本発明者は、GMR素子などを含む磁気センサを用いる電流センサにおいて、隣接電流による誘導磁界の影響を十分に抑制できない要因が、感度軸と直交する方向に感度を有する点にあることを見出した。例えば、GMR素子を用いる磁気センサでは、感度軸と直交する方向の感度は、感度軸方向における感度の数十%程度になることもある。このように、感度軸と直交する方向にも感度を有する磁気センサを用いる場合、単純に感度軸の方向(以下、主感度軸方向)を誘導磁界の方向に向けるだけでは、出力の差をとっても隣接電流からの誘導磁界の影響を十分に除去できない。これは、主感度軸方向の制御だけでは、主感度軸方向に直交する方向(以下、副感度軸方向)に現れる隣接電流からの誘導磁界の影響をキャンセルすることができないためである。
ここで、図1を参照して、隣接電流からの誘導磁界が電流センサの測定精度に与える影響について考察する。図1は、副感度軸方向に現れる隣接電流からの誘導磁界が電流センサの測定精度に与える影響を算出するためのモデル図である。図1には、紙面下方から上方に向かって延在する電流線11の周囲に2つの磁気センサa、bが配置された構成の電流センサが示されている。また、隣接電流線21が電流センサに近接して配置されている。被測定電流Iは紙面下方から上方に向かって電流線11を通流する。隣接電流I´は紙面奥側から紙面手前側に向かって隣接電流線21を通流する。
上記電流センサにおいて、主感度軸方向は紙面に垂直な方向とする。また、磁気センサaの副感度軸方向は紙面上向きであり、磁気センサbの副感度軸方向は紙面下向きであるとする。以下、副感度軸方向の影響についてのみ考慮する。
隣接電流線21の中心軸と磁気センサa、bの中心との距離をr´とし、隣接電流線21が無限の長さを有する(すなわち、隣接電流I´の長さが無限)と仮定すると、磁気センサa、bの位置での隣接電流I´による磁場H´は、H´=I´/2πr´で表される。副感度軸方向と隣接電流Iによる磁場H´とのなす角度をθとすると、磁場H´の副感度軸方向成分H´Sは、H´S=H´cosθとなる。電流線11の中心軸と磁気センサa、bの中心との距離をrとするとcosθ=r/r´であるから、H´S=H´cosθ=I´r/2πr´2となる。
磁気センサa、bの位置での被測定電流Iによる磁場Hは同様にH=I/2πrであるから、主感度軸の感度に対して副感度軸の感度が10%とすると、センサ出力における隣接電流I´の影響Xは、X=0.1×H´S/H=0.1×(I´r/2πr´2)/(I/2πr)=0.1×(I´/I)(r/r´)2となる。例えば、被測定電流Iが隣接電流I´と比較して小さい状況を想定し、I´/I=100程度とする。また、配置上の制約などを想定し、r/r´=0.1程度とする。この場合、X=0.1、つまり、10%である。通常、電流センサの測定誤差は、5%以下、場合によっては1%以下であることが求められるため、上述したような場合は副感度軸に関する対策が必要になる。
このような知見に基づき、本発明者らは、2つの磁気センサの副感度軸の方向を制御することで、副感度軸方向に現れる外乱磁界、特に隣接電流による誘導磁界の影響をキャンセルするという着想を得た。すなわち、本発明の骨子は、2つの磁気センサの出力を演算(差又は和)することで外乱磁界の影響を除去するタイプの電流センサにおいて、2つの磁気センサのそれぞれの副感度軸方向が、隣接電流線を通流する電流から2つの磁気センサがそれぞれ受ける誘導磁界の副感度軸成分の方向と同じ方向又は逆の方向を向くような構成(差の場合)、又は、2つの磁気センサの内の一方の副感度軸方向が隣接電流線を通流する電流からの誘導磁界の副感度軸成分の方向と同じ方向を向き、2つの磁気センサの内の他方の副感度軸方向が隣接電流線を通流する電流からの誘導磁界の副感度軸成分の方向と逆を向くような構成(和の場合)を採用することで、隣接電流による誘導磁界の影響を低減し、電流測定精度の低下を抑制しようとするものである。以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図2は、本実施の形態の電流センサ1を示す模式図である。図2Aは電流センサ1及びその周辺の構成を模式的に示す斜視図であり、図2Bは電流センサ1を図2Aの紙面上方向(上方)から見た平面図である。以下、斜視図においては、紙面左下方向を前、紙面右上方向を後、紙面左方向を左、紙面右方向を右、紙面上方向を上、紙面下方向を下、と呼ぶ。
図2において、電流線11及び隣接電流線21に付与された実線の矢印は、これらを通流する電流の向きを示す。つまり、図2において、電流線11の被測定電流Iと隣接電流線21の隣接電流I´とは、互いに平行な方向に通流している。また、図2において、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bに付与された長い実線の矢印14a、14b及び短い実線の矢印15a、15bは、それぞれ、主感度軸の方向及び副感度軸の方向を示す。ここで、「主感度軸」とは、磁気センサの感度が最大となる方向を向いた軸をいい、「副感度軸」とは、主感度軸に直交する方向の内、最も高い感度を有する方向を向いた軸をいう。
図2に示されるように、電流センサ1は、被測定電流Iが通流する電流線11の周囲に配置された第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bを含む。第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、電流線11からの距離が略等しくなるように配置される。電流線11は所定の方向(図2Aでは、上下方向)に延在している。電流線11は、被測定電流Iを導くことが可能な構成要素であればどのような態様であっても良い。例えば、電流線11には、板状の導電部材や、薄膜状の導電部材(導電パターン)など、形状が線状ではないものが含まれる。なお、電流線11は電流センサ1の構成要素ではないものとして扱う。
電流センサ1は、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの他、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bが実装され、電流線11が延在する方向に対して垂直な一平面内に配置される回路基板13を含む。また、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力を演算する演算装置16(図3)を含む。
第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、磁気検出が可能であり、主感度軸と直交する方向に副感度軸を有する磁気センサであれば特に限定されない。例えば、GMR(Giant Magneto Resistance)素子やTMR(Tunnel Magneto Resistance)素子などの磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサ、磁気収束板を備えたホール素子を用いた磁気センサなどを適用することができる。ホール素子に適用される磁気収束板は軟磁性材料で構成されており、例えば、その端部において、板面(磁気収束板の主面)に平行な方向の磁界は板面に垂直な方向に収束される。このため、磁気収束板の端部において板面に垂直な方向に感度軸を有するホール素子を配置すれば、板面に垂直な方向の磁界に加えて板面に平行な方向の磁界が検出される。つまり、磁気収束板を備えたホール素子は、ホール素子の本来の感度軸(主感度軸)に対して垂直な方向にも感度軸(副感度軸)を持つことがある。このような磁気収束板を備えたホール素子を用いる場合にも、本発明は有用である。
