JP2011095234A - 多相電流の検出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 一次導体に設けたザグリ部、あるいはU字形成部に面外方向の磁束を検出する磁電変換素子を設置する構造としたため、他相から印加され、誤差となる磁束の影響を低減し、多相の電流検出装置として小型化、高精度化が可能となる。
【選択図】図14
Description
また、上述のようにザグリ部が相互に重複してもよく、ザグリ部をずらして配置する必要がないため、一次導体の長手方向に多相電流の検出装置の寸法が拡大することなく、小型化の効果がある。
また、上述のようにU字形成部が相互に重複してもよく、U字形成部をずらして配置する必要がないため、一次導体の長手方向に多相電流の検出装置の寸法が拡大することなく、小型化の効果がある。
図1は、この発明の実施の形態1による多相電流の検出装置1における一次導体4のみの斜視図を示すもので、図2は多相電流の検出装置1の平面図(XY面)、図3は図1および図2におけるAA断面(YZ面)を示す断面図、図4は図1〜図3における一相分のAA断面(YZ面)において被測定電流印加時の磁束線図である。図に示した多相電流の検出装置1は、例えば三相交流電流において、それぞれの相電流を相毎に設置した電流センサ2にて検出する例であり、一相分の電流センサ2は、磁電変換素子3と一次導体4により構成され、さらに一次導体4はザグリ部5が設けられている。なお図において、一次導体4は、簡単のため電流センサ2の近傍のみを示したが、実際は延長され電源や各種装置等に接続されるものとする。また、実際の装置構成では、磁電変換素子3はプリント基板等に接続されて設置されるが、ここでは省略し、他の実施の形態において説明する。
本実施の形態1では、各一次導体4の一部にザグリ部5を形成し、各ザグリ部5内に1つの磁電変換素子3を配置し、かつ各ザグリ部5が各一次導体4の長手方向に対して重複するように各一次導体4を略平行に配置したものである。
図1に示すように、被測定電流を印加する各一次導体4は直線状の導体であり、ここでは三相電流の検出例であるため、3本の一次導体が略平行に配置されている。各一次導体4には、それぞれ電流センサ2が設けられ、各相の被測定電流値をそれぞれの電流センサ2にて検出する構成となっている。それぞれの電流センサ2は、各一次導体4の長手方向、つまりはX方向において、相互に重複する位置に設置される。
一相分の電流センサ2の構成について、まず一次導体4から説明する。各一次導体4の上面の一部には、ザグリ加工が施され、Z方向のザグリ深さは、少なくとも非ザグリ部である一次導体4のZ方向高さの半分以上となるように形成される。一次導体4のザグリ部5近傍において一次導体の占める断面積は、使用する磁電変換素子の種類にもよるが、概ね磁電変換素子3に付与したい磁束密度、つまりは検出する被測定電流の範囲に応じて決定される。大きな電流値まで検出するのであれば、ザグリ部5近傍における一次導体部分の電流密度を下げるために、断面積は大きいほうが望ましく、小さい電流値を検出するのであれば、ザグリ部5近傍における一次導体部分の電流密度を上げるために、断面積は小さいほうが望ましい。また、図2の平面図から明らかなように、各ザグリ部5は一次導体4の長手方向、つまりここではX方向に各ザグリ部5の位置が重複するように、一致させて設置される。このような一次導体4は、例えば銅などの金属板材から直方体状の一次導体4を切り出した後にザグリ部をザグリ加工にて形成して作製、もしくは鋳造等により作製される。
