JP2007160606A - インクジェット記録用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】 インクジェット印刷適性に優れ、かつ、染料系インクと顔料系インクとの両者のインクジェット適性を有し、さらにその製造時における操業性にも優れたインクジェット記録用紙を提供する。
【解決手段】 基材と、この基材上に形成された少なくとも1層の塗工層とを有するインクジェット記録用紙である。上記塗工層の内の少なくとも表層が、顔料として、カップリング処理したアニオン性コロイダルシリカと、カチオン性コロイダルシリカとを含有する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録用紙に関し、詳しくはインクジェットプリンタによる印刷に優れた適性を有し、特に白紙部および印字部の光沢性に優れたインクジェット記録用紙に関する。
インクジェットプリンタによる印刷は、騒音が少なく、高速印刷が可能であるとともに、容易に多色化できることから、近年、多方面で利用されている。
このようなインクジェットプリンタによる印刷に用いられるインクジェット記録用紙としては、インク吸収性に富むように工夫された上質紙や、表面に多孔性顔料を塗工した塗工紙等が一般的に使用されている。
ところで、これらの用紙は表面光沢度の低い、いわゆるマット調のものが主体であるが、最近のプリンタ技術の長足の進歩に伴い、銀塩写真に匹敵する高画質印刷が可能となってきていることから、このプリンタ技術に対応できる、表面光沢度が高く、優れた外観を持つインクジェット記録用紙の開発が期待されている。
一般に、表面光沢度の高い用紙としては、紙基材表面に板状顔料を塗工し、さらに必要に応じてカレンダー処理を施して高光沢にした塗工紙、および湿潤塗工層を鏡面を有する加熱ドラム面に圧着、乾燥して、その鏡面を塗工層に転写することによって高光沢にした、いわゆるキャスト塗工紙が知られている。
このキャスト塗工紙は、スーパーカレンダ仕上げの塗工紙に比べ、高い表面光沢と、より優れた表面平滑性とを有し、優れた印刷効果が得られることから、高級印刷物等の用途に専ら利用されている。
このようなキャスト塗工紙に関し、原紙上に顔料および接着剤を主成分とする塗工層を設け、その塗工層に、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合してなる重合体、および平均粒子径が5〜100nmコロイダルシリカおよび離型剤を含有する再湿潤液を付与してキャスト塗工紙を得る製造方法が知られている(特許文献1および特許文献2)。
この製造方法では、塗工層中の接着剤等の成膜性物質が、キャストコーターの鏡面ドラム表面を写し取ることによって高い光沢が得られているが、この成膜性物質の存在により塗工層の多孔性が失われ、インクジェット印刷時のインクの吸収を極端に低下させる等の問題を抱えている。
この問題を解決し、記録用紙のインク吸収性を改善するためには、インクを容易に吸収できるように塗工層をポーラスにすることが重要であり、このため成膜性を減ずることが必要となる。
しかしながら、成膜性物質の量を減らした場合、記録用紙の白紙光沢が低下してしまうという別の問題が生じる。
以上のように、キャスト塗工紙の表面光沢とインクジェット印刷適性との両性能を両立させることは極めて困難であった。
この欠点を解決する技術として、顔料および接着剤を主成分とする記録層を設けた原紙上に、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合させてなる40℃以上のガラス転移点を有する共重合体を主成分とする塗工液を塗工してキャスト塗工層を形成し、このキャスト塗工層が湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げることにより、優れた光沢とインク吸収性とを兼ね備えるインクジェット記録用キャスト塗工紙が得られることが知られている(特許文献3)。
しかし、近年、インクジェット印刷の高速化、印刷画像の高精細化、フルカラー化といった用途の拡大に伴い、さらに強光沢かつ高画質、高印刷濃度の品質が望まれてきており、例えば、銀塩方式の写真用印画紙に匹敵するような光沢、記録品質が求められているが、上記キャスト塗工紙は、このような要求を充分満たしているものではなかった。一方、フルカラーインクでの印刷に用いるインクは、従来、染料系インクが主流を占めていたが、近年、顔料系インクも用いられるようになった。従って、これら両インクに対して高解像度の記録画像を与えることのできる記録媒体が望まれている。
上記記録品質を改良する技術として、平均粒子径が0.02〜0.15μmの重合体エマルジョンと、平均粒子径が0.01〜0.15μmのコロイダルシリカからなるインクジェット記録用紙用の表面塗工剤が知られている(特許文献4)。
また、この点をさらに改良した技術として、平均粒子径が0.02〜0.15μmの重合体エマルジョンと、平均粒子径が0.01〜0.15μmのコロイダルシリカを表層に塗工してキャスト用塗工層を形成し、このキャスト用塗工層をただちに加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げるキャスト処理を行うことにより、白紙部および印字部の光沢、印字濃度、インク吸収性、記録画質等において優れたインクジェット記録用キャスト塗工紙を得る技術が知られている(特許文献5)。
これらの方法では、従来法よりも優れた光沢、記録画質を有するインクジェット記録用紙が得られるものの、上述したインクジェットプリンタの技術進歩に伴い、さらなる記録画質等の改良が要望されているのが現状である。
この要望に答えた用紙として、カップリング剤で処理したアニオン性コロイダルシリカと、そのバインダとしての重合体とを含有する層を持つインクジェット記録用紙が知られている(特許文献6)。
この用紙では、白紙部および印字部の光沢性および印字濃度、インク吸収性などのインクジェット記録適性に優れたインクジェット記録用紙であるものの、この用紙を製造する際、ドラム汚れが生ずるという問題があり、操業性の面で十分なものとは言えなかった。
