JP5046279B2 - 非熟成タイプチーズの製造方法 - Google Patents
非熟成タイプチーズの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5046279B2 JP5046279B2 JP2007137721A JP2007137721A JP5046279B2 JP 5046279 B2 JP5046279 B2 JP 5046279B2 JP 2007137721 A JP2007137721 A JP 2007137721A JP 2007137721 A JP2007137721 A JP 2007137721A JP 5046279 B2 JP5046279 B2 JP 5046279B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fermentation
- mix
- dissolved oxygen
- oxygen concentration
- cheese
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Dairy Products (AREA)
Description
[1] 製造工程において、発酵時のミックス中の溶存酸素濃度を6ppm以下に低減せしめ、かつ、発酵温度を増殖温度帯の中でも乳酸菌スターターの至適増殖温度−3℃の温度以下とする工程を含有することにより、まろやかな風味および舌触りが滑らかなテクスチャーを向上せしめることを特徴とする、非熟成タイプチーズの製造方法、
[2] 上記溶存酸素濃度が3ppm以下であり、かつ、上記発酵温度が、乳酸菌スターターの増殖温度帯の中でも至適増殖温度−5℃の温度以下である、前記[1]に記載の方法、
[3] 溶存酸素濃度を低減せしめる方法が、不活性ガスとの置換、減圧処理、超音波処理、気液分離膜での分離、加温処理からなる群のいずれか1つあるいは2つ以上の組み合わせである、前記[1]又は[2]に記載の方法、
からなる。
subsp. lactis biovar diacetylactisの3種混合スターター(増殖温度帯は20〜40℃、至適増殖温度は約30℃)を使用する場合は、20〜27℃、
好ましくは20〜25℃の温度で発酵することもできるが、この例に限定されない。また、Lactobacillus bulgaricusおよびStreptococcus thermophilusの2種混合スターター(増殖温度帯は30〜47℃、至適増殖温度は約43℃)を使用する場合は、30〜40℃、好ましくは30〜38℃の温度、で発酵することができるが、この例に限定されない。なお、本発明でいう増殖温度帯とは、使用する乳酸菌が生育可能な温度範囲を示す。また、至適増殖温度とは使用する乳酸菌の生育が最良である温度を示す。
また、レンネットはチーズの製造に一般的に用いられるものを使用することができる。レンネットの由来は動物、植物、微生物等いずれであってもよい。
クリームチーズを低温発酵で作製するにあたり、ミックス中の溶存酸素濃度の低減の有無がクリームチーズの品質に与える影響について、検討を行った。製造に用いた乳酸菌スターターの至適増殖温度は約30℃であるため、至適増殖温度に近い発酵条件として31℃に設定した。
原料として牛乳を6.0kg、クリーム2.0kgを混合したミックスを調製し、この調製乳を温度50℃、圧力150kg/cm2で均質化を行い72℃15秒間の加熱殺菌をした。さらにこの殺菌乳を35℃前後まで冷却した。このミックスにパイプを通して窒素ガスを混合分散させ、溶存酸素濃度を5ppm以下となるように調製した。
subsp. lactis biovar diacetylactisの3混合スターターを3w/w%接種した。なお、乳酸菌スターター接種直前のミックスにおける溶存酸素濃度は3.7ppmであった。次にミックスにレンネットを0.005w/w%を目安に添加し、ミックスを31℃にて静置した。その後pHが5以下となった時点で発酵終了とし、以降は常法に従いクリームチーズを製造した(試作1)。比較には、溶存酸素濃度を調整せずに発酵したものを用いた(対照1)。なお、対照1を製造するにあたり、乳酸菌スターターを接種直前の溶存酸素濃度は7.6ppm、乳酸菌スターターを接種した段階でこのミックスの溶存酸素濃度は7.2ppmであった。
本発明に係わるミックス(試作1)と対照に係わるミックス(対照1)(すなわち、発酵開始直前の溶存酸素濃度が異なる2種のミックス)を用いて製造したクリームチーズについて、専門パネリスト5名により、風味の「まろやかさ」及び舌触りの「滑らかさ」に関する官能評価試験(以降、品質試験ともいう)を実施した。評価方法は評点法で、「よい」=+5、「やや良い」=+4、「普通」=+3、「やや悪い」=+2、「悪い」=+1の5段階とした。
その結果を表1に示した。この結果からも明らかなように、発酵開始直前の溶存酸素濃度を低減させたミックスで製造したクリームチーズは、溶存酸素濃度を調整せずに製造したものよりも、「まろやかさ」「滑らかさ」とも有意に(p<0.05、Mann-WhitneyのU検定)優れていた。以上の結果から、至適増殖温度に近い発酵条件において溶存酸素濃度を低減させたミックスを使用することで、溶存酸素濃度を低減させなかったものよりまろやかな風味および舌触りが滑らかなテクスチャーを持ったクリームチーズを得られることが見出された。
クワルクチーズを作製するにあたり、生産効率が高く、かつ良好な品質の付与が可能な製造条件の検討を行った。具体的には、ミックス中の溶存酸素濃度の低減の有無、および発酵温度が、品質および発酵終了時間に与える影響について検討を行った。製造に用いた乳酸菌スターターの至適増殖温度は約43℃であるため、通常の発酵温度を43℃、低温の発酵温度を37℃とした。
