JP5234459B2 - 電流センサ - Google Patents
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また、従来の磁気センサまたは磁気デバイスとして、2つのバイアス磁界発生部を有し、発生したバイアス磁界をバイアス磁界発生部の近傍に設置した磁気素子に印加するものがある(例えば、特許文献2または3参照)。
また、上記特許文献3に開示されている磁気デバイスは、2つの面状に形成したスパイラルコイルにより発生する磁界を合成し、バイアス磁界として磁気センサに印加する構成であり、スパイラルコイルについて複数の構成例が示されている。しかしながら、磁気センサの面内における特定方向のバイアス磁界の大きさの可変は可能であるが、示されたどの構成例を選択しても、面内における方向を可変することは困難であるという問題点があった。
また、磁気抵抗効果素子にバイアス磁界を印加し、磁気抵抗効果素子の内部磁化方向を容易軸方向に維持する構成のため、バルクハウゼンジャンプやヒステリシス等を抑制する効果がある。
また、少なくとも2つのバイアス磁界発生部を有し、前記電流検知デバイス部は複数の前記バイアス磁界発生部によって挟まれた領域内に設置し、少なくとも1つの前記バイアス磁界発生部はインダクタにて構成するため、磁気抵抗効果素子に印加するバイアス磁界の、磁気抵抗効果素子の面内における方向を容易に可変できるため、磁気抵抗効果素子の内部磁化方向とバイアス磁界発生部の磁界方向を容易に精度良く一致することができ、正負の磁界検出が対称性良く、電流測定の精度向上の効果がある。
また、電流検知デバイス部と一次導体間のセンサ基板内層にシールド層を設置することで、主に一次導体に起因した一次導体から電流検知デバイス部方向への電界ノイズを、除去あるいは低減する効果がある。
さらにまた、磁性体をバイアス磁界発生部に挟まれた領域のセンサ基板上に付加した構成のため、電流検知デバイス部に付与するバイアス磁界の効率を向上する効果があり、ひいてはインダクタへの印加電流の低減、つまり電流センサとして低消費化の効果がある。
図1は、この発明の実施の形態1による電流センサの斜視図を示すもので、図2は図1の平面図、図3は図1および図2におけるAA’断面(XZ面)を示す断面図である。図において、電流センサ1は、2つのバイアス磁界発生部4、電流検知デバイス部6、センサ回路部7を有するセンサ基板2と、一次導体3により構成される。
本実施の形態1では、センサ基板2は多層プリント配線基板であり、一次導体3はセンサ基板2の裏面に設置した構造をとる。センサ基板2には、1つの電流検知デバイス部6とセンサ回路部7、2つのバイアス磁界発生部4を配置し、電流検知デバイス部6は2つのバイアス磁界発生部4に挟まれた領域に設置する。電流センサの外部端子8と一次導体3の端部は、センサ基板2の対向した2つの辺に分割して設置される。センサ基板2の内層には、シールド層5が設置される。
まず、電流検知デバイス部6の構成について説明する。
図6は電流検知デバイス部6の平面図を示すもので、設置基板14上において、設置基板14の中心線9によって2つの領域に分けられ、それぞれの領域に磁気抵抗効果素子11a、11b、磁気抵抗効果素子11c、11dが線対称に等しく配置される。ここで、磁気抵抗効果素子11の感磁方向はX方向とする。4つの磁気抵抗効果素子11a〜11dは、設置基板14の中心線9に対して相互に平行方向に配置され、磁気抵抗効果素子11a、11dは、互いに逆方向の磁界の増加に応じて抵抗値が共に増加する磁気抵抗効果特性を有するように、また、磁気抵抗効果素子11b、11cは、互いに逆方向の磁界の増加に応じて抵抗値が共に減少する磁気抵抗効果特性を有するように、図には省略したが、磁気抵抗効果素子上にはバーバーポール電極構造が形成されている。なお、4つの磁気抵抗効果素子11はそれぞれ1本で構成したが、クランク形状に複数の磁気抵抗効果素子を接続し、線路長を長く構成してもよい。また、中心線9上の中心点に対して点対称に配置する構成としてもよい。接続電流線12は、4つの磁気抵抗効果素子11間を接続することにより、ブリッジ回路15を構成するものであり、接続エリア13は、外部とブリッジ回路15の入出力用の端子部として用いる。
