JP3075511B2 - 繊維状組織を有する乾燥チーズ - Google Patents

繊維状組織を有する乾燥チーズ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維状組織を有す
る乾燥チーズに関するものである。本発明の繊維状組織
を有する乾燥チーズは、円柱状または角柱状に形成され
ていて、歯ごたえや口あたりに新規な食感を有すると共
に長期間に亘って繊維性を維持し、またマイルドな風味
を有するものである。
【0002】
【従来技術】チーズは、使用する乳酸菌や酵素あるいは
熟成温度や熟成期間等の製造条件によって、風味も食感
も異なる種類のものが得られることが知られているが、
保存性の向上や用途の拡大等を意図としてチーズを乾燥
することも種々試みられ、提案されている。チーズを乾
燥する方法としては、例えば、原料ナチュラルチーズに
水を添加し、必要に応じて溶融塩および中和剤を添加し
て乳化し、紐状あるいは薄膜状等に成形後真空乾燥する
方法(特開昭54-76862号公報) や、ナチュラルチーズに
水を添加して混合し、未乳化の状態のものを凍結乾燥す
る方法(特開昭61-135542 号公報)、あるいは乳化チー
ズ類を主原料とする含水原料を、溶融温度より低温で撹
拌し、凍結乾燥する方法(特開昭63-160548 号公報)等
が提案されている。これらの製造方法によって得られた
乾燥チーズは、オイルオフがないこと、食品のトッピン
グ材等として用いることができるものであることが示さ
れている。またホタテ貝柱様チーズの製造方法(特開昭
57−138342号公報)についても開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の特開昭54-76862
号公報や特開昭61-135542 号公報、あるいは特開昭63-1
60548 号公報が開示しているチーズの乾燥方法は、いず
れもチーズを一旦溶融して水等の水性媒体に溶解した
後、乳化あるいは乳化せずに乾燥して食品のトッピング
材として用いるものである。このような方法によって得
られた乾燥チーズは、チーズ本来の食感や組織を有して
おらず、またその利用形態も限定されるものである。ま
た特開昭57−138342号公報に開示されているホタテ貝柱
様チーズの製造方法によって得られたチーズは、水分含
有量が高い上、表層部と内部の水分含有量が異なるもの
がある。このため従来の繊維状組織を有するチーズと食
感において変わるところがなく、また繊維状組織の維持
においても短期間に低下するといった問題がある。本発
明者らは、上記の問題点に鑑み、従来の乾燥チーズや通
常のナチュラルチーズを単に乾燥したものとは異なった
歯ごたえや口あたり、あるいは風味等を有するチーズを
得るために、各種のチーズの乾燥について検討した。そ
の結果、繊維状組織を有するナチュラルチーズを乾燥す
ることにより、従来の乾燥チーズとは組織も食感も異な
った乾燥チーズが得られるとの知見を得て本発明を完成
させた。すなわち、本発明は、繊維状組織を保持し、摂
取したときに特有な歯ごたえや口あたり等の食感を有す
る乾燥チーズを提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は以上のような目
的を達成するために、次のような乾燥チーズを提供する
ものである。すなわち、本発明の乾燥チーズは、水分含
有量が10〜30重量%に調整され、直径5〜10mm
の円柱状に成形された繊維状組織を有する乾燥チーズで
ある。また、本発明の乾燥チーズは、水分含有量が10
〜30重量%に調整され、一辺の長さが5〜10mmの
角柱状に成型された繊維状組織を有する乾燥チーズであ
る。尚、本発明でいう繊維状組織を有するチーズとは、
円柱状または角柱状に成形されたチーズを長手方向に沿
って裂いたとき、あたかもスルメを裂いたのと同じ状態
に繊維が発現するチーズである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明者らは、新規な食感や風味を有するチーズを得るこ
