JP6348133B2 - 摩擦伝動ベルト及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は摩擦伝動ベルト及びその製造方法に関する。
耐摩耗性の向上を目的として、摩擦伝動ベルトにおけるプーリ接触部分を構成するゴム層を、超高分子量ポリエチレン粒子を配合したゴム組成物で形成することは公知である。例えば、特許文献1〜3には、超高分子量ポリエチレン粒子を配合したゴム組成物でVリブドベルトの圧縮ゴム層を形成することが開示されている。
特開2007−070592号公報 特開2007−170454号公報 特開2007−170587号公報
本発明の課題は、摩擦伝動ベルトの耐摩耗性を飛躍的に高めることである。
本発明は、プーリ接触部分を構成するゴム層を有する摩擦伝動ベルトであって、前記ゴム層は、架橋したゴム成分と、前記架橋したゴム成分に分散した粒子全体又は一部分を構成するポリオレフィン分子鎖間が架橋したポリオレフィン粒子とを含有するゴム組成物で形成されている。
本発明は、本発明の摩擦伝動ベルトの製造方法であって、前記ゴム層を、ゴム成分に、粒子全体又は一部分を構成するポリオレフィン分子鎖間が架橋したポリオレフィン粒子を配合した未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧して前記ゴム成分を架橋させたゴム組成物で形成する。
本発明によれば、プーリ接触部分を構成するゴム層が、架橋した部分を有するポリオレフィン粒子を含有するゴム組成物で形成されているので、飛躍的に高い耐摩耗性を得ることができる。
実施形態1に係るVリブドベルトの斜視図である。 実施形態1に係るVリブドベルトのVリブ1個分の断面図である。 ベルト成形型の縦断面図である。 ベルト成形型の一部分の縦断面拡大図である。 実施形態1に係るVリブドベルトの製造方法の第1の説明図である。 実施形態1に係るVリブドベルトの製造方法の第2の説明図である。 実施形態1に係るVリブドベルトの製造方法の第3の説明図である。 実施形態1に係るVリブドベルトの製造方法の第4の説明図である。 自動車の補機駆動ベルト伝動装置のプーリレイアウトを示す図である。 実施形態2に係るVリブドベルトの斜視図である。 実施形態2に係るVリブドベルトのVリブ1個分の断面図である。 実施形態2に係るVリブドベルトの製造方法の第1の説明図である。 実施形態2に係るVリブドベルトの製造方法の第2の説明図である。 実施形態3に係るVリブドベルトの斜視図である。 実施形態3に係るVリブドベルトのVリブ1個分の断面図である。 実施形態3に係るVリブドベルトの製造方法の第1の説明図である。 実施形態3に係るVリブドベルトの製造方法の第2の説明図である。 実施形態3に係るVリブドベルトの製造方法の第3の説明図である。 その他の実施形態に係るローエッジ型Vベルトの斜視図である。 その他の実施形態に係る平ベルトの斜視図である。 耐摩耗性評価用ベルト走行試験機のプーリレイアウトを示す図である。 ベルト走行の走行時間と摩耗率との関係を示すグラフである。 実施例のVリブドベルトのベルト走行後におけるVリブの表面の形態を示す写真である。 比較例のVリブドベルトのベルト走行後におけるVリブの表面の形態を示す写真である。
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1及び2は、実施形態1に係るVリブドベルトB(摩擦伝動ベルト)を示す。実施形態1に係るVリブドベルトBは、例えば、自動車のエンジンルーム内に設けられる補機駆動用のベルト伝動装置等に用いられるエンドレスのものである。実施形態1に係るVリブドベルトBは、例えば、ベルト長さが700〜3000mm、ベルト幅が10〜36mm、及びベルト厚さが4.0〜5.0mmである。
実施形態1に係るVリブドベルトBは、ベルト内周側のプーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11と中間の接着ゴム層12とベルト外周側の背面ゴム層13との三重層に構成されたVリブドベルト本体10を備えている。Vリブドベルト本体10の接着ゴム層12の厚さ方向の中間部には、ベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように配された心線14が埋設されている。圧縮ゴム層11の厚さは例えば1.0〜3.6mmであり、接着ゴム層12の厚さは例えば1.0〜2.5mmであり、背面ゴム層13の厚さは例えば0.4〜0.8mmである。なお、背面ゴム層13の代わりに背面補強布が設けられた構成であってもよい。
圧縮ゴム層11は、複数のVリブ15がベルト内周側に垂下するように設けられている。複数のVリブ15は、各々がベルト長さ方向に延びる断面略逆三角形の突条に形成されていると共に、ベルト幅方向に並設されている。各Vリブ15は、例えば、リブ高さが2.0〜3.0mm、基端間の幅が1.0〜3.6mmである。Vリブ数は例えば3〜6個である(図1では6個)。
