以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
[油圧ショベルの全体構成]
図1は、本実施形態に係る建設機械100の一例を示す斜視図である。本実施形態においては、建設機械100が、油圧により作動する作業機2を備える油圧ショベル100である例について説明する。
図1に示すように、油圧ショベル100は、車両本体1と、作業機2とを備える。後述するように、油圧ショベル100には掘削制御を実行する制御システム200が搭載されている。
車両本体1は、旋回体3と、運転室4と、走行装置5とを有する。旋回体3は、走行装置5の上に配置される。走行装置5は、旋回体3を支持する。旋回体3を上部旋回体3と称してもよい。走行装置5を下部走行体5と称してもよい。旋回体3は、旋回軸AXを中心に旋回可能である。運転室4に、オペレータが着座する運転席4Sが設けられる。オペレータは、運転室4において油圧ショベル100を操作する。走行装置5は、一対の履帯5Crを有する。履帯5Crの回転により、油圧ショベル100が走行する。なお、走行装置5が車輪(タイヤ)を含んでもよい。
本実施形態においては、運転席4Sを基準として各部の位置関係について説明する。前後方向とは、運転席4Sを基準とした前後方向をいう。左右方向とは、運転席4Sを基準とした左右方向をいう。運転席4Sが正面に正対する方向を前方向とし、前方向に対向する方向を後方向とする。運転席4Sが正面に正対したとき側方向の右側、左側をそれぞれ右方向、左方向とする。
旋回体3は、エンジンが収容されるエンジンルーム9と、旋回体3の後部に設けられるカウンタウェイトとを有する。旋回体3において、エンジンルーム9の前方に手すり19が設けられる。エンジンルーム9に、エンジン及び油圧ポンプなどが配置される。
作業機2は、旋回体3に支持される。作業機2は、旋回体3に接続されるブーム6と、ブーム6に接続されるアーム7と、アーム7に接続されるバケット8と、ブーム6を駆動するブームシリンダ10と、アーム7を駆動するアームシリンダ11と、バケット8を駆動するバケットシリンダ12とを有する。ブームシリンダ10、アームシリンダ11、及びバケットシリンダ12のそれぞれは、作動油によって駆動される油圧シリンダである。
ブーム6の基端部は、ブームピン13を介して旋回体3に接続される。アーム7の基端部は、アームピン14を介してブーム6の先端部に接続される。バケット8は、バケットピン15を介してアーム7の先端部に接続される。ブーム6は、ブームピン13を中心に回転可能である。アーム7は、アームピン14を中心に回転可能である。バケット8は、バケットピン15を中心に回転可能である。アーム7及びバケット8のそれぞれは、ブーム6の先端側で移動可能な可動部材である。
図2は、本実施形態に係る油圧ショベル100を模式的に示す側面図である。図3は、本実施形態に係る油圧ショベル100を模式的に示す背面図である。図2に示すように、ブーム6の長さL1は、ブームピン13とアームピン14との距離である。アーム7の長さL2は、アームピン14とバケットピン15との距離である。バケット8の長さL3は、バケットピン15とバケット8の先端部8aとの距離である。本実施形態において、バケット8は、複数の刃を有する。以下の説明において、バケット8の先端部8aを適宜、刃先8a、と称する。
なお、バケット8は、刃を有していなくてもよい。バケット8の先端部は、ストレート形状の鋼板で形成されてもよい。
図2に示すように、油圧ショベル100は、ブームシリンダ10に配置された第1シリンダストロークセンサ16と、アームシリンダ11に配置された第2シリンダストロークセンサ17と、バケットシリンダ12に配置された第3シリンダストロークセンサ18とを有する。第1シリンダストロークセンサ16の検出結果に基づいて、ブームシリンダ10のストローク長さが求められる。第2シリンダストロークセンサ17の検出結果に基づいて、アームシリンダ11のストローク長さが求められる。第3シリンダストロークセンサ18の検出結果に基づいて、バケットシリンダ12のストローク長さが求められる。
以下の説明においては、ブームシリンダ10のストローク長さを適宜、ブームシリンダ長、と称し、アームシリンダ11のストローク長さを適宜、アームシリンダ長、と称し、バケットシリンダ12のストローク長さを適宜、バケットシリンダ長、と称する。また、以下の説明において、ブームシリンダ長、アームシリンダ長、及びバケットシリンダ長を適宜、シリンダ長データL、と総称する。
油圧ショベル100は、油圧ショベル100の位置を検出可能な位置検出装置20を備えている。位置検出装置20は、アンテナ21と、グローバル座標演算部23と、IMU(Inertial Measurement Unit)24とを有する。
アンテナ21は、GNSS(Global Navigation Satellite Systems:全地球航法衛星システム)用のアンテナである。アンテナ21は、RTK−GNSS(Real Time Kinematic-Global Navigation Satellite Systems)用アンテナである。アンテナ21は、旋回体3に設けられる。本実施形態において、アンテナ21は、旋回体3の手すり19に設けられる。なお、アンテナ21は、エンジンルーム9の後方向に設けられてよい。例えば、旋回体3のカウンタウェイトにアンテナ21が設けられてもよい。アンテナ21は、受信した電波(GNSS電波)に応じた信号をグローバル座標演算部23に出力する。
グローバル座標演算部23は、グローバル座標系におけるアンテナ21の設置位置P1を検出する。グローバル座標系は、作業エリアに設置した基準位置Prを元にした3次元座標系である。図2に示すように、本実施形態において、基準位置Prは、作業エリアに設定された基準杭の先端の位置である。
グローバル座標系は、地球に固定された原点Pr(図2参照)を基準とした座標系である。ローカル座標系は、建設機械100の車両本体1に固定された原点P2(図2参照)を基準とした座標系である。ローカル座標系を、車両本体座標系、と称してもよい。
図2などにおいて、グローバル座標系を、XgYgZg直交座標系で示す。グローバル座標系の基準位置(原点)Prは、作業エリアに位置する。水平面内の一方向をXg軸方向、水平面内においてXg軸方向と直交する方向をYg軸方向、Xg軸方向及びYg軸方向のそれぞれと直交する方向をZg軸方向とする。また、Xg軸、Yg軸、及びZg軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θXg、θYg、及びθZg方向とする。Xg軸は、YgZg平面と直交する。Yg軸は、XgZg平面と直交する。Zg軸は、XgYg平面と直交する。XgYg平面は、水平面と平行である。Zg軸方向は、鉛直方向である。
図2などにおいて、ローカル座標系を、XYZ直交座標系で示す。ローカル座標系の基準位置(原点)P2は、旋回体3の旋回中心AXに位置する。ある平面内の一方向をX軸方向、その平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。X軸は、YZ平面と直交する。Y軸は、XZ平面と直交する。Z軸は、XY平面と直交する。
本実施形態において、アンテナ21は、車幅方向に離れるように旋回体3に設けられた第1アンテナ21A及び第2アンテナ21Bを含む。第1アンテナ21Aは設置位置P1aを第2アンテナ21Bは設置位置P1bを検出しグローバル座標演算部23へ出力する。
グローバル座標演算部23は、グローバル座標で表される基準位置データPを取得する。本実施形態において、基準位置データPは、旋回体3の旋回軸(旋回中心)AXに位置する基準位置P2を示すデータである。なお、基準位置データPは、設置位置P1を示すデータでもよい。本実施形態において、グローバル座標演算部23は、2つの設置位置P1a及び設置位置P1bに基づいて旋回体方位データQを生成する。旋回体方位データQは、設置位置P1aと設置位置P1bとで決定される直線がグローバル座標の基準方位(例えば北)に対してなす角に基づいて決定される。旋回体方位データQは、旋回体3(作業機2)が向いている方位を示す。グローバル座標演算部23は、後述する表示コントローラ28に基準位置データP及び旋回体方位データQを出力する。
IMU24は、旋回体3に設けられる。本実施形態において、IMU24は、運転室4の下部に配置される。旋回体3において、運転室4の下部に高剛性のフレームが配置される。IMU24は、そのフレーム上に配置される。なお、IMU24は、旋回体3の旋回軸AX(基準位置P2)の側方(右側又は左側)に配置されてもよい。IMU24は、グローバル座標に対して車両本体1の左右方向に対する傾斜角θ4と、車両本体1の前後方向に対する傾斜角θ5とを検出する。
[制御システムの構成]
次に、本実施形態に係る制御システム200の概要について説明する。図4Aは、本実施形態に係る制御システム200の機能構成を示すブロック図である。
制御システム200は、作業機2を用いる掘削処理を制御する。掘削処理の制御は、制限掘削制御を含む。図4Aに示すように、制御システム200は、第1シリンダストロークセンサ16と、第2シリンダストロークセンサ17と、第3シリンダストロークセンサ18と、アンテナ21と、グローバル座標演算部23と、IMU24と、操作装置25と、作業機コントローラ26と、圧力センサ66及び圧力センサ67と、制御弁27と、方向制御弁64と、表示コントローラ28と、表示部29と、センサコントローラ30と、作業モード設定を行うマンマシンインターフェース部32とを備えている。
操作装置25は、運転室4に配置される。オペレータにより操作装置25が操作される。操作装置25は、作業機2を駆動するオペレータ操作を受け付ける。本実施形態において、操作装置25は、パイロット油圧方式の操作装置である。
以下の説明においては、油圧シリンダ(ブームシリンダ10、アームシリンダ11、及びバケットシリンダ12)を作動するためにその油圧シリンダに供給される油を適宜、作動油、と称する。本実施形態においては、方向制御弁64により、油圧シリンダに対する作動油の供給量が調整される。方向制御弁64は、供給される油によって作動する。以下の説明においては、方向制御弁64を作動するためにその方向制御弁64に供給される油を適宜、パイロット油、と称する。また、パイロット油の圧力を適宜、パイロット油圧、と称する。
作動油及びパイロット油は、同一の油圧ポンプから送出されてもよい。例えば、油圧ポンプから送出された作動油の一部が減圧弁で減圧され、その減圧された作動油がパイロット油として使用されてもよい。また、作動油を送出する油圧ポンプ(メイン油圧ポンプ)と、パイロット油を送出する油圧ポンプ(パイロット油圧ポンプ)とが別の油圧ポンプでもよい。
操作装置25は、第1操作レバー25Rと、第2操作レバー25Lとを有する。第1操作レバー25Rは、例えば運転席4Sの右側に配置される。第2操作レバー25Lは、例えば運転席4Sの左側に配置される。第1操作レバー25R及び第2操作レバー25Lでは、前後左右の動作が2軸の動作に対応している。
第1操作レバー25Rにより、ブーム6及びバケット8が操作される。第1操作レバー25Rの前後方向の操作は、ブーム6の操作に対応し、前後方向の操作に応じてブーム6の下げ動作及び上げ動作が実行される。第1操作レバー25Rの左右方向の操作は、バケット8の操作に対応し、左右方向の操作に応じてバケット8の掘削動作及び開放動作が実行される。
第2操作レバー25Lにより、アーム7及び旋回体3が操作される。第2操作レバー25Lの前後方向の操作は、アーム7の操作に対応し、前後方向の操作に応じてアーム7の上げ動作及び下げ動作が実行される。第2操作レバー25Lの左右方向の操作は、旋回体3の旋回に対応し、左右方向の操作に応じて旋回体3の右旋回動作及び左旋回動作が実行される。
本実施形態において、ブーム6の上げ動作は、ダンプ動作に相当する。ブーム6の下げ動作は、掘削動作に相当する。アーム7の下げ動作は、掘削動作に相当する。アーム7の上げ動作は、ダンプ動作に相当する。バケット8の下げ動作は、掘削動作に相当する。なお、アーム7の下げ動作を曲げ動作と称してもよい。アーム7の上げ動作を伸長動作と称してもよい。
油圧ポンプから送出され、減圧弁によってパイロット油圧に減圧されたパイロット油が操作装置25に供給される。操作装置25の操作量に基づいてパイロット油圧が調整され、そのパイロット油圧に応じて、油圧シリンダ(ブームシリンダ10、アームシリンダ11、及びバケットシリンダ12)に供給される作動油が流れる方向制御弁64が駆動される。パイロット油圧ライン450には、圧力センサ66及び圧力センサ67が配置されている。圧力センサ66及び圧力センサ67は、パイロット油圧を検出する。圧力センサ66及び圧力センサ67の検出結果は、作業機コントローラ26に出力される。
第1操作レバー25Rは、ブーム6の駆動のために前後方向に操作される。前後方向に関する第1操作レバー25Rの操作量(ブーム操作量)に応じて、ブーム6を駆動するためのブームシリンダ10に供給される作動油が流れる方向制御弁64が駆動される。また、このレバー操作時、センサ66に発生する圧力をブームレバー操作量MBとする。
第1操作レバー25Rは、バケット8の駆動のために左右方向に操作される。左右方向に関する第1操作レバー25Rの操作量(バケット操作量)に応じて、バケット8を駆動するためのバケットシリンダ12に供給される作動油が流れる方向制御弁64が駆動される。また、このレバー操作時、センサ66に発生する圧力をバケットレバー操作量MTとする。
第2操作レバー25Lは、アーム7の駆動のために前後方向に操作される。前後方向に関する第2操作レバー25Lの操作量(アーム操作量)に応じて、アーム7を駆動するためのアームシリンダ11に供給される作動油が流れる方向制御弁64が駆動される。また、このレバー操作時、センサ66に発生する圧力をアームレバー操作量MAとする。
第2操作レバー25Lは、旋回体3の駆動のために左右方向に操作される。左右方向に関する第2操作レバー25Lの操作量に応じて、旋回体3を駆動するための油圧アクチュエータに供給される作動油が流れる方向制御弁64が駆動される。
なお、第1操作レバー25Rの左右方向の操作がブーム6の操作に対応し、前後方向の操作がバケット8の操作に対応してもよい。なお、第2操作レバー25Lの左右方向がアーム7の操作に対応し、前後方向の操作が旋回体3の操作に対応してもよい。
制御弁27は、油圧シリンダ(ブームシリンダ10、アームシリンダ11、及びバケットシリンダ12)に対する作動油の供給量を調整するために作動する。制御弁27は、作業機コントローラ26からの制御信号に基づいて作動する。
センサコントローラ30は、第1シリンダストロークセンサ16の検出結果に基づいて、ブームシリンダ長を算出する。第1シリンダストロークセンサ16は、周回動作に伴う位相変位のパルスをセンサコントローラ30に出力する。センサコントローラ30は、第1シリンダストロークセンサ16から出力された位相変位のパルスに基づいて、ブームシリンダ長を算出する。同様に、センサコントローラ30は、第2シリンダストロークセンサ17の検出結果に基づいて、アームシリンダ長を算出する。センサコントローラ30は、第3シリンダストロークセンサ18の検出結果に基づいて、バケットシリンダ長を算出する。
センサコントローラ30は、第1シリンダストロークセンサ16の検出結果に基づいて取得されたブームシリンダ長から、旋回体3の垂直方向に対するブーム6の姿勢角θ1を算出する。センサコントローラ30は、第2シリンダストロークセンサ17の検出結果に基づいて取得されたアームシリンダ長から、ブーム6に対するアーム7の姿勢角θ2を算出する。センサコントローラ30は、第3シリンダストロークセンサ18の検出結果に基づいて取得されたバケットシリンダ長を取得から、アーム7に対するバケット8の刃先8aの姿勢角θ3を算出する。第1,第2,第3シリンダストロークセンサ16,17,18は、作業機2の姿勢を検出する検出器として機能する。作業機2の姿勢は、ブーム6の姿勢角θ1、アーム7の姿勢角θ2、及びバケット8の刃先8aの姿勢角θ3の少なくとも一つを含む。
なお、ブーム6の姿勢角θ1、アーム7の姿勢角θ2、及びバケット8の姿勢角θ3は、シリンダストロークセンサで検出されなくてもよい。ロータリーエンコーダのような角度検出器でブーム6の姿勢角θ1が検出されてもよい。角度検出器は、旋回体3に対するブーム6の屈曲角度を検出して、姿勢角θ1を検出する。同様に、アーム7の姿勢角θ2がアーム7に取り付けられた角度検出器で検出されてもよい。バケット8の姿勢角θ3がバケット8に取り付けられた角度検出器で検出されてもよい。
図4Bは、作業機コントローラ26及び表示コントローラ28及びセンサコントローラ30を示すブロック図である。センサコントローラ30は、第1、第2、第3シリンダストロークセンサ16、17、18の検出結果からシリンダ長データLを取得する。センサコントローラ30は、IMU24から出力される車両本体1の傾斜角θ4のデータ及び傾斜角θ5のデータを出力する。センサコントローラ30は、各作業機の姿勢角θ1〜θ3、及び傾斜角θ5のデータを、表示コントローラ28及び作業機コントローラ26のそれぞれに出力する。
