JP2023160700A - 電流検出器 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁気検出素子に印加される磁束密度を増大させ、かつ外部磁界による不要出力を抑制する電流検出器を得る。【解決手段】略環状の集磁コア1a、1bは空隙部2a、2bを突き合わせるように配置され、空隙部2a、2b内には磁気検出素子3a、3bが配置され、集磁コア1a、1bに形成される夫々の貫通孔に同一極性の被測定電流5a、5bが流れる導体4a、4bを貫通させる。被測定電流5a、5bにより空隙部2a、2b内にそれぞれ逆極性の磁束が発生し、磁気検出素子3a、3bはそれらの磁束密度に比例する電圧を出力し、それらの後段にある演算回路17によって差動演算される。【選択図】図1

Description

この発明は、磁性体コアを有する電流検出器に関するものである。
従来の電流検出器(電流センサ)では、略環状の集磁コアに囲まれるように、被測定電流が流れる導体が配置される。前記集磁コアには空隙が設けられ、空隙にはホール素子などの磁気検出素子が挿入される構成が一般的である。(例えば、特許文献1(図6)参照)。
しかし近年では、集磁コアを有しない電流検出器、いわゆるコアレス型電流検出器が開発されており、被測定電流が流れる2本の導体の近傍に、同方向に流れる被測定電流によって生じる磁界の強さを夫々検出するための2個の磁気検出素子を配置し、その2個の磁気検出素子によって得られた各検出信号の差を取ることで被測定電流の大きさを求める方法(例えば、特許文献1(図1)参照)が用いられる。
例えば特許文献1(図1)の方法では、2個の磁気検出素子の検出信号の差動演算により、外部磁界による影響を低減している。被測定電流によって発生する磁束は、2個の磁気検出素子に互いに逆方向の磁束を貫通させ、2つの検出信号の差を取ることで両者は加算するが、近傍を通過する電流路や隣相の電流検出器等から発生する磁界(外部磁界)は2個の電流検出素子に同相(同方向)の磁束を与えるため、2個の磁気検出素子の検出信号の差を取ることにより減算され、電流検出器の不要出力の低減に効果がある。
特開2005-283451
特許文献1(図1)に記載のコアレス型構造では、2個の磁気検出素子の差分を算出することにより、外部磁界による影響の低減を図りつつ、導体に流れる被測定電流を計測するものであるが、コアを有していない構造であるため、従来の略環状コアを使用した電流検出器と比較して磁気検出素子に印加される磁束密度が小さくなり、磁気検出素子からの出力もそれに比例して小さくなるため、相対的に後段の演算回路における増幅率が増大することによって、回路全体のS/N比が縮小することにより外来ノイズによる電流検出器の出力変動が大きくなるという問題があった。
上記のように、演算回路における増幅率が増大した場合、隣相等に配置される他の電流検出器や、周辺に配置された導体に流れる電流によって発生する磁界を、2個の磁気検出素子によって検出し差分を算出した場合であっても、増幅率が大きいことにより不要出力も大きく増幅される。この影響を低減するために、隣相や周辺の導体との距離を長く離したり、意図しない磁界を遮るためのシールドを追加する必要が発生するという問題があった。
本発明は、かかる問題を解決するためになされたもので、被測定電流によって生じる磁束の方向(極性)が互いに逆になる集磁コアの空隙部を2つ設け、2つの空隙部内の磁気検出素子の検出信号の差分を取ることで、磁気検出素子に印加される磁界を集磁コアによって増幅させる効果と、2個の磁気検出素子の出力の差分を算出する差動演算を利用した、外部磁界による不要出力の抑制効果と、双方の効果を併せ持つ電流検出器を提供することを目的とするものである。
本発明の電流検出器は、空隙部と貫通孔を備えた略環状又は略U字状の第1及び第2の集磁コアと、第1の被測定電流が貫通する第1の集磁コアの第1の貫通孔と、第2の被測定電流が貫通する第2の集磁コアの第2の貫通孔と、第1の集磁コアの第1の空隙部に配置され、第1の被測定電流により生じる磁束の磁束密度を検出する第1の磁気検出素子と、第2の集磁コアの第2の空隙部に配置され、第2の被測定電流により生じる磁束の磁束密度を検出する第2の磁気検出素子と、第1の磁気検出素子の第1の検出出力と第2の磁気検出素子の第2の検出出力を演算する演算手段を有する電流検出器であって、第1の被測定電流による第1の空隙部の磁束と、第2の被測定電流による第2の空隙部の磁束はそれぞれ逆極性であり、演算手段は第1の検出出力と第2の検出出力を差動演算するものである。
この発明によれば、被測定電流によって発生する磁束の極性が、それぞれ逆極性になるように集磁した2つの集磁コアの空隙部内に配置した2つの磁気検出素子の出力を差動演算することで、外部磁界による不要出力を抑制し小さな電流も正確に測定可能で、設置自由度が高い電流検出器とすることができる。