圧縮ゴム層11は、ゴム成分に、架橋した部分を有するポリオレフィン粒子を含む種々の配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧してゴム成分を架橋させたゴム組成物で形成されている。従って、圧縮ゴム層11を形成するゴム組成物は、架橋したゴム成分と、そのゴム成分に分散した架橋した部分を有するポリオレフィン粒子を含む各種の配合剤とを含有する。実施形態1に係るVリブドベルトBによれば、このようにプーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11が、架橋した部分を有するポリオレフィン粒子を含有するゴム組成物で形成されているので、後述の実施例で示すように、飛躍的に高い耐摩耗性を得ることができる。なお、以下では、架橋した部分を有するポリオレフィン粒子を単に「ポリオレフィン粒子」ともいい、未架橋のポリオレフィン粒子を「未架橋ポリオレフィン粒子」という。
圧縮ゴム層11を形成するゴム組成物のゴム成分としては、例えば、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(以下「EPDM」という。)、エチレン−プロピレンコポリマー(EPM)、エチレン−ブテンコポリマー(EDM)、エチレン−オクテンコポリマー(EOM)などのエチレン−α−オレフィンエラストマー;クロロプレンゴム(CR);クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM);水素添加アクリロニトリルゴム(H−NBR)等が挙げられる。ゴム成分は、これらのうち1種又は2種以上をブレンドしたものを用いることが好ましく、エチレン−α−オレフィンエラストマーを用いることが好ましく、EPDMを用いることがより好ましい。
ポリオレフィン粒子を構成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテンなどのホモポリマー;エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。ポリオレフィン粒子は、これらのうち1種又は2種以上の粒子を用いることが好ましく、ポリエチレンのホモポリマーの粒子を用いることがより好ましい。
ポリオレフィン粒子は、粒子全体を構成するポリオレフィン分子鎖が架橋していてもよく、また、一部分を構成するポリオレフィン分子鎖が架橋し且つそれ以外の部分を構成するポリオレフィン分子鎖が未架橋であってもよい。プーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11の耐摩耗性を高める観点からは、これらのうち後者であることが好ましく、その場合、架橋した中心部分と未架橋の表層部分とを有するコア−シェル型の構造であることが好ましい。このような架橋した中心部分と未架橋の表層部分とを有するコア−シェル型の構造を有すれば、架橋した中心部分の硬さにより耐摩耗性を高めることができることに加え、未架橋の表層部分がゴム成分と相溶することによりポリオレフィン粒子の脱落の抑制を図ることができる。
ポリオレフィン粒子は、プーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11の耐摩耗性を高める観点から、平均分子量(重量平均分子量、数平均分子量)が50万以上の超高分子量ポリオレフィン粒子であることが好ましく、その平均分子量(重量平均分子量、数平均分子量)は、好ましくは100万以上、より好ましくは180万以上、更に好ましくは200万以上であり、また、耐屈曲疲労性を高める観点から、好ましくは600万以下、より好ましくは350万以下、更に好ましくは300万以下である。
ポリオレフィン粒子の平均粒子径は、プーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11の耐摩耗性を高める観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは100μm以上であり、また、耐屈曲疲労性を高める観点から、好ましくは200μm以下、より好ましくは170μm以下、更に好ましくは150μm以下である。この平均粒子径は、ポリオレフィン粒子の走査型電子顕微鏡の観察写真から拡大倍率を考慮して実測した50〜100個の粒子径(最大外径)を算術平均することにより求められる。
ポリオレフィン粒子の粒度分布は、プーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11の耐摩耗性を高める観点から、好ましくは粒子径が100〜150μmの範囲にあるものが70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。
ポリオレフィン粒子の形状は、プーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11の耐摩耗性を高める観点から球体状に近いことが好ましく、ポリオレフィン粒子の最大外径を最小外径で除したアスペクト比は、好ましくは2.00以下、より好ましくは1.50以下、更に好ましくは1.30以下である。このアスペクト比は、ポリオレフィン粒子の走査型電子顕微鏡の観察写真から拡大倍率を考慮して実測した50〜100個の最大外径を最小外径で除したものを算術平均することにより求められる。ポリオレフィン粒子は、配合前の形態が、粒子径が10〜50μmの球状粒子が房状に凝集したものである場合、それらの球状粒子が製造時の加熱により融着して一体化することにより球体状乃至楕円体状に形成されたものであることが好ましい。
