JPWO2015108180A6 - 痛風発症関連分子、並びに、尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法及び評価キット、検査体及び薬 - Google Patents

痛風発症関連分子、並びに、尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法及び評価キット、検査体及び薬 Download PDF

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Abstract

【課題】 痛風の発症に関連する分子を特定し、それを基に、尿酸関連疾患及び炎症関連疾患の早期治療や予防に寄与するものとして、尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法とそれを実施する評価キットと、検査体と薬とを提供すること。【解決手段】 CHIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35A のいずれかのタンパク質及びcDNA、またはGLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2 を含めたその組み合わせのタンパク質から成り、尿酸を選択的・ATP 依存的に排出を低下させる能力を備える。ABCG2 の変異体のタンパク質及びcDNA であり、尿酸を選択的・ATP 依存的に排出を低下させる能力を備える。

Description

本発明は、痛風発症関連分子、並びに、それに関連する尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法とそれを実施する評価キット、また、それに関連する検査体と薬に関する。
近年、痛風患者が増加し、発症も若年化している。痛風は、尿酸モノナトリウム結晶の組織沈着に起因する疾患であり、関節の炎症として発症することが多い。また、高尿酸血症患者によくみられ、遺伝的要素があることが以前より知られている。
痛風は、高血圧、肥満、糖尿病、冠動脈疾患、脳血管疾患、腎疾患などを合併することが多い。また、炎症に関連する疾患には、リウマチや不妊症などもあり、これらの早期治療や予防が求められている。
本発明者は、機能的遺伝解析を用いて、2種類の尿酸トランスポーター、すなわち尿酸トランスポーター遺伝子1(URAT1/SLC22A12)及びグルコーストランスポーター9(GLUT9/SLC2A9)における機能喪失型突然変異が腎性低尿酸血症を引き起こすことを実証した(それぞれMIM220150及びMIM612076)(非特許文献1〜2)。これらの知見や腎における発現パターンからも、URAT1及びGLUT9がヒトにおける腎尿酸再吸収を媒介することが示されている。
しかし、そのような解析ではその他の尿酸トランスポーターは同定されていず、血清中尿酸濃度(SUA)を上昇させる病原性変異が認められる尿酸トランスポーターは依然として不明であった。
尿酸トランスポーターに関連する従来技術には特許文献1があり、トランスポーターとしてのABCG2に関連する従来技術には特許文献2〜4があるが、従来技術におけるABCG2は薬物のトランスポーターとしての開示であり、尿酸輸送に関与するものではなかった。
また、血清尿酸値9mg/dL以上の重度の高尿酸血症患者でも5年以内に痛風を発症する割合は約2割に過ぎないと報告されるなど、高尿酸血症は痛風のリスクとはなるが必ずしも痛風になるわけではない、ということが一般的に知られていた。しかしながら、どのような高尿酸血症患者が痛風になり、どのような患者がならないのかという点に関しては不明であった。
そのため、従来の医療においては、一定以上の高尿酸血症を呈する患者には、そのほとんどが痛風のリスクが少ないにも関わらず、尿酸低下薬を処方していた。また、血清尿酸値がそれほど高値でなくても痛風を発症する症例もあり、痛風発症患者の肉体的・経済的負担は大きかった。
本発明者は、特許文献5において、種々の薬物や内因性化合物の細胞外排出を担うABCG2(ATP-binding cassette G2)が、尿酸を高親和性に輸送することを開示した。また、高尿酸血症や痛風症例に多く認められるABCG2遺伝子のQ141K変異が輸送活性を半分程度にまで減弱し、Q126Xを含むいくつかの変異においても輸送活性が失われること、さらに、健常人におけるQ141K多型の尿酸値に与える影響を調査し、血清尿酸値がQ141Kの変異の保持数に伴い上昇すること、ABCG2が腎臓、肝臓、小腸における尿酸排泄をヒトで司っているということを初めて証明した。すなわち、ABCG2遺伝子が痛風の主要病因遺伝子であることを見出した。
この知見は、痛風は未知の家族的・遺伝的要因を含む疾患であるという定説を支持する結果でもあり、ありふれた変異が病因変異となり、Common disease(痛風)が引き起こされることを示した例としては世界で初めての発見でもある。
これにより、高尿酸血症・痛風の症例に対する個人差に応じた予防医学などの医療の提供が可能となりつつあるが、約2割の症例には、ABCG2のQ126XとQ141Kの変異を認めないことから、より詳細な遺伝子解析技術の開発が求められていた。また、変異を認めた場合の具体的な対策、例えばダイエットの目標数値などの設定が可能となることが望ましいが、従来技術では対応できなかった。
特開2003−93067「腎臓及び胎盤型尿酸トランスポーターとその遺伝子」 特開2007−60967「遺伝子多型の検出方法および薬物のスクリーニング方法」 特開2004−16042「ABCG2タンパク質が関与する薬物吸収の異常の遺伝子診断に用いることができる変異型ポリヌクレオチドおよび核酸分子」 特表2005−529618「ABCG2多型による薬物輸送能の予測方法」 特願2009−148106「尿酸トランスポーター、並びに、尿酸輸送関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法及び評価キット、検査体及び薬」