上述のように、本実施形態においては、シリンダストロークセンサ(16、17、18)の検出結果、及びIMU24の検出結果がセンサコントローラ30に出力され、センサコントローラ30が所定の演算処理を行う。本実施形態において、センサコントローラ30の機能が、作業機コントローラ26で代用されてもよい。例えば、シリンダストロークセンサ(16、17、18)の検出結果が作業機コントローラ26に出力され、作業機コントローラ26が、シリンダストロークセンサ(16、17、18)の検出結果に基づいて、シリンダ長(ブームシリンダ長、アームシリンダ長、及びバケットシリンダ長)を算出してもよい。IMU24の検出結果が、作業機コントローラ26に出力されてもよい。
表示コントローラ28は、目標施工情報格納部28Aと、バケット位置データ生成部28Bと、目標掘削地形データ生成部28Cとを有する。表示コントローラ28は、グローバル座標演算部23から、基準位置データP及び旋回体方位データQを取得する。表示コントローラ28は、センサコントローラ30からシリンダ姿勢データθ1〜θ3を取得する。
バケット位置データ生成部28Bは、基準位置データP、旋回体方位データQ、及びシリンダ姿勢データθ1〜θ3に基づいて、バケット8の3次元位置を示すバケット位置データを生成する。本実施形態において、バケット位置データは、刃先8aの3次元位置を示す刃先位置データSである。
目標掘削地形データ生成部28Cは、刃先位置データSと目標施工情報格納部28Aに格納する後述する目標施工情報Tを用いて、掘削対象の目標形状を示す目標掘削地形Uを生成する。また、表示コントローラ28は、目標掘削地形Uに基づいて表示部29に目標掘削地形Uを表示させる。表示部29は、例えばモニタであり、油圧ショベル100の各種の情報を表示する。本実施形態において、表示部29は、情報化施工用のガイダンスモニタとしてのHMI(Human Machine Interface)モニタを含む。
表示コントローラ28は、位置検出装置20による検出結果に基づいて、グローバル座標系で見たときのローカル座標の位置を算出可能である。ローカル座標系とは、油圧ショベル100を基準とする3次元座標系である。ローカル座標系の基準位置は、例えば、旋回体3の旋回軸AXに位置する基準位置P2である。
目標施工情報格納部28Aは、作業エリアの目標形状である立体設計地形を示す目標施工情報(立体設計地形データ)Tを格納している。目標施工情報Tは、掘削対象の目標形状である設計地形を示す目標掘削地形(設計地形データ)Uを生成するために必要とされる座標データ及び角度データを含む。目標施工情報Tは、例えば無線通信装置を介して表示コントローラ28に供給されてもよい。なお、目標施工情報Tは、メモリ等の接続式記録装置から転送されてもよい。
目標掘削地形データ生成部28Cは、ブーム6の姿勢角θ1、アーム7の姿勢角θ2、バケット8の姿勢角θ3、ブーム6の長さL1、アーム7の長さL2、バケット8の長さL3、及びブームピン13の位置情報から、グローバル座標系の基準位置P2に対するグローバル座標系におけるバケット刃先8aの位置P3を算出する。目標掘削地形データ生成部28Cは、目標施工情報Tと刃先位置データ8aとに基づいて、図5に示すように、旋回体3の前後方向で規定する作業機2の作業機動作平面MPと立体設計地形との交線Eを目標掘削地形Uの候補線として取得する。目標掘削地形データ生成部28Cは、目標掘削地形Uの候補線においてバケット刃先8aの直下点を目標掘削地形Uの基準点APとする。目標掘削地形データ生成部28Cは、目標掘削地形Uの基準点APの前後の単数又は複数の変曲点とその前後の線を掘削対象となる目標掘削地形Uとして決定する。目標掘削地形データ生成部28Cは、掘削対象の目標形状である設計地形を示す目標掘削地形Uを生成する。目標掘削地形Uとバケット刃先8aとに基づいて、目標掘削地形Uと刃先8aとの相対距離dを取得する。
目標掘削地形データ生成部28Cは目標掘削地形Uおよびバケット刃先8aと、目標掘削地形Uとバケット刃先8aの距離を表示部29に出力する。表示部29は目標掘削地形とバケット8との位置関係を画像で表示し、目標掘削地形Uとバケット刃先8aとの距離dを表示する。また、目標掘削地形データ生成部28Cは、算出した目標掘削地形Uを作業機コントローラ26に出力する。
マンマシンインターフェース部32は、入力部及び表示部を有する。表示部は、フラットパネルディスプレイのようなモニタを含む。マンマシンインターフェース部32の入力部は、マンマシンインターフェース部32の表示部の周囲に配置される操作ボタンを含む。なお、マンマシンインターフェース部32の入力部がタッチパネルを含んでもよい。マンマシンインターフェース部32を、マルチモニタ32、と称してもよい。マンマシンインターフェース部32の入力部は、オペレータによって操作される。入力部の操作により生成された指令信号は、作業機コントローラ26に出力される。作業機コントローラ26は、マンマシンインターフェース部32の表示部を制御して、その表示部に所定の情報を表示させる。
[制限掘削制御]
次に、本実施形態に係る制限掘削制御の一例について説明する。作業機コントローラ26は、操作装置25の操作量に対して決まるバケット8の目標速度決定部52と、距離取得部53と、制限速度決定部54と、作業機制御部57と、アーム制御部263を有する。作業機コントローラ26はセンサコントローラ30より、姿勢角θ1、θ2、θ3、及びブームピン13の位置情報と、IMU24から出力される角度θ5と、位置検出装置20による検出結果とアンテナ21の位置情報とから、ローカル座標系における刃先8aの位置P3を導出する。作業機コントローラ26は、表示コントローラ28とは独立して刃先位置情報の取得を行う。
目標速度決定部52は、車両本体1の前後方向に対する傾斜角θ5と、センサ66より取得される操作量MB,MA、MTをブーム6、アーム7、バケット8の各作業機の駆動の為のレバー操作に対応したVc_bm、Vc_am、Vc_bkとして取得する。距離取得部53は表示コントローラ28から目標掘削地形Uを取得する。距離取得部53は、刃先位置データP3及び目標掘削地形Uに基づいて、目標掘削地形Uに垂直な方向におけるバケット8の刃先8aと目標掘削地形Uとの距離dを算出する。制限速度決定部54は、距離dと目標速度に応じて、ブーム6の移動を制限する。作業機制御部57は制限速度制限速度Vc_bm_lmtに対する介入弁27Cに対する介入指令CBIを決定する。以上の指令によりブーム6に対する介入速度が出力することで作業機コントローラ28は制限掘削制御(介入制御)を実行する。
アーム制御部263は、アーム7の操作量MAを目標速度決定部52より取得する。後述するアーム7に対する操作の制限が必要と判定した場合、作業機制御部57へ制限速度Vc_am_lmtを出力する。作業機制御部57は制限速度Vc_am_lmtに応じて減速指令CAを制御弁27(27A、27B)に出力する。アーム制御部263の制限の判定については後に詳細に説明する。
以下、図6のフローチャート、及び図7から図14の模式図を参照して、本実施形態に係る制限掘削制御の一例について説明する。図6は、本実施形態に係る制限掘削制御の一例を示すフローチャートである。
上述のように、目標掘削地形Uが設定される(ステップSA1)。目標掘削地形Uが設定された後、作業機コントローラ26は、作業機2の目標速度Vcを決定する(ステップSA2)。作業機2の目標速度Vcは、ブーム目標速度Vc_bm、アーム目標速度Vc_am、及びバケット目標速度Vc_bktを含む。ブーム目標速度Vc_bmは、ブームシリンダ10のみが駆動されるときの刃先8aの速度である。アーム目標速度Vc_amは、アームシリンダ11のみが駆動されるときの刃先8aの速度である。バケット目標速度Vc_bktは、バケットシリンダ12のみが駆動されるときの刃先8aの速度である。ブーム目標速度Vc_bmは、ブーム操作量に基づいて算出される。アーム目標速度Vc_amは、アーム操作量に基づいて算出される。バケット目標速度Vc_bktは、バケット操作量に基づいて算出される。
作業機コントローラ26の記憶部264に、ブーム操作量とブーム目標速度Vc_bmとの関係を規定する目標速度情報が記憶されている。作業機コントローラ26は、目標速度情報に基づいて、ブーム操作量に対応するブーム目標速度Vc_bmを決定する。目標速度情報は、例えば、ブーム操作量に対するブーム目標速度Vc_bmの大きさが記述されたマップである。目標速度情報は、テーブル又は数式等の形態でもよい。目標速度情報は、アーム操作量とアーム目標速度Vc_amとの関係を規定する情報を含む。目標速度情報は、バケット操作量とバケット目標速度Vc_bktとの関係を規定する情報を含む。作業機コントローラ26は、目標速度情報に基づいて、アーム操作量に対応するアーム目標速度Vc_amを決定する。作業機コントローラ26は、目標速度情報に基づいて、バケット操作量に対応するバケット目標速度Vc_bktを決定する。
図7に示すように、作業機コントローラ26は、ブーム目標速度Vc_bmを、目標掘削地形Uの表面に垂直な方向の速度成分(垂直速度成分)Vcy_bmと、目標掘削地形Uの表面に平行な方向の速度成分(水平速度成分と)Vcx_bmとに変換する(ステップSA3)。
作業機コントローラ26は、基準位置データP及び目標掘削地形Uなどから、グローバル座標系の垂直軸に対するローカル座標系の垂直軸(旋回体3の旋回軸AX)の傾きと、グローバル座標系の垂直軸に対する目標掘削地形Uの表面の垂直方向における傾きとを求める。作業機コントローラ26は、これらの傾きからローカル座標系の垂直軸と目標掘削地形Uの表面の垂直方向との傾きを表す角度β1を求める。
図8に示すように、作業機コントローラ26は、ローカル座標系の垂直軸とブーム目標速度Vc_bmの方向とのなす角度β2とから、三角関数により、ブーム目標速度Vc_bmを、ローカル座標系の垂直軸方向の速度成分VL1_bmと、水平軸方向の速度成分VL2_bmとに変換する。
図9に示すように、作業機コントローラ26は、ローカル座標系の垂直軸と目標掘削地形Uの表面の垂直方向との傾きβ1から、三角関数により、ローカル座標系の垂直軸方向における速度成分VL1_bmと、水平軸方向における速度成分VL2_bmとを、目標掘削地形Uに対する垂直速度成分Vcy_bm及び水平速度成分Vcx_bmに変換する。同様に、作業機コントローラ26は、アーム目標速度Vc_amを、ローカル座標系の垂直軸方向における垂直速度成分Vcy_am及び水平速度成分Vcx_amに変換する。作業機コントローラ26は、バケット目標速度Vc_bktを、ローカル座標系の垂直軸方向における垂直速度成分Vcy_bkt及び水平速度成分Vcx_bktに変換する。
図10に示すように、作業機コントローラ26は、バケット8の刃先8aと目標掘削地形Uとの間の距離dを取得する(ステップSA4)。作業機コントローラ26は、刃先8aの位置情報及び目標掘削地形Uなどから、バケット8の刃先8aと目標掘削地形Uの表面との間の最短となる距離dを算出する。本実施形態においては、バケット8の刃先8aと目標掘削地形Uの表面との間の最短となる距離dに基づいて、制限掘削制御が実行される。
作業機コントローラ26は、バケット8の刃先8aと目標掘削地形Uの表面との間の距離dに基づいて、作業機2全体の制限速度Vcy_lmtを算出する(ステップSA5)。作業機2全体の制限速度Vcy_lmtは、バケット8の刃先8aが目標掘削地形Uに接近する方向において許容できる刃先8aの移動速度である。作業機コントローラ26の記憶部264には、距離dと制限速度Vcy_lmtとの関係を規定する制限速度情報が記憶されている。
図11は、本実施形態に係る制限速度情報の一例を示す。本実施形態において、横軸を距離dとし、縦軸を制限速度Vcy_lmtとする。刃先8aが目標掘削地形Uの表面の外方、すなわち油圧ショベル100の作業機2側に位置しているときの距離dは正の値であり、刃先8aが目標掘削地形Uの表面の内方、すなわち目標掘削地形Uよりも掘削対象の内部側に位置しているときの距離dは負の値である。図10に示したように、刃先8aが目標掘削地形Uの表面の上方に位置しているときの距離dは正の値である。刃先8aが目標掘削地形Uの表面の下方に位置しているときの距離dは負の値である。また、刃先8aが目標掘削地形Uに対して侵食しない位置にあるときの距離dは正の値である。刃先8aが目標掘削地形Uに対して侵食する位置にあるときの距離dは負の値である。刃先8aが目標掘削地形U上に位置しているとき、すなわち刃先8aが目標掘削地形Uと接しているときの距離dは0である。
本実施形態において、刃先8aが目標掘削地形Uの内方から外方に向かうときの速度を正の値とし、刃先8aが目標掘削地形Uの外方から内方に向かうときの速度を負の値とする。すなわち、刃先8aが目標掘削地形Uの上方に向かうときの速度を正の値とし、刃先8aが目標掘削地形Uの下方に向かうときの速度を負の値とする。
制限速度情報において、距離dがd1とd2との間であるときの制限速度Vcy_lmtの傾きは、距離dがd1以上又はd2以下のときの傾きより小さい。d1は0より大きい。d2は0より小さい。目標掘削地形Uの表面付近の操作においては制限速度をより詳細に設定するために、距離dがd1とd2との間であるときの傾きを、距離dがd1以上又はd2以下であるときの傾きよりも小さくする。距離dがd1以上のとき、制限速度Vcy_lmtは負の値であり、距離dが大きくなるほど制限速度Vcy_lmtは小さくなる。つまり、距離dがd1以上のとき、目標掘削地形Uより上方において刃先8aが目標掘削地形Uの表面から遠いほど、目標掘削地形Uの下方へ向かう速度が大きくなり、制限速度Vcy_lmtの絶対値は大きくなる。距離dが0以下のとき、制限速度Vcy_lmtは正の値であり、距離dが小さくなるほど制限速度Vcy_lmtは大きくなる。つまり、バケット8の刃先8aが目標掘削地形Uより遠ざかる距離dが0以下のとき、目標掘削地形Uより下方において刃先8aが目標掘削地形Uから遠いほど、目標掘削地形Uの上方へ向かう速度が大きくなり、制限速度Vcy_lmtの絶対値は大きくなる。
距離dが所定値dth1以上では、制限速度Vcy_lmtは、Vminとなる。所定値dth1は正の値であり、d1より大きい。Vminは、目標速度の最小値よりも小さい。つまり、距離dが所定値dth1以上では、作業機2の動作の制限が行われない。したがって、刃先8aが目標掘削地形Uの上方において目標掘削地形Uから大きく離れているときには、作業機2の動作の制限、すなわち制限掘削制御が行われない。距離dが所定値dth1より小さいときに、作業機2の動作の制限が行われる。距離dが所定値dth1より小さいときに、ブーム6の動作の制限が行われる。
作業機コントローラ26は、作業機2全体の制限速度Vcy_lmtとアーム目標速度Vc_amとバケット目標速度Vc_bktとからブーム6の制限速度の垂直速度成分(制限垂直速度成分)Vcy_bm_lmtを算出する(ステップSA6)。
図12に示すように、作業機コントローラ26は、作業機2全体の制限速度Vcy_lmtから、アーム目標速度の垂直速度成分Vcy_amと、バケット目標速度の垂直速度成分Vcy_bktとを減算することにより、ブーム6の制限垂直速度成分Vcy_bm_lmtを算出する。
図13に示すように、作業機コントローラ26は、ブーム6の制限垂直速度成分Vcy_bm_lmtを、ブーム6の制限速度(ブーム制限速度)Vc_bm_lmtに変換する(ステップSA7)。作業機コントローラ26は、ブーム6の回転角度α、アーム7の回転角度β、バケット8の回転角度、車両本体位置データP、及び目標掘削地形Uなどから、目標掘削地形Uの表面に垂直な方向とブーム制限速度Vc_bm_lmtの方向との間の関係を求め、ブーム6の制限垂直速度成分Vcy_bm_lmtを、ブーム制限速度Vc_bm_lmtに変換する。この場合の演算は、前述したブーム目標速度Vc_bmから目標掘削地形Uの表面に垂直な方向の垂直速度成分Vcy_bmを求めた演算と逆の手順により行われる。その後、ブーム介入量に対応するシリンダ速度が決定され、シリンダ速度に対応した開放指令が後述の介入弁27Cに出力される。
レバー操作に基づくパイロット圧が油路451Bに充填され、ブーム介入に基づくパイロット圧が油路502に充填される。その圧力の大きい方を後述のシャトル弁51が選択する(ステップSA8)。
例えば、ブーム6への介入を行わない場合、ブーム6の下方へのブーム制限速度Vc_bm_lmtの大きさが、下方へのブーム目標速度Vc_bmの大きさよりも小さいときには、制限条件が満たされていない。また、ブーム6への介入によりブーム6を上昇させる場合、ブーム6の上方へのブーム制限速度Vc_bm_lmtの大きさが、上方へのブーム目標速度Vc_bmの大きさよりも大きいときには、制限条件が満たされている。
作業機コントローラ26は、作業機2を制御する。ブーム6を制御する場合、作業機コントローラ26は、ブーム指令信号を介入弁27Cに送信することによって、ブームシリンダ10を制御する。ブーム指令信号は、ブーム指令速度に応じた電流値を有する。
