WO2015174247A1 - 電流センサ - Google Patents
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Abstract
電流センサは、測定対象の電流が流れる1次導体(110)と、1次導体(110)を流れる電流により発生する磁界の強さを検出する少なくとも1つの磁気センサ(120)とを備える。1次導体(110)は、1次導体(110)の表面から裏面まで貫通した少なくとも1つの貫通部(110h)、または、1次導体(110)の表面若しくは裏面に設けられた少なくとも1つの凹部を有する。磁気センサ(120)は、1次導体(110)の表面側若しくは裏面側において貫通部(110h)または凹部の外側の位置、かつ、平面視にて貫通部(110h)または凹部と重なる位置に配置され、1次導体(110)の表面と裏面とを最短で結ぶ方向および上記電流が流れる方向の両方と直交する方向の磁界を検出可能とされている。
Description
本発明は、電流センサに関し、特に、大電流を計測する電流センサに関する。
従来、被測定電流が流れる1次導体と磁気センサとを備える電流センサが、開発されている。磁気センサは、磁気抵抗素子を有し、1次導体の周囲に配置される。電流センサは、1次導体を流れる被測定電流により発生する磁界を磁気センサによって検出することにより、被測定電流の大きさを測定する。
電流センサにおいては、被測定電流により発生する磁界とは異なる外部磁界の影響が小さいことが望ましい。外部磁界の影響を小さくするために複数の磁気センサを用いた電流センサを開示した先行文献として、特開2005-195427号公報(特許文献1)、特開2013-134202号公報(特許文献2)および特開2001-74782号公報(特許文献3)がある。
特許文献1に記載された電流センサにおいては、2つの磁気センサを備え、2つの磁気センサの出力の差分から被測定電流値を算出している。
特許文献2に記載された電流センサにおいては、被測定電流により発生する磁界の向きに平行な主感度軸を有する2つの磁気センサと、被測定電流により発生する磁界の向きに直交する主感度軸を有する2つの磁気センサとを備え、それらの出力を演算処理することにより被測定電流値を算出している。
特許文献3に記載された電流センサにおいては、1次導体に貫通孔が設けられることにより第1分岐路および第2分岐路が形成され、貫通孔に外部磁界検出用の第1磁気センサが配置され、第1分岐路および第2分岐路を含む平面と同一平面上であって第1分岐路または第2分岐路の外側に第2磁気センサが配置されている。第2磁気センサの出力から第1磁気センサの出力を除去することにより、被測定電流値を算出している。
1次導体に凹部または貫通孔を設けた電流センサを開示した先行文献として、特開2012-78232号公報(特許文献4)がある。特許文献4に記載された電流センサにおいては、磁気センサを1次導体の凹部内または貫通孔内に配置することにより、磁気センサの感度を調整している。
特許文献1,2に記載された電流センサにおいては、被測定電流により発生する磁界の強度が位置によって大きく変化する場合、2つの磁気センサの各々が配置される位置によっては、磁気センサに加わる磁界の強度にばらつきが生ずる。そのため、2つの磁気センサの測定結果の再現性が劣るため、被測定電流の大きさを安定して測定することができない。
特許文献3に記載された電流センサにおいては、第1分岐路と第2分岐路との非対称性、および、1次導体の厚さと磁気センサの高さとの制約などにより、貫通孔の内部において磁束が打ち消し合う位置に第1磁気センサを配置することは困難である。
特許文献4に記載された電流センサにおいては、磁気センサの感磁方向がX軸方向であり、磁気センサは凹部または貫通孔内のX-Y平面に配置されている。磁気センサと電源とを接続する配線と、磁気センサと検出部とを接続する配線とが、X-Y平面に配置されている場合、磁気センサと電源とを接続する配線により形成されたループ内、および、磁気センサと検出部とを接続する配線により形成されたループ内を、Z軸方向の磁束が貫くことにより誘導起電力が発生する。この誘導起電力がノイズとなって、電流センサの出力信号に重畳することにより、電流センサの精度が低下することがある。
磁気センサは感磁方向以外の方向の磁界も検出することがある。また、感磁方向以外の方向の磁界は、磁気センサの感度に影響を及ぼす。このため、磁気センサが配置される位置に感磁方向以外の方向の大きな磁界が存在する場合、感磁方向以外の方向の磁界がノイズとなって電流センサの精度を低下させる。このため、磁気センサが配置される位置における感磁方向以外の方向の磁界は、できる限り小さいことが望ましい。
特許文献4に記載された電流センサにおいて磁気センサが配置されている1次導体の凹部内または貫通孔内においては、感磁方向の磁界であるX軸方向の磁界がY軸方向の磁界およびZ軸方向の磁界より大きい領域は、狭い。
これは、凹部または貫通孔の内周壁が磁気センサの近くに存在するためである。凹部または貫通孔の内周壁からはZ軸方向の磁界が発生し、その磁界の強度は内周壁の高さの中心線上であって、凹部または貫通孔の中心点以外の位置で高くなる。
このため、特許文献4に記載された電流センサにおいては、感磁方向の磁界であるX軸方向の磁界がY軸方向の磁界およびZ軸方向の磁界よりも大きい領域内に磁気センサを配置することが困難である。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、安定して被測定電流を測定でき、容易に製造可能な電流センサを提供することを目的とする。
本発明に基づく電流センサは、測定対象の電流が流れる1次導体と、1次導体を流れる電流により発生する磁界の強さを検出する少なくとも1つの磁気センサとを備える。1次導体は、1次導体の表面から裏面まで貫通した少なくとも1つの貫通部、または、1次導体の表面若しくは裏面に設けられた少なくとも1つの凹部を有する。磁気センサは、1次導体の表面側若しくは裏面側において貫通部または凹部の外側の位置、かつ、平面視にて貫通部または凹部と重なる位置に配置され、1次導体の表面と裏面とを最短で結ぶ方向および上記電流が流れる方向の両方と直交する方向の磁界を検出可能とされている。
