JP2016211587A - 伝動ベルト及びその製造方法 - Google Patents

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奥野 茂樹
Shigeki Okuno
茂樹 奥野
博之 橘
Hiroyuki Tachibana
博之 橘
正吾 小林
Shogo Kobayashi
正吾 小林
大樹 土屋
Daiki Tsuchiya
大樹 土屋
鉄平 中山
Teppei Nakayama
鉄平 中山
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Abstract

【課題】ベルト本体の少なくとも一部が多孔のゴム組成物で形成された伝動ベルトの耐久性を高める。【解決手段】伝動ベルトBは、ベルト本体10の少なくとも一部11aが多孔のゴム組成物で形成されており、その多孔のゴム組成物がセルロース系微細繊維を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、伝動ベルト及びその製造方法に関する。
Vリブドベルトの圧縮ゴム層を多孔のゴム組成物で形成することにより、プーリ接触部分であるVリブの表面に多数の凹孔を設ける技術が知られている。
例えば、特許文献1〜4には、VリブドベルトのVリブの少なくとも表面部を、中空粒子を配合した多孔のゴム組成物で形成することが開示されている。
WO2012/053176 WO2011/074182 WO2009/101799 WO2008/007647
ベルト本体が多孔のゴム組成物で形成された伝動ベルトでは、材料使用量が低減されることから軽量化され、その結果、省エネルギー及び省資源が図られることとなる。一方、クラックが発生しやすくなることから耐久性が劣るという問題がある。
本発明の課題は、ベルト本体の少なくとも一部が多孔のゴム組成物で形成された伝動ベルトの耐久性を高めることである。
本発明は、ベルト本体の少なくとも一部が多孔のゴム組成物で形成された伝動ベルトであって、前記多孔のゴム組成物がセルロース系微細繊維を含む。
本発明は、ベルト本体の少なくとも一部がセルロース系微細繊維を含む多孔のゴム組成物で形成された伝動ベルトの製造方法であって、前記多孔のゴム組成物を、発泡剤又は超臨界流体若しくは亜臨界流体を用いて形成する伝動ベルトの製造方法。
本発明によれば、ベルト本体の少なくとも一部を形成する多孔のゴム組成物がセルロース系微細繊維を含むことにより、高い耐久性を得ることができる。
実施形態1に係るVリブドベルトの斜視図である。 実施形態1に係るVリブドベルトの要部の断面図である。 実施形態1に係るVリブドベルトを用いた自動車の補機駆動ベルト伝動装置のプーリレイアウトを示す図である。 実施形態1に係るVリブドベルトの製造方法を示す第1の説明図である。 実施形態1に係るVリブドベルトの製造方法を示す第2の説明図である。 実施形態1に係るVリブドベルトの製造方法を示す第3の説明図である。 実施形態1に係るVリブドベルトの製造方法を示す第4の説明図である。 実施形態1に係るVリブドベルトの製造方法を示す第5の説明図である。 実施形態1に係るVリブドベルトの製造方法を示す第6の説明図である。 実施形態3に係るVリブドベルトの要部の断面図である。 変形例のVリブドベルトの斜視図である。 平ベルトの断面図である。 耐久性評価用ベルト試験走行機のプーリレイアウトを示す図である。 耐久性評価用ベルト試験走行機のプーリレイアウトを示す図である。 摩擦係数測定装置を示す図である。 被水時異音評価用ベルト走行試験機のプーリレイアウトを示す図である。
以下、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[実施形態1]
(VリブドベルトB)
図1及び2は、実施形態1に係るVリブドベルトB(伝動ベルト)を示す。実施形態1に係るVリブドベルトBは、例えば、自動車のエンジンルーム内に設けられる補機駆動ベルト伝動装置等に用いられるエンドレスの動力伝達部材である。実施形態1に係るVリブドベルトBは、例えば、ベルト長さが700〜3000mm、ベルト幅が10〜36mm、及びベルト厚さが4.0〜5.0mmである。
実施形態1に係るVリブドベルトBは、ベルト内周側の圧縮ゴム層11と中間の接着ゴム層12とベルト外周側の背面ゴム層13との三層構造に構成されたゴム製のVリブドベルト本体10を備えている。Vリブドベルト本体10における接着ゴム層12の厚さ方向の中間部には、ベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように心線14が埋設されている。なお、背面ゴム層13の代わりに背面補強布が設けられ、Vリブドベルト本体10が圧縮ゴム層11及び接着ゴム層12の二重層に構成されていてもよい。
圧縮ゴム層11は、複数のVリブ15がベルト内周側に垂下するように設けられている。複数のVリブ15は、各々がベルト長さ方向に延びる断面略逆三角形の突条に形成されていると共に、ベルト幅方向に並列するように設けられている。各Vリブ15は、例えば、リブ高さが2.0〜3.0mm、基端間の幅が1.0〜3.6mmである。Vリブ15の数は例えば3〜6個である(図1では6個)。
圧縮ゴム層11は、プーリ接触表面全体に沿うように層状に設けられたプーリ接触部分を構成する表面ゴム層11aと、その表面ゴム層11aよりもベルト内部側に設けられた内部ゴム層11bとを有する。表面ゴム層11aの厚さは例えば50〜500μmである。
表面ゴム層11aは、ゴム成分に発泡剤及びセルロース系微細繊維に加えて各種のゴム配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧されて架橋剤により架橋したゴム組成物で形成されている。また、表面ゴム層11aを形成するゴム組成物は、発泡剤の発泡により内部に多数の中空部16aが形成されていると共に、表面に露出した多数の凹孔17aが形成された多孔のゴム組成物である。ここで、本願における「微細繊維」とは、繊維径が1.0μm以下の繊維を意味する。
表面ゴム層11aを形成するゴム組成物のゴム成分としては、例えば、エチレン・プロピレンコポリマー(EPR)、エチレン・プロピレン・ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン・オクテンコポリマー、エチレン・ブテンコポリマーなどのエチレン−α−オレフィンエラストマー;クロロプレンゴム(CR);クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM);水素添加アクリロニトリルゴム(H−NBR)、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)等が挙げられる。表面ゴム層11aを形成するゴム組成物のゴム成分は、これらのうちの1種又は2種以上のブレンドゴムであることが好ましい。
発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミドを主成分とするADCA系発泡剤、ジニトロソペンタメチレンテトラミンを主成分とするDPT系発泡剤、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドを主成分とするOBSH系発泡剤、ヒドラゾジカルボンアミドを主成分とするHDCA系発泡剤などの有機系発泡剤等の熱分解型のものが挙げられる。発泡剤は、これらのうち1種又は2種以上であることが好ましい。なお、市販の熱分解型の発泡剤としては、例えば、三協化成社製の商品名:セルマイクシリーズ等が挙げられる。
発泡剤の分解温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは140℃以上であり、また、好ましくは230℃以下、より好ましくは210℃以下である。発泡剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは4質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下である。
表面ゴム層11aを形成するゴム組成物には、発泡剤が分解して発泡した後の分解残渣が含まれる。具体的には、例えば、ADCA系発泡剤の場合には、表面ゴム層11aを形成するゴム組成物に分解残渣としてビウレアシアヌール酸ウラゾールが含まれることとなる。DPT系発泡剤の場合には、ヘキサメチレンテトラミンが含まれることとなる。OBSH系発泡剤の場合には、ポリジチオフェニルエーテル及びポリチオフェニルベンゼンスルホニルエーテルが含まれることとなる。HDCA系発泡剤の場合には、ウラゾールが含まれることとなる。
セルロース系微細繊維は、植物繊維を細かくほぐすことで得られる植物細胞壁の骨格成分で構成されたセルロース微細繊維を由来とする繊維材料である。セルロース系微細繊維の原料植物としては、例えば、木、竹、稲(稲わら)、じゃがいも、サトウキビ(バガス)、水草、海藻等が挙げられる。これらのうち木が好ましい。表面ゴム層11aを形成する多孔のゴム組成物がこのようなセルロース系微細繊維を含むことにより、その高い補強効果が発現する。
