JPWO2015115493A1 - インクジェット記録媒体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
これらの用途には、それぞれに適した構成のインクジェット記録媒体が提案されている。例えば、主に文字を記録する場合は、紙基材上に直接記録する普通紙タイプの媒体が使用され、より高精細な画質と高い発色性を得たい場合は、基材上にインク受容層を塗工して設けた塗工紙タイプの媒体が使用される。特に、銀塩写真に匹敵するような高い光沢度が要求される場合は、インク受容層などの塗工層の最外層をキャストコート法により形成したキャスト紙タイプの媒体などが使用される。
特に書籍、カタログの分野においては、必要な時に必要な分だけ印刷し、滞留在庫と返品処理を削減してコストダウンにつなげる、あるいは、オフセット印刷方式ではコストが合わないような絶版書籍を、要望に応じて少量再版するなど、少ロット対応が容易であるというインクジェット印刷方式の特徴を活かした、各種の試みが行われている。
加えて、カタログの分野においては、例えば割引クーポンとして使用可能とするためのバーコード印刷や、ホームページへ誘導するための二次元バーコード印刷などが行われている。上述の可変情報の連続印刷が可能であることと相まって、インクジェット印刷方式にもバーコード読み取り適性が要求されてきているが、線太りはバーコード読み取り適性の低下を引き起こすため、この点においても線太りの抑制は重要である。
インクジェット記録方式において発色性を向上させるためには、前述のとおり塗工紙タイプのインクジェット記録媒体を用いることが知られている。塗工紙タイプのインクジェット記録媒体は、一般にシリカ、酸化アルミニウム(アルミナ)など空隙の多い嵩高な顔料と、ポリビニルアルコール、澱粉などのバインダーを主体とするインク受容層を基材上に塗工して設けることにより、インク吸収性に優れ、高精細な画質・高い発色性を発現できる。しかし、一般にカオリン、クレーなどの顔料を塗工するオフセット印刷用記録媒体とは風合いが異なること、筆記適性が劣ることに加え、基材からインク受容層が脱落する現象(粉落ち)が起きやすいという問題がある。
塗工紙タイプのインクジェット記録媒体におけるこれらの問題を改善するため、特定の填料とサイズ剤を用いた基材に非球状カチオン性コロイダルシリカを含有するインク受容層を設けたインクジェット記録シート(特許文献1〜3)、特定の基材の表面を酸化アルミニウム(アルミナ)を主体とする組成物の微粒子無機顔料で被覆したインクジェット印字用シート(特許文献4)など、基材上にインク受容層を片面あたり固形分で塗工量0.1〜10g/m2程度設けたインクジェット記録媒体が開示されている。
一方、インク受容層の顔料を分散し、スラリーの状態とする際に、炭酸カルシウムはシリカや酸化アルミニウム(アルミナ)より分散が容易でスラリーの粘度が低くなるため、スラリーの高濃度化が可能である。そのため、インク受容層の塗工液の高濃度化が可能であり、塗工液を乾燥させる際の負荷が小さくインクジェット記録媒体を高速で製造することが可能となる。更に、インク受容層の塗工液を高濃度化すると、塗工液中のバインダーが基材に浸透する現象(マイグレーション)が起こりにくく、インク受容層の塗工ムラが小さく高精細な画質が得られると共に、インク受容層の表面強度が良好となる。
しかし、一般にインクジェット記録媒体は、印刷画像に耐水性を付与するため媒体中にカチオン性の化合物を含有させ、インクジェットインク中のアニオン性の色剤とイオン結合によるイオンコンプレックスを作らせて定着させる。ここで、インク受容層の顔料として炭酸カルシウムを使用すると、インク受容層の塗工液を調製する際に、塗工液の安定性が劣るという問題が発生する。すなわち、炭酸カルシウムは通常アニオン性の分散剤を用いて分散し、スラリーの状態で使用するが、前記インクジェットインク中の色剤の定着作用を有するカチオン性の化合物(以下、「インクジェットインク用定着剤」とする。)は、インク受容層の塗工液を調製するため炭酸カルシウムのスラリーと混合すると、アニオン性の分散剤がカチオン性のインクジェットインク用定着剤と反応してその効果を失い、炭酸カルシウムが凝集、沈降するため塗工液の安定性が劣る。
さらに、炭酸カルシウムのインク吸収性はシリカ、アルミナより劣るため、印字画像の発色性(印字濃度)、精細性(滲み)が劣るという問題があり、シリカ、アルミナより線太りも発生しやすい。従って、炭酸カルシウムを多く(厚く)基紙上に塗工してもインク吸収性は改善されず、かえって精細性(滲み)が低下して線太りが悪化することもある。特に、インクジェット記録媒体の坪量(つまり、基紙の厚み)が低い場合には、印字後の記録媒体が波打つ(ボコつく)、いわゆる「コックリング」の問題が発生しやすい。「コックリング」は、インクジェット記録媒体の両面に印字した場合に特に顕著に発生する。
従って、本発明は、安価な炭酸カルシウムを顔料の主成分(50質量%以上)とし、インクジェット印字の際のインクの乾燥性と耐水性に優れ、高精細な画質と高い発色性を有し、且つ、オフセット印刷タイプの風合いと筆記適性のある、線太りが抑制されたインクジェット記録媒体及びその製造方法を提供することにある。
特に、バインダーが澱粉を主成分とする場合に、バインダーの割合を特定の範囲とすることが重要であることを見出した。
さらに、炭酸カルシウムは基紙よりもインク吸収性が低いため、炭酸カルシウムを顔料の主成分としてインク受容層に用いた場合に、好ましくは塗工量が少ない方がかえってインク吸収性が向上すること、また、いわゆる後計量塗工方式と呼ばれるブレード法等で炭酸カルシウムを含むインク受容層を塗工すると、厚みムラが局所的に生じ、塗工が厚い(インク受容層の塗工量が多い)部分でインク吸収性が劣り、印字ムラが生じると共に、塗工が薄い(インク受容層の塗工量が少ない)部分ではインク吸収性が過剰となり、筋抜けが生じるため、高精細な画質が得られない場合があることが判明した。そして、炭酸カルシウムを含むインク受容層を、好ましくは、いわゆる前計量塗工方式と呼ばれるトランスファーロール法で塗工することで、印字ムラと筋抜けをさらに改善させ、高精細な画質を得ることに成功した。
さらに、本発明のインクジェット記録媒体の製造方法として、インク吸収性に劣る炭酸カルシウムを顔料の主成分として用いても、インク受容層中のバインダー及びインクジェットインク用定着剤と炭酸カルシウムとの割合を調整し、さらにサイズ剤を含有しない基紙を用いてインクジェット記録媒体(つまり、基紙)のステキヒトサイズ度を小さくして吸収性を高めることで、印字性能を改善させることに成功した。
蒸留水0.004mlによる、滴下0.06秒後の前記インク受容層の接触角が40度以上であってもよい。
蒸留水0.004mlによる、滴下0.06秒後の前記インク受容層の接触角が40度未満であってもよい。
前記インクジェット記録媒体の坪量が、30.0g/m2以上70.0g/m2以下であることが好ましい。
前記インク受容層に含有する前記炭酸カルシウムのレーザー光散乱法で測定した体積50%平均粒子径(D50)が0.3〜10.0μmであることが好ましい。
前記インク受容層がトランスファーロール法により塗工されてなることが好ましい。
前記インク受容層に含有する前記顔料全量に対し、炭酸カルシウムが固形分で50質量%以上であり、