図2に示される電流センサ1において、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aにより略逆相の出力が得られるように電流線11の周囲に配置されている。図2では、電流線11が第1の磁気センサ12aと第2の磁気センサ12bとの間に挟み込まれるように、かつ、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの主感度軸方向(矢印14a、14b)が、電流線11が延在する方向に垂直な方向を向くように配置されている。より具体的には、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向(矢印14a)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向(矢印14b)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向と逆の方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が同じ方向を向くように配置されている。また、隣接電流線21を通流する隣接電流I´からの誘導磁界Bとの関係において、第1の磁気センサ12aの副感度軸方向(矢印15a(図2Bでは紙面上向き))が第1の磁気センサ12aの受ける誘導磁界Baの副感度軸成分の方向(図2Bでは紙面下向き)と逆になり、第2の磁気センサ12bの副感度軸方向(矢印15b(図2Bでは紙面上向き))が第2の磁気センサ12bの受ける誘導磁界Bbの副感度軸成分の方向(図2Bでは紙面下向き)と逆になるように配置されている。すなわち、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向(矢印15a、15b)が、隣接電流I´から第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bがそれぞれ受ける誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と逆の方向になるように配置されている。
図2に示される電流センサ1では、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの一方の主感度軸方向が誘導磁界Aの方向を向き、他方の主感度軸方向が誘導磁界Aと逆の方向を向いているため、誘導磁界Aの影響が、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの略逆相の出力信号として現れる。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が同じ方向を向いているため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において外乱磁界の影響が等しく現れる。また、一方の磁気センサの副感度軸方向が誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と逆であり、他方の磁気センサの副感度軸方向も誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と逆であるため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において隣接電流I´による誘導磁界Bの影響が同極性で現れる。このため、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との差をとることで、誘導磁界Bを含む外乱磁界の影響を低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。なお、略逆相の出力信号とは、ノイズ成分などを除いて反転の関係にある出力信号のことをいう。ただし、所望の精度で電流測定を行うことができる程度の関係にあれば良いから、厳密に正負が反転した値となることは要求されない。また、同極性とは、出力の正負が一致していることをいう。
また、図2に示される電流センサ1では、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向(矢印14a)が隣接電流線21の方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向(矢印14b)が隣接電流線21の方向を向いている。これにより、誘導磁界Bの第1の磁気センサ12aの主感度軸成分と第2の磁気センサの主感度軸成分とが電流測定に影響を与えない程度に小さくできる。このため、主感度軸方向における隣接電流I´からの誘導磁界Bの影響を十分に低減し、電流測定精度の低下をさらに抑制することができる。
また、図2に示される電流センサ1では、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向(矢印15a、15b)が共に同じ方向を向くように配置されている。この場合、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との差をとることで誘導磁界B以外の外乱磁界(地磁気など)の影響を低減できるため、電流測定精度の低下をさらに抑制することができる。
図3は、電流センサ1の回路構成にかかるブロック図である。図3に示されるように、電流センサ1は、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの出力端子に接続された演算装置16を有する。ここで、演算装置16は、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との差を算出する機能を有している。このため、電流線11に電流が通流して電流線11の周囲に誘導磁界Aが発生し、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bから誘導磁界Aに対応した出力信号が出力されると、出力信号を受けた演算装置16は、当該2つの出力信号の差を計算して出力することができる。このように2つの出力信号の差をとることで、外乱磁界の影響をキャンセルし、電流の測定精度を高めることができる。なお、演算装置16の機能は、ハードウェアで実現しても良いし、ソフトウェアで実現しても良い。
図4は、本実施の形態の変形例に係る電流センサ1を示す模式図である。図4Aは電流センサ1及びその周辺の構成を模式的に示す斜視図であり、図4Bは電流センサ1を図4Aの紙面上方向(上方)から見た平面図である。
図4に示される電流センサ1の基本的な構成は、図2に示される電流センサ1と同様である。すなわち、図4に示される電流センサ1は、第1の磁気センサ12a、第2の磁気センサ12b、回路基板13、演算装置などを含む。
図4に示される電流センサ1において、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aにより略同相の出力が得られるように電流線11の周囲に配置されている。図4では、電流線11が第1の磁気センサ12aと第2の磁気センサ12bとの間に挟み込まれるように、かつ、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの主感度軸方向(矢印14a、14b)が、電流線11が延在する方向に垂直な方向を向くように配置されている。より具体的には、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向(矢印14a)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向(矢印14b)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が互いに逆の方向を向くように配置されている。また、隣接電流線21を通流する隣接電流I´からの誘導磁界Bとの関係において、第1の磁気センサ12aの副感度軸方向(矢印15a(図4Bでは紙面上向き))が第1の磁気センサ12aの受ける誘導磁界Baの副感度軸成分の方向(図4Bでは紙面下向き)と逆になり、第2の磁気センサ12bの副感度軸方向(矢印15b(図4Bでは紙面下向き))が第2の磁気センサ12bの受ける誘導磁界Bbの副感度軸成分の方向(図4Bでは紙面下向き)と同じになるように配置されている。