本発明の実施の形態1における電流検出器100を示す構成図である。 本発明の実施の形態1における集磁コア部の正面図である。 本発明の実施の形態1における図2のA-A断面図である。 本発明の実施の形態1における空隙部磁束密度シミュレーションの結果を示す表とグラフである。 本発明の実施の形態1における外部磁界による不要出力シミュレーション条件を示す図である。 本発明の実施の形態1における外部磁界による不要出力シミュレーションの結果を示す表である。 本発明の実施の形態1における分岐する単一の導体による集磁コア部を示す斜視図である。 本発明の実施の形態1における磁気検出素子と演算回路を1つのパッケージに集約した時の集磁コア部構成を示す斜視図である。 本発明の実施の形態2における第1の別形状の集磁コア部を示す斜視図及び正面図である。 本発明の実施の形態2における第1の別形状の集磁コア部の空隙部磁束密度シミュレーションの結果を示す表とグラフである。 本発明の実施の形態2における第2の別形状の集磁コア部を示す斜視図及び正面図である。 本発明の実施の形態2における第2の別形状の集磁コア部の空隙部磁束密度シミュレーションの結果を示す表とグラフである。 本発明の実施の形態2における第3の別形状の集磁コア部を示す斜視図及び正面図である。 本発明の実施の形態2における第3の別形状の集磁コア部の空隙部磁束密度シミュレーションの結果を示す表とグラフである。 本発明の実施の形態2における第4の別形状の集磁コア部を示す斜視図及び正面図である。 本発明の実施の形態2における第4の別形状の集磁コア部の空隙部磁束密度シミュレーションの結果を示す表とグラフである。 本発明の実施の形態3における集磁コア部を示す斜視図、上面図及び正面図である。 本発明の実施の形態3における集磁コア部の空隙部磁束密度シミュレーションの結果を示す表とグラフである。 本発明の実施の形態4における集磁コア部を示す斜視図及び正面図である。 本発明の実施の形態4における集磁コア部の空隙部磁束密度シミュレーションの結果を示す表である。 本発明の実施の形態4における第1の外部磁界による不要出力シミュレーション条件を示す図である。 本発明の実施の形態4における第1の外部磁界による不要出力シミュレーションの結果を示す表である。 本発明の実施の形態4における第2の外部磁界による不要出力シミュレーション条件を示す図である。 本発明の実施の形態4における第2の外部磁界による不要出力シミュレーションの結果を示す表である。 従来のコアレス型電流検出器の磁気検出部を示す斜視図、側面図及び正面図である。 従来のコアレス型電流検出器での、外部磁界による不要出力シミュレーション条件を示す図である。 従来のコアレス型電流検出器での、外部磁界による不要出力シミュレーション結果を示す表である。 従来のコアレス型電流検出器と本発明の実施の形態1における外部磁界による不要出力シミュレーション結果を示すグラフである。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における電流検出器100を示す構成図、図2はその集磁コア部(導体、磁気検出素子を含む)の正面図で、導体4a、4bに被測定電流5a、5bが流れたときの磁束6a、6b及び16a、16bを示す。図3は、図2のA-A断面図で、電流検出器100の集磁コア1a、1bと磁気検出素子3a、3bの位置関係を示す。図4は空隙部磁束密度シミュレーションの結果を示す表とグラフで、導体4a、4bに被測定電流5a、5bが流れたときの集磁コア1a、1bの空隙部に発生する磁束密度をシミュレーションによって算出した結果を示す。図5は外部磁界による不要出力シミュレーション条件を示す図で、電流検出器100の周囲に導体24を配置して電流25を通電している。図6は外部磁界による不要出力シミュレーションの結果を示す表で、外部磁界を発生させたときの不要出力をシミュレーションによって算出した結果を示す。図7は分岐する単一の導体による集磁コア部を示す斜視図、図8は磁気検出素子と演算回路を1つのパッケージに集約した時の集磁コア部構成を示す斜視図である。
図1において、電流検出器100は、空隙部2a、2bを持つ略環状の集磁コア1a、1bを、互いの空隙部2a、2bを対面して所定の間隔(符号f、図2参照)をあけて突き合わせるように配置した集磁コア部1と、集磁コア1a、1bの中心部に形成される貫通孔に貫通する導体4a、4bと、空隙部2a、2bに収容される磁気検出素子3a、3bと、磁気検出素子3a、3bの検出出力7a、7bを入力し演算し出力する演算回路17及びコンデンサ等の電子部品(図示せず)を実装した主にフィルタ回路を有する電子回路部27とその出力37から構成されている。導体4a、4bには被測定電流5a、5bが同じ方向(矢印方向)に流れるよう通電される。
ここで集磁コア1a、1bは、磁性材料である例えばフェライトやケイ素鋼、パーマロイ等によって形成され、加工方法は焼結、積層や巻き付け等による。磁気検出素子3a、3bとしては例えばホール素子やMR、GMR、TMR等の磁気抵抗素子を使用する。
図2に示すように、略環状の集磁コア部1の夫々の貫通孔に貫通した導体4a、4bに同じ方向(極性)に被測定電流5a、5bが流れたときに発生する磁束はアンペールの法則(右ねじの法則)に従い、集磁コア1a、1bに時計周り方向の磁束6a、6bが発生し、集磁コア1a、1bの突き合わせるように近接し対向して配置された空隙部2a、2bに、逆向き(逆極性)の磁束16a(図示下-Y方向)、16b(図示上+Y方向)が発生し、磁気検出素子3a、3bへ印加される。集磁コア1a、1bの外形は略直方体形状であり、空隙部2a、2bの対向する距離の平均値と集磁コア1a、1bの対向する距離の平均値は同じく距離fとなる。本発明では特に説明しない場合、貫通孔の貫通方向及び導体4a、4b等の2つの導体の延伸方向をZ方向、導体4a、4b等の2つの導体の並び方向をX方向、それらと直交する方向をY方向とし、図示矢印方向を+方向として説明する。