Enomoto A, Kimura H, Chairoungdua A, et al. Molecular identification of a renal urate anion exchanger that regulates blood urate levels. Nature 2002;417:447-52. Matsuo H, Chiba T, Nagamori S, et al. Mutations in glucose transporter 9 gene SLC2A9 cause renal hypouricemia. Am J Hum Genet 2008;83:744-51. Kondo C, Suzuki H, Itoda M, et al. Functional analysis of SNPs variants of BCRP/ABCG2. Pharm Res 2004;21:1895-903. Tin, A. et al. Genome-wide association study for serum urate concentrations and gout among African Americans identifies genomic risk loci and a novel URAT1 loss-of-function allele. Human Molecular Genetics 20, 4056-68 (2011). Sulem, P. et al. Identification of low-frequency variants associated with gout and serum uric acid levels. Nature Genetics 43, 1127-30 (2011). Kottgen, A. et al. Genome-wide association analyses identify 18 new loci associated with serum urate concentrations. Nature Genetics 45, 145-54 (2013). Ichida, K. et al. Decreased extra-renal urate excretion is a common cause of hyperuricemia. Nature communications 3, 764 (2012). Matsuo, H. et al. Common defects of ABCG2, a high-capacity urate exporter, cause gout: a function-based genetic analysis in a Japanese population. Sci Transl Med 1, 5ra11 (2009). Matsuo, H. et al. Common dysfunctional variants in ABCG2 are a major cause of early-onset gout. Scientific Reports 3, 2014 (2013). 松尾洋孝、市田公美、高田龍平、中山昌喜、四ノ宮成祥. 尿酸動態の支配要因としての尿酸トランスポーター. 細胞工学,31(5), 553-557, 2012. K. Maedaand Y. Sugiyama. Impact of genetic polymorphisms of transporters on the pharmacokinetic, pharmacodynamic and toxicological properties of anionic drugs. Drug Metab Pharmacokinet. 23:223-235 (2008). C. Kondo, H. Suzuki, M. Itoda, S. Ozawa, J. Sawada, D. Kobayashi, I. Ieiri, K. Mine, K. Ohtsubo, and Y. Sugiyama. Functional analysis of SNPs variants of BCRP/ABCG2. Pharm Res. 21:1895-1903 (2004). S. Koshiba, R. An, H. Saito, K. Wakabayashi, A. Tamura, and T. Ishikawa. Human ABC transporters ABCG2 (BCRP) and ABCG4. Xenobiotica. 38:863-888 (2008). A. Tamura, K. Wakabayashi, Y. Onishi, M. Takeda, Y. Ikegami, S. Sawada, M. Tsuji, Y. Matsuda, and T. Ishikawa. Re-evaluation and functional classification of non-synonymous single nucleotide polymorphisms of the human ATP-binding cassette transporter ABCG2. Cancer Sci. 98:231-239 (2007). Rohan S. Wijesurendra, Barbara Casadei. Atrial Fibrillation: Effects Beyond the Atrium? Cardiovascular Research Advance Access published January 12, 2015. Muhammad A. Balouch, Matthew J. Kolek, Dawood Darbar. Improved understanding of the pathophysiology of atrial fibrillations through the lens of discretes pathological pathways. Balouch et al. Global Cardiology Science and Practice 2014:5.
