JPWO2016098511A1 - 電流センサ - Google Patents

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Abstract

測定対象の電流が流れる1次導体と、1次導体を流れる上記電流により発生する磁界の強さを検出する少なくとも1つの磁気センサと、1次導体および磁気センサの周りを囲む磁性体部とを備える。磁気センサは、出力特性において、上記電流の値に比例した仮想出力電圧に対して低い測定電圧値が出力される低出力領域を有する。磁性体部は、磁化特性において、上記電流の絶対値が閾値以上の範囲にて透磁率が低下する磁気飽和領域を有する。低出力領域内の状態にある磁気センサに、磁気飽和領域内の状態にある磁性体部から漏れ出た磁界が及ぶことにより測定電圧値が高くなるように、磁気センサの出力が補正される。

Description

本発明は、電流センサに関し、特に、測定対象の電流に応じて発生する磁界を検出することで測定対象の電流の値を測定する電流センサに関する。
電流センサの構成を開示した先行文献として、特開2010−2277号公報(特許文献1)、および、国際公開第2011/155261号(特許文献2)がある。
特許文献1に記載された電流センサは、U相、V相およびW相の各々について、バスバーと、絶縁基板と、磁気検出素子としてのホールICと、磁気シールド体とを備える。磁気シールド体は、上側磁気シールド部材および下側磁気シールド部材によって、バスバーと絶縁基板とホールICとを環状に囲む環状囲み部を構成することで、外部磁界から磁気遮蔽するものである。上側磁気シールド部材および下側磁気シールド部材の間に空隙が形成されている。空隙の高さ方向の位置は、バスバーの高さ方向の位置と同じまたは近傍であり、バスバーの側面と対向する部分に空隙が位置している。ホールICはバスバーの中央部の上方に配置されている。
特許文献2に記載された電流センサは、磁気平衡式電流センサであり、被測定電流からの誘導磁界により特性が変化する磁気抵抗素子と、磁気抵抗素子の近傍に配置され、誘導磁界を相殺するキャンセル磁界を発生するフィードバックコイルと、誘導磁界を減衰させると共にキャンセル磁界をエンハンスする磁気シールドと、磁気シールド上に設けられ、磁気シールドのヒステリシスを抑えるハードバイアス層とを備える。
特開2010−2277号公報 国際公開第2011/155261号
従来の電流センサは、ホール素子または磁気抵抗素子などを有する磁気センサにおいて検出した磁束密度と出力電圧とが比例する線形領域内で使用される。すなわち、従来の電流センサは、磁気センサの線形領域を超える磁界が生ずる大電流を測定した場合、測定誤差が大きくなり測定精度が低下する。
一方、大電流を測定するために線形領域の広い磁気センサを備える電流センサを用いた場合、磁気センサの感度が低いため、小電流の測定精度が低下する。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、感度を維持しつつ測定範囲の広い電流センサを提供することを目的とする。
本発明に基づく第1の局面に係る電流センサは、測定対象の電流が流れる1次導体と、1次導体を流れる上記電流により発生する磁界の強さを検出する少なくとも1つの磁気センサと、1次導体および磁気センサの周りを囲む磁性体部とを備える。磁気センサは、出力特性において、上記電流の値に比例した仮想出力電圧に対して低い測定電圧値が出力される低出力領域を有する。磁性体部は、磁化特性において、上記電流の絶対値が閾値以上の範囲にて透磁率が低下する磁気飽和領域を有する。低出力領域内の状態にある磁気センサに、磁気飽和領域内の状態にある磁性体部から漏れ出た磁界が及ぶことにより測定電圧値が高くなるように、磁気センサの出力が補正される。
本発明に基づく第2の局面に係る電流センサは、測定対象の電流が流れる1次導体と、1次導体を流れる上記電流により発生する磁界の強さを検出する少なくとも1つの磁気センサと、1次導体および磁気センサの周りを囲む磁性体部とを備える。磁性体部は、磁気センサの検出軸の方向に沿って延在し、磁気センサに間隔を置いて磁気センサと対向する平板部を有する。上記電流により発生する磁界によって磁気飽和した平板部から漏れ出た磁界が磁気センサに及ぶことにより、磁気センサの出力電圧が上記電流の値に比例した仮想出力電圧に近づくように補正される。
本発明の一形態においては、磁性体部は、平板部を有する第1磁性体部、および、第1磁性体部に離間して位置する第2磁性体部を含む。第1磁性体部は、上記電流により発生する磁界に対して第2磁性体部より先に磁気飽和する。
本発明の一形態においては、第2磁性体部は、空隙が設けられており、この空隙により周方向において不連続となった筒形状を有する。
本発明の一形態においては、第2磁性体部は、全周に亘って繋がった筒形状を有する。
本発明の一形態においては、第2磁性体部が、第1磁性体部の周りを囲んでいる。
本発明の一形態においては、第1磁性体部が、第2磁性体部の上記空隙に位置している。
本発明の一形態においては、第1磁性体部は、少なくとも1つの第1磁性体部材で構成されている。第2磁性体部は、少なくとも1つの第2磁性体部材で構成されている。
本発明の一形態においては、第1磁性体部材が平板形状を有する。
本発明の一形態においては、第1磁性体部は、2つの第1磁性体部材で構成されている。磁気センサは、2つの第1磁性体部材の間に位置している。
本発明の一形態においては、1次導体は、平板形状を有する。磁気センサは、1次導体の厚さ方向および上記電流が流れる方向の両方と直交する方向の磁界を検出可能とされている。
本発明の一形態においては、磁気センサは、1次導体の幅方向における中央部の、1次導体の厚さ方向における一方側および他方側の少なくとも一方に配置されている。
本発明の一形態においては、磁気センサとして第1磁気センサと第2磁気センサとを備える。第1磁気センサと第2磁気センサとは、1次導体を挟んで互いに対向して位置している。
本発明の一形態においては、第1磁気センサの検出値と第2磁気センサの検出値とを演算することにより上記電流の値を算出する算出部をさらに備える。1次導体を流れる上記電流により発生する磁界の強さについて、第1磁気センサの検出値の位相と第2磁気センサの検出値の位相とが逆相である。算出部が減算器または差動増幅器である。
本発明の一形態においては、第1磁気センサの検出値と第2磁気センサの検出値とを演算することにより上記電流の値を算出する算出部をさらに備える。1次導体を流れる上記電流により発生する磁界の強さについて、第1磁気センサの検出値の位相と第2磁気センサの検出値の位相とが同相である。算出部が加算器または加算増幅器である。
本発明によれば、電流センサの感度を維持しつつ測定範囲を広げることができる。
本発明の実施形態1に係る電流センサの外観を示す斜視図である。 図1の電流センサを矢印II方向から見た側面図である。 図2の電流センサをIII−III線矢印方向から見た断面図である。 本発明の実施形態1に係る電流センサの構成を示す分解斜視図である。 本発明の実施形態1に係る電流センサの回路基板の外観を示す斜視図である。 本発明の実施形態1に係る電流センサの回路構成を示す回路図である。 比較例1に係る1次導体の横断面形状を示す断面図である。 実施例1に係る1次導体の横断面形状を示す断面図である。 実施例1に係る1次導体の周囲に発生する磁界を模式的に示す断面図である。 比較例1および実施例1に係る1次導体の幅方向の中央部の直上または直下に位置する基準線上における、1次導体の表面または裏面からの距離と1次導体の幅方向(X軸方向)の磁束密度との関係を示すグラフである。 従来の電流センサの出力特性を示すグラフである。 本発明の実施形態1に係る電流センサが含む磁気センサの出力特性を示すグラフである。 本発明の実施形態1に係る電流センサが含む磁気センサにおける磁束密度と出力の誤差率との関係を示すグラフである。 本発明の実施形態1に係る電流センサが含む磁性体部の磁化特性を示すグラフである。 本発明の実施形態1に係る電流センサが含む第1磁性体部のみを配置したときの磁気センサの位置における磁束密度の誤差率と入力電流との関係を示すグラフである。 電流センサの出力の誤差率と、磁気センサの出力の誤差率と、磁気センサの位置における磁束密度の誤差率とを、重ねて示すグラフである。 磁性材料の比透磁率と磁界の強さとの関係を示すグラフである。 本発明の実施形態2に係る電流センサの構成を示す断面図である。 本発明の実施形態3に係る電流センサの構成を示す断面図である。 本発明の実施形態4に係る電流センサにおいて、プリント基板および磁性体部材を1次導体に対して取り付けた状態を示す断面図である。 本発明の実施形態4に係る電流センサにおいて、プリント基板および磁性体部材を1次導体に対して取り付ける前の状態を示す断面図である。 本発明の実施形態5に係る電流センサの構成を示す断面図である。 本発明の実施形態5の第1変形例に係る電流センサの構成を示す断面図である。 本発明の実施形態5の第2変形例に係る電流センサの構成を示す断面図である。 本発明の実施形態5の第3変形例に係る電流センサの構成を示す断面図である。 本発明の実施形態5の第4変形例に係る電流センサの構成を示す断面図である。 本発明の実施形態6に係る電流センサの構成を示す断面図である。 本発明の実施形態6の第1変形例に係る電流センサの構成を示す断面図である。 本発明の実施形態6の第2変形例に係る電流センサの構成を示す断面図である。 本発明の実施形態7に係る電流センサの構成を示す断面図である。 本発明の実施形態8に係る電流センサの構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態8に係る電流センサの構成を示す平面図である。
以下、本発明の各実施形態に係る電流センサについて図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る電流センサの外観を示す斜視図である。図2は、図1の電流センサを矢印II方向から見た側面図である。図3は、図2の電流センサをIII−III線矢印方向から見た断面図である。図4は、本発明の実施形態1に係る電流センサの構成を示す分解斜視図である。図5は、本発明の実施形態1に係る電流センサの回路基板の外観を示す斜視図である。図6は、本発明の実施形態1に係る電流センサの回路構成を示す回路図である。図1〜3においては、後述する1次導体110の幅方向をX軸方向、1次導体110の長さ方向をY軸方向、1次導体110の厚さ方向をZ軸方向として、図示している。
図1〜6に示すように、本発明の実施形態1に係る電流センサ100は、測定対象の電流が流れる1次導体110と、1次導体110を流れる電流により発生する磁界の強さを検出する2つの磁気センサとを備える。2つの磁気センサは、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bから構成されている。本実施形態においては、電流センサ100は、2つの磁気センサを備えているが、これに限られず、少なくとも1つの磁気センサを備えていればよい。