前記インク受容層100質量部に対し、前記顔料の固形分が70質量部以上85質量部未満、前記バインダーの固形分が10質量部を超え20質量部以下、及び前記インクジェットインク用定着剤の固形分が5質量部以上20質量部未満含有され、
前記インク受容層の点滴吸水度(滴下水の量を0.001mlとする以外は、紙パルプ技術協会 J.TAPPI No.32−2:2000に規定される点滴吸水度に準じる。)が200秒以下、
前記インクジェット記録媒体のJIS−P−8122に規定されるステキヒトサイズ度が5秒以下、
であるインクジェット記録媒体である。
本発明のインク受容層は顔料を含有する。インク受容層に含有する顔料としては、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、焼成カオリン、クレー、珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、タルク、ゼオライト、プラスチックピグメント等の公知の顔料が例示可能である。又、要求品質に応じてこれらを併用することも可能である。
インク受容層用塗工液中の顔料(炭酸カルシウム及び他の顔料の合計)の配合量は、インク受容層用塗工液の固形分100質量部に対し、固形分で70質量部以上85質量部未満であり、好ましくは72〜82質量部であり、より好ましくは75〜80質量部である。顔料の配合量を上記範囲にすることで、インク受容層の表面強度とインク吸収性のバランスが良好となる。
ここで、インク受容層が平滑過ぎて滑りすぎると鉛筆で筆記することが困難である。一方、シリカやアルミナ等の嵩高な顔料を使用すると、インク受容層表面に微細な凹凸が生じて鉛筆が引っ掛かり易くなるため、インク受容層の表層が掻き取られてしまい、やはり筆記適性が劣る。これに対し、インク受容層中に炭酸カルシウムを多く(固形分で50質量%以上)含ませると、インク受容層の凹凸が適度な状態となり、鉛筆が滑り過ぎず、かつ引っ掛かり過ぎないので筆記適性が良好になる。
本発明の炭酸カルシウムは、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムのいずれでも良い。また、その結晶型は、カルサイト結晶型、アラゴナイト結晶型、バテライト結晶型のいずれでも良い。更に、粒子形態として、立方形、紡錘形、柱状、針状、球状、不定形の塊状やこれらが3次元的に絡み合った形など、特に限定されずいずれも使用可能であるが、インク受容層用塗工液の高粘度化を抑制し、高固形分化することが容易となるため不定形の塊状のものが好ましい。
本発明で使用する炭酸カルシウムの粒子径は特に限定されないが、通常、レーザー光散乱法で測定した体積50%平均粒子径(D50)が0.01〜20μmの物を使用する。特にD50が0.3〜10.0μmの物を使用すると、顔料のスラリーとインク受容層の塗工液の高濃度化が容易であり、インク受容層の塗工ムラが小さく塗工適性にも優れるため好ましい。レーザー光散乱法によるD50の測定は、MALVERN社製MASTER SIZER Sなどを使用して行うことが可能である。
本発明のインク受容層はバインダーを含有する。インク受容層に含有するバインダーとしては、一般的な塗工紙に使用される公知のバインダーが使用可能であり特に制限されないが、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、末端アルキル変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロースなどのセルロースエーテル及びその誘導体;澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉(例えば、ヒドロキシエチル化澱粉など)、カチオン化澱粉などの澱粉類;ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミドなどのポリアクリルアミド類;ポリエステルポリウレタン系樹脂、ポリエーテルポリウレタン系樹脂、ポリウレタン系アイオノマー樹脂などのウレタン系樹脂;スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル共重合体などのスチレン−ブタジエン系樹脂;ブタジエン−アクリロニトリル共重合体;不飽和ポリエステル樹脂;ポリ酢酸ビニル;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリアクリル酸エステル;カゼイン;ゼラチン;アラビヤゴム;ポリビニルブチラール;ポリスチロース及びそれらの共重合体;シリコーン樹脂;石油樹脂;テルペン樹脂;ケトン樹脂;クマロン樹脂などを例示することができる。これらは併用してもよい。
インク受容層の表面強度とインク吸収性のバランスを重視する場合は、バインダーとしてポリビニルアルコール類を使用することが好ましい。ポリビニルアルコール類を使用する場合、その種類は要求される性能に従って決定され、特に限定されるものではなく、1種類のポリビニルアルコール類を単独で使用する、2種類以上のポリビニルアルコール類を併用する、ポリビニルアルコール類と他のバインダーを併用する、のいずれであってもよいが、2種類以上のポリビニルアルコール類を併用する、あるいはポリビニルアルコール類と他のバインダーを併用することが好ましい。
また、線太りの抑制を重視する場合は、バインダーとして澱粉類を使用することが好ましい。特にバインダーが澱粉を主成分(インク受容層中の全バインダーに対し50質量%以上)とすると、線太りが効果的に抑制されると共にインク吸収性が過剰となって筋抜けが生じることがないため好ましい。なお、筋抜け及び線太りの抑制をバランスよく達成するためには、インク受容層中に界面活性剤を含まない、あるいはインク受容層の塗工量を片面あたり固形分で20.0g/m2以下とすることが好ましい。
特に、バインダーが澱粉を主成分とする場合に、バインダーの配合量が固形分で10質量部以下であると、インク吸収性が過剰となり、筋抜けが生じると共に線太りが抑制され過ぎ、線が細くなり過ぎて貧相になるため、従来のオフセット印刷方式による印刷物と同等の文字品位が得られない。また、インク受容層の表面強度が不足して、基材からインク受容層が脱落する現象(粉落ち)が発生しやすくなる。更に、上述の炭酸カルシウム等の顔料を保護する保護コロイドとしての効果が十分に発現せず、インク受容層用塗工液の安定性が劣ることがあるので、バインダーの配合量が固形分で10質量部を超えることが有効である。
本発明のインク受容層はインクジェットインク用定着剤を含有する。本発明のインク受容層に使用するインクジェットインク用定着剤としては、一般的なインクジェット記録媒体に使用される公知のカチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤が使用可能であり特に制限されないが、ポリエチレンイミン4級アンモニウム塩誘導体、ポリアミンポリアミドエピハロヒドリン縮重合体、アンモニアとモノアミンやポリアミン等のアミン類とエピハロヒドリン類とを反応させてなる縮重合物(ジアルキルアミン・アンモニア・エピクロロヒドリン縮重合体等)、ジシアンジアミド・ホルムアルデヒド樹脂、ジエチレントリアミン・ジシアンジアミド・アンモニウムクロライド重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物等の、カチオン性の水溶性高分子が好ましい。本発明では、インクジェット印字の際の耐水性が特に優れるため、アンモニアとアミン類とエピハロヒドリン類とを反応させてなる縮重合物が特に好ましい。
