JPWO2015166764A1 - 光取り出し積層体、有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 - Google Patents

光取り出し積層体、有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

厚さ3μm以上50μm以下の透明基板の一主面上に光取り出し層を設けた積層体に、屈曲半径5mm、折り曲げ角度180度、折り曲げ回数10回の屈曲試験を行った後に、光干渉型顕微鏡で前記光取り出し層における500μm×500μmの表面領域を観察して割れを生じない屈曲性を有することを特徴とする光取り出し積層体である。

Description

本発明は、光取り出し積層体、有機エレクトロルミネッセンス素子とその製造方法に関し、極めて小さな曲率半径で屈曲させても光取り出し効率を損なうことなく、素子寿命の向上が図られた有機エレクトロルミネッセンス素子とその製造方法に関する。
有機材料のエレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence、以下、「EL」と略記する。)を利用した有機電界発光素子、いわゆる有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」ともいう。)は、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能な薄膜型の完全固体素子であり、高輝度、高発光効率、薄型、軽量といった多くの優れた特徴を有している。
このため、各種ディスプレイのバックライト、看板や非常灯等の表示板、各種照明光源等の面発光体として注目されている。また有機EL素子は、薄型であるために可撓性を有する面発光体としても注目されている。
一方で、有機EL素子は、素子内での光の損失が大きいため、光の利用効率は20%程度であるという問題も有している。
そこで、このような素子の光の損失を抑え、より多くの光を取り出す技術として、フレキシブルなフィルム上に有機EL素子を設け、基板よりも光が出射する位置(最外層)に光取り出し構造体を有する構成が開示されている(例えば下記特許文献1参照)。
特開2012−84307号公報
しかしながら、特許文献1に記載の有機EL装置においては、厚さ100μmの樹脂基板を用いて構成されているため、基板自身の可撓性が低く、例えば小型モバイル機器等へ搭載(適用)することが困難である。したがってこのような小型モバイル機器等へ搭載する場合には、極めて小さな曲率半径で屈曲させることが可能な基板で構成されることが望まれる。
一方で、例えば厚さ50μm以下の基板を用いた場合には、このような屈曲に対して基板自身の可撓性は十分に得られるが、有機EL素子を構成する各機能層に微細な割れが生じてしまう。中でも、各機能層のうち最も膜厚の大きい光取り出し層が、屈曲させた際に微細な割れを生じる確率が高い。これにより、光取り出し層の光の取り出し効率が低下し、また、酸素や水分等が素子内部に浸透することで各機能層の劣化を生じ、素子寿命が低下してしまう。
そこで本発明は、極めて小さな曲率半径で屈曲させても光取り出し効率を損なうことのない光取り出し積層体、これを用いたことによって素子寿命の向上が図られた有機エレクトロルミネッセンス素子、および有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するための本発明の光取り出し積層体は、厚さ3μm以上50μm以下の透明基板の一主面上に光取り出し層を設けた積層体に、屈曲半径5mm、折り曲げ角度180度、折り曲げ回数10回の屈曲試験を行った後に、光干渉型顕微鏡で前記光取り出し層における500μm×500μmの表面領域を観察して割れを生じない屈曲性を有する。
また本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、厚さ3μm以上50μm以下の透明基板の一主面上に光取り出し層を設けた積層体上に、少なくとも透明電極、発光機能層、対向電極、封止部材とを積層した有機エレクトロルミネッセンス素子に、屈曲半径5mm、折り曲げ角度180度、折り曲げ回数10回の屈曲試験を行った後に、1000cd/m発光時の50倍顕微鏡での輝度ムラ測定にてムラを生じない屈曲性を有する。
このような構成の光取り出し積層体および有機エレクトロルミネッセンス素子は、厚さ3μm以上50μm以下の透明基板を有することにより、極めて小さな曲率半径で屈曲させることが可能となる。また、光取り出し積層体は、屈曲半径5mm、折り曲げ角度180度、折り曲げ回数10回の屈曲試験を行った場合に、光干渉型顕微鏡で光取り出し層における500μm×500μmの表面領域を観察して割れを生じない屈曲性を有する特徴を備えている。これにより、有機EL素子を構成する他の各機能層は、上記積層体の屈曲性に追従して変形させることが可能となる。また、有機エレクトロルミネッセンス素子は、同様の屈曲試験を行った後に、1000cd/m発光時の50倍顕微鏡での輝度ムラ測定にてムラを生じない屈曲性を有する。これにより、極めて小さな曲率半径で屈曲させても、光取り出し効率を損なうことなく、素子寿命の向上が図られたものとなる。
以上説明したように、本発明によれば、極めて小さな曲率半径で屈曲させても光取り出し効率を損なうことのない光取り出し積層体、および素子寿命の向上が図られた有機EL素子とその製造方法を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る光取り出し積層体および有機EL素子の構成を示す断面模式図である。 本発明の第1実施形態に係る屈曲試験を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る有機EL素子の構成を示す断面模式図である。 本発明の第2実施形態に係る有機EL素子の散乱層の平面模式図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて次に示す順に説明する。
1.第1実施形態:散乱層と、引っ張り試験により伸び率が10%以上である樹脂材料と、無機材料とを含有して構成される平滑層とを有する光取り出し層を備えた有機EL素子2.第2実施形態:海島構造の散乱層と、平滑層とを有する光取り出し層を備えた構成の有機EL素子
3.第3実施形態:有機EL素子の製造方法
尚、本発明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪1.第1実施形態:有機EL素子≫
(散乱層とウレタン系素材の平滑層とを有する光取り出し層を設けた構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る有機EL素子の構成を示す断面模式図である。この図に示す有機EL素子10は、透明基板11の一主面側(内部取り出し側)に、光取り出し層1、透明電極2、発光機能層3、及び対向電極5をこの順に設けた構成である。また、光取り出し層1は、透明基板11側から、散乱層1aと、平滑層1bとをこの順に設けた構成である。
尚、本実施形態においては、引っ張り試験により伸び率が10%以上である樹脂材料と、無機材料とを含有して構成される平滑層1bを有しているところが特徴的である。
また、有機EL素子10は、透明基板11と透明電極2との間に光取り出し層1を挟持した構成であるが、例えば透明基板11と透明電極2との間に他の層が設けられていても良い。
また、有機EL素子10は、ここでの図示は省略するが、透明基板11の一主側に発光機能層3を封止する封止部材を備えた構成であり、さらには保護部材が設けられていても良い。
以下に、本発明の有機EL素子10を構成する各部の詳細について、透明基板11、光取り出し層1、透明電極2、対向電極5、発光機能層3、及び封止部材の順に説明を行う。
<透明基板11>
本発明の有機EL素子に適用する透明基板11は、可撓性を有する折り曲げ可能な可撓性樹脂基板で、その厚さが3〜50μmの範囲内にある薄膜の透明基板であることを特徴とする。
本発明に係る透明基板11は、後述する各構成層を保持することができる樹脂材料であれば、特に限定されるものではない。
樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(略称:TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(略称:CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類及びそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート(略称:PC)、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(略称:PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル及びポリアリレート類、アートン(商品名、JSR社製)及びアペル(商品名、三井化学社製)等のシクロオレフィン系樹脂等を挙げることができる。
これら樹脂材料のうち、コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)、ポリカーボネート(略称:PC)等のフィルムが可撓性の透明基板11として好ましく用いられる。また、これらの樹脂材料は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
また、樹脂材料の表面には、無機物または有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成されていてもよい。このような被膜およびハイブリッド被膜は、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2%)RH)が0.01g/(m・24h)以下のバリア性フィルム(バリア膜)であることが好ましい。またさらには、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が10-3ml/(m・24h・atm)以下、水蒸気透過度が10-5g/(m・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
以上のようなバリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。さらにバリア膜は、これらの材料からなる無機膜の脆弱性を改良するために、これらの材料からなる無機層と、有機層との積層構造とすることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
本発明に係る透明基板11の厚さは、3〜50μmの範囲内であり、より好ましくは、3〜30μmの範囲内である。また、上述したバリア膜を形成する場合には、その総膜厚が上記範囲であることとする。膜厚が3μm以上であることにより、平面性を有する均一な基板を形成でき、透明基板11上に各機能層を形成する場合には、位置ずれやしわが入ることなく均一な層を形成できる。また膜厚が50μm以下であることにより、曲率半径5mm以下の屈曲性をもたせることが可能となる。
尚、透明基板11の厚さは、マイクロメータを使用して測定することとする。
[透明基板の製造方法]
本発明に適用可能な透明基板11は、従来公知の一般的な製膜方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押出機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の透明基板11を製造することができる。また、未延伸の透明基板11を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、透明基板11の搬送方向(縦軸方向、MD方向)、又は透明基板11の搬送方向と直角の方向(横軸方向、TD方向)に延伸することにより、延伸させた透明基板11を製造することができる。この場合の延伸倍率は、透明基板11の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍の範囲内であることが好ましい。
尚、透明基板11がバリア層を有する場合には、以上のようにして製造された未延伸又は延伸させた透明基板11上にバリア層を形成する。
(サポートフィルムの適用)
本発明においては、厚さが3〜50μmの範囲内という薄膜の透明基板11を使用する点から、その製造過程で、透明基板11の変形や折れ等が発生しやすく、その取り扱いが難しい。また、透明基板11上に有機EL素子10を構成する各機能層を形成する際には、所定位置で高い平面性を維持することが重要であり、透明基板11の両側からテンションを掛けることが必要となる。しかし、透明基板11の厚さが薄く、剛性が不十分であることから、位置ずれやしわが発生し、正確で均一な層形成が困難となる。
したがって、上記問題を防止する観点から、サポートフィルムを適用することが好ましい。このサポートフィルムの役割は、可撓性を有する有機EL素子の製造時にのみ一時的に使用するものであり、透明基板11上に所定の各機能層が積層された後は、透明基板11から剥離させる。
サポートフィルムとして適用可能な樹脂材料としては、上述した透明基板11として用いることができる各種樹脂材料を挙げることができる。
