JP2008241678A - 電流センサおよび電流検出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 U字型形状に一次導体を構成し、一次導体で囲まれた空間内に検出素子を設置したため、一次導体を含めた電流センサの構造を小型化でき、かつ低コストで幅広い測定レンジを精度良く計測することが容易にできる。
【選択図】図1
Description
また、電流検知デバイス部がU字型形状を形成した一次導体に囲まれた空間内の少なくとも一箇所に設置され、一次導体に発生する磁界の主たる方向と異なる方向に磁気抵抗効果素子の感磁方向を配置する構造としたため、小型で大電流の測定が可能となる。
さらにまた、1つのU字型形状の一次導体に囲まれた空間内に異なる磁束密度が生じるため、同じ特性の電流検知デバイス部を複数個設置して、小型で、かつ測定レンジを拡大できる効果がある。もしくは1つの一次導体に設置した複数のU字型形状の、一次導体に囲まれたそれぞれの空間内に、少なくとも1つの同じ特性の電流検知デバイス部を設置して、小型で、かつ測定レンジを拡大できる効果がある。また、複数の一次導体を略平行になるように並列設置したため、多相の電流検出時に他相の電流により発生する磁界の影響を受けず、より正確に電流検出できる効果がある。
図1は、この発明の実施の形態1による電流センサの斜視図を示すもので、図2は図1の平面図、図3は図1または図2におけるAA断面(XZ面)の一部を示す断面図である。図において、電流センサ1は、電流検知デバイス部6、センサ回路部7を有するセンサ基板2と、一次導体3により構成される。
本実施の形態1では、一次導体3は長手方向に向かって略垂直に曲げ加工が施されて1つのU字形状部5を形成し、U字形状部5内の一次導体に囲まれた空間部10に1つの電流検知デバイス部6を配置する。
まず、電流検知デバイス部6の構成について説明する。
図5は電流検知デバイス部6の平面図を示すもので、設置基板15上において、設置基板15の中心線9によって2つの領域に分けられ、それぞれの領域に磁気抵抗効果素子12a、12b、磁気抵抗効果素子12c、12dが線対称に等しく配置される。ここで、磁気抵抗効果素子12の感磁方向はX方向とする。4つの磁気抵抗効果素子12a〜12dは、設置基板15の中心線9に対して相互に平行方向に配置され、磁気抵抗効果素子12a、12dは、互いに逆方向の磁界の増加に応じて抵抗値が共に増加する磁気抵抗効果特性を有するように、また、磁気抵抗効果素子12b、12cは、互いに逆方向の磁界の増加に応じて抵抗値が共に減少する磁気抵抗効果特性を有するように、図には省略したが、磁気抵抗効果素子上にはバーバーポール電極構造が形成されている。なお、4つの磁気抵抗効果素子12はそれぞれ1本で構成したが、クランク形状に複数の磁気抵抗効果素子を接続し、線路長を長く構成してもよい。また、中心線9上の中心点に対して点対称に構成してもよい。接続電流線13は、4つの磁気抵抗効果素子12間を接続することにより、ブリッジ回路16を構成するものであり、接続エリア14は、外部とブリッジ回路16の入出力用の端子部として用いる。
接続エリア(第1の接続エリア)14aは、ブリッジ回路16の磁気抵抗効果素子12a、12c間の接続電流線13に接続され、もう一方の接続エリア(第2の接続エリア)14bは、ブリッジ回路16の磁気抵抗効果素子12b、12d間の接続電流線13に接続されており、接続エリア14a、14bからブリッジ回路16に電圧が供給されるものである。接続エリア(第3の接続エリア)14cは、ブリッジ回路16の磁気抵抗効果素子12a、12b間の接続電流線13に接続され、もう一方の接続エリア(第4の接続エリア)14dは、ブリッジ回路16の磁気抵抗効果素子12c、12d間の接続電流線13に接続されており、接続エリア14c、14dからブリッジ回路16の出力電圧が検出されるものである。