そこで、本発明は、大容量型の尿酸トランスポーターを特定し、それを基に、尿酸関連疾患及び炎症関連疾患の早期治療や予防に寄与するものとして、尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法とそれを実施する評価キットと、それに関連する検査体と薬とを提供することを課題とする。
本発明の痛風発症関連分子は、痛風の発症に関連する分子であって、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、FAM35A、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのいずれかのタンパク質またはcDNA、またはGLUT9、NPT1、 URAT1、 NXRN2のいずれかのタンパク質またはcDNAを含めたその組み合わせから成り、痛風の発症に関わる能力を備えるか、または、ABCG2の変異体のタンパク質またはcDNAから成り、尿酸を選択的・ATP依存的に排出を低下させる能力を備えることを特徴とする。
本発明の尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法は、尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患を生じ得る素因を有するか否かを評価する方法であって、被験者のヒト遺伝子を含む試料を用い、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかのタンパク質またはcDNAをコードする遺伝子多型、またはGLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2の遺伝子多型を含めたその組み合わせを検知する工程を有することを特徴とする。
また、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのいずれかのタンパク質またはcDNAをコードする遺伝子の遺伝子多型、またはGLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2を含めたその組み合わせの検知が、SNPまたはそれと連鎖不均衡の関係にある遺伝子多型または頻度1%以下の遺伝子多型の検知であるとしてもよい。
ここで、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35AのSNP(それぞれ、rs4073582、rs671、rs2188380、rs1260326、rs10791821、rs56027330、rs11758351、rs4496782、rs7903456)またはそれと連鎖不均衡の関係にある遺伝子多型または他の遺伝子多型の検知との組み合わせを用いてもよい。
また、NPT4のG279R、ABCG2のV178I、N299S、E311K、G462R、V508I、V516M、A634V、F489L、D620Gの遺伝子多型の検知と、またはそれと連鎖不均衡の関係にある遺伝子多型、及びそれらの組み合わせを用いてもよい。
GLUT9のSNP(rs3775948)、NPT1の遺伝子多型(SNP)(rs1165196、I269T)、URAT1のSNP(rs505802)、NXRN2のSNP(rs2285340またはrs506338)またはそれと連鎖不均衡の関係にある遺伝子多型または遺伝子多型、またはURAT1のW258X、R90H、ABCG2のSNP(Q126X、 Q141K、 V12M)と遺伝子多型(R113X、F208S、G268R、P269S、E334X、S441N、L447V、S486N、F506SfsX4、R575X、C608X)の検知との組み合わせを用いてもよい。
また、被験者のヒト遺伝子を含む試料を用い、ABCG2タンパク質をコードする遺伝子の2つのSNPであるQ126X、Q141Kに基づき、Q126XのQをコードする遺伝子がC/CかつQ141KのQをコードする遺伝子がC/Cであれば、ABCG2は機能正常と評価し、Q126XのQをコードする遺伝子がC/CかつQ141KのQをコードする遺伝子がA/Cであれば、ABCG2は機能3/4と評価し、Q126XのQをコードする遺伝子がT/CかつQ141KのQをコードする遺伝子がC/Cであれば、ABCG2は機能1/2と評価し、Q126XのQをコードする遺伝子がC/CかつQ141KのQをコードする遺伝子がA/Aであれば、ABCG2は機能1/2と評価し、Q126XのQをコードする遺伝子がT/CかつQ141KのQをコードする遺伝子がA/Cであれば、ABCG2は機能1/4と評価し、Q126XのQをコードする遺伝子がT/TかつQ141KのQをコードする遺伝子がC/Cであれば、ABCG2は機能無しと評価し、ABCG2の機能喪失程度によって、尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または疾患を生じ得る素因を高く有すると評価する方法であってもよい。