磁気検出素子3a、3bは、集磁コア1a、1bの空隙部中心乃至その周辺に配置(図3参照)され、空隙部2a、2b幅方向(Y方向)に感磁軸を持ち、空隙部内に発生する磁束16a、16bの空隙幅方向(Y方向)の強さ(磁束密度)に比例し、磁束の方向(極性)に対応した極性の電圧を検出出力7a、7b(図1参照)に出力し、磁気検出素子3a、3bの後段の演算回路17(図1参照)によって差動演算される。
このように構成された電流検出器100において、導体4a、4bに被測定電流5a、5bが流れたときの磁気検出素子3a、3bから出力される電圧を夫々Vha、Vhbとし、演算回路17の増幅率をAとしたとき、電流検出器100の出力37(出力電圧Vh)は、以下の(1)式で表すことができる。
Vh=(Vha-Vhb)×A・・・(1)
このとき、集磁コア1bの空隙部2bに発生する磁束は、集磁コア1aの空隙部2aに発生する磁束に対して逆極性であるため、被測定電流5a、5bの電流をIa、Ibとし、磁気検出素子3a、3bの変換係数をBとすると 電流検出器の出力37(出力電圧Vh)は、以下の(2)~(4)式で表すことができる。
Vha=Ia×B・・・(2)
Vhb=-Ib×B・・・(3)
Vh=(Ia+Ib)×B×A・・・(4)以上より被測定電流5a、5bの合計電流(Ia+Ib)が検出できる。
図4は、導体4a、4bに同じ方向(極性)の被測定電流5a、5bを流したときの磁気検出素子3a、3bが検出する、集磁コア1a、1bの夫々の空隙部2a、2b中心の磁界の磁束密度をシミュレーションした結果を示す。
ここでは、電流検出器100の定格電流(被測定電流の最大値)を10Aと想定し、シミュレーション条件として、図2に示す符号a(集磁コア1a、1bのX方向長さ)=8mm、b(集磁コア1a、1bのY方向長さ)=8mm、c(集磁コア1a、1bの貫通穴のX方向長さ)=4mm、d(集磁コア1a、1bの貫通穴のY方向長さ)=4mm、e(集磁コア1a、1bの空隙部幅)=2.5mm、コアの厚み(Z方向長さ、図示せず)=4mmとし、被測定電流は定格電流値の10A(5aが5A、5bが5A)を通電させるものとする。また、磁気検出素子の感磁点は図2の集磁コア1a、1bの空隙部2a、2bそれぞれの中心とする。さらに、符号f(集磁コア1a、1bとのX方向空隙部間距離)の距離を1mm~5mmまで変化させる。表は空隙部間距離(符号f、単位mm)を変えた場合の集磁コア1aと集磁コア1bの空隙部2a、2b中心の磁束密度(単位mT)と両者の差分値(以降、定格測定差分値と記す。単位mT)を示し、グラフは空隙部間距離(符号f)と定格測定差分値の関係を示す。
上記シミュレーションにより、空隙部間距離(符号f)が2.5mmの時の集磁コア1a、1bの空隙中心部の磁気検出素子3a、3bの感磁軸方向(Y方向)に発生する磁束密度はそれぞれ2.387mT、-2.386mTとなり、差動演算すると、定格測定差分値は4.773mTとなる(図4参照)。さらに、符号fの距離を1mm~5mmまで変化させた場合、集磁コア1a、1b間の距離を離すほど空隙部2a、2b内に発生する磁束が大きくなり符号fが1mmの時の4.590mTが、2.5mmを超えたあたりで磁束密度の増加は鈍化することが分かる。したがって本シミュレーションによれば、集磁コア1a、1b間の距離(符号f)は空隙部幅(符号e)に相当する2.5mm以上とすることで空隙部内に発生する磁束を適正化できる。
ここで、比較のために従来のコアレス型電流検出器の磁気検出素子が検出する磁束密度について、図25に示す特許文献1(図1)を例に説明する。
図25(a)は、従来のコアレス型電流検出器の磁気検出部を示す斜視図で、磁気検出素子(磁気検出部)13a、13bが設けられるとともに、2本の導体(被測定電流を通電する導体)74a、74bが配置されている。
導体74a、74bは延伸方向(Z方向)に対してX方向に平行に設置され、被測定電流35a、35bが導体74a、74bを同一方向(図示矢印方向)にそれぞれ流れることができる。また、磁気検出素子13a、13bはX方向に感磁軸を持ち、導体74a、74bに同方向(-Z方向)にそれぞれ流れる被測定電流35a、35bによって生じる磁束が互いに逆向き(磁気検出素子13aは+X方向、磁気検出素子13bは-X方向)に感磁面を貫通するようにそれぞれ配置されている。
図25(b)、図25(c)はシミュレーション条件を示す図で、シミュレーション条件として、図25(b)に示す符号a8(導体74a、74bの軸中心と磁気検出素子13aの感磁点、及び導体74a、74bの軸中心と磁気検出素子13bの感磁点のY方向の長さ)=2mm、図25(c)に示す符号b8(導体74a軸中心と磁気検出素子13aの、13bの感磁点及び導体74b軸中心と磁気検出素子13a、13bの感磁点までのX方向の長さ)=2mmとし、被測定電流10A(被測定電流35aに5A、被測定電流35bに5A)を通電させるものとする。
上記シミュレーション結果では、磁気検出素子13a、13bの感磁軸方向(X方向)に発生する磁束密度はそれぞれ、0.501mT、-0.495mTとなり、差動演算すると定格出力差分値は0.996mTとなる。したがって本実施の形態1(定格測定差分値は4.773mT)では従来のコアレス型電流検出器に比べ、4.79(=4.773mT/0.996mT)倍の磁束密度を得ることが可能であり、より小さな電流まで高感度に検出することができる。
また、ここでは従来のコアレス型電流検出器における、近傍に設置された電線や隣相に設置される電流検出器の導体に電流が流れることによる外部磁界の影響についてシミュレーションを用いて説明する。