図1に示すように、被測定電流を印加する一次導体3の一部には、長手方向に向かって略垂直に曲げ加工が施され、Z方向から見てU字の形状となるように1つのU字形状部5が形成される。なお本実施の形態1に示した図では、U字形状の底部の両脇部分が直角形状に構成されているが、電流検知デバイス部6に両側のU字部形成一次導体4から安定して逆方向の磁界が印加される構造であれば丸みを帯びた形状などでもよく、これに限るものではないが、安定して逆方向の磁界を印加するためにはU字形状が少なくとも電流検知デバイス部6の近傍において左右対称であることが望ましい。
図2に示すように、U字形状部5の対称軸、および電流検知デバイス部6の中心線9が略一致するようにセンサ基板2はU字形状部5の下面に設置されている。本実施の形態においては、センサ基板2をU字形状部5の下面に設置した例を示したが、設置位置は下面に限るものではない。
空間部10内の電流検知デバイス部6の設置位置(特にZ方向)は、磁気抵抗効果素子12に付与したい磁界、つまりは被測定電流の大きさに応じて決定するが、Z方向における1次導体3の中央となる位置(図3 破線O)では感磁方向の付与磁界が0となるため、中央からずらして設置するのがよい。また、一次導体3の断面積は、印加する被測定電流値の大きさに応じて決定される。このような一次導体3は、例えば銅などの金属による直線状導体バー形状から、U字形状部5の曲げ加工等により作製される。
センサ基板2上には、電流検知デバイス部6とともにセンサ回路部7を配置する。センサ回路部7は、電流検知デバイス部6の接続エリア14a、14bにブリッジ回路16の電圧を供給すると共に、ブリッジ回路16の出力電圧を適度な増幅を施して出力するが、電流センサ1の外部への入出力には、外部端子8を利用する。
センサ基板2と1次導体3は、特に図示しないが接着剤や取付部材等を用いて固定する。取付部材は特に材料を限定しないが、非磁性で経時劣化の少ないものが望ましく、絶縁性や耐圧の効果を上げるために全体、あるいは一部を樹脂モールドしてもよい。
一次導体3に被測定電流を印加すると、例えば第1のU字部形成一次導体4aには電流の方向に対して図3の破線に示すように左回転の磁界が、また第2のU字部形成一次導体4bには電流の方向に対して図3の破線に示すように右回転の磁界が、印加される被測定電流の大きさに応じて発生する。図には簡単のために各1次導体あたり2本の磁束線によって発生磁界を示した。その結果、電流検知デバイス部6を空間部10の下面近傍に設置した場合、電流検知デバイス部6の右側に位置する磁気抵抗効果素子12c、12dには、図4(a)に示す磁界ベクトル11が印加され、磁気抵抗効果素子12c、12dの感磁方向(X方向)には分解ベクトル11aが加わることになる。それぞれの分解ベクトルの大きさは、11a<11bの関係が成立するため、X方向とZ方向で比較した場合、Z方向の11bが主たる磁界の方向となる。つまり、電流検知デバイス部6のXY面における、図5に示した磁気抵抗効果素子12a、12bには、中心線9より紙面左側の向きに磁界が加わり、磁気抵抗効果素子12c、12dには、中心線9より紙面右側の向きに磁界が加わる。
一方、特許文献1に示されるように電流検知デバイス部6aを空間部10の外に設置した場合、電流検知デバイス部6aの右側に位置する磁気抵抗効果素子12c、12dには、図4(b)に示す磁界ベクトル11が印加され、磁気抵抗効果素子12c、12dの感磁方向(X方向)には分解ベクトル11cが加わることになる。それぞれの分解ベクトルの大きさは、11d<11cの関係が成立するため、X方向とZ方向で比較した場合、X方向の11cが主たる磁界の方向となる。ここで図4(a)に示す磁界ベクトル11と図4(b)に示す磁界ベクトル11は大きさがほぼ等しく方向の異なるベクトルであり、図のようにそれぞれの感磁方向の分解ベクトルの大きさは、11a<11cの関係が成立する。
なお、磁気抵抗効果素子12a、12dでは、共に磁界の増加に応じて抵抗値が増加すると共に、磁界の減少に応じて抵抗値が減少する磁気抵抗効果特性を有するように、また、磁気抵抗効果素子12b、12cでは、逆に磁界の増加に応じて抵抗値が減少すると共に、磁界の減少に応じて抵抗値が増加する磁気抵抗効果特性を有するように構成されている。
