JPWO2016031112A1 - 伝動ベルト及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
ゴム成分に未膨張の中空粒子と熱分解型発泡剤とを配合した未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧すると共に架橋させることにより前記中空粒子が膨張して形成された多数の凹孔が表面に露出したゴム組成物でプーリ接触部分を構成する伝動ベルトの製造方法である。前記中空粒子の膨張開始温度よりも前記熱分解型発泡剤の分解温度の方が高い。
Description
本発明は、伝動ベルト及びその製造方法に関する。
ゴム成分に未膨張の中空粒子や熱分解型発泡剤を配合した未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧すると共に架橋させることにより表面に多数の凹孔が形成されたゴム組成物を製造する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、VリブドベルトのVリブを形成する側の表面層を、Vリブの表面に凹孔を形成するための中空粒子及び/又は発泡剤が配合された未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧して架橋させたゴム組成物で構成することが開示されている。
本発明は、ゴム成分に未膨張の中空粒子と熱分解型発泡剤とを配合した未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧すると共に架橋させることにより前記中空粒子が膨張して形成された多数の凹孔が表面に露出したゴム組成物でプーリ接触部分を構成する伝動ベルトの製造方法であって、前記中空粒子の膨張開始温度よりも前記熱分解型発泡剤の分解温度の方が高い。
本発明は、ゴム成分に未膨張の中空粒子と熱分解型発泡剤とを配合した未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧すると共に架橋させることにより前記中空粒子が膨張して形成された多数の凹孔が表面に露出したゴム組成物でプーリ接触部分が構成された伝動ベルトであって、前記中空粒子による前記多数の凹孔の平均孔径が70〜120μmであり、且つ前記中空粒子による前記多数の凹孔の孔径差が50μm以下である。
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るVリブドベルトB(伝動ベルト)を示す。実施形態1に係るVリブドベルトBは、例えば、自動車のエンジンルーム内に設けられる補機駆動ベルト伝動装置等に用いられるものである。実施形態1に係るVリブドベルトBは、例えば、ベルト周長が700〜3000mm、ベルト幅が10〜36mm、及びベルト厚さが4.0〜5.0mmである。
図1は、実施形態1に係るVリブドベルトB(伝動ベルト)を示す。実施形態1に係るVリブドベルトBは、例えば、自動車のエンジンルーム内に設けられる補機駆動ベルト伝動装置等に用いられるものである。実施形態1に係るVリブドベルトBは、例えば、ベルト周長が700〜3000mm、ベルト幅が10〜36mm、及びベルト厚さが4.0〜5.0mmである。
実施形態1に係るVリブドベルトBは、ベルト内周側の圧縮ゴム層11と中間の接着ゴム層12とベルト外周側の背面ゴム層13との三重層に構成されたVリブドベルト本体10を備える。Vリブドベルト本体10の接着ゴム層12には、ベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように配された心線14が埋設されている。
圧縮ゴム層11は、複数のVリブ15がベルト内周側に垂下するように設けられている。複数のVリブ15は、各々がベルト長さ方向に延びる断面略逆三角形の突条に形成されていると共に、ベルト幅方向に並設されている。各Vリブ15は、例えば、リブ高さが2.0〜3.0mm、リブ基端間の幅が1.0〜3.6mmである。リブ数は例えば3〜6個である(図1ではリブ数が6)。
圧縮ゴム層11は、プーリ接触表面全体に沿うように層状に設けられた表面ゴム層11a(プーリ接触部分)とその表面ゴム層11aよりもベルト内部側に設けられた内部ゴム層11bとを有する。表面ゴム層11aの厚さは例えば50〜500μmである。
表面ゴム層11aは、ゴム成分に未膨張の中空粒子と熱分解型発泡剤とを含むゴム配合剤を配合して混練した未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧すると共に架橋させたゴム組成物であって、それにより内部にシェルを有する多数の中空部16が形成され且つ表面、つまり、プーリ接触表面にシェルを有する多数の凹孔17が形成されたゴム組成物で構成されている。このシェルを有する中空部16は中空粒子の膨張により形成されたものであり、また、シェルを有する凹孔17は膨張した中空粒子が表面においてシェルが破れて開口することにより形成されたものである。そして、未架橋ゴム組成物に配合された中空粒子の膨張開始温度よりも、熱分解型発泡剤の分解温度の方が高い。このようにゴム成分に未膨張の中空粒子と熱分解型発泡剤とを配合した未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧すると共に架橋させたゴム組成物で構成された表面ゴム層11aでは、中空粒子の膨張開始温度よりも熱分解型発泡剤の分解温度の方が高いことにより、図2に示すように、表面ゴム層11aの表面に、中空粒子による、平均孔径が大きく、しかも、孔径のばらつきが小さい凹孔17が形成されることとなる。ここで、膨張開始温度とは、常圧(1気圧)において未膨張の中空粒子が膨張を開始する温度である。分解温度とは、常圧(1気圧)において熱分解型発泡剤が分解を開始する温度である。