磁電変換素子3は各ザグリ部5に少なくとも1つ設置され、一次導体4とともに電流センサ2を構成する。一次導体4に被測定電流が印加されたとき、一次導体4の周囲には磁束が発生するが、ここでは、Y方向の磁束を磁電変換素子3の内部に設けられた感磁面8の面外で計測する、面外方向に感磁方向を有した素子を利用する。例えば上述の素子としては、ホール素子、あるいはホール素子と処理回路とを一体化したホールICなどを用いるが、これらに限るものではない。磁電変換素子3を設置する位置は、図3において説明すると、各磁電変換素子3の感磁面8がZ位置で略一致するとともに、各一次導体の非ザグリ部を貫通する中心線7aとも一致する位置とする。また、Y方向の位置は、各磁電変換素子3の各感磁面8が各一次導体4の中心線7bと一致する位置とする。
図5は、磁電変換素子3aの感磁面8a.における磁束ベクトル9を示すものである。各一次導体4に被測定電流が流れると各一次導体4の周囲に被測定電流の大きさに応じて磁束が発生し、図3にて磁束の一例を破線の磁束線6で示すと、一次導体4aは磁束線6a、一次導体4bは磁束線6b、一次導体4cは磁束線6cとなる。これら各一次導体4にて発生する各磁束線6に起因した、磁電変換素子3aの感磁面8aにおける磁束ベクトル9は、一次導体4aは磁束ベクトル9a、一次導体4bは磁束ベクトル9b、一次導体4cは磁束ベクトル9cとなる。図5からわかるように、磁束ベクトル9bと磁束ベクトル9cは感磁面8aの感磁方向に対して面内方向となるため、磁電変換素子3aにおいて不感方向であり検出されず、検出されるのは感磁面8aの面外方向と一致する、一次導体4aによる磁束ベクトル9aのみとなる。このように磁電変換素子3aの感磁面8aが、一次導体4bと一次導体4cを貫通する中心線7aと略一致した場合、一次導体4bと一次導体4cにおいて発生する磁束ベクトル9bおよび磁束ベクトル9cは、感磁面8aの感磁方向に対して直角方向つまりは不感方向となるため、一次導体3aの被測定電流検出に影響を与えない。つまり他相の影響は受けず、検出すべき被測定電流にて発生する磁束を精度良く捉えることができる。
ここでは、一次導体4aにおける電流センサ2aについての動作のみ、図3、図4、図5を用いて説明したが、電流センサ2b、電流センサ2cについても、何れも他相の影響は受けない構成については同様である。
なお本実施の形態においては、一次導体の上面側にザグリ部を設置した構成としたが、一次導体の下面側にザグリ部を設置する構成としてもよく、また、ザグリ部の形状は角形に限るものではなく、丸形等であっても構わない。本実施の形態においては、三相交流の電流検出例について示したが、三相に限らず、さらに複数相、複数の一次導体を設置してもよく、各ザグリ部5が各一次導体4の長手方向に対して重複しないように各一次導体4を略平行に配置しても、他相の影響を受けることはない。また本実施の形態においては、各磁電変換素子3の感磁面8が、各磁電変換素子3内部の中央に位置せず、中央からシフトして設置されたものとしたがこれに限るものではなく、各磁電変換素子3内部の中央に感磁面8が位置しても構わない。
なお、本実施の形態においては、三相交流の電流検出例について示したが、三相に限らず、さらに複数相、複数の一次導体を設置してもよい。
図7は、この発明の実施の形態2による多相電流の検出装置1における一次導体4のみの斜視図を示すもので、図8は多相電流の検出装置1の平面図(XY面)、図9は図7および図8におけるAA断面(YZ面)を示す断面図、図10は図7〜図9における一相分のAA断面(YZ面)において被測定電流印加時の磁束線図である。図に示した多相電流の検出装置1は、例えば三相交流電流において、それぞれの相電流を相毎に設置した電流センサ2にて検出する例であり、一相分の電流センサ2は、磁電変換素子3と一次導体4により構成され、さらに一次導体4にはU字形成部10が設けられている。なお図において一次導体4は、実施の形態1と同様に、簡単のため電流センサ2の近傍のみを示したが、実際は延長され電源や各種装置等に接続されるものとする。また、実際の装置構成では、磁電変換素子3はプリント基板等に接続されて設置されるが、ここでは省略し、他の実施の形態において説明する。
