JP6582996B2 - 電流量検出器 - Google Patents

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Description

本発明は、電流により発生する磁界を磁気センサにより検知して電流量を検出する電流量検出器に関する。
電流量検出器は、電流を高精度に測定することができるものであり、車両、産業機械、電力用機器等の高精度化、低消費電力化のために用いられている。このような電流量検出器は、電流線と、電流線内を流れる電流により発生する磁界を検出する磁気センサと、を有する。これまで、磁気センサとしては、コアとホール素子を用いるもの、カレントトランス、シャント抵抗器などが使用されてきた。
特表2002−523751号公報 特開平8−136587号公報 特開平7−140180号公報
例えば特許文献3に開示されたコアとホール素子を用いた磁気センサでは、電流線の周囲に配置したリング状のコアで集磁してホール素子で磁界を検出する。しかしながら、この場合、測定電流が大電流である場合にはコアが飽和し、それを防ぐためにはコアを大型化せざるを得なかった。すなわち、特許文献3では、大電流を測定するためには装置の大型化が避けられないという問題があった。
そこで、コアそのものをなくしサイズアップを抑制する構成として、特許文献1においては、1つ又は多数の中抜き部を有する直線状の導体によって磁界勾配を生成し、差動場測定装置により磁界勾配を検出することによって、導体内を流れる電流量を測定することを特徴とする装置及び方法が開示されている(特許文献1)。また、特許文献2においては、中抜き部を持つ直線状の導体によって、本来発生する磁界より減衰(アッテネート)させた磁界勾配を生成し、最もアッテネート効果の高い中心部位に置いた磁気センサにより測定電流値を測定することを特徴とする装置及び方法が開示されている(特許文献2)。これら特許文献1及び2では、導体に中抜き部を形成することにより、同じ電流量でも、発生する磁界を抑制して、上述の大型化の問題を解決しようとしている。
特許文献3に記載の磁気センサから、コアそのものをなくしたホール素子では小さな磁界を検出できないため、特許文献1では、小さな磁界でも高精度に検出することができる、多層巨大磁気抵抗効果素子(GMR)、トンネル磁気抵抗効果素子(TMR)等の高感度磁気抵抗効果素子を用いた電流量検出器などが記載されている。
高感度のGMR及びTMR等を用いた磁気センサは微小磁界の変化が測定可能であることから、微小電流による誘導磁界の変化を測定可能である一方で、地磁気、機器及び環境などによる外部磁界の影響を受けやすく、外部磁界によるノイズに起因する誤動作あるいは誤検出への対策も必要である。
このような高感度のGMR及びTMR等を用いた磁気センサにおいて、交流モーターとインバータ間の電流など、低周波領域から高周波領域まで周波数が変わるような場合には、表皮効果により、電流線の電流密度分布が変わってしまう。このため、安定して同じ精度で電流量の検出ができないという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑み成されたものであり、その目的とするところは、広い周波数領域に亘って(特に高周波領域においても)高精度に電流量を検出可能な電流量検出器を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る電流量検出器は、分岐位置と合流位置との間に空隙部を有し、前記空隙部により分離された、同一の断面積を有する第1電流路及び第2電流路を有する電流線と、
前記空隙部に設けられ、前記電流線を流れる測定電流により発生する磁界を検出する磁気センサと、を有する電流量検出器であって、
前記空隙部の幅gと厚さtとは、厚さt/幅g≦1の関係を満し、前記空隙部の幅方向中心から±g/6の領域内に前記センサが設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る電流量検出器において、前記空隙部の幅gと厚さtとが、厚さt/幅g≦1の関係を満たすことにより、前記空隙部の幅方向中心から±g/6の領域内に、前記測定電流の周波数の変動に拘わらず一様な磁界勾配が形成され、前記磁気センサが設けられた位置における感磁軸の磁界成分の減衰比rが周波数に依存することなく0.5≦r≦1の関係を満たすことを特徴とする。
また、本発明に係る電流量検出器において、少なくとも2つの磁気センサを有し、各磁気センサの感磁軸は互いに平行であり、各磁気センサの差動により電流量が検出されることを特徴とする。
さらに、本発明に係る電流量検出器において、好適には、前記空隙部の幅gと厚さtとが、t/g≦0.5の関係を満たすことにより、前記磁気センサの位置での感磁軸の磁界成分の減衰比rは周波数に依存することなく0.8≦r≦1の関係を満たすことを特徴とする。
さらに好適には、前記空隙部の幅gと厚さtとが、t/g≦0.25の関係を満たすことにより、前記磁気センサの位置での感磁軸の磁界成分の減衰比rは周波数に依存することなく略1(具体的には、0.95≦r≦1)であることを特徴とする。
本発明に係る電流量検出器において、前記感磁軸を有する磁気センサは、感磁面内の磁界を検出する磁気抵抗効果素子を有し、前記感磁軸は感磁面内にあり、前記磁気センサにより、第1電流路及び第2電流路から発生する誘導磁界の合成磁界の感磁軸の磁界成分に基づいて電流量を検出することを特徴とする。
また、本発明に係る電流量検出器において、前記磁気センサは、空隙部の厚み方向の中心線上であって、幅方向の中心線上でない位置に配置され、感磁軸は電流の流れる方向に対して垂直に配置されていることが好ましい。
また、本発明に係る電流量検出器において、前記磁気センサは、空隙部の幅方向の中心線上であって、厚み方向の中心線上でない位置に配置され、感磁軸は電流の流れる方向に対して水平に配置されていることが好ましい。
