JP2010147408A - 有機トランジスタ、有機トランジスタアレイ及び表示装置 - Google Patents

有機トランジスタ、有機トランジスタアレイ及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】マイクロコンタクトプリント法を利用し、簡便に、安定して微細なパターンを有する有機薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】マスク7を介して、基板5にエネルギーを付与することにより、相対的に、臨界表面張力の大きな高表面自由エネルギー部5aと臨界表面張力の小さな低表面自由エネルギー部5bとを形成する。マイクロコンタクトプリント法を用いて臨界表面張力の大きな高表面自由エネルギー部5aにインク3を付着させる。高表面自由エネルギー部5aでは、スタンプ1からインク3が転写されやすく、低表面自由エネルギー部5bでは、表面自由エネルギーが小さいためにスタンプ1からインク3が転写されにくくなるため、有機TFT素子の製造において、電極パターンの微細化や、電極層の厚膜化が可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、有機トランジスタ、有機トランジスタアレイ及び表示装置に関する。
有機材料を用いた有機薄膜トランジスタ(TFT)は、
1.材料構成の多様性、製造方法、製品形態等でフレキシビリティが高いこと;
2.大面積化が容易であること;
3.単純な層構成が可能であり、製造プロセスが単純化できること;
4.安価な製造装置を用いて、製造できること;
等の利点があることから、精力的に研究されている。この有機TFTを構成する電極や絶縁膜、半導体層などの成膜方法としては、印刷法、スピンコート法、浸漬法等が挙げられ、有機TFTは、従来のSi半導体材料を用いたTFTより桁違いに安く製造することができる。
また、この有機TFTを集積した有機TFTアレイを作製し、表示素子を駆動すれば、表示装置が得られる。この表示装置は、上記有機TFTの特性を備えたこれまでにない付加価値を有するものとなる。例えば非特許文献1などでは、印刷工程で作製した有機TFTアレイを電気泳動素子と組み合わせ、フレキシブルな表示装置を作製している。このような特性は、曲面を有する壁に配備される展示パネルへの適用性や、携帯ディスプレイとしての利便性、また、落としたりした場合に壊れにくい(耐衝撃性)といった利点に直結する。さらには、印刷工程で作製することによるコストメリットももちろん反映される。
有機TFTを集積する場合、電極や半導体層などをパターン形成することが必須になる。例えば電極のパターン形成において、印刷工程のパターン精度が低いと、電極間ショートによる有機TFTの動作不良を起こす。また、例えば有機半導体層のパターン形成において、印刷工程のパターン精度が低いと、有機TFTのチャネル部以外に半導体層が成膜されてしまい、それによってオフリーク電流の上昇によるコントラスト比の低下や、隣接有機TFT間でのクロストークが発生し、有機TFTの動作不良を起こす。
一方、印刷によるパターン形成方法で代表的な手法としては、インクジェット法、ディスペンサ法、スクリーン印刷法などが知られている。インクジェット法及びディスペンサ法は、パターンを直接描画できるため、材料使用効率を格段に向上させることができる。このようなインクジェット法又はディスペンサ法によりパターン形成すると、製造プロセスの簡略化、歩留まりの向上、コストの低下を実現できる可能性がある。特に、有機半導体材料として、有機溶媒に可溶な高分子材料を用いると、有機半導体材料の溶液(有機半導体インク)を調製することができるため、インクジェット法により有機半導体層をパターン形成することが容易になる。
しかしながら、インクジェット法では、有機半導体インクの液滴が着弾した後の拡がりや、液滴の着弾ばらつきが問題となる。そのため、有機TFT、および有機TFTを集積した有機TFTアレイ(有機TFT基板)を製造する場合は、このようなインクの拡がりや着弾のばらつきを考慮した設計が必要である。しかし、より集積度の高い有機TFTアレイを作製する場合には、インクの広がりやばらつきが大きな問題となる。また、例えばAg微粒子などを分散させたインク等を用いて、インクジェット法により印刷し、電極を形成する場合は、印刷精度を考慮すると微細化に限界がある。
これに対し、特許文献1では、エネルギーの付与によって臨界表面張力が変化する材料を含む濡れ性変化層を形成する工程と、濡れ性変化層の一部分にエネルギーを付与することによって、より臨界表面張力の小さい低表面自由エネルギー部とより臨界表面張力の大きい高表面自由エネルギー部とからなる臨界表面張力が異なるパターンを形成する工程と、導電性材料を含有する液体をパターンが形成された濡れ性変化層の表面に付与することで、高表面自由エネルギー部に導電層を形成する工程と、濡れ性変化層上に半導体層を形成する工程と、を有することを特徴とする積層構造体の製造方法が開示されている。この方法によれば、インクジェット法などによる液滴が着弾後に被形成表面の濡れ性に従ってパターン形成されるため、より微細なパターン形成が可能となる。
しかし、印刷法で有機TFTを集積する場合、電極に関しては、パターン形成精度だけでなく、抵抗値が低いということも重要となる。特に配線として用いる電極には抵抗値が低いことが重要となる。そのためには、材料自体、および形成プロセス由来の体積抵抗値と、配線に許容される抵抗値から決定される配線膜厚を確保する必要がある。しかしながら、インクジェット法では、微小な液滴を着弾させるため、電極が薄膜となり、抵抗値が大きくなってしまうことがある。厚い膜を得るためには、たくさんの液滴を打つ必要があり(つまり、複数回印刷する必要があり)、スループットが低下してしまう。また、たくさんの液滴を打ち込むことにより、インクが所望のパターンから溢れてしまい、パターンが形成できないといった問題も発生し得る。