図4に示される電流センサ1では、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が共に誘導磁界Aの方向を向いているため、誘導磁界Aの影響が、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの略同相の出力信号として現れる。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が互いに逆の方向を向いているため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において外乱磁界の影響が逆に現れる。また、一方の磁気センサの副感度軸方向が誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と同じであり、他方の磁気センサの副感度軸方向が誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と逆であるため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において隣接電流I´による誘導磁界Bの影響が逆極性で現れる。このため、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との和をとることで、誘導磁界Bを含む外乱磁界の影響を低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。なお、略同相の出力信号とは、ノイズ成分などを除いて同等な出力信号のことをいう。ただし、所望の精度で電流測定を行うことができる程度の関係にあれば良いから、厳密に同じ値となることは要求されない。また、逆極性とは、出力の正負が逆の関係にあることをいう。また、図4に示される電流センサ1において、演算装置16は、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との和を算出する機能を有する。
また、図4に示される電流センサ1では、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向(矢印14a)が隣接電流線21の方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向(矢印14b)が隣接電流線21と逆の方向を向いている。これにより、誘導磁界Bの第1の磁気センサ12aの主感度軸成分と第2の磁気センサの主感度軸成分とが電流測定に影響を与えない程度に小さくできる。このため、主感度軸方向における隣接電流I´からの誘導磁界Bの影響を十分に低減し、電流測定精度の低下をさらに抑制することができる。
また、図4に示される電流センサ1では、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向(矢印15a、15b)が互いに逆の方向を向くように配置されている。この場合、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との和をとることで誘導磁界B以外の外乱磁界(地磁気など)の影響を低減できるため、電流測定精度の低下をさらに抑制することができる。
以上のように、本実施の形態に係る電流センサ1は、例えば、図5に示される電流センサ2などと比較して、誘導磁界Bの影響を低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。これは、本実施の形態に係る電流センサ1では、副感度軸方向における誘導磁界Bの影響を適切にキャンセルできるように第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bが配置されているためである。なお、図5は電流センサ2について示す模式図であり、図5Aは電流センサ2及びその周辺の構成を模式的に示す斜視図であり、図5Bは電流センサ2を図5Aの紙面上方向(上方)から見た平面図である。また、本実施の形態に係る電流センサ1は誘導磁界Bの影響を低減できるため、電流線11と隣接電流線21との間隔を狭めることが可能である。このため、電流センサ1を含むシステムの小型化・省スペース化を図ることができる。
なお、図2において、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向が誘導磁界Aの方向と逆の方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向が誘導磁界Aの方向を向いても良い。また、第1の磁気センサ12aの副感度軸方向が第1の磁気センサ12aの受ける誘導磁界Baの副感度軸成分の方向と同じであり、第2の磁気センサ12bの副感度軸方向が第2の磁気センサ12bの受ける誘導磁界Bbの副感度軸成分の方向と同じであっても良い。すなわち、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向が、隣接電流から第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bがそれぞれ受ける誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と同じであっても良い。
また、図4において、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの主感度軸方向が共に誘導磁界Aの方向と逆の方向を向いても良い。また、第1の磁気センサ12aの副感度軸方向が第1の磁気センサ12aの受ける誘導磁界Baの副感度軸成分の方向と同じであり、第2の磁気センサ12bの副感度軸方向が第2の磁気センサ12bの受ける誘導磁界Bbの副感度軸成分の方向と逆であっても良い。
その他、本実施の形態は、他の実施の形態に示される構成と適宜組み合わせて実施可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の電流センサ1の別の構成例について説明する。図6は、本実施の形態の電流センサ1を示す模式図である。図6Aは電流センサ1及びその周辺の構成を模式的に示す斜視図であり、図6Bは電流センサ1を図6Aの紙面左下方向(前方)から見た平面図である。
図6に示されるように、本実施の形態に係る電流センサ1は、電流線11の周囲に配置された第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bを含み、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bが配置される回路基板13を含む。また、電流センサ1は、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力を演算する演算装置を含む。この点において、図6に示される電流センサ1と図2に示される電流センサ1とは共通している。
図6に示される電流センサ1において、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aにより略逆相の出力が得られるように電流線11の周囲に配置されている。具体的には、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向(矢印14a)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向(矢印14b)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向と逆の方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が同じ方向を向くように配置されている。また、隣接電流線21を通流する隣接電流I´からの誘導磁界Bとの関係において、第1の磁気センサ12aの副感度軸方向(矢印15a(図6Bでは紙面上向き))が第1の磁気センサ12aの受ける誘導磁界Baの副感度軸成分の方向(図6Bでは紙面上向き)と同じになり、第2の磁気センサ12bの副感度軸方向(矢印15b(図6Bでは紙面下向き))が第2の磁気センサ12bの受ける誘導磁界Bbの副感度軸成分の方向(図6Bでは紙面下向き)と同じになるように配置されている。すなわち、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向(矢印15a、15b)が、隣接電流I´から第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bがそれぞれ受ける誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と同じ方向になるように配置されている。