さらに、電流センサ100は、1次導体110および2つの磁気センサの周りを囲む第1磁性体部170と、第1磁性体部170の周りを囲む第2磁性体部180とを備える。第1磁性体部170は、空隙173が設けられており、空隙173により周方向において不連続となった筒形状を有する。第1磁性体部170は、後述する平板部を有している。第2磁性体部180は、第1磁性体部170に離間して位置している。
本実施形態においては、第1磁性体部170は、2つの第1磁性体部材171,172から構成されている。ただし、第1磁性体部170の構成は上記に限られず、少なくとも1つの第1磁性体部材で構成されていればよい。2つの第1磁性体部材171,172は、1次導体110を流れる電流が流れる方向(Y軸方向)から見て、互いの端部同士の間に空隙173が設けられた矩形形状を成し、1次導体110および2つの磁気センサの周りを囲んでいる。具体的には、2つの第1磁性体部材171,172は、後述する、第1回路基板160a、第2回路基板160b、および、第1回路基板160aと第2回路基板160bとに挟まれた部分の1次導体110に対して間隔を置いて周りを囲んでいる。
本実施形態においては、第2磁性体部180は、全周に亘って繋がった筒形状を有する。第2磁性体部180は、1つの第2磁性体部材で構成されている。ただし、第2磁性体部180の構成は上記に限られず、少なくとも1つの第2磁性体部材で構成されていればよい。第2磁性体部材は、1次導体110を流れる電流が流れる方向(Y軸方向)から見て、矩形形状を成し、2つの第1磁性体部材171,172に対して間隔を置いて周りを囲んでいる。
後述するように、第1磁性体部170は、1次導体110を流れる電流により発生する磁界に対して第2磁性体部180より先に磁気飽和する。
1次導体110、第1回路基板160a、第2回路基板160b、2つの第1磁性体部材171,172、および、第2磁性体部材の各々の相対位置は、図示しないケースなどにより維持されている。ケースは、ポリフェニレンスルファイドなどの高温耐性を有するエンジニアリングプラスティックなどで形成されていることが好ましい。第1回路基板160aおよび第2回路基板160bの各々とケースとをネジにより締結する場合には、磁場の乱れが生じないように、非磁性材料からなるネジで締結されていることが好ましい。
以下、各構成について詳細に説明する。
本実施形態においては、1次導体110は、平板形状を有している。1次導体110は、1次導体110の表面から裏面まで貫通した1つの貫通部を有している。具体的には、1次導体110の幅方向における中央部に、平面視にて円形の貫通孔110hが設けられている。ただし、必ずしも1次導体110に貫通部が設けられていなくてもよい。電流は、1次導体110をY軸方向に流れる。
本実施形態においては、1次導体110は、銅で構成されている。ただし、1次導体110の材料はこれに限られず、銀、アルミニウムなどの金属またはこれらの金属を含む合金でもよい。1次導体110は、表面処理が施されていてもよい。たとえば、ニッケル、錫、銀、銅などの金属またはこれらの金属を含む合金からなる、少なくとも1層のめっき層が、1次導体110の表面に設けられていてもよい。
本実施形態においては、薄板をプレス加工することにより1次導体110が形成されている。ただし、1次導体110の形成方法はこれに限られず、切削、鍛造または鋳造などの方法によって1次導体110が形成されてもよい。
本実施形態においては、第1磁気センサ120aは、第1オペアンプ140aおよび第1受動素子150aとともに第1プリント基板130aに実装されている。第1磁気センサ120aは、第1プリント基板130aの中央に配置されている。第1磁気センサ120a、第1プリント基板130a、第1オペアンプ140aおよび第1受動素子150aは、第1回路基板160aを構成している。第1プリント基板130aは、ガラスエポキシまたはアルミナからなる基板、および、基板上に銅箔などの金属箔がパターニングされて形成された配線を含む。第1回路基板160aには、第1磁気センサ120aからの信号を演算する演算回路が構成されている。
第2磁気センサ120bは、第2オペアンプ140bおよび第2受動素子150bとともに第2プリント基板130bに実装されている。第2磁気センサ120bは、第2プリント基板130bの中央に配置されている。第2磁気センサ120b、第2プリント基板130b、第2オペアンプ140bおよび第2受動素子150bは、第2回路基板160bを構成している。第2プリント基板130bは、ガラスエポキシまたはアルミナからなる基板、および、基板上に銅箔などの金属箔がパターニングされて形成された配線を含む。第2回路基板160bには、第2磁気センサ120bからの信号を演算する演算回路が構成されている。
第1回路基板160aは、1次導体110の表面上に載置されている。第1磁気センサ120aは、第1プリント基板130aを1次導体110との間に挟んで、貫通孔110hの直上に位置している。第2回路基板160bは、1次導体110の裏面上に配置されている。第2磁気センサ120bは、第2プリント基板130bを1次導体110との間に挟んで、貫通孔110hの直下に位置している。
すなわち、第1磁気センサ120aと第2磁気センサ120bとは、1次導体110を挟んで互いに対向して位置している。第1磁気センサ120aは、1次導体110の幅方向(X軸方向)における中央部の、1次導体110の厚さ方向(Z軸方向)における一方側(上方側)に配置されている。第2磁気センサ120bは、1次導体110の幅方向(X軸方向)における中央部の、1次導体110の厚さ方向(Z軸方向)における他方側(下方側)に配置されている。
第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々の検出軸の方向(感磁方向)は、1次導体110の幅方向(X軸方向)である。すなわち、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々は、1次導体110の厚さ方向(Z軸方向)および1次導体110を電流が流れる方向(Y軸方向)の両方と直交する方向(X軸方向)の磁界を検出可能とされている。
第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々は、検出軸の一方向に向いた磁界を検出した場合に正の値で出力し、かつ、検出軸の一方向とは反対方向に向いた磁界を検出した場合に負の値で出力する、入出力特性を有している。
第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々は、4つのAMR(Anisotropic Magneto Resistance)素子からなるホイートストンブリッジ型のブリッジ回路を有する。なお、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々が、AMR素子に代えて、GMR(Giant Magneto Resistance)、TMR(Tunnel Magneto Resistance)、BMR(Balistic Magneto Resistance)、CMR(Colossal Magneto Resistance)などの磁気抵抗素子を有していてもよい。また、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々が、2つの磁気抵抗素子からなるハーフ・ブリッジ回路を有していてもよい。その他にも、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bとして、ホール素子を有する磁気センサ、磁気インピーダンス効果を利用するMI(Magneto Impedance)素子を有する磁気センサまたはフラックスゲート型磁気センサなどを用いることができる。磁気抵抗素子およびホール素子などの磁気素子は、樹脂パッケージされていてもよく、または、シリコーン樹脂若しくはエポキシ樹脂などでポッティングされていてもよい。
第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々のAMR素子は、バーバーポール型電極を含むことによって、奇関数入出力特性を有している。具体的には、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々のAMR素子は、バーバーポール型電極を含むことにより、所定の角度に電流が流れるようにバイアスされている。第1磁気センサ120aのAMR素子における磁気抵抗膜の磁化方向と、第2磁気センサ120bのAMR素子における磁気抵抗膜の磁化方向とは、同一方向である。これにより、外部磁界の影響による出力精度の低下を小さくすることができる。
図6に示すように、電流センサ100は、第1磁気センサ120aの検出値と第2磁気センサ120bの検出値とを演算することにより1次導体110を流れる電流の値を算出する算出部190を備える。算出部190は、差動増幅器である。ただし、算出部190が減算器であってもよい。
図1,3,4に示すように、1次導体110を電流が流れる方向(Y軸方向)から見て、2つの第1磁性体部材171,172は、それぞれL字形状を有する。2つの第1磁性体部材171,172の各々は、第1平板部171a,172aと、第1平板部171a,172aに直交している第2平板部とを有している。2つの第1磁性体部材171,172の各々の第1平板部171a,172aと1次導体110とは、互いに平行に位置している。
すなわち、第1磁性体部材171の第1平板部171aは、第1磁気センサ120aの検出軸の方向(感磁方向)に沿って延在し、第1磁気センサ120aに間隔を置いて第1磁気センサ120aと対向している。第1磁性体部材172の第1平板部172aは、第2磁気センサ120bの検出軸の方向(感磁方向)に沿って延在し、第2磁気センサ120bに間隔を置いて第2磁気センサ120bと対向している。
2つの空隙173の各々は、1次導体110を電流が流れる方向(Y軸方向)において、第1磁性体部170の一端から他端まで延在している。2つの空隙173の各々は、1次導体110を流れる電流が流れる方向(Y軸方向)から見て、第1磁性体部材171,172が成す矩形形状の対角に位置している。1次導体110を流れる電流が流れる方向(Y軸方向)から見て、第1磁性体部材171,172が成す矩形形状の中心位置と、1次導体110の貫通孔110hの位置とは重なっている。