自動車の走行中における静音性に対するニーズが高まっているが、かかるニーズから、エンジンルーム内で走行するVリブドベルトに対しては、被水状態でベルト走行した際のスリップ異音の発生の抑制が求められている。かかる要求に対し、実施形態1に係るVリブドベルトBによれば、上記の通り、圧縮ゴム層11の表面ゴム層11aの表面に中空粒子による平均孔径が大きい多数の凹孔17が形成されているので、被水状態でベルト走行した際でも、凹孔17によりプーリ表面の水膜を効率的に破壊し、それによってスリップ異音の発生を効果的に抑制することができる。
表面ゴム層11aを構成するゴム組成物のゴム成分としては、例えば、エチレン・プロピレンコポリマー(EPR)、エチレン・プロピレン・ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン・オクテンコポリマー、エチレン・ブテンコポリマーなどのエチレン−α−オレフィンエラストマー;クロロプレンゴム(CR);クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM);水素添加アクリロニトリルゴム(H−NBR)等が挙げられる。ゴム成分は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましく、エチレン−α−オレフィンエラストマーを用いることがより好ましい。
表面ゴム層11aを構成するゴム組成物は、ゴム成分に未膨張の中空粒子と熱分解型発泡剤とが配合された未架橋ゴム組成物が架橋して形成されるが、その未膨張の中空粒子としては、例えば、熱可塑性ポリマー(例えばアクリロニトリル系ポリマー)等で形成されたシェルの内部に溶剤が封入された粒子が挙げられる。中空粒子は、単一種だけを用いても、また、複数種を用いても、どちらでもよい。未膨張の中空粒子の粒径は、表面ゴム層11aの表面に被水時のスリップによる異音発生抑制に好適な中空粒子による平均孔径が大きい凹孔17を形成する観点から、好ましくは15μm以上、より好ましくは25μm以上であり、また、好ましくは50μm以下、より好ましくは35μm以下である。中空粒子の膨張開始温度は、表面ゴム層11aの表面に被水時のスリップによる異音発生抑制に好適な中空粒子による平均孔径が大きい凹孔17を形成する観点から、好ましくは140℃以上、より好ましくは150℃以上であり、また、好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下である。中空粒子の配合量は、表面ゴム層11aの表面に被水時のスリップによる異音発生抑制に好適な中空粒子による平均孔径が大きい凹孔17を形成する観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下である。なお、市販の中空粒子としては、例えば、積水化学工業社製の商品名:アドバンセルEM403(粒径26〜34μm,膨張開始温度:150〜170℃)等が挙げられる。
表面ゴム層11aを構成するゴム組成物は、内部に膨張した中空粒子により形成された多数の中空部16を有すると共に、表面に中空粒子のシェルが破れて開口した多数の凹孔17が露出している。それらの凹孔17の平均孔径は、被水時のスリップによる異音発生抑制に好適であるという観点から、好ましくは70μm以上、より好ましくは80μm以上であり、また、好ましくは120μm以下、より好ましくは110μm以下である。凹孔17の孔径の最大値と最小値との差、つまり、孔径差は、凹孔17の孔径のばらつきの指標となるが、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下である。ここで、凹孔17の孔径とは、表面ゴム層11aの表面に露出した凹孔17の開口径であり、その平均孔径は、表面画像から測定される任意の50〜100個の孔径の数平均として求めることができ、また、孔径差は、表面画像から測定される任意の50〜100個の孔径の最大値と最小値との差として求めることができる。
未架橋ゴム組成物に配合される熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミドを主成分とするADCA系発泡剤、ジニトロソペンタメチレンテトラミンを主成分とするDPT系発泡剤、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドを主成分とするOBSH系発泡剤、ヒドラゾジカルボンアミドを主成分とするHDCA系発泡剤などの有機系発泡剤等が挙げられる。熱分解型発泡剤は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましく、ADCA系発泡剤を用いることがより好ましい。なお、市販の熱分解型発泡剤としては、例えば、三協化成社製の商品名:セルマイクシリーズ等が挙げられる。
