JP6409970B2 - 電流センサ - Google Patents
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Description
本発明は、電流センサに関し、特に、大電流を計測する電流センサに関する。
電流センサまたは磁気センサの構成を開示した先行文献として、特開2007−108069号公報(特許文献1)、特表2005−517937号公報(特許文献2)および特開2013−88370号公報(特許文献3)がある。
特許文献1に記載された電流センサは、互いに同等かつ一定の断面を有すると共に第1の距離を隔てて互いに平行をなすように延在する一対の平行部と、これらの一端同士を繋ぐ連結部と、平行部の他端とそれぞれ接続されて第1の距離よりも大きな第2の距離を隔てるように対向して延在し、かつ、平行部よりも大きな断面積を有する一対の端子部とを含む導体を備える。
特許文献2に記載された磁気センサは、一体型導体によって第1方向にバイアスを受け且つ第1方向に垂直な方向の磁界成分に感応する少なくとも2つの磁気抵抗素子を含む。磁界に対する磁気センサの感度は、調節可能であり、且つバイアス電流のレベルに関連される。電流センサにおいては、2つの磁気センサが、測定されるべき電流を伝える導体に垂直な両側に装着される。
特許文献3に記載された電流センサは、被測定電流からの誘導磁界により出力信号を出力する感磁素子を備える。感磁素子は、感度軸および感度軸と直交する感度影響軸を有し、感度軸が誘導磁界の方向に対して所定の角度をなすように配置され、感度影響軸が被測定電流の通流方向および誘導磁界の方向に対して直交して配置されている。
従来の電流センサは、ホール素子または磁気抵抗素子などを有する磁気センサにおいて検出した磁束密度と出力電圧とが比例する線形領域内で使用される。すなわち、従来の電流センサは、磁気センサの線形領域を超える磁界が生ずる大電流を測定した場合、測定誤差が大きくなり測定精度が低下する。
一方、大電流を測定するために線形領域の広い磁気センサを備える電流センサを用いた場合、磁気センサの感度が低いため、小電流の測定精度が低下する。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、感度を維持しつつ測定範囲の広い電流センサを提供することを目的とする。
本発明に基づく電流センサは、測定対象の電流が流れる1次導体と、1次導体を流れる上記電流により発生する磁界の強さを検出し、検出軸および検出軸に直交する感度変化軸を有する少なくとも1つの磁気センサとを備える。磁気センサは、感度変化軸に沿う第1の方向の磁界成分が含まれるように上記磁界が印加されて出力感度が低くなる第1磁気センサ領域と、第1の方向とは反対の第2の方向の磁界成分が含まれるように上記磁界が印加されて出力感度が高くなる第2磁気センサ領域とを含む。
本発明の一形態においては、磁気センサは、第1磁気センサ領域における出力と第2磁気センサ領域における出力とを合わせて上記磁界の強さを検出する。
本発明の一形態においては、磁気センサが少なくとも1つの磁気抵抗素子を含む。磁気抵抗素子の一部が第1磁気センサ領域に位置している。磁気抵抗素子の他の一部が第2磁気センサ領域に位置している。
本発明の一形態においては、磁気センサが複数の磁気抵抗素子を含む。複数の磁気抵抗素子のうちの一部の磁気抵抗素子が第1磁気センサ領域に位置している。複数の磁気抵抗素子のうちの他の一部の磁気抵抗素子が第2磁気センサ領域に位置している。
本発明の一形態においては、磁気センサにおいて、第1磁気センサ領域および第2磁気センサ領域が検出軸に沿う方向に並んでいる。磁気センサは、感度変化軸に沿う方向が1次導体の幅方向と交差するように、1次導体の厚さ方向にて1次導体と対向している。
本発明の一形態においては、磁気センサにおいて、第1磁気センサ領域および第2磁気センサ領域が検出軸に沿う方向に並んでいる。磁気センサは、感度変化軸に沿う方向が1次導体の厚さ方向と交差するように、1次導体の幅方向にて1次導体と対向している。
本発明の一形態においては、電流センサは、磁気センサとして第1磁気センサおよび第2磁気センサを有している。上記電流が、2つの流路に分流されて1次導体を1次導体の長さ方向に流れる。1次導体において、2つの流路のうちの1つの流路を構成する第1流路部と、2つの流路のうちの他の1つの流路を構成する第2流路部とが、1次導体の厚さ方向にて互いに間隔を置いて対向するように並んでいる。第1磁気センサおよび第2磁気センサの各々において、第1磁気センサ領域および第2磁気センサ領域が検出軸に沿う方向に並んでいる。第1磁気センサは、第1流路部と第2流路部との間にて、感度変化軸に沿う方向が1次導体の幅方向と交差するように、1次導体の厚さ方向にて第1流路部と対向している。第2磁気センサは、第1流路部と第2流路部との間にて、感度変化軸に沿う方向が1次導体の幅方向と交差するように、1次導体の厚さ方向にて第2流路部と対向している。
本発明の一形態においては、電流センサは、磁気センサとして第1磁気センサおよび第2磁気センサを有している。上記電流が、2つの流路に分流されて1次導体を1次導体の長さ方向に流れる。1次導体において、2つの流路のうちの1つの流路を構成する第1流路部と、2つの流路のうちの他の1つの流路を構成する第2流路部とが、1次導体の幅方向にて互いに間隔を置いてずれて位置しつつ1次導体の厚さ方向にて互いに間隔を置いてずれて位置している。第1磁気センサおよび第2磁気センサの各々において、第1磁気センサ領域および第2磁気センサ領域が感度変化軸に沿う方向に並んでいる。第1磁気センサは、1次導体の厚さ方向において第1流路部と第2流路部との間にて、感度変化軸に沿う方向が1次導体の幅方向と交差するように、1次導体の幅方向にて第2流路部寄りの第1流路部の一部と1次導体の厚さ方向にて対向している。第2磁気センサは、1次導体の厚さ方向において第1流路部と第2流路部との間にて、感度変化軸に沿う方向が1次導体の幅方向と交差するように、1次導体の幅方向にて第1流路部寄りの第2流路部の一部と1次導体の厚さ方向にて対向している。
本発明の一形態においては、第1磁気センサの検出値と第2磁気センサの検出値とを演算することにより上記電流の値を算出する算出部をさらに備える。1次導体を流れる上記電流により発生する磁界の強さについて、第1磁気センサの検出値の位相と第2磁気センサの検出値の位相とが逆相である。算出部が減算器または差動増幅器である。
本発明の一形態においては、第1磁気センサの検出値と第2磁気センサの検出値とを演算することにより上記電流の値を算出する算出部をさらに備える。1次導体を流れる上記電流により発生する磁界の強さについて、第1磁気センサの検出値の位相と第2磁気センサの検出値の位相とが同相である。算出部が加算器または加算増幅器である。
本発明によれば、電流センサの感度を維持しつつ測定範囲を広げることができる。
以下、本発明の各実施形態に係る電流センサについて図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る電流センサの構成を示す断面図である。図2は、本発明の実施形態1に係る電流センサが備える磁気センサの構成を示す平面図である。図3は、本発明の実施形態1に係る電流センサの回路構成を示す回路図である。図1,2においては、後述する1次導体120の幅方向をX軸方向、1次導体120の長さ方向をY軸方向、1次導体120の厚さ方向をZ軸方向として、図示している。図1においては、1次導体120の幅の中央を通過して1次導体120の厚さ方向(Z軸方向)に延びる仮想中央線Cを図示している。
図1は、本発明の実施形態1に係る電流センサの構成を示す断面図である。図2は、本発明の実施形態1に係る電流センサが備える磁気センサの構成を示す平面図である。図3は、本発明の実施形態1に係る電流センサの回路構成を示す回路図である。図1,2においては、後述する1次導体120の幅方向をX軸方向、1次導体120の長さ方向をY軸方向、1次導体120の厚さ方向をZ軸方向として、図示している。図1においては、1次導体120の幅の中央を通過して1次導体120の厚さ方向(Z軸方向)に延びる仮想中央線Cを図示している。
図1に示すように、本発明の実施形態1に係る電流センサ100は、測定対象の電流12が流れる1次導体120と、1次導体120を流れる測定対象の電流12により発生する磁界(以下、被測定磁界と称す)12eの強さを検出し、検出軸111および検出軸111に直交する感度変化軸112を有する1つの磁気センサ110とを備える。測定対象の電流12は、1次導体120を1次導体120の長さ方向(Y軸方向)に流れる。
磁気センサ110は、感度変化軸112に沿う第1の方向の磁界成分が含まれるように被測定磁界12eが印加されて出力感度が低くなる第1磁気センサ領域T1と、第1の方向とは反対の第2の方向の磁界成分が含まれるように被測定磁界12eが印加されて出力感度が高くなる第2磁気センサ領域T2とを含む。磁気センサ110は、第1磁気センサ領域T1における出力と第2磁気センサ領域T2における出力とを合わせて被測定磁界12eの強さを検出する。なお、第1の方向は、感度変化軸112の矢印方向である。
磁気センサ110において、第1磁気センサ領域T1および第2磁気センサ領域T2が検出軸111に沿う方向に並んでいる。磁気センサ110は、感度変化軸112に沿う方向が1次導体120の幅方向(X軸方向)と交差するように、1次導体120の厚さ方向(Z軸方向)にて1次導体120と対向している。
本実施形態においては、感度変化軸112に沿う方向が、1次導体120の幅方向(X軸方向)と直交している。磁気センサ110は、仮想中央線C上に配置され、1次導体120の表面と対向している。第1磁気センサ領域T1と第2磁気センサ領域T2との間に、仮想中央線Cが位置している。
以下、各構成について詳細に説明する。
本実施形態においては、1次導体120は、短冊状の形状を有している。1次導体120の幅はWbである。
本実施形態においては、1次導体120は、短冊状の形状を有している。1次導体120の幅はWbである。
1次導体120は、銅で構成されている。ただし、1次導体120の材料はこれに限られず、銀、アルミニウムなどの金属またはこれらの金属を含む合金でもよい。