第1磁性体部材171,172の各々は、PCパーマロイで構成されている。第2磁性体部材は、PCパーマロイで構成されている。PCパーマロイはNi成分を約80%含み、残部が主にFe成分である合金である。第1磁性体部170が、1次導体110を流れる電流により発生する磁界に対して第2磁性体部180より先に磁気飽和するように、第1磁性体部材171,172および第2磁性体部材の各々の材料が選定される。第1磁性体部材171,172および第2磁性体部材の各々の材料としては、上記に限られず、軟鉄鋼、ケイ素鋼、電磁鋼、PBパーマロイ、PCパーマロイ、ニッケル合金、鉄合金またはフェライトなどの、透磁率および飽和磁束密度の高い磁性体材料が好ましい。なお、PBパーマロイは、Ni成分を約45%含み、残部が主にFe成分である合金である。
本実施形態においては、薄板をプレス加工することにより第1磁性体部材171,172および第2磁性体部材の各々が形成されている。ただし、第1磁性体部材171,172および第2磁性体部材の各々の形成方法はこれに限られず、切削、鍛造または鋳造などの方法によって第1磁性体部材171,172および第2磁性体部材の各々が形成されてもよい。
第1磁性体部材171,172と第2磁性体部材との間の隙間は、比透磁率が1に近い材料で満たされていることが好ましい。具体的には、樹脂、無機物、セラミックス、若しくはこれらの複合材料、または空気などで、上記隙間が満たされていることが好ましい。樹脂では、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、液晶ポリマー、ポリアミド系樹脂、エポキシ樹脂、または、フェノール樹脂などを用いることができる。無機物では、ガラスなどを用いることができる。セラミックスでは、アルミナまたはステアタイトなどを用いることができる。
ここで、貫通部を有さない比較例1の1次導体110、および、貫通孔110hが設けられた実施例1の1次導体110について、1次導体110の幅方向(X軸方向)における中央部の直上または直下の位置における、1次導体110の表面110sまたは裏面110tからの距離と磁束密度との関係をシミュレーション解析した結果について説明する。
図7は、比較例1に係る1次導体の横断面形状を示す断面図である。図8は、実施例1に係る1次導体の横断面形状を示す断面図である。図7,8に示すように、比較例1および実施例1において、1次導体110の横断面の外形は、幅30mm、厚さ2.5mmとした。実施例1に係る1次導体110の幅方向の中央部に、直径2mmの貫通孔110hを設けた。比較例1および実施例1において、1次導体110を流れる電流の値を100Aとして、図7,8に示すように、1次導体110の幅方向の中央部の直上または直下に位置する基準線1上における磁束密度分布をシミュレーション解析により算出した。なお、比較例1および実施例1においては、第1磁性体部材171,172および第2磁性体部材は配置していない。
図9は、実施例1に係る1次導体の周囲に発生する磁界を模式的に示す断面図である。図9においては、図8と同一の断面視にて図示している。図10は、比較例1および実施例1に係る1次導体の幅方向の中央部の直上または直下に位置する基準線上における、1次導体の表面または裏面からの距離と1次導体の幅方向(X軸方向)の磁束密度との関係を示すグラフである。図10においては、縦軸に磁束密度(mT)、横軸に1次導体110の表面110sまたは裏面110tからの距離(mm)を示している。また、図10においては、実施例1に係る1次導体110のデータを実線で、比較例1に係る1次導体110のデータを点線で示している。
図9に示すように、いわゆる右ねじの法則によって、貫通孔110hの左側に位置する1次導体110を流れる電流10により磁界110eが発生する。同様に、貫通孔110hの右側に位置する1次導体110を流れる電流10により磁界110eが発生する。
1次導体110の幅方向の中央部の直上に位置する基準線1上においては、貫通孔110hの左側に位置する1次導体110を流れる電流10により発生した磁界110eによるZ軸方向の磁束密度LZと、貫通孔110hの右側に位置する1次導体110を流れる電流10により発生した磁界110eによるZ軸方向の磁束密度RZとが、打ち消し合う。一方、貫通孔110hの左側に位置する1次導体110を流れる電流10により発生した磁界110eによるX軸方向の磁束密度LXと、貫通孔110hの右側に位置する1次導体110を流れる電流10により発生した磁界110eによるX軸方向の磁束密度RXとが、組み合わされる。
1次導体110の幅方向の中央部の直下に位置する基準線1上においては、貫通孔110hの左側に位置する1次導体110を流れる電流10により発生した磁界110eによるZ軸方向の磁束密度LZと、貫通孔110hの右側に位置する1次導体110を流れる電流10により発生した磁界110eによるZ軸方向の磁束密度RZとが、打ち消し合う。一方、貫通孔110hの左側に位置する1次導体110を流れる電流10により発生した磁界110eによるX軸方向の磁束密度LXと、貫通孔110hの右側に位置する1次導体110を流れる電流10により発生した磁界110eによるX軸方向の磁束密度RXとが、組み合わされる。
図10に示すように、比較例1に係る1次導体110の幅方向の中央部の直上に位置する基準線1上におけるX軸方向の磁束密度は、1次導体110の表面110sからの距離が大きくなるに従って低下している。一方、実施例1に係る1次導体110の幅方向の中央部の直上に位置する基準線1上におけるX軸方向の磁束密度は、1次導体110の表面110sからの距離が4mmに到達するまでは距離が大きくなるに従って増加し、1次導体110の表面110sから4mm以上10mm以下の位置においては略一定になっている。
実施例1に係る1次導体110の幅方向の中央部の直上に位置する基準線1上におけるX軸方向の磁束密度は、1次導体110の表面110sからの距離に関わらず、比較例に係る1次導体110の幅方向の中央部の直上に位置する基準線1上におけるX軸方向の磁束密度より低くなっている。これは、貫通孔110hの部分に、電流が流れていないためである。
同様に、比較例1に係る1次導体110の幅方向の中央部の直下に位置する基準線1上におけるX軸方向の磁束密度は、1次導体110の裏面110tからの距離が大きくなるに従って低下している。一方、実施例1に係る1次導体110の幅方向の中央部の直下に位置する基準線1上におけるX軸方向の磁束密度は、1次導体110の裏面110tからの距離が4mmに到達するまでは距離が大きくなるに従って増加し、1次導体110の裏面110tから4mm以上10mm以下の位置においては略一定になっている。
実施例1に係る1次導体110の幅方向の中央部の直下に位置する基準線1上におけるX軸方向の磁束密度は、1次導体110の裏面110tからの距離に関わらず、比較例に係る1次導体110の幅方向の中央部の直下に位置する基準線1上におけるX軸方向の磁束密度より低くなっている。これは、貫通孔110hの部分に、電流が流れていないためである。
このシミュレーション解析の結果から分かるように、本実施形態に係る電流センサ100においては、第1磁気センサ120aを、1次導体110の貫通孔110hの直上の位置に配置することにより、第1磁気センサ120aに作用する磁束密度を低減することができる。よって、1次導体110に大電流が流れた場合においても、第1磁気センサ120aの磁気抵抗素子の出力が飽和することを抑制することができる。
同様に、第2磁気センサ120bを、1次導体110の貫通孔110hの直下の位置に配置することにより、第2磁気センサ120bに作用する磁束密度を低減することができる。よって、1次導体110に大電流が流れた場合においても、第2磁気センサ120bの磁気抵抗素子の出力が飽和することを抑制することができる。
本実施形態に係る電流センサ100においては、複雑な回路によらずに1次導体110に貫通孔110hを設けた簡易な構造で磁気抵抗素子に作用する磁束密度を低減することができる。その結果、電流センサ100の入力ダイナミックレンジを拡大させることができ、電流センサ100によって大電流を正確に測定することが可能となる。
また、第1磁気センサ120aを1次導体110の貫通孔110hの直上の位置に配置し、第2磁気センサ120bを1次導体110の貫通孔110hの直下の位置に配置することにより、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々に作用するX軸方向およびZ軸方向の磁束密度を低減することができるため、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々に加わる磁界の強度にばらつきが生ずることを抑制できる。その結果、電流センサ100によって被測定電流の大きさを安定して測定することができる。
上記のように、実施例1に係る1次導体110の幅方向の中央部の直上または直下に位置する基準線1上において、1次導体110の表面110sまたは裏面110tから4mm以上10mm以下の位置は、X軸方向の磁束密度が略一定になっているロバスト領域である。
本実施形態に係る電流センサ100においては、第1磁気センサ120aが、第1プリント基板130aを1次導体110との間に挟んで、貫通孔110hの直上に位置していることにより第1磁気センサ120aがロバスト領域内に位置している。すなわち、第1磁気センサ120aがロバスト領域内に位置するように、第1プリント基板130aの厚さを適宜設定している。
同様に、電流センサ100においては、第2磁気センサ120bが、第2プリント基板130bを1次導体110との間に挟んで、貫通孔110hの直下に位置していることにより第2磁気センサ120bがロバスト領域内に位置している。すなわち、第2磁気センサ120bがロバスト領域内に位置するように、第2プリント基板130bの厚さを適宜設定している。
第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々をロバスト領域内に位置させることにより、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々に加わる磁界の強度にばらつきが生ずることを安定して抑制できる。その結果、電流センサ100によって被測定電流の大きさをさらに安定して測定することができる。なお、1次導体110に貫通孔110hを設ける代わりに、絞り加工などにより凹部を設けた場合にも同様にロバスト領域を形成することができる。
ここで、従来の電流センサの出力特性について説明する。図11は、従来の電流センサの出力特性を示すグラフである。図11においては、縦軸に出力電圧V(V)、横軸に入力電流I(A)を示している。また、図11においては、電流センサ100の入力電流の測定可能範囲における出力電圧を直線近似した仮想出力電圧を二点鎖線で示している。具体的には、仮想出力電圧は、入力電流値および出力電圧値を最小二乗法を用いて1次関数にて近似して求めた。