ポリオレフィン粒子の135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]は、プーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11の耐摩耗性を高める観点から、好ましくは5dl/g以上であり、また、耐屈曲疲労性を高める観点から、好ましくは50dl/g以下、より好ましくは30dl/g以下である。
ポリオレフィン粒子の融点は、プーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11の耐摩耗性を高める観点から、好ましくは125℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、好ましくは145℃以下である。この融点は、示差走査熱量測定(DSC)により求められる。
圧縮ゴム層11を形成するゴム組成物におけるポリオレフィン粒子の含有量は、プーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11の耐摩耗性を高める観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは70質量部以上であり、また、耐屈曲疲労性を高める観点から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下である。
この架橋した部分を有するポリオレフィン粒子は、未架橋ポリオレフィン粒子に放射線を照射することにより調製することができる。この場合、未架橋ポリオレフィン粒子に放射線を照射すると、ポリオレフィンの分子鎖の切断と架橋とが生じ、その結果、分子鎖が架橋点で結合する。放射線の照射によれば、粒子の中心部分から外向きに順に架橋が進行する。放射線としては、例えば、α線、β線、γ線、電子線、イオン等が挙げられるが、電子線又はγ線を用いることが好ましい。放射線の照射線量は、好ましくは50kGy以上、より好ましくは100kGy以上であり、また、好ましくは700kGy以下、より好ましくは500kGy以下である。
圧縮ゴム層11を形成するゴム組成物は、架橋した部分を有するポリオレフィン粒子に加えて、更に架橋した部分を有さない未架橋ポリオレフィン粒子を含有していてもよい。この場合、圧縮ゴム層11を形成するゴム組成物におけるポリオレフィン粒子及び未架橋ポリオレフィン粒子の合計の含有量は、プーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11の耐摩耗性を高める観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは70質量部以上であり、また、耐屈曲疲労性を高める観点から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下である。
配合剤としては、カーボンブラックなどの補強材、充填材、加工助剤、加硫助剤、架橋剤、共架橋剤等が挙げられる。
補強材としては、カーボンブラックでは、例えば、チャネルブラック;SAF、ISAF、N−339、HAF、N−351、MAF、FEF、SRF、GPF、ECF、N−234などのファーネスブラック;FT、MTなどのサーマルブラック;アセチレンブラック等が挙げられる。補強材としてはシリカも挙げられる。補強材は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。補強材の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30〜60質量部である。
充填材としては、例えば、炭酸カルシウムや層状珪酸塩等が挙げられる。充填材は、これらのうちの一方又は両方を用いることが好ましい。充填材の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10〜60質量部である。
充填材の層状珪酸塩としては、スメクタイト族、バーミュライト族、カオリン族が挙げられる。スメクタイト族としては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト等が挙げられる。バーミュライト族としては、例えば、3八面体型バーミュライト、2八面体型バーミュライト等が挙げられる。カオリン族としては、例えば、カオリナイト、ディッカイト、ハロイサイト、リザーダイト、アメサイト、クリソタイル等が挙げられる。層状珪酸塩は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。圧縮ゴム層11を形成するゴム組成物における層状珪酸塩の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10〜50質量部である。