1次導体120は、表面処理が施されていてもよい。たとえば、ニッケル、錫、銀、銅などの金属またはこれらの金属を含む合金からなる、少なくとも1層のめっき層が、1次導体120の表面に設けられていてもよい。
本実施形態においては、薄板をプレス加工することにより1次導体120を形成している。ただし、1次導体120の形成方法はこれに限られず、切削または鋳造などの方法によって1次導体120を形成してもよい。
次に、本実施形態に係る電流センサ100が備える磁気センサ110の構成について説明する。
図2,3に示すように、本実施形態に係る電流センサ100が備える磁気センサ110は、基板113上に設けられた8個の磁気抵抗素子R1P,R1N,R2P,R2N,R3P,R3N,R4P,R4Nが電気的に接続されたホイートストンブリッジ型回路(フルブリッジ回路)を含む。
磁気抵抗素子R1P,R1N,R2P,R2N,R3P,R3N,R4P,R4Nは、基板113の幅方向(X軸方向)に沿って並んでいる。磁気抵抗素子R1P,R2P,R3P,R4Pの各々は、第1磁気センサ領域T1に位置している。磁気抵抗素子R1N,R2N,R3N,R4Nの各々は、第2磁気センサ領域T2に位置している。
磁気抵抗素子R1P,R1N,R2P,R2N,R3P,R3N,R4P,R4Nが位置している範囲の基板113の幅方向(X軸方向)の長さはWsである。Ws≧0.05Wbを満たすことが好ましい。図1に示すように、磁気抵抗素子R1P,R1N,R2P,R2N,R3P,R3N,R4P,R4Nの各々と1次導体120の表面との、1次導体120の厚さ方向(Z軸方向)の最短距離はLmである。Lm≦Wbを満たすことが好ましい。
磁気抵抗素子R1P,R1N,R2P,R2N,R3P,R3N,R4P,R4Nの各々は、AMR(Anisotropic Magneto Resistance)素子である。ただし、磁気抵抗素子R1P,R1N,R2P,R2N,R3P,R3N,R4P,R4Nの各々が、GMR(Giant Magneto Resistance)、TMR(Tunnel Magneto Resistance)、BMR(Ballistic Magneto Resistance)、または、CMR(Colossal Magneto Resistance)などであってもよい。
基板113上には、出力電圧Vout1を取り出すための電極パッドP1、出力電圧Vout2を取り出すための電極パッドP2、電源電圧Vccを印加するための電極パッドP3、および、接地された電極パッドP4が設けられている。基板113上には、電極パッドと一緒にパターニングされて形成された接続配線116が設けられている。
磁気抵抗素子R1Pの一端側は、電極パッドP3に、接続配線116を通じて電気的に接続されている。磁気抵抗素子R1Pの他端側は、磁気抵抗素子R1Nの他端側に、接続配線116を通じて電気的に接続されている。磁気抵抗素子R1Nの一端側は、電極パッドP1に、接続配線116を通じて電気的に接続されている。磁気抵抗素子R2Nの一端側は、電極パッドP1に、接続配線116を通じて電気的に接続されている。磁気抵抗素子R2Nの他端側は、磁気抵抗素子R2Pの他端側に、接続配線116を通じて電気的に接続されている。磁気抵抗素子R2Pの一端側は、電極パッドP4に、接続配線116を通じて電気的に接続されている。
上記のように、電極パッドP3、磁気抵抗素子R1P、磁気抵抗素子R1N、電極パッドP1、磁気抵抗素子R2N、磁気抵抗素子R2P、および電極パッドP4が電気的に直列に接続されることにより、第1ハーフブリッジ回路が構成されている。
磁気抵抗素子R3Nの他端側は、電極パッドP3に、接続配線116を通じて電気的に接続されている。磁気抵抗素子R3Nの一端側は、磁気抵抗素子R3Pの一端側に、接続配線116を通じて電気的に接続されている。磁気抵抗素子R3Pの他端側は、電極パッドP2に、接続配線116を通じて電気的に接続されている。磁気抵抗素子R4Pの他端側は、電極パッドP2に、接続配線116を通じて電気的に接続されている。磁気抵抗素子R4Pの一端側は、磁気抵抗素子R4Nの一端側に、接続配線116を通じて電気的に接続されている。磁気抵抗素子R4Nの他端側は、電極パッドP4に、接続配線116を通じて電気的に接続されている。
上記のように、電極パッドP3、磁気抵抗素子R3N、磁気抵抗素子R3P、電極パッドP2、磁気抵抗素子R4P、磁気抵抗素子R4N、および電極パッドP4が電気的に直列に接続されることにより、第2ハーフブリッジ回路が構成されている。
第1ハーフブリッジ回路と第2ハーフブリッジ回路とが、互いに電気的に並列に接続されることにより、ホイートストンブリッジ型回路(フルブリッジ回路)が構成されている。本実施形態においては、磁気センサ110は、フルブリッジ回路を含んでいるが、第1ハーフブリッジ回路のみを含んでいてもよいし、1つの磁気抵抗素子のみを含んでいてもよい。
磁気抵抗素子R1P,R1N,R2P,R2N,R3P,R3N,R4P,R4Nの各々は、基板113上に形成された強磁性体の薄膜からなる磁気抵抗膜114と、磁気抵抗膜114上に設けられたバーバーポール型電極115とを含む。磁気抵抗膜114は、基板113の長さ方向(Z軸方向)に沿って延在し、矩形状の外形を有している。磁気抵抗膜114の形状異方性により、磁気抵抗膜114の磁化方向が決まっている。感度変化軸112は、磁気抵抗膜114の磁化方向に沿っており、本実施形態においては磁気抵抗膜114の長手方向に沿っている。
なお、磁気抵抗膜114の磁化方向を決定する方法として、磁気抵抗膜114の形状異方性を用いる方法に限られず、磁気抵抗膜114の近傍に永久磁石若しくは薄膜磁石を設ける方法、磁気抵抗膜114において交換結合若しくは相間結合を設ける方法、磁気抵抗膜114の近傍に設けられたコイルの誘導磁界を用いる方法、または、磁気抵抗膜114の近傍に設けられた磁性体の残留磁束を用いる方法などを採用してもよい。磁気抵抗膜114の近傍に設けられたコイルの誘導磁界を用いる方法を採用する場合、コイルに流される電流の大きさ変更することにより、磁気抵抗膜114に印加されるバイアス磁界の強さを調整することができる。磁気抵抗膜114の磁化の強さ(バイアス磁界の強さ)は、被測定磁界における感度変化軸112に沿う磁界成分の強さの2倍以上であることが好ましい。
磁気抵抗素子R1P,R1N,R4P,R4Nの各々におけるバーバーポール型電極115は、磁気抵抗膜114の長手方向と斜めに交差するように延在する複数の第1電極部から構成されている。複数の第1電極部は、互いに間隔を置いて磁気抵抗膜114の長手方向に並んでいる。
磁気抵抗素子R2P、磁気抵抗素子R2N、磁気抵抗素子R3Pおよび磁気抵抗素子R3Nの各々におけるバーバーポール型電極115は、磁気抵抗膜114の長手方向と斜めに交差するように延在する複数の第2電極部から構成されている。複数の第2電極部は、互いに間隔を置いて磁気抵抗膜114の長手方向に並んでいる。
第1ハーフブリッジ回路と第2ハーフブリッジ回路との間にてZ軸方向に延びる仮想中心線に関して、磁気抵抗素子R1Pのバーバーポール型電極115と磁気抵抗素子R3Nのバーバーポール型電極115とは線対称に位置し、磁気抵抗素子R2Pのバーバーポール型電極115と磁気抵抗素子R4Nのバーバーポール型電極115とは線対称に位置し、磁気抵抗素子R3Pのバーバーポール型電極115と磁気抵抗素子R1Nのバーバーポール型電極115とは線対称に位置し、磁気抵抗素子R4Pのバーバーポール型電極115と磁気抵抗素子R2Nのバーバーポール型電極115とは線対称に位置している。
磁気抵抗素子R1P,R1N,R2P,R2N,R3P,R3N,R4P,R4Nの各々は、バーバーポール型電極115を含むことによって、奇関数入出力特性を有している。具体的には、磁気抵抗素子R1P,R1N,R2P,R2N,R3P,R3N,R4P,R4Nの各々は、バーバーポール型電極115を含むことにより、磁気抵抗膜114の磁化方向に対して所定の角度(たとえば45°)をなす方向に電流が流れるようにバイアスされている。
これにより、磁気抵抗素子R1P,R1N,R4P,R4Nの各々の抵抗特性と、磁気抵抗素子R2P,R2N,R3P,R3Nの各々の抵抗特性とが、互いに反対になる。たとえば、検出軸111の矢印方向の磁界成分が印加されている時、磁気抵抗素子R1P,R1N,R4P,R4Nの各々の抵抗値が増加し、磁気抵抗素子R2P,R2N,R3P,R3Nの各々の抵抗値は減少する。
電極パッドP3と電極パッドP4との間に電源電圧Vccが印加されることにより、被測定磁界の強度に応じた、出力電圧Vout1が電極パッドP1から取り出され、出力電圧Vout2が電極パッドP2から取り出される。出力電圧Vout1と出力電圧Vout2とは、差動増幅器130によって差動増幅される。電源電圧Vccは、直流の一定電圧であってもよいし、交流電圧またはパルス電圧であってもよい。
以下、電流センサ100の動作について説明する。
図1に示すように、1次導体120に測定対象の電流12が流れることにより、いわゆる右ねじの法則によって図中の左回りに周回する被測定磁界12eが発生する。その結果、図1,2に示すように、第1磁気センサ領域T1には、入力磁界121eが印加され、第2磁気センサ領域T2には、入力磁界122eが印加される。
図1に示すように、1次導体120に測定対象の電流12が流れることにより、いわゆる右ねじの法則によって図中の左回りに周回する被測定磁界12eが発生する。その結果、図1,2に示すように、第1磁気センサ領域T1には、入力磁界121eが印加され、第2磁気センサ領域T2には、入力磁界122eが印加される。
入力磁界121eは、検出軸111の矢印方向の磁界成分121xと、感度変化軸112に沿う第1方向の磁界成分121zとを含む。入力磁界122eは、検出軸111の矢印方向の磁界成分122xと、感度変化軸112に沿う第2方向の磁界成分122zとを含む。
磁界成分121zは磁気抵抗膜114の磁化方向(感度変化軸112の矢印方向)と同じ方向に進入するため、磁気抵抗素子R1P,R2P,R3P,R4Pの各々の出力感度は低くなる。磁界成分122zは磁気抵抗膜114の磁化方向(感度変化軸112の矢印方向)とは反対方向に進入するため、磁気抵抗素子R1N,R2N,R3N,R4Nの各々の出力感度は高くなる。
