JP6078702B1 - Vリブドベルト - Google Patents

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Abstract

Vリブドベルト(B)の圧縮ゴム層(11)は、Vリブ(15)の側面部を含むように設けられた表面ゴム層(11a)とその内側に設けられた内側ゴム部(11b)とを有する。表面ゴム層(11a)及び内側ゴム部(11b)は、エチレン−α−オレフィンエラストマーをゴム成分の主体とするゴム組成物で形成されている。表面ゴム層(11a)を形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーのエチレン含量が、内側ゴム部(11b)を形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーのエチレン含量よりも高い。

Description

本発明はVリブドベルトに関する。
エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)をゴム成分とするゴム組成物でVリブドベルトのVリブドベルト本体を形成することが広く知られている。例えば、特許文献1には、圧縮ゴム層及び接着ゴム層がエチレン含量の異なるEPDMをゴム成分とするゴム組成物で形成されたVリブドベルトが開示されている。特許文献2には、圧縮ゴム層がエチレン含量の異なる2種のEPDMのブレンドゴムをゴム成分とするゴム組成物で形成されたVリブドベルトが開示されている。特許文献3には、圧縮ゴム層が表面ゴム層及び内側ゴム部を有し、それらのいずれもが、エチレン含量が55質量%のEPDMをゴム成分とするゴム組成物で形成されたVリブドベルトが開示されている。
特開2010−169215号公報 特開2006−300149号公報 国際公開第2010/134289号
本発明は、各々、ベルト長さ方向に延びる複数のVリブがベルト幅方向に並列するように設けられた圧縮ゴム層を備えたVリブドベルトであって、前記圧縮ゴム層は、前記Vリブの側面部を含むように設けられた表面ゴム層と、前記表面ゴム層の内側に設けられた内側ゴム部とを有し、前記表面ゴム層及び前記内側ゴム部は、エチレン−α−オレフィンエラストマーをゴム成分の主体とするゴム組成物で形成されており、前記表面ゴム層を形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーのエチレン含量が、前記内側ゴム部を形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーのエチレン含量よりも高い。
実施形態1に係るVリブドベルトの斜視図である。 実施形態1に係るVリブドベルトのVリブ1個分の断面図である。 ベルト成形型の縦断面図である。 ベルト成形型の一部分の縦断面拡大図である。 実施形態1に係るVリブドベルトの製造方法の第1の説明図である。 実施形態1に係るVリブドベルトの製造方法の第2の説明図である。 実施形態1に係るVリブドベルトの製造方法の第3の説明図である。 実施形態1に係るVリブドベルトの製造方法の第4の説明図である。 自動車の補機駆動ベルト伝動装置のプーリレイアウトを示す図である。 実施形態2に係るVリブドベルトの斜視図である。 実施形態2に係るVリブドベルトのVリブ1個分の断面図である。 実施形態2に係るVリブドベルトの製造方法の第1の説明図である。 実施形態2に係るVリブドベルトの製造方法の第2の説明図である。 実施形態2に係るVリブドベルトの製造方法の第3の説明図である。 実施形態1に対応する変形例のVリブドベルトのVリブ1個分の断面図である。 実施形態2に対応する変形例のVリブドベルトのVリブ1個分の断面図である。 耐摩耗性評価用ベルト走行試験機のプーリレイアウトを示す図である。 耐寒性評価用ベルト走行試験機のプーリレイアウトを示す図である。
以下、実施形態について詳細に説明する。
(実施形態1)
図1及び2は、実施形態1に係るVリブドベルトBを示す。実施形態1に係るVリブドベルトBは、例えば、自動車のエンジンルーム内に設けられる補機駆動ベルト伝動装置等に用いられるものである。実施形態1に係るVリブドベルトBは、例えば、ベルト周長700mm以上3000mm以下、ベルト幅10mm以上36mm以下、及びベルト厚さ4mm以上5mm以下である。
実施形態1に係るVリブドベルトBは、ベルト内周側の圧縮ゴム層11と中間の接着ゴム層12とベルト外周側の背面ゴム層13との三重層に構成されたVリブドベルト本体10を備えている。Vリブドベルト本体10の接着ゴム層12の厚さ方向の中間部には、ベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように配された心線14が埋設されている。圧縮ゴム層11の厚さは例えば1.0mm以上3.6mm以下であり、接着ゴム層12の厚さは例えば1.0mm以上2.5mm以下であり、背面ゴム層13の厚さは例えば0.4mm以上0.8mm以下である。
圧縮ゴム層11は、複数のVリブ15がベルト内周側に垂下するように設けられている。複数のVリブ15は、各々がベルト長さ方向に延びる断面略逆三角形の突条に形成されていると共に、ベルト幅方向に並設されている。各Vリブ15は、例えば、リブ高さが2mm以上3mm以下、リブ基端間の幅が1.0mm以上3.6mm以下である。また、リブ数は、例えば、3個以上6個以下である(図1ではリブ数が6)。
圧縮ゴム層11は、Vリブ15の表面全体に沿うように層状に設けられた多孔ゴムで形成された表面ゴム層11aと、その表面ゴム層11aの内側に設けられたそれ以外の中実ゴムで形成された内側ゴム部11bとを有する。従って、表面ゴム層11aは、複数のVリブ15の全ての側面部を含むように設けられている。表面ゴム層11aの厚さは例えば50μm以上500μm以下である。
ここで、本出願における「多孔ゴム」とは、内部に多数の中空部を有すると共に表面に多数の凹孔を有する架橋済みのゴム組成物を意味し、中空部及び凹孔が分散して配された構造並びに中空部及び凹孔が連通した構造のいずれも含まれる。また、本出願における「中実ゴム」とは、「多孔ゴム」以外の中空部及び凹孔を含まない架橋済みのゴム組成物を意味する。