上記以外のパターン形成技術として、ソフトリソグラフィー法が知られている。ソフトリソグラフィー法とは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などのシリコーンエラストマーで形成されたスタンプを用いた方式で、ハーバード大学のWhitesidesによって提唱された(非特許文献2)。PDMSスタンプは、光や電子ビーム露光などによって作製されたSi基板などのパターン上に、PDMSを滴下し、硬化後にはがすことで作製する。ソフトリソグラフィー法の解像性は非常に高く、数十nmまでパターン形成可能である。ソフトリソグラフィー法ではこのPDMSスタンプを用いてパターニングを行うが、PDMSスタンプにインクを塗り、被形成面に数kPa〜数100kPaの圧力で直接押し当てて転写する方式を、特にマイクロコンタクトプリント法という。
このマイクロコンタクトプリント法は、有機トランジスタを形成するのに好適であるとして着目され、世界中で精力的に研究が行われている。例えば、非特許文献3では、50cm四方の面積にマイクロコンタクトプリント法を用いて有機トランジスタを微細に作製したという報告がある。マイクロコンタクトプリント法では、印刷エリアと同サイズの版を作製すれば、一度のコンタクトでパターンを転写できるため、スループットが早い。そして非常にシンプルなプロセスであるために、用いるインク物性の制限が少ない。例えば、インクジェット法などでは、そのノズルや液室の構造が微細であることから、使用できるインクの粘度や表面張力、乾燥性や溶解性に大幅な制約が求められ、所望のインクが使用できないことがあった。また、マイクロコンタクトプリント法は、液滴を落とすだけのインクジェット法よりも膜厚制御性が高く、厚膜を得ることができる。また、スタンプ自体は既述のようにフォトリソグラフィープロセスで作製するため、微細な凹凸形状を有したスタンプが容易に得られる。従って、微細化への障壁が他の印刷方式と比較して小さいという特徴がある。
しかしながら、非特許文献2ではパターニングの際に加熱による転写のアシストを行っていた。このようにマイクロコンタクトプリント法においては、インクをいかにスタンプから基板に転写するかが重要となる。そしてインクの転写を制御するために重要なポイントの1つとして、インクの、スタンプと基板に対する濡れ性の制御がある。すなわち、マイクロコンタクトプリント法では、インクがスタンプ上で均一に塗れ拡がるようにスタンプ表面の表面性を制御することが重要であり、次にインクがスタンプから離れて基板上へ転写されるように、基板表面の表面性を制御することが重要である。
例えば特許文献2では、PDMSスタンプの表面を活性化した後、親水性ポリマーと反応させることで、PDMSスタンプ表面の親水性インクに対する濡れ性を改善している。しかしながら、特許文献2の方式では、スタンプ作製にかかるプロセスが増加してしまうという問題がある。また、この方法では、大面積に均一に安定して濡れ性改善処理をすることが困難であるため、工業的実用化の領域に達していない。
また、マイクロコンタクトプリント法においては、材料固有のヤング率に従った、スタンプ材料の応力に対する歪みが発生する。そのため、表面制御が不十分で転写しにくいと、転写効率を向上させるためにより大きな応力をかける必要があり、スタンプの歪みに起因するパターンの位置ずれや、形状のずれが誘起されてしまう。
以上のことから、印刷法で微細なパターンを簡便に安定して形成する方法は現状では得られていない。
特開2005−310962号公報 特開2002‐206033公報 T.OKUBO, 07 IDW-AMD5-4L Y.Xia and G.M. Whitesides, Annu.Rev.Mater.Sci.1998.vol 28:p153-184 J.Rogers, JOURNAL OF IMAGING SCIENCE AND TECHNOLOGY, vol47, No.4, 2003
本発明は、上記の従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、マイクロコンタクトプリント法を利用し、簡便に、かつ安定して微細なパターンを有する有機薄膜トランジスタを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の(1)〜(10)の観点を有するものである。
(1)基板、ゲート電極、アース電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、有機半導体層、層間絶縁膜および画素電極を有する有機薄膜トランジスタにおいて、
前記基板および/または前記ゲート絶縁膜は、エネルギーの付与によって臨界表面張力が変化する材料を含んで構成され、臨界表面張力が相対的に大きな高表面自由エネルギー部と、相対的に小さな低表面自由エネルギー部との、少なくとも臨界表面張力の異なる2つの部位を有する濡れ性変化層を有しており、
前記濡れ性変化層の前記高表面自由エネルギー部に、マイクロコンタクトプリント法を用いて形成された前記ゲート電極、前記アース電極、前記ソース電極または前記ドレイン電極と、
前記ゲート絶縁膜上の前記濡れ性変化層に対して少なくとも前記低表面自由エネルギー部の部位に接して設けられた前記有機半導体層と、
を備えたことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
