JP2004165955A - 狭域通信車載器 - Google Patents
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Abstract
【課題】電波伝搬路が変化しても通信に必要な受信電界強度を確保できる狭域通信車載器を提供する。
【解決手段】アンテナを移動するためのアンテナ移動機構を設ける。さらに、アンテナの受信電界強度を測定し、受信電界強度が所定値以上となるようアンテナの位置を制御する。
【選択図】図1
【解決手段】アンテナを移動するためのアンテナ移動機構を設ける。さらに、アンテナの受信電界強度を測定し、受信電界強度が所定値以上となるようアンテナの位置を制御する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路上に設置された路側無線設備と車載器との間の通信により、道路料金の収受や各種情報の提供などを行う、狭域通信システムにおいて使用される狭域通信車載器に関する。
【0002】
【従来の技術】
高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)を構築するシステムの1つに、路車間通信を行う狭域通信(DSRC:Dedicated Short Range Communication)システムがある。これは道路上に設置された電波ビーコン等の無線設備(路側無線設備)と、車両に搭載された車載器との間の無線通信により、道路料金の収受や各種情報の提供などを行うものである。この狭域通信システムでは、車両が停車状態のときに路側無線設備から車載器へ音楽コンテンツなどの大量の情報をダウンロードすることがある。しかしダウンロード中に周囲の車両の移動などがあった場合、電波干渉の状態が変化し、車載器での受信電界強度が低下して正常に通信ができなくなり、ダウンロードが中断してしまうことがある。このため、複数のアンテナを用いて、受信電界強度が低下すると受信アンテナを切り替えること(スペースダイバーシティ)で、干渉による受信電界強度の低下を避ける車載器がある。(特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】
特開平10−154909号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術には、複数個のアンテナ、各アンテナへの分岐ケーブル、およびアンテナの選択と切替に用いる高周波回路等が必要であるため、狭域通信車載器のコストアップを招いている。
【0005】
本発明は、電波伝搬路が変化しても通信に必要な受信電界強度を確保できる狭域通信車載器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、路側無線設備からの電波を受信するアンテナと、アンテナで受信した高周波信号の受信電界強度を測定する測定手段と、アンテナで受信した高周波信号を復調する復調手段と、アンテナを移動する移動手段と、移動手段を制御する制御手段とを備える。
【0007】
【発明の効果】
本発明によれば、アンテナの受信電界強度を測定し、その測定結果によってアンテナを移動するよう制御して受信信号を復調することとした。したがって、コストアップがなく、情報のダウンロード中に電波伝搬路が変化しても、通信に必要な受信電界強度を確保し、ダウンロードを継続することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
――第1の実施の形態――
本発明による狭域通信車載器の第1の実施の形態によるシステム構成を図1に示す。車両1に搭載されている狭域通信車載器2は、アンテナ10、車載器本体11、アンテナ移動機構12より構成される。アンテナ10は、路側ビーコン3との間で電波の送受信を行う。また、アンテナ移動機構12と機械的に接続されており、位置を移動できるようになっている。
【0009】
車載器本体11は、車両停止信号14の入力に基づいて車両1が停止しているか否かを判断し、停止時に路側ビーコン3から送信される各種情報のダウンロードを、アンテナ10を介して行う。また、アンテナ移動制御信号13を出力してアンテナ移動機構12を制御し、アンテナ10を移動させる。
【0010】
