JP2017177498A - インクジェット記録媒体 - Google Patents

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幸二 久津輪
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Abstract

【課題】インクジェット印字の際のインクの耐水性に優れ、コックリングが少なく、高精細な画質と高い発色性を有し、且つ、オフセット印刷タイプの風合いと高い光沢を有するインクジェット記録媒体を提供する。【解決手段】基紙の少なくとも片方の面に、顔料及びバインダーを含有し、インクジェットインク用定着剤を含有しない下塗り層と、顔料、バインダー、及びインクジェットインク用定着剤を含有するインク受容層と、をこの順序で設けたインクジェット記録媒体であって、下塗り層の顔料全量に対し、炭酸カルシウムが固形分で80重量%以上であり、インク受容層の顔料全量に対し、炭酸カルシウムが固形分で50重量%以上であり、インク受容層の点滴吸水度が600秒以上3000秒以下、インクジェット記録媒体のステキヒトサイズ度が10秒以上50秒以下、インクジェット記録媒体の光入射角75度の白紙光沢度が50%以上85%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、基紙上にインク受容層を設けたインクジェット記録媒体に関し、より詳細には、顔料を含有するインク受容層を有し、インクジェット印字の際の耐水性に優れ、高精細な画質と高い発色性を有し、且つ、オフセット印刷タイプの風合いのあるインクジェット記録媒体に関する。
インクジェット記録方式は、フルカラー化が容易なことや印字時の騒音が少ないことなどから、印字性能の急速な向上に伴い多くの用途に利用されてきている。これらの用途として、例えば、文書作成ソフトからの文書記録、デジタル写真などのデジタル画像の記録、銀塩写真や本などの美麗な印刷体をスキャナーで取り込んでの複製、比較的少枚数のポスターなどの展示用画像作成が挙げられる。
これらの用途には、それぞれに適した構成のインクジェット記録媒体が提案されている。例えば、主に文字を記録する場合は、紙基材上に直接記録する普通紙タイプの媒体が使用され、より高精細な画質と高い発色性を得たい場合は、基材上にインク受容層を塗工して設けた塗工紙タイプの媒体が使用される。特に、銀塩写真に匹敵するような高い光沢度が要求される場合は、インク受容層などの塗工層の最外層をキャストコート法により形成したキャスト紙タイプの媒体などが使用される。
インクジェット記録方式の種々の分野への展開の一つとして、印刷分野が挙げられる。従来この分野では、主にオフセット印刷方式が用いられてきたが、この方式は印刷用の版を製版する必要がある。一方、インクジェット記録方式は、印刷用の版を製版する必要がないため、少ロット印刷への対応が容易で安価であり、環境にも優しい。また、一部毎に異なる可変情報の連続印刷が可能であること、色調整等が容易で印刷機の操作に熟練する必要がないことなどのメリットがある。
ここで、インクジェット記録方式によりオフセット印刷方式を代替することを考慮すると、インクジェット記録方式による印刷物にも、従来のオフセット印刷方式による印刷物と同等の風合いが求められる。また、オフセット印刷方式はインクが媒体の表面に留まりやすいのに対し、インクジェット記録方式はインクが媒体の中まで浸透しやすいため、オフセット印刷方式と比較すると発色性が劣る傾向が見られる。
インクジェット記録方式において発色性を向上させるためには、前述のとおり塗工紙タイプのインクジェット記録媒体を用いることが知られている。塗工紙タイプのインクジェット記録媒体は、一般にシリカ、酸化アルミニウム(アルミナ)など空隙の多い嵩高な顔料と、ポリビニルアルコール、澱粉などのバインダーを主体とするインク受容層を基材上に塗工して設けることにより、インク吸収性に優れ、高精細な画質・高い発色性を発現できる。しかし、一般にカオリン、クレーなどの顔料を塗工するオフセット印刷用記録媒体とは風合いが異なることに加え、基材からインク受容層が脱落する現象(粉落ち)が起きやすいという問題がある。
塗工紙タイプのインクジェット記録媒体におけるこれらの問題を改善するため、特定の填料とサイズ剤を用いた基材に非球状カチオン性コロイダルシリカを含有するインク受容層を設けたインクジェット記録シート(特許文献1〜3)、特定の基材の表面を酸化アルミニウム(アルミナ)を主体とする組成物の微粒子無機顔料で被覆したインクジェット印字用シート(特許文献4)など、基材上にインク受容層を片面あたり固形分で塗工量0.1〜10g/m程度設けたインクジェット記録媒体が開示されている。
又、支持体上に、炭酸カルシウム及びクレーを含む白色顔料並びにアクリルアミド/ジアリルアミン系共重合体及びスチレン−ブタジエン系共重合体を含むバインダーからなる塗工層を設けた、インクジェット記録適性とオフセット印刷適性を兼ね備えた記録用紙(特許文献5)が開示されている。さらに、本出願人は、軽質炭酸カルシウムの粒度分布をシャープにエンジニアード化したエンジニアード炭酸カルシウムを、微粒カオリンと配合した顔料をインク受容層に用いる技術を開発した(特許文献6)。
一方、本出願人は、上記問題を解決し得る技術として、オフセット印刷タイプの風合いのあるインクジェット記録媒体を開発した(特許文献7)。特許文献7記載の技術は、顔料、バインダー、及びカチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤を含有するインク受容層を有し、さらに顔料の主成分を安価な炭酸カルシウムとしている。
特開平07−017126号 特開平07−017127号 特開平07−025131号 特開2001−246831号 特開2004−082464号公報 特開2009−234894号公報 特許第5455280号公報
しかし、特許文献1〜3、又は特許文献4のインクジェット記録媒体は、インク受容層の顔料としてコロイダルシリカや酸化アルミニウム(アルミナ)といった非常に高価なものを使用しているため、得られるインクジェット記録媒体は高価であることに加え、インクジェット印字の際のインクの乾燥性が劣る。また、オフセット印刷用記録媒体とは風合いが異なり、光沢も十分ではない。
特許文献5記載の記録用紙は、白色顔料として炭酸カルシウム及びクレーを使用するため、安価且つオフセット印刷タイプの風合いを有する。しかし、バインダーとしてアクリルアミド/ジアリルアミン系共重合体を使用すると、特に顔料インクを用いたインクジェット印字の際のインクの乾燥性が劣る。特に、クレーの配合量が多いと、インクの吸収が阻害されるため、インクジェット印字の際のインクの乾燥性が著しく劣ると共に、画質、発色性共に十分な品質を得ることが難しい。
また、特許文献6記載の技術の場合、オフセット印刷用グロス調塗工紙の風合いについては検討しておらず、オフセット印刷用グロス調塗工紙としては白紙光沢度が十分ではない。
また、特許文献7記載の技術の場合も、白紙光沢度を改善する余地がある。
一方、インク受容層の顔料を分散し、スラリーの状態とする際に、炭酸カルシウムはシリカや酸化アルミニウム(アルミナ)より分散が容易でスラリーの粘度が低くなるため、スラリーの高濃度化が可能である。そのため、インク受容層の塗工液の高濃度化が可能であり、塗工液を乾燥させる際の負荷が小さくインクジェット記録媒体を高速で製造することが可能となる。更に、インク受容層の塗工液を高濃度化すると、塗工液中のバインダーが基材に浸透する現象(マイグレーション)が起こりにくく、インク受容層の塗工ムラが小さく高精細な画質が得られると共に、インク受容層の表面強度が良好となる。
