JP2019007596A - 摩擦伝動ベルト及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐摩耗性の優れる摩擦伝動ベルトを提供する。【解決手段】摩擦伝動ベルトBは、ゴム組成物で形成されたプーリ接触部分11の表面にポリオレフィン短繊維16が露出している。ポリオレフィン短繊維16は、ポリオレフィンの分子同士が架橋されて構成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、摩擦伝動ベルト及びその製造方法に関する。
摩擦伝動ベルトのプーリ接触部分に短繊維を露出させて摩擦係数を調整する技術が知られている。例えば、特許文献1及び2には、Vリブドベルトの圧縮ゴム層の表面にポリエチレン短繊維を露出させることが開示されている。
特開2012−255560号公報 特開2010−053909号公報
本発明の課題は、耐摩耗性の優れる摩擦伝動ベルトを提供することである。
本発明は、ゴム組成物で形成されたプーリ接触部分の表面にポリオレフィン短繊維が露出した摩擦伝動ベルトであって、前記ポリオレフィン短繊維は、ポリオレフィンの分子同士が架橋されて構成されている。
本発明は、本発明の摩擦伝動ベルトの製造方法において、前記ポリオレフィンの分子同士が架橋されて構成されたポリオレフィン粒子を、未架橋のポリオレフィン粒子に放射線を照射して調製するものである。
本発明によれば、ゴム組成物で形成されたプーリ接触部分の表面に露出したポリオレフィン短繊維が、ポリオレフィンの分子同士が架橋されて構成されていることにより、優れた耐摩耗性を得ることができる。
実施形態1に係るVリブドベルトの一片の斜視図である。 補機駆動ベルト伝動装置のプーリレイアウトを示す図である。 実施形態1に係るVリブドベルトの製造方法を示す第1の説明図である。 実施形態1に係るVリブドベルトの製造方法を示す第2の説明図である。 実施形態1に係るVリブドベルトの製造方法を示す第3の説明図である。 実施形態1に係るVリブドベルトの製造方法を示す第4の説明図である。 実施形態1に係るVリブドベルトの製造方法を示す第5の説明図である。 実施形態2に係るVリブドベルトの一片の斜視図である。 実施形態2に係るVリブドベルトの製造に用いるベルト成形型の縦断面図である。 実施形態2に係るVリブドベルトの製造に用いるベルト成形型の一部分の拡大縦断面図である。 実施形態2に係るVリブドベルトの製造方法を示す第1の説明図である。 実施形態2に係るVリブドベルトの製造方法を示す第2の説明図である。 実施形態2に係るVリブドベルトの製造方法を示す第3の説明図である。 実施形態2に係るVリブドベルトの製造方法を示す第4の説明図である。 ベルト走行試験機のプーリレイアウトを示す図である。 ベルト走行時間と摩耗率との関係を示すグラフである。
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るVリブドベルトB(摩擦伝動ベルト)を示す。実施形態1に係るVリブドベルトBは、例えば、自動車のエンジンルーム内に設けられる補機駆動ベルト伝動装置等に用いられるものである。実施形態1に係るVリブドベルトBは、例えば、ベルト周長が700mm以上3000mm以下、ベルト幅が10mm以上36mm以下、及びベルト厚さが4.0mm以上5.0mm以下である。
実施形態1に係るVリブドベルトBは、内周側の圧縮ゴム層11と中間の接着ゴム層12と外周側の伸張ゴム層13との三重層に構成されたベルト本体10を備えている。接着ゴム層12には、ベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように配された心線14が埋設されている。
圧縮ゴム層11は、プーリ接触部分を構成しており、複数のVリブ15が内周側に垂下するように設けられている。複数のVリブ15は、各々がベルト長さ方向に延びる断面略逆三角形状の突条で構成されているとともに、ベルト幅方向に並設されている。各Vリブ15は、例えば、リブ高さが2.0mm以上3.0mm以下、及び基端間の幅が1.0mm以上3.6mm以下である。Vリブ15の個数は、例えば3個以上6個以下である(図1では6個)。