(2)前記濡れ性変化層は、少なくとも、相対的に電気絶縁性に優れた第一の材料と、エネルギーの付与によって臨界表面張力が変化する割合が相対的に大きな第二の材料と、を含んで構成されていることを特徴とする上記(1)の有機薄膜トランジスタ。
(3)前記ソース電極、前記ドレイン電極、前記ゲート電極または前記アース電極の少なくともひとつは、金属粒子又は金属錯体を含有するインクを用いて形成されていることを特徴とする上記(1)または(2)の有機薄膜トランジスタ。
(4)前記金属粒子は、Au、Ag、Cu又はNiの粒子であることを特徴とする上記(3)の有機薄膜トランジスタ。
(5)前記ソース電極、前記ドレイン電極、前記ゲート電極または前記アース電極の少なくともひとつは、導電性高分子材料を含有することを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれかの有機薄膜トランジスタ。
(6)前記導電性高分子材料として、ポリエチレンジオキシチオフェンを含有することを特徴とする上記(5)の有機薄膜トランジスタ。
(7)前記ゲート絶縁膜は、高分子材料を含むことを特徴とする上記(1)乃至(6)のいずれかの有機薄膜トランジスタ。
(8)上記(1)から(7)のいずれかの有機薄膜トランジスタを複数配置して構成される有機薄膜トランジスタアレイ。
(9)上記(1)から(7)のいずれかの有機薄膜トランジスタを複数配置して構成される有機薄膜トランジスタアレイと、
表示素子と、
を組み合わせて構成される表示装置。
(10)基板、ゲート電極、アース電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、有機半導体層、層間絶縁膜および画素電極を有する有機薄膜トランジスタを製造する有機薄膜トランジスタの製造方法であって、
前記基板上および/または前記ゲート絶縁膜上に、エネルギーの付与によって臨界表面張力が変化する濡れ性変化層を形成する工程と、
前記濡れ性変化層にエネルギーを付与することによって、臨界表面張力が相対的に大きな高表面自由エネルギー部と、相対的に小さな低表面自由エネルギー部とを形成する工程と、
前記高表面自由エネルギー部の領域にマイクロコンタクトプリント法を用いて前記ゲート電極、前記アース電極、前記ソース電極もしくは前記ドレイン電極のいずれか、または全てを形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上の前記濡れ性変化層に対して少なくとも前記低表面自由エネルギー部の部位に接して前記有機半導体層を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
本発明によれば、マイクロコンタクトプリント法で簡便にかつ安定的に、高スループットで、非常に微細なパターンを有する有機トランジスタアレイおよび、該有機トランジスタアレイを有する表示装置を提供することができる。
また、ゲート電極、アース電極のパターニングに対しては、基板表面の表面自由エネルギーを、そしてソース電極、ドレイン電極のパターニングに対しては、ゲート絶縁膜表面の表面自由エネルギーを、電極パターンを形成する領域のみ選択的に大きくしてやることで、スタンプ表面の電極用インクが接触後、表面自由エネルギーの大きい領域に選択的に転写され、安定して微細なパターンを形成することができる。
また、基板および/またはゲート絶縁膜の表面自由エネルギーを制御することによって、パターンの転写特性が良好となり、印刷圧力を小さくしてスタンプにかかる応力を抑制可能であるとともに、印刷圧力を大きくしてもスタンプの応力ひずみによる位置ずれやパターン形状ずれを防ぐことができる。すなわち、本発明では、マイクロコンタクトプリントにおける印刷圧力を小さくしても十分に印刷が可能であり、印刷圧力を大きくしても印刷精度を低下させずに印刷が可能であるため、印刷圧力のマージンが広がり、安定して信頼性の高いパターン形成が可能である。
また、電極材料として、マイクロコンタクトプリント法に適した金属微粒子を分散させた金属インクや導電性高分子を使用する場合は、さらなる製造プロセスの簡略化、低コストを実現することが可能になる。
さらに、本発明の有機薄膜トランジスタからなる電子素子アレイと画素表示素子を組み合わせることで、安価で可撓性に優れた表示装置を作製することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
まず、一般的なマイクロコンタクトプリント法の概要とその課題について説明する。図1は、マイクロコンタクトプリント法の主要な工程を示す説明図である。まず、表面に所定のパターンの凹凸構造を具備したPDMS製のスタンプ1に対し、インク3を付着させる。次に、インク3を付着させたスタンプ1を、基板(あるいは、絶縁膜でもよい)5に直接コンタクトさせることでインク3がスタンプ1から基板5へ転写される。
マイクロコンタクトプリント法によってパターン形成する場合、インク3の表面張力と、極性、粘度などの物性と、スタンプ1の表面自由エネルギー、基板5の表面自由エネルギーによって、スタンプ1上のインク3を基板5上に転写するための圧力が決定される。一般的には、この圧力は数kPa〜数100kPa程度である。この印刷圧力によって、スタンプ1にかかる応力に対して、スタンプ材固有のヤング率によって転写印刷時のスタンプ歪み値が決定される。このスタンプ歪み値により、パターンの位置ずれや、パターン形状ずれが発生する。そのため、従来のマイクロコンタクトプリント法では大きな面積にわたって微細なパターニングを形成するのが困難である。また、スタンプサイズが大きくなるほど位置ずれの影響が大きくなる。そのため、実際にはスタンプ1の歪み値を補正してスタンプ1を作製する必要があるが、印刷時の応力は印刷環境やスタンプ1の位置、転写パターンによって異なるため、その都度、補正をかけるのは非常に煩雑である。