圧縮ゴム層11における表面ゴム層11a及び内側ゴム部11bのそれぞれは、ゴム成分に種々の配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧されて架橋剤により架橋したゴム組成物で形成されている。
圧縮ゴム層11の表面ゴム層11a及び内側ゴム部11bのそれぞれを形成するゴム組成物のゴム成分は、エチレン−α−オレフィンエラストマーを主体として含む。エチレン−α−オレフィンエラストマーとしては、例えば、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(以下「EPDM」という。)、エチレン−プロピレンコポリマー(EPR)、エチレン−オクテンコポリマー、エチレン−ブテンコポリマー等が挙げられる。ゴム成分は、これらのうち1種又は2種以上を含むことが好ましく、EPDMを含むことがより好ましい。ゴム成分におけるエチレン−α−オレフィンエラストマーの含有量は50質量%以上であるが、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは100質量%である。ゴム成分は、エチレン−α−オレフィンエラストマー以外に、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、水素添加アクリロニトリルゴム(H−NBR)等を含んでいてもよい。
表面ゴム層11aを形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーのエチレン含量(A1)は、好ましくは59質量%以上、より好ましくは62質量%以上、更に好ましくは66質量%以上であり、また、好ましくは85質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは68質量%以下である。内側ゴム部11bを形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーのエチレン含量(A2)は、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは57質量%以上であり、また、好ましくは66質量%以下、より好ましくは62質量%以下、更に好ましくは59質量%以下である。なお、ゴム成分が複数のエチレン−α−オレフィンエラストマーを含む場合、エチレン含量は平均値として算出される。
表面ゴム層11aを形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーのエチレン含量(A1)は、内側ゴム部11bを形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーのエチレン含量(A2)よりも高い。表面ゴム層11aを形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーのエチレン含量(A1)の、内側ゴム部11bを形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーのエチレン含量(A2)に対する比(A1/A2)は、好ましくは1.05以上、より好ましくは1.14以上であり、また、好ましくは1.90以下、より好ましくは1.16以下である。
表面ゴム層11a及び内側ゴム部11bを形成するゴム組成物のゴム成分がEPDMを含む場合、そのジエン成分としては、例えば、エチリデンノボルネン(ENB)、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン等が挙げられる。これらのうちエチリデンノボルネンが好ましい。表面ゴム層11a及び内側ゴム部11bを形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるEPDMのジエン成分は同一であることが好ましく、それがエチリデンノボルネンであることがより好ましい。
表面ゴム層11aを形成するゴム組成物のゴム成分がEPDMを含み、そのジエン成分がエチリデンノボルネンである場合、そのエチリデンノボルネン含量(ENB含量)(B1)は、好ましくは0.50質量%以上、より好ましくは5.7質量%以上であり、また、好ましくは14質量%以下、より好ましくは5.9質量%以下である。内側ゴム部11bを形成するゴム組成物のゴム成分がEPDMを含み、そのジエン成分がエチリデンノボルネンである場合、そのENB含量(B2)は、好ましくは0.50質量%以上、より好ましくは4.4質量%以上であり、また、好ましくは14質量%以下、より好ましくは4.6質量%以下である。なお、ゴム成分が複数のEPDMを含む場合、ENB含量は平均値として算出される。
表面ゴム層11a及び内側ゴム部11bを形成するゴム組成物のゴム成分がEPDMを含み、そのいずれのジエン成分もエチリデンノボルネンである場合、表面ゴム層11aを形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるEPDMのENB含量(B1)は、内側ゴム部11bを形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるEPDMのENB含量(B2)よりも高いことが好ましい。表面ゴム層11aを形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるEPDMのENB含量(B1)の、内側ゴム部11bを形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるEPDMのENB含量(B2)に対する比(B1/B2)は、好ましくは1.10以上、より好ましくは1.20以上であり、また、好ましくは1.40以下、より好ましくは1.30以下である。
表面ゴム層11aを形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーの125℃におけるムーニー粘度(C1)は、好ましくは15.0ML1+4(125℃)以上、より好ましくは22.0ML1+4(125℃)以上であり、また、好ましくは90.0ML1+4(125℃)以下、より好ましくは24.0ML1+4(125℃)以下である。内側ゴム部11bを形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーの125℃におけるムーニー粘度(C2)は、好ましくは15.0ML1+4(125℃)以上、より好ましくは19.0ML1+4(125℃)以上であり、また、好ましくは90.0ML1+4(125℃)以下、より好ましくは、更に好ましくは20.0ML1+4(125℃)以下である。ムーニー粘度は、JISK6300に基づいて測定される。