熱分解型発泡剤の分解温度は、中空粒子の膨張開始温度よりも高いが、具体的には、表面ゴム層11aの表面に被水時のスリップによる異音発生抑制に好適な中空粒子による平均孔径が大きい凹孔17を形成する観点から、好ましくは150℃以上、より好ましくは160℃以上であり、また、好ましくは230℃以下、より好ましくは210℃以下である。中空粒子の膨張開始温度と熱分解型発泡剤の分解温度との温度差は、表面ゴム層11aの表面に被水時のスリップによる異音発生抑制に好適な平均孔径が大きい凹孔17を形成する観点から、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、更に好ましくは35℃以上であり、また、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下である。
熱分解型発泡剤の配合量は、表面ゴム層11aの表面に被水時のスリップによる異音発生抑制に好適な中空粒子による平均孔径が大きい凹孔17を形成する観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは4質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下である。熱分解型発泡剤のゴム成分100質量部に対する配合量は、未膨張の中空粒子のゴム成分100質量部に対する配合量よりも多いことが好ましい。熱分解型発泡剤のゴム成分100質量部に対する配合量の未膨張の中空粒子のゴム成分100質量部に対する配合量に対する質量比(熱分解型発泡剤のゴム成分100質量部に対する配合量/未膨張の中空粒子のゴム成分100質量部に対する配合量)は、表面ゴム層11aの表面に被水時のスリップによる異音発生抑制に好適な中空粒子による平均孔径が大きい凹孔17を形成する観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2.5以上であり、また、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。
表面ゴム層11aを構成するゴム組成物は、熱分解型発泡剤の発泡により内部に形成されたシェルを有さない多数の中空部18を有すると共に、表面に形成されたシェルを有さない多数の凹孔19が露出している。凹孔19の孔径の最大値と最小値との差、つまり、孔径差は、中空粒子により形成された凹孔17の孔径差よりも大きく、従って、孔径のばらつきが大きい。ここで、シェルを有さない凹孔19の孔径とは、表面ゴム層11aの表面に露出したその開口径である。
表面ゴム層11aを構成するゴム組成物には、熱分解型発泡剤が分解して発泡した後の分解残渣が含まれる。具体的には、例えば、ADCA系発泡剤の場合には、表面ゴム層11aを構成するゴム組成物に分解残渣としてビウレアシアヌール酸ウラゾールが含まれることとなる。DPT系発泡剤の場合には、表面ゴム層11aを構成するゴム組成物に分解残渣としてヘキサメチレンテトラミンが含まれることとなる。OBSH系発泡剤の場合には、表面ゴム層11aを構成するゴム組成物に分解残渣としてポリジチオフェニルエーテル及びポリチオフェニルベンゼンスルホニルエーテルが含まれることとなる。HDCA系発泡剤の場合には、表面ゴム層11aを構成するゴム組成物に分解残渣としてウラゾールが含まれることとなる。
表面ゴム層11aを構成するゴム組成物に配合されるその他のゴム配合剤としては、例えば、カーボンブラックなどの補強材、オイル、加工助剤、加硫助剤、架橋剤、加硫促進剤等が挙げられる。表面ゴム層11aを構成するゴム組成物には短繊維が配合されていてもよい。表面ゴム層11aを構成するゴム組成物は、架橋剤として硫黄が用いられた硫黄架橋系ゴム組成物であっても、また、架橋剤として有機過酸化物が用いられた有機過酸化物架橋系ゴム組成物であっても、更に、それらを併用した併用架橋系ゴム組成物であっても、いずれでもよい。
内部ゴム層11bは、ゴム成分にゴム配合剤を配合して混練した未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧すると共に架橋させたゴム組成物で構成されている。
内部ゴム層11bを構成するゴム組成物のゴム成分としては、表面ゴム層11aの場合と同様、例えば、エチレン−α−オレフィンエラストマー等が挙げられる。内部ゴム層11bを構成するゴム組成物のゴム成分は、表面ゴム層11aを構成するゴム組成物のゴム成分と同一であることが好ましい。
内部ゴム層11bを構成するゴム組成物に配合されるゴム配合剤としては、表面ゴム層11aの場合と同様、例えば、カーボンブラックなどの補強材、軟化剤、加工助剤、加硫助剤、架橋剤、加硫促進剤、ゴム配合用樹脂、老化防止剤等が挙げられる。内部ゴム層11bを構成するゴム組成物の架橋前の未架橋ゴム組成物には、未膨張の中空粒子及び熱分解型発泡剤が配合されていないことが好ましい。つまり、内部ゴム層11bを構成するゴム組成物は中実であることが好ましい。内部ゴム層11bを構成するゴム組成物には短繊維が配合されていないことが好ましい。内部ゴム層11bを構成するゴム組成物は、架橋剤として硫黄が用いられた硫黄架橋系ゴム組成物であっても、また、架橋剤として有機過酸化物が用いられた有機過酸化物架橋系ゴム組成物であっても、更に、それらを併用した併用架橋系ゴム組成物であっても、いずれでもよい。内部ゴム層11bの架橋系は、表面ゴム層11aの架橋系と同一であっても、また、異なっていても、どちらでもよい。