アンテナ移動機構12は、モータとドライバ回路を含むモータ部121、回転部122、アーム123、および伸縮ケーブル124より構成される。モータ部121は、アンテナ移動機構制御信号13が入力されると、あらかじめ設定された所定のアンテナ移動距離に従って、不図示の内部のモータを動かして、回転部122を一定量だけ回転させる。回転部122とアーム123は不図示のギアにより組み合わされており、回転部122の回転運動がアーム123に伝えられ、アーム123は車両1の前後方向に移動する。アーム123の先端にはアンテナ10が取り付けられており、アーム123の移動に合わせてアンテナ10が車両1の前後方向に移動する。アンテナ10には伸縮ケーブル124が接続され、アンテナ10の移動に合わせて伸縮して、アンテナ10からの高周波信号を車載器本体11に伝える。このようにして、アンテナ移動機構制御信号13の入力により、アンテナ10は所定の移動距離ずつ移動していく。
【0011】
車載器本体11の構成ブロックを図2に示す。路側ビーコン3から送信され、アンテナ10より入力された高周波信号20は、変復調回路21に入力される。変復調回路21では、電界強度測定回路22へ受信信号電圧を出力するとともに、制御回路23からの指令により高周波信号20を復調し、復調したデータを制御回路23に出力する。電界強度測定回路22は、受信信号電圧をもとに電界強度を測定し、制御回路23へ測定値を出力する。
【0012】
制御回路23はCPUおよびその周辺回路から成り、車両停止信号14の入力に基づいて車両1が停止しているか否かを判断し、停止時にダウンロードの処理を実行する。また、アンテナ制御機構12へアンテナ移動機構制御信号13を出力し、アンテナ10を移動させる。ダウンロードしたデータはメモリ26に記憶され、操作部材25の操作などに応じて、表示・出力装置24へ表示または出力される。
【0013】
次に、第1の実施の形態による狭域通信車載器における処理の流れを図3のフローチャートを用いて説明する。この処理は、ユーザからのダウンロード要求が設定されているときに、制御回路23で実行される。なお、ユーザからのダウンロード要求は、操作部材25の操作などにより設定される。ステップS1では、車両停止信号14により、車両1が停車しているかを判断する。車両1が停車していると判断した場合、次のステップS2へ進む。停車していないと判断した場合、再度ステップS1を実行する。
【0014】
ステップS2では、電界強度測定回路22で測定された受信電界強度が所定値以上であるかを判断する。この所定値は、変復調回路21で復調するときの最小受信感度などから決定される。受信電界強度が所定値以上の場合は次のステップS3へ進む。所定値に満たない場合は、一連の処理を終了して、ダウンロードを行わない。ステップS3では、変復調回路21で復調を行い、ダウンロードを開始する。
【0015】
ステップS4では、ダウンロード中の受信電界強度が所定値以上であるかを判断する。このときの所定値は、ステップS2の判断で用いた所定値と同じ値としてもよいし、異なる値としてもよい。所定値以上の場合はステップS7へ進み、所定値に満たない場合はステップS5へ進む。ステップS5では、アンテナ移動機構12へアンテナ移動機構制御信号13を出力し、アンテナ10を所定の移動距離だけ移動させる。このときアンテナ10が移動する距離は、高周波信号20の波長などから、あらかじめ決められる。次のステップS6では、直前のステップS5でアンテナ10を移動した距離が、移動可能な最大距離に達したかを判断する。最大距離に達したと判断された場合、これ以上ダウンロードを続行できないとして、一連の処理を終了する。最大距離に達していない場合、ステップS4に戻る。
【0016】
ステップS7では、必要な全てのデータの受信が完了し、ダウンロードが終了したかを判断する。終了した場合は一連の処理を終了し、終了していない場合はステップS4に戻る。このように、ダウンロード中はステップS4〜ステップS7の処理を繰り返すことで、受信電界強度が低下してもアンテナを移動して電波の干渉状態を変化させ、受信電界強度を確保することができる。
【0017】
以上説明したとおり、車載器2は、車両1が停止状態にあることを検知すると、受信電界強度が所定値以上であるか否かを測定する。所定値以上の場合、路側ビーコン3から無線通信により各種情報のダウンロードなどを実行する。所定値未満の場合は、ダウンロードを実行しない。また、車載器2は、ダウンロードの実行中に受信電界強度が所定値を下回ると、アンテナ10を動かして、受信電界強度が所定値以上となるようにする。これにより、ダウンロードを継続できるようにする。
【0018】
上述した第1の実施の形態による狭域通信車載器によれば、次の作用効果が得られる。