また、本発明に係る電流量検出器において、前記磁気センサは、空隙部の中心に対して対称に2つ配置されていてもよい。
また、本発明に係る電流量検出器において、前記電流線は、前記第1電流路及び前記第2電流路の上面と、前記分岐位置あるいは前記合流位置を含む電流路上面と、が段差となるように構成されていてもよい。
また、本発明に係る電流量検出器は、主電流路と、前記主電流路から分岐され前記主電流路と合流する迂回電流路と、を有する電流線と、前記迂回電流路に設けられた上述の電流量検出器と、を有してなる構成とすることができる。
本発明によれば、広い周波数領域に亘って(特に高周波領域においても)高精度に電流量を検出可能な電流量検出器を提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る電流量検出器の概略図である。図1(a)は、その電流量検出器の斜視図であり、図1(b)、(c)は、それぞれ、その側面図、上面図である。 図2(a)は、本発明の実施の形態1に係る電流量検出器の上面図、図2(b)、(c)は、それぞれ、空隙部付近の部分拡大図、及びA−A’断面図である。 図3は、周波数100Hzにおける電流密度分布を示した図である。 図4は、周波数1kHzにおける電流密度分布を示した図である。 図5は、周波数10kHzにおける電流密度分布を示した図である。 図6は、周波数100kHzにおける電流密度分布を示した図である。 図7(a)は、電流線の幅方向の位置[mm]と厚さ方向の磁束密度[T]との関係を示したグラフである。図7(b)は、電流線の幅方向の位置[mm]と磁束密度減衰比との関係を示したグラフである。 図8は、印加電流の周波数[Hz]と空隙部の中央から±1mmの位置における差分磁束密度[T]との関係を示したグラフである。 図9Aは、印加電流の周波数[Hz]と空隙部の中央から±1mmの位置における差分磁束密度[T]との関係を示したグラフである。 図9Bは、印加電流の周波数[Hz]と空隙部の中央から±1mmの位置における差分磁束密度[T]との関係を示したグラフである。 図9Cは、印加電流の周波数[Hz]と空隙部の中央から±1mmの位置における差分磁束密度[T]との関係を示したグラフである。 図10は、アスペクト比t/gと減衰比rとの関係を示したグラフである。 図11は、本発明の実施の形態1に係る電流量検出器の断面図である。 図12は、本発明の実施の形態1に係る電流量検出器のある態様の概略図である。 図13は、本発明の実施の形態1に係る電流量検出器の別の態様の概略図である。 図14は、本発明の実施の形態1に係る電流量検出器のさらに別の態様の概略図である。 図15は、空隙部のいずれの場所を測定したかを示した図である。 図16は、導体板厚方向中央から高さ方向に1mmの点であって、且つ幅方向板幅中央±5mmの点における、幅方向位置[mm]と厚さ方向磁束密度[T]との関係を示したグラフである。 図17は、導体板厚方向中央から高さ方向に1.5mmの点であって、且つ幅方向板幅中央±5mmの点における、幅方向位置[mm]と厚さ方向磁束密度[T]との関係を示したグラフである。 図18は、導体板厚方向中央部の点であって、且つ幅方向板幅中央±5mmの点における、幅方向位置[mm]と厚さ方向磁束密度[T]との関係を示したグラフである。 図19は、導体板厚方向中央から高さ方向に-1mmの点であって、且つ幅方向板幅中央±5mmの点における、幅方向位置[mm]と厚さ方向磁束密度[T]との関係を示したグラフである。 図20は、導体板厚方向中央から高さ方向に-1.5mmの点であって、且つ幅方向板幅中央±5mmの点における、幅方向位置[mm]と厚さ方向磁束密度[T]との関係を示したグラフである。 図21は、空隙部のいずれの場所を測定したかを示した図である。 図22は、厚さ方向の位置[mm]と厚さ方向磁束密度[T]との関係を示したグラフである。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向及び位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。複数の図面に表れる同一符号は、特に断らない限り同一の部分又は部材を示す。
図1は、本発明の実施の形態1に係る電流量検出器の概略図である。図1(a)は、その電流量検出器の斜視図であり、図1(b)、(c)は、それぞれ、その側面図、上面図である。図1に示すように、本発明の実施の形態1に係る電流量検出器1は、分岐位置(図2のQ領域に相当する)と合流位置(図2のS領域に相当する)との間に空隙部2を有する電流線3と、空隙部2内に設けられ、電流線3を流れる測定電流により発生する磁界を検出する磁気センサ4と、を有する電流量検出器1である。このような電流量検出器1において、空隙部2の幅gと厚さtとが、厚さt/幅g≦1の関係を満たすことで、空隙部2の幅方向中心から±g/6の領域内に、測定電流の周波数の変動に拘わらず一様な磁界勾配が形成され、磁気センサ4が設けられた位置における感磁軸の磁界成分の減衰比rが周波数に依存することなく0.5≦r≦1の関係を満たすことを見出した。すなわち、本発明の実施の形態1に係る発明の構成によれば、前記磁気センサ4を±g/6の領域内に配置することで、広い周波数領域に亘って高精度に電流量を検出可能である。ここで、「減衰比r」とは、表皮効果による電流密度分布の偏りが発生する高周波における、電流線の周囲に発生する磁束密度と、直流付近の周波数における磁束密度と、の比であり、例えば周波数1MHzにおける差分磁束密度Bhを周波数10Hzにおける差分磁束密度B1で除して得られた比を意味する。減衰比rの詳細な算出方法等については後述する。また、「周波数に依存することなく」とは、低周波(直流に近い領域、即ち10Hz〜100Hz)における減衰比rが0.5≦r≦1の範囲内にあるだけでなく、高周波(インバータなどの動作、あるいは制御に関する領域10kHz〜1MHz)における減衰比rが0.5≦r≦1の範囲内にある状態を意味し、減衰比rが周波数に依存しないことを意味する。