加工助剤としては、例えば、ステアリン酸、ポリエチレンワックス、脂肪酸の金属塩等が挙げられる。加工助剤は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。圧縮ゴム層11を形成するゴム組成物における加工助剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜3質量部である。
加硫助剤としては、例えば、酸化亜鉛(亜鉛華)や酸化マグネシウムなどの金属酸化物等が挙げられる。加硫助剤は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。加硫助剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば1〜10質量部である。
架橋剤としては、例えば、有機過酸化物及び硫黄が挙げられる。架橋剤は、有機化酸化物を単独で用いても、また、硫黄を単独で用いても、更に、それらの両方を併用しても、いずれでもよい。架橋剤の配合量は、有機過酸化物の場合、ゴム成分100質量部に対して例えば0.5〜8質量部であり、また、硫黄の場合、ゴム成分100質量部に対して例えば0.5〜4質量部である。
共架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、液状ポリブタジェエン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド等が挙げられる。共架橋剤は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。圧縮ゴム層11を形成するゴム組成物における共架橋剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5〜7質量部である。
圧縮ゴム層11を形成するゴム組成物は、短繊維を含有していないことが好ましい。但し、耐摩耗性向上の作用効果を損なわない範囲で、短繊維を含んでいてもよい。
接着ゴム層12は、断面横長矩形の帯状に構成されている。背面ゴム層13も、断面横長矩形の帯状に構成されている。背面ゴム層13の表面は、接触する平プーリとの間で生じる音を抑制する観点から、織布の布目が転写された形態に形成されていることが好ましい。
接着ゴム層12及び背面ゴム層13のそれぞれは、ゴム成分に種々の配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧されて架橋剤により架橋したゴム組成物で形成されている。従って、接着ゴム層12及び背面ゴム層13のそれぞれは、架橋したゴム成分と各種の配合剤とを含有する。背面ゴム層13は、平プーリとの接触で粘着が生じるのを抑制する観点から、接着ゴム層12よりもやや硬めのゴム組成物で形成されていることが好ましい。
接着ゴム層12及び背面ゴム層13を形成するゴム組成物のゴム成分としては、例えば、エチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、水素添加アクリロニトリルゴム(H−NBR)等が挙げられるが、圧縮ゴム層11と同一のゴム成分であることが好ましい。
配合剤としては、圧縮ゴム層11と同様、カーボンブラックなどの補強材、充填材、加工助剤、加硫助剤、架橋剤、共架橋剤等が挙げられる。
圧縮ゴム層11、接着ゴム層12、及び背面ゴム層13は、同じ配合のゴム組成物で形成されていても、また、別配合のゴム組成物で形成されていても、どちらでもよい。
心線14は、ポリエステル繊維(PET)、ポリエチレンナフタレート繊維(PEN)、アラミド繊維、ビニロン繊維等の撚り糸で構成されている。心線14の直径は例えば0.5〜2.5mmであり、断面における相互に隣接する心線14中心間の寸法は例えば0.05〜0.20mmである。心線14は、Vリブドベルト本体10の接着ゴム層12に対する接着性を付与するために、成形加工前にRFL水溶液に浸漬された後に加熱される接着処理及び/又はゴム糊に浸漬された後に乾燥される接着処理が施されている。
次に、実施形態1に係るVリブドベルトBの製造方法について説明する。
実施形態1に係るVリブドベルトBの製造では、図3及び4に示すように、同心状に設けられた、各々、円筒状の内型21及び外型22を備えたベルト成形型20を用いる。
このベルト成形型20では、内型21はゴム等の可撓性材料で形成されている。外型22は金属等の剛性材料で形成されている。外型22の内周面は成型面に構成されており、その外型22の内周面には、Vリブ形成溝23が軸方向に一定ピッチで設けられている。また、外型22には、水蒸気等の熱媒体や水等の冷媒体を流通させて温調する温調機構が設けられている。そして、このベルト成形型20では、内型21を内部から加圧膨張させるための加圧手段が設けられている。
実施形態1に係るVリブドベルトBの製造において、まず、ゴム成分に各配合剤を配合し、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機で混練し、得られた未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等によってシート状に成形して圧縮ゴム層11用の未架橋ゴムシート11’を作製する。圧縮ゴム層11用の未架橋ゴムシート11’にはポリオレフィン粒子を配合する。このポリオレフィン粒子は、未架橋ゴムシート11’への配合前に、未架橋ポリオレフィン粒子に放射線を照射する等して予め調製する。この配合前のポリオレフィン粒子は、粒子径が10〜50μmの球状粒子が房状に凝集した形態を有していてもよい。
