち、バルクスターターを用いる時には、バルクを製造して、目標の時間に所定のpHとなるように接種率を調整することもできるし、DVS(ダイレクトバットスターター)等の凍結乾燥菌体を使用する場合も同様に接種率を調整して目標の時間に所定のpHとなるようにすることができる。
使用するサーモフィラス菌としては、市販されている凍結乾燥菌体や乾燥菌体等の一般的なサーモフィラス菌を用いることができる。例えば、ストレプトコッカス・サーモフィラス菌SBT1035(FERM P−16945)、SBT1021A(FERM P−10658)等を用いることができる。該菌株を用いることにより、サーモフィラス菌の最適温度よりも低い温度での発酵が良好であり、発酵時間が短く、発酵臭が少ない、ミルク感が良好なフレッシュチーズを得ることができる。
目的に応じて脂肪量を調整した原料を常方に従って均質処理し、殺菌した後、冷却する。サーモフィラス菌の最適な発酵温度は37〜42℃であり、該温度域で発酵させることにより、発酵時間は短縮することができるが、酸生成量が多いため、得られるフレッシュチーズの酸味が強くなってしまい、風味が良好でない。そこで、本発明においては、25〜30℃、好ましくは26〜28℃にて発酵させ、pH4.40〜4.80、望ましくはpH4.45〜4.65で発酵終了させることにより、発酵臭が少なく、ミルク感があり、酸味が少ないフレッシュチーズを製造することができる。25℃未満では発酵が遅延して組織が悪くなる場合があり、30℃を超えると酸の生成量が多くなり、発酵臭が強く、ミルク感が損なわれる場合がある。
原料へのサーモフィラス菌の添加量は発酵時間等に影響するため、発酵時間を短くする場合には添加量を多くする等、適宜調整する必要があるが、例えば、脱脂乳培養物をバルクスターターとして用いた場合には、0.5〜2.0%添加することができ、25〜30℃で発酵した場合には、8〜30時間で上記pHに到達する。なお、使用するサーモフィラス菌の菌株の発酵力によって、原料への接種量や発酵温度や発酵時間を適宜調整することが好ましい。
乳酸菌により乳が凝固した後、凝固乳からホエーを分離する。ホエー分離はクリームチーズとクワルクでは圧搾による分離でも遠心分離でも良い。カッテージチーズでは賽の目状に切った凝固乳を加温、攪拌することでホエー分離する。ホエー分離したチーズカードはそのまま充填、冷却もしくはクリーム、安定剤や保存料を添加し、充填、冷却することでフレッシュチーズを製造することができる。
本発明により製造したフレッシュチーズは、サーモフィラス菌を用いて発酵させている
ため、一般的なフレッシュチーズに用いる乳酸菌を用いて製造したフレッシュチーズと比較して、サーモフィラス菌が資化することができないガラクトース含量が高く、ガラクトースをフレッシュチーズ100gあたり0.2〜0.4g含む。
また、サーモフィラス菌が生成する酢酸量は、一般的なフレッシュチーズに用いる乳酸菌に比べて少なく、酢酸量はフレッシュチーズ100gあたり5〜20mgである。酢酸量が5〜20mgであるため、酸味が少なく、本発明特有の良好な風味を有するのである。
なお、ガラクトース量および酢酸量はHPLCにより測定を行った。
本発明により得られたフレッシュチーズは、発酵臭が少なく、ミルク感があり、酸味が少ないため、様々な飲食品へ用いることができる。例えば、プロセスチーズ、チーズフード、乳等を主原料とする食品、飲料、乳飲料、プリンやゼリー等のデザート類等に用いることにより、従来とは異なる、発酵臭が少なく、ミルク感があり、酸味の少ない該飲食品を得ることができる。
次に実施例を示し、本発明を詳細に説明する。なお、以下に記載する実施例は本発明を
説明するものであり、本発明は実施例の記述に限定されるものではない。
[実施例1]
脂肪を9.5%に調整をしたチーズ原料乳を均質、高温短時間殺菌後、冷却した。ジャケット付タンクにチーズ原料乳を27℃に調整してから乳酸菌スターター(サーモフィラス菌:クリスチャンハンセン社製ST-M6)とレンネットを添加し、充分に攪拌した後、26℃で16時間静置発酵を行った。発酵後のpHは4.80であり、発酵後、加温およびホエー分離を行った。ホエー分離したカードに安定剤を添加して、クリームチーズを充填した(実施品1)。充填後に、冷却したサンプルを評価した。