(1)車両の停止を検知し、そのときに受信電界強度が所定値以上であれば、復調を開始して路側ビーコンからの情報をダウンロードすることとした。したがって、受信電界強度が低く路側ビーコンとの通信が確立できない状態のときに、無理にダウンロードを試みることを避けることができる。
(2)路側ビーコンから情報をダウンロードしている途中で、受信電界強度が所定値未満に低下したとき、アンテナを移動して受信電界強度が所定値以上となるようにした。したがって、路側ビーコンから情報をダウンロードしている途中で電波伝搬路が変化しても、通信に必要な受信電界強度を確保することができる。
【0019】
――第2の実施の形態――
本発明による狭域通信車載器の第2の実施の形態を以下に説明する。第2の実施の形態では、受信電界強度が最大となる位置へアンテナを移動してからダウンロードを開始することにより、安定した電波伝搬路を確保して、受信電界強度が途中で所定値以下となることが少なくなるようにしている。
【0020】
第2の実施の形態による狭域通信車載器における処理のフローチャートを図4に示す。この処理は、第1の実施の形態と同様に、ユーザからのダウンロード要求が設定されているときに制御回路23で実行される。ここで第1の実施の形態と同じ処理内容のステップについては、同一のステップ符号としている。なおシステム構成は第1の実施の形態と同じであるため、ここでは省略する。ステップS1では、第1の実施の形態と同じ処理を実行する。
【0021】
ステップS11では、電界強度測定回路22で測定された受信電界強度を読み込む。次のステップS12では、アンテナ移動機構12へアンテナ移動機構制御信号13を出力し、アンテナ10を所定の移動距離だけ移動させる。この移動距離は、第1の実施の形態と同様に、高周波信号20の波長などから決められる。次のステップS13では、直前のステップS12でアンテナ10を移動した距離が、移動可能な最大距離に達したかを判断する。最大距離に達していない場合はステップS11に戻り、達した場合はステップS14へ進む。ステップS11〜S13を繰り返すことで、そのときの受信電界強度とアンテナ10の位置との関係を測定する。
【0022】
ステップS14では、それまでのステップS11で測定した受信電界強度のうち、最大の値となったときのアンテナ位置へアンテナ10を移動する。次のステップS3でダウンロードを開始した後は、第1の実施の形態と同様の処理を行う。これにより、受信電界強度がダウンロードの途中で所定値以下となることを少なくすることができる。
【0023】
上述した第2の実施の形態による狭域通信車載器によれば、第1の実施の形態による狭域通信車載器と同様の作用効果に加えて、次の作用効果を得られる。車両の停止を検知すると、受信電界強度が最大となる位置にアンテナを移動してから、復調を開始して路側ビーコンからの情報をダウンロードすることとした。したがって、受信電界強度がダウンロードの途中で所定値未満となることを少なくすることができる。
【0024】
以上説明した第2の実施の形態においては、受信電界強度が最大の値となったときのアンテナ位置へアンテナ10を移動してからダウンロードを開始することとしたが、受信電界強度が通信に充分な値となったときのアンテナ位置において、ダウンロードを開始することとしてもよい。このとき、通信に充分な値としては、たとえば変復調回路21で復調するときの最小受信感度に、周囲の電波干渉状態の変化により想定される変動分の最大値を加えたものなどが、設定される。
【0025】
――第3の実施の形態――
本発明による狭域通信車載器の第3の実施の形態を以下に説明する。第3の実施の形態では、ダウンロード中にアンテナを移動する条件を、通信エラー数が所定値以上の場合としている。これにより、最小限のアンテナの移動で、通信エラーによる通信の切断を避けることができる。
【0026】
第3の実施の形態による狭域通信車載器における処理のフローチャートを図5に示す。この処理は、第1および第2の実施の形態と同様に、ユーザからのダウンロード要求が設定されているときに制御回路23で実行される。ここで第1および第2の実施の形態と同じ処理内容のステップについては、同一のステップ符号としている。なおシステム構成は第1および第2の実施の形態と同じであるため、ここでは省略する。ステップS1〜S3では、第1の実施の形態と同じ処理を実行する。
【0027】