前記アミン類の例としては、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、ポリアルキレンポリアミン、及びアルカノールアミンモノアミン等を挙げることができる。第2級アミンの具体例としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、メチルオクチルアミン、メチルラウリルアミン、ジベンジルアミン等を、第3級アミンの具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリ−tert−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリベンジルアミン等を挙げることができ、これらは単独あるいは2種類以上を混合して使用可能である。本発明では、第2級アミンであるジメチルアミン及びジエチルアミンが特に好ましい。
前記エピハロヒドリン類の例としては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、メチルエピクロルヒドリン等を挙げることができ、これらは単独あるいは2種類以上を混合して使用可能である。本発明では、エピクロロヒドリンが特に好ましい。
前記アンモニアとアミン類とエピハロヒドリン類とを反応させてなる縮重合物の合成方法としては、例えば、特開平10−152544号公報や、特開平10−147057号公報記載の公知の方法を用いることができる。
本発明のインク受容層中のインクジェットインク用定着剤の配合量は、インク受容層100質量部に対し、固形分で5質量部以上20質量部未満であり、好ましくは7〜18質量部であり、最も好ましくは10〜15質量部である。インクジェットインク用定着剤の配合量を上記範囲にすることで、画質とインクジェット印字の際の耐水性が良好となる。
本発明のインク受容層には、その他必要に応じて、顔料分散剤、増粘剤、保水剤、滑剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、サイズ剤、発泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料、防腐剤、耐水化剤、界面活性剤、pH調整剤、耐電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の助剤を適宜添加することができる。
塗工工程では、インク受容層は、基紙の片面のみに設けても基紙の両面に設けて良い。また、インク受容層は1層であっても2層以上であっても良い。本発明においては1層であっても十分な性能が得られるため、操業性の向上やコストの低減の点からインク受容層は1層であることが好ましい。
さらに、インク受容層の平滑性を向上させるために、インク受容層用塗工液を塗工してインク受容層を形成する前の基紙の表面に、前記顔料とバインダーを主体とする、オフセット印刷用媒体におけるプレコート層(下塗り層)を設けても良い。本発明において、前記プレコート層(下塗り層)を設ける場合、インクジェット記録媒体の最表層はインク受容層であることが必須である。
インク受容層用塗工液(すなわち、得られたインク受容層)の塗工量は、所望の品質に応じて適宜選択可能であり、特に制限を設けないが、片面あたり固形分で0.5g/m2以上20.0g/m2以下であることが好ましく、片面あたり1.0g/m2以上15.0g/m2以下であることがより好ましく、片面あたり3.0g/m2以上10.0g/m2以下であることが特に好ましい。インク受容層用塗工液の塗工量が片面あたり固形分で0.5g/m2未満であると、基紙の被覆が不十分となって印字品質や質感(オフセット印刷タイプの風合い)が安定しないことがある。
一方、インク受容層用塗工液の塗工量を多くすると、得られたインク受容層の空隙量が多くなるため、インクジェット印字の際のインク吸収性は良好となる。しかしながら、炭酸カルシウムは基紙よりもインク吸収性が低いため、インク受容層用塗工液の塗工量が片面あたり固形分で15.0g/m2を超えると、インク吸収性がかえって低下してしまい、インクジェット印字の際のインクの乾燥性が低下する可能性がある。更に、片面あたり固形分で20.0g/m2を超えると、オフセット印刷タイプの風合いが得られにくくなる、得られたインク受容層の表面強度が低下する、コックリング(波打ち)が発生しやすくなることがある。
本発明において、基紙上にインク受容層用塗工液を塗工してインク受容層を設ける方法は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従って塗工することができる。また、塗工装置としては、一般的な塗工装置であるブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ゲートロールコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、フレキソグラビアコーター、スプレーコーター、サイズプレス等の各種装置を、オンマシンまたはオフマシンで適宜使用することができる。
本発明では、ゲートロールコーター、ロッドメタリングサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス等の、いわゆる前計量方式の塗工装置を使用してインク受容層を設けると、ブレードコーター、エアーナイフコーター、バーコーター等の、いわゆる後計量方式の塗工装置を使用してインク受容層を設けるよりも、得られたインク受容層の厚みムラが少なくなり、印字ムラが生じにくいため好ましい。
炭酸カルシウムは基紙よりもインク吸収性が低いため、炭酸カルシウムを顔料の主成分としてインク受容層に用いた場合にインク吸収性を良好とするには、インク受容層用塗工液の塗工量を片面あたり固形分で15.0g/m2以下とすることが好ましい。ところが、いわゆる後計量塗工方式と呼ばれるブレード法、バーブレード法、エアーナイフ法等では、基紙に塗工液を載せてから掻き落とすため、インク受容層の厚みムラが局所的に生じることがある。そのため、インク受容層が厚い(塗工量が多い)部分ではインク吸収性が劣り、印字ムラが生じると共に、インク受容層が薄い(塗工量が少ない)部分ではインク吸収性が過剰となり、筋抜けが生じることがある。さらに、後計量方式で塗工量を低くするため、塗工液を希釈すると、バインダーが基紙に浸透(マイグレーション)しやすくなり、それに起因して塗工ムラが大きくなってしまうことがある。特にエアーナイフ法で塗工量を低くするため、塗工速度を速くすると、インク受容層表面に欠陥(風紋と呼ばれるエアナイフパターン)が生じやすくなる。
そこで、いわゆる前計量塗工方式と呼ばれるトランスファーロール法でインク受容層を塗工することで、インク受容層の厚みムラが少なくなり、印字ムラと筋抜けを改善させることができる。
トランスファーロール法に用いるコーターの具体例としては、ゲートロールコーター、ロッドメタリングサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレスなどが挙げられる。これらは基紙の両面に同時に塗工できると共に、マシン(抄紙機)上に容易に設置できる塗工方式である。