同様に、接着ゴム層用及び背面ゴム層用の未架橋ゴムシート12’,13’も作製する。また、心線用の撚り糸14’をRFL水溶液に浸漬して加熱する接着処理を行った後、ゴム糊に浸漬して加熱乾燥する接着処理を行う。
次いで、図5に示すように、表面が平滑な円筒ドラム24上にゴムスリーブ25を被せ、その上に、背面ゴム層用の未架橋ゴムシート13’、及び接着ゴム層用の未架橋ゴムシート12’を順に巻き付けて積層し、その上から心線用の撚り糸14’を円筒状の内型21に対して螺旋状に巻き付け、更にその上から接着ゴム層用の未架橋ゴムシート12’、及び圧縮ゴム層用の未架橋ゴムシート11’を順に巻き付けて積層体B’を形成する。なお、このとき、未架橋ゴムシート11’,12’,13’を、列理方向がベルト長さ方向(周方向)となるように巻き付ける。
次いで、積層体B’を設けたゴムスリーブ25を円筒ドラム24から外し、図6に示すように、それを外型22の内周面側に内嵌め状態にセットする。
次いで、図7に示すように、内型21を外型22にセットされたゴムスリーブ25内に位置付けて密閉する。
続いて、外型22を加熱すると共に、内型21の密封された内部に高圧空気等を注入して加圧する。このとき、図8に示すように、内型21が膨張し、外型22の成型面に、積層体B’のベルト形成用の未架橋ゴムシート11’,12’,13’が圧縮され、また、それらのゴム成分の架橋が進行して一体化すると共に撚り糸14’と複合化し、最終的に、円筒状のベルトスラブSが成型される。ポリオレフィン粒子は、配合前の形態が、粒子径が10〜50μmの球状粒子が房状に凝集したものである場合、それらの球状粒子が加熱により融着して一体化することにより球体状乃至楕円体状に形成されることが好ましい。このベルトスラブSの成型温度は例えば100〜180℃、成型圧力は例えば0.5〜2.0MPa、成型時間は例えば10〜60分である。
そして、内型21の内部を減圧して密閉を解き、内型21と外型22との間でゴムスリーブ25を介して成型されたベルトスラブSを取り出し、ベルトスラブSを所定幅に輪切りして表裏を裏返すことによりVリブドベルトBが得られる。なお、必要に応じて、ベルトスラブSの外周側、つまり、Vリブ15側の表面を研磨してもよい。
図9は、実施形態1に係るVリブドベルトBを用いた自動車の補機駆動ベルト伝動装置30のプーリレイアウトを示す。この補機駆動ベルト伝動装置30は、VリブドベルトBが4つのリブプーリ及び2つの平プーリの6つのプーリに巻き掛けられて動力を伝達するサーペンタインドライブ方式のものである。
この補機駆動ベルト伝動装置30は、最上位置にリブプーリのパワーステアリングプーリ31が設けられ、そのパワーステアリングプーリ31の下方にリブプーリのACジェネレータプーリ32が設けられている。また、パワーステアリングプーリ31の左下方には平プーリのテンショナプーリ33が設けられており、そのテンショナプーリ33の下方には平プーリのウォーターポンププーリ34が設けられている。更に、テンショナプーリ33の左下方にはリブプーリのクランクシャフトプーリ35が設けられており、そのクランクシャフトプーリ35の右下方にリブプーリのエアコンプーリ36が設けられている。これらのプーリは、例えば、金属のプレス加工品や鋳物、ナイロン樹脂、フェノール樹脂などの樹脂成形品で構成されており、また、プーリ径がφ50〜150mmである。
この補機駆動ベルト伝動装置30では、VリブドベルトBは、Vリブ15側が接触するようにパワーステアリングプーリ31に巻き掛けられ、次いで、ベルト背面側が接触するようにテンショナプーリ33に巻き掛けられた後、Vリブ15側が接触するようにクランクシャフトプーリ35及びエアコンプーリ36に順に巻き掛けられ、更に、ベルト背面側が接触するようにウォーターポンププーリ34に巻き掛けられ、そして、Vリブ15側が接触するようにACジェネレータプーリ32に巻き掛けられ、最後にパワーステアリングプーリ31に戻るように設けられている。プーリ間で掛け渡されるVリブドベルトBの長さであるベルトスパン長は例えば50〜300mmである。プーリ間で生じ得るミスアライメントは0〜2°である。
(実施形態2)
図10及び11は、実施形態2に係るVリブドベルトBを示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は、実施形態1と同一符号を用いて示す。
実施形態2に係るVリブドベルトBでは、圧縮ゴム層11は、表面ゴム層11aと内側ゴム部11bとを有する。表面ゴム層11aは、多孔ゴムで形成され、Vリブ15の表面全体に沿うように層状に設けられ、ベルト内周側のプーリ接触部分を構成している。表面ゴム層11aの厚さは例えば50〜500μmである。内側ゴム部11bは、中実ゴムで形成され、表面ゴム層11aの内側に設けられ、圧縮ゴム層11における表面ゴム層11a以外の部分を構成している。