表面ゴム層11aを形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーの125℃におけるムーニー粘度(C1)は、内側ゴム部11bを形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーの125℃におけるムーニー粘度(C2)よりも高いことが好ましい。表面ゴム層11aを形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーの125℃におけるムーニー粘度(C1)の内側ゴム部11bを形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーの125℃におけるムーニー粘度(C2)に対する比(C1/C2)は、好ましくは1.10以上、より好ましくは1.15以上であり、また、好ましくは1.25以下、より好ましくは1.20以下である。
配合剤としては、カーボンブラックなどの補強材、軟化剤、加工助剤、加硫助剤、架橋剤、加硫促進剤、ゴム配合用樹脂等が挙げられる。
補強材としては、カーボンブラックでは、例えば、チャネルブラック;SAF、ISAF、N−339、HAF、N−351、MAF、FEF、SRF、GPF、ECF、N−234などのファーネスブラック;FT、MTなどのサーマルブラック;アセチレンブラック等が挙げられる。補強材としてはシリカも挙げられる。補強材は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。表面ゴム層11aを形成するゴム組成物にはHAF及びGPFを併用することが好ましく、内側ゴム部11bを形成するゴム組成物にはFEFを単独で用いることが好ましい。補強材の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば30質量部以上80質量部以下である。
軟化剤としては、例えば、石油系軟化剤;パラフィンワックスなどの鉱物油系軟化剤;ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落下生油、木ろう、ロジン、パインオイルなどの植物油系軟化剤等が挙げられる。軟化剤は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。軟化剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば2質量部以上30質量部以下である。
加工助剤としては、例えば、ステアリン酸等が挙げられる。加工助剤は、1種を用いても、2種以上を用いても、どちらでもよい。加工助剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば0.5質量部以上5質量部以下である。
加硫助剤としては、例えば、酸化亜鉛(亜鉛華)や酸化マグネシウムなどの金属酸化物等が挙げられる。加硫助剤は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。加硫助剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば1質量部以上10質量部以下である。
架橋剤としては、例えば、硫黄、有機過酸化物が挙げられる。架橋剤は、硫黄を単独で用いても、また、有機過酸化物を単独で用いても、更には、それらの両方を併用しても、いずれでもよい。架橋剤の配合量は、硫黄の場合、ゴム成分100質量部に対して例えば0.50質量部以上4.0質量部以下であり、有機過酸化物の場合、ゴム成分100質量部に対して例えば0.50質量部以上8.0質量部以下である。
加硫促進剤としては、金属酸化物、金属炭酸塩、脂肪酸及びその誘導体等が挙げられる。加硫促進剤は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば0.50質量部以上8.0質量部以下である。
ゴム配合用樹脂としては、例えば、ハイスチレン樹脂、フェノール樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂等が挙げられる。ゴム配合用樹脂は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。表面ゴム層11aを形成するゴム組成物にはハイスチレン樹脂、フェノール樹脂、及び超高分子量ポリエチレン樹脂を併用することが好ましく、内側ゴム部11bを形成するゴム組成物にはフェノール樹脂を単独で用いることが好ましい。ゴム配合用樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば3質量部以上50質量部以下である。
表面ゴム層11aは多孔ゴムであるが、その表面ゴム層11aを形成する前の未架橋ゴム組成物には、多孔ゴムを構成するための未膨張の中空粒子及び/又は発泡剤が配合されている。未膨張の中空粒子としては、例えば、熱可塑性ポリマー(例えばアクリロニトリル系ポリマー)等で形成されたシェルの内部に溶剤が封入された粒子等が挙げられる。中空粒子は、1種だけ用いても、また、2種以上を用いても、どちらでもよい。中空粒子の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.50質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下である。発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミドを主成分とするADCA系発泡剤、ジニトロソペンタメチレンテトラミンを主成分とするDPT系発泡剤、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドを主成分とするOBSH系発泡剤、ヒドラゾジカルボンアミドを主成分とするHDCA系発泡剤などの有機系発泡剤等が挙げられる。発泡剤は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。発泡剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.50質量部以上、より好ましくは4.0質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7.0質量部以下である。