特に、一般に基紙の片面あたり3本(両面計6本)のロールによって塗工するゲートロールコーターは、巻き線バー又は溝彫りのバ−等により塗工液を計量し、基紙に塗工するロッドメタリングサイズプレスに比べ、インク受容層の厚みムラが特に少なく、印字ムラと筋抜けが共に良好であるため好ましい。
以上のことから、インク受容層中の顔料、バインダー及びインクジェットインク用定着剤の配合割合が重要となる。特に、親水性の高いポリビニルアルコール類、澱粉類、及びポリアクリルアミド類をバインダーとして用いた場合に、インクジェットインク用定着剤がバインダーに溶け込み易く、上記した問題が生じやすいので、本発明がより有効となる。
特に、上述のように線太りの抑制を重視して、バインダーが澱粉を主成分(50質量%以上)とする場合には、バインダーの配合量が固形分で10質量部以下であると、インク吸収性が過剰となり、線太りは抑制されるが筋抜けが生じると共に、従来のオフセット印刷方式による印刷物と同等の文字品位が得られない。また、インク受容層の表面強度が不足して、基材からインク受容層が脱落する現象(粉落ち)が発生しやすくなる。更に、上述の保護コロイドとしての効果が十分に発現せず、インク受容層用塗工液の安定性が低下して均質なインク受容層を形成することが困難になるため、バインダーの配合量が固形分で10質量部を超えることが有効となる。
本発明の基紙としては、シート状のものであれば、公知であるもの全て使用する事ができるが、価格や入手が安易である事から、木材パルプを主成分とする紙を用いる事が好ましい。木材パルプとしては、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グラウンドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミカルサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ等のパルプを単独または任意の割合で混合して使用することができる。
基紙に填料を含有させると、基紙の不透明度と平滑性が向上するため好ましい。填料としては、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂填料等の公知の填料が例示可能である。又、要求品質に応じてこれらを併用することも可能である。
本発明では、基紙に填料として炭酸カルシウムを含有させると、オフセット印刷タイプの風合いが得られやすいため好ましい。
基紙には、紙力増強やサイズ性付与などを目的とし、澱粉、ポリビニルアルコール、サイズ剤などを含有するサイズ液を含浸または塗工しても良い。また、サイズ液には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて蛍光染料、導電剤、保水剤、耐水化剤、pH調整剤、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、界面活性剤等の助剤を含有しても良い。サイズ液の含浸または塗工の方法については特に制限されないが、ポンド式サイズプレスに代表される含浸法、または、ロッドメタリングサイズプレス、ゲートロールコーター、ブレードコーターに代表される塗工法が例示可能である。
本発明のインクジェット記録媒体は、インク受容層の点滴吸水度が200秒以下である。
この点滴吸水度は、滴下水の量を1μl(0.001ml)とした以外は、紙パルプ技術協会 J.TAPPI No.32−2:2000(紙−吸水試験方法−第2部:滴下法)に準じて測定する。即ち、測定用試験片(紙)を水平に張り、その測定面(即ち、感熱記録層を設ける面)に、蒸留水1μl(0.001ml)を滴下したときの、目視観察で水滴が吸収されるまでの時間を測定する。この測定用試験片(紙)の大きさは、この測定ができるものであればよく、例えば、直径が少なくとも40mm程度の円形のものを用いてもよい。
点滴吸水度は、時間(秒)で表わされ、点滴吸水度が高いほど吸水性は低く、点滴吸水度が低いほど吸水性は高い。
本発明において、インク受容層の点滴吸水度が200秒以下であることによりインクジェット印字の際のインクの乾燥性が良好となる。インク受容層の点滴吸水度が200秒を超えると、インクの乾燥性が劣り、印字後のインクジェット記録媒体から他のインクジェット記録媒体などに未乾燥のインクが転写して汚れる問題が発生すると共に、画像の周辺部の滲み、特に文字の縁における毛羽立ち(フェザリング)や、異なる色の境界で色が混ざり合って発生する滲み(ブリーディング)が著しくなる。また、線太りの抑制が困難となる。
さらに、本発明において、上記したインク受容層の点滴吸水度が、インクジェット記録媒体を厚さ方向に剥がしたとき、基紙が露出してなる分割面の点滴吸水度以下であることが好ましい。インク受容層の点滴吸水度が、分割面の点滴吸水度以下である、即ち、インクジェット記録媒体の内層より表層の方が吸収性が高いと、インクジェット印字の際に、インクジェットインク中の水などの溶媒が迅速にインク受容層中に拡散し、インク受容層表面のインクが速やかに減少するため、インクの乾燥性が良好となる。更に、溶媒が拡散した状態で基材に吸収されるため、インクが偏在化して基材を貫通し、インクジェット記録媒体の裏面(印字面と逆側の面)に到達することで発生する、いわゆる「裏抜け」の問題が抑制される。
インクジェット記録媒体をインク受容層表面から厚さ方向に剥がすと、インク受容層の強度より基紙の強度の方が低いため、基紙の厚み方向の所定位置で面方向に沿って基紙が破断して露出する。この基紙の露出面を「分割面」とする。インク受容層を剥離する方法としては、粘着テープを貼付して剥離、分割する方法や、湿潤状態で凍結剥離試験機(熊谷理機工業社製、シートスプリッター)を使用して分割する方法などを挙げることができる。
なお、インク受容層中のバインダーと、インクジェットインク用定着剤はインク受容層の点滴吸水度を上昇させる。従って、インク受容層の点滴吸水度を200秒以下とする方法としては、インク受容層100質量部に対し、バインダーの配合量は20質量部以下、インクジェットインク用定着剤の配合量は20質量部以下とすることが一例として挙げられる。
本発明のインクジェット記録媒体は、JIS−P−8122に規定されるステキヒトサイズ度が5秒以下である。
ステキヒトサイズ度は、時間(秒)で表わされ、ステキヒトサイズ度が高いほど吸水性は低く、ステキヒトサイズ度が低いほど吸水性は高い。
本発明において、インクジェット記録媒体のステキヒトサイズ度が5秒以下であることにより、インク吸収性に劣る炭酸カルシウムを顔料の主成分として用いても、インクジェット印字の際のインクの乾燥性が良好となる。インクジェット記録媒体のステキヒトサイズ度が5秒を超えると、インクの乾燥性が劣り、印字後のインクジェット記録媒体から他のインクジェット記録媒体などに未乾燥のインクが転写して汚れる問題が発生すると共に、画像の周辺部の滲み、特に文字の縁における毛羽立ち(フェザリング)や、異なる色の境界で色が混ざり合って発生する滲み(ブリーディング)が著しくなる。また、線太りの抑制が困難となる。
インクの乾燥性を向上させるためには、実際には基紙のステキヒトサイズ度を小さくするが、インクジェット記録媒体の製品から基紙のステキヒトサイズ度を測定することは困難であり、基紙のステキヒトサイズ度が小さければインクジェット記録媒体のステキヒトサイズ度も小さくなるので、インクジェット記録媒体のステキヒトサイズ度を規定した。