しかし、一般にインクジェット記録媒体は、印刷画像に耐水性を付与するため媒体中にカチオン性の化合物を含有させ、インクジェットインク中のアニオン性の色剤とイオン結合によるイオンコンプレックスを作らせて定着させる。ここで、インク受容層の顔料として炭酸カルシウムを使用すると、インク受容層の塗工液を調製する際に、塗工液の安定性が劣るという問題が発生する。すなわち、炭酸カルシウムは通常アニオン性の分散剤を用いて分散し、スラリーの状態で使用するが、前記インクジェットインク中の色剤の定着作用を有するカチオン性の化合物(以下、「インクジェットインク用定着剤」とする。)は、インク受容層の塗工液を調製するため炭酸カルシウムのスラリーと混合すると、アニオン性の分散剤がカチオン性のインクジェットインク用定着剤と反応してその効果を失い、炭酸カルシウムが凝集、沈降するため塗工液の安定性が劣る。
さらに、炭酸カルシウムのインク吸収性はシリカ、アルミナより劣るため、印字画像の発色性(印字濃度)、精細性(滲み)が劣るという問題があり、炭酸カルシウムを多く(厚く)基紙上に塗工してもインク吸収性は改善されない。特に、インクジェット記録媒体の坪量(つまり、基紙の厚み)が低い場合には、基紙がインクジェットインクの溶媒(水等)を吸収して印字後の記録媒体が波打つ(ボコつく)、いわゆる「コックリング」の問題が発生しやすい。「コックリング」は、インクジェット記録媒体の両面に印字した場合に特に顕著に発生する。
従って、本発明は、安価な炭酸カルシウムをインク受容層の顔料の主成分(50重量%以上)とし、インクジェット印字の際のインクの乾燥性と耐水性に優れ、コックリングが少なく、高精細な画質と高い発色性を有し、且つ、オフセット印刷タイプの風合いを有し、高い光沢を有するインクジェット記録媒体を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、インク吸収性に劣る炭酸カルシウムをインク受容層の顔料の主成分として用いても、インク受容層中のバインダー及びインクジェットインク用定着剤と炭酸カルシウムとの割合を調整することで、印字性能を改善させることに成功した。
さらに、インク受容層の下層に、インクジェットインク用定着剤を含有しない下塗り層を設けることで、下塗り層により基紙を十分に被覆して基紙表面の凹凸を低減させ、その上のインク受容層表面の凹凸を低減させて光沢度が改善することがわかった。又、下塗り層でインクジェットインクの溶媒(水等)を一定量保持させることにより、基紙への溶媒の吸収量を減らして上記コックリングの問題を抑制しながら、高い発色性が得られることがわかった。
すなわち、本発明のインクジェット記録媒体は、基紙の少なくとも片方の面に、顔料及びバインダーを含有し、カチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤を含有しない下塗り層と、顔料、バインダー、及びカチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤を含有するインク受容層と、をこの順序で設けたインクジェット記録媒体であって、前記下塗り層が含有する前記顔料全量に対し、炭酸カルシウムが固形分で80重量%以上であり、前記インク受容層が含有する前記顔料全量に対し、炭酸カルシウムが固形分で50重量%以上であり、前記インク受容層100重量部に対し、前記顔料が75〜90重量部、前記バインダーが1〜10重量部、及び前記インクジェットインク用定着剤が5〜20重量部含有され、前記インク受容層の点滴吸水度(滴下水の量を0.001mlとする以外は、紙パルプ技術協会 J.TAPPI No.32−2:2000に規定される点滴吸水度に準じる。)が600秒以上3000秒以下、前記インクジェット記録媒体のJIS−P−8122に規定されるステキヒトサイズ度が10秒以上50秒以下、前記インクジェット記録媒体のJIS Z8741による光入射角75度の白紙光沢度が50%以上85%以下である。
前記インク受容層の前記点滴吸水度が、前記下塗り層の点滴吸水度(滴下水の量を0.001mlとする以外は、紙パルプ技術協会 J.TAPPI No.32−2:2000に規定される点滴吸水度に準じる。)以下であることが好ましい。
前記インクジェット記録媒体の坪量が、30.0g/m以上70.0g/m以下であることが好ましい。
前記インク受容層に含有する前記炭酸カルシウムのレーザー光散乱法で測定した体積50%平均粒子径(D50)が0.3〜10.0μmであることが好ましい。
前記インク受容層の塗工量が、片面あたり固形分で1.0g/m以上15.0g/m以下であることが好ましい。
前記下塗り層に含有する前記炭酸カルシウムのレーザー光散乱法で測定した体積50%平均粒子径(D50)が0.5〜3.0μmであることが好ましい。
前記下塗り層の塗工量が、片面あたり固形分で5g/m以上20g/m以下であることが好ましい。
本発明によれば、安価な炭酸カルシウムをインク受容層の顔料の主成分とし、インクジェット印字の際の耐水性に優れ、コックリングが少なく、高精細な画質と高い発色性を有し、且つ、オフセット印刷タイプの風合いと高い光沢を有するインクジェット記録媒体が得られる。
本発明の実施形態のインクジェット記録媒体は、基紙の少なくとも片方の面に、顔料及びバインダーを含有し、カチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤を含有しない下塗り層と、
顔料、バインダー、及びカチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤を含有するインク受容層と、をこの順序で設けたインクジェット記録媒体であって、
上記下塗り層が含有する上記顔料全量に対し、炭酸カルシウムが固形分で80重量%以上であり、
上記インク受容層が含有する上記顔料全量に対し、炭酸カルシウムが固形分で50重量%以上であり、
上記インク受容層100重量部に対し、上記顔料が75〜90重量部、上記バインダーが1〜10重量部、及び上記インクジェットインク用定着剤が5〜20重量部含有され、
上記インク受容層の点滴吸水度(滴下水の量を0.001mlとする以外は、紙パルプ技術協会 J.TAPPI No.32−2:2000に規定される点滴吸水度に準じる。)が600秒以上3000秒以下、
上記インクジェット記録媒体のJIS−P−8122に規定されるステキヒトサイズ度が10秒以上50秒以下、
上記インクジェット記録媒体のJIS Z8741による光入射角75度の白紙光沢度が50%以上85%以下、
であるインクジェット記録媒体である。
<インク受容層>
(顔料)
本発明のインク受容層は顔料を含有する。インク受容層に含有する顔料としては、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、焼成カオリン、クレー、珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、タルク、ゼオライト、プラスチックピグメント等の公知の顔料が例示可能である。又、要求品質に応じてこれらを併用することも可能である。
本発明では、顔料のスラリーとインク受容層の塗工液の高濃度化が容易であり、塗工液を乾燥させる際の負荷が小さくインクジェット記録媒体を高速で製造することが可能となること、インク受容層の塗工液中のバインダーが基紙に浸透する現象(マイグレーション)が起こりにくく、インク受容層の塗工ムラが小さく高精細な画質が得られること、インク受容層の表面強度が良好となること、及び、高い発色性を有し、オフセット印刷タイプの風合いのあるインクジェット記録媒体が容易に得られることから、インク受容層に含有する顔料全量に対し、炭酸カルシウムが固形分で50重量%以上である。より好ましくは、インク受容層に含有する顔料全量に対し炭酸カルシウムが80重量%以上であり、特に好ましくは90重量%以上である。
(炭酸カルシウム)
本発明の炭酸カルシウムは、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムのいずれでも良い。また、その結晶型は、カルサイト結晶型、アラゴナイト結晶型、バテライト結晶型のいずれでも良い。更に、粒子形態として、立方形、紡錘形、柱状、針状、球状、不定形の塊状やこれらが3次元的に絡み合った形など、特に限定されずいずれも使用可能であるが、インク受容層用塗工液の高粘度化を抑制し、高固形分化することが容易となるため不定形の塊状のものが好ましい。