表面ゴム層11aは多孔ゴムであるので、その表面には多数の凹孔16が形成されている。凹孔16の平均孔径は、好ましくは40μm以上、より好ましくは80μm以上であり、また、好ましくは150μm以下、より好ましくは120μm以下である。凹孔16の平均孔径は、表面画像で測定される50個以上100個以下の数平均によって求められる。
なお、表面ゴム層11aを形成するゴム組成物は短繊維を含有していてもよい。この場合、短繊維は、ベルト幅方向に配向するように設けられていることが好ましい。また、表面に露出した短繊維は、その表面から突出するものを含むことが好ましい。かかる短繊維としては、例えば、ナイロン短繊維、アラミド短繊維、ポリエステル短繊維、綿粉等が挙げられる。短繊維は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。短繊維は、例えば、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス水溶液(以下「RFL水溶液」という。)等に浸漬された後に加熱される接着処理が施されていることが好ましい。短繊維の長さは例えば0.2mm以上3.0mm以下である。短繊維の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば3.00質量部以上30.0質量部以下である。
表面ゴム層11aを形成するゴム組成物のJISK6264−2に基づくDIN摩耗試験により測定される摩耗量は、好ましくは130mm以下、より好ましくは115mm以下である。表面ゴム層11aを形成するゴム組成物の摩耗量は、内側ゴム部11bを形成するゴム組成物の摩耗量よりも少ないことが好ましく、それらの摩耗量差は、好ましくは15.0mm以上、より好ましくは50.0mm以上である。
内側ゴム部11bを形成するゴム組成物のJISK6261に基づいて測定される脆化温度は、好ましくは−50℃以下、より好ましくは−60℃以下である。内側ゴム部11bを形成するゴム組成物の脆化温度は、表面ゴム層11aを形成するゴム組成物の脆化温度よりも低いことが好ましく、その温度差は、好ましくは5.0℃以上、より好ましくは10℃以上である。
接着ゴム層12は、断面横長矩形の帯状に構成されており、厚さが例えば1.0mm以上2.5mm以下である。背面ゴム層13も、断面横長矩形の帯状に構成されており、厚さが例えば0.4mm以上0.8mm以下である。背面ゴム層13の表面は、接触する平プーリとの間で生じる音を抑制する観点から、織布の布目が転写された形態に形成されていることが好ましい。
接着ゴム層12及び背面ゴム層13のそれぞれは、ゴム成分に種々の配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧されて架橋剤により架橋したゴム組成物で形成されていることが好ましい。背面ゴム層13は、平プーリとの接触で粘着が生じるのを抑制する観点から、接着ゴム層12よりもやや硬めのゴム組成物で形成されていることが好ましい。
接着ゴム層12及び背面ゴム層13を形成するゴム組成物のゴム成分としては、例えば、エチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、水素添加アクリロニトリルゴム(H−NBR)等が挙げられるが、圧縮ゴム層11の表面ゴム層11a及び内側ゴム部11bと同様にエチレン−α−オレフィンエラストマーであることが好ましい。接着ゴム層12及び背面ゴム層13のゴム成分は、圧縮ゴム層11の内側ゴム部11bのゴム成分と同一であることが好ましい。
配合剤としては、圧縮ゴム層11と同様、例えば、カーボンブラックなどの補強材、軟化剤、加工助剤、加硫助剤、架橋剤、加硫促進剤、ゴム配合用樹脂等が挙げられる。
圧縮ゴム層11の内側ゴム部11b、接着ゴム層12、及び背面ゴム層13は、同じ配合のゴム組成物で形成されていても、また、別配合のゴム組成物で形成されていても、どちらでもよい。
心線14は、ポリエステル繊維(PET)、ポリエチレンナフタレート繊維(PEN)、アラミド繊維、ビニロン繊維等の撚り糸で構成されている。心線14の直径は例えば0.5mm以上2.5mm以下であり、断面における相互に隣接する心線14中心間の寸法は例えば0.05mm以上0.20mm以下である。心線14は、Vリブドベルト本体10の接着ゴム層12に対する接着性を付与するために、成形加工前にRFL水溶液に浸漬された後に加熱される接着処理及び/又はゴム糊に浸漬された後に乾燥される接着処理が施されている。
以上の構成の実施形態1に係るVリブドベルトBによれば、Vリブ15の側面部を含むように設けられた表面ゴム層11aを形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーのエチレン含量(A1)が、内側ゴム部11bを形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーのエチレン含量(A2)よりも高いので、プーリと接触するVリブ15の側面部における優れた耐摩耗性を得ることができると共に、全体として優れた耐寒性をも得ることができる。しかも、表面ゴム層11aを形成するゴム組成物が多孔ゴムであり、耐摩耗性が低いことが予想されるにも関わらず、優れた耐摩耗性に加えて、優れた耐寒性を得ることができる。
次に、実施形態1に係るVリブドベルトBの製造方法について説明する。
実施形態1に係るVリブドベルトBの製造では、図3及び4に示すように、同心状に設けられた、各々、円筒状の内型21及び外型22を備えたベルト成形型20を用いる。