原料として脱脂乳15kgを用いた。脱脂乳を72℃15秒間の加熱殺菌をした後、この殺菌乳を7Lバット2つに移し、それぞれ37、43℃前後まで冷却した。そしてラクトバチルス・ブルガリカス[Lactobacillus bulgaricus]とストレプトコッカス・サーモフィルス[Streptococcus thermophilus]の2種混合スターターを1w/w%ずつ接種した。なお、乳酸菌スターター接種した段階でのミックスにおける溶存酸素濃度は43℃の場合は7.1ppm、37℃の場合は7.3ppmであった。これらのミックスにパイプを通して窒素ガスを混合分散させ、溶存酸素濃度を3ppm以下となるように調整した(以降、37℃で乳酸菌スターターを摂取したものを試作2−37、43℃で乳酸菌スターターを摂取したものを試作2−43ともいう)。また比較例として各温度につき窒素ガス置換を行わないものも用意した(以降、37℃で乳酸菌スターターを摂取したものを対照2−37、43℃で乳酸菌スターターを摂取したものを対照2−43ともいう)。試作2−37および対照2−37を37℃で、試作2−43および対照2−43を43℃で発酵させた。ミックスのpHが4.6以下となった時点で発酵終了とし、以降、常法に従いクワルクチーズを製造した。
結果を表2および表3に示した。この結果からも明らかなように、通常の温度の発酵温度において溶存酸素濃度を3ppm以下に調整したミックスで製造したクワルクチーズ(試作2−43)は、通常の製造法で得られたもの(対照2−43)よりも、「滑らかさ」が有意に(p<0.05、Mann-WhitneyのU検定)優れていた(表2)。しかも、試作2−43の発酵終了時間は、対照2−43に比べて短縮されていた。また、低温の発酵温度において溶存酸素濃度を3ppm以下に調整したミックスで製造したクワルクチーズは(試作2−37)、通常の製造法で得られたもの(対照2−37)よりも、「まろやかさ」と「滑らかさ」が有意に(p<0.05、Mann-WhitneyのU検定)優れていた(表3)。しかも、試作2−37の発酵終了時間は、対照2−37に比べて約半分と、大幅に短縮されたものになっていた。よって、以上の結果から溶存酸素濃度を低減させたミックスからまろやかな風味および舌触りが滑らかなテクスチャーを持ったクワルクチーズを得られることが見出された。とりわけ、低温発酵においては溶存酸素濃度を低減した効果が顕著にみられた。
各種発酵条件における発酵物のpHと発酵時間の関係を図1に示す。溶存酸素濃度を調整しなかった場合、低い温度(37℃)で発酵すると、通常の温度(43℃)に比べて大幅なpH低下の遅延が認められた。一方、溶存酸素濃度を低減した場合、全体的にpHの低下速度が高まった。発酵温度を低下させても、pH低下の遅延はわずかであった。
そこで、発酵終了時間がより近傍にある、試作2−37および対照2−43について、品質を比較した。品質試験および発酵終了時間の結果を表4に示した。この結果からも明らかなように、発酵時間が同様となる発酵条件の組み合わせにおいて、溶存酸素濃度を3ppm以下に調整したミックスで製造したクワルクチーズ(試作2−37)は、通常の製造法で得られたもの(対照2−43)よりも、「まろやかさ」と「滑らかさ」が有意に(p<0.01、Mann-WhitneyのU検定)優れていた。
よって、以上の結果から、溶存酸素濃度を低減させたミックスから、低温発酵でありながら、短時間でまろやかな風味および舌触りが滑らかなテクスチャーを持ったクワルクチーズを得られることが見出された。
Claims (3)
- 製造工程において、発酵時のミックス中の溶存酸素濃度を6ppm以下に低減せしめ、かつ、発酵温度を乳酸菌スターターの増殖温度帯の中でも至適増殖温度−3℃の温度以下とする工程を含有することにより、まろやかな風味および舌触りが滑らかなテクスチャーを向上せしめることを特徴とする、非熟成タイプチーズの製造方法。
- 上記溶存酸素濃度が3ppm以下であり、かつ、上記発酵温度が、乳酸菌スターターの増殖温度帯の中でも至適増殖温度−5℃の温度以下である、請求項1に記載の方法。
- 溶存酸素濃度を低減せしめる方法が、不活性ガスとの置換、減圧処理、超音波処理、気液分離膜での分離、加温処理からなる群のいずれか1つあるいは2つ以上の組み合わせである、請求項1又は2に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007137721A JP5046279B2 (ja) | 2007-05-24 | 2007-05-24 | 非熟成タイプチーズの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007137721A JP5046279B2 (ja) | 2007-05-24 | 2007-05-24 | 非熟成タイプチーズの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008289413A JP2008289413A (ja) | 2008-12-04 |
JP5046279B2 true JP5046279B2 (ja) | 2012-10-10 |
Family
ID=40164820
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007137721A Active JP5046279B2 (ja) | 2007-05-24 | 2007-05-24 | 非熟成タイプチーズの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5046279B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012075368A (ja) * | 2010-09-30 | 2012-04-19 | Snow Brand Milk Products Co Ltd | フレッシュチーズおよびその製造方法 |
JP5748261B2 (ja) * | 2010-10-12 | 2015-07-15 | 雪印メグミルク株式会社 | フレッシュチーズ |
JP6043541B2 (ja) * | 2011-08-18 | 2016-12-14 | 株式会社Ihi | 乳製品製造装置および乳製品製造方法 |