接着ゴム層12は、断面横長矩形の帯状に形成されており、厚さが例えば1.0〜2.5mmである。背面ゴム層13も、断面横長矩形の帯状に形成されており、厚さが例えば0.4〜0.8mmである。背面ゴム層13の表面は、ベルト背面が接触する平プーリとの間で生じる音を抑制する観点から、織布の布目が転写された形態に形成されていることが好ましい。
接着ゴム層12及び背面ゴム層13のそれぞれは、ゴム成分にゴム配合剤を配合して混練した未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧すると共に架橋させたゴム組成物で構成されている。
接着ゴム層12及び背面ゴム層13を構成するゴム組成物のゴム成分としては、表面ゴム層11aの場合と同様、例えば、エチレン−α−オレフィンエラストマー等が挙げられる。接着ゴム層12及び背面ゴム層13を構成するゴム組成物のゴム成分は、表面ゴム層11a及び/又は内部ゴム層11bを構成するゴム組成物のゴム成分と同一であることが好ましい。
接着ゴム層12及び背面ゴム層13を構成するゴム組成物に配合されるゴム配合剤としては、表面ゴム層11aの場合と同様、例えば、カーボンブラックなどの補強材、軟化剤、加工助剤、加硫助剤、架橋剤、加硫促進剤、ゴム配合用樹脂、老化防止剤等が挙げられる。接着ゴム層12及び背面ゴム層13を構成するゴム組成物の架橋前の未架橋ゴム組成物には、未膨張の中空粒子及び熱分解型発泡剤が配合されていないことが好ましい。つまり、接着ゴム層12及び背面ゴム層13を構成するゴム組成物は中実であることが好ましい。接着ゴム層12及び背面ゴム層13を構成するゴム組成物には短繊維が配合されていてもよい。接着ゴム層12及び背面ゴム層13を構成するゴム組成物は、架橋剤として硫黄が用いられた硫黄架橋系ゴム組成物であっても、また、架橋剤として有機過酸化物が用いられた有機過酸化物架橋系ゴム組成物であっても、更に、それらを併用した併用架橋系ゴム組成物であっても、いずれでもよい。接着ゴム層12及び背面ゴム層13の架橋系は、表面ゴム層11a及び/又は内部ゴム層11bの架橋系と同一であっても、また、異なっていても、どちらでもよい。
圧縮ゴム層11の内部ゴム層11b、接着ゴム層12、及び背面ゴム層13は、別配合のゴム組成物で形成されていても、また、同じ配合のゴム組成物で形成されていても、どちらでもよい。
心線14は、ポリエステル繊維(PET)、ポリエチレンナフタレート繊維(PEN)、アラミド繊維、ビニロン繊維等の撚り糸で構成されている。心線14は、Vリブドベルト本体10に対する接着性を付与するために、成形加工前にRFL水溶液に浸漬された後に加熱される接着処理及び/又はゴム糊に浸漬された後に乾燥される接着処理が施されている。
次に、実施形態1に係るVリブドベルトBの製造方法について説明する。
実施形態1に係るVリブドベルトBの製造では、図3及び4に示すように、同心状に設けられた、各々、円筒状の内型21及び外型22からなるベルト成形型20を用いる。
このベルト成形型20では、内型21はゴム等の可撓性材料で形成されている。外型22は金属等の剛性材料で形成されている。外型22の内周面は成型面に構成されており、その外型22の内周面には、Vリブ形成溝23が軸方向に一定ピッチで設けられている。また、外型22には、水蒸気等の熱媒体や水等の冷媒体を流通させて温調する温調機構が設けられている。更に、このベルト成形型20では、内型21を内部から加圧膨張させるための加圧手段が設けられている。
実施形態1に係るVリブドベルトBの製造において、まず、ゴム成分に各ゴム配合剤を配合し、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機で混練し、得られた未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等によってシート状に成形して圧縮ゴム層11の表面ゴム層用及び内部ゴム層用の未架橋ゴムシート11a’,11b’を作製する。同様に、接着ゴム層用及び背面ゴム層用の未架橋ゴムシート12’,13’も作製する。また、心線用の撚り糸14’をRFL水溶液に浸漬して加熱する接着処理を行い、必要に応じて、その後、ゴム糊に浸漬して加熱乾燥する接着処理を行う。
このとき、表面ゴム層用の未架橋ゴムシート11a’の作製においては、ゴム成分に未膨張の中空粒子16’と熱分解型発泡剤とを配合する。
次いで、図5に示すように、表面が平滑な円筒ドラム24上にゴムスリーブ25を被せ、その上に、背面ゴム層用の未架橋ゴムシート13’、及び接着ゴム層用の未架橋ゴムシート12’を順に巻き付けて積層し、その上から心線用の撚り糸14’を円筒状の内型21に対して螺旋状に巻き付け、更にその上から接着ゴム層用の未架橋ゴムシート12’、並びに圧縮ゴム層11における内部ゴム層用の未架橋ゴムシート11b’、及び表面ゴム層用の未架橋ゴムシート11a’を順に巻き付けて積層体10’を形成する。