また、ABCG2のV178I、N299S、E311K、G462R、V508I、V516M、A634V、R113X、F208S、G268R、E334X、S441N、S486N、F506SfsX4のいずれかのアミノ酸変異を生じさせる遺伝子多型が1つある場合には、Q126Xが1つある場合と同様の尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または疾患を生じ得る素因を有すると評価してもよい。
ABCG2のL447V、R575X、C608Xのいずれかのアミノ酸変異を生じさせる遺伝子多型が1つある場合には、Q126Xが1つある場合と略同様な尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または疾患を生じ得る素因を有すると評価してもよい。
ABCG2のV12M、P269S、F489L、D620Gのいずれかのアミノ酸変異を生じさせる遺伝子多型が1つある場合には、尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または疾患を生じ得る素因に関連すると評価してもよい。
さらに、上記の尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法によって得られた結果に基づき、臨床病型の推定または適する薬剤を評価してもよい。
血清中尿酸濃度が所定値以上の場合に、尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または疾患を生じ得る素因を高く有すると評価してもよい。
血清中尿酸濃度の閾値としては、6.0〜9.0mg/dl、より好ましくは7.0〜8.0 mg/dlの間にあるいずれかの値が好適である。
尿酸関連疾患及び炎症関連疾患としては、高尿酸血症、痛風、リウマチ、変形性関節症、不妊症、脳卒中、神経変性疾患、虚血性心疾患、慢性腎臓病、腎機能障害、尿路結石、腎結石、動脈瘤、心房細動を含む不整脈、炎症性腸疾患、腸炎、機能性腸疾患、ウイルス性腸疾患、光線過敏症が挙げられる。
本発明の尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価キットは、尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または疾患を生じ得る素因を有するか否かを評価するキットであって、被験者のヒト遺伝子を含む試料を用い、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35A遺伝子のうちの少なくともいずれかにおけるSNP、またはそれと連鎖不均衡の関係にある遺伝子多型または頻度1%以下の遺伝子多型、またはGLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2の遺伝子多型を含むその組み合わせを検知する手段を備えることを特徴とする。
ここで、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、GLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aの各SNPとしては、それぞれ、rs4073582、rs671、rs2188380、rs1260326、rs10791821、rs56027330、rs3775948、rs1165196、rs505802、rs2285340またはrs506338、rs11758351、rs4496782、rs7903456が利用できる。
また、ABCG2遺伝子における検知に、V178I、N299S、E311K、G462R、V508I、V516M、A634V、F489L、D620G、Q126X、Q141K、V12M、R113X、F208S、G268R、P269S、E334X、S441N、L447V、S486N、F506SfsX4、R575X、C608Xのうちの少なくともいずれかまたはその組み合わせにおける検知を適用してもよい。
