JPWO2016001973A1 - ターゲット供給装置、ターゲット物質の精製方法、ターゲット物質の精製プログラム、ターゲット物質の精製プログラムを記録した記録媒体、および、ターゲット生成器 - Google Patents

ターゲット供給装置、ターゲット物質の精製方法、ターゲット物質の精製プログラム、ターゲット物質の精製プログラムを記録した記録媒体、および、ターゲット生成器 Download PDF

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Abstract

ターゲット供給装置(7A)は、金属のターゲット物質(270)を収容するタンク(84A)と、タンク(84A)からターゲット物質(270)を出力するノズル孔(822A)を有するノズル(86A)と、タンク(84A)内のターゲット物質(270)をノズル孔(822A)に導くための連通部(860A)に配置されたフィルタ(831A)と、タンク(84A)内のターゲット物質(270)の温度を変化させる温度可変装置(78A)と、タンク(84A)内のターゲット物質(270)の温度を変化させることによりターゲット物質(270)中の酸素を金属酸化物として析出させるように、温度可変装置(78A)を制御する制御部(71A)とを備えてもよい。

Description

本開示は、ターゲット供給装置、ターゲット物質の精製方法、ターゲット物質の精製プログラム、ターゲット物質の精製プログラムを記録した記録媒体、および、ターゲット生成器に関する。
近年、半導体プロセスの微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、45nm〜70nmの微細加工、さらには32nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、例えば32nm以下の微細加工の要求に応えるべく、波長13nm程度の極端紫外(EUV)光を生成するための装置と縮小投影反射光学系とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
EUV光生成装置としては、ターゲット物質にレーザ光を照射することによって生成されるプラズマが用いられるLPP(Laser Produced Plasma)式の装置と、放電によって生成されるプラズマが用いられるDPP(Discharge Produced Plasma)式の装置と、軌道放射光が用いられるSR(Synchrotron Radiation)式の装置との3種類の装置が提案されている。
特開2010−118652号公報 特開2011−216860号公報 特開2013−179029号公報 特開2013−201118号公報 米国特許第7122816号明細書 米国特許第7449703号明細書
概要
本開示の一態様によるターゲット供給装置は、金属のターゲット物質を収容するタンクと、前記タンクから前記ターゲット物質を出力するノズル孔を有するノズルと、前記タンク内の前記ターゲット物質を前記ノズル孔に導くための連通部に配置されたフィルタと、前記タンク内の前記ターゲット物質の温度を変化させる温度可変装置と、前記タンク内の前記ターゲット物質の温度を変化させることにより前記ターゲット物質中の固溶酸素を金属酸化物として析出させるように、前記温度可変装置を制御する制御部とを備えてもよい。
本開示の一態様によるターゲット供給装置は、金属のターゲット物質を収容するタンクと、前記タンクから前記ターゲット物質を出力するノズル孔を有するノズルと、前記タンク内の前記ターゲット物質を前記ノズル孔に導くための連通部に配置されたフィルタと、前記タンク内の前記ターゲット物質の温度を変化させる温度可変装置と、前記フィルタと前記ノズル孔との間に前記ターゲット物質が収容されていない状態で、前記タンク内のターゲット物質の温度を、前記ターゲット物質の融点よりも高い第1の温度と、前記第1の温度よりも低い第2の温度との間で少なくとも1回変化させるように前記温度可変装置を制御する制御部とを備えてもよい。
本開示の一態様によるターゲット供給装置は、金属のターゲット物質を収容するタンクと、前記タンクから前記ターゲット物質を出力するノズル孔を有するノズルと、前記タンク内の前記ターゲット物質を前記ノズル孔に導くための連通部に配置されたフィルタと、前記タンク内の前記ターゲット物質の温度を変化させる温度可変装置と、前記タンク内を排気する排気部と、前記タンク内を大気圧より低圧になるように前記排気部を制御した状態で、前記タンク内のターゲット物質の温度を、前記ターゲット物質の融点よりも高い第1の温度と、前記第1の温度よりも低い第2の温度との間で少なくとも1回変化させるように前記温度可変装置を制御する制御部とを備えてもよい。
本開示の一態様によるターゲット物質の精製方法は、金属のターゲット物質を収容するタンク、前記タンクから前記ターゲット物質を出力するノズル孔を有するノズル、および、前記タンク内の前記ターゲット物質を前記ノズル孔に導くための連通部に配置されたフィルタを備えるターゲット生成器と、前記タンク内の前記ターゲット物質の温度を変化させる温度可変装置とを用い、前記温度可変装置により前記タンク内の前記ターゲット物質の温度を変化させることで、前記ターゲット物質中の酸素を金属酸化物として析出させる工程と、前記析出させた前記金属酸化物を含む液体の前記ターゲット物質を、前記フィルタによって濾過する工程とを含んでもよい。
本開示の一態様によるターゲット物質の精製プログラムは、上述のターゲット物質の精製方法における前記温度可変装置の制御を、コンピュータに実行させてもよい。
本開示の一態様によるターゲット物質の精製プログラムを記録した記録媒体は、上述のターゲット物質の精製プログラムがコンピュータにて読み取り可能に記録されてもよい。
本開示の一態様によるターゲット生成器は、上述のターゲット物質の精製方法で精製されて凝固したターゲット物質が充填されてもよい。
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1は、LPP方式のEUV光生成装置の構成を概略的に示す。 図2は、第1実施形態に係るターゲット供給装置を含むEUV光生成装置の構成を概略的に示す。 図3は、ターゲット供給装置の構成を概略的に示す。 図4は、スズに対する酸素原子の溶解度を示すグラフである。 図5は、ターゲット物質を当該ターゲット物質の融点以上の所定の温度まで加熱したときに生じ得る現象を概略的に示す。 図6は、ターゲット物質を当該ターゲット物質の融点以上の所定の温度まで加熱したときに生じ得る現象を概略的に示し、図5に続く状態を示す。 図7は、ターゲット物質を当該ターゲット物質の融点以上の所定の温度まで加熱したときに生じ得る現象を概略的に示し、図6に続く状態を示す。 図8は、ターゲット物質の精製方法を示すフローチャートである。 図9は、ターゲット精製方法を示すタイミングチャートである。 図10は、金属酸化物の析出処理を示すフローチャートである。 図11は、金属酸化物の析出処理が終了した状態を概略的に示す。 図12は、ターゲット物質の精製方法に基づく処理が終了した状態を概略的に示す。 図13は、第1実施形態の変形例に係る金属酸化物の析出処理を示すフローチャートである。 図14は、ターゲット精製方法を示すタイミングチャートである。 図15は、第2実施形態に係るターゲット供給装置の構成を概略的に示す。 図16は、第2実施形態に係るターゲット物質の精製方法を示すフローチャートである。 図17は、金属酸化物の析出処理を示すフローチャートである。 図18は、ターゲット物質の凝固確認処理を示すフローチャートである。 図19は、ターゲット物質の融解確認処理を示すフローチャートである。 図20は、第2実施形態の変形例に係るターゲット物質の凝固確認処理を示すフローチャートである。 図21は、ターゲット物質の凝固確認方法を示す説明図である。 図22は、ターゲット物質の融解確認処理を示すフローチャートである。 図23は、ターゲット物質の融解確認方法を示す説明図である。 図24は、第3実施形態に係るターゲット供給装置の構成を概略的に示す。 図25は、第3実施形態に係る金属酸化物の析出処理を示すフローチャートである。 図26は、ターゲット精製方法を示すタイミングチャートである。 図27は、第1領域の温度制御処理を示すフローチャートである。 図28は、第2領域の温度制御処理を示すフローチャートである。 図29は、第3領域の温度制御処理を示すフローチャートである。 図30は、第4領域の温度制御処理を示すフローチャートである。 図31は、インゴットが第1領域、第2領域、第3領域、第4領域の順序で融解したときに生じ得る現象を概略的に示す。 図32は、第3実施形態の変形例に係る金属酸化物の析出処理を示すフローチャートである。 図33は、ターゲット精製方法を示すタイミングチャートである。 図34は、第3,第4領域の温度制御処理を示すフローチャートである。 図35は、第4実施形態に係るターゲット供給タンクおよびターゲット収容タンクを含むターゲット供給装置の構成を概略的に示す。 図36は、コントローラの概略構成を示すブロック図である。
実施形態
内容
1.概要
2.EUV光生成装置の全体説明
2.1 構成
2.2 動作
3.ターゲット供給装置を含むEUV光生成装置
3.1 用語の説明
3.2 第1実施形態
3.2.1 概略
3.2.2 構成
3.2.3 スズに対する酸素原子の溶解度
3.2.4 動作
3.2.5 第1実施形態の変形例
3.2.5.1 動作
3.3 第2実施形態
3.3.1 構成
3.3.2 動作
3.3.3 第2実施形態の変形例
3.3.3.1 構成
3.3.3.2 動作
3.4 第3実施形態
3.4.1 構成
3.4.2 動作
3.4.3 第3実施形態の変形例
3.4.3.1 動作
4.ターゲット供給タンクおよびターゲット収容タンクを含むターゲット供給装置
4.1 第4実施形態
4.1.1 構成
4.1.2 動作
5.コントローラ
5.1 構成
5.2 動作
6.他の変形例
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成および動作の全てが本開示の構成および動作として必須であるとは限らない。また、図1以外の図面を用いて説明する実施形態において、図1に示す構成要素のうち、本開示の説明に必須でない構成については、図示を省略する場合がある。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
1.概要
本開示の実施形態においては、ターゲット供給装置は、金属のターゲット物質を収容するタンクと、前記タンクから前記ターゲット物質を出力するノズル孔を有するノズルと、前記タンク内の前記ターゲット物質を前記ノズル孔に導くための連通部に配置されたフィルタと、前記タンク内の前記ターゲット物質の温度を変化させる温度可変装置と、前記タンク内の前記ターゲット物質の温度を変化させることにより前記ターゲット物質中の固溶酸素を金属酸化物として析出させるように、前記温度可変装置を制御する制御部とを備えてもよい。
本開示の実施形態においては、ターゲット供給装置は、金属のターゲット物質を収容するタンクと、前記タンクから前記ターゲット物質を出力するノズル孔を有するノズルと、前記タンク内の前記ターゲット物質を前記ノズル孔に導くための連通部に配置されたフィルタと、前記タンク内の前記ターゲット物質の温度を変化させる温度可変装置と、前記フィルタと前記ノズル孔との間に前記ターゲット物質が収容されていない状態で、前記タンク内のターゲット物質の温度を、前記ターゲット物質の融点よりも高い第1の温度と、前記第1の温度よりも低い第2の温度との間で少なくとも1回変化させるように前記温度可変装置を制御する制御部とを備えてもよい。
本開示の実施形態においては、ターゲット供給装置は、金属のターゲット物質を収容するタンクと、前記タンクから前記ターゲット物質を出力するノズル孔を有するノズルと、前記タンク内の前記ターゲット物質を前記ノズル孔に導くための連通部に配置されたフィルタと、前記タンク内の前記ターゲット物質の温度を変化させる温度可変装置と、前記タンク内を排気する排気部と、前記タンク内を大気圧より低圧になるように前記排気部を制御した状態で、前記タンク内のターゲット物質の温度を、前記ターゲット物質の融点よりも高い第1の温度と、前記第1の温度よりも低い第2の温度との間で少なくとも1回変化させるように前記温度可変装置を制御する制御部とを備えてもよい。
本開示の実施形態においては、ターゲット物質の精製方法は、金属のターゲット物質を収容するタンク、前記タンクから前記ターゲット物質を出力するノズル孔を有するノズル、および、前記タンク内の前記ターゲット物質を前記ノズル孔に導くための連通部に配置されたフィルタを備えるターゲット生成器と、前記タンク内の前記ターゲット物質の温度を変化させる温度可変装置とを用い、前記温度可変装置により前記タンク内の前記ターゲット物質の温度を変化させることで、前記ターゲット物質中の固溶酸素を金属酸化物として析出させる工程と、前記析出させた前記金属酸化物を含む液体の前記ターゲット物質を、前記フィルタによって濾過する工程とを含んでもよい。
本開示の実施形態においては、ターゲット物質の精製プログラムは、上述のターゲット物質の精製方法における前記温度可変装置の制御を、コンピュータに実行させてもよい。
本開示の実施形態においては、ターゲット物質の精製プログラムを記録した記録媒体は、上述のターゲット物質の精製プログラムがコンピュータにて読み取り可能に記録されてもよい。
本開示の実施形態においては、ターゲット生成器は、上述のターゲット物質の精製方法で精製されて凝固したターゲット物質が充填されてもよい。
2.EUV光生成装置の全体説明
2.1 構成
図1に、例示的なLPP式のEUV光生成システムの構成を概略的に示す。EUV光生成装置1は、少なくとも1つのレーザ装置3と共に用いられてもよい。本願においては、EUV光生成装置1およびレーザ装置3を含むシステムを、EUV光生成システム11と称する。図1に示し、かつ、以下に詳細に説明するように、EUV光生成装置1は、チャンバ2、ターゲット供給装置7を含んでもよい。チャンバ2は、密閉可能であってもよい。ターゲット供給装置7は、例えば、チャンバ2の壁を貫通するように取り付けられてもよい。ターゲット供給装置7から供給されるターゲット物質の材料は、スズ、テルビウム、ガドリニウム、リチウム、キセノン、又は、それらの内のいずれか2つ以上の組合せを含んでもよいが、これらに限定されない。