次いで、積層体10’を設けたゴムスリーブ25を円筒ドラム24から外し、図6に示すように、それを外型22の内周面側に内嵌め状態にセットする。
次いで、図7に示すように、内型21を外型22にセットされたゴムスリーブ25内に位置付けて密閉する。
続いて、外型22を加熱すると共に、内型21の密封された内部に高圧空気等を注入して加圧する。
このとき、図8に示すように、内型21が膨張し、外型22の成型面に積層体10’が圧接される。未架橋ゴムシート11a’,11b’,12’,13’は、加熱及び加圧されると共に架橋して一体化し、また、撚り糸14’と複合化した円筒状のベルトスラブSが成型される。表面ゴム層用の未架橋ゴムシート11a’は、中空粒子16’が膨張することにより、内部にシェルを有する多数の中空部16を形成すると共に、表面に中空粒子16’のシェルが破れて開口した多数の凹孔17が露出し、また、それと共に、熱分解型発泡剤が分解することにより、内部にシェルを有さない中空部18を形成すると共に、表面にシェルを有さない凹孔19が露出した表面ゴム層11aを構成する。ベルトスラブSの成型温度は例えば100〜180℃、成型圧力は例えば0.5〜2.0MPa、及び成型時間は例えば10〜60分である。
この実施形態1に係るVリブドベルトBの製造方法によれば、既述の通り、プーリ接触部分を構成する表面ゴム層11aの表面には、中空粒子による平均孔径が大きく、且つ孔径のばらつきが小さい凹孔17が形成される。これは、中空粒子16’の膨張開始温度よりも熱分解型発泡剤の分解温度の方が高いことにより、まず中空粒子16’が膨張した後、熱分解型発泡剤が分解して発泡することから、膨張した中空粒子16’の内部に熱分解型発泡剤による発泡気体が導入され、その結果、どの中空粒子16’の膨張もが助長されるためではないかと考えられる。
また、通常、ベルト成型時の成型圧力は高いため、中空粒子16’の膨張が規制され、中空粒子16’を十分に膨張させることは困難である。しかしながら、この実施形態1に係るVリブドベルトBの製造方法によれば、熱分解型発泡剤が分解して発泡することにより中空粒子16’の膨張が助長されるので、ベルト成型時の高い成型圧力の下でも、中空粒子16’を十分に大きく膨張させることができる。かかる観点からは、この中空粒子16’の膨張助長の作用効果は、成型圧力が0.7MPa以上の場合、特には0.9MPa以上の場合に顕著に得ることができる。
なお、熱分解型発泡剤による発泡気体は、例えば、ADCA系発泡剤では窒素、DPT系発泡剤では窒素、一酸化炭素、及び二酸化炭素、OBSH系発泡剤では窒素及び水蒸気、HDCA系発泡剤では窒素及びアンモニアである。
そして、内型21の内部を減圧して密閉を解き、内型21と外型22との間でゴムスリーブ25を介して成型されたベルトスラブSを取り出し、ベルトスラブSを所定幅に輪切りして表裏を裏返すことによりVリブドベルトBが得られる。なお、必要に応じて、ベルトスラブSの外周側、つまり、Vリブ15側の表面を研磨してもよい。
図9は、実施形態1に係るVリブドベルトBを用いた自動車の補機駆動ベルト伝動装置30のプーリレイアウトを示す。この補機駆動ベルト伝動装置30は、VリブドベルトBが4つのリブプーリ及び2つの平プーリの6つのプーリに巻き掛けられて動力を伝達するサーペンタインドライブ方式のものである。
この補機駆動ベルト伝動装置30は、最上位置にリブプーリのパワーステアリングプーリ31が設けられ、そのパワーステアリングプーリ31の下方にリブプーリのACジェネレータプーリ32が設けられている。また、パワーステアリングプーリ31の左下方には平プーリのテンショナプーリ33が設けられており、そのテンショナプーリ33の下方には平プーリのウォーターポンププーリ34が設けられている。更に、テンショナプーリ33の左下方にはリブプーリのクランクシャフトプーリ35が設けられており、そのクランクシャフトプーリ35の右下方にリブプーリのエアコンプーリ36が設けられている。これらのプーリは、例えば、金属のプレス加工品や鋳物、ナイロン樹脂、フェノール樹脂などの樹脂成形品で構成されており、また、プーリ径がφ50〜150mmである。
そして、この補機駆動ベルト伝動装置30では、VリブドベルトBは、Vリブ15側が接触するようにパワーステアリングプーリ31に巻き掛けられ、次いで、ベルト背面が接触するようにテンショナプーリ33に巻き掛けられた後、Vリブ15側が接触するようにクランクシャフトプーリ35及びエアコンプーリ36に順に巻き掛けられ、更に、ベルト背面が接触するようにウォーターポンププーリ34に巻き掛けられ、そして、Vリブ15側が接触するようにACジェネレータプーリ32に巻き掛けられ、最後にパワーステアリングプーリ31に戻るように設けられている。プーリ間で掛け渡されるVリブドベルトBの長さであるベルトスパン長は例えば50〜300mmである。プーリ間で生じ得るミスアライメントは0〜2°である。
(実施形態2)
図10は、実施形態2に係るVリブドベルトB(伝動ベルト)を示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は、実施形態1と同一符号を用いて示す。