このベルト成形型20では、内型21はゴム等の可撓性材料で形成されている。外型22は金属等の剛性材料で形成されている。外型22の内周面は成型面に構成されており、その外型22の内周面には、Vリブ形成溝23が軸方向に一定ピッチで設けられている。また、外型22には、水蒸気等の熱媒体や水等の冷媒体を流通させて温調する温調機構が設けられている。そして、このベルト成形型20では、内型21を内部から加圧膨張させるための加圧手段が設けられている。
実施形態1に係るVリブドベルトBの製造において、まず、ゴム成分に各配合剤を配合し、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機で混練し、得られた未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等によってシート状に成形して圧縮ゴム層11の表面ゴム層用及び内側ゴム部用の未架橋ゴムシート11a’,11b’を作製する。表面ゴム層用の未架橋ゴムシート11a’には中空粒子及び/又は発泡剤を配合する。同様に、接着ゴム層用及び背面ゴム層用の未架橋ゴムシート12’,13’も作製する。また、心線用の撚り糸14’をRFL水溶液に浸漬して加熱する接着処理を行った後、ゴム糊に浸漬して加熱乾燥する接着処理を行う。
次いで、図5に示すように、表面が平滑な円筒ドラム24上にゴムスリーブ25を被せ、その上に、背面ゴム層用の未架橋ゴムシート13’、及び接着ゴム層用の未架橋ゴムシート12’を順に巻き付けて積層し、その上から心線用の撚り糸14’を円筒状の内型21に対して螺旋状に巻き付け、更にその上から接着ゴム層用の未架橋ゴムシート12’、並びに圧縮ゴム層11における内側ゴム部用の未架橋ゴムシート11b’、及び表面ゴム層用の未架橋ゴムシート11a’を順に巻き付けて積層体B’を形成する。
次いで、積層体B’を設けたゴムスリーブ25を円筒ドラム24から外し、図6に示すように、それを外型22の内周面側に内嵌め状態にセットする。
次いで、図7に示すように、内型21を外型22にセットされたゴムスリーブ25内に位置付けて密閉する。
続いて、外型22を加熱すると共に、内型21の密封された内部に高圧空気等を注入して加圧する。このとき、図8に示すように、内型21が膨張し、外型22の成型面に、積層体10’のベルト形成用の未架橋ゴムシート11a’,11b’,12’,13’が圧縮され、また、それらの架橋が進行して一体化すると共に撚り糸14’と複合化し、更に、未架橋ゴムシート11a’中の中空粒子17或いは発泡剤により表面ゴム層11aに対応する部分に多数の中空部が形成され、最終的に、円筒状のベルトスラブSが成型される。このベルトスラブSの成型温度は例えば100℃以上180℃以下、成型圧力は例えば0.5MPa以上2.0MPa以下、成型時間は例えば10分以上60分以下である。
そして、内型21の内部を減圧して密閉を解き、内型21と外型22との間でゴムスリーブ25を介して成型されたベルトスラブSを取り出し、ベルトスラブSを所定幅に輪切りして表裏を裏返すことによりVリブドベルトBが得られる。なお、必要に応じて、ベルトスラブSの外周側、つまり、Vリブ15側の表面を研磨してもよい。
図9は、実施形態1に係るVリブドベルトBを用いた自動車の補機駆動ベルト伝動装置30のプーリレイアウトを示す。この補機駆動ベルト伝動装置30は、VリブドベルトBが4つのリブプーリ及び2つの平プーリの6つのプーリに巻き掛けられて動力を伝達するサーペンタインドライブ方式のものである。
この補機駆動ベルト伝動装置30は、最上位置にリブプーリのパワーステアリングプーリ31が設けられ、そのパワーステアリングプーリ31の下方にリブプーリのACジェネレータプーリ32が設けられている。また、パワーステアリングプーリ31の左下方には平プーリのテンショナプーリ33が設けられており、そのテンショナプーリ33の下方には平プーリのウォーターポンププーリ34が設けられている。更に、テンショナプーリ33の左下方にはリブプーリのクランクシャフトプーリ35が設けられており、そのクランクシャフトプーリ35の右下方にリブプーリのエアコンプーリ36が設けられている。これらのプーリは、例えば、金属のプレス加工品や鋳物、ナイロン樹脂、フェノール樹脂などの樹脂成形品で構成されており、また、プーリ径がφ50mm以上150mm以下である。
この補機駆動ベルト伝動装置30では、VリブドベルトBは、Vリブ15側が接触するようにパワーステアリングプーリ31に巻き掛けられ、次いで、ベルト背面側が接触するようにテンショナプーリ33に巻き掛けられた後、Vリブ15側が接触するようにクランクシャフトプーリ35及びエアコンプーリ36に順に巻き掛けられ、更に、ベルト背面側が接触するようにウォーターポンププーリ34に巻き掛けられ、そして、Vリブ15側が接触するようにACジェネレータプーリ32に巻き掛けられ、最後にパワーステアリングプーリ31に戻るように設けられている。プーリ間で掛け渡されるVリブドベルトBの長さであるベルトスパン長は例えば50mm以上300mm以下である。プーリ間で生じ得るミスアライメントは0°以上2°以下である。
(実施形態2)
図10及び11は、実施形態2に係るVリブドベルトBを示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は、実施形態1と同一符号を用いて示す。
実施形態2に係るVリブドベルトBでは、圧縮ゴム層11において、多孔ゴムで形成された表面ゴム層11aは、両側のVリブ15のそれぞれにおける外側の側面部に沿うように設けられており、また、相互に隣接する一対のVリブ15における対向する側面部及びそれらを連結するリブ底部に沿うように設けられている。この後者の表面ゴム層11aは、断面形状が逆U字状に形成されている。従って、各表面ゴム層11aは、両側のVリブ15のそれぞれにおける外側の側面部、又は、相互に隣接する一対のVリブ15における対向する側面部を含むように設けられている。表面ゴム層11aの厚さは例えば50μm以上500μm以下である。一方、中実ゴムで形成された内側ゴム部11bは、表面ゴム層11aの内側に設けられている。
