JP6243741B2 - 磁気センサ及び回転角センサ - Google Patents
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Description
K = J×Z-1 + Nq×(1−Z-1) ・・・(1)
式(1)において、Nqは量子化誤差、すなわち、量子化器34において、アナログからデジタルに変換する際に生じる誤差であり量子化ノイズともいう。
また、積分器33の構成を変えることによってノイズ特性を改善できるほか、ΔΣ変調器30を縦続接続して次数を上げることにより、低域側の量子化ノイズの低減効果が増大することが知られている。
また、規定を超える過大入力等が入力された場合、積分器の出力値は、電源電圧値まで上昇するが、それ以上には上昇できない。つまり、積分器の出力値は、上記磁気センサLSIの電源電圧値を上限として増加を制限される。
また、一旦、ΔΣ変調回路で発振が起こると入力レベルが正常値に戻っても定常状態に戻るまでに相当の時間を必要とするほか、発振状態を停止するため回路を初期化する必要もある。したがって、発振させないようにアナログ信号の入力値を規定内に制限する対策を施すか、あるいは初期化回路を追加する等の対策が必要であった。従来技術によるΔΣ変調回路において、アナログ入力信号を制限する対策、あるいは発振を検出し回路を初期化する等のシーケンスを実行するためには、相当の追加回路が必要であり、チップコストが増加するという問題があった。
また、ΔΣ変調器の誤動作を防ぐ追加回路等によるチップコストの増加を無くすことを目的としている。
Vmax > X×S×G ・・・(2)
また、前記磁気センサにおいて、前記ホール素子は基板上に形成され、前記磁気集束板は、前記ホール素子が形成された基板上に配置されることが好ましい。
また、前記磁気センサにおいて、前記磁気集束板は、前記磁気集束板の縁部がホール素子の上に重なるように配置されていることが好ましい。
また、本発明は、上述の目的を達成するためになされた回転角センサであって、前記磁気センサと、前記ΔΣ変調回路の出力を演算して角度情報を出力する角度検出回路と、を備えることが好ましい。
また、前記回転角センサは、さらに回転磁石を備えることが好ましい。
また、ΔΣ変調器の誤動作を防ぐ追加回路等によるチップコストの増加を無くすことができる。
<回転角センサの概要>
図1は、本実施形態に係る回転角センサを説明するための構成図である。シリコン基板2の素子形成面(以下、「板面」ともいう)P上にXY平面をとり、回転磁石1の回転軸上にZ軸(以下、「回転軸Z」ともいう)をとり、Z軸とXY平面と交わる点にXYZ座標の原点Oをとる。なお、図1で設定したX軸、Y軸、Z軸によるXYZ直交座標系は、図解説明の便宜上、真の原点Oから左方にずらして描かれている。また、XYZ直交座標系は、図1から図3において共通に適用する。
磁気センサ10は、シリコン基板2上に形成され磁力に応じた検出出力信号を出力するホール素子3と、図6に示して後述する磁気集束板4と、差動増幅器7と、ΔΣ変調器8,9とを有し、角度・磁場強度検出回路11と適宜に接続可能な構成を有している。
HVx=+Vx+Vz−(−Vx+Vz)=2Vx ・・・(4)
HVy=+Vy+Vz−(−Vy+Vz)=2Vy ・・・(5)
式(4)に示す差分信号HVxは磁場6のX軸成分2Vxであり、式(5)に示す差分信号HVyはY軸成分2Vyであって、これら式(4),(5)は、Z軸成分がキャンセルされて検出されないことを示している。
θ=atan(HVy/HVx) ・・・(6)
なお、式(6)のように三角関数を含む比較的簡単な計算により、差分信号HVxと差分信号HVyから磁場の角度θを算出できる理由は、磁気集束板4の直下において、回転磁石1の回転に応じて発生する回転磁場の強度が理想的な正弦波状に変化するためである。
次に、磁気集束板4について図4及び図5を用いてより詳細に説明する。