なお、インクジェット記録媒体のステキヒトサイズ度を5秒以下にする方法としては、基紙中に内添サイズ剤を配合しないか、又はサイズ剤の配合量を少なくすることが挙げられる。外添サイズ剤についても同様である。また、インク受容層中のバインダーと、インクジェットインク用定着剤はステキヒトサイズ度を上昇させる。特にバインダーは、その造膜性によりステキヒトサイズ度を上昇させる。この点からもバインダーの配合量は20質量部以下、インクジェットインク用定着剤の配合量は20質量部以下とすることが好ましい。
本発明のインクジェット記録媒体は、蒸留水0.004ml(4μl)による、滴下0.06秒後のインク受容層の接触角を40度以上、又は40度未満に調整することが好ましい。
接触角は、角度(度)で表わされ、接触角が高いほど滴下した液滴の広がりが小さく、接触角が低いほど滴下した液滴の広がりが大きい。
本発明において、インク受容層の接触角を40度以上に調整することにより、インクジェット印字の際のムラが小さく、画像の周辺部の滲み、特に文字の縁における毛羽立ち(フェザリング)や、異なる色の境界で色が混ざり合って発生する滲み(ブリーディング)が小さい、高精細な画質が得られる。更に、線太りの抑制が容易となる。
一方、インク受容層の接触角を40度未満に調整することにより、インクが広がるので、筋抜け(筋状の未印字部)の抑制が容易となり、インクの乾燥性が向上する。従って、用途に応じてインク受容層の接触角を調整すればよい。
インク受容層の接触角を40度以上とする方法としては、インク受容層中のバインダーの配合量を1質量部以上、インクジェットインク用定着剤の配合量を5質量部以上とすることが挙げられる。一方、インク受容層の接触角を40度未満とする方法としては、インク受容層中に界面活性剤を含有させることが挙げられる。本発明で使用する界面活性剤の種類は特に制限されないが、エステル型、エーテル型、グリコール型等の非イオン系界面活性剤;カルボン酸型、リン酸エステル型等のアニオン系界面活性剤;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキメチレン)・メチルポリシロキサン共重合体等のシリコーン系界面活性剤;などが例示可能である。グリコール型の非イオン系界面活性剤は、例えばサンノプコ社製の製品名サーフィノール104P(アセチレングリコール型非イオン系界面活性剤)として入手可能である。
本発明のインク受容層は、基紙の片面のみに設けても基紙の両面に設けて良い。また、インク受容層は1層であっても2層以上であっても良い。本発明においては1層であっても十分な性能が得られるため、操業性の向上やコストの低減の点からインク受容層は1層であることが好ましい。
さらに、インク受容層の平滑性を向上させるために、インク受容層と基紙との間に、前記顔料とバインダーを主体とする、オフセット印刷用媒体におけるプレコート層(下塗り層)を設けても良い。本発明において、前記プレコート層(下塗り層)を設ける場合、インクジェット記録媒体の最表層はインク受容層であることが必須である。
本発明のインクジェット記録媒体は、必要に応じて表面の平滑性、光沢、風合いなどを調整するために、インク受容層を設けた後に、ハードニップカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、シューカレンダー等の各種カレンダー処理装置を、オンマシンまたはオフマシンで適宜使用することができる。カレンダー処理を行う場合の温度、速度、線圧、処理段数、カレンダーロールの径、材質等の各種処理条件も、必要に応じて適宜調整可能である。
抄紙工程は、サイズ剤を添加せず、パルプを主成分とするパルプスラリーを抄紙して基紙を形成する。サイズ剤を含有しない基紙を用いてインクジェット記録媒体を製造すると、インクジェット記録媒体(つまり、基紙)のステキヒトサイズ度を小さくして吸収性を高め、印字性能を改善させることができる。
ここで、抄紙工程においては、抄紙装置内の系内にサイズ剤を添加しないが、本発明以外の基紙を共通の抄紙装置を用いて形成する場合には、循環して使用される抄造水にサイズ剤が残留することがある。但し、この残留分のサイズ剤の濃度は測定できないほど低い。そこで、「サイズ剤を含有しない」とは、抄造装置内の系内にサイズ剤が含まれないか、本発明の製造方法によって得られたインクジェット記録媒体のJIS−P−8122に規定されるステキヒトサイズ度が5秒以下となるレベルの含有量とする。
なお、基紙の形成後にサイズ剤を塗布(外添)してもよいが、この場合も、ステキヒトサイズ度が5秒以下となるレベルで塗布(外添)する必要がある。
下記のように基紙を用意した。
(基紙)
パルプ原料としてカナダ標準濾水度(CSF)390mlの広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)87部とCSF480mlの針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)13部を使用し、パルプ100部に対して、紙力増強剤(カチオン化澱粉)0.5部、硫酸アルミニウム0.55部、炭酸カルシウム13部を配合してパルプスラリー1を調製した。
次いで、パルプスラリー1を長網抄造機で抄造して、坪量80g/m2の基紙を得た。
下記配合からなる配合物を攪拌分散してインク受容層用塗工液1とした。
<インク受容層用塗工液1>
重質炭酸カルシウム
(三共精粉社製、製品名:エスカロン#200、D50:4.9μm)100.0部
完全ケン化ポリビニルアルコール1
(クラレ社製、製品名:PVA117) 9.5部
完全ケン化ポリビニルアルコール2
(クラレ社製、製品名:PVA103) 3.5部
インクジェットインク用定着剤
(星光PMC社製、製品名:DK6800、ポリアミンエピハロヒドリン系樹脂)
15.0部
水 32.0部
下記配合からなる配合物を攪拌分散してインク受容層用塗工液2とした。
<インク受容層用塗工液2>
重質炭酸カルシウム
(三共精粉社製、製品名:エスカロン#200、D50:4.9μm)100.0部
尿素リン酸エステル化澱粉
(三和澱粉社製、製品名:PLV−500) 13.0部
インクジェットインク用定着剤
(星光PMC社製、製品名:DK6800、ポリアミンエピハロヒドリン系樹脂)
15.0部
水 32.0部
下記配合からなる配合物を攪拌分散してインク受容層用塗工液3とした。
<インク受容層用塗工液3>
重質炭酸カルシウム
(三共精粉社製、製品名:エスカロン#200、D50:4.9μm)100.0部
尿素リン酸エステル化澱粉
(三和澱粉社製、製品名:PLV−500) 15.0部
インクジェットインク用定着剤
(星光PMC社製、製品名:DK6800、ポリアミンエピハロヒドリン系樹脂)
15.0部
水 32.0部
インク受容層用塗工液3の尿素リン酸エステル化澱粉(三和澱粉社製、製品名:PLV−500)の配合量を18.0部とした以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
インク受容層用塗工液3の尿素リン酸エステル化澱粉(三和澱粉社製、製品名:PLV−500)の配合量を22.0部とした以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
インク受容層用塗工液3の尿素リン酸エステル化澱粉(三和澱粉社製、製品名:PLV−500)の配合量を27.0部とした以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