本発明で使用する炭酸カルシウムの粒子径は特に限定されないが、通常、レーザー光散乱法で測定した体積50%平均粒子径(D50)が0.01〜20μmの物を使用する。特にD50が0.3〜10.0μmの物を使用すると、顔料のスラリーとインク受容層の塗工液の高濃度化が容易であり、インク受容層の塗工ムラが小さく塗工適性にも優れるため好ましい。レーザー光散乱法によるD50の測定は、MALVERN社製MASTER SIZER Sなどを使用して行うことが可能である。
(バインダー)
本発明のインク受容層はバインダーを含有する。インク受容層に含有するバインダーとしては、一般的な塗工紙に使用される公知のバインダーが使用可能であり特に制限されないが、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、末端アルキル変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロースなどのセルロースエーテル及びその誘導体;澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉(例えば、ヒドロキシエチル化澱粉など)、カチオン化澱粉などの澱粉類;ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミドなどのポリアクリルアミド類;ポリエステルポリウレタン系樹脂、ポリエーテルポリウレタン系樹脂、ポリウレタン系アイオノマー樹脂などのウレタン系樹脂;スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル共重合体などのスチレン−ブタジエン系樹脂;ブタジエン−アクリロニトリル共重合体;不飽和ポリエステル樹脂;ポリ酢酸ビニル;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリアクリル酸エステル;カゼイン;ゼラチン;アラビヤゴム;ポリビニルブチラール;ポリスチロース及びそれらの共重合体;シリコーン樹脂;石油樹脂;テルペン樹脂;ケトン樹脂;クマロン樹脂などを例示することができる。これらは併用してもよい。
本発明では、バインダーとしてポリビニルアルコール類、澱粉類、ポリアクリルアミド類を使用すると、上記炭酸カルシウム等の顔料を保護する保護コロイドとしての効果が大きく、インク受容層用塗工液の安定性が向上するため好ましい。特に、インク受容層の表面強度とインク吸収性のバランスの観点から、バインダーとしてポリビニルアルコール類を使用することが好ましい。ポリビニルアルコール類を使用する場合、その種類は要求される性能に従って決定され、特に限定されるものではなく、1種類のポリビニルアルコール類を単独で使用する、2種類以上のポリビニルアルコール類を併用する、ポリビニルアルコール類と他のバインダーを併用する、のいずれであってもよいが、2種類以上のポリビニルアルコール類を併用する、又はポリビニルアルコール類と他のバインダーを併用することが好ましい。
本発明のインク受容層中のバインダーの配合量は、インク受容層100重量部に対し、固形分で1〜10重量部であり、好ましくは2〜8重量部であり、より好ましくは5〜8重量部である。バインダーの配合量を上記範囲にすることで、インク受容層の表面強度とインク吸収性のバランスが良好となる。
(インクジェットインク用定着剤)
本発明のインク受容層はインクジェットインク用定着剤を含有する。本発明のインク受容層に使用するインクジェットインク用定着剤としては、一般的なインクジェット記録媒体に使用される公知のカチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤が使用可能であり特に制限されないが、ポリエチレンイミン4級アンモニウム塩誘導体、ポリアミンポリアミドエピハロヒドリン縮重合体、アンモニアとモノアミンやポリアミン等のアミン類とエピハロヒドリン類とを反応させてなる縮重合物(ジアルキルアミン・アンモニア・エピクロロヒドリン縮重合体等)、ジシアンジアミド・ホルムアルデヒド樹脂、ジエチレントリアミン・ジシアンジアミド・アンモニウムクロライド重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物等の、カチオン性の水溶性高分子が好ましい。本発明では、インクジェット印字の際の耐水性が特に優れるため、アンモニアとアミン類とエピハロヒドリン類とを反応させてなる縮重合物が特に好ましい。
上記アミン類の例としては、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、ポリアルキレンポリアミン、及びアルカノールアミンモノアミン等を挙げることができる。第2級アミンの具体例としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、メチルオクチルアミン、メチルラウリルアミン、ジベンジルアミン等を、第3級アミンの具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリ−tert−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリベンジルアミン等を挙げることができ、これらは単独又は2種類以上を混合して使用可能である。本発明では、第2級アミンであるジメチルアミン及びジエチルアミンが特に好ましい。
上記エピハロヒドリン類の例としては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、メチルエピクロルヒドリン等を挙げることができ、これらは単独又は2種類以上を混合して使用可能である。本発明では、エピクロロヒドリンが特に好ましい。
上記アンモニアとアミン類とエピハロヒドリン類とを反応させてなる縮重合物の合成方法としては、例えば、特開平10−152544号公報や、特開平10−147057号公報記載の公知の方法を用いることができる。
本発明のインク受容層中のインクジェットインク用定着剤の配合量は、インク受容層100重量部に対し、固形分で5〜20重量部であり、好ましくは8〜15重量部であり、より好ましくは10〜13重量部である。インクジェットインク用定着剤の配合量を上記範囲にすることで、画質とインクジェット印字の際の耐水性が良好となる。
(その他の成分)
本発明のインク受容層には、その他必要に応じて、顔料分散剤、増粘剤、保水剤、滑剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、サイズ剤、発泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料、防腐剤、耐水化剤、界面活性剤、pH調整剤、耐電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の助剤を適宜添加することができる。
本発明では、インク受容層100重量部に対し、上記した顔料(炭酸カルシウム及び他の顔料の合計)が75〜90重量部、バインダーが1〜10重量部、及びインクジェットインク用定着剤が5〜20重量部含有されている。
上述のように炭酸カルシウムはインク吸収性に劣るため、インク受容層中のバインダーの割合が多くなり過ぎると、インク受容層の吸収性が低下する。一方、バインダーの割合が少なくなり過ぎると、基紙上に顔料を保持することができないため、均質なインク受容層が形成できず、インクジェット記録媒体を作製することが困難になる。又、バインダーは炭酸カルシウムを保護する保護コロイドとして作用するが、バインダーの割合が少なくなり過ぎるとこの効果が十分に発揮されない。このため、インク受容層用塗工液の調製時に、アニオン性を示す炭酸カルシウムの分散剤と、カチオン性のインクジェットインク用定着剤とが反応、凝集し、インク受容層用塗工液の安定性が低下(塗料粘度が上昇)し、均質なインク受容層を形成することが困難になる。