図10は、実施形態2に係るVリブドベルトB(伝動ベルト)を示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は、実施形態1と同一符号を用いて示す。
実施形態2に係るVリブドベルトBでは、圧縮ゴム層11が実施形態1に係るVリブドベルトBにおける表面ゴム層11aと同様のゴム組成物で構成されている。すなわち、圧縮ゴム層11は、ゴム成分に未膨張の中空粒子と熱分解型発泡剤とを含むゴム配合剤を配合して混練した未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧すると共に架橋させたゴム組成物であって、それにより内部にシェルを有する中空粒子による多数の中空部が形成され且つ表面、つまり、プーリ接触表面にシェルを有する中空粒子による多数の凹孔17が形成されたゴム組成物で構成されている。
また、実施形態2に係るVリブドベルトBを製造においては、圧縮ゴム層用の未架橋ゴムシートとして、実施形態1に係るVリブドベルトBにおける表面ゴム層用の未膨張の中空粒子及び熱分解型発泡剤が配合された未架橋ゴムシートと同様の未架橋ゴムシートを用いればよい。
その他の構成及び作用効果については実施形態1と同一である。
(その他の実施形態)
実施形態1及び2では、摩擦伝動ベルトとしてVリブドベルトBを示したが、特にこれに限定されるものではなく、ローエッジタイプのVベルト等であってもよい。
実施形態1及び2では、摩擦伝動ベルトとしてVリブドベルトBを示したが、特にこれに限定されるものではなく、ローエッジタイプのVベルト等であってもよい。
実施形態1及び2では、圧縮ゴム層11、接着ゴム層12、及び背面ゴム層13によりVリブドベルト本体10が構成されたものとしたが、特にこれに限定されるものではなく、圧縮ゴム層11及び接着ゴム層12によりVリブドベルト本体10が構成され、背面ゴム層13の代わりに、例えば、綿、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維等の糸で形成された織布、編物、不織布等で構成された補強布が設けられたものであってもよい。
実施形態1及び2では、ベルト伝動装置として自動車の補機駆動ベルト伝動装置20を示したが、特にこれに限定されるものではなく、一般産業用等のベルト伝動装置であってもよい。
(ゴム組成物)
以下の実施例1〜3並びに比較例1及び2の未架橋ゴム組成物を調製した。それぞれの構成については表1にも示す。
以下の実施例1〜3並びに比較例1及び2の未架橋ゴム組成物を調製した。それぞれの構成については表1にも示す。
<実施例1>
密閉式のバンバリーミキサーのチャンバーにゴム成分としてのEPDM(JSR社製 商品名:EP22)を投入して素練りし、次いで、このゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック(東海カーボン社製 商品名:シースト3)50質量部、ステアリン酸(花王社製 商品名:ルナック)1質量部、オイル(日本サン石油社製 商品名:サンパー2280)8質量部、及び酸化亜鉛(堺化学工業社製 商品名:酸化亜鉛3種)5質量部を投入配合して混練することによりマスターバッチを調製した。
密閉式のバンバリーミキサーのチャンバーにゴム成分としてのEPDM(JSR社製 商品名:EP22)を投入して素練りし、次いで、このゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック(東海カーボン社製 商品名:シースト3)50質量部、ステアリン酸(花王社製 商品名:ルナック)1質量部、オイル(日本サン石油社製 商品名:サンパー2280)8質量部、及び酸化亜鉛(堺化学工業社製 商品名:酸化亜鉛3種)5質量部を投入配合して混練することによりマスターバッチを調製した。
マスターバッチを室温まで冷却した後、密閉式のバンバリーミキサーのチャンバーにそのマスターバッチを投入して再び混練すると共に、そこに、ゴム成分100質量部に対して、硫黄(日本乾溜工業社製 商品名:セイミOT)1.7質量部、加硫促進剤(大内新興化学社製 商品名:MSA)4質量部、中空粒子(積水化学工業社製 商品名:アドバンセルEM403 膨張開始温度Ta:150〜170℃)2.3質量部、及び熱分解型発泡剤1(三協化成社製 商品名:セルマイクCE ADCA系発泡剤 分解温度Tb:208℃)6.9質量部を投入配合して混練を継続し、チャンバー内の温度が110℃に達した時点で混練した未架橋ゴム組成物を放出した。そして、この未架橋ゴム組成物を実施例1とした。
実施例1では、中空粒子の膨張開始温度と熱分解型発泡剤1の分解温度との温度差(Tb−Ta)が38〜58℃、及び熱分解型発泡剤の配合量の中空粒子の配合量に対する質量比が3.0である。
<実施例2>
中空粒子及び熱分解型発泡剤1の配合量を、ゴム成分100質量部に対して、それぞれ1.2質量部及び8.7質量部としたことを除いて、実施例1と同一構成の未架橋ゴム組成物を実施例2とした。実施例2では、中空粒子の膨張開始温度と熱分解型発泡剤1の分解温度との温度差(Tb−Ta)が38〜58℃、及び熱分解型発泡剤の配合量の中空粒子の配合量に対する質量比が7.3である。