実施形態2に係るVリブドベルトBを製造するには、実施形態1と同様の方法により、図12に示すような円筒状のベルトスラブSを成型する。このベルトスラブSの外周には、周方向に延びる断面形状が略台形の突条15’が軸方向に連なるように形成されており、その表面層が多孔ゴム11a”で形成され且つそれ以外の内部が中実ゴム11b”で形成されている。そして、図13に示すように、ベルトスラブSを一対のスラブ掛け渡し軸26間に掛け渡すと共に、ベルトスラブSの外周に対し、周方向に延びるVリブ形状溝が外周の軸方向に連設された研削砥石27を回転させながら当接させ、また、ベルトスラブSも一対のスラブ掛け渡し軸26間で回転させる。このとき、図14に示すように、ベルトスラブSの外周の突条が研削されることに複数のVリブ15が形成され、これらの複数のVリブ15において、多孔ゴムの表面ゴム層11aと中実ゴムの内側ゴム部11bとが構成される。
表面ゴム層11a及び内側ゴム部11bの配合を含め、その他の構成及び作用効果は実施形態1と同一である。
(その他の実施形態)
上記実施形態1及び2では、表面ゴム層11aが多孔ゴムで形成された構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、図15A及びBに示すように、表面ゴム層11aが中実ゴムで形成された構成であってもよい。
実施形態1及び2では、圧縮ゴム層11、接着ゴム層12、及び背面ゴム層13によりVリブドベルト本体10が構成されたものとしたが、特にこれに限定されるものではなく、圧縮ゴム層11及び接着ゴム層12によりVリブドベルト本体10が構成され、背面ゴム層13の代わりに、例えば、綿、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維等の糸で形成された織布、編物、不織布等で構成された補強布が設けられた構成であってもよい。
実施形態1及び2では、圧縮ゴム層11のみにVリブ15が設けられた構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、背面ゴム層にもVリブが設けられた両面Vリブドベルトであってもよい。
実施形態1及び2では、ベルト伝動装置として自動車の補機駆動ベルト伝動装置30を示したが、特にこれに限定されるものではなく、一般産業用等のベルト伝動装置であってもよい。
(未架橋ゴム組成物)
以下のゴム1−4の未架橋ゴム組成物を調製した。それぞれの配合については表1にも示す。
<ゴム1>
密閉式のバンバリーミキサーのチャンバーにゴム成分としてのEPDM−1(JSR社製 商品名:EP51 エチレン含量67質量%、ENB含量5.8質量%、ムーニー粘度23ML1+4(125℃))を投入して素練りし、次いで、このゴム成分100質量部に対して、補強材のHAFカーボンブラック(東海カーボン社製 商品名:シースト3)35質量部、補強材のGPFカーボンブラック(東海カーボン社製 商品名:シーストV)15質量部、軟化剤のオイル(日本サン石油社製 商品名:サンパー2280)8質量部、加工助剤のステアリン酸(花王社製 商品名:ルナック)1質量部、加硫助剤の酸化亜鉛(堺化学工業社製 商品名:酸化亜鉛3種)5質量部、架橋剤の硫黄(日本乾溜工業社製 商品名:セイミOT)1.7質量部、EPDM用混合加硫促進剤(三新化学工業社製 商品名:サンセラーEM−2)2.8質量部、スルフェンアミド系加硫促進剤(大内新興化学社製 商品名:ノクセラーMSA−G)1.2質量部、ゴム配合用樹脂のハイスチレン樹脂(JSR社製 グレード:JSR0061)5質量部、ゴム配合用樹脂のフェノール樹脂(住友ベークライト社製 商品名:PR−12687)10質量部、ゴム配合用樹脂の超高分子量ポリエチレン樹脂(三井化学社製 商品名:ハイゼックスミリオン240S)30質量部、及び中空粒子(積水化学工業社製 商品名:アドバンセルEMS−026)4.5質量部を投入配合して混練し、得られた未架橋ゴム組成物をゴム1とした。
<ゴム2>
中空粒子を配合していないことを除いてゴム1と同様にして得られた未架橋ゴム組成物をゴム2とした。
<ゴム3>
密閉式のバンバリーミキサーのチャンバーにゴム成分としてのEPDM−2(JSR社製 商品名:EP123 エチレン含量58質量%、ENB含量4.5質量%、ムーニー粘度19.5ML1+4(125℃))を投入して素練りし、次いで、このゴム成分100質量部に対して、補強材のFEFカーボンブラック(東海カーボン社製 商品名:シーストSO)70質量部、軟化剤のオイル8質量部、加工助剤のステアリン酸1質量部、加硫助剤の酸化亜鉛5質量部、架橋剤の硫黄1.7質量部、EPDM用混合加硫促進剤2.8質量部、スルフェンアミド系加硫促進剤1.2質量部、ゴム配合用樹脂のフェノール樹脂5質量部を投入配合して混練し、得られた未架橋ゴム組成物をゴム3とした。
<ゴム4>
密閉式のバンバリーミキサーのチャンバーにゴム成分としてのEPDM−2を投入して素練りし、次いで、このゴム成分100質量部に対して、補強材のHAFカーボンブラック50質量部、軟化剤のオイル14質量部、加工助剤のステアリン酸1質量部、加硫助剤の酸化亜鉛5質量部、架橋剤の硫黄1.7質量部、EPDM用混合加硫促進剤2.8質量部、スルフェンアミド系加硫促進剤1.2質量部、超高分子量ポリエチレン樹脂10質量部、層状珪酸塩のベントナイト(ホージュン社製 商品名:ベンゲルHVP)30質量部、及びナイロン短繊維(旭化成社製 商品名:レオナ66 繊維長1mm)25.5質量部を投入配合して混練し、得られた未架橋ゴム組成物をゴム4とした。
Figure 0006078702
(Vリブドベルト)
以下の実施例1−2及び比較例1−5のVリブドベルトを作製した。それぞれの構成については表2にも示す。
<実施例1>
上記実施形態1と同様の構成であって、表面ゴム層をゴム1及び内側ゴム部をゴム3でそれぞれ形成したVリブドベルトを作製し、それを実施例1とした。
実施例1のVリブドベルトにおいて、表面ゴム層のEPDM−1のエチレン含量(A1)の、内側ゴム部のEPDM−2のエチレン含量(A2)に対する比(A1/A2)は1.16である。表面ゴム層のEPDM−1のENB含量(B1)の、内側ゴム部のEPDM−2のENB含量(B2)に対する比(B1/B2)は1.29である。表面ゴム層のEPDM−1の125℃におけるムーニー粘度(C1)の、内側ゴム部のEPDM−2の125℃におけるムーニー粘度(C2)に対する比(C1/C2)は1.18である。表面ゴム層を形成するゴム1の摩耗量は、内側ゴム部を形成するゴム3の摩耗量よりも少なく、それらの摩耗量差は58mmである。内側ゴム部を形成するゴム3の脆化温度は、表面ゴム層を形成するゴム1の脆化温度よりも低く、その温度差は27℃である。