本実施の形態2では、各一次導体4の一部にU字形成部10を形成し、各U字形成部10内に1つの磁電変換素子3を配置し、かつ各U字形成部10が各一次導体4の長手方向に対して重複するように各一次導体4を略平行に配置したものである。
実施の形態2は、実施の形態1で各一次導体4に設けたザグリ部をU字形成部に変更した構成であり、その他の構成や動作で重複する部分は省略する。
磁電変換素子3は各U字形成部10の内部に少なくとも1つ設置され、電流センサ2を構成する。一次導体4に被測定電流が印加されたとき、一次導体4の周囲には磁束が発生するが、本実施の形態でも、Y方向の磁束を磁電変換素子3の面外で計測する、例えば上述の素子としては、ホール素子、あるいはホール素子と処理回路とを一体化したホールICなどを用いるが、これらに限るものではない。磁電変換素子3を設置する位置は、図9において説明すると、各磁電変換素子3の感磁面8がZ位置で略一致するとともに、各U字形成部10の重心位置に略一致する位置とする。また、Y方向の位置は、各磁電変換素子3の各感磁面8が各U字形成部10の中心線7bと一致する位置とする。
三相での動作を図9で説明する。なお磁束ベクトル説明図は図5と同等となる。各一次導体4に被測定電流が流れると各一次導体4の周囲に被測定電流の大きさに応じて磁束が発生し、磁束の一例を破線の磁束線6で示すと、一次導体4aは磁束線6a、一次導体4bは磁束線6b、一次導体4cは磁束線6cとなる。これら各一次導体4にて発生する各磁束線6に起因した、磁電変換素子3aの感磁面8aにおける磁束ベクトル9は、一次導体4aは磁束ベクトル9a、一次導体4bは磁束ベクトル9b、一次導体4cは磁束ベクトル9cとなる。図5からわかるように、磁束ベクトル9bと磁束ベクトル9cは感磁面8aに対して面内方向となるため、磁電変換素子3aにおいて不感方向であり検出されず、検出されるのは感磁面8aの面外方向と一致する、一次導体4aによる磁束ベクトル9aのみとなる。このように磁電変換素子3aの感磁面8aが、U字形成部10bとU字形成部10cの重心位置を貫通する中心線7aと一致した場合、一次導体4bと一次導体4cにおいて発生する磁束ベクトル9bおよび9cは、感磁面8aに対して面内方向つまりは不感方向となるため、一次導体3aの被測定電流測定に影響を与えない。つまり他相の影響は受けず、検出すべき被測定電流にて発生する磁束を精度良く捉えることができる。
ここでは、一次導体4aにおける電流センサ2aについての動作のみ、図5、図9、図10を用いて説明したが、電流センサ2b、電流センサ2cが、X方向において、相互に重複した位置に設置されても、何れも他相の影響は受けない構成については同様である。
なお本実施の形態においては、一次導体の一部にU字形成部を設置した構成としたが、一次導体の一部に逆向きのU字形成部、つまり凸状のU字形成部を設置する構成としてもよく、また、U字形成部のU字底部の形状は円弧状に限るものではなく、角形等であっても構わない。本実施の形態においては、三相交流の電流検出例について示したが、三相に限らず、さらに複数相、複数の一次導体を設置してもよく、各U字形成部10が各一次導体4の長手方向に対して重複しないように各一次導体4を略平行に配置しても、他相の影響を受けることはない。ただしU字形成部10が重複しない場合、U字形成部10内に設置した磁電変換素子3の感磁面8が、他の一次導体4の非U字形成部を貫通する中心線と一致するように構成することが前提となる。
図12は、この発明の実施の形態3による多相電流の検出装置1の斜視図を示すもので、図13は多相電流の検出装置1の平面図(XY面)、図14は図12および図13におけるAA断面(YZ面)を示す断面図である。図に示した多相電流の検出装置1は、例えば三相交流電流において、それぞれの相電流を相毎に設置した電流センサ2にて検出する例であり、一相分の電流センサ2は、ザグリ部5が設けられた一次導体4と磁電変換素子3により構成され、磁電変換素子3は一次導体4の上部に設けたセンサ基板11に接続される。なお図において、一次導体4は、簡単のため電流センサ2の近傍のみを示したが、実際は延長され電源や各種装置等に接続されるものとする