本発明の検査体は、尿酸の輸送動態を検査する生体であって、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、GLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかの遺伝子を欠損させた非ヒト動物、または、ヒトCNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、GLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかの遺伝子または非ヒトCNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、GLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかの遺伝子を過剰発現または発現低下させた非ヒト動物、ABCG2のV178I、N299S、E311K、G462R、V508I、V516M、A634V、F489L、D620G、Q126X、Q141K、V12M、R113X、F208S、G268R、P269S、E334X、S441N、L447V、S486N、F506SfsX4、R575X、C608Xのうちの少なくともいずれかまたはその組み合わせの遺伝子多型を含むヒトABCG2遺伝子または非ヒトABCG2遺伝子を過剰発現または発現低下させた非ヒト動物、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、GLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかの遺伝子を欠損させた非ヒト細胞株またはヒト細胞株、ヒトCNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、GLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかの遺伝子、または非ヒトCNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、GLUT9、NPT1、 URAT1、NXRN2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかの遺伝子を過剰発現または発現低下させた非ヒト細胞株またはヒト細胞株、ABCG2のV178I、N299S、E311K、G462R、V508I、V516M、A634V、F489L、D620G、Q126X、Q141K、V12M、P269S、R113X、F208S、G268R、E334X、S441N、L447V、S486N、F506SfsX4、R575X、C608Xのうちの少なくともいずれかまたはその組み合わせの遺伝子多型を含むヒトABCG2遺伝子または非ヒトABCG2遺伝子を過剰発現または発現低下させた非ヒト細胞株またはヒト細胞株、或いはそれら細胞株より調製した細胞膜小胞であることを特徴とする。
本発明の尿酸関連及び炎症関連疾患薬は、尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または疾患を生じ得る素因を低減する薬剤であって、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかのタンパク質をコードするポリヌクレオチドまたはポリペプチド、またはGLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2を含めたその組み合わせを細胞内に導入可能な形態で有することを特徴とする。
本発明によると、尿酸調節に関連する疾患の早期治療や予防に寄与する。
栄養状態の向上に伴い、高尿酸血症は増加し続けているが、高尿酸血症から痛風に至るのは一部であるにも関わらず、多くの患者は痛風発症の有無によらず尿酸低下薬による治療を受けている。これに対し、本発明によると、事前に痛風関連遺伝子の機能欠損や低下等の情報を得ることができるので、優先的に治療を開始すべき患者の同定に繋がり、尿酸低下薬等の医療費削減や痛風予備軍の肉体的・経済的負担の軽減に繋がる。また、痛風関連遺伝子は抗がん剤や、各種生活習慣病などの治療薬を輸送するため、本発明は、各種の薬物治療の効果測定にも寄与する。また、本発明によると、生活習慣の具体的な対策、例えばダイエットの目標数値などの設定が可能になるので、個々の症例の早期予防、早期治療にも寄与する。