よって、一次導体3に流れる電流の増加に応じて磁気抵抗効果素子12a、12dの抵抗値が増加すると共に、磁気抵抗効果素子12b、12cの抵抗値が減少し、一次導体3に流れる電流の減少に応じて磁気抵抗効果素子12a、12dの抵抗値が減少すると共に、磁気抵抗効果素子12b、12cの抵抗値が増加する。このように、一次導体3に印加される被測定電流の大きさに応じてブリッジ回路16の平衡が崩れ、これが電流検知デバイス部6のブリッジ回路16の出力となる。
一次導体3に印加される被測定電流の大きさに応じてブリッジ回路16の平衡が崩れる。このとき、センサ回路部7に設置された増幅回路部(例えばオペアンプ19)では、電流検知デバイス部6の接続エリア14c、14dから検出される出力電圧に基づいて、磁気抵抗効果素子12a〜12d近傍に発生する磁界を打ち消すような電流(制御電流)を補償導電線18に供給する。具体的には接続エリア14c、14dの出力電圧が0になるように、制御電流の大きさを調整する。補償導電線18は、その制御電流の大きさに応じて4つの磁気抵抗効果素子12a〜12d近傍に発生する磁界、すなわち一次導体3に印加される被測定電流の大きさに応じた磁界を相殺するような磁界を発生する。
したがって、一次導体3に印加される被測定電流の大きさに応じたブリッジ回路16の平衡の崩れを、センサ回路部7から供給される制御電流により修復することができる。ゆえに、センサ回路部7から供給した制御電流の大きさが、一次導体3に印加される被測定電流の大きさに相関のある値として検出することができる。
なお、一次導体3以外において発生させた外部磁界(外乱磁界)は、磁気抵抗効果素子12a、12bと磁気抵抗効果素子12c、12d(ブリッジ回路16の左右の各ハーフブリッジ回路17)に同相の影響となるため相殺され、測定精度に影響を与えない。
図8は、この発明の実施の形態2による電流センサのAA断面(XZ面)の一部を示す断面図である。本実施の形態2は、図1に示した電流センサ1のU字形状部5における空間部10に、電流検知デバイス部6に加えてさらに第2の電流検知デバイス部6bを設置したものである。図には省略したが、第2の電流検知デバイス部6bは、電流検知デバイス部6と同様にセンサ回路部とともにセンサ基板に設置されるものとする。
実施の形態2は、実施の形態1に新たに電流検知デバイス部6bを付加した構成であり、その他の構成で重複する部分は省略する。実施の形態2は、一次導体3の空間部10において、印加した被測定電流に応じて発生する磁界を2箇所で計測するようにしたものである。
U字形状部5の対称軸、および電流検知デバイス部6の中心線9が略一致するように電流検知デバイス部6は空間部10内の端部近傍に設置され、かつU字形状部5の対称軸、および第2の電流検知デバイス部6bの中心線9が略一致するように第2の電流検知デバイス部6bは空間部10内の電流検知デバイス部6に比較してZ方向の中央よりに設置される。2つの電流検知デバイス部6、6bの設置位置(特にZ方向)は、磁気抵抗効果素子12に付与したい磁界に応じて決定する。
各電流検知デバイス部における磁気抵抗効果素子等の構成は実施の形態1に示した電流検知デバイス部6と同一構成とし、重複を避けるため記述しない。
それぞれのセンサ回路部は、それぞれの電流検知デバイス部の接続エリア14a、14bにブリッジ回路16の電圧を供給すると共に、ブリッジ回路16の出力電圧を適度な増幅を施して出力するが、異なる部分の磁界を計測するため、増幅率等の各センサ回路部の構成は異なる場合がある。
なお、本実施の形態においては、各電流検知デバイス部を空間部10の下側に設置した例を示したが、空間部10の上側に設置してもよく、あるいは2つに限ったものではなくさらに複数個設置してもよい。