本実施の形態3では、各一次導体4の一部にザグリ部5を形成し、各ザグリ部5内に1つの磁電変換素子3を配置し、各磁電変換素子3はセンサ基板11に接続されて固定され、かつ各ザグリ部5が各一次導体4の長手方向に対して重複するように各一次導体4を略平行に配置したものである。
実施の形態3は、実施の形態1にセンサ基板を付加した構成であり、その他の構成で重複する部分は省略する。
センサ基板11と1次導体4は、特に図示しないが接着剤や取付部材等を用いて固定する。取付部材は特に材料を限定しないが、非磁性で経時劣化の少ないものが望ましく、絶縁性や耐圧の効果を上げるために全体、あるいは一部を樹脂モールドしてもよい。
図14の断面図に示したように、センサ基板11の内層には導電性を有する電界シールド層14を設置する。電界シールド層14は、電流センサとしての性能を低下させるノイズとして、センサ回路部12へ印加される電界ノイズを、除去あるいは低減するためのもので、センサ回路部12と一次導体4の間に設置する必要があり、可能であれば磁電変換素子3やセンサ回路部12を覆うように設置するのが望ましい。電界シールド層14の材料は、導電性を有すればよく、例えば銅、アルミニウム等が考えられ、センサ基板11に設けた電気的なグランドと接続される。設置の形態としては、例えば多層基板の内層の少なくとも1層にグランド層を設けたものでもよい。
なお各電流センサ2の動作は、実施の形態1と同様であり、重複するため省略する。
Claims (5)
- 被測定電流がそれぞれに印加され、それぞれに少なくとも一つのザグリ部を有した複数の一次導体と、前記各一次導体の少なくとも一つの前記ザグリ部の内部において感磁面の面外方向に被測定電流により発生する磁束が印加されるように設置された少なくとも一つの磁電変換素子とを備え、
前記ザグリ部とは異なる部位の前記一次導体断面の中心位置と前記磁電変換素子の感磁面が略一致するとともに、
前記複数の一次導体は相互に略平行で同一平面内に配置されていることを特徴とする多相電流の検出装置。 - 被測定電流がそれぞれに印加され、それぞれに少なくとも一つのU字形成部を有した複数の一次導体と、前記各一次導体の少なくとも一つの前記U字形成部の内部において感磁面の面外方向に被測定電流により発生する磁束が印加されるように設置された少なくとも一つの磁電変換素子とを備え、
前記U字形成部とは異なる部位の前記一次導体断面の中心位置と前記磁電変換素子の感磁面が略一致するとともに、
前記複数の一次導体は相互に略平行で同一平面内に配置されていることを特徴とする多相電流の検出装置。 - 被測定電流がそれぞれに印加され、それぞれに少なくとも一つのU字形成部を有した複数の一次導体と、前記各一次導体の少なくとも一つの前記U字形成部の内部において感磁面の面外方向に被測定電流により発生する磁束が印加されるように設置された少なくとも一つの磁電変換素子とを備え、
前記U字形成部の断面の重心位置と前記磁電変換素子の感磁面が略一致するとともに、
前記複数の一次導体は相互に略平行で同一平面内に配置されていることを特徴とする多相電流の検出装置。 - 前記各磁電変換素子は少なくとも1枚のセンサ基板に設置され、前記センサ基板は前記磁電変換素子を前記ザグリ部、または前記U字形成部の所定の位置に保持するとともに、前記一次導体上に固定されることを特徴とする請求項1または2または3に記載の多相電流の検出装置。
- 前記センサ基板の内部に導電性を有するシールド層を設置し、前記センサ基板の表面にセンサ回路部を設けたことを特徴とする請求項4に記載の多相電流の検出装置。
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