ここで、本出願における「多孔ゴム」とは、内部に多数の中空部を有すると共に表面に多数の凹孔16を有する架橋済みのゴム組成物を意味し、中空部及び凹孔16が分散して配された構造並びに中空部及び凹孔16が連通した構造のいずれも含まれる。また、本出願における「中実ゴム」とは、「多孔ゴム」以外の中空部及び凹孔16を含まない架橋済みのゴム組成物を意味する。
表面ゴム層11aは、実施形態1における圧縮ゴム層11と同様、架橋したゴム成分と、そのゴム成分に分散したポリオレフィン粒子を含む各種の配合剤とを含有するゴム組成物で形成されている。表面ゴム層11aは、それに加えて多孔ゴムであることから、その形成前の未架橋ゴム組成物に、多孔ゴムを構成するための未膨張の中空粒子及び/又は発泡剤が配合されている。
未膨張の中空粒子としては、例えば、熱可塑性ポリマー(例えばアクリロニトリル系ポリマー)等で形成されたシェルの内部に溶剤が封入された粒子等が挙げられる。中空粒子は、1種だけ用いても、また、2種以上を用いても、どちらでもよい。中空粒子の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5〜10質量部である。発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミドを主成分とするADCA系発泡剤、ジニトロソペンタメチレンテトラミンを主成分とするDPT系発泡剤、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドを主成分とするOBSH系発泡剤、ヒドラゾジカルボンアミドを主成分とするHDCA系発泡剤などの有機系発泡剤等が挙げられる。発泡剤は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。発泡剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5〜10質量部である。
表面ゴム層11aは多孔ゴムであるので、その表面には多数の凹孔16が形成されている。凹孔16の平均孔径は、好ましくは10〜150μmである。凹孔16の平均孔径は、表面画像で測定される50〜100個の数平均によって求められる。
内側ゴム部11bは、架橋したゴム成分と各種の配合剤とを含有するゴム組成物で形成されている。内側ゴム部11bを形成するゴム組成物は、中空部及び凹孔16を除いた表面ゴム層11aを形成するゴム組成物と同一であってもよい。
内側ゴム部11bを形成するゴム組成物は、ポリオレフィン粒子及び/又は未架橋ポリオレフィン粒子を含有していてもよく、そのゴム成分100質量部に対する含有量は、表面ゴム部11aを形成するゴム組成物におけるポリオレフィン粒子(及び未架橋ポリオレフィン粒子)のゴム成分100質量部に対する含有量よりも少ないことが好ましい。但し、耐屈曲疲労性を高める観点からは、内側ゴム部11bを形成するゴム組成物は、ポリオレフィン粒子及び未架橋ポリオレフィン粒子を実質的に含有していないことが好ましく、具体的には、ゴム成分100質量部に対するそれらの含有量が、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
また、内側ゴム部11bを形成するゴム組成物は、接着ゴム層12又は背面ゴム層13を形成するゴム組成物と同一であってもよい。
以上の構成の実施形態2に係るVリブドベルトBによれば、このようにプーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11の表面ゴム層11aが、架橋した部分を有するポリオレフィン粒子を含有するゴム組成物で形成されているので、飛躍的に高い耐摩耗性を得ることができる。
実施形態2に係るVリブドベルトBを製造するには、圧縮ゴム層11の表面ゴム層用及び内側ゴム部用の未架橋ゴムシート11a’,11b’を作製する。表面ゴム層用の未架橋ゴムシート11a’には、ポリオレフィン粒子に加えて、中空粒子及び/又は発泡剤を配合する。次いで、実施形態1と同様の方法により、図12に示すように、表面が平滑な円筒ドラム24上に被せたゴムスリーブ25上に、背面ゴム層用の未架橋ゴムシート13’、及び接着ゴム層用の未架橋ゴムシート12’を順に巻き付けて積層し、その上から心線用の撚り糸14’を円筒状の内型21に対して螺旋状に巻き付け、更にその上から接着ゴム層用の未架橋ゴムシート12’、並びに圧縮ゴム層11における内側ゴム部用の未架橋ゴムシート11b’、及び表面ゴム層用の未架橋ゴムシート11a’を順に巻き付けて積層体B’を形成する。そして、この積層体B’により図13に示すような円筒状のベルトスラブSを成型する。
その他の構成及び作用効果は実施形態1と同一である。
(実施形態3)
図14及び15は、実施形態3に係るVリブドベルトBを示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は、実施形態1と同一符号を用いて示す。