一次導体3に被測定電流を印加すると、例えば第1のU字部形成一次導体4aには電流の方向に対して図8の破線に示すように左回転の磁界が、また第2のU字部形成一次導体4bには電流の方向に対して図8の破線に示すように右回転の磁界が、印加される被測定電流の大きさに応じて発生する。図には簡単のために各1次導体あたり2本の磁束線によって発生磁界を示した。その結果、電流検知デバイス部6を空間部10の下面近傍に設置した場合、電流検知デバイス部6の右側に位置する磁気抵抗効果素子12c、12dには、図9(a)に示す磁界ベクトル11が印加され、磁気抵抗効果素子12c、12dの感磁方向(X方向)には分解ベクトル11aが加わることになる。それぞれの分解ベクトルの大きさは、11a<11bの関係が成立するため、X方向とZ方向で比較した場合、Z方向の11bが主たる磁界の方向となる。つまり、電流検知デバイス部6のXY面における、図5に示した磁気抵抗効果素子12a、12bには、中心線9より紙面左側の向きに磁界が加わり、磁気抵抗効果素子12c、12dには、中心線9より紙面右側の向きに磁界が加わる。
第2の電流検知デバイス部6bを空間部10内の電流検知デバイス部6に比較してZ方向の中央よりに設置した場合、電流検知デバイス部6bの右側に位置する磁気抵抗効果素子12c、12dには、図9(b)に示す磁界ベクトル11が印加され、磁気抵抗効果素子12c、12dの感磁方向(X方向)には分解ベクトル11cが加わることになる。それぞれの分解ベクトルの大きさは、11c<11dの関係が成立するため、X方向とZ方向で比較した場合、Z方向の11dが主たる磁界の方向となる。ここで図9(a)に示す磁界ベクトル11と図9(b)に示す磁界ベクトル11は方向の異なるベクトルであり、図のようにそれぞれの感磁方向の分解ベクトルの大きさは、11c<11aの関係が成立する。
つまり、第2の電流検知デバイス部6bの位置では、被測定電流が大電流であっても磁気抵抗効果素子12に印加される磁界がさらに抑制され、出力の飽和などを気にすることなく、かつ電流センサとしての外形寸法を大型化することなく、大電流の計測が容易に行え、電流検知デバイス部6の位置では、被測定電流がやや小容量の電流になっても磁気抵抗効果素子12に印加される磁界の抑制度は小さく、出力の低下によるS/Nの悪化などを気にすることなく、やや小容量の電流の計測が容易に行える。
例えば、各電流検知デバイス部6、6bのハーフブリッジ部分(例えば17b)に被測定電流値に対して付与される磁界は、図10のように示され、やや小容量の電流の計測時は電流検知デバイス部6、大電流の測定時は電流検知デバイス部6bを利用するように構成すれば、同じ特性の電流検知デバイス部を用いても、各センサ回路部の増幅率等の若干の調整で、図11に示すように測定レンジの拡大した精度の良い電流センサを構築することが可能となる。
また、一次導体の空間部10内に異なる磁束密度が生じる構造のため、同じ特性の電流検知デバイス部を複数個設置して、小型で、かつ測定レンジを精度良く拡大できる効果がある。さらにまた、同じ特性の電流検知デバイス部が利用できるため、複数の異なる特性の電流検知デバイス部を用意する必要がなく、低コスト化となる効果がある。
図12は、この発明の実施の形態3による電流センサの平面図を示すもので、図13は図12のAA断面(XZ面)の一部を示す断面図である。本実施の形態3では、一次導体3は長手方向に向かって略垂直に曲げ加工が施され、幅の異なる2つのU字形状部5、5aを形成し、U字形状部5、5a内である一次導体に囲まれた空間部10、10aのそれぞれに1つの電流検知デバイス部6、6cを配置し、それぞれにおいて、印加した被測定電流に応じて発生する磁界を計測するようにしたものである。
実施の形態3は、実施の形態1に新たにU字形状部5aおよび電流検知デバイス部6cを付加した構成であり、その他の構成で重複する部分は省略する。
U字形状部5の対称軸、および電流検知デバイス部6の中心線9が略一致するように電流検知デバイス部6は空間部10内の下面近傍に設置され、かつU字形状部5aの対称軸、および第2の電流検知デバイス部6cの中心線9が略一致するように第2の電流検知デバイス部6cは空間部10a内の下面近傍に設置される。2つの電流検知デバイス部6、6cの設置位置(特にZ方向)は、磁気抵抗効果素子12に付与したい磁界に応じて決定する。本実施の形態においては、同一のセンサ基板2上に2つの電流検知デバイス部を配置したため、各電流検知デバイス部のY方向、Z方向の位置は同一構成であるが、これに限るものでなく、異なる座標軸上に設置するために別のセンサ基板に配置してもよい。