図26は従来のコアレス型電流検出器での、外部磁界による不要出力シミュレーション条件を示す図で、図26(a)は、図25で示した従来のコアレス型電流検出器の磁気検出部の近傍を通過する導体84を示す斜視図、図26(b)は導体84の位置を示す図であり、導体84の軸中心は導体74a、74bの軸中心を結んだ延長線上(X方向)にあり、符号c8が磁気検出素子13a、13bの感磁点からのX方向の距離を示す。
シミュレーションでは、この導体84を外部磁界発生源の代表とし、導体84に電流検出器の定格電流相当(ここでは10A)の電流が流れた時の、従来のコアレス型電流検出器の磁気検出素子13a、13bが検出する外部磁界起因の磁束密度の両者の差分値(以降、外部磁界差分値と記す)を求める。導体84軸中心と感磁素子13a、13bの感磁点との距離(符号c8)は5mmから150mmまで変化させ、外部磁界差分値の変化を確認する。
またシミュレーションで、外部磁界の影響を無くすためには、導体84軸中心と磁気検出素子13a、13bの感磁点との距離(符号c8)をどの程度離すのが望ましいかの目安を求める。電流検出器に被測定電流最小値(ここでは定格電流の10%の1A)が流れた時の磁気検出素子13a、13bが検出する被測定電流起因の磁束密度の両者の差分値(以降、最小測定差分値と記す)に対して、外部磁界差分値は1%以下程度に抑えることが望ましい。
図27は、外部磁界による不要出力シミュレーション結果を示す図で、従来のコアレス型電流検出器における距離c8(単位mm)毎の、磁気検出素子13a、13bの感磁点での磁束密度(単位mT)、両者の外部磁界差分値(単位mT)と、外部磁界差分値の最小測定差分値(ここでは0.1mT)との割合(単位%)を示す表で、図28は、横軸が距離c8(単位mm)、縦軸が外部磁界差分値の割合(単位%)を示す対数目盛グラフで、破線が従来のコアレス型電流検出器を示す。
図28の破線に示すように、外部磁界差分値の割合は距離c8が大きくなるに従い小さくなり、外部磁界影響の無い目安である割合1%(グラフ上に一点鎖線で示す)を下回るには、距離c8を90mm以上離すことになる。
次に、本実施の形態1の電流検出器における、近傍に設置された電線や隣相に設置される電流検出器の導体に電流が流れることによる外部磁界の影響についてシミュレーションを用いて説明する。
図5は実施の形態1の電流検出器100での、外部磁界による不要出力シミュレーション条件を示す図で、図5(a)は、図2で示した電流検出器100の集磁コア部の近傍を通過する導体24を示す斜視図、図5(b)は導体24の位置を示す図であり、導体24の軸中心は導体4a、4bの軸中心を結んだ延長線上(X方向)にあり、符号iが磁気検出素子3a、3bの両感磁点の中心からのX方向の距離を示す。
シミュレーションでは、この導体24を外部磁界発生源の代表とし、導体24に電流検出器100の定格電流相当(ここでは10A)の電流が流れた時の、電流検出器100の磁気検出素子3a、3bが検出する外部磁界差分値(外部磁界起因の磁束密度の両者の差分値)を求める。導体24軸中心と感磁素子3a,3bの両感磁点の中心との距離(符号i)は11.25mmから15.25mmまで変化させ、外部磁界差分値の変化を確認する。
図6は、外部磁界による不要出力シミュレーション結果を示す図で、電流検出器100における距離i(単位mm)毎の、磁気検出素子3a、3bの感磁点での磁束密度(単位mT)、両者の外部磁界差分値(単位mT)と、外部磁界差分値の最小測定差分値(ここでは0.48mT)との割合(単位%)を示す表で、図28は、横軸が距離i(単位mm)、縦軸が外部磁界差分値の割合(単位%)を示す対数目盛グラフで、実線が電流検出器100を示す。
図28の実線に示すように、外部磁界差分値の割合は距離iが大きくなるに従い小さくなるが、距離iが11.25mmで外部磁界影響の無い目安である割合1%(グラフ上に一点鎖線で示す)を下回っている。
従来のコアレス型電流検出器では、近傍導体を90mm以上離すことになるのに比べ、本実施の形態では、近傍導体が電流検出器100の直近にあってもその磁界の影響を受けることが無いため、電流検出器の設置位置の自由度が極めて高い。
また、従来のコアレス型電流検出器では、被測定電流を通電する導体と磁気検出素子の物理的な位置関係が、磁気検出素子の測定差分値に大きく影響するため、導体と磁気検出素子は物理的に一体化しておく必要があるが、本実施の形態では、集磁コア1a、1bを備えることにより、集磁コア1a、1bの貫通孔を通過する被測定電流5a、5bによって発生する磁界は、導体4a、4bと磁気検出素子3a、3bの位置関係に依らず集磁コア1a、1bによって集磁されたのち、集磁コア空隙部2a、2bを通過するため、被測定電流5a、5bの流れる導体4a、4bと磁気検出素子3a、3bとの位置関係の自由度が高く、電流検出器に導体を備えず、導体貫通用の貫通孔を備えた貫通孔方式での電流検出器の提供も可能である。貫通孔方式では、電流検出器を例えばモータ駆動用インバータ等へ組み込む時に使用者の要求に合わせた導体を組み込むことが可能である。
導体4a、4bは円柱形状に限られず、たとえば直方体形状であってもよい。また、図7に示すように、板状の導体14を経路途中で分岐させ、集磁コア1a、1bの貫通孔へ分岐路14a、14bを貫通させ、その後経路を合流させる形状とすることで、単一の導体で上記構成としてもよい。
磁気検出素子3a、3b、演算回路17は、単一パッケージの集積回路(IC)8内に構成してもよい(図8参照)
実施の形態2.