チャンバ2の壁には、少なくとも1つの貫通孔が設けられていてもよい。その貫通孔には、ウインドウ21が設けられてもよく、ウインドウ21をレーザ装置3から出力されるパルスレーザ光32が透過してもよい。チャンバ2の内部には、例えば、回転楕円面形状の反射面を有するEUV集光ミラー23が配置されてもよい。EUV集光ミラー23は、第1および第2の焦点を有し得る。EUV集光ミラー23の表面には、例えば、モリブデンとシリコンとが交互に積層された多層反射膜が形成されていてもよい。EUV集光ミラー23は、例えば、その第1の焦点がプラズマ生成領域25に位置し、その第2の焦点が中間集光点(IF)292に位置するように配置されるのが好ましい。EUV集光ミラー23の中央部には貫通孔24が設けられていてもよく、貫通孔24をパルスレーザ光33が通過してもよい。
EUV光生成装置1は、EUV光生成制御システム5、ターゲットセンサ4等を含んでもよい。ターゲットセンサ4は、撮像機能を有してもよく、ターゲットとしてのドロップレット27の存在、軌跡、位置、速度等を検出するよう構成されてもよい。
また、EUV光生成装置1は、チャンバ2の内部と露光装置6の内部とを連通させる接続部29を含んでもよい。接続部29内部には、アパーチャ293が形成された壁291が設けられてもよい。壁291は、そのアパーチャ293がEUV集光ミラー23の第2の焦点位置に位置するように配置されてもよい。
さらに、EUV光生成装置1は、レーザ光進行方向制御部34、レーザ光集光ミラー22、ドロップレット27を回収するためのターゲット回収部28等を含んでもよい。レーザ光進行方向制御部34は、レーザ光の進行方向を規定するための光学素子と、この光学素子の位置、姿勢等を調整するためのアクチュエータとを備えてもよい。
2.2 動作
図1を参照に、レーザ装置3から出力されたパルスレーザ光31は、レーザ光進行方向制御部34を経て、パルスレーザ光32としてウインドウ21を透過してチャンバ2内に入射してもよい。パルスレーザ光32は、少なくとも1つのレーザ光経路に沿ってチャンバ2内を進み、レーザ光集光ミラー22で反射されて、パルスレーザ光33として少なくとも1つのドロップレット27に照射されてもよい。
ターゲット供給装置7は、ドロップレット27をチャンバ2内部のプラズマ生成領域25に向けて出力するよう構成されてもよい。ドロップレット27には、パルスレーザ光33に含まれる少なくとも1つのパルスが照射されてもよい。パルスレーザ光が照射されたドロップレット27はプラズマ化し、そのプラズマから放射光251が放射され得る。放射光251に含まれるEUV光252は、EUV集光ミラー23によって選択的に反射されてもよい。EUV集光ミラー23によって反射されたEUV光252は、中間集光点292で集光され、露光装置6に出力されてもよい。なお、1つのドロップレット27に、パルスレーザ光33に含まれる複数のパルスが照射されてもよい。
EUV光生成制御システム5は、EUV光生成システム11全体の制御を統括するよう構成されてもよい。EUV光生成制御システム5は、ターゲットセンサ4によって撮像されたドロップレット27のイメージデータ等を処理するよう構成されてもよい。また、EUV光生成制御システム5は、例えば、ドロップレット27が出力されるタイミング、ドロップレット27の出力方向等を制御するよう構成されてもよい。さらに、EUV光生成制御システム5は、例えば、レーザ装置3の発振タイミング、パルスレーザ光32の進行方向、パルスレーザ光33の集光位置等を制御するよう構成されてもよい。上述の様々な制御は単なる例示に過ぎず、必要に応じて他の制御が追加されてもよい。
3.ターゲット供給装置を含むEUV光生成装置
3.1 用語の説明
以下、図面を用いた説明において、方向に関する用語は各図に示したXYZ軸を基準として説明する場合がある。なお、これらの表現は、重力方向10Bとの関係を表すものではない。ターゲット物質270がスズの場合、スズの酸化物を、「金属酸化物」と表現する場合があり得る。また、スズ中に固溶されていたり、金属中に過飽和の状態で溶け込んでいる酸素を単に「酸素」と表現する場合がある。ターゲット物質270に印加する圧力であって、当該ターゲット物質270をフィルタ831A(図3参照)内、フィルタ884D(図35参照)内に浸入させることができる最小の圧力を、「浸入圧力」と表現する場合があり得る。ターゲット物質270に印加する圧力であって、当該ターゲット物質270をノズル86A(図3参照)から所定の速度で出力させることができる最小の圧力を、「出力圧力」と表現する場合があり得る。ターゲット物質の精製方法に基づく処理を、「ターゲット物質の精製処理」と表現する場合があり得る。ターゲット物質270の融点以上の温度であって、当該ターゲット物質270をターゲット供給装置7Aから出力させることができる温度を、「出力温度」と表現する場合がある。図面において、本開示のタンクであるターゲット収容タンク84Aまたはターゲット供給タンク87D(図35参照)を、「タンク」と表現する場合がある。
3.2 第1実施形態
3.2.1 概略
本開示の第1実施形態のターゲット供給装置において、制御部は、タンク内のターゲット物質の温度を、ターゲット物質の融点よりも高い第1の温度と、第1の温度よりも低い第2の温度との間で少なくとも1回変化させるように温度可変装置を制御してもよい。
本開示の第1実施形態のターゲット物質の精製方法において、ターゲット物質中の固溶酸素を金属酸化物として析出させる工程は、タンク内のターゲット物質の温度を、ターゲット物質の融点よりも高い第1の温度と、第1の温度よりも低い第2の温度との間で少なくとも1回変化させるように温度可変装置を制御する工程を含んでもよい。
本開示の第1実施形態のターゲット供給装置またはターゲット物質の精製方法において、第2の温度は、ターゲット物質の融点より低い温度であってもよい。
3.2.2 構成
図2は、第1実施形態に係るターゲット供給装置を含むEUV光生成装置の構成を概略的に示す。図3は、ターゲット供給装置の構成を概略的に示す。
EUV光生成装置1Aは、図2に示すように、チャンバ2と、ターゲット供給装置7Aとを備えてもよい。ターゲット供給装置7Aは、ターゲット生成部70Aと、制御部としてのターゲット制御装置71Aとを備えてもよい。ターゲット制御装置71Aには、レーザ装置3と、ターゲットセンサ4と、EUV光生成制御システム5Aとが電気的に接続されてもよい。
ターゲット生成部70Aは、図2および図3に示すように、ターゲット生成器8Aと、圧力調節器75Aと、排気部77Aと、温度可変装置78Aと、ピエゾ部79Aとを備えてもよい。
ターゲット生成器8Aは、生成器本体80Aと、蓋部81Aと、ノズル先端部82Aと、フィルタ部83Aとを備えてもよい。
生成器本体80Aは、+Z方向側の第1面に壁面を備える略円筒状に形成されたターゲット収容タンク84Aを備えてもよい。ターゲット収容タンク84Aは、本開示のタンクであってもよい。ターゲット収容タンク84Aの中空部は、ターゲット物質270を収容する収容空間840Aであってもよい。
ターゲット収容タンク84Aには、ノズル本体85Aが設けられてもよい。ノズル本体85Aは、ターゲット収容タンク84Aの第1面の中央から+Z方向に延びる略円筒状に形成されてもよい。ノズル本体85Aの中空部は、収容空間840A内のターゲット物質270がノズル先端部82Aに送られるための貫通孔850Aであってもよい。
蓋部81Aは、ターゲット収容タンク84Aの−Z方向側の第2面を閉塞する略円板状に形成されてもよい。蓋部81Aは、ターゲット収容タンク84Aの第2面に密着するように設けられてもよい。
ノズル先端部82Aは、略円板状に形成されてもよい。ノズル先端部82Aの外径は、ノズル本体85Aの外径と略等しくてもよい。ノズル先端部82Aは、ノズル本体85Aの+Z方向側の端部に密着するように設けられてもよい。ノズル先端部82Aの中央には、円錐台状の突出部820Aが設けられてもよい。ノズル先端部82Aの中央には、上下方向(Z軸方向)に貫通する貫通孔821Aが設けられてもよい。貫通孔821Aは、貫通孔850Aに連通してもよい。貫通孔821Aは、+Z方向に向かうにしたがって径寸法が小さくなる形状であってもよい。貫通孔821Aの+Z方向側の端部は、ノズル孔822Aであってもよい。ノズル孔822Aの直径は、1μm〜15μmであってもよい。貫通孔850Aおよび貫通孔821Aは、ターゲット収容タンク84A内のターゲット物質270を、ノズル孔822Aに導くための連通部860Aを構成してもよい。
ノズル本体85Aおよびノズル先端部82Aは、連通部860Aと収容空間840Aとが連通するように設けられたノズル86Aを構成してもよい。ノズル86Aは、ターゲット収容タンク84Aの第1面からチャンバ2内に突出するように設けられてもよい。
ノズル先端部82Aは、ノズル先端部82Aとターゲット物質270との接触角が90°以上の材料で構成されるのが好ましい。あるいは、ノズル先端部82Aの少なくとも表面が、当該接触角が90°以上の材料でコーティングされてもよい。例えばターゲット物質270がスズの場合、接触角が90°以上の材料は、SiC、SiO、Al、モリブデン、タングステンであってもよい。
フィルタ部83Aは、フィルタ831Aと、ホルダ832Aとを備えてもよい。
フィルタ831Aは、ノズル86Aの連通部860Aに配置されてもよい。フィルタ831Aは、第1フィルタを備えてもよい。第1フィルタは、金属酸化物を捕集するために、多孔質の材料で作られてもよい。第1フィルタには、口径が3μm〜10μm程度の無数の貫通細孔が設けられてもよい。複数の貫通細孔は、様々な方向に屈曲して、第1フィルタを貫通してもよい。
第1フィルタは、ターゲット物質270との反応性が低い材料で形成されてもよい。第1フィルタを構成する材料の線熱膨張係数とターゲット生成器8Aを構成する材料の線熱膨張係数との差は、ターゲット生成器8Aを構成する材料の線熱膨張係数の20%より小さくてもよい。
ターゲット生成器8Aがモリブデンまたはタングステンにより形成されている場合、第1フィルタの材料は、例えば、SPGテクノ株式会社より提供されるシラス多孔質ガラス(SPG)であってもよい。SPGは火山灰シラスを原料とする多孔質ガラスであってもよい。
フィルタ831Aは、第1フィルタのノズル孔822A側に設けられた第2フィルタを、さらに備えてもよい。第2フィルタは、複数の毛細管を束ねることで板状に形成されてもよい。毛細管の貫通孔は、上下方向(Z軸方向)に貫通してもよい。毛細管の口径は、0.1μm〜2μmであってもよい。
第2フィルタは、液体のターゲット物質270と反応して、固体の反応生成物を生成するガラスで形成されてもよい。第2フィルタの毛細管を構成するガラスは、低融点であってもよい。毛細管を低融点のガラスで構成することにより、毛細管を高融点の石英ガラスで構成する場合と比べて、口径が小さい毛細管を形成することが可能となり得る。低融点のガラスは、鉛を含んでもよい。
ターゲット物質270がスズの場合、第2フィルタを低融点のガラスで形成すると、低融点のガラスの鉛とスズとが還元反応し、固体の鉛が析出し得る。低融点のガラスから固体の鉛が析出すると、残りのガラス構造が損傷し、固体のSiOが生成され得る。
その結果、第2フィルタを構成する低融点のガラスと、ターゲット物質270であるスズとが反応すると、SnO、SnO、SiO等のパーティクルが生成され得る。
このパーティクルが生成されることを抑制するために、毛細管の貫通孔の内表面には、コーティング膜が設けられてもよい。コーティング膜は、液体のターゲット物質270と反応し難い材料をコーティングすることにより形成されてもよい。
なお、フィルタ831Aは、第1フィルタおよび第2フィルタのうち一方のみを備えてもよい。
ホルダ832Aは、筒状に形成されてもよい。ターゲット物質270がスズの場合、ホルダ832Aは、スズとの反応性が低いモリブデンにより形成されてもよい。ホルダ832Aは、連通部860Aを塞ぐように、フィルタ831Aを保持してもよい。フィルタ831Aにより、連通部860Aが、フィルタ831Aよりターゲット収容タンク84A側の第1連通部861Aと、フィルタ831Aよりノズル孔822A側の第2連通部862Aとに分けられてもよい。
チャンバ2の設置形態によっては、予め設定されるドロップレット27の出力方向は、必ずしも重力方向10Bと一致するとは限らない。予め設定されるドロップレット27の出力方向は、ノズル孔822Aの中心軸方向であってよく、以降、設定出力方向10Aと称する。重力方向10Bに対して、斜め方向や水平方向に、ドロップレット27が出力されるよう構成されてもよい。なお、第1実施形態では、設定出力方向10Aが重力方向10Bと一致するようにチャンバ2が設置されてもよい。
ターゲット生成器8Aの蓋部81Aには、配管754Aが設けられてもよい。配管754Aは、+Z方向側の端部が生成器本体80A内に位置するように設けられてもよい。配管754Aの−Z方向側の端部には、バルブV3を介して配管755Aの一方の端部が接続されてもよい。配管755Aの他方の端部は、圧力調節器75Aを介して不活性ガスボンベ751Aに接続されてもよい。このような構成によって、不活性ガスボンベ751A内の不活性ガスが、ターゲット生成器8Aに供給され得る。
配管755Aには、圧力調節器75Aが設けられてもよい。圧力調節器75Aは、第1バルブV1と、第2バルブV2と、圧力制御部752Aと、圧力センサ753Aとを備えてもよい。
第1バルブV1は、配管755Aに設けられてもよい。
配管755Aにおける第1バルブV1よりターゲット生成器8A側には、配管756Aが接続されてもよい。配管756Aは、一方の端部が配管755Aの側面に連結されてもよい。配管756Aの他方の端部には、排気部77Aが設けられてもよい。
第2バルブV2は、配管756Aの途中に設けられてもよい。
