JPWO2015147134A1 - エピタキシャル成長用基板の製造方法、それより得られるエピタキシャル成長用基板及びその基板を用いた発光素子 - Google Patents

エピタキシャル成長用基板の製造方法、それより得られるエピタキシャル成長用基板及びその基板を用いた発光素子 Download PDF

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Abstract

エピタキシャル成長用基板の製造方法は、モールド140の凹凸パターン面に無機材料66を塗布する塗布工程と、前記無機材料66が塗布された前記モールド140と基材40を密着させて前記無機材料を前記凹凸パターンに従って前記基材に転写する転写工程P3と、前記基材に転写された前記無機材料60を硬化させる硬化工程とを有する。エピタキシャル成長用基板を効率よく製造することができる。

Description

本発明は、半導体層などをエピタキシャル成長させるための基板の製造方法、それより得られるエピタキシャル成長用基板及びその基板上に半導体層が形成された発光素子に関する。
半導体発光素子は、一般に発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)やレーザダイオード(Laser Diode:LD)等があり、バックライト等に用いる各種光源、照明、信号機、大型ディスプレイ等に幅広く利用されている。
窒化物半導体等の半導体層を有する発光素子は、通常、透光性基板上にバッファ層、n型半導体層、活性層、p型半導体層を順にエピタキシャル成長させ、n型、p型のそれぞれの半導体層に電気的に接続するn側電極、p側電極を形成することによって構成される。この発光素子において、活性層で発生した光は、半導体層の外部露出面(上面、側面)、基板の露出面(裏面、側面)などから素子外部に出射される。このような発光素子では、活性層で発生した光が半導体層と電極との界面または半導体層と基板との界面に対して所定の臨界角以上の角度で入射すると、全反射を繰り返しながら半導体層内を横方向に伝搬し、その間に光の一部は吸収され、光取り出し効率が低下する。
そこで、基板の半導体層成長面をエッチングして凹凸パターンを形成し、それにより発光素子の光取り出し効率を向上させることが特許文献1、2に開示されている。さらに、このような凹凸パターンを基板の半導体層成長面に設けることにより、半導体層の転位密度が低減され、発光素子の特性の劣化を抑制できることが特許文献2に開示されている。
特開2010−206230号公報 特開2001−210598号公報
上記のような半導体発光素子は、より高い生産効率で製造されることが要望されている。そこで本発明の目的は、半導体発光素子等の発光素子に用いられるエピタキシャル成長用基板を効率よく製造するための製造方法、その製造方法により製造されるエピタキシャル成長用基板、及び当該エピタキシャル成長用基板を用いた発光素子を提供することにある。
本発明の第1の態様に従えば、エピタキシャル成長用基板の製造方法であって、
表面に凹凸パターンを有するモールドの凹凸パターン面に無機材料を塗布する塗布工程と、
前記無機材料が塗布された前記モールドと基材を密着させて前記無機材料を前記基材に前記凹凸パターンに従って転写する転写工程と、
前記基材に転写された前記無機材料を硬化させる硬化工程とを有するエピタキシャル成長用基板の製造方法が提供される。
前記エピタキシャル成長用基板の製造方法において、前記転写工程後に、前記無機材料が転写された前記基材の表面が露出していてもよい。
前記塗布工程において、前記モールドの前記凹凸パターン面の凹部に前記無機材料を塗布してよく、あるいは、前記モールドの前記凹凸パターン面の凸部に前記無機材料を塗布してよい。
前記転写工程後に、前記基材をエッチングして凹部を形成する工程を含んでよい。
本発明の第2の態様に従えば、エピタキシャル成長用基板の製造方法であって、
基材上に無機材料の溶液を塗布して膜を形成する塗布工程と、
前記膜に凹凸パターンを有するモールドを押し付けることにより前記凹凸パターンを前記膜に転写して、前記基材上に凹凸構造体を形成する転写工程と、
前記凹凸構造体の凹部をエッチングして、前記基材の表面を露出させるエッチング工程と、
前記凹凸構造体を硬化させる硬化工程とを有するエピタキシャル成長用基板の製造方法が提供される。
第2の態様の製造方法において、前記基材の表面が露出した領域において、前記基材をエッチングして凹部を形成する工程を含んでよい。また、前記エッチング工程の後に前記凹凸構造体を有する前記基材の表面にバッファ層を形成してよい。
第1及び第2の態様の製造方法において、前記無機材料がゾルゲル材料であってもよい。前記塗布工程の前に前記基材上にバッファ層を形成してもよく、あるいは、前記転写工程の後に、前記無機材料を有する前記基材の表面にバッファ層を形成してもよい。
第1及び第2の態様の製造方法の前記転写工程において、前記無機材料を加熱しながら前記転写を実行してもよい。
第1及び第2の態様の製造方法において、前記塗布工程の前に前記基材上にバッファ層を形成してもよく、あるいは、前記転写工程の後に、前記無機材料を有する前記基材の表面にバッファ層を形成してもよい。
第1及び第2の態様の製造方法において、
i)前記モールドの前記凹凸パターン面の凸部または凹部は、平面視で、各々、うねりながら延在する細長い形状を有し、且つ、
ii)前記モールドの前記凹凸パターン面の前記凸部または前記凸部は延在方向、屈曲方向及び長さが不均一であってもよい。
第1及び第2の態様の製造方法において、前記凹凸パターンを有するモールドが、ブロック共重合体の自己組織化を利用して製造したモールドであってもよい。前記ブロック共重合体の自己組織化によって形成された構造は、水平シリンダ構造または垂直ラメラ構造であってよい。
第1及び第2の態様前記エピタキシャル成長用基板の製造方法において、前記基材がサファイア基板であってもよい。
第1及び第2の態様の製造方法は、前記転写工程後に、前記基材をエッチングして凹部を形成する工程を含んでもよい。
本発明の本発明の第3の態様に従えば、第1または第2の態様の製造方法によって得られるエピタキシャル成長用基板が提供される。
第3の態様のエピタキシャル成長用基板において、
i)前記エピタキシャル成長用基板の前記凹凸パターン面の凸部または凹部は、平面視で、各々、うねりながら延在する細長い形状を有し、且つ、
ii)前記エピタキシャル成長用基板の前記凹凸パターン面の前記凸部または前記凸部は延在方向、屈曲方向及び長さが不均一であってもよい。前記エピタキシャル成長用基板において、前記凸部の延在方向が、平面視上不規則に分布しており、前記凹凸パターンの単位面積当たりの領域に含まれる前記凸部の平面視上における輪郭線が、曲線区間よりも直線区間を多く含んでよい。また、前記凸部の延在方向に対して平面視上略直交する方向における前記凸部の幅が一定であってもよい。前記凹凸パターンの単位面積当たりの領域に含まれる前記凸部の平面視上における輪郭線が、曲線区間と直線区間を含み、前記曲線区間は、前記凸部の平面視上における輪郭線を前記凸部の幅の平均値のπ(円周率)倍の長さで区切ることで複数の区間を形成する場合において、区間の両端点間の前記輪郭線の長さに対する当該両端点間の直線距離の比が0.75以下となる区間であり、前記直線区間は、前記複数の区間のうち前記曲線区間ではない区間であってもよい。前記凹凸パターンの単位面積当たりの領域に含まれる前記凸部の平面視上における輪郭線が、曲線区間と直線区間を含み、前記曲線区間は、前記凸部の平面視上における輪郭線を前記凸部の幅の平均値のπ(円周率)倍の長さで区切ることで複数の区間を形成する場合において、区間の一端及び当該区間の中点を結んだ線分と当該区間の他端及び当該区間の中点を結んだ線分とがなす2つの角度のうち180°以下となる方の角度が120°以下となる区間であり、前記直線区間は、前記複数の区間のうち前記曲線区間ではない区間であり、前記複数の区間のうち前記曲線区間の割合が70%以上であってもよい。また、前記凹凸パターンを走査型プローブ顕微鏡により解析して得られる凹凸解析画像に2次元高速フーリエ変換処理を施すことにより得られるフーリエ変換像が、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状又は円環状の模様を示しており、且つ、前記円状又は円環状の模様が、波数の絶対値が10μm−1以下の範囲内となる領域内に存在し得る。
本発明の第4の態様に従えば、第3の態様のエピタキシャル成長用基板の上に、第1導電型層、活性層及び第2導電型層を少なくとも含む半導体層を備える発光素子が提供される。
本発明のエピタキシャル成長用基板の製造方法において、ロールプロセスを適用したインプリント法により基材上に凹凸パターンを形成できるため、エピタキシャル成長用基板を高速で連続的に生産することができる。また、高価な光学精密機器を必要とし且つ多量の廃液を発生するフォトリソグラフィを用いず、ナノインプリント法により凹凸パターンを転写するため、環境への負荷が小さい。また、本発明のエピタキシャル成長用基板は光取り出し効率を向上させる回折格子基板としての機能を有するため、この基板を用いて作製された発光素子は、発光効率が高い。それゆえ本発明のエピタキシャル成長用基板は、優れた発光効率を有する発光素子の製造に極めて有効である。
第1実施形態のエピタキシャル成長用基板の製造方法のフローチャートである。 図2(a)〜(e)は実施形態のエピタキシャル成長用基板の製造方法の各工程を概念的に示す図である。 第1実施形態のエピタキシャル成長用基板の製造方法における、密着工程及び剥離工程の様子の一例を示す概念図である。 図4(a)〜(c)はバッファ層を形成したエピタキシャル成長用基板の概略断面図である。 図5(a)は第1実施形態のエピタキシャル成長用基板の製造方法によって得られる基板の表面のAFM画像の例であり、図5(b)は図5(a)のAFM画像中の切断線上におけるエピタキシャル成長用基板の断面プロファイルを示す。 図6(a)〜(e)は第2実施形態のエピタキシャル成長用基板の製造方法の各工程を概念的に示す図である。 第3実施形態のエピタキシャル成長用基板の製造方法のフローチャートである。 図8(a)〜(e)は第3実施形態のエピタキシャル成長用基板の製造方法の各工程を概念的に示す図である。 第3実施形態のエピタキシャル成長用基板の製造方法における、押圧工程及び剥離工程の様子の一例を示す概念図である。 図10(a)〜(c)は、バッファ層を形成した第3実施形態のエピタキシャル成長用基板の概略断面図である。 図11(a)は第3実施形態のエピタキシャル成長用基板の製造方法によって得られる基板の表面のAFM画像の例であり、図11(b)は図11(a)のAFM画像中の切断線上におけるエピタキシャル成長用基板の断面プロファイルを示す。 実施形態の光学素子の概略断面図である。 図13は、実施形態のエピタキシャル成長等基板の平面視解析画像(白黒画像)の一例である。 図14(a)及び図14(b)は、平面視解析画像において凸部の分岐を判定する方法の一例について説明するための図である。 図15(a)は曲線区間の第1の定義方法を説明するために用いる図であり、図15(b)は曲線区間の第2の定義方法を説明するために用いる図である。
以下、本発明のエピタキシャル成長用基板の製造方法、それによって得られるエピタキシャル成長用基板及びその基板を用いた発光素子の実施形態について図面を参照しながら説明する。第1実施形態は、モールドの凸部に無機材料を付着させて基材に無機材料を転写することで無機材料の凹凸パターンを基材上に形成する方法に関し、第2実施形態は、モールドの凹部に無機材料を付着させて基材に無機材料を転写することで無機材料の凹凸パターンを基材上に形成する方法に関し、第3実施形態は、基材に無機材料を付着させてモールドを無機材料に押しつけることで基材上に無機材料の凹凸パターンを形成する方法に関する。
[第1実施形態]
第1実施形態のエピタキシャル成長用基板の製造方法について説明する。エピタキシャル成長用基板の製造方法は、図1に示すように、主に、ゾルゲル材料を調製する溶液調製工程P1、調製されたゾルゲル材料をモールドに塗布する塗布工程P2、塗布したゾルゲル材料を基材上に密着させる密着工程P3、モールドを塗膜から剥離する剥離工程P4、及び塗膜を硬化する硬化工程P5を有する。なお、密着工程P3及び剥離工程P4を合わせて転写工程ともいう。以下に、まず凹凸パターン転写用のモールド及びその製造方法について説明し、上記各工程について、図2(a)〜(e)を参照しながら順に説明する。
<凹凸パターン転写用モールド>
エピタキシャル成長用基板の製造に用いる凹凸パターン転写用のモールドとしては、例えば、後述する方法で製造される金属モールド又はフィルム状の樹脂モールド等が含まれる。樹脂モールドを構成する樹脂には、天然ゴム又は合成ゴムのようなゴムも含まれる。モールドは表面に凹凸パターンを有する。モールドの凹凸パターンの形状は特に限定されないが、凹凸パターンの断面形状が、比較的なだらかな傾斜面からなり波形構造をなしていてもよい。モールドの凹凸パターンの平面形状が、凸部が尾根状に連なって延在していてもよく、うねりながら延在する細長い形状の凹部又は凸部から構成されていてもよい。それによりモールドが型詰まりしにくくなるため、モールドの洗浄または交換の頻度を低減でき、高速で長時間の連続生産が可能となり、製造コストも抑制できる。尾根状に延在している凸部またはうねりながら延在する細長い形状の凹部又は凸部が途中で分岐していてもよい。