本発明の一形態においては、電流センサは、磁気センサとして第1磁気センサと第2磁気センサとを備える。第1磁気センサと第2磁気センサとは、1次導体を挟んで互いに反対側に位置している。
本発明の一形態においては、電流センサは、第1磁気センサの検出値と第2磁気センサの検出値とを演算することにより上記電流の値を算出する算出部をさらに備える。1次導体を流れる電流により発生する磁界の強さについて、第1磁気センサの検出値の位相と第2磁気センサの検出値の位相とが逆相である。算出部が減算器または差動増幅器である。
本発明の一形態においては、電流センサは、第1磁気センサの検出値と第2磁気センサの検出値とを演算することにより上記電流の値を算出する算出部をさらに備える。1次導体を流れる電流により発生する磁界の強さについて、第1磁気センサの検出値の位相と第2磁気センサの検出値の位相とが同相である。算出部が加算器または加算増幅器である。
本発明の一形態においては、1次導体と間隔を置いて、1次導体との間に磁気センサを挟んで位置する磁性体をさらに備える。
本発明によれば、安定して被測定電流を測定可能な電流センサを容易に製造できる。
以下、本発明の各実施形態に係る電流センサについて図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る電流センサの構成を示す分解斜視図である。図2は、本発明の実施形態1に係る電流センサの構成を示す平面図である。図3は、図2の電流センサをIII-III線矢印方向から見た断面図である。図4は、本発明の実施形態1に係る電流センサの回路構成を示す回路図である。図1~3においては、後述する1次導体110の幅方向をX軸方向、1次導体110の長さ方向をY軸方向、1次導体110の厚さ方向をZ軸方向として、図示している。
図1は、本発明の実施形態1に係る電流センサの構成を示す分解斜視図である。図2は、本発明の実施形態1に係る電流センサの構成を示す平面図である。図3は、図2の電流センサをIII-III線矢印方向から見た断面図である。図4は、本発明の実施形態1に係る電流センサの回路構成を示す回路図である。図1~3においては、後述する1次導体110の幅方向をX軸方向、1次導体110の長さ方向をY軸方向、1次導体110の厚さ方向をZ軸方向として、図示している。
図1~3に示すように、本発明の実施形態1に係る電流センサ100は、測定対象の電流が流れる1次導体110と、1次導体110を流れる電流により発生する磁界の強さを検出する磁気センサ120とを備える。
本実施形態においては、1次導体110は、1次導体110の表面から裏面まで貫通した1つの貫通部を有している。具体的には、平板状の1次導体110の中央に、平面視にて円形の貫通孔110hが設けられている。電流は、1次導体110をY軸方向に流れる。
本実施形態においては、1次導体110は、銅で構成されている。ただし、1次導体110の材料はこれに限られず、銀、アルミニウムなどの金属またはこれらの金属を含む合金でもよい。
1次導体110は、表面処理が施されていてもよい。たとえば、ニッケル、錫、銀、銅などの金属またはこれらの金属を含む合金からなる、少なくとも1層のめっき層が、1次導体110の表面に設けられていてもよい。
本実施形態においては、薄板をプレス加工することにより1次導体110を形成している。ただし、1次導体110の形成方法はこれに限られず、切削または鋳造などの方法によって1次導体110を形成してもよい。
磁気センサ120は、検出軸の一方向に向いた磁界を検出した場合に正の値で出力し、かつ、検出軸の一方向とは反対方向に向いた磁界を検出した場合に負の値で出力する、奇関数入出力特性を有している。磁気センサ120の検出軸の方向(感磁方向)は、1次導体110の幅方向(X軸方向)である。
図4に示すように、本実施形態に係る電流センサ100において、磁気センサ120は、4つのAMR(Anisotropic Magneto Resistance)素子からなるホイートストンブリッジ型のブリッジ回路を有する。磁気センサ120は、差動増幅器および受動素子と接続されている。
AMR素子は、バーバーポール型電極を含むことによって、奇関数入出力特性を有している。なお、磁気センサ120が、AMR素子に代えて、GMR(Giant Magneto Resistance)若しくはTMR(Tunnel Magneto Resistance)などの磁気抵抗素子またはホール素子を有していてもよい。また、磁気センサ120が、2つの磁気抵抗素子からなるハーフ・ブリッジ回路を有していてもよい。
図1~3に示すように、磁気センサ120は、差動増幅器および受動素子と共に回路基板130に実装されている。なお、図1~3においては、差動増幅器および受動素子は図示していない。差動増幅器および受動素子は、磁気センサ120が実装されている回路基板130とは異なる回路基板に、実装されていてもよい。
本実施形態においては、磁気センサ120は、1次導体110の表面側において貫通部の外側の位置かつ平面視にて貫通部と重なる位置に配置されている。具体的には、回路基板130が、1次導体110の表面上に載置されている。磁気センサ120は、回路基板130を1次導体110との間に挟んで、貫通孔110hの直上に位置している。
上記のように、磁気センサ120の検出軸の方向(感磁方向)は、1次導体110の幅方向(X軸方向)である。すなわち、磁気センサ120は、1次導体110の表面と裏面とを最短で結ぶ方向(Z軸方向)および電流が流れる方向(Y軸方向)の両方と直交する方向(X軸方向)の磁界を検出可能とされている。
ここで、貫通部を有さない比較例の1次導体110、および、貫通孔110hが設けられた実施例の1次導体110について、1次導体110の中央の直上の位置における、1次導体110の表面110sからの距離と磁束密度との関係をシミュレーション解析した結果について説明する。