第1バルブV1および第2バルブV2は、ゲートバルブ、ボールバルブ、バタフライバルブなどのいずれかであってもよい。第1バルブV1と第2バルブV2とは、同じ種類のバルブであってもよいし、異なる種類のバルブであってもよい。
第1バルブV1および第2バルブV2には、圧力制御部752Aが電気的に接続されてもよい。ターゲット制御装置71Aは、圧力制御部752Aに第1バルブV1および第2バルブV2に関する信号を送信してもよい。第1バルブV1および第2バルブV2は、圧力制御部752Aから送信される信号に基づいて、それぞれ独立して開閉を切り替えられてもよい。
第1バルブV1が開くと、不活性ガスボンベ751A内の不活性ガスが、配管755A,754Aを介してターゲット生成器8A内に供給され得る。第2バルブV2が閉じている場合、配管755A,754Aおよびターゲット生成器8A内に存在する不活性ガスが、配管756Aの他方の端部から当該配管756Aの外部に排出されることを防止し得る。このことにより、第1バルブV1が開くとともに、第2バルブV2が閉じると、ターゲット生成器8A内の圧力を、不活性ガスボンベ751Aが備えるレギュレータ等によって設定された圧力まで上げることができてもよい。その後、ターゲット生成器8A内の圧力を、レギュレータ等によって設定された圧力で維持することができてもよい。
第1バルブV1が閉じると、不活性ガスボンベ751A内の不活性ガスが、配管755A,754Aを介してターゲット生成器8A内に供給されることを防止し得る。そして、第2バルブV2が開くとともに、排気部77Aが駆動すると、配管755A,754Aおよびターゲット生成器8A内に存在する不活性ガスが排気され得る。これにより、第1バルブV1が閉じ、かつ、第2バルブV2が開くとともに、排気部77Aが駆動すると、ターゲット生成器8A内の圧力を下げることができてもよい。
配管755Aにおける配管756Aよりターゲット生成器8A側には、配管757Aが連結されてもよい。配管757Aは、一方の端部が配管755Aの側面に接続されてもよい。配管757Aの他方の端部には、圧力センサ753Aが設けられてもよい。圧力センサ753Aには、圧力制御部752Aが電気的に接続されてもよい。圧力センサ753Aは、配管757A内に存在する不活性ガスの圧力を検出して、この検出した圧力に対応する信号を圧力制御部752Aに送信してもよい。配管757A内の圧力は、配管755A内、配管754A内およびターゲット生成器8A内の圧力とほぼ同一の圧力となり得る。
配管754A,755A,756A,757Aは、例えばステンレス鋼で形成されてもよい。
排気部77Aは、ポンプであってもよい。排気部77Aは、ターゲット制御装置71Aに電気的に接続されてもよい。排気部77Aは、ターゲット制御装置71Aから送信される信号に基づいて、配管756A内、配管755A内、配管754A内およびターゲット生成器8A内を排気してもよい。
温度可変装置78Aは、ターゲット生成器8A内のターゲット物質270の温度を制御するよう構成されてもよい。温度可変装置78Aは、ヒータ781Aと、ヒータ電源782Aと、温度センサ783Aと、温度コントローラ784Aとを備えてもよい。ヒータ781Aは、ターゲット収容タンク84Aの外周面に設けられてもよい。ヒータ電源782Aは、温度コントローラ784Aからの信号に基づいて、ヒータ781Aに電力を供給してヒータ781Aを発熱させてもよい。それにより、ターゲット収容タンク84A内のターゲット物質270が、ターゲット収容タンク84Aを介して加熱され得る。
温度センサ783Aは、ターゲット収容タンク84Aの外周面におけるノズル本体85A側に設けられてもよいし、ターゲット収容タンク84A内に設けられてもよい。温度センサ783Aは、ターゲット収容タンク84Aにおける温度センサ783Aの設置位置およびその近傍の位置の温度を検出して、当該検出した温度に対応する信号を温度コントローラ784Aに送信するよう構成されてもよい。温度センサ783Aの設置位置およびその近傍の位置の温度は、ターゲット収容タンク84A内のターゲット物質270の温度とほぼ同一の温度となり得る。
温度コントローラ784Aは、温度センサ783Aからの信号に基づいて、ターゲット物質270の温度を所定温度に制御するための信号をヒータ電源782Aに出力するよう構成されてもよい。
ピエゾ部79Aは、ピエゾ素子791Aと、電源792Aとを備えてもよい。ピエゾ素子791Aは、チャンバ2内において、ノズル本体85Aの先端側の外周面に設けられてもよい。ピエゾ素子791Aの代わりに、高速でノズル86Aに振動を加えることが可能な機構が設けられてもよい。電源792Aは、フィードスルー793Aを介してピエゾ素子791Aに電気的に接続されてもよい。電源792Aは、ターゲット制御装置71Aに電気的に接続されてもよい。
ターゲット生成部70Aは、コンティニュアスジェット方式でジェット27Aを生成し、ノズル86Aから出力したジェット27Aを振動させることで、ドロップレット27を生成するよう構成されてもよい。
3.2.3 スズに対する酸素原子の溶解度
図4は、スズに対する酸素原子の溶解度を示すグラフである。
ターゲット生成器8Aに収容されたターゲット物質270中には、酸素原子が溶解し得る。ターゲット物質270がスズの場合には、スズに対する酸素原子の溶解度は、図4に示すように、スズの温度が低くなるほど小さくなり得る。このため、第1融解温度まで加熱した後に凝固したスズを、第1融解温度よりも低い第2融解温度で再度融解した場合には、第1融解温度のスズに溶解可能な酸素原子の量から第2融解温度のスズに溶解可能な酸素原子の量を減じた量の酸素原子がスズに溶解できないこととなる。その結果、この溶解できない酸素原子がスズと結合して、金属酸化物としての酸化スズとして析出し得る。
3.2.4 動作
図5は、ターゲット物質を当該ターゲット物質の融点以上の所定の温度まで加熱したときに生じ得る現象を概略的に示す。図6は、ターゲット物質を当該ターゲット物質の融点以上の所定の温度まで加熱したときに生じ得る現象を概略的に示し、図5に続く状態を示す。図7は、ターゲット物質を当該ターゲット物質の融点以上の所定の温度まで加熱したときに生じ得る現象を概略的に示し、図6に続く状態を示す。図8は、ターゲット物質の精製方法を示すフローチャートである。図9は、ターゲット精製方法を示すタイミングチャートである。図10は、金属酸化物の析出処理を示すフローチャートである。図11は、金属酸化物の析出処理が終了した状態を概略的に示す。図12は、ターゲット物質の精製方法に基づく処理が終了した状態を概略的に示す。
なお、以下において、ターゲット物質270がスズの場合を例示して、ターゲット供給装置7Aの動作を説明する。
まず、ターゲット制御装置以外は第1実施形態のターゲット供給装置7Aと同様の構成を有するターゲット供給装置において発生し得る現象を説明する。
作業者は、図5に示すように、ターゲット生成器8Aのターゲット収容タンク84A内に、ターゲット物質270のインゴット275を収容してもよい。ターゲット生成器8Aにおける連通部860A内およびフィルタ831A内には、インゴット275が存在しなくてもよい。
ターゲット制御装置は、温度コントローラ784Aに信号を送信して、ターゲット生成器8A内のインゴット275を当該インゴット275の融点以上の所定の温度まで加熱してもよい。これにより、インゴット275が溶融して、液体のターゲット物質270になり得る。ターゲット制御装置は、ピエゾ素子791Aに所定の周波数の信号を送信してもよい。これにより、ピエゾ素子791Aが、ジェット27Aからドロップレット27を周期的に生成するように振動し得る。
ターゲット制御装置は、圧力制御部752Aに信号を送信して、ターゲット収容タンク84A内の圧力を出力圧力P2に設定してもよい。これにより、不活性ガスボンベ751A内の不活性ガスがターゲット収容タンク84A内に供給され、当該ターゲット収容タンク84A内の圧力が出力圧力P2に安定し得る。
ターゲット収容タンク84A内の圧力が上昇して侵入圧力を超えると、ターゲット収容タンク84A内の液体のターゲット物質270がフィルタ831A内に侵入、通過して、図6に示すように、第2連通部862Aに浸入し得る。
ここで、インゴット275は、材料メーカが製造し得る。材料メーカにおいて、高純度のインゴット275を製造する場合、インゴット275の精製プロセスの温度は、約490℃〜約600℃となり得る。このため、図4に示す関係から、当該インゴット275中に約0.6ppm(重量比)〜約5ppm(重量比)の酸素が溶存し得る。
ターゲット物質270がスズの場合、ターゲット物質270の融点が232℃であり得る。ドロップレット27を出力するために、ターゲット生成器8A内のターゲット物質270は、約240℃〜約290℃の範囲で加熱され得る。この温度範囲のターゲット物質270における酸素の溶解度は、0.0001ppm(重量比)〜0.001ppm(重量比)となり得る。
したがって、理論上、インゴット275を約240℃〜約290℃の範囲で加熱して得られる液体のターゲット物質270には、溶解できない酸素が残存し得る。
しかし、インゴット275を約240℃〜約290℃の範囲で加熱すると、当該温度では溶解できない酸素もターゲット物質270に溶解し、ターゲット物質270が過飽和状態となり得る。
このため、図6に示すように、金属酸化物278(図7参照)の析出が抑制され、過飽和状態のターゲット物質270が第2連通部862Aに浸入し得る。
ターゲット収容タンク84A内の圧力が出力圧力P2に到達すると、ノズル86Aからジェット27Aが出力され、ノズル86Aの振動に応じてドロップレット27が生成され得る。
ドロップレット27の生成を終了する際、ターゲット制御装置は、圧力制御部752Aおよびピエゾ素子791Aに信号を送信して、ターゲット生成器8A内の圧力を大気圧まで下げるとともに、ピエゾ素子791Aの振動を停止してもよい。これにより、ジェット27Aの出力が停止し、ドロップレット27の生成が終了し得る。ターゲット制御装置は、温度コントローラ784Aに信号を送信して、ターゲット生成器8A内のターゲット物質270の温度を例えば常温まで下げてもよい。これにより、ターゲット収容タンク84A内、連通部860A内およびフィルタ831A内において、ターゲット物質270が凝固し得る。
ドロップレット27の生成を再開する際、ターゲット制御装置は、凝固したターゲット物質270を、約240℃〜約290℃の範囲で加熱し得る。発明者らの知見によれば、このようにターゲット物質270を一旦凝固させて再加熱すると、金属酸化物278が析出し得る。図7に示すように、過飽和状態のターゲット物質270に溶存していた酸素がターゲット物質270と反応し、ターゲット収容タンク84A、第1,第2連通部861A,862Aに金属酸化物278が析出し得ると考えられる。第2連通部862Aに析出した金属酸化物278は、ノズル孔822Aを詰まらせたり、ノズル孔822Aの径を小さくしたりすることがあり得る。
このような現象を抑制するために、ターゲット供給装置7Aのターゲット制御装置71Aは、以下のような制御を行ってもよい。
作業者は、ターゲット生成器8Aのターゲット収容タンク84A内にインゴット275を収容した後、蓋部81Aを閉めてシールしてもよい。ターゲット制御装置71Aは、図8に示すように、金属酸化物278の析出処理を実行するか否かを判断してもよい(ステップS1)。ステップS1の処理は、図9における時刻R0に行われてもよい。ターゲット制御装置71Aは、EUV光生成制御システム5Aまたは外部装置から、析出処理の実行信号が入力されたか否かに基づいて、ステップS1の判断を行ってもよい。
ターゲット制御装置71Aは、ステップS1において、析出処理の実行信号が入力されていないと判断した場合、所定時間経過後にステップS1の処理を再度行ってもよい。一方、ターゲット制御装置71Aは、ステップS1において、析出処理の実行信号が入力されたと判断した場合、ターゲット収容タンク84A内の空気を排気するように、圧力調節器75Aおよび排気部77Aを制御してもよい(ステップS2)。これにより、図9に示すように、ターゲット収容タンク84A内の圧力Pが圧力P0まで下がり得る。ターゲット収容タンク84A内の圧力Pが圧力P0の場合、ターゲット収容タンク84A内が大気圧より低圧の略真空の状態であってもよい。
ターゲット制御装置71Aは、金属酸化物278の析出処理を行ってもよい(ステップS3)。
ターゲット制御装置71Aは、ステップS3の処理において、図10に示すように、昇温降温サイクル数Nを0に設定してもよい(ステップS11)。ターゲット制御装置71Aは、ターゲット収容タンク84Aの温度Tが温度THとなるように、温度可変装置78Aを制御してもよい(ステップS12)。ステップS12の処理は、図9における時刻R1に行われてもよい。温度THは、ターゲット物質270の融点Tmpよりも高く、ターゲット収容タンク84Aとターゲット物質270との反応が抑制される温度であってもよい。温度THは、280℃〜300℃の範囲の所定の温度、例えば290℃であってもよい。温度THは、本開示の第1の温度であってもよい。ターゲット収容タンク84Aの温度がターゲット物質270の融点Tmpより高くなると、インゴット275が融解して液体のターゲット物質270になり得る。ターゲット収容タンク84A内の圧力Pが侵入圧力を超えない圧力P0であるため、液体のターゲット物質270は、図11に示すように、フィルタ831A内に侵入、通過せずに、ターゲット収容タンク84A内および第1連通部861A内のみに位置し得る。
温度可変装置78Aの温度コントローラ784Aは、温度センサ783Aからの信号を受信して、ターゲット制御装置71Aに送信してもよい。ターゲット制御装置71Aは、図10に示すように、温度可変装置78Aからの信号に基づいて、温度Tが温度TH以上となったか否かを判断してもよい(ステップS13)。ターゲット制御装置71Aは、ステップS13において、温度Tが温度TH以上となっていないと判断した場合、所定時間経過後にステップS13の処理を行ってもよい。一方、ステップS13において、ターゲット制御装置71Aは、温度Tが温度TH以上となったと判断した場合、時間H1の間、ターゲット収容タンク84Aの温度Tが温度THで維持されるように温度可変装置78Aを制御してもよい(ステップS14)。ステップS14の処理は、図9における時刻R2から時刻R3の間に行われてもよい。時間H1は、例えば1時間〜10時間であってもよい。さらに好ましくは時間H1は、例えば4時間〜8時間であってもよい。このとき、図6を用いて説明したように、温度THでは溶解できない酸素もターゲット物質270に溶解し、ターゲット物質270が過飽和状態となり得る。このため、金属酸化物278の析出が抑制され得る。