インク受容層用塗工液3の重質炭酸カルシウム(三共精粉社製、製品名:エスカロン#200、D50:4.9μm)の代わりに重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製、製品名:FMT−90、D50:1.2μm)100.0部を配合した以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
インク受容層用塗工液3の重質炭酸カルシウム(三共精粉社製、製品名:エスカロン#200、D50:4.9μm)の代わりに重質炭酸カルシウム(三共精粉社製、製品名:エスカロン#200、D50:4.9μm)70.0部及びシリカ(東ソー・シリカ社製、製品名:AY−200)30.0部を配合した以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
インク受容層用塗工液3の重質炭酸カルシウム(三共精粉社製、製品名:エスカロン#200、D50:4.9μm)の代わりに重質炭酸カルシウム(三共精粉社製、製品名:エスカロン#200、D50:4.9μm)50.0部及びシリカ(東ソー・シリカ社製、製品名:AY−200)50.0部を配合した以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
基紙のパルプ原料としてCSF390mlのLBKP87部とCSF480mlのNBKP13部を使用し、パルプ100部に対して、中性ロジンサイズ剤(星光PMC社製、製品名:CC1401)0.1部、紙力増強剤(カチオン化澱粉)0.5部、硫酸アルミニウム0.55部、炭酸カルシウム13部を配合した以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
インク受容層用塗工液3のインクジェットインク用定着剤の配合量を6.0部とした以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
インク受容層用塗工液3のインクジェットインク用定着剤の配合量を13.0部とした以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
インク受容層用塗工液3のインクジェットインク用定着剤の配合量を22.0部とした以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
インク受容層用塗工液3のインクジェットインク用定着剤の配合量を26.0部とした以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
インク受容層用塗工液3を固形分で塗工量を2.0g/m2となるように塗工した以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
インク受容層用塗工液3を固形分で塗工量を9.0g/m2となるように塗工した以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
インク受容層用塗工液3を固形分で塗工量を14.0g/m2となるように塗工した以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
インク受容層用塗工液3を固形分で塗工量を21.0g/m2となるように塗工した以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
インク受容層用塗工液3を固形分で塗工量を5.0g/m2となるようにブレードコーターを用いて塗工した以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
インク受容層用塗工液3を固形分で塗工量を5.0g/m2となるようにエアーナイフコーターを用いて塗工した以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
下記配合からなる配合物を攪拌分散してインク受容層用塗工液とした。
<インク受容層用塗工液4>
重質炭酸カルシウム
(三共精粉社製、製品名:エスカロン#200、D50:4.9μm)100.0部
尿素リン酸エステル化澱粉
(三和澱粉社製、製品名:PLV−500) 15.0部
インクジェットインク用定着剤
(星光PMC社製、製品名:DK6800、ポリアミンエピハロヒドリン系樹脂)
15.0部
界面活性剤(サンノプコ社製、製品名:サーフィノール104P) 1.5部
水 32.0部
インク受容層用塗工液1の炭酸カルシウムの配合量を0部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
インク受容層用塗工液2の炭酸カルシウムの配合量を0部とした以外は、実施例2と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
インク受容層用塗工液1の完全ケン化ポリビニルアルコール1、2の配合量をそれぞれ0部とした以外は、実施例1と同様に行ったが、基材上に顔料を保持することができないためインク受容層が形成できず、インクジェット記録媒体を作製することができなかった(即ち、塗工不能)。
インク受容層用塗工液1のインクジェットインク用定着剤の配合量を0部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
インク受容層用塗工液2のインクジェットインク用定着剤の配合量を0部とした以外は、実施例2と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
インク受容層用塗工液1の炭酸カルシウムの代わりに炭酸カルシウム(ファイマテック社製、製品名:FMT−90、D50:1.2μm)40.0部およびカオリン(イメリス社製、製品名:KCS)60.0部を配合した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
インク受容層用塗工液2の炭酸カルシウムの代わりに炭酸カルシウム(ファイマテック社製、製品名:FMT−90、D50:1.2μm)40.0部およびカオリン(イメリス社製、製品名:KCS)60.0部を配合した以外は、実施例2と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
基紙のパルプ原料としてCSF390mlのLBKP87部とCSF480mlのNBKP13部を使用し、パルプ100部に対して、中性ロジンサイズ剤(星光PMC社製、製品名:CC1401)0.4部、紙力増強剤(カチオン化澱粉)0.5部、硫酸アルミニウム0.55部、炭酸カルシウム13部を配合した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
基紙のパルプ原料としてCSF390mlのLBKP87部とCSF480mlのNBKP13部を使用し、パルプ100部に対して、中性ロジンサイズ剤(星光PMC社製、製品名:CC1401)0.25部、紙力増強剤(カチオン化澱粉)0.5部、硫酸アルミニウム0.55部、炭酸カルシウム13部を配合した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