凹凸パターン転写用のモールドの製造方法の例について説明する。最初にモールドの凹凸パターンを形成するための母型パターンの作製を行う。母型の凹凸パターンが、例えば、上記の凸部(または凹部)が尾根状に連なって延在している凹凸パターンである場合には、本出願人らによるWO2012/096368号に記載されたブロック共重合体の加熱による自己組織化(ミクロ相分離)を利用する方法(以下、適宜「BCP(Block Copolymer)熱アニール法」という)や、WO2013/161454号に記載されたブロック共重合体の溶媒雰囲気下における自己組織化を利用する方法(以下、適宜「BCP溶媒アニール法」という)、又は、WO2011/007878A1に開示されたポリマー膜上の蒸着膜を加熱・冷却することによりポリマー表面の皺による凹凸を形成する方法(以下、適宜「BKL(Buckling)法」という)を用いて形成することが好適である。BCP熱アニール法またはBCP溶媒アニール法でパターンを形成する場合、パターンを形成する材料は任意の材料を使用することができるが、ポリスチレンのようなスチレン系ポリマー、ポリメチルメタクリレートのようなポリアルキルメタクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリビニルピリジン、及びポリ乳酸からなる群から選択される2種の組合せからなるブロック共重合体が好適である。これらの材料の自己組織化により形成するパターンは、WO2013/161454号に記載されるような水平シリンダ構造(シリンダが基材に対して水平に配向した構造)、またはMacromolecules 2014,47,2に記載されるような垂直ラメラ構造(ラメラが基材に対して垂直に配向した構造)であることが好ましく、より深い凹凸が形成されるため、垂直ラメラ構造がより好ましい。また、溶媒アニール処理により得られた凹凸パターンに対して、エキシマUV光などの紫外線に代表されるエネルギー線を照射することによるエッチングや、RIE(反応性イオンエッチング)及びICPエッチングのようなドライエッチング法によるエッチングを行ってもよい。またそのようなエッチングを行った凹凸パターンに対して、加熱処理を施してもよい。さらに、Adv.Mater.2012,24,5688−5694、Science322,429(2008)等に記載されるような方法で、BCP熱アニール法またはBCP溶媒アニール法により形成される凹凸パターンを元に、より凹凸深さが大きい凹凸パターンを形成することができる。すなわち、SiO、Si等からなる下地層上にブロック共重合体を塗布し、BCP熱アニール法またはBCP溶媒アニール法によりブロック共重合体の自己組織化構造を形成する。次いで、ブロック共重合体の一方のセグメントを選択的にエッチングして除去する。残った他方のセグメントをマスクとして下地層をエッチングして、下地層に所望の深さ溝(凹部)を形成する。凹凸パターンの凹凸の深さ分布の平均値は20nm〜10μmの範囲であることが好ましく、50nm〜5μmの範囲内であることがより好ましい。凹凸の深さ分布の平均値が前記下限未満では、発光波長に対して深さが小さすぎるために必要な回折が生じなくなる傾向にあり、他方、上限を超えると、基板上に半導体層を積層して発光素子を製造する場合に、半導体層表面の平坦化に必要な半導体層の層厚が大きくなり、発光素子の製造に要する時間が長くなる。凹凸の深さ分布の平均値は100nm〜2μmの範囲内であることがより好ましい。
上記のようなBCP熱アニール法、BKL法及びBCP溶媒アニール法に代えて、フォトリソグラフィ法で凹凸パターンを形成してもよい。そのほか、例えば、切削加工法、電子線直接描画法、粒子線ビーム加工法及び操作プローブ加工法等の微細加工法、並びに微粒子の自己組織化を使用した微細加工法によっても、母型の凹凸パターンを作製することができる。
凹凸パターンの母型をBCP熱アニール法やBKL法又はBCP溶媒アニール法等により形成した後、以下のようにして電鋳法などにより、パターンをさらに転写したモールドを形成することができる。最初に、電鋳処理のための導電層となるシード層を、無電解めっき、スパッタまたは蒸着等によりパターンを有する母型上に形成することができる。シード層は、後続の電鋳工程における電流密度を均一にして後続の電鋳工程により堆積される金属層の厚みを一定にするために10nm以上が好ましい。シード層の材料として、例えば、ニッケル、銅、金、銀、白金、チタン、コバルト、錫、亜鉛、クロム、金・コバルト合金、金・ニッケル合金、ホウ素・ニッケル合金、はんだ、銅・ニッケル・クロム合金、錫ニッケル合金、ニッケル・パラジウム合金、ニッケル・コバルト・リン合金、またはそれらの合金などを用いることができる。次に、シード層上に電鋳(電界めっき)により金属層を堆積させる。金属層の厚みは、例えば、シード層の厚みを含めて全体で10〜30000μmの厚さにすることができる。電鋳により堆積させる金属層の材料として、シード層として用いることができる上記金属種のいずれかを用いることができる。形成した金属層は、後続のモールドの形成のための樹脂層の押し付け、剥離及び洗浄などの処理の容易性からすれば、適度な硬度及び厚みを有することが望ましい。
上記のようにして得られたシード層を含む金属層を、凹凸構造を有する母型から剥離して金属基板を得る。剥離方法は物理的に剥がしても構わないし、パターンを形成する材料を、それらを溶解する有機溶媒、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルムなどを用いて溶解して除去してもよい。金属基板を母型から剥離するときに、残留している材料成分を洗浄にて除去することができる。洗浄方法としては、界面活性剤などを用いた湿式洗浄や紫外線やプラズマを使用した乾式洗浄を用いることができる。また、例えば、粘着剤や接着剤を用いて残留している材料成分を付着除去するなどしてもよい。こうして得られる、母型からパターンが転写された金属基板(金属モールド)は、本実施形態の凹凸パターン転写用のモールドとして用いられ得る。
さらに、得られた金属基板を用いて、金属基板の凹凸構造(パターン)をフィルム状の支持基板に転写することでフィルム状モールドのように可撓性のあるモールドを作製することができる。例えば、硬化性樹脂を支持基板に塗布した後、金属基板の凹凸構造を樹脂層に押し付けつつ樹脂層を硬化させる。支持基板として、例えば、ガラス、石英、シリコン等の無機材料からなる基材;シリコーン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリイミド(PI)、ポリアリレート等の有機材料からなる基材、ニッケル、銅、アルミ等の金属材料が挙げられる。また、支持基板の厚みは、1〜500μmの範囲にし得る。
硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系、アクリル系、メタクリル系、ビニルエーテル系、オキセタン系、ウレタン系、メラミン系、ウレア系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、フェノール系、架橋型液晶系、フッ素系、シリコーン系、ポリアミド系等のモノマー、オリゴマー、ポリマー等の各種樹脂が挙げられる。硬化性樹脂の厚みは0.5〜500μmの範囲内であることが好ましい。厚みが前記下限未満では、硬化樹脂層の表面に形成される凹凸の高さが不十分となり易く、前記上限を超えると、硬化時に生じる樹脂の体積変化の影響が大きくなり凹凸形状が良好に形成できなくなる可能性がある。
硬化性樹脂を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、滴下法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、ダイコート法、カーテンコート法、インクジェット法、スパッタ法等の各種コート方法を採用することができる。さらに、硬化性樹脂を硬化させる条件としては、使用する樹脂の種類により異なるが、例えば、硬化温度が室温〜250℃の範囲内であり、硬化時間が0.5分〜3時間の範囲内であることが好ましい。また、紫外線や電子線のようなエネルギー線を照射することで硬化させる方法でもよく、その場合には、照射量は20mJ/cm〜5J/cmの範囲内であることが好ましい。
次いで、硬化後の硬化樹脂層から金属基板を取り外す。金属基板を取り外す方法としては、機械的な剥離法に限定されず、公知の方法を採用することができる。こうして得ることができる支持基板上に凹凸が形成された硬化樹脂層を有するフィルム状の樹脂モールドは、本実施形態の凹凸パターン転写用のモールドとして用いられ得る。
また、上述の方法で得られた金属基板の凹凸構造(パターン)上にゴム系の樹脂材料を塗布し、塗布した樹脂材料を硬化させ、金属基板から剥離することにより、金属基板の凹凸パターンが転写されたゴムモールドを作製することができる。得られたゴムモールドは本実施形態の凹凸パターン転写用のモールドとして用いられ得る。ゴム系の樹脂材料は、特に、シリコーンゴム、またはシリコーンゴムと他の材料との混合物もしくは共重合体が好ましい。シリコーンゴムとしては、例えば、ポリオルガノシロキサン、架橋型ポリオルガノシロキサン、ポリオルガノシロキサン/ポリカーボネート共重合体、ポリオルガノシロキサン/ポリフェニレン共重合体、ポリオルガノシロキサン/ポリスチレン共重合体、ポリトリメチルシリルプロピン、ポリ4メチルペンテンなどが用いられる。シリコーンゴムは、他の樹脂材料と比べて安価で、耐熱性に優れ、熱伝導性が高く、弾性があり、高温条件下でも変形しにくいことから、凹凸パターン転写プロセスを高温条件下で行う場合には好適である。さらに、シリコーンゴム系の材料は、ガスや水蒸気透過性が高いため、被転写材の溶媒や水蒸気を容易に透過することができる。そのため、後述のようにゾルゲル材料に凹凸パターンを転写する目的でゴムモールドを用いる場合には、シリコーンゴム系の材料が好適である。また、ゴム系材料の表面自由エネルギーは25mN/m以下が好ましい。これによりゴムモールドの凹凸パターンを基材上の塗膜に転写するときの離形性が良好となり、転写不良を防ぐことができる。ゴムモールドは、例えば、長さ50〜1000mm、幅50〜3000mm、厚み1〜50mmにし得る。ゴムモールドの厚みが前記下限より小さいと、ゴムモールドの強度が小さくなり、ゴムモールドのハンドリング中に破損する恐れがある。厚みが前記上限より大きいと、ゴムモールド作製時にマスターモールドから剥離することが困難となる。また、必要に応じて、ゴムモールドの凹凸パターン面上に離型処理を施してもよい。ここで述べた凹凸パターン転写用モールドの説明は、後述する第2および第3実施形態で使用するモールドにも当てはまる。
<ゾルゲル材料溶液調製工程>
第1実施形態〜第3実施形態のいずれにも使用するゾルゲル材料溶液及びその調製方法について説明する。最初にゾルゲル材料(無機材料)の溶液を調製する。ゾルゲル材料として、特に、シリカ、Ti系の材料やITO(インジウム・スズ・オキサイド)系の材料、ZnO、ZrO、Al等のゾルゲル材料を使用し得る。例えば、基材上にシリカからなる凸部(または凹凸部)をゾルゲル法で形成する場合は、ゾルゲル材料として金属アルコキシド(シリカ前駆体)を調製する。シリカの前駆体として、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシランに代表されるテトラアルコキシドモノマーや、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン(MTES)、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、トリルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシランに代表されるトリアルコキシドモノマー、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−i−ブトキシシラン、ジメチルジ−sec−ブトキシシラン、ジメチルジ−t−ブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジ−i−ブトキシシラン、ジエチルジ−sec−ブトキシシラン、ジエチルジ−t−ブトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン、ジプロピルジイソプロポキシシラン、ジプロピルジ−n−ブトキシシラン、ジプロピルジ−i−ブトキシシラン、ジプロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジプロピルジ−t−ブトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジプロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジイソプロピルジ−n−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−i−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−t−ブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシシラン、ジフェニルジ−i−ブトキシシラン、ジフェニルジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニルジ−t−ブトキシシラン等のジアルコキシシランに代表されるジアルコキシドモノマーを用いることができる。さらに、アルキル基の炭素数がC4〜C18であるアルキルトリアルコキシシランやジアルキルジアルコキシシランを用いることもできる。ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を有するモノマー、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基を有するモノマー、p−スチリルトリメトキシシラン等のスチリル基を有するモノマー、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリル基を有するモノマー、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル基を有するモノマー、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するモノマー、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド基を有するモノマー、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するモノマー、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド基を有するモノマー、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基を有するモノマー、これらモノマーを少量重合したポリマー、前記材料の一部に官能基やポリマーを導入したことを特徴とする複合材料などの金属アルコキシドを用いてもよい。また、これらの化合物のアルキル基やフェニル基の一部、あるいは全部がフッ素で置換されていてもよい。さらに、金属アセチルアセトネート、金属カルボキシレート、オキシ塩化物、塩化物や、それらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されない。金属種としては、Si以外にTi、Sn、Al、Zn、Zr、Inなどや、これらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されない。上記酸化金属の前駆体を適宜混合したものを用いることもできる。また、これらの材料中に界面活性剤を加えることで、メソポーラス化してもよい。また、これらの表面に疎水化処理を行ってもよい。疎水化処理の方法は知られている方法を用いればよく、例えば、シリカ表面であれば、ジメチルジクロルシラン、トリメチルアルコキシシラン等で疎水化処理することもできるし、ヘキサメチルジシラザンなどのトリメチルシリル化剤とシリコーンオイルで疎水化処理する方法を用いてもよいし、超臨界二酸化炭素を用いた金属酸化物粉末の表面処理方法を用いてもよい。さらに、シリカの前駆体として、分子中にシリカと親和性、反応性を有する加水分解基および撥水性を有する有機官能基を有するシランカップリング剤を用いることができる。例えば、n−オクチルトリエトキシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のシランモノマー、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン等のビニルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクリルシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン等のサルファーシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン、これらモノマーを重合したポリマー等が挙げられる。
ゾルゲル材料の溶液としてTEOSとMTESの混合物を用いる場合には、それらの混合比は、例えばモル比で1:1にすることができる。このゾルゲル材料は、加水分解及び重縮合反応を行わせることによって非晶質シリカを生成する。合成条件として溶液のpHを調整するために、塩酸等の酸またはアンモニア等のアルカリを添加する。pHは4以下もしくは10以上が好ましい。また、加水分解を行うために水を加えてもよい。加える水の量は、金属アルコキシド種に対してモル比で1.5倍以上にすることができる。
ゾルゲル材料溶液の溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ブタノール等のアルコール類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類、ブトキシエチルエーテル、ヘキシルオキシエチルアルコール、メトキシ−2−プロパノール、ベンジルオキシエタノール等のエーテルアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類、フェノール、クロロフェノール等のフェノール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒、二硫化炭素等の含ヘテロ元素化合物、水、およびこれらの混合溶媒が挙げられる。特に、エタノールおよびイソプロピルアルコールが好ましく、またそれらに水を混合したものも好ましい。
ゾルゲル材料溶液の添加物としては、粘度調整のためのポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコールや、溶液安定剤であるトリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、アセチルアセトンなどのβジケトン、βケトエステル、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキサンなどを用いることが出来る。また、ゾルゲル材料溶液の添加物として、エキシマUV光等紫外線に代表されるエネルギー線などの光を照射することによって酸やアルカリを発生する材料を用いることができる。このような材料を添加することにより、光を照射することよってゾルゲル材料溶液を硬化させることができるようになる。
<塗布工程>
図2(a)に示すように、上記のように調製したゾルゲル材料(無機材料)の溶液をモールド140の凹凸パターン上に塗布して、モールド140の凹部140aに塗膜66を形成する。この際、モールド140の凹部140aにのみゾルゲル材料の溶液を充填してモールド140の凸部140bにはゾルゲル材料の溶液が付着しないことが好ましい。そのため、ゾルゲル材料溶液の塗布量は、モールドの凹部の体積に等しくなる量とすることが好ましい。モールド140としては、上記の凹凸パターン転写用モールドを用いることができるが、柔軟性または可撓性のあるフィルム状モールドを用いることが望ましい。例えば、図3に示すようにダイコータ30の先端付近にフィルム状モールド140を送り込み、ダイコータ30からゾルゲル材料を吐出することで、フィルム状モールド140の凹部140aに塗膜66を形成することができる。量産性の観点から、フィルム状モールド140を連続的に搬送しながら所定位置に設置したダイコータ30でフィルム状モールド140にゾルゲル材料を連続的に塗布することが好ましい。塗布方法として、バーコート法、スプレーコート法、ダイコート法、インクジェット法などの任意の塗布方法を使用することができるが、比較的大きな幅のモールドにゾルゲル材料を均一に塗布可能であること、ゾルゲル材料がゲル化する前に素早く塗布を完了させることができることからすれば、ダイコート法が好ましい。
<密着工程>
図2(b)に示すように、ゾルゲル材料の塗膜66を形成したモールド140を基材40に押し付けることで、塗膜66を基材40上に密着させる。これにより、基材40のモールド140の凹部140aに対向する部分に塗膜66が密着する。この際、押圧ロール(密着ロール)を用いてモールド140を基材40に押し付けてもよい。基材40としては、種々の透光性を有する基板を用いることができる。例えば、ガラス、サファイア単結晶(Al;A面、C面、M面、R面)、スピネル単結晶(MgAl)、ZnO単結晶、LiAlO単結晶、LiGaO単結晶、MgO単結晶などの酸化物単結晶、Si単結晶、SiC単結晶、SiN単結晶、GaAs単結晶、AlN単結晶、GaN単結晶およびZrBなどのホウ化物単結晶などの材料からなる基板を用いることができる。これらのうち、サファイア単結晶基板及びSiC単結晶基板が好ましい。なお、基材の面方位は特に限定されない。また、基材は、オフ角が0度のジャスト基板でもよいし、オフ角を付与した基板であっても良い。基材40は、O処理などによって表面を親水処理したものを使用してもよい。基材40の表面を親水処理することにより、基材40とゾルゲル材料の塗膜66の密着力を大きくすることができる。押圧ロールを用いてモールドを基材に押し付ける例として、例えば、図3に示すように押圧ロール22とその直下に搬送されている基材40との間に塗膜66を形成したフィルム状モールド140を送り込むことでフィルム状モールド140の凹部140aに形成した塗膜66を基材40に密着させることができる。すなわち、凹部140aに塗膜66が形成されたフィルム状モールド140を押圧ロール22により基材40に押し付ける際に、フィルム状モールド140と基材40を同期して搬送しながら基材40の表面をフィルム状モールド140で被覆する。この際、押圧ロール22をフィルム状モールド140の裏面(凹凸パターンが形成された面と反対側の面)に押しつけることで、フィルム状モールド140の凹部140aに形成された塗膜66と基材40が進行しながら密着する。なお、長尺のフィルム状モールド140を押圧ロール22に向かって送り込むには、長尺のフィルム状モールド140が巻き取られたフィルム巻き取りロールからそのままフィルム状モールド140を繰り出して用いるのが有利である。
この密着工程において、塗膜を基材に押し付けるときに塗膜を加熱してもよい。例えば、押圧ロールを通じて塗膜を加熱してもよく、直接または基材側から塗膜を加熱してもよい。押圧ロールを通じて塗膜を加熱する場合には、押圧ロール(密着ロール)の内部に加熱手段を設けてもよく、任意の加熱手段を使用することができる。押圧ロールの内部に加熱ヒータを備えるものが好適であるが、押圧ロールとは別体のヒータを備えていてもよい。いずれにしても塗膜を加熱しながら押圧が可能であれば、どのような押圧ロールを用いてもよい。押圧ロールは、表面に耐熱性のあるエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)やシリコーンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴムなどの樹脂材料の被膜を有するロールが好ましい。また、押圧ロールで加えられた圧力に抗するために押圧ロールに対向して基材を挟むように支持ロールを設けてもよく、あるいは基材を支持する支持台を設置してもよい。
密着(押圧)の際の塗膜の加熱温度は、室温〜300℃にすることができ、押圧ロールを用いて加熱する場合には押圧ロールの加熱温度は、同様に室温〜200℃にすることができる。このように押圧ロールを加熱することにより、モールドにより押圧が行われた塗膜からモールドをすぐに剥離することができ、生産性を向上することができる。塗膜または押圧ロールの加熱温度が200℃を超えると、樹脂材料からなるモールドの耐熱温度を超える恐れがある。また、塗膜を加熱しながら押圧することにより、後述するゾルゲル材料層の仮焼成と同様の効果が期待できる。
塗膜を基材に密着させた後、塗膜を仮焼成してもよい。塗膜を加熱しないで押圧する場合には、仮焼成を行うことが好ましい。仮焼成することにより塗膜のゲル化が進み、パターンが固化して、モールド剥離の際にパターンが崩れにくくなる。仮焼成を行う場合には、大気中で室温〜300℃の温度で加熱することが好ましい。なお、仮焼成は必ずしも行う必要はない。また、ゾルゲル材料溶液に紫外線などの光を照射することによって酸やアルカリを発生する材料を添加した場合には、塗膜を仮焼成する代わりに、例えばエキシマUV光等の紫外線に代表されるエネルギー線を照射してもよい。
<剥離工程>
密着工程後の塗膜及び基材からモールドを剥離する。モールド剥離後において、図2(c)に示すように、基材40上のモールド140の凹部140aに対応する部分にゾルゲル材料の塗膜が密着して凸部60を形成する。基材40は、モールド140の凹部140aに対応する領域(基材40の凸部60が形成された領域)以外の領域において、表面が露出している。こうしてゾルゲル材料からなる凸部60の間に基材表面が露出した領域(凹部70)が区画される。モールドの剥離方法としては公知の剥離方法を採用することができる。加熱しながらモールドを剥離してもよく、それにより塗膜から発生するガスを逃がし、膜内に気泡が発生することを防ぐことができる。ロールプロセスを使用する場合、プレス式で用いるプレート状モールドに比べて剥離力は小さくてよく、塗膜がモールドに残留することなく容易にモールドを塗膜から剥離することができる。特に、塗膜を加熱しながら押圧するので反応が進行し易く、押圧直後にモールドは塗膜から剥離し易くなる。さらに、モールドの剥離性の向上のために、剥離ロールを使用してもよい。図3に示すように剥離ロール23を押圧ロール22の下流側に設け、剥離ロール23によりフィルム状モールド140及び塗膜66を基材40に付勢しながら回転支持することで、フィルム状モールド140及び塗膜66が基材40に付着された状態を押圧ロール22と剥離ロール23の間の距離だけ(一定時間)維持することができる。そして、剥離ロール23の下流側でフィルム状モールド140を剥離ロール23の上方に引き上げるようにフィルム状モールド140の進路を変更することでフィルム状モールド140がゾルゲル材料の塗膜からなる凸部60及び基材40から引き剥がされる。なお、フィルム状モールド140が基材40に付されている期間に前述の塗膜の仮焼成や加熱を行ってよい。なお、剥離ロール23を使用する場合には、例えば室温〜300℃に加熱しながら剥離することにより塗膜の剥離を一層容易にすることができる。さらに、剥離ロール23の加熱温度を押圧ロールの加熱温度や仮焼成温度よりも高温にしてもよい。その場合、高温に加熱しながら剥離することにより塗膜66から発生するガスを逃がし、気泡の発生を防ぐことができる。なお、図3において、基材40に密着されなかった塗膜66、すなわち、フィルム状モールド140の基材40と続いて搬送される基材40との間に対向する領域に形成された塗膜66についてはそのままフィルム状モールド140の凹部140aに付いたままフィルム状モールド140とともに搬送される。