圧縮ゴム層11は、ゴム成分に、ポリオレフィンの分子同士が架橋されて構成されたポリオレフィン短繊維16(以下「架橋ポリオレフィン短繊維」という。)及び架橋剤を含む種々の配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧されることによりゴム成分が架橋剤により架橋されたゴム組成物で形成されている。
ゴム成分としては、例えば、エチレン・プロピレン・ジエンターポリマー(以下「EPDM」という。)、エチレン−プロピレンコポリマー(EPM)、エチレン−ブテンコポリマー(EDM)、エチレン−オクテンコポリマー(EOM)などのエチレン−α−オレフィンエラストマー;クロロプレンゴム(CR);クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM);水素添加アクリロニトリルゴム(H−NBR)等が挙げられる。ゴム成分は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましく、エチレン−α−オレフィンエラストマーを用いることがより好ましく、EPDMを用いることが更に好ましい。
架橋ポリオレフィン短繊維16は、ポリオレフィンの分子同士が架橋されていない未架橋ポリオレフィン短繊維に放射線を照射することにより調製することができる。この場合、未架橋ポリオレフィン短繊維に放射線を照射すると、ポリオレフィンの分子の切断と架橋とが生じ、その結果、ポリオレフィンの分子同士が架橋点で結合する。放射線としては、例えば、α線、β線、γ線、電子線、イオン等が挙げられるが、電子線又はγ線を用いることが好ましい。放射線の照射線量は、好ましくは50kGy以上700kGy以下、より好ましくは100kGy以上500kGy以下である。また、放射線の照射線量が高いと繊維内部に中空部が形成されるが、放射線の照射線量は、架橋ポリオレフィン短繊維16が中空部を有することとなる程度に高いことが好ましい。
架橋ポリオレフィン短繊維16を構成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテンなどのホモポリマー;エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。ポリオレフィンは、これらのうちの1種又は2種以上であることが好ましく、ポリエチレンであることがより好ましい。
架橋ポリオレフィン短繊維16は、プーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11の耐摩耗性を高める観点から、平均分子量(重量平均分子量、数平均分子量)が50万以上の超高分子量ポリオレフィン短繊維が架橋したものであることが好ましい。超高分子量ポリオレフィン短繊維の平均分子量(重量平均分子量、数平均分子量)は、好ましくは100万以上600万以下、より好ましくは180万以上350万以下、更に好ましくは200万以上300万以下である。
架橋ポリオレフィン短繊維16の極限粘度[η]は、プーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11の耐摩耗性を高める観点から、好ましくは5dl/g以上50dl/g以下、より好ましくは5dl/g以上30dl/g以下である。架橋ポリオレフィン短繊維16の極限粘度[η]は、135℃のデカリン中において測定されるものである。
架橋ポリオレフィン短繊維16の融点は、プーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11の耐摩耗性を高める観点から、好ましくは125℃以上145℃以下、より好ましくは130℃以上145℃以下である。この融点は、示差走査熱量測定(DSC)により求められる。
架橋ポリオレフィン短繊維16のフィラメントの繊度は、プーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11の耐摩耗性を高める観点から、好ましくは0.3dtex以上10dtex以下、より好ましくは0.5dtex以上6dtex以下である。架橋ポリオレフィン短繊維16の繊維長は、プーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11の耐摩耗性を高める観点から、好ましくは0.5mm以上5mm以下、より好ましくは1mm以上3mm以下である。