セルロース系微細繊維は、セルロース微細繊維自体であっても、また、疎水化処理された疎水化セルロース微細繊維であっても、どちらでもよい。また、セルロース系微細繊維として、セルロース微細繊維自体と疎水化セルロース微細繊維とを併用してもよい。分散性の観点からは、セルロース系微細繊維は、疎水化セルロース微細繊維を含むことが好ましい。疎水化セルロース微細繊維としては、セルロースの水酸基の一部又は全部が疎水性基に置換されたセルロース微細繊維、及び表面処理剤によって疎水化表面処理されたセルロース微細繊維が挙げられる。
セルロースの水酸基の一部又は全部が疎水性基に置換されたセルロース微細繊維を得るための疎水化としては、例えば、エステル化(アシル化)(アルキルエステル化、複合エステル化、β−ケトエステル化など)、アルキル化、トシル化、エポキシ化、アリール化等が挙げられる。これらのうちエステル化が好ましい。具体的には、エステル化された疎水化セルロース微細繊維は、セルロースの水酸基の一部又は全部が、酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、酪酸等のカルボン酸、若しくは、そのハロゲン化物(特に塩化物)によりアシル化されたセルロース微細繊維である。表面処理剤によって疎水化表面処理されたセルロース微細繊維を得るための表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤等が挙げられる。
セルロース系微細繊維は、表面ゴム層11aの補強効果を高める観点から、その繊維径の分布の下限は、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上である。上限は、好ましくは1μm以下、より好ましくは700nm以下、更に好ましくは500nm以下である。セルロース系微細繊維の繊維径の分布範囲は、表面ゴム層11aの補強効果を高める観点から、20nm〜1μmを含むことが好ましく、20〜700mmを含むことがより好ましく、20〜500nmを含むことが更に好ましい。
表面ゴム層11aを形成するゴム組成物に含まれたセルロース系微細繊維の平均繊維径は、表面ゴム層11aの補強効果を高める観点から、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下である。表面ゴム層11aを形成するゴム組成物に含まれたセルロース系微細繊維の平均繊維径は、好ましくは3nm以上である。
セルロース系微細繊維の繊維径の分布は、表面ゴム層11aを形成するゴム組成物の試料を凍結粉砕した後、その断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察すると共に、50本のセルロース系微細繊維を任意に選択して繊維径を測定し、その測定結果に基づいて求められる。また、セルロース系微細繊維の平均繊維径は、その任意に選択した50本のセルロース系微細繊維の繊維径の数平均として求められる。
セルロース系微細繊維は、機械的解繊手段によって製造された高アスペクト比のものであっても、また、化学的解繊手段によって製造されたものであっても、どちらでもよい。これらのうち化学的解繊手段によって製造されたものが好ましい。また、セルロース系微細繊維として、機械的解繊手段によって製造されたものと化学的解繊手段によって製造されたものとを併用してもよい。機械的解繊手段に用いる解繊装置としては、例えば、二軸混練機などの混練機、高圧ホモジナイザー、グラインダー、ビーズミル等が挙げられる。化学的解繊手段に用いる処理としては、例えば、酸加水分解処理等が挙げられる。
表面ゴム層11aを形成するゴム組成物におけるセルロース系微細繊維の含有量は、表面ゴム層11aの補強効果を高める観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、また、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
表面ゴム層11aを形成するゴム組成物におけるゴム成分100質量部に対するセルロース系微細繊維の含有量は、発泡剤の配合量よりも少なくても、また、多くても、更には、発泡剤のゴム成分100質量部に対する含有量と同一であっても、どちらでもよい。また、発泡剤及びセルロース系微細繊維のゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上であり、また、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下である。
ゴム配合剤としては、補強材、オイル、加工助剤、加硫促進助剤、架橋剤、共架橋剤、加硫促進剤等が挙げられる。
補強材としては、カーボンブラックでは、例えば、チャネルブラック;SAF、ISAF、N−339、HAF、N−351、MAF、FEF、SRF、GPF、ECF、N−234などのファーネスブラック;FT、MTなどのサーマルブラック;アセチレンブラック等が挙げられる。補強材としてはシリカも挙げられる。補強材は、これらのうち1種又は2種以上であることが好ましい。補強材の含有量は、ゴム組成物のゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。補強材がカーボンブラックの場合、そのゴム成分100質量部に対する含有量は、セルロース系微細繊維の含有量よりも少なくても、また、多くても、更には、セルロース系微細繊維のゴム成分100質量部に対する含有量と同一であっても、どちらでもよい。また、セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は、好ましくは20質量部以上、より好ましくは25質量部以上であり、また、好ましくは45質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。
オイルとしては、例えば、石油系軟化剤、パラフィンワックスなどの鉱物油系オイル、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落下生油、木ろう、ロジン、パインオイルなどの植物油系オイル等が挙げられる。オイルは、これらのうち1種又は2種以上であることが好ましい。オイルの含有量は、ゴム組成物のゴム成分100質量部に対して例えば5〜15質量部である。
加硫促進助剤としては、例えば、酸化亜鉛(亜鉛華)や酸化マグネシウムなどの金属酸化物、金属炭酸塩、脂肪酸及びその誘導体等が挙げられる。加硫促進助剤は、これらのうち1種又は2種以上であることが好ましい。加硫促進助剤の含有量は、ゴム組成物のゴム成分100質量部に対して例えば5〜15質量部である。
架橋剤としては、有機過酸化物及び硫黄が挙げられる。架橋剤として、有機過酸化物が配合されていてもよく、また、硫黄が配合されていてもよく、更には、それらの両方が併用されていてもよい。架橋剤の配合量は、有機過酸化物の場合、ゴム組成物のゴム成分100質量部に対して例えば1〜5質量部であり、硫黄の場合、ゴム組成物のゴム成分100質量部に対して例えば1〜5質量部である。
共架橋剤としては、例えば、マレイミド系、TAIC、1,2−ポリブタジエン、オキシム類、グアニジン、及びトリメチロールプロパントリメタクリレートのもの等が挙げられる。共架橋剤は、これらのうちの1種又は2種以上であることが好ましい。共架橋剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば0.5〜15質量部である。
加硫促進剤としては、例えば、チアゾール系(例えばMBT、MBTSなど)、チウラム系(例えばTT、TRAなど)、スルフェンアミド系(例えばCZなど)、ジチオカルバミン酸塩系(例えばBZ−Pなど)のもの等が挙げられる。加硫促進剤は、これらのうち1種又は2種以上であることが好ましい。加硫促進剤の含有量は、ゴム組成物のゴム成分100質量部に対して例えば2〜5質量部である。
なお、表面ゴム層11aを形成するゴム組成物は、例えば、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、綿等の短繊維を含んでいないことが好ましいが、表面ゴム層11aの補強効果を損なわない範囲でかかる短繊維を含んでいてもよい。
表面ゴム層11aの表面の凹孔17aの平均孔径は、表面ゴム層11aの表面の乾燥時及び湿潤時の摩擦係数の差を小さくし、また、経時的な摩擦係数の変動を抑制し、更に、異音、特に被水時の異音の発生及び被水時のスリップの発生を抑制する観点から、好ましくは70μm以上、より好ましくは80μm以上であり、また、好ましくは120μm以下、より好ましくは110μm以下である。ここで、凹孔17aの孔径は、表面ゴム層11aの表面に露出した凹孔17aの開口径であり、その平均孔径は、表面画像から測定される50〜100個の孔径の数平均として求めることができる。なお、この凹孔17aの平均孔径は、発泡剤の種類や配合量等によって制御することができる。
内部ゴム層11bは、ゴム成分に種々のゴム配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧されて架橋剤により架橋した中実のゴム組成物で形成されている。