<硬化工程>
モールドを剥離した後、ゾルゲル材料からなる凸部60を硬化する。凸部60は、本焼成することにより硬化させることができる。本焼成により凸部60を構成するシリカ(アモルファスシリカ)中に含まれている水酸基などが脱離して塗膜がより強固となる。本焼成は、600〜1200℃の温度で、5分〜6時間程度行うのが良い。こうして凸部60が硬化して、基材40上に形成された凸部60及び凹部70が凹凸パターン80を形成しているエピタキシャル成長用基板100を形成することができる。この時、凸部60がシリカからなる場合、焼成温度、焼成時間に応じて非晶質または結晶質、または非晶質と結晶質の混合状態となる。また、ゾルゲル材料溶液に紫外線などの光を照射することによって酸やアルカリを発生する材料を添加した場合には、凸部60を焼成する代わりに、例えばエキシマUV光等の紫外線に代表されるエネルギー線を照射することによって、凸部60を硬化することができる。
図2(e)に示すように、上記実施形態の方法により製造されたエピタキシャル成長用基板100の露出した基材表面をエッチングして基材40に凹部70aを形成してもよい。それにより、凸部60及び凹部70aからなる凹凸パターン80aが形成されたエピタキシャル成長用基板100aを形成することができる。このエピタキシャル成長用基板100aは、基材40に凹部70aが形成されるため、基材40のエッチングを行わない基板100と比べて、凹凸パターンの凹凸深さを大きくすることができる。基材としてサファイア基板を用いる場合、基材のエッチングは、例えばBCl等を含むガスを用いたRIEによって行うことができる。
以上のようにして凹凸パターン80、80aを形成した基板の表面(凹凸パターンが形成された面)に、さらにバッファ層を形成してもよい。それにより、図4(a)、(b)に図示されるような、凹凸パターン80、80aの表面にバッファ層20を備えるエピタキシャル成長用基板100b、100cが得られる。凹凸パターンの断面形状が、比較的なだらかな傾斜面からなり、波形構造をなしている場合、欠陥の少ない均一なバッファ層を形成することができる。
また、塗布工程の前に、基材上にバッファ層を形成してもよい。それにより、図4(c)に図示されるように、バッファ層20の上に凸部60が形成されて、凸部60の間にバッファ層表面が露出した領域(凹部70b)が区画される。それにより、凹凸パターン80bが形成されているエピタキシャル成長用基板100dが得られる。
バッファ層20は低温MOCVD法やスパッタ法等の公知の方法を用いて形成することができる。バッファ層20の層厚は1nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。バッファ層を有するエピタキシャル成長用基板100b、100c、100dの表面に半導体層をエピタキシャル成長させる場合、バッファ層により基板と半導体層の格子定数の違いが緩和されて、結晶性の高い半導体層を形成できる。GaN系の半導体層を実施形態のエピタキシャル成長用基板上にエピタキシャル成長させる場合は、バッファ層は、AlGa1―XN(0≦x≦1)で構成することができ、単層構造に限らず、組成の異なる2種類以上を積層した2層以上の多層構造であってもよい。
特許文献1、2に記載される従来技術のように、基材をエッチングして基材表面を凹凸にすることで凹凸パターンを形成するエピタキシャル成長用基板の製造方法では、形成する凹凸パターンの凹凸深さの分だけ基材をエッチングする必要がある。一方、本実施形態のエピタキシャル成長用基板の製造方法では、密着工程において、基材の最終的に凸部を形成する領域にのみゾルゲル材料の塗膜を密着させるため、モールド剥離後の時点で凸部が形成された領域以外の部分において基材表面が露出している。ゆえに、本実施形態のエピタキシャル成長用基板の製造方法では、基材表面を露出させるためのエッチングを行う必要がなく、製造時間を短縮できる。また、基材表面がエッチングにさらされる場合、エッチングにより露出した基材表面が荒れる(ダメージが入る)ことがあり、エッチング後に薬液処理等が必要になることがあるが、本実施形態のエピタキシャル成長用基板の製造方法ではエッチングの必要がないため、このようなダメージが生じず、薬液処理の必要もない。それゆえ、本実施形態のエピタキシャル成長用基板の製造方法により、基板の製造時間を短縮することができる。
また、本実施形態のエピタキシャル成長用基板の製造方法は上述のようにロールプロセスを適用できるため、エピタキシャル成長用基板を高速で連続的に生産することができる。また、フォトリソグラフィを用いることなく、上記のようにナノインプリント法により凹凸パターンを転写することができるため、エピタキシャル成長用基板の生産コストを低減し、環境への負荷を軽減することができる。
以上のような製造方法により形成されるエピタキシャル成長用基板100において、凸部60が無機材料で形成されているため、エピタキシャル成長用基板100は優れた耐熱性を有する。
なお、本実施形態の製造方法により製造される図2(d)(e)及び図4(a)〜(c)に示されるエピタキシャル成長用基板100、100a〜100dにおいては、基材40上に形成された凸部60及び凹部70、70a、70bから凹凸パターン80、80a、80bが構成されている。図5(a)に、本実施形態の製造方法により製造されたエピタキシャル成長用基板のAFM画像の例を示し、図5(b)に図5(a)のAFM画像中の直線におけるエピタキシャル成長用基板の断面プロファイルを示す。
エピタキシャル成長用基板の凹凸パターンの断面形状は、特に限定されないが、図2(d)、(e)、図4(a)、(b)、(c)及び図5(b)に示すように、比較的なだらかな傾斜面からなり、基材40から上方に向かって波形(本願では適宜「波形構造」と称する)をなしてよい。すなわち、凸部が、その基材側の底部から頂部に向かって狭くなるような断面形状を有してよい。
本願において得られるエピタキシャル成長用基板の凹凸パターンの平面形状は、特に限定されず、ストライプ、波形ストライプ、ジグザグのような規則正しく配向したパターンやドット状のパターン等の規則正しく配向したパターンであってもよいが、図5(a)に基板表面の凹凸パターンのAFM画像の一例を示すように、凸部(白部分)が尾根状にうねって延在しており、その延在方向、うねりの方向及び延在長さは平面視上不規則であってもよい。すなわち、i)凸部(または凹部)は、各々、うねりながら延在する細長い形状を有し、ii)凸部(または凹部)は凹凸パターンにおいて延在方向、屈曲方向及び長さが不均一であるという特徴を有してよい。エピタキシャル成長用基板の凹凸パターンが上記のような特徴を有する場合、凹凸パターン80を基材40の表面と直交するいずれの方向で切断しても凹凸断面が繰り返し現れることになる。また、凸部(または凹部)は、平面視で、一部または全部が途中で分岐していてもよい(図5(a)参照)。なお、図5(a)では、凸部(または凹部)のピッチは、全体として均一のように見える。
本願において得られるエピタキシャル成長用基板を、例えばGaN系半導体材料から形成される発光素子の基板として用いる場合、発光素子の光取り出し効率を向上させるために、凹凸のピッチはフーリエ変換像において円環状になるような周波数分布に幅を持つものが好ましく、さらには、凹凸の向きに指向性がないような不規則な凹凸パターンが好ましい。エピタキシャル成長用基板100が発光素子の光取り出し効率を向上させる回折格子として働くために、凹凸の平均ピッチは、100nm〜10μmの範囲にすることが好ましく、100nm〜1500nmの範囲内であることがより好ましい。凹凸の平均ピッチが前記下限未満では、発光素子の発光波長に対してピッチが小さくなりすぎるため、凹凸による光の回折が生じなくなる傾向にあり、他方、上限を超えると、回折角が小さくなり、回折格子としての機能が失われてしまう傾向にある。凹凸の平均ピッチは200nm〜1200nmの範囲内であることがさらに好ましい。
凹凸の深さ分布の平均値は、20nm〜10μmの範囲であることが好ましい。凹凸の深さ分布の平均値は、50nm〜5μmの範囲内であることがより好ましく、凹凸の深さ分布の平均値が前記下限未満では、発光波長に対して深さが小さすぎるために必要な回折が生じなくなる傾向にあり、他方、上限を超えると、基板上に半導体層を積層して発光素子を製造する場合に、半導体層表面の平坦化に必要な半導体層の層厚が大きくなり、発光素子の製造に要する時間が長くなる。凹凸の深さ分布の平均値は100nm〜2μmの範囲内であることがより好ましい。凹凸の深さの標準偏差は、10nm〜5μmの範囲内であることが好ましい。凹凸の深さの標準偏差が前記下限未満では、可視光の波長に対して深さが小さすぎるために必要な回折が生じなくなる傾向にあり、他方、上限を超えると、回折光強度にむらが生じる傾向にある。凹凸の深さの標準偏差は、25nm〜2.5μmの範囲内であることがより好ましい。
このような尾根状にうねって不規則な方向に延在する凸部を有する凹凸パターンが形成されたエピタキシャル成長用基板100上に、層をエピタキシャル成長させる場合、次のような利点がある。まず、凹凸形状の傾斜面が比較的なだらかであるため、エピタキシャル成長層が凹凸パターン80上に均一に積層され、欠陥の少ないエピタキシャル層を形成することができる。さらに、凹凸パターンは凹凸の向きに指向性がないような不規則な形状であるため、仮にパターンに起因した欠陥が生じても欠陥に異方性が無い均質なエピタキシャル成長層を形成できる。
また、このような凹凸パターンを有するエピタキシャル成長用基板100上に半導体層をエピタキシャル成長させて発光素子を製造する場合、次のような利点がある。第1に、このような凹凸パターンを有するエピタキシャル成長用基板は光取り出し効率が高いため、この基板を用いて作製された発光素子は、発光効率が高い。第2に、このような凹凸パターンを有するエピタキシャル成長用基板によって回折される光は指向性がないため、この基板を用いて作製された発光素子から取り出される光は、指向性なくあらゆる方向に向かう。第3に、以下の理由により発光素子の製造時間を短縮することができる。凹凸パターンを有する基板を用いて発光素子を製造する場合、後述するように、凹凸形状が半導体層で埋められて表面が平坦になるまで半導体層を積層する必要がある。尾根上にうねって不規則な方向に延在する凸部を有する凹凸パターンが形成されたエピタキシャル成長用基板は、数10ナノメートルオーダーの凹凸深さで十分な光取り出し効率を有するため、特許文献1に記載されるような従来のサブミクロン〜マイクロメートルオーダーの凹凸深さの凹凸パターンを有する基板と比べて、半導体層を積層する層厚を小さくすることができる。そのため、半導体層の成長時間を短縮することができ、発光素子の製造時間を短縮できる。
本願において、凹凸の平均ピッチとは、凹凸が形成されている表面における凹凸のピッチ(隣り合う凸部同士又は隣り合う凹部同士の間隔)を測定した場合において、凹凸のピッチの平均値のことをいう。このような凹凸のピッチの平均値は、走査型プローブ顕微鏡(例えば、株式会社日立ハイテクサイエンス製の製品名「E−sweep」等)を用いて、下記条件:
測定方式:カンチレバー断続的接触方式
カンチレバーの材質:シリコン
カンチレバーのレバー幅:40μm
カンチレバーのチップ先端の直径:10nm
により、表面の凹凸を解析して凹凸解析画像を測定した後、かかる凹凸解析画像中における、任意の隣り合う凸部同士又は隣り合う凹部同士の間隔を100点以上測定し、その算術平均を求めることにより算出できる。
また、本願において、凹凸の深さ分布の平均値及び凹凸深さの標準偏差は以下のようにして算出できる。表面の凹凸の形状を、査型プローブ顕微鏡(例えば、株式会社日立ハイテクサイエンス製の製品名「E−sweep」等)を用いて凹凸解析画像を測定する。凹凸解析の際、前述の条件で任意の3μm角(縦3μm、横3μm)または10μm角(縦10μm、横10μm)の測定領域を測定して凹凸解析画像を求める。その際に測定領域内の16384点(縦128点×横128点)以上の測定点における凹凸高さのデータをナノメートルスケールでそれぞれ求める。なお、このような測定点の数は、用いる測定装置の種類や設定によっても異なるものではあるが、例えば、測定装置として上述の株式会社日立ハイテクサイエンス製の製品名「E−sweep」を用いた場合には、10μm角の測定領域内において65536点(縦256点×横256点)の測定(256×256ピクセルの解像度での測定)を行うことができる。ここで、凹凸解析画像には、測定精度を高めるために、1次傾き補正を含むフラット処理が施されてもよい。また、以下に述べる凹凸形状に関する種々の解析において十分な測定精度を担保するためには、測定領域は、当該測定領域に含まれる凸部の幅の平均値の15倍以上の長さを1辺の長さとする正方形状の領域とするのがよい。そして、このようにして測定される凹凸高さ(単位:nm)に関して、先ず、全測定点のうち、基材の底面(凹凸パターンが形成された面の反対側の面)からの高さが最も高い測定点Pを求める。そして、かかる測定点Pを含み且つ基材の底面と平行な面を基準面(水平面)として、その基準面からの深さの値(測定点Pにおける基材底面からの高さの値から各測定点における基材底面からの高さを差し引いた差分)を凹凸深さのデータとして求める。なお、このような凹凸深さデータは、測定装置(例えば株式会社日立ハイテクサイエンス製の製品名「E−sweep」)によっては測定装置中のソフト等により自動的に計算して求めることができ、このような自動的に計算して求められた値を凹凸深さのデータとして利用できる。
このようにして、各測定点における凹凸深さのデータを求めた後、その算術平均及び標準偏差を求めることにより算出できる値をそれぞれ凹凸の深さ分布の平均値及び凹凸深さの標準偏差として採用する。本明細書において、凹凸の平均ピッチ及び凹凸の深さ分布の平均値は、凹凸が形成されている表面の材料に関わらず、上記のような測定方法を通じて求めることができる。