磁界成分121xと磁界成分122xとはともに検出軸111の矢印方向に進入するため、磁気抵抗素子R1P,R1N,R4P,R4Nの各々の抵抗値は増加し、磁気抵抗素子R2P,R2N,R3P,R3Nの各々の抵抗値は減少する。
ここで、従来の磁気センサの出力特性についてシミュレーション解析した結果を説明する。図4は、従来の磁気センサに検出軸方向の入力磁界が印加された際の出力特性を示すグラフである。図4においては、縦軸に出力電圧(V)、横軸に入力磁界の磁束密度(mT)を示している。また、図4においては、従来の磁気センサの入力磁界の磁束密度に対する出力電圧を直線近似した仮想出力電圧を2点鎖線で示している。具体的には、従来の磁気センサの仮想出力電圧は、入力磁界の磁束密度と出力電圧との関係を最小二乗法を用いて1次関数にて近似して求めた。
従来の磁気センサのシミュレーション解析の条件としては、4つの磁気抵抗素子が電気的に接続されたホイートストンブリッジ型回路(フルブリッジ回路)において、4つの磁気抵抗素子の各々に、同じ方向に磁界が印加されるようにした。ブリッジ抵抗Rbを600Ω、電源電圧Vccを3.00V、バイアス磁界Hbを300Oe、AMR素子のMR比(ΔR/R)を2.0%、バーバーポール型電極の第1電極部の延在方向θBBPを45°、バーバーポール型電極の第2電極部の延在方向θBBPを−45°、被測定磁界の印加方向θexを90°とした。上記の印加方向および延在方向の各々は、感度変化軸112の矢印方向を基準として時計回りに180°未満の範囲を正の値、反時計回りに180°以下の範囲を負の値で示している。
図4に示すように、従来の磁気センサに検出軸方向の入力磁界が印加された際の出力特性においては、入力磁界の磁束密度の絶対値が大きくなると、飽和して出力電圧の絶対値の増加率が小さくなり、出力電圧と仮想出力電圧との差が広がっている。
ここで、磁気センサの出力電圧の誤差率について定義する。被測定磁界の範囲における仮想出力電圧の最大値と最小値との間の間隔であるフルスケールに対する、出力電圧と仮想出力電圧との差の比率を、磁気センサの出力電圧の誤差率とする。
たとえば、被測定磁界の範囲が±20mTであり、磁束密度が20mTのときの仮想出力電圧が0.03V、磁束密度が−20mTのときの仮想出力電圧が−0.03Vである場合、フルスケールは0.06Vとなる。磁束密度が15mTのとき、出力電圧が0.0235V、仮想出力電圧が0.022Vであった場合、磁気センサの出力の誤差率は、(0.0235−0.022)/0.06×100=2.5%となる。
図5は、従来の磁気センサにおける入力磁界の磁束密度と出力電圧の誤差率との関係を示すグラフである。図5においては、縦軸に出力電圧の誤差率(%FS)、横軸に入力磁界の磁束密度(mT)を示している。
図5に示すように、従来の磁気センサにおいては、入力磁界の磁束密度の絶対値が約10mTを超えた時点から飽和状態となり、出力電圧の誤差率の絶対値が約5%FSに達している。
次に、本発明の実施形態1に係る電流センサが備える磁気センサの出力特性についてシミュレーション解析した結果を説明する。図6は、本発明の実施形態1に係る電流センサが備える磁気センサの被測定磁界が印加された際の出力特性を示すグラフである。図6においては、縦軸に出力電圧(V)、横軸に入力磁界の磁束密度(mT)を示している。また、図6においては、第1磁気センサ領域T1における出力を1点鎖線、第2磁気センサ領域T2における出力を点線、磁気センサ110からの出力を実線で示している。図6においては、図1に示す磁気センサ110の検出軸111の矢印方向に進入する磁束の密度を正の値で示している。
本発明の実施形態1に係る電流センサが備える磁気センサのシミュレーション解析の条件としては、ブリッジ抵抗Rbを600Ω、電源電圧Vccを3.00V、バイアス磁界Hbを300Oe、AMR素子のMR比(ΔR/R)を2.0%、バーバーポール型電極の第1電極部の延在方向θBBPを45°、バーバーポール型電極の第2電極部の延在方向θBBPを−45°、第1磁気センサ領域T1における被測定磁界の印加方向θexを30°、第2磁気センサ領域T2における被測定磁界の印加方向θexを150°とした。上記の印加方向および延在方向の各々は、感度変化軸112の矢印方向を基準として時計回りに180°未満の範囲を正の値、反時計回りに180°以下の範囲を負の値で示している。
図1,6に示すように、本実施形態に係る電流センサ100が備える磁気センサ110に被測定磁界12eが印加された際、第1磁気センサ領域T1には入力磁界121eが印加されて出力感度が低くなり、第2磁気センサ領域T2には入力磁界122eが印加されて出力感度が高くなっている。磁気センサ110の出力は、第1磁気センサ領域T1における出力と第2磁気センサ領域T2における出力との平均値であるため、出力感度の変動が抑制されている。
第1磁気センサ領域T1における出力は、出力感度が低下しているため明確な飽和状態が現れていない。第2磁気センサ領域T2における出力感度は、入力磁界の磁束密度が約5mTを超えた時点から、第1磁気センサ領域T1の出力感度が低下する割合に比較して、高い割合で増加している。
図7は、本発明の実施形態1に係る電流センサが備える磁気センサにおける入力磁界の磁束密度と出力電圧の誤差率との関係を示すグラフである。図7においては、縦軸に出力電圧の誤差率(%FS)、横軸に入力磁界の磁束密度(mT)を示している。また、図7においては、第1磁気センサ領域T1における出力を1点鎖線、第2磁気センサ領域T2における出力を点線、磁気センサ110からの出力を実線で示している。図7においては、図1に示す磁気センサ110の検出軸111の矢印方向に進入する磁束の密度を正の値で示している。
図7に示すように、本実施形態に係る電流センサ100が備える磁気センサ110においては、入力磁界の磁束密度が約14mTを超えるまで飽和状態になっておらず、出力電圧の誤差率が2.5%FS以下に低減されている。すなわち、本実施形態に係る電流センサ100が備える磁気センサ110においては、入力磁界と出力電圧との線形性が広い範囲で高く維持されている。よって、本実施形態に係る電流センサ100は、感度を維持しつつ広い測定範囲を有する。
本実施形態に係る電流センサ100が備える磁気センサ110においては、磁気抵抗膜114の磁化の強さ(バイアス磁界の強さ)が、被測定磁界における感度変化軸112に沿う磁界成分の強さの2倍以上であることにより、入力磁界と出力電圧との線形性を広い範囲で高く維持する効果を持続することができる。
本実施形態に係る電流センサ100においては、Ws≧0.05WbおよびLm≦Wbを満たすことにより、感度を維持しつつ広い測定範囲を有する効果を安定して得ることができる。
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2に係る電流センサについて説明する。なお、本実施形態に係る電流センサ200は、1次導体が2つの流路に分流されている点および2つの磁気センサを備える点が主に、実施形態1に係る電流センサ100と異なるため、実施形態1に係る電流センサ100と同様である構成については同一の参照符号を付してその説明を繰り返さない。
以下、本発明の実施形態2に係る電流センサについて説明する。なお、本実施形態に係る電流センサ200は、1次導体が2つの流路に分流されている点および2つの磁気センサを備える点が主に、実施形態1に係る電流センサ100と異なるため、実施形態1に係る電流センサ100と同様である構成については同一の参照符号を付してその説明を繰り返さない。
図8は、本発明の実施形態2に係る電流センサの構成を示す断面図である。図9は、本発明の実施形態2に係る電流センサの回路構成を示す回路図である。図8においては、1次導体120の幅方向をX軸方向、1次導体120の長さ方向をY軸方向、1次導体120の厚さ方向をZ軸方向として、図示している。図8においては、1次導体120の第1流路部120aの幅の中央を通過して1次導体120の厚さ方向(Z軸方向)に延びる仮想中央線Ca、および、1次導体120の第2流路部120bの幅の中央を通過して1次導体120の厚さ方向(Z軸方向)に延びる仮想中央線Cbを図示している。
図8に示すように、本発明の実施形態2に係る電流センサ200は、磁気センサ110として第1磁気センサ110aおよび第2磁気センサ110bを有している。測定対象の電流12a,12bは、2つの流路に分流されて1次導体120を1次導体120の長さ方向(Y軸方向)に流れる。
1次導体120において、2つの流路のうちの1つの流路を構成する第1流路部120aと、2つの流路のうちの他の1つの流路を構成する第2流路部120bとが、1次導体120の厚さ方向(Z軸方向)にて互いに間隔を置いて対向するように並んでいる。
第1磁気センサ110aおよび第2磁気センサ110bの各々において、第1磁気センサ領域T1および第2磁気センサ領域T2が検出軸111に沿う方向に並んでいる。
第1磁気センサ110aは、第1流路部120aと第2流路部120bとの間にて、感度変化軸112に沿う方向が1次導体120の幅方向(X軸方向)と交差するように、1次導体120の厚さ方向(Z軸方向)にて第1流路部120aと対向している。本実施形態においては、第1磁気センサ110aの感度変化軸112に沿う方向が、第1流路部120aの幅方向(X軸方向)と直交している。第1磁気センサ110aは、仮想中央線Ca上に配置され、第1流路部120aの表面と対向している。第1磁気センサ領域T1と第2磁気センサ領域T2との間に、仮想中央線Caが位置している。
第2磁気センサ110bは、第1流路部120aと第2流路部120bとの間にて、感度変化軸112に沿う方向が1次導体120の幅方向(X軸方向)と交差するように、1次導体120の厚さ方向(Z軸方向)にて第2流路部120bと対向している。本実施形態においては、第2磁気センサ110bの感度変化軸112に沿う方向が、第2流路部120bの幅方向(X軸方向)と直交している。第2磁気センサ110bは、仮想中央線Cb上に配置され、第2流路部120bの裏面と対向している。第1磁気センサ領域T1と第2磁気センサ領域T2との間に、仮想中央線Cbが位置している。