ターゲット制御装置71Aは、ターゲット収容タンク84Aの温度Tが温度TLとなるように、温度可変装置78Aを制御してもよい(ステップS15)。ステップS15の処理は、図9における時刻R3に行われてもよい。温度TLは、液体のターゲット物質270が凝固せずに金属酸化物278が析出する温度であってもよいし、凝固したターゲット物質270中に金属酸化物278が析出する温度であってもよい。温度TLは、融点Tmp以上の温度であって、その近傍の232℃〜240℃の範囲の所定の温度であってもよい。または、温度TLは、融点Tmp未満の温度であって、ターゲット物質270が凝固する20℃〜220℃の範囲の所定の温度であってもよい。好ましくは、温度TLは、30℃〜60℃の範囲の所定の温度であってもよい。TLを融点Tmp未満の温度にする場合、融点Tmp以上にする場合と比べて、金属酸化物278が析出し易くなり得るので、より好ましい。温度TLは、本開示の第2の温度であってもよい。また温度TLは、融点Tmp未満の温度であって、温度TRと等しくてもよい。
ターゲット制御装置71Aは、温度可変装置78Aからの信号に基づいて、温度Tが温度TL以下となったか否かを判断してもよい(ステップS16)。ターゲット制御装置71Aは、ステップS16において、温度Tが温度TL以下となっていないと判断した場合、所定時間経過後にステップS16の処理を行ってもよい。一方、ステップS16において、ターゲット制御装置71Aは、温度Tが温度TL以下となったと判断した場合、時間H2の間、ターゲット収容タンク84Aの温度Tが温度TLで維持されるように温度可変装置78Aを制御してもよい(ステップS17)。ステップS17の処理は、図9における時刻R4から時刻R5の間に行われてもよい。時間H2は、例えば1時間〜20時間であってもよい。さらに好ましくは時間H2は、例えば6時間〜13時間であってもよい。ターゲット収容タンク84Aの温度Tが温度TLで維持されることにより、図11に示すように、過飽和状態のターゲット物質270に溶解していた酸素であって、温度TLでは溶解できない酸素が金属酸化物278として析出し得る。
ターゲット制御装置71Aは、図10に示すように、昇温降温サイクル数Nに1を加えてもよい(ステップS18)。ターゲット制御装置71Aは、昇温降温サイクル数Nが上限回数Nmax以上となったか否かを判断してもよい(ステップS19)。このステップS19において、ターゲット制御装置71Aは、昇温降温サイクル数Nが上限回数Nmax以上となっていないと判断した場合、ステップS12の処理を行ってもよい。一方、ターゲット制御装置71Aは、昇温降温サイクル数Nが上限回数Nmax以上となったと判断した場合、図8に戻り、ステップS4の処理を行ってもよい。上限回数Nmaxは、1回に設定されていてもよいし、2回以上30回以下に設定されてもよい。さらに好ましくは、上限回数Nmaxは、3回以上17回以下に設定されてもよい。
例えば上限回数Nmaxが2回に設定されている場合、図9における時刻R1,R5に、ステップS12の処理が行われ得る。時刻R2から時刻R3の間、および、時刻R6から時刻R7の間に、ステップS14の処理が行われ得る。時刻R3,R7に、ステップS15の処理が行われ得る。時刻R4から時刻R5の間、および、時刻R8から時刻R9の間に、ステップS17の処理が行われ得る。時刻R9に、金属酸化物278の析出処理が終了し得る。
この金属酸化物278の析出処理により、過飽和状態のターゲット物質270に溶解していた酸素であって、温度TLでは溶解できない酸素が金属酸化物278として析出し得る。したがって、金属酸化物278の析出処理後のターゲット物質270は、過飽和状態でなくなり得る。すなわち、析出処理後のターゲット物質270には、温度TLでは溶解できない酸素がなくなり得る。
ターゲット制御装置71Aは、図8に示すように、ターゲット収容タンク84Aの温度Tが出力温度Topに維持されるように温度可変装置78Aを制御してもよい(ステップS4)。出力温度Topは、融点Tmp以上温度TH以下の所定の温度であってもよい。ターゲット制御装置71Aは、ターゲット収容タンク84A内の圧力Pが浸入圧力P1となるように、圧力調節器75Aを制御してもよい(ステップS5)。ステップS5の処理は、図9における時刻R10以降の時刻R11に行われてもよい。浸入圧力P1は、例えば2MPaであってもよい。このステップS5の処理により、金属酸化物278がフィルタ831Aで捕集されるとともに、過飽和状態でないターゲット物質270がフィルタ831Aを通過して、第2連通部862Aに浸入し得る。図9における時刻R12において、図12に示すように、フィルタ831Aを通過したターゲット物質270は、ノズル孔822Aに到達し得る。
ターゲット制御装置71Aは、ターゲット収容タンク84A内の圧力Pが出力圧力P2となるように、圧力調節器75Aを制御してもよい(ステップS6)。ステップS6の処理は、図9における時刻R12に行われてもよい。出力圧力P2は、例えば10MPaであってもよい。このステップS6の処理により、ターゲット物質270がジェット27Aとして出力し得る。
ターゲット制御装置71Aは、所定のドロップレット27を生成するように、ピエゾ素子791Aを制御してもよい(ステップS7)。以上により、ターゲット物質の精製処理が終了し得る。
ターゲット物質270の精製処理後、EUV光生成システム11は、EUV光252を生成するための工程に移行してもよい。または、ターゲット物質270の精製処理後、ターゲット制御装置71Aは、ターゲット収容タンク84Aの温度Tを常温TRまで下げて、ターゲット生成器8A内のターゲット物質270を凝固してもよい。または、ターゲット物質270の精製処理をEUV光生成装置1Aではなく、当該精製処理のための専用装置で行う場合、ターゲット生成器8A内のターゲット物質270を凝固した後、このターゲット生成器8Aを移動して、EUV光生成装置1Aに取り付けてもよい。
第1実施形態によれば、ターゲット制御装置71Aは、金属酸化物278の析出処理として、以下の処理を行ってもよい。ターゲット制御装置71Aは、過飽和状態のターゲット物質270に溶解していた酸素を予め金属酸化物278として析出するように、ターゲット収容タンク84A内のターゲット物質270の温度Tを制御してもよい。ターゲット制御装置71Aは、第2連通部862Aにターゲット物質270が収容されていない状態で、ターゲット収容タンク84A内のターゲット物質270の温度Tを温度THと温度TLとの間で少なくとも1回変化させてもよい。例えば、ターゲット制御装置71Aは、ターゲット収容タンク84A内を略真空にした状態で、ターゲット収容タンク84A内のターゲット物質270の温度Tを温度THと温度TLとの間で少なくとも1回変化させてもよい。
ターゲット制御装置71Aは、上述の金属酸化物278の析出処理後、ターゲット収容タンク84A内のターゲット物質270がフィルタ831Aを通過するように、ターゲット収容タンク84Aの圧力を制御してもよい。
以上の処理により、金属酸化物278がフィルタ831Aで捕集されるとともに、過飽和状態でないターゲット物質270が第2連通部862Aに浸入し得る。このため、ターゲット生成器8A内のターゲット物質270を凝固させ、再度、融解させた場合、第2連通部862Aに浸入したターゲット物質270から金属酸化物278が析出することが抑制され、金属酸化物278によるノズル孔822Aの詰まりや、ノズル孔822Aの径が小さくなることが抑制され得る。
ターゲット制御装置71Aは、ターゲット収容タンク84A内のターゲット物質270の温度Tを、温度THと温度TLとの間で複数回変化させてもよい。この処理により、温度Tを温度THと温度TLとの間で1回変化させる場合と比べて、金属酸化物278が大きく成長し得る。その結果、金属酸化物278の析出処理後のターゲット物質270に含まれる酸素が少なくなり、第2連通部862Aに浸入したターゲット物質270から金属酸化物278が析出することが抑制され得る。
3.2.5 第1実施形態の変形例
3.2.5.1 動作
図13は、第1実施形態の変形例に係る金属酸化物の析出処理を示すフローチャートである。図14は、ターゲット精製方法を示すタイミングチャートである。
第1実施形態の変形例における金属酸化物の析出処理は、ステップS21〜ステップS23の処理をさらに行うこと以外の処理は、第1実施形態の金属酸化物の析出処理と同様の処理であってもよい。
ターゲット制御装置71Aは、図13に示すように、第1実施形態のステップS11〜ステップS14の処理を行った後、ターゲット収容タンク84Aの温度Tが温度TBとなるように、温度可変装置78Aを制御してもよい(ステップS21)。ステップS21の処理は、図14における時刻R3に行われてもよい。温度TBは、金属酸化物278が析出した後、当該金属酸化物278が成長して大きくなる温度であってもよい。温度TBは、融点Tmp以上の温度であって、例えば240℃であってもよい。
ターゲット制御装置71Aは、温度可変装置78Aからの信号に基づいて、温度Tが温度TB以下となったか否かを判断してもよい(ステップS22)。ターゲット制御装置71Aは、ステップS22において、温度Tが温度TB以下となっていないと判断した場合、所定時間経過後にステップS22の処理を行ってもよい。一方、ステップS22において、ターゲット制御装置71Aは、温度Tが温度TB以下となったと判断した場合、時間H3の間、ターゲット収容タンク84Aの温度Tが温度TBで維持されるように温度可変装置78Aを制御してもよい(ステップS23)。ステップS23の処理は、図14における時刻R21から時刻R22の間に行われてもよい。時間H3は、10分〜2時間であってもよい。時間H3は、例えば30分であってもよい。ターゲット収容タンク84Aの温度Tが温度TBで維持されることにより、過飽和状態のターゲット物質270に溶解していた酸素であって、温度TBでは溶解できない酸素が金属酸化物278として析出した後、当該金属酸化物278が大きく成長し得る。
そして、ターゲット制御装置71Aは、第1実施形態のステップS15〜ステップS19の処理を行ってもよい。ステップS19の処理により、金属酸化物278の析出処理が終了し得る。ターゲット制御装置71Aは、ステップS19の処理が終了すると、第1実施形態のステップS4〜ステップS7の処理を行ってもよい。
例えば上限回数Nmaxが2回に設定されている場合、図14における時刻R1,R24に、ステップS12の処理が行われ得る。時刻R2から時刻R3の間、および、時刻R25から時刻R26の間に、ステップS14の処理が行われ得る。時刻R3,R26に、ステップS21の処理が行われ得る。時刻R21から時刻R22の間、および、時刻R27から時刻R28の間に、ステップS23の処理が行われ得る。時刻R22,R28に、ステップS15の処理が行われ得る。時刻R23から時刻R24の間、および、時刻R29から時刻R30の間に、ステップS17の処理が行われ得る。時刻R30に、金属酸化物278の析出処理が終了し得る。時刻R31に、ステップS5の処理が行われ得る。
第1実施形態の変形例によれば、ターゲット制御装置71Aは、ターゲット収容タンク84A内のターゲット物質270の温度Tを温度THから温度TLまで下げるときに、当該温度Tを温度TBで所定時間維持してもよい。この処理により、第1実施形態と比べて、金属酸化物278が大きく成長し得る。その結果、金属酸化物278の析出処理後のターゲット物質270に含まれる酸素が少なくなり、第2連通部862Aに浸入したターゲット物質270から金属酸化物278が析出することが抑制され得る。
3.3 第2実施形態
3.3.1 構成
図15は、第2実施形態に係るターゲット供給装置の構成を概略的に示す。
第2実施形態のターゲット供給装置7Bは、図15に示すように、ターゲット生成部70Bと、制御部としてのターゲット制御装置71Bとを備えてもよい。
ターゲット生成部70Bは、ターゲット生成器8Aの蓋部81Aにウインドウ811Bが設けられること、および、撮像部としてのカメラ761Bをさらに備えること以外の構成は、第1実施形態のターゲット生成部70Aと同様のものを適用してもよい。
カメラ761Bは、ターゲット生成器8Aの外側であって、ウインドウ811Bに対向する位置に設けられてもよい。カメラ761Bは、ターゲット制御装置71Bに電気的に接続されてもよい。カメラ761Bは、CCDカメラであってもよい。カメラ761Bは、ウインドウ811Bを介して、ターゲット収容タンク84A内のターゲット物質270が凝固したことや融解したことを撮像可能に設けられてもよい。カメラ761Bは、撮像した画像に対応する信号をターゲット制御装置71Bに送信してもよい。
ターゲット収容タンク84A内のターゲット物質270が凝固すると、連通部860A内のターゲット物質270も凝固し得る。ターゲット収容タンク84A内のターゲット物質270が融解すると、連通部860A内のターゲット物質270も融解し得る。
3.3.2 動作
図16は、第2実施形態に係るターゲット物質の精製方法を示すフローチャートである。図17は、金属酸化物の析出処理を示すフローチャートである。図18は、ターゲット物質の凝固確認処理を示すフローチャートである。図19は、ターゲット物質の融解確認処理を示すフローチャートである。
なお、以下において、ターゲット物質270がスズの場合を例示して、ターゲット供給装置7Bの動作を説明する。
第2実施形態における金属酸化物の析出処理は、ターゲット物質270が凝固したことを確認する処理を含むこと以外の処理は、第1実施形態の金属酸化物の析出処理と同様の処理であってもよい。第2実施形態におけるターゲット物質の精製処理は、この析出処理の違いに加え、ターゲット物質270が融解したことを確認する処理をさらに含むこと以外の処理は、第1実施形態のターゲット物質の精製処理と同様の処理であってもよい。