特開平5−59688号公報 特開平5−78995号公報 特開平7−89220号公報 特開2000−238418号公報 特開2000−238419号公報 特開2005−1377号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意検討を行った結果、基材の塗工層にカップリング処理したアニオン性コロイダルシリカと、カチオン性コロイダルシリカとを含有させることにより、インクジェット記録用紙として写真用印画紙に匹敵する記録品質を備え、かつ染料系インクおよび顔料系インクのいずれにも適しており、また操業時においてもドラム等の汚れが発生しないインクジェット記録用紙を開発し、本発明に至った。
本発明が解決しようとする技術課題は、白紙部および印字部の光沢、印字濃度、インク吸収性、記録画質、印字の擦過性等において優れたインクジェット印刷適性を備え、かつ、染料系インクと顔料系インクとの両者のインクジェット適性を有し、さらにその製造時における操業性にも優れたインクジェット記録用紙を提供することである。
本発明のインクジェット記録用紙は、基材と、この基材上に形成された少なくとも1層の塗工層とを有するインクジェット記録用紙において、上記塗工層の内の少なくとも表層が、顔料として、カップリング処理したアニオン性コロイダルシリカと、カチオン性コロイダルシリカとを含有することを特徴とする。
本発明の好ましい構成態様によれば、上記カップリング処理に用いるカップリング剤が、シランカップリング剤である。
本発明の好ましい他の構成態様によれば、上記アニオン性コロイダルシリカと、カチオン性コロイダルシリカの固形分重量比が1/99から30/70である。
本発明の好ましい他の構成態様によれば、上記塗工層中に、顔料のバインダとして重合体を含有する。
本発明の好ましい他の構成態様によれば、上記表層が、光沢化処理で形成された光沢面となっていることであり、その光沢化処理がキャスト加工である。
本発明のインクジェット記録用紙は、白紙部および印字部の光沢、印字濃度、インク吸収性、記録画質、および印字の擦過性等において優れたインクジェット印刷適性を有し、かつ、染料系インクと顔料系インクとの両者に対してインクジェット印刷適性を有し、さらにその製造時における操業性にも優れたインクジェット記録用紙となっている。
本発明のインクジェット記録用紙を、以下に示す実施の形態に基づいてさらに詳しく説明する。
本実施の形態のインクジェット記録用紙は、基材と、この基材上に形成された少なくとも1層の塗工層とを有し、この塗工層のうちの少なくとも表層が、顔料として、カップリング処理したアニオン性コロイダルシリカと、カチオン性コロイダルシリカとを含有している。
この表層を有する基材に後述する光沢化処理を施すことにより、表層は優れた光沢面となる。
<表層>
上記カップリング処理は、アニオン性コロイダルシリカに、カップリング剤を添加することにより行われる。
上記アニオン性コロイダルシリカは、球状シリカを水に分散させたコロイド溶液であり、粒子表面に形成されているシラノール基が負に帯電しており、水酸化ナトリウム、ケイ酸ソーダ、有機アミンなどの塩基を加えることで、安定したアニオン性を示す。
本実施の形態では、カチオン性コロイダルシリカは、カップリング処理を施したものではないが、カチオン性コロイダルシリカへのカップリング処理は任意である。
〔カップリング処理〕
このようなアニオン性コロイダルシリカとしては、一般に市販されているものが使用可能であり、例えば、商品名でいうとシリカドール(日本化学工業(株)製)、アデライトAT(旭電化工業(株)製)、カタロイド(触媒化成工業(株)製)、スノーテックス(日産化学工業(株)製)などが挙げられる。
これらのアニオン性コロイダルシリカは、pH=8〜12で重量濃度が20〜50%のゾル状の水分散液が、バインダの共重合体エマルジョンとの相溶安定性の点から好ましい。
また、アニオン性コロイダルシリカの平均粒子径は、特に限定されるものではないが、0.01〜0.15μmが好ましく、より好ましくは0.02〜0.12μmである。
平均粒子径が0.01μm未満であると、インク吸収性が低下するおそれがあり、0.15μmを超えると、記録画像の鮮明性が低下するおそれがある。
上記カップリング剤は、特に制限されるものではなく、公知の種々のカップリング剤を使用することができるが、上記アニオン性コロイダルシリカとの反応性に優れているという点から、シランカップリング剤を使用することが好ましい。
このシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
これらは、単独で使用しても、2種類以上併用して使用してもよい。
本実施の形態において、カップリング剤で処理されたアニオン性コロイダルシリカとは、通常、アニオン性コロイダルシリカにカップリング剤を添加して得られたものを云う。
具体的なカップリング処理方法としては、例えば、
(イ)アニオン性コロイダルシリカを40〜95℃、特に70℃程度に加熱し、これにカップリング剤を連続滴下させる方法、
(ロ)アニオン性コロイダルシリカとカップリング剤を室温で仕込み、混合した後、上記温度に加熱して反応する方法、
(ハ)減圧下でアニオン性コロイダルシリカにカップリング剤を滴下する方法。
(二)カップリング剤とアルカリ触媒とを同時に、アニオン性コロイダルシリカに滴下する方法、
(ホ)カップリング剤と酸触媒とを同時に、アニオン性コロイダルシリカに滴下する方法、
(ヘ)カップリング剤を溶媒に溶解させた状態で、アニオン性コロイダルシリカを含む反応系に、この溶液を供給する方法、
(ト)カップリング剤を乳化剤により乳化させた状態で、アニオン性コロイダルシリカを含む反応系に、この溶液を供給する方法、
などが挙げられるが、中でも、(イ)および(ロ)の方法が好ましい。
アニオン性コロイダルシリカをシランカップリング剤で処理する場合、このシランカップリング剤の使用量は、例えば、コロイダルシリカ中のSiO2の有効量に対して、シランカップリング剤の添加量を、通常、0.01〜20質量%、好ましくは0.02〜10質量%、より好ましくは0.05〜5.0質量%とするのが好適である。