また、別の方法として、より小さい圧力で転写が行われるようにインク物性、スタンプ表面性を改質するなどの方法もあるが、インク物性による改善は、パターン材料の選択性を狭めることになってしまい、スタンプ表面性の改善では既述のようにスタンプ作製プロセスが複雑になる。
上記問題に対して、本発明では、パターンを形成する基板5(あるいは絶縁膜)として、エネルギーの付与によって臨界表面張力が変化する材料を含むものを用いる。そして、図2に示したように、まず、マスク7を介して、基板5にエネルギー9を付与することにより、臨界表面張力の異なる少なくとも2つの部位として、相対的に、臨界表面張力の大きな高表面自由エネルギー部5aと臨界表面張力の小さな低表面自由エネルギー部5bとを有する濡れ性変化層6を形成する。そして、マイクロコンタクトプリント法を用いて臨界表面張力の大きな高表面自由エネルギー部5aにインク3を付着させる。このインク3が電極となる。
濡れ性変化層6は、エネルギー9を与えることによって、臨界表面張力が変化する材料からなる層である。濡れ性変化層6を構成する材料は、エネルギー付与の前後での臨界表面張力の変化量が大きいものが好ましい。このような材料の場合、濡れ性変化層6の一部分にエネルギー9を付与し、高表面自由エネルギー部5aと低表面自由エネルギー部5bとからなる臨界表面張力の異なるパターンを形成することにより、導電性材料を含有するインク3が、高表面自由エネルギー部5aには付着しやすく、低表面自由エネルギー部5bには付着しにくくなる。つまり、パターン形状に従って導電性材料を含有するインク3が親液性である高表面自由エネルギー部5aに選択的に付着し、それを固化することにより電極となる導体層がパターン形成される。
固体表面に対する液体の濡れ性(付着性)については、以下に示すヤングの式(1)が成立する。
γ=γSL+γcosθ … (1)
ここで、γは固体の表面張力、γSLは固体と液体の界面張力、γは液体の表面張力である。
表面張力は表面自由エネルギーと実質的に同義であり、同じ値となる。cosθ=1の時、θ=0°となり、固体は完全に濡れる。この時のγの値はγ−γSLとなり、これをその固体の臨界表面張力γと呼ぶ。γは表面張力が判明している液体を用いて、液体の表面張力と接触角の関係をプロットし、θ=0°(cosθ=1)となる表面張力を求めることにより容易に決定できる(Zismannプロット)。γの大きい固体表面は液体で濡れやすく、γの小さい固体表面は液体で濡れにくい。なお、接触角θの測定は、公知の液滴法で行うことができる。
本発明において、「高表面自由エネルギー」および「低表面自由エネルギー」の語は、相対的な意味で用いられるが、濡れ性変化層6の、低表面自由エネルギー部5bの臨界表面張力(γC)は40mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上40mN/m以下であることが望ましい。臨界表面張力(γ)が20mN/mより小さいと、ほとんどの溶媒をはじいてしまう。また、高表面自由エネルギー部5aは、低表面自由エネルギー部5bに比較して大きな臨界表面張力を有しており、その差が10mN/m以上であることが好ましい。
濡れ性変化層6を構成する、「エネルギーの付与によって臨界表面張力が変化する材料」としては、側鎖に疎水性基を有する高分子材料を用いることが望ましい。具体的には、ポリイミドや(メタ)アクリレート等の骨格を有する主鎖に直接或いは結合基(図示せず)を介して疎水性基を有する側鎖が結合している構造のものを挙げることができる。
疎水性基としては、末端構造が−CF2CH3、−CF2CF3、−CF(CF3)2、−C(CF3)3、−CF2H、−CFH2等である基が挙げられる。分子鎖同士を配向しやすくするためには炭素鎖長の長い基が好ましく、炭素数4以上のものがより好ましい。さらには、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換されたポリフルオロアルキル基が好ましく、特に炭素数4〜20のポリフルオロアルキル基が好ましく、とりわけ、炭素数6〜12のポリフルオロアルキル基が好ましい。ポリフルオロアルキル基は、直鎖構造であっても分岐構造であってもよいが、直鎖構造の方が好ましい。さらに、疎水性基は、アルキル基の水素原子の実質的に全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基が好ましい。パーフルオロアルキル基はC2n+1−(ただし、nは4〜16の整数)で表わされる基が好ましく、特に、nが6〜12の整数である場合の該基が好ましい。パーフルオロアルキル基は直鎖構造であっても分岐構造であってもよく、直鎖構造が好ましい。
上記材料については特開平3−178478号公報等に詳しく記載されており、周知であり、加熱状態で液体又は固体と接触させたときに親液性となり、空気中で加熱すると疎液性となる性質を有する。即ち、熱エネルギーの付与によって臨界表面張力を変化させることができる。