本実施形態に係る電流センサ100においては、入力電流の測定可能範囲は±800Aである。入力電流の測定可能範囲内においては、出力電圧と仮想出力電圧との間の誤差が許容範囲内に収まっている。出力電圧と仮想出力電圧との間の誤差の許容範囲は、電流センサに求められる測定精度によって適宜決定される。図11に示すように、従来の電流センサは、入力電流が+800Aの近傍および−800Aの近傍の各々において、出力電圧と仮想出力電圧との間の誤差が大きくなって許容範囲を超えている。
ここで、電流センサの出力の誤差率について定義する。
電流センサの入力電流の測定可能範囲における仮想出力電圧の最大値と最小値との間の間隔であるフルスケールに対する、出力電圧と仮想出力電圧との差の比率を、電流センサの出力の誤差率と定義する。
たとえば、入力電流の測定可能範囲が±800Aであり、入力電流が800Aのときの仮想出力電圧を2.0V、入力電流が−800Aのときの仮想出力電圧を−2.0Vとすると、フルスケールは4.0Vとなる。入力電流が600Aのとき、出力電圧が1.48V、仮想出力電圧が1.5Vであった場合、電流センサの出力の誤差率は、(1.48−1.5)/4.0×100=−0.5%となる。
上記のように定義される電流センサの出力の誤差率は、電流センサを構成する磁気センサおよび磁性体部の各々の特性により決まる。本発明者らは、磁気センサの出力特性と、磁性体部の磁化特性との好適な組み合わせを実現することにより、電流センサの出力の誤差率を低減しつつ入力電流の測定可能範囲を広げることが可能であることを見出した。
以下に、磁気センサの出力特性と、磁性体部の磁化特性との好適な組み合わせを実現する具体的な方法について説明する。
図12は、本実施形態に係る電流センサが含む磁気センサの出力特性を示すグラフである。図12においては、縦軸に出力電圧V(V)、横軸に磁束密度B(mT)を示している。また、図12においては、電流センサ100の入力電流の測定可能範囲に対応して第1および第2磁気センサ120a,120bの各々に作用する磁界の磁束密度範囲における出力電圧を直線近似した仮想出力電圧を二点鎖線で示している。具体的には、仮想出力電圧は、磁束密度および出力電圧値を最小二乗法を用いて1次関数にて近似して求めた。なお、図12においては、磁気センサ単体の出力特性を示しており、磁性体部による磁束密度への影響は含まれていない。
電流センサ100の入力電流が800Aのとき、第1および第2磁気センサ120a,120bの各々に作用する磁界の磁束密度は10mTであり、電流センサ100の入力電流が−800Aのとき、第1および第2磁気センサ120a,120bの各々に作用する磁界の磁束密度は−10mTである。
図12に示すように、第1および第2磁気センサ120a,120bの各々に作用する磁界の磁束密度範囲において、出力電圧は3次曲線となる。すなわち、第1および第2磁気センサ120a,120bの各々は、出力特性において、磁束密度(入力電流値)に比例した仮想出力電圧に対して低い測定電圧値が出力される低出力領域T1を有する。磁束密度が7mTから10mTまで大きくなるに従って、出力電圧の絶対値の増加率が小さくなり、出力電圧と仮想出力電圧との誤差が広がっている。また、入力電流値が−7mTから−10mTまで小さくなるに従って、出力電圧の絶対値の増加率が小さくなり、出力電圧と仮想出力電圧との誤差が広がっている。
ここで、磁気センサの出力の誤差率について定義する。
電流センサの入力電流の測定可能範囲に対応する磁束密度範囲における仮想出力電圧の最大値と最小値との間の間隔であるフルスケールに対する、出力電圧と仮想出力電圧との差の比率を、磁気センサの出力の誤差率と定義する。
たとえば、入力電流の測定可能範囲が±800Aに対応する磁束密度範囲が±10mTであり、磁束密度が10mTのときの仮想出力電圧を2.0V、磁束密度が−10mTのときの仮想出力電圧を−2.0Vとすると、フルスケールは4.0Vとなる。磁束密度が8mTのとき、出力電圧が1.48V、仮想出力電圧が1.5Vであった場合、電流センサの出力の誤差率は、(1.48−1.5)/4.0×100=−0.5%となる。
図13は、本実施形態に係る電流センサが含む磁気センサにおける磁束密度と出力の誤差率との関係を示すグラフである。図13においては、縦軸に出力の誤差率(%FS)、横軸に磁束密度B(mT)を示している。図13に示すように、第1および第2磁気センサ120a,120bの各々は、磁束密度が−7mT以下の範囲と、7mT以上の範囲とが、低出力領域T1となっている。
図14は、本実施形態に係る電流センサが含む磁性体部の磁化特性を示すグラフである。図14においては、縦軸に磁束密度B(mT)、横軸に入力電流I(A)を示している。また、図14においては、電流センサ100の入力電流の測定可能範囲において磁気センサの位置に作用する磁界の磁束密度を直線近似した仮想磁束密度を二点鎖線で示している。具体的には、仮想磁束密度は、入力電流値および磁束密度を最小二乗法を用いて1次関数にて近似して求めた。なお、図14においては、1次導体110の周囲に第1磁性体部170のみを配置したときに磁気センサの位置に作用する磁界の磁束密度を示しており、磁気センサ自体および第2磁性体部180による磁束密度への影響は含まれていない。
図14に示すように、電流センサ100の入力電流の測定可能範囲において、磁気センサの位置に作用する磁界の磁束密度は3次曲線となる。すなわち、第1磁性体部170は、磁化特性において、1次導体110を流れる電流の絶対値が閾値である600A以上の範囲にて透磁率が低下する磁気飽和領域T2を有する。入力電流値が600Aから800Aまで大きくなるに従って、磁束密度の絶対値の増加率が大きくなっている。また、入力電流値が−600Aから−800Aまで小さくなるに従って、磁束密度の絶対値の増加率が大きくなっている。
ここで、1次導体110の周囲に磁性体部のみを配置したときの磁気センサの位置における磁束密度の誤差率について定義する。
電流センサの入力電流の測定可能範囲における仮想磁束密度の最大値と最小値との間の間隔であるフルスケールに対する、磁束密度と仮想磁束密度との差の比率を、磁気センサの位置における磁束密度の誤差率と定義する。
たとえば、入力電流の測定可能範囲が±800Aであり、入力電流が800Aのときの仮想磁束密度を20mT、入力電流が−800Aのときの仮想磁束密度を−20mTとすると、フルスケールは40mTとなる。入力電流が750Aのとき、磁束密度が20.5mT、仮想磁束密度が19.5mTであった場合、電流センサの出力の誤差率は、(20.5−19.5)/40×100=2.5%となる。
図15は、本実施形態に係る電流センサが含む第1磁性体部のみを配置したときの磁気センサの位置における磁束密度の誤差率と入力電流との関係を示すグラフである。図15においては、縦軸に磁束密度の誤差率(%FS)、横軸に入力電流I(A)を示している。図15に示すように、入力電流値が−600A以下の範囲と、600A以上の範囲とが、磁気飽和領域T2となっている。
図16は、電流センサの出力の誤差率と、磁気センサの出力の誤差率と、磁気センサの位置における磁束密度の誤差率とを、重ねて示すグラフである。図16においては、縦軸に磁束密度の誤差率(%FS)、横軸に入力電流I(A)を示している。また、図16においては、電流センサの出力の誤差率を実線で、磁気センサの出力の誤差率を点線で、磁気センサの位置における磁束密度の誤差率を一点鎖線で示している。
図16に示すように、本実施形態に係る電流センサ100においては、磁気センサの低出力領域T1と第1磁性体部170の磁気飽和領域T2とを重ねることにより、入力電流の測定可能範囲内において電流センサ100の出力の誤差率を±1.0%以内に低減している。本実施形態においては、±1.0%以内の誤差率を許容範囲としている。
低出力領域T1内の状態にある磁気センサに、磁気飽和領域T2内の状態にある第1磁性体部170から漏れ出た磁界が及ぶことにより測定電圧値が高くなるように、磁気センサの出力を補正している。
具体的には、低出力領域T1内の状態にある磁気センサは、磁束密度の増加(入力電流値の増加)に伴う出力電圧の絶対値の増加率が小さくなっている。一方、磁気飽和領域T2内の状態にある第1磁性体部170から漏れ出る磁界は、入力電流値の増加に伴う磁束密度の絶対値の増加率が大きくなっている。この状態の磁気センサと第1磁性体部170とを組み合わせることにより、磁気センサの出力電圧を補正して仮想出力電圧に近づけている。
本実施形態においては、1次導体110を流れる電流により発生する磁界によって磁気飽和した平板部から漏れ出た磁界が磁気センサに及ぶことにより、磁気センサの出力電圧が1次導体110を流れる電流の値に比例した仮想出力電圧に近づくように補正している。
具体的には、1次導体110を流れる電流により発生する磁界によって磁気飽和した第1磁性体部材171の第1平板部171aから漏れ出た磁界が第1磁気センサ120aに及ぶことにより、第1磁気センサ120aの出力電圧が1次導体110を流れる電流の値に比例した仮想出力電圧に近づくように補正している。
同様に、1次導体110を流れる電流により発生する磁界によって磁気飽和した第1磁性体部材172の第1平板部172aから漏れ出た磁界が第2磁気センサ120bに及ぶことにより、第2磁気センサ120bの出力電圧が1次導体110を流れる電流の値に比例した仮想出力電圧に近づくように補正している。
上記のように、電流センサ100の入力電流の測定可能範囲内において磁気センサの出力電圧を仮想出力電圧に近づけるように補正することにより、電流センサ100の出力の誤差率を低減しつつ入力電流の測定可能範囲を広げることが可能である。たとえば、電流センサ100の出力の誤差率を±1.0%以内に低減しつつ入力電流の測定可能範囲を±800Aまで広げることができる。
磁気センサの出力特性と、磁性体部の磁化特性との好適な組み合わせを実現するために、磁気センサの出力特性に合わせて磁性体部の磁化特性が適宜設定される。磁性体部の磁化特性を決定するファクタとして、磁性体部を構成する材料の飽和磁束密度、透磁率、および磁性体部の形状がある。磁性体部の形状のファクタとして、磁性体部材の厚さ、幅および長さ、並びに、空隙の大きさおよび位置などがある。
第1磁性体部170に空隙173が設けられることにより、1次導体110を流れる電流により発生する磁界によって第1磁性体部170内を周回する磁束に対する磁気抵抗が増加する。その結果、第1磁性体部材171,172が1次導体110を流れる電流により発生する磁界によって磁気飽和するときの入力電流の絶対値を、空隙173が設けられていない場合に比較して大きくすることができる。
これらのファクタを適宜設定することにより、磁気センサの低出力領域T1と第1磁性体部170の磁気飽和領域T2とが重なる範囲を調整して、電流センサ100の出力を好適に補正することが可能となる。その結果、感度を維持しつつ測定範囲の広い電流センサ100を得ることができる。