圧縮ゴム層11を形成するゴム組成物における架橋ポリオレフィン短繊維16の含有量は、プーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11の耐摩耗性を高める観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上50質量部以下、より好ましくは15質量部以上30質量部以下である。
架橋ポリオレフィン短繊維16は、耐屈曲疲労性を高める観点から、ベルト幅方向に配向するように配設されていることが好ましい。架橋ポリオレフィン短繊維16は、プーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11の耐摩耗性を高める観点から、圧縮ゴム層11のVリブ15の表面から突出するように配設されていることが好ましい。架橋ポリオレフィン短繊維16の突出長さは、好ましくは10μm以上100μm以下、より好ましくは20μm以上50μm以下である。この架橋ポリオレフィン短繊維16の突出長さは、走査型電気顕微鏡(SEM)等による観察により測定される50個以上100個以下の算術平均として求められる。
架橋ポリオレフィン短繊維16には、ベルト本体10に対する接着性を付与するため、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス水溶液(以下「RFL水溶液」という。)に浸漬した後に加熱するRFL接着処理、及び/又は、ゴム糊に浸漬した後に乾燥させるゴム糊接着処理が施されていてもよい。
架橋剤としては、硫黄及び有機過酸化物が挙げられる。架橋剤には、硫黄を単独で用いてもよく、また、有機過酸化物を単独で用いてもよく、さらに、それらの両方を併用してもよい。架橋剤の配合量は、硫黄の場合、ゴム成分100質量部に対して例えば0.5質量部以上4.0質量部以下であり、有機過酸化物の場合、ゴム成分100質量部に対して例えば0.5質量部以上8質量部以下である。
圧縮ゴム層11を形成するゴム組成物は、配合剤として加硫促進剤を含有していてもよい。加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、ジチオカーバメート系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤等が挙げられる。加硫促進剤は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましい。圧縮ゴム層11を形成するゴム組成物における加硫促進剤の含有量は、例えば、ゴム成分100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下である。
圧縮ゴム層11を形成するゴム組成物は、配合剤として摩擦係数低減材を含有していてもよい。摩擦係数低減材としては、例えば、ポリオレフィン粒子、フッ素樹脂粒子、モリブデン等が挙げられる。摩擦係数低減材は、これらのうちの1種又は2種以上を用いることが好ましく、ポリオレフィン粒子を用いることがより好ましく、平均分子量(重量平均分子量、数平均分子量)が50万以上の超高分子量ポリオレフィン粒子を用いることが更に好ましい。ポリオレフィン粒子は、ポリオレフィンの分子同士が架橋されて構成された架橋ポリオレフィン粒子であってもよい。圧縮ゴム層11を形成するゴム組成物における摩擦係数低減材の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上50質量部以下、より好ましくは15質量部以上30質量部以下である。
圧縮ゴム層11を形成するゴム組成物は、その他の配合剤として、例えば、カーボンブラックなどの補強材、充填剤、老化防止剤、軟化剤、加硫促進助剤等を含有していてもよい。圧縮ゴム層11を形成するゴム組成物は、架橋ポリオレフィン短繊維16以外の合成繊維や天然繊維の短繊維を含有していてもよく、未架橋ポリオレフィン短繊維を含有していてもよい。