図5は、比較例に係る1次導体の横断面形状を示す断面図である。図6は、実施例に係る1次導体の横断面形状を示す断面図である。図5,6に示すように、比較例および実施例において、1次導体110の横断面の外形は、幅30mm、厚さ2.5mmとした。実施例に係る1次導体110の中央に、直径2mmの貫通孔110hを設けた。比較例および実施例において、1次導体110を流れる電流の値を100Aとして、図5,6に示すように、1次導体110の中央の直上に位置する基準線1上における磁束密度分布をシミュレーション解析により算出した。
図7は、実施例に係る1次導体の周囲に発生する磁界を模式的に示す断面図である。図7においては、図6と同一の断面視にて図示している。図8は、比較例および実施例に係る1次導体の中央の直上に位置する基準線上における、1次導体の表面からの距離とX軸方向の磁束密度との関係を示すグラフである。図8においては、縦軸に磁束密度(mT)、横軸に1次導体110の表面110sからの距離(mm)を示している。また、図8においては、実施例に係る1次導体110のデータを実線で、比較例に係る1次導体110のデータを点線で示している。
図7に示すように、いわゆる右ねじの法則によって、貫通孔110hの左側に位置する1次導体110を流れる電流10により磁界110eが発生する。同様に、貫通孔110hの右側に位置する1次導体110を流れる電流10により磁界110eが発生する。
1次導体110の中央の直上に位置する基準線1上においては、貫通孔110hの左側に位置する1次導体110を流れる電流10により発生した磁界110eによるZ軸方向の磁束密度LZと、貫通孔110hの右側に位置する1次導体110を流れる電流10により発生した磁界110eによるZ軸方向の磁束密度RZとが、打ち消し合う。一方、貫通孔110hの左側に位置する1次導体110を流れる電流10により発生した磁界110eによるX軸方向の磁束密度LXと、貫通孔110hの右側に位置する1次導体110を流れる電流10により発生した磁界110eによるX軸方向の磁束密度RXとが、組み合わされる。
図8に示すように、比較例に係る1次導体110の中央の直上に位置する基準線1上におけるX軸方向の磁束密度は、1次導体110の表面110sからの距離が大きくなるに従って低下している。一方、実施例に係る1次導体110の中央の直上に位置する基準線1上におけるX軸方向の磁束密度は、1次導体110の表面110sからの距離が4mmに到達するまでは距離が大きくなるに従って増加し、1次導体110の表面110sから4mm以上10mm以下の位置においては略一定になっている。
実施例に係る1次導体110の中央の直上に位置する基準線1上におけるX軸方向の磁束密度は、1次導体110の表面110sからの距離に関わらず、比較例に係る1次導体110の中央の直上に位置する基準線1上におけるX軸方向の磁束密度より低くなっている。これは、貫通孔110hの部分に、電流が流れていないためである。
このシミュレーション解析の結果から分かるように、本実施形態に係る電流センサ100においては、磁気センサ120を、1次導体110の表面側において貫通孔110hの外側の位置かつ平面視にて貫通孔110hと重なる位置に配置することにより、磁気センサ120に作用する磁束密度を低減することができる。よって、1次導体110に大電流が流れた場合においても、磁気センサ120の磁気抵抗素子が磁気飽和することを抑制することができる。
図9は、磁気抵抗素子に作用する磁束密度と磁気抵抗素子の出力電圧との関係を示すグラフである。図9においては、縦軸に磁気抵抗素子の出力電圧、横軸に磁気抵抗素子に作用する磁束密度を示している。
図9に示すように、磁気抵抗素子が磁気飽和していない第1領域T1においては、磁気抵抗素子に作用する磁束密度の増加に比例して磁気抵抗素子の出力電圧が増加する。磁気抵抗素子が磁気飽和している第2領域T2においては、磁気抵抗効果素子に作用する磁束密度が増加しても磁気抵抗素子の出力電圧はほとんど増加しない。
本実施形態に係る電流センサ100においては、複雑な回路によらずに1次導体110に貫通孔110hを設けた簡易な構造で磁気抵抗素子に作用する磁束密度を低減することにより、磁気センサ120を第1領域T1にて動作させることができる。その結果、電流センサ100の入力ダイナミックレンジを拡大させることができ、電流センサ100によって大電流を正確に測定することが可能となる。
また、磁気センサ120を、1次導体110の表面側において貫通孔110hの外側の位置かつ平面視にて貫通孔110hと重なる位置に配置することにより、磁気センサ120に作用するX軸方向およびZ軸方向の磁束密度を低減することができるため、磁気センサ120に加わる磁界の強度にばらつきが生ずることを抑制できる。その結果、電流センサ100によって被測定電流の大きさを安定して測定することができる。
上記のように、実施例に係る1次導体110の中央の直上に位置する基準線1上において、1次導体110の表面110sから4mm以上10mm以下の位置は、X軸方向の磁束密度が略一定になっているロバスト領域である。
本実施形態に係る電流センサ100においては、磁気センサ120が、回路基板130を1次導体110との間に挟んで、貫通孔110hの直上に位置していることにより、磁気センサ120がロバスト領域内に位置している。すなわち、磁気センサ120がロバスト領域内に位置するように、回路基板130の厚さを適宜設定している。
磁気センサ120をロバスト領域内に位置させることにより、磁気センサ120に加わる磁界の強度にばらつきが生ずることを安定して抑制できる。その結果、電流センサ100によって被測定電流の大きさをさらに安定して測定することができる。
図10は、本実施形態に係る電流センサにおいて、回路基板に実装された電子部品と磁気センサとを配線で接続した状態を示す斜視図である。図10に示すように、電源または検出部などの電子部品140を回路基板130に実装して、磁気センサ120と電子部品140とを配線150で接続した場合、配線150により形成されたループ内を、Z軸方向の磁束BZが貫くことにより誘導起電力が発生する。