とについて種々検討した。その結果、繊維状組織を有す
るチーズを特定の大きさに成形し、それを乾燥すること
によって、従来の乾燥チーズにはないシコシコした食感
を有する新規な乾燥チーズを得ることができたのであ
る。本発明の繊維状組織を有する乾燥チーズは、繊維状
組織を有するチーズを円柱状または角柱状に成形し、水
分の一部を取り除いたものであるが、乾燥前の繊維状組
織を有するチーズは、どのような方法によって調製され
たものであってもよい。 例えば、特開昭56−164744号
公報に開示されているような原料乳にレンネットと乳酸
菌を添加してカードを生成させ、このカードを熱水中で
練圧して調製されたもの、あるいは濃縮乳を温水中に分
散放出してカードを生成させ、このカードを熱水中で練
圧して調製されたもの等である。
【0006】特開昭56−164744号公報に開示されている
繊維状組織を有するチーズは、具体的に次のような方法
によって調製される。牛乳、山羊乳、羊乳等の乳の脂肪
率を0.5 〜5.0 %に調整して原料乳とする。この原料乳
を常法に従って殺菌後、レンネット0.001 〜0.04%と乳
酸菌スターター0.5 〜5 %程度、および必要に応じてカ
ルシウムイオン(例えば塩化カルシウム)を添加してカ
ードを調製する。使用できる乳酸菌としては、例えば、
ストレプトコッカス ラクチス(Streptococcus lacti
s) 、スレプトコッカス クレモリス(S.cremoris)、ス
トレプトコッカス サーモフイラス(S.thermophilus)
ストレプトコッカス フェカリス(S.faecalis)、ロイコ
ノストック シトロボラス(Leuconostoc citrovorus)
ロイコノストック デキストラニクム(L.dextranicum)
、ロイコノストック クレモリス(L.cremoris)等の一
種以上が用いられる。上記のように原料乳にレンネット
と乳酸菌スターターを添加して乳が凝固されたら5 〜1
0 mm程度の立方体に切断して更に乳酸を生成させる。そ
してpHが6.2〜6.4 になったときホエー全体の1/2 〜1/3
量を除去し、ホエーを除去した後も乳酸の生成を続行
させて最終的にpHが5.5 〜5.8 のカードにする。このよ
うにして得られたカードを、57〜75℃程度の熱水中で練
圧する。そして練圧の後半では、熱水をカードから次第
に分離させることにより繊維状組織を有するチーズを得
ることができる。
【0007】また、濃縮乳を温水中に分散放出してカー
ドを生成させ、このカードを熱水中で練圧する繊維状組
織を有するチーズは、次のような方法によって調製され
る。牛乳、山羊乳、羊乳等の乳原料を分画分子量50万Da
以下の限外ろ過膜、またはポアサイズ0.3 μm 以下の精
密ろ過膜等で処理して濃縮倍率が2 〜6 倍程度の濃縮乳
を調製する。次に、この濃縮乳を10℃以下に冷却した
後、乳酸、クエン酸、酢酸等の有機酸やグルコノデルタ
ラクトン(G.D.L)等を添加してpHを4.8 〜5.8に調整す
る。このように冷却し、pHが調整された濃縮乳を49〜95
℃の温水中にノズル等を用いて分散放出してカードを調
製する。このようにして得られたカードを、上記の方法
と同様に57〜75℃程度の熱水中で練圧し、練圧の後半で
は、熱水を次第に分離することにより繊維状組織を有す
るチーズを得ることができる。
【0008】本発明では、上記のようにして得られた繊
維状組織を有するチーズを、直径5〜10mmの円形の孔を
有するノズルから押し出して円柱状に成形したり、ある
いは一辺が5 〜10mmのモールドに入れて成形するか、ノ
ズルから押し出して角柱状に成形し、30〜200 mm程度の
長さに切断する。それを塩濃度が20〜25%程度の塩水に
5分間〜2 時間程度浸漬して塩味を付加する。このよう
に調製されたチーズは、繊維状組織を有し、水分を約40
〜45%含有するものである。これを凍結乾燥、あるいは
冷風乾燥により、水分含有量が10〜30重量%になるよう
に乾燥する。