図2〜7は、本発明の実施の形態1に係る電流量検出器1が、厚さt/幅g≦1の関係を満たすことにより、空隙部2の幅方向中心から±g/6の領域内に、前記測定電流の周波数の変動に拘わらず一様な磁界勾配が形成されることを説明するための図面である。さらに図8〜10は、上記一様な磁界勾配に配置された磁気センサの感磁軸の磁界成分の減衰比rが周波数に依存することなく、0.5≦r≦1の関係を満たすことを説明するための図面である。
図2(a)に示すように、電流線3が分岐する前の領域(即ち領域P)における電流路を「分岐する前の電流路」又は「分岐する前の電流路P」と称し、電流線3が分岐している領域(即ち領域Q)における電流路を「分岐位置の電流路」又は「分岐位置の電流路Q」と称する。また、分岐が完了した後の領域(即ち領域R)の2つの電流路を「第1電流路」(又は「第1電流路R1」)、「第2電流路」(又は「第2電流路R2」)と称する(電流の進行方向に対して左側を第1電流路R1、右側を第2電流路R2とする)。電流線3が合流している領域(即ち領域S)における電流路を「合流位置の電流路」又は「合流位置の電流路S」と称し、電流線3が合流した後の領域(即ち領域T)における電流路を「合流した後の電流路」又は「合流した後の電流路T」と称する。ここで、電流線3は、分岐する前の電流路P、分岐位置の電流路Q、第1電流路R1及び第2電流路R2、合流位置の電流路S、合流した後の電流路Tを合わせたものである。
本発明者らは、電流量検出器について鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得た。
図2(a)〜(c)に示すような電流線3、すなわち、空隙部2を有し電流路が空隙部2で分岐しその後合流するような電流線3に、100Hz、1kHz、10kHz、100kHzの周波数で交流電流を流した場合、表皮効果の影響で交流電流の周波数に依存して電流密度分布に以下のような相違が表れる。
周波数100Hzでは、図3に示すように、分岐する前の電流路P、分岐位置の電流路Q、第1電流路R1及び第2電流路R2、合流位置の電流路S、合流した後の電流路Tのそれぞれにおいて、電流密度は一様であり、A−B断面(即ち第1電流路R1及び第2電流路R2を通る断面)においても第1電流路R1及び第2電流路R2を流れる電流の電流密度は一様である。
周波数1kHzでは、図4に示すように、電流線3の幅方向外側において、高い電流密度領域が現れ、さらに高周波の周波数10kHzでは、図5に示すように、上記の傾向が顕著になり、電流線3の幅方向外側において、極めて高い電流密度領域が現れるとともに、電流線3の厚さ方向についても上側及び下側に高い電流密度領域が現れ始める。
さらに高周波の周波数100kHzでは、図6に示すように、電流密度は、電流線3の表皮部分に極めて高い電流密度領域が現れ、表皮部分と中心部分とで電流密度の差が極めて大きくなる。
本発明者らは、高周波(10kHz以上)〜低周波(100Hz以下)において、空隙部2の厚さ方向に、第1電流路R1及び第2電流路R2に流れる電流密度分布に偏りが生じ、形成される空隙部2における磁束密度分布も周波数に依存して変わる可能性があるとの知見を得た。
本発明者らは、上記知見に基づき鋭意検討を重ねた結果、以下の点を見出した。
すなわち、上述のように、第1電流路R1及び第2電流路R2に流れる電流密度分布に偏りが生じ、それにより空隙部2における磁束密度分布も周波数に依存して大きく変わり得るにも拘わらず、図7(a)に示すように、空隙部2の幅長をgとして、幅中心線(図2(a)に示した空隙部2の長手方向軸Oに相当)から左右に±g/6の間の範囲(すなわち、空隙部2の幅中心線から−g/6離れた位置から当該中心線から+g/6離れた位置までの範囲)においては、いずれの周波数においても厚さ方向の磁束密度はほとんど変化が見られないことが分かった。これは空隙部2の長手方向(領域R)の全長にわたって確認された。すなわち、100Hz〜100kHzまで周波数が変わるにしたがって磁束密度分布が大きく変わっているにも拘わらず、幅方向について±g/6の範囲のみに着目すれば周波数に依存することなく一様な磁界勾配が空隙部2に形成されている。また、図7(b)に示すように、100Hzと100kHzとの減衰比と、10Hzと1MHzとの減衰比と、を示した場合、±g/6の範囲においては、減衰比rがr≧0.8であり、0.5≦r≦1を満たす。
図9A〜9Cは、空隙部2の幅gと厚さtとを変数にして、空隙部2の幅方向中心より±g/6の位置であって、且つ、厚さ方向の中心位置において発生する垂直方向磁界の周波数特性を表したグラフである。尚、図8は、図9Aから、幅gが6mm、厚さtが6mmとなる条件において測定したデータだけを抜き出したものである。図8に示すようにf1以下の低周波とf2以上の高周波において周波数に対する磁束密度の変化の小さい領域が存在する。図10は、図9A〜9Cの結果より、減衰比rとアスペクト比t/gとをプロットしたものである。減衰比rはアスペクト比t/gの関数として決定できる。ここで、アスペクト比t/g≦1を満たしさえすれば、1MHz以下であれば使用周波数によらず検出磁界が低周波側の磁界の半分(3dB低くなる)以上になり、広帯域で十分なS/N比を確保することができる。
本発明者らは、上記知見を得、t/g≦1を満たしさえすれば、空隙部の幅方向中心から±g/6の領域内に、測定電流の周波数の変動に拘わらず一様な磁界勾配が形成され、磁気センサ4が設けられた位置における感磁軸の磁界成分の減衰比rが周波数に依存することなく0.5≦r≦1の関係を満たすことを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