ステップS4Aでは、第1および第2の実施の形態におけるステップS4の代わりに、通信エラー数が所定値以上であるかの判定を行う。この通信エラーの所定値は、たとえば通信切断エラー数よりも小さな値で、かつ通信切断エラー数が検出される前にアンテナを移動する時間が確保できる値として設定される。ここで、通信切断エラー数とは、連続して通信エラーが発生した回数、もしくは単位時間あたりの通信エラー数として定義され、その値を超える通信エラーが検出されると、車載器は通信を切断する。これは用いる通信方式によって決められる。また、通信エラーの判定は、たとえばCRC(Cyclic Redundancy Check)などによって行われる。通信エラー数が所定値以上であれば、ステップS5に進み、アンテナ10を移動する。所定値に満たない場合は、ステップS7へ進む。ステップS5以降は、第1および第2の実施の形態と同じ処理を実行する。
【0028】
上述した第3の実施の形態による狭域通信車載器によれば、第1の実施の形態による狭域通信車載器と同様の作用効果に加えて、次の作用効果を得られる。ダウンロード中の通信エラー数が所定値以上の場合にアンテナを移動することとしたので、最小限のアンテナの移動で、通信エラーによる通信の切断を避けることができる。
【0029】
なお、以上の説明において、アンテナ移動機構12は、アンテナ10を車両1の前後方向に直線的に移動させる構造のものを示している。しかし、これに代えて、アンテナ10を車両1の左右方向や上下方向、または曲線的に移動させるなど、任意の移動方向とするものでもよい。あるいは、受信電界強度が強くなる移動方向を選択し移動させるように構成してもよい。さらに、路側ビーコンの設置位置をナビゲーション装置等で認識し、車両の向きに応じて最適な方向へアンテナを移動させるものでもよい。また、アンテナ移動機構12を設けずに、車両に通常備わる可動部を有し、かつ路側ビーコンと通信可能な方向にアンテナ面を向けることができる場所に、アンテナを搭載してもよい。たとえば、電動制御の前席シートの上、インストパネルからポップアップするナビゲーション装置のカバー上、ワイパー等に搭載し、これを制御することでアンテナを移動することができる。
【0030】
車両停止信号14の代わりに、従来車両に備わっている信号を用いて車両1の停止を判断してもよい。たとえば、パーキングブレーキ信号や、車速センサから出力される車速パルスや車輪速度パルスを用いることができる。
【0031】
以上の実施の形態では、アンテナをアンテナ10、測定手段を電界強度測定回路22、復調手段を変復調回路21、移動手段をアンテナ移動機構12、制御手段、検知手段、およびエラー検出手段を制御回路23で実現している。しかし、これらはあくまで一例であり、本発明の特徴が損なわれない限り、各構成要素は上記実施の形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による狭域通信車載器を用いた狭域通信システムの構成を示す図
【図2】本発明による狭域通信車載器における車載器本体の構成を示すブロック図
【図3】第1の実施の形態による狭域通信車載器における、通信制御と受信アンテナ位置の制御の処理の流れを示すフローチャート
【図4】第2の実施の形態による狭域通信車載器における、通信制御と受信アンテナ位置の制御の処理の流れを示すフローチャート
【図5】第3の実施の形態による狭域通信車載器における、通信制御と受信アンテナ位置の制御の処理の流れを示すフローチャート
【符号の説明】
1 車両
2 狭域通信車載器
3 路側ビーコン
10 アンテナ
11 車載器本体
12 アンテナ移動機構
13 アンテナ移動機構制御信号
14 車両停止信号
20 高周波信号
21 変復調回路
22 電界強度測定回路
23 制御回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路上に設置された路側無線設備と車載器との間の通信により、道路料金の収受や各種情報の提供などを行う、狭域通信システムにおいて使用される狭域通信車載器に関する。
【0002】
【従来の技術】
高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)を構築するシステムの1つに、路車間通信を行う狭域通信(DSRC:Dedicated Short Range Communication)システムがある。これは道路上に設置された電波ビーコン等の無線設備(路側無線設備)と、車両に搭載された車載器との間の無線通信により、道路料金の収受や各種情報の提供などを行うものである。この狭域通信システムでは、車両が停車状態のときに路側無線設備から車載器へ音楽コンテンツなどの大量の情報をダウンロードすることがある。しかしダウンロード中に周囲の車両の移動などがあった場合、電波干渉の状態が変化し、車載器での受信電界強度が低下して正常に通信ができなくなり、ダウンロードが中断してしまうことがある。このため、複数のアンテナを用いて、受信電界強度が低下すると受信アンテナを切り替えること(スペースダイバーシティ)で、干渉による受信電界強度の低下を避ける車載器がある。(特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】