【0009】凍結乾燥方法は、上記のように調製された
繊維状組織を有するチーズを、−20℃以下に凍結し、こ
の凍結されたチーズを真空度0.1 〜1 torr、棚加熱
温度20〜60℃の条件下で約8 〜24時間乾燥させる。ま
た、冷風乾燥方法は、流動床乾燥機、好ましくは除湿装
置を備えた流動床乾燥機に繊維状組織を有するチーズを
入れ、チーズを流動させながら冷風により乾燥する。冷
風は、温度15〜20℃、相対湿度40〜50%のものを用い、
循環させながら乾燥する。冷風の温度が、20℃を越える
とチーズ中の脂肪が溶出するといった問題があり、一
方、15℃未満では、乾燥時間が長くなるため、上記の範
囲内で乾燥することが好ましい。また、冷風の相対湿度
は、低ければ低いほど蒸発冷却によって速やかに低温と
なり、乾燥時間が短縮されるが、あまり極端に除湿する
と特別な機能を有する除湿装置が必要である等の問題が
あるため、下限としては40%が適当である。上限につい
ては、50%を越えると、乾燥時間が極端に長くなった
り、目的とする水分値までチーズを乾燥することが困難
になるため、50%以下で用いる。
【0010】上記のように凍結乾燥法、あるいは冷風乾
燥法によってチーズの水分含有量を10〜30重量%、好ま
しくは15〜25重量%未満の範囲となるように乾燥する。
これにより引き裂いたときに繊維状の組織が失われず、
摂取したときシコシコした特有の食感を有するチーズと
なり、乾燥前の繊維状組織を有するチーズとは全く異な
ったものとなる。また、通常の方法によって得られた乾
燥チーズ、例えばゴーダチーズやチェダーチーズを単に
乾燥して得た乾燥チーズには全く見られなかった口当た
りと歯ごたえを有するものである。
【0011】本発明において、繊維状組織を有するチー
ズを、直径5 〜10mmの円柱状、あるいは一辺の長さを5
〜10mmの角柱状に成形したのは、次の理由によるもので
ある。すなわち、通常のナチュラルチーズを凍結乾燥方
法や冷風乾燥方法によって乾燥した場合、水分は最初に
チーズの表層部から蒸発や昇華によって除去されるが、
同時に内部の水分も表層部の水分が減少するにつれて表
層部へ移行して減少する。しかし、本発明のように繊維
状組織を有するチーズを乾燥する場合には、直径や一辺
の長さをあまり大きな円柱状あるいは角柱状に成形する
と、繊維状組織が縦方向となっているために、表層部か
らの水分の蒸発や昇華が起きても内部の水分が繊維状組
織によって阻害されて横方向に移動しづらくなり、表層
部への移行が円滑に起こらないことがある。その間に表
層部のみがさらに水分蒸発や昇華が進んで硬い組織にな
って皮膜を形成し、表層部と内部の水分含有量が異なっ
た乾燥チーズになるといった問題がある。このため、本
発明では、直径、あるいは一辺の長さを10mm以下の円柱
状や角柱状に成形して、乾燥の際の内部の水分の表層部
への移行が容易になるようにし、得られた乾燥チーズの
水分含有量を均一化している。
【0012】一方、直径や一辺の長さが5 mm未満になる
と、細すぎるために、自立性(チーズの一端を保持した
時、他の一端が垂れ下がらない特性)に欠ける。自立性
を付与するためには、水分含有量を10重量%未満にしな
ければならないが、水分含有量を10重量%未満にする
と、チーズ風味が弱くなったり、またカリカリした乾燥
スナック菓子と同様な食感となり、シコシコした弾力性
のある新規な乾燥チーズとならない。このような理由か
ら本発明では、直径や一辺の長さを5 〜10mmとし、水分
含有量を10重量%以上に調整している。しかし、水分含
有量が30重量%を超えると、乾燥前のチーズの食感と大
差がなく、繊維状組織を有するチーズを乾燥した時のシ
コシコした特有の食感が得られなくなる上、自立性も保
持できなくなって商品価値を失うことになるので30重量
%以下にすることが好ましい。特に、水分含有量を15〜
25重量%にすると、シコシコした特有の食感がより顕著
に現れた乾燥チーズとなる。
【0013】また、本発明の乾燥チーズは、上記の水分
含有量まで乾燥しているために、水分活性値も0.48〜0.