以下、本実施形態に係る電流センサ100が備える演算回路について説明する。図9に示すように、第1磁気センサ120aに作用するX軸方向の磁束の向きと、第2磁気センサ120bに作用するX軸方向磁束の向きとが反対であるため、1次導体110を流れる電流により発生する磁界の強さについて、第1磁気センサ120aの検出値の位相と、第2磁気センサ120bの検出値の位相とは、逆相である。
よって、第1磁気センサ120aの検出した磁界の強さを正の値とすると、第2磁気センサ120bの検出した磁界の強さは負の値となる。第1磁気センサ120aの検出値と第2磁気センサ120bの検出値とは、算出部190に送信される。
算出部190は、第1磁気センサ120aの検出値から第2磁気センサ120bの検出値を減算する。その結果、第1磁気センサ120aの検出値の絶対値と、第2磁気センサ120bの検出値の絶対値とが加算される。この加算結果から、1次導体110を流れた電流の値が算出される。
本実施形態に係る電流センサ100においては、第1磁気センサ120aと第2磁気センサ120bとの間に、1次導体110、第1プリント基板130a、および第2プリント基板130bが位置しているため、外部磁界源は、物理的に第1磁気センサ120aと第2磁気センサ120bとの間に位置することができない。
そのため、外部磁界源から第1磁気センサ120aに印加される磁界のうちの検出軸の方向における磁界成分の向きと、外部磁界源から第2磁気センサ120bに印加される磁界のうちの検出軸の方向における磁界成分の向きとは、同じ向きとなる。よって、第1磁気センサ120aの検出した外部磁界の強さを正の値とすると、第2磁気センサ120bの検出した外部磁界の強さも正の値となる。
その結果、算出部190が第1磁気センサ120aの検出値から第2磁気センサ120bの検出値を減算することにより、第1磁気センサ120aの検出値の絶対値と、第2磁気センサ120bの検出値の絶対値とが減算される。これにより、外部磁界源からの磁界は、ほとんど検出されなくなる。すなわち、外部磁界の影響が低減される。
本実施形態の変形例として、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bにおいて、検出値が正となる検出軸の方向を互いに反対方向(180°反対)にしてもよい。この場合、第1磁気センサ120aの検出する外部磁界の強さを正の値とすると、第2磁気センサ120bの検出する外部磁界の強さは負の値となる。
一方、1次導体110を流れる電流により発生する磁界の強さについて、第1磁気センサ120aの検出値の位相と、第2磁気センサ120bの検出値の位相とは同相となる。
本変形例においては、算出部190として差動増幅器に代えて加算器または加算増幅器を用いる。外部磁界の強さについては、第1磁気センサ120aの検出値と第2磁気センサ120bの検出値とを加算器または加算増幅器によって加算することにより、第1磁気センサ120aの検出値の絶対値と、第2磁気センサ120bの検出値の絶対値とが減算される。これにより、外部磁界源からの磁界は、ほとんど検出されなくなる。すなわち、外部磁界の影響が低減される。
一方、1次導体110を流れる電流により発生する磁界の強さについては、第1磁気センサ120aの検出値と第2磁気センサ120bの検出値とを加算器または加算増幅器によって加算することにより、第1磁気センサ120aの検出値の絶対値と、第2磁気センサ120bの検出値の絶対値とが加算される。この加算結果から、1次導体110を流れた電流の値が算出される。
このように、第1磁気センサ120aと第2磁気センサ120bとの入出力特性を互いに逆の極性にしつつ、差動増幅器に代えて加算器または加算増幅器を算出部として用いてもよい。
本実施形態に係る電流センサ100においては、上記のように、第1磁性体部材171,172の各々はPCパーマロイで構成され、第2磁性体部材はPCパーマロイで構成されている。図17は、磁性材料の比透磁率と磁界の強さとの関係を示すグラフである。図17においては、縦軸に磁性材料の比透磁率、横軸に磁界の強さを示している。磁性材料の磁気シールドとしての効果は、磁性材料の透磁率が高いほど大きくなる。図17に示すように、磁界の強さが1.0(Oe)程度であるとき、PCパーマロイは、軟鉄鋼および電磁鋼と同程度の比透磁率まで低下する。よって、上記の算出部190によって外部磁界源からの磁界をほとんど検出されなくすることにより、外部磁界の強さに関わらず外部磁界の影響を低減することができる。
図1,3に示すように、本実施形態に係る電流センサ100においては、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々は、第1磁性体部170および第2磁性体部180によって周りを2重に囲まれているため、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々に誤差要因である外部磁界が到達することを確実に抑制できる。その結果、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々が、不要な外部磁界を検知しないようにすることができる。すなわち、第1磁性体部170および第2磁性体部180の各々が、磁気シールドとして機能する。
本実施形態に係る電流センサ100においては、第2磁性体部180が全周に亘って繋がった筒形状を有していることにより、第2磁性体部180の周方向に外部磁界の侵入路となる空隙が存在しない。そのため、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々に誤差要因である外部磁界が到達することをより確実に抑制できる。
また、本実施形態に係る電流センサ100においては、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々をロバスト領域内に位置させることにより、電流センサ100の組み立てに高い精度が要求されないため、電流センサ100を容易に製造可能である。
以下、本発明の実施形態2に係る電流センサについて説明する。なお、実施形態2に係る電流センサ200は、第2磁性体部に空隙が設けられている点のみ実施形態1に係る電流センサと異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
(実施形態2)
図18は、本発明の実施形態2に係る電流センサの構成を示す断面図である。図18においては、図3と同様の方向から電流センサを見た断面視にて図示している。
図18に示すように、本発明の実施形態2に係る電流センサ200は、第2磁性体部280は、空隙273が設けられており、空隙273により周方向において不連続となった筒形状を有する。本実施形態においては、第2磁性体部280は、2つの第2磁性体部材281,282から構成されている。2つの第2磁性体部材281,282は、1次導体110を流れる電流が流れる方向(Y軸方向)から見て、互いの端部同士の間に空隙273が設けられた矩形形状を成し、2つの第1磁性体部材171,172に対して間隔を置いて周りを囲んでいる。
図18に示すように、1次導体110を電流が流れる方向(Y軸方向)から見て、第2磁性体部材281,282は、それぞれL字形状を有する。第2磁性体部280の空隙273は、第1磁性体部材171,172の各々の角部171r,172rの外側に位置している。
第2磁性体部材281,282の各々は、第3平板部と、第3平板部に直交している第4平板部とを有している。第2磁性体部材281,282の各々の第3平板部と1次導体110とは、互いに平行に位置している。第2磁性体部材281の第3平板部と、第1磁性体部材172の第1平板部とは、互いに間隔を置いて平行に位置している。第2磁性体部材282の第3平板部と、第1磁性体部材171の第1平板部とは、互いに間隔を置いて平行に位置している。
第2磁性体部材281の第4平板部と、第1磁性体部材171の第2平板部とは、互いに間隔を置いて平行に位置している。第2磁性体部材282の第4平板部と、第1磁性体部材172の第2平板部とは、互いに間隔を置いて平行に位置している。
2つの空隙273の各々は、1次導体110を電流が流れる方向(Y軸方向)において、第2磁性体部280の一端から他端まで延在している。2つの空隙273の各々は、1次導体110を流れる電流が流れる方向(Y軸方向)から見て、第2磁性体部材281,282が成す矩形形状の対角に位置している。1次導体110を流れる電流が流れる方向(Y軸方向)から見て、第2磁性体部材281,282が成す矩形形状の中心位置と、1次導体110の貫通孔110hの位置とは重なっている。
第2磁性体部材281,282の各々は、PCパーマロイで構成されているが、第2磁性体部材281,282の各々の材料はPCパーマロイに限られず、軟鉄鋼、ケイ素鋼、電磁鋼、PBパーマロイ、ニッケル合金、鉄合金またはフェライトなどの、透磁率および飽和磁束密度の高い磁性体材料が好ましい。
本実施形態においては、薄板をプレス加工することにより第2磁性体部材281,282の各々が形成されている。ただし、第2磁性体部材281,282の各々の形成方法はこれに限られず、切削、鍛造または鋳造などの方法によって第2磁性体部材281,282の各々が形成されてもよい。
図18に示すように、本実施形態に係る電流センサ200においては、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々は、第1磁性体部170および第2磁性体部280によって周りを2重に囲まれているため、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々に誤差要因である外部磁界が到達することを抑制できる。その結果、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々が、不要な外部磁界を検知しないようにすることができる。すなわち、第1磁性体部170および第2磁性体部280の各々が、磁気シールドとして機能する。
また、第2磁性体部280の空隙273が、第1磁性体部材171,172の各々の角部171r,172rの外側に位置していることにより、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの周りを、第1磁性体部170および第2磁性体部280によって略完全に囲むことができる。そのため、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々に誤差要因である外部磁界が到達することを確実に抑制できる。
本実施形態に係る電流センサ200においては、第2磁性体部280に空隙273が設けられることにより、1次導体110を流れる電流により発生する磁界または外部磁界によって第2磁性体部280内を周回する磁束に対する磁気抵抗が増加する。その結果、第2磁性体部材281,282が、1次導体110を流れる電流により発生する磁界または外部磁界によって磁気飽和することを抑制できる。これにより、第2磁性体部280の磁気シールドとしての機能を維持できるため、外部磁界が第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々に到達することを抑制できる。