また、本願において「不規則な凹凸パターン」とは、表面の凹凸の形状を解析して得られる凹凸解析画像に2次元高速フーリエ変換処理を施して得られるフーリエ変換像が円または円環状の模様を示すような、すなわち、上記凹凸の向きの指向性はないものの凹凸のピッチの分布は有するような疑似周期構造を含む。このような凹凸パターンから散乱及び/または回折される光は、単一のまたは狭い帯域の波長の光ではなく、比較的広域の波長帯を有し、散乱光及び/または回折される光は指向性がなく、あらゆる方向に向かう。それゆえ、このような疑似周期構造を有する基板は、その凹凸ピッチの分布が可視光線を回折する限り、LEDのような発光素子に使用される基板に好適である。
なお、凹凸解析画像に2次元高速フーリエ変換処理を施して得られるフーリエ変換像において、輝点が集合することにより模様が観測される。そのため、ここでの「フーリエ変換像が円状の模様を示す」とは、フーリエ変換像において輝点が集合した模様が、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状又は円環状の模様を示しており、且つ前記円状又は円環状の模様が波数の絶対値が10μm−1以下(0.1〜10μm−1の範囲内としてもよく、更に0.667〜10μm−1の範囲内としてもよく、好ましくは0.833〜5μm−1の範囲内としてもよい)となる領域内に存在することを意味し、外形の一部が凸状又は凹状となっているように見えるものも含む。また、「フーリエ変換像が円環状の模様を示す」とは、フーリエ変換像において輝点が集合した模様がほぼ円環状に見えることを意味し、環の外側の円や内側の円の形状がほぼ円形の形状に見えるものも含み且つかかる環の外側の円や内側の円の外形の一部が凸状又は凹状となっているように見えるものも含む。また、「円状又は円環状の模様が、波数の絶対値が10μm−1以下(0.1〜10μm−1の範囲内としてもよく、更に0.667〜10μm−1の範囲内としてもよく、好ましくは0.833〜5μm−1の範囲内としてもよい)の範囲内となる領域内に存在する」とは、フーリエ変換像を構成する輝点のうちの30%以上の輝点が波数の絶対値が10μm−1以下(0.1〜10μm−1の範囲内としてもよく、更に0.667〜10μm−1の範囲内としてもよく、好ましくは0.833〜5μm−1の範囲内としてもよい)の範囲内となる領域内に存在することをいう。上記条件を満たすように凹凸パターンを形成することにより、実施形態のエピタキシャル成長用基板を発光素子の基板として用いた場合に、発光素子からの発光の波長依存性及び指向性(一定の方向に強く発光する性質)を十分に小さくすることができる。
なお、凹凸パターンとフーリエ変換像との関係について、次のことが分かっている。凹凸パターン自体にピッチに分布や指向性がない場合には、フーリエ変換像もランダムなパターン(模様がない)で現れるが、凹凸パターンがXY方向に全体として等方的であるがピッチに分布がある場合には、円又は円環状のフーリエ変換像が現れる。また、凹凸パターンが単一のピッチを有する場合には、フーリエ変換像に現れる円環がシャープになる傾向がある。この実施形態で述べたエピタキシャル成長用基板の凹凸パターンの平面形状、凹凸の平均ピッチ及び深さ分布の平均値並びにそれらの測定方法、実施形態で得られる凹凸パターンの利点、凹凸解析画像の説明などは、別の実施形態で得られる凹凸パターンにも当てはまる。
前記凹凸解析画像の2次元高速フーリエ変換処理は、2次元高速フーリエ変換処理ソフトウエアを備えたコンピュータを用いた電子的な画像処理によって容易に行うことができる。
なお、凸部を白、凹部を黒で表示するように凹凸解析画像が処理されることで、図13に示すような平面視解析画像(白黒画像)が得られる。図13は、本実施形態に係るエピタキシャル成長用基板100における測定領域の平面視解析画像の一例を示す図である。
平面視解析画像の凸部(白表示部)の幅のことを「凸部の幅」という。このような凸部の幅の平均値は、平面視解析画像の凸部のうちから任意の100以上の箇所を選択し、それぞれについて凸部の延在方向に対して平面視上略直交する方向における凸部の境界から反対側の境界までの長さを測定し、その算術平均を求めることにより算出できる。
なお、凸部の幅の平均値を算出する際には、上述の通り、平面視解析画像の凸部から無作為に抽出された位置における値を使用するが、凸部が分岐している位置の値は使用しなくてもよい。凸部において、ある領域が分岐に係る領域であるか否かは、例えば、当該領域が一定以上延在しているか否かによって判定されてもよい。より具体的には、当該領域の幅に対する当該領域の延在長さの比が一定(例えば1.5)以上であるか否かによって判定されてもよい。
図14を用いて、ある方向に延在する凸部の中途位置において当該凸部の延在軸線に略直交する方向に突き出た領域について、当該領域が分岐か否かを判定する方法の一例を説明する。ここで、凸部の延在軸線とは、分岐か否かの判定対象領域を凸部から除外した場合において、凸部の外縁の形状から定まる凸部の延在方向に沿った仮想的な軸線である。より具体的には、凸部の延在軸線とは、凸部の延在方向に直交する凸部の幅の略中心点を通るように引かれた線である。図14(a)及び図14(b)は、いずれも平面視解析画像における凸部の一部のみを抜き出して説明する概要図であり、領域Sは、凸部を示している。図14(a)及び図14(b)では、凸部の中途位置において突出した領域A1、A2が、分岐か否かの判定対象領域として定められているものとする。この場合、凸部から領域A1、A2を除外した場合において、凸部の延在方向に直交する凸部の幅の略中心点を通る線として、延在軸線L1、L2が規定される。このような延在軸線は、コンピュータによる画像処理により規定されてもよいし、解析作業を実施する作業者によって規定されてもよいし、コンピュータによる画像処理及び作業者による手作業の両方によって規定されてもよい。図14(a)では、領域A1は、延在軸線L1に沿って延在する凸部の中途位置において、延在軸線L1に直交する方向に突出している。図14(b)では、領域A2は、延在軸線L2に沿って延在する凸部の中途位置において、延在軸線L2に直交する方向に突出している。なお、延在軸線L1、L2に直交する方向に対して傾斜して突出する領域についても、以下に述べる領域A1、A2についての考え方と同様の考え方を用いて分岐か否かを判定すればよい。
上記判定方法によれば、領域A1の幅d1に対する領域A1の延在長さd2の比は、およそ0.5(1.5未満)であるため、領域A1は、分岐に係る領域ではないと判定される。この場合、領域A1を通り且つ延在軸線L1に直交する方向における長さd3は、凸部の幅の平均値を算出するための測定値の1つとされる。一方、領域A2の幅d4に対する領域A2の延在長さd5の比は、およそ2(1.5以上)であるため、領域A2は、分岐に係る領域であると判定される。この場合には、領域A2を通り且つ延在軸線L2に直交する方向における長さd6は、凸部の幅の平均値を算出するための測定値の1つとはされない。
本実施形態のエピタキシャル成長用基板100において、凹凸パターン80の凸部の延在方向に対して平面視上略直交する方向における凸部の幅が一定であってよい。凸部の幅が一定であるか否かは、上述の測定によって得られた100点以上の凸部の幅に基づいて判定できる。具体的には、100点以上の凸部の幅から、凸部の幅の平均値及び凸部の幅の標準偏差を算出する。そして、凸部の幅の標準偏差を凸部の幅の平均値で割ることで算出される値(凸部の幅の標準偏差/凸部の幅の平均値)を凸部の幅の変動係数と定義する。この変動係数は、凸部の幅が一定である(幅の変動が少ない)ほど、小さい値となる。よって、変動係数が所定値以下であるか否かによって、凸部の幅が一定であるか否かを判定できる。例えば、変動係数が0.25以下である場合に凸部の幅が一定であると定義することができる。
また、図13に示すように、本実施形態に係るエピタキシャル成長用基板100において、凹凸パターンに含まれる凸部(白部分)の延在方向は、平面視上不規則に分布している。すなわち、凸部は、規則正しく並んだストライプ状や規則正しく配置されたドット形状等ではなく、不規則な方向に延在した形状となっている。また、測定領域、すなわち凹凸パターンの所定の領域において、単位面積当たりの領域に含まれる凸部の平面視上における輪郭線は、曲線区間よりも直線区間を多く含んでいる。
本実施形態において、「曲線区間よりも直線区間を多く含む」とは、凸部の輪郭線上の全区間において曲がりくねった区間が大勢を占めるような凹凸パターンとはなっていないことを意味する。凸部の平面視上における輪郭線が曲線区間よりも直線区間を多く含むか否かについては、例えば以下に示す2つの曲線区間の定義方法のうち何れか一方を用いることで判定することができる。
<曲線区間の第1の定義方法>
曲線区間の第1の定義方法では、曲線区間は、凸部の平面視上における輪郭線を凸部の幅の平均値のπ(円周率)倍の長さで区切ることで複数の区間を形成した場合において、区間の両端点間の輪郭線の長さに対する両端点間の直線距離の比が0.75以下となる区間として定義される。また、直線区間は、上記複数の区間のうち曲線区間以外の区間、すなわち上記比が0.75より大きい区間として定義される。以下、図15(a)を参照して、上記第1の定義方法を用いて凸部の平面視上における輪郭線が曲線区間よりも直線区間を多く含むか否かを判定する手順の一例について説明する。図15(a)は、凹凸パターンの平面視解析画像の一部を示す図であり、便宜上、凹部を白塗りで示している。領域S1は凸部を示し、領域S2は凹部を示している。
手順1−1
測定領域内の複数の凸部から、一の凸部が選択される。当該凸部の輪郭線X上の任意の位置がスタート点として決定される。図15(a)では、一例として点Aがスタート点として設定されている。当該スタート点から、凸部の輪郭線X上に、所定の間隔で基準点が設けられる。ここでは、所定の間隔は、凸部の幅の平均値のπ(円周率)/2倍の長さである。図15(a)では、一例として点B,点C及び点Dが順次設定される。
手順1−2
基準点である点A〜Dが凸部の輪郭線X上に設定されると、判定対象の区間が設定される。ここでは、始点及び終点が基準点であり、中間点となる基準点を含む区間が判定対象として設定される。図15(a)の例では、区間の始点として点Aが選択された場合には、点Aから数えて2番目に設定された点Cが区間の終点となる。点Aからの間隔は、ここでは凸部の幅の平均値のπ/2倍の長さに設定されているため、点Cは、輪郭線Xに沿って凸部の幅の平均値のπ倍の長さだけ点Aから離れた点である。同様に、区間の始点として点Bが選択された場合には、点Bから数えて2番目に設定された点Dが区間の終点となる。なお、ここでは、設定された順に対象となる区間が設定されるとし、点Aが最初に設定された点であるとする。すなわち、最初に、点A及び点Cの区間(区間AC)が処理対象の区間とされる。そして、図15(a)に示された、点A及び点Cを結ぶ凸部の輪郭線Xの長さLaと、点A及び点Cの間の直線距離Lbとが測定される。
手順1−3
手順1−2で測定された長さLa及び直線距離Lbを用いて、長さLaに対する直線距離Lbの比(Lb/La)が計算される。当該比が0.75以下となる場合に、凸部の輪郭線Xの区間ACの中点となる点Bが曲線区間に存在する点であると判定される。一方、上記比が0.75よりも大きい場合には、点Bが直線区間に存在する点であると判定される。なお、図15(a)に示した例では、上記比(Lb/La)は0.75以下となるため、点Bは曲線区間に存在する点であると判定される。
手順1−4
手順1−1で設定された各点がそれぞれ始点として選択された場合について、手順1−2及び手順1−3が実行される。
手順1−5
測定領域内の全ての凸部について、手順1−1〜手順1−4が実行される。
手順1−6
測定領域内の全ての凸部について設定された全ての点のうち直線区間に存在する点であると判定された点の割合が全体の50%以上の場合に、凸部の平面視上における輪郭線が曲線区間よりも直線区間を多く含むと判定される。一方、測定領域内の全ての凸部について設定された全ての点のうち直線区間に存在する点であると判定された点の割合が全体の50%未満の場合には、凸部の平面視上における輪郭線が直線区間よりも曲線区間を多く含むと判定される。
上記手順1−1〜手順1−6の処理は、測定装置に備わっている測定機能により行ってもよいし、上記測定装置とは異なる解析用ソフトウエア等の実行により行ってもよいし、手動で行ってもよい。
なお、上記手順1−1において凸部の輪郭線上に点が設定される処理は、凸部を1周したり、測定領域からはみ出したりすることによって、それ以上点を設定できなくなった場合に終了すればよい。また、最初に設定された点と最後に設定された点の外側の区間については、上記比(Lb/La)を算出できないため、上記判定の対象外とすればよい。また、輪郭線の長さが凸部の幅の平均値のπ倍に満たない凸部については、上記判定の対象外とすればよい。
<曲線区間の第2の定義方法>
曲線区間の第2の定義方法では、曲線区間は、凸部の平面視上における輪郭線を凸部の幅の平均値のπ(円周率)倍の長さで区切ることで複数の区間を形成した場合において、区間の一端(点A)及び当該区間の中点(点B)を結んだ線分(線分AB)と当該区間の他端(点C)及び当該区間の中点(点B)を結んだ線分(線分CB)とがなす2つの角度のうち小さい方(180°以下となる方)の角度が120°以下となる区間として定義される。また、直線区間は、上記複数の区間のうち曲線区間以外の区間、すなわち上記角度が120°よりも大きい区間として定義される。以下、図5(b)を参照して、上記第2の定義方法を用いて凸部の平面視上における輪郭線が曲線区間よりも直線区間を多く含むか否かを判定する手順の一例について説明する。図15(b)は、図15(a)と同一の凹凸パターンの平面視解析画像の一部を示す図である。