また、中温性乳酸菌であるラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティス(Lc.lactis subsp.lactis)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・クレモリス( Lc.lactis subsp.cremoris)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクチス・バイオバラエティー・ジアセチラクチス(Lc.lactis ssp.lactis biovar diacetylactis)、ロイコノストック・メセンテロイデス・サブスピーシズ・クレモリス(Leu. mesenteroides subsp. cremoris)(クリスチャンハンセン社製CH−N19)を用いて22℃で発酵させて比較品1を製造した。使用する乳酸菌と発酵温度(22℃)以外は実施品と同条件にてクリームチーズの製造を行った(比較品1)。
得られた実施品1および比較品1の評価は官能評価および香気成分分析を行った。香気成分分析は、匂い識別装置(島津製作所社製)により行った。官能評価は以下に記載した基準により、5名の訓練したパネラーにより評価した。
〔評価方法〕
官能評価方法:評価に当たっては、試料の温度や大きさ、形状を一定にし、評価の
安定化を図り、個別に試食して行なった。
(1)発酵臭 :5=発酵臭が強く、非常に好ましくない。
4=好ましくない。
3=どちらとも言えない。
2=好ましい。
1=発酵臭があまり感じられず非常に好ましい。
(2)ミルク感 :5=ミルクの風味が際立ち、非常に好ましい。
4=好ましい。
3=どちらとも言えない。
2=好ましくない。
1=ミルクの風味が弱く、非常に好ましくない。
(3)酸味 :5=酸味が少なく、非常に好ましい。
4=好ましい。
3=どちらとも言えない。
2=好ましくない。
1=酸味が強く、非常に好ましくない。

クリームチーズ中のガラクトース量と酢酸量を表1に、官能評価結果を表2に示した。
実施品1はガラクトース量が比較品に比べて高く、酢酸量が顕著に低かった。比較品1のガラクトース量は検出限界である0.2g未満であった。表2に示した官能評価結果によると、実施品1は比較品1よりも発酵臭が少なく、ミルク感が際立ち、従来に比べて酸味が少ない結果であった。また、図1に香気成分分析を行った結果を示したが、実施品1は比較品1に比べて香気成分が非常に少なく、特に硫化水素成分が少なかった。
香気成分および酢酸量が少ないことで発酵臭が少なく、ミルクの風味がより際立つ、酸味の少ないクリームチーズを得ることができた。
〔実施例2〕
脂肪9.5%に調整をしたチーズ原料乳を均質、高温短時間殺菌後、冷却した。ジャケット付タンクにチーズ原料乳を26℃で調整してから乳酸菌スターター(サーモフィラス菌:クリスチャンハンセン社製i450)とレンネットを添加し、充分に攪拌した後、28℃で20時間静置発酵を行った。翌日、凝固乳が目標のpH 4.80となったことを確認してから、加温およびホエー分離を開始した。ホエー分離したカードに安定剤を添加した後、クリームチーズを充填した(実施品2)。充填後に冷却したサンプルを評価した。
また、中温性乳酸菌であるラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・ラクティス(Lc.lactis subsp.lactis)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシズ・クレモリス( Lc.lactis subsp.cremoris)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・ラクチス・バイオバラエティ・ジアセチラクチス(Lc.lactis ssp.lactis biovar diacetylactis)、ロイコノストック・メセンテロイデス・サブスピーシズ・クレモリス(Leu. mesenteroides subsp. cremoris)(クリスチャンハンセン社製CH−N19)を用いて22℃で発酵させて比較品2を製造した。乳酸菌と発酵温度(22℃)以外は実施品と同条件にてクリームチーズの製造を行った(比較品2)。
得られた実施品2および比較品2の評価は官能評価および香気成分分析を行った。5名の訓練したパネラーにより実施例1と同様に官能評価および香気成分分析を行なった。
クリームチーズ中のガラクトース量と酢酸量を表3に、官能評価結果を表4に示した。