1次導体120の第1流路部120aに測定対象の電流12aが流れることにより、いわゆる右ねじの法則によって図中の左回りに周回する被測定磁界12eaが発生する。その結果、第1磁気センサ110aの第1磁気センサ領域T1には、入力磁界121eaが印加され、第1磁気センサ110aの第2磁気センサ領域T2には、入力磁界122eaが印加される。
入力磁界121eaは、検出軸111の矢印方向の磁界成分121xaと、感度変化軸112に沿う第1方向の磁界成分121zaとを含む。入力磁界122eaは、検出軸111の矢印方向の磁界成分122xaと、感度変化軸112に沿う第2方向の磁界成分122zaとを含む。
磁界成分121zaは磁気抵抗膜114の磁化方向(感度変化軸112の矢印方向)と同じ方向に進入するため、第1磁気センサ110aの磁気抵抗素子R1P,R2P,R3P,R4Pの各々の出力感度は低くなる。磁界成分122zaは磁気抵抗膜114の磁化方向(感度変化軸112の矢印方向)とは反対方向に進入するため、第1磁気センサ110aの磁気抵抗素子R1N,R2N,R3N,R4Nの各々の出力感度は高くなる。
磁界成分121xaと磁界成分122xaとはともに検出軸111の矢印方向に進入するため、第1磁気センサ110aの磁気抵抗素子R1P,R1N,R4P,R4Nの各々の抵抗値は増加し、第1磁気センサ110aの磁気抵抗素子R2P,R2N,R3P,R3Nの各々の抵抗値は減少する。
1次導体120の第2流路部120bに測定対象の電流12bが流れることにより、いわゆる右ねじの法則によって図中の左回りに周回する被測定磁界12ebが発生する。その結果、第2磁気センサ110bの第1磁気センサ領域T1には、入力磁界121ebが印加され、第2磁気センサ110bの第2磁気センサ領域T2には、入力磁界122ebが印加される。
入力磁界121ebは、検出軸111の矢印方向の磁界成分121xbと、感度変化軸112に沿う第1方向の磁界成分121zbとを含む。入力磁界122ebは、検出軸111の矢印方向の磁界成分122xbと、感度変化軸112に沿う第2方向の磁界成分122zbとを含む。
磁界成分121zbは磁気抵抗膜114の磁化方向(感度変化軸112の矢印方向)と同じ方向に進入するため、第2磁気センサ110bの磁気抵抗素子R1P,R2P,R3P,R4Pの各々の出力感度は低くなる。磁界成分122zbは磁気抵抗膜114の磁化方向(感度変化軸112の矢印方向)とは反対方向に進入するため、第2磁気センサ110bの磁気抵抗素子R1N,R2N,R3N,R4Nの各々の出力感度は高くなる。
磁界成分121xbと磁界成分122xbとはともに検出軸111の矢印方向に進入するため、第2磁気センサ110bの磁気抵抗素子R1P,R1N,R4P,R4Nの各々の抵抗値は増加し、第2磁気センサ110bの磁気抵抗素子R2P,R2N,R3P,R3Nの各々の抵抗値は減少する。
図9に示すように、本発明の実施形態2に係る電流センサ200は、第1磁気センサ110aの検出値と第2磁気センサ110bの検出値とを演算することにより測定対象の電流12a,12bの値を算出する算出部132をさらに備える。
算出部132は、第1磁気センサ110aの出力電圧Vout1と出力電圧Vout2とを差動増幅して検出値を出力する第1差動増幅器130aと、第2磁気センサ110bの出力電圧Vout1と出力電圧Vout2とを差動増幅して検出値を出力する第2差動増幅器130bと、第1磁気センサ110aの検出値から第2磁気センサ110bの検出値を減算する第3差動増幅器131とを含む。算出部132は、第3差動増幅器131に代えて、減算器を含んでいてもよい。
上記のように、第1磁気センサ110aに作用するX軸方向の磁束の向きと、第2磁気センサ110bに作用するX軸方向の磁束の向きとが反対であるため、1次導体120を流れる測定対象の電流12a,12bにより発生する被測定磁界12ea,12ebの強さについて、第1磁気センサ110aの検出値の位相と、第2磁気センサ110bの検出値の位相とは、逆相である。
よって、第1磁気センサ110aの検出した被測定磁界12eaの強さを正の値とすると、第2磁気センサ110bの検出した被測定磁界12ebの強さは負の値となる。第1磁気センサ110aの検出値と第2磁気センサ110bの検出値とは、算出部132にて演算される。
算出部132は、第1磁気センサ110aの検出値から第2磁気センサ110bの検出値を減算する。その結果、第1磁気センサ110aの検出値の絶対値と、第2磁気センサ110bの検出値の絶対値とが加算される。この加算結果から、1次導体120を流れた測定対象の電流12a,12bの値が算出される。
本実施形態に係る電流センサ200においては、第1磁気センサ110aと第2磁気センサ110bとの間隔が狭いため、外部磁界源は、物理的に第1磁気センサ110aと第2磁気センサ110bとの間に位置することができない。
そのため、外部磁界源から第1磁気センサ110aに印加される磁界のうちの検出軸111に沿う方向の磁界成分の向きと、外部磁界源から第2磁気センサ110bに印加される磁界のうちの検出軸111に沿う方向の磁界成分の向きとは、同じ向きとなる。よって、第1磁気センサ110aの検出した外部磁界の強さを正の値とすると、第2磁気センサ110bの検出した外部磁界の強さも正の値となる。
その結果、算出部132が第1磁気センサ110aの検出値から第2磁気センサ110bの検出値を減算することにより、第1磁気センサ110aの検出値の絶対値と、第2磁気センサ110bの検出値の絶対値とが減算される。これにより、外部磁界源からの磁界は、ほとんど検出されなくなる。すなわち、外部磁界の影響が低減される。
本実施形態の変形例として、第1磁気センサ110aおよび第2磁気センサ110bにおいて、検出値が正となる検出軸111の方向を互いに反対方向(180°反対)にしてもよい。この場合、第1磁気センサ110aの検出する外部磁界の強さを正の値とすると、第2磁気センサ110bの検出する外部磁界の強さは負の値となる。
一方、1次導体120を流れる測定対象の電流12a,12bにより発生する被測定磁界12ea,12ebの強さについて、第1磁気センサ110aの検出値の位相と、第2磁気センサ110bの検出値の位相とは同相となる。
本変形例においては、算出部132における第3差動増幅器131に代えて加算器または加算増幅器を用いる。外部磁界の強さについては、第1磁気センサ110aの検出値と第2磁気センサ110bの検出値とを加算器または加算増幅器によって加算することにより、第1磁気センサ110aの検出値の絶対値と、第2磁気センサ110bの検出値の絶対値とが減算される。これにより、外部磁界源からの磁界は、ほとんど検出されなくなる。すなわち、外部磁界の影響が低減される。
一方、1次導体120を流れる測定対象の電流12a,12bにより発生する被測定磁界12ea,12ebの強さについては、第1磁気センサ110aの検出値と第2磁気センサ110bの検出値とを加算器または加算増幅器によって加算することにより、第1磁気センサ110aの検出値の絶対値と、第2磁気センサ110bの検出値の絶対値とが加算される。この加算結果から、1次導体120を流れた測定対象の電流12a,12bの値が算出される。
このように、第1磁気センサ110aと第2磁気センサ110bとの入出力特性を互いに逆の極性にしつつ、第3差動増幅器131に代えて加算器または加算増幅器を算出部132において用いてもよい。
(実施形態3)
以下、本発明の実施形態3に係る電流センサについて説明する。なお、本実施形態に係る電流センサ300は、第1流路部と第2流路部とが互いにずれて位置している点、および、第1磁気センサ領域と第2磁気センサ領域とが感度変化軸に沿う方向に並んでいる点が主に、実施形態2に係る電流センサ200と異なるため、実施形態2に係る電流センサ200と同様である構成については同一の参照符号を付してその説明を繰り返さない。
以下、本発明の実施形態3に係る電流センサについて説明する。なお、本実施形態に係る電流センサ300は、第1流路部と第2流路部とが互いにずれて位置している点、および、第1磁気センサ領域と第2磁気センサ領域とが感度変化軸に沿う方向に並んでいる点が主に、実施形態2に係る電流センサ200と異なるため、実施形態2に係る電流センサ200と同様である構成については同一の参照符号を付してその説明を繰り返さない。
図10は、本発明の実施形態3に係る電流センサの構成を示す断面図である。図11は、本発明の実施形態3に係る電流センサが備える1次導体の周辺に発生する被測定磁界の磁束密度をシミュレーションした結果を示す磁束線図である。図12は、本発明の実施形態3に係る電流センサが備える第1磁気センサの構成を示す平面図である。図13は、本発明の実施形態3に係る電流センサの回路構成を示す回路図である。図11においては、図10と同一の断面を示している。
図10に示すように、本発明の実施形態3に係る電流センサ300は、磁気センサ310として第1磁気センサ310aおよび第2磁気センサ310bを有している。測定対象の電流12a,12bは、2つの流路に分流されて1次導体120を1次導体120の長さ方向(Y軸方向)に流れる。
1次導体120において、2つの流路のうちの1つの流路を構成する第1流路部120aと、2つの流路のうちの他の1つの流路を構成する第2流路部120bとが、1次導体120の幅方向(X軸方向)にて互いに間隔を置いてずれて位置しつつ1次導体120の厚さ方向(Z軸方向)にて互いに間隔を置いてずれて位置している。第1流路部120aの表面と第2流路部120bの裏面とは、互いに平行である。
第1磁気センサ310aおよび第2磁気センサ310bの各々は、検出軸311および検出軸311に直交する感度変化軸312を有し、1次導体120の第1流路部120aおよび第2流路部120bを流れる測定対象の電流12a,12bにより発生する被測定磁界12ea,12ebの強さを検出する。
第1磁気センサ310aおよび第2磁気センサ310bの各々は、感度変化軸312に沿う第1の方向の磁界成分が含まれるように被測定磁界12ea,12ebが印加されて出力感度が低くなる第1磁気センサ領域T1と、第1の方向とは反対の第2の方向の磁界成分が含まれるように被測定磁界12ea,12ebが印加されて出力感度が高くなる第2磁気センサ領域T2とを含む。第1磁気センサ310aおよび第2磁気センサ310bの各々は、第1磁気センサ領域T1における出力と第2磁気センサ領域T2における出力とを合わせて被測定磁界12ea,12ebの強さを検出する。なお、第1の方向は、感度変化軸312の矢印方向である。