図6に示される電流センサ1では、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの一方の主感度軸方向が誘導磁界Aの方向を向き、他方の主感度軸方向が誘導磁界Aと逆の方向を向いているため、誘導磁界Aの影響が、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの略逆相の出力信号として現れる。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が同じ方向を向いているため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において外乱磁界の影響が等しく現れる。また、一方の磁気センサの副感度軸方向が誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と同じであり、他方の磁気センサの副感度軸方向も誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と同じであるため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において隣接電流I´による誘導磁界Bの影響が同極性で現れる。このため、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との差をとることで、誘導磁界Bを含む外乱磁界の影響を低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。
また、図6に示される電流センサ1では、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向(矢印14a、14b)が、隣接電流線21の延在方向を向いている。この場合、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が誘導磁界Bの方向と直交することになるため誘導磁界Bの影響は主感度軸方向に現れない。これにより、主感度軸方向における隣接電流I´からの誘導磁界Bの影響を排除し、電流測定精度の低下をさらに抑制することができる。
図7は、本実施の形態の変形例に係る電流センサ1を示す模式図である。図7Aは電流センサ1及びその周辺の構成を模式的に示す斜視図であり、図7Bは電流センサ1を図7Aの紙面左下方向(前方)から見た平面図である。
図7に示される電流センサ1の基本的な構成は、図6に示される電流センサ1と同様である。すなわち、図7に示される電流センサ1は、第1の磁気センサ12a、第2の磁気センサ12b、回路基板13、演算装置などを含む。
図7に示される電流センサ1において、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aにより略同相の出力が得られるように電流線11の周囲に配置されている。具体的には、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向(矢印14a)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向(矢印14b)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が互いに逆の方向を向くように配置されている。また、隣接電流線21を通流する隣接電流I´からの誘導磁界Bとの関係において、第1の磁気センサ12aの副感度軸方向(矢印15a(図7Bでは紙面上向き))が第1の磁気センサ12aの受ける誘導磁界Baの副感度軸成分の方向(図7Bでは紙面上向き)と同じになり、第2の磁気センサ12bの副感度軸方向(矢印15b(図7Bでは紙面上向き))が第2の磁気センサ12bの受ける誘導磁界Bbの副感度軸成分の方向(図7Bでは紙面下向き)と逆になるように配置されている。
図7に示される電流センサ1では、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が共に誘導磁界Aの方向を向いているため、誘導磁界Aの影響が、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの略同相の出力信号として現れる。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が互いに逆の方向を向いているため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において外乱磁界の影響が逆に現れる。また、一方の磁気センサの副感度軸方向が誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と同じであり、他方の磁気センサの副感度軸方向が誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と逆であるため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において隣接電流I´による誘導磁界Bの影響が逆極性で現れる。このため、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との和をとることで、誘導磁界Bを含む外乱磁界の影響を低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。ここで、図7に示される電流センサ1において、演算装置16は、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との和を算出する機能を有する。
また、図7に示される電流センサ1では、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向(矢印14a、14b)が、隣接電流線21の延在方向を向いている。この場合、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が誘導磁界Bの方向と直交することになるため誘導磁界Bの影響は主感度軸方向に現れない。これにより、主感度軸方向における隣接電流I´からの誘導磁界Bの影響を排除し、電流測定精度の低下をさらに抑制することができる。
以上のように、本実施の形態に係る電流センサ1は、誘導磁界Bの影響を低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。これは、本実施の形態に係る電流センサ1では、副感度軸方向における誘導磁界Bの影響を適切にキャンセルできるように第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bが配置されているためである。また、本実施の形態に係る電流センサ1は誘導磁界Bの影響を低減できるため、電流線11と隣接電流線21との間隔を狭めることが可能である。このため、電流センサ1を含むシステムの小型化・省スペース化を図ることができる。
なお、図6において、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向が誘導磁界Aの方向と逆の方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向が誘導磁界Aの方向を向いても良い。また、第1の磁気センサ12aの副感度軸方向が第1の磁気センサ12aの受ける誘導磁界Baの副感度軸成分の方向と逆であり、第2の磁気センサ12bの副感度軸方向が第2の磁気センサ12bの受ける誘導磁界Bbの副感度軸成分の方向と逆であっても良い。すなわち、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向が、隣接電流I´から第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bがそれぞれ受ける誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と逆であっても良い。
また、図7において、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの主感度軸方向が共に誘導磁界Aの方向と逆の方向を向いていても良い。また、第1の磁気センサ12aの副感度軸方向が第1の磁気センサ12aの受ける誘導磁界Baの副感度軸成分の方向と逆であり、第2の磁気センサ12bの副感度軸方向が第2の磁気センサ12bの受ける誘導磁界Bbの副感度軸成分の方向と同じであっても良い。
その他、本実施の形態は、他の実施の形態に示される構成と適宜組み合わせて実施可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の電流センサ1の別の構成例について説明する。図8は、本実施の形態の電流センサ1を示す模式図である。図8Aは電流センサ1及びその周辺の構成を模式的に示す斜視図であり、図8Bは電流センサ1を図8Aの紙面左下方向(前方)から見た平面図である。