実施の形態1では、集磁コアとして、その外形が略直方体形状としていたが、ここでは別形状の形態について説明する。
図9(a)は、第1の別形状の集磁コア部(導体、磁気検出素子を含む)を示す斜視図で、図9(b)はその正面図である。図9(b)において11aと11bが集磁コアで、この形状が実施の形態1と異なり、図9(b)に示されるように集磁コア11a、11bの空隙部12a、12bの図示上下を角度θ2で斜めに切り落とし、集磁コア11a、11bの向かい合う面の間隔を磁気検出素子3a、3bから離れるほど長くさせた形状を有する。よって集磁コア11a、11bの対向する距離の平均値は、空隙部12a、12bの対向する距離の平均値に比べて長くなる。
本集磁コア形状によれば、集磁コア11a、11b間の対向する平均的な距離が実施の形態1に比べ長くなることにより2つの集磁コア11a、11b間の磁気抵抗を増加させ、集磁コア11a、11b間の磁束の漏れ移動を抑制し、空隙部12a、12b間の距離(図9(b)の符号f2)を広げることなく夫々の空隙部12a、12bに逆極性の磁束を発生させることができるため、電流検出器の外形(X方向長さ)をより小さくすることも可能である。
図10は、空隙部磁束密度シミュレーション結果を示す表とグラフで、図9の導体4a、4bに被測定電流を流したときの、集磁コア11a、11bの夫々の空隙中心部の磁界の磁束密度をシミュレーションした結果を示す。
ここでは、シミュレーション条件として、図9に示す符号a2(集磁コア11a、11bのX方向長さ)=8mm、b2(集磁コア11a、11bのY方向長さ)=8mm、c2(集磁コア11a、11bの貫通孔のX方向長さ)=4mm、d2(集磁コア11a、11bの貫通孔のY方向長さ)=4mm、e2(集磁コア11a、11bの空隙部のY方向長さ)=2.5mm、θ2=45度、コアの厚み(Z方向長さ、図示せず)=4mmとし、被測定電流を10A(導体4a、4bに同方向にそれぞれ5A)通電させるものとする。さらに、符号f2(集磁コア11a、11bの空隙部間距離)の距離を1mm~5mmまで変化させる。表は空隙部間距離(符号f2、単位mm)を変えた場合の集磁コア11aと集磁コア11bの空隙中心部の磁束密度(単位mT)と両者の差分値(定格測定差分値、単位mT)を示し、グラフは空隙部間距離と定格測定差分値の関係を示す。
上記シミュレーションにより、空隙部間距離(符号f2)が2.5mmの時の集磁コア11a、11bの空隙中心部に発生する磁束密度はそれぞれ2.432mT、-2.447mTとなり、差動演算すると、定格測定差分値は4.879mTとなる(図10参照)。さらに、符号f2の距離を1mm~5mmまで変化させた場合、実施の形態1のfが1mmの時の4.590mTに対し、f2が1mmの時は4.832mTとなり空隙部間の距離によらずほぼ一定の値となっていることから、前述の通り空隙部間の距離を短くし、電流検出器の外形をより小さくすることも可能である。
なお、外部磁界の影響の低さや設置自由度の高さについても、実施の形態1と同様の効果を有する。
図11(a)は、第2の別形状の集磁コア部(導体、磁気検出素子を含む)を示す斜視図で、図11(b)はその正面図である。図11(b)に示されるように21aと21bが集磁コアで、この形状が実施の形態1と異なり、集磁コア21a、21bは円環状コアの一部に空隙を持たせた略円環状の集磁コアであり、空隙部22a、22bを向かい合わせるように配置させた形状を有する。
本集磁コア形状によれば、集磁コア21a、21bは略円環状であるためケイ素鋼板等の巻き付け加工によって集磁コアを形成することができ、ケイ素鋼板等の積層やフェライトに比べ磁気飽和特性やヒステリシス特性において、より良好な特性を得ることができる。
図12は、空隙部磁束密度シミュレーション結果を示す表とグラフで、図11(b)の導体4a、4bに被測定電流を流したときの、集磁コア21a、21bの夫々の空隙中心部周辺の磁界の磁束密度をシミュレーションした結果を示す。
ここでは、シミュレーション条件として、図11(b)に示す符号a3(集磁コア21a、21bの外径)=8mm、b3(集磁コア21a、21bの内径)=4mm、e3(集磁コア21a、21bの空隙部のY方向長さ)=2.5mm、コアの厚み(Z方向長さ、図示せず)=4mmとし、被測定電流を10A(導体4a、4bに同方向にそれぞれ5A)通電させるものとする。さらに、符号f3(集磁コア21a、21bの空隙部間距離)の距離を1mm~5mmまで変化させる。表は空隙部間距離(符号f3、単位mm)を変えた場合の集磁コア21aと集磁コア21bの空隙中心部の磁束密度(単位mT)と両者の差分値(定格測定差分値、単位mT)を示し、グラフは空隙部間距離と定格測定差分値の関係を示す。