サポートフィルムの厚さは、特に制限されないものの、機械的強度、取扱性等を考慮すると、50〜300μmが好ましい。なお、サポートフィルムの厚さは、マイクロメータを使用して測定することが可能である。
本発明に係る透明基板11に、サポートフィルムを付与させる方法としては、透明基板11とサポートフィルムの間に粘着剤層を形成し、ニップローラー等で加圧して密着させる方法や、透明基板11とサポートフィルムを積層した後、真空下で積層した両フィルム間に電位差を設けて帯電させて密着させる方法等を挙げることができる。この帯電させて密着させる方法は、両フィルムを、それぞれ逆の電荷を帯びて帯電することにより、両フィルムを静電的に密着する方法であり、有機EL素子10を製造した後は、除電工程により除電処理を施して、両フィルムを剥離する。
<光取り出し層1>
[1.構成及び特性]
光取り出し層1は、透明基板11と透明電極2との間に挟持されており、透明基板11側から散乱層1aと平滑層1bとをこの順に設けた構成である。そして特に平滑層1bが、引っ張り試験により伸び率が10%以上である樹脂材料と、無機材料とを含有して構成されているところが特徴的である。
光取り出し層1の波長550nmにおける屈折率は、1.7以上2.5未満の範囲内であることが好ましい。
有機EL素子10の発光層3a内に閉じ込められる導波モード光や対向電極から反射されるプラズモンモード光は特異な光学モードの光であり、これらの光を取り出すためには少なくとも1.7以上の屈折率が必要である。一方、最も高次側のモードであっても屈折率2.5以上の領域の光は略存在せず、これ以上の屈折率としても取り出せる光の量が増えることはないため、屈折率は2.5未満であればよい。
実際には、散乱層1a及び平滑層1bの屈折率が、それぞれ1.7以上2.5未満の範囲内であることが好ましいが、各層の屈折率を個別に測定することは困難である場合が多いことから、光取り出し層1全体として、屈折率が上記範囲を満たしていれば良い。
尚、屈折率の測定は、25℃の雰囲気下で発光機能層3からの発光光hの発光極大波長のうち最も短い発光極大波長の光線を照射し、アッベ屈折率計(ATAGA社製、DR−M2)を用いて行う。
また、光取り出し層1のヘイズ値(全光線透過率に対する散乱透過率の割合)は、30%以上であることが好ましい。ヘイズ値が30%以上であれば、発光効率を向上させることができる。
尚、ヘイズ値とは、(i)層中の組成物の屈折率差による影響と、(ii)表面形状による影響とを受けて算出される物性値である。本発明においては、散乱層1a上に平滑層1bを積層した光取り出し層1としてのヘイズ値を測定する。すなわち、表面粗さを一定程度未満に抑えてヘイズ値を測定することにより、上記(ii)による影響を排除したヘイズ値が測定されることとなる。
また、本発明の光取り出し層1は、可視光に対する透過率が50%以上であることが好ましく、55%以上であることがより好ましく、60%以上であることが特に好ましい。
光取り出し層1の透過率は高いことが好ましいが、実際上は80%未満の数値にとどまると想定される。光取り出し層1の透過率は、より好ましくは85%未満であり、特に好ましくは90%未満である。
[2.散乱層1a(光取り出し層1)]
本発明の散乱層1aは、バインダー(層媒体)と光散乱粒子aとの混合材料である光散乱材料を用いて構成され、バインダーと光散乱粒子aとの屈折率差を利用した混合散乱層である。
散乱層1aは、光散乱粒子a及びバインダーを含有する光散乱材料塗布液(以下、散乱層塗布液と示す)を透明基板11上に塗布・乾燥し、硬化させることにより形成される。
(2.1 屈折率)
散乱層1aは、温度25℃、湿度55%RHの環境下において、屈折率が1.7以上3.0未満の範囲内である高屈折率層であることが好ましい。
この場合、散乱層1aは、バインダーと、光散乱粒子aとを混合した場合に、層全体で屈折率1.7以上3.0未満を満たせばよく、各々の素材の屈折率は、1.7未満若しくは3.0以上であってもよい。このような混合系の場合、散乱層1aの層全体の屈折率は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率で代用可能である。
尚、層全体で屈折率1.7以上3.0未満を満たすことが可能であれば、単独の素材で層を形成しても良い。
散乱層1aは、光取り出し効率を向上させる層であり、透明基板11と透明電極2との間に設けられた層であって、特に透明基板11上の最表面に透明基板11に対して最も近接させて設けられることが好ましい。
散乱層1aは、バインダーと該バインダーに含有される光散乱粒子aとから構成されている。
バインダーである後述の樹脂材料(モノマー又はポリマー)と含有される光散乱粒子aとの屈折率差は、0.03以上であり、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.2以上であり、特に好ましくは0.3以上である。バインダーと光散乱粒子aとの屈折率差が0.03以上であれば、バインダーと光散乱粒子aとの界面で散乱効果が発生する。屈折率差が大きいほど、界面での屈折が大きくなり、散乱効果が向上するため好ましい。
(2.2 光散乱粒子の平均粒径)
散乱層1aは、上記のように、バインダーと光散乱粒子aとの屈折率の違いにより光を散乱させる層である。そのため、含有される光散乱粒子aとしては、可視光域のMie散乱を生じさせる領域以上の粒径を有する透明な粒子であることが好ましく、その平均粒径は150〜350nmであり、好ましくは150〜250nmである。
平均粒径の上限を250nmとすることにより、散乱層1aの層厚を薄くすることができるとともに、当該散乱層1aの表面を平滑にする平滑層1bの層厚を薄くすることができ、また、工程の負荷、層の吸収の観点でも有利である。一方、平均粒径の下限を150nmとすることにより、発光光の散乱効果を確実に得ることができる。
ここで、光散乱粒子aの平均粒径は、透過型電子顕微鏡写真(TEM断面)の画像処理により測定することができる。
なお、光散乱粒子aの平均粒径は150〜350nmの範囲内において、平均粒径が小さいほど短波長の波長成分の光を散乱しやすく、平均粒径が大きいほど高波長の波長成分の光を散乱しやすい。したがって、平均粒径が小さい光散乱粒子と平均粒径が大きい光散乱粒子とを組み合わせて用いるようにしても良い。
(2.3 光散乱粒子の種類等)
光散乱粒子aとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機微粒子であっても、無機微粒子であっても良いが、中でも高屈折率を有する無機微粒子であることが好ましい。
高屈折率を有する有機微粒子としては、例えば、ポリメチルメタクリレートビーズ、アクリル−スチレン共重合体ビーズ、メラミンビーズ、ポリカーボネートビーズ、スチレンビーズ、架橋ポリスチレンビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ及びベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ等が挙げられる。
高屈折率を有する無機微粒子としては、例えば、ジルコニウム、チタン、インジウム、亜鉛、アンチモン、セリウム、ニオブ及びタングステン等の中から選ばれる少なくとも一つの酸化物からなる無機酸化物粒子が挙げられる。無機酸化物粒子としては、具体的には、ZrO、TiO、BaTiO、In、ZnO、Sb、ITO、CeO、Nb及びWO等が挙げられ、中でも、TiO、BaTiO、ZrO、CeO及びNbが好ましく、TiOが最も好ましい。また、TiOの中でも、アナターゼ型よりルチル型の方が、触媒活性が低いため高屈折率層や隣接した層の耐候性が高くなり、更に屈折率が高いことから好ましい。
また、これらの粒子は、高屈折率の散乱層1aに含有させるために、後述の分散液とした場合の分散性や安定性向上の観点から、表面処理を施したものを用いるか、あるいは表面処理を施さないものを用いるかを選択することができる。
表面処理を行う場合、表面処理の具体的な材料としては、酸化ケイ素や酸化ジルコニウム等の異種無機酸化物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、オルガノシロキサン、ステアリン酸等の有機酸等が挙げられる。これら表面処理材は、1種を単独で用いても良く、複数種を組み合わせて用いても良い。中でも、分散液の安定性の観点から、表面処理材としては、異種無機酸化物及び/又は金属水酸化物が好ましく、金属水酸化物がより好ましい。
無機酸化物粒子が、表面処理材で表面被覆処理されている場合、その被覆量(一般的に、この被覆量は、粒子の質量に対する当該粒子の表面に用いた表面処理材の質量割合で示される。)は、0.01〜99質量%の範囲内であることが好ましい。表面処理材の被覆量が0.01質量%以上であると、表面処理による分散性や安定性の向上効果を十分に得ることができ、また、99質量%以内であると高屈折率の散乱層1aの屈折率が低下するのを抑制することができる。
その他、高屈折率材料として、国際公開第2009/014707号や米国特許第6608439号明細書等に記載の量子ドットも好適に用いることができる。
上記高屈折率粒子は、その屈折率が1.7以上であり、1.85以上が好ましく、2.0以上が特に好ましい。屈折率が1.7以上であると、バインダーとの屈折率差が大きくなるため散乱量が増大し、光取り出し効率の向上効果が得られる。
一方で、高屈折率粒子の屈折率の上限は3.0未満である。バインダーとの屈折率差が大きければ十分な散乱量を得ることができ、光取り出し効率の向上効果が得られる。
上記高屈折率粒子の配置は、光散乱粒子aが散乱層1aと平滑層1bとの界面に接触又は近接するように平均粒径の厚さ程度で配置されるのが好ましい。これにより、平滑層1b内で全反射が起きたとき、散乱層1aに染み出してくるエバネッセント光を粒子で散乱させることができ、光取り出し効率が向上する。
高屈折率粒子の散乱層1aにおける含有量は、体積充填率で、1.0〜70%の範囲内であることが好ましく、5〜50%の範囲内であることがより好ましい。これにより、散乱層1aと平滑層1bとの界面に屈折率分布の粗密を作ることができ、光散乱量を増加させて光取り出し効率を向上させることができる。
(2.4 バインダーの種類等)
バインダーとしては、公知の樹脂が特に制限なく使用可能であり、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド及びポリエーテルイミド等の樹脂フィルム、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(製品名Sila−DEC、チッソ株式会社製)、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)の他、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーを構成単位とする含フッ素共重合体等が挙げられる。これら樹脂は、2種以上混合して使用することができる。これらの中でも、有機無機ハイブリッド構造を有するものが好ましい。
また、以下の親水性樹脂を使うことも可能である。親水性樹脂としては水溶性の樹脂、水分散性の樹脂、コロイド分散樹脂又はそれらの混合物が挙げられる。親水性樹脂としては、アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系及びフッ素系等の樹脂が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、カゼイン、デンプン、寒天、カラギーナン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、セルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、プルラン及び水溶性ポリビニルブチラール等のポリマーを挙げることができるが、これらの中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。
バインダーとして用いられる樹脂は、1種類を単独で用いても良いし、必要に応じて2種類以上を混合して使用しても良い。
また、同様に、従来公知の樹脂粒子(エマルジョン)等も好適に使用可能である。
また、バインダーとしては、主として紫外線・電子線によって硬化する樹脂、すなわち、電離放射線硬化型樹脂に熱可塑性樹脂と溶媒とを混合したものや熱硬化型樹脂も好適に使用できる。
このような樹脂としては、飽和炭化水素又はポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることがより好ましい。また、上記樹脂は、架橋していることが好ましい。例えば、飽和炭化水素を主鎖として有する樹脂は、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋している樹脂を得るためには、二つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。
また、本実施形態の散乱層1aのバインダーとしては、特定の雰囲気下で紫外線照射によって、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸化窒化物を形成する化合物が特に好適に使用される。本発明に適する化合物としては、特開平8−112879号公報に記載されている比較的低温で改質処理され得る化合物が好ましい。