内部ゴム層11bを形成するゴム組成物のゴム成分としては、表面ゴム層11aと同様のものが挙げられる。内部ゴム層11bを形成するゴム組成物のゴム成分は、表面ゴム層11aを形成するゴム組成物のゴム成分と同一であることが好ましい。ゴム配合剤としては、表面ゴム層11aと同様、補強材、オイル、加工助剤、加硫促進助剤、架橋剤、共架橋剤、加硫促進剤等が挙げられる。
内部ゴム層11bを形成するゴム組成物は、表面ゴム層11aと同様、セルロース系微細繊維を含んでいてもよい。内部ゴム層11bを形成するゴム組成物の架橋前の未架橋ゴム組成物には、発泡剤が配合されていないことが好ましいが、内部ゴム層11bの強度を損なわない範囲で発泡剤が配合されていてもよい。
接着ゴム層12は、断面横長矩形の帯状に構成されており、その厚さが例えば1.0〜2.5mmである。背面ゴム層13も、断面横長矩形の帯状に構成されており、厚さが例えば0.4〜0.8mmである。背面ゴム層13の表面には、背面駆動時の音発生を抑制する観点から、織布パターンが設けられていることが好ましい。接着ゴム層12及び背面ゴム層13は、ゴム成分に種々のゴム配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧されて架橋剤により架橋したゴム組成物で形成されている。
接着ゴム層12及び背面ゴム層13を形成するゴム組成物のゴム成分としては、表面ゴム層11aと同様のものが挙げられる。接着ゴム層12及び背面ゴム層13を形成するゴム組成物のゴム成分は、表面ゴム層11a或いは内部ゴム層11bと同一であってもよい。ゴム配合剤としては、表面ゴム層11aと同様、補強材、オイル、加工助剤、加硫促進助剤、架橋剤、共架橋剤、加硫促進剤等が挙げられる。
心線14は、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリアミド繊維等で形成された撚り糸で構成されている。心線14の直径は例えば0.5〜2.5mmであり、断面における相互に隣接する心線14中心間の寸法は例えば0.05〜0.20mmである。心線14には、Vリブドベルト本体10に対する接着性を付与するための接着処理が施されている。
以上の構成の実施形態1に係るVリブドベルトBによれば、表面ゴム層11aを形成する多孔のゴム組成物がセルロース系微細繊維を含むことにより、その高補強効果が発現し、耐クラック性及び耐摩耗性が改善され、その結果、高い耐久性を得ることができる。また、経時的な摩擦係数の変動を抑制することができる。更に、表面ゴム層11aの表面の乾燥時及び湿潤時の摩擦係数の差を小さく維持することができ、被水時の異音の発生や被水時のスリップの発生を抑制することができる。これは、親水性のセルロース微細繊維が水分を吸収することにより、摩擦係数の低下が抑制されるためであると考えられる。
図3は、実施形態1に係るVリブドベルトBを用いた自動車の補機駆動ベルト伝動装置20のプーリレイアウトを示す。この補機駆動ベルト伝動装置20は、VリブドベルトBが4つのリブプーリ及び2つの平プーリの6つのプーリに巻き掛けられて動力を伝達するサーペンタインドライブ方式のものである。
この補機駆動ベルト伝動装置20では、最上位置にリブプーリのパワーステアリングプーリ21が設けられ、そのパワーステアリングプーリ21の下方にリブプーリのACジェネレータプーリ22が設けられている。また、パワーステアリングプーリ21の左下方には平プーリのテンショナプーリ23が設けられており、そのテンショナプーリ23の下方には平プーリのウォーターポンププーリ24が設けられている。更に、テンショナプーリ23の左下方にはリブプーリのクランクシャフトプーリ25が設けられており、そのクランクシャフトプーリ25の右下方にリブプーリのエアコンプーリ26が設けられている。これらのプーリは、例えば、金属のプレス加工品や鋳物、或いは、ナイロン樹脂、フェノール樹脂等の樹脂成形品で構成されており、また、プーリ径がφ50〜150mmである。
そして、この補機駆動ベルト伝動装置20では、VリブドベルトBは、Vリブ15側が接触するようにパワーステアリングプーリ21に巻き掛けられ、次いで、ベルト背面が接触するようにテンショナプーリ23に巻き掛けられた後、Vリブ15側が接触するようにクランクシャフトプーリ25及びエアコンプーリ26に順に巻き掛けられ、更に、ベルト背面が接触するようにウォーターポンププーリ24に巻き掛けられ、そして、Vリブ15側が接触するようにACジェネレータプーリ22に巻き掛けられ、最後にパワーステアリングプーリ21に戻るように設けられている。プーリ間で掛け渡されるVリブドベルトBの長さであるベルトスパン長は例えば50〜300mmである。プーリ間で生じ得るミスアライメントは0〜2°である。
(VリブドベルトBの製造方法)
実施形態1に係るVリブドベルトBの製造方法について、図4〜9に基づいて説明する。
図4及び5は、実施形態1に係るVリブドベルトBの製造に用いるベルト成形型30を示す。
このベルト成形型30は、同心状に設けられた、各々、円筒状の内型31及び外型32を備えている。
内型31はゴム等の可撓性材料で形成されている。外型32は金属等の剛性材料で形成されている。外型32の内周面は成型面に構成されており、その外型32の内周面には、Vリブ15と同一形状のVリブ形成溝33が軸方向に一定ピッチで設けられている。外型32には、水蒸気等の熱媒体や水等の冷媒体を流通させて温調する温調機構が設けられている。また、内型31を内部から加圧膨張させるための加圧手段が設けられている。
実施形態1に係るVリブドベルトBの製造方法は、材料準備工程、成形工程、架橋工程、及び仕上げ工程を有する。
<材料準備工程>
―表面ゴム層用の未架橋ゴムシート11a’―
まず、素練りしているゴム成分にセルロース系微細繊維を投入して混練することにより分散させる。
ここで、ゴム成分へのセルロース系微細繊維の分散方法としては、例えば、セルロース系微細繊維を水に分散させた分散体(ゲル)を、オープンロールで素練りしているゴム成分に投入し、それらを混練しながら水分を気化させる方法、セルロース系微細繊維を水に分散させた分散体(ゲル)とゴムラテックスとを混合して水分を気化させて得られたセルロース系微細繊維/ゴムのマスターバッチを、素練りしているゴム成分に投入する方法、セルロース系微細繊維を溶剤に分散させた分散液とゴム成分を溶剤に溶解させた溶液とを混合して溶剤を気化させて得られたセルロース系微細繊維/ゴムのマスターバッチを、素練りしているゴム成分に投入する方法、セルロース系微細繊維を水に分散させた分散体(ゲル)を凍結乾燥させて粉砕したものを、素練りしているゴム成分に投入する方法、疎水化したセルロース系微細繊維を素練りしているゴム成分に投入する方法等が挙げられる。
次いで、ゴム成分とセルロース系微細繊維とを混練しながら、発泡剤及び各種のゴム配合剤を投入して混練を継続する。
そして、得られた未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等によってシート状に成形して表面ゴム層用の未架橋ゴムシート11a’を作製する。
−内部ゴム層用、接着ゴム層用、及び背面ゴム層用の未架橋ゴムシート11b’12’,13’−
ゴム成分に各種のゴム配合剤を配合し、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機で混練し、得られた未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等によってシート状に成形して内部ゴム層用、接着ゴム層用、及び背面ゴム層用の未架橋ゴムシート11b’,12’,13’を作製する。
−心線14’−
心線14’に対して接着処理を施す。具体的には、心線14’に、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス水溶液(以下「RFL水溶液」という。)に浸漬して加熱するRFL接着処理を施す。また、必要に応じて、RFL接着処理前に下地接着処理液に浸漬して加熱する下地接着処理、及び/又は、RFL接着処理後にゴム糊に浸漬して乾燥させるゴム糊接着処理を施す。
<成形工程>
図6に示すように、表面が平滑な円筒ドラム34上にゴムスリーブ35を被せ、その外周上に、背面ゴム層用の未架橋ゴムシート13’、及び接着ゴム層用の未架橋ゴムシート12’を順に巻き付けて積層し、その上から心線14’を円筒状の内型31に対して螺旋状に巻き付け、更にその上から接着ゴム層用の未架橋ゴムシート12’、及び内部ゴム層用の未架橋ゴムシート11b’を順に巻き付け、更にその上から表面ゴム層用の未架橋ゴムシート11a’を巻き付ける。このとき、ゴムスリーブ35上には積層成形体B’が形成される。なお、表面ゴム層用の未架橋ゴムシート11a’は、列理方向がベルト長さ方向に対応するように使用しても、また、列理方向がベルト幅方向に対応するように使用しても、どちらでもよい。
<架橋工程>
積層成形体B’を設けたゴムスリーブ35を円筒ドラム34から外し、図7に示すように、それを外型32の内周面側に内嵌め状態にセットした後、図8に示すように、内型31を外型32にセットされたゴムスリーブ35内に位置付けて密閉する。
