JP7146187B2 - 菌体外多糖生産性乳酸菌およびその利用 - Google Patents
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Description
[1] ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティス KLC 4192B株(寄託番号NITE P-02581);
ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティスに属し、KLC 4192B株と科学的性質が同一である菌株;または
ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティスに属し、配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも98%以上の同一性を有するヌクレオチド配列からなる16S rRNA遺伝子を有する菌株。
[2] ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティス KLC 4314a株(寄託番号NITE P-02582);
ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティスに属し、KLC 4314a株と科学的性質が同一である菌株;または
ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティスに属し、配列番号2のヌクレオチド配列と少なくとも98%以上の同一性を有するヌクレオチド配列からなる16S rRNA遺伝子を有する菌株。
[3] 菌体外多糖生産性である乳酸菌を含む、穀類粉を含有する食品の改良剤。
[4] 菌体外多糖生産性乳酸菌が、1または2の菌株である、3に記載の剤。
[5] 麺または麺皮の食感の改善のためのものである、3または4に記載の剤。
[6] パンの食感または風味の改善のためのものである、3または4に記載の剤。
[7] 菌体外多糖生産性乳酸菌、および穀類粉を含む、食品組成物。
[8] 麺、麺皮またはパンである、7に記載の食品組成物。
[9] 下記の工程を含む、穀類粉を含む食品組成物の製造方法:
穀類粉および水を含む原料に、菌体外多糖生産性乳酸菌を添加して発酵させ、発酵物を得る工程、
得られた発酵物と穀類粉を混合し、生地を得る工程。
[10] 麺、または麺皮の製造方法であり、下記の工程を含む、9に記載の製造方法:
得られた発酵物と穀類粉を混合し、麺または麺皮の生地を得る工程。
[11] パンの製造方法であり、下記の工程を含む、9に記載の製造方法:
得られた発酵物と穀類粉と酵母を混合し、中種生地を調製する工程。
[12] 菌体外多糖生産性であるラクトコッカス・ラクティスを含む、食品組成物。
本発明により、菌体外多糖(EPS)を生産する、乳酸菌の新規な株が提供される。
本発明で「乳酸菌」というときは、特に記載した場合を除き、多量に乳酸を生産(炭水化物を発酵し、生成する酸の50%以上)すると共に、炭水化物を含む培地によく繁殖し、グラム陽性で、運動性がなく、胞子をつくらない菌群であって、食品の発酵のために用いることができるものをいう。本発明でいう乳酸菌は、具体的にはラクトコッカス (Lactococcus) 属に属する微生物、ラクトバチルス(Lactobacillus) 属に属する微生物、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する微生物、ペディオコッカス (Pediococcus)属に得する微生物、エンテロコッカス(Enterococcus) 属に属する微生物、ロイコノストック(Leuconostoc)属に属する微生物、ワイセラ(Weissella) 属に属する微生物、ストレプトコッカス(Streptococcus) 属に属する微生物、メリソコッカス(Melissococcus) 属に属する微生物、カルノバクテリウム(Carnobacterium) 属に属する微生物、およびテトラゲノコッカス(Tetragenococcus)属に属する微生物を含む。