具体的には、Si−O−Si結合を有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む。)、Si−N−Si結合を有するポリシラザン、Si−O−Si結合とSi−N−Si結合の両方を含むポリシロキサザン等を挙げることができる。これらは、2種以上を混合して使用することができる。また、異なる化合物を逐次積層したり、同時積層したりしても使用可能である。
(2.5 溶媒の種類等)
散乱層塗布液に使用される溶媒は、ヒドロキシ基(−OH基)を含有することが好ましい。−OH基を含有する溶媒により、光散乱粒子a(高屈折率粒子)の分散性が非常に良好となり、上述の透明基板11との密着性、塗れ性も良好となる。更には、光取り出し効率も向上する。
また、可撓性の透明基板11の吸収が低い赤外波長域を効率良く吸収する溶媒により、可撓性の透明基板11上での高速乾燥をも実現できる。−OH基含有溶媒は、少なくとも10%以上含有することが好ましく、−OH基含有の溶媒を50%以上含有することがより好ましく、更に好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上含有する。
また、本発明では、沸点120〜250℃の範囲内の溶媒を少なくとも1種以上含有することが好ましく、より好ましくは、沸点150〜200℃の範囲内の溶媒を少なくとも1種以上含有することが好ましい。特に、沸点が150〜200℃の範囲内であって、かつ−OH基を含有する溶媒であることが非常に好ましい。沸点150℃以上において、−OH基を有しない溶媒は含有しない方が好ましく、このような溶媒は30%未満、より好ましくは20%未満、特に好ましくは10%未満に抑えることが重要である。
−OH基を含有する溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、n−アミルアルコール、sec−アミルアルコール:CHCHCHCH(OH)CH、3−ペンタノール:CHCHCH(OH)CHCH、2−メチル−1−ブタノール:CHCHCH(CH)CHOH、3−メチル−1−ブタノール(イソアミルアルコール):CHCH(CH)CHCHOH、2−メチル−2−ブタノール(tert−アミルアルコール):CHCHC(CHOH、3−メチル−2−ブタノール:CHCH(CH)CH(OH)CH、2,2−ジメチル−1−プロパノール等が挙げられ、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチセロ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチセロ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセロ)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコール誘導体等を挙げることができる。
また、溶媒として、例えば、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメトキシメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン、モノアセチン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及び2−フェノキシエタノールを用いることもできる。
更に、溶媒として、例えば、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−ペンタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、n−ノニルアルコール、トリデシルアルコール、n−ウンデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコール、4−ヒドロキシ−2−ブタノン、ジアセトンアルコール、モノエタノールアミン、2−アミノエタノール、N−メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、2−ジブチルアミノエタノール、2−ジイソプロピルアミノエタノール、N−メチル−ジエタノールアミン、ジエタノールアミン、2,2′−(n−エチル)イミノジエタノール、2,2′−(n−ブチル)イミノジエタノール、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール及び3−アミノ−1−プロパノールを用いることもできる。
(2.6 膜厚と粒子の平均粒径との関係)
本発明においては、散乱層1aの膜厚は、光取り出し効率及び可撓性の観点から150〜500nmであり、好ましくは150〜300nmである。また、可撓性の観点からなるべく薄く形成されることが好ましく、例えば、光取り出し効率の観点から、光散乱粒子aが散乱層1cと平滑層1dとの界面に接触又は近接するように平均粒径の厚さ程度で配置されることがさらに好ましい。
また、散乱層1aの膜厚をTと、散乱層1aに含有される光散乱粒子aの平均粒径をDとしたとき、T/Dの値が0.75〜3.0の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、T/Dの値が1.0〜2.5の範囲内であり、更に好ましくは、T/Dの値が1.25〜2.0の範囲内である。
T/Dの値が0.75未満であると、光散乱粒子aに光が衝突する確率が低くなり好ましくなく、T/Dの値が3.0を超えると、光散乱粒子aによる吸収が大きくなり、光の吸収損が大きく好ましくない。
(2.7 散乱層における光散乱粒子の面内占有率)
散乱層1aに含有される光散乱粒子aの当該散乱層1aにおける面内占有率は、20〜60%に設定されている。
「光散乱粒子aの散乱層1aにおける面内占有率」とは、散乱層1aを平面視してこれを透視したときに、その面内における光散乱粒子aの面積占有率をいう。
ここで、本発明の散乱層1aは上記のように構成されているため、層厚方向から見て、光散乱粒子aの量が多い光散乱領域と、光散乱粒子aの量が少ない光透過領域とが、面方向で海島構造状に混在して形成されている。このため、散乱層1aを透過する光のうち光散乱領域を透過する光は、光散乱粒子aで散乱され、斜め方向への光の取り出しの効率を増大させることができるものであり、また、散乱層1aを透過する光のうち光透過領域を透過する光は、ほとんど散乱されることなく直進して、有機EL素子10の正面方向へ取り出すことができるものである。したがって、正面への取り出し光の低減を抑制しつつ、斜め方向への光の取り出しの効率を増大して、高効率で光を取り出すことができるものである。
散乱層1aにおける光散乱領域と光透過領域の面積の割合は、光散乱粒子aの面内占有率が20〜60%となるように形成されている。光散乱粒子aの面内占有率が20%未満であると、散乱層1aを通過する光の散乱が不十分になって、斜め方向への取り出しが不十分になる。一方、光散乱粒子aの面内占有率が60%を超えると、光透過領域の面積が小さくなり過ぎて、斜め方向に取り出せる光以上に正面への光の取り出しが大きく低下してトータルの光取り出し量が減少する。したがって、光散乱粒子aの面内占有率が20〜60%となるように光散乱領域と光透過領域とを形成することで、いずれの光の取り出し効率も十分に高めることができる。
(2.8 散乱層における表面粗さRa及び最大高さRt)
本発明においては、散乱層1aの表面粗さRaは10〜50nmに設定され、最大高さRtは100〜300nmに設定されている。
ここで、本発明において、表面粗さRaは算術平均粗さを表し、当該表面粗さRa及び最大高さRtは、光干渉粗さ計WYKO NT3300(Veecco社製)及び解析ソフトVision32(ver.2.303)を用い、PSIモードにて、対物レンズ50倍、内部1倍(視野90μm×120μm)で測定した値であるものとする。
散乱層1aの表面粗さRaが上記範囲に設定されていることで、光散乱粒子aが面内で均一に配置されているものではなく、上記したような光散乱領域及び光透過領域が存在するものとなっている。
また、散乱層1aの最大高さRtが上記範囲に設定されていることで、光散乱粒子aが凝集して層厚方向に光散乱粒子aが積み重なっている箇所がないものとなっている。
[3.平滑層1b]
平滑層1bは、樹脂材料と、無機材料とを含有して構成される層である。そして特に樹脂材料は、引っ張り試験により、伸び率が10%以上であることが好ましい。また、平滑層1bの無機材料は、屈折率2.0以上の無機粒子で形成されていることが好ましい。
本発明の引っ張り試験とは、JIS-7127に準拠して測定された樹脂材料の樹脂単体フィルムの伸び率である。尚、樹脂材料の樹脂単体フィルムとは、例えば溶液流延法により、乾燥膜厚30〜100μmとなるように、フィルムを製膜した後、高圧水銀ランプ(80W/cm)を用い、0.4(J/cm)となるようにUV照射し、硬化させたフィルムであることとする。
平滑層1bは、樹脂単体フィルムの引っ張り試験の伸び率が10%以上の樹脂材料で形成されていることが好ましく、20%以上、さらには30%以上であるのがより好ましい。引っ張り試験の伸び率が10%以上であることにより、平滑層1bの屈曲や伸縮等の内部変形の自由度を持たせることが可能となる。
樹脂材料としては、例えば紫外線や電子線のような活性線照射によって重合、硬化する硬化性樹脂であって、好ましくは紫外線硬化型樹脂が挙げられ、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等の紫外線硬化型アクリレート系樹脂等が挙げられる。
中でも、引っ張り試験において伸び率が高く、平滑層1bに柔軟性をもたせる観点から、紫外線硬化性樹脂は、ウレタンアクリレートまたはアクリル樹脂アクリレートの樹脂の少なくとも一方を用いた樹脂重合体で構成されていることが好ましい。このような樹脂重合体は、モノマーあるいはオリゴマーを含む塗布液を光または熱により重合させて形成する。
尚、樹脂材料としては、引っ張り試験において伸び率が高く、平滑層1bに柔軟性をもたせることが可能であればその他の樹脂素材を用いて構成されていてもよい。
硬化性樹脂の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインおよびその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等およびこれらの誘導体を挙げることができる。尚、光増感剤と共に使用してもよい。
また、平滑層1bは、屈折率が1.7以上2.5未満の高屈折率層であることが好ましい。屈折率が1.7以上2.5未満であれば、単独の素材で形成されていても良いし、混合物で形成されていても良い。混合物で形成する際の屈折率の考え方は、上述した散乱層1aの場合と同様である。
また、高屈折率の平滑層1bとする上で、平滑層1bには、無機材料(無機微粒子)が含有されていることが好ましく、特に金属酸化物微粒子が含有されていることが好ましい。特に平滑層1bの透明性を確保するために、微粒子ゾルの形態で用いることが好ましい。
平滑層1bに含まれる金属酸化物微粒子の屈折率の下限としては、バルクの状態で2.0以上であることが好ましく、2.3以上であることが特に好ましい。また、金属酸化物微粒子の屈折率の上限としては、3.0以下であることが好ましい。金属酸化物微粒子の屈折率が2.0以上であると光取り出し効率が向上し好ましい。金属酸化物微粒子の屈折率が3.0以下であると平滑層1b中での多重散乱が減少し、透明性が向上するため好ましい。
高屈折率の平滑層1bに含まれる金属酸化物微粒子(無機微粒子)の粒径の下限としては、通常5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、15nm以上であることが更に好ましい。また、金属酸化物微粒子の粒径の上限としては、70nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。金属酸化物微粒子の粒径が5nm以上であると、金属酸化物微粒子の凝集を抑えられ、透明性が向上するため好ましい。また、粒径が大きいと表面積が小さくなり、触媒活性が低下し、平滑層1bや隣接した層の劣化が遅延する可能性があり好ましい。金属酸化物微粒子の粒径が70nm以下であると、平滑層の透明性が向上し好ましい。本発明の効果を損なわない限り、粒径の分布は制限されず、広くても狭くても複数の分布を持っていても良い。
平滑層1bにおける金属酸化物微粒子の含有量の下限としては、全体質量に対して、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることが更に好ましい。また、金属酸化物微粒子の含有量の上限としては、97質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。平滑層の金属酸化物微粒子の含有量が70質量%以上であると、平滑層1bの屈折率を1.80以上とすることが実質的に容易になる。平滑層の金属酸化物微粒子の含有量が95質量%以下であると平滑層1bの塗布が容易となり、乾燥後の層の脆性も小さくなって、耐屈曲性が向上し好ましい。
平滑層1bに含有される金属酸化物微粒子としては、安定性の観点から、TiO(二酸化チタンゾル)であることがより好ましい。また、TiOの中でも、特にアナターゼ型よりルチル型の方が触媒活性が低いため、平滑層1bや隣接した層の耐候性が高くなり、更に屈折率を高められることから好ましい。