ターゲット制御装置71Bは、図16に示すように、第1実施形態のステップS1〜ステップS4の処理を行った後、ターゲット物質270の融解確認処理を行ってもよい(ステップS31)。
ターゲット制御装置71Bは、ステップS3の処理において、図17に示すように、第1実施形態のステップS11〜ステップS16の処理を行った後、ターゲット収容タンク84Aの温度Tが温度TLで維持されるように温度可変装置78Aを制御してもよい(ステップS41)。ターゲット制御装置71Bは、ターゲット物質270の凝固確認処理を行ってもよい(ステップS42)。
そして、ターゲット制御装置71Bは、ステップS42の処理において、図18に示すように、ウインドウ811Bを介してカメラ761Bでターゲット物質270の状態を観察してもよい(ステップS51)。ターゲット制御装置71Bは、ステップS51での観察結果に基づいて、ターゲット物質270の凝固が完了したか否かを判断してもよい(ステップS52)。ターゲット制御装置71Bは、カメラ761Bで撮像された画像を処理することによって、ターゲット物質270の凝固が完了したか否かを判断してもよい。
ターゲット制御装置71Bは、ステップS52において、ターゲット物質270の凝固が完了したと判断した場合、凝固フラグF1を1に設定してもよい(ステップS53)。一方、ターゲット制御装置71Bは、ステップS52において、ターゲット物質270の凝固が完了していないと判断した場合、凝固フラグF1を0に設定してもよい(ステップS54)。ステップS53またはステップS54の処理により、ターゲット物質270の凝固確認処理が終了し得る。
ターゲット制御装置71Bは、図17に示すように、ステップS42の処理が終了すると、全てのターゲット物質270が凝固したか否かを判断してもよい(ステップS43)。ターゲット制御装置71Bは、凝固フラグF1が1の場合に全てのターゲット物質270が凝固したと判断し、凝固フラグF1が0の場合にターゲット物質270の少なくとも一部が凝固していないと判断してもよい。ターゲット制御装置71Bは、ステップS43において、ターゲット物質270の少なくとも一部が凝固していないと判断した場合、ステップS42の処理を行ってもよい。一方、ターゲット制御装置71Bは、ステップS43において、全てのターゲット物質270が凝固したと判断した場合、ステップS18の処理を行ってもよい。
ステップS18およびステップS19の処理を経て、金属酸化物278の析出処理が終了し得る。
ターゲット制御装置71Bは、図16に示すように、ステップS3の処理が終了すると、ステップS4の処理を行ってもよい。その後ターゲット制御装置71Bは、ターゲット物質270の融解確認処理を行ってもよい(ステップS31)。
ターゲット制御装置71Bは、ステップS31の処理において、図19に示すように、ウインドウ811Bを介してカメラ761Bでターゲット物質270の状態を観察してもよい(ステップS61)。ターゲット制御装置71Bは、ステップS61での観察結果に基づいて、ターゲット物質270の融解が完了したか否かを判断してもよい(ステップS62)。ターゲット制御装置71Bは、カメラ761Bで撮像された画像を処理することによって、ターゲット物質270の融解が完了したか否かを判断してもよい。
ターゲット制御装置71Bは、ステップS62において、ターゲット物質270の融解が完了したと判断した場合、融解フラグF2を1に設定してもよい(ステップS63)。一方、ターゲット制御装置71Bは、ステップS62において、ターゲット物質270の融解が完了していないと判断した場合、融解フラグF2を0に設定してもよい(ステップS64)。ステップS63またはステップS64の処理により、ターゲット物質270の融解確認処理が終了し得る。
ターゲット制御装置71Bは、図16に示すように、ステップS31の処理が終了すると、全てのターゲット物質270が融解したか否かを判断してもよい(ステップS32)。ターゲット制御装置71Bは、融解フラグF2が1の場合に全てのターゲット物質270が融解したと判断し、融解フラグF2が0の場合にターゲット物質270の少なくとも一部が融解していないと判断してもよい。ターゲット制御装置71Bは、ステップS32において、ターゲット物質270の少なくとも一部が融解していないと判断した場合、ステップS31の処理を行ってもよい。一方、ターゲット制御装置71Bは、ステップS32において、全てのターゲット物質270が融解したと判断した場合、ステップS5〜ステップS7の処理を行ってもよい。
例えば上限回数Nmaxが2回に設定されている場合、図9における時刻R4から時刻R5の間、および、時刻R8から時刻R9の間に、ステップS41〜ステップS43の処理が行われ得る。
3.3.3 第2実施形態の変形例
3.3.3.1 構成
第2実施形態の変形例に係るターゲット生成部70Bは、カメラ761Bの代わりに、図15に二点鎖線で示すような温度センサ762Bを備えることと、蓋部81Aにウインドウ811Bを設けないこと以外の構成は、第2実施形態のターゲット生成部70Bと同様のものを適用してもよい。
温度センサ762Bは、蓋部81Aを貫通して、ターゲット収容タンク84A内のターゲット物質270中に配置されてもよい。温度センサ762Bは、ターゲット制御装置71Bに電気的に接続されてもよい。温度センサ762Bは、ターゲット物質270と反応し難い材料でコーティングされてもよい。温度センサ762Bは、ターゲット収容タンク84A内のターゲット物質270の温度を検出して、当該検出された温度に対応する信号をターゲット制御装置71Bに送信してもよい。
3.3.3.2 動作
図20は、第2実施形態の変形例に係るターゲット物質の凝固確認処理を示すフローチャートである。図21は、ターゲット物質の凝固確認方法を示す説明図である。図22は、ターゲット物質の融解確認処理を示すフローチャートである。図23は、ターゲット物質の融解確認方法を示す説明図である。
第2実施形態の変形例におけるターゲット物質の精製処理は、図18に示す処理の代わりに図20に示す処理を行うことと、図19に示す処理の代わりに図22に示す処理を行うこと以外の処理は、第2実施形態のターゲット物質の精製処理と同様の処理であってもよい。
ターゲット制御装置71Bは、ターゲット物質270の凝固確認処理として、図20に示すように、温度センサ762Bの検出温度Tdの経時変化を計測してもよい(ステップS71)。ターゲット制御装置71Bは、ステップS71での計測結果に基づいて、ターゲット物質270の凝固が完了したか否かを判断してもよい(ステップS72)。
例えば、時刻R3におけるステップS41の処理により、ターゲット収容タンク84Aの温度Tが温度TLで維持されるように温度可変装置78Aが制御されると、図21に示すように、ターゲット物質270の温度が下がり得る。ターゲット物質270の温度が下がる過程の時刻R41から時刻R43の間において、ターゲット物質270が過冷却状態となり得る。このため、ターゲット物質270の温度は、液体のまま融点Tmp未満となり得る。例えば、時刻R41から時刻R42まで時間T4の間は、ターゲット物質270の温度が下がり得る。その後、時刻R42から時刻R43の間は、ターゲット物質270の温度が上がり得る。
そして、時刻R43から時刻R44の間に、ターゲット物質270の温度が融点Tmpで安定し、ターゲット物質270の凝固が進行し得る。時刻R44においてターゲット物質270の凝固が完了すると、ターゲット物質270の温度が再び下がり始め、時刻R4において温度TLとなり得る。
ターゲット制御装置71Bは、検出温度Tdが融点Tmp未満となった場合、検出温度Tbが上がり始めるまでの時間を計測し、その時間が時間T4以下の場合、ターゲット物質270の凝固が完了していないと判断し、時間T4を超える場合、ターゲット物質270の凝固が完了したと判断してもよい。時間T4は予め実験によって求めておき、ターゲット制御装置71Bに入力しておくとよい。
ターゲット制御装置71Bは、図20に示すように、ステップS72での判断結果に基づいて、ステップS53またはステップS54の処理を行ってもよい。
ターゲット制御装置71Bは、ターゲット物質270の融解確認処理として、図22に示すように、温度センサ762Bの検出温度Tdの経時変化を計測してもよい(ステップS81)。ターゲット制御装置71Bは、ステップS81での計測結果に基づいて、ターゲット物質270の融解が完了したか否かを判断してもよい(ステップS82)。
例えば、時刻R9におけるステップS4の処理により、ターゲット収容タンク84Aの温度Tが出力温度Topで維持されるように温度可変装置78Aが制御されると、図23に示すように、ターゲット物質270の温度が上がり得る。ターゲット物質270の温度が上がる過程の時刻R51から時刻R52の間において、ターゲット物質270の温度が一旦、融点Tmpで安定し得る。ターゲット物質270の温度が融点Tmpで安定している間に、ターゲット物質270の融解が進行し得る。時刻R52においてターゲット物質270の融解が完了すると、ターゲット物質270の温度が再び上がり始め、時刻R10において出力温度Topとなり得る。
ターゲット制御装置71Bは、温度センサ762Bの検出温度Tdが、時刻R52から時刻R10の間のように、融点Tmpから温度が上がり続けていると判断した場合、ターゲット物質270の融解が完了したと判断してもよい。
ターゲット制御装置71Bは、図22に示すように、ステップS82での判断結果に基づいて、ステップS63またはステップS64の処理を行ってもよい。
なお、温度センサ762Bで検出したターゲット物質270の温度に基づいて、ターゲット物質270の凝固確認処理および融解確認処理を行ったが、温度センサ762Bを設けずに、温度センサ783Aで検出したターゲット収容タンク84Aの温度に基づいて、ターゲット物質270の凝固確認処理および融解確認処理を行ってもよい。
ターゲット物質270の凝固確認処理および融解確認処理のうち一方の処理を、温度センサ762Bで検出したターゲット物質270の温度に基づいて行い、他方の処理を、温度センサ783Aで検出したターゲット収容タンク84Aの温度に基づいて行ってもよい。
3.4 第3実施形態
3.4.1 構成
図24は、第3実施形態に係るターゲット供給装置の構成を概略的に示す。
第3実施形態のターゲット供給装置7Cは、図24に示すように、ターゲット生成部70Cと、制御部としてのターゲット制御装置71Cとを備えてもよい。
ターゲット生成部70Cは、温度可変装置78Aの代わりに、第1温度可変装置91C、第2温度可変装置92C、第3温度可変装置93Cおよび第4温度可変装置94Cを備えること以外の構成は、第1実施形態のターゲット生成部70Aと同様のものを適用してもよい。
第1温度可変装置91Cは、ターゲット生成器8Aのターゲット収容タンク84Aにおける−Z方向側の第1領域AR1の温度を変化させてもよい。第2温度可変装置92Cは、ターゲット収容タンク84Aにおける+Z方向側の第2領域AR2の温度を変化させてもよい。第3温度可変装置93Cは、ターゲット生成器8Aのノズル86Aにおける−Z方向側の第3領域AR3の温度を変化させてもよい。第4温度可変装置94Cは、ノズル86Aにおける+Z方向側の第4領域AR4の温度を変化させてもよい。
第1温度可変装置91Cは、第1ヒータ911Cと、第1ヒータ電源912Cと、第1温度センサ913Cと、第1温度コントローラ914Cとを備えてもよい。第2温度可変装置92Cは、第2ヒータ921Cと、第2ヒータ電源922Cと、第2温度センサ923Cと、第2温度コントローラ924Cとを備えてもよい。第3温度可変装置93Cは、第3ヒータ931Cと、第3ヒータ電源932Cと、第3温度センサ933Cと、第3温度コントローラ934Cとを備えてもよい。第4温度可変装置94Cは、第4ヒータ941Cと、第4ヒータ電源942Cと、第4温度センサ943Cと、第4温度コントローラ944Cとを備えてもよい。
第1,第2,第3,第4ヒータ911C,921C,931C,941Cは、それぞれターゲット生成器8Aの外周面における第1,第2,第3,第4領域AR1,AR2,AR3,AR4に設けられてもよい。
第1,第2,第3,第4ヒータ電源912C,922C,932C,942Cは、それぞれ第1,第2,第3,第4温度コントローラ914C,924C,934C,944Cからの信号に基づいて、第1,第2,第3,第4ヒータ911C,921C,931C,941Cに電力を供給して第1,第2,第3,第4ヒータ911C,921C,931C,941Cを発熱させてもよい。それにより、第1,第2,第3,第4領域AR1,AR2,AR3,AR4のターゲット物質270が、ターゲット生成器8Aを介して加熱され得る。
第1,第2,第3,第4温度センサ913C,923C,933C,943Cは、それぞれターゲット生成器8Aの外周面またはターゲット生成器8Aの内部における、第1,第2,第3,第4領域AR1,AR2,AR3,AR4に設けられてもよい。第1,第2,第3,第4温度センサ913C,923C,933C,943Cでそれぞれ検出された温度は、ターゲット生成器8A内における第1,第2,第3,第4領域AR1,AR2,AR3,AR4のターゲット物質270の温度とほぼ同一の温度となり得る。
第1,第2,第3,第4温度コントローラ914C,924C,934C,944Cは、ターゲット制御装置71Cに電気的に接続されてもよい。第1,第2,第3,第4温度コントローラ914C,924C,934C,944Cは、第1,第2,第3,第4温度センサ913C,923C,933C,943Cからの信号に基づいて、第1,第2,第3,第4ヒータ電源912C,922C,932C,942Cの制御を介して、第1,第2,第3,第4ヒータ911C,921C,931C,941Cを制御するよう構成されてもよい。
ターゲット制御装置71Cは、ターゲット収容タンク84A内のインゴット275を、フィルタ831Aに近い側である第2領域AR2に位置する部分より、フィルタ831Aから遠い側である第1領域AR1に位置する部分を先に融解させるように、第1,第2温度可変装置91C,92Cを制御してもよい。