また、インクジェットインク用定着剤の割合が多くなり過ぎると、炭酸カルシウムがインク吸収性に劣るために、インク受容層の吸収性が低下する。更に、インクジェットインク用定着剤は親水性が高いため、親水性を示して上述の保護コロイドとして機能するバインダーとの相溶性が高い。そのため、インクジェットインク用定着剤が、保護コロイドとして作用しているバインダーに溶け込んで保護コロイドの効果を低下させる。その結果、上記と同様の理由によりインク受容層用塗工液の安定性が低下(塗料粘度が上昇)し、均質なインク受容層を形成することが困難になる。一方、インク受容層中のインクジェットインク用定着剤の割合が少なくなり過ぎると、インクジェット印字画像の耐水性が劣る。
以上のことから、インク受容層中の顔料、バインダー及びインクジェットインク用定着剤の配合割合が重要となる。特に、親水性の高いポリビニルアルコール類、澱粉類、及びポリアクリルアミド類をバインダーとして用いた場合に、インクジェットインク用定着剤がバインダーに溶け込み易く、上記した問題が生じやすいので、本発明がより有効となる。なお、ポリビニルアルコール類が最も親水性及び保護コロイド効果が高い。
<下塗り層>
(顔料)
本発明の下塗り層は顔料を含有する。下塗り層に含有する顔料としては、上述のインク受容層で使用可能な公知の顔料が例示可能である。又、要求品質に応じてこれらを併用することも可能である。
本発明では、下塗り層の塗工液の高濃度化が容易であり、塗工液を乾燥させる際の負荷が小さくインクジェット記録媒体を高速で製造することが可能となること、下塗り層が基紙を十分に被覆することで基紙表面の凹凸を低減させ、その上に設けるインク受容層表面の凹凸を低減させて高い光沢度が得られること、インク受容層の塗工液中のバインダーやインクジェットインク用定着剤が下塗り層に浸透する現象(マイグレーション)が起こりにくくなり、インク受容層の塗工ムラが小さくなるため高精細な画質が得られると共にインク受容層の表面強度が良好となることから、下塗り層に含有する顔料全量に対し、炭酸カルシウムが固形分で80重量%以上である。より好ましくは、下塗り層に含有する顔料全量に対し炭酸カルシウムが90重量%以上であり、特に好ましくは顔料全量が炭酸カルシウムである。
本発明では、下塗り層に含有する炭酸カルシウムのレーザー光散乱法で測定した体積50%平均粒子径(D50)が0.5〜3.0μmであることが好ましい。下塗り層に含有する炭酸カルシウムの体積50%平均粒子径をこの範囲とすることで、下塗り層中に適度な空隙を持たせ、下塗り層でインクジェットインクの溶媒(水等)を一定量保持させ、基紙への溶媒の吸収量を減らすことができる。これにより、インク受容層表面のインク乾燥性を改善しながらコックリングの問題を抑制することが容易となる。
なお、炭酸カルシウムの体積50%平均粒子径(D50)が0.5μm未満であると、下塗り層中の空隙が小さくなりすぎて、インク受容層にインクジェットインクの溶媒(水等)が溜まり、インクの乾燥性や画質が劣る場合がある。又、体積50%平均粒子径(D50)が3.0μmを超えると、下塗り層中の空隙が大きくなりすぎて、下塗り層でのインクジェットインクの溶媒(水等)保持がしにくくなり、コックリングを抑制しにくく、下塗り層の凹凸が大きくなってインク受容層表面の光沢が出にくくなる場合がある。
(バインダー)
本発明の下塗り層はバインダーを含有する。下塗り層に含有するバインダーとしては、上述のインク受容層で使用可能な公知のバインダーが例示可能である。又、要求品質に応じてこれらを併用することも可能である。
本発明では、下塗り層のバインダーとしてポリビニルアルコール類、澱粉類、スチレン−ブタジエン系樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体を使用すると、炭酸カルシウム等の顔料を保護する保護コロイドとしての効果が大きく、下塗り層用塗工液の安定性が向上するため好ましい。
特に、下塗り層による基紙の被覆性と、下塗り層中に有する空隙のバランスの観点から、バインダーとして澱粉類とスチレン−ブタジエン系樹脂を併用することが好ましい。
本発明の下塗り層は、カチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤を含有しない。インク受容層だけでなく下塗り層にもインクジェットインク用定着剤を含有させると、アニオン性であるインクジェットインクはインク受容層だけでなく下塗り層にも静電的に引き寄せられ、インク受容層に達したインクジェットインクの一部は下塗り層へ浸透してしまう。その結果、インク受容層中のインクジェットインクが減少して発色性が低下する。
インクジェットインク用定着剤は、上述のインク受容層に含有されるものが挙げられる。そして、下塗り層が上記インクジェットインク用定着剤を含有しないことは、(1)クロスセクションポリッシャー等を用いてインクジェット記録媒体を厚さ方向に切断し、この切断面を走査型電子顕微鏡(SEM−EDS)等により観察して、下塗り層におけるインクジェットインク用定着剤に由来する窒素成分の存在状況を確認する方法、(2)粘着テープ等を使用してインクジェット記録媒体からインク受容層を剥離した後に下塗り層を削り出し、微量全窒素分析装置等により窒素成分の存在状況を確認する方法等により確認可能である。
この場合、予めカチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤を含有せず、他の成分が測定対象と同等の参照用の下塗り層のサンプルを作成しておき、この参照サンプルの窒素成分の量に比べ、測定対象の窒素成分の量が測定限界内で同一であれば、「下塗り層がカチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤を含有しない」とみなす。
(その他の成分)
本発明の下塗り層には、その他必要に応じて、上述のインク受容層で使用可能な助剤を適宜添加することができる。
本発明の下塗り層中の上記した顔料(炭酸カルシウム及び他の顔料の合計)の配合量は、下塗り層100重量部に対し、固形分で82〜96重量部であることが好ましい。また、本発明の下塗り層中のバインダーの配合量は、下塗り層100重量部に対し、固形分で4〜18重量部であることが好ましく、5〜16重量部であることがより好ましく、6〜14重量部であることがさらに好ましい。顔料の配合量とバインダーの配合量を上記範囲にすることで、下塗り層による基紙の被覆性と下塗り層中に有する空隙のバランスが良好となる。
(基紙)
本発明の基紙としては、シート状のものであれば、公知であるもの全て使用する事ができるが、価格や入手が安易である事から、木材パルプを主成分とする紙を用いる事が好ましい。木材パルプとしては、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グラウンドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミカルサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ等のパルプを単独または任意の割合で混合して使用することができる。
基紙に填料を含有させると、基紙の不透明度と平滑性が向上するため好ましい。填料としては、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂填料等の公知の填料が例示可能である。又、要求品質に応じてこれらを併用することも可能である。
本発明では、基紙に填料として炭酸カルシウムを含有させると、オフセット印刷タイプの風合いが得られやすいため好ましい。
基紙を抄紙する際のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでも良く、基紙の坪量は特に制限されない。また、基紙には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて硫酸バンド、サイズ剤、紙力増強剤、歩留まり向上剤、着色剤、染料、消泡剤、pH調整剤等の助剤を含有しても良い。