接着ゴム層12は、断面横長矩形の帯状に構成されており、その厚さが例えば1.0mm以上2.5mm以下である。伸張ゴム層13も、断面横長矩形の帯状に構成されており、その厚さが例えば0.4mm以上0.8mm以下である。伸張ゴム層13の表面には、背面駆動時の音発生を抑制する観点から、織布パターンが設けられていることが好ましい。接着ゴム層12及び伸張ゴム層13は、ゴム成分に架橋剤を含む種々の配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧されることによりゴム成分が架橋剤により架橋されたゴム組成物で形成されている。
接着ゴム層12及び伸張ゴム層13のゴム成分としては、圧縮ゴム層11と同様のものが挙げられる。接着ゴム層12及び伸張ゴム層13のゴム成分は、圧縮ゴム層11のゴム成分と同一であってもよい。配合剤としては、圧縮ゴム層11と同様のものが挙げられる。
心線14は、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリアミド繊維等の撚り糸で構成されている。心線14の直径は例えば0.5mm以上2.5mm以下であり、断面における相互に隣接する心線14中心間の寸法は例えば0.05mm以上0.20mm以下である。心線14には、ベルト本体10に対する接着性を付与するため、RFL水溶液に浸漬した後に加熱するRFL接着処理、及び/又は、ゴム糊に浸漬した後に乾燥させるゴム糊接着処理が施されている。
以上の構成の実施形態1に係るVリブドベルトBによれば、ゴム組成物で形成されたプーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11のVリブ15の表面に露出した架橋ポリオレフィン短繊維16が、ポリオレフィンの分子同士が架橋されて構成されていることにより、後述の実施例で示す通り、優れた耐摩耗性を得ることができる。
図2は、実施形態1に係るVリブドベルトBを用いた自動車の補機駆動ベルト伝動装置20のプーリレイアウトを示す。この補機駆動ベルト伝動装置20は、VリブドベルトBが4つのリブプーリ及び2つの平プーリの6つのプーリに巻き掛けられて動力を伝達するサーペンタインドライブ方式のものである。
この補機駆動ベルト伝動装置20では、最上位置にリブプーリのパワーステアリングプーリ21が設けられ、そのパワーステアリングプーリ21の下方にリブプーリのACジェネレータプーリ22が設けられている。また、パワーステアリングプーリ21の左下方には平プーリのテンショナプーリ23が設けられており、そのテンショナプーリ23の下方には平プーリのウォーターポンププーリ24が設けられている。さらに、テンショナプーリ23の左下方にはリブプーリのクランクシャフトプーリ25が設けられており、そのクランクシャフトプーリ25の右下方にリブプーリのエアコンプーリ26が設けられている。これらのプーリは、例えば、金属のプレス加工品や鋳物、或いは、ナイロン樹脂、フェノール樹脂等の樹脂成形品で構成されており、プーリ径が例えば50mm以上150mm以下である。
この補機駆動ベルト伝動装置20において、VリブドベルトBは、圧縮ゴム層11側のVリブ15が接触するようにパワーステアリングプーリ21に巻き掛けられ、次いで、伸張ゴム層13側のベルト背面が接触するようにテンショナプーリ23に巻き掛けられた後、Vリブ15が接触するようにクランクシャフトプーリ25及びエアコンプーリ26に順に巻き掛けられ、さらに、ベルト背面が接触するようにウォーターポンププーリ24に巻き掛けられ、そして、Vリブ15が接触するようにACジェネレータプーリ22に巻き掛けられ、最後にパワーステアリングプーリ21に戻るように設けられている。プーリ間で掛け渡されるVリブドベルトBの長さであるベルトスパン長は例えば50mm以上300mm以下である。プーリ間で生じ得るミスアライメントは0°以上2°以下である。
次に、実施形態1に係るVリブドベルトBの製造方法について説明する。
まず、未架橋ポリオレフィン短繊維に放射線を照射等して架橋ポリオレフィン短繊維16を予め調製し、それにRFL接着処理及び/又はゴム糊接着処理を施す。