接続エリア(第1の接続エリア)13aは、ブリッジ回路15の磁気抵抗効果素子11a、11c間の接続電流線12に接続され、もう一方の接続エリア(第2の接続エリア)13bは、ブリッジ回路15の磁気抵抗効果素子11b、11d間の接続電流線12に接続されており、接続エリア13a、13bからブリッジ回路15に電圧が供給されるものである。接続エリア(第3の接続エリア)13cは、ブリッジ回路15の磁気抵抗効果素子11a、11b間の接続電流線12に接続され、もう一方の接続エリア(第4の接続エリア)13dは、ブリッジ回路15の磁気抵抗効果素子11c、11d間の接続電流線12に接続されており、接続エリア13c、13dからブリッジ回路15の出力電圧が検出されるものである。
図1または図2、図3に示すように、被測定電流を印加する一次導体3はセンサ基板2の裏面に設置されており、図2に破線で示したように、一次導体3の形状はZ方向から見てU字型となっている。一次導体3の設置方法は特に図示しないが、接着剤や樹脂モールド化等により行うものとし、ここでは接着剤で貼付した例を示した。なお本実施の形態1に示した図では、U字形状の底部の両脇部分が直角形状に構成されているが、電流検知デバイス部6にU字部の両側から安定して逆方向の磁界が印加される構造であれば丸みを帯びた形状などでもよく、これに限るものではないが、安定して逆方向の磁界を印加するためにはU字形状が少なくとも電流検知デバイス部6の近傍において左右対称であることが望ましい。また、一次導体3の断面積は、印加する被測定電流値に応じて決定される。このような一次導体3は、例えば銅などの金属による直線状のバー形状からの曲げ加工、または板材からの打ち抜き加工等により作製される。一次導体3のU字部間隔についても、印加する被測定電流値、ひいては磁気抵抗効果素子11に付与したい磁界の値に応じて決定される。
図1に示すように、破線で示したU字形状の一次導体3の対称軸、および電流検知デバイス部6の中心線9が略一致するように、センサ基板2上に電流検知デバイス部6は設置される。電流検知デバイス部6は、機械的な設置だけでなく、後述のセンサ回路部7と電気的に接続されるようにワイヤボンディングやバンプ等を用いて電気的にも接続される。電流検知デバイス部6の設置位置(特にZ方向)は、磁気抵抗効果素子11に付与したい磁界、つまりは被測定電流の大きさに応じて決定する。その決定された位置に応じて、センサ基板2の厚みを可変する等により設置位置を調整する。
なお図9に示すように、最終的にセンサ回路部7等を調整した後は、耐環境性向上等のためから、ケースカバー19をセンサ基板2の外部端子8と一次導体3(図には簡単のために省略)を除いた表面を覆うように設置するのが望ましい。ケースカバー19は、金属板の加工や樹脂成形等により作製されるが、これらの作製方法に限るものではない。樹脂成形で作製した場合は、さらに導電性シールドをケースカバー19の内壁等に設けるのが望ましい。ケースカバー19の固定方法は特に図示しないが、ねじ止めや接着剤、又は凹凸部による嵌合等を利用する。
一次導体3に被測定電流を印加すると、図3の破線に示すように中心線に対称に左回転及び右回転の磁界が、印加される被測定電流の大きさに応じて発生する。その結果、磁気抵抗効果素子11a、11bと磁気抵抗素子11c、11dとでは逆方向の磁界が加わる。磁気抵抗効果素子11a、11dでは、共に磁界の増加に応じて抵抗値が増加すると共に、磁界の減少に応じて抵抗値が減少する磁気抵抗効果特性を有するように、また磁気抵抗効果素子11b、11cでは、逆に磁界の増加に応じて抵抗値が減少すると共に、磁界の減少に応じて抵抗値が増加する磁気抵抗効果特性を有するように構成されている。よって、一次導体3に流れる電流の増加に応じて磁気抵抗効果素子11a、11dの抵抗値が増加すると共に、磁気抵抗効果素子11b、11cの抵抗値が減少し、一次導体3に流れる電流の減少に応じて磁気抵抗効果素子11a、11dの抵抗値が減少すると共に、磁気抵抗効果素子11b、11cの抵抗値が増加する。このように、一次導体3に印加される被測定電流の大きさに応じてブリッジ回路15の平衡が崩れ、これが電流検知デバイス部6のブリッジ回路15の出力となる。