さらに好ましくは、空隙部の幅gと厚さtとは、厚さt/幅g≦0.25の関係を満たし、これにより、空隙部の幅方向中心から±g/6の領域内に一様な磁界勾配が形成され、磁気センサ4が設けられた位置における感磁軸の磁界成分の減衰比rが周波数に依存することなく0.95≦r≦1の関係を満たす。上記構成によれば、厚さtと幅gを適宜調整することにより、広い周波数領域に亘って高精度に電流量を検出可能である。
以下、本発明の実施の形態1に係る電流量検出器の各構成部材について詳細に説明する。
(1)電流線
図2(a)〜(c)は、本発明の実施の形態1に係る電流量検出器1の電流線3を示している。図2(a)〜(c)に示すように、電流線3の中央には、磁気センサ4が収容される空隙部2が設けられている。空隙部2の長手方向軸Oは、電流線3の幅方向についての中心線(電流線3の長手方向軸K)と略一致している。そのため、空隙部2により分岐された第1電流路R1と第2電流路R2とはそれぞれ略同じ断面積を有する。また、第1電流路R1の形状と第2電流路R2の形状は略同一であることが好ましい。このように、第1電流路R1の形状と第2電流路R2の形状とが、略同一であることにより、一様な磁界を得られる厚さ方向の範囲が広くなる。そのため、幅方向にも一定の磁束密度領域が増え、取り付け自由度が大きくなる。ここで、「同じ断面積」、「形状が同一」とは、断面積が完全に同じである場合、形状が完全に同一である場合に限られず、断面積が略同じ、形状が略同一の場合も含まれるものとする。
また、第1電流路R1と第2電流路R2とに分岐される前の電流路(分岐する前の電流路P)の断面積及び第1電流路R1と第2電流路R2とから合流した後の電流路(合流した後の電流路T)の断面積は、第1電流路R1の断面積と第2電流路R2の断面積とを合算したものと略同じであることが好ましい。このように、分岐する前の電流路Pの断面積又は合流した後の電流路Tの断面積が、第1電流路R1の断面積と第2電流路R2の断面積を合算したものとが略同じである場合、電流路Tと、第1電流路R1及び第2電流路R2との発熱量が同一となり、発熱による抵抗変化によって電流密度分布が変動するのを抑制できる。そのため、測定誤差を抑制することができる。
第1電流路R1と第2電流路R2との間であって分岐位置の電流路Qと合流位置の電流路Sとの間に形成された空隙部2は、図2(a)に示すように、電流線3の長手方向軸Kに対して略平行な辺M、Nを有する略矩形状であることが好ましい。また、角部31、32、33、34、35は電流密度分布が偏りやすいため、曲面とするかもしくは適度に湾曲させる(曲率を持たせる)ことが好ましい。このように角部31、32、33、34、35を曲面とするかもしくは適度に湾曲させることにより、電流線3を流れる電流の抵抗を低減することができる。ここで、電流線3の長手方向軸Kに対して略平行とは、必ずしも電流線3の長手方向軸Kに対して完全に平行である必要はなく、電流密度分布に影響を与えない限り、電流線3の長手方向軸Kに対して傾斜していてもよい。
本発明の実施の形態1に係る電流量検出器1において、電流線3は、銅、アルミニウム等の金属;若しくは前記金属と、スズ、銀、ジルコニウム、クロム、ニッケル、鉄、亜鉛、ケイ素、リン、マグネシウム等との合金;若しくはアルミニウムと銅の貼り合わせ、又はアルミニウムと銅とからなるクラッド材等から構成されることが好ましい。特に好ましくは銅である。銅は安価である上に電気抵抗が低いため、好適に用いられる。
(2)磁気センサ
本発明に係る電流量検出器1において、磁気センサ4として磁界の強度に応じて電気信号を出力できるものならば如何なる磁気センサを使用してもよく、現在知られている公知の磁気センサを使用することができる。しかしながら、本願発明は、垂直方向を検出することができる磁気センサとして、薄膜で形成できる異方性磁気抵抗効果(以下、異方性磁気抵抗効果をAMRと称することもある)素子、多層巨大磁気抵抗効果(以下、多層巨大磁気抵抗効果をGMRと称することもある)素子、スピンバルブ型磁気抵抗効果(以下、スピンバルブ型磁気抵抗効果をSVGMRと称する)素子、トンネル磁気抵抗効果(以下、トンネル磁気抵抗効果をTMRと称することもある)素子、ホール素子、磁気インピーダンス素子、磁気誘導素子、フラックスゲート素子等を用いることができる。
例えば、巨大磁気抵抗効果素子を用いて、前記素子の位置にバイアス磁界がかかるようにコイル等を配することで、バイアス磁界に対して垂直な方向に感磁軸を設定し、感磁軸方向の磁界成分に対して比例する電圧を出力する磁気比例方式の磁気センサ、さらに前記感磁軸方向の磁界成分に対応して、反対方向に同じ強度の磁界をかけるためのコイルを配置し、前記素子にフィードバックをかけて、そのときにコイルにかけた電圧を出力する磁気平衡方式の磁気センサなどを用いることができる。その際、前記素子は固定層の方向を考慮してブリッジ接続することで、検出可能な磁界範囲を広くすることも可能である。
磁気センサ4は、1つ用いてもよいし、2以上用いてもよい。2以上の磁気センサ4を用いる場合は、各磁気センサ4の感磁軸は互いに平行であり、磁気センサ4が差動により出力されることが好ましい。いずれの場合においても、少なくとも1つの磁気センサは、空隙部2の中心軸上にないことが必要である。
磁気センサ4を2つ用いる場合は、図1(a)〜(c)に示すように、例えばプリント回路基板として汎用されるガラスエポキシ等の樹脂の基板、アルミナ又はLTCC(低温同時焼成セラミックス)等のセラミックスなどの、基板5の両面にそれぞれの磁気センサ4の感磁軸が平行になるように磁気センサ4を設けたほうが、検出した磁界を効率よく差動により出力できるため好ましい。また、前述した薄膜の磁気抵抗効果素子を利用する場合、同一ウエハ上に2つの磁気センサを形成し、これを同一パッケージ内に配置しても良い。この場合、基板5へ一度に実装できるため効率が良い。
(3)磁気センサと電流線の配置