次いで、ゴム成分に、接着処理を施した架橋ポリオレフィン短繊維16及び架橋剤を含む各配合物を配合し、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機で混練し、得られた未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等によってシート状に成形して圧縮ゴム層11用の未架橋ゴムシート11’を作製する。この圧縮ゴム層11用の未架橋ゴムシート11’は、その長さ方向に架橋ポリオレフィン短繊維16が配向したものとなる。同様に、接着ゴム層12用及び伸張ゴム層13用の未架橋ゴムシート12’,13’も作製する。また、心線14となる撚り糸14’にRFL接着処理及び/又はゴム糊接着処理を施す。
次いで、図3Aに示すように、円筒型31の外周面に、伸張ゴム層13用の未架橋ゴムシート13’、及び接着ゴム層12用の未架橋ゴムシート12’を順に巻き付けて積層し、その上から心線14用の撚り糸14’を円筒型31に対して螺旋状に巻き付け、更にその上から接着ゴム層12用の未架橋ゴムシート12’及び圧縮ゴム層11用の未架橋ゴムシート11’を順に巻き付けて積層することにより未架橋スラブS’を成形する。なお、圧縮ゴム層11の架橋ポリオレフィン短繊維16がベルト幅方向に配向した構成とする場合、圧縮ゴム層11用の未架橋ゴムシート11’を、架橋ポリオレフィン短繊維16の配向方向、つまり、列理方向が円筒型31の軸方向に一致するように配置すればよい。
次いで、図3Bに示すように、未架橋スラブS’にゴムスリーブ32を被せ、それを加硫缶内に配置して密閉すると共に、加硫缶内に高温及び高圧の蒸気を充填し、その状態を所定時間だけ保持する。このとき、未架橋ゴムシート11’,12’,13’が流動するとともに、それらのゴム成分の架橋が進行して一体化し、かつそれらと撚り糸14’と複合化し、図3Cに示すように、最終的に、円筒状のベルトスラブSが成型される。ベルトスラブSの成型温度は例えば100℃以上180℃以下、成型圧力は例えば0.5MPa以上2.0MPa以下、成型時間は例えば10分以上60分以下である。
続いて、加硫缶内から蒸気を排出して密閉を解き、円筒型31上に成型されたベルトスラブSを取り出した後、図3Dに示すように、ベルトスラブSを一対のスラブ懸架軸33間に掛け渡すと共に、ベルトスラブSの外周面に対し、周方向に延びるVリブ形状溝が外周面の軸方向に連設された研削砥石34を回転させながら当接させ、また、ベルトスラブSも一対のスラブ懸架軸33間で回転させることにより、その外周面を全周に渡って研削する。このとき、図3Eに示すように、ベルトスラブSの外周面にはVリブ15が形成され、また、そのVリブ15の表面から架橋ポリオレフィン短繊維16が突出した形態が得られる。なお、ベルトスラブSは、必要に応じて長さ方向に分割して研削を行ってもよい。
そして、研削によりVリブ15を形成したベルトスラブSを所定幅に幅切りして表裏を裏返すことにより実施形態1に係るVリブドベルトBが得られる。
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係るVリブドベルトB(摩擦伝動ベルト)を示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は実施形態1と同一符号を用いて示す。
実施形態2に係るVリブドベルトBでは、圧縮ゴム層11を形成するゴム組成物が架橋ポリオレフィン短繊維を含有しておらず、プーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11のVリブ15の表面に架橋ポリオレフィン短繊維16が付着して露出するとともに、架橋ポリオレフィン短繊維16が表面から突出するように配設されている。
架橋ポリオレフィン短繊維16の付着量は、プーリ接触部分を構成する圧縮ゴム層11のVリブ15の表面における占有面積率に換算すると、好ましくは40%以上95%以下、より好ましくは60%以上90%以下である。この占有面積率は、Vリブ15の表面の画像解析により求められる。
次に、実施形態2に係るVリブドベルトBの製造方法について説明する。