一次導体3に印加される被測定電流の大きさに応じてブリッジ回路15の平衡が崩れる。このとき、センサ回路部7に設置された増幅回路部(例えばオペアンプ18)では、電流検知デバイス部6の接続エリア13c、13dから検出される出力電圧に基づいて、磁気抵抗効果素子11a〜11d近傍に発生する磁界を打ち消すような電流(制御電流)を補償導電線17に供給する。具体的には接続エリア13c、13dの出力電圧が0になるように、制御電流の大きさを調整する。補償導電線17は、その制御電流の大きさに応じて4つの磁気抵抗効果素子11a〜11d近傍に発生する磁界、すなわち一次導体3に印加される被測定電流の大きさに応じた磁界を相殺するような磁界を発生する。
したがって、一次導体3に印加される被測定電流の大きさに応じたブリッジ回路15の平衡の崩れを、センサ回路部7から供給される制御電流により修復することができる。ゆえに、センサ回路部7から供給した制御電流の大きさが、一次導体3に印加される被測定電流の大きさに相関のある値として検出することができる。
なお、一次導体3以外において発生した外部磁界(外乱磁界)は、磁気抵抗効果素子11a、11bと磁気抵抗効果素子11c、11d(ブリッジ回路15の左右の各ハーフブリッジ回路16)に同相の影響となるため相殺され、測定精度に影響を与えない。
図10は、この発明の実施の形態2による電流センサの平面図、図11は実施の形態1(図11(a))と、この発明の実施の形態2(図11(b))のそれぞれのバイアス磁界方向の可変範囲を示すものである。図において、電流センサ1は実施の形態1と同様に、一次導体3、バイアス磁界発生部4、電流検知デバイス部6、センサ回路部7を有するセンサ基板2により構成される。
本実施の形態2では、図10に示すように、第1のバイアス磁界発生部4aと第2のバイアス磁界発生部4bは、電流検知デバイス部6を挟むように配置し、さらに本実施の形態では、2つのバイアス磁界発生部4は中心線9の1点を対称の中心とした点対称に設置する。本実施の形態においても、設置した2つのバイアス磁界発生部4は、図4に示すように内部に同一のインダクタ10を有する構造とし、電流を印加することでインダクタ10の近傍に磁界が発生し、電流検知デバイス部6にバイアス磁界を付与する構成とする。また、電流検知デバイス部6は対称の中心から離れた位置に設置する。
実施の形態2は、2つのバイアス磁界発生部4が中心線9の1点を対称の中心とした点対称に設置された構成であり、その他の構成や動作で重複する部分は省略する。
図12は、この発明の実施の形態3による電流センサの平面図を示すものである。図において、電流センサ1は、一次導体3、バイアス磁界発生部4、電流検知デバイス部6、センサ回路部7、磁性体20を有するセンサ基板2により構成される。
本実施の形態3では、図12に示すように、第1のバイアス磁界発生部4aと第2のバイアス磁界発生部4b、第3のバイアス磁界発生部4cは、電流検知デバイス部6を挟むように配置し、1つのバイアス磁界発生部4aを電流検知デバイス部6の一方の側に、2つのバイアス磁界発生部4b、4cを電流検知デバイス部6の他方の側に設置する。本実施の形態においては、設置した第1および第2の2つのバイアス磁界発生部4a、4bを永久磁石とし、第3のバイアス磁界発生部4cを図4に示すように内部にインダクタ10を有する構造とする。 また、バイアス磁界発生部4ならびに電流検知デバイス部6の近傍、かつセンサ基板2上に、磁性体20を付加した構造とする。