3.4.2 動作
図25は、第3実施形態に係る金属酸化物の析出処理を示すフローチャートである。図26は、ターゲット精製方法を示すタイミングチャートである。図27は、第1領域AR1の温度制御処理を示すフローチャートである。図28は、第2領域AR2の温度制御処理を示すフローチャートである。図29は、第3領域AR3の温度制御処理を示すフローチャートである。図30は、第4領域AR4の温度制御処理を示すフローチャートである。
なお、以下において、ターゲット物質270がスズの場合を例示して、ターゲット供給装置7Cの動作を説明する。
第3実施形態におけるターゲット物質の精製処理は、金属酸化物の析出処理が図10に示す処理と異なること以外は、第1実施形態のターゲット物質の精製処理と同様の処理であってもよい。
ターゲット制御装置71Cが、ターゲット収容タンク84A内のインゴット275を、フィルタ831Aから遠い側の第1領域AR1に位置する部分より、フィルタ831Aに近い側の第2領域AR2に位置する部分を先に融解させる場合、以下のような現象が生じ得る。インゴット275の第2領域AR2に位置する部分が融解して液体のターゲット物質270になると、この液体のターゲット物質270が膨張し得る。このとき、インゴット275の第1領域AR1に位置する部分が固体のため、第2領域AR2のターゲット物質270は第1領域AR1側に膨張せずに、フィルタ831A側に膨張し得る。その結果、ターゲット収容タンク84A内が略真空の状態に維持されていても、第2領域AR2に位置する過飽和状態のターゲット物質270が、フィルタ831Aを通過して第2連通部862Aに浸入し得る。この状態でターゲット生成器8A内のターゲット物質270を凝固させて、再び、融解させると、ターゲット収容タンク84A、第1,第2連通部861A,862Aに金属酸化物278が析出し得る。第2連通部862Aに析出した金属酸化物278は、ノズル孔822Aを詰まらせたり、ノズル孔822Aの径を小さくしたりすることがあり得る。
このような現象を抑制するために、ターゲット制御装置71Cは、以下のような制御を行ってもよい。
ターゲット制御装置71Cは、ターゲット生成器8Aのターゲット収容タンク84A内にインゴット275が収容された状態において、図8に示すステップS1〜ステップS3の処理を行ってもよい。ターゲット制御装置71Cは、ステップS3における金属酸化物の析出処理として、図25に示すような処理を行ってもよい。
ターゲット制御装置71Cは、図25に示すように、ステップS11の処理を行った後、第1領域AR1の温度制御処理(ステップS91)と、第2領域AR2の温度制御処理(ステップS92)と、第3領域AR3の温度制御処理(ステップS93)と、第4領域AR4の温度制御処理(ステップS94)とを行ってもよい。ターゲット制御装置71Cは、ステップS91〜ステップS94の処理を、図26における時刻R1に開始してもよい。
ターゲット制御装置71Cは、ステップS91の処理において、図27に示すように、第1領域AR1の温度T1が温度THとなるように、第1温度可変装置91Cを制御してもよい(ステップS111)。ターゲット制御装置71Cは、第1温度可変装置91Cからの信号に基づいて、温度T1が温度TH以上となったか否かを判断してもよい(ステップS112)。ターゲット制御装置71Cは、ステップS112において、温度T1が温度TH以上となっていないと判断した場合、所定時間経過後にステップS112の処理を行ってもよい。一方、ステップS112において、ターゲット制御装置71Cは、温度T1が温度TH以上となったと判断した場合、時間H1の間、第1領域AR1の温度T1が温度THで維持されるように第1温度可変装置91Cを制御してもよい(ステップS113)。ステップS113の処理は、図26における時刻R2から時刻R3の間に行われてもよい。このとき、図6を用いて説明したように、温度THでは本来溶解できない酸素もターゲット物質270に溶解し、ターゲット物質270が過飽和状態となり得る。このため、金属酸化物278の析出が抑制され得る。
ターゲット制御装置71Cは、ステップS92の処理において、図28に示すように、第2領域AR2の温度T2が温度TH2となるように、第2温度可変装置92Cを制御してもよい(ステップS121)。ターゲット制御装置71Cは、第2温度可変装置92Cからの信号に基づいて、温度T2が温度TH2以上となったか否かを判断してもよい(ステップS122)。温度TH2は、温度THよりも低く、出力温度Topよりも高くてもよい。ターゲット制御装置71Cは、ステップS122において、温度T2が温度TH2以上となっていないと判断した場合、所定時間経過後にステップS122の処理を行い、温度T2が温度TH2以上となったと判断した場合、時間H11の間、第2領域AR2の温度T2が温度TH2で維持されるように第2温度可変装置92Cを制御してもよい(ステップS123)。時間H11は、時間H1よりも短くてもよい。ステップS123の処理は、図26における時刻R2から時刻R61の間に行われてもよい。
ターゲット制御装置71Cは、温度T2が温度THとなるように、第2温度可変装置92Cを制御してもよい(ステップS124)。ターゲット制御装置71Cは、第2温度可変装置92Cからの信号に基づいて、温度T2が温度TH以上となったか否かを判断してもよい(ステップS125)。ターゲット制御装置71Cは、ステップS125において、温度T2が温度TH以上となっていないと判断した場合、所定時間経過後にステップS125の処理を行い、温度T2が温度TH以上となったと判断した場合、時刻R2から時間H1が経過するまでの間、温度T2が温度THで維持されるように第2温度可変装置92Cを制御してもよい(ステップS126)。
ターゲット制御装置71Cは、ステップS93の処理において、図29に示すように、第3領域AR3の温度T3が温度TH3となるように、第3温度可変装置93Cを制御してもよい(ステップS131)。ターゲット制御装置71Cは、第3温度可変装置93Cからの信号に基づいて、温度T3が温度TH3以上となったか否かを判断してもよい(ステップS132)。温度TH3は、温度TH2よりも低く、出力温度Topよりも高くてもよい。ターゲット制御装置71Cは、ステップS132において、温度T3が温度TH3以上となっていないと判断した場合、所定時間経過後にステップS132の処理を行い、温度T3が温度TH3以上となったと判断した場合、時間H11の間、第3領域AR3の温度T3が温度TH3で維持されるように第3温度可変装置93Cを制御してもよい(ステップS133)。ステップS133の処理は、図26における時刻R2から時刻R61の間に行われてもよい。
ターゲット制御装置71Cは、温度T3が温度THとなるように、第3温度可変装置93Cを制御してもよい(ステップS134)。ターゲット制御装置71Cは、第3温度可変装置93Cからの信号に基づいて、温度T3が温度TH以上となったか否かを判断してもよい(ステップS135)。ターゲット制御装置71Cは、ステップS135において、温度T3が温度TH以上となっていないと判断した場合、所定時間経過後にステップS135の処理を行い、温度T3が温度TH以上となったと判断した場合、時刻R2から時間H1が経過するまでの間、温度T3が温度THで維持されるように第3温度可変装置93Cを制御してもよい(ステップS136)。
ターゲット制御装置71Cは、ステップS94の処理において、図30に示すように、第4領域AR4の温度T4が温度TH4となるように、第4温度可変装置94Cを制御してもよい(ステップS141)。ターゲット制御装置71Cは、第4温度可変装置94Cからの信号に基づいて、温度T4が温度TH4以上となったか否かを判断してもよい(ステップS142)。温度TH4は、出力温度Topよりも低く、温度TBよりも高くてもよい。ターゲット制御装置71Cは、ステップS142において、温度T4が温度TH4以上となっていないと判断した場合、所定時間経過後にステップS142の処理を行い、温度T4が温度TH4以上となったと判断した場合、時間H11の間、第4領域AR4の温度T4が温度TH4で維持されるように第4温度可変装置94Cを制御してもよい(ステップS143)。ステップS143の処理は、図26における時刻R2から時刻R61の間に行われてもよい。
ターゲット制御装置71Cは、温度T4が温度THとなるように、第4温度可変装置94Cを制御してもよい(ステップS144)。第4温度コントローラ944Cは、温度T4が温度TH以上となったか否かを判断してもよい(ステップS145)。ターゲット制御装置71Cは、第4温度可変装置94Cからの信号に基づいて、ステップS145において、温度T4が温度TH以上となっていないと判断した場合、所定時間経過後にステップS145の処理を行い温度T4が温度TH以上となったと判断した場合、時刻R2から時間H1が経過するまでの間、温度T4が温度THで維持されるように第4温度可変装置94Cを制御してもよい(ステップS146)。
以上のステップS91〜ステップS94の処理により、図26に示すように、第1,第2,第3,第4領域AR1,AR2,AR3,AR4の昇温速度をそれぞれSP1,SP2,SP3,SP4とした場合、昇温速度の関係は、以下の式(1)を満たし得る。
SP1>SP2>SP3>SP4 … (1)
このため、第1領域AR1、第2領域AR2、第3領域AR3、第4領域AR4の順序で温度が融点Tmpに到達し得る。すなわち、ターゲット制御装置71Cは、ターゲット収容タンク84A内のインゴット275を、フィルタ831Aに近い側の第2領域AR2に位置する部分より、フィルタ831Aから遠い側の第1領域AR1に位置する部分を先に融解させるように、第1,第2温度可変装置91C,92Cを制御し得る。また、ステップS2の処理により、ターゲット収容タンク84A内が略真空の状態になり得る。以上の処理により、インゴット275の第2領域AR2に位置する部分が融解して液体のターゲット物質270になる前に、当該インゴット275の第1領域AR1に位置する部分が液体のターゲット物質270になり得る。第1領域AR1に液体のターゲット物質270が位置しているため、第2領域AR2に位置する液体のターゲット物質270が第1領域AR1側に膨張し得る。その結果、第1〜第4領域AR1〜AR4の加熱時に、第2領域AR2に位置する過飽和状態のターゲット物質270がフィルタ831Aを通過して、第2連通部862Aに浸入することが抑制され得る。
ターゲット制御装置71Cは、ステップS91〜ステップS94の処理を行った後、図25に示すように、第1〜第4領域AR1〜AR4の温度T1〜T4が、温度TBとなるように第1〜第4温度可変装置91C〜94Cを制御してもよい(ステップS95)。ステップS95の処理は、図26における時刻R3に行われてもよい。
第1〜第4温度可変装置91C〜94Cの第1〜第4温度コントローラ914C〜944Cは、第1〜第4温度センサ913C〜943Cからの信号をターゲット制御装置71Cに送信してもよい。ターゲット制御装置71Cは、第1〜第4温度可変装置91C〜94Cからの信号に基づいて、以下の式(2)〜(5)の条件を全て満たすか否かを判断してもよい(ステップS96)。
T1≦TB … (2)
T2≦TB … (3)
T3≦TB … (4)
T4≦TB … (5)
ターゲット制御装置71Cは、ステップS96において、上記式(2)〜(5)の条件のうち、少なくとも1つの条件を満たしていないと判断した場合、所定時間経過後にステップS96の処理を行ってもよい。一方、ターゲット制御装置71Cは、上記式(2)〜(5)の条件を全て満たすと判断した場合、時間H3の間、第1〜第4領域AR1〜AR4の温度T1〜T4が、温度TBで維持されるように第1〜第4温度可変装置91C〜94Cを制御してもよい(ステップS97)。ステップS97の処理は、図26における時刻R21から時刻R22の間に行われてもよい。第1〜第4領域AR1〜AR4の温度T1〜T4が温度TBで維持されることにより、過飽和状態のターゲット物質270に溶解していた酸素であって、温度TBでは溶解できない酸素が金属酸化物278として析出した後、当該金属酸化物278が大きく成長し得る。
ターゲット制御装置71Cは、第1〜第4領域AR1〜AR4の温度T1〜T4が、温度TLとなるように第1〜第4温度可変装置91C〜94Cを制御してもよい(ステップS98)。ステップS98の処理は、図26における時刻R22に行われてもよい。
ターゲット制御装置71Cは、第1〜第4温度可変装置91C〜94Cからの信号に基づいて、以下の式(6)〜(9)の条件を全て満たすか否かを判断してもよい(ステップS99)。
T1≦TL … (6)
T2≦TL … (7)
T3≦TL … (8)
T4≦TL … (9)
ターゲット制御装置71Cは、ステップS99において、上記式(6)〜(9)の条件のうち、少なくとも1つの条件を満たしていないと判断した場合、所定時間経過後にステップS99の処理を行ってもよい。一方、ターゲット制御装置71Cは、上記式(6)〜(9)の条件を全て満たすと判断した場合、時間H2の間、第1〜第4領域AR1〜AR4の温度T1〜T4が、温度TLで維持されるように第1〜第4温度可変装置91C〜94Cを制御してもよい(ステップS100)。
ターゲット制御装置71Cは、ステップS100の処理が終了すると、第1実施形態のステップS18〜ステップS19の処理を行ってもよい。
例えば上限回数Nmaxが2回に設定されている場合、図26における時刻R1,R24に、ステップS91〜ステップS94の処理が行われ得る。時刻R2から時刻R61の間、および、時刻R25から時刻R62の間に、ステップS123,S133,S143の処理が行われ得る。時刻R2から時刻R3の間、および、時刻R25から時刻R26の間に、ステップS113の処理が行われ得る。時刻R3,R26に、ステップS95の処理が行われ得る。時刻R21から時刻R22の間、および、時刻R27から時刻R28の間に、ステップS97の処理が行われ得る。時刻R22,R28に、ステップS98の処理が行われ得る。時刻R23から時刻R24の間、および、時刻R29から時刻R30の間に、ステップS100の処理が行われ得る。時刻R30に、金属酸化物278の析出処理が終了し得る。時刻R31に、ステップS5の処理が行われ得る。