本発明により提供される新規な乳酸菌の株は、ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティス(Lactococcus lactis subsp. lactis)に属し、より詳細には、Class I に属する。本発明により提供される乳酸菌の株、KLC 4192B株は、本発明者らが、秋田県山本郡八峰町八森の世界自然遺産「白神山地」緩衝地域より、所管官庁の許可を得て採取した温帯落葉広葉樹林帯のブナの枯葉から新規に分離した乳酸菌であり、秋田県総合食品研究センター(所長 高橋 仁)により、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)へ、2017年11月22日付で受託番号NITE P-02581として寄託されている。また、同様に本発明により提供される乳酸菌の株、KLC 4314a株は、本発明者らが、同様に白神山地の腐葉土から単離したものであり、秋田県総合食品研究センター(所長 高橋 仁)により、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)へ、2017年11月22日付で受託番号NITE P-02582として寄託されている。
(i) 16S rRNA遺伝子塩基配列が、 Lactococcus lactis subsp. lactis Iと100.0%の同一性を示した。他に予想される菌種・菌属はLactococcus lactis subsp. cremorisであり、これとは、KLC 4192B株99.935 %、およびKLC 4314a株は99.739 %の同一性を示した。
(ii) API 50CH/CHL(日本ビオメリュー株式会社製)を用いて、50種類の炭水化物資化能を調べ、菌種を検索したところ、添付文書に記載の基準株Lactococcus lactis subsp. lactis I の資化性と両者とも96.4%一致した。
(iii) subsp.lactisは40℃で生育できるが、subsp. cremorisは生育できない。本菌株は40℃で生育した。
KLC 4192B株の科学的性質を以下にまとめた。
(1)菌体の形状:主に二連球のラグビーボール型の球菌。
(2)コロニーの形状:MRS平板培地上に、直径2~4mmのツヤのある白色円形のコロニーを形成する。
(3)EPSを産生する。白色で弱い曳糸性を示すEPSである。
(4)グラム染色性:陽性
(5)カタラーゼ活性:陰性
(6)胞子形成能:陰性
(7)運動性:陰性
(8)ガス発生:陰性
(9)培養温度40℃で生育可能(Lactococcus lactis subsp. cremorisは生育できない)
(11)GABA生産能:陰性
(12)食塩存在下で好ましい生育をする
(13)アルコール存在下で好ましい生育をする
KLC 4314a株の科学的性質を以下にまとめた。
(1)菌体の形状:主に二連球のラグビーボール型の球菌。
(2)コロニーの形状:MRS平板培地上に、直径2~4mmのツヤのある白色円形のコロニーを形成する。
(3)EPSを産生する。白色で弱い曳糸性を示すEPSである。
(4)グラム染色性:陽性
(5)カタラーゼ活性:陰性
(6)胞子形成能:陰性
(7)運動性:陰性
(8)ガス発生:陰性
(9)培養温度40℃で生育可能(Lactococcus lactis subsp. cremorisは生育できない)
(11)GABA生産能:陰性
(12)食塩存在下で好ましい生育をする
(13)アルコール存在下で好ましい生育をする
本願は、KLC 4192B株およびKLC 4314a株のみならず、それぞれに均等な乳酸菌、具体的には下記の乳酸菌も提供する:
・ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティスに属し、KLC 4192B株と科学的性質が同一である菌株;または
・ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティスに属し、配列番号1の塩基配列と高い同一性を有するヌクレオチド配列(塩基配列ということもある)からなる16S rRNA遺伝子を有する菌株。
・ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティスに属し、KLC 4314a株と科学的性質が同一である菌株;または
・ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティスに属し、配列番号2のヌクレオチド配列と高い同一性を有するヌクレオチド配列からなる16S rRNA遺伝子を有する菌株。
(11)GABA生産能:陰性
(12)食塩存在下で好ましい生育をする
(13)アルコール存在下で好ましい生育をする
(食品改良剤)
EPS生産性である乳酸菌を含む、穀類粉を含有する食品の改良剤を提供する。
・ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティス KLC 4192B株(寄託番号NITE P-02581);
・ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティスに属し、KLC 4192B株と科学的性質が同一である菌株;または
・ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティスに属し、配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも98%以上の同一性を有するヌクレオチド配列からなる16S rRNA遺伝子を有する菌株。
・ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティス KLC 4314a株(寄託番号NITE P-02582);
・ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティスに属し、KLC 4314a株と科学的性質が同一である菌株;または
・ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティスに属し、配列番号2のヌクレオチド配列と少なくとも98%以上の同一性を有するヌクレオチド配列からなる16S rRNA遺伝子を有する菌株。
本発明の剤は、麺または麺皮に用いることにより、対照に比較して、硬さ、ねばり、弾力、およびつるみからなる群より選択されるいずれかの項目において、より優れたものとすることができる。これらの項目についての評価は、訓練されたパネラーによる官能試験により行うことができる。また、本発明の剤は、麺または麺皮に用いることにより、対照に比較して、破断応力を増すことができる。破断応力の評価は、公知の方法により行うことができる。これらの評価における比較のための対照は、発酵物を一切用いないもの、または本発明の剤の代わりに乳酸菌を添加せずに発酵工程を経た液種を用いたものとすることができる。
本発明の剤は、パンに用いることにより、対照に比較して、口どけ、歯切れ、風味、もちもち感、および柔らかさからなる群より選択されるいずれかの項目において、より優れたものとすることができる。これらの項目についての評価は、訓練されたパネラーによる官能試験により行うことができる。また、本発明の剤は、パンに用いることにより、対照に比較して、、焼成後の高さまたはボリュームを増すことができる。焼成後の高さまたはボリュームの評価は、公知の方法により行うことができる。これらの評価における比較のための対照は、乳酸発酵物を一切用いないもの、または本発明の剤の代わりに乳酸菌を添加せずに発酵工程を経た液種を用いたものとすることができる。
本発明の剤は、上述の麺、麺皮、およびパンのほか、穀類粉を使用した他の食品、例えば、お好み焼き、たこ焼き、大判焼き、たい焼き、まんじゅう、スポンジケーキ、カステラ、ピザ、ホットケーキ、ドーナツ、あんまん、肉まん、カレーまん、ピザまん、小麦粉を使用した菓子類、からあげ粉、てんぷら粉等においても好適に使用することができる。
本発明は、下記の工程を含む、穀類粉を含む食品組成物の製造方法を提供する:
穀類粉および水を含む原料に、EPS生産性乳酸菌を添加して発酵させ、発酵物を得る工程(乳酸菌発酵工程)、
得られた発酵物と穀類粉を混合し、生地を得る工程(生地調製工程)。
・ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティス KLC 4192B株(寄託番号NITE P-02581);
・ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティスに属し、KLC 4192B株と科学的性質が同一である菌株;または
・ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティスに属し、配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも98%以上の同一性を有するヌクレオチド配列からなる16S rRNA遺伝子を有する菌株。
・ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティス KLC 4314a株(寄託番号NITE P-02582);
・ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティスに属し、KLC 4314a株と科学的性質が同一である菌株;または
・ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティスに属し、配列番号2のヌクレオチド配列と少なくとも98%以上の同一性を有するヌクレオチド配列からなる16S rRNA遺伝子を有する菌株。
本発明の製造方法が、麺、または麺皮の製造方法である場合、上述の乳酸菌発酵工程のほか、下記の生地調製工程を含む:
得られた発酵物と穀類粉を混合し、麺または麺皮の生地を得る工程。
本発明は、特定のEPS生産性の乳酸菌を用いるパンの製造方法を提供するが、EPS生産性の乳酸菌の特定を活かすことができる限りパン類の製造方法には特に限定はなく、ストレート法、中種法、イースト、液種法のいずれであってもよい。
得られた発酵物と穀類粉と酵母を混合し、中種生地を調製する工程。
(単離)
秋田県山本郡八峰町八森の世界自然遺産「白神山地」緩衝地域より、所管官庁の許可を得て採取したブナの枯葉または腐葉土から、下記の手順で乳酸菌を単離した。
生理食塩水中に試料を縣濁し、縣濁液10 mlを用いて下記の組成からなるMRS培地に、アジ化ナトリウム10 ppmクロラムフェニコール10 ppm炭酸カルシウム0.8 %、寒天1.5 %を加えたMR寒天培地20 mLで混釈培養を行った。30 ℃、3~5 日間培養し、複数の乳酸菌を単離した。
これらの株について、常法により16S rRNA遺伝子のヌクレオチド配列を得た(配列番号:1および2)。また得られた配列情報に基づき、BLAST等のデータベースを使用し、同一性解析(Mori, K. et al.:Int. J. Syst. Bacteriol., 47巻、54-57, 1997) を行った。また、API 50 CHプレートおよびAP 50 CHL培地(日本ビオメリュー社)を用いた糖質資化性試験を、製品の添付文書に記載の方法にしたがって行った。
(i) 16S rRNA遺伝子塩基配列が、 Lactococcus lactis subsp. lactis Iと100.0%の同一性を示した。他に予想される菌種・菌属はLactococcus lactis subsp. cremorisと99.935 %の同一性を示した。
(ii) API 50CH/CHL(日本ビオメリュー株式会社製)を用いて、50種類の炭水化物資化能を調べ、菌種を検索したところ、添付文書に記載の基準株Lactococcus lactis subsp. lactis I の資化性と96.4%一致した。他に予想される菌種・菌属は、Lactococcus lactis subsp. lactis IIが3.3%、Lactobacillus brevis1が0.1%であった。
(iii) subsp.lactisは40℃で生育できるが、subsp. cremorisは生育できない。本菌株は40℃で生育した。
(1)菌体の形状:主に二連球のラグビーボール型の球菌。
(2)コロニーの形状:MRS平板培地上に、直径2~4mmのツヤのある白色円形のコロニーを形成する。
(3)EPSを産生する。白色で弱い曳糸性を示すEPSである。
(4)グラム染色性:陽性
(5)カタラーゼ活性:陰性
(6)胞子形成能:陰性
(7)運動性:陰性
(8)ガス発生:陰性
(9)培養温度40℃で生育可能(Lactococcus lactis subsp. cremorisは生育できない)
(11)GABA生産能:陰性
(i) 16S rRNA遺伝子塩基配列が、 Lactococcus lactis subsp. lactis Iと100.0%の同一性を示した。他に予想される菌種・菌属はLactococcus lactis subsp. cremorisと99.739 %の同一性を示した。
(ii) API 50CH/CHL(日本ビオメリュー株式会社製)を用いて、50種類の炭水化物資化能を調べ、菌種を検索したところ、添付文書に記載の基準株Lactococcus lactis subsp. lactis I の資化性と96.4%一致した。他に予想される菌種・菌属は、Lactococcus lactis subsp. lactis IIが3.3%、Lactobacillus brevis1が0.1%であった。
(iii) subsp.lactisは40℃で生育できるが、subsp. cremorisは生育できない。本菌株は40℃で生育した。
(1)菌体の形状:主に二連球のラグビーボール型の球菌。
(2)コロニーの形状:MRS平板培地上に、直径2~4mmのツヤのある白色円形のコロニーを形成する。
(3)EPSを産生する。白色で弱い曳糸性を示すEPSである。
(4)グラム染色性:陽性
(5)カタラーゼ活性:陰性
(6)胞子形成能:陰性
(7)運動性:陰性
(8)ガス発生:陰性