実施の形態3は、電流検知デバイス部6を挟むように、3つのバイアス磁界発生部4を配置し、そのうち2つのバイアス磁界発生部4を永久磁石、1つのバイアス磁界発生部をインダクタとし、さらに磁性体20を付加したものであり、その他の構成や動作で重複する部分は省略し、図12のAA’断面(XZ面)を示す断面図についても図3と同様のため省略した。
また、本実施の形態では、磁性体20をバイアス磁界発生部4に挟まれた領域のセンサ基板2上に付加している。磁性体20としては、透磁率の高い材料が望ましく、パーマロイ、コバルト系アモルファス合金などがあるが、これらに限るものではない。磁性体20は集磁効果を有するため、バイアス磁界発生部4で発生した磁界を効率よく、電流検知デバイス部6に付与することが可能となる。本実施の形態においては、磁性体20を電流検知デバイス部6の上側1箇所に設置した例を示したが、電流検知デバイス部6の下側に設置してもよく、あるいは複数個設置してもよい。設置場所も中心線9上に限ったものではなく、可変する第3のバイアス磁界発生部4cにより発生する磁界の効率を上げるのであれば、第3のバイアス磁界発生部4c拠りに設置しても構わない。
Claims (7)
- 設置基板上に配置され、互いに逆方向の磁界の増加に応じて抵抗値が共に増加する磁気抵抗効果特性を有する第1および第4の磁気抵抗効果素子と、
前記設置基板上に配置され、互いに逆方向の上記磁界の増加に応じて抵抗値が共に減少する磁気抵抗効果特性を有する第2および第3の磁気抵抗効果素子と、
前記設置基板上に配置され、前記第1から第4の磁気抵抗効果素子を接続することにより、前記第1および第2の磁気抵抗効果素子による第1のハーフブリッジ回路、および前記第3および第4の磁気抵抗効果素子による第2のハーフブリッジ回路からなるブリッジ回路を構成する接続電流線とを備え、前記設置基板の中心線に対して分けられた一方の領域に前記第1のハーフブリッジ回路が配置されると共に、他方の領域に前記第2のハーフブリッジ回路が配置された電流検知デバイス部と、少なくとも1つのU字型形状を有する一次導体と、少なくとも2つのバイアス磁界発生部を備え、前記バイアス磁界発生部の少なくとも1つが、発生する磁界強度を変化させる機能を有し、前記電流検知デバイス部は複数の前記バイアス磁界発生部によって挟まれた領域内に、かつ前記電流検知デバイス部の前記設置基板の中心線と前記一次導体のU字型形状の対称軸が略一致するように設置したことを特徴とする電流センサ。 - 少なくとも1つの前記電流検知デバイス部は、センサ回路部、第1のバイアス磁界発生部、第2のバイアス磁界発生部、前記一次導体とともにセンサ基板に設置され、第1のバイアス磁界発生部と第2のバイアス磁界発生部は前記中心線に対し線対称に固定したことを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
- 少なくとも1つの前記電流検知デバイス部は、センサ回路部、第1のバイアス磁界発生部、第2のバイアス磁界発生部、前記一次導体とともにセンサ基板に設置され、第1のバイアス磁界発生部と第2のバイアス磁界発生部は前記中心線上の1点を対称の中心とした点対称に固定したことを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
- 少なくとも1つの前記バイアス磁界発生部は、インダクタであることを特徴とする請求項1〜3に記載の電流センサ。
- 少なくとも1つの前記バイアス磁界発生部はインダクタであり、前記インダクタの中心軸の方向と前記磁気抵抗効果素子の長手方向が略一致することを特徴とする請求項4に記載の電流センサ。
- 複数の前記バイアス磁界発生部によって挟まれた領域を含む、前記バイアス磁界発生部近傍に、少なくとも1つの磁性材を付加したことを特徴とする請求項1〜3に記載の電流センサ。
- 上記センサ基板の少なくとも1つの内層面に導電性を有するシールド層を設置したことを特徴とする請求項2〜6に記載の電流センサ。
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