しかし、本実施形態に係る電流センサ100においては、磁気センサ120を、1次導体110の表面側において貫通孔110hの外側の位置かつ平面視にて貫通孔110hと重なる位置に配置することにより、Z軸方向の磁束BZが少ない位置に、配線150により形成されたループを位置させることができる。その結果、配線150により形成されたループ内をZ軸方向の磁束BZが貫くことにより発生する誘導起電力に起因するノイズを低減できるため、電流センサ100の精度が低下することを抑制できる。
また、図7に示すように、1次導体110の表面側において貫通孔110hの外側の位置においては、磁気センサ120の感磁方向の磁界であるX軸方向の磁界がY軸方向の磁界およびZ軸方向の磁界より大きい領域が広い。よって、磁気センサ120の感磁方向の磁界であるX軸方向の磁界がY軸方向の磁界およびZ軸方向の磁界より大きい領域内に、磁気センサ120を容易に配置することができる。その結果、電流センサ100を容易に製造することができる。
なお、本実施形態に係る電流センサ100においては、1次導体110に平面視にて円形の貫通孔110hを設けたが、貫通部の形状はこれに限られず、また、貫通部の代わりに凹部が設けられていてもよい。さらに、1次導体110に複数の貫通部または凹部が設けられていてもよい。
以下、本実施形態の変形例に係る電流センサについて説明する。なお、以下の変形例に係る電流センサは、1次導体110に設けられる貫通部または凹部の形状のみ、実施形態1に係る電流センサ100と異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
図11は、本実施形態の第1変形例に係る電流センサの1次導体の外形を示す斜視図である。図12は、本実施形態の第2変形例に係る電流センサの1次導体の外形を示す斜視図である。図13は、本実施形態の第3変形例に係る電流センサの1次導体の外形を示す斜視図である。図14は、本実施形態の第4変形例に係る電流センサの1次導体の外形を示す斜視図である。
図11に示すように、1次導体110に、平面視にて楕円形の貫通孔110h1が設けられていてもよい。図12に示すように、1次導体110に、平面視にて矩形の貫通孔110h2が設けられていてもよい。この他にも、貫通孔の平面形状は、三角形などの多角形であってもよい。
図13に示すように、1次導体110に、Y軸方向に延びる貫通溝110h3が設けられていてもよい。磁気センサ120のY軸方向の位置決めの観点から、貫通孔の直上に磁気センサ120を配置する場合に比較して、貫通溝110h3の直上に磁気センサ120を配置する方が容易である。そのため、貫通孔に代えて1次導体110に貫通溝110h3を設けることによって、電流センサをさらに容易に製造することができる。
図14に示すように、1次導体110の表面に、平面視にて矩形の凹部110h4が設けられていてもよい。凹部110h4の平面形状は、矩形に限られず、円形、楕円形または三角形などの多角形であってもよい。第4変形例においては、凹部110h4の底部の上面は、平面であるが、湾曲面であってもよい。
凹部110h4が設けられた1次導体110においては、凹部110h4の底部にて、他の部分に比較して流れる電流が少なくなる。そのため、1次導体110の表面側において凹部110h4の外側の位置かつ平面視にて凹部110h4と重なる位置においては、X軸方向の磁束密度が低減する。
よって、磁気センサ120を、1次導体110の表面側において凹部110h4の外側の位置かつ平面視にて凹部110h4と重なる位置に配置することにより、磁気センサ120に作用するX軸方向の磁束密度を低減することができるため、磁気センサ120に加わる磁界の強度にばらつきが生ずることを抑制できる。その結果、電流センサによって被測定電流の大きさを安定して測定することができる。
上記のように、1次導体110に貫通部または凹部を設けることにより、磁気センサ120に作用する磁束密度を低減することができる。貫通部または凹部の平面形状、大きさおよび形成数などを変更することにより、電流センサの入力ダイナミックレンジを調整できる。
なお、1次導体110における損失の観点からは、1次導体110に占める貫通部または凹部の体積は小さい方が好ましい。1次導体110に占める貫通部または凹部の体積が大きい場合、1次導体110を流れる電流密度が高くなって発熱し、電気エネルギーがジュール熱として消費されて損失が大きくなる。磁気センサ120の配置の容易さの観点からは、貫通部または凹部が1次導体110の中央付近に設けられていることが好ましい。
以下、本発明の実施形態2に係る電流センサについて説明する。なお、本実施形態に係る電流センサは、2つの磁気センサを備える点が主に実施形態1に係る電流センサ100とは異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
(実施形態2)
図15は、本発明の実施形態2に係る電流センサの構成を示す断面図である。図16は、本発明の実施形態2に係る電流センサの回路構成を示す回路図である。図15においては、図3と同一の断面視にて図示している。
図15は、本発明の実施形態2に係る電流センサの構成を示す断面図である。図16は、本発明の実施形態2に係る電流センサの回路構成を示す回路図である。図15においては、図3と同一の断面視にて図示している。
図15に示すように、本発明の実施形態2に係る電流センサ200においては、第1磁気センサ120aが、1次導体110の表面側において貫通部の外側の位置かつ平面視にて貫通部と重なる位置に配置され、第2磁気センサ120bが、1次導体110の裏面側において貫通部の外側の位置かつ平面視にて貫通部と重なる位置に配置されている。