基紙には、紙力増強やサイズ性付与などを目的とし、澱粉、ポリビニルアルコール、サイズ剤などを含有するサイズ液を含浸または塗工しても良い。また、サイズ液には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて蛍光染料、導電剤、保水剤、耐水化剤、pH調整剤、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、界面活性剤等の助剤を含有しても良い。サイズ液の含浸または塗工の方法については特に制限されないが、ポンド式サイズプレスに代表される含浸法、または、ロッドメタリングサイズプレス、ゲートロールコーター、ブレードコーターに代表される塗工法が例示可能である。
(点滴吸水度)
本発明のインクジェット記録媒体は、インク受容層の点滴吸水度が600秒以上3000秒以下である。
この点滴吸水度は、滴下水の量を1μl(0.001ml)とした以外は、紙パルプ技術協会 J.TAPPI No.32−2:2000(紙−吸水試験方法−第2部:滴下法)に準じて測定する。即ち、測定用試験片(紙)を水平に張り、その測定面(即ち、感熱記録層を設ける面)に、蒸留水1μl(0.001ml)を滴下したときの、目視観察で水滴が吸収されるまでの時間を測定する。この測定用試験片(紙)の大きさは、この測定ができるものであればよく、例えば、直径が少なくとも40mm程度の円形のものを用いてもよい。
点滴吸水度は、時間(秒)で表わされ、点滴吸水度が高いほど吸水性は低く、点滴吸水度が低いほど吸水性は高い。
本発明において、インク受容層の点滴吸水度が上記範囲であることによりインクジェット印字の際のインクの乾燥性が良好となる。
インク受容層の点滴吸水度が600秒未満であると、インクジェット記録の際に滴下したインク液滴の広がりが小さく、筋抜け(筋状の未印字部)の原因となる。
インク受容層の点滴吸水度が3000秒を超えると、インクの乾燥性が劣り、印字後のインクジェット記録媒体から他のインクジェット記録媒体などに未乾燥のインクが転写して汚れる問題が発生すると共に、画像の周辺部の滲み、特に文字の縁における毛羽立ち(フェザリング)や、異なる色の境界で色が混ざり合って発生する滲み(ブリーディング)が著しくなる。
さらに、本発明において、上記したインク受容層の点滴吸水度が、下塗り層の点滴吸水度以下であることが好ましい。インク受容層の点滴吸水度が、下塗り層の点滴吸水度以下である、即ち、インクジェット記録媒体の内層より表層の方が吸収性が高いと、インクジェット印字の際に、インクジェットインク中の水などの溶媒が迅速にインク受容層中に拡散し、インク受容層表面のインクが速やかに減少するため、インクの乾燥性が良好となる。更に、溶媒が拡散した状態で下塗り層に吸収されるため、インクが偏在化して下塗り層と基紙を貫通し、インクジェット記録媒体の裏面(印字面と逆側の面)に到達することで発生する、いわゆる「裏抜け」の問題が抑制される。
なお、インク受容層の点滴吸水度を上記範囲とする方法の例としては、インク受容層100重量部に対し、バインダーを10重量部以下配合することが挙げられる。
(ステキヒトサイズ度)
本発明のインクジェット記録媒体は、JIS−P−8122に規定されるステキヒトサイズ度が10秒以上50秒以下である。
ステキヒトサイズ度は、時間(秒)で表わされ、ステキヒトサイズ度が高いほど吸水性は低く、ステキヒトサイズ度が低いほど吸水性は高い。
本発明において、インクジェット記録媒体のステキヒトサイズ度が上記範囲であることにより、インク吸収性に劣る炭酸カルシウムを顔料の主成分として用いても、インクジェット印字の際のインクの乾燥性が良好となる。
インクジェット記録媒体のステキヒトサイズ度が10秒未満であると、インクジェット記録の際に滴下したインク液滴の広がりが小さく、筋抜け(筋状の未印字部)の原因となると共に、基紙がインクジェットインクの溶媒(水等)を吸収してコックリングが発生しやすくなる。
インクジェット記録媒体のステキヒトサイズ度が50秒を超えると、インクの乾燥性が劣り、印字後のインクジェット記録媒体から他のインクジェット記録媒体などに未乾燥のインクが転写して汚れる問題が発生すると共に、画像の周辺部の滲み、特に文字の縁における毛羽立ち(フェザリング)や、異なる色の境界で色が混ざり合って発生する滲み(ブリーディング)が著しくなる。
なお、インクジェット記録媒体のステキヒトサイズ度を上記範囲にする方法の例としては、下塗り層のサイズ剤の配合量を調整することが挙げられる。また、インク受容層中のバインダーと、インクジェットインク用定着剤はステキヒトサイズ度を上昇させる。特にバインダーは、その造膜性によりステキヒトサイズ度を上昇させる。この点からもバインダーの配合量は10重量部以下、インクジェットインク用定着剤の配合量は20重量部以下とする必要がある。
(層構成)
本発明の下塗り層及びインク受容層は、基紙の片面のみに設けても基紙の両面に設けて良い。また、下塗り層及びインク受容層は、それぞれ1層ずつであっても2層以上であっても良い。本発明においては下塗り層及びインク受容層がそれぞれ1層ずつであっても十分な性能が得られるため、操業性の向上やコストの低減の点から下塗り層及びインク受容層はそれぞれ1層ずつであることが好ましい。
(塗工量)
本発明の下塗り層の塗工量は、所望の品質に応じて適宜選択可能であり、特に制限を設けないが、片面あたり固形分で5g/m以上20g/m以下であることが好ましく、片面あたり7g/m以上18g/m以下であることがより好ましく、片面あたり10g/m以上15g/m以下であることが特に好ましい。
下塗り層の塗工量が片面あたり固形分で5g/m未満であると、基紙を充分に被覆することが困難であり、十分な画質や発色性が得られないことがある。
一方、下塗り層の塗工量が多いと下塗り層の空隙量が多くなり、インクジェット記録媒体全体空隙量が多くなるため、インクジェット印字の際のインク吸収性は良好となるが、片面あたり固形分で20g/mを超えると、インクジェット印字の際のインクの乾燥性が低下するおそれがある。
本発明のインク受容層の塗工量は、所望の品質に応じて適宜選択可能であり、特に制限を設けないが、片面あたり固形分で片面あたり1.0g/m以上15.0g/m以下であることがより好ましく、片面あたり3.0g/m以上10.0g/m以下であることが特に好ましい。
インク受容層の塗工量が片面あたり固形分で1.0g/m未満であると、下塗り層を充分に被覆することが困難であり、十分な画質や発色性が得られないことがある。
一方、インク受容層の塗工量が多いとインク受容層の空隙量が多くなるため、インクジェット印字の際のインク吸収性は良好となるが、片面あたり固形分で15.0g/mを超えると、インクジェット印字の際のインクの乾燥性が低下する可能性がある。
(塗工方法)
本発明において、基紙上に下塗り層を塗工して設ける方法、及び下塗り層上にインク受容層を塗工して設ける方法は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従って塗工することができる。また、塗工装置としては、一般的な塗工装置であるブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ゲートロールコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、フレキソグラビアコーター、スプレーコーター、サイズプレス等の各種装置を、オンマシンまたはオフマシンで適宜使用することができる。
(白紙光沢度)
オフセット印刷用グロス調塗工紙の風合いを持たせるためには、インク受容層表面の、JIS Z8741による光入射角75度の白紙光沢度が50%以上85%以下である。
白紙光沢度が50%未満となると、グロス調塗工紙の風合いが得られず、マット調塗工紙となる。また、白紙光沢度が85%を超えることは実用上難しい。