実施品2はガラクトース量が比較品に比べて高く、酢酸量が顕著に低かった。比較品2のガラクトース量は検出限界である0.2g未満であった。表4に示した官能評価結果によると、実施品2は比較品2よりも発酵臭が少なく、ミルク感が際立ち、従来に比べて酸味が少ない結果を示した。また、図2に香気成分分析を行った結果を示したが、実施品2は比較品2に比べて香気成分が非常に少なく、特に硫化水素成分が少なかった。
香気成分および酢酸量が少ないことで発酵臭が少なく、ミルクの風味がより際立つ、酸味の少ないクリームチーズを得ることができた。
〔実施例3〕
脂肪を0%に調整をしたチーズ原料乳を均質、高温短時間殺菌後、冷却した。ジャケット付タンクにチーズ原料乳を20、25、26、28、30、35℃に調整してから乳酸菌スターター(サーモフィラス菌:クリスチャンハンセン社製i450)とレンネットを添加し、充分に攪拌した後、14〜24時間、pHが4.60となるまで静置発酵を行った。発酵終了後、加温およびホエー分離を行った。ホエー分離したカードに安定剤を添加して、クワルクを充填した。充填後に冷却したサンプルを評価した。得られた実施品および比較品の評価は官能評価および香気成分分析を行った。
発酵温度の異なるクワルクチーズの評価結果を表5に示した。発酵温度が20℃の場合、24時間経過後もチーズ乳は凝固しなかった。これは、サーモフィラス菌が高温菌であるためである。また、発酵温度が35℃の場合、発酵終了後のpH低下が急速であるため、酸味が増した。その結果、その他のサンプルよりもミルク感が向上しなかった。
よって、発酵温度を25〜30℃にすることにより、発酵臭が少なく、ミルク感の際出つ、酸味の少ないクワルクを得ることができた。
〔実施例4〕
実施例1で得られたクリームチーズを使用し、表6に示す配合によりチーズ風味飲料を
製造した。水に原材料を添加後、ホモミキサーによる高速剪断により予備乳化を行った。
予備乳化後直ちに均質機を用いて均質圧100kg/cmにて均質処理を行った。この製造したチーズ風味飲料の風味を官能評価した結果、発酵臭が抑えられておりくせがなく、ミルク感が強く感じられ、良好な風味を示した。
[実施例5]
実施例1で得られたクリームチーズを使用し、表7に示す配合によりプロセスチーズを製造した。乳化釜に原材料を添加後、前攪拌を行い、蒸気で加熱して乳化を行なった。乳化後直ちに充填して冷却を行なった。このプロセスチーズの風味を官能評価した結果、発酵臭が抑えられ、ミルク感が強く感じられる良好な評価を示した。
本発明によって、発酵臭が少なく、ミルク感があり、酸味が少ないフレッシュチーズを提供することができる。
〔寄託生物材料への言及〕
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター
日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6(郵便番号305−8566)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
S.thermophilus SBT1035(FERM P−16945)平成10年8月20日(原寄託日)
S.thermophilus SBT1021A(FERM P−10658) 平成元年4月13日(原寄託日)
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
S.thermophilus SBT1035(FERM P−16945)
S.thermophilus SBT1021A(FERM P−10658)

Claims (3)

  1. 原料乳を均質する工程と、前記均質した原料乳を殺菌する工程と、前記殺菌した原料乳を冷却する工程と、前記冷却した原料乳をサーモフィラス菌のみを用いて25〜28℃で発酵させる工程によって得られる、フレッシュチーズ100gあたり、酢酸量が5〜14mg、ガラクトース量が0.2〜0.4gであって、発酵後のpHが4.4〜4.8であることを特徴とするフレッシュチーズ。
  2. フレッシュチーズがクリームチーズ又はクワルクである請求項1に記載のフレッシュチーズ。
  3. 請求項1又は2に記載のフレッシュチーズを用いた飲食品。
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