本発明で用いることのできる二酸化チタンゾルの調製方法としては、例えば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等を参照することができる。
二酸化チタン微粒子の特に好ましい1次粒子径は、5〜15nmの範囲内であり、最もより好ましくは6〜10nmの範囲内である。
また、平滑層1bは、透明電極2を良好に形成させる平坦性を有することが重要であり、その表面性は表面粗さRaが100nm未満、好ましくは30nm未満、特に好ましくは10nm未満、最も好ましくは5nm未満である。また、平滑層1bの厚さは、光透過性及び可撓性の観点から、散乱層1aと平滑層1bとを合わせた光取り出し層1の膜厚が1μm以下となることが好ましい。
[4.光取り出し層1の形成方法]
(4.1 散乱層1aの形成方法)
散乱層1aを形成する工程では、主に下記(i)〜(iii)の処理を行う。
(i)散乱層塗布液を透明基板11上に塗布・パターニングする。
(ii)透明基板11上に塗布・パターニングした散乱層塗布液を乾燥させる。
(iii)乾燥後の散乱層塗布液を硬化させる。
(i)の処理では、平均粒径が150〜350nmであって、好ましくは屈折率が1.7以上3.0未満の光散乱粒子aをバインダー溶液に分散させ、これを散乱層塗布液として透明基板11上に塗布する。
尚、散乱層1aを構成する材料に硬化性材料が用いられていない場合には、(iii)の処理は行わなくても良い。また、その場合には(ii)の処理が散乱層塗布液を硬化させる処理を兼ねるものとしても良い。
また、光散乱粒子aは、実際には多分散粒子であることや規則的に配置することが困難であることから、局部的には回折効果を有するものの、多くは散乱により光の方向を変化させ光取り出し効率を向上させる。
(i)の塗布・パターニング処理では、パターニング方法として、公知の印刷方法を広く用いることができる。例えば、グラビアコータ法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、マイクロコンタクトプリント法、インクジェット法、さらに極微量の液適を吐出するスーパーインクジェット法等各種方式が好適に使用できるが、版を用いないインクジェット法、又はスーパーインクジェット法が好ましい方法である。
(ii)の乾燥処理では、塗布・パターニングした散乱層塗布液の溶媒を除去することができれば、いずれの乾燥方法であっても良いが、例えば、波長制御赤外線ヒーター等により特定の波長領域を選択的に照射することで乾燥させることが好ましい。これにより、例えば透明基板11の特定の吸収領域をカットすることや、散乱層1aを構成する溶媒の蒸発に有効な波長を選択的に照射することができ、薄膜の透明基板11であっても変形することなく乾燥できる。
乾燥処理の条件として特に制限はないが、膜厚分布の均一性、パターニング精度を高めるために、赤外線の照射時間等を適宜選択することとする。
尚、散乱層塗布液に含有されるバインダーとして、硬化性材料を用いる場合には、上記(iii)の硬化処理を行う。
(iii)の硬化処理では、散乱層塗布液に含有されるバインダーとして、紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、乾燥後の散乱層塗布液に紫外線を照射することができれば、いずれの紫外線照射方法であっても良い。例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用でき、好ましくは上記のとおりエキシマUVランプによる紫外線が使用される。
また、散乱層塗布液中に含有されるバインダーとして、電離放射線硬化型樹脂組成物を用いる場合には、電離放射線硬化型樹脂組成物の通常の硬化方法、すなわち、電子線又は紫外線を照射することによって硬化させることができる。
電子線照射によって硬化させる場合には、例えば、コックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される10〜1000keVの範囲内、好ましくは30〜300keVの範囲内のエネルギーを有する電子線等が使用される。これらの中でも特に電子線強度の弱い物が好ましく、浜松ホトニクス社製の電子線光源『EBエンジン』等が特に好ましく適用できる。
(4.2 平滑層の形成方法)
平滑層1bを形成する工程においても、散乱層1aを形成する工程と同様に、下記(iv)〜(vi)の処理を行う。
(iv)平滑層塗布液を散乱層1a上に塗布・パターニングする。
(v)散乱層1a上に塗布・パターニングした平滑層塗布液を乾燥させる。
(vi)乾燥後の平滑層塗布液を硬化させる。
(iv)の処理では、平均粒径が5〜70nmであって、好ましくは屈折率が2.0以上3.0未満の無機微粒子をバインダー溶液に分散させ、これを平滑層塗布液として散乱層1a上に塗布する。なお、平滑層塗布液の溶媒は、上述した散乱層1aの溶媒と同様のものを使用することができるが、これに限られず、異なる溶媒を用いてもよい。また、平滑層塗布液のバインダーとなる樹脂材料として紫外線硬化性樹脂を用いた場合は、(vi)の硬化処理では、エキシマUVランプにより硬化させることが好ましい。
尚、光取り出し層1の形成方法においては、(iii)の硬化処理が省略されていても良い。
<透明電極2>
透明電極2は、発光機能層3で生じた発光光hを取り出す側に設けられた電極である。このような透明電極2は、可視光を透過する材料で構成され、例えば金属材料(例えば銀)であることが好ましい。また透明電極2は、有機EL素子10の発光機能層3に対して陽極または陰極として用いられ、少なくとも発光機能層3に接する側の界面層が、陽極または陰極として適する材料で構成されていることとする。尚、本発明に係る透明電極2でいう「透明」とは、波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。
<対向電極5>
対向電極5は、透明電極2との間に発光機能層3を挟持する状態で設けられた電極である。この対向電極5は、有機EL素子10の発光機能層3に対して、透明電極2が陽極であれば陰極として用いられ、透明電極2が陰極であれば陽極として用いられる。このため、少なくとも発光機能層3に接する側の界面層が、陰極または陽極として適する材料で構成されていることとする。
このような対向電極5は、例えば発光機能層3で生じた発光光hを、透明基板11の光取り出し面11a側に反射させる反射電極として構成されている。また対向電極5は、可視光に対して透過性を有していても良く、この場合は、対向電極5側からも発光光hを取り出すことが可能になる。
ここで上述した透明電極2または対向電極5を構成する陽極および陰極は、以下のようであることとする。
[陽極]
陽極は、仕事関数の大きい(4eV以上、好ましくは4.5V以上)電極物質で構成され、金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au、Ag等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
また陽極として有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましい。
陽極の厚さは、透明電極2として用いられるか対向電極5として用いられるかにもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で、透過性または反射性を考慮して設定される。
[陰極]
陰極は、金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム、Ag、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましい。
陰極の厚さは、透明電極2として用いられるか対向電極5として用いられるかにもよるが、通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で、透過性または反射性を考慮して設定される。
[陽極及び陰極の好ましい態様]
ここで、陽極又は/及び陰極(以下、電極として示す)が銀を主成分として構成されている層である場合には、後述の少なくとも窒素原子又は硫黄原子を有する有機化合物を含有する下地層上に形成されていることが好ましい態様である。
銀を主成分として構成されている層とは、電極中の銀の含有量が60質量%以上であることをいい、好ましくは銀の含有量が80質量%以上であり、より好ましくは銀の含有量が90質量%以上であり、特に好ましくは銀の含有量が98質量%以上である。
尚、電極は銀を主成分として構成されている層であるが、具体的には、銀単独で形成しても、あるいは銀(Ag)を含有する合金から構成されていてもよい。銀(Ag)を含有する合金としては、銀を50質量%以上含む合金であることが好ましい。銀(Ag)を含有する合金としては、例えば、銀マグネシウム(AgMg)、銀銅(AgCu)、銀パラジウム(AgPd)、銀パラジウム銅(AgPdCu)、銀インジウム(AgIn)、銀アルミニウム(AgAl)、銀金(AgAu)等が挙げられる。
また、銀を主成分として構成された電極は、後述する下地層上に形成されることにより、形成後の高温アニール処理(例えば、150℃以上の加熱プロセス)等がなくても十分に導電性を有することができるが、必要に応じて、樹脂基材の変形が生じない温度条件で、成膜後にアニール処理等を施しても良い。
電極は、下地層上に銀を主成分として構成されることにより薄膜化することができる。このような電極の厚さは、2〜20nmの範囲内にあることを特徴とするが、好ましくは厚さが4〜12nmの範囲内である。厚さが20nm以下であれば、電極の吸収成分及び反射成分が低く抑えられ、光透過率が維持されるため好ましい。また、厚さが2nm以上であることにより、電極の導電性も確保される。このように、銀(Ag)を主成分とした電極は、光透過性を有するため、透明電極2として好ましく用いられる。このような金属材料からなる透明電極2は、屈曲性も良好である。
<下地層>
下地層は、少なくとも窒素原子又は硫黄原子を有する有機化合物を含有した層である。このような下地層は、芳香族性に関与しない有効非共有電子対を持つ窒素原子又は硫黄原子を有する有機化合物を用いて構成されていることが好ましい。
本発明においては、銀を主成分とする電極を形成する際に、その下部に窒素原子又は硫黄原子を有する有機化合物を含有する下地層を設けることとする。これにより、電極を形成する際に、電極を構成する銀が、下地層に含有された有機化合物の窒素原子あるいは硫黄原子と相互作用し、銀原子の下地層表面における拡散距離が減少する。この結果、銀の凝集を抑制することができる効果を発現し、均一性の高い電極を形成することができる。
一般的には、銀を主成分として構成されている電極の形成においては、島状成長型(Volmer−Weber:VW型)での膜成長により、銀粒子が島状に孤立し易く、層厚が薄いときは導電性を得ることが困難となり、シート抵抗値が高くなる。したがって、電極の導電性を確保する為には、ある程度層厚を厚くする必要があるが、層厚が厚いと光透過率が低下し、透明電極としては不適であった。
上記問題に対し、電極の下部にあらかじめ窒素原子又は硫黄原子を有する有機化合物を含有する下地層を設けた場合には、電極は、窒素原子あるいは硫黄原子と銀との相互作用により、銀の凝集が抑えられたものとなる。このため、銀を主成分として構成される電極の形成においては、単層成長型(Frank−van der Merwe:FM型)の膜成長によって成膜されるようになる。
下地層は、窒素及び硫黄から選択される少なくとも一種の原子を含有する有機化合物を主成分とする。本発明でいう主成分とは、下地層全質量に対する窒素及び硫黄から選択される少なくとも一種の原子を含有する有機化合物の質量比率が、50質量%以上であることをいい、好ましくは70質量%以上である。
また、下地層は、5nm〜1μmの任意の膜厚の範囲内で設けることができるが、電極の均一性を担保する観点からは、10〜500nmの範囲内であることが好ましい。
下地層を構成する有機化合物は、一種でもよく二種以上を組み合わせて混合してもよい。また、窒素及び硫黄原子を有していない他の化合物を、本発明の効果を阻害しない範囲で混合してもよい。
また、有機化合物は、低分子化合物であっても、ポリマー構造を有する化合物のいずれも使用することができる。
[1.窒素原子を含有する低分子有機化合物]
窒素原子を含有する低分子有機化合物とは、融点が80℃以上であり、かつ分子量Mが150〜1200の範囲内にある化合物が好ましい。また、窒素原子を含有する低分子有機化合物は、銀等との相互作用が大きい方が好ましく、例えば、含窒素複素環化合物、フェニル基置換アミン化合物が挙げられる。
窒素原子を含有する低分子有機化合物とは、窒素原子を含有する有機化合物の分子量Mに対する[有効非共有電子対]の数nを、有効非共有電子対含有率[n/M]と定義した場合に、この[n/M]が、2.0×10−3≦[n/M]となるように選択された化合物であり、3.9×10−3≦[n/M]の範囲であることが更に好ましい。
ここでいう[有効非共有電子対]とは、化合物に含有される窒素原子が有する非共有電子対のうち、芳香族性に関与せず、かつ金属に配位していない非共有電子対であることとする。
ここでの芳香族性とは、π電子を持つ原子が環状に並んだ不飽和環状構造を言い、いわゆる「ヒュッケル則」に従う芳香族性であって、環上のπ電子系に含まれる電子の数が「4n+2」(n=0、又は自然数)個であることを条件としている。