特開平10−154909号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術には、複数個のアンテナ、各アンテナへの分岐ケーブル、およびアンテナの選択と切替に用いる高周波回路等が必要であるため、狭域通信車載器のコストアップを招いている。
【0005】
本発明は、電波伝搬路が変化しても通信に必要な受信電界強度を確保できる狭域通信車載器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、路側無線設備からの電波を受信するアンテナと、アンテナで受信した高周波信号の受信電界強度を測定する測定手段と、アンテナで受信した高周波信号を復調する復調手段と、アンテナを移動する移動手段と、移動手段を制御する制御手段とを備える。
【0007】
【発明の効果】
本発明によれば、アンテナの受信電界強度を測定し、その測定結果によってアンテナを移動するよう制御して受信信号を復調することとした。したがって、コストアップがなく、情報のダウンロード中に電波伝搬路が変化しても、通信に必要な受信電界強度を確保し、ダウンロードを継続することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
――第1の実施の形態――
本発明による狭域通信車載器の第1の実施の形態によるシステム構成を図1に示す。車両1に搭載されている狭域通信車載器2は、アンテナ10、車載器本体11、アンテナ移動機構12より構成される。アンテナ10は、路側ビーコン3との間で電波の送受信を行う。また、アンテナ移動機構12と機械的に接続されており、位置を移動できるようになっている。
【0009】
車載器本体11は、車両停止信号14の入力に基づいて車両1が停止しているか否かを判断し、停止時に路側ビーコン3から送信される各種情報のダウンロードを、アンテナ10を介して行う。また、アンテナ移動制御信号13を出力してアンテナ移動機構12を制御し、アンテナ10を移動させる。
【0010】
アンテナ移動機構12は、モータとドライバ回路を含むモータ部121、回転部122、アーム123、および伸縮ケーブル124より構成される。モータ部121は、アンテナ移動機構制御信号13が入力されると、あらかじめ設定された所定のアンテナ移動距離に従って、不図示の内部のモータを動かして、回転部122を一定量だけ回転させる。回転部122とアーム123は不図示のギアにより組み合わされており、回転部122の回転運動がアーム123に伝えられ、アーム123は車両1の前後方向に移動する。アーム123の先端にはアンテナ10が取り付けられており、アーム123の移動に合わせてアンテナ10が車両1の前後方向に移動する。アンテナ10には伸縮ケーブル124が接続され、アンテナ10の移動に合わせて伸縮して、アンテナ10からの高周波信号を車載器本体11に伝える。このようにして、アンテナ移動機構制御信号13の入力により、アンテナ10は所定の移動距離ずつ移動していく。
【0011】
車載器本体11の構成ブロックを図2に示す。路側ビーコン3から送信され、アンテナ10より入力された高周波信号20は、変復調回路21に入力される。変復調回路21では、電界強度測定回路22へ受信信号電圧を出力するとともに、制御回路23からの指令により高周波信号20を復調し、復調したデータを制御回路23に出力する。電界強度測定回路22は、受信信号電圧をもとに電界強度を測定し、制御回路23へ測定値を出力する。
【0012】
制御回路23はCPUおよびその周辺回路から成り、車両停止信号14の入力に基づいて車両1が停止しているか否かを判断し、停止時にダウンロードの処理を実行する。また、アンテナ制御機構12へアンテナ移動機構制御信号13を出力し、アンテナ10を移動させる。ダウンロードしたデータはメモリ26に記憶され、操作部材25の操作などに応じて、表示・出力装置24へ表示または出力される。
【0013】