添加量が0.01質量%未満では、充分な分散安定性の向上効果が得られないと同時に顔料インク適性が不足するおそれがあり、20質量%を超えると逆に分散安定性が低下するおそれがある。
本実施の形態のインクジェット記録用紙の少なくとも表層に含まれるカチオン性コロイダルシリカは、平均粒子径が3〜100nmである一次粒子が好ましく、特に10〜80nmであることが光沢の出やすさの面からより好ましい。
また、形状としては光沢の出やすさにおいては真球状の顔料が好ましいが、インク吸収性においては非球状コロイダルシリカの方が優れており、目的に合わせてどちらかを使用するか、もしくは両者を適宜混合して使用することができる。
本実施の形態のカップリング剤で処理したアニオン性コロイダルシリカと、カチオン性コロイダルシリカとの組成比は、固形分重量比で1/99から30/70であり、より好ましくは、1/99から10/90の範囲内である。
アニオン性コロイダルシリカの添加量割合が1未満では、製造時にキャストドラムからの離型性が悪く、また30を超えると、塗工液が安定せず、粘度が上がったり、塗工液中に凝集物などが発生したりする原因となり、また塗工層の光沢度が低下する原因となる。
〔重合体〕
本実施の形態のインクジェット記録用紙の少なくとも表層に含まれる上記顔料のバインダとしての重合体は、特に限定されるものではないが、塗工紙分野で一般的に用いられる各種接着剤が用いられる。
これらの接着剤としては、例えば、
A:水溶性ポリマーとして、
(イ)ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコール類、
(ロ)カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白質類、でんぷんおよびその変性物、ゼラチンおよびその変性物等の天然高分子、または、これらの合成物および変性物、
(ハ)プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム、アルブミン等の天然高分子樹脂またはこれらの誘導体、
(二)カルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセル
ロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体
B:水分散性樹脂として、
(メタ)アクリル酸エステル系の重合体または共重合体、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体等、
C:その他の合成樹脂として、
水性アクリル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂、SBRラテックス、NBRラテックス、
等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種類またはそれ以上を併用して用いてもよい。
また、上記表層には、上記カップリング剤で処理したアニオン性コロイダルシリカと、カチオン性コロイダルシリカとに加え、その他の顔料を併用することもできる。
このような顔料としては、光沢性、透明性、インク吸収性を高めるという点から、上述したコロイダルシリカ以外の非晶質シリカ、酸化アルミニウム、ゼオライト、合成スメクタイト等が好ましい。
これら顔料の平均粒子径は、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜1μmのものがより好ましい。この平均粒子径が0.01μm未満になると、インク吸収性が必ずしも充分でない場合があり、5μmを超えると、光沢性や、印字濃度の低下を起こす虞がある。
特に、非晶質シリカであって、一次粒子の平均粒子径が3〜40nmで、二次粒子の平均粒子径が10〜300nmであるシリカ微細粒子を用いると、光沢性およびインクの吸収性に極めて優れたものとなる。
さらに、上記表層を構成する塗工層を形成する際の塗工液中には、白色度、粘度、流動性等を調節するために、一般の印刷用塗工液や、インクジェット用紙に使用されている消泡剤、着色剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、防腐剤、分散剤、および増粘剤等の各種助剤を適宜添加することができる。
〔キャスト加工〕
上記表層の形成において、後述する加熱された鏡面ドラムを利用するキャスト方式やフィルム転写方式などのキャスト加工が行われる。
このようなキャスト加工においては、キャストドラムやフィルム等からの離型性を付与する目的で、離型剤を用いることができる。
この離型剤としては、通常の印刷用塗工紙や印刷用キャスト塗工紙製造の際に用いられる離型剤が使用できる。
このような離型剤としては、具体的には、ポリエチレンワックス,ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス類、ステアリン酸カルシウム,ステアリン酸亜鉛,オレイン酸カリウム,オレイン酸アンモニウム等の高級脂肪酸アルカリ塩類、シリコーンオイル,シリコーンワックス等のシリコーン化合物、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素化合物、レシチン、高級脂肪酸アミド等が挙げられるが、操業の安定性の面から、ノニオン性のポリエチレンワックスを使用することが望ましい。
この離型剤は、上記塗工液に添加するなどして使用される。
<基材>
本実施の形態のインクジェット記録用紙の基材は、特に限定されるものではなく、一般の塗工紙に使用される酸性紙または中性紙等の紙基材、各種合成樹脂フィルムおよびシート、ラミネート紙等が適宜使用される。
ただし、上記表層の形成において後述するキャスト方式やフィルム転写方式を採用する場合は、特に透気性基材を使用することが好ましく、紙基材または透気性を有する樹脂フィルムおよびシート類を用いる。
上記紙基材は、木材パルプと必要に応じて配合された填料とを主成分として構成される。
上記木材パルプとしては、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用すること