白紙光沢度は、インク受容層を設けた後に、ハードニップカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、シューカレンダー等の各種カレンダー処理装置を、オンマシンまたはオフマシンで適宜使用し、処理温度、処理速度、処理線圧、処理段数及びロールの径、材質等の条件を適宜調整、選択して表面処理することにより、調整することが可能である。
インクジェット記録媒体の坪量が、30.0g/m以上70.0g/m以下である場合、本発明が特に有効である。坪量が70.0g/m以下の比較的低い値の場合、インク吸収性に劣る炭酸カルシウムを顔料の主成分として用いると、インク受容層中にインクが溜まってコックリングが起きやすいが、上述のように本発明のインクジェット記録媒体はインクの乾燥性が良好であるので、コックリングを抑制できる。特に、基紙の両面にインク受容層を設けた場合にコックリングをより一層抑制できる。
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、これにより限定されるものではない。また、特に断らない限り、以下に記載する「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を示す。
[実施例1]
下記のように基紙を用意した。
(基紙)
パルプ原料としてCSF390mlの広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)87部とCSF480mlの針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)13部を使用し、パルプ100部に対して、紙力増強剤(カチオン化澱粉)0.5部、硫酸アルミニウム0.55部、炭酸カルシウム13部を配合した紙料を長網抄造機で抄造して、坪量80g/mの基紙を得た。
下記配合からなる配合物を攪拌分散して下塗り層用塗工液1とした。
<下塗り層用塗工液1>
重質炭酸カルシウム
(ファイマテック社製、製品名:FMT−90、D50:1.2μm)100.0部
スチレン−ブタジエン共重合体
(日本エイアンドエル社製、製品名:PB9501) 3.0部
酸化澱粉
(敷島スターチ社製、製品名:M210) 7.0部
水 32.0部
次いで、下塗り層用塗工液1を基紙の片面に、固形分で塗工量15.0g/mとなるようにしてブレードコーターを用いて塗工した後、乾燥を行ない、下塗り層塗工紙を作製した。
下記配合からなる配合物を攪拌分散してインク受容層用塗工液1とした。
<インク受容層用塗工液1>
重質炭酸カルシウム
(ファイマテック社製、製品名:FMT−90、D50:1.2μm)100.0部
完全ケン化ポリビニルアルコール
(クラレ社製、製品名:PVA117) 3.0部
完全ケン化ポリビニルアルコール
(クラレ社製、製品名:PVA103) 1.0部
インクジェットインク用定着剤
(星光PMC社製、製品名:DK6800、ポリアミンエピハロヒドリン系樹脂)
15.0部
水 32.0部
次いで、上記下塗り層塗工紙の片面に、インク受容層用塗工液1を固形分で塗工量5.0g/mとなるようにしてブレードコーターを用いて塗工した後、乾燥を行なった。次いで、ソフトニップカレンダー(線圧:100kN/m、ロール温度:80℃)で2回カレンダー処理を行い、インクジェット記録媒体を作製した。
[実施例2]
下記配合からなる配合物を攪拌分散してインク受容層用塗工液とした。
<インク受容層用塗工液2>
重質炭酸カルシウム
(ファイマテック社製、製品名:FMT−90、D50:1.2μm)100.0部
完全ケン化ポリビニルアルコール1
(クラレ社製、製品名:PVA117) 3.0部
完全ケン化ポリビニルアルコール2
(クラレ社製、製品名:PVA103) 1.0部
インクジェットインク用定着剤
(星光PMC社製、製品名:DK6800、ポリアミンエピハロヒドリン系樹脂)
15.0部
界面活性剤(サンノプコ社製、製品名:サーフィノール104P) 1.0部
水 32.0部
次いで、上記下塗り層塗工紙の片面に、インク受容層用塗工液2を固形分で塗工量5.0g/mとなるようにしてブレードコーターを用いて塗工した後、乾燥を行ない、インクジェット記録媒体を作製した。
[実施例3]
インク受容層用塗工液1の炭酸カルシウム100.0部を炭酸カルシウム(ファイマテック社製、製品名:FMT−90、D50:1.2μm)50.0部およびシリカ(東ソー・シリカ社製、製品名:AY−200)50.0部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例4]
下記配合からなる配合物を攪拌分散してインク受容層用塗工液とした。
<インク受容層用塗工液3>
重質炭酸カルシウム
(ファイマテック社製、製品名:FMT−90、D50:1.2μm) 50.0部
シリカ(東ソー・シリカ社製、製品名:AY−200) 50.0部
完全ケン化ポリビニルアルコール1
(クラレ社製、製品名:PVA117) 3.0部
完全ケン化ポリビニルアルコール2
(クラレ社製、製品名:PVA103) 1.0部
インクジェットインク用定着剤
(星光PMC社製、製品名:DK6800、ポリアミンエピハロヒドリン系樹脂)
15.0部
界面活性剤(サンノプコ社製、製品名:サーフィノール104P) 0.5部
水 32.0部
次いで、上記下塗り層塗工紙の片面に、インク受容層用塗工液3を固形分で塗工量5.0g/mとなるようにしてブレードコーターを用いて塗工した後、乾燥を行ない、インクジェット記録媒体を作製した。
[実施例5]
インク受容層用塗工液1を固形分で塗工量を1.0g/mとなるように塗工した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例6]
インク受容層用塗工液1を固形分で塗工量を7.0g/mとなるように塗工した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例7]
インク受容層用塗工液1を固形分で塗工量を15.0g/mとなるように塗工した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例8]
インク受容層用塗工液1のインクジェットインク用定着剤15.0部を5.0部とし、完全ケン化ポリビニルアルコール2(クラレ社製、製品名:PVA103)1.0部を3.0部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例9]
インク受容層用塗工液1のインクジェットインク用定着剤15.0部を11.0部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例10]
インク受容層用塗工液1のインクジェットインク用定着剤15.0部を20.0部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例11]
インク受容層用塗工液1のインクジェットインク用定着剤15.0部を26.0部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例12]
インク受容層用塗工液1の完全ケン化ポリビニルアルコール1(クラレ社製、製品名:PVA117)3.0部を0.5部とし、完全ケン化ポリビニルアルコール2(クラレ社製、製品名:PVA103)1.0部を0.5部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例13]
インク受容層用塗工液1の完全ケン化ポリビニルアルコール1(クラレ社製、製品名:PVA117)3.0部を1.0部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例14]
インク受容層用塗工液1の完全ケン化ポリビニルアルコール1(クラレ社製、製品名:PVA117)3.0部を7.5部とし、完全ケン化ポリビニルアルコール2(クラレ社製、製品名:PVA103)1.0部を2.5部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例15]