具体的には、第1回路基板130aが、1次導体110の表面上に載置されている。第1磁気センサ120aは、第1回路基板130aを1次導体110との間に挟んで、貫通孔110hの直上に位置している。第2回路基板130bが、1次導体110の裏面上に配置されている。第2磁気センサ120bは、第2回路基板130bを1次導体110との間に挟んで、貫通孔110hの直下に位置している。すなわち、第1磁気センサ120aと第2磁気センサ120bとは、1次導体110を挟んで互いに反対側に位置している。第1回路基板130aおよび第2回路基板130bの各々は、図示しない筐体に固定されている。筐体は、たとえば、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂などの樹脂で構成されている。なお、1次導体110に貫通部の代わりに凹部が設けられていてもよい。
第1磁気センサ120aは、差動増幅器および受動素子と共に第1回路基板130aに実装されている。第2磁気センサ120bの各々は、差動増幅器および受動素子と共に第2回路基板130bに実装されている。なお、図15においては、差動増幅器および受動素子は図示していない。
第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々の検出軸の方向(感磁方向)は、1次導体110の幅方向(X軸方向)である。すなわち、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々は、1次導体110の表面と裏面とを最短で結ぶ方向(Z軸方向)および電流が流れる方向(Y軸方向)の両方と直交する方向(X軸方向)の磁界を検出可能とされている。
第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bは、検出軸の一方向に向いた磁界を検出した場合に正の値で出力し、かつ、検出軸の一方向とは反対方向に向いた磁界を検出した場合に負の値で出力する、入出力特性を有している。具体的には、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々の磁気抵抗素子は、バーバーポール型電極を含むことにより、所定の角度に電流が流れるようにバイアスされている。第1磁気センサ120aの磁気抵抗素子における磁気抵抗膜の磁化方向と、第2磁気センサ120bの磁気抵抗素子における磁気抵抗膜の磁化方向とは、同一方向である。これにより、外部磁界の影響による出力精度の低下を小さくすることができる。
図16に示すように、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々は、4つの磁気抵抗効果素子からなるブリッジ回路を有している。電流センサ200は、第1磁気センサ120aの検出値と第2磁気センサ120bの検出値とを演算することにより1次導体110を流れる電流の値を算出する算出部190を備える。算出部190は、差動増幅器である。ただし、算出部190が減算器であってもよい。
図7に示すように、1次導体110の表面側において貫通部の外側の位置かつ平面視にて貫通部と重なる位置と、1次導体110の裏面側において貫通部の外側の位置かつ平面視にて貫通部と重なる位置とでは、X軸方向の磁束の向きが互いに反対方向となる。
すなわち、第1磁気センサ120aに作用する磁束の向きと、第2磁気センサ120bに作用する磁束の向きとが反対であるため、1次導体110を流れる電流により発生する磁界の強さについて、第1磁気センサ120aの検出値の位相と、第2磁気センサ120bの検出値の位相とは、逆相である。
よって、第1磁気センサ120aの検出した磁界の強さを正の値とすると、第2磁気センサ120bの検出した磁界の強さは負の値となる。第1磁気センサ120aの検出値と第2磁気センサ120bの検出値とは、算出部190に送信される。
算出部190は、第1磁気センサ120aの検出値から第2磁気センサ120bの検出値を減算する。この結果から、1次導体110を流れた電流の値が算出される。
本実施形態に係る電流センサ200においては、第1磁気センサ120aと第2磁気センサ120bとの間に、第1回路基板130a、第2回路基板130bおよび1次導体110が位置しているため、外部磁界源は、物理的に第1磁気センサ120aと第2磁気センサ120bとの間に位置することができない。
そのため、外部磁界源から第1磁気センサ120aに印加される磁界のうちの検出軸の方向における磁界成分の向きと、外部磁界源から第2磁気センサ120bに印加される磁界のうちの検出軸の方向における磁界成分の向きとは、同じ向きとなる。よって、第1磁気センサ120aの検出した外部磁界の強さを正の値とすると、第2磁気センサ120bの検出した外部磁界の強さも正の値となる。
その結果、算出部190が第1磁気センサ120aの検出値から第2磁気センサ120bの検出値を減算することにより、外部磁界源からの磁界は、ほとんど検出されなくなる。すなわち、外部磁界の影響が低減される。
本実施形態の変形例として、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bにおいて、検出値が正となる検出軸の方向を互いに反対方向(180°反対)にしてもよい。この場合、第1磁気センサ120aの検出する外部磁界の強さを正の値とすると、第2磁気センサ120bの検出する外部磁界の強さは負の値となる。
一方、1次導体110を流れる電流により発生する磁界の強さについて、第1磁気センサ120aの検出値の位相と、第2磁気センサ120bの検出値の位相とは同相となる。
本変形例においては、算出部190として差動増幅器に代えて加算器または加算増幅器を用いる。外部磁界の強さについては、第1磁気センサ120aの検出値と第2磁気センサ120bの検出値とを加算器または加算増幅器によって加算することにより、第1磁気センサ120aの検出値の絶対値と、第2磁気センサ120bの検出値の絶対値とが減算される。これにより、外部磁界源からの磁界は、ほとんど検出されなくなる。すなわち、外部磁界の影響が低減される。