実施形態3に係るVリブドベルトBでは、圧縮ゴム層11は、表面ゴム層11aと内側ゴム部11bとを有する。表面ゴム層11aは、多孔ゴムで形成され、両側のVリブ15のそれぞれにおける外側の側面部に沿うように設けられ、また、相互に隣接する一対のVリブ15における対向する側面部及びそれらを連結するリブ底部に沿うように設けられ、ベルト内周側のプーリ接触部分を構成している。この後者の表面ゴム層11aは、断面形状が逆U字状に形成されている。従って、各表面ゴム層11aは、両側のVリブ15のそれぞれにおける外側の側面部、又は、相互に隣接する一対のVリブ15における対向する側面部を含むように設けられている。表面ゴム層11aの厚さは例えば50〜500μmである。内側ゴム部11bは、中実ゴムで形成され、表面ゴム層11aの内側に設けられ、圧縮ゴム層11における表面ゴム層11a以外の部分を構成している。
実施形態2に係るVリブドベルトBを製造するには、実施形態2と同様の方法により、図16に示すような円筒状のベルトスラブSを成型する。このベルトスラブSの外周には、周方向に延びる断面形状が略台形の突条15’が軸方向に連なるように形成されており、その表面層が多孔ゴム11a”で形成され且つそれ以外の内部が中実ゴム11b”で形成されている。そして、図17に示すように、ベルトスラブSを一対のスラブ掛け渡し軸26間に掛け渡すと共に、ベルトスラブSの外周に対し、周方向に延びるVリブ形状溝が外周の軸方向に連設された研削砥石27を回転させながら当接させ、また、ベルトスラブSも一対のスラブ掛け渡し軸26間で回転させる。このとき、図18に示すように、ベルトスラブSの外周の突条が研削されることに複数のVリブ15が形成され、これらの複数のVリブ15において、多孔ゴムの表面ゴム層11aと中実ゴムの内側ゴム部11bとが構成される。
その他の構成及び作用効果は実施形態1及び2と同一である。
(その他の実施形態)
上記実施形態1〜3では、VリブドベルトBを示したが、特にこれに限定されるものではなく、摩擦伝動ベルトであれば、例えば、図19Aに示すようなベルト内周側のプーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11を有するローエッジ型のVベルトBであってもよく、また、図19Bに示すようなベルト内周側のプーリ接触部分を構成する内側ゴム層17を有する平ベルトBであってもよい。
(Vリブドベルト)
以下の実施例及び比較例の上記実施形態2と同様の構成のVリブドベルトを作製した。なお、それぞれの構成については表1にも示す。
<実施例>
密閉式のバンバリーミキサーのチャンバーにゴム成分としてのEPDMを投入して素練りし、次いで、このゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック2質量部、シリカ40質量部、炭酸カルシウム5質量部、超高分子量ポリエチレン粒子80質量部、層状珪酸塩(ベントナイト)40質量部、中空粒子2.7質量部、ステアリン酸0.5質量部、酸化亜鉛5質量部、純度40質量%の有機過酸化物架橋剤8質量部(3.2質量部)、及び共架橋剤2質量部を投入配合して混練し、得られた未架橋ゴム組成物を用いて圧縮ゴム層の表面ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、それを実施例とした。
ここで、超高分子量ポリエチレン粒子は、三井化学社製の商品名:ハイゼックスミリオン240S(平均分子量:200万、平均粒子径:120μm)に電子線の照射による架橋処理を施したものを用いた。従って、処理後の超高分子量ポリエチレン粒子は、架橋した部分を有する超高分子量ポリエチレン粒子を含む。
なお、圧縮ゴム層の内側ゴム部、並びに接着ゴム層及び背面ゴム層を、EPDMをゴム成分とする他のゴム組成物で形成した。また、心線をポリエチレンテレフタレート繊維製の撚り糸で構成した。そして、ベルト周長を900mm、ベルト幅を10.68mm、ベルト厚さを4.3mmとし、リブ数を3個とした。
<比較例>
超高分子量ポリエチレン粒子として、架橋処理を施していない未架橋のものを用いたことを除いて比較例と同様にして得られた未架橋ゴム組成物を用いて圧縮ゴム層の表面ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、それを比較例とした。
(試験方法)
図20は、耐摩耗性評価用ベルト走行試験機40のプーリレイアウトを示す。
耐摩耗性評価用ベルト走行試験機40は、プーリ径が60mmのリブプーリである駆動プーリ41と、その上方に設けられたプーリ径が60mmのリブプーリである第1従動プーリ42と、それらの上下方向中間の右方に設けられたプーリ径が55mmのリブプーリである第2従動プーリ43とを有する。摩耗を促進させるために駆動プーリ41及び第1従動プーリ42の表面粗さ(Ra)は2±0.3μmとした。なお、第2従動プーリの表面粗さ(Ra)は0.3μmとした。
実施例及び比較例のそれぞれのVリブドベルトBについて、初期のベルト質量を測定した後、上記耐摩耗性評価用ベルト走行試験機40において、Vリブ側が駆動プーリ41、第1従動プーリ42、及び第2従動プーリ43に接触するように巻き掛け、第1従動プーリ42に2.62kWの回転負荷を与えると共に、ベルト張力が負荷されるように第2従動プーリ43に側方に157NのデッドウェイトDWを負荷し、室温下、駆動プーリ41を4900rpmの回転数で回転させてベルト走行させた。