各電流検知デバイス部における磁気抵抗効果素子等の構成は実施の形態1に示した電流検知デバイス部6と同一構成とし、重複を避けるため記述しない。
それぞれのセンサ回路部は、それぞれの電流検知デバイス部の接続エリア14a、14bにブリッジ回路16の電圧を供給すると共に、ブリッジ回路16の出力電圧を適度な増幅を施して出力するが、異なる部分の磁界を計測するため、増幅率等の各センサ回路部の構成は異なる場合がある。
なお、本実施の形態においては、各電流検知デバイス部を空間部10、10aの下側に設置した例を示したが、空間部10、10aの上側や中央以外の内部に設置してもよく、あるいは2つに限ったものではなくさらに複数個設置してもよい。
一次導体3に被測定電流を印加すると、例えば第1のU字部形成一次導体4aには電流の方向に対して図13の破線に示すように左回転の磁界が、また第2のU字部形成一次導体4bには電流の方向に対して図13の破線に示すように右回転の磁界が、また第3のU字部形成一次導体4cには電流の方向に対して図13の破線に示すように右回転の磁界が、印加される被測定電流の大きさに応じて発生する。図には簡単のために各1次導体あたり1本の磁束線によって発生磁界を示した。
その結果、電流検知デバイス部6を空間部10の下面近傍に設置した場合、電流検知デバイス部6の右側に位置する磁気抵抗効果素子12c、12dには、図14(a)に示す磁界ベクトル11が印加され、磁気抵抗効果素子12c、12dの感磁方向(X方向)には分解ベクトル11aが加わることになる。それぞれの分解ベクトルの大きさは、11a<11bの関係が成立するため、X方向とZ方向で比較した場合、Z方向の11bが主たる磁界の方向となる。つまり、電流検知デバイス部6のXY面における、図5に示した磁気抵抗効果素子12a、12bには、中心線9より紙面左側の向きに磁界が加わり、磁気抵抗効果素子12c、12dには、中心線9より紙面右側の向きに磁界が加わる。
第2の電流検知デバイス部6cを空間部10a内の下面近傍に設置した場合、電流検知デバイス部6cの右側に位置する磁気抵抗効果素子12c、12dには、図14(b)に示す磁界ベクトル11が印加され、磁気抵抗効果素子12c、12dの感磁方向(X方向)には分解ベクトル11cが加わることになる。それぞれの分解ベクトルの大きさは、11c<11dの関係が成立するため、X方向とZ方向で比較した場合、Z方向の11dが主たる磁界の方向となる。ここで図14(a)に示す磁界ベクトル11と図14(b)に示す磁界ベクトル11は方向、および大きさの異なるベクトルであり、図のようにそれぞれの感磁方向の分解ベクトルの大きさは、11c<11aの関係が成立する。
つまり、第2の電流検知デバイス部6cの位置では、被測定電流が大電流であっても磁気抵抗効果素子12に印加される磁界がさらに抑制され、出力の飽和などを気にすることなく、かつ電流センサとしての外形寸法をZ軸方向に拡大することなく、大電流の計測が容易に行え、電流検知デバイス部6の位置では、被測定電流がやや小容量の電流になっても磁気抵抗効果素子12に印加される磁界の抑制度は小さく、出力の低下によるS/Nの悪化などを気にすることなく、やや小容量の電流の計測が容易に行える。
例えば、各電流検知デバイス部6、6cのハーフブリッジ部分(例えば17b)に被測定電流値に対して付与される磁界は、図15のように示され、やや小容量の電流の計測時は電流検知デバイス部6、大電流の測定時は電流検知デバイス部6cを利用するように構成すれば、各センサ回路部の増幅率等の若干の調整で、同じ特性の電流検知デバイス部を用いて、図16に示すように測定レンジの拡大した精度の良い電流センサを構築することが可能となる。
また、一次導体の空間部10、10a内に異なる磁束密度が生じる構造のため、同じ特性の電流検知デバイス部を複数個設置して、小型で、かつ測定レンジを精度良く拡大できる効果がある。さらにまた、同じ特性の電流検知デバイス部が利用できるため、複数の異なる特性の電流検知デバイス部を用意する必要がなく、低コスト化となる効果がある。