手順2−1
測定領域内の複数の凸部から、一の凸部が選択される。当該凸部の輪郭線X上の任意の位置がスタート点として決定される。図15(b)では、一例として点Aがスタート点として設定されている。当該スタート点から、凸部の輪郭線X上に、所定の間隔で基準点が設けられる。ここでは、所定の間隔は、凸部の幅の平均値のπ(円周率)/2倍の長さである。図15(b)では、一例として点B,点C及び点Dが順次設定される。
手順2−2
基準点である点A〜Dが凸部の輪郭線X上に設定されると、判定対象の区間が設定される。ここでは、始点及び終点が基準点であり、中間点となる基準点を含む区間が判定対象として設定される。図15(b)の例では、区間の始点として点Aが選択された場合には、点Aから数えて2番目に設定された点Cが区間の終点となる。点Aからの間隔は、ここでは凸部の幅の平均値のπ/2倍の長さに設定されているため、点Cは、輪郭線Xに沿って凸部の幅の平均値のπ倍の長さだけ点Aから離れた点である。同様に、区間の始点として点Bが選択された場合には、点Bから数えて2番目に設定された点Dが区間の終点となる。なお、ここでは、設定された順に対象となる区間が設定されるとし、点Aが最初に設定された点であるとする。すなわち、最初に、点A及び点Cの区間が処理対象の区間とされる。そして、線分ABと線分CBとがなす2つの角度のうち小さい方(180°以下となる方)の角度θが測定される。
手順2−3
角度θが120°以下となる場合には、点Bが曲線区間に存在する点であると判定される。一方、角度θが120°よりも大きい場合には、点Bが直線区間に存在する点であると判定される。なお、図15(b)に示した例では、角度θは120°以下となるため、点Bは曲線区間に存在する点と判定される。
手順2−4
手順2−1で設定された各点がそれぞれ始点として選択された場合について、手順2−2及び手順2−3が実行される。
手順2−5
測定領域内の全ての凸部について、手順2−1〜手順2−4が実行される。
手順2−6
測定領域内の全ての凸部について設定された全ての点のうち直線区間に存在する点であると判定された点の割合が全体の70%以上の場合に、凸部の平面視上における輪郭線が曲線区間よりも直線区間を多く含むと判定される。一方、測定領域内の全ての凸部について設定された全ての点のうち直線区間に存在する点であると判定された点の割合が全体の70%未満の場合には、凸部の平面視上における輪郭線が直線区間よりも曲線区間を多く含むと判定される。
上記手順2−1〜2−6の処理は、測定装置に備わっている測定機能により行ってもよいし、上記測定装置とは異なる解析用ソフトウエア等を実行することにより行ってもよいし、手動で行ってもよい。
なお、上記手順2−1において凸部の輪郭線上に点が設定される処理は、凸部を1周したり、測定領域からはみ出したりすることによって、それ以上点を設定できなくなった場合に終了すればよい。また、最初に設定された点と最後に設定された点の外側の区間については、上記角度θを算出できないため、上記判定の対象外とすればよい。また、輪郭線の長さが凸部の幅の平均値のπ倍に満たない凸部については、上記判定の対象外とすればよい。
以上述べたように、曲線区間の第1及び第2の定義方法の何れか一方を用いることで、測定領域について、凸部の平面視上における輪郭線Xが曲線区間よりも直線区間を多く含むか否かを判定することができる。なお、あるエピタキシャル成長用基板100の凹凸パターン80について、「単位面積当たりの領域に含まれる凸部の平面視上における輪郭線が曲線区間よりも直線区間を多く含むか否か」の判定は、エピタキシャル成長用基板100の凹凸パターン80の領域から無作為に抽出して測定した一つの測定領域に基づいて判定することにより行ってもよいし、同一のエピタキシャル成長用基板100の凹凸パターン80における複数の異なる測定領域についての判定結果を総合的に判定することにより行ってもよい。この場合、例えば、複数の異なる測定領域についての判定結果のうち多い方の判定結果を、「単位面積当たりの領域に含まれる凸部の平面視上における輪郭線が曲線区間よりも直線区間を多く含むか否か」の判定結果として採用してもよい。
[第2実施形態]
第2実施形態のエピタキシャル成長用基板の製造方法を図6(a)〜(e)を参照しながら説明する。以下、第2実施形態のエピタキシャル成長用基板の製造方法は、第1実施形態と同様に、主に、ゾルゲル材料を調製する溶液調製工程、調製されたゾルゲル材料をモールドに塗布する塗布工程、塗布したゾルゲル材料を基材上に密着させる密着工程、モールドを塗膜から剥離する剥離工程、及び塗膜を硬化する硬化工程を有する。上記の実施形態においては、基材40上に形成される凸部60は、モールド140の凹部140aに対向する部分に形成されるが、本変形形態においては、凸部60は、基材40のモールド140の凸部140bに対向する部分に形成される。
<ゾルゲル材料溶液調製工程>
ゾルゲル材料溶液の調製は、上記の実施形態の説明に記載した方法と同様にして行う。
<塗布工程>
本実施形態において、図6(a)に示すように、調製したゾルゲル材料(無機材料)の溶液をモールド140の凸部140bに塗布して塗膜68を形成する。ゾルゲル材料は、モールド140の凸部140bの表面(基材40と対向する面)のみに塗布することが望ましいが、塗布方法によっては、ゾルゲル材料が凸部140bの側部、すなわち凹部140aに回り込むこともあり得る。この場合でも、剥離工程後にモールドの凸部140bのパターンを反映したゾルゲル材料からなる凸部60が基材40上に形成されていれば、ゾルゲル材料がモールドの凹部140aに付着していても構わない。塗布方法として、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法などの任意の塗布方法を使用することができるが、比較的大面積のモールドにゾルゲル材料を均一に塗布可能であること、ゾルゲル材料が硬化(ゲル化)する前に素早く塗布を完了させることができることからすれば、バーコート法、ダイコート法及びスピンコート法が好ましい。あるいは、モールドをロール状に成型し、ロール状のモールドを容器中に浅く充填したゾルゲル材料に浸漬して回転させることにより、モールドの凸部にゾルゲル材料を塗布してもよい。ロール状のモールドは、例えば、可撓なモールドを金属などの硬質なロールに巻き付けることで作製することができる。モールドの凸部140bに塗布するゾルゲル材料の塗膜68の膜厚は1〜3000nmが好ましい。ゾルゲル材料の塗膜の膜厚は、例えばゾルゲル材料の粘度等によって調製することができる。
本実施形態において用いるモールドは、上述したゴムモールドのような弾性変形可能なモールドであることが好ましい。また、剥離工程後において、基材上にモールドの凸部に対応する部分のみにゾルゲル材料の塗膜が転写されて凸部が形成されていることが望ましいため、モールドの凹凸の深さ分布の平均値は、形成する凹凸パターンのピッチに対して1〜10倍程度であることが望ましい。前記下限よりもモールドの凹凸深さが小さいと、基材上の意図した部分以外にもゾルゲル材料の塗膜が転写されてしまうことがある。一方前記上限よりもモールドの凹凸深さが大きいと、密着工程においてモールドの形状が変形して、基材上に転写される凸部のパターンが崩れ、所望のパターンが得られない可能性がある。
<密着工程>
図6(b)に示すように、ゾルゲル材料の塗膜68を形成したモールド140を基材40に押し付けることで、塗膜68を基材40上に密着させる。これにより、基材40のモールド140の凸部140bに対向する部分に塗膜68が密着する。また、基材40は、O処理などによって表面を親水処理したものを使用してもよい。基板40の表面を親水処理することにより、基板40とゾルゲル材料の接着力をさらに大きくすることができる。
密着工程において、基材にゾルゲル材料の塗膜を接触させるときに、塗膜を加熱してもよい。加熱を行うことにより、ゾルゲル材料の化学反応、並びにそれによって生じた水及び溶媒の蒸発が促進され、塗膜の硬化(ゲル化)が進行する。そのため、未硬化の塗膜がモールドの凸部の大きさ以上に濡れ広がって基材に転写されるのを防ぐことができる。また、未硬化の塗膜が、剥離工程後にモールドの凸部に残留するのを防ぐことができる。モールドの凸部に塗膜が残留すると、モールドを再使用してエピタキシャル成長用基板を製造する場合に、モールド上に形成する塗膜の膜厚が変動したり、残留した塗膜が硬化してパーティクルの原因となったりする恐れがある。塗膜を加熱する方法として、例えば、モールドを通じて加熱してもよく、または、基材側からもしくは直接、塗膜を加熱してもよい。加熱には、任意の加熱手段を使用することができ、例えば基材側から加熱する場合は、基材の裏面側にホットプレートを設置して加熱することができる。塗膜の加熱温度は、基材を処理する速度に依存するが、高温ほど望ましく、モールドの耐熱温度に近い温度が望ましい。例えば、モールドがポリジメチルシロキサン(PDMS)から形成されている場合は、ゾルゲル材料の塗膜の加熱温度は150〜200℃が好ましい。ゾルゲル材料溶液に紫外線などの光を照射することによって酸やアルカリを発生する材料を添加した場合には、塗膜を加熱する代わりに、例えばエキシマUV光等の紫外線に代表されるエネルギー線を照射することによってゲル化を進めてもよい。
<剥離工程>
塗膜及び基材からモールドを剥離する。モールド剥離後において、図6(c)に示すように、基材40上のモールド140の凸部140bに対応する部分にゾルゲル材料の塗膜が密着して凸部60を形成する。基材40は、モールド140の凸部140bに対応する領域(凸部60が形成された領域)以外の領域において、表面が露出している。こうしてゾルゲル材料からなる凸部60の間に基材表面が露出した領域(凹部70)が区画される。モールドの剥離方法としては公知の剥離方法を採用することができる。前述のロール状のモールドを用いれば、ゾルゲル材料が塗布されたロール状のモールドを基材40上で転がすだけで基材40上にゾルゲル材料の塗膜68を転写して凸部60を形成しつつ、モールドを基材40から剥離することができる。
<硬化工程>
モールドを剥離した後、ゾルゲル材料からなる凸部60を硬化する。硬化は、上記の実施形態の硬化工程に記載した方法と同様の方法で行うことができる。こうして塗膜が硬化して、図6(d)に示すような基材40上に形成された凸部60及び凹部70が凹凸パターン80を形成しているエピタキシャル成長用基板100を形成することができる。
なお、第1実施形態と同様に、図6(e)に示すように、本変形形態により製造されたエピタキシャル成長用基板100の露出した基材表面をエッチングして基材40に凹部70aを形成してもよい。それにより、凸部60及び凹部70aからなる凹凸パターン80aが形成されたエピタキシャル成長用基板100aを形成することができる。
本実施形態においては、モールドの凸部にのみゾルゲル材料の塗膜を形成し、モールドの凹部には塗膜を形成しないため、モールドが型詰まりすることがなく、モールドの洗浄または交換の頻度を低減できる。そのため、本実施形態は、高速で長時間の連続生産が可能であり、製造コストも抑制できる。
[第3実施形態]
第3実施形態のエピタキシャル成長用基板の製造方法について説明する。エピタキシャル成長用基板の製造方法は、図7に示すように、主に、ゾルゲル材料を調製する溶液調製工程S1、調製されたゾルゲル材料を基材に塗布する塗布工程S2、基材に塗布されたゾルゲル材料の塗膜を乾燥する乾燥工程S3、所定時間乾燥した塗膜に、転写パターンが形成されたモールドを押し付ける押圧工程S4、モールドが押し付けられた塗膜を仮焼成する仮焼成工程S5、モールドを塗膜から剥離する剥離工程S6、塗膜の凹部を除去するエッチング工程S7、及び塗膜を硬化する硬化工程S8を有する。なお、押圧工程S4、仮焼成工程S5及び剥離工程S6を合わせて転写工程ともいう。以下に、まず凹凸パターン転写用のモールド及びその製造方法について説明し、上記各工程について、図8(a)〜(e)を参照しながら順に説明する。
<塗布工程>
図8(a)に示すように、上記のように調製したゾルゲル材料(無機材料)の溶液を基材40上に塗布してゾルゲル材料の塗膜64を形成する。基材40としては、第1実施形態で用いたのと同様に種々の透光性を有する基板を用いることができる。
ゾルゲル材料の塗布方法として、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法などの任意の塗布方法を使用することができるが、比較的大面積の基材にゾルゲル材料を均一に塗布可能であること、ゾルゲル材料がゲル化する前に素早く塗布を完了させることができることからすれば、バーコート法、ダイコート法及びスピンコート法が好ましい。塗膜64の膜厚は、500nm以上であることが好ましい。なお、基材40上には密着性を向上させるために、表面処理や易接着層を設けるなどをしてもよい。
<乾燥工程>
ゾルゲル材料の塗布後、塗膜64中の溶媒を蒸発させるために基材を大気中もしくは減圧下で保持してもよい。この保持時間が短いと塗膜64の粘度が低くなりすぎて塗膜64への凹凸パターンの転写ができなくなり、保持時間が長すぎると前駆体の重合反応が進み塗膜64の粘度が高くなりすぎて塗膜64への凹凸パターンの転写ができなくなる。また、ゾルゲル材料を塗布後、溶媒の蒸発の進行とともに前駆体の重合反応も進行し、ゾルゲル材料の粘度などの物性も短時間で変化する。凹凸パターン形成の安定性の観点から、パターン転写が良好にできる乾燥時間範囲が十分広いことが望ましく、これは乾燥温度(保持温度)、乾燥圧力、ゾルゲル材料種、ゾルゲル材料種の混合比、ゾルゲル材料調製時に使用する溶媒量(ゾルゲル材料の濃度)等によって調整することができる。なお、乾燥工程では、基材をそのまま保持するだけでゾルゲル材料溶液中の溶媒が蒸発するので、必ずしも加熱や送風などの積極的な乾燥操作を行う必要はなく、塗膜を形成した基材をそのまま所定時間だけ放置したり、後続の工程を行うために所定時間の間に搬送したりするだけでもよい。すなわち、実施形態のエピタキシャル成長用基板の製造方法において乾燥工程は必須ではない。