電流線3の空隙部2の幅gと厚さtとの比率t/gはt/g≦1の関係式を満たし、磁気センサ4は空隙部2の幅方向中心から±g/6の領域内に配置され、電流線からの磁界を検出できる構成であれば良く、広い動作範囲で、高感度な測定ができる効果を得られる。以下にいくつかの構成について例示する。図11(a)〜(g)は、電流線3の空隙部2に磁気センサ4を配置させた状態における電流線3及び磁気センサ4の断面の形態を示している。前記空隙部2への磁気センサ4の配置は、例えば、非磁性体の継ぎ手などで電流線3と磁気センサ4を固定しても良いし、空隙部2の磁界に影響しないように電流線の周囲を覆うような、例えば樹脂などの部材を設けて、電流線3及び磁気センサ4を固定しても良い。
(I)構成(i)
図11(a)は、電流量検出器1の構成(i)を示した断面図である。図11(a)においては、電流量検出器1は、1つの磁気センサ4を有する。磁気センサ4を幅方向の中心線から±g/6の範囲内に配置することにより、広い動作範囲において高感度な測定が可能となる。1つの磁気センサ4を用いる場合、磁気センサ4を幅方向の中心を通る中心線22から少し離れた位置に配置することにより、磁界を検出しやすくなるため好ましい。磁気センサ4は、センサの長手方向に感磁軸21を有し、当該感磁軸21は、空隙部2の中心を通る中心線22に対して傾斜しても良い。感磁軸21と中心線22との傾斜角が小さい場合微小電流測定が可能であるなど、より高感度な測定が実現できる。
(II)構成(ii)
図11(b)は、電流量検出器1の構成(ii)を示した断面図である。図11(b)においては、電流量検出器1は、2つの磁気センサ4を有する。前記2つの磁気センサ4は、互いに略平行に配置され、幅方向に関して異なる位置に配置されている必要がある。2つの磁気センサ4のうち一方が、空隙部2の幅gの中心線22上に配置されていてもよい。また、構成(i)と同様、磁気センサ4は、それぞれ、長手方向に感磁軸21を有し、当該感磁軸21は、空隙部2の中心を通る中心線22に対して傾斜しても良い。さらに空隙部2の中心から対称な位置に2つの磁気センサ4を配置すると、電流によって発生する磁界を減衰する効果が最も大きく、特に動作範囲を広くでき、大電流の測定も可能となるため特に好ましい。
(III)構成(iii)
図11(c)は、電流量検出器1の構成(iii)を示した断面図である。図11(c)に示すように、電流線3の空隙部2の幅gと厚さtとの比率t/gはt/g≦0.5の関係式を満たす。磁気センサ4は、構成(i)又は(ii)と同じく、1つ又は2つの磁気センサ4を有し、感磁軸21が空隙部2の中心を通る中心線22に対して傾斜しても良い。
(IV)構成(iv)
図11(d)は、電流量検出器1の構成(iv)を示した断面図である。図11(d)に示すように、構成(iv)においては、2つの磁気センサ4の感磁軸21が空隙部2の幅方向の中心線22に対して傾斜していない構成である以外は構成(ii)と同じ条件として良い。構成(ii)においても磁気センサ4を空隙部2の幅方向中心から±g/6の領域内に配置することにより高感度な測定を行うことができるという効果が得られるが、特に構成(iv)に示すように磁気センサ4の感磁軸21を空隙部2の幅方向の中心線22に対して平行に配置することにより、微小電流測定が可能であるなど、より高感度な測定が可能となるため好ましい。構成(ii)と同様に空隙部2の幅方向の中心線22に対して対称な位置に2つの磁気センサ4を配置しているため、電流によって発生する磁界を減衰する効果も大きく、大電流の測定も可能となるため特に好ましい。中心線22に対して傾斜していない構成としてみなされる範囲としては、感磁軸と中心線との傾斜角が−15°〜15°の範囲が許容され、0°が最も好ましい。
(V)構成(v)
図11(e)は、電流量検出器1の構成(v)を示した断面図である。図11(e)に示すように、構成(v)においては、磁気センサ4の感磁軸21が空隙部2の幅方向の中心線22に対して傾斜していない構成である以外は構成(i)と同じ条件として良い。構成(i)においても磁気センサ4を空隙部2の幅方向中心から±g/6の領域内に配置することにより高感度な測定を行うことができるという効果が得られるが、特に構成(v)に示すように磁気センサ4の感磁軸21を空隙部2の幅方向の中心線22に対して平行に配置することにより、微小電流測定が可能であるなど、より高感度な測定が可能となるため好ましい。中心線22に対して傾斜していない構成としてみなされる範囲としては、感磁軸21と中心線22との傾斜角が−15°〜15°の範囲が許容され、0°が最も好ましい。
(VI)構成(vi)
図11(f)は、電流量検出器1の構成(vi)を示した断面図である。図11(f)に示すように、構成(vi)においては、2つの磁気センサ4の感磁軸21が空隙部2の幅方向の中心線22に対して90°又は−90°傾斜した構成である以外は構成(ii)と同じ条件として良い。特に構成(vi)に示すように2つの磁気センサ4の感磁軸21を空隙部2の幅方向の中心線22に対して90°又は−90°傾斜させることにより、電流値の増減に対し線形性の高い測定が可能であるため好ましい。さらに空隙部2の厚み方向の中心線23に対して対称な位置に2つの磁気センサ4を配置すると、電流によって発生する磁界を減衰する効果が最も大きく、大電流の測定も可能となるため特に好ましい。中心線22に対して90°又は−90°傾斜した構成としてみなされる範囲としては、感磁軸21と中心線22との傾斜角が75°〜105°、又は−105°〜−75°の範囲が許容され、90°又は−90°が最も好ましい。
図12(a)は、電流量検出器1の構成(vi)の一の態様を示した斜視図、図12(b)は、その側面図、図12(c)は、その上面図である。当該一の態様に示すように、電流線3の主面が、磁気センサ4の主面及び基板5の主面と平行となるように、磁気センサ4及び基板5が電流線3の空隙部2に設けられていてもよい。