87と極めて低いものとなる。通常のレンネットや乳酸菌
を用いて調製し、乾燥していない繊維状組織を有するチ
ーズでは、水分含有量が40%前後であるため2 ケ月程度
しか繊維状の組織を保持できないが、本発明の乾燥チー
ズでは、レンネットや乳酸菌の活性が抑制されるので、
繊維状組織を6 ケ月以上に渡って維持することができ
る。もちろん一般細菌や酵母の増殖も抑制され、保存期
間の長期化を図ることができる。
【0014】
【実施例および試験例】次に本発明の実施例を示して具
体的に説明すると共に、試験例を示して効果をより明確
にする。
【実施例1】 (繊維状組織を有するチーズの調製)脂肪率を3 %に調
整した原料乳40kgを72℃で16秒間殺菌し、これに塩化カ
ルシウム0.01%および乳酸菌(S.thermophilus)スタータ
ー2.0 %を添加し、30℃で1.0 時間放置後、力価15000
のレンネット0.003 % を添加してカードを生成させ
た。このカードを5mm 角にカッティングして、ホエーを
1/3 排除した後、35℃まで揚温し、カードの水分を調整
した(通常、翌朝水分は、45%前後になる)。この工程
である程度カードは強固なものになるが、pHが5.7 にな
ったとき、カードを延伸して、カードがゴム状に展延す
ることを確認した後、残りのホエーを全量排除した。さ
らにカードを堆積して圧搾(カード1m2あたり230 kgの
重量)して余分のホエーも排除した。この堆積カードを
3 cm角に細切りして練圧機に入れ、品温が70℃になるよ
うな熱水中で練圧しながら次第に熱水を分離し、熱水が
分離されたところで直径が10mmのノズルを通して押し出
し、若干延伸しながら直径が5 mmになったところで150
mmの長さに切断した。この切断したチーズを、20%の食
塩水に10分間浸漬・加塩して繊維状組織を有するチーズ
を得た。このチーズの水分は、40重量%であった。 (繊維状組織を有するチーズの乾燥)上記のようにして
得られた繊維状組織を有するチーズを−20℃の冷凍庫に
2 日間入れ、完全に凍結した。この凍結されたチーズを
真空度0.5 torr、棚加熱温度40℃の条件下で14時間
乾燥し、水分含有量が16重量%の繊維状組織を有する乾
燥チーズを得た。
【0015】
【実施例2】 (繊維状組織を有するチーズの調製)牛乳40kgを分画分
子量8000Daの限外ろ過膜(Koch 社製) で4倍(固形分率
20%)に濃縮した。この濃縮乳を10℃に冷却して撹拌し
ながらクエン酸を添加してpHを5.5 に調整した。そして
80℃の温水が300l/ 分の割合で供給されている温水槽
に、その液面上方 1cmのところから分散放出ノズル( 孔
数80個で断面積0.1cm2/個) を用いて上記で調製した濃
縮乳を150 l/分の割合で連続的に糸状に分散放出した。
この分散放出された濃縮乳は、瞬間的に凝固し、カード
化した。このカードを回収して、3 cm角に細切りして練
圧機に入れ、品温が70℃になるような熱水中で練圧しな
がら次第に熱水を分離し、熱水が分離されたところで口
径が10mm×5 mmである長方形のノズルを通して押し出
し、150 mmの長さに切断した。この切断したものを、20
%の食塩水に10分間浸漬・加塩して繊維状組織を有する
チーズを得た。このチーズの水分は、40重量%であっ
た。 (繊維状組織を有するチーズの乾燥)次に上記のように
して得られた繊維状組織を有するチーズを除湿器を備え
た流動床乾燥機(大川原製作所社製)に入れて流動さ
せ、冷風(温度15℃、相対湿度40%)を循環させながら
30時間乾燥し、水分含有量が19重量%の乾燥チーズを得
た。
【0016】
【比較例1】 (ゴーダチーズの調製)脂肪率3.2 %に調製した原料乳
100 kgを75℃15秒間保持して殺菌した後、直ちに30℃ま
で冷却した。これに塩化カルシウム0.01%と乳酸菌スタ
ーター(S.lactis)0.7%を添加して30℃で1時間放置
後、力価15000 のレンネット0.003 %を添加して凝固す
るまて放置した。次いで凝固した乳を7 mmの立方体に切
断し、15分間静置後、ホエーを1/3 排除し、撹拌しなが
ら38℃まで加温(クッキング)した後、カードが浸る程
度までホエーを排除し、空気圧5 kg/cm2 でバット内で
カードの圧搾を行った。その後、カードをモールドにい
れる大きさに切断して充填し、再びチーズプレス機で90
分間圧搾してホエーを排除し、形を整えた。次にモール
ドから取り出し、飽和食塩水に12時間浸漬した後、発酵
室(温度10℃ 湿度80%)で6 ケ月間熟成しゴーダチー
ズを得た。 (ゴーダチーズの乾燥)このようにして得られたゴーダ
チーズをスティック状(5 mm×5 mm×150 mm)に切断
し、これを−20℃の冷凍庫に2 日間入れ、完全に凍結さ
せた後、真空度0.5 torr、棚加熱温度60℃の条件下
で10時間乾燥し、水分含有量が22重量%の乾燥チーズを