中空粒子及び熱分解型発泡剤1の配合量を、ゴム成分100質量部に対して、それぞれ1.2質量部及び8.7質量部としたことを除いて、実施例1と同一構成の未架橋ゴム組成物を実施例2とした。実施例2では、中空粒子の膨張開始温度と熱分解型発泡剤1の分解温度との温度差(Tb−Ta)が38〜58℃、及び熱分解型発泡剤の配合量の中空粒子の配合量に対する質量比が7.3である。
<実施例3>
中空粒子の配合量をゴム成分100質量部に対して3.5質量部とし、熱分解型発泡剤1の代わりに熱分解型発泡剤2(三協化成社製 商品名:セルマイクA DPT系発泡剤 分解温度Tb:205℃)をゴム成分100質量部に対して4.1質量部配合したことを除いて、実施例1と同一構成の未架橋ゴム組成物を実施例3とした。実施例3では、中空粒子の膨張開始温度と熱分解型発泡剤2の分解温度との温度差(Tb−Ta)が35〜55℃、及び熱分解型発泡剤の配合量の中空粒子の配合量に対する質量比が1.2である。
中空粒子の配合量をゴム成分100質量部に対して3.5質量部とし、熱分解型発泡剤1の代わりに熱分解型発泡剤2(三協化成社製 商品名:セルマイクA DPT系発泡剤 分解温度Tb:205℃)をゴム成分100質量部に対して4.1質量部配合したことを除いて、実施例1と同一構成の未架橋ゴム組成物を実施例3とした。実施例3では、中空粒子の膨張開始温度と熱分解型発泡剤2の分解温度との温度差(Tb−Ta)が35〜55℃、及び熱分解型発泡剤の配合量の中空粒子の配合量に対する質量比が1.2である。
<比較例1>
熱分解型発泡剤1を配合せず、中空粒子の配合量をゴム成分100質量部に対して10質量部としたことを除いて、実施例1と同一構成の未架橋ゴム組成物を比較例1とした。
熱分解型発泡剤1を配合せず、中空粒子の配合量をゴム成分100質量部に対して10質量部としたことを除いて、実施例1と同一構成の未架橋ゴム組成物を比較例1とした。
<比較例2>
中空粒子を配合せず、熱分解型発泡剤1の配合量をゴム成分100質量部に対して10質量部としたことを除いて、実施例1と同一構成の未架橋ゴム組成物を比較例2とした。
中空粒子を配合せず、熱分解型発泡剤1の配合量をゴム成分100質量部に対して10質量部としたことを除いて、実施例1と同一構成の未架橋ゴム組成物を比較例2とした。
(試験評価方法)
<平均孔径>
実施例1〜3並びに比較例1及び2の未架橋ゴム組成物のそれぞれについて、ロールミルにより厚さ2mmのシート状に圧延し、それを用いてプレス成型することにより長さ75mm、幅25mm、及び厚さ5mmの架橋したゴム組成物の板状の試験片を作製した。成型条件は、成型温度を170℃、成型圧力を0.9MPa、及び成型時間を30分とした。
<平均孔径>
実施例1〜3並びに比較例1及び2の未架橋ゴム組成物のそれぞれについて、ロールミルにより厚さ2mmのシート状に圧延し、それを用いてプレス成型することにより長さ75mm、幅25mm、及び厚さ5mmの架橋したゴム組成物の板状の試験片を作製した。成型条件は、成型温度を170℃、成型圧力を0.9MPa、及び成型時間を30分とした。
そして、試験片の表面形態をマイクロスコープ(キーエンス社製 型番:VHX−2000)で200倍に拡大して観察し、実施例1〜3及び比較例1では、中空粒子によるシェルを有する凹孔について、また、比較例2では、熱分解型発泡剤によるシェルを有さない凹孔について、任意の100個の孔径を測定し、それらの数平均を平均孔径とした。
<孔径差>
実施例1〜3並びに比較例1及び2の架橋したゴム組成物のそれぞれについて、マイクロスコープ(キーエンス社製 型番:VHX−2000)で200倍に拡大して観察し、任意の100個の孔径を測定し、孔径の最大値と最小値との差を孔径のばらつき(孔径差)とした。
実施例1〜3並びに比較例1及び2の架橋したゴム組成物のそれぞれについて、マイクロスコープ(キーエンス社製 型番:VHX−2000)で200倍に拡大して観察し、任意の100個の孔径を測定し、孔径の最大値と最小値との差を孔径のばらつき(孔径差)とした。
<異音評価>
図11は被水時異音評価用ベルト走行試験機40のプーリレイアウトを示す。
図11は被水時異音評価用ベルト走行試験機40のプーリレイアウトを示す。
被水時異音評価用ベルト走行試験機40は、プーリ径が140mmのリブプーリである駆動プーリ41を備え、その駆動プーリ41の右方にプーリ径が75mmのリブプーリである第1従動プーリ42が設けられ、また、第1従動プーリ42の上方で駆動プーリ41の右斜め上方にプーリ径が50mmのリブプーリである第2従動プーリ43が設けられ、さらに、駆動プーリ41と第2従動プーリ43との中間にプーリ径が75mmの平プーリであるアイドラプーリ44が設けられている。そして、この被水時異音評価用ベルト走行試験機40は、VリブドベルトBのVリブ側がリブプーリである駆動プーリ41、第1及び第2従動プーリ42,43に接触すると共に、背面側が平プーリであるアイドラプーリ44に接触して巻き掛けられるように構成されている。
実施例1〜3並びに比較例1及び2のそれぞれの未架橋ゴム組成物により圧縮ゴム層を形成した5種のVリブドベルトを製作し、各VリブドベルトBについて、上記被水時異音評価用ベルト走行試験機40にセットし、1リブ当たり49Nのベルト張力が負荷されるようにプーリ位置決めを行い、第2従動プーリ43にそれが取り付けられたオルタネータに60Aの電流が流れるように抵抗を与え、常温下、駆動プーリ41を800rpmの回転数で回転させると共に、VリブドベルトBの駆動プーリ41への進入部においてVリブドベルトBのVリブ側に毎分1000mlの割合で水を滴下した。そして、ベルト走行時の異音発生状況を、大、小、微小、及び無の四段階で評価した。