<押圧工程>
次いで、図8(b)に示すように、塗膜64にモールド141を重ねあわせて押圧し、モールド141の凹凸パターンをゾルゲル材料の塗膜64に転写する。モールド141としては、上記の凹凸パターン転写用モールドを用いることができるが、柔軟性または可撓性のあるフィルム状モールドを用いることが望ましい。この際、押圧ロールを用いてモールド141をゾルゲル材料の塗膜64に押し付けてもよい。押圧ロールを用いたロールプロセスでは、プレス式と比較して、モールドと塗膜とが接する時間が短いため、モールドや基材及び基材を設置するステージなどの熱膨張係数の差によるパターンくずれを防ぐことができること、ゾルゲル材料溶液中の溶媒の突沸によってパターン中にガスの気泡が発生したり、ガス痕が残ったりすることを防止することができること、基材(塗膜)と線接触するため、転写圧力及び剥離力を小さくでき、大面積化に対応し易いこと、押圧時に気泡をかみ込むことがないなどの利点を有する。また、モールドを押し付けながら基材を加熱してもよい。押圧ロールを用いてモールドをゾルゲル材料の塗膜に押し付ける例として、図9に示すように押圧ロール122とその直下に搬送されている基材40との間にフィルム状モールド141を送り込むことでフィルム状モールド141の凹凸パターンを基材40上の塗膜64に転写することができる。すなわち、フィルム状モールド141を押圧ロール122により塗膜64に押し付ける際に、フィルム状モールド141と基材40を同期して搬送しながら、基材40上の塗膜64の表面をフィルム状モールド141で被覆する。この際、押圧ロール122をフィルム状モールド141の裏面(凹凸パターンが形成された面と反対側の面)に押しつけながら回転させることで、フィルム状モールド141と基材40が進行しながら密着する。なお、長尺のフィルム状モールド141を押圧ロール122に向かって送り込むには、長尺のフィルム状モールド141が巻き付けられたフィルムロールからそのままフィルム状モールド141を繰り出して用いるのが便利である。
<仮焼成工程>
ゾルゲル材料の塗膜64にモールド141を押し付けた後、塗膜を仮焼成してもよい。仮焼成することにより塗膜64のゲル化が進み、パターンが固化して、モールド141の剥離の際にパターンが崩れにくくなる。仮焼成を行う場合は、大気中で室温〜300℃の温度で加熱することが好ましい。なお、仮焼成は必ずしも行う必要はない。また、ゾルゲル材料溶液に紫外線などの光を照射することによって酸やアルカリを発生する材料を添加した場合には、塗膜64を仮焼成する代わりに、例えばエキシマUV光等の紫外線に代表されるエネルギー線を照射してもよい。
<剥離工程>
モールド141の押圧またはゾルゲル材料の塗膜64の仮焼成の後、図8(c)に示すように、凹凸が形成された塗膜(凹凸構造体)62からモールド141を剥離する。モールド141の剥離方法として公知の剥離方法を採用することができる。加熱しながらモールド141を剥離してもよく、それにより凹凸構造体62から発生するガスを逃がし、凹凸構造体62内に気泡が発生することを防ぐことができる。ロールプロセスを使用する場合、プレス式で用いるプレート状モールドに比べて剥離力は小さくてよく、ゾルゲル材料がモールド141に残留することなく容易にモールド141を凹凸構造体62から剥離することができる。特に、凹凸構造体62を加熱しながら押圧するので反応が進行し易く、押圧直後にモールド141が凹凸構造体62から剥離し易くなる。さらに、モールド141の剥離性の向上のために、剥離ロールを使用してもよい。図9に示すように剥離ロール123を押圧ロール122の下流側に設け、剥離ロール123によりフィルム状モールド141を塗膜64に付勢しながら回転支持することで、フィルム状モールド141が塗膜64に付着された状態を押圧ロール122と剥離ロール123の間の距離だけ(一定時間)維持することができる。そして、剥離ロール123の下流側でフィルム状モールド141を剥離ロール123の上方に引き上げるようにフィルム状モールド141の進路を変更することでフィルム状モールド141は凹凸が形成された塗膜(凹凸構造体)62から引き剥がされる。なお、フィルム状モールド141が塗膜64に付着されている期間に前述の塗膜64の仮焼成や加熱を行ってもよい。なお、剥離ロール123を使用する場合には、例えば室温〜300℃に加熱しながら剥離することによりモールド141の剥離を一層容易にすることができる。
<エッチング工程>
モールドの剥離後において、図8(c)に示すように、凹凸構造体62の凹部(凹凸構造体の厚みが薄い領域)にはゾルゲル材料の膜が存在しているため、凹凸構造体62の凹部のゾルゲル材料をエッチングして除去することにより、図8(d)に示すように、基材40の表面を露出させ、それにより基材40上に多数の凸部61を形成する。エッチングは、CHF、SFなどのフッ素系のガスを用いたRIEによって行うことができる。BHF等を用いたウェットエッチングによりエッチングしてもよい。エッチング工程においては凹凸構造体62の凹部だけでなく、凸部を含む凹凸構造体全体がエッチングされるため、凹凸構造体62の凹部がエッチングされて基材表面が露出し、所定の大きさの凸部61が基材40上に形成された時点でエッチングを停止する。こうしてゾルゲル材料からなる凸部61の間に基材表面が露出した領域(凹部71)が区画される。エッチング後の凹凸構造体62aはゾルゲル材料からなる複数の凸部61から形成されている。なお、RIE等のドライエッチングでエッチングを行う場合、露出した基材表面が荒れる(ダメージが入る)ため、リン酸系の薬液等で後処理してもよい。
<硬化工程>
エッチング工程後、ゾルゲル材料からなる凹凸構造体62a(凸部61)を硬化する。凸部61は、本焼成することにより硬化させることができる。本焼成により凸部61を構成するシリカ(アモルファスシリカ)中に含まれている水酸基などが脱離して塗膜がより強固となる。本焼成は、600〜1200℃の温度で、5分〜6時間程度行うのが良い。こうして凸部61が硬化して、基材40上に形成された凹凸構造体62a(凸部61)及び凹部71が凹凸パターン81を形成しているエピタキシャル成長用基板100を形成することができる。この時、凸部61がシリカからなる場合、焼成温度、焼成時間に応じて非晶質または結晶質、または非晶質と結晶質の混合状態となる。また、ゾルゲル材料溶液に紫外線などの光を照射することによって酸やアルカリを発生する材料を添加した場合には、凸部61を焼成する代わりに、例えばエキシマUV光等の紫外線に代表されるエネルギー線を照射することによって、凸部61を硬化することができる。
なお、硬化工程とエッチング工程はどちらを先に行ってもよい。硬化工程後にエッチング工程を行う場合は、硬化工程でゾルゲル材料からなる凹凸構造体を硬化させた後、エッチング工程にて硬化した凹凸構造体の凹部をエッチングして除去し、基材表面を露出させる。
さらに、図8(e)に示すように、エッチング工程において露出させた基材表面をエッチングして基材40に凹部71aを形成してもよい。それにより、凹凸構造体62a(凸部61)及び凹部71aからなる凹凸パターン81aが形成されたエピタキシャル成長用基板101aを形成することができる。このエピタキシャル成長用基板101aは、基材40に凹部71aが形成されるため、基材40のエッチングを行わない基板101と比べて、凹凸パターンの凹凸深さを大きくすることができる。基材40としてサファイア基板を用いる場合、基材40のエッチングは、例えばBCl等を含むガスを用いたRIEによって行うことができる。
以上のようにして凹凸パターン81、81aを形成した基板の表面(凹凸パターンが形成された面)に、さらにバッファ層を形成してもよい。それにより、図10(a)、(b)に図示されるような、凹凸パターン81、81aの表面にバッファ層20を備えるエピタキシャル成長用基板101b、101cが得られる。凹凸パターンの断面形状が、比較的なだらかな傾斜面からなり、波形構造をなしている場合、欠陥の少ない均一なバッファ層を形成することができる。
塗布工程の前に、基材上にバッファ層を形成してもよい。それにより、図10(c)に図示されるように、バッファ層20の上に凹凸構造体62aが形成されて、凸部61の間にバッファ層表面が露出した領域(凹部71b)が区画される。それにより、凹凸パターン81bが形成されているエピタキシャル成長用基板101dが得られる。
バッファ層20の形成方法や材料は第1実施形態で説明したのと同様である。
特許文献1、2に記載される従来技術のように、基材をエッチングして基材表面を凹凸にすることで凹凸パターンを形成するエピタキシャル成長用基板の製造方法では、形成する凹凸パターンの凹凸深さの分だけ基材をエッチングする必要があるが、本実施形態のエピタキシャル成長用基板の製造方法では、モールド剥離後に凹凸構造体の凹部に残るゾルゲル材料をエッチングするだけでよい。それゆえ、本実施形態のエピタキシャル成長用基板の製造方法により、基板の製造時間を短縮することができる。
なお、本実施形態の製造方法により形成される図8(d)、(e)及び図10(a)〜(c)に示されるエピタキシャル成長用基板101、101a〜101dにおいて、基材40上に形成された凹凸構造体62a(複数の凸部61)及び凹部71、71a、71bから凹凸パターン81、81a、81bが構成されている。図11(a)に、本実施形態の製造方法により製造されたエピタキシャル成長用基板のAFM画像の例を示し、図11(b)に図11(a)のAFM画像中の切断線上におけるエピタキシャル成長用基板の断面プロファイルを示す。
エピタキシャル成長用基板の凹凸パターンの断面形状は、特に限定されないが、図8(d)、(e)、図10(a)、(b)、(c)及び図11(b)に示すように、比較的なだらかな傾斜面からなり、基材40から上方に向かって波形(本願では適宜「波形構造」と称する)をなしてよい。すなわち、凸部61が、その基材側の底部から頂部に向かって狭くなるような断面形状を有してよい。
エピタキシャル成長用基板の凹凸パターンの平面形状は、特に限定されず、ストライプ、波形ストライプ、ジグザグのような規則正しく配向したパターンやドット状のパターン等の規則正しく配向したパターンであってもよいが、図11(a)に基板表面の凹凸パターンのAFM画像の一例を示すように、凸部(白部分)及び凹部がうねって延在しており、その延在方向、うねりの方向及び延在長さは平面視上不規則であってもよい。すなわち、i)凸部及び凹部は、各々、うねりながら延在する細長い形状を有し、ii)凸部及び凹部は凹凸パターンにおいて延在方向、屈曲方向及び長さが不均一であるという特徴を有してよい。エピタキシャル成長用基板の凹凸パターンが上記のような特徴を有する場合、凹凸パターン81を基材40の表面と直交するいずれの方向で切断しても凹凸断面が繰り返し現れることになる。また、凸部及び凹部は、平面視で、一部または全部が途中で分岐していてもよい(図11(a)参照)。なお、図11(a)では、凸部及び凹部のピッチは、全体として均一のように見える。
なお、第1〜第3実施形態において、塗布工程において塗布する無機材料の溶液として、TiO、ZnO、ZnS、ZrO、BaTiO、SrTiO等のゾルゲル材料の溶液または微粒子分散液を用いてもよい。このうち、成膜性や屈折率の関係からTiOが好ましい。このうち、成膜性や屈折率の関係からTiOが好ましい。液相堆積法(LPD:Liquid Phase Deposition)などを用いて無機材料の塗膜を形成してもよい。
また、塗布工程において塗布する無機材料として、ポリシラザン溶液を用いてもよい。この場合、これを塗布及び転写して形成した凸部を、硬化工程においてセラミックス化(シリカ改質)してシリカからなる凸部を形成してもよい。なお、「ポリシラザン」とは、珪素−窒素結合を持つポリマーで、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO、Si及び両方の中間固溶体SiO等のセラミック前駆体無機ポリマーである。特開平8−112879号公報に記載されている下記の一般式(1)で表されるような比較的低温でセラミック化してシリカに変性する化合物がより好ましい。
一般式(1):
−Si(R1)(R2)−N(R3)−
式中、R1、R2、R3は、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。
上記一般式(1)で表される化合物の中で、R1、R2及びR3のすべてが水素原子であるパーヒドロポリシラザン(PHPSともいう)や、Siと結合する水素部分が一部アルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンが特に好ましい。
低温でセラミック化するポリシラザンの別の例としては、ポリシラザンにケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(例えば、特開平5−238827号公報)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(例えば、特開平6−122852号公報)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(例えば、特開平6−240208号公報)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(例えば、特開平6−299118号公報)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(例えば、特開平6−306329号公報)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(例えば、特開平7−196986号公報)等を用いることもできる。