本実施形態に係る電流センサ200においても、電流センサ200の出力の誤差率を低減しつつ入力電流の測定可能範囲を広げることができる。すなわち、感度を維持しつつ測定範囲の広い電流センサ200を得ることができる。
以下、本発明の実施形態3に係る電流センサについて説明する。なお、実施形態3に係る電流センサ300は、1つのプリント基板に2つの磁気センサが実装されている点のみ実施形態2に係る電流センサと異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
(実施形態3)
図19は、本発明の実施形態3に係る電流センサの構成を示す断面図である。図19においては、図3と同様の方向から電流センサを見た断面視にて図示している。図19に示すように、本発明の実施形態3に係る電流センサ300においては、プリント基板330cは、貫通孔330hに1次導体110を挿入された状態で保持される。すなわち、プリント基板330cは、1次導体110に垂直に位置している。
第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bは、差動増幅器および受動素子と共にプリント基板330cに実装されている。なお、図19においては、差動増幅器および受動素子は図示していない。差動増幅器および受動素子は、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bが実装されているプリント基板330cとは異なるプリント基板に、実装されていてもよい。
第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bは、貫通孔330hを挟んで互いに反対側に位置している。第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々は、貫通孔330hに対して間隔を置いて位置している。プリント基板330cの貫通孔330hに1次導体110が挿入された状態において、第1磁気センサ120aは貫通孔330hの直上に位置し、第2磁気センサ120bは貫通孔330hの直下に位置している。すなわち、第1磁気センサ120aと第2磁気センサ120bとは、1次導体110を挟んで互いに反対側に位置している。
本実施形態に係る電流センサ300においては、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々は、ロバスト領域内に位置している。すなわち、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bがロバスト領域内に位置するように、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々と貫通孔330hとの間隔を適宜設定している。
第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々の検出軸の方向(感磁方向)は、1次導体110の幅方向(X軸方向)である。本実施形態に係る電流センサ300においても、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々に作用するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の磁束密度を低減することができるため、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bに加わる磁界の強度にばらつきが生ずることを抑制できる。その結果、電流センサ300によって被測定電流の大きさを安定して測定することができる。
本実施形態に係る電流センサ300においても、電流センサ300の出力の誤差率を低減しつつ入力電流の測定可能範囲を広げることができる。すなわち、感度を維持しつつ測定範囲の広い電流センサ300を得ることができる。
以下、本発明の実施形態4に係る電流センサについて説明する。なお、実施形態4に係る電流センサ400は、プリント基板および磁性体部材が1次導体に対して付け外し可能に構成されている点のみ実施形態3に係る電流センサと異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
(実施形態4)
図20は、本発明の実施形態4に係る電流センサにおいて、プリント基板および磁性体部材を1次導体に対して取り付けた状態を示す断面図である。図21は、本発明の実施形態4に係る電流センサにおいて、プリント基板および磁性体部材を1次導体に対して取り付ける前の状態を示す断面図である。図20,21においては、図3と同様の方向から電流センサを見た断面視にて図示している。
図20,21に示すように、本発明の実施形態4に係る電流センサ400においては、第1磁性体部材171、第2磁性体部材281、および、プリント基板430cが、樹脂または接着剤などからなる第1接合部材491により互いに接合されて一体になっている。第1磁性体部材172および第2磁性体部材282が、樹脂または接着剤などからなる第2接合部材492により互いに接合されて一体になっている。
具体的には、プリント基板430cの周面と第1磁性体部材171の内面とが、第1接合部材491により互いに接合されている。互いに対向している、第1磁性体部材171の第2平板部の外面と第2磁性体部材281の第4平板部の内面とが、第1接合部材491により互いに接合されている。互いに対向している、第1磁性体部材172の第2平板部の外面と第2磁性体部材282の第4平板部の内面とが、第2接合部材492により互いに接合されている。第1接合部材491および第2接合部材492の各々が樹脂で構成されている場合には、熱溶着により上記の部材同士が接合される。
プリント基板430cの周面のうち、第1磁性体部材171および第2磁性体部材281に囲まれていない端面側から、反対側の端面に向けて貫通溝430hが設けられている。プリント基板430cと第2磁性体部材281の第3平板部との間には、第1磁性体部材172の第1平板部が挿入可能な隙間が設けられている。
プリント基板430c、第1磁性体部材171,172および第2磁性体部材281,282を1次導体110に対して取り付ける際には、プリント基板430cの貫通溝430hに1次導体110が挿入されるように、矢印41で示す方向にプリント基板430c、第1磁性体部材171および第2磁性体部材281を1次導体110に対して接近させる。また、プリント基板430cと第2磁性体部材281の第3平板部との間の隙間に第1磁性体部材172の第1平板部が挿入されるように、矢印42で示す方向に第1磁性体部材172および第2磁性体部材282を1次導体110に対して接近させる。
図20に示すように、プリント基板430cおよび磁性体部材を1次導体110に対して取り付けた状態においては、プリント基板430cは、貫通溝430hに1次導体110を挿入された状態で保持される。すなわち、プリント基板430cは、1次導体110に垂直に位置している。
本実施形態においては、2つの空隙173および2つの空隙273の各々は、第1接合部材491および第2接合部材492の少なくとも一方によって埋められている。本実施形態に係る電流センサ400においては、プリント基板430cおよび磁性体部材が1次導体110に対して付け外し可能に構成されているため、電流センサ400の組み立ておよび分解が容易である。
また、第2磁性体部280の空隙273が、第1磁性体部材171,172の各々の角部171r,172rの外側に位置していることにより、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの周りを、第1磁性体部170および第2磁性体部280によって略完全に囲むことができる。そのため、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々に誤差要因である外部磁界が到達することを確実に抑制できる。
本実施形態に係る電流センサ400においても、電流センサ400の出力の誤差率を低減しつつ入力電流の測定可能範囲を広げることができる。すなわち、感度を維持しつつ測定範囲の広い電流センサ400を得ることができる。
以下、本発明の実施形態5に係る電流センサについて説明する。なお、実施形態5に係る電流センサ500は、第1磁性体部の構成および磁気センサが1つのみ配置されている点が実施形態1に係る電流センサと主に異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
(実施形態5)
図22は、本発明の実施形態5に係る電流センサの構成を示す断面図である。図22においては、図3と同様の方向から電流センサを見た断面視にて図示している。また、図22においては、回路基板のうちの第1磁気センサ120aのみを図示している。
図22に示すように、本発明の実施形態5に係る電流センサ500は、磁気センサとして1つの第1磁気センサ120aのみを備えている。第1磁気センサ120aは、1次導体110の直上に位置している。なお、本実施形態においては、1次導体110に貫通部は設けられていない。
また、電流センサ500は、第1磁性体部570として、平板形状を有する1つの第1磁性体部材のみを備えている。第1磁性体部570は、1次導体110と第1磁気センサ120aとの間において、それぞれに対して間隔を置いて位置している。第1磁性体部570と1次導体110とは、互いに平行に位置している。
本実施形態に係る電流センサ500においても、低出力領域T1内の状態にある第1磁気センサ120aに、磁気飽和領域T2内の状態にある第1磁性体部570から漏れ出た磁界が及ぶことにより測定電圧値が高くなるように、第1磁気センサ120aの出力を補正することができる。
よって、電流センサ500の出力の誤差率を低減しつつ入力電流の測定可能範囲を広げることができる。すなわち、感度を維持しつつ測定範囲の広い電流センサ500を得ることができる。
なお、第1磁性体部570の位置は上記に限られない。以下、本実施形態に係る電流センサ500の第1変形例について説明する。
図23は、本発明の実施形態5の第1変形例に係る電流センサの構成を示す断面図である。図23においては、図3と同様の方向から電流センサを見た断面視にて図示している。
図23に示すように、本発明の実施形態5の第1変形例に係る電流センサ500aにおいては、第1磁性体部570が、第1磁気センサ120aと第2磁性体部180との間において、それぞれに対して間隔を置いて位置している。