次いで、外型32を加熱すると共に、内型31の密封された内部に高圧空気等を注入して加圧する。このとき、内型31が膨張し、外型32の成型面に、積層成形体B’における表面ゴム層用の未架橋ゴムシート11a’が沿うように設けられると共に、それ以外の未架橋ゴムシート11b’,12’,13’が圧縮されて進入し、また、それらの架橋が進行して一体化し、且つ心線14’も複合一体化し、更には、表面ゴム層用の未架橋ゴムシート11a’において発泡剤が発泡し、最終的に、図9に示すように、円筒状のベルトスラブSが成型される。なお、ベルトスラブSの成型温度は例えば100〜180℃、成型圧力は例えば0.5〜2.0MPa、及び成型時間は例えば10〜60分である。
<仕上げ工程>
内型31の内部を減圧して密閉を解き、内型31と外型32との間でゴムスリーブ35を介して成型されたベルトスラブSを取り出し、必要に応じてベルトスラブSのVリブ15側の表面を研削し、所定幅に輪切りして表裏を裏返すことによりVリブドベルトBが製造される。
[実施形態2]
(VリブドベルトB)
実施形態2に係るVリブドベルトB(伝動ベルト)は、外観構成が実施形態1と同一であるので、以下では図1及び2に基づいて説明する。
実施形態2に係るVリブドベルトBでは、表面ゴム層11aは、ゴム成分にセルロース系微細繊維に加えて各種のゴム配合剤が配合され、超臨界流体又は亜臨界流体の存在下において混練された未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧されて架橋剤により架橋したゴム組成物で形成されている。また、表面ゴム層11aを形成するゴム組成物は、含浸した超臨界流体又は亜臨界流体が減圧により気体に相変化して内部に多数の中空部16aが形成されていると共に、表面に露出した多数の凹孔17aが形成された多孔のゴム組成物である。
表面ゴム層11aの表面の凹孔17aの平均孔径は、表面ゴム層11aの表面の乾燥時及び湿潤時の摩擦係数の差を小さくし、また、経時的な摩擦係数の変動を抑制し、更に、異音、特に被水時の異音の発生及び被水時のスリップの発生を抑制する観点から、好ましくは70μm以上、より好ましくは80μm以上であり、また、好ましくは120μm以下、より好ましくは110μm以下である。ここで、凹孔17aの孔径は、表面ゴム層11aの表面に露出した凹孔17aの開口径であり、その平均孔径は、表面画像から測定される50〜100個の孔径の数平均として求めることができる。なお、この凹孔17aの平均孔径は、超臨界流体又は亜臨界流体発泡剤を用いた表面ゴム層11aを形成するゴム組成物の調製条件によって制御することができる。
その他の構成及び作用効果は、実施形態1と同一である。
(VリブドベルトBの製造方法)
実施形態2に係るVリブドベルトBの製造方法では、材料準備工程における表面ゴム層用の未架橋ゴムシート11a’の作製を以下のようにして行う。
まず、超臨界流体又は亜臨界流体の存在下において、ゴム成分とセルロース系微細繊維及び各種のゴム配合剤とを混練し、しかる後に減圧して未架橋ゴム組成物を得る。このとき、未架橋ゴム組成物に含浸した超臨界流体又は亜臨界流体が減圧により気体に相変化して多孔の未架橋ゴム組成物が得られる。
ここで、「超臨界流体」とは、超臨界状態の流体をいう。「超臨界状態」とは、温度が流体の臨界温度(Tc)以上で且つ圧力が流体の臨界圧力(Pc)以上である状態をいう。
「亜臨界流体」とは、亜臨界状態の流体をいう。「亜臨界状態」とは、温度及び圧力の一方のみが臨界状態に達し且つ他方が臨界状態に達していない状態、或いは、温度及び圧力の両方が臨界状態に達していないが、温度及び圧力の少なくとも一方が常温常圧より十分高く臨界状態に近い状態をいう。本願において、「亜臨界状態」とは、温度をT(摂氏)及び圧力をPとしたとき、0.5<T/Tc<1.0且つ0.5<P/Pc、又は、0.5<T/Tc且つ0.5<P/Pc<1.0の条件を満たす状態をいう。好ましい亜臨界状態は、0.6<T/Tc<1.0且つ0.6<P/Pc、又は、0.6<T/Tc且つ0.6<P/Pc<1.0の条件を満たす状態である。なお、臨界温度Tc(摂氏)がマイナスである場合には温度条件は満たされるものとし、超臨界状態の条件が満たされず且つ0.5<P/Pcの圧力条件が満たされれば亜臨界状態にあるものとする。
超臨界流体又は亜臨界流体を生じる物質としては、例えば、二酸化炭素、窒素、水素、キセノン、エタン、アンモニア、メタノール、水等が挙げられる。これらのうち二酸化炭素及び窒素が好ましい。
二酸化炭素の臨界温度(Tc)は31.1℃であり、臨界圧力(Pc)は7.38MPaである。従って、超臨界二酸化炭素は、温度Tが31.1℃以上であり且つ圧力Pが7.38MPa以上である状態の二酸化炭素である。亜臨界二酸化炭素は、15.6℃<T<31.1℃且つ3.69MPa<P、又は、15.55℃<T且つ3.69MPa<P<7.38MPaの条件を満たす状態の二酸化炭素である。
窒素の臨界温度(Tc)は−147.0℃であり、臨界圧力(Pc)は3.40MPaである。従って、超臨界窒素は、温度Tが−147.0℃以上であり且つ圧力Pが3.40MPa以上である状態の窒素である。亜臨界窒素は、超臨界窒素の条件を満たさず且つ1.70MPa<Pの条件を満たす状態の窒素である。
減圧速度は例えば5〜10MPa/sである。
超臨界流体又は亜臨界流体の存在下での混練は、耐熱性及び耐圧性に優れた密閉式のゴム混練室内にローターやスクリュー等の混練部材が設けられた混練装置を用いることにより行うことができる。混練装置は、材料供給及び混練物回収を連続的に行う連続方式のものであっても、また、材料供給及び混練物回収を単回で行うバッチ方式のものであっても、どちらでもよい。前者としては、例えば、特開2002−355880号公報に開示されている2軸押出混練装置等が挙げられる。また、後者としては、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー等が挙げられる。
なお、混練装置において、セルロース系微細繊維をゴム成分に混練して分散させる際には、セルロース系微細繊維水に分散させた分散体(ゲル)を、オープンロールで素練りしているゴム成分に投入し、それらを混練しながら水分を気化させたマスターバッチ、セルロース系微細繊維を水に分散させた分散体(ゲル)とゴムラテックスとを混合して水分を気化させて得られたセルロース系微細繊維/ゴムのマスターバッチ、セルロース系微細繊維を溶剤に分散させた分散液とゴム成分を溶剤に溶解させた溶液とを混合して溶剤を気化させて得られたセルロース系微細繊維/ゴムのマスターバッチ、セルロース系微細繊維を水に分散させた分散体(ゲル)を凍結乾燥させて粉砕したもの、セルロース系微細繊維を疎水化したもの等を用いてもよい。
そして、得られた多孔の未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等によってシート状に成形して表面ゴム層用の未架橋ゴムシート11a’を作製する。
その他の方法は実施形態1と同一である。
[実施形態3]
(VリブドベルトB)
図10は、実施形態3に係るVリブドベルトB(伝動ベルト)を示す。
実施形態3に係るVリブドベルトBでは、表面ゴム層11aは、ゴム成分に未膨張の中空粒子及びセルロース系微細繊維に加えて各種のゴム配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧されて架橋剤により架橋したゴム組成物で形成されている。また、表面ゴム層11aを形成するゴム組成物は、中空粒子の膨張により内部にシェルを有する多数の中空部16bが形成されていると共に、表面に露出したシェルを有する多数の凹孔17bが形成された多孔のゴム組成物である。なお、シェルを有する凹孔17bは膨張した中空粒子が表面においてシェルが破れて開口することにより形成されたものである。
表面ゴム層11aを形成するゴム組成物の架橋前の未架橋ゴム組成物に配合される未膨張の中空粒子としては、例えば、熱可塑性ポリマー(例えばアクリロニトリル系ポリマー)等で形成されたシェルの内部に溶剤が封入された粒子が挙げられる。中空粒子は、単一種が配合されていても、また、複数種が配合されていても、どちらでもよい。未膨張の中空粒子の粒径は、好ましくは15μm以上、より好ましくは25μm以上であり、また、好ましくは50μm以下、より好ましくは35μm以下である。中空粒子の膨張開始温度は、好ましくは140℃以上、より好ましくは150℃以上であり、また、好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下である。中空粒子の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下である。なお、市販の中空粒子としては、例えば、積水化学工業社製の商品名:アドバンセルEM403(粒径26〜34μm,膨張開始温度:150〜170℃)等が挙げられる。
セルロース系微細繊維は、実施形態1と同様の構成である。表面ゴム層11aを形成するゴム組成物におけるゴム成分100質量部に対するセルロース系微細繊維の含有量は、中空粒子の配合量よりも多くても、また、少なくてもよく、更には、中空粒子の配合量と同じであってもよい。