(9)培養温度40℃で生育可能(Lactococcus lactis subsp. cremorisは生育できない)
(11)GABA生産能:陰性
M17培地(0.5%グルコース含有)に食塩またはアルコールを添加し、食塩濃度0~8%またはアルコール濃度0~15%の培地を作製した。作製した食塩含有培地、またはアルコール含有培地に、M17培地を用いた4192B株の前培養液を1/200量接種し、72時間、30℃で、静置培養を行った。培養後の培地の600nmにおける濁度(OD値)をV-550型紫外可視分光光度計(日本分光株式会社(JASCO)製)で測定した。結果を下表に示した。なお、培養前の値は、0.005であった。
MRS培地に食塩またはアルコールを添加し、食塩濃度0~8%またはアルコール濃度0~15%の培地を作製した。作製した食塩含有培地、またはアルコール含有培地に、MRS培地を用いた4314a株の前培養液を1/200量接種し、120時間、30℃で、静置培養を行った。培養後の培地の600nmにおける濁度(OD値)をV-550型紫外可視分光光度計(日本分光株式会社(JASCO)製)で測定した。結果を下表に示した。なお、培養前の値は、0.005であった。
下記の方法で、KLB 4192B株の産生するEPSを解析した。
1)KLB 4192B株をMRS培地(10%グルコース含有)で30℃、72h培養し、培養液45mlを4℃、8000rpmで10分間遠心分離した。上清を、「培養上清(1)」とした。
2)ペレットを滅菌水5mlで2回洗浄した。洗浄液は回収し、「洗浄液(2)」とした。
3)洗浄後のペレットを滅菌水4mlに懸濁し、1mlずつ分注した。
4)82℃、30分間の処理を行った後、15000rpm、4℃で10分間遠心分離し、上清を「熱水抽出画分(3)」とした。
5)各ペレットを滅菌水1mlで1回洗浄した。
6)洗浄後のペレットを5%酢酸溶液500μlに懸濁した。
7)82℃、30分間の処理を行った後、15000rpm、4℃で10分間遠心分離し、上清を「熱酢酸抽出画分(4)」とした。
8)ペレットを滅菌水1mlで1回洗浄した。
9)洗浄後のペレットを5%水酸化ナトリウム溶液500μlに懸濁した。
10)82℃、30分間の処理を行った後、15000rpm、4℃で10分間遠心分離し、上清を「熱NaOH抽出画分(5)」とした。
KLB 4192B株の産生するEPSと同様に解析した。熱アルカリ抽出画分(5)についての分析結果を、図2および下表に示した。
・市販の乳酸菌(製品名:HOWARU(登録商標) Rhamnosus、デュポンダニスコ社製。
Lactobacillus rhamnosus HN001を含む。)
・jar培養装置10L(微生物培養装置 BMS-P,エイブル社製)
・ディスポボトル(商品名:アイボーイ、アズワン社製)
・乳酸菌を200ml MRS培地に接種し、36時間、30℃で静置培養する。
・日立大型遠心機10000rpm,15min遠心分離し、上清を捨て、沈殿を得る。
・上清と等量の蒸留水を添加し、混和する。
・下表の2種類の培養法に1/10量添加する。
乳酸菌数測定用にMRS寒天培地を用いて、30℃、21時間の好気または嫌気培養を行い、培地で生育したコロニー数に希釈倍数を乗じて生地1gあたりの菌数とした(cfu/g)。
結果を下表に示した。
(3)、(6)の4314a株を添加した場合では、開始時から菌数が多く、培養後でも高い菌体数を維持していた。
各液種入り小麦粉に、水と塩を予め溶解させたものを加え、製麺用の横型真空ミキサーでミキシングして、生地を得、圧延、複合し、熟成させた。熟成後、麺生地を22℃で30分間熟成し、次いで9番手(#9)の切刃または3.2mm幅で設けられた複数の包丁カッターで麺を切り出した。得られた麺をその後、熱水中で、約13分ボイルし、直ちに水洗いして、冷水中で冷却して一食分(200g)の茹でうどんを得た。
また、それぞれの液種を用いたうどんについて、生麺重量に対するゆで麺重量の割合を、ゆでた際の歩留まりとし、下表に示した。
それぞれの液種を用いて製造したうどんの硬さ、粘り、弾力、つるみを訓練された6名で官能評価した。(1)を2点とし、1~3点の3段階評価を行った。点数が高い程、評価が高いことを表す。6名の評価の平均値を下表および図3に示した。
3点:(1)より、硬い
2点:(1)と同等の硬さがある
1点:(1)より、硬さがない
3点:(1)より、粘り強い
2点:(1)と同等の粘りがある
1点:(1)より、粘りがない
3点:(1)より、弾力がある
2点:(1)と同等の弾力がある
1点:(1)より、弾力がない
3点:(1)より、つるみがある
2点:(1)と同等のつるみである
1点:(1)より、つるみがない