本変形例に係る電流センサ500aにおいても、低出力領域T1内の状態にある第1磁気センサ120aに、磁気飽和領域T2内の状態にある第1磁性体部570から漏れ出た磁界が及ぶことにより測定電圧値が高くなるように、第1磁気センサ120aの出力を補正することができる。
さらに、第1磁性体部570は、平板形状を有する2つの第1磁性体部材から構成されていてもよい。以下、本実施形態に係る電流センサ500の第2変形例について説明する。
図24は、本発明の実施形態5の第2変形例に係る電流センサの構成を示す断面図である。図24においては、図3と同様の方向から電流センサを見た断面視にて図示している。
図24に示すように、本発明の実施形態5の第2変形例に係る電流センサ500bにおいては、第1磁性体部570は、平板形状を有する2つの第1磁性体部材から構成されている。
2つの第1磁性体部材の一方は、1次導体110と第1磁気センサ120aとの間において、それぞれに対して間隔を置いて位置している。2つの第1磁性体部材の他方は、第1磁気センサ120aと第2磁性体部180との間において、それぞれに対して間隔を置いて位置している。すなわち、第1磁気センサ120aは、2つの第1磁性体部材の間に位置している。
本変形例に係る電流センサ500bにおいても、低出力領域T1内の状態にある第1磁気センサ120aに、磁気飽和領域T2内の状態にある第1磁性体部570から漏れ出た磁界が及ぶことにより測定電圧値が高くなるように、第1磁気センサ120aの出力を補正することができる。
また、第1磁性体部材と1次導体110とが互いに垂直に位置していてもよい。以下、本実施形態に係る電流センサ500の第3変形例について説明する。
図25は、本発明の実施形態5の第3変形例に係る電流センサの構成を示す断面図である。図25においては、図3と同様の方向から電流センサを見た断面視にて図示している。
図25に示すように、本発明の実施形態5の第3変形例に係る電流センサ500cにおいては、第1磁性体部570が、1次導体110と第2磁性体部180との間において、それぞれに対して間隔を置いて位置している。
第1磁性体部570は、平板形状を有する1つの第1磁性体部材で構成されている。第1磁性体部570と1次導体110とは、互いに垂直に位置している。第1磁性体部570は、第1磁気センサ120aの検出軸の方向(感磁方向)に沿って延在し、第1磁気センサ120aに間隔を置いて第1磁気センサ120aと対向している。
本変形例に係る電流センサ500cにおいても、低出力領域T1内の状態にある第1磁気センサ120aに、磁気飽和領域T2内の状態にある第1磁性体部570から漏れ出た磁界が及ぶことにより測定電圧値が高くなるように、第1磁気センサ120aの出力を補正することができる。
さらに、第1磁性体部を1次導体110が貫通していてもよい。以下、本実施形態に係る電流センサ500の第4変形例について説明する。
図26は、本発明の実施形態5の第4変形例に係る電流センサの構成を示す断面図である。図26においては、図3と同様の方向から電流センサを見た断面視にて図示している。
図26に示すように、本発明の実施形態5の第4変形例に係る電流センサ500dにおいては、第1磁性体部570を構成する第1磁性体部材に貫通孔570hが設けられている。第1磁性体部材の貫通孔570hに1次導体110が挿入されている。第1磁性体部材と1次導体110とは、互いに接触していない。第1磁性体部材の外縁は、第2磁性体部材の内縁と僅かに間隔を置いて互いに対向している。第1磁性体部570は、第1磁気センサ120aの検出軸の方向(感磁方向)に沿って延在し、第1磁気センサ120aに間隔を置いて第1磁気センサ120aと対向している。
本変形例に係る電流センサ500dにおいても、低出力領域T1内の状態にある第1磁気センサ120aに、磁気飽和領域T2内の状態にある第1磁性体部570から漏れ出た磁界が及ぶことにより測定電圧値が高くなるように、第1磁気センサ120aの出力を補正することができる。
また、第1磁性体部570および第2磁性体部580によって、第1磁気センサ120aの周りを囲んでいるため、第1磁気センサ120aに誤差要因である外部磁界が到達することを抑制できる。
以下、本発明の実施形態6に係る電流センサについて説明する。なお、実施形態6に係る電流センサ600は、第2磁性体部が配置されていない点および磁気センサが1つのみ配置されている点が実施形態1に係る電流センサと主に異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
(実施形態6)
図27は、本発明の実施形態6に係る電流センサの構成を示す断面図である。図27においては、図3と同様の方向から電流センサを見た断面視にて図示している。また、図27においては、回路基板のうちの第1磁気センサ120aのみを図示している。
図27に示すように、本発明の実施形態6に係る電流センサ600は、磁気センサとして1つの第1磁気センサ120aのみを備えている。第1磁気センサ120aは、1次導体110の直上に位置している。なお、本実施形態においては、1次導体110に貫通部は設けられていない。電流センサ600は、第2磁性体部を備えていない。
本実施形態に係る電流センサ600においても、低出力領域T1内の状態にある第1磁気センサ120aに、磁気飽和領域T2内の状態にある第1磁性体部170から漏れ出た磁界が及ぶことにより測定電圧値が高くなるように、第1磁気センサ120aの出力を補正することができる。
具体的には、1次導体110を流れる電流により発生する磁界によって磁気飽和した第1磁性体部材171の第1平板部171aから漏れ出た磁界が第1磁気センサ120aに及ぶことにより、第1磁気センサ120aの出力電圧が1次導体110を流れる電流の値に比例した仮想出力電圧に近づくように補正している。
よって、電流センサ600の出力の誤差率を低減しつつ入力電流の測定可能範囲を広げることができる。すなわち、感度を維持しつつ測定範囲の広い電流センサ600を得ることができる。
なお、第1磁性体部170における空隙173の位置は、図27に示すように第1磁性体部材171,172が成す矩形形状の対角の位置に限られない。以下、本実施形態に係る電流センサ600の第1変形例について説明する。
図28は、本発明の実施形態6の第1変形例に係る電流センサの構成を示す断面図である。図28においては、図3と同様の方向から電流センサを見た断面視にて図示している。
図28に示すように、本発明の実施形態6の第1変形例に係る電流センサ600aは、1次導体110および1つの磁気センサの周りを囲む第1磁性体部170xを備える。第1磁性体部170xは、2つの第1磁性体部材171x,172xから構成されている。2つの第1磁性体部材171x,172xは、1次導体110を流れる電流が流れる方向(Y軸方向)から見て、互いの端部同士の間に空隙173xが設けられた矩形形状を成し、1次導体110および磁気センサの周りを囲んでいる。
図28に示すように、1次導体110を電流が流れる方向(Y軸方向)から見て、2つの第1磁性体部材171x,172xは、それぞれJ字形状を有する。2つの第1磁性体部材171x,172xの各々は、第1平板部171xa,172xaと、第1平板部171xa,172xaに直交している第2平板部と、第2平板部に直交して第1平板部171xa,172xaに対向している第5平板部とを有している。2つの第1磁性体部材171x,172xの各々の第1平板部171xa,172xaと1次導体110とは、互いに平行に位置している。
2つの空隙173xの各々は、1次導体110を電流が流れる方向(Y軸方向)において、第1磁性体部170xの一端から他端まで延在している。2つの空隙173xの各々は、1次導体110を流れる電流が流れる方向(Y軸方向)から見て、第1磁性体部材171x,172xが成す矩形形状の対角の近傍に位置し、第1平板部171xa,172xaと第5平板部との間にそれぞれ位置している。
本変形例に係る電流センサ600aにおいても、低出力領域T1内の状態にある第1磁気センサ120aに、磁気飽和領域T2内の状態にある第1磁性体部170xから漏れ出た磁界が及ぶことにより測定電圧値が高くなるように、第1磁気センサ120aの出力を補正することができる。
具体的には、1次導体110を流れる電流により発生する磁界によって磁気飽和した第1磁性体部材171xの第1平板部171xaから漏れ出た磁界が第1磁気センサ120aに及ぶことにより、第1磁気センサ120aの出力電圧が1次導体110を流れる電流の値に比例した仮想出力電圧に近づくように補正している。
さらに、第1磁性体部に設けられる空隙の数は2つに限られない。以下、本実施形態に係る電流センサ600の第2変形例について説明する。
図29は、本発明の実施形態6の第2変形例に係る電流センサの構成を示す断面図である。図29においては、図3と同様の方向から電流センサを見た断面視にて図示している。
図29に示すように、本発明の実施形態6の第2変形例に係る電流センサ600bは、1次導体110および1つの磁気センサの周りを囲む第1磁性体部170yを備える。第1磁性体部170yは、1つの第1磁性体部材から構成されている。第1磁性体部材は、1次導体110を流れる電流が流れる方向(Y軸方向)から見て、端部同士の間に1つの空隙173yが設けられた矩形形状を成し、1次導体110および磁気センサの周りを囲んでいる。
図29に示すように、1次導体110を電流が流れる方向(Y軸方向)から見て、第1磁性体部材はC字形状を有する。第1磁性体部材は、第1平板部171yaと、第1平板部171yaに直交している第2平板部と、第2平板部に直交して第1平板部171yaに対向している第5平板部と、第5平板部に直交して第2平板部に対向している第6平板部と、第6平板部に直交して第5平板部に対向している第7平板部とを有している。第1磁性体部材の第1平板部171yaと1次導体110とは、互いに平行に位置している。
空隙173yは、1次導体110を電流が流れる方向(Y軸方向)において、第1磁性体部170yの一端から他端まで延在している。空隙173yは、1次導体110を流れる電流が流れる方向(Y軸方向)から見て、第1磁性体部材が成す矩形形状の対角の近傍に位置し、第1平板部171yaと第7平板部との間に位置している。
本変形例に係る電流センサ600bにおいても、低出力領域T1内の状態にある第1磁気センサ120aに、磁気飽和領域T2内の状態にある第1磁性体部170yから漏れ出た磁界が及ぶことにより測定電圧値が高くなるように、第1磁気センサ120aの出力を補正することができる。
具体的には、1次導体110を流れる電流により発生する磁界によって磁気飽和した第1磁性体部材の第1平板部171yaから漏れ出た磁界が第1磁気センサ120aに及ぶことにより、第1磁気センサ120aの出力電圧が1次導体110を流れる電流の値に比例した仮想出力電圧に近づくように補正している。