インク受容層用塗工液1の完全ケン化ポリビニルアルコール1(クラレ社製、製品名:PVA117)3.0部を9.5部とし、完全ケン化ポリビニルアルコール2(クラレ社製、製品名:PVA103)1.0部を3.5部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例16]
下記配合からなる配合物を攪拌分散してインク受容層用塗工液とした。
<インク受容層用塗工液4>
重質炭酸カルシウム
(ファイマテック社製、製品名:FMT−90、D50:1.2μm)100.0部
尿素リン酸エステル化澱粉
(三和澱粉社製、製品名:PLV−500) 13.0部
インクジェットインク用定着剤
(星光PMC社製、製品名:DK6800、ポリアミンエピハロヒドリン系樹脂)
15.0部
水 32.0部
次いで、上記下塗り層塗工紙の片面に、インク受容層用塗工液4を固形分で塗工量5.0g/mとなるようにしてブレードコーターを用いて塗工した後、乾燥を行ない、インクジェット記録媒体を作製した。
[実施例17]
基紙の坪量を55g/mとした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例18]
基紙の坪量を45g/mとした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例1]
インク受容層用塗工液1の炭酸カルシウムの配合量を0部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例2]
インク受容層用塗工液の炭酸カルシウムの配合量を0部とした以外は、実施例2と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例3]
インク受容層用塗工液1の完全ケン化ポリビニルアルコール1、2の配合量をそれぞれ0部とした以外は、実施例1と同様に行ったが、基紙上に顔料を保持することができないためインク受容層が形成できず、インクジェット記録媒体を作製することができなかった(即ち、塗工不能)。
[比較例4]
インク受容層用塗工液1のインクジェットインク用定着剤の配合量を0部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例5]
インク受容層用塗工液2のインクジェットインク用定着剤の配合量を0部とした以外は、実施例2と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例6]
インク受容層用塗工液1の炭酸カルシウム100.0部を、炭酸カルシウム(ファイマテック社製、製品名:FMT−90、D50:1.2μm)40.0部およびシリカ(東ソー・シリカ社製、製品名:AY−200)60.0部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例7]
インク受容層用塗工液1の完全ケン化ポリビニルアルコール1(クラレ社製、製品名:PVA117)3.0部を20.0部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例8]
インク受容層用塗工液1のインクジェットインク用定着剤15.0部を4.0部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例9]
インク受容層用塗工液1のインクジェットインク用定着剤15.0部を28.0部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例10]
インク受容層用塗工液1の完全ケン化ポリビニルアルコール1(クラレ社製、製品名:PVA117)3.0部を0.5部とし、完全ケン化ポリビニルアルコール2(クラレ社製、製品名:PVA103)1.0部を0部とした以外は、実施例1と同様に行ったが、基紙上に顔料を保持することが困難であり均質なインク受容層が形成できず、使用可能(インクジェット印字可能)なインクジェット記録媒体を作製することができなかった(即ち、使用不能)。
[比較例11]
インク受容層用塗工液1の完全ケン化ポリビニルアルコール1(クラレ社製、製品名:PVA117)3.0部を10.5部とし、完全ケン化ポリビニルアルコール2(クラレ社製、製品名:PVA103)1.0部を3.5部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例12]
下記配合からなる配合物を攪拌分散して下塗り層用塗工液2とした。
<下塗り層用塗工液2>
重質炭酸カルシウム
(ファイマテック社製、製品名:FMT−90、D50:1.2μm)100.0部
スチレン−ブタジエン共重合体
(日本エイアンドエル社製、製品名:PB9501) 3.0部
酸化澱粉
(敷島スターチ社製、製品名:M210) 7.0部
インクジェットインク用定着剤
(星光PMC社製、製品名:DK6800、ポリアミンエピハロヒドリン系樹脂)
15.0部
水 36.0部
下塗り層用塗工液1に代えて下塗り層用塗工液2を使用した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[参考例]
下塗り層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。参考例は、特許文献7のインクジェット記録媒体に相当する。
作製したインクジェット記録媒体について、下記評価を行った。
<発色性>
作製したインクジェット記録媒体について、市販の染料インクジェットプリンター(製品名:PM−A940、セイコーエプソン社製、印字条件:普通紙/きれいモード)を使用して、黒、シアン、マゼンタ、イエローのベタ印字を行った。1日後にマクベス濃度計(Gretag Macbeth RD−19)を用いて各色の印字濃度を測定し、4色の合計値で発色性を評価した。
<印字ムラ(画質)>
作製したインクジェット記録媒体について、市販の顔料インクジェットプリンター(製品名:PX−V630、セイコーエプソン社製、印字条件:普通紙/きれいモード)を使用して、隣接する赤と緑のベタ印字(各々の大きさ:縦2cm×横3cm)を行い、以下の基準で評価した。評価が◎、○、△であれば実用上問題はない。
◎:ムラがなく均一なベタとなっており、ベタ部の周囲及び2色間の境界での滲みは見られない。
○:部分的に多少ムラが見られるが、概ね均一なベタとなっており、ベタ部の周囲及び2色間の境界での滲みは見られない。
△:部分的なムラが見られる、またはベタ部の周囲及び2色間の境界での滲みが見られる。
×:斑点状のムラが目立つ、またはベタ部の周囲及び2色間の境界での滲みが目立つ。
<筋抜け>
作製したインクジェット記録媒体について、市販の顔料インクジェットプリンター(製品名:PX−V630、セイコーエプソン社製、印字条件:普通紙/きれいモード)を使用して、マゼンタのベタ印字(大きさ:縦15cm×横25cm)を行い、筋状の未印字部(筋抜け)の発生について以下の基準で評価した。評価が◎、○、△であれば実用上問題はない。
◎:筋抜けがなく均一なベタとなっている。
○:部分的に多少筋抜けが見られるが、概ね均一なベタとなっている。
△:部分的な筋抜けが見られる。
×:筋抜けが目立つ。
<インクの乾燥性>
作製したインクジェット記録媒体について、市販の顔料インクジェットプリンター(製品名:PX−V630、セイコーエプソン社製、印字条件:普通紙/きれいモード)を使用して黒のベタ印字(大きさ:縦2cm×横3cm)を行い、印字5秒後又は印字10秒後に印字面の上に坪量80g/mの上質紙1枚を重ね、直径10cm、幅13cm、重量2.7kgのゴムローラーで1回加圧した後、上質紙に転写された黒ベタの濃度をマクベス濃度計(Gretag Macbeth RD−19)を用いて測定し、以下の基準で評価した。評価が◎、○、△であれば実用上問題はない。
◎:上質紙に転写された黒ベタの濃度が0.10未満である。
○:上質紙に転写された黒ベタの濃度が0.10以上0.15未満である。