(試験評価結果)
表1に試験結果を示す。
表1に試験結果を示す。
表1によれば、中空粒子及び熱分解型発泡剤を併用した実施例1〜3では、中空粒子による凹孔の平均孔径が92μm、109μm、及び78μmと比較的大きいのに対し、中空粒子のみを用いた比較例1では、中空粒子による凹孔の平均孔径が50μmであり、実施例1〜3の中空粒子による凹孔に比べると小さいことが分かる。
また、表面形態の観察によれば、中空粒子及び熱分解型発泡剤を併用した実施例1〜3では、中空粒子による凹孔の孔径差が小さい、つまり、凹孔の孔径のばらつきが小さいのに対し、熱分解型発泡剤のみを用いた比較例2では、凹孔の平均孔径は大きいものの、実施例1〜3の中空粒子による凹孔に比べると、孔径差が大きい、つまり、凹孔の孔径のばらつきが明らかに大きいことが分かる。
更に、実施例1〜3では、比較例1及び2に比べ、ベルト走行時の異音抑制効果が高いことが分かる。
本発明は、伝動ベルト及びその製造方法について有用である。
Claims (13)
- ゴム成分に未膨張の中空粒子と熱分解型発泡剤とを配合した未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧すると共に架橋させることにより前記中空粒子が膨張して形成された多数の凹孔が表面に露出したゴム組成物でプーリ接触部分を構成する伝動ベルトの製造方法であって、
前記中空粒子の膨張開始温度よりも前記熱分解型発泡剤の分解温度の方が高い伝動ベルトの製造方法。 - 請求項1に記載された伝動ベルトの製造方法において、
前記中空粒子の膨張開始温度が140〜180℃である伝動ベルトの製造方法。 - 請求項1又は2に記載された伝動ベルトの製造方法において、
前記熱分解型発泡剤の分解温度が150〜230℃である伝動ベルトの製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載された伝動ベルトの製造方法において、
前記中空粒子の膨張開始温度と前記熱分解型発泡剤の分解温度との温度差が10〜80℃である伝動ベルトの製造方法。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載された伝動ベルトの製造方法において、
前記未膨張の中空粒子の前記ゴム成分100質量部に対する配合量が0.5〜10質量部である伝動ベルトの製造方法。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載された伝動ベルトの製造方法において、
前記熱分解型発泡剤の前記ゴム成分100質量部に対する配合量が0.5〜10質量部である伝動ベルトの製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載された伝動ベルトの製造方法において、
前記未膨張の中空粒子の前記ゴム成分100質量部に対する配合量よりも前記熱分解型発泡剤の前記ゴム成分100質量部に対する配合量の方が多い伝動ベルトの製造方法。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載された伝動ベルトの製造方法において、
前記熱分解型発泡剤のゴム成分100質量部に対する配合量の前記未膨張の中空粒子のゴム成分100質量部に対する配合量に対する質量比(熱分解型発泡剤のゴム成分100質量部に対する配合量/未膨張の中空粒子のゴム成分100質量部に対する配合量)が1〜10である伝動ベルトの製造方法。 - 請求項1乃至8のいずれかに記載された伝動ベルトの製造方法において、
前記熱分解型発泡剤が、ADCA系発泡剤、DPT系発泡剤、OBSH系発泡剤、及びHDCA系発泡剤のうちの1種又は2種以上である伝動ベルトの製造方法。 - 請求項1乃至9のいずれかに記載された伝動ベルトの製造方法において、
前記未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧するときの成型圧力を0.7MPa以上とする伝動ベルトの製造方法。 - 請求項1乃至10のいずれかに記載された伝動ベルトの製造方法において、
前記中空粒子による前記多数の凹孔の平均孔径が70〜120μmである伝動ベルトの製造方法。 - 請求項1乃至11のいずれかに記載された伝動ベルトの製造方法において、
前記中空粒子による前記多数の凹孔の孔径差が50μm以下である伝動ベルトの製造方法。 - ゴム成分に未膨張の中空粒子と熱分解型発泡剤とを配合した未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧すると共に架橋させることにより前記中空粒子が膨張して形成された多数の凹孔が表面に露出したゴム組成物でプーリ接触部分が構成された伝動ベルトであって、
前記中空粒子による前記多数の凹孔の平均孔径が70〜120μmであり、且つ前記中空粒子による前記多数の凹孔の孔径差が50μm以下である伝動ベルト。
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