上記シミュレーションにより、空隙部間距離(符号f3)が2.5mmの時の集磁コア21a、21bの空隙中心部に発生する磁束密度はそれぞれ2.426mT、-2.432mTとなり、差動演算すると、定格測定差分値は4.859mTとなる(図12参照)。さらに、符号f3の距離を1mm~5mmまで可変化させた場合、空隙部間の距離によらずほぼ一定の値となっていることが分かり第1の別形状の集磁コア部と同様の効果を有する。
図13(a)は、第3の別形状の集磁コア部(導体、磁気検出素子を含む)を示す斜視図で、図13(b)はその正面図である。図13(b)に示されるように31aと31bが集磁コアで、この形状が実施の形態1と異なり、空隙部32a、32bを集磁コア31a、31bの貫通孔から連続するU字形状とし、空隙部側外形を空隙部に向けて図示上下に角度θ4で斜めに切り落とした形状を有する。また導体34a、34bは薄板形状をしている。
本集磁コア形状によれば、前記空隙部形状により貫通孔の高さ(Y方向長さ)を導体34a、34bが貫通可能な最小限に抑え、Y方向に低背化を行うことが可能である。
図14は、空隙部磁束密度シミュレーション結果を示す表とグラフで、図13(b)の導体34a、34bに被測定電流を流したときの、集磁コア31a、31bの夫々の空隙中心部の磁界の磁束密度をシミュレーションした結果を示す。
ここでは、シミュレーション条件として、図13(b)に示す符号a4(集磁コア31a、31bのX方向長さ)=8mm、b4(集磁コア31a、31bのY方向長さ)=6.5mm、c4(集磁コア31a、31bの空隙部(貫通孔)のX方向長さ)=6mm、e4(集磁コア31a、31bの空隙部のY方向長さ)=2.5mm、θ4=45度、コアの厚み(Z方向長さ、図示せず)=4mmとし、被測定電流を10A(導体34a、34bに同方向にそれぞれ5A)通電させるものとする。さらに、符号f4(集磁コア31a、31bの空隙部間距離)の距離を1mm~5mmまで変化させる。表は空隙部間距離(符号f4、単位mm)を変えた場合の集磁コア31aと集磁コア31bの空隙中心部(ここでは、集磁コア31a、31bの空隙部外端から1mm、空隙部のY方向長さ中心及びコアの厚み中心の位置を空隙部中心とする)の磁束密度(単位mT)と両者の差分値(定格測定差分値、単位mT)を示し、グラフは空隙部間距離と定格測定差分値の関係を示す。
上記シミュレーションにより、空隙部間距離(符号f4)が2.5mmの時の集磁コア31a、31bの空隙中心部に発生する磁束密度はそれぞれ2.464mT、-2.468mTとなり、差動演算すると、定格測定差分値は4.932mTとなる(図14参照)。さらに、符号f4の距離を1mm~5mmまで変化させた場合、空隙部間の距離によらずほぼ一定の値となっていることが分かり第1の別形状の集磁コア部と同様の効果を有する。
図15(a)は、第4の別形状の集磁コア部(導体、磁気検出素子を含む)を示す斜視図で、図15(b)はその正面図である。集磁コア41a、41bを空隙部42a、42bを上方又は下方へ偏心させた場合を示す。図15(b)に示されるように41aと41bが集磁コアで、この形状が実施の形態1と異なり、空隙部42a、42bを集磁コア41a、41bの貫通孔の(上面又は)下面に沿う位置と、貫通孔の(下面又は)上面から角度θ5の斜め方向に張り出した形状によって空隙部を持たせた形状を有する。
図16は、空隙部磁束密度シミュレーション結果を示す表とグラフで、図15(b)の導体4a、4bに被測定電流を流したときの、集磁コア41a、41bの夫々の空隙中心部周辺の磁界の磁束密度をシミュレーションした結果を示す。
ここでは、シミュレーション条件として、図15(b)に示す符号a5(集磁コア41a、41bのX方向長さ)=10mm、b5(集磁コア41a、41bのY方向長さ)=8mm、c5(集磁コア41a、41bの貫通孔のX方向長さ)=4mm、d5(集磁コア41a、41bの貫通孔のY方向長さ)=4mm、e5(集磁コア41a、41bの空隙部のY方向長さ)=2.5mm、θ5=45度、コアの厚み(Z方向長さ、図示せず)=4mmとし、被測定電流を10A(導体4a、4bに同方向にそれぞれ5A)通電させるものとする。さらに、符号f5(集磁コア41a、41bの空隙間距離)の距離を1mm~5mmまで変化させる。表は空隙部間距離(符号f5、単位mm)を変えた場合の集磁コア41aと集磁コア41bの空隙中心部の磁束密度(単位mT)と両者の差分値(定格測定差分値、単位mT)を示し、グラフは空隙部間距離と定格測定差分値の関係を示す。
上記シミュレーションにより、空隙部間距離(符号f5)が2.5mmの時の集磁コア41a、41bの空隙中心部に発生する磁束密度はそれぞれ2.419mT、-2.414mTとなり、差動演算すると、定格測定差分値は4.833mTとなる(図16参照)。さらに、符号f5の距離を1mm~5mmまで変化させた場合、空隙部間の距離によらずほぼ一定の値となっていることが分かり第1の別形状の集磁コア部と同様の効果を有する。
実施の形態3.