図5A及びBは、実施形態2に係るVリブドベルトBを製造する際に用いるベルト成形型40を示す。このベルト成形型40は、同心状に設けられた、各々、円筒状の内型41及び外型42を備えている。内型41はゴム等の可撓性材料で形成されている。外型42は金属等の剛性材料で形成されている。外型42の内周面は成型面に構成されており、その外型42の内周面には、Vリブ15と同一形状のVリブ形成溝43が軸方向に一定ピッチで設けられている。外型42には、水蒸気等の熱媒体や水等の冷媒体を流通させて温調する温調機構が設けられている。また、内型41を内部から加圧膨張させるための加圧手段が設けられている。
まず、未架橋ポリオレフィン短繊維に放射線を照射等して架橋ポリオレフィン短繊維16を調製する。架橋ポリオレフィン短繊維にはRFL接着処理及び/又はゴム糊接着処理を施してもよい。
次いで、ゴム成分に架橋剤を含む各配合物を配合し、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機で混練し、得られた未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等によってシート状に成形して圧縮ゴム層11用の未架橋ゴムシート11’を作製する。同様に、接着ゴム層12用及び伸張ゴム層13用の未架橋ゴムシート12’,13’も作製する。また、心線14となる撚り糸14’にRFL接着処理及び/又はゴム糊接着処理を施す。
次いで、図6Aに示すように、表面が平滑な円筒ドラム44上にゴムスリーブ45を被せ、その上に、伸張ゴム層13用の未架橋ゴムシート13’、及び接着ゴム層12用の未架橋ゴムシート12’を順に巻き付けて積層し、その上から心線14用の撚り糸14’を円筒型31に対して螺旋状に巻き付け、更にその上から接着ゴム層12用の未架橋ゴムシート12’及び圧縮ゴム層11用の未架橋ゴムシート11’を順に巻き付けて積層することにより積層体を得る。
次いで、図6Bに示すように、積層体における最外層の圧縮ゴム層11用の未架橋ゴムシート11’の表面に架橋ポリオレフィン短繊維16を吹き付けて表面に短繊維層Fを形成することにより未架橋スラブS’を成形する。架橋ポリオレフィン短繊維16の付着性を高める観点から、吹き付ける架橋ポリオレフィン短繊維16を例えば10〜100kVの電圧をかけて帯電させることが好ましい。架橋ポリオレフィン短繊維16の吹き付けは一般の粉体塗装装置を用いて行うことができる。なお、積層体に対して架橋ポリオレフィン短繊維16の吹き付けを行わずに、代わりに外型42の内周面に架橋ポリオレフィン短繊維16の吹き付けを行ってもよい。
次いで、図6Cに示すように、未架橋スラブS’を設けたゴムスリーブ45を円筒ドラム44から外し、それを外型42の中に位置付け、また、内型41を外型42にセットされたゴムスリーブ45内に位置付けて密閉する。
続いて、外型42を、所定温度に加熱すると共に、内型41の密封された内部に高圧空気等を注入して加圧し、その状態を所定時間だけ保持する。このとき、内型41が膨張し、外型42の成型面に未架橋スラブS’が圧接され、そして、未架橋ゴムシート11’,12’,13’が流動するとともに、それらのゴム成分の架橋が進行して一体化し、かつそれらと撚り糸14’と複合化し、図6Dに示すように、最終的に、表面に架橋ポリオレフィン短繊維16が複合化して付着したVリブ15が外周側に形成された円筒状のベルトスラブSが成型される。
そして、内型41の内部を減圧して密閉を解き、内型41と外型42との間で成型されたベルトスラブSを取り出し、それを所定幅に幅切りして表裏を裏返すことにより、VリブドベルトBが得られる。
その他の構成及び作用効果は実施形態1と同一である。
(その他の実施形態)
上記実施形態1及び2では、VリブドベルトBを示したが、特にこれに限定されるものではなく、Vベルトや平ベルト等の他の摩擦伝動ベルトであってもよい。
(Vリブドベルト)
以下の実施例及び比較例のVリブドベルトを作製した。
<実施例>
上記実施形態1と同様の構成のベルト周長が1000mmでVリブ数が3個のVリブドベルトを作製し、それを実施例1とした。