得た。
【0017】
【比較例2】ゴーダチーズおよびチェダーチーズ等のナ
チュラルチーズを粉砕して混合した後、リン酸塩等の溶
融塩を添加して常法により加熱・乳化し、冷却・固化さ
せてプロセスタイプのチーズを調製した。このチーズを
スティック状(5 mm×5 mm×150 mm)に成形し、これを
−20℃の冷凍庫に2 日間入れ、完全に凍結させた後、真
空度0.5 torr、棚加熱温度60℃の条件下で10時間乾
燥し、水分含有量が25重量%の乾燥チーズを得た。
【0018】
【試験例1】実施例1と2、および比較例1と2で得た
乾燥チーズの製造直後の繊維性、食感(弾力性)、切断
強度、および自立性について試験を行った。 (1) 繊維性有無の試験:各実施例および比較例で得られ
た乾燥チーズ(以下試料という)を製造直後にそれぞれ
縦方向に引き裂き、糸状組織の有無を調べた。 (2) 食感(弾力性)の試験:10名の専門パネラーに各試
料を摂取させ、その弾力性について評価した。尚、評価
基準は次による。 弾力性がなくて硬く、噛むときしむ:0 〜1 弾力性が若干あるが、もろい:2 〜3 弾力性があり、シコシコした食感:4 〜5 (3) 切断強度試験:各試料を20℃の恒温器で24時間保持
後、レオメーター(不動工業社製)を用いてナイフカッ
ターで切断し、その応力を5 回測定し、平均値を切断強
度とした。 (4) 自立性試験:各試料を20℃の恒温器で24時間保持
後、角柱の端部から20mmだけ内側に乗った状態で支持
し、他端の130 mmは角柱の外側に位置するようにした。
この状態で室温(22 ℃) で10時間放置後の折れ曲がった
角度を測定した。 上記の各試験結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】表1から明らかなように、本発明の実施例
1または2で得られた乾燥チーズは、製造直後はもちろ
ん2 ケ月後にも繊維性を有し、また切断強度が高く、自
立性も高い(曲げ強度が強い)ものである。またこれら
の測定結果がパネラーの食感試験にも現れており、弾力
性があってシコシコした食感を有するものであると高い
評価を得ることができた。これに対し、比較例1および
2で得られた乾燥チーズは、繊維性を有しておらず、切
断強度、自立性も低いもので、組織も硬くもろいもので
あった。パネラーによる食感試験においても、弾力性に
欠け、歯ごたえはきしむような感じがするとして低い評
価であった。
【0021】
【試験例2】実施例1で得られた繊維状組織を有するチ
ーズを乾燥しない(従来品に相当)ものと乾燥した二種
類のチーズを用いて長期間保存した場合の繊維性の保持
状態がどのように変化するか試験を行った。その結果を
表2に示す。尚、試験方法は、5 ℃で相対湿度が60%の
冷蔵室に保存し、1 、2 、4 、6 ケ月後にそれぞれのチ
ーズを引き裂いて評価した。評価点は、製造直後と同じ
繊維状組織を維持しているものを10点、繊維状組織が製
造直後の半分になったものを5 点、繊維状組織がほとん
ど消失しているものを1点とし、その中間に評価される
ものは、中間の評点を付した。
【0022】
【表2】
【0023】本発明の繊維状組織を有する乾燥チーズ
は、6 ケ月経過したものであっても、製造直後とほとん
ど変わらない繊維性を保持しているのに対して、乾燥せ
ずに保存したチーズは、保存期間の経過と共に繊維性が
低下している。これは、水分活性が高いために、乳を凝
固させるために用いたレンネットや乳酸菌の活性が低下
しないためと判断される。従って、乾燥しない繊維状組
織を有するチーズは、水分含有量が高いと繊維状組織が
壊れて食感が変化するが、本発明のように特定の水分含
有量に乾燥することにより、保存性が向上し、新規な食
感を長期にわたって維持させることができる。
【0024】
【発明の効果】本発明の繊維状組織を有する乾燥チーズ
は、水分含有量が低いためにシコシコした特有の食感を
有するもので、従来の乾燥チーズとは歯ごたえや口当た
りが全く異なり、また、風味もマイルドで、新規なチー
ズである。しかも、繊維状組織を長期間保持しており、
保存性も良好なものである。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23C 19/08 - 19/086

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水分含有量を10〜30重量%に調整
    、直径5〜10mmの円柱状に成形したことを特徴と
    する繊維状組織を有する乾燥チーズ。
  2. 【請求項2】 水分含有量を10〜30重量%に調整
    し、一辺の長さを5〜10mmの角柱状に成形したこと
    を特徴とする繊維状組織を有する乾燥チーズ。
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