図8に示されるように、本実施の形態に係る電流センサ1は、電流線11の周囲に配置された第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bを含み、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bが配置される回路基板13を含む。また、電流センサ1は、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力を演算する演算装置を含む。この点において、図8に示される電流センサ1と図2に示される電流センサ1とは共通している。
図8に示される電流センサ1において、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aにより略逆相の出力が得られるように電流線11の周囲に配置されている。具体的には、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向(矢印14a)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向(矢印14b)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向と逆の方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が同じ方向を向くように配置されている。また、隣接電流線21を通流する隣接電流I´からの誘導磁界Bとの関係において、第1の磁気センサ12aの副感度軸方向(矢印15a(図8Bでは紙面上向き))が第1の磁気センサ12aの受ける誘導磁界Baの副感度軸成分の方向(図8Bでは紙面下向き)と逆になり、第2の磁気センサ12bの副感度軸方向(矢印15b(図8Bでは紙面上向き))が第2の磁気センサ12bの受ける誘導磁界Bbの副感度軸成分の方向(図8Bでは紙面下向き)と逆になるように配置されている。すなわち、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向(矢印15a、15b)が、隣接電流I´から第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bがそれぞれ受ける誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と逆の方向になるように配置されている。なお、誘導磁界Bは、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bにおいて副感度軸成分のみを有しており、誘導磁界Ba及び誘導磁界Bbの副感度軸成分は誘導磁界Ba及び誘導磁界Bb自身である。
図8に示される電流センサ1では、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの一方の主感度軸方向が誘導磁界Aの方向を向き、他方の主感度軸方向が誘導磁界Aと逆の方向を向いているため、誘導磁界Aの影響が、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの略逆相の出力信号として現れる。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が同じ方向を向いているため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において外乱磁界の影響が等しく現れる。また、一方の磁気センサの副感度軸方向が誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と逆であり、他方の磁気センサの副感度軸方向も誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と逆であるため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において隣接電流I´による誘導磁界Bの影響が同極性で現れる。このため、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との差をとることで、誘導磁界Bを含む外乱磁界の影響を低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。
また、図8に示される電流センサ1では、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向(矢印14a、14b)が、隣接電流線21の延在方向を向いている。この場合、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が誘導磁界Bの方向と直交することになるため誘導磁界Bの影響は主感度軸方向に現れない。これにより、主感度軸方向における隣接電流I´からの誘導磁界Bの影響を排除し、電流測定精度の低下をさらに抑制することができる。
図9は、本実施の形態の変形例に係る電流センサ1を示す模式図である。図9Aは電流センサ1及びその周辺の構成を模式的に示す斜視図であり、図9Bは電流センサ1を図9Aの紙面左下方向(前方)から見た平面図である。
図9に示される電流センサ1の基本的な構成は、図8に示される電流センサ1と同様である。すなわち、図9に示される電流センサ1は、第1の磁気センサ12a、第2の磁気センサ12b、回路基板13、演算装置などを含む。
図9に示される電流センサ1において、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aにより略同相の出力が得られるように電流線11の周囲に配置されている。具体的には、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向(矢印14a)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向(矢印14b)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が互いに逆の方向を向くように配置されている。また、隣接電流線21を通流する隣接電流I´からの誘導磁界Bとの関係において、第1の磁気センサ12aの副感度軸方向(矢印15a(図9Bでは紙面上向き))が第1の磁気センサ12aの受ける誘導磁界Baの副感度軸成分の方向(図9Bでは紙面下向き)と逆になり、第2の磁気センサ12bの副感度軸方向(矢印15b(図9Bでは紙面下向き))が第2の磁気センサ12bの受ける誘導磁界Bbの副感度軸成分の方向(図9Bでは紙面下向き)と同じなるように配置されている。なお、誘導磁界Bは、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bにおいて副感度軸成分のみを有しており、誘導磁界Ba及び誘導磁界Bbの副感度軸成分は誘導磁界Ba及び誘導磁界Bb自身である。
図9に示される電流センサ1では、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が共に誘導磁界Aの方向を向いているため、誘導磁界Aの影響が、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの略同相の出力信号として現れる。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が互いに逆の方向を向いているため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において外乱磁界の影響が逆に現れる。また、一方の磁気センサの副感度軸方向が誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と同じであり、他方の磁気センサの副感度軸方向が誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と逆であるため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において隣接電流I´による誘導磁界Bの影響が逆極性で現れる。このため、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との和をとることで、誘導磁界Bを含む外乱磁界の影響を低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。ここで、図9に示される電流センサ1において、演算装置16は、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との和を算出する機能を有する。