以上のような[有効非共有電子対]は、その非共有電子対を備えた窒素原子自体が、芳香環を構成するヘテロ原子であるか否かにかかわらず、窒素原子が有する非共有電子対が芳香族性と関与しているか否かによって選択される。例えば、ある窒素原子が芳香環を構成するヘテロ原子であっても、その窒素原子の非共有電子対が、芳香族性に必須要素として直接的に関与しない非共有電子対、すなわち共役不飽和環構造(芳香環)上の非局在化したπ電子系に芳香族性発現のために必須のものとして関与していない非共有電子対であれば、その非共有電子対は[有効非共有電子対]の一つとしてカウントされる。
これに対して、ある窒素原子が芳香環を構成するヘテロ原子でない場合であっても、その窒素原子の非共有電子対の全てが芳香族性に関与していれば、その窒素原子の非共有電子対は[有効非共有電子対]としてカウントされることはない。
尚、窒素原子の非共有電子対が、イオン結合や配位結合に利用されている場合には、[有効非共有電子対]には該当しないものとする。また、例えばニトロ基の窒素原子が有する非共有電子対のように、酸素原子との共鳴構造に利用されている場合には、[有効非共有電子対]として窒素上に存在するものとする。
尚、各化合物において、上述した[有効非共有電子対]の数nは、[有効非共有電子対]を有する窒素原子の数と一致する。
また、有機化合物が、複数の化合物を用いて構成されている場合、例えば、化合物の混合比に基づき、これらの化合物を混合した混合化合物の分子量Mを求め、この分子量Mに対しての[有効非共有電子対]の合計の数nを、有効非共有電子対含有率[n/M]の平均値として求め、この値が上述した所定範囲であることが好ましい。
以下に、下地層を構成する窒素原子を含有する低分子有機化合物として、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]が2.0×10−3≦[n/M]を満たす化合物として、以下の例示化合物No.1〜No.43を示す。
なお、下記に示す例示化合物No.31の銅フタロシアニンにおいては、窒素原子が有する非共有電子対のうち、銅に配位していない非共有電子対が、[有効非共有電子対]としてカウントされる。
Figure 2015166764
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上記例示した化合物No.1〜No.43について、[有効非共有電子対]の個数(n)、分子量(M)及び有効非共有電子対含有率(n/M)を下記表1示す。
Figure 2015166764
窒素原子を含有する低分子有機化合物として、更に上記例示した化合物No.1〜No.43の他に、下記化合物No.44〜No.47を挙げることができる。
Figure 2015166764
[2.窒素原子を含有するポリマー]
下地層に適用する窒素原子を含有する有機化合物としては、下記に具体例を示す窒素原子を含有するポリマーを用いることができる。
窒素原子を含有するポリマーは、重量平均分子量が1000〜1000000の範囲内にあるポリマーが好ましい。
このようなポリマーは、特に制限はないが、下記一般式(P1)で表される部分構造、又は下記一般式(P2)で表される部分構造を有するポリマーを含むことが好ましい。
Figure 2015166764
上記一般式(P1)において、Aは2価の窒素原子含有基を表し、Yは、2価の有機基又は単結合手を表す。n1は、重量平均分子量が1000〜1000000の範囲内となる繰り返し数である。
上記一般式(P2)において、Aは1価の窒素原子含有基を表す。n2は、1以上の整数を表す。n2は好ましくは1〜3の整数であり、さらに好ましくは合成容易性の点から1又は2である。n2が2以上である場合、複数のAはそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、一般式(P2)で表される部分構造を有するポリマー中に、複数のAが含まれる場合には、個々のモノマー中、又は、モノマー間でAはそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記一般式(P2)において、A及びAは2価の窒素原子含有基を表す。A及びAは同一であってもよいし、異なっていてもよい。n3及びn4はそれぞれ独立して、0又は1の整数を表す。
上記一般式(P2)において、Yは(n2+2)価の有機基を表す。
含窒素ポリマーとして、上記一般式(P1)又は(P2)で表される部分構造を有するポリマーは、上記一般式(P1)又は(P2)由来の単一の構成単位のみから構成される単独重合体(ホモポリマー)であってもよいし、上記一般式(P1)又は(P2)由来の2種以上の構成単位から構成される共重合体(コポリマー)であってもよい。
また、上記一般式(P1)又は(P2)で示される構造単位に加えて、含窒素置換基を持たない他の構造単位(以下、単に「他の構造単位」とも称する)をさらに有し、共重合体(コポリマー)を形成していてもよい。
窒素原子含有のポリマーにおいて、窒素原子を有していない他の構造単位を有する場合、他の構造単位の含有量は、上述した効果を損なわない程度であれば、特に制限されない。他の構造単位由来の単量体の含有量は、全構造単位由来の単量体中、10〜75モル%の範囲内であり、好ましくは20〜50モル%の範囲内である。
上記一般式(P1)又は(P2)で表される部分構造を有するポリマーの末端は、特に制限されず、使用される原料(単量体)の種類によって適宜規定されるが、通常、水素原子である。
上記一般式(P2)において、Aで表される1価の窒素原子含有基は、窒素原子を含む有機基であれば特に制限されない。例えば、アミノ基、ジチオカルバメート基、チオアミド基、シアノ基(−CN)、イソニトリル基(−N≡C)、イソシアナート基(−N=C=O)、チオイソシアナート基(−N=C=S)、又は、置換もしくは無置換の含窒素芳香族環を含む基が挙げられる。
以下に、窒素原子を含有する下記のモノマー単位から構成されるポリマーの具体例を示すが、本発明においてはこれら例示するモノマーに限定されない。なお、本発明に係る窒素原子を含有するポリマーは、下記に示すモノマー単位を、重量平均分子量が1000〜1000000となる範囲の繰り返し数で構成されている。
Figure 2015166764
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[3.硫黄原子を含有する有機化合物]
硫黄原子を含有する有機化合物としては、分子内にスルフィド結合(チオエーテル結合ともいう。)、ジスルフィド結合、メルカプト基、スルホン基、チオカルボニル結合等を有していればよく、特に、スルフィド結合、メルカプト基であることが好ましい。
具体的には、下記一般式(1)〜一般式(4)で表される含硫黄化合物を挙げることができる。
Figure 2015166764
Figure 2015166764
Figure 2015166764
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上記一般式(1)において、R及びRは、各々置換基を表す。
及びRで表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(上記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基、ピペリジル基(ピペリジニル基ともいう)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、リン酸エステル基(例えば、ジヘキシルホスホリル基等)、亜リン酸エステル基(例えばジフェニルホスフィニル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
上記一般式(2)において、R及びRは、置換基を表す。
及びRで表される置換基としては、R及びRと同様の置換基が挙げられる。
上記一般式(3)において、Rは、置換基を表す。
で表される置換基としては、R及びRと同様の置換基が挙げられる。
上記一般式(4)において、Rは、置換基を表す。
で表される置換基としては、R及びRと同様の置換基が挙げられる。
以下に、本発明に係る下地層に適用可能な硫黄原子を含有する有機化合物の具体例を挙げる。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、下記1−1〜1−9が挙げられる。
Figure 2015166764
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、下記2−1〜2−11が挙げられる。
Figure 2015166764
一般式(3)で表される化合物の具体例としては、下記3−1〜3−23が挙げられる。
Figure 2015166764
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また、一般式(4)で表される化合物の具体例としては、下記4−1が挙げられる。
Figure 2015166764
[4.硫黄原子を含有するポリマー]
下地層に適用する硫黄原子を含有する有機化合物としては、下記に具体例を示す硫黄原子を含有するポリマーを用いることができる。
硫黄原子を含有するポリマーの重量平均分子量は、1000〜1000000の範囲内であることが好ましい。
ポリマーとしては、特に制限はなく、例えば、下記に示すモノマー単位から構成されるポリマーを挙げることができる。なお、カッコ外に付記した数値は、それぞれのモノマー単位の構成比率(モル比)を表す。
Figure 2015166764
上記例示した硫黄原子を含有するポリマーの重量平均分子量を、下記表2に示す。
Figure 2015166764
硫黄原子を含有するポリマーは、公知、周知の合成方法に従って調製することができる。また、硫黄原子を含有するポリマーは、上述のように、重量平均分子量が1000〜1000000であることが好ましい。
下地層の形成方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法等のウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法等)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。また、下地層の層厚としては、5.0〜40nmの範囲内であることが好ましい。
<発光機能層3>
発光機能層3は、少なくとも有機材料で構成された発光層3aを含む層である。このよう発光機能層3の全体的な層構造が限定されることはなく、一般的な層構造であって良い。このような発光機能層3は、一例として、透明電極2および対向電極5のうち陽極として用いられる電極側から順に[正孔注入層/正孔輸送層/発光層3a/電子輸送層/電子注入層]を積層した構成が例示されるが、発光層3a以外の層は必要に応じて設けられることとする。
このうち、発光層3aは、陰極側から注入された電子と、陽極側から注入された正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層3aの層内であっても発光層3aにおける隣接する層との界面であってもよい。このような発光層3aは、発光材料として燐光発光材料が含有されていても良く、蛍光発光材料が含有されていても良く、燐光発光材料および蛍光発光材料の両方が含有されていても良い。また発光層3aは、これらの発光材料をゲスト材料とし、さらにホスト材料を含有する構成であることが好ましい。
正孔注入層および正孔輸送層は、正孔輸送性と正孔注入性とを有する正孔輸送注入層として設けられても良い。また電子輸送層および電子注入層は、電子輸送性と電子注入性とを有する電子輸送注入層として設けられても良い。またこれらの各層のうち、例えば正孔注入層および電子注入層は無機材料で構成されている場合もある。
また発光機能層3は、これらの層の他にも正孔阻止層や電子阻止層等が必要に応じて必要箇所に積層されていて良い。
さらに発光機能層3は、各波長領域の発光光を発生させる各色の発光層3aを含む複数の発光機能層を積層した構成であっても良い。各発光機能層は、異なる層構造であって良く、直接積層されていても中間層を介して積層されていてもよい。中間層は、一般的に中間電極、中間導電層、電荷発生層、電子引抜層、接続層、中間絶縁層の何れかであり、陽極側の隣接層に電子を、陰極側の隣接層に正孔を供給する機能を持った層であれば、公知の材料構成を用いることができる。
<封止部材>
本発明の有機EL素子10は、透明電極2、対向電極5、及び対向電極5と透明電極2との間に形成される発光機能層3を外気から遮断するため、封止部材で封止しておくことが好ましい。
本発明に用いられる封止手段としては、例えば、封止材料と、上記有機EL素子10の構成部材を、接着剤で封止樹脂層を形成して接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子10の発光機能層3の露出部を覆うように配置されておればよく、凹板状でも平板状でもよい。また、透明性、電気絶縁性は特に問わない。
封止に用いる封止材料としては、具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特に、ソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、例えば、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、有機EL素子10を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。更には、ポリマーフィルムは、JIS