実施の形態1及び形態2では、集磁コアの空隙部をX方向で突き合わせるように対向して配置していたが、ここでは配置を変えた形態について説明する。
図17(a)は、別配置の集磁コア部(導体、磁気検出素子を含む)を示す斜視図で、図17(b)はその上面図で、図17(c)はその正面図である。図17(b)において51aと51bが集磁コアで、両空隙部の対向配置が実施の形態1及び形態2と異なり、Z方向に所定の距離(符号f6)を取り、それぞれの空隙部がZ方向で向かい合うように対向して配置され、集磁コア51bの図示左端面は、集磁コア51aの図示左端面からX方向に所定の距離(符号d6)を取る。
図17(c)において、集磁コア51a、51bは貫通孔から空隙部まで連続する略U字形状を有し、導体34a、34bは薄板形状をしている。符号a6は集磁コア51a、51bのX方向長さ、符号b6は集磁コア51a、51bのY方向長さ、符号c6は集磁コア51a、51bの端面から貫通孔までのX方向長さ、符号e6は集磁コア51a、51bの空隙部のY方向長さである。
図18は、空隙部磁束密度シミュレーション結果を示す表とグラフで、図17(c)の導体34a、34bに被測定電流を流したときの、集磁コア51a、51bの夫々の空隙中心部周辺の磁界の磁束密度をシミュレーションした結果を示す。
ここでは、シミュレーション条件として、図17(c)に示す符号a6=8mm、b6=6.5mm、c6=6mm、e6=2.5mm、コアの厚み(Z方向長さ、図示せず)=4mmとし、図17(b)に示す符号d6=6mmとし、被測定電流を10A(導体34a、34bに同方向にそれぞれ5A)通電させるものとする。さらに、符号f6の距離を1mm~5mmまで変化させる。表は空隙部間距離(符号f6、単位mm)を変えた場合の集磁コア51aと集磁コア51bの空隙中心部(ここでは、集磁コア51a、51bの空隙部外端から1mm、空隙部のY方向長さ中心及びコアの厚み中心の位置)の磁束密度(単位mT)と両者の差分値(定格測定差分値、単位mT)を示し、グラフは空隙部間距離と定格測定差分値の関係を示す。
上記シミュレーションにより、空隙部間距離(符号f6)が1mmの時の集磁コア51a、51bの空隙中心部に発生する磁束密度はそれぞれ2.401mT、-2.395mTとなり、差動演算すると、定格測定差分値は4.797mTとなる(図18参照)。さらに、符号f6の距離を1mm~5mmまで変化させた場合、空隙部間の距離によらずほぼ一定の値となっていることが分かる。よって従来のコアレス型電流検出器に比べ、4.82(=4.797mT/0.996mT)倍の磁束密度を得ることが可能であり、実施の形態1と同様により小さな電流まで高感度に検出することができる。
上記のような集磁コア配置とすることで、導体34a、34b間のX方向の距離を縮小できるので、電流検出器のX方向の長さを、より小さくすることができる。また、外部磁界の影響の低さや設置自由度の高さも、実施の形態1と同様の効果を有する。
なお、集磁コアの形状は、実施の形態1のように略C型形状でもよいし、実施の形態2のように、角に所定の角度を有する斜面を設けた形状や、略円環状であってもよく、また導体は円柱形状や直方体形状であってもよい。
実施の形態4.
実施の形態1乃至形態3では、2つの導体に集磁コアを組み合わせて構成されていたが、ここでは1つの導体に集磁コアを組み合わせる形態について説明する。
図19(a)は、1つの導体に集磁コアを組み合わせた集磁コア部を示す斜視図で、図19(b)はその正面図で、導体44に被測定電流45が流れたときの磁束26a、26b及び36a、36bを示す。図20は空隙部磁束密度シミュレーションの結果を示す表で、導体44に被測定電流45が流れたときの集磁コア61a、61bの空隙部に発生する磁束密度をシミュレーションによって算出した結果を示す。図21及び図23は外部磁界による不要出力シミュレーション条件を示す図で、実施の形態4の電流検出器の周囲に導体を配置して電流を通電し、外部磁界を発生させたときの不要出力をシミュレーションによって算出した導体の配置を示す。
図19(a)において略U字形状の集磁コア61aは+Y方向に2つのXZ端面を有し、略直方体形状の集磁コア61bはその2つのXZ端面に対面し第1の空隙部62aと第2の空隙部62bを構成する2つの面を有し、空隙部62a,62bに磁気検出素子3a、3bが収容され、集磁コア61aに形成された貫通孔に導体44が貫通され、導体44には被測定電流45が通電される。
図19(b)に示すように、集磁コア61aの貫通孔に貫通した導体44に被測定電流45が矢印方向に流れた時、集磁コア61a、61bに時計周り方向の磁束26a、26bが発生し、空隙部62a,62bに、逆向き(逆極性)の磁束36a(図示上+Y方向)、36b(図示下-Y方向)が発生し、磁気検出素子3a、3bへ印加される。符号a7は集磁コア61bのX方向長さ、符号b7は集磁コア61bのY方向長さ、符号c7は集磁コア61aの略円環形状の外径、符号d7は集磁コア61aの略円環形状の貫通孔の内径、符号e7は集磁コア62aのY方向長さ、符号f7は空隙部のY方向長さを示す。
図20は、導体44に被測定電流45を流したときの磁気検出素子3a、3bが検出する、集磁コア61a、61bの(図19(b)図示)左右の空隙中心部の磁界の磁束密度をシミュレーションした結果を示す。
ここでは、シミュレーション条件として、図19(b)に示す符号a7=6.5mm、b7=2mm、c7=4.5mm、d7=2.5mm、f7=2.5mm、コアの厚み(Z方向長さ、図示せず)=4mmとし、導体44に被測定電流を10A通電させるものとする。表は集磁コア61aと集磁コア61bの(図19(b)図示)左右の空隙中心部の磁界の磁束密度(単位mT)と両者の差分値(定格測定差分値、単位mT)を示す。
上記シミュレーションにより、符号f7=2.5mmの時の集磁コア61a、61bの左右の空隙中心部に発生する磁束密度はそれぞれ2.349mT、-2.363mTとなり、差動演算すると、定格測定差分値は4.713mTとなる(図20参照)。よって従来のコアレス型電流検出器に比べ、4.73(=4.713mT/0.996mT)倍の磁束密度を得ることが可能であり、実施の形態1と同様により小さな電流まで高感度に検出することができる。