さらに、疎水性基としては、フッ素原子を含まない−CH2CH3、−CH(CH3)2、−C(CH3)3等の末端構造を有する基を挙げることができる。この場合にも、分子鎖同士を配向しやすくするためには炭素鎖長の長い基が好ましく、炭素数4以上のものがより好ましい。疎水性基は直鎖構造であっても分岐構造であってもよいが、直鎖構造の方が好ましい。上記アルキル基はハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基又は炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基やアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有していてもよい。アルキル基の結合部位が多いほど表面自由エネルギーが低く(臨界表面張力が小さく)、疎液性となると考えられる。一方、紫外線、電子線、プラズマ等を照射をした場合には、上記結合の一部が切断されたり、或いは、配向状態が変化したりするために、臨界表面張力が増加し、親液性になるものと推察される。
濡れ性変化層6上に半導体層を形成することを考慮すると、側鎖に疎水性基を有する高分子材料は、ポリイミド樹脂を含むことが望ましい。ポリイミド樹脂は耐溶剤性並びに耐熱性に優れているため、濡れ性変化層6上に半導体層を形成する際に、溶媒や焼成による温度変化によって、膨潤したりクラックが入ったりすることがない。また、濡れ性変化層6を2種類以上の材料から構成する場合においては、耐熱性、耐溶剤性、親和性を考慮すると側鎖に疎水性基を有する高分子材料以外の材料もポリイミド樹脂からなることが好ましい。
濡れ性変化層6の臨界表面張力を変化させる目的で付与されるエネルギーとしては、例えば熱、紫外線、電子線、プラズマ等を挙げることができる。これらのエネルギーは、所定のパターンが形成されたマスクを介して絶縁膜や基板表面へ選択的に照射等により供給することによって、高表面自由エネルギー部5aと低表面自由エネルギー部5bとを形成することができる。
濡れ性変化層6は、単一の材料からなっていても良いし、上記のように2種類以上の材料から構成されていても良い。濡れ性変化層6を2種類以上の材料から構成する場合には、具体的には、電気絶縁性のより大きな材料に濡れ性変化のより大きな材料を混合することにより、電気絶縁性に優れ、かつ、濡れ性変化にも優れた濡れ性変化層6を提供することが可能となる。
濡れ性変化層6は、少なくとも、相対的に電気絶縁性に優れた第一の材料(例えば、ポリイミド樹脂)と、エネルギーの付与によって臨界表面張力が変化する割合が相対的に大きな第二の材料(例えば、後記実施例で使用した式(I)のポリイミド樹脂)とを含んで構成されていることが好ましい。
このような構造は、第一の材料からなる層を作製した後に第二の材料からなる層を順次積層して作製することが可能である。作製方法としては、真空蒸着などの真空プロセスを用いることも可能であるし、溶剤を用いた塗布プロセスを使用することも可能である。また、第一の材料と第二の材料を混合した溶液を基板に塗布、乾燥することにより、作製することも可能である。第二の材料の極性が相対的に小さい場合、相対的に分子量の小さい場合などでは、乾燥時に溶媒が蒸発するまでの間に第二の材料が表面側に移行し層を形成する。なお、塗布プロセスを用いた場合は、第一の材料からなる層と第二の材料からなる層の界面は明確でなくてもよい。
本実施の形態において、相対的に電気絶縁性に優れた第一の材料と相対的に濡れ性変化の大きい第二の材料の組成割合(第一の材料/第二の材料)は、重量比で50/50〜99/1が好ましい。第二の材料の重量比が増加するにつれて濡れ性変化層6の電気絶縁性が低くなり電子素子の絶縁層としては不向きとなる。一方、第一の材料の重量比が増すと濡れ性変化が小さくなるため、導電層のパターニングが良好でなくなる。両者の混合比は60/40〜95/5が好ましく、70/30〜90/10が望ましい。
なお、濡れ性変化層6が2種類以上の材料から構成されている場合は、2層以上の積層構造からなっていても構わないし、層構造を持たずに膜厚方向に対して所定の濃度分布で材料が混在していてもよい。
上記濡れ性変化層6の形成については、特許文献1(特開2005−310962号公報)に詳細に開示されており、本発明においてもその内容が参照される。
本発明では、以上の原理を応用することによって、スタンプ歪みによるパターンずれを基板5(絶縁膜)の表面の濡れ性によって補正することが可能になる。すなわち、表面自由エネルギーの大きな高表面自由エネルギー部5aでは、スタンプ1からインク3が転写されやすくなり、低表面自由エネルギー部5bでは、表面自由エネルギーが小さいためにスタンプ1からインク3が転写されにくくなる。従って、図3に示したように、スタンプ1の歪みによって所望の位置からインク3がはみ出した状態で、基板5と接触しても、低表面自由エネルギー部5bではインク3の転写が起こらずスタンプ1に残留付着したままとなり、高表面自由エネルギー部5aでのみインク3の転写が起こる。これによりマイクトコンタクトプリント法の課題が解決され、また従来のインクジェット方式では困難であった、電極パターンの微細化や、電極層の厚膜化が可能となる。
次に、本発明方法を利用した有機薄膜トランジスタの作製について説明する。図4は、有機薄膜トランジスタ素子の概略構成を示す断面図である。この有機薄膜トランジスタ素子10は、ガラス基板、フィルム基板等の基板11と、この基板11上に設けられたゲート電極13、ゲート絶縁膜としてのポリイミド絶縁膜15、一対のソース電極17a,ドレイン電極17bおよび有機半導体層19を備えている。
有機薄膜トランジスタ素子10は、以下の手順で作製できる。まず、基板11上に、例えばAg微粒子が分散したAgインクを用いてインクジェット法でゲート電極13を形成し、その上にポリイミド絶縁膜15をスピンコート塗布により成膜する。