3.4.3 第3実施形態の変形例
3.4.3.1 動作
図31は、インゴットが第1領域、第2領域、第3領域、第4領域の順序で融解したときに生じ得る現象を概略的に示す。図32は、第3実施形態の変形例に係る金属酸化物の析出処理を示すフローチャートである。図33は、ターゲット精製方法を示すタイミングチャートである。図34は、第3,第4領域の温度制御処理を示すフローチャートである。
第3実施形態において、ターゲット収容タンク84A内の圧力Pが圧力P0で維持された状態で、第1領域AR1、第2領域AR2、第3領域AR3、第4領域AR4の順序で温度が融点Tmpに到達しても、図31に示すように、過飽和状態のターゲット物質270がフィルタ831Aを通過し、第2連通部862Aに溜まることがあり得る。この場合、ターゲット生成器8A内のターゲット物質270を凝固させて、再び、融解させると、第2連通部862Aのターゲット物質270から金属酸化物278が析出し、ノズル孔822Aが詰まったり、ノズル孔822Aの径が小さくなったりし得る。
このような現象を抑制するために、ターゲット制御装置71Cは、以下のような制御を行ってもよい。
ターゲット制御装置71Cは、図8に示すステップS1〜ステップS3の処理を行った後、ステップS3における金属酸化物の析出処理として、図32に示すような処理を行ってもよい。
ターゲット制御装置71Cは、図32に示すように、ステップS11の処理を行った後、第1領域AR1の温度制御処理(ステップS91)と、第2領域AR2の温度制御処理(ステップS92)と、第3,第4領域AR3,AR4の温度制御処理(ステップS151)とを行ってもよい。ターゲット制御装置71Cは、ステップS91〜ステップS92、ステップS151の処理を、図33における時刻R1に開始してもよい。
ターゲット制御装置71Cは、ステップS151の処理において、図34に示すように、第3,第4領域AR3,AR4の温度T3,T4が温度Tmpuとなるように、第3,第4温度可変装置93C,94Cを制御してもよい(ステップS161)。温度Tmpuは、液体のターゲット物質270が凝固せずに金属酸化物278が析出しない温度であってもよい。温度Tmpuは、融点Tmp以上かつ温度TB以下の温度であってもよい。温度Tmpuは、232℃〜240℃の範囲の所定の温度であってもよい。
ターゲット制御装置71Cは、第3,第4温度可変装置93C,94Cからの信号に基づいて、以下の式(10)〜(11)の条件を全て満たすか否かを判断してもよい(ステップS162)。
T3≧Tmpu … (10)
T4≧Tmpu … (11)
ターゲット制御装置71Cは、ステップS162において、上記式(10)〜(11)の条件のうち、少なくとも1つの条件を満たしていないと判断した場合、所定時間経過後にステップS162の処理を行ってもよい。一方、ターゲット制御装置71Cは、上記式(10)〜(11)の条件を全て満たすと判断した場合、第3,第4領域AR3,AR4の温度T3,T4が、温度Tmpuで維持されるように第3,第4温度可変装置93C,94Cを制御してもよい(ステップS163)。
ターゲット制御装置71Cは、昇温降温サイクル数Nが上限回数Nmax以上となったか否かを判断してもよい(ステップS164)。このステップS164において、ターゲット制御装置71Cは、昇温降温サイクル数Nが上限回数Nmax以上となっていないと判断した場合、所定時間経過後にステップS164の処理を行ってもよい。一方、ターゲット制御装置71Cは、昇温降温サイクル数Nが上限回数Nmax以上となったと判断した場合、第3,第4領域AR3,AR4の温度制御処理を終了してもよい。ここで、昇温降温サイクル数Nの値は、ステップS151の処理と並列的に実行されているステップS91、S92〜S19の処理によって適宜更新された最新の値を参照するようにするとよい。
第1,第2,第3,第4領域AR1,AR2,AR3,AR4の昇温速度をそれぞれSP1,SP2,SP3,SP4とした場合、昇温速度の関係は、上記式(1)を満たしてもよい。
このため、第1領域AR1、第2領域AR2、第3領域AR3、第4領域AR4の順序で温度が融点Tmpに到達し、その結果、上述したように、第1〜第4領域AR1〜AR4の加熱時に、過飽和状態のターゲット物質270がフィルタ831Aを通過して、第2連通部862Aに浸入することが抑制され得る。
ターゲット制御装置71Cは、ステップS91〜ステップS92の処理を行った後、図32に示すように、第1,第2領域AR1,AR2の温度T1,T2が、温度TBとなるように第1,第2温度可変装置91C,92Cを制御してもよい(ステップS152)。
ターゲット制御装置71Cは、第1,第2温度可変装置91C,92Cからの信号に基づいて、上記式(2)〜(3)の条件を全て満たすか否かを判断してもよい(ステップS153)。
ターゲット制御装置71Cは、ステップS153において、上記式(2)〜(3)の条件のうち、少なくとも1つの条件を満たしていないと判断した場合、所定時間経過後にステップS153の処理を行ってもよい。一方、ターゲット制御装置71Cは、式(2)〜(3)の条件を全て満たすと判断した場合、時間H3の間、第1,第2領域AR1,AR2の温度T1,T2が、温度TBで維持されるように第1,第2温度可変装置91C,92Cを制御してもよい(ステップS154)。
ターゲット制御装置71Cは、第1,第2領域AR1,AR2の温度T1,T2が、温度TLとなるように第1,第2温度可変装置91C,92Cを制御してもよい(ステップS155)。ターゲット制御装置71Cは、第1,第2温度可変装置91C,92Cからの信号に基づいて、上記式(6)〜(7)の条件を全て満たすか否かを判断してもよい(ステップS156)。
ターゲット制御装置71Cは、ステップS156において、式(6)〜(7)の条件のうち、少なくとも1つの条件を満たしていないと判断した場合、所定時間経過後にステップS156の処理を行ってもよい。一方、ターゲット制御装置71Cは、式(6)〜(7)の条件を全て満たすと判断した場合、時間H2の間、第1,第2領域AR1,AR2の温度T1,T2が、温度TLで維持されるように第1,第2温度可変装置91C,92Cを制御してもよい(ステップS157)。なお、この時間H2の間も、第3,第4領域AR3,AR4の温度T3,T4は、温度Tmpuで維持され得る。
ターゲット制御装置71Cは、ステップS157の処理が終了すると、第1実施形態のステップS18〜ステップS19の処理を行ってもよい。
例えば上限回数Nmaxが2回に設定されている場合、図33に示すように、第3,第4領域AR3,AR4の温度T3,T4が、温度Tmpuに到達した時刻から時刻R30までの間、温度Tmpuに維持され得ること以外の処理は、第3実施形態と同様の処理が行われ得る。
このため、金属酸化物278の析出処理において、図31に示すように、過飽和状態のターゲット物質270が第2連通部862Aに溜まったとしても、この過飽和状態のターゲット物質270が凝固することが抑制され得る。その結果、このターゲット物質270からの金属酸化物278の析出が抑制され得る。したがって、金属酸化物278の析出処理後、ターゲット物質270を凝固させずにEUV光252を生成するための工程に移行した場合、過飽和状態のターゲット物質270がドロップレット27として出力され、金属酸化物278によるノズル孔822Aの詰まりや、ノズル孔822Aの径が小さくなることが抑制され得る。
4.ターゲット供給タンクおよびターゲット収容タンクを含むターゲット供給装置
4.1 第4実施形態
4.1.1 構成
図35は、第4実施形態に係るターゲット供給タンクおよびターゲット収容タンクを含むターゲット供給装置の構成を概略的に示す。
ターゲット供給装置7Dは、図35に示すように、ターゲット生成部70Dと、制御部としてのターゲット制御装置71Dとを備えてもよい。
ターゲット生成部70Dは、ターゲット生成器8Dと、圧力調整器75Dと、圧力調節器75Aと、排気部77Aと、温度可変装置78Aと、温度制御部97Dと、ピエゾ部79Aとを備えてもよい。
ターゲット生成器8Dは、ターゲット供給タンク87Dと、移送部88Dと、生成器本体80Aと、蓋部81Aと、ノズル先端部82Aと、フィルタ部83Aとを備えてもよい。第4実施形態において、本開示のタンクは、生成器本体80Aのターゲット収容タンク84Aではなく、ターゲット供給タンク87Dであってもよい。
ターゲット供給タンク87Dは、タンク本体871Dと、蓋部872Dとを備えてもよい。タンク本体871Dは、+Z方向側の第1面に壁面を備える略円筒状に形成されてもよい。蓋部872Dは、タンク本体871Dの−Z方向側の第2面を閉塞する略円板状に形成されてもよい。蓋部872Dは、タンク本体871Dの第2面に密着するように設けられてもよい。ターゲット供給タンク87Dの中空部は、ターゲット物質270を収容する収容空間870Dであってもよい。
移送部88Dは、移送配管881Dを備えてもよい。移送配管881Dは、管状に形成されてもよい。移送配管881Dの中空部は、連通部860Dであってもよい。移送配管881Dは、タンク本体871Dの第1面と、生成器本体80Aの蓋部81Aとを貫通するように設けられてもよい。移送配管881Dの+Z方向側の端部は、ターゲット収容タンク84Aの第1面近傍に位置してもよい。これにより、ターゲット供給タンク87D内のターゲット物質270は、連通部860Dを通過して生成器本体80Aのターゲット収容タンク84A内に移送され得る。
移送配管881Dには、バルブ882Dが設けられてもよい。バルブ882Dには、ターゲット制御装置71Dが電気的に接続されてもよい。バルブ882Dは、ターゲット制御装置71Dの制御によって、ターゲット供給タンク87D内のターゲット物質270をターゲット収容タンク84Aに移送可能な開状態と、移送しない閉状態とを切り替えできるように構成されてもよい。
移送配管881Dにおけるバルブ882Dよりも生成器本体80A側には、フィルタ部883Dが設けられてもよい。フィルタ部883Dは、フィルタ884Dと、ホルダ885Dとを備えてもよい。第4実施形態において、本開示のフィルタは、フィルタ831Aではなく、フィルタ884Dであってもよい。
フィルタ884Dは、フィルタ831Aと同様の構成であってもよい。例えば、フィルタ884Dは、第1フィルタおよび第2フィルタのうち少なくとも一方のフィルタを備えてもよい。
ホルダ885Dは、ホルダ832Aと同様の構成であってもよい。ホルダ885Dは、フィルタ884Dが連通部860Dを塞ぐように、フィルタ884Dを保持してもよい。フィルタ884Dにより、連通部860Dが、フィルタ884Dよりターゲット供給タンク87D側の第1連通部861Dと、フィルタ884Dよりノズル孔822A側の第2連通部862Dとに分けられてもよい。
ターゲット供給タンク87Dの蓋部872Dには、配管754Dが貫通するように設けられてもよい。蓋部81Aには、配管755Dが貫通するように設けられてもよい。
配管754Dには、圧力調整器75Dが設けられてもよい。圧力調整器75Dは、圧力調節器75Aと同様の構成を有してもよい。圧力調整器75Dの図示しない圧力制御部は、ターゲット制御装置71Dに電気的に接続されてもよい。圧力調整器75Dは、ターゲット制御装置71Dから送信される信号に基づいて、不活性ガスボンベ751A内の不活性ガスをターゲット供給タンク87D内に供給可能に構成されてもよい。圧力調整器75Dは、ターゲット制御装置71Dから送信される信号に基づいて、ターゲット供給タンク87D内の圧力を調整可能に構成されてもよい。
配管755Dには、圧力調節器75Aが設けられてもよい。
排気部77Aは、ターゲット制御装置71Dから送信される信号に基づいて、生成器本体80A内およびターゲット供給タンク87D内を排気可能に構成されてもよい。
温度可変装置78Aの温度センサ783Aは、タンク本体871Dの外周面における第1面側に設けられてもよいし、タンク本体871D内に設けられてもよい。
温度制御部97Dは、温度可変装置78Aと同様の構成を有してもよい。温度制御部97Dは、ヒータ971Dと、ヒータ電源972Dと、温度センサ973Dと、温度コントローラ974Dとを備えてもよい。
温度センサ973Dは、ターゲット収容タンク84Aの外周面におけるノズル本体85A側に設けられてもよいし、ターゲット収容タンク84A内に設けられてもよい。温度コントローラ974Dは、温度センサ973Dからの信号に基づいて、ターゲット物質270の温度を所定温度に制御するための信号をヒータ電源972Dに出力するよう構成されてもよい。
4.1.2 動作
ターゲット制御装置71Dは、ターゲット供給タンク87D内にインゴット275が収容され、かつ、移送部88Dのバルブ882Dが閉じられた状態において、温度可変装置78Aおよび圧力調整器75Dを制御して、ターゲット物質270の精製処理を行ってもよい。ターゲット物質270の精製処理は、図8に示すような第1実施形態で行われたものと同様であってもよい。なお、ステップS2においてはターゲット収容タンク84Aおよび、ターゲット供給タンク87Dの排気が行われてもよい。
図8に示すステップS3の金属酸化物278の析出処理により、図35に示すように、ターゲット供給タンク87D内のターゲット物質270に金属酸化物278が析出し得る。
そして、ターゲット制御装置71Dは、ステップS4の処理を行ってもよい。ステップS4の処理において、ターゲット制御装置71Dは、温度可変装置78Aおよび温度制御部97Dを制御してもよい。このステップS4の処理により、ターゲット供給タンク87Dおよびターゲット収容タンク84Aの温度が出力温度Topに維持され得る。ターゲット制御装置71Dは、ステップS4の処理の後に、バルブ882Dを開いてもよい。
ターゲット制御装置71Dは、ステップS5の処理を行ってもよい。ステップS5の処理において、ターゲット制御装置71Dは、圧力調整器75Dを制御してもよい。このステップS5の処理により、金属酸化物278がフィルタ884Dで捕集されるとともに、過飽和状態でないターゲット物質270がフィルタ884Dを通過し、第2連通部862Dを介してターゲット収容タンク84A内に供給され得る。