K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が1×10−3g/(m・24h)以下のものであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
封止樹脂層を形成する接着剤の具体例としては、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
尚、有機EL素子10が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までの温度範囲で接着硬化できるものが好ましい。また、接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。
封止材料への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
<光取り出し積層体15>
透明基板11と光取り出し層1とで構成されたのない光取り出し積層体(以下、単に積層体15と記す)は、屈曲試験により割れを生じない屈曲性を有するところが特徴的である。本発明の屈曲試験において割れが生じないとは、屈曲試験を行った後の任意の500μm×500μmの表面領域において、光取り出し層1の割れが、クラック長50μm未満で、且つ、5個以下であることと定義する。
すなわち、例えばクラック長50μm以上の割れが1個以上である場合や、クラック長50μm未満のクラックが6個以上の場合のいずれか一方であっても、本願の範囲外とする。尚、任意の500μm×500μmの表面領域とは、屈曲試験において屈曲半径5mmで折り曲げ応力が負荷された領域である。
ここで、クラック長が50μm未満で、且つ、5個以下の光取り出し層1によれば、時間の経過とともにクラックが広がることを抑制でき、後述する実施例に示されるように、素子寿命の向上を図ることができる。下記に本発明における屈曲試験を説明する。
図2は、有機EL素子の積層体の屈曲試験を説明する図である。先ず、図2(A)に示すように、積層体15の透明基板11側を直径10mmの円柱に押し当てる。
次に、図2(B)に示すように、積層体15を、屈曲半径5mm(直径10mm)、折り曲げ角度180°でU字型に折り曲げた後、元の平板に戻す。
これを10回繰り返した後、積層体15の光取り出し層1の500μm×500μmの表面領域を、市販の光学干渉型顕微鏡で観察し、割れの部分におけるクラック長、及び、クラックの個数を計測する。
<第1実施形態の効果>
以上のように構成された有機EL素子10は、厚さ3〜50μmの透明基板11と、この透明基板11上に散乱層1aと、樹脂材料と無機材料とを含有して構成される平滑層1bとをこの順に積層して構成された光取り出し層1を有している。そして特に平滑層1bは、樹脂単体フィルムの引っ張り試験により、伸び率が10%以上の樹脂材料を有して構成されている。これにより、平滑層1bの屈曲や伸縮等の内部変形の自由度を持たせることが可能となり、このような平滑層1bに隣接する散乱層1aは、散乱層1aの平滑層1b側の引っ張り応力を緩和することが可能となる。つまり、散乱層1aを極めて小さな曲率半径で屈曲させても、散乱層1aに追従させた平滑層1bを変形させることができる。
したがって、このような透明基板11と光取り出し層1とで構成された積層体15は、屈曲半径5mm、折り曲げ角度180度、折り曲げ回数10回の屈曲試験を行った場合に、光干渉型顕微鏡で光取り出し層1における500μm×500μmの表面領域を観察して割れを生じない屈曲性を有するものとなる。
以上により、有機EL素子10を構成する他の各機能層は、上記積層体15の屈曲性に追従して変形させることが可能となり、極めて小さな曲率半径で屈曲させても、光取り出し効率を損なうことなく、素子寿命の向上が図られたものとなる。
また、有機EL素子10の透明電極2がAgを主成分として構成され、下地層上に設けられた構成を有する場合には、上記効果に加えてさらに素子全体の厚みを薄膜化することができる。これにより、さらに素子の屈曲性の自由度を持たせることが可能となる。
≪2.第2実施形態:有機EL素子≫
(海島構造の散乱層と平滑層とを有する光取り出し層を設けた構成)
図3は、本発明の第2実施形態に係る有機EL素子の構成を示す断面模式図である。この図に示す有機EL素子20は、光取り出し層の構成のみが先の図1を用いて説明した有機EL素子10と異なり、他の構成は同一である。以下、第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略して第2実施形態に係る有機EL素子20の特徴部を説明する。
第2実施形態の有機EL素子20において、透明基板11、透明電極2、対向電極5、発光機能層3、及び封止部材は、上述の第1実施形態と同様の構成である。このため、これらの構成については、詳細な説明を省略する。
<光取り出し層21>
本実施形態の光取り出し層21は、散乱層1cと平滑層1dとをこの順に積層して構成され、特に散乱層1cが、透明基板11上に光散乱材料が島状に分散されている海島構造を有するところが特徴的である。
[1.散乱層1c(光取り出し層21)]
散乱層1cは、透明基板11上に光散乱材料が島状に分散されている海島構造を有して構成されている。尚、散乱層1cに用いられる光散乱材料は、第1実施形態と同様の材料を用いることができる。
(1.1 海島構造)
図4は、本発明の第2実施形態に係る有機EL素子の散乱層の平面模式図である。図3及び図4に示すように散乱層1cは、光散乱材料が島状に分散されている海島構造を有して構成される層である。
海島構造とは、比較的連続的に見える方を海とし、その中に不連続に存在する他の一方を島として、これらが混在している状態の構造をいう。
ここで、島(以下島部と示す)は、光散乱材料により構成され、透明基板11上の面内において、不連続的に存在する1つの部分である。光散乱材料は、上述したようにバインダーと光散乱粒子aで構成されている。
また、島状に分散されているとは、透明基板11上に所望の間隔を保って配置されていることを表し、規則的に配置されていてもよいし、不規則的に配置されていてもよい。
島部の形状は、定形、不定形を問わず、例えば、円形、楕円形、四角形、星型等があげられるが、これらに限定されない。また、島部の大きさも同じであってもよいし、複数の大きさが混在していてもよい。
また、図3に示すように、透明基板11の面内において、島部の径x1は、10μm以上100μm以下の範囲内で形成されることが好ましい。100μm以下であることにより、極めて小さな曲率半径で屈曲させても、透明基板11と散乱層1cとの界面における圧縮応力による剥がれと、散乱層1cの表面における引張応力による割れを防ぐことが可能となる。また、島部の径10μm以上であることにより、散乱層1cの剥がれや割れを防ぐとともに、光の取り出し効率を十分に得ることができる。
尚、島部の径x1は、同じであってもよいし、複数の径の島部が混在していてもよい。また、図4Bに示すように、島部の形状が不定形の場合には、面内の島部における最長線分x2と最短線分x3が上記範囲内であることとする。ここで、最長線分x2とは、島部の外周において任意の異なる二つの点同士を結んだ場合に、最も長い線分とする。また、最短線分x3とは、最も短い線分とする。
また、島部の間隔は、隣接する島部との間隔が10μm以下で形成されることが好ましい。ここで、隣接する島部との間隔とは、図4Aに示すように、任意の島部c1の外周から他の島部c2までの間隔L1であって、他の島部c2との間にさらに他の島部c3が重ならない場合の間隔をいう。
また、間隔L1は、ある光の直進方向において、その光路長上に光が減衰しない距離で任意の島部が存在していればよい。また、例えば任意の島部c1と他の島部c4との間にさらに他の島部c3が重なる場合においての間隔L2も含めて上記範囲内であれば更に好ましい。すなわち、任意の島部c1の外周上から他の島部の距離の平均値が上記範囲内であればよいこととする。
また、散乱層1cの膜厚は、散乱層を構成する光散乱粒子aの大きさやバインダーの素材の種類にもよるが、光取り出し効率及び可撓性の観点から150〜500nmであり、好ましくは150〜300nmである。また、可撓性の観点からなるべく薄く形成されることが好ましく、例えば、光取り出し効率の観点から、光散乱粒子aが散乱層1cと平滑層1dとの界面に接触又は近接するように平均粒径の厚さ程度で配置されることがさらに好ましい。
[2.平滑層1d(光取り出し層21)]
平滑層1dは、散乱層1cにおける表面の凹凸構造(海島構造)を埋め込むことにより透明電極2に対向する面を平坦化する層である。
尚、平滑層1dを構成する材料は、図1に示す有機EL素子10の平滑層1bと同じ材料で構成されたものであってもよいし、異なる材料で構成されたものであっても良い。すなわち、散乱層1cの表面を平坦化することができ、屈折率が1.7以上2.5未満の高屈折率の層であり、有機EL素子20の機能を阻害するものでなければ、例えば、上述した散乱層1aのバインダーとして使用され得る材料と平滑層1bの無機材料とで構成されていてもよい。
また、平滑層1dの厚さは、特に制限はないが、散乱層1cの凹凸構造(海島構造)を十分に埋め込むことができる範囲でなるべく薄く形成されることが好ましい。平滑層1dの厚さは、光透過性及び可撓性の観点から、散乱層1cと平滑層1dとを合わせた光取り出し層21の膜厚が1μm以下となることが好ましい。尚、平滑層1dの膜厚とは、散乱層1cが形成されていない部分においての透明基板11の表面からの厚みとする。
[3.光取り出し層21の形成方法]
光取り出し層21は、上述した有機EL素子10の光取り出し層1と同様の方法で形成することができる。尚、散乱層1cは、(i)の塗布・パターニング処理において、インクジェット法、又はスーパーインクジェット法を用いて、散乱層塗布液を印刷することにより海島構造を形成する。また、散乱層の海島構造は、乾燥後の島径が10μm以上100μm以下の範囲内10μm以下、島間距離が10μm以下となるように設定する。
<第2実施形態の効果>
以上のように構成された有機EL素子20は、厚さ3〜50μmの透明基板と、この透明基板上に散乱層1cと、平滑層1dとをこの順に積層して構成された光取り出し層21を有している。そして特に散乱層1cは、光散乱材料が島状に分散されている海島構造であることにより、例えば連続膜として形成された散乱層に比べ、散乱層1cの平滑層1d側の引っ張り応力を緩和することが可能となる。これにより、散乱層1cに屈曲や伸縮等の変形の自由度を持たせることが可能となり、極めて小さな曲率半径で屈曲させることができるものとなる。
したがって、このような透明基板11と光取り出し層21とで構成された積層体25は、第1実施形態において図2を用いて説明したと同様に、屈曲半径5mm、折り曲げ角度180度、折り曲げ回数10回の屈曲試験を行った場合に、光干渉型顕微鏡で光取り出し層における500μm×500μmの表面領域を観察して割れを生じない屈曲性を有するものとなる。
以上により、有機EL素子20を構成する他の各機能層は、上記積層体25の屈曲性に追従して変形させることが可能となり、極めて小さな曲率半径で屈曲させても、光取り出し効率を損なうことなく、素子寿命の向上が図られたものとなる。
また、有機EL素子20の平滑層1dが、図1を用いて説明した平滑層1bと同じ材料を用いた場合には、平滑層の屈曲や伸縮等の内部変形の自由度を持たせることが可能となり、有機EL素子は上記効果に加えて、散乱層1cとの相乗効果で割れが生じにくくなり、さらに光取り出し効率を損なうことなく、素子寿命の向上が図られたものとなる。
また、有機EL素子20の透明電極2がAgを主成分として構成され、下地層上に設けられた構成を有する場合には、第1実施形態で説明したよう上記効果に加えてさらに素子全体の厚みを薄膜化することができる。これにより、さらに素子の屈曲性の自由度を持たせることが可能となる。
≪3.第3実施形態:有機EL素子の製造方法≫
ここでは、一例として、図1に示す有機EL素子10の製造方法を説明する。
まず、透明基板11を準備し、その上に上述した方法により散乱層1aを形成する。散乱層1aは、平均粒径が150〜350nmの光散乱粒子aを含有する散乱層塗布液を透明基板11上に塗布して乾燥した後、必要に応じて硬化処理を施すことにより形成する。散乱層1aの形成条件は、形成される散乱層1aが、光散乱粒子aの面内占有率20〜60%、層厚150〜500nm、表面粗さRa150〜350nm、最大高さRt100〜300nmとなるように設定する。次いで、この散乱層1aの上に塗布法により平滑層1bを形成する。平滑層1bは、上記散乱層1aの形成と同様に、平滑層塗布液を散乱層1a上に塗布して乾燥した後、硬化処理を施すことにより形成する。このようにして、透明基板11上に、散乱層1a及び平滑層1bで構成された光取り出し層1を形成する。
次いで、必要に応じて下地層(窒素原子を含有する層)を形成した後、所定の電極材料を用いて蒸着法等の適宜の方法によりアノードとなる透明電極2を形成する。同時に、透明電極2端部に、ここでは図示を省略する外部電源と接続される取り出し電極を蒸着法等の適宜の方法に形成する。
次いで、この上に例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層3a、電子輸送層、及び電子注入層をこの順に積層し、発光機能層3を形成する。