このポリイミド絶縁膜15上に、例えばフォトマスクを介して紫外線照射し、ソース・ドレイン電極17a,17bを配設するための高表面自由エネルギー部と低表面自由エネルギー部のパターンを形成する(図示せず)。形成されたパターン上に、たとえばAg微粒子が分散したAgインクを用いてマイクロコンタクトプリント法でソース・ドレイン電極17a,17bを形成する。なお、マイクロコンタクトプリント法で用いるスタンプは、Si上のレジストパターンをPDMSで反転コピーする方法で作製することができる。最後に、有機半導体層19をインクジェット法により、ソース・ドレイン電極17a,17b間に吐出し、成膜する。
マイクロコンタクトプリント法は、電極のパターニングに適している。電極材料としては、金属微粒子を分散させた金属インクが好ましい。金属微粒子としては、例えばAu、Ag、Cu、Pt、Pd、Ni、Ir、Rh、Co、Fe、Mn、Cr、Zn、Mo、W、Ru、In、Sn等があり、あるいは、それぞれを混合させたものでもよい。特に、Au、Ag、Cu、Niは、低電気抵抗率、高い熱伝導率、耐腐食性の面で好ましい。金属インクは、平均粒子径が数nm〜数10nm程度の金属微粒子を溶液中に均一に分散させたものであり、その金属微粒子は格段に低い温度で焼結できることが知られている。これは粒子径が小さくなるにつれ、活性の高い表面原子の影響が大きくなることに起因している。この金属インクを用い、マイクロコンタクトプリント法により成膜して焼結をすることで、電極の直接描画が可能となる。
また、電極材料として導電性高分子を用いてもよい。導電性高分子としては、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリアセチレン等、あるいはこれらポリマーにドーピングを施したものがある。特に、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)の錯体(PEDOT/PSS)は電気伝導度、安定性、耐熱性等の面で好ましい。導電性高分子は金属インクより電気特性や安定性で劣るが、重合度、構造により電気特性を改善できること、さらに焼結を必要としないため低温化が可能である等の有利な点がある。
次に、有機薄膜トランジスタアレイ(有機トランジスタ基板)および表示装置について説明する。
図5に示したように、有機薄膜トランジスタアレイ100は、基板11上に複数の有機薄膜トランジスタ素子10が形成されてなる。この有機薄膜トランジスタアレイ100は、例えば以下の手順で作製できる。まず、ガラス基板、フィルム基板等の基板11に、たとえばAg微粒子が分散したAgインクを用いてインクジェット法で走査配線(ゲート電極13)を形成する。その上に、ゲート絶縁膜および走査配線/信号配線の層間絶縁膜としてのポリイミド絶縁膜15をスピンコート塗布して形成する。このポリイミド絶縁膜15上に、フォトマスク(図示せず)を介して紫外線照射を行い、濡れ性の異なる高表面自由エネルギー部および低表面自由エネルギー部を形成する。
次に、パターニングされた高表面自由エネルギー部上に、たとえばAg微粒子が分散したAgインクを用いてマイクロコンタクトプリント法で信号配線(ソース・ドレイン電極17a,17b)を形成する。次に、有機半導体インクをインクジェット法により、ソース・ドレイン電極17a,17b間に吐出して有機半導体層19を成膜する。さらに、最上層に厚さ2000nmのパラキシリレン膜をCVD法により成膜し、保護層を形成する(図示省略)。以上のプロセスにより、有機薄膜トランジスタアレイ100が完成する。
上記のように製造した有機薄膜トランジスタアレイ100は、各種の表示素子と組み合わせることにより、種々の表示装置に利用できる。例えば、対向基板に厚さ100nm程度のITO(IndiumTin Oxide)をスパッタ成膜し、その上にスピンコート法でポリイミド樹脂を塗布し、ラビングすることによって配向膜を200nm程度の厚みで形成する。配向処理後、先述の有機薄膜トランジスタアレイ100とシリカスペーサーを配置、接合し、ギャップ間に液晶性材料を封入することで、液晶パネルが作製出来る。代表的な表示装置101の構成例を図6に示した。
その他の表示パネルとして、ITOを成膜した対向基板にシリカスペーサーを配置、接合し、キャップ間にマイクロカプセル型電気泳動素子を封入することで、電気泳動表示パネルが出来る。代表的な電気泳動表示装置200の構成例を図7に示した。
なお、表示画素として有機EL素子を形成し、大気遮蔽シールドを配置させることで、有機ELパネルを作製することも可能である。
次に、実施例および比較例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等に制約されるものではない。
[実施例1]
ガラス基板1上に、ポリイミド樹脂であるリカコートSN−20(新日本理化社製)および、下記構造式(I)で示されるポリイミド樹脂を、順次塗布、焼成して、絶縁膜を形成した。
Figure 2010147408

[式(I)中、mおよびnは、繰り返し数を示す正の数を意味する]
次に、線幅およびスペース30μmのパターンが描画されたフォトマスク越しに、波長が300nm以下の紫外線を照射量15分照射し、絶縁膜上に高表面自由エネルギー部および低表面自由エネルギー部を有する濡れ性変化層を形成した。
次に、マイクロコンタクトプリント法を用いて、電極インクを塗布したPDMSスタンプを用いて、印刷圧力やスタンプの表面自由エネルギー、濡れ性変化層上の高表面自由エネルギー部および低表面自由エネルギー部の表面性をインク物性に対して適切に調整し、高表面自由エネルギー部に選択的にパターンを形成した。この際のスタンプ設計は線幅40μmおよびスペース20μmの直線状パターンとした。また、このときの印刷圧力を標準条件として、標準条件の50%まで圧力を小さくしたものと、標準条件の300%まで圧力を大きくしたものでも印刷を行った。ただし標準条件の50%まで小さくした圧力は1kPa以上であり、標準条件の300%まで大きくした印刷圧力は500kPa以下である。転写した電極インクを200℃のオーブンで焼成して電極パターンを形成した。