また、図13は、電流量検出器1の構成(vi)の別の態様を示した斜視図である。一の態様の変形例である別の態様では、図13に示すように、第1電流路R1及び第2電流路R2に、階段状に形成された段差部11が設けられている。電流線3のうち低い方から空隙部に延伸して基板5が設けられ、基板5の空隙部に位置する部分の両面に磁気センサ4がそれぞれ取り付けられている。これにより、2つの磁気センサ4を、取り付けの位置精度良く、且つ、簡便に、電流線3の空隙部2に設けることができる。迂回電流路の材質は大電流線10の材質よりも比抵抗の大きな材質で構成することで、さらに電流量を低減することができるため好ましい。また、迂回電流路全体を薄いシールドで覆うことで、外部ノイズをさらに低減できるため好ましい。
図14は、電流量検出器1の構成(vi)のさらに別の態様を示した斜視図である。当該態様は、上記別の態様の変形例である。当該態様では、大電流が流れる大電流線10から迂回する迂回電流路12が形成され、迂回電流路12の往路13に上述した第1電流路R1及び第2電流路R2が形成され、第1電流路R1と第2電流路R2との間に空隙部2が設けられている。そして、第1電流路R1及び第2電流路R2に、階段状に形成された段差部11が設けられている。段差部11のうち低い方に基板5が設けられ、基板5の両面に磁気センサ4がそれぞれ取り付けられている。迂回電流路12の復路14にも同様の段差部11が設けられている。
(VII)構成(vii)
図11(g)は、電流量検出器1の構成(vii)を示した断面図である。図11(g)
に示すように、構成(vii)においては、磁気センサ4の感磁軸21が空隙部2の幅方向の中心線22に対して90°又は−90°傾斜した構成である以外は構成(i)と同じ条件として良い。特に構成(vii)に示すように磁気センサ4の感磁軸21を空隙部2の幅方向の中心線22に対して90°又は−90°傾斜させることにより、電流値の増減に対し線形性の高い測定が可能であるため好ましい。中心線22に対して90°又は−90°傾斜した構成としてみなされる範囲としては、感磁軸21と中心線22との傾斜角が75°〜105°、又は−105°〜−75°の範囲が許容され、90°又は−90°が最も好ましい。
(4)シミュレーション方法
電磁界解析は株式会社JSOL社製J-MAG_STUDIOver.10を用いた。解析手法は有限要素法である。すなわち細分化された導体に流れる電流(細分化要素断面積と電流密度の積)によって発生する所定の場所の磁界を要素ごとに計算し、全要素について積算する方法である。用いた本方法では渦電流による電流密度の分布も考慮されている。
本発明の実施の形態に基づきシミュレーションを行い、本発明の構成による効果を確認した。シミュレーション条件は以下の表の通りである。
図1、2は、実施の形態1に基づく電流線3を示している。合流した後の電流路Tの断面積の和と、分岐して流れる第1電流路R1及び第2電流路R2の断面積は略一致しており、発熱などによる熱損失、電流密度変動を抑制している。第1電流路R1と第2電流路R2との間には、表1の条件に基づいて幅g、長さ20mm、厚さtを有する空隙部2が設けられ、磁気センサ4は、幅方向の中心線から±g/6の位置、厚さ方向の中心線の位置に配置され、感磁軸が幅方向中心線と平行に設けられている。分岐する前の電流路P及び合流した後の電流路Tの幅長はw、分岐位置での電流路Q及び合流位置での電流路Sの幅長は31mm、第1電流路R1及び第2電流路R2の幅長はw/2であり、電流線3の厚さはtである。電流線3の角部31、32、33、34、35は丸みを帯びており、その曲率半径は1.5mmである。電流線3の材質は無酸素銅とした。
断面の面積、形状が同一である第1電流路R1と、第2電流路R2とに流れるそれぞれの電流が同振幅、同周波数、同位相であり、第1電流路R1と第2電流路R2との間に形成された空隙部2に少なくとも2つの磁気センサ4が配置されている。
図3は、上述の実施例A1に係る電流線に交流電流を100Hzの周波数で流した時の電流密度を表している。図3(a)、(b)に示すように、分岐位置での電流路Q及び合流位置での電流路Sの全体に亘って、電流密度は1.0×10〜1.5×10A/mであった。一方、分岐位置での電流路Q及び合流位置での電流路S以外の部分、即ち、分岐する前の電流路P及び第1電流路R1、第2電流路R2、合流した後の電流路Tの全体において、電流密度は1.5×10〜2.0×10A/mであった。また、図3(c)、(d)に示すように、A−B断面の電流密度は、第1電流路R1及び第2電流路R2において、1.5×10〜2.0×10A/mであった。以上のように、100Hzの周波数では、電流密度は、電流線3の全体に亘って一様であった。
図4は、上述の実施例A1に係る電流線に交流電流を1kHzの周波数で流した時の電流密度を表している。図4(a)、(b)に示すように、電流線3の幅方向外側に2.5×10〜3.0×10A/mの高い電流密度領域が現れた。電流線3の幅方向内側の中心領域では、電流密度は、1.0×10〜1.5×10A/mであった。また、図4(c)、(d)に示すように、A−B断面の電流密度は、幅方向外側の領域において2.0×10〜2.5×10A/mであった。一方、幅方向中心領域においてA−B断面の電流密度は、1.0×10〜1.5×10A/mであった。以上のように、1kHzの周波数では、電流密度は、電流線3の幅方向外側に高い電流密度領域が現れた。
図5は、上述の実施例A1に係る電流線に交流電流を10kHzの周波数で流した時の電流密度を表している。図5(a)、(b)に示すように、電流線3の幅方向外側に4.5×10〜5.0×10A/mの極めて高い電流密度領域が現れた。また、第1電流路R1及び第2電流路R2の幅方向内側にも、3.5×10〜4.0×10A/mの高い電流密度領域が現れた。電流線3の幅方向内側の中心領域では、電流密度は、2.0×10〜2.5×10A/mと電流線3の幅方向外側及び第1電流路R1及び第2電流路R2の内側に比して低かった。また、図5(c)、(d)に示すように、A−B断面の電流密度は、第1電流路R1及び第2電流路R2の幅方向外側及び幅方向内側に高い電流密度領域が現れるとともに、厚さ方向上側及び下側にも高い電流密度領域が現れた。以上のように、10kHzの周波数では、電流密度は、電流線3の幅方向外側に高い電流密度領域が現れるとともに、電流線3の厚さ方向についても上側及び下側に高い電流密度領域が現れ始めた。