制限条件が満たされていない場合、シャトル弁51では油路451Bからの作動油の供給が選択され、通常運転が行われる(ステップSA9)。作業機コントローラ26は、ブーム操作量とアーム操作量とバケット操作量とに応じて、ブームシリンダ10とアームシリンダ11とバケットシリンダ12とを作動させる。ブームシリンダ10は、ブーム目標速度Vc_bmで作動する。アームシリンダ11は、アーム目標速度Vc_amで作動する。バケットシリンダ12はバケット目標速度Vc_bktで作動する。
制限条件が満たされている場合、シャトル弁51では油路502からの作動油の供給が選択され、制限掘削制御が実行される(ステップSA10)。
作業機2全体の制限速度Vcy_lmtから、アーム目標速度の垂直速度成分Vcy_amとバケット目標速度の垂直速度成分Vcy_bktとを減算することにより、ブーム6の制限垂直速度成分Vcy_bm_lmtが算出される。したがって、作業機2全体の制限速度Vcy_lmtが、アーム目標速度の垂直速度成分Vcy_amとバケット目標速度の垂直速度成分Vcy_bktとの和よりも小さいときには、ブーム6の制限垂直速度成分Vcy_bm_lmtは、ブームが上昇する負の値となる。
この場合、作業機コントローラ27は、ブーム6を下降させるが、ブーム目標速度Vc_bmよりも減速させる。このため、オペレータの違和感を小さく抑えながらバケット8が目標掘削地形Uを侵食することを防止することができる。
作業機2全体の制限速度Vcy_lmtが、アーム目標速度の垂直速度成分Vcy_amとバケット目標速度の垂直速度成分Vcy_bktとの和よりも大きいときには、ブーム6の制限垂直速度成分Vcy_bm_lmtは、正の値となる。したがって、ブーム制限速度Vc_bm_lmtは、正の値となる。この場合、操作装置25がブーム6を下降させる方向に操作されていても、作業機コントローラ26は、ブーム6を上昇させる。このため、目標掘削地形Uの侵食の拡大を迅速に抑えることができる。
刃先8aが目標掘削地形Uより上方に位置しているときには、刃先8aが目標掘削地形Uに近づくほど、ブーム6の制限垂直速度成分Vcy_bm_lmtの絶対値が小さくなるとともに、目標掘削地形Uの表面に平行な方向へのブーム6の制限速度の速度成分(制限水平速度成分)Vcx_bm_lmtの絶対値も小さくなる。したがって、刃先8aが目標掘削地形Uより上方に位置しているときには、刃先8aが目標掘削地形Uに近づくほど、ブーム6の目標掘削地形Uの表面に垂直な方向への速度と、ブーム6の目標掘削地形Uの表面に平行な方向への速度とがともに減速される。油圧ショベル100のオペレータによって左操作レバー25L及び右操作レバー25Rが同時に操作されることにより、ブーム6とアーム7とバケット8とが同時に動作する。このとき、ブーム6とアーム7とバケット8との各目標速度Vc_bm、Vc_am、Vc_bktが入力されたとして、前述した制御を説明すると次の通りである。
図14は、目標掘削地形Uとバケット8の刃先8aとの間の距離dが所定値dth1より小さく、バケット8の刃先8aが位置Pn1から位置Pn2に移動する場合のブーム6の制限速度の変化の一例を示している。位置Pn2での刃先8aと目標掘削地形Uとの間の距離は、位置Pn1での刃先8aと目標掘削地形Uとの間の距離よりも小さい。このため、位置Pn2でのブーム6の制限垂直速度成分Vcy_bm_lmt2は、位置Pn1でのブーム6の制限垂直速度成分Vcy_bm_lmt1よりも小さい。したがって、位置Pn2でのブーム制限速度Vc_bm_lmt2は、位置Pn1でのブーム制限速度Vc_bm_lmt1よりも小さくなる。また、位置Pn2でのブーム6の制限水平速度成分Vcx_bm_lmt2は、位置Pn1でのブーム6の制限水平速度成分Vcx_bm_lmt1よりも小さくなる。ただし、このとき、アーム目標速度Vc_am及びバケット目標速度Vc_bktに対しては、制限は行われない。このため、アーム目標速度の垂直速度成分Vcy_am及び水平速度成分Vcx_amと、バケット目標速度の垂直速度成分Vcy_bkt及び水平速度成分Vcx_bktに対しては、制限は行われない。
前述したように、アーム7に対して制限を行わないことにより、オペレータの掘削意思に対応するアーム操作量の変化は、バケット8の刃先8aの速度変化として反映される。このため、本実施形態は、目標掘削地形Uの侵食の拡大を抑制しながらオペレータの掘削時の操作における違和感を抑えることができる。
このように、本実施形態においては、作業機コントローラ26は、掘削対象の目標形状である設計地形を示す目標掘削地形Uとバケット8の刃先8aの位置を示す刃先位置データSとに基づいて、目標掘削地形Uとバケット8の刃先8aとの距離dに応じてバケット8が目標掘削地形Uに近づく相対速度が小さくなるように、ブーム6の速度を制限する。作業機コントローラ26は、掘削対象の目標形状である設計地形を示す目標掘削地形Uとバケット8の刃先8aの位置を示す刃先位置データSとに基づいて、目標掘削地形Uとバケット8の刃先8aとの距離dに応じて制限速度を決定し、作業機2が目標掘削地形Uに接近する方向の速度が制限速度以下になるように、作業機2を制御する。これにより、刃先8aに対する掘削制限制御が実行され、目標掘削地形Uに対する刃先8aの位置が制御される。
以下の説明において、目標掘削地形Uに対する刃先8aの侵入が抑制されるように、ブームシリンダ10に接続された制御弁27に制御信号を出力して、ブーム6の位置を制御することを適宜、介入制御、と称する。
介入制御は、目標掘削地形Uに対する垂直方向の刃先8aの相対速度が制限速度よりも大きいときに実行される。介入制御は、刃先8aの相対速度が制限速度よりも小さいときに実行されない。刃先8aの相対速度が制限速度よりも小さいことは、バケット8と目標掘削地形Uとが離れるように目標掘削地形Uに対してバケット8が移動することを含む。
また、作業機コントローラ26は、アーム7及びバケット8を制御する。作業機コントローラ26は、後述するアーム制御部からアーム速度の制限指令が出力された場合、アーム指令信号CAを制御弁27(27A、27B)に送信することによって、アームシリンダ11を駆動するパイロット油圧の供給を制限する。パイロット油圧の供給制限によりアームシリンダ11の駆動が制限される。アーム指令信号CAは、アーム指令速度に応じた電流値を有する。作業機コントローラ26は、バケット指令信号を制御弁27に送信することによって、アームシリンダ11同様にバケットシリンダ12を制御する。バケット指令信号は、バケット指令速度に応じた電流値を有する。
[シリンダストロークセンサ]
次に、図15及び図16を参照して、シリンダストロークセンサ16について説明する。以下の説明においては、ブームシリンダ10に取り付けられたシリンダストロークセンサ16について説明する。アームシリンダ11に取付けられたシリンダストロークセンサ17なども同様である。
ブームシリンダ10には、シリンダストロークセンサ16が取り付けられている。シリンダストロークセンサ16は、ピストンのストロークを計測する。図15に示すように、ブームシリンダ10は、シリンダチューブ10Xと、シリンダチューブ10X内においてシリンダチューブ10Xに対して相対的に移動可能なシリンダロッド10Yとを有する。シリンダチューブ10Xには、ピストン10Vが摺動自在に設けられている。ピストン10Vには、シリンダロッド10Yが取り付けられている。シリンダロッド10Yは、シリンダヘッド10Wに摺動自在に設けられている。シリンダヘッド10Wとピストン10Vとシリンダ内壁とによって画成された室は、ロッド側油室40Bである。ピストン10Vを介してロッド側油室40Bとは反対側の油室がキャップ側油室40Aである。なお、シリンダヘッド10Wには、シリンダロッド10Yとの隙間を密封し、塵埃等がロッド側油室40Bに入り込まないようにするシール部材が設けられている。
シリンダロッド10Yは、ロッド側油室40Bに作動油が供給され、キャップ側油室40Aから作動油が排出されることによって縮退する。また、シリンダロッド10Yは、ロッド側油室40Bから作動油が排出され、キャップ側油室40Aに作動油が供給されることによって伸張する。すなわち、シリンダロッド10Yは、図中左右方向に直動する。
ロッド側油室40Bの外部にあって、シリンダヘッド10Wに密接した場所には、シリンダストロークセンサ16を覆い、シリンダストロークセンサ16を内部に収容するケース164が設けられている。ケース164は、シリンダヘッド10Wにボルト等によって締結等されて、シリンダヘッド10Wに固定されている。
シリンダストロークセンサ16は、回転ローラ161と、回転中心軸162と、回転センサ部163とを有している。回転ローラ161は、その表面がシリンダロッド10Yの表面に接触し、シリンダロッド10Yの直動に応じて回転自在に設けられている。すなわち、回転ローラ161によってシリンダロッド10Yの直線運動が回転運動に変換される。回転中心軸162は、シリンダロッド10Yの直動方向に対して、直交するように配置されている。
回転センサ部163は、回転ローラ161の回転量(回転角度)を電気信号として検出可能に構成されている。回転センサ部163で検出された回転ローラ161の回転量(回転角度)を示す電気信号は、電気信号線を介して、センサコントローラ30に出力される。センサコントローラ30は、その電気信号を、ブームシリンダ10のシリンダロッド10Yの位置(ストローク位置)に変換する。
図16に示すように、回転センサ部163は、磁石163aと、ホールIC163bとを有している。検出媒体である磁石163aは、回転ローラ161と一体に回転するように回転ローラ161に取り付けられている。磁石163aは回転中心軸162を中心とした回転ローラ161の回転に応じて回転する。磁石163aは、回転ローラ161の回転角度に応じて、N極、S極が交互に入れ替わるように構成されている。磁石163aは、回転ローラ161の一回転を一周期として、ホールIC163bで検出される磁力(磁束密度)が周期的に変動するように構成されている。
ホールIC163bは、磁石163aによって生成される磁力(磁束密度)を電気信号として検出する磁力センサである。ホールIC163bは、回転中心軸162の軸方向に沿って、磁石163aから所定距離、離間された位置に設けられている。
ホールIC163bで検出された電気信号(位相変位のパルス)は、センサコントローラ30に出力される。センサコントローラ30は、ホールIC163bからの電気信号を、回転ローラ161の回転量、つまりブームシリンダ10のシリンダロッド10Yの変位量(ブームシリンダ長)に変換する。
ここで、図16を参照して、回転ローラ161の回転角度と、ホールIC163bで検出される電気信号(電圧)との関係を説明する。回転ローラ161が回転し、その回転に応じて磁石163aが回転すると、回転角度に応じて、ホールIC163bを透過する磁力(磁束密度)が周期的に変化し、センサ出力である電気信号(電圧)が周期的に変化する。このホールIC163bから出力される電圧の大きさから回転ローラ161の回転角度を計測することができる。
また、ホールIC163bから出力される電気信号(電圧)の1周期が繰り返される数をカウントすることで、回転ローラ161の回転数を計測することができる。そして、回転ローラ161の回転角度と、回転ローラ161の回転数とに基づいて、ブームシリンダ10のシリンダロッド10Yの変位量(ブームシリンダ長)が算出される。
また、センサコントローラ30は、回転ローラ161の回転角度と、回転ローラ161の回転数とに基づいて、シリンダロッド10Yの移動速度(シリンダ速度)を算出することができる。
[油圧シリンダ]
次に、本実施形態に係る油圧シリンダについて説明する。ブームシリンダ10、アームシリンダ11、及びバケットシリンダ12のそれぞれは、油圧シリンダである。以下の説明においては、ブームシリンダ10、アームシリンダ11、及びバケットシリンダ12を適宜、油圧シリンダ60、と総称する。
図17は、本実施形態に係る制御システム200の一例を示す模式図である。図18は、図17の一部を拡大した図である。
図17及び図18に示すように、油圧システム300は、ブームシリンダ10、アームシリンダ11、及びバケットシリンダ12を含む油圧シリンダ60と、旋回体3を旋回させる旋回モータ63とを備える。油圧シリンダ60は、メイン油圧ポンプから供給された作動油によって作動する。旋回モータ63は、油圧モータであり、メイン油圧ポンプから供給された作動油によって作動する。
本実施形態においては、作動油が流れる方向を制御する方向制御弁64が設けられる。メイン油圧ポンプから供給された作動油は、方向制御弁64を介して、油圧シリンダ60に供給される。方向制御弁64は、ロッド状のスプールを動かして作動油が流れる方向を切り替えるスプール方式である。スプールが軸方向に移動することにより、キャップ側油室40A(油路48)に対する作動油の供給と、ロッド側油室40B(油路47)に対する作動油の供給とが切り替わる。また、スプールが軸方向に移動することにより、油圧シリンダ60に対する作動油の供給量(単位時間当たりの供給量)が調整される。油圧シリンダ60に対する作動油の供給量が調整されることにより、シリンダ速度が調整される。
方向制御弁64には、スプールの移動距離(スプールストローク)を検出するスプールストロークセンサ65が設けられている。スプールストロークセンサ65の検出信号は、図示しないが作業機コントローラ26に出力される。
方向制御弁64の駆動は、操作装置25によって調整される。本実施形態において、操作装置25は、パイロット油圧方式の操作装置である。メイン油圧ポンプから送出され、減圧弁によって減圧されたパイロット油が操作装置25に供給される。なお、メイン油圧ポンプとは別のパイロット油圧ポンプから送出されたパイロット油が操作装置25に供給されてもよい。操作装置25は、パイロット油圧調整弁を含む。操作装置25の操作量に基づいて、パイロット油圧が調整される。そのパイロット油圧によって、方向制御弁64が駆動される。操作装置25によりパイロット油圧が調整されることによって、軸方向に関するスプールの移動量及び移動速度が調整される。
方向制御弁64は、ブームシリンダ10、アームシリンダ11、バケットシリンダ12及び旋回モータ63のそれぞれに設けられる。以下の説明において、ブームシリンダ10に接続される方向制御弁64を適宜、方向制御弁640、と称する。アームシリンダ11に接続される方向制御弁64を適宜、方向制御弁641、と称する。バケットシリンダ12に接続される方向制御弁64を適宜、方向制御弁642、と称する。
操作装置25と方向制御弁64とは、パイロット油圧ライン450を介して接続される。本実施形態において、パイロット油圧ライン450に、制御弁27、圧力センサ66、及び圧力センサ67が配置されている。
以下の説明において、パイロット油圧ライン450のうち、操作装置25と制御弁27との間のパイロット油圧ライン450を適宜、油路451、と称し、制御弁27と方向制御弁64との間のパイロット油圧ライン450を適宜、油路452、と称する。
油路451は、油路452Aと操作装置25とを接続する油路451Aと、油路452Bと操作装置25とを接続する油路451Bとを含む。油路451Aと油路452Aは方向制御弁に接続される。方向制御弁64に、油路452が接続される。油路452を介して、パイロット油が方向制御弁64に供給される。方向制御弁64は、第1受圧室及び第2圧室を有する。油路452は、第1受圧室に接続される油路452Aと、第2受圧室に接続される油路452Bとを含む。
油路452Aを介して方向制御弁64の第1受圧室にパイロット油が供給されると、そのパイロット油圧に応じてスプールが移動し、方向制御弁64を介してロッド側油室40Bに作動油が供給される。ロッド側油圧室40Bに対する作動油の供給量は、操作装置25の操作量(スプールの移動量)により調整される。
油路452Bを介して方向制御弁64の第2受圧室にパイロット油が供給されると、そのパイロット油圧に応じてスプールが移動し、方向制御弁64を介してキャップ側油室40Aに作動油が供給される。キャップ側油室40Aに対する作動油の供給量は、操作装置25の操作量(スプールの移動量)により調整される。
すなわち、操作装置25によりパイロット油圧が調整されたパイロット油が方向制御弁64に供給されることにより、スプールは軸方向に関して一側に移動する。操作装置25によりパイロット油圧が調整されたパイロット油が方向制御弁64に供給されることにより、スプールは軸方向に関して他側に移動する。これにより、軸方向に関するスプールの位置が調整される。
以下の説明において、ブームシリンダ10に対する作動油の供給を行う方向制御弁640に接続される油路452Aを適宜、油路4520A、と称し、方向制御弁640に接続される油路452Bを適宜、油路4520B、と称する。アームシリンダ11に対する作動油の供給を行う方向制御弁641に接続される油路452Aを適宜、油路4521A、と称し、方向制御弁641に接続される油路452Bを適宜、油路4521B、と称する。バケットシリンダ12に対する作動油の供給を行う方向制御弁642に接続される油路452Aを適宜、油路4522A、と称し、方向制御弁642に接続される油路452Bを適宜、油路4522B、と称する。