基紙のパルプ原料としてCSF390mlのLBKP87部とCSF480mlのNBKP13部を使用し、パルプ100部に対して、中性ロジンサイズ剤(星光PMC社製、製品名:CC1401)0.25部、紙力増強剤(カチオン化澱粉)0.5部、硫酸アルミニウム0.55部、炭酸カルシウム13部を配合した以外は、実施例2と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
インク受容層用塗工液2の尿素リン酸エステル化澱粉(三和澱粉社製、製品名:PLV−500)の配合量を30.0部とした以外は、実施例2と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
インク受容層用塗工液2の尿素リン酸エステル化澱粉(三和澱粉社製、製品名:PLV−500)の配合量を11.0部とした以外は、実施例2と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
<発色性>
作製したインクジェット記録媒体について、市販の染料インクジェットプリンター(製品名:PM−A940、セイコーエプソン社製、印字条件:普通紙/標準モード)を使用して、黒、シアン、マゼンタ、イエローのベタ印字を行った。1日後にマクベス濃度計(Gretag Macbeth RD−19)を用いて各色の印字濃度を測定し、4色の合計値で発色性を評価した。
<印字ムラ(画質)>
作製したインクジェット記録媒体について、市販の染料インクジェットプリンター(製品名:PM−A940、セイコーエプソン社製、印字条件:普通紙/標準モード)を使用して、隣接する赤と緑のベタ印字(各々の大きさ:縦2cm×横3cm)を行い、以下の基準で評価した。評価が◎〜△であれば実用上問題はない。
◎:ムラがなく均一なベタとなっており、ベタ部の周囲及び2色間の境界での滲みは見られない。
○:部分的に多少ムラが見られるが、概ね均一なベタとなっており、ベタ部の周囲及び2色間の境界での滲みは見られない。
△:部分的なムラが見られる、またはベタ部の周囲及び2色間の境界での滲みが見られる。
×:斑点状のムラが目立つ、またはベタ部の周囲及び2色間の境界での滲みが目立つ
作製したインクジェット記録媒体について、市販の顔料インクジェットプリンター(製品名:PX−V630、セイコーエプソン社製、印字条件:スーパーファイン/きれいモード)を使用して、マゼンタのベタ印字(大きさ:縦2cm×横3cm)を行い、筋状の未印字部(筋抜け)の発生について以下の基準で評価した。評価が◎〜△であれば実用上問題はない。
◎:筋抜けがなく均一なベタとなっている。
○:部分的に多少筋抜けが見られるが、概ね均一なベタとなっている。
△:部分的な筋抜けが見られる。
×:筋抜けが目立つ。
<インクの乾燥性(吸収性)>
作製したインクジェット記録媒体について、市販の顔料インクジェットプリンター(製品名:PX−V630、セイコーエプソン社製、印字条件:スーパーファイン/きれいモード)を使用して黒のベタ印字(大きさ:縦2cm×横3cm)を行い、印字5秒後又は印字10秒後に印字面の上に坪量80g/m2の上質紙1枚を重ね、直径10cm、幅13cm、重量2.7kgのゴムローラーで1回加圧した後、上質紙に転写された黒ベタの濃度をマクベス濃度計(Gretag Macbeth RD−19)を用いて測定し、以下の基準で評価した。評価が◎〜△であれば実用上問題はない。
◎:上質紙に転写された黒ベタの濃度が0.10未満である。
○:上質紙に転写された黒ベタの濃度が0.10以上0.15未満である。
△:上質紙に転写された黒ベタの濃度が0.15以上0.20未満である。
×:上質紙に転写された黒ベタの濃度が0.20以上である。
作製したインクジェット記録媒体について、市販の染料インクジェットプリンター(製品名:PM−A940、セイコーエプソン社製、印字条件:普通紙/標準モード)及び電子写真用レーザープリンター(製品名:LP−S7100、セイコーエプソン社製、印字条件:きれいモード)を使用して、それぞれ幅0.3mmの黒色の直線画像を印字した。
電子写真用レーザープリンターで印字した直線画像の幅と染料インクジェットプリンターで印字した直線画像の幅から、下記式にて線太り率を算出した。線太り率が97%以上107%以下であると、線太りが抑制されてオフセット印刷方式と同等の文字品位、バーコード読み取り適性が得られるため好ましい。
線太り率(%)=(上記染料インクジェットプリンターで印字した直線画像の幅/上記電子写真用レーザープリンターで印字した直線画像の幅)×100
作製したインクジェット記録媒体について、市販の染料インクジェットプリンター(製品名:PM−A940、セイコーエプソン社製、印字条件:普通紙/標準モード)を使用して、黒のベタ印字(大きさ:縦2cm×横15cm)を行い、コックリング(波打ち)の発生について以下の基準で評価した。評価が◎〜△であれば実用上問題はない。
○:波打ちが小さく、凹凸はほとんど見られない。
△:波打ちがやや大きく、凹凸が若干目立つ。
×:波打ちが大きく、凹凸が目立つ。
<耐水性>
作製したインクジェット記録媒体について、市販の染料インクジェットプリンター(製品名:PM−A940、セイコーエプソン社製、印字条件:普通紙/標準モード)を使用して、マゼンタで10ポイントの文字印字を行った。1日後に文字上に水を垂らして、文字の滲み具合を、以下の基準で評価した。評価が◎〜△であれば実用上問題はない。
○:全く滲まない。
△:滲むが、文字は判読可能。
×:文字が滲み、判読不可能。
作製したインクジェット記録媒体について、インク受容層用表面の面感を目視にて下記の基準で評価した。評価が◎〜△であれば実用上問題はない。
○:オフセット印刷タイプの風合いが得られている。
△:オフセット印刷タイプに近い風合いが得られている。
×:オフセット印刷タイプの風合いが得られない。
<筆記適性>
作製したインクジェット記録媒体について、JIS KJIS5600−5−4(ISO/DIN 15184)鉛筆硬度試験に準じてインク受容層用表面に鉛筆で筆記し、筆記可能な最低硬度で筆記適性を評価した。
「筆記適性」は、インク受容層に鉛筆、ボールペン、万年筆等の筆記具で書き込みをする際の「書きやすさ」の指標である。鉛筆が硬いほど筆記し難くなることから、より硬い鉛筆で筆記できるほど、筆記適性が良好である。評価に使用する鉛筆を柔らかい方から順に以下に記載する。H以上の硬さの鉛筆で筆記できる場合、筆記適性が良好であるとみなした。
(軟)6B−5B−4B−3B−2B−B−HB−F−H−2H−3H−4H−5H−6H(硬)
粘着テープを貼付して剥離、分割する方法(手順)は以下のとおりである。
1)インクジェット記録媒体(大きさ:縦15cm×横7cm)を用意する。
2)インクジェット記録媒体のインク受容層側の全面を覆うように、粘着テープ(日東電工(株)製ポリエステル粘着テープ、No.31B)を貼付する。粘着テープの周縁をインクジェット記録媒体の周縁よりも外側へ1cm程度はみ出させ、はみ出した粘着テープをインクジェット記録媒体の上端より上側へ折り曲げて、持ち手とする。
3)貼付した粘着テープの上記した持ち手を持ち、粘着テープを上方へ引き剥がす。
4)1回の剥離動作で基紙が露出しない場合は、基紙が露出するまで3)〜4)を繰り返し行う。
特にバインダーが澱粉を主成分(インク受容層中の全バインダーに対し50質量%以上)とし、且つ、インク受容層中に界面活性剤を含まない、又はインク受容層の塗工量を片面あたり固形分で20.0g/m2以下とした実施例2〜17、19、20では、線太りが97%以上107%以下となって効果的に抑制されると共に、インク吸収性が過剰となって筋抜けが生じることがなく良好であった。