図6は、上述の実施例A1に係る電流線に交流電流を100kHzの周波数で流した時の電流密度を表している。図6(a)、(b)に示すように、電流線3の表面全体に4.5×10〜5.0×10A/mの極めて高い電流密度領域が現れた。また、図6(c)、(d)に示すように、A−B断面の電流密度は、第1電流路R1及び第2電流路R2の幅方向外側及び幅方向内側に4.5×10〜5.0×10A/mと高い電流密度領域が現れるとともに、厚さ方向上側及び下側にも極めて高い電流密度領域が現れた。これに対して、第1電流路R1及び第2電流路R2の中心付近、すなわち、第1電流路R1及び第2電流路R2の幅方向中心領域及び厚さ方向中心領域においては、電流密度は0〜0.5×10A/mと低かった。以上のように、100kHzの周波数では、電流密度は、電流線3の表皮部分に極めて高い電流密度領域が現れ、表皮部分と中心部分とで電流密度の差は極めて大きかった。このように、周波数に依存して、電流線3を流れる電流の電流密度は顕著に変化した。
図7(a)は、実施例A1に係る電流線における、100Hz〜100kHzの周波数毎の第1電流路R1及び第2電流路R2が形成する空隙部2の垂直方向の磁束密度分布を示している。分岐する前の電流路P及び合流した後の電流路Tを流れる電流量は120Aである。上述したように、周波数に依存して電流線3を流れる電流の電流密度は大きく変化する。しかしながら、電流線3を流れる電流により発生する磁束密度は、空隙部幅方向の±g/6の範囲には、100Hz〜100kHzまでの周波数領域において、一様な磁界勾配が形成されていることが分かった。同じく、厚さ方向には空隙部2近傍までに配置される方が交流及び直流外乱磁場の影響を受けにくい。
図7(b)は、磁束密度減衰比の空隙部幅方向の分布を示している。横軸は空隙部の幅方向の位置を示しており、縦軸は磁束密度減衰比rを示している。■は、周波数1MHzの場合の磁束密度と10Hzの場合の磁束密度との比率を示している。◆は、周波数100kHzの場合の磁束密度と100Hzの場合の磁束密度との比率(即ち、当該比率は磁束密度減衰比rに相当する)を示している。図7(b)に示すように、±1mmの範囲においては、磁束密度減衰比rは0.8を超えており、磁気センサ4をこのような範囲に置いた場合良好な電流量検出器とすることができることが確認された。即ち、空隙部2の中心から±1mmの位置における垂直方向の磁束密度の差分の出力は、±0.001Tとなり、例えば薄膜磁気抵抗効果素子を磁界検出素子とした場合の動作範囲に適している(電流線3の外側などに配置した場合0.003Tとなり検出素子が飽和し検出可能範囲外となる)ことが確認された。
図8は、10Hz〜1MHzにおいて実施例A2の空隙部2の中心から±1mmの位置におけるZ方向成分の磁束密度の差分の周波数特性を示している。横軸は印加電流の周波数[Hz]であり、縦軸は空隙部2の幅方向中央から±1mmの位置における差分磁束密度[T]である。分岐する前の電流路P及び合流した後の電流路Tに流れる測定電流は120Aである。10Hzから200Hzまでの領域(この領域を領域Aと称する)においては、差分磁束密度は減衰しておらず、差分磁束密度と印加電流の周波数との関数は、領域Aの周波数において、水平な直線に近似できる。そして、200Hzから30kHzまでの領域(この領域を領域Bと称する)において、差分磁束密度が200Hzから減衰し始め、変曲点f1を過ぎた辺りから変曲点f2近くまで差分磁束密度と印加電流の周波数との関数の傾きが一定になる。そして、約30kHzから1MHzまでの領域(この領域を領域Cと称する)において、差分磁束密度と印加電流の周波数との関数は、水平な直線に近似できる。ここで、便宜的に低周波側の変曲点をf1、高周波側の変曲点をf2と称する。周波数1MHzにおける差分磁束密度をBhとし、周波数10Hzにおける差分磁束密度をB1とすると、(Bh/B1)の値を減衰比rと定義する。
図8の実施例A2の印加電流と差分磁束密度と同様に、表1に示す他の実施例及び比較例について、図9A〜9Cに示す。縦軸は、空隙部2の幅方向中心より±g/6の位置における差分磁束密度Bz[T]である。すべての条件で上述の変曲点f1、f2を有し、各変数の組み合わせによりf1、f2が変化している。以上の結果のうちt/g≦1となる実施例は減衰比rが0.5≦r≦1となっており、比較例は0.5≦r≦1となっていない。なお、空隙部2の電流が流れる方向の距離については、電流が流れる方向において電流密度分布の変動が小さい領域を有するのに十分な長さを有するものとする。
図9Aに示すように、空隙部2の厚さtが増加するに伴い差分磁束密度は減少するとともに、減衰比rが大きくなっていった。図9Bにおいても、図9Aと同様、厚さtが増加するに伴い差分磁束密度は減少するとともに、減衰比rが大きくなっていった。図9Cにおいても、図9Aと同様、厚さtが増加するに伴い差分磁束密度は減少し、減衰比rが大きくなっていった。
減衰比rについて、空隙部2の幅gと厚さtとの比率(アスペクト比(t/g))との関係を、図10に示す。横軸はアスペクト比(t/g)であり、縦軸は減衰比rである。図10に示すように、幅wの値に拘わらず、アスペクト比と減衰比とをプロットしたものは、一の曲線上にあることが分かった。通常、電流量検出器として良好な機能を発揮するための減衰比rは、0.5以上が要求される。そうすると、図10から、減衰比r≧0.5を達成するためには、アスペクト比t/gは、t/g≦1を満たす必要があることが分かった。