全痛風のゲノムワイド関連解析のマンハッタンプロットグラフ ROL型痛風のゲノムワイド関連解析のマンハッタンプロットグラフ RUE型痛風のゲノムワイド関連解析のマンハッタンプロットグラフ ゲノムワイドで有意な関連を含むABCG2のゲノム領域のグラフ ゲノムワイドで有意な関連を含むMYL2-CUX2のゲノム領域のグラフ ゲノムワイドで有意な関連を含むSLC2A9のゲノム領域のグラフ ゲノムワイドで有意な関連を含むGCKRのゲノム領域のグラフ ゲノムワイドで有意な関連を含むCNIH2-PACS1のゲノム領域のグラフ MAP3K11のゲノム領域のグラフ ゲノムワイドな有意水準で痛風と関連があった5つのSNPと1つの示唆的SNPの表 痛風の分類を示す説明図 7つのSNPと痛風のサブタイプ及びそれらのサブタイプの基礎にある尿酸輸送パラメーターとの関連を示す表 尿酸輸送の臨床パラメーターに及ぼす同定されたSNPのリスク対立遺伝子の影響を示すグラフ SNPの違いによる痛風・高尿酸血症の病型への影響を示す説明図 痛風とMYL2-CUX2 locusにおけるtag SNPとの関連を解析した結果及び各tag SNPとrs671での補正による影響を解析した結果を示す表 痛風とALDH2遺伝子rs671または飲酒との関連を解析した結果を示す表 痛風を発症するための6つの痛風関連SNPの相加作用を示すグラフ 高尿酸血症・痛風の臨床病型を示す説明図 ABCG2のハプロタイプを示す説明図 痛風の各タイプにおけるABCG2の機能低下による発症リスクを示す説明図 日本人におけるABCG2機能の頻度を示す表 ABCG2の機能低下による高尿酸血症のPAR%(人口寄与危険度)を示す説明図 ABCG2の機能低下による有意な血清尿酸値の上昇を示す説明図 ABCG2の機能低下、BMI、アルコール摂取などが血清尿酸値に与える影響を示す表 尿酸の輸送機構を示す説明図 ABCG2の機能低下と痛風の発症リスクとの関係を示す説明図 ABCG2の構造と変異を示す説明図 ABCG2の機能と年齢別の痛風発症リスクとの関係を示す説明図 高尿酸血症の病型分類をを示す説明図 ABCG2における7種のアミノ酸変異の位置を示す説明図 HEK293細胞での野生型及び変異体ABCG2のmRNA及び蛋白質の定量を示すグラフ及びウエスタンブロッティング写真 野生型及び変異体ABCG2のLLC-PK1細胞における細胞内局在を示す共焦点顕微鏡写真 野生型及び変異体ABCG2を発現した細胞膜小胞を用いた蛋白質定量のウエスタンブロッティング写真 ABCG2変異体による尿酸輸送を示すグラフ ABCG2の多型及び変異を示す表 痛風とNPT1/SLC17A1の遺伝子多型rs1165196との関連を解析した結果を示す表 免疫組織化学染色によりヒト腎臓におけるNPT1の局在を示した写真 NPT1の生理学的機能を示す説明図 突然変異を起こしたABCG2の尿酸輸送解析の結果を示すグラフ及びウエスタンブロッティング写真 痛風症例のシークエンス解析で見いだされたABCG2遺伝子の非同義変異を示すグラフ 高尿酸血症とURAT1非同義変異との関連を解析した結果を示す表 2次解析でカスタムチップを用いた痛風のゲノムワイド関連解析の結果を示す表 ABCG2の機能による尿中コプロポルフィリンの変化を解析した結果を示す表 ABCG2の機能と脳卒中との関連を解析した結果を示す表 潰瘍性大腸炎症例のABCG2機能による血清尿酸値の解析結果を示す表 ウィルス性腸炎症例のABCG2機能による治療前血清尿酸値の解析結果を示す表 透析症例におけるABCG2機能と透析導入年齢及び血清尿酸値との関連を解析した結果を示す表 痛風及びパーキンソン病の発症年齢とABCG2機能との関連を解析した結果を示す表 痛風とパーキンソン病におけるABCG2機能低下の異なる影響を示す説明図
本発明者は、非特許文献1〜2や特許文献5などに開示した知見の延長として、尿酸の高容量トランスポーターを見出し、本発明に至った。
以下に、本発明の根拠となる実証実験を示して、本発明を説明する。なお、本発明の実施形態は、後述の例に限らず、従来公知の技術を適宜援用して設計変更可能である。