[比較例1]
実施例1と同様に、ガラス基板上に、ポリイミドであるリカコートSN−20(商品名;新日本理化社製)をスピンコート塗布し、プリベーク後、200℃で焼成して、膜厚500nmの絶縁層を形成した。さらに、この絶縁層上に、上記構造式(I)に示されるポリイミド樹脂を、同様にスピンコート塗布し、焼成して、厚さ100nmの絶縁膜を形成した。
次に、マイクロコンタクトプリント法を用いて、電極インクを塗布したPDMSスタンプを用いて、実施例1と同じ印刷条件で、線幅およびスペース30μmの直線状電極パターンを印刷し(電極材料には、銀ナノ粒子を水系の溶液に分散した物を用いた)、200℃のオーブンで焼成して電極パターンを形成した。
[評価方法および評価結果]
比較例1および実施例1で作製した電極ラインパターンについて、印刷時の圧力を変化させたときの転写効率、ライン幅について金属顕微鏡で観察、確認した。
評価結果を表1に示す。表の圧力の中が標準条件の印刷圧力であり、小が標準条件の50%まで圧力を小さくしたものであり、大が標準条件の300%まで圧力を大きくしたものである。比較例1では、印刷圧力が小の場合、インクのスタンプから基板への転写効率が低く、ほとんどパターンが形成されなかった。また印刷圧力を大きくすると、転写効率は若干改善されるが、スタンプの歪みによるライン幅の増加が起きてしまった。
これに対し、本発明による実施例1では、印刷圧力が小さくてもパターン転写が充分に行われた。転写位置を高表面自由エネルギー部とすることによって、インクがスタンプから転写されやすくなったためである。これによってスタンプの歪みが抑制され、パターンのずれやライン幅の変化が抑制された。また、紫外線非露光面は低表面自由エネルギー部であるため、ここにスタンプの転写面が接触してもインクは転写されにくい。これによって、高い印刷圧力でも、設計値通りの高精度のパターンを印刷することが可能になった。
Figure 2010147408
[比較例2]
ガラス基板上に、ポリイミドであるリカコートSN−20(商品名;新日本理化社製)をスピンコート塗布し、プリベーク後、200℃で焼成して、膜厚500nmの絶縁層を形成した。さらに、この絶縁層上に、上記構造式(I)に示されるポリイミド樹脂を同様にスピンコート塗布し、焼成して、厚さ100nmの絶縁膜を形成した。
次に、線幅およびスペース30μmのパターンが描画されたフォトマスク越しに、波長が300nm以下の紫外線を照射量15分照射し、絶縁膜上に高表面自由エネルギー部および低表面自由エネルギー部を有する濡れ性変化層を形成した。
次に、インクジェット法を用いて、高表面自由エネルギー部に選択的にパターンを形成し、200℃のオーブンで焼成して電極パターンを形成した。
[比較例3]
ガラス基板上に、ポリイミドであるリカコートSN−20(商品名;新日本理化社製)をスピンコート塗布し、プリベーク後、200℃で焼成して、膜厚500nmの絶縁層を形成した。さらに、この絶縁層上に、上記構造式(I)に示されるポリイミド樹脂を、同様にスピンコート塗布し、焼成して、厚さ100nmの絶縁膜を形成した。
次に、線幅およびスペース30μmのパターンが描画されたフォトマスク越しに、波長が300nm以下の紫外線を照射量15分照射し、絶縁膜上に高表面自由エネルギー部および低表面自由エネルギー部を有する濡れ性変化層を形成した。
次に、スクリーン印刷法を用いて、高表面自由エネルギー部に選択的にパターンを形成し、200℃のオーブンで焼成して電極パターンを形成した。
[評価方法および評価結果]
比較例2、3および実施例1の標準条件で作製した電極パターンに対して、金属顕微鏡でのパターン観察、および触針式段差計で電極膜厚を評価した。また、その抵抗値を半導体パラメータアナライザ(4156C、Agilent社製)を用いて評価した。結果を表2にまとめた。
Figure 2010147408
[金属顕微鏡によるパターン観察]
比較例3(スクリーン印刷法)で形成したラインパターンについては、部分的に隣接ライン電極間でのショートが見られた。スクリーン印刷では、30μmといった細線のパターニングにおいては、スクリーン版メッシュの目詰まりによるインク不吐出が発生し、たとえ被形成面である基板の表面自由エネルギーを改質しても、インクの吐出ムラにより微細なパターン形成が困難であり、歩留まりが低下した。
比較例2および実施例1で形成したラインパターンについては、線幅30μmのラインパターンの形成を確認した。
[電極膜厚]
比較例2(インクジェット法)で形成したラインパターンの膜厚は、100nm程度であった。インクジェット法では、30μmという細線幅に対して、これ以上の膜厚を得るためにインク液滴をさらに打ち込むと、隣接ライン間でのショートが発生してしまい、パターン形成が不可能であった。これに対して、実施例1で作製したラインパターンの膜厚は210nmであった。比較例3(スクリーン印刷法)で形成したラインパターンの膜厚は2μm程度であった。
[電気抵抗値]
比較例2(インクジェット法)で形成したラインパターンの単位長さあたりの抵抗値と実施例1で形成したラインパターンの単位長さ当たりの抵抗値を比較したところ、膜厚の結果と対応して実施例1で形成したラインパターンの抵抗値が、比較例2の半分程度となった。このように、実施例1では、印刷による数十μm以下の微細なパターン形成領域において、従来のインクジェット法では得られなかった厚い膜が得られるようになり、抵抗値の低い電極が得られるようになった。