なお、接着ゴム層及び背面ゴム層を、EPDMをゴム成分とする他のゴム組成物で形成した。また、心線をポリエチレンテレフタレート繊維製の撚り糸で構成した。そして、ベルト周長を1200mm、ベルト幅を10.68mm、ベルト厚さを4.3mmとし、リブ数を3個とした。
<実施例2>
表面ゴム層をゴム2で形成したことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、それを実施例2とした。
実施例1のVリブドベルトにおいて、A1/A2、B1/B2、及びC1/C2は実施例1と同一である。表面ゴム層を形成するゴム2の摩耗量は、内側ゴム部を形成するゴム3の摩耗量よりも少なく、それらの摩耗量差は80mmである。内側ゴム部を形成するゴム3の脆化温度は、表面ゴム層を形成するゴム1の脆化温度よりも低く、その温度差は10℃である。
<比較例1>
内側ゴム部をゴム2で形成したことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、それを比較例1とした。
比較例1のVリブドベルトにおいて、A1/A2、B1/B2、及びC1/C2はいずれも1である。
<比較例2>
表面ゴム層をゴム3で形成したことを除いて実施例1と同一構成、従って、圧縮ゴム層を単一のゴム3で形成したVリブドベルトを作製し、それを比較例2とした。
比較例2のVリブドベルトにおいて、A1/A2、B1/B2、及びC1/C2はいずれも1である。
<比較例3>
内側ゴム部をゴム2で形成したことを除いて実施例2と同一構成、従って、圧縮ゴム層を単一のゴム2で形成したVリブドベルトを作製し、それを比較例3とした。
比較例3のVリブドベルトにおいて、A1/A2、B1/B2、及びC1/C2はいずれも1である。
<比較例4>
表面ゴム層及び内側ゴム部をゴム4で形成したことを除いて実施例1と同一構成、従って、圧縮ゴム層をナイロン単繊維が配合された単一のゴム4で形成したVリブドベルトを作製し、それを比較例4とした。
比較例4のVリブドベルトにおいて、A1/A2、B1/B2、及びC1/C2はいずれも1である。
<比較例5>
表面ゴム層をゴム3及び内側ゴム部をゴム2でそれぞれ形成したことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、それを比較例5とした。
比較例5のVリブドベルトにおいて、A1/A2は0.87、B1/B2は0.78、及びC1/C2は0.85である。
Figure 0006078702
(試験方法)
<耐摩耗性>
JIS K6264−2に基づき、ゴム1−4のそれぞれで試験片を作製してDIN摩耗試験を行った。
<耐寒性>
JIS K6261に基づき、ゴム1−4のそれぞれで試験片を作製して脆化温度を測定した。
<ベルト走行試験>
−耐摩耗性評価−
図16Aは、耐摩耗性評価用ベルト走行試験機40のプーリレイアウトを示す。
耐摩耗性評価用ベルト走行試験機40は、各々、プーリ径が60mmのリブプーリである駆動プーリ41及び従動プーリ42が左右に間隔をおいて設けられている。そして、この耐摩耗性評価用ベルト走行試験機40は、VリブドベルトBのVリブ側が駆動プーリ41及び従動プーリ42に接触して巻き掛けられるように構成されている。
実施例1−2及び比較例1−5のそれぞれについて、ベルト質量を測定した後、上記耐摩耗性評価用ベルト走行試験機40にセットし、従動プーリ42に3.82kWの回転負荷を与えると共にベルト張力が負荷されるように側方に1177Nのデッドウェイト(DW)を負荷し、室温雰囲気下、駆動プーリ41を3500rpmの回転数で回転させて24時間ベルト走行させた。ベルト走行後、再度ベルト質量を測定した。そして、ベルト走行前後のベルト質量減量をベルト走行前のベルト質量で除して算出した百分率を摩耗率とした。
−耐寒性評価−
図16Bは、耐寒性評価用ベルト走行試験機50のプーリレイアウトを示す。
耐寒性評価用ベルト走行試験機50は、プーリ径が140mmのリブプーリである駆動プーリ51及びプーリ径が45mmのリブプーリである従動プーリ52が上下に間隔をおいて設けられている。そして、この耐寒性評価用ベルト走行試験機50は、VリブドベルトBのVリブ側が駆動プーリ51及び従動プーリ52に接触して巻き掛けられるように構成されている。
実施例1−2及び比較例1−5のそれぞれについて、上記耐寒性評価用ベルト走行試験機50にセットし、従動プーリ52ベルト張力が負荷されるように下方に29.4Nのセットウェイト(SW)を負荷し、−40℃の雰囲気下、駆動プーリ51を270rpmの回転数で5分間回転させてベルト走行させた後に25分間停止する操作を1サイクルとし、停止時に定期的にVリブドベルトBのVリブ表面におけるクラックの発生の有無を目視確認し、クラックの発生が認められた時点でベルト走行を終え、それまでのサイクル数を記録した。
(試験結果)
試験結果を表1及び2に示す。
表1によれば、ゴム成分のEPDMのエチレン含量が相対的に高いゴム1及び2は、ゴム成分のEPDMのエチレン含量が相対的に低いゴム3よりも摩耗率が低く、従って、耐摩耗性が優れることが分かる。なお、ゴム4は、ゴム成分のEPDMのエチレン含量が相対的に低いものの、耐摩耗性がゴム1よりも優れるが、これはナイロン短繊維が配合されていることによる効果であると考えられる。
また、ゴム成分のEPDMのエチレン含量が相対的に低いゴム3は、ゴム成分のEPDMのエチレン含量が相対的に高いゴム1及び2よりも脆化温度が低く、従って、耐寒性が優れることが分かる。なお、ゴム4は、ゴム成分のEPDMのエチレン含量が相対的に低いものの、耐寒性がゴム2よりも劣るが、これはナイロン短繊維が配合されていることによる効果であると考えられる。
表2によれば、表面ゴム層のゴム成分のEPDMのエチレン含量が、内側ゴム部のゴム成分のEPDMのエチレン含量よりも高い実施例1及び2は、耐摩耗性及び耐寒性のいずれもが優れるのに対し、表面ゴム層のゴム成分のEPDMのエチレン含量が、内側ゴム部のゴム成分のEPDMのエチレン含量と同一又は低い比較例1−5は、それらのうちの一方が優れるに過ぎないことが分かる。