これらの各層の形成は、例えば、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等が用いられるが、均質な層が得られやすく、かつ、ピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法又はスピンコート法が特に好ましい。更に、層ごとに異なる形成法を適用しても良い。これらの各層の形成に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度1×10−6〜1×10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、層厚0.1〜5μmの範囲内で、各条件を適宜選択することが望ましい。
好ましくは、発光機能層3の形成では、その形成領域を、断面視した場合に、光取り出し層1が形成された位置(領域)とほぼ完全に重ならせ、発光機能層3で生じた発光光hが光取り出し層1で有効に取り出されるようにするのが良い。
以上のようにして発光機能層3を形成した後、この上部にカソードとなる対向電極5を、蒸着法やスパッタ法などの適宜の形成法によって形成する。この際、対向電極5は、発光機能層3によって透明電極2に対して絶縁状態を保ちつつ、発光機能層3の上方から透明基板11の周縁に端子部分を引き出した形状にパターン形成する。これにより、有機EL素子10が得られる。また、その後には、有機EL素子10における透明電極2(取り出し電極)及び対向電極5の端子部分を露出させた状態で、少なくとも発光機能層3を覆う封止部材を設ける。
以上により、透明基板11上に所望の有機EL素子10が得られる。このような有機EL素子10の作製においては、1回の真空引きで一貫して発光機能層3から対向電極5まで作製するのが好ましいが、途中で真空雰囲気から透明基板11を取り出して異なる形成法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
このようにして得られた有機EL素子10に直流電圧を印加する場合には、アノードである透明電極2を+の極性とし、カソードである対向電極5を−の極性として、電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、交流電圧を印加しても良い。なお、印加する交流の波形は任意で良い。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
≪ボトムエミッション型の有機EL素子の作製≫
試料101〜115の各有機EL素子を、発光領域の面積が2.0cm×2.0cmとなるように作製した。下記表3には試料101〜115の各有機EL素子における各層の構成を示す。図1、2及び下記表3を参照し、作製手順を説明する。
<有機EL素子101の作製>
[1.透明電極の形成]
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、透明基板と略記する。)を、中央部に20mm×50mmの開口部があるマスクと重ねて市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、上述した例示化合物No.46をタングステン製の抵抗加熱ボートに入れ、これら基板ホルダーと抵抗加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽内に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、真空蒸着装置の第2真空槽内に取り付けた。
尚、ここで用いた例示化合物は、上述した芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する化合物No.46である。
次に、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、例示化合物No.46の入った抵抗加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で透明基板上に下地層を厚さ50nmで設けた。
次いで、下地層まで形成した透明基板を真空のまま第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った抵抗加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で厚さ8nmの銀からなる透明電極を下地層上に形成した。
[2.発光機能層の形成]
透明電極が形成された透明基板を、中央部に幅30mm×30mmの開口部があるマスクと重ねて市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。また、真空蒸着装置のタングステン製の抵抗加熱ボートの各々に、発光機能層を構成する各材料を、それぞれの層の形成に最適な量で充填した。
次いで、真空蒸着装置の真空槽内を真空度4×10−4Paまで減圧した後、各材料が入った抵抗加熱ボートを順次通電して加熱することにより、以下のように各層を形成した。
(正孔輸送注入層)
まず、正孔輸送注入材料として下記構造式に示すα−NPDが入った抵抗加熱ボートに通電して加熱し、α−NPDよりなる正孔注入層と正孔輸送層とを兼ねた正孔輸送注入層を透明電極上に形成した。この際、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒、厚さ140nmとした。
Figure 2015166764
(発光層)
次に、下記構造式に示すホスト材料H4の入った抵抗加熱ボートと、下記構造式に示すリン光発光性化合物Ir−4の入った加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、ホスト材料H4とリン光発光性化合物Ir−4とよりなる発光層を正孔輸送注入層上に形成した。この際、蒸着速度(nm/秒)の比がホスト材料H4:リン光発光性化合物Ir−4=100:6となるように、加熱ボートの通電を調節した。発光層の厚さは、30nmとした。
Figure 2015166764
(正孔阻止層)
次いで、正孔阻止材料として下記構造式に示すBAlqが入った抵抗加熱ボートに通電して加熱し、BAlqよりなる正孔阻止層を発光層上に形成した。この際、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒、厚さ10nmとした。
Figure 2015166764
(電子輸送層)
その後、電子輸送材料として上述した例示化合物No.7の入った抵抗加熱ボートと、フッ化カリウムの入った抵抗加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、例示化合物No.7とフッ化カリウムとよりなる電子輸送層を、正孔阻止層上に形成した。この際、蒸着速度(nm/秒)の比が例示化合物No.7:フッ化カリウム=75:25になるように、抵抗加熱ボートの通電を調節した。電子輸送層の厚さは30nmとした。
(電子注入層)
次に、電子注入材料としてフッ化カリウムの入った加熱ボートに通電して加熱し、フッ化カリウムよりなる電子注入層を、電子輸送層上に形成した。この際、蒸着速度0.01〜0.02nm/秒、厚さ1nmとした。
[3.対向電極の形成及び封止]
その後、電子注入層まで形成した透明基板を、アルミニウム(Al)を入れたタングステン製の抵抗加熱ボートが取り付けられた第3真空槽へ真空状態を保持したまま移送した。透明電極(アノード)と直交するように配置された幅20mm×50mmの開口部があるマスクと重ねて固定した。
次いで、第3真空槽において、成膜速度0.3〜0.5nm/秒で、膜厚100nmのAlからなる反射性の対向電極(カソード)として成膜した。
その後、有機EL素子を大きさ40mm×40mm、厚さ700μmのガラス基板であって、中央部34mm×34mmを深さ350μmで削ったガラス基板からなる封止部材で覆い、有機EL素子を囲む状態で、封止部材と透明基板との間に接着剤(シール材)を充填した。接着剤としては、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を用いた。
その後、封止部材と透明基板との間に充填した接着剤に対して、ガラス基板(封止部材)側からUV光を照射し、接着剤を硬化させて有機EL素子を封止した。
なお、有機EL素子の形成においては、各層の形成に蒸着マスクを使用し、50mm×50mmの透明基板における中央の20mm×20mmの領域を発光領域とし、発光領域の全周に幅15mmの非発光領域を設けた。
また、アノードである透明電極とカソードである対向電極とは、正孔輸送注入層〜電子輸送層までの発光機能層によって絶縁された状態で、透明基板の周縁に端子部分を引き出した。
以上のようにして、有機EL素子101を作製した。
<有機EL素子102の作製>
厚さ100μmの透明基板を用いて形成したこと以外は、上記試料101と同様の手順で、有機EL素子102を作製した。
<有機EL素子103の作製>
以下のようにして、透明電極を形成する前に散乱層を形成したこと以外は、上記有機EL素子101と同様の手順で、有機EL素子102を作製した。
散乱層は、以下の材料を用いて次のようにして形成した。
先ず、散乱粒子分散液として、屈折率2.4、平均粒径0.25μmのTiO粒子(テイカ(株)製 JR600A)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))とをTiO粒子と樹脂成分との比率が95体積%:5体積%となるようにし、n−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとの混合溶媒を10質量%:90質量%となるようにし、TiO粒子と樹脂成分との濃度が40質量%となるように、50ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記TiO粒子と上記混合溶媒とを混合し、常温で冷却しながら、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)に、マイクロチップステップ(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散を加え、TiO分散液を調製した。
次いで、TiO分散液を100rpmで撹拌しながら、樹脂溶液を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合した。
次いで、PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の散乱粒子分散液を得た。TiO粒子と樹脂成分との濃度は37.8質量%、分散粒子の平均粒径は210nmであった(マルバーン社製 粒度分布計 ゼータサイザー nano−S)。
次いで、上記散乱粒子分散液と樹脂溶液(ED230AL)とを、樹脂成分に対する光散乱粒子の体積比率×100の値(%)(以下、「P/B(pigment/binder)」ともいう。)が90%となるように混合し、更に、n−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとの比率が10質量%:90質量%、TiO粒子と樹脂成分との濃度が10質量%となるように、10ml量の比率で調整し、散乱層塗布液を得た。
次いで、散乱層塗布液を、準備した透明基板上に、スピンコーターにて塗布した。なお、乾燥後の厚さが230nmとなるように、適宜回転数を調整した。
その後、簡易乾燥し(80℃、2分)、更に、ホットプレートによる乾燥を行い(120℃、60分)、散乱層を形成した。
<有機EL素子104の作製>
以下のようにして、透明電極を形成する前に平滑層を形成したこと以外は、上記有機EL素子103と同様の手順で、有機EL素子104を作製した。
エポキシアクリレートからなるUV硬化樹脂(日立化成工業(株)製 ヒタロイド7951)とナノTiO粒子と樹脂成分との比率が45体積%:55体積%となるようにし、n−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとトルエンを20質量%:30質量%:50質量%となるようにし、ナノTiO粒子と樹脂成分との濃度が15質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記ナノTiO分散液と溶媒を混合し、100rpmで撹拌しながら、樹脂溶液を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合し、平滑層調液を得た。その後、PVDF 0.45μmフィルター、PVDF 0.20μmフィルター(ワットマン社製)にて順次濾過し、平滑層塗布液を得た。
次に、平滑層塗布液を、スピンコーターにて、乾燥後の厚さが500nmとなるように散乱層上に成膜した後、高圧水銀ランプ(80W/cm)を用い、0.4(J/cm)となるようにUV照射し、平滑層を形成した。
<有機EL素子105の作製>
以下のようにして、散乱層を海島構造で形成したこと以外は、上記有機EL素子103と同様の手順で、有機EL素子105を作製した。尚、散乱層の海島構造は、準備した透明基板上に、上述した散乱層塗布液をスーパーインクジェット法により印刷した。また、散乱層の海島構造は、乾燥後の島径が200μm、島間距離が20μmとなるように設定した。
<有機EL素子106の作製>
散乱層の海島構造の島径を80nmとしたこと以外は、上記有機EL素子105と同様の手順で、有機EL素子106を作製した。