実施例について、ベルト走行開始から19時間経過後、44時間経過後、及び67時間経過後にベルト走行を一旦停止し、耐摩耗性評価用ベルト走行試験機40からVリブドベルトBを外してベルト質量を測定し、それを初期のベルト質量から減じた摩耗質量を初期のベルト質量で除して摩耗率を求めた。また、ベルト走行時間が44時間から67時間までの間における摩耗速度を求めた。比較例について、ベルト走行開始から24時間経過後、44時間経過後、及び70時間経過後にベルト走行を一旦停止し、耐摩耗性評価用ベルト走行試験機40からVリブドベルトBを外してベルト質量を測定し、それを初期のベルト質量から減じた摩耗質量を初期のベルト質量で除して摩耗率を求めた。また、ベルト走行時間が44時間から70時間までの間における摩耗速度を求めた。
(試験結果)
図21は、実施例及び比較例のベルト走行の走行時間と摩耗率との関係を示す。また、図22A及びBは、それぞれ実施例及び比較例のベルト走行後のVリブの表面の形態を示す。
図21によれば、実施例は、比較例よりも摩耗の進展が遅いことが分かる。具体的には、表1に示す通り、実施例では、ベルト走行時間が44時間から67時間までの間における単位時間当たりの摩耗率の進展度である摩耗速度が48ppm/hであるのに対し、比較例では、概ねそれに相当するベルト走行時間が44時間から70時間までの間における摩耗速度が464ppm/hである。これは、実施例の摩耗速度が比較例の摩耗速度の9分の1以下、すなわち、実施例の耐摩耗寿命が比較例の9倍以上であり、耐摩耗性の飛躍的な向上効果を示すものである。
図22Aによれば、実施例では、摩耗した超高分子量ポリエチレン粒子において、多くのものが中心部分と表層部分とで形態が異なることが分かる。これは、これらの超高分子量ポリエチレン粒子では、電子線の照射により中心部分が架橋している一方、表層部分が未架橋であるためであると考えられる。なお、中心部分と表面部分とで形態に相違がなく一様なものも見られるが、これらは、電子線が照射されずに架橋しなかったものが混在したものと推定される。これに対し、図22Bによれば、比較例では、摩耗した超高分子量ポリエチレン粒子において、中心部分と表面部分とで形態に相違はなく一様であることが分かる。これは、比較例で用いた超高分子量ポリエチレン粒子では、電子線が照射されずに全体が未架橋であるためであると考えられる。
実施例及び比較例のいずれで用いた超高分子量ポリエチレン粒子も、配合前の形態が、球状粒子が房状に凝集したものであったが、図22A及びBによれば、それらの球状粒子が融着して一体化することにより球体状乃至楕円体状に形成されることが分かる。
本発明は、摩擦伝動ベルト及びその製造方法の技術分野において有用である。
B Vリブドベルト,Vベルト,平ベルト(摩擦伝動ベルト)
11 圧縮ゴム層
11a 表面ゴム層
17 内側ゴム層

Claims (8)

  1. プーリ接触部分を構成するゴム層を有する摩擦伝動ベルトであって、
    前記ゴム層は、架橋したゴム成分と、前記架橋したゴム成分に分散した粒子全体又は一部分を構成するポリオレフィン分子鎖間が架橋したポリオレフィン粒子と、を含有するゴム組成物で形成されている摩擦伝動ベルト。
  2. 請求項1に記載された摩擦伝動ベルトにおいて、
    前記ポリオレフィン粒子は、平均分子量が50万以上の超高分子量ポリオレフィン粒子である摩擦伝動ベルト。
  3. 請求項1又は2に記載された摩擦伝動ベルトにおいて、
    前記ポリオレフィン粒子がポリエチレン粒子である摩擦伝動ベルト。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載された摩擦伝動ベルトにおいて、
    前記ゴム組成物における前記ポリオレフィン粒子の含有量が前記ゴム成分100質量部に対して20〜100質量部である摩擦伝動ベルト。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載された摩擦伝動ベルトにおいて、
    前記ゴム組成物が更に未架橋ポリオレフィン粒子を含有する摩擦伝動ベルト。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載された摩擦伝動ベルトの製造方法であって、
    前記ゴム層を、ゴム成分に、粒子全体又は一部分を構成するポリオレフィン分子鎖間が架橋したポリオレフィン粒子を配合した未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧して前記ゴム成分を架橋させたゴム組成物で形成する摩擦伝動ベルトの製造方法。
  7. 請求項6に記載された摩擦伝動ベルトの製造方法において、
    前記粒子全体又は一部分を構成するポリオレフィン分子鎖間が架橋したポリオレフィン粒子を、ポリオレフィン分子鎖が未架橋のポリオレフィン粒子に放射線を照射して調製する摩擦伝動ベルトの製造方法。
  8. 請求項6又は7に記載された摩擦伝動ベルトの製造方法において、
    前記粒子全体又は一部分を構成するポリオレフィン分子鎖間が架橋したポリオレフィン粒子は、配合前の形態が、球状粒子が房状に凝集したものであり、前記球状粒子が前記加熱により融着して一体化することにより球体状乃至楕円体状に形成される摩擦伝動ベルトの製造方法。
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