以上の結果から、マイクロコンタクトプリント法を応用した本発明によって、印刷による微細なパターン形成領域において、これまで得られなかった膜厚で、抵抗値の低い電極パターンが得られるようになった。またマイクロコンタクトプリント法を利用することによって、高スループットで歩留まりよく電極パターンを形成することができた。従って、本発明によれば、簡便に微細なパターンを有する有機トランジスタアレイおよび、該有機トランジスタアレイを有する表示装置を提供することができる。
以上、本発明の実施の形態を述べたが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態(図4)では、ソース電極17aおよびドレイン電極17bをパターン形成する際に、ポリイミド絶縁膜15に濡れ性変化層を設けてマイクロコンタクトプリントを行ったが、ソース電極17aおよびドレイン電極17bに限らず、例えばゲート電極13や、アース電極(図示せず)をパターン形成する際に、本発明方法を適用してマイクロコンタクトプリントを行うことも可能である。
マイクロコンタクトプリント法の概要を説明する原理図である。 本発明方法の概要を説明する原理図である。 本発明方法の効果を説明する図面である。 有機薄膜トランジスタ素子の概略構成を示す断面図である。 有機薄膜トランジスタアレイの概略構成を示す断面図である。 表示装置の概略構成を示す断面図である。 電気泳動表示装置の概略構成を示す断面図である。
符号の説明
1…スタンプ、3…インク、5…基板、5a…高表面自由エネルギー部、5b…低表面自由エネルギー部、6…濡れ性変化層、7…マスク、9…エネルギー

Claims (10)

  1. 基板、ゲート電極、アース電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、有機半導体層、層間絶縁膜および画素電極を有する有機薄膜トランジスタにおいて、
    前記基板および/または前記ゲート絶縁膜は、エネルギーの付与によって臨界表面張力が変化する材料を含んで構成され、臨界表面張力が相対的に大きな高表面自由エネルギー部と、相対的に小さな低表面自由エネルギー部との、少なくとも臨界表面張力の異なる2つの部位を有する濡れ性変化層を有しており、
    前記濡れ性変化層の前記高表面自由エネルギー部に、マイクロコンタクトプリント法を用いて形成された前記ゲート電極、前記アース電極、前記ソース電極または前記ドレイン電極と、
    前記ゲート絶縁膜上の前記濡れ性変化層に対して少なくとも前記低表面自由エネルギー部の部位に接して設けられた前記有機半導体層と、
    を備えたことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
  2. 前記濡れ性変化層は、少なくとも、相対的に電気絶縁性に優れた第一の材料と、エネルギーの付与によって臨界表面張力が変化する割合が相対的に大きな第二の材料と、を含んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
  3. 前記ソース電極、前記ドレイン電極、前記ゲート電極または前記アース電極の少なくともひとつは、金属粒子又は金属錯体を含有するインクを用いて形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機薄膜トランジスタ。
  4. 前記金属粒子は、Au、Ag、Cu又はNiの粒子であることを特徴とする請求項3に記載の有機薄膜トランジスタ。
  5. 前記ソース電極、前記ドレイン電極、前記ゲート電極または前記アース電極の少なくともひとつは、導電性高分子材料を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  6. 前記導電性高分子材料として、ポリエチレンジオキシチオフェンを含有することを特徴とする請求項5に記載の有機薄膜トランジスタ。
  7. 前記ゲート絶縁膜は、高分子材料を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタを複数配置して構成される有機薄膜トランジスタアレイ。
  9. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタを複数配置して構成される有機薄膜トランジスタアレイと、
    表示素子と、
    を組み合わせて構成される表示装置。
  10. 基板、ゲート電極、アース電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、有機半導体層、層間絶縁膜および画素電極を有する有機薄膜トランジスタを製造する有機薄膜トランジスタの製造方法であって、
    前記基板上および/または前記ゲート絶縁膜上に、エネルギーの付与によって臨界表面張力が変化する濡れ性変化層を形成する工程と、
    前記濡れ性変化層にエネルギーを付与することによって、臨界表面張力が相対的に大きな高表面自由エネルギー部と、相対的に小さな低表面自由エネルギー部とを形成する工程と、
    前記高表面自由エネルギー部の領域にマイクロコンタクトプリント法を用いて前記ゲート電極、前記アース電極、前記ソース電極もしくは前記ドレイン電極のいずれか、または全てを形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜上の前記濡れ性変化層に対して少なくとも前記低表面自由エネルギー部の部位に接して前記有機半導体層を形成する工程と、
    を備えたことを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
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