それぞれの液種を用いて製造したうどんについて、破断応力を測定するため、テクスチャーアナライザー(TA-XT plus、マイクロステイプル社)を用いて引っ張り試験を行った。楔形プランジャーNo.49を装着し、垂直に配置した1本の麺を1mm/秒の測定速度で歪率100%まで破断した際の最大荷重を測定した(n=3)。結果を下表および図4に示した。
(クロワッサン)
KCL 4314a株、およびKCL 4192B株をGY培地(グルコース1%、酵母エキス1%)を用い、30℃で静置培養したものを乳酸菌培養液として、下表の小麦培地に植菌し、30℃、24時間培養し、小麦種(4-1)を得た。またこれを元種として新たな小麦種に植菌し、30℃、20時間培養し、小麦種(4-2)を得た。
3点:乳酸菌無添加の場合に比べ、口どけが良い
2点:乳酸菌無添加の場合と同等の口どけ
1点:乳酸菌無添加の場合に比べ、口どけがない
3点:乳酸菌無添加の場合に比べ、歯切れが良い
2点:乳酸菌無添加の場合と同等の歯切れ
1点:乳酸菌無添加の場合に比べ、歯切れがない
3点:乳酸菌無添加の場合に比べ、風味が良い
2点:乳酸菌無添加の場合と同等の風味
1点:乳酸菌無添加の場合に比べ、風味がない
各種乳酸菌(KCL 4314a、市販EPS産生菌LB340(L.rhamnosus))をそれぞれGY培地に接種し、乳酸菌培養液を得た。
3点:乳酸菌無添加の場合に比べ、口どけが良い
2点:乳酸菌無添加の場合と同等の口どけ
1点:乳酸菌無添加の場合に比べ、口どけがない
3点:乳酸菌無添加の場合に比べ、もちもち感が優れる
2点:乳酸菌無添加の場合と同等のもちもち感
1点:乳酸菌無添加の場合に比べ、もちもち感がない
白神こだま酵母ドライG(パイオニア企画)を使用した食塩無添加食パンを、家庭用のパン焼き機(ホームベーカリー SD-BMT1000(パナソニック株式会社製)を用い、パン焼き機に付属の説明書にしたがって調製した。配合を下表に示した。
秋田県産小麦 ネバリゴシ(中力粉)を用いて常法によりフランスパンを製造し、評価した。ネバリゴシは、グルテン含有量が10%であるために、通常、製パン性やできあがったパンの風味が劣る。乳酸菌を添加しない場合をコントロールとし、乳酸菌(KCL 4192B株)を添加したフランスパンを製造し、評価した。
Claims (10)
- ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティス KLC 4192B株(寄託番号NITE P-02581);または
ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティスに属し、配列番号1のヌクレオチド配列からなる16S rRNA遺伝子を有する菌株。 - ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティス KLC 4314a株(寄託番号NITE P-02582);または
ラクトコッカス・ラクティス サブスピーシーズ ラクティスに属し、配列番号2のヌクレオチド配列と少なくとも99.93%以上の同一性を有するヌクレオチド配列からなる16S rRNA遺伝子を有する菌株。 - 菌体外多糖生産性である乳酸菌を含む、穀類粉を含有する食品の改良剤であって、菌体外多糖生産性乳酸菌が、請求項1または2の菌株である、剤。
- 麺または麺皮の食感の改善のためのものである、請求項3に記載の剤。
- パンの食感または風味の改善のためのものである、請求項3に記載の剤。
- 菌体外多糖生産性乳酸菌、および穀類粉を含む、食品組成物であって、菌体外多糖生産性乳酸菌が、請求項1または2の菌株である、食品組成物。
- 麺、麺皮またはパンである、請求項6に記載の食品組成物。
- 下記の工程を含む、穀類粉を含む食品組成物の製造方法:
穀類粉および水を含む原料に、請求項1または2に記載の菌株を添加して発酵させ、発酵物を得る工程、
得られた発酵物と穀類粉を混合し、生地を得る工程。 - 麺、または麺皮の製造方法であり、下記の工程を含む、請求項8に記載の製造方法:
得られた発酵物と穀類粉を混合し、麺または麺皮の生地を得る工程。 - パンの製造方法であり、下記の工程を含む、請求項8に記載の製造方法:
得られた発酵物と穀類粉と酵母を混合し、中種生地を調製する工程。
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今堀和友ほか監修,生化学辞典(第3版),1998年11月,p.360 |
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