また、ここでは、被験者として日本人の例を挙げるが、他の人種においても同様に適用可能である。台湾の原住民を含む環太平洋地域では、痛風の発症率が高いことが知られていて、本発明で注目する遺伝子ABCG2は、痛風発症を認める台湾21家系の連鎖解析で見い出された第4染色体長腕の遺伝子領域の中にある、という経緯もある。
ATP結合カセットサブファミリーGメンバー2である遺伝子ABCG2/BCRPは、染色体4qにある痛風感受性の座(MIM138900)に存在し、腸や、肝臓、腎臓など様々な組織の頂端膜に発現する多選択性トランスポーターをエンコードする機能を有する。また、ABCG2は、構造が尿酸と似ているヌクレオチド類似体のトランスポーターでもある(非特許文献3)。
血清中尿酸濃度のGWASより、SLC2A9及びABCG2を含むいくつかの遺伝子座が同定され、それに続く遺伝学的及び機能的研究により、痛風の主要な遺伝的リスクとしての尿酸エクスポーターをコードするABCG2の生物学的及び病態生理学的重要性が明らかとなっている。
痛風のGWASは既に3回実施されているが、それらは全て自己申告の痛風患者を含み(非特許文献4〜6)、臨床情報に乏しかった。痛風の遺伝学的基礎をより良く理解するために、本発明者は臨床的に定義された症例だけを用いた痛風のGWASを初めて実施した。さらに、遺伝的バリエーションと痛風サブタイプの間の関連を尿酸輸送パラメーターに基づいて評価し、痛風サブタイプの遺伝的異質性を明らかにした。
今回のGWASの参加者は、946名の臨床的に定義された日本人男性患者と1213名の男性対照である。全てのサンプルについて、Illuminaを用いて遺伝子型を判定した後、厳密な品質管理フィルタリングを行った。主成分分析に基づき、東アジア人とヨーロッパ人の間の混血と推定された1名の痛風患者を除外した。
図1〜3は、それぞれ、全痛風、ROL型、RUE型のゲノムワイド関連解析のマンハッタンプロットグラフである。X軸は、染色体位置、Y軸は、-log10P値を示す。水平の黒い点線はゲノムワイドな有意性閾値を表し、グレーの点線は繰り返し実験のためのSNPを選択するカットオフ水準を示す(P=5.0X10−8)。
図4〜9は、それぞれ、ABCG2、MYL2-CUX2、SLC2A9、GCKR、CNIH2-PACS1、MAP3K11のプロットを示し、ゲノムワイドで有意な関連を含む5つのゲノム領域のグラフである。最低のP値を示すSNPから250Kb以内の領域を表示する。上のパネルは、SNPと痛風の関連の検定に関する-log10P値のプロットであり、最低のP値を示すSNPをピンクの菱形で示す。他のSNPは、最低のP値を示すSNPとの連鎖不平衡の程度(rで評価)に従って色分けしている。中央のパネルは、HapMap第II相データから推定した組換え率(センチモルガン/Mb)をプロットしている。下のパネルは、RefSeq遺伝子であり、ゲノム座標はゲノムリファレンスコンソーシアムGRCh37に基づく。
GWAS段階で、ゲノムワイドな有意水準で関連の証拠を示す3つの遺伝子座でSNPを特定した。図1、4〜6に示すように、ABCG2のrs2728125(P=1.5X10−27;オッズ比[OR]=2.05)、SLC2A9のrs3775948(P==6.7X10−15;オッズ比[OR]=1.64)、MYL2-CUX2のrs2188380(P=5.7×10-13;オッズ比[OR]=1.78)であった。これらの遺伝子座をバリデートしてさらなるリスク遺伝子座を同定するために、1048症例及び1334対照の独立したサンプルを動員した。GWAS段階においてP<5.0X10−8で関連を示す124のSNPの中で連鎖不平衡を考慮することによって17のSNPを繰り返し実験のために選択した。これら17のSNPの遺伝子型判定はTaqManアッセイによって行った。
図10は、ゲノムワイドな有意水準で痛風と関連があった5つのSNPと1つの示唆的SNPの表である。Chr.は染色体、Freq.はA1の頻度、ORはオッズ比、CIは信頼区間であり、adbSNP rs番号は、示唆的SNPを“”でマークした。bSNPの位置はNCBI human genome reference sequence Buid 37.4に基づく。cA1はリスク関連対立遺伝子であり、A2は非リスク関連対立遺伝子である。d945の痛風症例と1,213の対照、e1,048の痛風症例と1,334の対照、fGWASと繰り返しサンプルを合わせたメタ解析(1,993の痛風症例と2,547の対照)である。
GWAS段階においてゲノムワイドな有意性閾値を超える3つのSNP(ABCG2のrs2728125、SLC2A9のrs3775948、MYL2-CUX2のrs2188380)は適切な再現性が得られた。