また、図9に示される電流センサ1では、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向(矢印14a、14b)が、隣接電流線21の延在方向を向いている。この場合、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が誘導磁界Bの方向と直交することになるため誘導磁界Bの影響は主感度軸方向に現れない。これにより、主感度軸方向における隣接電流I´からの誘導磁界Bの影響を排除し、電流測定精度の低下をさらに抑制することができる。
以上のように、本実施の形態に係る電流センサ1は、誘導磁界Bの影響を低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。これは、本実施の形態に係る電流センサ1では、副感度軸方向における誘導磁界Bの影響を適切にキャンセルできるように第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bが配置されているためである。また、本実施の形態に係る電流センサ1は誘導磁界Bの影響を低減できるため、電流線11と隣接電流線21との間隔を狭めることが可能である。このため、電流センサ1を含むシステムの小型化・省スペース化を図ることができる。
なお、図8において、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向が誘導磁界Aの方向と逆の方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向が誘導磁界Aの方向を向いても良い。また、第1の磁気センサ12aの副感度軸方向が第1の磁気センサ12aの受ける誘導磁界Baの副感度軸成分の方向と同じであり、第2の磁気センサ12bの副感度軸方向が第2の磁気センサ12bの受ける誘導磁界Bbの副感度軸成分の方向と同じであっても良い。すなわち、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向が、隣接電流I´から第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bがそれぞれ受ける誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と同じであっても良い。
また、図9において、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの主感度軸方向が共に誘導磁界Aの方向と逆の方向を向いていても良い。また、第1の磁気センサ12aの副感度軸方向が第1の磁気センサ12aの受ける誘導磁界Baの副感度軸成分の方向と同じであり、第2の磁気センサ12bの副感度軸方向が第2の磁気センサ12bの受ける誘導磁界Bbの副感度軸成分の方向と逆であっても良い。
その他、本実施の形態は、他の実施の形態に示される構成と適宜組み合わせて実施可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の電流センサ1の別の構成例について説明する。図10は、本実施の形態の電流センサ1を示す模式図である。図10Aは電流センサ1及びその周辺の構成を模式的に示す斜視図であり、図10Bは電流センサ1を図10Aの紙面右方向から見た平面図である。
図10に示されるように、本実施の形態に係る電流センサ1は、電流線11の周囲に配置された第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bを含み、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bが配置される回路基板13を含む。また、電流センサ1は、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力を演算する演算装置を含む。この点において、図10に示される電流センサ1と図2に示される電流センサ1とは共通している。
図10に示される電流センサ1において、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aにより略逆相の出力が得られるように電流線11の周囲に配置されている。具体的には、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向(矢印14a)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向(矢印14b)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向と逆の方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が同じ方向を向くように配置されている。また、隣接電流線21を通流する隣接電流I´からの誘導磁界Bとの関係において、第1の磁気センサ12aの副感度軸方向(矢印15a(図10Bでは紙面上向き))が第1の磁気センサ12aの受ける誘導磁界Baの副感度軸成分の方向(図10Bでは紙面下向き)と逆になり、第2の磁気センサ12bの副感度軸方向(矢印15b(図10Bでは紙面上向き))が第2の磁気センサ12bの受ける誘導磁界Bbの副感度軸成分の方向(図10Bでは紙面下向き)と逆になるように配置されている。すなわち、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向(矢印15a、15b)が、隣接電流I´を通流する電流から第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bがそれぞれ受ける誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と逆の方向になるように配置されている。
図10に示される電流センサ1では、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの一方の主感度軸方向が誘導磁界Aの方向を向き、他方の主感度軸方向が誘導磁界Aと逆の方向を向いているため、誘導磁界Aの影響が、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの略逆相の出力信号として現れる。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が同じ方向を向いているため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において外乱磁界の影響が等しく現れる。また、一方の磁気センサの副感度軸方向が誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と逆であり、他方の磁気センサの副感度軸方向も誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と逆であるため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において隣接電流I´による誘導磁界Bの影響が同極性で現れる。このため、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との差をとることで、誘導磁界Bを含む外乱磁界の影響を低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。