図15〜20は、実施例A1に基づいて、空隙部2の中であれば、磁束密度が一様であることを説明するためのグラフである。図15は、空隙部2のいずれの場所を測定したかを示した図である。図16は、導体板厚方向中央から高さ方向に+1mm、幅方向板幅中央から±5mmの点(すなわち、図15において(i)により示される点)における幅方向位置[mm]と厚さ方向磁束密度[T]との関係を、図17は、導体板厚方向中央から高さ方向に+1.5mm、幅方向板幅中央から±5mmの点(すなわち、図15において(ii)により示される点)における幅方向位置[mm]と厚さ方向磁束密度[T]との関係を、図18は、導体板厚方向中央部であって幅方向板幅中央から±5mmの点(すなわち、図15において(iii)により示される点)における幅方向位置[mm]と厚さ方向磁束密度[T]との関係を、図19は、導体板厚方向中央から高さ方向に-1mm、幅方向板幅中央から±5mmの点(すなわち、図15において(iv)により示される点)における幅方向位置[mm]と厚さ方向磁束密度[T]との関係を、図20は、導体板厚方向中央から高さ方向に-1.5mm、幅方向板幅中央から±5mmの点(すなわち、図15において(v)により示される点)における幅方向位置[mm]と厚さ方向磁束密度[T]との関係を示している。図16〜20に示されているように、±g/6の範囲においては、いずれの位置においても周波数の相違による変化は見られず、磁界が一様であることが分かった。
図22は、実施例A1に係る電流線を用いて測定されたグラフであり、空隙部2の中であれば、厚さ方向の相違によらず、厚さ方向磁束密度[T]がそれ程変化しないことを示している。図21は、2つの測定位置(すなわち、空隙部2の幅方向中心線から左側の位置(i)、及び、空隙部2の幅方向中心線から右側の位置(ii))を示しており、図22における(i)は、空隙部2の幅方向中心線から左側の位置における厚さ方向磁束密度[T]であり、図22における(ii)は、空隙部2の幅方向中心線から右側の位置における厚さ方向磁束密度[T]である。図22に示すように、厚さ方向の位置の相違により磁束密度が変化しないこと、すなわち、厚さ方向に関して、磁界が一様であることが分かった。
1 電流量検出器
2 空隙部
3 電流線
4 磁気センサ
5 基板

Claims (10)

  1. 分岐位置と合流位置との間に空隙部を有し、前記空隙部により分離された、同一の断面積を有する第1電流路及び第2電流路を有する電流線と、
    前記空隙部に設けられ、前記電流線を流れる測定電流により発生する磁界を検出する磁気センサと、を有する電流量検出器であって、
    前記空隙部の幅gと厚さtとは、厚さt/幅g≦1の関係を満たし、前記空隙部の幅方向中心から±g/6の領域内に前記磁気センサが設けられ
    前記電流線は、前記第1電流路及び前記第2電流路の上面と、前記分岐位置あるいは前記合流位置を含む電流路上面と、が段差となるように構成されていることを特徴とする電流量検出器。
  2. 前記空隙部の幅gと厚さtとが、厚さt/幅g≦1の関係を満たすことにより、前記空隙部の幅方向中心から±g/6の領域内に、前記測定電流の周波数の変動に拘わらず一様な磁界勾配が形成され、前記磁気センサが設けられた位置における感磁軸の磁界成分の減衰比rが周波数に依存することなく0.5≦r≦1の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電流量検出器。
  3. 少なくとも2つの磁気センサを有し、各磁気センサの感磁軸は互いに平行であり、各磁気センサの差動により電流量が検出されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電流量検出器。
  4. 前記空隙部の幅gと厚さtとが、t/g≦0.5の関係を満たし、前記磁気センサの位置での感磁軸の磁界成分の減衰比rは周波数に依存することなく0.8≦r≦1の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電流量検出器。
  5. 前記空隙部の幅gと厚さtとが、t/g≦0.25の関係を満たし、前記磁気センサの位置での感磁軸の磁界成分の減衰比rは周波数に依存することなく0.95≦r≦1であることを特徴とする請求項4に記載の電流量検出器。
  6. 前記磁気センサは、感磁面内の磁界を検出する磁気抵抗効果素子を有し、前記磁気センサの感磁軸は前記感磁面内にあり、
    前記磁気センサは、前記第1電流路及び前記第2電流路から発生する誘導磁界の合成磁界の前記感磁軸の磁界成分に基づいて、電流量を検出することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電流量検出器。
  7. 前記磁気センサは、前記空隙部の厚み方向の中心線が前記磁気センサを通り、幅方向の中心線が前記磁気センサを通らない位置に配置され、
    前記磁気センサの感磁軸は、電流の流れる方向に対して垂直に配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電流量検出器。
  8. 前記磁気センサは、前記空隙部の幅方向の中心線が前記磁気センサを通り、厚み方向の中心線が前記磁気センサを通らない位置に配置され、
    前記磁気センサの感磁軸は、電流の流れる方向に対して水平に配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電流量検出器。
  9. 前記磁気センサは、前記空隙部の中心に対して対称に2つ配置されていることを特徴とする請求項7又は8のいずれかに記載の電流量検出器。
  10. 大電流線をさらに有し、
    前記電流線が、前記大電流線から分岐され前記大電流線と合流する迂回電流路を構成することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の電流量検出器。
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