ターゲット制御装置71Dは、ステップS6の処理を行ってもよい。ステップS6の処理において、ターゲット制御装置71Dは、圧力調節器75Aを制御してもよい。このステップS6の処理により、ターゲット物質270がジェット27Aとして出力し得る。ターゲット制御装置71Dは、ステップS7の処理を行ってもよい。
第4実施形態によれば、ターゲット収容タンク84A内のターゲット物質270に対して金属酸化物278の析出処理を行うことなく、金属酸化物278によるノズル孔822Aの詰まりや、ノズル孔822Aの径が小さくなることが抑制され得る。
5.コントローラ
5.1 構成
図36は、コントローラの概略構成を示すブロック図である。
上述した実施形態におけるコントローラは、EUV光生成制御システム5、ターゲット制御装置71A,ターゲット制御装置71B,71C,71D、圧力制御部752A、各温度コントローラ784A,914C,924C,934C,944C,974D等であってもよい。コントローラは、コンピュータやプログラマブルコントローラ等汎用の制御機器によって構成されてもよい。たとえば、以下のように構成されてもよい。
コントローラは、処理部1000と、処理部1000に接続される、ストレージメモリ1005と、ユーザインターフェイス1010と、パラレルI/O(Input/Output)コントローラ1020と、シリアルI/Oコントローラ1030と、A/D(Analog/Digital)、D/A(Digital/Analog)コンバータ1040とによって構成されてもよい。ストレージメモリ1005は、本開示のターゲット物質の精製プログラムを記録した記録媒体であってもよい。また、処理部1000は、CPU(Central Processing Unit)1001と、CPU1001に接続された、メモリ1002と、タイマ1003と、GPU(Graphics Processing Unit)1004とから構成されてもよい。
5.2 動作
処理部1000は、ストレージメモリ1005に記憶されたプログラムを読み出してもよい。また、処理部1000は、読み出したプログラムを実行したり、プログラムの実行に従ってストレージメモリ1005からデータを読み出したり、ストレージメモリ1005にデータを記憶させたりしてもよい。
パラレルI/Oコントローラ1020は、パラレルI/Oポートを介して通信可能な機器1021〜102Xに接続されてもよい。パラレルI/Oコントローラ1020は、処理部1000がプログラムを実行する過程で行うパラレルI/Oポートを介した、デジタル信号による通信を制御してもよい。
シリアルI/Oコントローラ1030は、シリアルI/Oポートを介して通信可能な機器1031〜103Xに接続されてもよい。シリアルI/Oコントローラ1030は、処理部1000がプログラムを実行する過程で行うシリアルI/Oポートを介した、デジタル信号による通信を制御してもよい。
A/D、D/Aコンバータ1040は、アナログポートを介して通信可能な機器1041〜104Xに接続されてもよい。A/D、D/Aコンバータ1040は、処理部1000がプログラムを実行する過程で行うアナログポートを介した、アナログ信号による通信を制御してもよい。
ユーザインターフェイス1010は、オペレータが処理部1000によるプログラムの実行過程を表示したり、オペレータによるプログラム実行の中止や割り込み処理を処理部1000に行わせたりするよう構成されてもよい。
処理部1000のCPU1001はプログラムの演算処理を行ってもよい。メモリ1002は、CPU1001がプログラムを実行する過程で、プログラムの一時記憶や、演算過程でのデータの一時記憶を行ってもよい。タイマ1003は、時刻や経過時間を計測し、プログラムの実行に従ってCPU1001に時刻や経過時間を出力してもよい。GPU1004は、処理部1000に画像データが入力された際、プログラムの実行に従って画像データを処理し、その結果をCPU1001に出力してもよい。
パラレルI/Oコントローラ1020に接続される、パラレルI/Oポートを介して通信可能な機器1021〜102Xは、EUV光生成制御システム5、他のコントローラ等であってもよい。
シリアルI/Oコントローラ1030に接続される、シリアルI/Oポートを介して通信可能な機器1031〜103Xは、圧力制御部752A、各温度コントローラ784A,914C,924C,934C,944C,974D等であってもよい。
A/D、D/Aコンバータ1040に接続される、アナログポートを介して通信可能な機器1041〜104Xは、温度センサ783A,762B、913C,923C,933C,943C,973D、圧力センサ753A、真空計等の各種センサであってもよい。
以上のように構成されることで、コントローラはフローチャートに示された動作を実現可能であってよい。例えば、コントローラとしてのターゲット制御装置71A,71B,71C,71Dは、ストレージメモリ1005に記憶されたターゲット物質の精製プログラムに基づいて、フローチャートに示された処理を行ってもよい。
6.他の変形例
第2実施形態または第2実施形態の変形例において、温度Tを温度THから温度TLに下げるまでの間に、温度TBに所定時間維持するようにしてもよい。
第3実施形態において、温度T1〜T4を温度TBに維持する時間を設けなくてもよい。第3実施形態の変形例において、温度T1,T2を温度TBに維持する時間を設けなくてもよい。
第3実施形態において、第3,第4温度可変装置93C,94Cを設けなくてもよい。第3実施形態または第3実施形態の変形例において、第3温度可変装置93Cおよび第4温度可変装置94Cのうち一方を設けなくてもよいし、ターゲット収容タンク84Aの外周面およびノズル86Aの外周面のうち少なくとも一方に、3個以上の温度可変装置を設けてもよい。
第4実施形態において、ターゲット供給タンク87D内のターゲット物質270に対して金属酸化物278の析出処理を行ったが、この析出処理に加えて、ターゲット収容タンク84A内のターゲット物質270に対しても金属酸化物278の析出処理を行ってもよい。このような処理により、金属酸化物278によるノズル孔822Aの詰まりや、ノズル孔822Aの径が小さくなることがさらに抑制され得る。
第4実施形態において、ステップS7の処理によりターゲット収容タンク84A内のターゲット物質270が少なくなった場合に、ターゲット供給タンク87D内のターゲット物質270に対して金属酸化物278の析出処理を行い、過飽和状態でないターゲット物質270をターゲット収容タンク84A内に供給してもよい。
第4実施形態におけるターゲット物質270の精製処理は、第1実施形態の変形例、第2実施形態、第2実施形態の変形例のうち、いずれか1つで行われた処理と同様であってもよい。
第4実施形態において、ターゲット供給タンク87Dの外周面に2個の温度可変装置を設け、ターゲット制御装置71Dが金属酸化物278の析出処理として以下のような処理を行ってもよい。ターゲット制御装置71Dは、ターゲット供給タンク87D内のインゴット275を、フィルタ884Dに近い側に位置する部分より、フィルタ884Dから遠い側に位置する部分を先に融解させるように、温度可変装置を制御してもよい。
第1〜第4実施形態または上述の各変形例において、本開示の温度可変装置として、ヒータでタンクの温度を変化させる構成を示したが、ヒータの代わりに、加熱と冷却の機能を備えるペルチェ素子をタンクに配置してもよい。この場合、ペルチェ素子に流す電流の大きさや向きを調節し、加熱や冷却を行うことで、タンクの温度を変化させてもよい。また、本開示の温度可変装置として、ヒータに加えて、冷却水路をタンクに配置してもよい。この場合、ヒータに流す電流の大きさや冷却水路に流す冷却水の量を調節することで、タンクの温度を変化させてもよい。
第1〜第4実施形態または上述の各変形例において、ノズル86Aからのターゲット物質270の出力やEUV光252の生成を長期間停止したときや、ターゲット収容タンク84A内またはターゲット供給タンク87D内のインゴット275が空気に触れる作業を実施した後に、金属酸化物278の析出処理を行ってもよい。
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図したものである。したがって、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
本明細書および添付の請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」または「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書および添付の請求の範囲に記載される修飾句「1つの」は、「少なくとも1つ」または「1またはそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。
7A,7B,7C,7D…ターゲット供給装置、8…ターゲット生成器、71A,71B,71C,71D…ターゲット制御装置(制御部、コンピュータ)、77A…排気部、78A,91C,92C,93C,94C…温度可変装置、84A…ターゲット収容タンク(タンク)、86A…ノズル、87D…ターゲット供給タンク、270…ターゲット物質、278…金属酸化物、822A…ノズル孔、831A,884D…フィルタ、860A,860D…連通部、1050…ストレージメモリ(記録媒体)

Claims (11)

  1. 金属のターゲット物質を収容するタンクと、
    前記タンクから前記ターゲット物質を出力するノズル孔を有するノズルと、
    前記タンク内の前記ターゲット物質を前記ノズル孔に導くための連通部に配置されたフィルタと、
    前記タンク内の前記ターゲット物質の温度を変化させる温度可変装置と、
    前記タンク内の前記ターゲット物質の温度を変化させることにより前記ターゲット物質中の酸素を金属酸化物として析出させるように、前記温度可変装置を制御する制御部とを備えるターゲット供給装置。
  2. 請求項1に記載のターゲット供給装置において、
    前記制御部は、前記タンク内のターゲット物質の温度を、前記ターゲット物質の融点よりも高い第1の温度と、前記第1の温度よりも低い第2の温度との間で少なくとも1回変化させるように前記温度可変装置を制御するターゲット供給装置。
  3. 金属のターゲット物質を収容するタンクと、
    前記タンクから前記ターゲット物質を出力するノズル孔を有するノズルと、
    前記タンク内の前記ターゲット物質を前記ノズル孔に導くための連通部に配置されたフィルタと、
    前記タンク内の前記ターゲット物質の温度を変化させる温度可変装置と、
    前記フィルタと前記ノズル孔との間に前記ターゲット物質が収容されていない状態で、前記タンク内のターゲット物質の温度を、前記ターゲット物質の融点よりも高い第1の温度と、前記第1の温度よりも低い第2の温度との間で少なくとも1回変化させるように前記温度可変装置を制御する制御部とを備えるターゲット供給装置。
  4. 金属のターゲット物質を収容するタンクと、
    前記タンクから前記ターゲット物質を出力するノズル孔を有するノズルと、
    前記タンク内の前記ターゲット物質を前記ノズル孔に導くための連通部に配置されたフィルタと、
    前記タンク内の前記ターゲット物質の温度を変化させる温度可変装置と、
    前記タンク内を排気する排気部と、
    前記タンク内を大気圧より低圧になるように前記排気部を制御した状態で、前記タンク内のターゲット物質の温度を、前記ターゲット物質の融点よりも高い第1の温度と、前記第1の温度よりも低い第2の温度との間で少なくとも1回変化させるように前記温度可変装置を制御する制御部とを備えるターゲット供給装置。
  5. 請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のターゲット供給装置において、
    前記第2の温度は、前記ターゲット物質の融点より低い温度であるターゲット供給装置。
  6. 金属のターゲット物質を収容するタンク、前記タンクから前記ターゲット物質を出力するノズル孔を有するノズル、および、前記タンク内の前記ターゲット物質を前記ノズル孔に導くための連通部に配置されたフィルタを備えるターゲット生成器と、
    前記タンク内の前記ターゲット物質の温度を変化させる温度可変装置とを用い、
    前記温度可変装置により前記タンク内の前記ターゲット物質の温度を変化させることで、前記ターゲット物質中の酸素を金属酸化物として析出させる工程と、
    前記析出させた前記金属酸化物を含む液体の前記ターゲット物質を、前記フィルタによって濾過する工程とを含むターゲット物質の精製方法。
  7. 請求項6に記載のターゲット物質の精製方法において、
    前記ターゲット物質中の酸素を金属酸化物として析出させる工程は、前記タンク内のターゲット物質の温度を、前記ターゲット物質の融点よりも高い第1の温度と、前記第1の温度よりも低い第2の温度との間で少なくとも1回変化させるように前記温度可変装置を制御する工程を含むターゲット物質の精製方法。
  8. 請求項7に記載のターゲット物質の精製方法において、
    前記第2の温度は、前記ターゲット物質の融点より低い温度であるターゲット物質の精製方法。
  9. 請求項6から請求項8のいずれか一項に記載のターゲット物質の精製方法における前記温度可変装置の制御を、コンピュータに実行させることを特徴とするターゲット物質の精製プログラム。
  10. 請求項9に記載のターゲット物質の精製プログラムがコンピュータにて読み取り可能に記録されたことを特徴とするターゲット物質の精製プログラムを記録した記録媒体。
  11. 請求項6から請求項8のいずれか一項に記載のターゲット物質の精製方法で精製されて凝固したターゲット物質が充填されたターゲット生成器。
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