次に、第1の実施の形態による狭域通信車載器における処理の流れを図3のフローチャートを用いて説明する。この処理は、ユーザからのダウンロード要求が設定されているときに、制御回路23で実行される。なお、ユーザからのダウンロード要求は、操作部材25の操作などにより設定される。ステップS1では、車両停止信号14により、車両1が停車しているかを判断する。車両1が停車していると判断した場合、次のステップS2へ進む。停車していないと判断した場合、再度ステップS1を実行する。
【0014】
ステップS2では、電界強度測定回路22で測定された受信電界強度が所定値以上であるかを判断する。この所定値は、変復調回路21で復調するときの最小受信感度などから決定される。受信電界強度が所定値以上の場合は次のステップS3へ進む。所定値に満たない場合は、一連の処理を終了して、ダウンロードを行わない。ステップS3では、変復調回路21で復調を行い、ダウンロードを開始する。
【0015】
ステップS4では、ダウンロード中の受信電界強度が所定値以上であるかを判断する。このときの所定値は、ステップS2の判断で用いた所定値と同じ値としてもよいし、異なる値としてもよい。所定値以上の場合はステップS7へ進み、所定値に満たない場合はステップS5へ進む。ステップS5では、アンテナ移動機構12へアンテナ移動機構制御信号13を出力し、アンテナ10を所定の移動距離だけ移動させる。このときアンテナ10が移動する距離は、高周波信号20の波長などから、あらかじめ決められる。次のステップS6では、直前のステップS5でアンテナ10を移動した距離が、移動可能な最大距離に達したかを判断する。最大距離に達したと判断された場合、これ以上ダウンロードを続行できないとして、一連の処理を終了する。最大距離に達していない場合、ステップS4に戻る。
【0016】
ステップS7では、必要な全てのデータの受信が完了し、ダウンロードが終了したかを判断する。終了した場合は一連の処理を終了し、終了していない場合はステップS4に戻る。このように、ダウンロード中はステップS4〜ステップS7の処理を繰り返すことで、受信電界強度が低下してもアンテナを移動して電波の干渉状態を変化させ、受信電界強度を確保することができる。
【0017】
以上説明したとおり、車載器2は、車両1が停止状態にあることを検知すると、受信電界強度が所定値以上であるか否かを測定する。所定値以上の場合、路側ビーコン3から無線通信により各種情報のダウンロードなどを実行する。所定値未満の場合は、ダウンロードを実行しない。また、車載器2は、ダウンロードの実行中に受信電界強度が所定値を下回ると、アンテナ10を動かして、受信電界強度が所定値以上となるようにする。これにより、ダウンロードを継続できるようにする。
【0018】
上述した第1の実施の形態による狭域通信車載器によれば、次の作用効果が得られる。
(1)車両の停止を検知し、そのときに受信電界強度が所定値以上であれば、復調を開始して路側ビーコンからの情報をダウンロードすることとした。したがって、受信電界強度が低く路側ビーコンとの通信が確立できない状態のときに、無理にダウンロードを試みることを避けることができる。
(2)路側ビーコンから情報をダウンロードしている途中で、受信電界強度が所定値未満に低下したとき、アンテナを移動して受信電界強度が所定値以上となるようにした。したがって、路側ビーコンから情報をダウンロードしている途中で電波伝搬路が変化しても、通信に必要な受信電界強度を確保することができる。
【0019】
――第2の実施の形態――
本発明による狭域通信車載器の第2の実施の形態を以下に説明する。第2の実施の形態では、受信電界強度が最大となる位置へアンテナを移動してからダウンロードを開始することにより、安定した電波伝搬路を確保して、受信電界強度が途中で所定値以下となることが少なくなるようにしている。
【0020】
第2の実施の形態による狭域通信車載器における処理のフローチャートを図4に示す。この処理は、第1の実施の形態と同様に、ユーザからのダウンロード要求が設定されているときに制御回路23で実行される。ここで第1の実施の形態と同じ処理内容のステップについては、同一のステップ符号としている。なおシステム構成は第1の実施の形態と同じであるため、ここでは省略する。ステップS1では、第1の実施の形態と同じ処理を実行する。
【0021】
ステップS11では、電界強度測定回路22で測定された受信電界強度を読み込む。次のステップS12では、アンテナ移動機構12へアンテナ移動機構制御信号13を出力し、アンテナ10を所定の移動距離だけ移動させる。この移動距離は、第1の実施の形態と同様に、高周波信号20の波長などから決められる。次のステップS13では、直前のステップS12でアンテナ10を移動した距離が、移動可能な最大距離に達したかを判断する。最大距離に達していない場合はステップS11に戻り、達した場合はステップS14へ進む。ステップS11〜S13を繰り返すことで、そのときの受信電界強度とアンテナ10の位置との関係を測定する。