△:上質紙に転写された黒ベタの濃度が0.15以上0.20未満である。
×:上質紙に転写された黒ベタの濃度が0.20以上である。
<コックリング>
作製したインクジェット記録媒体について、市販の染料インクジェットプリンター(製品名:PM−A940、セイコーエプソン社製、印字条件:普通紙/きれいモード)を使用して、緑のベタ印字(大きさ:縦2cm×横15cm)を行い、コックリング(波打ち)の発生について以下の基準で評価した。評価が◎、○であれば実用上問題はない。
◎:波打ちがなく、凹凸は見られない
○:波打ちが小さく、凹凸はほとんど見られない。
△:波打ちがやや大きく、凹凸が若干目立つ。
×:波打ちが大きく、凹凸が目立つ。
<耐水性>
作製したインクジェット記録媒体について、市販の染料インクジェットプリンター(製品名:PM−A940、セイコーエプソン社製、印字条件:普通紙/標準モード)を使用して、マゼンタで10ポイントの文字印字を行った。1日後に文字上に水を垂らして、文字の滲み具合を、以下の基準で評価した。評価が○、△であれば実用上問題はない。
○:全く滲まない。
△:滲むが、文字は判読可能。
×:文字が滲み、判読不可能。
<風合い>
作製したインクジェット記録媒体について、インク受容層用表面の面感を目視にて下記の基準で評価した。評価が○、△であれば実用上問題はない。
○:オフセット印刷タイプの風合いが得られている。
△:オフセット印刷タイプに近い風合いが得られている。
×:オフセット印刷タイプの風合いが得られない。
<白紙光沢度>
JIS Z8741に準じて、インク受容層表面の白紙光沢度(光入射角75度)を光沢度計(村上色彩技術研究所製、True GLOSS GM−26PRO)を用いて測定した。
点滴吸水度は上述のように測定した。下塗り層の点滴吸水度は、インク受容層を形成する前の下塗り層塗工紙について測定した。インク受容層の点滴吸水度は、下塗り層を有する状態、つまりインクジェット記録媒体の製品について測定した。
インクジェット記録媒体のステキヒトサイズ度は、上述のようにして測定した。
実施例及び比較例で得られたインクジェット記録媒体の紙質及び評価結果を表1〜表4に示す。
Figure 2017177498
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表1〜表4から明らかなように、下塗り層と、所定の顔料、バインダー、及びカチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤を含有するインク受容層と、を備え、所定の点滴吸水度とステキヒトサイズ度を有する各実施例の場合、インクジェット印字の際のインクの乾燥性と耐水性に優れ、コックリングが少なく、高精細な画質と高い発色性を有し、且つ、オフセット印刷タイプの風合いと高い光沢が得られた。
なお、インク受容層が含有する顔料全量に対し、炭酸カルシウムが固形分で50重量%である実施例3、実施例4の場合、炭酸カルシウムが固形分で50重量%を超えた他の実施例に比べ、筋抜け、オフセット印刷タイプの風合い、光沢度がやや劣ったが実用上問題はない。
インク受容層が顔料を含まない比較例1、比較例2の場合、印字ムラ(画質)、コックリングが生じると共に、インクの乾燥性が劣った。なお、比較例1、比較例2の場合、下塗り層が顔料を含むので、インク受容層が顔料を含まないにも関わらず、オフセット印刷タイプの風合いが得られた。
インク受容層がバインダーを含まない比較例3の場合、インク受容層を塗工することができなかった。又、インク受容層100重量部に対するバインダーの含有割合が1重量部未満である比較例10の場合、インク受容層を塗工することはできたが、ハンドリング時にインク受容層が剥離し、印字できなかった。
インク受容層がインクジェットインク用定着剤を含まない比較例4、比較例5、及びインク受容層100重量部に対するインクジェットインク用定着剤の含有割合が5重量部未満である比較例8の場合、耐水性が劣った。
インク受容層中の顔料全量に対し、炭酸カルシウムの含有割合が50重量%未満である比較例6の場合、筋抜けが生じると共にオフセット印刷タイプの風合いが得られなかった。
インク受容層100重量部に対するバインダーの含有割合が10重量部を超えた比較例7、比較例11の場合、インク受容層の点滴吸水度が3000秒を超え、インク受容層の吸水性が低下して印字ムラ(画質)が生じ、インクの乾燥性が劣った。なお、比較例7、比較例11はバインダーの含有割合が多いため、ベタムラと滲みが目立って印字ムラ(画質)が生じたが、滲みが多い分、筋抜けは生じなかった。
インク受容層100重量部に対するインクジェットインク用定着剤の含有割合が20重量部を超えた比較例9の場合、筋抜けが生じた。
下塗り層がカチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤を含有する比較例12の場合、発色性が低下した。

Claims (7)

  1. 基紙の少なくとも片方の面に、
    顔料及びバインダーを含有し、カチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤を含有しない下塗り層と、
    顔料、バインダー、及びカチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤を含有するインク受容層と、をこの順序で設けたインクジェット記録媒体であって、
    前記下塗り層が含有する前記顔料全量に対し、炭酸カルシウムが固形分で80重量%以上であり、
    前記インク受容層が含有する前記顔料全量に対し、炭酸カルシウムが固形分で50重量%以上であり、
    前記インク受容層100重量部に対し、前記顔料が75〜90重量部、前記バインダーが1〜10重量部、及び前記インクジェットインク用定着剤が5〜20重量部含有され、
    前記インク受容層の点滴吸水度(滴下水の量を0.001mlとする以外は、紙パルプ技術協会 J.TAPPI No.32−2:2000に規定される点滴吸水度に準じる。)が600秒以上3000秒以下、
    前記インクジェット記録媒体のJIS−P−8122に規定されるステキヒトサイズ度が10秒以上50秒以下、
    前記インクジェット記録媒体のJIS Z8741による光入射角75度の白紙光沢度が50%以上85%以下、
    であることを特徴とするインクジェット記録媒体。
  2. 前記インク受容層の前記点滴吸水度が、前記下塗り層の点滴吸水度(滴下水の量を0.001mlとする以外は、紙パルプ技術協会 J.TAPPI No.32−2:2000に規定される点滴吸水度に準じる。)以下である請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
  3. 前記インクジェット記録媒体の坪量が、30.0g/m以上70.0g/m以下である請求項1又は2に記載のインクジェット記録媒体。
  4. 前記インク受容層に含有する前記炭酸カルシウムのレーザー光散乱法で測定した体積50%平均粒子径(D50)が0.3〜10.0μmである請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体。
  5. 前記インク受容層の塗工量が、片面あたり固形分で1.0g/m以上15.0g/m以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体。
  6. 前記下塗り層に含有する前記炭酸カルシウムのレーザー光散乱法で測定した体積50%平均粒子径(D50)が0.5〜3.0μmである請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体。
  7. 前記下塗り層の塗工量が、片面あたり固形分で5g/m以上20g/m以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体。
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