一方、1次導体110を流れる電流により発生する磁界の強さについては、第1磁気センサ120aの検出値と第2磁気センサ120bの検出値とを加算器または加算増幅器によって加算することにより、1次導体110を流れた電流の値が算出される。
このように、第1磁気センサ120aと第2磁気センサ120bとの入出力特性を互いに逆の極性にしつつ、差動増幅器に代えて加算器または加算増幅器を算出部として用いてもよい。
本実施形態に係る電流センサ200においては、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bに作用するX軸方向およびZ軸方向の磁束密度を低減することができるため、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bに加わる磁界の強度にばらつきが生ずることを抑制できる。その結果、電流センサ200によって被測定電流の大きさを安定して測定することができる。
以下、本発明の実施形態3に係る電流センサについて説明する。なお、本実施形態に係る電流センサは、磁性体を備える点が主に実施形態1に係る電流センサ100とは異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
(実施形態3)
図17は、本発明の実施形態3に係る電流センサの外観を示す斜視図である。図18は、図17の電流センサをXVIII-XVIII線矢印方向から見た断面図である。図17,18に示すように、本発明の実施形態3に係る電流センサ300は、1次導体110と間隔を置いて、1次導体110との間に磁気センサ120を挟んで位置する磁性体170をさらに備える。
図17は、本発明の実施形態3に係る電流センサの外観を示す斜視図である。図18は、図17の電流センサをXVIII-XVIII線矢印方向から見た断面図である。図17,18に示すように、本発明の実施形態3に係る電流センサ300は、1次導体110と間隔を置いて、1次導体110との間に磁気センサ120を挟んで位置する磁性体170をさらに備える。
具体的には、磁気センサ120を実装した回路基板130が載置された1次導体110を、電気絶縁性を有する筐体160内に配置している。筐体160は、1次導体110を支持する支持部161を内側に有する。筐体160の天井部および底部の両方に、板状の磁性体170が埋設されている。筐体160の天井部に埋設された磁性体170は、1次導体110の表面側に位置している。筐体160の底部に埋設された磁性体170は、1次導体110の裏面側に位置している。
磁性体170は、フェライトまたはパーマロイなどの磁性体で構成されている。磁性体170を1次導体110の表面側と裏面側とに配置して、磁性体170によって磁気センサ120を挟むことにより、磁気センサ120の周囲の磁場分布をZ軸方向において圧縮することができる。その結果、電流センサ300を低背化できる。また、磁気センサ120に作用するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の磁束密度を低減することができるため、電流センサ300の入力ダイナミックレンジを拡大することができる。
本実施形態に係る電流センサ300においては、磁気センサ120に作用するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の磁束密度を低減することができるため、磁気センサ120に加わる磁界の強度にばらつきが生ずることを抑制できる。その結果、電流センサ300によって被測定電流の大きさを安定して測定することができる。
また、1次導体110と磁性体170との間隔を変更することにより、ロバスト領域の位置、および、磁気センサ120に作用する磁束密度の各々を調整できる。
以下、本発明の実施形態4に係る電流センサについて説明する。なお、本実施形態に係る電流センサは、磁性体を備える点が主に実施形態2に係る電流センサ200とは異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
(実施形態4)
図19は、本発明の実施形態4に係る電流センサの外観を示す斜視図である。図20は、図19の電流センサをXX-XX線矢印方向から見た断面図である。図19,20に示すように、本発明の実施形態4に係る電流センサ400は、1次導体110と間隔を置いて、1次導体110との間に第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bをそれぞれ挟んで位置する磁性体170をさらに備える。
図19は、本発明の実施形態4に係る電流センサの外観を示す斜視図である。図20は、図19の電流センサをXX-XX線矢印方向から見た断面図である。図19,20に示すように、本発明の実施形態4に係る電流センサ400は、1次導体110と間隔を置いて、1次導体110との間に第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bをそれぞれ挟んで位置する磁性体170をさらに備える。
具体的には、第1磁気センサ120aを実装した第1回路基板130aが表面上に載置され、第2磁気センサ120bを実装した第2回路基板130bが裏面上に配置された1次導体110を、電気絶縁性を有する筐体160内に配置している。第1回路基板130aおよび第2回路基板130bの各々は、筐体160に固定されている。
筐体160は、1次導体110を支持する支持部161を内側に有する。筐体160の天井部および底部の各々に、2枚の板状の磁性体170が埋設されている。筐体160の両側部の各々に、1枚の板状の磁性体170が埋設されている。筐体160の天井部に埋設された磁性体170は、1次導体110の表面側に位置している。筐体160の底部に埋設された磁性体170は、1次導体110の裏面側に位置している。