第1磁気センサ310aおよび第2磁気センサ310bの各々において、第1磁気センサ領域T1および第2磁気センサ領域T2が感度変化軸312に沿う方向に並んでいる。
第1磁気センサ310aは、1次導体120の厚さ方向(Z軸方向)において第1流路部120aと第2流路部120bとの間にて、感度変化軸312に沿う方向が1次導体120の幅方向(X軸方向)と交差するように、1次導体120の幅方向(X軸方向)にて第2流路部120b寄りの第1流路部120aの一部と1次導体120の厚さ方向(Z軸方向)にて対向している。
本実施形態においては、第1磁気センサ310aの感度変化軸312に沿う方向が、第1流路部120aの幅方向(X軸方向)と直交している。第1磁気センサ310aは、仮想中央線Ca上から第1流路部120aの幅方向(X軸方向)にずれて配置され、第1流路部120aの表面と対向している。
第2磁気センサ310bは、1次導体120の厚さ方向(Z軸方向)において第1流路部120aと第2流路部120bとの間にて、感度変化軸312に沿う方向が1次導体120の幅方向(X軸方向)と交差するように、1次導体120の幅方向(X軸方向)にて第1流路部120a寄りの第2流路部120bの一部と1次導体120の厚さ方向(Z軸方向)にて対向している。
本実施形態においては、第2磁気センサ310bの感度変化軸312に沿う方向が、第2流路部120bの幅方向(X軸方向)と直交している。第2磁気センサ310bは、仮想中央線Cb上から第2流路部120bの幅方向(X軸方向)にずれて配置され、第2流路部120bの裏面と対向している。
次に、本実施形態に係る電流センサ300が備える磁気センサの構成について説明する。
図13に示すように、第1磁気センサ310aは、基板313上に設けられた4個の磁気抵抗素子MR1,MR2,MR3,MR4が電気的に接続されたホイートストンブリッジ型回路(フルブリッジ回路)を含む。
磁気抵抗素子MR1,MR2,MR3,MR4は、基板313の幅方向(X軸方向)に沿って並んでいる。磁気抵抗素子MR1,MR2,MR3,MR4の各々の一部が、第1磁気センサ領域T1に位置している。磁気抵抗素子MR1,MR2,MR3,MR4の各々の他の一部が、第2磁気センサ領域T2に位置している。本実施形態においては、磁気抵抗素子MR1,MR2,MR3,MR4の各々の長手方向(Z軸方向)における半分が第1磁気センサ領域T1に位置し、残りの半分が第2磁気センサ領域T2に位置している。第2磁気センサ310bは、第1磁気センサ310aと同一の構成を有している。
磁気抵抗素子MR1,MR2,MR3,MR4が位置している範囲の基板313の長さ方向(Z軸方向)の長さはLsである。Ls≧0.05Wbを満たすことが好ましい。図10に示すように、磁気抵抗素子MR1,MR2,MR3,MR4の各々と、第1流路部120aの表面および第2流路部120bの裏面の各々との、1次導体120の厚さ方向(Z軸方向)の最短距離はLmである。Lm≦Wbを満たすことが好ましい。
磁気抵抗素子MR1,MR2,MR3,MR4の各々は、AMR(Anisotropic Magneto Resistance)素子である。ただし、磁気抵抗素子MR1,MR2,MR3,MR4の各々が、GMR(Giant Magneto Resistance)、TMR(Tunnel Magneto Resistance)、BMR(Ballistic Magneto Resistance)、または、CMR(Colossal Magneto Resistance)などであってもよい。
基板313上には、出力電圧Vout1を取り出すための電極パッドP1、出力電圧Vout2を取り出すための電極パッドP2、電源電圧Vccを印加するための電極パッドP3、および、接地された電極パッドP4が設けられている。基板113上には、電極パッドと一緒にパターニングされて形成された接続配線116が設けられている。
磁気抵抗素子MR1の一端側は、電極パッドP3に、接続配線116を通じて電気的に接続されている。磁気抵抗素子MR1の他端側は、電極パッドP1に、接続配線116を通じて電気的に接続されている。磁気抵抗素子MR2の一端側は、電極パッドP4に、接続配線116を通じて電気的に接続されている。磁気抵抗素子MR2の他端側は、電極パッドP1に、接続配線116を通じて電気的に接続されている。
上記のように、電極パッドP3、磁気抵抗素子MR1、電極パッドP1、磁気抵抗素子MR2および電極パッドP4が電気的に直列に接続されることにより、第1ハーフブリッジ回路が構成されている。
磁気抵抗素子MR3の一端側は、電極パッドP3に、接続配線116を通じて電気的に接続されている。磁気抵抗素子MR3の他端側は、電極パッドP2に、接続配線116を通じて電気的に接続されている。磁気抵抗素子MR4の一端側は、電極パッドP4に、接続配線116を通じて電気的に接続される。磁気抵抗素子MR4の他端側は、電極パッドP2と電気的に接続されている。
上記のように、電極パッドP3、磁気抵抗素子MR3、電極パッドP2、磁気抵抗素子MR4および電極パッドP4が電気的に直列に接続されることにより、第2ハーフブリッジ回路が構成されている。
第1ハーフブリッジ回路と第2ハーフブリッジ回路とが、互いに電気的に並列に接続されることにより、ホイートストンブリッジ型回路(フルブリッジ回路)が構成されている。本実施形態においては、磁気センサは、フルブリッジ回路を含んでいるが、第1ハーフブリッジ回路のみを含んでいてもよいし、1つの磁気抵抗素子のみを含んでいてもよい。
磁気抵抗素子MR1,MR2,MR3,MR4の各々は、基板313上に形成された強磁性体の薄膜からなる磁気抵抗膜114と、磁気抵抗膜114上に設けられたバーバーポール型電極115とを含む。磁気抵抗膜114は、基板313の長さ方向(Z軸方向)に沿って延在し、矩形状の外形を有している。なお、磁気抵抗素子MR1,MR2,MR3,MR4の各々が、ミアンダ状に折り返された磁気抵抗膜114を含んでいてもよい。この場合、磁気センサを集積化して小型にできる。
磁気抵抗膜114の形状異方性により、磁気抵抗膜114の磁化方向が決まっている。感度変化軸312は、磁気抵抗膜114の磁化方向に沿っており、本実施形態においては磁気抵抗膜114の長手方向に沿っている。磁気抵抗膜114の磁化の強さ(バイアス磁界の強さ)は、被測定磁界における感度変化軸312に沿う磁界成分の強さの2倍以上であることが好ましい。
磁気抵抗素子MR1,MR4の各々におけるバーバーポール型電極115は、磁気抵抗膜114の長手方向と斜めに交差するように延在する複数の第1電極部から構成されている。複数の第1電極部は、互いに間隔を置いて磁気抵抗膜114の長手方向に並んでいる。
磁気抵抗素子MR2,MR3の各々におけるバーバーポール型電極115は、磁気抵抗膜114の長手方向と斜めに交差するように延在する複数の第2電極部から構成されている。複数の第2電極部は、互いに間隔を置いて磁気抵抗膜114の長手方向に並んでいる。
第1ハーフブリッジ回路と第2ハーフブリッジ回路との間にてZ軸方向に延びる仮想中心線に関して、磁気抵抗素子MR1のバーバーポール型電極115と磁気抵抗素子MR3のバーバーポール型電極115とは線対称に位置し、磁気抵抗素子MR2のバーバーポール型電極115と磁気抵抗素子MR4のバーバーポール型電極115とは線対称に位置している。
磁気抵抗素子MR1,MR2,MR3,MR4の各々は、バーバーポール型電極115を含むことによって、奇関数入出力特性を有している。具体的には、磁気抵抗素子MR1,MR2,MR3,MR4の各々は、バーバーポール型電極115を含むことにより、磁気抵抗膜114の磁化方向に対して所定の角度(たとえば45°)をなす方向に電流が流れるようにバイアスされている。
これにより、磁気抵抗素子MR1,MR4の各々の抵抗特性と、磁気抵抗素子MR2,MR3の各々の抵抗特性とが、互いに反対になる。たとえば、検出軸311の矢印方向の磁界成分が印加されている時、磁気抵抗素子MR1,MR4の各々の抵抗値が増加し、磁気抵抗素子MR2,MR3の各々の抵抗値は減少する。
電極パッドP3と電極パッドP4との間に電源電圧Vccが印加されることにより、被測定磁界の強度に応じた、出力電圧Vout1が電極パッドP1から取り出され、出力電圧Vout2が電極パッドP2から取り出される。出力電圧Vout1と出力電圧Vout2とは、差動増幅器によって差動増幅される。電源電圧Vccは、直流の一定電圧であってもよいし、交流電圧またはパルス電圧であってもよい。
以下、電流センサ300の動作について説明する。
図10,11に示すように、1次導体120の第1流路部120aに測定対象の電流12aが流れることにより、いわゆる右ねじの法則によって図中の左回りに周回する被測定磁界12eaが発生する。1次導体120の第2流路部120bに測定対象の電流12bが流れることにより、いわゆる右ねじの法則によって図中の左回りに周回する被測定磁界12ebが発生する。
図10,11に示すように、1次導体120の第1流路部120aに測定対象の電流12aが流れることにより、いわゆる右ねじの法則によって図中の左回りに周回する被測定磁界12eaが発生する。1次導体120の第2流路部120bに測定対象の電流12bが流れることにより、いわゆる右ねじの法則によって図中の左回りに周回する被測定磁界12ebが発生する。
その結果、第1磁気センサ310aの第1磁気センサ領域T1には、入力磁界321eaが印加され、第1磁気センサ310aの第2磁気センサ領域T2には、入力磁界322eaが印加される。第2磁気センサ310bの第1磁気センサ領域T1には、入力磁界321ebが印加され、第2磁気センサ310bの第2磁気センサ領域T2には、入力磁界322ebが印加される。
入力磁界321eaは、検出軸311の矢印方向の磁界成分321xaと、感度変化軸312に沿う第1方向の磁界成分321zaとを含む。入力磁界322eaは、検出軸311の矢印方向の磁界成分322xaと、感度変化軸312に沿う第2方向の磁界成分322zaとを含む。