なお、顔料全量に対し、炭酸カルシウムの含有割合が下限(50質量%)である実施例9の場合、炭酸カルシウムが固形分で50質量%を超えた他の実施例に比べ、筆記可能な鉛筆の硬度が低いと共に、線太りの好ましい範囲の下限(97%)となったが実用上問題はない。又、インク受容層中のインクジェットインク用定着剤の含有割合が上限(20質量部)に近い実施例14の場合も、線太りの好ましい範囲の下限(97%)となった。
ブレードコーターを用いて塗工した実施例19とエアーナイフコーターを用いて塗工した実施例20の場合、トランスファーロール法であるゲートロールコーターを用いて塗工した他の実施例に比べて、筋抜け(実施例19)、又は印字ムラ(画質)、筋抜け、及び風合い(実施例20)がやや劣ったが実用上問題はない。
インク受容層がバインダーを含まない比較例3の場合、インク受容層を塗工することができなかった。
インク受容層がインクジェットインク用定着剤を含まない比較例4、比較例5の場合、耐水性が劣った。又、比較例4では線太りも生じた。
インク受容層中の顔料全量に対し、炭酸カルシウムの含有割合が50質量%未満であり、インク受容層の点滴吸水度が200秒を超えた比較例6、比較例7の場合、発色性が劣ると共に、印字ムラ(画質)や線太りが生じ、インクの乾燥性が劣った。なお、比較例6、比較例7の場合、ベタムラと滲みが目立って印字ムラ(画質)が生じたが、滲みが多い分、筋抜けは生じなかった。
更にサイズ剤が比較例9、比較例10よりも多いため、ステキヒトサイズ度が5秒を大幅に超えた比較例8の場合、更に印字ムラ(画質)、コックリングも劣った。インク受容層の点滴吸水度が200秒を超えた比較例11では、更に印字ムラ(画質)が劣った。
なお、比較例8、比較例9、比較例10、比較例11は、ベタムラと滲みが目立って印字ムラ(画質)が生じたが、滲みが多い分、筋抜けは生じなかった。
蒸留水0.004mlによる、滴下0.06秒後の前記インク受容層の接触角が40度未満であってもよい。
前記インク受容層に含有する前記顔料全量に対し、炭酸カルシウムが固形分で50質量%以上であり、
前記インク受容層100質量部に対し、前記顔料の固形分が70質量部以上85質量部未満、前記バインダーの固形分が10質量部を超え20質量部以下、及び前記インクジェットインク用定着剤の固形分が5質量部以上20質量部未満含有され、
前記インク受容層の点滴吸水度(滴下水の量を0.001mlとする以外は、紙パルプ技術協会 J.TAPPI No.32−2:2000に規定される点滴吸水度に準じる。)が200秒以下、
前記インクジェット記録媒体のJIS−P−8122に規定されるステキヒトサイズ度が5秒以下、
であり、前記バインダーが澱粉からなるインクジェット記録媒体である。
下記のように基紙を用意した。
(基紙)
パルプ原料としてカナダ標準濾水度(CSF)390mlの広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)87部とCSF480mlの針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)13部を使用し、パルプ100部に対して、紙力増強剤(カチオン化澱粉)0.5部、硫酸アルミニウム0.55部、炭酸カルシウム13部を配合してパルプスラリー1を調製した。
次いで、パルプスラリー1を長網抄造機で抄造して、坪量80g/m2の基紙を得た。
下記配合からなる配合物を攪拌分散してインク受容層用塗工液1とした。
<インク受容層用塗工液1>
重質炭酸カルシウム
(三共精粉社製、製品名:エスカロン#200、D50:4.9μm)100.0部
完全ケン化ポリビニルアルコール1
(クラレ社製、製品名:PVA117) 9.5部
完全ケン化ポリビニルアルコール2
(クラレ社製、製品名:PVA103) 3.5部
インクジェットインク用定着剤
(星光PMC社製、製品名:DK6800、ポリアミンエピハロヒドリン系樹脂)
15.0部
水 32.0部
Claims (9)
- 基紙の少なくとも片方の面に、顔料、バインダー、及びカチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤を含有するインク受容層を設けたインクジェット記録媒体であって、
前記インク受容層が含有する前記顔料全量に対し、炭酸カルシウムが固形分で50質量%以上であり、
前記インク受容層100質量部に対し、前記顔料の固形分が70質量部以上85質量部未満、前記バインダーの固形分が10質量部を超え20質量部以下、及び前記インクジェットインク用定着剤の固形分が5質量部以上20質量部未満含有され、
前記インク受容層の点滴吸水度(滴下水の量を0.001mlとする以外は、紙パルプ技術協会 J.TAPPI No.32−2:2000に規定される点滴吸水度に準じる。)が200秒以下、
前記インクジェット記録媒体のJIS−P−8122に規定されるステキヒトサイズ度が5秒以下、
であることを特徴とするインクジェット記録媒体。 - 前記バインダーが澱粉を主成分とすることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
- 蒸留水0.004mlによる、滴下0.06秒後の前記インク受容層の接触角が40度以上である請求項1又は2に記載のインクジェット記録媒体。
- 蒸留水0.004mlによる、滴下0.06秒後の前記インク受容層の接触角が40度未満である請求項1又は2に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記インク受容層の前記点滴吸水度が、前記インクジェット記録媒体を前記インク受容層表面から厚さ方向に剥がしたとき、前記基紙が露出してなる分割面の点滴吸水度(滴下水の量を0.001mlとする以外は、紙パルプ技術協会 J.TAPPI No.32−2:2000に規定される点滴吸水度に準じる。)以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記インクジェット記録媒体の坪量が、30.0g/m2以上70.0g/m2以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記インク受容層に含有する前記炭酸カルシウムのレーザー光散乱法で測定した体積50%平均粒子径(D50)が0.3〜10.0μmである請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記インク受容層がトランスファーロール法により塗工されてなる請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体。
- サイズ剤を添加せず、パルプを主成分とするパルプスラリーを抄紙して基紙を形成する抄紙工程と、
前記基紙の少なくとも片方の面に、前記顔料、前記バインダー、及び前記カチオン性の化合物からなる前記インクジェットインク用定着剤を含有するインク受容層用塗工液を塗工してインク受容層を形成する塗工工程とを有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
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