ポリシラザン溶液の溶媒としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用できる。酸化珪素化合物への改質を促進するために、アミンや金属の触媒を添加してもよい。
[発光素子]
第1〜第3実施形態のエピタキシャル成長用基板の製造方法により得られるエピタキシャル成長用基板を用いて発光素子を製造することができる。実施形態の発光素子200は、図12に示すように、エピタキシャル成長用基板100上に、第1導電型層222と、活性層224と、第2導電型層226とをこの順に積層して形成された半導体層220を備える。さらに、実施形態の発光素子200は、第1導電型層222に電気的に接続する第1電極240、及び第2導電型層226に電気的に接続する第2電極260を備える。
半導体層220の材料として、発光素子に用いられる公知の材料を用いてよい。発光素子に用いられる材料として、例えば、一般式InAlGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で表されるGaN系半導体材料が多数知られており、本実施形態の発光素子においても、それら周知のGaN系半導体を含めて一般式AlGaIn1−Aで表わされるGaN系半導体を何ら制限なく用いることができる。GaN系半導体は、Al、GaおよびIn以外に他のIII族元素を含有することができ、必要に応じてGe、Si、Mg、Ca、Zn、Be、P、AsおよびBなどの元素を含有することもできる。さらに、意識的に添加した元素に限らず、半導体層の成長条件等に依存して必然的に含まれる不純物、並びに原料、反応管材質に含まれる微量不純物を含む場合もある。上記窒化物半導体以外に、GaAs、GaP系化合物半導体、AlGaAs、InAlGaP系化合物半導体等の他の半導体材料も用いることができる。
第1導電型層としてのn型半導体層222は、基板100上に積層される。n型半導体層222は、当該技術において公知の材料及び構造で形成されてよく、例えば、n−GaNから形成されてよい。活性層224はn型半導体層222の上に積層される。活性層224は、当該技術において公知の材料及び構造で形成されてよく、例えば、GalnN及びGaNを複数回積層した多重量子井戸(MQW)構造を有してよい。活性層224は電子及び正孔の注入により発光する。第2導電型層としてのp型半導体層226は、活性層224上に積層される。p型半導体層226は、当該技術において公知の構造を有してよく、例えば、p−AlGaN及びp−GaNから形成されてよい。半導体層(n型半導体層、活性層及びp型半導体層)の積層方法は特に限定されず、MOCVD(有機金属化学気相成長法)、HVPE(ハイドライド気相成長法)、MBE(分子線エピタキシー法)、などGaN系半導体を成長させることができる公知の方法を適用できる。層厚制御性、量産性の観点からMOCVD法が好ましい。
エピタキシャル成長用基板100の表面には凹凸パターン80が形成されているが、n型半導体層のエピタキシャル成長中に、特開2001−210598号公報に記載されるような半導体層の横方向成長による表面の平坦化が進行する。活性層は平坦な面上に形成する必要があるため、表面が平坦になるまでn型半導体層を積層する必要がある。実施形態のエピタキシャル成長用基板は凹凸パターンの断面形状が比較的なだらかな傾斜面からなり、波形構造をなしているため、表面の平坦化の進行が速く、n型半導体層の層厚を小さくすることができる。半導体層の成長時間を短縮することができる。
第1電極としてのn電極240は、p型半導体層226及び活性層224の一部をエッチングして露出したn型半導体層222上に形成される。n電極222は、当該技術において公知の材料及び構造で形成されてよく、例えば、Ti/Al/Ti/Au等から構成され、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等により形成される。第2電極としてのp電極260は、p型半導体層226上に形成される。p電極226は、当該技術において公知の材料及び構造で形成されてよく、例えば、ITO等からなる透光性導電膜とTi/Au積層体等からなる電極パッドから形成されてよい。p電極260はAg、Al等の高反射性材料から形成されてもよい。n電極240及びp電極260は、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等の任意の成膜法により形成することができる。
なお、第1導電型層、活性層及び第2導電型層を少なくとも含み、第1導電型層及び第2導電型層に電圧が印加されると、電子及び正孔の再結合により活性層にて光が発せられるものであれば、半導体層の層構成は任意である。
以上のように構成された実施形態の光学素子200は、p型半導体226側から光を取り出すフェイスアップ方式の光学素子であってよく、その場合はp電極260に透光性導電材料を使用することが好ましい。実施形態の光学素子200は、基板100側から光を取り出すフリップチップ方式の光学素子であってもよく、その場合はp電極260に高反射材料を使用することが好ましい。いずれの方式であっても、基板の凹凸パターン80による回折効果により、活性層224で生じた光を素子外部に有効に取り出すことができる。
また、光学素子200において、基板100に凹凸パターン80が形成されているため、転位密度の少ない半導体層220が形成され、発光素子200の特性の劣化が抑制される。
以上、本発明を実施形態により説明してきたが、本発明のエピタキシャル成長用基板の製造方法及び光学素子は上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で適宜改変することができる。
本発明のエピタキシャル成長用基板の製造方法により、エピタキシャル成長用基板を高速で連続的に生産することができる。また、凹凸パターンの形成に多量の廃液を発生するフォトリソグラフィを用いないため、環境への負荷が小さい。さらに、本発明のエピタキシャル成長用基板は光取り出し効率を向上させる回折格子基板としての機能を有するため、この基板を用いて作製された発光素子は、発光効率が高い。それゆえ本発明のエピタキシャル成長用基板は、優れた発光効率を有する発光素子の製造に極めて有効であり、省エネルギーにも貢献する。
20 バッファ層、 40 基材、 60 凸部、 66 無機材料
70 凹部
80 凹凸パターン、100 エピタキシャル成長用基板
140 モールド
200 発光素子、220 半導体層

Claims (23)

  1. エピタキシャル成長用基板の製造方法であって、
    表面に凹凸パターンを有するモールドの凹凸パターン面に無機材料を塗布する塗布工程と、
    前記無機材料が塗布された前記モールドと基材を密着させて前記無機材料を前記基材に前記凹凸パターンに従って転写する転写工程と、
    前記基材に転写された前記無機材料を硬化させる硬化工程とを有するエピタキシャル成長用基板の製造方法。
  2. 前記無機材料が転写された前記基材の表面が部分的に露出していることを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル成長用基板の製造方法。
  3. 前記塗布工程において、前記モールドの前記凹凸パターン面の凹部に前記無機材料を塗布することを特徴とする請求項1または2に記載のエピタキシャル成長用基板の製造方法。
  4. 前記塗布工程において、前記モールドの前記凹凸パターン面の凸部に前記無機材料を塗布することを特徴とする請求項1または2に記載のエピタキシャル成長用基板の製造方法。
  5. 前記転写工程後に、前記基材をエッチングして凹部を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のエピタキシャル成長用基板の製造方法。
  6. エピタキシャル成長用基板の製造方法であって、
    基材上に無機材料の溶液を塗布して膜を形成する塗布工程と、
    前記膜に凹凸パターンを有するモールドを押し付けることにより前記凹凸パターンを前記膜に転写して、前記基材上に凹凸構造体を形成する転写工程と、
    前記凹凸構造体の凹部をエッチングして、前記基材の表面を露出させるエッチング工程と、
    前記凹凸構造体を硬化させる硬化工程とを有するエピタキシャル成長用基板の製造方法。
  7. 前記基材の表面が露出した領域において、前記基材をエッチングして凹部を形成する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載のエピタキシャル成長用基板の製造方法。
  8. 前記エッチング工程の後に前記凹凸構造体を有する前記基材の表面にバッファ層を形成することを特徴とする請求項5、6または7に記載のエピタキシャル成長用基板の製造方法。
  9. 前記塗布工程の前に前記基材上にバッファ層を形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のエピタキシャル成長用基板の製造方法。
  10. 前記無機材料がゾルゲル材料であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のエピタキシャル成長用基板の製造方法。
  11. 前記転写工程において、前記無機材料を加熱しながら転写を実行することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のエピタキシャル成長用基板の製造方法。
  12. 前記凹凸パターンを有するモールドが、ブロック共重合体の自己組織化を利用して製造したモールドであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のエピタキシャル成長用基板の製造方法。
  13. 前記ブロック共重合体の自己組織化によって形成された構造が、水平シリンダ構造または垂直ラメラ構造であることを特徴とする請求項12に記載のエピタキシャル成長用基板の製造方法。
  14. 前記基材が、サファイア基板であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のエピタキシャル成長用基板の製造方法。
  15. i)前記モールドの前記凹凸パターン面の凸部または凹部は、平面視で、各々、うねりながら延在する細長い形状を有し、且つ、
    ii)前記モールドの前記凹凸パターン面の前記凸部または前記凹部は延在方向、屈曲方向及び長さが不均一であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載のエピタキシャル成長用基板の製造方法。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載のエピタキシャル成長用基板の製造方法によって得られるエピタキシャル成長用基板。
  17. i)前記エピタキシャル成長用基板の凹凸パターン面の凸部または凹部は、平面視で、各々、うねりながら延在する細長い形状を有し、且つ、
    ii)前記エピタキシャル成長用基板の前記凹凸パターン面の前記凸部または前記凹部は延在方向、屈曲方向及び長さが不均一であることを特徴とする請求項16に記載のエピタキシャル成長用基板。
  18. 前記凸部の延在方向が、平面視上不規則に分布しており、
    前記凹凸パターンの単位面積当たりの領域に含まれる前記凸部の平面視上における輪郭線が、曲線区間よりも直線区間を多く含む請求項17に記載のエピタキシャル成長用基板。
  19. 前記凸部の延在方向に対して平面視上略直交する方向における前記凸部の幅が一定である請求項17または18に記載のエピタキシャル成長用基板。
  20. 前記凹凸パターンの単位面積当たりの領域に含まれる前記凸部の平面視上における輪郭線が、曲線区間と直線区間を含み、前記曲線区間は、前記凸部の平面視上における輪郭線を前記凸部の幅の平均値のπ(円周率)倍の長さで区切ることで複数の区間を形成する場合において、区間の両端点間の前記輪郭線の長さに対する当該両端点間の直線距離の比が0.75以下となる区間であり、
    前記直線区間は、前記複数の区間のうち前記曲線区間ではない区間である、請求項17に記載のエピタキシャル成長用基板。
  21. 前記凹凸パターンの単位面積当たりの領域に含まれる前記凸部の平面視上における輪郭線が、曲線区間と直線区間を含み、前記曲線区間は、前記凸部の平面視上における輪郭線を前記凸部の幅の平均値のπ(円周率)倍の長さで区切ることで複数の区間を形成する場合において、区間の一端及び当該区間の中点を結んだ線分と当該区間の他端及び当該区間の中点を結んだ線分とがなす2つの角度のうち180°以下となる方の角度が120°以下となる区間であり、
    前記直線区間は、前記複数の区間のうち前記曲線区間ではない区間であり、
    前記複数の区間のうち前記曲線区間の割合が70%以上である、
    請求項17又は20に記載のエピタキシャル成長用基板。
  22. 前記凹凸パターンを走査型プローブ顕微鏡により解析して得られる凹凸解析画像に2次元高速フーリエ変換処理を施すことにより得られるフーリエ変換像が、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状又は円環状の模様を示しており、且つ、前記円状又は円環状の模様が、波数の絶対値が10μm−1以下の範囲内となる領域内に存在する、請求項18〜21のいずれか一項に記載のエピタキシャル成長用基板。
  23. 請求項16〜22のいずれか一項に記載のエピタキシャル成長用基板上に、第1導電型層、活性層及び第2導電型層を少なくとも含む半導体層を備える発光素子。
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