図3を用いて説明したように、磁気集束板4は、磁力線が透磁率の高い場所を通る性質を利用し、横磁場6Pを縦磁場6Qに変換する。また、磁気集束板4を介在させずにホール素子3のみで磁場を検出した場合よりも、磁気集束板4を介在させた場合の方が、ホール素子3は高感度の検出出力を得られる。なお、磁気増幅率Aの測定は以下のように行った。ホール素子3の作成後、感磁面Qに垂直な磁場を印加して感度を測定する。次に磁気集束板4を形成し、感磁面Qに平行な磁場を印加したときの感度を測定する。その後、両者の比をとることで、磁気集束板4を形成したことによる感度の増幅率が得られる。こうして得られた当該感度の増幅率を磁気増幅率Aと定義する。
ここで、反磁界Hdを以下の式(7)に示すとおりに規定する。
Hd=NX*M・・・(7)
NXを反磁界係数という。反磁界係数NXは磁性体の形状で決まる。
図6は、本実施形態に係る回転角センサにおける基本構成を説明するためのブロック図である。図6に、本実施形態の一例として、回転角センサ20の構成を示し、各部の動作を説明する。また、角度検出は不要で、磁場強度検出のみを行う磁気センサ10についても併せて説明する。図6に示す角度・磁場強度検出回路11は、「角度検出」及び「磁場強度検出」の少なくともいずれか1つの機能を発揮することができる。回転角センサ20として用いる場合、角度・磁場強度検出回路11は、角度検出としての機能を発揮する。磁気センサ10のみに限定した機能で用いる場合、角度・磁場強度検出回路11は、磁場強度検出としての機能を発揮する。また磁気センサ10は、回転角センサ20から角度検出回路11を除く機能構成部である。
磁気センサ10は、磁力に応じた検出出力信号を角度・磁場強度検出回路11に出力する。回転センサ20は、ΔΣ変調回路8,9の出力を角度・磁場強度検出回路11で演算して角度情報Fを出力する。その結果、図1を用いて説明したとおり、磁気センサ10と回転磁石1との相対的な回転角度θに基づく角度情報Fを出力する。
また、位置H0,H180に配されたX成分側のホール素子3及び位置H90,H270に配されたY成分側のホール素子3の感度をS(mV/mT)とする。
また、差動増幅器7のゲインをG倍とする。
M(mT)×A(倍)×S(mV/mT)×G(倍)
=M×A×S×G(mV) ・・・(9)
ここで、直径がφ1(μm)であり、厚さがT1(μm)の磁気集束板4の磁気飽和点の実測データがあり、その値がN(mT)であった場合、図6に示した磁気集束板4の飽和磁気X(mT)は、以下の式(10)より得られる。
ここで具体例を示す。磁気集束板4の磁気増幅率Aが1.2倍、直径φが300(μm)、厚さTが30(μm)であり、位置H0,H180に配されたX成分側のホール素子3及び位置H90,H270に配されたY成分側のホール素子3は、感度Sが0.4mV/mTであり、差動増幅器7のゲインGが10倍であり、アプリケーションからの印加磁場が80mTであった場合、ΔΣ変調器8,9に入力される信号の電圧値は、式(9)を適用して384(mV)(=80(mT)×(1.2倍)×0.4(mV/mT)×10(倍))となる。
また、上述のとおり、本例における磁気集束板4の磁気飽和点、すなわち飽和磁気X(mT)は、86.1mTである。
Vmax > X×S×G ・・・(13)
したがって、最大値Vmaxは、344.4mV(=X×S×G=86.1(mT)×0.4(mV/mT)×10(倍))となり、X,Y成分側ΔΣ変調回路8,9にそれぞれ入力することが許容される信号の最大値を、上述の値344.4mVより大きい値、例えば400mVに設計すれば、ΔΣ変調回路に許容限度を超えて過大入力される不具合を防ぐことが可能になる。
(2)その結果、ΔΣ変調器に誤動作防止用の追加回路を施す必要がないため、ΔΣ変調器も簡素な構成とすることができる。これにより、チップコストの増加を防止できる。
(3)また、許容限度を超えたホール素子の出力信号が、ΔΣ変調回路に入力されないため、過大入力の対策としての発振検出及び初期化シーケンス追加の必要は無く、発振から定常状態に戻るまでの期間だけAD変換が機能停止するといった不具合も生じない。したがって、入力磁場条件が変わったアプリケーションに対しても、磁気集束板の寸法変更、もしくはホール素子による検出信号の増幅回路のゲイン調整等の比較的容易な設計変更により幅広いアプリケーションに対応できる汎用性を確保できる。