磁界成分321zaは磁気抵抗膜114の磁化方向(感度変化軸312の矢印方向)と同じ方向に進入するため、第1磁気センサ310aの磁気抵抗素子MR1,MR2,MR3,MR4の各々の一部(第1磁気センサ領域T1に位置する部分)の出力感度は低くなる。磁界成分322zaは磁気抵抗膜114の磁化方向(感度変化軸312の矢印方向)とは反対方向に進入するため、第1磁気センサ310aの磁気抵抗素子MR1,MR2,MR3,MR4の各々の他の一部(第2磁気センサ領域T2に位置する部分)の出力感度は高くなる。
磁界成分321xaと磁界成分322xaとはともに検出軸311の矢印方向に進入するため、第1磁気センサ310aの磁気抵抗素子MR1,MR4の各々の抵抗値は増加し、磁気抵抗素子MR2,MR3の各々の抵抗値は減少する。
入力磁界321ebは、検出軸311の矢印方向の磁界成分321xbと、感度変化軸312に沿う第1方向の磁界成分321zbとを含む。入力磁界322ebは、検出軸311の矢印方向の磁界成分322xbと、感度変化軸312に沿う第2方向の磁界成分322zbとを含む。
磁界成分321zbは磁気抵抗膜114の磁化方向(感度変化軸312の矢印方向)と同じ方向に進入するため、第2磁気センサ310bの磁気抵抗素子MR1,MR2,MR3,MR4の各々の一部(第1磁気センサ領域T1に位置する部分)の出力感度は低くなる。磁界成分322zaは磁気抵抗膜114の磁化方向(感度変化軸312の矢印方向)とは反対方向に進入するため、第2磁気センサ310bの磁気抵抗素子MR1,MR2,MR3,MR4の各々の他の一部(第2磁気センサ領域T2に位置する部分)の出力感度は高くなる。
磁界成分321xbと磁界成分322xbとはともに検出軸311の矢印方向とは反対方向に進入するため、第2磁気センサ310bの磁気抵抗素子MR1,MR4の各々の抵抗値は減少し、磁気抵抗素子MR2,MR3の各々の抵抗値は増加する。
図13に示すように、本発明の実施形態3に係る電流センサ300は、第1磁気センサ310aの検出値と第2磁気センサ310bの検出値とを演算することにより測定対象の電流12a,12bの値を算出する算出部132をさらに備える。
算出部132は、第1磁気センサ310aの出力電圧Vout1と出力電圧Vout2とを差動増幅して検出値を出力する第1差動増幅器130aと、第2磁気センサ310bの出力電圧Vout1と出力電圧Vout2とを差動増幅して検出値を出力する第2差動増幅器130bと、第1磁気センサ310aの検出値から第2磁気センサ310bの検出値を減算する第3差動増幅器131とを含む。算出部332は、第3差動増幅器131に代えて、減算器を含んでいてもよい。
上記のように、第1磁気センサ310aに作用するX軸方向の磁束の向きと、第2磁気センサ310bに作用するX軸方向の磁束の向きとが反対であるため、1次導体120を流れる測定対象の電流12a,12bにより発生する被測定磁界12ea,12ebの強さについて、第1磁気センサ310aの検出値の位相と、第2磁気センサ310bの検出値の位相とは、逆相である。
よって、第1磁気センサ310aの検出した被測定磁界12eaの強さを正の値とすると、第2磁気センサ310bの検出した被測定磁界12ebの強さは負の値となる。第1磁気センサ310aの検出値と第2磁気センサ310bの検出値とは、算出部132にて演算される。
算出部132は、第1磁気センサ310aの検出値から第2磁気センサ310bの検出値を減算する。その結果、第1磁気センサ310aの検出値の絶対値と、第2磁気センサ310bの検出値の絶対値とが加算される。この加算結果から、1次導体120を流れた測定対象の電流12a,12bの値が算出される。
本実施形態に係る電流センサ300においては、第1磁気センサ310aと第2磁気センサ310bとの間隔が狭いため、外部磁界源は、物理的に第1磁気センサ310aと第2磁気センサ310bとの間に位置することができない。
そのため、外部磁界源から第1磁気センサ310aに印加される磁界のうちの検出軸311に沿う方向の磁界成分の向きと、外部磁界源から第2磁気センサ310bに印加される磁界のうちの検出軸311に沿う方向の磁界成分の向きとは、同じ向きとなる。よって、第1磁気センサ310aの検出した外部磁界の強さを正の値とすると、第2磁気センサ310bの検出した外部磁界の強さも正の値となる。
その結果、算出部132が第1磁気センサ310aの検出値から第2磁気センサ310bの検出値を減算することにより、第1磁気センサ310aの検出値の絶対値から、第2磁気センサ310bの検出値の絶対値が減算される。これにより、外部磁界源からの磁界は、ほとんど検出されなくなる。すなわち、外部磁界の影響が低減される。
本実施形態に係る電流センサ300が備える第1磁気センサ310aおよび第2磁気センサ310bの各々の出力においては、第1磁気センサ領域T1における出力と第2磁気センサ領域T2における出力とが足し合わされているため、出力感度の変動が抑制されている。電流センサ300が備える第1磁気センサ310aおよび第2磁気センサ310bの各々においては、入力磁界と出力電圧との線形性が広い範囲で高く維持される。よって、本実施形態に係る電流センサ300は、感度を維持しつつ広い測定範囲を有する。
本実施形態に係る電流センサ300が備える第1磁気センサ310aおよび第2磁気センサ310bの各々においては、磁気抵抗膜114の磁化の強さ(バイアス磁界の強さ)が、被測定磁界における感度変化軸312に沿う磁界成分の強さの2倍以上であることにより、入力磁界と出力電圧との線形性を広い範囲で高く維持する効果を持続することができる。
本実施形態に係る電流センサ300においては、Ls≧0.05WbおよびLm≦Wbを満たすことにより、感度を維持しつつ広い測定範囲を有する効果を安定して得ることができる。
ここで、本発明の実施形態3の変形例に係る電流センサについて説明する。なお、本発明の実施形態3の変形例に係る電流センサが備える磁気センサにおいては、基板が支持体にダイボンディングされている点、および、バーバーポール型電極が設けられていない点が主に、本発明の実施形態3に係る電流センサ300と異なるため、本発明の実施形態3に係る電流センサ300と同様である構成については、同一符号を付してその説明を繰り返さない。
図14は、本発明の実施形態3の変形例に係る電流センサが備える第1磁気センサの構成を示す平面図である。図15は、本発明の実施形態3の変形例に係る電流センサの回路構成を示す回路図である。図14においては、第1磁気センサ310xaが含む基板313の幅方向をX軸方向、厚さ方向をY軸方向、長さ方向をZ軸方向として、図示している。第2磁気センサ310xbは、第1磁気センサ310xaと同一の構成を有している。
図14に示すように、本発明の実施形態3の変形例に係る電流センサ300xが備える第1磁気センサ310xaにおいては、支持体333上に基板313がダイボンディングされている。
支持体333上には、出力電圧Vout1を取り出すための電極パッドP1、出力電圧Vout2を取り出すための電極パッドP2、電源電圧Vccを印加するための電極パッドP3、接地された電極パッドP4、および、中継電極である電極パッドP5,P6,P7が設けられている。電極パッドP1、電極パッドP2、電極パッドP6および電極パッドP7は、基板313の幅方向(X軸方向)に沿って並んでいる。電極パッドP3、電極パッドP4および電極パッドP5は、基板313の幅方向(X軸方向)に沿って並んでいる。基板313の長さ方向(Z軸方向)において、電極パッドP1、電極パッドP2、電極パッドP6および電極パッドP7が並ぶ列と、電極パッドP3、電極パッドP4および電極パッドP5が並ぶ列との間に、基板313が配置されている。
第1磁気センサ310xaにおいては、バーバーポール型電極が設けられておらず、基板113上に設けられた8個の磁気抵抗素子R1P,R1N,R2P,R2N,R3P,R3N,R4P,R4Nの各々は、基板313上に設けられた磁気抵抗膜314のみによって構成されている。磁気抵抗素子R1P,R2P,R3P,R4Pの各々は、第1磁気センサ領域T1に位置している。磁気抵抗素子R1N,R2N,R3N,R4Nの各々は、第2磁気センサ領域T2に位置している。
磁気抵抗素子R1P,R1N,R4P,R4Nの各々を構成する磁気抵抗膜314は、バイアス磁界が印加される方向に対して交差するように互いに平行に延在している。本実施形態においては、磁気抵抗素子R1P,R1N,R4P,R4Nの各々を構成する磁気抵抗膜314は、バイアス磁界が印加される方向に対してそれぞれ略45°で交差している。
磁気抵抗素子R2P,R2N,R3P,R3Nの各々を構成する磁気抵抗膜314は、バイアス磁界が印加される方向に対して交差するように互いに平行に延在している。本実施形態においては、磁気抵抗素子R2P,R2N,R3P,R3Nの各々を構成する磁気抵抗膜314は、バイアス磁界が印加される方向に対してそれぞれ略45°で交差している。
第1ハーフブリッジ回路と第2ハーフブリッジ回路との間にてZ軸方向に延びる仮想中心線に関して、磁気抵抗素子R1Pの磁気抵抗膜314と磁気抵抗素子R3Pの磁気抵抗膜314とは線対称に位置し、磁気抵抗素子R2Pの磁気抵抗膜314と磁気抵抗素子R4Pの磁気抵抗膜314とは線対称に位置し、磁気抵抗素子R1Nの磁気抵抗膜314と磁気抵抗素子R3Nの磁気抵抗膜314とは線対称に位置し、磁気抵抗素子R2Nの磁気抵抗膜314と磁気抵抗素子R4Nの磁気抵抗膜314とは線対称に位置している。
磁気抵抗素子R1Pの磁気抵抗膜314と磁気抵抗素子R4Pの磁気抵抗膜314とは、互いに沿って位置している。磁気抵抗素子R2Pの磁気抵抗膜314と磁気抵抗素子R3Pの磁気抵抗膜314とは、互いに沿って位置している。磁気抵抗素子R1Nの磁気抵抗膜314と磁気抵抗素子R4Nの磁気抵抗膜314とは、互いに沿って位置している。磁気抵抗素子R2Nの磁気抵抗膜314と磁気抵抗素子R3Nの磁気抵抗膜314とは、互いに沿って位置している。
これにより、磁気抵抗素子R1P,R1N,R4P,R4Nの各々の抵抗特性と、磁気抵抗素子R2P,R2N,R3P,R3Nの各々の抵抗特性とが、互いに反対になる。
基板313上には、磁気抵抗膜314の両端にそれぞれ接続されたワイヤボンディング用のパッド316と、パッド316同士を接続する接続配線346とが設けられている。