また、図10に示される電流センサ1では、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向(矢印14a(図10Bでは紙面右向き))が第1の磁気センサ12aの受ける誘導磁界Baの主感度軸成分の方向(図10Bでは紙面左向き)と逆になり、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向(矢印14b(図10Bでは紙面右向き))が第2の磁気センサ12bの受ける誘導磁界Bbの主感度軸成分の方向(図10Bでは紙面左向き)と逆になるように配置されている。すなわち、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向(矢印14a、14b)が、隣接電流I´から第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bがそれぞれ受ける誘導磁界Bの主感度軸成分の方向と逆の方向になるように配置されている。この場合、第1の磁気センサ12aの主感度軸が受ける誘導磁界Bの影響と、第2の磁気センサ12bの主感度軸が受ける誘導磁界Bの影響とが同極性となる。このため、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との差をとることで、副感度軸方向に加え主感度軸方向に現れる誘導磁界Bの影響を低減できる。これにより、電流測定精度の低下をさらに抑制することができる。
なお、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向(矢印14a、14b)が、隣接電流I´から第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bがそれぞれ受ける誘導磁界Bの主感度軸成分の方向と同じ方向であっても同様の効果を得ることができる。
図11は、本実施の形態の変形例に係る電流センサ1を示す模式図である。図11Aは電流センサ1及びその周辺の構成を模式的に示す斜視図であり、図11Bは電流センサ1を図11Aの紙面右方向から見た平面図である。
図11に示される電流センサ1の基本的な構成は、図10に示される電流センサ1と同様である。すなわち、図11に示される電流センサ1は、第1の磁気センサ12a、第2の磁気センサ12b、回路基板13、演算装置などを含む。
図11に示される電流センサ1において、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aにより略同相の出力が得られるように電流線11の周囲に配置されている。具体的には、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向(矢印14a)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向(矢印14b)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が互いに逆の方向を向くように配置されている。また、隣接電流線21を通流する隣接電流I´からの誘導磁界Bとの関係において、第1の磁気センサ12aの副感度軸方向(矢印15a(図11Bでは紙面上向き))が第1の磁気センサ12aの受ける誘導磁界Baの副感度軸成分の方向(図11Bでは紙面下向き)と逆になり、第2の磁気センサ12bの副感度軸方向(矢印15b(図11Bでは紙面下向き))が第2の磁気センサ12bの受ける誘導磁界Bbの副感度軸成分の方向(図11Bでは紙面下向き)と同じなるように配置されている。
図11に示される電流センサ1では、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が共に誘導磁界Aの方向を向いているため、誘導磁界Aの影響が、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの略同相の出力信号として現れる。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が互いに逆の方向を向いているため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において外乱磁界の影響が逆に現れる。また、一方の磁気センサの副感度軸方向が誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と同じであり、他方の磁気センサの副感度軸方向が誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と逆であるため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において隣接電流I´による誘導磁界Bの影響が逆極性で現れる。このため、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との和をとることで、誘導磁界Bを含む外乱磁界の影響を低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。ここで、図11に示される電流センサ1において、演算装置16は、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との和を算出する機能を有する。
また、図11に示される電流センサ1では、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向(矢印14a(図11Bでは紙面右向き))が第1の磁気センサ12aの受ける誘導磁界Baの主感度軸成分の方向(図11Bでは紙面左向き)と逆になり、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向(矢印14b(図11Bでは紙面左向き))が第2の磁気センサ12bの受ける誘導磁界Bbの主感度軸成分の方向(図11Bでは紙面左向き)と同じになるように配置されている。すなわち、一方の磁気センサの主感度軸方向が誘導磁界Bの主感度軸成分の方向と同じになり、他方の磁気センサの主感度軸方向が誘導磁界Bの主感度軸成分の方向と逆になるように配置されている。この場合、第1の磁気センサ12aの主感度軸が受ける誘導磁界Bの影響と、第2の磁気センサ12bの主感度軸が受ける誘導磁界Bの影響とが逆極性となる。このため、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との和をとることで、副感度軸方向に加え主感度軸方向に現れる誘導磁界Bの影響を低減できる。これにより、電流測定精度の低下をさらに抑制することができる。
なお、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向が第1の磁気センサ12aの受ける誘導磁界Baの主感度軸成分の方向と同じであり、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向が第2の磁気センサ12bの受ける誘導磁界Bbの副感度軸成分の方向と逆であっても同様の効果を得ることができる。
以上のように、本実施の形態に係る電流センサ1は、誘導磁界Bの影響を低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。これは、本実施の形態に係る電流センサ1では、副感度軸方向における誘導磁界Bの影響を適切にキャンセルできるように第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bが配置されているためである。また、本実施の形態に係る電流センサ1は誘導磁界Bの影響を低減できるため、電流線11と隣接電流線21との間隔を狭めることが可能である。このため、電流センサ1を含むシステムの小型化・省スペース化を図ることができる。
なお、図10において、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向が誘導磁界Aの方向と逆の方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向が誘導磁界Aの方向を向いても良い。また、第1の磁気センサ12aの副感度軸方向が第1の磁気センサ12aの受ける誘導磁界Baの副感度軸成分の方向と同じであり、第2の磁気センサ12bの副感度軸方向が第2の磁気センサ12bの受ける誘導磁界Bbの副感度軸成分の方向と同じであっても良い。すなわち、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向が、隣接電流I´から第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bがそれぞれ受ける誘導磁界Bの副感度軸成分の方向と同じであっても良い。
また、図11において、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの主感度軸方向が共に誘導磁界Aの方向と逆の方向を向いていても良い。また、第1の磁気センサ12aの副感度軸方向が第1の磁気センサ12aの受ける誘導磁界Baの副感度軸成分の方向と同じであり、第2の磁気センサ12bの副感度軸方向が第2の磁気センサ12bの受ける誘導磁界Bbの副感度軸成分の方向と逆であっても良い。