磁性体170は、フェライトまたはパーマロイなどの磁性体で構成されている。磁性体170を1次導体110の表面側と裏面側とに配置して、磁性体170によって第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bを挟むことにより、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの周囲の磁場分布をZ軸方向において圧縮することができる。その結果、電流センサ400を低背化できる。また、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々に作用するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の磁束密度を低減することができるため、電流センサ400の入力ダイナミックレンジを拡大することができる。
本実施形態に係る電流センサ400においては、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々に作用するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の磁束密度を低減することができるため、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bに加わる磁界の強度にばらつきが生ずることを抑制できる。その結果、電流センサ400によって被測定電流の大きさを安定して測定することができる。
また、1次導体110と磁性体170との間隔を変更することにより、ロバスト領域の位置、および、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bに作用する磁束密度の各々を調整できる。
さらに、磁性体170によって、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの周囲を囲むことにより、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bに外部磁界が及ぶことを抑制できる。
また、外部磁界のうちの高周波成分は、表皮効果によって磁性体170の表皮深さの2~3倍程度の深さまでしか侵入することができない。よって、磁性体170の内側に配置された第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bに外部磁界のうちの高周波成分が及ぶことを抑制できる。なお、想定される外部磁界の高周波成分の周波数に対応して、磁性体170の厚さの寸法が決定されている。
以下、本発明の実施形態5に係る電流センサについて説明する。なお、本実施形態に係る電流センサは、1つの回路基板に2つの磁気センサが実装されている点が主に実施形態4に係る電流センサ400とは異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
(実施形態5)
図21は、本発明の実施形態5に係る電流センサの構成を示す断面図である。なお、図21においては、図20と同一の断面視にて図示している。図21に示すように、本発明の実施形態5に係る電流センサ500は、1次導体110と間隔を置いて、1次導体110との間に第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bをそれぞれ挟んで位置する磁性体170をさらに備える。
図21は、本発明の実施形態5に係る電流センサの構成を示す断面図である。なお、図21においては、図20と同一の断面視にて図示している。図21に示すように、本発明の実施形態5に係る電流センサ500は、1次導体110と間隔を置いて、1次導体110との間に第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bをそれぞれ挟んで位置する磁性体170をさらに備える。
具体的には、1次導体110が筐体160にネジ止めなどにより固定されている。回路基板130cの中央に、1次導体110が挿入される矩形状の貫通孔130hが設けられている。回路基板130cは、貫通孔130hに1次導体110を挿入された状態で、筐体160内に配置される。すなわち、回路基板130cは、1次導体110に垂直に位置している。
第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bは、差動増幅器および受動素子と共に回路基板130cに実装されている。なお、図21においては、差動増幅器および受動素子は図示していない。差動増幅器および受動素子は、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bが実装されている回路基板130cとは異なる回路基板に、実装されていてもよい。
第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bは、貫通孔130hを挟んで互いに反対側に位置している。第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々は、貫通孔130hに対して間隔を置いて位置している。回路基板130cの貫通孔130hに1次導体110が挿入された状態において、第1磁気センサ120aは貫通孔110hの直上に位置し、第2回路基板130bは貫通孔110hの直下に位置している。すなわち、第1磁気センサ120aと第2磁気センサ120bとは、1次導体110を挟んで互いに反対側に位置している。
本実施形態に係る電流センサ500においては、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々は、ロバスト領域内に位置している。すなわち、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bがロバスト領域内に位置するように、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々と貫通孔130hとの間隔を適宜設定している。