ができ、これらのパルプは、紙力、抄紙適性等を調整するために叩解度を調整している。
ここで、パルプの叩解度(フリーネス)は特に限定されないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS−P−8121)程度である。
また、いわゆるECFパルプ、TCFパルプ等の塩素フリーパルプも好ましく用いることができる。
必要に応じて配合される填料は、不透明性等を付与したり、インク吸収性を調整したりする目的で配合されるものであり、例えば、炭酸カルシウム、焼成カオリン、シリカ、酸化チタン等を用いることができる。
この場合、配合量は、紙基材全体に対して、1〜20質量%程度が好ましい。多すぎると紙力が低下するおそれがある。
なお、助剤としてサイズ剤、定着剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤等を添加することができる。
上記紙基材は、抄紙機のサイズプレス工程において、デンプン、ポリビニルアルコール類、カチオン樹脂等を塗布・含浸させ、表面強度、サイズ度等を調整することができる。
この場合、サイズ度は、1〜400秒程度が好ましい。サイズ度が1秒未満であると、塗工時に皺が発生する等操業上問題となる虞があり、一方、サイズ度が400秒を越えると、インク吸収性の低下や、インクの裏抜けが生じるとともに、印字後のカールやコックリング(吸収シワ)が著しくなる虞がある。
なお、基材の坪量は、特に限定されないが、通常、20〜400g/m程度である。
<下塗り層>
本実施の形態のインクジェット記録用紙において、紙基材からなる基材上に塗工層を複数層形成する場合には、上記カップリング剤で処理したアニオン性コロイダルシリカと、カチオン性コロイダルシリカとを含む層を表層とし、この表層と基材との間に下塗り層を設けることもできる。
下塗り層には、主成分として、顔料と、この顔料のバインダとして重合体を含有しており、この重合体としては一般的に接着剤が用いられる。
なお、顔料のバインダ作用をするならば、接着剤に限らず、その他の重合体でもよい。
このような下塗り層を設けることで、インクの吸収容量、吸収速度を高めることができる。
この場合、上述の表層および下塗り層は、それぞれ複数層形成されていてもよい。
〔顔料〕
下塗り層中に含まれる顔料は、塗工紙製造分野で一般的に用いられている顔料が用いられる。
これらの顔料としては、例えば、カオリン、クレー、焼成クレー、非晶質シリカ(無定形シリカともいう)、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、アルミナ、ゼオライト、合成ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等が挙げられる。
これらの顔料は、1種単独で、または2種以上適宜組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、インク吸収性の高い無定形シリカ、アルミナ、ゼオライトを主成分として使用するのが好ましい。
〔接着剤〕
上記接着剤は、塗工紙製造分野で一般的に用いられている接着剤が用いられる。
これらの接着剤としては、例えば、(イ)カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、(ロ)澱粉、酸化澱粉等の各種澱粉類、(ハ)ポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコール類、(二)カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、(ホ)スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス,アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス他が挙げられる。
これらの接着剤は、1種単独で、または2種以上適宜組み合わせて使用することができる。
この下塗り層の顔料と接着剤との配合割合は、その種類にもよるが、一般に、顔料100質量部に対し接着剤1〜100質量部、好ましくは2〜50質量部の範囲で調節される。
また、下塗り層中には、上記顔料および接着剤の他に、一般塗工紙の製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤、蛍光染料、着色剤等を適宜添加することができる。
〔インク定着剤〕
さらに、上記下塗り層中には、インクジェット記録用インク中の染料成分を定着する目的で、インク定着剤としてのカチオン性化合物を配合することが好ましい。
このようなカチオン性化合物としては、カチオン性樹脂や低分子カチオン性化合物(例えばカチオン性界面活性剤等)が挙げられるが、印字濃度向上の効果の点からは、カチオン性樹脂を用いることが好ましい。
カチオン性化合物は、溶液あるいはエマルジョンとして用いることが好適である。
なお、カチオン性樹脂は、架橋等の手段により不溶化し、粒子状の形態とすることにより、上記インク定着剤としてではなく、カチオン性有機顔料として使用することもできるものであり、このカチオン性有機顔料は、カチオン性樹脂を重合する際、多官能性モノマーを共重合して架橋樹脂とするか、あるいは、反応性の官能基(水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アセトアセチル基等)を有するカチオン性樹脂に必要に応じ架橋剤を添加し、熱、放射線等の手段により架橋樹脂とするかのいずれかに方法で形成される。
また、カチオン性樹脂は、接着剤としての役割を果たす場合もある。
上記カチオン性化合物としては、例えば、
(イ)ポリエチレンポリアミン,ポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、
(ロ)第2級アミン基,第3級アミン基または第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、
(ハ)ポリビニルアミン,ポリビニルアミジン類、