その他、本実施の形態は、他の実施の形態に示される構成と適宜組み合わせて実施可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の電流センサ1の別の一例について説明する。本実施の形態の電流センサ1は、実施の形態1〜実施の形態4において説明した電流センサ1において、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bに磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサを適用したものに相当する。
本実施の形態に係る第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、磁気比例式センサ又は磁気平衡式センサである。磁気比例式センサは、例えば、磁気センサ素子である2つの磁気抵抗効果素子及び2つの固定抵抗素子からなるブリッジ回路を含むように構成される。また、磁気平衡式センサは、例えば、磁気センサ素子である2つの磁気抵抗効果素子及び2つの固定抵抗素子からなるブリッジ回路と、被測定電流によって発生する磁界を打ち消す方向の磁界を発生可能に配置されたフィードバックコイルと、を含むように構成される。磁気比例式センサを採用する場合には、磁気平衡式センサのようなフィードバックコイル及びその制御に関する構成が不要になるため、構成を簡略化し、電流センサの小型化を図れる。一方で、磁気平衡式センサを採用する場合には、応答速度が高く、温度依存の小さい電流センサを容易に実現できる。
第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bに用いられる磁気抵抗効果素子には、GMR(Giant Magneto Resistance)素子やTMR(Tunnel Magneto Resistance)素子などがあるが、ここでは、感度軸と直交する方向にも感度を有するGMR素子を用いる。GMR素子などの磁気抵抗効果素子は、被測定電流からの誘導磁界の印加により抵抗値が変化するという性質を有しており、これを第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bに用いることで、誘導磁界の大きさを検出することができる。
第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、同一のウェハを用いて製造された同一の構造を有する素子を含むものであることが望ましい。このような磁気センサでは主感度軸や副感度軸の感度を等しくできるため、外乱磁界の影響をキャンセルし、電流測定精度の低下を抑制することができる。
図12は、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bに用いられるGMR素子の構造を示す模式図である。図12Aは断面構造を示しており、図12Bは平面構造を示している。GMR素子は、図12Aに示されるように、基板101に設けられた複数の膜の積層構造でなる。すなわち、GMR素子は、シード層102、第1の強磁性膜103、反平行結合膜104、第2の強磁性膜105、非磁性中間層106、軟磁性自由層(フリー磁性層)107、及び保護層108を含む。また、図12Bに示されるように、長手方向が互いに平行になるように配置された複数の帯状の長尺パターン(ストライプ)が折り返してなる形状(ミアンダ形状)を有する。
このGMR素子においては、反平行結合膜104を介して第1の強磁性膜103と第2の強磁性膜105とが反強磁性的に結合されており、いわゆるセルフピン止め型の強磁性固定層(SFP層:Synthetic Ferri Pinned層)が構成されている。このように、図12に示されるGMR素子は、強磁性固定層、非磁性中間層106及び軟磁性自由層107を用いたスピンバルブ型の素子である。なお、図12では説明の簡単のため、GMR素子以外の下地層などは省略して示しているが、基板101とシード層102との間に、例えば、Ta、Hf、Nb、Zr、Ti、Mo、Wなどのうち少なくとも一の元素を含む非磁性材料で構成される下地層が設けられていても良い。
シード層102は、NiFeCrあるいはCrなどで構成される。第1の強磁性膜103は、40原子%〜80原子%のFeを含むCoFe合金で構成されていることが好ましい。これは、この組成範囲のCoFe合金が、大きな保磁力を有し、外部磁界に対して磁化を安定に維持できるからである。なお、第1の強磁性膜103は、その成膜中にミアンダ形状の長手方向と垂直な方向(図12Aの奥から手前、図12Bの上から下に向かう方向)に磁界が印加されることにより、誘導磁気異方性が付与される。反平行結合膜104は、Ruなどにより構成される。また、第2の強磁性膜105は、0原子%〜40原子%のFeを含むCoFe合金で構成されていることが好ましい。これは、この組成範囲のCoFe合金が小さな保磁力を有し、第1の強磁性膜103が優先的に磁化する方向に対して反平行方向(180°異なる方向)に磁化し易くなるためである。なお、第2の強磁性膜105は、成膜中に、第1の強磁性膜103の成膜中と同様の磁界(ミアンダ形状の長手方向と垂直な方向の磁界)が印加されることにより、誘導磁気異方性が付与される。このような磁界を印加しながら成膜することで、第1の強磁性膜103が印加磁界の方向(以下、Pin1方向)に優先的に磁化し、第2の強磁性膜105は第1の強磁性膜103の磁化方向とは反平行方向(180°異なる方向、以下、Pin2方向)に磁化する。非磁性中間層106は、Cuなどにより構成される。
また、軟磁性自由層(フリー層)107は、CoFe合金、NiFe合金、CoFeNi合金などの磁性材料で構成される。なお、軟磁性自由層107の成膜中にはミアンダ形状の長手方向(Pin2方向に垂直な方向、X軸方向)の磁界が印加され、成膜後の軟磁性自由層107に誘導磁気異方性が付与されることが好ましい。これにより、X軸方向の外部磁界に対して線形的に抵抗変化し、ヒステリシスが小さいGMR素子を得ることができる。保護層108は、Ta、Ruなどで構成される。
このようなGMR素子、およびGMR素子を含む磁気センサにおいて、主感度軸方向はPin2方向である。また、副感度軸方向はPin2に垂直な方向である。基板や膜の平面方向に対して垂直な方向には実質的な感度を有しない。
GMR素子はハードバイアス層109を有し、ハードバイアス層109から軟磁性自由層(フリー層)107に一定の磁界が印加されることが好ましい。ハードバイアス層109による磁界(以下、ハードバイアス(HB))の向きは、ミアンダ形状の長手方向(Pin2方向に垂直な方向、X軸方向)である。このようなハードバイアス層109により、GMR素子の感度を高めることができる。
また、ハードバイアス層109によって、GMR素子の主感度軸方向はハードバイアスの方向に対して垂直な方向(Pin2方向)を向き、副感度軸方向はハードバイアスの方向(Pin2に垂直な方向)を向くよう制御することができる。このため、電流センサに用いられるGMR素子のハードバイアスの方向を揃えることで、主感度軸方向や副感度軸方向に現れる外乱磁界の影響を適切にキャンセル可能な構成を実現できる。これにより、副感度軸方向の外乱磁界の影響を低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に示される構成と適宜組み合わせて実施可能である。
以上のように、本発明の電流センサ1は、主感度軸方向に加え副感度軸方向を制御することで、外乱磁界、特に隣接電流による誘導磁界をキャンセル可能にしている。これにより、電流測定精度の低下を抑制することができる。また、これにより、電流センサを含むシステムの小型化・省スペース化を図ることができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することができる。例えば、上記実施の形態における各構成要素の配置、大きさなどは適宜変更して実施することが可能である。また、電流線11を通流する被測定電流Iの向きは逆向きにすることもできる。また、上記実施の形態1〜実施の形態5に示す構成は、適宜組み合わせて実施することが可能である。その他、本発明は、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することができる。