表面ゴム層11aを形成するゴム組成物の架橋前の未架橋ゴム組成物には、未膨張の中空粒子に加えて、実施形態1において用いた発泡剤も配合されていてもよい。つまり、表面ゴム層11aを形成するゴム組成物は、中空粒子の膨張により内部にシェルを有する多数の中空部16bが形成されていると共に、表面に露出したシェルを有する多数の凹孔17bが形成され、また、発泡剤の発泡により内部にシェルを有さない多数の中空部が形成されていると共に、表面に露出したシェルを有さない多数の凹孔が形成された多孔のゴム組成物であってもよい。
この場合、発泡剤の分解温度は、中空粒子の膨張開始温度よりも高いことが好ましい。具体的には、発泡剤の分解温度は、中空粒子の膨張開始温度よりも、好ましくは100℃以上、より好ましくは140℃以上高いのがよく、また、好ましくは230℃以下、より好ましくは210℃以下高いのがよい。中空粒子の膨張開始温度と熱分解型発泡剤の分解温度との温度差は、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上であり、また、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下である。
発泡剤のゴム成分100質量部に対する配合量は、中空粒子の配合量よりも多いことが好ましい。発泡剤の配合量の中空粒子の配合量に対する質量比(発泡剤の配合量/中空粒子の配合量)は、好ましくは1以上、より好ましくは2.5以上であり、また、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。
表面ゴム層11aの表面の凹孔17bの平均孔径は、表面ゴム層11aの表面の乾燥時及び湿潤時の摩擦係数の差を小さくし、また、経時的な摩擦係数の変動を抑制し、更に、異音、特に被水時の異音の発生及び被水時のスリップの発生を抑制する観点から、好ましくは70μm以上、より好ましくは80μm以上であり、また、好ましくは120μm以下、より好ましくは110μm以下である。ここで、凹孔17bの孔径は、表面ゴム層11aの表面に露出した凹孔17bの開口径であり、その平均孔径は、表面画像から測定される50〜100個の孔径の数平均として求めることができる。なお、この凹孔17bの平均孔径は、中空粒子の種類や配合量等によって制御することができる。
その他の構成及び作用効果は、実施形態1と同一である。
(VリブドベルトBの製造方法)
実施形態3に係るVリブドベルトBの製造方法では、材料準備工程における表面ゴム層用の11a’の作製を以下のようにして行う。
まず、素練りしているゴム成分にセルロース系微細繊維を投入して混練することにより分散させる。
ここで、ゴム成分へのセルロース系微細繊維の分散方法としては、例えば、セルロース系微細繊維を水に分散させた分散体(ゲル)を、オープンロールで素練りしているゴム成分に投入し、それらを混練しながら水分を気化させる方法、セルロース系微細繊維を水に分散させた分散体(ゲル)とゴムラテックスとを混合して水分を気化させて得られたセルロース系微細繊維/ゴムのマスターバッチを、素練りしているゴム成分に投入する方法、セルロース系微細繊維を溶剤に分散させた分散液とゴム成分を溶剤に溶解させた溶液とを混合して溶剤を気化させて得られたセルロース系微細繊維/ゴムのマスターバッチを、素練りしているゴム成分に投入する方法、セルロース系微細繊維を水に分散させた分散体(ゲル)を凍結乾燥させて粉砕したものを、素練りしているゴム成分に投入する方法、疎水化したセルロース系微細繊維を素練りしているゴム成分に投入する方法等が挙げられる。
次いで、ゴム成分とセルロース系微細繊維とを混練しながら、中空粒子及び各種のゴム配合剤を投入して混練を継続する。
そして、得られた未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等によってシート状に成形して表面ゴム層用の未架橋ゴムシート11a’を作製する。
架橋工程では、内型31が膨張し、外型32の成型面に、積層成形体B’における表面ゴム層用の未架橋ゴムシート11a’が沿うように設けられると共に、それ以外の未架橋ゴムシート11b’,12’,13’が圧縮されて進入し、また、それらの架橋が進行して一体化し、且つ心線14’も複合一体化し、更には、表面ゴム層用の未架橋ゴムシート11a’において中空粒子が膨張し、最終的に、円筒状のベルトスラブSが成型される。
その他の方法は実施形態1と同一である。
[その他の実施形態]
上記実施形態1〜3では、圧縮ゴム層11を多孔のゴム組成物で形成された表面ゴム層11aと中実のゴム組成物で形成された内部ゴム層11bとの二層構造を有する構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、図11に示すように、圧縮ゴム層11の全体が多孔のゴム組成物で形成された単一層で構成されていてもよい。
上記実施形態1〜3では、VリブドベルトBとしたが、ベルト本体の少なくとも一部が多孔のゴム組成物で形成された伝動ベルトであれば、特にこれに限定されるものではなく、それ以外のローエッジVベルト、ラップドVベルト、平ベルト、歯付ベルト等であってもよい。
[試験評価1]
(平ベルト)
図12に示すようなベルト本体10が内側ゴム層10a、接着ゴム層10b、及び外側ゴム層10cの三層構造を有し、接着ゴム層10bに心線14が埋設された試験評価用の以下の実施例1-1〜1-6及び比較例1-1〜1-4の平ベルトBを作製した。なお、それぞれの構成は表1にも示す。
<実施例1-1>
CRラテックス(昭和電工社製 商品名:ショウプレン842A)と機械的解繊手段によって製造された木材を原料とするセルロース微細繊維(大王製紙社製)の水分散体とを混合し、水を気化させてセルロース微細繊維/CRのマスターバッチを作製した。
続いて、CR(昭和電工社製 商品名:ショウプレンGS)を素練りすると共に、そこにマスターバッチを投入して混練した。マスターバッチの投入量は、トータルのCRを100質量部としたときのセルロース微細繊維の含有量が5質量部となる量とした。
そして、CRとセルロース微細繊維とを混練すると共に、そこに、CR100質量部に対し、発泡剤(三協化成社製 商品名:セルマイクCE 分解温度:208℃)を6質量部、補強材のカーボンブラック(東海カーボン社製 商品名:シースト3)を40質量部、オイル(日本サン石油社製 商品名:サンパー2280)を5質量部、加硫促進助剤の酸化亜鉛(堺化学工業社製)を5質量部、酸化マグネシウム(協和化学工業社製 キョウワマグ150)を4質量部それぞれ投入して混練を継続することにより未架橋ゴム組成物を作製した。発泡剤及びセルロース微細繊維のゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は11質量部である。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は45質量部である。
この未架橋ゴム組成物をシート状に成形して内側ゴム層用の未架橋ゴムシートとし、実施例1-1の平ベルトを作製した。
なお、接着ゴム層及び外側ゴム層をCRゴム組成物で形成し、また、接着処理を施したアラミド繊維製の撚り糸で心線を形成した。
<実施例1-2>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、カーボンブラック及びセルロース微細繊維の含有量をそれぞれゴム成分100質量部に対して10質量部及び20質量部としたことを除いて実施例1-1と同様の構成の実施例1-2の平ベルトを作製した。発泡剤及びセルロース微細繊維のゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は26質量部である。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は30質量部である。
<実施例1-3>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、セルロース微細繊維として、化学的解繊手段(TEMPO酸化処理)によって製造された木材を原料とするセルロース微細繊維(第一工業製薬社製)を用い、セルロース微細繊維の含有量をゴム成分100質量部に対して1質量部としたことを除いて実施例1-1と同様の構成の実施例1-3の平ベルトを作製した。発泡剤及びセルロース微細繊維のゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は7質量部である。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は41質量部である。
<実施例1-4>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、カーボンブラック及びセルロース微細繊維の含有量をそれぞれゴム成分100質量部に対して20質量部及び5質量部としたことを除いて実施例1-3と同様の構成の実施例1-4の平ベルトを作製した。発泡剤及びセルロース微細繊維のゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は11質量部である。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は25質量部である。