実施例1のVリブドベルトの作製に際し、まず、未架橋ポリエチレン短繊維(イザナスSK60 東洋紡社製 繊度:1.1dtex、繊維長:1mm 重量平均分子量:200万以上)に電子線を200kGy照射してポリエチレン分子同士を架橋させた架橋ポリエチレン短繊維を予め調製した。調製した架橋ポリオレフィン短繊維は中空部を有していた。そして、圧縮ゴム層は、ゴム成分のEPDM(EP123 JSR社製)に、ゴム成分100質量部に対して、その架橋ポリエチレン短繊維17.3質量部、架橋剤の硫黄(セイミOT 日本乾溜工業社製)0.8質量部、スルフェンアミド系加硫促進剤(ノクセラーMSA−G 大内新興化学社製)0.6質量部、チウラム系加硫促進剤、ジチオカーバメート系加硫促進剤、及びチアゾール系加硫促進剤の混合物(サンセラーEM−2 三新化学工業社製)1.4質量部、並びに摩擦係数低減材のポリオレフィン粒子(ハイゼックスミリオン 三井化学社製)5.0質量部を配合した未架橋ゴム組成物を架橋させたゴム組成物で形成した。また、接着ゴム層及び伸張ゴム層は、ゴム成分をEPDMとするゴム組成物で形成し、心線にはポリエステル繊維の撚り糸を用いた。
<比較例>
架橋ポリエチレン短繊維の代わりに、電子線を照射せずにポリエチレン分子を架橋させていない未架橋ポリエチレン短繊維を用いたことを除いて実施例と同一構成のVリブドベルトを比較例とした。
(試験方法)
図7は、ベルト走行試験機50のプーリレイアウトを示す。
このベルト走行試験機50は、向かって右側にプーリ径が60mmのリブプーリの駆動プーリ51が設けられているとともに、向かって左側にプーリ径が60mmのリブプーリの第1従動プーリ52が設けられており、且つそれらの駆動プーリ51及び第1従動プーリ52の中間部上方にプーリ径が55mmのリブプーリの第2従動プーリ53が設けられている。第1従動プーリ52には5.0N・mの回転負荷トルクが与えられている。第2従動プーリ53は、上下に可動に設けられており、軸荷重を負荷できるように構成されている。
実施例及び比較例のそれぞれのVリブドベルトBについて、Vリブが接触するように、駆動プーリ51並びに第1及び第2従動プーリ52,53に巻き掛けるとともに、第2従動プーリ53に上方に160Nの軸荷重(デッドウエイトDW)をかけてベルト張力を与え、第2従動プーリ53への巻き掛け角度が90°となるようにし、室温下、駆動プーリ51を4900rpmの回転数で回転させてベルト走行させた。そして、経時的に間隔をおいてベルト走行を中断し、そのときの質量を測定するとともに、ベルト走行前の質量からの質量変化を摩耗減量とし、それをベルト走行前の質量に対する摩耗率に換算した。
(試験結果)
図8は、実施例及び比較例のそれぞれのベルト走行時間と摩耗率との関係を示す。
この図8によれば、プーリ接触部分の表面に架橋ポリオレフィン短繊維を露出させた実施例は、プーリ接触部分の表面に未架橋ポリオレフィン短繊維を露出させた比較例に比べて、ベルト走行に伴う摩耗が少ない、従って、耐摩耗性がより優れることが分かる。
本発明は、摩擦伝動ベルト及びその製造方法の技術分野について有用である。
B Vリブドベルト(摩擦伝動ベルト)
11 圧縮ゴム層(プーリ接触部分)
16 架橋ポリオレフィン短繊維

Claims (5)

  1. ゴム組成物で形成されたプーリ接触部分の表面にポリオレフィン短繊維が露出した摩擦伝動ベルトであって、
    前記ポリオレフィン短繊維は、ポリオレフィンの分子同士が架橋されて構成されている摩擦伝動ベルト。
  2. 請求項1に記載された摩擦伝動ベルトにおいて、
    前記プーリ接触部分を形成するゴム組成物が前記ポリオレフィン短繊維を含有する摩擦伝動ベルト。
  3. 請求項1又は2に記載された摩擦伝動ベルトにおいて、
    前記ポリオレフィン短繊維の極限粘度が5dl/g以上50dl/g以下である摩擦伝動ベルト。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載された摩擦伝動ベルトにおいて、
    前記ポリオレフィン短繊維が中空部を有する摩擦伝動ベルト。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載された摩擦伝動ベルトの製造方法において、
    前記ポリオレフィンの分子同士が架橋されて構成されたポリオレフィン粒子を、未架橋のポリオレフィン粒子に放射線を照射して調製する摩擦伝動ベルトの製造方法。
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