その他、図6に示した回転角センサ20の場合、Z成分をキャンセルしてX成分とY成分のみを演算処理することにより、回転角度θを検出する角度検出回路としたが、ホール素子3の出力信号に含まれるZ成分をキャンセルせず、X成分及びY成分とともに生かして演算処理することにより、回転角度θを検出する角度検出回路としてもよい。その他にも、X成分とZ成分の組み合わせや、Y成分とZ成分の組み合わせのように、3軸(X,Y、Z)同時でない組み合わせで演算処理することが可能である。
以上、説明したように本発明によれば、磁気集束板の磁気飽和特性に着目し、ΔΣ変調器に入力される信号の変動を磁気集束板により制限することで、AD変換が停止する不具合を考慮したり、係る不具合を防止するための追加回路を設けたりしなくても、ΔΣ変調器の誤動作を防止できる。
2 集積回路(シリコン基板)
3 ホール素子
4 磁気集束板
6 磁場
6P 横磁場
6Q 縦磁場
6PQ 入射磁場
7 差動増幅器(増幅器)
8 X成分側ΔΣ変調器(ΔΣ変調器)
9 Y成分側ΔΣ変調器(ΔΣ変調器)
10 磁気センサ
11 角度・磁場強度検出回路
19 強磁性体
20,29 回転角センサ
21 X成分側AD変換器
22 Y成分側AD変換器
23 角度計算デジタル回路
30 ΔΣ変調器
31 DAコンバータ(DAC)
32 加減算器
33 積分器と、
34 量子化器
Claims (8)
- 横磁場を縦磁場に変換する磁気集束板と、
前記縦磁場に応じてホール起電力による信号を出力するホール素子と、
前記ホール素子から出力されたホール起電力による信号を増幅する増幅器と、
前記増幅器により増幅された信号をAD変換するΔΣ変調回路と、
を備え、
前記ΔΣ変調回路への入力信号の最大値Vmaxは、前記磁気集束板の飽和磁気X、前記ホール素子の感度S、及び前記増幅器のゲインGを用いて、以下の式の関係である磁気センサ。
Vmax > X×S×G - 前記磁気集束板は、円盤形状である請求項1又は2に記載の磁気センサ。
- 前記ホール素子は基板上に形成され、
前記磁気集束板は、前記ホール素子が形成された基板上に配置される請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気センサ。 - 前記磁気集束板は、前記磁気集束板の縁部がホール素子の上に重なるように配置されている請求項4に記載の磁気センサ。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の磁気センサと、
前記ΔΣ変調回路の出力を演算して角度情報を出力する角度検出回路と、を備える回転角センサ。 - 横磁場を縦磁場に変換する磁気集束板、前記縦磁場に応じてホール起電力による信号を出力するホール素子、及び前記ホール素子から出力されたホール起電力による信号を増幅する増幅器と、前記増幅器により増幅された信号をAD変換するΔΣ変調回路を備えるとともに、前記ΔΣ変調回路への入力信号の最大値は、前記磁気集束板の飽和磁気Xで制限される磁気センサと、
前記ΔΣ変調回路の出力を演算して角度情報を出力する角度検出回路と、を備え、
前記ホール素子は、前記横磁場のX軸方向成分を検出するX成分側ホール素子と、前記横磁場のY軸方向成分を検出するY成分側ホール素子とを有し、
前記ΔΣ変調回路は、前記X成分側ホール素子から出力されたホール起電力による信号をAD変換するX成分側ΔΣ変調回路と、前記Y成分側ホール素子から出力されたホール起電力による信号をAD変換するY成分側ΔΣ変調回路とを有し、
前記X成分側ΔΣ変調回路への入力信号と前記Y成分側ΔΣ変調回路への入力信号とそれぞれの最大値は、前記磁気集束板の前記飽和磁気Xで制限される回転角センサ。 - さらに回転磁石を備える請求項6又は7に記載の回転角センサ。
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