図17は、この発明の実施の形態4による電流検出装置20の平面図を示すもので、図18は図17のBB断面(YZ面)を示す断面図である。本実施の形態4では、三相交流電流において、それぞれの相電流を3つの電流センサを用いて検出する電流検出装置20を示したものである。
実施の形態4は、実施の形態1に示した電流センサを複数個用いた構成であり、その他の構成で重複する部分は省略する。
電流センサ1、1a、1bがそれぞれ構成される3本の一次導体3、3a、3bは、長手方向(X方向)が略平行となり、かつそれぞれのU字形状部5、5a、5bが同一平面上に並列配置される。各一次導体に被測定電流が印加されたとき、発生する主な磁界の方向は、図19の矢印に示すようにXY平面において、全てX方向またはY方向となる。ここで、センサ基板2、2a、2b上に設置された磁気抵抗効果素子(図には省略)の感磁方向はX方向であり、磁界検出部となるU字形状部5、5a、5bのU字部形成一次導体にて挟まれた部分に一次導体から付与される磁界の方向は、検出部のX方向磁界21または検出部のY方向磁界22となり、感磁方向と直角方向であるY方向の磁界の影響は受けない。それ以外において発生する非検出部の磁界方向23は、磁気抵抗効果素子の感磁方向と直角方向であるY方向となるため、磁気抵抗効果素子は磁界検出部以外で発生する磁界の影響も受けることはない。
なお、本実施の形態においては、実施の形態1に示した電流センサを用いた例を示したが、他の実施の形態に示した電流センサを用いてもよく、複数個、あるいは組み合わせて設置しても構わない。また三相に限らず、さらに複数相、複数の一次導体を設置してもよい。
Claims (5)
- 設置基板上に配置され、互いに逆方向の磁界の増加に応じて抵抗値が共に増加する磁気抵抗効果特性を有する第1および第4の磁気抵抗効果素子と、
上記設置基板上に配置され、互いに逆方向の上記磁界の増加に応じて抵抗値が共に減少する磁気抵抗効果特性を有する第2および第3の磁気抵抗効果素子と、
上記設置基板上に配置され、上記第1から第4の磁気抵抗効果素子を接続することにより、上記第1および第2の磁気抵抗効果素子による第1のハーフブリッジ回路、および上記第3および第4の磁気抵抗効果素子による第2のハーフブリッジ回路からなるブリッジ回路を構成する接続電流線とを備え、
上記設置基板の中心線に対して分けられた一方の領域に上記第1のハーフブリッジ回路が配置されると共に、他方の領域に上記第2のハーフブリッジ回路が配置された電流検知デバイスと、
少なくとも1つのU字型形状を有する一次導体を備え、
U字型形状を形成して上記一次導体に囲まれた空間内の少なくとも一箇所に、上記設置基板の中心線とU字型形状の対称軸が略一致するように上記電流検知デバイスが配置されたことを特徴とする電流センサ。 - 上記一次導体のU字型形状を形成する部分において、少なくともU字型形状の対称軸に相対する上記一次導体の断面形状が同一形状であることを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
- 少なくとも1つのU字型形状を有する上記一次導体において、長手方向に垂直な断面が長方形であることを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
- 上記電流検知デバイスはセンサ回路部とともにセンサ基板に設置され、上記センサ基板はU字型形状を形成して上記一次導体に囲まれた空間内の少なくとも一箇所に、上記設置基板の中心線とU字型形状の対称軸が略一致するように配置されたことを特徴とする請求項2または3に記載の電流センサ。
- 多相電流をそれぞれに印加する少なくとも1つのU字型形状を有した複数の上記一次導体を、長手方向が略平行となるとともに各U字型形状が同一平面にあるように並列配置し、それぞれの上記一次導体において、U字型形状を形成して上記一次導体に囲まれた空間内の少なくとも一箇所に、上記設置基板の中心線とU字型形状の対称軸が略一致するように上記電流検知デバイスが配置されたことを特徴とする電流検出装置。
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