(ニ)ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系カチオン樹脂、
(ホ)ジシアンジアミド−ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポリアミン系カチオン樹脂、
(ヘ)エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、
(ト)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド−SO2共重合物、
(チ)ジアリルアミン塩−SO2共重合物、
(リ)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、
(ヌ)アリルアミン塩の重合物、
(ル)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩重合物、
(オ)アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合物、
等が挙げられる。
これらのカチオン性化合物は、印字画像の耐水性を向上させる効果も有する。
上記カチオン性化合物の配合量は、下塗り層に含まれる顔料100質量部に対し、1〜100質量部が好ましく、より好ましくは5〜50質量部である。
配合量が1質量部未満であると、印字濃度および印字耐水性向上の効果が充分に得られない虞があり、100質量部を超えると、逆に印字濃度の低下や、画像の滲みが生じる虞がある。
〔下塗り層の作製方法〕
上述した各成分を含んで構成される下塗り層用塗工液は、一般に固形分濃度が5〜50質量%に調整され、基材上に乾燥質量で2〜100g/m、好ましくは5〜50g/m、より好ましくは5〜20g/mになるように塗工される。
この場合、下塗り層用塗工液の塗工量が2g/m未満であると、インク吸収性改良効果が充分に発揮されず、記録画像の滲みや、下塗り層上の表層の光沢性向上効果の低下を招く虞がある上、基材として紙基材を用いた場合、これに吸収されるインクが多くなる結果、記録後の用紙が波打ち(コックリング)を起こしたり、プリンタの拍車(記録後の用紙抑えロールや歯車)による押さえ跡(拍車跡)が目立ったりする等の問題が生じる虞がある。
一方、塗工量が100g/mを超えると、印字濃度の低下および塗工層(下塗り層)の強度低下等を招く虞があるとともに、粉落ちし易いとか、傷が付き易いとか等の問題が生じる虞がある。
下塗り層の塗工法は、特に限定されるものではなく、ブレードコータ、エアナイフコータ、ロールコータ、ブラシコータ、チャンプレックスコータ、バーコータ、リップコータ、ダイコータ、グラビアコータ、カーテンコータ等の各種公知公用の塗工装置のいずれかを用いて塗工して乾燥するものである。
<インク受容層>
本実施の形態のインクジェット記録用紙においては、下塗り層と表層との間にインク受
容層を設けても良い。
インク受容層は、平均粒子径が90〜700nmの二次粒子の無定形シリカと、重合度
が3500以上のポリビニルアルコールとを含み、乾燥塗工量が5〜20g/mの層である。
このインク受容層を設ける事により、このインクジェット記録用紙は、染料インクに対して、その印字濃度が高く、インクの耐水性に優れたものとなり、顔料インクに対しても、印字濃度が高く、かつ光沢度が高いものとなる。
インク受容層には、上記無定形シリカ以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、アルミナ、コロイダルシリカなどの通常使用される公知の顔料を併用することができる。
これらの顔料は、単独で使用しても、または2種以上を併用して使用しても良い。
上記インク受容層では、上記バインダとしての接着剤にポリビニルアルコールを用いることが好ましい。このポリビニルアルコールの重合度は、3500以上であることが好ましく、3500〜5000であることが特に好ましい。
その重合度が3500未満であると、インク受容層の強度が弱いとともに、ひび割れが発生しやすく、特に顔料インクに対して充分な印字濃度が得られない。その重合度が5000を超えると、充分なインク吸収性が得られないとともに、塗工液調製におけるハンドリングが良好でない。
インク受容層には、上記顔料および接着剤以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤を適宜添加することができる。
このような添加剤としては、例えば、上記下塗り層に配合したカチオン性化合物、通常使用される公知の他の接着剤、インク定着剤、分散剤、架橋剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤、紫外線吸収剤、保存性改良剤、蛍光増白剤、および着色剤等が挙げられる。
上記インク定着剤は、下塗り層に設けた場合と同様に、染料インクの色素をインク受容層において定着させるためのものであり、良好な染料インクの発色性および保存性、インク吸収性を得るために、上記下塗り層のインク定着剤と同様なものが使用される。
さらに、インク受容層にはアセチレンアルコールまたはアセチレングリコールから誘導された界面活性剤を添加することが好ましい。これら界面活性剤を使用することにより、塗工液における高い消泡効果や、濡れ効果が期待できる。
〔インク受容層の作製方法〕
インク受容層の乾燥塗工量は、5〜20g/mであることが好ましい。
乾燥塗工量が5g/m未満であると、光沢性とインク吸収性とが十分でなく、20g/mを超えると、塗工層のひび割れが発生しやすくなるとともに、良好なドット真円性が得にくく、また顔料インクおよび染料インクの印字濃度も不充分なものとなる。
インク受容層は、上述の成分からなるインク受容層用塗工液を下塗り層上に塗工して作製される。
インク受容層用塗工液の固形分濃度は、5〜50質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
固形分濃度が5質量%未満であると、インク受容層の乾燥効率が低く、また、50質量%を超えると、塗工層のひび割れが発生し易くなる。