以下の説明において、油路4520Aに接続される油路451Aを適宜、油路4510A、と称し、油路4520Bに接続される油路451Bを適宜、油路4510B、と称する。油路4521Aに接続される油路451Aを適宜、油路4511A、と称し、油路4521Bに接続される油路451Bを適宜、油路4511B、と称する。油路4522Aに接続される油路451Aを適宜、油路4512A、と称し、油路4522Bに接続される油路451Bを適宜、油路4512B、と称する。
上述のように、操作装置25の操作により、ブーム6は、下げ動作及び上げ動作の2種類の動作を実行する。ブーム6の上げ動作が実行されるように操作装置25が操作されることにより、ブームシリンダ10に接続された方向制御弁640に、油路4510B及び油路4520Bを介して、パイロット油が供給される。方向制御弁640はパイロット油圧に基づいて作動する。これにより、メイン油圧ポンプからの作動油がブームシリンダ10に供給されブームシリンダ10が伸長する。ブームシリンダの伸長によりブーム6の上げ動作が実行される。ブーム6の下げ動作が実行されるように操作装置25が操作されることにより、ブームシリンダ10に接続された方向制御弁640に、油路4510A及び油路4520Aを介して、パイロット油が供給される。方向制御弁640はパイロット油圧に基づいて作動する。これにより、メイン油圧ポンプからの作動油がブームシリンダ10に供給され、ブームシリンダ10が縮退する。ブームシリンダの縮退によりブーム6の下げ動作が実行される。
また、操作装置25の操作により、アーム7は、下げ動作及び上げ動作の2種類の動作を実行する。アーム7の下げ動作が実行されるように操作装置25が操作されることにより、アームシリンダ11に接続された方向制御弁641に、油路4511B及び油路4521Bを介して、パイロット油が供給される。方向制御弁641はパイロット油圧に基づいて作動する。これにより、メイン油圧ポンプからの作動油がアームシリンダ11に供給され、アームシリンダ11が伸長する。アームシリンダ11の伸長によりアーム7の下げ動作が実行される。アーム7の上げ動作が実行されるように操作装置25が操作されることにより、アームシリンダ11に接続された方向制御弁641に、油路4511A及び油路4521Aを介して、パイロット油が供給される。方向制御弁641はパイロット油圧に基づいて作動する。これにより、メイン油圧ポンプからの作動油がアームシリンダ11に供給され、アームシリンダ11が縮退する。アームシリンダ11縮退によりアーム7の上げ動作が実行される。
また、操作装置25の操作により、バケット8は、下げ動作及び上げ動作の2種類の動作を実行する。バケット8の下げ動作が実行されるように操作装置25が操作されることにより、バケットシリンダ12に接続された方向制御弁642に、油路4512B及び油路4522Bを介して、パイロット油が供給される。方向制御弁642はパイロット油圧に基づいて作動する。これにより、メイン油圧ポンプからの作動油がバケットシリンダ12に供給され、バケットシリンダ12が伸長する。バケットシリンダ12が伸長によりバケット8の下げ動作が実行される。バケット8の上げ動作が実行されるように操作装置25が操作されることにより、バケットシリンダ12に接続された方向制御弁642に、油路4512A及び油路4522Aを介して、パイロット油が供給される。方向制御弁642はパイロット油圧に基づいて作動する。これにより、メイン油圧ポンプからの作動油がバケットシリンダ12に供給され、バケットシリンダ12が縮退する。バケットシリンダ12の縮退によりバケット8の上げ動作が実行される。
また、操作装置25の操作により、旋回体3は、右旋回動作及び左旋回動作の2種類の動作を実行する。旋回体3の右旋回動作が実行されるように操作装置25が操作されることにより、作動油が旋回モータ63に供給される。旋回体3の左旋回動作が実行されるように操作装置25が操作されることにより、作動油が旋回モータ63に供給される。
制御弁27は、作業機コントローラ26からの制御信号(EPC電流)に基づいて、パイロット油圧を調整する。制御弁27は、電磁比例制御弁であり、作業機コントローラ26からの制御信号に基づいて制御される。制御弁27は、方向制御弁64の第1受圧室に供給されるパイロット油のパイロット油圧を調整して、方向制御弁64を介してロッド側油室40Bに供給される作動油の供給量を調整可能な制御弁27Aと、方向制御弁64の第2受圧室に供給されるパイロット油のパイロット油圧を調整して、方向制御弁64を介してキャップ側油室40Aに供給される作動油の供給量を調整可能な制御弁27Bとを含む。
制御弁27の両側に、パイロット油圧を検出する圧力センサ66及び圧力センサ67が設けられる。本実施形態において、圧力センサ66は、操作装置25と制御弁27との間の油路451に配置される。圧力センサ67は、制御弁27と方向制御弁64との間の油路452に配置される。圧力センサ66は、制御弁27によって調整される前のパイロット油圧を検出可能である。圧力センサ67は、制御弁27によって調整されたパイロット油圧を検出可能である。圧力センサ66及び圧力センサ67の検出結果は、図示しないが作業機コントローラ26に出力される。
以下の説明において、ブームシリンダ10に対する作動油の供給を行う方向制御弁640に対するパイロット油圧を調整可能な制御弁27を適宜、制御弁270、と称する。また、制御弁270のうち、一方の制御弁(制御弁27Aに相当)を適宜、制御弁270A、と称し、他方の制御弁(制御弁27Bに相当)を適宜、制御弁270B、と称する。アームシリンダ11に対する作動油の供給を行う方向制御弁641に対するパイロット油圧を調整可能な制御弁27を適宜、制御弁271、と称する。また、制御弁271のうち、一方の制御弁(制御弁27Aに相当)を適宜、制御弁271A、と称し、他方の制御弁(制御弁27Bに相当)を適宜、制御弁271B、と称する。バケットシリンダ12に対する作動油の供給を行う方向制御弁642に対するパイロット油圧を調整可能な制御弁27を適宜、制御弁272、と称する。また、制御弁272のうち、一方の制御弁(制御弁27Aに相当)を適宜、制御弁272A、と称し、他方の制御弁(制御弁27Bに相当)を適宜、制御弁272B、と称する。
以下の説明において、ブームシリンダ10に対する作動油の供給を行う方向制御弁640に接続される油路451のパイロット油圧を検出する圧力センサ66を適宜、圧力センサ660、と称し、方向制御弁640に接続される油路452のパイロット油圧を検出する圧力センサ67を適宜、圧力センサ670、と称する。また、油路4510Aに配置される圧力センサ660を適宜、圧力センサ660A、と称し、油路4510Bに配置される圧力センサ660を適宜、圧力センサ660B、と称する。また、油路4520Aに配置される圧力センサ670を適宜、圧力センサ670A、と称し、油路4520Bに配置される圧力センサ670を適宜、圧力センサ670B、と称する。
以下の説明において、アームシリンダ11に対する作動油の供給を行う方向制御弁641に接続される油路451のパイロット油圧を検出する圧力センサ66を適宜、圧力センサ661、と称し、方向制御弁641に接続される油路452のパイロット油圧を検出する圧力センサ67を適宜、圧力センサ671、と称する。また、油路4511Aに配置される圧力センサ661を適宜、圧力センサ661A、と称し、油路4511Bに配置される圧力センサ661を適宜、圧力センサ661B、と称する。また、油路4521Aに配置される圧力センサ671を適宜、圧力センサ671A、と称し、油路4521Bに配置される圧力センサ671を適宜、圧力センサ671B、と称する。
以下の説明において、バケットシリンダ12に対する作動油の供給を行う方向制御弁642に接続される油路451のパイロット油圧を検出する圧力センサ66を適宜、圧力センサ662、と称し、方向制御弁642に接続される油路452のパイロット油圧を検出する圧力センサ67を適宜、圧力センサ672、と称する。また、油路4512Aに配置される圧力センサ661を適宜、圧力センサ661A、と称し、油路4512Bに配置される圧力センサ661を適宜、圧力センサ661B、と称する。また、油路4522Aに配置される圧力センサ672を適宜、圧力センサ672A、と称し、油路4522Bに配置される圧力センサ672を適宜、圧力センサ672B、と称する。
制限掘削制御及び各作業機の動作制限を実行しない場合、作業機コントローラ26は、制御弁27を制御して、パイロット油圧ライン450を開放する。パイロット油圧ライン450が開放されることにより、油路451のパイロット油圧と油路452のパイロット油圧とは等しくなる。パイロット油圧ライン450が開放された状態で、パイロット油圧は、操作装置25の操作量に基づいて調整される。
制限掘削制御など、作業機2が作業機コントローラ26によって制御される場合、作業機コントローラ26は、制御弁27に制御信号を出力する。油路451は、例えばパイロットリリーフ弁の作用により所定の圧力を有する。作業機コントローラ26から制御弁27に制御信号が出力されると、制御弁27は、その制御信号に基づいて作動する。油路451の作動油は、制御弁27を介して、油路452に供給される。油路452の作動油の圧力は、制御弁27により調整(減圧)される。油路452の作動油の圧力が、方向制御弁64に作用する。これにより、方向制御弁64は、制御弁27で制御されたパイロット油圧に基づいて作動する。本実施形態において、圧力センサ66は、制御弁27によって調整される前のパイロット油圧を検出する。圧力センサ67は、制御弁27によって調整された後のパイロット油圧を検出する。
制御弁27Aにより圧力が調整された作動油が方向制御弁64に供給されることにより、スプールは軸方向に関して一側に移動する。制御弁27Bにより圧力が調整された作動油が方向制御弁64に供給されることにより、スプールは軸方向に関して他側に移動する。これにより、軸方向に関するスプールの位置が調整される。
例えば、作業機コントローラ26は、制御弁270A及び制御弁270Bの少なくとも一方に制御信号を出力して、ブームシリンダ10に接続された方向制御弁640に対するパイロット油圧を調整することができる。
また、作業機コントローラ26は、制御弁271A及び制御弁271Bの少なくとも一方に制御信号を出力して、アームシリンダ11に接続された方向制御弁641に対するパイロット油圧を調整することができる。
また、作業機コントローラ26は、制御弁272A及び制御弁272Bの少なくとも一方に制御信号を出力して、バケットシリンダ12に接続された方向制御弁642に対するパイロット油圧を調整することができる。
作業機コントローラ26は、掘削対象の目標形状である設計地形を示す目標掘削地形Uとバケット8の位置を示すバケット位置データ(刃先位置データS)とに基づいて、目標掘削地形Uとバケット8との距離dに応じてバケット8が目標掘削地形Uに近づく速度が小さくなるように、ブーム6の速度を制限する。作業機コントローラ26は、ブーム6の速度を制限するための制御信号を出力するブーム介入部を有する。本実施形態においては、操作装置25の操作に基づいて作業機2が駆動する場合において、バケット8の刃先8aが目標掘削地形Uに侵入しないように、作業機コントローラ26のブーム介入部から出力される制御信号に基づいて、ブーム6の動きが制御(介入制御)される。バケット8による掘削において、刃先8aが目標掘削地形Uに侵入しないように、ブーム6は、作業機コントローラ26により、上げ動作を実行される。
本実施形態においては、介入制御のために、作業機コントローラ26から出力された、介入制御に関する制御信号に基づいて作動する制御弁27Cに油路502が接続される。油路501は制御弁27Cに接続され、ブームシリンダ10に接続された方向制御弁640に供給されるパイロット油を供給。油路502は制御弁27Cとシャトル弁51とに接続され、方向制御弁640と接続された油路4520Bにシャトル弁51を介して接続されている。
シャトル弁51は、2つの入口と、1つの出口とを有する。一方の入口は、油路502と接続される。他方の入口は、油路4510Bと接続される。出口は、油路4520Bと接続される。シャトル弁51は、油路502及び油路4510Bのうち、パイロット油圧が高い方の油路と、油路4520Bとを接続する。例えば、油路502のパイロット油圧が油路4510Bのパイロット油圧よりも高い場合、シャトル弁51は、油路502と油路4520Bとを接続し、油路4510Bと油路4520Bとを接続しないように作動する。これにより、油路502のパイロット油がシャトル弁51を介して油路4520Bに供給される。油路4510Bのパイロット油圧が油路502のパイロット油圧よりも高い場合、シャトル弁51は、油路4510Bと油路4520Bとを接続し、油路502と油路4520Bとを接続しないように作動する。これにより、油路4510Bのパイロット油がシャトル弁51を介して油路4520Bに供給される。
油路501に、油路501のパイロット油のパイロット油圧を検出する圧力センサ68とが設けられている。油路501に、制御弁27Cを通過する前のパイロット油が流れる。油路502に、制御弁27Cを通過した後のパイロット油が流れる。制御弁27Cは、介入制御を実行するために作業機コントローラ26から出力された制御信号に基づいて制御される。
介入制御を実行しないとき、操作装置25の操作によって調整されたパイロット油圧に基づいて方向制御弁64が駆動されるように、作業機コントローラ26は、制御弁27に対して制御信号を出力しない。例えば、作業機コントローラ26は、操作装置25の操作によって調整されたパイロット油圧に基づいて方向制御弁640が駆動されるように、制御弁270Bを全開にするとともに、制御弁27Cで油路501を閉じる。
介入制御を実行するとき、作業機コントローラ26は、制御弁27Cによって調整されたパイロット油圧に基づいて方向制御弁64が駆動されるように、各制御弁27を制御する。例えば、ブーム6の移動を制限する介入制御を実行する場合、作業機コントローラ26は、制御弁27Cによって調整されたパイロット油圧が、操作装置25によって調整されるパイロット油圧よりも高くなるように、制御弁27Cを制御する。これにより、制御弁27Cからのパイロット油がシャトル弁51を介して方向制御弁640に供給される。
バケット8が目標掘削地形Uに侵入しないように操作装置25によりブーム6が高速で上げ動作される場合、介入制御は実行されない。ブーム6が高速で上げ動作されるように操作装置25が操作され、その操作量に基づいてパイロット油圧が調整されることにより、操作装置25の操作によって調整されるパイロット油圧は、制御弁27Cによって調整されるパイロット油圧よりも高くなる。これにより、操作装置25の操作によって調整されたパイロット油圧のパイロット油がシャトル弁51を介して方向制御弁640に供給される。
ここで、作業機コントローラ26がアーム7の掘削の制限を必要と判断した場合、作業機コントローラ26より制御弁271Bに流量供給を絞る指令が出される。これにより、アームシリンダ11へのレバー操作による油路4521Bへのパイロット油圧の供給が制限される。
[アームの制御(第1実施形態)]
図19は、制限掘削制御(ブーム介入制御)が行われているときの作業機2の動作の一例を模式的に示す図である。上述のように、油圧システム300は、ブーム6を駆動するためのブームシリンダ10と、アーム7を駆動するためのアームシリンダ11と、バケット8を駆動するためのバケットシリンダ12とを有する。
図19に示すように、バケット8による掘削作業において、ブーム6が上がり、アーム7が下がるように、油圧システム300が作動する。掘削作業において、バケット8が目標掘削地形Uに侵入しないように、ブーム6の上げ動作を含む介入制御が実行される。
ブーム介入制御において、ブーム6が高速で移動できず、アーム7及びバケット8の動きに対して遅れてしまう可能性がある。掘削作業において、アーム7は下げ動作するため、重力作用(自重)により、ブーム6に比べて高速で移動可能である。ブーム6に対する介入制御により、ブーム6は上げ動作する。また、アームシリンダ11には、アーム7の重量及びバケット8の重量に応じた負荷かかるのに対し、ブームシリンダ10には、ブーム6の重量、アーム7の重量、及びバケット8の重量に応じた負荷がかかる。すなわち、ブームシリンダ10にかかる負荷は、アームシリンダ11にかかる負荷よりも大きい。ブームシリンダ10は、その負荷に打ち勝って作動する必要がある。その結果、アーム7の移動に同期して、目標掘削地形Uに対するバケット8の侵入が抑制されるようにブーム6が適切に移動(上げ動作)することが困難となる可能性がある。また、ブーム6は油圧シリンダ(ブームシリンダ)10によって駆動される。これにより、ブーム6がアーム7の移動に追従しきれない可能性がある。その結果、バケット8が目標掘削地形Uに侵入し、掘削精度が低下する可能性がある。
本実施形態においては、掘削作業時におけるブーム6とアーム7との動作条件(上げ動作か下げ動作か)の違い、及びブームシリンダ10とアームシリンダ11との負荷条件の違いなどを考慮して、ブーム6の上げ動作を含むブーム介入制御において、ブーム6の動きに合わせてアーム7が動くように、作業機コントローラ26によるアーム7の制限制御が行われる。
図20は、本実施形態に係る制御システム200の一例を示す機能ブロック図である。図20に示すように、制御システム200は、アーム7の駆動のために操作される操作装置25と、操作装置25の操作量MA(以下単にMとする)を検出する検出装置70と、作業機コントローラ26とを有する。作業機コントローラ26は、検出装置70の検出結果に基づいて時間計測を開始するタイマー261と、アーム7の速度を制限するための制限操作量Mrをタイマー261による時間計測の開始時点からの経過時間に対応付けて設定する制限値設定部262と、タイマー261による時間計測の開始時点から所定期間において、制限操作量Mrでアーム7が駆動するように制御信号Nを生成し制御信号Nに基づきアーム制限速度Vc_am_lmtを出力するアーム制御部263と、記憶部264とを備えている。
本実施形態において、検出装置70は、圧力センサ66(661B)を含む。検出装置70は、操作装置25により調整されるパイロット油圧を検出することによって、操作装置25の操作量Mを検出する。
アーム7の下げ動作の実行のために、オペレータにより操作装置25が高速(急激)に操作された場合、アーム7の下げ速度に対するブーム6への上げ介入速度の遅れが発生しないように、作業機コントローラ26は、操作装置25の操作量(アーム操作量)Mを制限し、その制限された制限操作量Mrでアーム7を駆動する。すなわち、本実施形態においては、ブーム介入制御において、ブーム6が上がり、アーム7が下がるときの少なくとも一部の期間において、アーム7は制限操作量Mrで駆動される。これにより、アーム7の駆動のためにオペレータにより操作装置25が高速で操作されても、アーム7は制限された速度(低速度)で移動するため、アーム7の下げ速度に対するブーム6への上げ介入速度の遅れてしまうブーム6の追従遅れの発生が抑制される。
制限操作量Mrは、その制限操作量Mrでアーム7が操作されたとしても、ブーム6の追従遅れの発生が抑制される値である。制限操作量Mrは、実験又はシミュレーションにより予め求められ、作業機コントローラ26のメモリ(記憶部)に記憶されている。
本実施形態においては、作業機コントローラ26において、検出装置70によって検出されるアーム操作量Mと、制限操作量Mrとが比較される。アーム制御部263に対して、検出装置70によって検出されるアーム操作量Mと、制限値設定部262からの制限操作量Mrとが出力される。アーム制御部263は、比較部を含む。アーム制御部263の比較部は、アーム操作量Mと制限操作量Mrとを比較する。
アーム制御部263は、アーム操作量Mと制限操作量Mrとの比較結果に基づいて、アーム操作量M及び制限操作量Mrのうち、小さい値の操作量を選択する。アーム制御部263は、アーム操作量M及び制限操作量Mrのうち、選択された操作量でアーム7が駆動されるように、作業機制御部57にアーム制限速度Vc_am_lmtを出力する。
以下の説明において、アーム7の下げ速度に対するブーム6への上げ介入速度の遅れが発生しないように、アーム7の動作(速度)を制限する制御を適宜、アーム速度制限制御、と称する。また、アーム操作量M及び制限操作量Mrのうち、選択された操作量(小さい値の操作量)を適宜、操作量Mf、と称する。
図21は、本実施形態に係る制御システム200の動作の一例を説明するためのフローチャートである。図22、図23、及び図24は、本実施形態に係る制御システム200の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
掘削作業において、オペレータにより、操作装置25が操作される(ステップSB1)。オペレータは、アーム7の駆動のために、操作装置25を操作する。アーム7が下げ動作を行うように、操作装置25が操作される。
バケット8が目標掘削地形Uに侵入しないように、ブーム6に対する介入制御が開始される(ステップSB2)。介入制御において、掘削対象の目標形状を示す目標掘削地形Uとバケット8の刃先8aの位置を示す刃先位置データSとに基づいて、目標掘削地形Uとバケット8との距離dに応じてバケット8が目標掘削地形Uに近づく速度が小さくなるように、ブーム8の速度が制限される。介入制御は、ブーム6の上げ動作を含む。ブーム6に対する介入制御により、ブーム6は上げ動作する。
検出装置70により、操作装置25の操作量Mが検出される(ステップSB3)。検出装置70は、圧力センサ66を含み、操作装置25により調整されるパイロット油圧を検出することによって、操作装置25の操作量Mを検出する。本実施形態においては、少なくとも、方向制御弁641に対するパイロット油圧(油路451のパイロット油圧)が圧力センサ661によって検出される。
検出装置70(圧力センサ661)の検出値は、タイマー261に出力される。タイマー261は、検出装置70の検出結果に基づいて、時間計測を開始する(ステップSB4)。図22、図23、及び図24において、時点t0が、タイマー261による時間計測の開始時点である。
本実施形態の図20において、タイマー261は、アーム7の駆動のための操作装置25の操作の開始時に、時間計測を開始する。すなわち、時点t0は、操作装置25の操作の開始時点である。なお、タイマー261による時間計測の開始時点は、検出装置70の検出値が閾値を超えた時点でもよい。閾値は、制限操作量Mrの値でもよい。タイマー261による時間計測の開始時点は、検出装置70の検出値の単位時間当たりの増加量(変化速度)が許容値を超えた時点でもよい。
制限値設定部262は、アーム7の速度(下げ速度)を制限するための制限操作量Mrを、タイマー261による時間計測の開始時点t0からの経過時間に対応付けて設定する(ステップSB5)。制限操作量Mrは、その制限操作量Mrでアーム7が操作されたとしても、ブーム6の追従遅れの発生が抑制される値である。制限操作量Mrは、実験又はシミュレーションにより予め求められる。制限操作量Mrは、タイマー261による時間計測の開始時点t0からの経過時間に対応付けて設定される。以下の説明において、時間に対応付けて設定された制限操作量Mrを示すデータを適宜、リミットパターン、と称する。
図22は、開始時点t0からの経過時間と操作装置25のアーム7の操作量Mとの関係を示す。図23は、開始時点t0からの経過時間と制限値設定部262によって設定された制限操作量Mrとの関係を示す。すなわち、図23は、リミットパターンを示す。図24は、開始時点t0からの経過時間とアーム7の操作量Mfとの関係を示す。上述のように、開始時点t0は、タイマー261による時間計測の開始時点である。図22、図23、及び図24において、横軸は時間(経過時間)である。図22において、縦軸は、アーム7の操作量M及びタイマー261のカウント値である。図23において、縦軸は、制限操作量Mr及びタイマー261のカウント値である。図24において、縦軸は、アーム7の操作量Mf及びタイマー261のカウント値である。
図22において、開始時点t0からの経過時間と操作装置25のアーム7の操作量Mとの関係をラインS1で示す。図23において、開始時点t0からの経過時間と制限操作量Mrとの関係(リミットパターン)をラインS2で示す。図24において、開始時点t0からの経過時間と操作量Mfとの関係(リミットパターン)をラインScで示す。ラインLtは、タイマー261によるカウント値を示す。なお、図23において、ラインS2を実線で示し、ラインS1を点線で併記する。
本実施形態において、アーム7の操作量(M、Mr、Mf)は、アームシリンダ11に接続された方向制御弁641に作用するパイロット油圧と相関する。本実施形態において、アーム7の操作量(M、Mr、Mf)の単位は、メガパスカル(MPa)である。操作量Mに対応するパイロット油圧は、操作装置25によって調整される。制限操作量Mrに対応するパイロット油圧は、アーム制御部263によって制御される制御弁271によって調整される。
操作量Mは、アームシリンダ11に接続された方向制御弁640に作用するパイロット油圧を検出する圧力センサ661の検出値に相当する。圧力センサ661は、アームシリンダ11を駆動するための操作装置25の操作量Mに応じたパイロット油圧の検出値を出力する。
制限操作量Mrは、アームシリンダ11に接続された方向制御弁640に作用するパイロット油圧の目標値(制限値)に相当する。パイロット油圧と制限操作量Mrとの相関関係は、予め求められ、作業機コントローラ26の記憶部264に記憶されている。アーム制御部263は、アーム速度制限制御において、方向制御弁641に対して目標値のパイロット油圧が作用するように、制限操作量Mrを決定し、その制限操作量Mrに対応するパイロット油圧が得られるように、制御信号Nを生成する。
操作量Mfは、アームシリンダ11に接続された方向制御弁640に作用するパイロット油圧を検出する圧力センサ671の検出値に相当する。上述のように、操作量Mfは、操作量M及び制限操作量Mrのうち小さい方の操作量である。操作量Mが制限操作量Mrよりも小さいとき、アーム制御部263は、制御信号Nを生成しない。操作量Mが制限操作量Mrよりも小さいとき、制御弁271は全開しており、操作量Mに基づくパイロット油圧が方向制御弁641に作用する。操作量Mが制限操作量Mrよりも大きいとき、制限操作量Mrに基づいてアーム速度制限制御が実行されるように、アーム制御部263は、制御弁271に制御信号Nを生成する。操作量Mが制限操作量Mrよりも大きいとき、制御弁271によって調整された、制限操作量Mrに基づくパイロット油圧が方向制御弁641に作用する。
図22は、操作量Mのプロファイルの一例を示す。操作量MのプロファイルをラインS1で示す。図22に示すように、時点toにおいて、アーム7を駆動するために、オペレータによって操作装置25が操作される。タイマー261は、時間計測を開始する。本実施形態においては、一例として、図22のラインS1で示すように、オペレータによって、操作量Mが零から値M3に急激に上昇するように、操作装置25が操作された場合を想定する。操作量Mは、値M3に到達した後、ある期間だけ値M3を維持し、その後、零になるまで下降する。アーム速度制限制御が実行されない場合、操作量M(Mf)は、図22のラインS1で示すプロファイルとなる。この場合、アーム7の下げ速度に対するブーム6への上げ介入速度の遅れが発生する可能性がある。
図23は、制限操作量Mrのプロファイルの一例を示す。制限操作量MrのプロファイルをラインS2で示す。上述のように、制限操作量Mrは、ブーム6への上げ介入速度の遅れが発生しないように予め定められている操作量である。ここで操作量Mが値M1を超えた場合、制限操作量Mrが発生する様に値M1を下限のしきい値として設定する。制限操作量Mrは、操作量Mよりも小さい。本実施形態においては、タイマー261による時間計測が行われる所定期間Tsにおいて、制限操作量Mrよりも大きい操作量Mでアーム7が操作されないように、アーム7の駆動が制御される。本実施形態において、所定期間Tsは、時点t0と時点t1との間の期間である。
図23に示すように、オペレータによる操作が行われた時点t0において操作量Mが値M1を超える為、制限操作量Mrは零から値M2まで上昇する。すなわち、開始時点t0近傍において、制限操作量Mrは、値M2である。値M2は、値M3よりも小さい値である。制限操作量Mrは、値M2に到達した後、ある期間だけ値M2を維持し、その後、徐々に増大し、終了時点t1において、値M3に到達する。その後、制限操作量Mrは、値M3を維持した後、オペレータの操作に基づく操作量Mが値M1を下回った時点で零になるまで下降する。このように、時点t0から時点t1までの所定期間Tsにおいては、制限操作量Mrは、操作量Mよりも小さくなるように設定される。図23に示すリミットパターンS2の始点である時点t0の値は、値M2であり、リミットパターンS2の終点である時点t1の値は、値M3である。時点t1の経過後、制限操作量Mrは、操作量Mと一致する。このように、本実施形態において、所定期間Tsの前半における制限操作量Mrは、所定期間Tsの後半における制限操作量Mrよりも小さい。
本実施形態において、アーム制御部263は、操作量Mと制限操作量Mrとを比較し、小さい方の操作量を選択し、選択した操作量Mfに基づいて、制御信号Nを生成する。本実施形態においては、図22及び図23を参照して説明したように、時点t0から時点t1までの所定期間Tsにおいては、制限操作量Mrのほうが操作量Mよりも小さい。したがって、時点t0から時点t1までの所定期間においては、アーム制御部263は、制限操作量Mrに基づいてアーム7が駆動されるように、制御信号Nを生成する。
時点t1を経過した後においては、制限操作量Mrは、値M3に設定されている。本実施形態において、時点t1の経過後においては、制限操作量Mrと操作量Mとは等しい。本実施形態において、アーム制御部263は、操作量Mと制限操作量Mrとを比較し、操作量Mを選択する。本実施形態においては、時点t1において、アーム速度制限制御が終了する。すなわち、本実施形態において、制限操作量Mrに基づくアーム7の駆動(アーム速度制限制御)は、タイマー261による時間計測の開始時点t0において開始され、開示時点t0から所定期間Ts経過後の終了時点t1において終了する。タイマー261による時間計測の開始時点t0から所定期間Ts経過後、制限操作量Mrに基づく駆動が解除される。
図24は、操作量Mfのプロファイルの一例を示す。操作量MfのプロファイルをラインScで示す。図24に示すように、時点t0から時点t1までの所定期間Tsにおいては、ラインScで示すように、制限操作量Mrに従って、パイロット油圧が調整され、アーム7が操作される。所定期間Tsの経過後においては、ラインScで示すように、操作量Mに従って、パイロット油圧が調整され、アーム7が操作される。
すなわち、本実施形態においては、図24のラインScに沿って変化するように、アーム7の操作量Mfのプロファイルが定められる。具体的には、時点t0において操作装置25による操作が開始されることにより、操作量Mfは、零から値M2まで急激に増大し、ある期間、値M2を維持される。その後、操作量Mfは、徐々に増大し、時点t1において値M3に到達する。時点t1の経過後、ある期間、値M3を維持され、その後、零に減少する。
アーム制御部263は、タイマー261による時間計測の開始時点t0からの所定期間Tsにおいて、制限操作量Mrでアーム7が駆動されるように、制御信号Nを生成する(ステップSB6)。すなわち、アーム制御部263は、所定期間Tsにおいては、制限操作量Mrのプロファイルに従ってアーム7が駆動するように、アーム7を駆動するための制御信号Nを生成する。
アーム制御部263は、所定期間Tsにおいては、制限操作量Mrでアーム7が駆動するように制御信号Nを生成し、制限操作量Mrに基づく駆動が解除された所定期間Ts経過後においては、操作量Mでアーム7が駆動するように、制御信号Nの生成を停止する。すなわち、所定期間Tsにおいてはアーム7が低速で移動し、所定期間Ts経過後においてはアーム7が高速で移動するように、アーム制御部263は制御信号Nを生成する。
アーム制御部263で生成された制御信号Nに基づきアーム制限速度Vc_am_lmtが出力され、アーム制限速度Vc_am_lmtに基づくアーム操作指令CAがアームシリンダ11に接続された制御弁27に出力される。制御弁27は、制御信号Nに基づいて、アームシリンダ11に供給される作動油の供給量が調整(制限)されるように、パイロット油圧を調整(制限)する。アームシリンダ11に供給される作動油の供給量が制限されることにより、シリンダ速度が調整され、アーム7の速度が制限される。アーム制御部263は、アーム7の下げ動作において、そのアーム7の速度(下げ速度)が抑制される。尚、本実施形態ではアーム7の速度制限を所定期間Tsで行う事としているが、所定期間Tsを設けない実施でも掘削精度の低下を抑制する効果を得ることが出来る。
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、ブーム6とアーム7とバケット8とを含む作業機2を備える建設機械100の制御システム200は、作業機2の姿勢を検出する検出器として機能する第1,第2,第3シリンダストロークセンサ16,17,18と、アーム7及びバケット8の少なくとも一方を含む可動部材の駆動のために操作される操作装置25と、操作装置25の操作量Mを検出する検出装置70と、作業機2を駆動する油圧シリンダ10,11,12に供給される作動油の供給量を調整する制御弁27と、検出装置70の検出結果を取得して、制御弁27に制御信号を出力する制御装置として機能する作業機コントローラ26とを備える。
作業機コントローラ26は、第1,第2,第3シリンダストロークセンサ16,17,18の検出結果であるシリンダ姿勢データθ1,θ2,θ3に基づいて、バケット8の3次元位置を示す刃先位置データ(バケット位置データ)Sを生成するバケット位置データ生成部28Bと、作業機2による掘削対象の目標形状を示す目標掘削地形Uを取得して、刃先位置データSと目標掘削地形Uとに基づいて、バケット8の刃先8aと目標掘削地形Uとの距離dを算出する距離取得部53と、検出装置70の検出結果に基づいて、時間計測を開始するタイマー261と、タイマー261による時間計測の開始時点からの経過時間に基づいて、可動部材の速度を制限するための制限操作量Mrを設定する制限値設定部262と、検出装置70の検出結果に基づいて、バケット8による掘削作業において、ブーム6が上がり、アーム7が下がるように操作装置25の操作が開始されたときに、制限操作量Mrでアーム7が駆動するように制御弁271に制御信号Nを出力する可動部材制御部263と、を有する。
これにより、操作装置25による操作指令に対する油圧生成遅れがおきてもバケット8の落ち込みが抑制され、バケット8が目標掘削地形Uを超過することが抑制される。したがって、掘削精度の低下が抑制される。
また、本実施形態においては、掘り込み作業を判定し、掘り込み開始時にアーム7の動作が制限される。アーム7の動作が制限されるタイミングが、掘り込み開始時に限定されるので、建設機械100の作業量の低下が抑制される。これにより、制御システム200は、建設機械100の作業量の低下の抑制及び刃先8aの落ち込みの抑制の両立を図ることができる。
また、本実施形態においては、制限値設定部262は、タイマー261による時間計測の開始時点からの経過時間が長いほど制限操作量Mrが大きくなるように、すなわち、経過時間が長くなるほど、アーム7の動作の制限が緩和されるように、制限操作量Mrを設定する。掘り込み開始時においてはアーム7の動作を十分に制限し、その後、徐々にアーム7の動作の制限を緩和していくことで、刃先8aを目標掘削地形Uに沿って移動させることができる。
また、本実施形態によれば、ブーム6の介入制御(掘削制限制御)において、アーム7の速度を制限するようにしたので、アーム7の掘削操作に対するブーム6の上げ介入速度の遅れが抑制される。したがって、掘削精度の低下が抑制される。
更に、本実施形態においては、タイマー261により時間計測を行い、タイマー261による時間計測の開始時点t0から所定期間Tsだけ、アーム7の駆動が制限される。これにより、制御の複雑化を招くことなく、掘削精度の低下が抑制される。また、所定期間Tsの経過後は、オペレータによる操作に基づいてアーム7が駆動されるため、作業性の低下が抑制される。
本実施形態においては、タイマー261の時間計測の開始時点(アーム7の駆動制限の開始時点)t0は、操作装置25の操作の開始時点、検出装置70の検出値が閾値を超えた時点、及び検出装置70の検出値の単位時間当たりの増加量が許容値を超えた時点の少なくとも一つを含む。これにより、アーム7の掘削操作に対するブーム6の上げ介入速度の遅れが発生し易い期間において、アーム7の駆動制限を円滑に実行することができる。
本実施形態においては、タイマー261による時間計測の開始時点t0から所定期間Ts経過後、制限操作量Mrに基づく駆動が解除される。これにより、操作装置25によるアーム操作量Mに基づいて、通常の作業をことができる。
本実施形態においては、所定期間Tsの前半における制限操作量Mrは、後半における制限操作量Mrよりも小さい。所定期間Tsの前半においては、アーム7に対する制限を厳しくすることによって、ブーム6の追従遅れの発生が抑制される。所定期間Tsの後半においては、アーム7に対する制限を緩めることによって、作業効率の低下が抑制される。
本実施形態においては、ブーム6が上がり、アーム7が下がるときの少なくとも一部の期間において、アーム7は制限操作量Mrで駆動される。これにより、アーム7の駆動のためにオペレータにより操作装置25が高速で操作されても、アーム7は制限された速度(低速度)で移動するため、アーム7の掘削操作に対するブーム6の上げ介入速度の遅れが抑制される。
本実施形態においては、アーム速度制限制御において、制御信号Nにより、パイロット油圧を調整して、アームシリンダ11に対する作動油の供給量の調整を高速で精確に行うことができる。
なお、本実施形態においては、ブーム介入制御においてブーム6の追従遅れの抑制などのためにアーム7の動きを制限することとした。ブーム介入制御においてバケット8の動きが制限されてもよい。すなわち、上述の実施形態において、バケット8の駆動のために操作装置25が操作され、その操作装置25の操作量が検出装置70(圧力センサ662)によって検出され、その検出装置70の検出結果に基づいてタイマー261による時間計測が開始され、バケット8の速度を制限するための制限操作量がタイマー261による時間計測の開始時点からの経過時間に対応付けて設定され、タイマー261による時間計測の開始時点からの所定期間において、制限制御量でバケット8が駆動するようにバケット制御部を設け、バケット制御部から制御信号が出力されてもよい。以下の実施形態においても同様である。
なお、介入制御においてアーム7及びバケット8の両方の動きが制限されてもよい。以下の実施形態においても同様である。
[アームの制御(第2実施形態)]
次に、アーム7(又はバケット8)の制御の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図25は、本実施形態に係る制御システム200の一例を示す模式図である。図26、図27、及び図28は、本実施形態に係る制御システム200の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
図25に示すように、制御システム200は、作動油を供給する可変容量型の油圧ポンプ(メイン油圧ポンプ)41と、油圧ポンプ41からの作動油が供給される方向制御弁641(64)と、方向制御弁641を介して油圧ポンプ41から供給された作動油によって駆動するアームシリンダ11と、油圧ポンプ41を制御するポンプコントローラ(ポンプ制御部)49と、モード設定部26Mと、作業機コントローラ26とを備えている。ポンプコントローラ49は、作業機コントローラ26と接続される。ポンプコントローラ49は、ポンプ斜板制御装置41Cに制御信号を出力して、油圧ポンプ41のポンプ斜板を制御する。
作業機コントローラ26は、マンマシンインターフェース部32と接続される。マンマシンインターフェース部32にはモード設定部26Mが備えられる。モード設定部26Mは、オペレータの操作に基づき油圧ショベル100の作業モードを設定する。本実施形態においては、モード設定部26Mは、第1作業モードに関する情報と第2作業モードに関する情報とを格納する。モード設定部はスイッチ等を別途設けられてもよい。
本実施形態において、制御システム200は、第1作業モードと第2作業モードとで油圧ショベル100を制御する。第1作業モードは、作業効率優先モード(Pモード)である。第2作業モードは、省燃費モード(エコノミ―モード)である。第2作業モードにおいて、第2の最大吐出容量となる油圧ポンプ41からの作動油の最大吐出容量は第1作業モードにおける第1の最大吐出容量となる油圧ポンプ41からの作動油の最大吐出容量よりも小さい最大吐出容量に作動油の供給が制限される。
本実施形態においては、第1作業モードにおける制限操作量(第1作業モード用制限操作量)Mrと、第2作業モードにおける制限操作量(第2作業モード用制限操作量)Mrとの両方が、予め定められ、作業機コントローラ26の記憶部264(図25では不図示)に記憶されている。作業機コントローラ26は、第1作業モードで油圧ショベル100を制御する場合、第1作業モードにおける制限操作量Mrを使って、アーム速度制限制御を行う。作業機コントローラ26は、第2作業モードで油圧ショベル100を制御する場合、第2作業モードにおける制限操作量Mrを使って、アーム速度制限制御を行う。
図26は、第1作業モード(Pモード)についての開始時点t0からの経過時間と制限値設定部262によって設定された制限操作量Mrとの関係を示す。第1作業モードにおける制限操作量MrのプロファイルをラインS2で示す。図26に、開始時点t0からの経過時間と操作装置25のアーム7の操作量Mとの関係を併記する。操作量MのプロファイルをラインS1で示す。図26において、横軸は時間(経過時間)であり、縦軸はアーム7の操作量(M、Mr)及びタイマー261のカウント値である。
図27は、第2作業モード(エコノミーモード)についての開始時点t0からの経過時間と制限値設定部262によって設定された制限操作量Mrとの関係を示す。第2作業モードにおける制限操作量MrのプロファイルをラインS3で示す。図27に、第1作業モードにおける制限操作量MrのプロファイルをラインS2で併記する。図27において、横軸は時間(経過時間)であり、縦軸はアーム7の操作量(Mr)及びタイマー261のカウント値である。
図28は、一例として、第2作業モードにおける開始時点t0からの経過時間とアーム7の操作量Mfとの関係を示す。図28において、横軸は時間(経過時間)であり、縦軸はアーム7の操作量(Mf)及びタイマー261のカウント値である。
上述の実施形態と同様、図26のラインS1で示すように、オペレータによって、操作量Mが零から値M3に急激に上昇するように、操作装置25が操作された場合を想定する。操作量Mは、値M3に到達した後、ある期間だけ値M3を維持し、その後、零になるまで下降する。アーム速度制限制御が実行されない場合、操作量M(Mf)は、図26のラインS1で示すプロファイルとなる。この場合、アーム7の掘削操作に対するブーム6の上げ介入速度の遅れが発生する可能性がある。
図26のラインS2は、第1作業モードにおける制限操作量Mrのプロファイルの一例を示す。図26に示す第1作業モードにおける制限操作量Mrのプロファイル(リミットパターン)は、図23を参照して説明した制限操作量Mrのプロファイルと同等である。第1作業モードにおける制限操作量Mrのプロファイルについての説明は省略する。
図27は、第2作業モードにおける制限操作量Mrのプロファイルの一例を示す。第2作業モードにおける制限操作量MrのプロファイルをラインS3で示す。第1作業モードにおける制限操作量Mrと同様、第2作業モードにおける制限操作量Mrは、ブーム6の追従遅れが発生しないように予め定められている操作量である。第2作業モードにおける制限操作量Mrは、第1作業モードにおける制限操作量Mr及び操作量Mよりも小さい。
第1作業モードにおいては、タイマー261による時間計測が行われる所定期間Tsにおいて、ラインS2で示した制限操作量Mrよりも大きい操作量Mでアーム7が操作されないように、アーム7の駆動が制御される。
第2作業モードにおいては、タイマー261による時間計測が行われる所定期間Tsにおいて、ラインS3で示した制限操作量Mrよりも大きい操作量Mでアーム7が操作されないように、アーム7の駆動が制御される。
所定期間Tsは、時点t0と時点t1との間の期間である。
図27に示すように、時点t0において、第2作業モードにおける制限操作量Mrは零であり、零から値M2uまで上昇する。値M2uは、零よりも大きく、値M2よりも小さい。すなわち、開始時点t0近傍において、第2作業モードにおける制限操作量Mrは、値M2uである。第2作業モードにおける制限操作量Mrは、値M2uに到達した後、ある期間だけ値M2uを維持し、その後、徐々に増大し、終了時点t1において、値M3に到達する。その後、制限操作量Mrは、値M3を維持した後、零になるまで下降する。このように、時点t0から時点t1までの所定期間Tsにおいては、第2作業モードにおける制限操作量Mrは、第1作業モードにおける制限操作量Mr及び操作量Mよりも小さくなるように設定される。図27に示すリミットパターンS3の始点である時点t0の値は、値M2uであり、リミットパターンS2の終点である時点t1の値は、値M3である。時点t1の経過後、第2作業モードにおける制限操作量Mrは、操作量Mと一致する。第1作業モードと同様、第2作業モードにおいても、所定期間Tsの前半における制限操作量Mrは、所定期間Tsの後半における制限操作量Mrよりも小さい。
本実施形態において、アーム制御部263は、操作量Mと制限操作量Mrとを比較し、小さい方の操作量を選択し、選択した操作量Mfに基づいて、制御信号Nを生成する。本実施形態においても、時点t0から時点t1までの所定期間Tsにおいては、制限操作量Mrのほうが操作量Mよりも小さい。したがって、時点t0から時点t1までの所定期間においては、アーム制御部263は、制限操作量Mrに基づいてアーム7が駆動されるように、制御信号Nを生成する。
本実施形態においては、第1作業モードにおいては、アーム制御部263は、図26のラインS2で示した、第1作業モード用の制限操作量Mrに基づいてアーム7が駆動されるように、制御弁271に制御信号Nを出力する。第2作業モードにおいては、アーム制御部263は、図27のラインS3で示した、第2作業モード用の制限操作量Mrに基づいてアーム7が駆動されるように、制御信号Nを生成する。
時点t1を経過した後においては、第2作業モードにおける制限操作量Mrは、値M3に設定されている。時点t1の経過後においては、第2作業モードにおける制限操作量Mrと操作量Mとは等しい。上述の実施形態と同様、アーム制御部263は、操作量Mと制限操作量Mrとを比較し、操作量Mを選択する。本実施形態においては、時点t1において、アーム速度制限制御が終了する。すなわち、本実施形態において、制限操作量Mrに基づくアーム7の駆動(アーム速度制限制御)は、タイマー261による時間計測の開始時点t0において開始され、開示時点t0から所定期間Ts経過後の終了時点t1において終了する。タイマー261による時間計測の開始時点t0から所定期間Ts経過後、制限操作量Mrに基づく駆動が解除される。
図28は、第2作業モードにおける操作量Mfのプロファイルの一例を示す。第2作業モードにおける操作量MfのプロファイルをラインScで示す。図28に示すように、時点t0から時点t1までの所定期間Tsにおいては、ラインScで示すように、第2作業モード用の制限操作量Mrに従って、パイロット油圧が調整され、アーム7が操作される。所定期間Tsの経過後においては、ラインScで示すように、操作量Mに従って、パイロット油圧が調整され、アーム7が操作される。
すなわち、本実施形態においては、図28のラインScに沿って変化するように、アーム7の操作量Mfのプロファイルが定められる。具体的には、時点t0において操作装置25による操作が開始されることにより、操作量Mfは、零から値M2uまで急激に増大し、ある期間、値M2uを維持される。その後、操作量Mfは、徐々に増大し、時点t1において値M3に到達する。時点t1の経過後、ある期間、値M3を維持され、その後、零に減少する。
アーム制御部263は、タイマー261による時間計測の開始時点t0からの所定期間Tsにおいて、第2作業モード用の制限操作量Mrでアーム7が駆動されるように、制御信号Nを生成する。
アーム制御部263は、所定期間Tsにおいては、第2作業モード用の制限操作量Mrでアーム7が駆動するように制御信号Nを生成し、第2作業モード用の制限操作量Mrに基づく駆動が解除された所定期間Ts経過後においては、操作量Mでアーム7が駆動するように、制御信号Nの生成を停止する。これにより、本実施形態においても、所定期間Tsにおいてはアーム7が低速で移動し、所定期間Ts経過後においてはアーム7が高速で移動する。
[効果]
以上説明したように、本実施形態においては、第2作業モードにおける制限操作量Mrは、第1作業モードにおける制限操作量Mrよりも小さい。
第2作業モードは、省燃費化の観点から第1作業モードよりも有利である。一方、第2作業モードにおいては、油圧シリンダ60に対する作動油の供給量が低下する。そのため、第2作業モードでは、ブーム6及びアーム7は高速で移動することが、第1作業モードよりも更に困難となる。また、ブーム6への上げ介入の速度遅れが発生する可能性が高くなる。
本実施形態においては、第2作業モードにおける制限操作量Mrは、第1作業モードにおける制限操作量Mrよりも小さい。すなわち、第2作業モードにおいては、第1作業モードに比べて、アーム7の動きをより厳しく制限する。これにより、ブームへの上げ介入の速度遅れの発生が抑制される。したがって、掘削精度の低下が抑制される。
[アームの制御(第3実施形態)]
次に、アーム7(又はバケット8)の制御の第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図25に示す本実施形態において、バケット8は、交換可能である。アーム7の先端には、種々のバケット8が接続される。
アーム7の先端に、第1重量のバケット8が接続された状態においては、例えば図27を参照して説明したような、ラインS3で示されるリミットパターンが設定される。具体的に表示コントローラ26はバケットの種類が選択された時選択した種別を作業機コントローラ26へ送信する。作業機コントローラ26はバケットの種類に対応するリミットパターンを選択する。アーム7の先端に、第1重量よりも小さい第2重量のバケット8が接続された状態においては、例えば図26を参照して説明したような、ラインS2で示されるリミットパターンが設定される。すなわち、アーム7を介してブーム6に第1重量のバケット8が接続されたときの制限操作量Mrは、アーム7を介してブーム6に第1重量よりも小さい第2重量のバケット8が接続されたときの制限操作量Mrよりも小さい。
アーム7を介してブーム6に重たいバケット8が接続された場合、ブーム6の追従遅れが発生する可能性が高くなる。一方、アーム7を介してブーム6に軽いバケット8が接続された場合、アーム7の動きを過剰に制限すると、作業性が低下する。
[効果]
以上説明したように、本実施形態においては、第1重量のバケット8が接続されたときの制限操作量Mrは、第2重量のバケット8が接続されたときの制限操作量Mrよりも小さい。これにより、作業性の低下を抑止しつつ、ブーム6の追従遅れの発生を抑制できる。
[アームの制御(第4実施形態)]
次に、アーム7(又はバケット8)の制御の第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
本実施形態においては、操作装置25の操作の途中において、検出装置70の検出値の単位時間当たりの増加量が許容値を超える例について説明する。
図29は、操作量M及び制限操作量Mrの一例を示す図である。上述の実施形態と同様、操作装置25の操作量Mは、検出装置70(圧力センサ661)の検出結果から導出される。検出装置70の検出結果から導出された操作量Mと、予め用意され記憶部264に記憶されている制限操作量Mr(リミットパターン)とが比較され、操作量Mが制限操作量Mrよりも小さいとき、アーム7は、操作装置25の操作量Mに基づいて作動する。
制限操作量Mrを超えないように操作装置25が操作されている状態で、図29に示すように、操作量Mが急激に増大し、制限操作量Mrを超えるように、操作装置25が急激に操作される場合がある。その場合、操作量Mと制限操作量Mrとを比較し、制限操作量Mrに基づいてアーム7の速度を制限しようとしても、アーム7の速度が十分に制限されない可能性がある。
そこで、本実施形態においては、作業機コントローラ26は、操作装置25の操作中に、操作量Mが急激に増大したとき、タイマー261による時間計測を開始(再開始)し、制限操作量Mrの一部を変更して、アーム速度制限制御を行うこととする。
本実施形態において、操作量Mが急激に増大することは、単位時間当たりの操作量Mの増加量が許容値を超えたことを含む。本実施形態において、操作量Mは、検出装置70の検出結果から導出される。操作量Mが急激に増大することは、検出装置70(圧力センサ661)の検出値の単位時間当たりの増加量が許容値を超えたことを含む。
本実施形態においては、検出装置70の検出値の単位時間当たりの増加量が許容値をこえたときに、作業機コントローラ26は、タイマー261による時間計測を再開始し、制限操作量Mrの一部を変更して、アーム速度制限制御を行うこととする。
本実施形態において、検出装置70(圧力センサ661)の検出値の増加量は、検出装置70で検出される操作装置25の操作量Mと、ローパスフィルタ処理により操作量Mから生成された処理量Rとの差(偏差)であることとする。
図30は、本実施形態に係る制御システム200の一例を示す図である。図30に示すように、検出装置70の検出値(操作装置25の操作量M)が、作業機コントローラ26に出力される。また、検出装置70の検出値が、フィルタ装置71に出力される。フィルタ装置71は、1次のローパスフィルタ処理を実行可能である。フィルタ装置71は、検出装置70の検出値について1次のローパスフィルタ処理を行い、処理量Rを生成する。作業機コントローラ26は、操作量Mと処理量Rとの偏差を求める。
図31は、操作装置25が急激に(高速に)操作されたときの操作量Mと処理量Rとの関係を示す模式図である。図31に示すように、操作装置25が急激に操作され、操作量Mがステップ的に増大した場合、操作量Mと処理量Rとの偏差は大きい。
図32は、操作装置25が緩やかに(低速に)操作されたときの操作量Mと処理量Rとの関係を示す模式図である。図32に示すように、操作装置25が緩やかに操作され、操作量Mが緩やかに増大した場合、操作量Mと処理量Rとの偏差は小さい。
本実施形態においては、掘削作業のためのアーム7の駆動のために操作装置25が操作されている場合において、その操作装置25の操作の途中において、操作量Mと処理量Rとの偏差が許容値を超えたとき、タイマー261の時間計測が開始(再開始)される。
図33は、本実施形態に係る制御システム200の動作の一例を示すフローチャートである。図34、図35、及び図36は、本実施形態に係る制御システム200の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。図34、図35、及び図36において、横軸は時間であり、縦軸は、アーム7の操作量(M、Mr、Mf)及びタイマーのカウント値である。
上述の実施形態と同様、操作装置25でアーム7の操作が開始されると、タイマー261による時間計測が開始される(ステップSC1)。バケット8による掘削作業のためにアーム7が下げ動作されたとき、目標設計地形Uと刃先8aとの距離dに応じて、ブーム6の上げ動作を含むブーム介入制御が実行される(ステップSC2)。
検出装置70(圧力センサ661)により、アーム7を駆動するための操作装置25の操作量Mが検出される(ステップSC3)。
上述の実施形態と同様、操作量Mの検出結果は、アーム制御部263の比較部に出力される。また、制限値設定部262から制限操作量Mrに関する情報がアーム制御部263の比較部に出力される。アーム制御部263は、上述の実施形態に従って、操作量Mと制限操作量Mrとを比較する(ステップSC4)。
ステップSC4において、操作量Mが制限操作量Mrよりも大きいと判断した場合、すなわち、ステップSC4でYesの場合、アーム制御部263は、制限操作量Mrを選択し、操作量Mfとする。アーム制御部263は、選択した制限操作量Mrに基づいて、制御信号Nを生成する。これにより、制限操作量Mrに基づいて、アーム速度制限制御が行われる(ステップSC5)。
ステップSC4において、操作量Mが制限操作量Mr以下である判断した場合、すなわち、ステップSC4でNoの場合、アーム制御部263は、操作量Mを選択し、操作量Mfとする。アーム制御部263は、制御信号Nを生成しない。操作装置25の操作量Mに基づいてパイロット油圧が調整され、アーム7が駆動される(ステップSC6)。
図34は、本実施形態に係る操作量Mのプロファイルの一例を示す。操作量MのプロファイルをラインS1で示す。図34に示すように、時点toにおいて、アーム7を駆動するために、オペレータによって操作装置25が操作される。タイマー261は、時間計測を開始する。本実施形態においては、一例として、図34のラインS1で示すように、オペレータによって、操作量Mが零から値M1uに上昇するように、操作装置25が操作された場合を想定する。
値M1uは、制限操作量Mrが発生する操作量の下限値M1及び制限操作量Mrの値M2よりも小さい。操作量Mは、値M1uに到達した後、ある期間だけ値M1uを維持する。本実施形態においては、時点t0から時点t0nまでの期間において、操作量Mが値M1uに維持されることとする。
図34に、制限操作量MrのプロファイルをラインS2で示す。ラインS2で示す制限操作量Mrは、図23などを参照して説明した制限操作量Mrと同様である。ラインS2で示す制限操作量Mrについての詳細な説明は省略する。
時点t0において、ラインS2で示す制限操作量Mrは、値M2を示す。時点t0から時点t0nまでの期間において、制限操作量Mrは、値M2又は値M2よりも大きい。すなわち、図34に示す例において、時点t0から時点t0nにおいては、操作量Mは、ラインS2で示す制限操作量Mrを超えない。そのため、アーム7は、操作装置25の操作量Mに基づいて駆動される。
ラインS2で示した制限操作量Mrを超えないように操作装置25が操作され、操作量Mに基づいてアーム7が駆動されている状態において、図34のラインS1で示したように、操作量Mが急激に増大し、ラインS2で示した制限操作量Mrを超えるように、操作装置25が急激に操作される場合がある。
本実施形態においては、図34に示すように、操作装置25の操作の途中の時点t0nにおいて、操作装置25が急激に操作され、操作量Mが急激に増大することとする。図34に示すように、本実施形態においては、時点t0nにおいて、操作量Mが値M1uから値M3vに急激に増大することとする。値M3vは、値M3よりも大きい。
上述のように、本実施形態において、検出装置70(圧力センサ661)の検出値の増加量は、検出装置70で検出される操作装置25の操作量Mと、ローパスフィルタ処理により操作量Mから生成された処理量Rとの差(偏差)であることとする。操作量Mが急激に増大した場合、その操作量Mの変化は検出装置70に検出される(ステップSC7)。検出装置70の検出結果は、作業機コントローラ26の判定部に出力される。作業機コントローラ26の判定部は、操作量Mと処理量Rとの偏差が許容値を超えたか否かを判断する(ステップSC8)。
ステップSC8において、偏差が許容値以下であと判断された場合、すなわち、ステップSC8でNoの場合、作業機コントローラ26は、ステップSC4に戻って、増大後の操作量Mと制限操作量Mrとの比較を行い、上述の処理を実行する。
ステップSC8において、偏差が許容値を超えたと判断された場合、すなわち、ステップSC8でYesの場合、作業機コントローラ26は、時点t0からの時間計測をリセットした後、タイマー261による時間計測を開始(再開始)する(ステップSC9)。
また、制限値設定部262は、時間計測のリセットとともに、ラインS2で示した制限操作量Mrをリセットし、タイマー261による時間計測の開始時点t0nからの経過時間に対応付けて、制限操作量Mrを設定(再設定)する。
図35は、再設定された制限操作量Mrのプロファイルの一例を示す。再設定された制限操作量MrのプロファイルをラインS4で示す。制限操作量Mrは、ブーム6の追従遅れが発生しないように予め定められている操作量である。制限操作量Mrは、図34のラインS1で示した操作量Mよりも小さい。
時点t0nにおいてタイマー261による時間計測が再開始され、そのタイマー261による時間計測が行われる所定期間Tuにおいて、制限操作量Mrよりも大きい操作量Mでアーム7が操作されないように、アーム7の駆動が制御される。本実施形態において、所定期間Tuは、時点t0nと時点t3との間の期間である。
図35に示すように、時点t0nにおいて、制限操作量Mrは値M2である。値M2は、値M3vよりも小さい。時点t0nにおいて値M2に設定されている制限操作量Mrは、ある期間だけ値M2を維持し、その後、徐々に増大し、時点t2において、値M3に到達する。その後、制限操作量Mrは、時点t3まで値M3を維持した後、零になるまで下降する。このように、時点t0nから時点t3までの所定期間Tuにおいては、制限操作量Mrは、操作量Mよりも小さくなるように設定される。図35に示すリミットパターンS4の始点である時点t0nの値は、値M2であり、リミットパターンS4の終点である時点t3の直前の値は、値M3であり、時点t3の値は、零である。
このように、本実施形態において、所定期間Tuの前半における制限操作量Mrは、所定期間Tuの後半における制限操作量Mrよりも小さい。
アーム制御部263は、操作量Mと再設定された制限操作量Mrとを比較する(ステップSC10)。
ステップSC10において、操作量Mが制限操作量Mr以下である判断した場合、すなわち、ステップSC10でNoの場合、アーム制御部263は、操作量Mを選択し、操作量Mfとする。アーム制御部263は、制御信号Nを生成しない。操作装置25の操作量Mに基づいてパイロット油圧が調整され、アーム7が駆動される(ステップSC11)。
ステップSC10において、操作量Mが制限操作量Mrよりも大きいと判断した場合、すなわち、ステップSC10でYesの場合、アーム制御部263は、ラインS4で示した再設定された制限操作量Mrを選択し、操作量Mfとする。アーム制御部263は、選択した制限操作量Mrに基づいて、制御信号Nを生成する。これにより、制限操作量Mrに基づいて、アーム速度制限制御が行われる(ステップSC12)。
本実施形態においては、図34及び図35に示したように、操作量Mは、ラインS4で示した制限操作量Mrよりも大きい。したがって、アーム制御部263は、制限操作量Mrに基づいて、アーム速度制限制御を行う。
図36は、本実施形態に係る操作量Mfのプロファイルの一例を示す。操作量MfのプロファイルをラインScで示す。図36に示すように、時点t0から時点t10までの所定期間Tsにおいては、ラインScで示すように、操作量Mに従って、パイロット油圧が調整され、アーム7が操作される。すなわち、時点t0において、操作量Mfは、零から値M1uに増大し、時点t0nまで、値M1uを維持した後、時点t0nにおいて、値M1uから値M2に増大する。その後、操作量Mfは、ある期間、値M2を維持した後、徐々に増大し、時点t2において、値M3に到達し、時点t3まで値M3を維持する。
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、操作装置25の操作の途中において、操作装置25の操作量Mが急激に増大した場合、タイマー261の時間計測をリセットした後、再開始して、始点(時点t0n)における値が値M2であるリミットパターンS4を設定(再設定)するようにしたので、アーム7は円滑に制御され、掘削精度の低下が抑制される。
例えば、リミットパターンS4を再設定することなく、既に設定されていたリミットパターンS2に基づいてアーム7の動きが制限されると、時点t0nにおいて、操作量(プロファイルSc)は、リミットパターンS2ni基づく値M3まで急激に増大してしまうこととなる。その結果、アーム7の速度が急激に増大し、ブーム6の介入速度がアーム7の上げ速度より遅くなり、掘削精度の低下をもたらす可能性がある。
本実施形態によれば、操作装置25の操作の途中で、操作量Mが急激に増大するように操作装置25が急激に操作された場合、タイマー261による時間計測をリセットした後、時間計測を再開するとともに、リミットパターンS2の一部を変更して、新たなリミットパターンS4を設定するようにしたので、アーム7を滑らかに移動することができ、掘削精度の低下を抑制することができる。
[アームの制御(第5実施形態)]
次に、アーム7(又はバケット8)の制御の第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
本実施形態においては、タイマー261による時間計測の開始時点から所定期間Tsにおいて、操作量Mが減少するように操作装置25が操作されたときの例について説明する。
図37は、操作量M及び制限操作量Mrの一例を示す図である。上述のように、検出装置70の検出値から導出される操作量Mが、制限操作量Mrを超えている場合、アーム7は、制限操作量Mrに基づいて作動する。図37に示すように、制限操作量Mrが増大する期間において、操作量Mが減少するように操作装置25が操作される場合がある。操作量Mが制限操作量Mrよりも大きい場合、操作量Mが減少するように操作装置25が操作されても、アーム7は加速するように駆動される。この場合、オペレータの違和感をもたらす可能性がある。
そこで、本実施形態においては、タイマー261による時間計測の開始時点t0から所定期間Tsにおいて、操作量Mが減少するように操作装置25が操作されたとき、作業機コントローラ26は、操作量下降判定を行い、減少開始時点tgから、制限操作量Mrを一定値に維持する。操作量Mが減少するように操作装置25が操作されたとき、制限操作量Mrが増大することなく一定値に維持されることによって、オペレータに違和感をもたらすことが抑制される。
図38は、本実施形態に係る制御システム200の一例を示す機能ブロック図である。図39は、本実施形態に係る制御システム200の動作の一例を示すフローチャートである。図40、図41、及び図42は、本実施形態に係る制御システム200の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。図40、図41、及び図42において、横軸は時間であり、縦軸は、アーム7の操作量(M、Mr、Mf)及びタイマーのカウント値である。
図38に示すように、本実施形態において、アーム制御部263は、比較部263Aを有する。比較部263Aは、上述の実施形態に従って、操作量Mと制限操作量Mrとを比較する。
上述の実施形態と同様、操作装置25でアーム7の操作が開始されると、タイマー261による時間計測が開始される(ステップSD1)。バケット8による掘削作業のためにアーム7が下げ動作されたとき、目標設計地形Uと刃先8aとの距離dに応じて、ブーム6の上げ動作を含むブーム介入制御が実行される(ステップSD2)。
検出装置70(圧力センサ661)により、アーム7を駆動するための操作装置25の操作量Mが検出される(ステップSD3)。
上述の実施形態と同様、操作量Mの検出結果は、アーム制御部263の比較部263Aに出力される。また、制限値設定部262から制限操作量Mrに関する情報がアーム制御部263の比較部263Aに出力される。アーム制御部263は、上述の実施形態に従って、操作量Mと制限操作量Mrとを比較する(ステップSD4)。
ステップSD4において、操作量Mが制限操作量Mrよりも大きいと判断した場合、すなわち、ステップSD4でYesの場合、アーム制御部263は、制限操作量Mrを選択し、操作量Mfとする。アーム制御部263は、選択した制限操作量Mrに基づいて、制御信号Nを生成する。これにより、制限操作量Mrに基づいて、アーム速度制限制御が行われる(ステップSD5)。
ステップSD4において、操作量Mが制限操作量Mr以下である判断した場合、すなわち、ステップSD4でNoの場合、アーム制御部263は、操作量Mを選択し、操作量Mfとする。アーム制御部263は、制御信号Nを生成しない。操作装置25の操作量Mに基づいてパイロット油圧が調整され、アーム7が駆動される(ステップSD6)。
図40は、本実施形態に係る操作量Mのプロファイルの一例を示す。操作量MのプロファイルをラインS1で示す。図40に示すように、時点toにおいて、アーム7を駆動するために、オペレータによって操作装置25が操作される。タイマー261は、時間計測を開始する。本実施形態においては、一例として、図40のラインS1で示すように、オペレータによって、操作量Mが零から値M3vに上昇するように、操作装置25が操作された場合を想定する。
値M3vは、制限操作量Mrが発生する操作量の下限値M1、制限操作量とする値M2。及び最大の操作量の値M3よりも大きい。操作量Mは、値M3vに到達した後、ある期間だけ値M3vを維持する。本実施形態においては、時点t0から時点tgまでの期間において、操作量Mが値M3vに維持されることとする。時点tgは、開始時点t0から所定期間Ts経過した時点である。
図40に、制限操作量MrのプロファイルをラインS2で示す。ラインS2で示す制限操作量Mrは、図23などを参照して説明した制限操作量Mrと同様である。ラインS2で示す制限操作量Mrについての詳細な説明は省略する。
時点t0において、ラインS2で示す制限操作量Mrは、値M2を示す。時点t0から時点taまでの期間において、制限操作量Mrは、操作量Mの値M3vよりも小さい。すなわち、図40に示す例において、時点t0から時点taにおいては、操作量Mは、ラインS2で示す制限操作量Mrを超える。そのため、アーム7は、制限操作量Mrに基づいて駆動される。
所定期間Tsの時点tgにおいて、操作量Mが減少するように操作装置25が操作される。すなわち、アーム7が制限操作量Mrに基づいて駆動されている状態において、図40のラインS1で示したように、時点tgにおいて、操作量Mが急激に減少し、時点taでラインS2に示した制限操作量Mrよりも小さくなるように、操作装置25が急激に操作される場合がある。
本実施形態においては、図40に示すように、時点tgにおいて、操作装置25が急激に操作され、操作量Mが急激に減少することとする。図40に示すように、本実施形態においては、操作量Mが値M3vから値M1vに急激に減少することとする。操作量Mの値M1vは、値M1よりも大きく、制限操作量Mrの値M2よりも小さい。
操作量Mが急激に減少(下降)した場合、その操作量Mの変化は検出装置70に検出される(ステップSD7)。検出装置70の検出結果は、制限値設定部262の判定部262Aに出力される。判定部262Aは、操作量Mの減少率(単位時間当たりの減少量)が量許容値を超えたか否かを判断する(ステップSD8)。
ステップSD8において、減少率が許容値以下であると判断された場合、すなわち、ステップSD8でNoの場合、作業機コントローラ26は、ステップSD4に戻って、減少後の操作量Mと制限操作量Mrとの比較を行い、上述の処理を実行する。
ステップSD8において、操作量Mの減少率が許容値を超えたと判断された場合、すなわち、ステップSD8でYesの場合、作業機コントローラ26の制限値設定部262は、減少開始時点tgのときの制限操作量Mrを、一定の値M4に維持する(ステップSD9)。制限操作量Mrは、図40のラインS2aに示すように、時点tgから値M4に維持される。アーム7は、変更されたリミットパターンS2aに基づいて駆動される。これにより、オペレータに違和感をもたらすことが抑制される。
操作量Mが減少するように操作装置25が操作されることによって、やがて、操作量Mは制限操作量Mr(値M4)よりも小さくなる。アーム制御部263は、操作量MとラインS2aで示す再設定された制限操作量Mrとを比較する(ステップSD10)。
ステップSD10において、操作量Mが制限操作量Mr以下である判断した場合、すなわち、ステップSD10でNoの場合、アーム制御部263は、操作量Mを選択し、操作量Mfとする。アーム制御部263は、制御信号Nを生成しない。操作装置25の操作量Mに基づいてパイロット油圧が調整され、アーム7が駆動される(ステップSD11)。
ステップSD10において、操作量Mが制限操作量Mrよりも大きいと判断した場合、すなわち、ステップSD10でYesの場合、アーム制御部263は、制限操作量Mrを選択し、操作量Mfとする。アーム制御部263は、選択した制限操作量Mrに基づいて、制御信号Nを生成する。これにより、制限操作量Mrに基づいて、アーム速度制限制御が行われる(ステップSD12)。
なお、図40のラインS1で示す操作量Mは、時点tbにおいて急激に増大する。操作量Mが急激に増大した場合、図29から図36を参照して説明した実施形態に従って、タイマー261による時間計測が再開始され、リミットパターンS4aが再設定される。図41に、再設定されたリミットパターンS4aの一例を示す。
図42は、本実施形態に係る操作量Mfのプロファイルの一例を示す。操作量MfのプロファイルをラインScで示す。図42に示すように、時点t0から時点taまでの期間Tsにおいては、ラインScで示すように、制限操作量Mrに従って、パイロット油圧が調整され、アーム7が操作される。時点taの経過後、操作量Mに従って、パイロット油圧が調整され、アーム7が操作される。時点tbの経過後、制限操作量Mrに従って、パイロット油圧が調整され、アーム7が操作される。
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、リミットパターンS2に基づいてアーム7が駆動され、そのアーム7が加速するように移動するときに、操作装置25が減速するように操作された場合、リミットパターンS2の一部を変更してリミットパターンS2aとし、制限操作量Mrを増大させずに一定値に維持するようにしたので、オペレータに違和感をもたらすことが抑制される。
[アームの制御(第6実施形態)]
次に、アーム7(又はバケット8)の制御の第6実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図43は、本実施形態に係る制御システム200の機能ブロック図である。図43に示すように、本実施形態において、作業機コントローラ26は、距離判定部262Bを有する。
図44は、本実施形態に係る油圧ショベル100の一例を示す模式図である。図44に示すように、油圧ショベル100は、車両本体1と、作業機2とを有する。車両本体1は、ブーム6を支持する。作業機2が駆動されることにより、車両本体1の基準位置P2とバケット8の刃先8aの位置P3との距離xが変化する。なお、距離xは、ブームピンの位置と刃先8aの位置との距離でもよいし、設置位置P1と刃先8aの位置との距離でもよい。
本実施形態においては、センサコントローラ30より出力された各作業機の姿勢角θ1〜θ3より基準位置P2と位置P3との距離xを算出し、基準位置P2と位置P3との距離xが第1距離になるように作業機2が駆動されたときの制限操作量Mrは、基準位置P2と位置P3との距離xが第1距離よりも短い第2距離になるように作業機2が駆動されたときの制限操作量Mrよりも小さい。
図45は、本実施形態に係る制御システム200の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。図45において、横軸は時間であり、縦軸は、アーム7の操作量M(制限操作量Mr)及びタイマーのカウント値である。
図45に示すように、距離xが第1距離においては、ラインS2で示すようなリミットパターンが設定される。距離xが第2距離においては、ラインS5で示すようなリミットパターンが設定される。ラインS2で示されるリミットパターンの制限操作量Mrは、ラインS5で示されるリミットパターンの制限操作量Mrよりも小さい。
図46は、リミットパターンS2に基づいて決定された操作量Mfのプロファイルの一例を示す。図47は、リミットパターンS5に基づいて決定された操作量Mfのプロファイルの一例を示す。
距離xが長いほど、作業機2のモーメントが大きくなり、ブーム6の追従遅れが発生する可能性が高くなる。本実施形態においては、距離xが長い第1距離における制限操作量Mrは、距離xが短い第2距離における制限操作量Mrよりも小さい。すなわち、第1距離の状態においては、第2距離の状態に比べて、アーム7の動きをより厳しく制限する。これにより、ブーム6の追従遅れの発生が抑制される。したがって、掘削精度の低下が抑制される。
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、車両本体1の基準位置とバケット8とが第1距離になるように作業機2が駆動されたときの制限操作量Mrは、車両本体1の基準位置とバケット8とが第1距離よりも短い第2距離になるように作業機2が駆動されたときの制限操作量Mrよりも小さいので、作業効率の低下を抑制しつつ、掘削精度の低下を抑制することができる。
[アームの制御(第7実施形態)]
次に、アーム7(又はバケット8)の制御の第7実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図48は、本実施形態に係る制御システム200の機能ブロック図である。上述の実施形態と同様、制御システム200は、表示コントローラ28と、作業機コントローラ26と、アーム7及びバケット8の少なくとも一方を含む可動部材の駆動のために操作される操作装置25と、操作装置25の操作量Mを検出する検出装置70とを有する。
表示コントローラ28は、目標施工情報格納部28Aと、バケット位置データ生成部28Bと、目標掘削地形データ生成部28Cとを有する。バケット位置データ生成部28Bは、第1,第2,第3シリンダストロークセンサ16,17,18の検出結果であるブーム6、アーム7、バケット8の其々の姿勢角θ1,θ2,θ3に基づいて、バケット8の3次元位置を示す刃先位置データSを生成する。
目標掘削地形データ生成部28Cは、目標施工情報格納部28Aから出力される目標施工情報Tと、バケット位置データ生成部28Bから出力される刃先位置データSとに基づいて、作業機2による掘削対象の目標形状を示す目標掘削地形Uを生成する。
作業機コントローラ26は、目標掘削地形データ生成部28Cから目標掘削地形(U)を取得して、刃先位置データSと目標掘削地形Uとに基づいて、バケット8の刃先8aと目標掘削地形Uとの距離dを算出する距離取得部53と、検出装置70の検出結果に基づいて、時間計測を開始するタイマー261と、距離取得部53で算出された距離dに基づいて、アーム7の速度を制限するための制限操作量Mrを設定する制限値設定部262と、検出装置70の検出結果に基づいて、バケット8による掘削作業において、ブーム6が上がり、アーム7が下がるように操作装置25の操作が開始されたときに、制限操作量Mrでアーム7が駆動するように制御弁27に制御信号Nを出力するアーム制御部263と、記憶部264を有する。
本実施形態において、制限値設定部262は、距離dが大きいほど制限操作量Mrが大きくなるように、制限操作量Mrを設定する。すなわち、制限値設定部262は、距離dが大きくなるほど、アーム7の動作の制限が緩和されるように、制限操作量Mrを設定する。
図49は、記憶部264に記憶されているデータの一例を模式的に示す図である。図49に示すように、記憶部264には、制限操作量Mrを緩和するための距離dに対する制限操作量Mrのオフセット量が記憶されている。オフセット量は、距離dが0から所定値d1の間においては、距離dが大きくなると、比例して大きくなる。距離dが所定値d1よりも大きい場合、オフセット量は一定となる。アーム制御部263では制限操作量Mrにオフセット量の加算を行う。
図50は、本実施形態に係る制御システム200の動作の一例を説明するためのフローチャートである。掘削作業において、オペレータにより、操作装置25が操作される(ステップSE1)。オペレータは、アーム7の駆動のために、操作装置25を操作する。アーム7が下げ動作を行うように、操作装置25が操作される。
検出装置70により、操作装置25の操作量Mが検出される(ステップSE2)。検出装置70は、圧力センサ66を含み、操作装置25により調整されるパイロット油圧を検出することによって、操作装置25の操作量Mを検出する。
検出装置70の検出値は、タイマー261に出力される。タイマー261は、検出装置70の検出結果に基づいて、時間計測を開始する(ステップSE3)。
バケット位置データ生成部28Bは、第1,第2,第3シリンダストロークセンサ16,17,18の検出結果であるシリンダ姿勢データθ1,θ2,θ3に基づいて、バケット8の3次元位置を示す刃先位置データSを生成する(ステップSE4)。
距離取得部53は、刃先位置データSと目標掘削地形Uとに基づいて、バケット8の刃先8aと目標掘削地形Uとの距離dを算出する(ステップSE5)。
アーム制御部263は、ステップSE5で算出された距離dと、図49を参照して説明した、記憶部264に記憶されている距離dと制限操作量Mrのオフセット量との関係に基づいて、距離dに対応した制限操作量Mrを設定する(ステップSE6)。具体的には、アーム制御部263は、検出装置70で検出された操作量Mに制限操作量Mrのオフセット量を加算する。
アーム制御部263は、操作量Mとオフセット量を加算した制限操作量Mrとを比較し、小さい方の操作量を選択し、選択した操作量Mfに基づいて、制御信号Nを生成する。生成された制御信号Nは、制御弁27に出力される(ステップES7)。上述したように、本実施形態においては、距離dが小さいとき、アーム7の動作が制限され、距離dが大きいとき、アーム7の動作の制限が緩和される。また、距離dが所定値d1よりも大きいとき、アーム7の動作は制限されず、アーム7は操作装置25による操作量Mに基づいて作動する。
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、掘り込み開始時にアーム7の動作が制限される。アーム7の動作が制限されるタイミングが、掘り込み開始時に限定されるので、建設機械100の作業量の低下が抑制される。
また、本実施形態においては、制限値設定部262は、距離dが大きいほど制限操作量Mrが大きくなるように、すなわち、距離dが大きくなるほど、アーム7の動作の制限が緩和されるように、制限操作量Mrを設定する。距離dが小さいときにおいてはアーム7の動作を十分に制限し、距離dが大きいときにおいてはアーム7の動作の制限を緩和することで、作業量の低下を抑制しつつ、刃先8aを目標掘削地形Uに沿って移動させることができる。
また、本実施形態によれば、距離dに応じてアーム7の動作の制限及び制限の緩和が行われるので、建設機械100の作業量の低下の抑制及び刃先8aの落ち込みの抑制の両立が図られる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上述の実施形態においては、操作装置25は、パイロット油圧方式であることとした。操作装置25は、電気レバー方式でもよい。例えば、操作装置25の操作レバーの操作量をポテンショメータ等で検出し、その操作量に応じた検出値を作業機コントローラ26に出力する操作レバー検出部が設けられてもよい。作業機コントローラ26は、その操作レバー検出部の検出結果に基づいて、方向制御弁64に制御信号を出力して、油圧シリンダに供給される作動油の量を調整してもよい。本件の制御は作業機コントローラ226だけでなくセンサコントローラ30等他のコントローラで行ってもよい。
上記の実施形態では、建設機械の一例として油圧ショベルを挙げているが油圧ショベルに限らず、他の種類の建設機械に本発明が適用されてもよい。
グローバル座標系における油圧ショベルCMの位置の取得は、GNSSに限らず、他の測位手段によって行われてもよい。従って、刃先8aと設計地形との距離dの取得は、GNSSに限らず、他の測位手段によって行われてもよい。