<有機EL素子107〜110の作製>
平滑層を下記表3に示すそれぞれの材料で構成したこと以外は、上記有機EL素子104と同様の手順で、有機EL素子107〜110を作製した。尚、有機EL素子107〜110の平滑層を構成する樹脂材料(UV硬化樹脂)は、それぞれアクリル樹脂アクリレート(日立化成工業(株)製 ヒタロイド7975)、アクリル樹脂アクリレート(日立化成工業(株)製 ヒタロイド7970)、ウレタンアクリレート(日立化成工業(株)製 ヒタロイド4861)、ポリウレタンアクリレート(日立化成工業(株)製 ヒタロイド7981)を用いて形成した。また、透明基板は、下記表3に示すそれぞれの厚さのものを用いて形成した。
<有機EL素子111〜115の作製>
以下のようにして、透明電極を形成する前に平滑層を形成したこと以外は、上記有機EL素子105と同様の手順で、有機EL素子111〜115を作製した。尚、透明基板の厚み、散乱層の島径及び島間距離は、下記表3に示すそれぞれ値で形成した。
平滑層は、以下の材料を用いて次のようにして形成した。
先ず、平滑層調液として、屈折率2.4、平均粒径0.02μmのナノTiO分散液(テイカ(株)製 HDT−760T)と樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))とをナノTiO粒子と樹脂成分との比率が45体積%:55体積%となるようにし、n−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとトルエンとを20質量%:30質量%:50質量%となるようにし、ナノTiO粒子と樹脂成分との濃度が15質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記ナノTiO分散液と溶媒を混合し、100rpmで撹拌しながら、樹脂溶液を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合し、平滑層調液を得た。その後、PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、平滑層塗布液を得た。
次に、平滑層塗布液を、散乱層上に、スピンコーター(1000rpm、30秒)にて塗布した後、簡易乾燥し(80℃、2分)、更に、ホットプレートによる乾燥を行い(120℃、30分)、厚さ450nmの平滑層を形成した。なお、平滑層単層での屈折率は1.85であった。
<実施例の各有機EL素子の評価>
試料101〜115で作製した有機EL素子について、(1)屈曲評価、(2)発光均一性(3)電力効率、及び、(4)発光寿命を測定した。尚、(1)の屈曲評価は、有機EL素子の積層体における評価である。この結果を下記表3に合わせて示す。
(1)屈曲評価
透明基板上に光取り出し層を形成した積層体の透明基板側を直径10mmの円柱に押し当て、U字型に180°折り曲げた後、元の平板に戻す。これを10回繰り返した後、積層体の光取り出し層表面を、光干渉粗さ計WYKO NT3300(Veecco社製)及び解析ソフトVision32(ver.2.303)を用い、PSIモードにて、対物レンズ50倍、内部1倍(視野90μm×120μm)で、500μm□相当の視野内の光取り出し層の割れの部分におけるクラック長、及び、クラックの個数を計測し、下表に基づき、評価した。
○○:割れ 0個
○:長さ50μm未満の微小クラック 1〜5個
△:長さ50μm未満の微小クラック 6個以上
×:長さ50μm以上の大クラック 1〜5個
または、長さ50μm未満の微小クラック10個以上
××:長さ50μm以上の大クラック 6個以上
または、長さ50μm未満の微小クラック20個以上
(2)発光均一性
上記、積層体上に、透明電極、発光機能層、対向電極、封止部材を設けた有機EL素子について、同様の屈曲試験を行った後、KEITHLEY製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を各有機EL素子に印加し、1000cd/mで発光させた。倍率50倍の顕微鏡で各々の発光輝度ムラを観察し、下記の基準で評価した。
○○:完全に均一発光している
○:ほとんど均一発光しており、実用上問題ない
△:部分的に若干発光ムラが見られるが、許容できる
×:全面にわたって発光ムラが見られ、許容できない
××:一部または全面非発光
(3)電力効率
有機EL素子について、同様の屈曲試験後、CS−2000(コニカミノルタ社製)を用いて、正面輝度及び輝度角度依存性を測定し正面輝度が1000cd/mとなる駆動電圧、電流から、電力効率(lm/w)を測定した。有機EL素子101の電力効率を100%とする相対電力効率を求め、下記の基準に従って、電力効率の評価を行った。
○○:150%以上
○:100%以上150%未満
△:80%以上100%未満
×:50%以上80%未満
××:50%未満
(4)有機EL素子の発光寿命
有機EL素子について、同様の屈曲試験を行った後、85℃(相対湿度85%)環境下で24時間おいた。次いで、初期の輝度を5000cd/mとなる電圧に固定して連続発光させて、輝度が半減するまでの時間を発光寿命として求めた。
次いで、強制劣化試験後の有機EL素子101の発光寿命に対する比率を求め、以下の基準で評価した。
発光寿命の比率は、100%以上が好ましく、150%以上であることがより好ましい。
○○:150%以上
○:100%以上150%未満
△:80%以上100%未満
×:50%以上80%未満
××:50%未満
尚、実施例における屈曲試験(段落[0210]に記載)及び引っ張り試験(段落[0073]に記載)は、上述説明したのと同様に行った。
Figure 2015166764
<実施例の評価結果>
表3から明らかなように、有機EL素子107〜110の積層体、すなわち散乱層上に引っ張り試験により伸び率が10%以上である樹脂材料と、無機材料とを含有する平滑層を有する積層体は、これを有しない有機EL素子101〜104の積層体と比較して、屈曲試験において割れを生じない屈曲性を有していることが確認された。
また、有機EL素子111〜115の積層体、すなわち透明基板上に光散乱材料が島状に分散されている海島構造を有する散乱層を備えた積層体は、これを有しない有機EL素子101〜140の積層体と比較して、屈曲試験において割れを生じない屈曲性を有していることが確認された。そして、屈曲試験において割れを生じない屈曲性を有する積層体を備えた有機EL素子107〜115は、高い発光均一性、電力効率及び発光寿命を示しており、極めて小さな曲率半径で屈曲させても光取り出し効率を損なうことなく、発光寿命の向上が図られることが明らかである。
また、層構成が同様な有機EL素子104、107の積層体を比較すると、有機EL素子107の積層体、すなわち引っ張り試験により伸び率15%であるアクリル樹脂アクリレートを含有する平滑層を有する107の積層体は、屈曲試験において割れを生じない屈曲性を有していることが確認された。また、このような積層体を備えた有機EL素子107は、高い発光均一性、電力効率及び発光寿命を示しており、引っ張り試験により伸び率が10%以上の柔軟性を有する樹脂材料を含有する平滑層を備えた構成が好ましいと考えられる。
また、層構成が同様な有機EL素子101、102の積層体を比較すると、有機EL素子101、すなわち厚さ50μmの透明基板を用いた有機EL素子は、発光均一性、電力効率及び発光寿命ともに優れた値を示しており、極めて小さな曲率半径で屈曲させても、光取り出し効率を損なうことなく、発光寿命の向上が図られたものとなることが確認された。
また、層構成が同様な有機EL素子107〜110の比較、有機EL素子111〜115の比較においても、厚さ3〜50μmの透明基板であれば、発光均一性、電力効率及び発光寿命ともに良好な結果となることが確認された。
以上より、本発明構成の有機EL素子は、発光均一性、及び電力効率とともに発光寿命の向上が図られることが確認された。すなわち、屈曲試験により割れを生じない屈曲性を有する積層体を備えた有機EL素子によれば、極めて小さな曲率半径で屈曲させても光取り出し効率を損なうことなく、発光寿命の向上が図られることが確認された。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10,20…有機EL素子、11…透明基板、1…光取り出し層、2…透明電極、3…発光機能層、5…対向電極、1a,1c…散乱層、1b,1d…平滑層、15,25…積層体、h…発光光、a…光散乱粒子

Claims (13)

  1. 厚さ3μm以上50μm以下の透明基板の一主面上に光取り出し層を設けた積層体に、屈曲半径5mm、折り曲げ角度180度、折り曲げ回数10回の屈曲試験を行った後に、光干渉型顕微鏡で前記光取り出し層における500μm×500μmの表面領域を観察して割れを生じない屈曲性を有する
    ことを特徴とする光取り出し積層体。
  2. 厚さ3μm以上50μm以下の透明基板の一主面上に光取り出し層を設けた積層体上に、少なくとも透明電極、発光機能層、対向電極、封止部材とを積層した有機エレクトロルミネッセンス素子に、屈曲半径5mm、折り曲げ角度180度、折り曲げ回数10回の屈曲試験を行った後に、1000cd/m発光時の50倍顕微鏡での輝度ムラ測定にてムラを生じない屈曲性を有する
    ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記積層体は、屈曲半径5mm、折り曲げ角度180度、折り曲げ回数10回の屈曲試験を行った後に、光干渉型顕微鏡で前記光取り出し層における500μm×500μmの表面領域を観察して割れを生じない屈曲性を有する
    ことを特徴とする請求項2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記光取り出し層は、前記透明基板上に散乱層と平滑層とをこの順に積層して構成され、
    前記平滑層は、引っ張り試験により伸び率が10%以上である樹脂材料と、無機材料とを含有する
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記樹脂材料が、ウレタンアクリレートまたはアクリル樹脂アクリレートの少なくとも一方を用いた樹脂重合体である
    ことを特徴とする請求項4記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記光取り出し層は、前記透明基板上に散乱層と平滑層とをこの順に積層して構成され、
    前記散乱層は、前記透明基板上に光散乱材料が島状に分散されている海島構造を有する
    ことを特徴とする請求項3〜5のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記海島構造は、島部の径が10μm以上100μm以下である
    ことを特徴とする請求項6記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 前記島部は、隣接する島部との間隔が10μm以下である
    ことを特徴とする請求項7記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 透明基板の一主面上に、光取り出し層と、透明電極と、発光層を含む発光機能層と、対向電極とをこの順に形成する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
    前記透明基板は、厚さが3μm以上50μm以下の範囲内であり、
    当該透明基板と前記光取り出し層とで構成された積層体が、屈曲半径5mm、折り曲げ角度180度、折り曲げ回数10回の屈曲試験を行った後に、光干渉型顕微鏡で前記光取り出し層における500μm×500μmの表面領域を観察して割れを生じない屈曲性を有する
    ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  10. 前記光取り出し層の形成においては、前記透明基板上に散乱層を形成し、その後前記散乱層上に樹脂材料と、屈折率2.0以上の無機材料とを含有する平滑層を形成する
    ことを特徴とする請求項9記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  11. 前記樹脂材料として、ウレタンアクリレートまたはアクリル樹脂アクリレートの少なくとも一方を用いた樹脂重合体を用い、
    前記樹脂重合体は、モノマーあるいはオリゴマーを含む塗布液を散乱層上に形成した後、光または熱により重合させて形成する
    ことを特徴とする請求項10記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  12. 前記光重合に用いる光源は、エキシマUVランプである
    ことを特徴とする請求項11記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  13. 前記光取り出し層の形成においては、前記透明基板上に光散乱材料を島状に分散させることで海島構造を有する散乱層を形成し、その後前記散乱層上に平滑層を形成する
    ことを特徴とする請求項9〜12のいずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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