インク受容層用塗工液の塗工方法としては、上述した下塗り層に用いた塗工装置に加えスプレー等の各種公知公用の塗工装置のいずれかを使用して塗工する塗工方法が挙げられる。
インク受容層用塗工液の塗工方法としては、上述した下塗り層に用いた塗工装置に加え、スロットダイコータ、スライドコータ、スプレー等の各種公知公用の塗工装置のいずれかを使用して塗工する塗工方法が挙げられる。
〔架橋剤〕
上記インク受容層のひび割れを防止するために、上記下塗り層の接着剤および上記インク受容層の接着剤を架橋する架橋剤、あるいは、これらの接着剤を架橋するとともにゲル化するゲル化剤を用いて上記接着剤を架橋することが好ましい。
これらの架橋剤(ゲル化剤を含む)は、インク受容層用塗工液に添加されているか、インク受容層を塗工する前の下塗り層上にあらかじめ水系塗工液として塗工されるか、あるいは、インク受容層を塗工後にその上に塗工されるかして用いられる。
架橋剤としては、例えば、ポリビニルアルコールに対する架橋性を有する化合物であるグリオキザールなどのアルデヒド系架橋剤、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ系架橋剤、ビスビニルスルホニルメチルエーテルなどのビニル系架橋剤等が挙げられる。
また、ポリビニルアルコールを架橋するとともにゲル化するゲル化剤としては、例えば、ホウ酸およびホウ砂などのホウ素含有化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、クロム化合物等が挙げられる。
本実施の形態においては、これらのなかでも増粘またはゲル化が早く生じる点からゲル化剤であるホウ素含有化合物が特に好ましく用いられる。
ここで、ホウ素含有化合物とは、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことであり、具体例としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、およびそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。
なかでも、塗工液を適度に増粘させる効果がある点から、オルトホウ酸と四ホウ酸二ナトリウムとが好ましく用いられる。
ホウ素含有化合物の配合量は、ホウ素含有化合物の種類およびポリビニルアルコールの重合度に依存し、下塗り層またはインク受容層のいずれかの面に乾燥塗工量として0.01〜2.0g/m含有されていることが好ましい。
このホウ素含有化合物の塗工量が0.01g/m未満であると、親水性接着剤との架橋性、および塗工液のゲル化が十分でなく、塗工層にひび割れが発生する虞がある。その配合量が2.0g/m超えても、接着剤との架橋密度の高さは飽和して、塗工層のひび割れ防止効果がそれ以上向上しない。
<表層の光沢化処理>
本実施の形態のインクジェット記録用紙は、上記インク受容層の表面に上述した表層が形成されている。
この表層は、上記成分を含む塗工液をインク受容層の表面に塗工して形成され、この塗工液が乾燥した状態でスーパーカレンダその他の種々の光沢化処理により光沢面に形成される。
なお、この表層は、インクジェット記録用紙が、この表層からなる1層の塗工層のみを有する場合は、その塗工液が、直接上記基材上に塗工されて形成され、また、この表層と上記下塗り層との2層の塗工層を有する場合は、下塗り層上に塗工されて形成される。
この表層への光沢化処理は、スーパーカレンダ等による平滑化処理で光沢を発現させる方式とすることもできるが、高い光沢と優れたインクジェット記録適性とを付与することを考慮すると、鏡面ドラムを利用するキャスト方式やフィルム転写方式などのキャスト加工とすることが好ましい。
一般にキャスト方式とは、塗工層を、平滑性を有するキャストドラム(鏡面仕上げした金属、プラスチック、ガラス等のドラム)、鏡面仕上げした金属板,プラスチックシート,プラスチックフィルム、またはガラス板等の上で乾燥し、これらの平滑面を塗工層上に写し取ることにより、平滑で光沢のある塗工層表面を得る方法である。
本実施の形態において、加熱した鏡面ドラムを利用するキャスト方式により表層を設ける方法としては、基材上に直接、または基材上に設けた下塗り層上に、あるいは下塗り層上に設けたインク受容層上に、上記表層塗工液を塗工して塗工層を形成し、(1)この塗工層が湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げる方法(ウェットキャスト法)、(2)上記塗工層を一旦乾燥後再湿潤して、加熱された鏡面ドラムに圧接し、乾燥して仕上げる方法(リウェットキャスト法)、(3)上記塗工層をゲル化して、加熱された鏡面ドラムに圧接し、乾燥して仕上げるゲル化キャスト法等が挙げられる。
また、(4)加熱された鏡面ドラムに直接表層塗工液を塗工し、乾燥させた後、基材上に直接、または基材上に設けた下塗り層上に、あるいは下塗り層上に設けたインク受容層上に、上記鏡面ドラムを圧接し、上記表層を転移させて仕上げる方法(プレキャスト法)であってもよい。
上記各方法において加熱された鏡面ドラムの温度は、例えば50〜150℃、好ましくは70〜120℃である。
上記フィルム転写方式としては、(1)上記の表層用塗工液を、基材表面、または基材上に設けた下塗り層面に塗工して、該塗工層が湿潤状態にある間に平滑なフィルムまたはシートを重ね、乾燥した後、平滑なフィルムまたはシートを剥離して仕上げる方法、(2)平滑なフィルムまたはシート上に、上記表層用塗工液を塗工して塗工層を設け、この塗工層が湿潤状態にある間に、乾燥状態の貼り合せようとする基材上に直接、または基材上に設けた下塗り層上に、あるいは下塗り層上に設けたインク受容層上に、この塗工層を圧接し、乾燥した後、平滑なフィルムやシートを剥離して仕上げる方法、または、表層の塗工層を乾燥させた状態で、ある程度湿潤状態にある基材上に直接、または基材上に設けた下塗り層上に、あるいは下塗り層上に設けたインク受容層上に、この塗工層を圧接し、乾燥した後、平滑なフィルムやシートを剥離して仕上げる方法が挙げられる。