JP6641275B2 (ja) * | 2014-07-14 | 2020-02-05 | 株式会社明治 | ブルガリア菌の増殖が促進された発酵乳及びその製造方法 |
JP7471046B2 (ja) * | 2017-03-31 | 2024-04-19 | 株式会社明治 | 低温発酵による発酵乳の製造方法および該方法により製造された発酵乳 |
JP7428506B2 (ja) | 2019-11-25 | 2024-02-06 | 雪印メグミルク株式会社 | ナチュラルチーズ |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3644505B1 (ja) * | 2002-12-03 | 2005-04-27 | 明治乳業株式会社 | 発酵乳の製造法及び発酵乳 |
JP4264371B2 (ja) * | 2004-03-18 | 2009-05-13 | 明治乳業株式会社 | ナチュラルチーズの製造方法 |
-
2007
- 2007-05-24 JP JP2007137721A patent/JP5046279B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008289413A (ja) | 2008-12-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2675280B1 (en) | Cheese and preparing the same | |
CA2295349C (en) | Process for incorporating whey protein into cheese | |
JP2006345865A (ja) | 発酵乳製品およびその製造方法 | |
BR112016029357B1 (pt) | Produto de alimento fermentado e seu método de produção e cepa de lab isolada | |
DK2252159T3 (en) | Process for preparing a heat-treated, unripe cheese and obtained cheese | |
JP5046279B2 (ja) | 非熟成タイプチーズの製造方法 | |
US6475538B2 (en) | Process for mozzarella cheese | |
CN110934191B (zh) | 一种利用发酵稀奶油为牛奶或者牛奶饮品提供干酪风味的方法 | |
JP2004105048A (ja) | 殺菌済み軟質ナチュラルチーズ及びその製造方法 | |
JP2007060940A (ja) | 発酵乳の製造方法及び発酵乳 | |
KR20150062717A (ko) | 발효 크림치즈 제조방법 | |
CN1262196C (zh) | 发酵乳产品的生产方法 | |
US6103277A (en) | Method of producing a cheese and preparing same for distribution | |
EP2174553A2 (en) | Cultured Dairy Products and Methods of Manufacture | |
US6458393B1 (en) | Cottage cheese having porous curd | |
JP6773898B2 (ja) | クリームチーズの製造方法 | |
JP6047638B2 (ja) | クリームチーズの製造方法 | |
JP2018157784A (ja) | 発酵乳の製造方法 | |
TW201632077A (zh) | 生產效率優異的乳油起司的製造方法 | |
WO2018185375A1 (en) | Products and methods for producing the same | |
AU2012216967B2 (en) | Cheese and preparing the same | |
JP2021040526A (ja) | 低脂肪フレッシュチーズおよびその製造方法 | |
EA040001B1 (ru) | Способ приготовления кисломолочного продукта |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100426 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110610 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110810 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20111006 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20111006 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120612 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120620 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120711 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120711 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150727 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5046279 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |