以下、図面を参照して本発明の選択された実施形態を説明する。以下に述べる本発明の実施形態の説明は例示のみを目的としており、添付の請求項により規定される本発明及びその均等物を限定することを目的としていないことは、本開示から当業者には明らかであろう。
図1は、車両間通信又は車両・インフラ間通信、あるいはその両方を行うことが可能な、開示される実施形態に係る車載用通信システム12を搭載した、ホスト車両(Host Vehicle:HV)10を示すブロック図である。本明細書で述べるように、このホスト車両10は、対象車両(Subject Vehicle:SV)と呼ぶことも可能である。車載用通信システム12は、少なくとも1台のリモート車両(Remote Vehicle:RV)14と通信を行う。このリモート車両(RV)14も車載用通信システム12を備えることができる。あるいは、リモート車両14は、当該技術分野で理解されているように少なくともリモート車両14自身の位置及びスピードについての情報を伝達することのできる、例えば、アダプティブ・クルーズ・コントロール・システムなど、他の種類の双方向通信システムを備えることができる。リモート車両14は、ターゲット車両(Target Vehicle:TV)又は脅威車両(Threat Vehicle:TV)と呼ぶことも可能である。
ホスト車両10及びリモート車両14の車載用通信システム12は、双方向無線通信ネットワークと通信を行う。図1からわかるように、例えば、双方向無線通信ネットワークは、1つ又は複数の全地球測位衛星16(1つのみ図示)と、1つ又は複数の路側(地上)ユニット18(2つ図示)などの地上ユニットと、基地局又は外部サーバ20とを含むことができる。全地球測位衛星16と路側ユニット18は、ホスト車両10及びリモート車両14の車載用通信システム12との間で信号を送受信する。基地局20は、路側ユニット18のネットワーク又は他の任意の適切な双方向無線通信ネットワークを介して、ホスト車両10及びリモート車両14の車載用通信システム12との間で信号を送受信する。
図2及び図3においてより詳細に示されるように、車載用通信システム12は、単にコントローラ22と呼ぶことのできるアプリケーションコントローラ22を含む。コントローラ22は、後述するように車載用通信システム12の構成要素を制御する制御プログラムを備えたマイクロコンピュータを含むことが好ましい。コントローラ22は、その他、入力インタフェース回路、出力インタフェース回路及びROM(Read Only Memory)装置やRAM(Random Access Memory)装置などの記憶装置といった従来の構成要素を含む。コントローラ22のマイクロコンピュータは、少なくとも、後述される図6及び図7のフローチャートに従って車載用通信システム12を制御するようにプログラムされている。コントローラ22の正確な構造及びアルゴリズムは、本発明の実施形態の機能を実施するハードウェア及びソフトウェアの任意の組合せとすることができることは、本開示から当業者には明らかになるであろう。さらに、コントローラ22は、当該技術分野で理解されているように、例えば、コントローラエリアネットワーク(CAN)バスを介して、又は他の任意の適切な方法で、本明細書に記載の車載用通信システム12の他の構成要素と通信を行うことができる。
図2においてより詳細に示されるように、車載用通信システム12が配置されるホスト車両10は、例えば、信号検出部24と、通信部26と、判断部28と、データ記憶部30とをさらに備えることができる。ホスト車両10は、車載用通信システム12と一体の、又は、単独でホスト車両10に実装される、ヒューマン・マシン・インタフェース(HMI)32をさらに備える。ユーザ(例えば、運転者及び/又は同乗者)は、HMI32を介して車載用通信システム12と情報のやりとりを行うことができる。例えば、当該技術分野で理解されているように、ユーザは、HMI32を使用して、データ記憶部30に格納可能な優先事項リストに携帯電話番号、インターネットホスト名、又はIPアドレスを登録するといった作業を行うことができる。また、ユーザは、HMI32を使用して、本明細書で述べるように、特定のIPアドレス又は電話番号の優先レベルなど、他の情報を入力することもできる。この情報は、車両走行データや車両位置データなど他の情報と共に、データ記憶部30に格納することができる。
また、データ記憶部30は、当該技術分野で理解されているように通信に使用されるセキュリティ証明書も格納することができる。詳細は後述するが、車載用通信システム12は、通信アクセスポイント40(例えば、異なる種類のいくつかの通信媒体)を介して、ホスト車両10の外部に存在して当該技術分野で理解されているようにセキュリティ証明書を作成する1つ又は複数の認証局42との間で通信を行う。通信アクセスポイント40は、双方向無線通信ネットワークによりサポートされており、当該技術分野で理解されているように、WiFi接続、専用狭域通信(DSRC)接続、セルラ接続及びその他の無線媒体を含むことができる。また、車載用通信システム12は、電気自動車、燃料電池自動車、又はハイブリッド車(BEV/FCV/HEV)の充電やスマートグリッド通信用に定義された通信チャネルを使用することもできる。認証局42は、本明細書で述べるように車載用通信システム12により選択された1つ又は複数の通信アクセスポイント40を介した車載用通信システム12によるセキュリティ証明書の要求に応答して、その選択された通信アクセスポイント40を介してセキュリティ証明書を提供する。
また、車載用通信システム12は、車載用通信システム12と一体の、又は、単独でホスト車両10に実装される、あるいはその両方の、1つ又は複数のアプリケーション部34との情報のやりとりも行う。アプリケーション部34は、例えば、リモート車両14、路側ユニット18、又は他の任意の装置から車載用通信システム12が受信したデータを使用して、外部の物体又はリモート車両14との接触の可能性や、天候又は交通の状況など、潜在的な問題があることをホスト車両10のユーザ(例えば、運転者)に忠告又は警告する警告システムを含んでもよい。また、車載用通信システム12は、GPS情報を、例えば、衛星16又は他の任意の適切な装置から受信可能なGPSユニット36と通信を行うこともできる。当該技術分野で理解されているように、GPS情報は、本明細書で述べるようにホスト車両10の位置及びその他の関心のある位置を示すことができる。
図3においてより詳細に示されるように、通信部26は、当該技術分野で理解されているように、例えば、通信アクセスポイント40のDSRC接続、WiFi接続、セルラ接続及びその他の無線媒体を介して通信を行うことが可能なDSRC部50と、セルラ部52と、WiFi部54と、その他の無線媒体部56とを備える。例えば、コントローラ22は、信号検出部24を制御して、利用可能な通信アクセスポイント40がないか無線通信ネットワーク内を検索することができる。当該技術分野で理解されているように、信号検出部24は、任意の適切な信号選択プロトコルを採用して、適切な1つ又は複数の利用可能な通信アクセスポイント40を選択することができる。また、信号検出部24は、例えば、当初選択された通信媒体が利用不可能になった場合、1つの通信アクセスポイント40から他の通信アクセスポイント40へ切り替えるタイミングを決定することもできる。さらに、信号検出部24は、携帯電話信号がないかホスト車両10の車室内を監視することができる。携帯電話信号が検出された場合、信号検出部24は、その携帯電話に関する情報(例えば、電話番号など)を、本明細書に記載されるように、参照及び使用のため、例えば、判断部28及びデータ記憶部30に供給することができる。
したがって、コントローラ22、例えば、信号検出部24は、選択された通信アクセスポイント40を介して通信を行うように通信部26を設定することができる。これにより、通信部26は、利用可能な通信アクセスポイント40から情報を受信し、この情報を判断部28、データ記憶部30、HMI32、アプリケーション部34及びホスト車両10上の他の任意の構成要素に供給する。また、通信部26は、利用可能な通信アクセスポイント40を使用し、図1に示すように、双方向無線通信ネットワークを介して、リモート車両14、認証局42及び他の任意の遠隔送信先にも情報を送信する。当然のことながら、通信部26は、発着信の際、異なる種類のいくつかの通信アクセスポイント40を使用することができる。
図4に示すように、判断部28は、後で詳細に述べるように、現状リスクレベル算出セクション60と、セキュリティ証明書使用セクション62と、信頼不能署名識別・報告セクション64とを備えることができる。さらに、図5に示すように、データ記憶部30は、後で詳細に述べるように、優先事項リスト記憶領域70と、優先レベル記憶領域72と、多段構成の証明書記憶領域74(例えば、第1段記憶セクション74Aと、第2段記憶セクション74Bと、第3段記憶セクション74Cとで構成される)と、GPS記憶領域76と、信頼不能署名記憶領域78とを備えることができる。
次に、車載用通信システム12が行う動作の例を、図4及び図5に示す判断部28及びデータ記憶部30のさらなる側面と図6及び図7に示すフローチャートとに関して詳細に説明する。図6及び図7に示す処理は、例えば、コントローラ22の判断部28又は他の任意の適切な構成要素により行うことができる。
図6に示すように、ステップS11で通信部26が双方向無線通信ネットワークを介して、例えば、リモート車両14や地上又は路側ユニット18などから着信を受信すると、コントローラ22は、発信を行う準備をすることができる。当該技術分野で理解されているように、車載用通信システム12は、セキュリティ証明書を使用して、リモート車両12、地上又は路側ユニット18及び双方向無線通信ネットワーク内のその他の送信先など外部の配信先へ一斉送信されるメッセージに署名することができる。通信プロセスの一部として、車載用通信システム12は、ステップS12で、データ記憶部30に格納されている未使用のセキュリティ証明書の在庫をチェックすることができる。例えば、判断部28のセキュリティ証明書使用セクション62は、セキュリティ証明書記憶領域74に格納されている未使用のセキュリティ証明書の在庫をチェックすることができる。
ステップS13で、未使用のセキュリティ証明書の数が閾値(例えば、第1の閾値)よりも多いと処理が判断した場合、コントローラ22は、発信の際に利用可能な未使用のセキュリティ証明書が十分にあると判断する。したがって、処理は終了し、車載用通信システム12は発信を行うことができる。一方、ステップS13で、未使用のセキュリティ証明書の数が閾値以下であると処理が判断した場合、処理は、ステップS14へ進み、コントローラ22は、セキュリティ証明書補充プロセスが許容されるかどうか現状リスクレベルに基づいて判断する。
現状リスクレベル算出セクション60は、通信部26が周囲のリモート車両14、路側ユニット18及び双方向無線通信ネットワーク内の他の任意の装置から受信した情報を評価して、ホスト車両10の置かれた運転環境に対して現状リスクレベルを算出し格納することができる。
例えば、通信部26が多数のリモート車両14から情報を受信している場合、現状リスクレベル算出セクション60は、ホスト車両10は非常に混雑した運転環境で走行していると判断することができる。この場合、現状リスクレベル算出セクション60は、コントローラ22がその情報にアクセスして、例えば、接触回避動作などを行えるように、リモート車両14及び運転環境中の他の装置から情報を効率的に受信し続ける必要があると判断することができる。したがって、現状リスクレベル算出セクション60は、現状リスクレベルを高く設定することができる。現状リスクレベルが高いと判断すると、コントローラ22は、そのときセキュリティ証明書を要求するのをやめるように動作する、又は、後述するように、特定の電話又はメッセージの着信も抑制することができる。
しかしながら、通信部26がごく少数のリモート車両14のみから情報を受信している場合、現状リスクレベル算出セクション60は、ホスト車両10は混雑のほとんどない運転環境で走行していると判断することができる。したがって、現状リスクレベル算出セクション60は、現状リスクレベルを低く、又は、少なくとも前述の高いリスクレベルよりも低いレベルに設定することができる。現状リスクレベルが低いと判断すると、コントローラ22は、後述するように、今が車載用通信システム12がセキュリティ証明書の在庫補充を試みる良いタイミングであろうと判断することができる。コントローラ22は、後述するように、電話又はメッセージの着信を受信することを許容することもできる。
したがって、上記のことから分かるように、コントローラ22は、受信した外部情報に基づいてリスクファクターを求め、そのリスクファクターに基づいて、セキュリティ証明書補充プロセスを開始するべきかどうかを判断する。コントローラ22は、リスクファクターをリスク閾値と比較して、セキュリティ証明書補充プロセスを開始するべきかどうかを判断する。そして、リスクファクターがリスク閾値よりも低いと判断すると、コントローラ22は、ステップS15のセキュリティ証明書補充プロセスを行う。
ステップS15のセキュリティ証明書補充プロセスは、例えば、図7のフローチャートで示すことができる。このように、データ記憶部30(例えば、記憶装置)に格納されているセキュリティ証明書の量が第1の所定の閾値よりも少なくなったら、コントローラ22は、ホスト車両10の外部にある少なくとも1つのセキュリティ認証局から追加のセキュリティ証明書を受信するためにセキュリティ証明書補充プロセスを開始するべきかどうかを受信した外部情報に基づいて判断する。このプロセスを開始するとき、判断部28は、HMI32を制御して、セキュリティ証明書の量が低下してセキュリティ証明書の補充を行おうとしているという通知又は警告(例えば、視覚的、聴覚的及び/又は触覚的警告)を出すことができる。
図7に示すプロセスのステップS21では、車載用通信システム12は、セキュリティ証明書をダウンロード可能な外部ソース(例えば、通信アクセスポイント40)を特定することができる。このように、「ソース」という語は、本明細書では、本明細書に記載の構成及び機能を有する通信アクセスポイント40を表すのに使うことができ、したがって、通信アクセスポイント40などの通信媒体を介した車載用通信システム12と認証局42との間の接続を意味することも可能である。
次に、コントローラ22は、ステップS22で利用可能なそのようなソースがあるかどうか判断する。利用可能なソース(例えば、通信アクセスポイント40)がある場合、処理は、ステップS23へ進み、コントローラ22は、上述のように選択することのできる通信アクセスポイント40を介してセキュリティ証明書を自動的にダウンロードすることができる。すなわち、通信部26は、選択された通信アクセスポイント40を介して利用可能な認証局42へ要求を送信することができる。こうして、通信アクセスポイント40は、選択された通信アクセスポイント40を介して認証局からセキュリティ証明書を受信する。コントローラ22(例えば、判断部28)は、そのセキュリティ証明書をセキュリティ証明書記憶領域74の記憶段74A〜74Cに格納することができる。さらに、利用可能な通信アクセスポイント40が複数ある場合、判断部28は、HMI32を制御して、例えば、所望の認証局42又は通信アクセスポイント40の所望の方式(例えば、DSRC、WiFi、セルラ方式など)に基づいて、セキュリティ証明書を補充するのに使用する所望の通信アクセスポイント40にユーザが接続できるようにする通知(例えば、視覚的、聴覚的及び/又は触覚的)をユーザに出すことができる。ユーザは、通信アクセスポイント40のセキュリティレベル(例えば、セキュアDSRC、セキュアWiFiなど)など、通信アクセスポイント40の特性に基づいて所望の通信アクセスポイント40を選択してもよい。また、判断部28は、所定の特性(例えば、DSRC、WiFi、セルラ方式、接続の安全性など)などに基づいて、使用する通信アクセスポイント40に自動的に接続することもできる。例えば、その所定の特性は、他の通信方式よりも高い通信セキュリティレベルを持つ通信方式に関する情報を含むことができる。これにより、ユーザが何もしなくても、5.9GHz DSRC、WiFi、セルラ方式ネットワーク、衛星通信など、複数の通信アクセスポイント40を自動的に利用することができ、したがって、最大限の柔軟性が得られる。
なお、コントローラ22は、セキュリティ証明書を記憶段74A〜74Cに特定の方法で格納することができ、セキュリティ証明書を記憶段74A〜74Cから特定の方法で取り出すことができる。例えば、セキュリティ証明書使用セクション62がセキュリティ証明書記憶領域74からセキュリティ証明書を取り出すとき、セキュリティ証明書使用セクション62は、まず、記憶段74Aからセキュリティ証明書を取り出すことができる。セキュリティ証明書が記憶段74Aから取り出されると、記憶段74Bは、格納されているセキュリティ証明書を記憶段74Aへ転送して追加することができる。同様に、これらのセキュリティ証明書が記憶段74Bから記憶段74Aへ転送されると、記憶段74Cは、格納されたセキュリティ証明書を記憶段74Bへ転送して追加することができる。ステップS13で使用される閾値(第1の閾値)は、任意の適切なレベルに設定することができる。例えば、第1の閾値は、記憶段74Cのセキュリティ証明書が使い果たされたときを知らせることができる。当然のことながら、コントローラ22は、例えば、記憶段74Bのセキュリティ証明書が使い果たされたこと及び最終的に記憶段74Aのセキュリティ証明書が使い果たされた(すなわち、セキュリティ証明書が全く残っていない)ことを示す追加の閾値を設定することができる。格納されたセキュリティ証明書がすべて使い果たされた場合、車載用通信システム12は、通信ごとに変化しない単一の「予備」セキュリティ証明書を使用することができる。
セキュリティ証明書をセキュリティ証明書記憶領域74から特定の方法で取り出すことに加えて、セキュリティ証明書使用セクション62は、セキュリティ証明書の記憶段74Aへの格納を開始することができる。記憶段74Aがセキュリティ証明書で一杯になると、記憶段74Aは、その後、セキュリティ証明書の記憶段74Bへの転送を開始することができる。記憶段74Bが一杯になると、記憶段74Bは、セキュリティ証明書の記憶段74Cへの転送を開始することができ、記憶段74Cが一杯になるまで転送することができる。当然のことながら、セキュリティ証明書使用セクション62は、記憶段74A〜74Cに対して任意の適切な方法でセキュリティ証明書の格納及び取り出しを行うことができ、セキュリティ証明書記憶領域74は、任意の数の記憶段(例えば、1つの記憶段から現実的な任意の数の記憶段まで)を備えることができる。
ステップS22に戻って、コントローラ22が、セキュリティ証明書をダウンロードするための外部ソース(例えば、通信アクセスポイント40)が現在利用不可能であると判断した場合、処理はステップS24へ進み、判断部28は、HMI32を制御して、ユーザに通知又は警告(例えば、視覚的、聴覚的及び/又は触覚的警告)を出すことができる。その通知は、セキュリティ証明書が使い果たされ、できるだけ早期に補充するべきである、ということをユーザに知らせることができる。さらに、その通知は、現在利用可能なソースがない場合、ユーザがソースを探すための情報を提供することができる。例えば、判断部28は、HMI32を制御して、ホスト車両10の位置及び認証局42への通信アクセスポイント40の位置を示す、データ記憶部30のGPS記憶領域に格納されている情報、又はGPSユニット36から受信した情報、あるいはその両方に基づいて、地図を提供することができる。その地図は、各通信アクセスポイント40で利用可能な接続方式(例えば、DSRC、WiFi、セルラ方式など)も示すことができる。したがって、ユーザは、所望の通信アクセスポイント40のある場所又はそれに近接する場所までホスト車両10を運転して、セキュリティ証明書をダウンロードすることができる。さらに、ユーザは、HMI32を使用して、例えば、その通信アクセスポイント40で使用する所望の接続方式を選択することができる。又は、システムは、その通信アクセスポイント40に適した接続方式に自動的に切り替えることができる。
上記セキュリティ証明書補充プロセスに加えて、車載用通信システム12は、上述したように現状リスクレベル算出セクション60により算出されたリスクレベルを使用して、着信メッセージを管理することもできる。例えば、図5に示すように、データ記憶部30は、IPアドレスや電話番号など、識別情報を優先事項リスト記憶領域70に格納することができる。また、データ記憶部30は、その識別情報のそれぞれと関連付けられた優先レベル情報を優先レベル記憶領域72に記憶することもできる。例えば、特定の既知のIPアドレスや電話番号などに非常に高い優先レベルを付与し、未知のIPアドレス電話番号などに非常に低い優先レベルを付与することができる。
着信が通信部26により受信されると、判断部28は、識別情報(例えば、IPアドレスや電話番号など)を、優先事項リスト記憶領域70内の情報及び優先レベル記憶領域72内の対応する優先レベル情報と比較して、その着信の優先レベルを評価することができる。そして、判断部28は、その通信をユーザが受信することを許可するべきか、あるいは、抑制するべきかを判断することができる。例えば、判断部28は、その着信と関連付けられた優先レベルを、算出されたリスクレベルと比較することができる。リスクレベルが高い場合、判断部28は、非常に高い優先レベルを有する着信(例えば、配偶者や上司からのメッセージ、緊急メッセージなど)を除き、すべての着信を抑制(例えば、ボイスメールへ直接送信又は受信通知をせずに受信箱へ)するように動作することができる。これにより、判断部28は、優先レベルの高いメッセージをユーザに提供することができる。一方、リスクレベルが低い場合、判断部28は、優先度の低い着信でもユーザに提供するように動作することができる。
さらに、図4に示すように、判断部28の信頼不能署名識別・報告セクション64は、疑わしい又は信頼できない着信を識別することができる。すなわち、受信したメッセージ又は通信の内容は、例えば、送信元のリモート車両14のシステムの動作不良、あるいは、間違ったメッセージ又は情報を意図的に送信しようとする行為により、不正確かもしれないし、あるいは虚偽である可能性もある。例えば、着信に含まれる情報が疑わしい又は信頼できないように見える(例えば、その情報が、リモート車両14のスピードが規定の閾値レベルを超えていることを示している、あるいは、そのリモート車両14が規定の閾値距離よりも遠いことを示しているなどの)場合、信頼不能署名識別・報告セクション64は、その通信、ソースを識別する情報(例えば、IPアドレスや電話番号など)及びその通信のセキュリティ署名に対して、信頼できないものとしてフラグを立てる。したがって、信頼不能署名識別・報告セクション64は、この信頼できない識別情報を、後で参照するため、例えば、データ記憶部30内に位置する信頼不能署名記憶領域78に格納することができる。例えば、判断部28は、受信した通信の署名又は他の識別情報を信頼不能署名記憶領域78内の情報と比較して、この情報を無視又は抑制するべきかどうかを判断することができる。また、判断部28は、通信部26を制御して、不正行為の記録を評価及び管理する任務を負う当局へ信頼できない署名を報告する通信を行うこともできる。このように、コントローラ22は、受信した外部情報の有効性を受信した外部情報に含まれる情報に基づいて評価し、受信した外部情報が無効である可能性があると判断すると、通信部26を制御して、外部の送信先が受信するための無効性の指標を提供する。
選択された実施形態のみを取り上げて本発明を説明したが、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を逸脱することなく、本明細書において様々な変更及び改良が可能であることは、本開示から当業者には明らかであろう。1つの構成要素の機能を2つの構成要素が行うことが可能であり、その逆も可能である。ある実施形態の構造及び機能を、別の実施形態で採用することが可能である。すべての効果が特定の実施形態に同時に存在する必要はない。また、従来技術には見られない固有の特徴のそれぞれは、単独又は他の特徴との組み合わせで、そうした特徴により具体化される構造及び/又は機能上の概念を含めて、本出願人によるさらなる発明の別個の表現とみなすべきである。したがって、本発明に係る実施形態の前述の説明は、例示のみを目的としており、添付の請求項により規定される本発明及びその均等物を限定することを目的としていない。
本発明の一態様によれば、記憶装置と、通信装置と、コントローラとを用いる車載用通信システム及び方法が提供される。前記記憶装置は、複数のセキュリティ証明書を格納するように構成されている。前記通信装置は、前記車載用通信システムを搭載したホスト車両の外部にある外部情報を受信するように構成されている。前記コントローラは、前記記憶装置に格納されているセキュリティ証明書の量が第1の所定の閾値よりも少なくなったら、前記ホスト車両の外部にある少なくとも1つの通信媒体であるソースを介して、追加のセキュリティ証明書の受信を要求するプロセスを開始するべきかどうかを判断するように構成されている。さらに、前記コントローラは、前記外部情報を受信し続ける必要性の高さを示すリスクファクターを、前記受信した外部情報の量に応じて求め、前記リスクファクターに基づいて、前記プロセスを開始するべきかどうかを判断するように構成されている。
図6に示すように、ステップS11で通信部26が双方向無線通信ネットワークを介して、例えば、リモート車両14や地上又は路側ユニット18などから着信を受信すると、コントローラ22は、発信を行う準備をすることができる。当該技術分野で理解されているように、車載用通信システム12は、セキュリティ証明書を使用して、リモート車両14、地上又は路側ユニット18及び双方向無線通信ネットワーク内のその他の送信先など外部の配信先へ一斉送信されるメッセージに署名することができる。通信プロセスの一部として、車載用通信システム12は、ステップS12で、データ記憶部30に格納されている未使用のセキュリティ証明書の在庫をチェックすることができる。例えば、判断部28のセキュリティ証明書使用セクション62は、セキュリティ証明書記憶領域74に格納されている未使用のセキュリティ証明書の在庫をチェックすることができる。
次に、コントローラ22は、ステップS22で利用可能なそのようなソースがあるかどうか判断する。利用可能なソース(例えば、通信アクセスポイント40)がある場合、処理は、ステップS23へ進み、コントローラ22は、上述のように選択することのできる通信アクセスポイント40を介してセキュリティ証明書を自動的にダウンロードすることができる。すなわち、通信部26は、選択された通信アクセスポイント40を介して利用可能な認証局42へ要求を送信することができる。こうして、通信部26は、選択された通信アクセスポイント40を介して認証局からセキュリティ証明書を受信する。コントローラ22(例えば、判断部28)は、そのセキュリティ証明書をセキュリティ証明書記憶領域74の記憶段74A〜74Cに格納することができる。さらに、利用可能な通信アクセスポイント40が複数ある場合、判断部28は、HMI32を制御して、例えば、所望の認証局42又は通信アクセスポイント40の所望の方式(例えば、DSRC、WiFi、セルラ方式など)に基づいて、セキュリティ証明書を補充するのに使用する所望の通信アクセスポイント40にユーザが接続できるようにする通知(例えば、視覚的、聴覚的及び/又は触覚的)をユーザに出すことができる。ユーザは、通信アクセスポイント40のセキュリティレベル(例えば、セキュアDSRC、セキュアWiFiなど)など、通信アクセスポイント40の特性に基づいて所望の通信アクセスポイント40を選択してもよい。また、判断部28は、所定の特性(例えば、DSRC、WiFi、セルラ方式、接続の安全性など)などに基づいて、使用する通信アクセスポイント40に自動的に接続することもできる。例えば、その所定の特性は、他の通信方式よりも高い通信セキュリティレベルを持つ通信方式に関する情報を含むことができる。これにより、ユーザが何もしなくても、5.9GHz DSRC、WiFi、セルラ方式ネットワーク、衛星通信など、複数の通信アクセスポイント40を自動的に利用することができ、したがって、最大限の柔軟性が得られる。