<実施例1-5>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、カーボンブラック及びセルロース微細繊維の含有量をそれぞれゴム成分100質量部に対して10質量部及び10質量部としたことを除いて実施例1-3と同様の構成の実施例1-4の平ベルトを作製した。発泡剤及びセルロース微細繊維のゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は16質量部である。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は20質量部である。
<実施例1-6>
二軸押出混練装置(日本製鋼社製 型番:TEX30α)を用い、温度100℃及び圧力20MPaの超臨界二酸化炭素の存在下において、CRと、そのCR100質量部に対し、化学的解繊手段(TEMPO酸化処理)によって製造された木材を原料とするセルロース微細繊維を5質量部、補強材のカーボンブラックを20質量部、オイルを5質量部、加硫促進助剤の酸化亜鉛を5質量部、及び酸化マグネシウムを4質量部とを混練し、しかる後に減圧速度を7MPa/sとして減圧して未架橋ゴム組成物を作製した。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は25質量部である。
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートとして、この未架橋ゴム組成物を用いたことを除いて実施例1-1と同様の構成の実施例1-6の平ベルトを作製した。
<比較例1-1>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、セルロース微細繊維を含有させていないことを除いて実施例1-1と同様の構成の比較例1-1の平ベルトを作製した。
<比較例1-2>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、発泡剤を含有させていないことを除いて実施例1-1と同様の構成の比較例1-2の平ベルトを作製した。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は45質量部である。
<比較例1-3>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、発泡剤を含有させていないことを除いて実施例1-4と同様の構成の比較例2-3の平ベルトを作製した。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は25質量部である。
<比較例1-4>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、セルロース微細繊維を含有させていないことを除いて実施例1-6と同様の構成の比較例1-4の平ベルトを作製した。
Figure 2016211587
(試験評価方法)
<ベルト質量>
実施例1-1〜1-6及び比較例1-1〜1-4のそれぞれの平ベルトについてベルト質量を測定し、最も重かった比較例2のベルト質量を1としたときの相対値を算出した。
<平均繊維径・繊維径分布>
実施例1-1〜1-6のそれぞれの平ベルトの内側ゴム層の試料を凍結粉砕した後、その断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察すると共に、50本のセルロース微細繊維を任意に選択して繊維径を測定し、その数平均を求めて平均繊維径とした。また、50本のセルロース微細繊維のうち繊維径の最大値及び最小値を求めた。
<耐クラック性評価ベルト走行試験>
図13は、耐クラック性評価用ベルト走行試験機40を示す。
耐クラック性評価用ベルト走行試験機40は、プーリ径φ30mmの駆動平プーリ41とその右側方に設けられたプーリ径30mmの従動平プーリ42とを備えている。従動平プーリ42は、軸荷重(デッドウェイトDW)を負荷して平ベルトBに張力を付与できるように左右に可動に設けられている。
実施例1-1〜1-6及び比較例1-1〜1-4のそれぞれの平ベルトBについて、耐クラック性評価用ベルト走行試験機40の駆動平プーリ41及び従動平プーリ42間に巻き掛け、従動平プーリ42に対して右側方に600Nの軸荷重を負荷して平ベルトBに張力を与えると共に、100℃の雰囲気温度下において駆動平プーリ41を3000rpmの回転数で回転させることによりベルト走行させた。そして、定期的にベルト走行を停止すると共に、平ベルトBにクラックが発生しているか否かを目視確認し、クラックの発生が確認されるまでのベルト走行時間をクラック発生寿命とした。なお、200時間を越えてもクラックの発生が認められない場合には、その時点で試験を打ち切った。
<高張力ベルト走行試験>
図14は、高張力ベルト走行試験機50を示す。
高張力ベルト走行試験機50は、プーリ径φ50mmの駆動平プーリ51とその右側方に設けられたプーリ径40mmの従動平プーリ52とを備えている。従動平プーリ52は、軸荷重(デッドウェイトDW)を負荷して平ベルトBに張力を付与できるように左右に可動に設けられている。
実施例1-1〜1-6及び比較例1-1〜1-4のそれぞれの平ベルトBについて、高張力ベルト走行試験機50の駆動平プーリ51及び従動平プーリ52間に巻き掛け、従動平プーリ52に対して右側方に500Nの軸荷重を負荷して平ベルトBに張力を与えると共に、100℃の雰囲気温度下において駆動平プーリ51を3000rpmの回転数で回転させることによりベルト走行させた。そして、走行開始から100時間後にベルト走行を停止し、平ベルトのベルト質量を測定すると共に、質量減量を百分率で求めた。
<摩擦係数測定試験>
図15は摩擦係数測定装置60を示す。
この摩擦係数測定装置60は、プーリ径60mmの平プーリ61とその側方に設けられたロードセル62とからなる。平プーリ61は、鉄系の材料S45Cで構成されている。平ベルトの試験片63は、ロードセル62から水平に延びた後に平プーリ61に巻き掛けられる、つまり、平プーリ61への巻き付け角度が90°となるように設けられる。
実施例1-1〜1-6及び比較例1-1〜1-4のそれぞれの未走行の平ベルトについて、切断して帯状の試験片63を作製し、その一端をロードセル62に固定して平プーリ61に巻き掛け、他端に分銅64を取り付けて吊した。それに続いて、雰囲気温度25℃において、分銅64を引き下げようとする方向に平プーリ61を43rpmの回転数で回転させ、回転開始後60秒の時点で、ロードセル62で試験片63における平プーリ61とロードセル62との間の水平部分に負荷される張力Ttを計測した。なお、試験片63の平プーリ61と分銅64との垂直部分に負荷される張力Tsは、分銅64の重さ分の17.15Nであった。そして、Eulerの式に基づいて下記式(1)により内側ゴム層の表面の乾燥時の摩擦係数μを求めた。なお、θ=π/2である。
Figure 2016211587
また、高張力ベルト走行試験後の平ベルトについても同様の試験を実施して内側ゴム層の表面の乾燥時の摩擦係数を求めた。
更に、高張力ベルト走行試験後の平ベルトについて、平プーリ61上に5mlの水を介在させて同様の試験を実施し、回転開始から60秒間における摩擦係数の最小値を求めた。
そして、未走行の乾燥時における摩擦係数に対する走行後の乾燥時における摩擦係数の比(摩擦係数(走行後)/摩擦係数(未走行))、及び走行後の乾燥時における摩擦係数に対する走行後の水介在時における摩擦係数の比(摩擦係数(水介在)/摩擦係数(乾燥))を求めた。
<被水時異音評価ベルト走行試験>
図16は被水時異音評価用ベルト走行試験機70のプーリレイアウトを示す。
被水時異音評価用ベルト走行試験機70は、プーリ径が140mmの駆動平プーリ71と、その駆動平プーリ71の右方に設けられたプーリ径が75mmの第1従動平プーリ72と、第1従動平プーリ72の上方で駆動平プーリ71の右斜め上方に設けられたプーリ径が50mmの第2従動平プーリ73と、駆動平プーリ71と第2従動平プーリ73との中間に設けられたプーリ径が75mmのアイドラプーリ74とを備えている。そして、この被水時異音評価用ベルト走行試験機70は、平ベルトBの内側ゴム層が駆動平プーリ71、第1及び第2従動平プーリ72,73に接触すると共に、外側ゴム層がアイドラプーリ74に接触して巻き掛けられるように構成されている。
実施例1-1〜1-6及び比較例1-1〜1-4のそれぞれの平ベルトBについて、上記被水時異音評価用ベルト走行試験機70の駆動平プーリ71、第1及び第2従動平プーリ72,73、並びにアイドラプーリ74に巻き掛け、300Nのベルト張力が負荷されるようにプーリ位置決めを行い、第2従動平プーリ73にそれが取り付けられたオルタネータに60Aの電流が流れるように抵抗を与え、常温下、駆動平プーリ71を800rpmの回転数で回転させてベルト走行させた。また、このとき、平ベルトBの駆動プーリ71への進入部において平ベルトBの内側ゴム層側に毎分1000mlの割合で水を滴下した。そして、ベルト走行時の異音発生状況を、大、小、微小、及び無の四段階で評価した。