次に、本実施の形態4の電流検出器における、近傍に設置された電線や隣相に設置される電流検出器の導体に電流が流れることによる外部磁界の影響についてシミュレーションを用いて説明する。
図21は実施の形態4での、外部磁界による第1の不要出力シミュレーション条件を示す図で、図19で示した電流検出器の導体44近傍を通過する導体54の位置を示す図であり、導体54の軸中心は導体44の軸中心X方向の同一軸上にあり、符号g7が導体54の軸中心の電流検出器の(X方向)中心からのX方向の距離を示す。
シミュレーションでは、この導体54を外部磁界発生源の第1の代表とし、導体54に電流検出器の定格電流相当(ここでは10A)の電流が流れた時の、実施の形態4の電流検出器の磁気検出素子3a、3bが検出する外部磁界差分値を求める。導体54軸中心と電流検出器(X方向)中心との距離(符号g7)は6.5mmから10.5mmまで変化させ、外部磁界差分値の変化を確認する。
上記シミュレーションにより、図22に示すように、外部磁界差分値の割合は距離g7が大きくなるに従い小さくなるが、電流検出器の直近である距離g7が6.5mmで既に外部磁界影響の無い目安である割合1%を下回っている。
図23は、外部磁界による第2の不要出力シミュレーション条件を示す図で、図19で示した電流検出器の磁気検出素子3a近傍を通過する導体64の位置を示す図であり、導体64の軸中心は導体44の軸中心からY方向にi7=6.75mm(磁気検出素子3a、3b中心を結んだ同一線上)にあり、符号h7が電流検出器の(X方向)中心からのX方向の距離を示す。
シミュレーションでは、この導体64を外部磁界発生源の第2の代表とし、導体64に電流検出器の定格電流相当(ここでは10A)の電流が流れた時の、実施の形態4の電流検出器の磁気検出素子3a、3bが検出する外部磁界差分値を求める。導体64軸中心と電流検出器(X方向)中心との距離(符号h7)は6.5mmから12.5mmまで変化させ、外部磁界差分値の変化を確認する。
上記シミュレーションにより、図24に示すように、外部磁界差分値の割合は距離h7が大きくなるに従い小さくなるが、距離h7が11.5mm以上で外部磁界影響の無い目安である割合1%を下回っている。
上記のような集磁コア配置とすることで、電流経路を1本の導体に集約することができるので、電流検出器のX方向の長さを、より小さくすることができる。また、外部磁界の影響の低さや設置自由度の高さも、実施の形態1と同様の効果を有する。
1 集磁コア部
1a、1b 集磁コア
2a、2b 空隙部
3a、3b 磁気検出素子
4a、4b 導体
5a、5b 被測定電流
6a、6b 磁束
7a、7b 検出出力
8 単一パッケージの集積回路(IC)
11a、11b 集磁コア
12a、12b 空隙部
14、14a、14b 導体
16a、16b 磁束
17 演算回路
21a、21b 集磁コア
22a、22b 空隙部
24 導体
25a、25b 電流
27 電子回路部
31a、31b 集磁コア
32a、32b 空隙部
34a、34b 導体
37 出力
41a、41b 集磁コア
42a、42b 空隙部
44 導体
51a、51b 集磁コア
54 導体
64 導体
61a、61b 集磁コア
62a、62b 空隙部

Claims (6)

  1. 空隙部と貫通孔を備えた略環状又は略U字状の第1及び第2の集磁コアと、第1の被測定電流が貫通する前記第1の集磁コアの第1の貫通孔と、第2の被測定電流が貫通する前記第2の集磁コアの第2の貫通孔と、前記第1の集磁コアの第1の空隙部に配置され、前記第1の被測定電流により生じる磁束の磁束密度を検出する第1の磁気検出素子と、前記第2の集磁コアの第2の空隙部に配置され、前記第2の被測定電流により生じる磁束の磁束密度を検出する第2の磁気検出素子と、前記第1の磁気検出素子の第1の検出出力と前記第2の磁気検出素子の第2の検出出力を演算する演算手段を有する電流検出器であって、前記第1の被測定電流による前記第1の空隙部の磁束と、前記第2の被測定電流による前記第2の空隙部の磁束はそれぞれ逆極性であり、前記演算手段は前記第1の検出出力と前記第2の検出出力を差動演算することを特徴とする電流検出器。
  2. 前記第1の被測定電流と前記第2の被測定電流は同極性であり、前記第1の空隙部と前記第2の空隙部は、近接し対向して配置されることを特徴とする請求項1記載の電流検出器。
  3. 前記第1の空隙部と前記第2の空隙部は、前記第1及び第2の貫通孔の貫通方向にずれて、前記貫通方向で対向して配置されることを特徴とする請求項2記載の電流検出器。
  4. 前記第1の集磁コアと前記第2の集磁コアの対向する距離の平均値は、前記第1の空隙部と前記第2の空隙部の対向する距離の平均値より長いことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電流検出器。
  5. 被測定電流が貫通する貫通孔を備えた略U字状の第1の集磁コアと、前記第1の集磁コアの端面と第1及び第2の空隙部を形成する面を有する第2の集磁コアと、前記第1の空隙部に配置され、前記被測定電流により生じる磁束の磁束密度を検出する第1の磁気検出素子と、前記第2の空隙部に配置され、前記被測定電流により生じる磁束の磁束密度を検出する第2の磁気検出素子と、前記第1の磁気検出素子の第1の検出出力と前記第2の磁気検出素子の第2の検出出力を演算する演算手段を有する電流検出器であって、前記被測定電流による前記第1の空隙部の磁束と、前記被測定電流による前記第2の空隙部の磁束はそれぞれ逆極性であり、前記演算手段は前記第1の検出出力と前記第2の検出出力を差動演算することを特徴とする電流検出器。
  6. 少なくとも前記第1の磁気検出素子と前記第2の磁気検出素子は同一のパッケージに収容された部品であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の電流検出器。
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