磁気抵抗素子R1Nの一端側のパッド316は、ワイヤ334により電極パッドP3と接続されている。磁気抵抗素子R1Nの他端側のパッド316は、接続配線346により磁気抵抗素子R1Pの一端側のパッド316と接続されている。磁気抵抗素子R1Pの他端側のパッド316は、ワイヤ334により電極パッドP1と接続されている。電極パッドP1は、ワイヤ334により電極パッドP6と接続されている。電極パッドP6は、ワイヤ334により磁気抵抗素子R2Pの他端側のパッド316と接続されている。磁気抵抗素子R2Pの一端側のパッド316は、接続配線346により磁気抵抗素子R2Nの他端側のパッド316と接続されている。磁気抵抗素子R2Nの一端側のパッド316は、ワイヤ334により電極パッドP4と接続されている。
磁気抵抗素子R3Nの一端側のパッド316は、ワイヤ334により電極パッドP5と接続されている。電極パッドP5は、ワイヤ334により電極パッドP3と接続されている。磁気抵抗素子R3Nの他端側のパッド316は、接続配線346により磁気抵抗素子R3Pの一端側のパッド316と接続されている。磁気抵抗素子R3Pの他端側のパッド316は、ワイヤ334により電極パッドP2と接続されている。電極パッドP2は、ワイヤ334により電極パッドP7と接続されている。電極パッドP7は、ワイヤ334により磁気抵抗素子R4Pの他端側のパッド316と接続されている。磁気抵抗素子R4Pの一端側のパッド316は、接続配線346により磁気抵抗素子R4Nの他端側のパッド316と接続されている。磁気抵抗素子R4Nの一端側のパッド316は、ワイヤ334により電極パッドP4と接続されている。
以下、電流センサ300xの動作について説明する。
図10,11,14,15に示すように、第1磁気センサ310xaの第1磁気センサ領域T1には、入力磁界321eaが印加され、第1磁気センサ310xaの第2磁気センサ領域T2には、入力磁界322eaが印加される。第2磁気センサ310xbの第1磁気センサ領域T1には、入力磁界321ebが印加され、第2磁気センサ310xbの第2磁気センサ領域T2には、入力磁界322ebが印加される。
図10,11,14,15に示すように、第1磁気センサ310xaの第1磁気センサ領域T1には、入力磁界321eaが印加され、第1磁気センサ310xaの第2磁気センサ領域T2には、入力磁界322eaが印加される。第2磁気センサ310xbの第1磁気センサ領域T1には、入力磁界321ebが印加され、第2磁気センサ310xbの第2磁気センサ領域T2には、入力磁界322ebが印加される。
入力磁界321eaは、検出軸311の矢印方向の磁界成分321xaと、感度変化軸312に沿う第1方向の磁界成分321zaとを含む。入力磁界322eaは、検出軸311の矢印方向の磁界成分322xaと、感度変化軸312に沿う第2方向の磁界成分322zaとを含む。
磁界成分321zaは磁気抵抗膜314の磁化方向(感度変化軸312の矢印方向)と同じ方向に進入するため、第1磁気センサ310xaの磁気抵抗素子R1P,R2P,R3P,R4Pの各々の出力感度は低くなる。磁界成分322zaは磁気抵抗膜314の磁化方向(感度変化軸312の矢印方向)とは反対方向に進入するため、第1磁気センサ310xaの磁気抵抗素子R1N,R2N,R3N,R4Nの各々の出力感度は高くなる。
磁界成分321xaと磁界成分322xaとはともに検出軸311の矢印方向に進入するため、第1磁気センサ310xaの磁気抵抗素子R1P,R1N,R4P,R4Nの各々の抵抗値は増加し、磁気抵抗素子R2P,R2N,R3P,R3Nの各々の抵抗値は減少する。
入力磁界321ebは、検出軸311の矢印方向の磁界成分321xbと、感度変化軸312に沿う第1方向の磁界成分321zbとを含む。入力磁界322ebは、検出軸311の矢印方向の磁界成分322xbと、感度変化軸312に沿う第2方向の磁界成分322zbとを含む。
磁界成分321zbは磁気抵抗膜314の磁化方向(感度変化軸312の矢印方向)と同じ方向に進入するため、第2磁気センサ310bの磁気抵抗素子R1P,R2P,R3P,R4Pの各々の出力感度は低くなる。磁界成分322zaは磁気抵抗膜314の磁化方向(感度変化軸312の矢印方向)とは反対方向に進入するため、第2磁気センサ310bの磁気抵抗素子R1N,R2N,R3N,R4Nの各々の出力感度は高くなる。
磁界成分321xbと磁界成分322xbとはともに検出軸311の矢印方向とは反対方向に進入するため、第2磁気センサ310bの磁気抵抗素子R1P,R1N,R4P,R4Nの各々の抵抗値は減少し、磁気抵抗素子R2P,R2N,R3P,R3Nの各々の抵抗値は増加する。
本実施形態の変形例に係る電流センサ300xが備える第1磁気センサ310xaおよび第2磁気センサ310xbの各々の出力においては、第1磁気センサ領域T1における出力と第2磁気センサ領域T2における出力とが足し合わされているため、出力感度の変動が抑制されている。電流センサ300xが備える第1磁気センサ310xaおよび第2磁気センサ310xbの各々においては、入力磁界と出力電圧との線形性が広い範囲で高く維持される。よって、本実施形態の変形例に係る電流センサ300xは、感度を維持しつつ広い測定範囲を有する。
(実施形態4)
以下、本発明の実施形態4に係る電流センサについて説明する。なお、本実施形態に係る電流センサ400は、磁気センサが1次導体の幅方向にて1次導体と対向している点が主に、実施形態1に係る電流センサ100と異なるため、実施形態1に係る電流センサ100と同様である構成については同一の参照符号を付してその説明を繰り返さない。
以下、本発明の実施形態4に係る電流センサについて説明する。なお、本実施形態に係る電流センサ400は、磁気センサが1次導体の幅方向にて1次導体と対向している点が主に、実施形態1に係る電流センサ100と異なるため、実施形態1に係る電流センサ100と同様である構成については同一の参照符号を付してその説明を繰り返さない。
図16は、本発明の実施形態4に係る電流センサの構成を示す断面図である。図16においては、1次導体120の幅方向をX軸方向、1次導体120の長さ方向をY軸方向、1次導体120の厚さ方向をZ軸方向として、図示している。図16においては、1次導体120の幅の中央を通過して1次導体120の厚さ方向(Z軸方向)に延びる仮想中央線C、および、1次導体120の厚さの中央を通過して1次導体120の幅方向(X軸方向)に延びる仮想中央線Ccを図示している。
図16に示すように、本発明の実施形態4に係る電流センサ400は、測定対象の電流12が流れる1次導体120と、1次導体120を流れる測定対象の電流12により発生する被測定磁界12eの強さを検出し、検出軸411および検出軸411に直交する感度変化軸412を有する1つの磁気センサ410とを備える。測定対象の電流12は、1次導体120を1次導体120の長さ方向(Y軸方向)に流れる。1次導体120は、短冊状の形状を有している。1次導体120の幅はWbである。1次導体120の厚さはTbである。
磁気センサ410において、第1磁気センサ領域T1および第2磁気センサ領域T2が検出軸411に沿う方向に並んでいる。磁気センサ410は、感度変化軸412に沿う方向が1次導体120の厚さ方向(Z軸方向)と交差するように、1次導体120の幅方向(X軸方向)にて1次導体120と対向している。
本実施形態においては、感度変化軸412に沿う方向が、1次導体120の厚さ方向(Z軸方向)と直交している。磁気センサ410は、仮想中央線Cc上に配置され、1次導体120の側面と対向している。第1磁気センサ領域T1と第2磁気センサ領域T2との間に、仮想中央線Ccが位置している。
磁気センサ410は、図2に示す磁気センサ110と同一の構成を有し、配置される際の向きのみ磁気センサ110とは異なる。具体的には、磁気センサ410は、基板113の主面に平行な面内において磁気センサ110を90°回転させた向きで配置される。
磁気抵抗素子R1P,R1N,R2P,R2N,R3P,R3N,R4P,R4Nが位置している範囲の基板113の幅方向の長さはWsである。Ws≧0.05Tbを満たすことが好ましい。図16に示すように、磁気抵抗素子R1P,R1N,R2P,R2N,R3P,R3N,R4P,R4Nの各々と1次導体120の側面との、1次導体120の厚さ方向(Z軸方向)の最短距離はLnである。Ln≦Wbを満たすことが好ましい。
以下、電流センサ400の動作について説明する。
図16に示すように、1次導体120に測定対象の電流12が流れることにより、いわゆる右ねじの法則によって図中の左回りに周回する被測定磁界12eが発生する。その結果、第1磁気センサ領域T1には、入力磁界421eが印加され、第2磁気センサ領域T2には、入力磁界422eが印加される。
図16に示すように、1次導体120に測定対象の電流12が流れることにより、いわゆる右ねじの法則によって図中の左回りに周回する被測定磁界12eが発生する。その結果、第1磁気センサ領域T1には、入力磁界421eが印加され、第2磁気センサ領域T2には、入力磁界422eが印加される。
入力磁界421eは、検出軸411の矢印方向の磁界成分421zと、感度変化軸412に沿う第1方向の磁界成分421xとを含む。入力磁界422eは、検出軸411の矢印方向の磁界成分422zと、感度変化軸412に沿う第1の方向とは反対の第2方向の磁界成分422xとを含む。なお、第1の方向は、感度変化軸412の矢印方向である。
磁界成分421xは磁気抵抗膜の磁化方向(感度変化軸412の矢印方向)と同じ方向に進入するため、第1磁気センサ領域T1に位置する磁気抵抗素子R1P,R2P,R3P,R4Pの出力感度は低くなる。磁界成分422xは磁気抵抗膜の磁化方向(感度変化軸412の矢印方向)とは反対方向に進入するため、第2磁気センサ領域T2に位置する磁気抵抗素子R1N,R2N,R3N,R4Nの出力感度は高くなる。
磁界成分421zと磁界成分422zとはともに検出軸411の矢印方向に進入するため、磁気抵抗素子R1P,R1N,R4P,R4Nの各々の抵抗値は増加し、磁気抵抗素子R2P,R2N,R3P,R3Nの各々の抵抗値は減少する。
本実施形態に係る電流センサ400が備える磁気センサ410の出力においては、第1磁気センサ領域T1における出力と第2磁気センサ領域T2における出力とが足し合わされているため、出力感度の変動が抑制されている。電流センサ400が備える磁気センサ410においては、入力磁界と出力電圧との線形性が広い範囲で高く維持される。よって、本実施形態に係る電流センサ400は、感度を維持しつつ広い測定範囲を有する。