(試験評価結果)
試験結果を表1に示す。
表1によれば、実施例1-1〜1-6のセルロース微細繊維は、いずれも繊維径の分布が広いことが分かる。
内側ゴム層がセルロース微細繊維を含む多孔のゴム組成物で形成された実施例1-1〜1-6では、多孔のゴム組成物を用いることによる軽量化が図られていると共に、内側ゴム層が中実のゴム組成物で形成された比較例1-2及び1-3と同等のクラック発生寿命を有することが分かる。また、実施例1-1〜1-6では、高張力ベルト走行試験後の質量減量が小さいことから高い耐摩耗性を有し、経時的な摩擦係数の変化が小さく且つ水介在時及び乾燥時の摩擦係数の差が小さいことから摩擦係数が安定しており、ベルト走行時に注水しても異音の発生も認められず、従って、優れたベルト性能を有することが分かる。
一方、内側ゴム層がセルロース微細繊維を含まない多孔のゴム組成物で形成された比較例1-1及び1-4では、多孔のゴム組成物を用いることによる軽量化が図られると共に、摩擦係数が安定であり、且つベルト走行時に注水しても異音の発生が認められないものの、高張力ベルト走行試験後の質量減量が大きいことから耐摩耗性が劣り、また、クラック発生寿命が著しく短いことが分かる。
また、内側ゴム層がセルロース微細繊維含む中実のゴム組成物で形成された比較例1-2及び1-3では、高い耐摩耗性を有すると共に、クラック発生寿命も長いものの、摩擦係数の安定性、及びベルト走行時に注水すると異音の発生が認められるという点で、実施例1-1〜1-6よりも劣ることが分かる。
[試験評価2]
(平ベルト)
図12に示すようなベルト本体10が内側ゴム層10a、接着ゴム層10b、及び外側ゴム層10cの三層構造を有し、接着ゴム層10bに心線14が埋設された試験評価用の以下の実施例2-1〜2-6及び比較例2-1〜2-4の平ベルトを作製した。なお、それぞれの構成は表2にも示す。
<実施例2-1>
H−NBRラテックス(日本ゼオン社製 商品名:ZLX−B)と機械的解繊手段によって製造された木材を原料とするセルロース微細繊維の水分散体とを混合し、水を気化させてセルロース微細繊維/H−NBRのマスターバッチを作製した。
続いて、H−NBR(日本ゼオン社製 商品名:Zetpol 2020)を素練りすると共に、そこにマスターバッチを投入して混練した。マスターバッチの投入量は、トータルのH−NBRを100質量部としたときのセルロース微細繊維の含有量が5質量部となる量とした。
そして、H−NBRとセルロース微細繊維とを混練すると共に、そこに、H−NBR100質量部に対し、発泡剤を7質量部、補強材のカーボンブラックを40質量部、オイルを10質量部、架橋剤の有機過酸化物(日油社製 商品名:ペロキシモンF40 有効成分40質量%)を5質量部(有効成分2質量%)、及び共架橋剤(精工化学社製 商品名:ハイクロスM)を1質量部それぞれ投入して混練を継続することにより未架橋ゴム組成物を作製した。発泡剤及びセルロース微細繊維のゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は12質量部である。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は45質量部である。
この未架橋ゴム組成物をシート状に成形して内側ゴム層用の未架橋ゴムシートとし、実施例2-1の平ベルトを作製した。
なお、接着ゴム層及び外側ゴム層をH−NBRゴム組成物で形成し、また、接着処理を施したアラミド繊維製の撚り糸で心線を形成した。
<実施例2-2>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、カーボンブラック及びセルロース微細繊維の含有量をそれぞれゴム成分100質量部に対して10質量部及び20質量部としたことを除いて実施例2-1と同様の構成の実施例2-2の平ベルトを作製した。発泡剤及びセルロース微細繊維のゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は27質量部である。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は30質量部である。
<実施例2-3>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、セルロース微細繊維として、化学的解繊手段(TEMPO酸化処理)によって製造されたセルロース微細繊維を用い、セルロース微細繊維の含有量をゴム成分100質量部に対して1質量部としたことを除いて実施例2-1と同様の構成の実施例2-3の平ベルトを作製した。発泡剤及びセルロース微細繊維のゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は8質量部である。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は41質量部である。
<実施例2-4>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、カーボンブラック及びセルロース微細繊維の含有量をそれぞれゴム成分100質量部に対して20質量部及び5質量部としたことを除いて実施例2-3と同様の構成の実施例2-4の平ベルトを作製した。発泡剤及びセルロース微細繊維のゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は12質量部である。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は25質量部である。
<実施例2-5>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、カーボンブラック及びセルロース微細繊維の含有量をそれぞれゴム成分100質量部に対して10質量部及び10質量部としたことを除いて実施例2-3と同様の構成の実施例2-4の平ベルトを作製した。発泡剤及びセルロース微細繊維のゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は17質量部である。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は20質量部である。
<実施例2-6>
二軸押出混練装置を用い、温度100℃及び圧力20MPaの超臨界二酸化炭素の存在下において、H−NBRと、そのH−NBR100質量部に対し、化学的解繊手段(TEMPO酸化処理)によって製造された木材を原料とするセルロース微細繊維を5質量部、補強材のカーボンブラックを20質量部、オイルを10質量部、架橋剤の有機過酸化物を5質量部、及び共架橋剤を1質量部とを混練し、しかる後に減圧速度を7MPa/sとして減圧して未架橋ゴム組成物を作製した。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は25質量部である。
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートとして、この未架橋ゴム組成物を用いたことを除いて実施例2-1と同様の構成の実施例2-6の平ベルトを作製した。
<比較例2-1>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、セルロース微細繊維を含有させていないことを除いて実施例2-1と同様の構成の比較例2-1の平ベルトを作製した。
<比較例2-2>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、発泡剤を含有させていないことを除いて実施例2-1と同様の構成の比較例2-2の平ベルトを作製した。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は45質量部である。
<比較例2-3>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、発泡剤を含有させていないことを除いて実施例2-4と同様の構成の比較例2-3の平ベルトを作製した。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は25質量部である。
<比較例2-4>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、セルロース微細繊維を含有させていないことを除いて実施例2-6と同様の構成の比較例2-4の平ベルトを作製した。
Figure 2016211587
(試験評価方法)
実施例2-1〜2-6のそれぞれの平ベルトについて、試験評価1と同様にセルロース微細繊維の平均繊維径及び繊維径分布を求めた。また、実施例2-1〜2-6及び比較例2-1〜2-4のそれぞれの平ベルトについて、試験評価1と同様に ベルト質量を測定して比較例1-2を基準として相対評価すると共に、耐クラック性評価ベルト走行試験、高張力ベルト走行試験、摩擦係数測定試験、及び被水時異音評価ベルト走行試験を実施した。なお、耐クラック性評価ベルト走行試験及び高張力ベルト走行試験では、雰囲気温度を120℃とした。