この場合、平滑なフィルムまたはシートは、表面粗さ(JIS−B−0601)Ra=0.5μm以下が好ましく、より好ましくはRa=0.05μm以下である。
上記各キャスト方式のうちで、フィルム転写法のキャスト方式に比べ、加熱された鏡面を利用するキャスト方式の方が、表面平滑性に優れる傾向があり、生産性やコストの点で有利である場合が多く、好適である。
表層用塗工液の塗工量は、好ましくは乾燥固形分で0.1〜30g/mである。
ここで、0.1g/m未満では、印字濃度や光沢が十分に出ない場合があり、30g/mを超えると、効果は飽和し、乾燥に負担がかかり操業性が低下する虞がある。
なお、塗工層をキャスト仕上げにより設けた後に、さらにスーパーカレンダ等により平滑化処理を行うこともできる。
上記各キャスト加工に先立って形成される表層の塗工液の塗工方法は、例えば、ブレードコータ、エアナイフコータ、ロールコータ、ブラシコータ、チャンプレックスコータ、バーコータ、リップコータ、ダイコータ、グラビアコータ等の各種公知公用の塗工装置のいずれかを用いて塗工するものである。
以上で説明したインクジェット記録用紙は、光沢性に優れた記録体であるが、特に、記録する面の表面の75°光沢度(JIS−Z−8741)は、30%以上が好ましく、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは65%以上である。この光沢度は上記方法では95%とすることもできる。
このような光沢性に優れたインクジェット記録用紙により、優れた画質と写真調の高品位の記録画像が得られる。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の説明において、特に言及する場合を除き、「質量%」および「質量部」は、それぞれ「%」および「部」と略記する。
(実施例1)
[紙基材の作製]
木材パルプ(LBKP;ろ水度500mlCSF)100部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス、エンゲルハード&ミネラル(株)製)9部、市販サイズ剤0.1部(商品名:PM356、荒川化学(株)製)、硫酸バンド1.5部、湿潤紙力剤0.7部(商品名:WS570、日本PMC(株)製)、澱粉0.75部よりなる製紙材料を使用し、長網抄紙機にて坪量120g/mの基材としての紙基材を製造した。この紙基材のステキヒトサイズ度は60秒であった。
以下の実施例、比較例ではすべてこの紙基材を用いた。
[カップリング剤で処理したアニオン性コロイダルシリカの製造]
攪拌機、温度計、還流冷却器、および滴下ロートを備えた装置に、顔料として平均粒子径50nm、固形分40%のアニオン性コロイダルシリカ(商品名:カタロイドSI−45P、触媒化成工業(株)製)985部を仕込み、75℃まで加熱した。次いで、撹拌下で75℃に保ちながら、カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン15部を15分間かけて滴下し、同温度で30分間保温して反応を完結させた。これを冷却して、カップリング剤で処理したアニオン性コロイダルシリカ(S−1)を得た。
[下塗り層の形成]
顔料として二次粒子の非晶質シリカ(商品名;ファインシールX−45、(株)トクヤマ製、比表面積340m/g,平均粒子径4.5μm)を100部、接着剤としてシリル変性ポリビニルアルコール(商品名:R1130、クラレ(株)製)25部、カチオン性化合物として、ジシアンジアミド系樹脂(商品名:ネオフィックスE−117、日華化学(株)製)5部、およびカチオン性アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合物(商品名:スミレーズレジンSR1001、住友化学(株)製)15部、蛍光染料(商品名:ホワイテックスBPSH、住友化学(株)製)2部、分散剤としてポリ燐酸ソーダ0.5部を添加し、固形分濃度18%の下塗り層用塗工液を調製した。
そして、この下塗り層用塗工液を、乾燥重量が8g/mとなるように、エアーナイフコータにより上記紙基材上に塗工、乾燥して、下塗り層を形成した。
[インク受容層の形成]
顔料として一次粒子の市販気相法シリカ(商品名:レオシールQS−30、(株)トクヤマ製、平均一次粒子径9nm、比表面積300m/g)を用いて、高速流衝突型ホモジナイザで粉砕分散を繰り返して二次粒子とし、これを分級後、平均粒子径200nmの10%シリカ分散液を調整した。該分散液100部(固形分で)に、ポリビニルアルコール(商品名:PVA145、(株)クラレ製、重合度4500)15部を混合し、インク受容層形成用塗工液を調整した。
その後、乾燥塗工量が1.5g/mになるように3質量%のホウ砂水溶液を下塗り層上に塗布し、乾燥せずに絶乾質量で17g/mになるように、上記インク受容層形成用塗工液をダイコータにより塗工した。そして平衡水分が8%になるように150℃の熱風乾燥を行ってインク受容層を形成した。
[表層の形成]
顔料として、カップリング剤で処理した上記アニオン性コロイダルシリカ(S−1)と、カチオン性コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスAK−L、日産化学工業(株)製)とを、それらの固形分比が5/95になるように混合し、離型剤としてポリエチレンワックス(ノニオン性)2部よりなる固形分濃度が30%の組成物を調製し、表層用塗工液を調製した。
その後、インク受容層の上に上記表層用塗工液を塗布した後、その面を、表面温度100℃のキャストドラムに線圧200kg/cmで圧接し、ウェットキャスト処理を施した。
(実施例2)
カップリング剤で処理した上記アニオン性コロイダルシリカ(S−1)と上記カチオン性コロイダルシリカの固形分比を30/70に変更して表層用塗工液を調整し、使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
(実施例3)
表層用塗工液中にポリビニルアルコール(商品名PVA117、(株)クラレ製)を10部加える以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
(比較例1)