【0022】
ステップS14では、それまでのステップS11で測定した受信電界強度のうち、最大の値となったときのアンテナ位置へアンテナ10を移動する。次のステップS3でダウンロードを開始した後は、第1の実施の形態と同様の処理を行う。これにより、受信電界強度がダウンロードの途中で所定値以下となることを少なくすることができる。
【0023】
上述した第2の実施の形態による狭域通信車載器によれば、第1の実施の形態による狭域通信車載器と同様の作用効果に加えて、次の作用効果を得られる。車両の停止を検知すると、受信電界強度が最大となる位置にアンテナを移動してから、復調を開始して路側ビーコンからの情報をダウンロードすることとした。したがって、受信電界強度がダウンロードの途中で所定値未満となることを少なくすることができる。
【0024】
以上説明した第2の実施の形態においては、受信電界強度が最大の値となったときのアンテナ位置へアンテナ10を移動してからダウンロードを開始することとしたが、受信電界強度が通信に充分な値となったときのアンテナ位置において、ダウンロードを開始することとしてもよい。このとき、通信に充分な値としては、たとえば変復調回路21で復調するときの最小受信感度に、周囲の電波干渉状態の変化により想定される変動分の最大値を加えたものなどが、設定される。
【0025】
――第3の実施の形態――
本発明による狭域通信車載器の第3の実施の形態を以下に説明する。第3の実施の形態では、ダウンロード中にアンテナを移動する条件を、通信エラー数が所定値以上の場合としている。これにより、最小限のアンテナの移動で、通信エラーによる通信の切断を避けることができる。
【0026】
第3の実施の形態による狭域通信車載器における処理のフローチャートを図5に示す。この処理は、第1および第2の実施の形態と同様に、ユーザからのダウンロード要求が設定されているときに制御回路23で実行される。ここで第1および第2の実施の形態と同じ処理内容のステップについては、同一のステップ符号としている。なおシステム構成は第1および第2の実施の形態と同じであるため、ここでは省略する。ステップS1〜S3では、第1の実施の形態と同じ処理を実行する。
【0027】
ステップS4Aでは、第1および第2の実施の形態におけるステップS4の代わりに、通信エラー数が所定値以上であるかの判定を行う。この通信エラーの所定値は、たとえば通信切断エラー数よりも小さな値で、かつ通信切断エラー数が検出される前にアンテナを移動する時間が確保できる値として設定される。ここで、通信切断エラー数とは、連続して通信エラーが発生した回数、もしくは単位時間あたりの通信エラー数として定義され、その値を超える通信エラーが検出されると、車載器は通信を切断する。これは用いる通信方式によって決められる。また、通信エラーの判定は、たとえばCRC(Cyclic Redundancy Check)などによって行われる。通信エラー数が所定値以上であれば、ステップS5に進み、アンテナ10を移動する。所定値に満たない場合は、ステップS7へ進む。ステップS5以降は、第1および第2の実施の形態と同じ処理を実行する。
【0028】
上述した第3の実施の形態による狭域通信車載器によれば、第1の実施の形態による狭域通信車載器と同様の作用効果に加えて、次の作用効果を得られる。ダウンロード中の通信エラー数が所定値以上の場合にアンテナを移動することとしたので、最小限のアンテナの移動で、通信エラーによる通信の切断を避けることができる。
【0029】
なお、以上の説明において、アンテナ移動機構12は、アンテナ10を車両1の前後方向に直線的に移動させる構造のものを示している。しかし、これに代えて、アンテナ10を車両1の左右方向や上下方向、または曲線的に移動させるなど、任意の移動方向とするものでもよい。あるいは、受信電界強度が強くなる移動方向を選択し移動させるように構成してもよい。さらに、路側ビーコンの設置位置をナビゲーション装置等で認識し、車両の向きに応じて最適な方向へアンテナを移動させるものでもよい。また、アンテナ移動機構12を設けずに、車両に通常備わる可動部を有し、かつ路側ビーコンと通信可能な方向にアンテナ面を向けることができる場所に、アンテナを搭載してもよい。たとえば、電動制御の前席シートの上、インストパネルからポップアップするナビゲーション装置のカバー上、ワイパー等に搭載し、これを制御することでアンテナを移動することができる。