第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々の検出軸の方向(感磁方向)は、1次導体110の幅方向(X軸方向)である。すなわち、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々は、1次導体110の表面と裏面とを最短で結ぶ方向(Z軸方向)および電流が流れる方向(Y軸方向)の両方と直交する方向(X軸方向)の磁界を検出可能とされている。
具体的には、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々の磁気抵抗素子は、バーバーポール型電極を含むことにより、所定の角度に電流が流れるようにバイアスされている。第1磁気センサ120aの磁気抵抗素子における磁気抵抗膜の磁化方向と、第2磁気センサ120bの磁気抵抗素子における磁気抵抗膜の磁化方向とは、同一方向である。これにより、外部磁界の影響による出力精度の低下を小さくすることができる。
本実施形態にいては、筐体160の天井部、底部および両側部の各々に、1枚の板状の磁性体170が埋設されている。筐体160の天井部に埋設された磁性体170は、1次導体110の表面側に位置している。筐体160の底部に埋設された磁性体170は、1次導体110の裏面側に位置している。
本実施形態に係る電流センサ500においても、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bの各々に作用するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の磁束密度を低減することができるため、第1磁気センサ120aおよび第2磁気センサ120bに加わる磁界の強度にばらつきが生ずることを抑制できる。その結果、電流センサ500によって被測定電流の大きさを安定して測定することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 基準線、10 電流、100,200,300,400,500 電流センサ、110 1次導体、110e 磁界、110h1,110h2,110h 貫通孔、110h3 貫通溝、110h4 凹部、110s 表面、120 磁気センサ、120a 第1磁気センサ、120b 第2磁気センサ、130,130c 回路基板、130a 第1回路基板、130b 第2回路基板、130h 貫通孔、140 電子部品、150 配線、160 筐体、161 支持部、170 磁性体、190 算出部、BZ 磁束、LX,LZ,RX,RZ 磁束密度、T1 第1領域、T2 第2領域。
Claims (5)
- 測定対象の電流が流れる1次導体と、
前記1次導体を流れる前記電流により発生する磁界の強さを検出する少なくとも1つの磁気センサとを備え、
前記1次導体は、前記1次導体の表面から裏面まで貫通した少なくとも1つの貫通部、または、前記1次導体の前記表面若しくは前記裏面に設けられた少なくとも1つの凹部を有し、
前記磁気センサは、前記1次導体の表面側若しくは裏面側において前記貫通部または前記凹部の外側の位置、かつ、平面視にて前記貫通部または前記凹部と重なる位置に配置され、前記1次導体の前記表面と前記裏面とを最短で結ぶ方向および前記電流が流れる方向の両方と直交する方向の磁界を検出可能とされている、電流センサ。 - 前記磁気センサとして第1磁気センサと第2磁気センサとを備え、
前記第1磁気センサと前記第2磁気センサとは、前記1次導体を挟んで互いに反対側に位置している、請求項1に記載の電流センサ。 - 前記第1磁気センサの検出値と前記第2磁気センサの検出値とを演算することにより前記電流の値を算出する算出部をさらに備え、
前記1次導体を流れる前記電流により発生する磁界の強さについて、前記第1磁気センサの検出値の位相と前記第2磁気センサの検出値の位相とが逆相であり、
前記算出部が減算器または差動増幅器である、請求項2に記載の電流センサ。 - 前記第1磁気センサの検出値と前記第2磁気センサの検出値とを演算することにより前記電流の値を算出する算出部をさらに備え、
前記1次導体を流れる前記電流により発生する磁界の強さについて、前記第1磁気センサの検出値の位相と前記第2磁気センサの検出値の位相とが同相であり、
前記算出部が加算器または加算増幅器である、請求項2に記載の電流センサ。 - 前記1次導体と間隔を置いて、前記1次導体との間に前記磁気センサを挟んで位置する磁性体をさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の電流センサ。
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Legal Events
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121 | Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application |
Ref document number: 15793170 Country of ref document: EP Kind code of ref document: A1 |
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NENP | Non-entry into the national phase |
Ref country code: DE |
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NENP | Non-entry into the national phase |
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122 | Ep: pct application non-entry in european phase |
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