本発明はVリブドベルトの技術分野について有用である。
B Vリブドベルト
11圧縮ゴム層
11a 表面ゴム層
11b 内側ゴム部
15 Vリブ

Claims (15)

  1. ベルト内周側に、各々、ベルト長さ方向に延びる複数のVリブがベルト幅方向に並列するように設けられた圧縮ゴム層を備えたVリブドベルトであって、
    前記圧縮ゴム層は、前記Vリブの側面部を含むように設けられた表面ゴム層と、前記表面ゴム層の内側に設けられた内側ゴム部と、を有し、
    前記表面ゴム層及び前記内側ゴム部は、エチレン−α−オレフィンエラストマーをゴム成分の主体とするゴム組成物で形成されており、
    前記表面ゴム層を形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーのエチレン含量が、前記内側ゴム部を形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーのエチレン含量よりも高いVリブドベルト。
  2. 請求項1に記載されたVリブドベルトにおいて、
    前記表面ゴム層が多孔ゴムで形成されている一方、前記内側ゴム部が中実ゴムで形成されているVリブドベルト。
  3. 請求項1又は2に記載されたVリブドベルトにおいて、
    前記表面ゴム層を形成するゴム組成物のJIS K6264−2に基づくDIN摩耗試験により測定される摩耗量が、前記内側ゴム部を形成するゴム組成物の摩耗量よりも少ないVリブドベルト。
  4. 請求項3に記載されたVリブドベルトにおいて、
    前記表面ゴム層を形成するゴム組成物の摩耗量と前記内側ゴム部を形成するゴム組成物の摩耗量との摩耗量差が15.0mm以上であるVリブドベルト。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載されたVリブドベルトにおいて、
    前記内側ゴム部を形成するゴム組成物のJIS K6261に基づいて測定される脆化温度が、前記表面ゴム層を形成するゴム組成物の脆化温度よりも低いVリブドベルト。
  6. 請求項5に記載されたVリブドベルトにおいて、
    前記内側ゴム部を形成するゴム組成物の脆化温度と前記表面ゴム層を形成するゴム組成物の脆化温度との温度差が5.0℃以上であるVリブドベルト。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載されたVリブドベルトにおいて、
    前記表面ゴム層を形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーのエチレン含量が59質量%以上85質量%以下であるVリブドベルト。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載されたVリブドベルトにおいて、
    前記内側ゴム部を形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーのエチレン含量が45質量%以上66質量%以下であるVリブドベルト。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載されたVリブドベルトにおいて、
    前記表面ゴム層を形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーのエチレン含量の、前記内側ゴム部を形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−α−オレフィンエラストマーのエチレン含量に対する比が1.05以上1.90以下であるVリブドベルト。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載されたVリブドベルトにおいて、
    前記表面ゴム層及び前記内側ゴム部を形成するゴム組成物のゴム成分の主成分を構成するエチレン−α−オレフィンエラストマーがエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーであるVリブドベルト。
  11. 請求項10に記載されたVリブドベルトにおいて、
    前記エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーのジエン成分がエチリデンノボルネンであるVリブドベルト。
  12. 請求項11に記載されたVリブドベルトにおいて、
    前記表面ゴム層を形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーのエチリデンノボルネン含量が0.50質量%以上14質量%以下であるVリブドベルト。
  13. 請求項11又は12に記載されたVリブドベルトにおいて、
    前記内側ゴム部を形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーのエチリデンノボルネン含量が0.50質量%以上14質量%以下であるVリブドベルト。
  14. 請求項11乃至13のいずれかに記載されたVリブドベルトにおいて、
    前記表面ゴム層を形成するゴム組成物のゴム成分含まれるエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーのエチリデンノボルネン含量が、前記内側ゴム部を形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチリデンノボルネン含量よりも高いVリブドベルト。
  15. 請求項14に記載されたVリブドベルトにおいて、
    前記表面ゴム層を形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーのエチリデンノボルネン含量の、前記内側ゴム部を形成するゴム組成物のゴム成分に含まれるエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーのエチリデンノボルネン含量に対する比が1.10以上1.40以下であるVリブドベルト。
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