【0030】
車両停止信号14の代わりに、従来車両に備わっている信号を用いて車両1の停止を判断してもよい。たとえば、パーキングブレーキ信号や、車速センサから出力される車速パルスや車輪速度パルスを用いることができる。
【0031】
以上の実施の形態では、アンテナをアンテナ10、測定手段を電界強度測定回路22、復調手段を変復調回路21、移動手段をアンテナ移動機構12、制御手段、検知手段、およびエラー検出手段を制御回路23で実現している。しかし、これらはあくまで一例であり、本発明の特徴が損なわれない限り、各構成要素は上記実施の形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による狭域通信車載器を用いた狭域通信システムの構成を示す図
【図2】本発明による狭域通信車載器における車載器本体の構成を示すブロック図
【図3】第1の実施の形態による狭域通信車載器における、通信制御と受信アンテナ位置の制御の処理の流れを示すフローチャート
【図4】第2の実施の形態による狭域通信車載器における、通信制御と受信アンテナ位置の制御の処理の流れを示すフローチャート
【図5】第3の実施の形態による狭域通信車載器における、通信制御と受信アンテナ位置の制御の処理の流れを示すフローチャート
【符号の説明】
1 車両
2 狭域通信車載器
3 路側ビーコン
10 アンテナ
11 車載器本体
12 アンテナ移動機構
13 アンテナ移動機構制御信号
14 車両停止信号
20 高周波信号
21 変復調回路
22 電界強度測定回路
23 制御回路
Claims (6)
- 路側無線設備からの電波を受信するアンテナと、
前記アンテナで受信した高周波信号の受信電界強度を測定する測定手段と、
前記アンテナで受信した高周波信号を復調する復調手段と、
前記アンテナを移動する移動手段と、
前記測定手段の測定結果に応じて前記移動手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする狭域通信車載器。 - 請求項1の狭域通信車載器において、
車両が停止したことを検知する検知手段をさらに備え、
前記復調手段は、前記検知手段により車両の停止を検知し、前記測定手段による測定値が所定値以上となったときに、復調を開始することを特徴とする狭域通信車載器。 - 請求項1の狭域通信車載器において、
車両が停止したことを検知する検知手段をさらに備え、
前記復調手段は、前記検知手段により車両の停止を検知し、前記測定手段による測定値が前記移動手段により前記アンテナを移動可能な範囲で通信に充分な値かまたは最大の値となったときに、復調を開始することを特徴とする狭域通信車載器。 - 請求項2の狭域通信車載器において、
前記復調手段は、前記検知手段により車両の停止を検知し、前記測定手段による測定値が前記移動手段により前記アンテナを移動可能な範囲で通信に充分な値かまたは最大の値となったときに、復調を開始することを特徴とする狭域通信車載器。 - 請求項1〜4のいずれかの狭域通信車載器において、
前記制御手段は、前記復調手段により復調を行う間、前記測定手段による測定値が所定値未満となったときに、前記測定値が所定値以上となるよう前記移動手段を制御することを特徴とする狭域通信車載器。 - 請求項1〜4のいずれかの狭域通信車載器において、
前記復調手段により復調した情報が正しくないことを検出する通信エラー検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記復調手段により復調を行う間、前記通信エラー検出手段により検出された通信エラー数が所定値以上となったときに、前記通信エラー数が所定値未満となるよう前記移動手段を制御することを特徴とする狭域通信車載器。
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JP2010108418A (ja) * | 2008-10-31 | 2010-05-13 | Toshiba Corp | 無線検針装置および無線検針システム |
WO2015133207A1 (ja) * | 2014-03-04 | 2015-09-11 | 日産自動車株式会社 | 車載用通信システム及び車載用通信方法 |
-
2002
- 2002-11-13 JP JP2002329147A patent/JP2004165955A/ja active Pending
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