以下、本発明の実施形態7に係る電流センサについて説明する。なお、実施形態7に係る電流センサ700は、第1磁性体部の構成、第2磁性体部の構成および磁気センサが1つのみ配置されている点が実施形態1に係る電流センサと主に異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
(実施形態7)
図30は、本発明の実施形態7に係る電流センサの構成を示す断面図である。図30においては、図3と同様の方向から電流センサを見た断面視にて図示している。また、図30においては、回路基板のうちの第1磁気センサ120aのみを図示している。
図30に示すように、本発明の実施形態7に係る電流センサ700は、磁気センサとして1つの第1磁気センサ120aのみを備えている。第1磁気センサ120aは、1次導体110の上方に位置している。なお、本実施形態においては、1次導体110に貫通部は設けられていない。
また、電流センサ700は、1次導体110および第1磁気センサ120aの周りを囲む磁性体部を備えている。磁性体部は、平板部を有する第1磁性体部770、および、第1磁性体部770に離間して位置する第2磁性体部780を含む。第1磁性体部770は、1次導体110を流れる電流により発生する磁界に対して第2磁性体部780より先に磁気飽和する。
第2磁性体部780は、1次導体110を電流が流れる方向(Y軸方向)から見て、C字形状を有する1つの第2磁性体部材で構成されている。第2磁性体部材は、1次導体110を流れる電流が流れる方向(Y軸方向)から見て、端部同士の間に1つの空隙783が設けられた矩形形状を成し、1次導体110の周りを囲んでいる。
第1磁性体部770は、平板形状を有する1つの第1磁性体部材で構成されている。第1磁性体部770と1次導体110とは、互いに平行に位置している。
第1磁気センサ120aおよび第1磁性体部770の各々は、第2磁性体部780に対して間隔を置いて第2磁性体部780の空隙783に位置している。第1磁性体部770は、第1磁気センサ120aの検出軸の方向(感磁方向)に沿って延在し、第1磁気センサ120aに間隔を置いて第1磁気センサ120aと対向している。第1磁性体部770は、第1磁気センサ120aから見て、1次導体110とは反対側に位置している。
本実施形態に係る電流センサ700においても、低出力領域T1内の状態にある第1磁気センサ120aに、磁気飽和領域T2内の状態にある第1磁性体部770から漏れ出た磁界が及ぶことにより測定電圧値が高くなるように、第1磁気センサ120aの出力を補正することができる。
また、第1磁性体部770および第2磁性体部780によって、第1磁気センサ120aの周りを囲んでいるため、第1磁気センサ120aに誤差要因である外部磁界が到達することを抑制できる。
よって、電流センサ700の出力の誤差率を低減しつつ入力電流の測定可能範囲を広げることができる。すなわち、感度を維持しつつ測定範囲の広い電流センサ700を得ることができる。
以下、本発明の実施形態8に係る電流センサについて説明する。なお、実施形態8に係る電流センサ800は、第1磁性体部の構成が実施形態7に係る電流センサと主に異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
(実施形態8)
図31は、本発明の実施形態8に係る電流センサの構成を示す斜視図である。図32は、本発明の実施形態8に係る電流センサの構成を示す平面図である。図31,32においては、回路基板のうちの第1磁気センサ120aのみを図示している。
図31,32に示すように、本発明の実施形態8に係る電流センサ800においては、磁性体部は、平板部を有する第1磁性体部870、および、第1磁性体部870に離間して位置する第2磁性体部780を含む。第1磁性体部870は、1次導体110を流れる電流により発生する磁界に対して第2磁性体部780より先に磁気飽和する。
第1磁気センサ120aおよび第1磁性体部870の各々は、第2磁性体部780に対して間隔を置いて第2磁性体部780の空隙783に位置している。第1磁性体部870は、互いに対向して平板形状を有する2つの第1磁性体部材で構成されている。
第1磁気センサ120aは、2つの第1磁性体部材の間に位置している。2つの第1磁性体部材の各々は、第1磁気センサ120aの検出軸の方向(感磁方向)に沿って延在し、第1磁気センサ120aに間隔を置いて第1磁気センサ120aと対向している。2つの第1磁性体部材の各々と1次導体110とは、互いに垂直に位置している。
本実施形態に係る電流センサ800においても、低出力領域T1内の状態にある第1磁気センサ120aに、磁気飽和領域T2内の状態にある第1磁性体部870から漏れ出た磁界が及ぶことにより測定電圧値が高くなるように、第1磁気センサ120aの出力を補正することができる。
また、第1磁性体部870および第2磁性体部780によって、第1磁気センサ120aの周りを囲んでいるため、第1磁気センサ120aに誤差要因である外部磁界が到達することを抑制できる。
よって、電流センサ800の出力の誤差率を低減しつつ入力電流の測定可能範囲を広げることができる。すなわち、感度を維持しつつ測定範囲の広い電流センサ800を得ることができる。
上記の各実施形態に係る電流センサにおける構成において、相互に組み合わせ可能な構成を適宜組み合わせた変形例は、本発明の実施形態に当然に含まれる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 基準線、10 電流、100,200,300,400,500,500a,500b,600,600a,600b,700,800 電流センサ、110 1次導体、110e 磁界、110h,330h 貫通孔、110s 表面、110t 裏面、120a 第1磁気センサ、120b 第2磁気センサ、130a 第1プリント基板、130b 第2プリント基板、140a 第1オペアンプ、140b 第2オペアンプ、150a 第1受動素子、150b 第2受動素子、160a 第1回路基板、160b 第2回路基板、170,170x,170y,570,770,870 第1磁性体部、171,171x,172,172x 第1磁性体部材、171a,171xa,171ya,172a,172xa 第1平板部、171r,172r 角部、173,173x,173y,273,783 空隙、180,280,780 第2磁性体部、190 算出部、281,282 第2磁性体部材、330c,430c プリント基板、430h 貫通溝、491 第1接合部材、492 第2接合部材、T1 低出力領域、T2 磁気飽和領域。

Claims (15)

  1. 測定対象の電流が流れる1次導体と、
    前記1次導体を流れる前記電流により発生する磁界の強さを検出する少なくとも1つの磁気センサと、
    前記1次導体および前記磁気センサの周りを囲む磁性体部とを備え、
    前記磁気センサは、出力特性において、前記電流の値に比例した仮想出力電圧に対して低い測定電圧値が出力される低出力領域を有し、
    前記磁性体部は、磁化特性において、前記電流の絶対値が閾値以上の範囲にて透磁率が低下する磁気飽和領域を有し、
    前記低出力領域内の状態にある前記磁気センサに、前記磁気飽和領域内の状態にある前記磁性体部から漏れ出た磁界が及ぶことにより前記測定電圧値が高くなるように、前記磁気センサの出力が補正される、電流センサ。
  2. 測定対象の電流が流れる1次導体と、
    前記1次導体を流れる前記電流により発生する磁界の強さを検出する少なくとも1つの磁気センサと、
    前記1次導体および前記磁気センサの周りを囲む磁性体部とを備え、
    前記磁性体部は、前記磁気センサの検出軸の方向に沿って延在し、前記磁気センサに間隔を置いて前記磁気センサと対向する平板部を有し、
    前記電流により発生する磁界によって磁気飽和した前記平板部から漏れ出た磁界が前記磁気センサに及ぶことにより、前記磁気センサの出力電圧が前記電流の値に比例した仮想出力電圧に近づくように補正される、電流センサ。
  3. 前記磁性体部は、前記平板部を有する第1磁性体部、および、前記第1磁性体部に離間して位置する第2磁性体部を含み、
    前記第1磁性体部は、前記電流により発生する磁界に対して前記第2磁性体部より先に磁気飽和する、請求項2に記載の電流センサ。
  4. 前記第2磁性体部は、空隙が設けられており、該空隙により周方向において不連続となった筒形状を有する、請求項3に記載の電流センサ。
  5. 前記第2磁性体部は、全周に亘って繋がった筒形状を有する、請求項3に記載の電流センサ。
  6. 前記第2磁性体部が、前記第1磁性体部の周りを囲んでいる、請求項4または5に記載の電流センサ。
  7. 前記第1磁性体部が、前記第2磁性体部の前記空隙に位置している、請求項4に記載の電流センサ。
  8. 前記第1磁性体部は、少なくとも1つの第1磁性体部材で構成され、
    前記第2磁性体部は、少なくとも1つの第2磁性体部材で構成されている、請求項3から7のいずれか1項に記載の電流センサ。
  9. 前記第1磁性体部材が平板形状を有する、請求項8に記載の電流センサ。
  10. 前記第1磁性体部は、2つの前記第1磁性体部材で構成され、
    前記磁気センサは、2つの前記第1磁性体部材の間に位置している、請求項8または9に記載の電流センサ。
  11. 前記1次導体は、平板形状を有し、
    前記磁気センサは、前記1次導体の厚さ方向および前記電流が流れる方向の両方と直交する方向の磁界を検出可能とされている、請求項1から10のいずれか1項に記載の電流センサ。
  12. 前記磁気センサは、前記1次導体の幅方向における中央部の、前記1次導体の厚さ方向における一方側および他方側の少なくとも一方に配置されている、請求項1から11のいずれか1項に記載の電流センサ。
  13. 前記磁気センサとして第1磁気センサと第2磁気センサとを備え、
    前記第1磁気センサと前記第2磁気センサとは、前記1次導体を挟んで互いに対向して位置している、請求項1から11のいずれか1項に記載の電流センサ。
  14. 前記第1磁気センサの検出値と前記第2磁気センサの検出値とを演算することにより前記電流の値を算出する算出部をさらに備え、
    前記1次導体を流れる前記電流により発生する磁界の強さについて、前記第1磁気センサの検出値の位相と前記第2磁気センサの検出値の位相とが逆相であり、
    前記算出部が減算器または差動増幅器である、請求項13に記載の電流センサ。
  15. 前記第1磁気センサの検出値と前記第2磁気センサの検出値とを演算することにより前記電流の値を算出する算出部をさらに備え、
    前記1次導体を流れる前記電流により発生する磁界の強さについて、前記第1磁気センサの検出値の位相と前記第2磁気センサの検出値の位相とが同相であり、
    前記算出部が加算器または加算増幅器である、請求項13に記載の電流センサ。
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