(試験評価結果)
試験結果を表2に示す。
表2によれば、ゴム成分をH−NBRとしても、試験評価1と同様の結果が得られていることが分かる。
[試験評価3]
(平ベルト)
図12に示すようなベルト本体10が内側ゴム層10a、接着ゴム層10b、及び外側ゴム層10cの三層構造を有し、接着ゴム層10bに心線14が埋設された試験評価用の以下の実施例3-1〜3-6及び比較例3-1〜3-4の平ベルトを作製した。なお、それぞれの構成は表3にも示す。
<実施例3-1>
トルエンに機械的解繊手段によって製造されたセルロース微細繊維を分散させた分散体と、トルエンにEPDM(JSR社製 商品名:EP33)を溶解させた溶液とを混合し、トルエンを気化させてセルロース微細繊維/EPDMのマスターバッチを作製した。
次いで、EPDMを素練りすると共に、そこにマスターバッチを投入して混練した。マスターバッチの投入量は、トータルのEPDMを100質量部としたときのセルロース微細繊維の含有量が5質量部となる量とした。
そして、EPDMとセルロース微細繊維とを混練すると共に、そこに、EPDM100質量部に対し、発泡剤を7質量部、補強材のカーボンブラックを40質量部、オイルを10質量部、架橋剤の有機過酸化物を5質量部、及び共架橋剤を1質量部それぞれ投入して混練を継続することにより未架橋ゴム組成物を作製した。発泡剤及びセルロース微細繊維のゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は12質量部である。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は45質量部である。
この未架橋ゴム組成物をシート状に成形して内側ゴム層用の未架橋ゴムシートとし、実施例3-1の平ベルトを作製した。
なお、接着ゴム層及び外側ゴム層をEPDMゴム組成物で形成し、また、接着処理を施したアラミド繊維製の撚り糸で心線を形成した。
<実施例3-2>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、カーボンブラック及びセルロース微細繊維の含有量をそれぞれゴム成分100質量部に対して10質量部及び20質量部としたことを除いて実施例3-1と同様の構成の実施例3-2の平ベルトを作製した。発泡剤及びセルロース微細繊維のゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は27質量部である。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は30質量部である。
<実施例3-3>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、セルロース微細繊維として、化学的解繊手段(TEMPO酸化処理)によって製造されたセルロース微細繊維を用い、セルロース微細繊維の含有量をゴム成分100質量部に対して1質量部としたことを除いて実施例3-1と同様の構成の実施例3-3の平ベルトを作製した。発泡剤及びセルロース微細繊維のゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は8質量部である。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は41質量部である。
<実施例3-4>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、カーボンブラック及びセルロース微細繊維の含有量をそれぞれゴム成分100質量部に対して20質量部及び5質量部としたことを除いて実施例3-3と同様の構成の実施例3-4の平ベルトを作製した。発泡剤及びセルロース微細繊維のゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は12質量部である。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は25質量部である。
<実施例3-5>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、カーボンブラック及びセルロース微細繊維の含有量をそれぞれゴム成分100質量部に対して10質量部及び10質量部としたことを除いて実施例3-3と同様の構成の実施例3-4の平ベルトを作製した。発泡剤及びセルロース微細繊維のゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は17質量部である。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は20質量部である。
<実施例3-6>
二軸押出混練装置を用い、温度100℃及び圧力20MPaの超臨界二酸化炭素の存在下において、EPDMと、そのEPDM100質量部に対し、化学的解繊手段(TEMPO酸化処理)によって製造されたセルロース微細繊維を5質量部、補強材のカーボンブラックを20質量部、オイルを10質量部、架橋剤の有機過酸化物を5質量部、及び共架橋剤を1質量部とを混練し、しかる後に減圧速度を7MPa/sとして減圧して未架橋ゴム組成物を作製した。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は25質量部である。
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートとして、この未架橋ゴム組成物を用いたことを除いて実施例3-1と同様の構成の実施例3-6の平ベルトを作製した。
<比較例3-1>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、セルロース微細繊維を含有させていないことを除いて実施例3-1と同様の構成の比較例3-1の平ベルトを作製した。
<比較例3-2>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、発泡剤を含有させていないことを除いて実施例3-1と同様の構成の比較例3-2の平ベルトを作製した。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は45質量部である。
<比較例3-3>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、発泡剤を含有させていないことを除いて実施例3-4と同様の構成の比較例3-3の平ベルトを作製した。セルロース系微細繊維及びカーボンブラックのゴム成分100質量部に対するトータルの含有量は25質量部である。
<比較例3-4>
内側ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、セルロース微細繊維を含有させていないことを除いて実施例3-6と同様の構成の比較例3-4の平ベルトを作製した。
Figure 2016211587
(試験評価方法)
実施例2-1〜2-6のそれぞれの平ベルトについて、試験評価1と同様にセルロース微細繊維の平均繊維径及び繊維径分布を求めた。また、実施例2-1〜2-6及び比較例2-1〜2-4のそれぞれの平ベルトについて、試験評価1と同様に ベルト質量を測定して比較例1-2を基準として相対評価すると共に、耐クラック性評価ベルト走行試験、高張力ベルト走行試験、摩擦係数測定試験、及び被水時異音評価ベルト走行試験を実施した。なお、耐クラック性評価ベルト走行試験及び高張力ベルト走行試験では、雰囲気温度を120℃とした。
(試験評価結果)
試験結果を表3に示す。
表3によれば、ゴム成分をEPDMとしても、試験評価1及び2と同様の結果が得られていることが分かる。
本発明は、伝動ベルト及びその製造方法の技術分野について有用である。
B Vリブドベルト,平ベルト(伝動ベルト)
10 (Vリブド)ベルト本体
10a 内側ゴム層
11a 表面ゴム層

Claims (5)

  1. ベルト本体の少なくとも一部が多孔のゴム組成物で形成された伝動ベルトであって、前記多孔のゴム組成物がセルロース系微細繊維を含む伝動ベルト。
  2. 請求項1に記載された伝動ベルトにおいて、
    前記セルロース系微細繊維の繊維径の分布範囲が20nm〜1μmを含む伝動ベルト。
  3. 請求項1又は2に記載された伝動ベルトにおいて、
    前記多孔のゴム組成物におけるゴム成分100質量部に対するセルロース系微細繊維の含有量が1〜20質量部である伝動ベルト。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載された伝動ベルトにおいて、
    前記ベルト本体のプーリ接触部分が前記多孔のゴム組成物で形成されている伝動ベルト。
  5. ベルト本体の少なくとも一部がセルロース系微細繊維を含む多孔のゴム組成物で形成された伝動ベルトの製造方法であって、
    前記多孔のゴム組成物を、発泡剤又は超臨界流体若しくは亜臨界流体を用いて形成する伝動ベルトの製造方法。
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