本実施形態に係る電流センサ400においては、Ws≧0.05TbおよびLn≦Wbを満たすことにより、感度を維持しつつ広い測定範囲を有する効果を安定して得ることができる。
以下、磁気センサが第1磁気センサ領域T1および第2磁気センサ領域T2を含んでいることを検証する方法について説明する。なお、以下の説明においては、実施形態1に係る電流センサ100に適用した場合について例示して説明する。まず、電流計および電圧計を用いて、8個の磁気抵抗素子R1P,R1N,R2P,R2N,R3P,R3N,R4P,R4Nの各々の抵抗値を測定する。
図17は、本発明の実施形態1に係る電流センサに電流計および電圧計を接続した状態を示す回路図である。図17に示すように、第1ハーフブリッジ回路および第2ハーフブリッジ回路の各々に、直列に電流計を接続する。また、8個の磁気抵抗素子R1P,R1N,R2P,R2N,R3P,R3N,R4P,R4Nの各々に、並列に電圧計を接続する。電流計および電圧計の測定値から、8個の磁気抵抗素子R1P,R1N,R2P,R2N,R3P,R3N,R4P,R4Nの各々の抵抗値を算出することができる。この状態において、フルブリッジ回路を流れる電流値を変化させて、8個の磁気抵抗素子R1P,R1N,R2P,R2N,R3P,R3N,R4P,R4Nの各々の抵抗値の推移を測定する。
次に、第1の方向の磁界成分が含まれる磁界が印加されている、4個の磁気抵抗素子R1P,R2P,R3P,R4Pからなる仮想の第1ブリッジ回路の出力電圧の推移を算出する。同様に、第1の方向とは反対の第2の方向の磁界成分が含まれる磁界が印加されている、4個の磁気抵抗素子R1N,R2N,R3N,R4Nからなる仮想の第2ブリッジ回路の出力電圧の推移を算出する。図18は、仮想の第1ブリッジ回路および仮想の第2ブリッジ回路の回路構成を示す回路図である。
図18に示す仮想の第1ブリッジ回路の出力電圧が、図6の1点鎖線で示すように推移する場合、仮想の第1ブリッジ回路を構成する4個の磁気抵抗素子R1P,R2P,R3P,R4Pの各々が、第1磁気センサ領域T1に位置していると判断できる。図18に示す仮想の第2ブリッジ回路の出力電圧が、図6の点線で示すように推移する場合、仮想の第2ブリッジ回路を構成する4個の磁気抵抗素子R1N,R2N,R3N,R4Nの各々が、第2磁気センサ領域T2に位置していると判断できる。その結果、磁気センサが、第1磁気センサ領域T1および第2磁気センサ領域T2を含んでいることを確認できる。上記の方法により、磁気センサが第1磁気センサ領域T1および第2磁気センサ領域T2を含んでいることを検証することが可能である。
上述した実施形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
12,12a,12b 測定対象の電流、12e,12ea,12eb 被測定磁界、100,200,300,300x,400 電流センサ、110,310,410 磁気センサ、110a,310a,310xa 第1磁気センサ、110b,310b,310xb 第2磁気センサ、111,311,411 検出軸、112,312,412
感度変化軸、113,313 基板、114,314 磁気抵抗膜、115 バーバーポール型電極、116,346 接続配線、120 1次導体、120a 第1流路部、120b 第2流路部、130 差動増幅器、130a 第1差動増幅器、130b 第2差動増幅器、131 第3差動増幅器、132,332 算出部、316 パッド、333 支持体、334 ワイヤ、C,Ca,Cb,Cc 仮想中央線、MR1,MR2,MR3,MR4,R1P,R1N,R2N,R2P,R3P,R3N,R4P,R4N 磁気抵抗素子、P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7 電極パッド、T1 第1磁気センサ領域、T2 第2磁気センサ領域。
感度変化軸、113,313 基板、114,314 磁気抵抗膜、115 バーバーポール型電極、116,346 接続配線、120 1次導体、120a 第1流路部、120b 第2流路部、130 差動増幅器、130a 第1差動増幅器、130b 第2差動増幅器、131 第3差動増幅器、132,332 算出部、316 パッド、333 支持体、334 ワイヤ、C,Ca,Cb,Cc 仮想中央線、MR1,MR2,MR3,MR4,R1P,R1N,R2N,R2P,R3P,R3N,R4P,R4N 磁気抵抗素子、P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7 電極パッド、T1 第1磁気センサ領域、T2 第2磁気センサ領域。
Claims (10)
- 測定対象の電流が流れる1次導体と、
前記1次導体を流れる前記電流により発生する磁界の強さを検出し、検出軸および該検出軸に直交する感度変化軸を有する少なくとも1つの磁気センサとを備え、
前記磁気センサは、前記感度変化軸に沿う第1の方向の磁界成分が含まれるように前記磁界が印加されて出力感度が低くなる第1磁気センサ領域と、前記第1の方向とは反対の第2の方向の磁界成分が含まれるように前記磁界が印加されて出力感度が高くなる第2磁気センサ領域とを含む、電流センサ。 - 前記磁気センサは、前記第1磁気センサ領域における出力と前記第2磁気センサ領域における出力とを合わせて前記磁界の強さを検出する、請求項1に記載の電流センサ。
- 前記磁気センサが少なくとも1つの磁気抵抗素子を含み、
前記磁気抵抗素子の一部が前記第1磁気センサ領域に位置し、
前記磁気抵抗素子の他の一部が前記第2磁気センサ領域に位置している、請求項1または請求項2に記載の電流センサ。 - 前記磁気センサが複数の磁気抵抗素子を含み、
前記複数の磁気抵抗素子のうちの一部の磁気抵抗素子が前記第1磁気センサ領域に位置し、
前記複数の磁気抵抗素子のうちの他の一部の磁気抵抗素子が前記第2磁気センサ領域に位置している、請求項1または請求項2に記載の電流センサ。 - 前記磁気センサにおいて、前記第1磁気センサ領域および前記第2磁気センサ領域が前記検出軸に沿う方向に並び、
前記磁気センサは、前記感度変化軸に沿う方向が前記1次導体の幅方向と交差するように、前記1次導体の厚さ方向にて前記1次導体と対向している、請求項1から4のいずれか1項に記載の電流センサ。 - 前記磁気センサにおいて、前記第1磁気センサ領域および前記第2磁気センサ領域が前記検出軸に沿う方向に並び、
前記磁気センサは、前記感度変化軸に沿う方向が前記1次導体の厚さ方向と交差するように、前記1次導体の幅方向にて前記1次導体と対向している、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電流センサ。 - 前記磁気センサとして第1磁気センサおよび第2磁気センサを有し、
前記電流が、2つの流路に分流されて前記1次導体を前記1次導体の長さ方向に流れ、
前記1次導体において、前記2つの流路のうちの1つの流路を構成する第1流路部と、前記2つの流路のうちの他の1つの流路を構成する第2流路部とが、前記1次導体の厚さ方向にて互いに間隔を置いて対向するように並び、
前記第1磁気センサおよび前記第2磁気センサの各々において、前記第1磁気センサ領域および前記第2磁気センサ領域が前記検出軸に沿う方向に並び、
前記第1磁気センサは、前記第1流路部と前記第2流路部との間にて、前記感度変化軸に沿う方向が前記1次導体の幅方向と交差するように、前記1次導体の厚さ方向にて前記第1流路部と対向し、
前記第2磁気センサは、前記第1流路部と前記第2流路部との間にて、前記感度変化軸に沿う方向が前記1次導体の幅方向と交差するように、前記1次導体の厚さ方向にて前記第2流路部と対向している、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電流センサ。 - 前記磁気センサとして第1磁気センサおよび第2磁気センサを有し、
前記電流が、2つの流路に分流されて前記1次導体を前記1次導体の長さ方向に流れ、
前記1次導体において、前記2つの流路のうちの1つの流路を構成する第1流路部と、前記2つの流路のうちの他の1つの流路を構成する第2流路部とが、前記1次導体の幅方向にて互いに間隔を置いてずれて位置しつつ前記1次導体の厚さ方向にて互いに間隔を置いてずれて位置し、
前記第1磁気センサおよび前記第2磁気センサの各々において、前記第1磁気センサ領域および前記第2磁気センサ領域が前記感度変化軸に沿う方向に並び、
前記第1磁気センサは、前記1次導体の厚さ方向において前記第1流路部と前記第2流路部との間にて、前記感度変化軸に沿う方向が前記1次導体の幅方向と交差するように、前記1次導体の幅方向にて前記第2流路部寄りの前記第1流路部の一部と前記1次導体の厚さ方向にて対向し、
前記第2磁気センサは、前記1次導体の厚さ方向において前記第1流路部と前記第2流路部との間にて、前記感度変化軸に沿う方向が前記1次導体の幅方向と交差するように、前記1次導体の幅方向にて前記第1流路部寄りの前記第2流路部の一部と前記1次導体の厚さ方向にて対向している、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電流センサ。 - 前記第1磁気センサの検出値と前記第2磁気センサの検出値とを演算することにより前記電流の値を算出する算出部をさらに備え、
前記1次導体を流れる前記電流により発生する磁界の強さについて、前記第1磁気センサの検出値の位相と前記第2磁気センサの検出値の位相とが逆相であり、
前記算出部が減算器または差動増幅器である、請求項7または請求項8記載の電流センサ。 - 前記第1磁気センサの検出値と前記第2磁気センサの検出値とを演算することにより前記電流の値を算出する算出部をさらに備え、
前記1次導体を流れる前記電流により発生する磁界の強さについて、前記第1磁気センサの検出値の位相と前記第2磁気センサの検出値の位相とが同相であり、
前記算出部が加算器または加算増幅器である、請求項7または請求項8に記載の電流センサ。
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