表層用塗工液中のカップリング処理したコロイダルシリカを、カップリング処理していない市販のアニオン性コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスOL,日産化学工業(株)製)に変更する以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
(比較例2)
表層用塗工液中のコロイダルシリカをすべてカチオン性コロイダルシリカにした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
(評価方法および評価基準)
上記実施例、比較例で得られたインクジェット記録用紙について、インクジェット記録における印字適性および光沢性を下記方法により評価した。
〔インクジェット記録における印字適性の評価〕
印字適性の評価は、染料インクおよび顔料インクの両タイプのプリンタを用いて、印字濃度、インク吸収性、印字部の光沢感、光沢性、表面強度、プリンタの搬送性、耐擦過性、および操業性について行った。
・評価用プリンタ
プリンタA:市販の染料インクタイプのインクジェットプリンタ(商品名:PM−G800、セイコーエプソン(株)製)
プリンタB:市販の顔料インクタイプのインクジェットプリンタ(商品名:PM−G900、セイコーエプソン(株)製)
・印字濃度
プリンタA(染料インクタイプ)とプリンタB(顔料インクタイプ)を用いて黒のベタ印字を行い、その印字濃度をエックス‐ライト反射濃度計(938スペクトロデンシトメータ)で測定した。
〔インクの吸収性〕
プリンタA(染料インクタイプ)を用いて、ブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、レッド、グリーン、ブルーの各色ベタを、互いに境界を接するようにマス目状に配置した印字を行い、各色間の境界部でのインクのにじみを目視にて、下記基準により評価した。
◎:印字のにじみは全く認められず、優れたレベル。
○:印字のにじみがわずかに認められるが、実用上問題の無いレベル。
△:印字のにじみがややあり、実用上やや問題となるレベル。
×:印字のにじみが著しく、実用上重大な問題となるレベル。
〔印字部光沢感〕
プリンタA(染料インクタイプ)を用いて、写真画像(JIS−X−9204準拠「高精細カラーディジタル標準画像(XYZ/SCID)データ」、画像の識別記号:N1、画像の名称:グラスと女性)の印字を行い、印字部の均一性を目視にて、下記基準により評価した。
◎:画像全体に印字光沢感にムラが認められず、優れたレベル。
○:印字光沢感が、濃い印字発色性をもつ部分で若干低くなるものの、全体的に問題と ならないレベル。
×:部分的に印字光沢が無くなり、実用上重大な問題となるレベル。
〔光沢性〕
白紙のインクジェット記録用紙表面を斜め方向から目視により観察して、光沢性について下記基準により評価した。
◎:極めて高い光沢感がある
○:光沢感がある
×:光沢感が劣る
〔インクの凝集ムラ〕
プリンタ(B)を用いて、ベタ印字を行って、インクの凝集ムラの程度を目視で評価した。
○:良い
△:やや劣る
×:実用不可
〔耐擦過性〕
印刷後2分間経過してから、ティッシュペーパーで印刷面を3回軽く擦り、記録画像がどれだけ保持されているかを、下記基準により目視にて評価した。
◎:記録画像がほぼ完全に保持されている
○:記録画像がやや完全に保持されており、元の画像を充分読みとることができる
△:記録画像が鮮明さを失っており、元の画像が何であるか判別困難である
×:表面の顔料系インクの大部分が消失している
〔操業性〕
ウェットキャスト処理を施した際にキャストドラムに付着する基材エッジ部分に相当する粕や、キャストドラムに生じてくる曇りについて目視にて判断し、連続操業性について評価した。
○:連続操業性に優れている
△:操業を時々中断して清掃の必要あり
×:操業をしばしば中断しての清掃の必要あり
上記評価結果を表1に示す。
Figure 2007160606
表1に示す結果から明らかなように、本発明に係る実施例1〜3においては、上記すべての評価項目において良好であり、特にインク吸収性においてはきわめて優れている。
また、実施例3は、印字部光沢感、光沢性、および凝集ムラにおいてもきわめて優れて
いる。
これに対して比較例1は、凝集ムラにおいて実用不可であり、耐擦過性および操業性においてやや劣り、比較例2は、操業性においては実用性を満たしておらず、また印字部の光沢感、光沢性、および凝集ムラにおいてやや劣っており、いずれもインクジェット記録用紙として満足できる結果となっていない。

Claims (6)

  1. 基材と、この基材上に形成された少なくとも1層の塗工層とを有するインクジェット記録用紙において、
    上記塗工層の内の少なくとも表層が、顔料として、カップリング処理したアニオン性コロイダルシリカと、カチオン性コロイダルシリカとを含有する、
    ことを特徴とするインクジェット記録用紙。
  2. 上記カップリング処理に用いるカップリング剤が、シランカップリング剤であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
  3. 上記アニオン性コロイダルシリカと、カチオン性コロイダルシリカの固形分重量比が1/99から30/70であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
  4. 上記塗工層中に、顔料のバインダとして重合体を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用紙。
  5. 上記表層が、光沢化処理で形成された光沢面となっている、
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用紙。
  6. 上記光沢化処理が、キャスト加工である、
    ことを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録用紙。

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