さらに、2つのSNP(GCKRのrs1260326、CNIH2-PACS1のrs4073582)は、P<2.9X10−3(ボンフェローニ補正で17の試験を調整)で痛風との有意な関連を示した。
図5〜7、10に示すように、これら5つのSNPは全て、GWAS及び繰り返し実験のメタ解析でゲノムワイドな有意性に達し(GCKRのrs1260326(Pmeta=1.9X10−12;OR=1.36)、CNIH2-PACS1のrs4073582(Pmeta=6.4X10−9;OR=1.66)、MAP3K11のイントロンSNP(rs10791821)は、示唆的水準の関連を示した(Pmeta=1.0X10−7;OR=1.57)。
発見されたこれら5つのリスク遺伝子座は、複数の代謝経路に関与する遺伝子を含む。ABCG2及びSLC2A9は、血清中尿酸濃度及び痛風と関連づけられている周知の尿酸トランスポーター遺伝子である。本発明者らは従前に、ABCG2の2つの非同義SNP、すなわち、rs72552713(Gln126Ter)及びrs2231142(Gln141Lys)が高尿酸血症及び痛風に強く関連していることを示した(非特許文献7〜9)。これらの2つのSNPのリスク対立遺伝子は、異なるハプロタイプ上に存在する。GWASにおいて最も有意性の高い関連を示すSNP(rs2728125)は、rs2231142と強いLD状態にあった(r=0.755)。ABCG2のこれら3つのSNPを含む多変量ロジスティック回帰分析によれば、rs2728125はもはや有意な関連を示さないが(P=0.19)、2つの非同義SNPであるrs72552713とrs2231142は高い有意性を留めることが示され、このことは、rs2728125が真の原因非同義変異体の単に代用に過ぎなかったことを示唆する。
ALDH2のrs671の対立遺伝子(Glu504Lys)の頻度は集団間で異なり、このGlu 504Lys対立遺伝子は日本人を含む東アジア人に一般的であるが、ヨーロッパ人やアフリカ人の子孫などの他集団には極めて稀である。従って、ヨーロッパ人及びアフリカ系アメリカ人における痛風のこれまでのGWASでは、低頻度であるためにこのSNPが検出されなかったということもあり得る。ALDH2はアルコール代謝において重要な遺伝子であり、アルコールの分解過程でアセトアルデヒドを酸化して酢酸とする。Glu 504Lys対立遺伝子は、ALDH2の酵素活性を低下させる。最近の研究では、rs671が飲酒行動と関連があることが示され、飲酒が痛風のリスク因子であることはよく知られている。
GCKRは、空腹中、グルコース代謝の重要な酵素であるグルコキナーゼ(GCK)を抑制する。
rs1260326の痛風リスク対立遺伝子は、トリグリセリド及び血清中尿酸濃度レベルの上昇と関連づけられている。また、脂質異常症との関連も報告されている。今回のGWASでは、GCKRの共通のミスセンス変異体がゲノムワイドな有意水準で痛風と関連があることが初めて示された。
CNIH2-PACS1は、AMPA−サブタイプ(AMPAR)のグルタミン酸受容体の機能を調節することが知られている。CNIH2-PACS1はAMPARの表面発現を増強し、それらのゲーティングを変調する。さらに、CNIH2-PACS1は、海馬においてAMPARのシナプス伝達を仲介する。同時に、CNIH2-PACS1のrs4073582は、重度の肥満と関連があったホスホフリン酸性クラスターソーティングタンパク質1(phosphofurin acidic cluster sorting protein 1)のrs801733と強いLD状態にあった(r=0.966)(図8)。従って、PACS1も良い候補となる感受性遺伝子であり得る。
MAP3K11のrs10791821と痛風の間に示唆的水準の関連を検出した。このSNPは単球におけるMAP3K11の発現レベルと関連付けられていた(P=6.95X10−17)。痛風との関連を確認するためにはさらなる検討が必要とされるが、この知見は痛風の新たな分子機構の糸口となり得る。MAP3K11はMAP3Kスーパーファミリーのメンバーであり、ストレスにより活性化されるタンパク質キナーゼであるc−Jun N末端キナーゼ(JNK)を活性化させることが知られている。興味深いことに、このJNK経路は、単球及びマクロファージによるMSU結晶の食作用によって活性化され、これにより痛風性関節炎が起こる。
図11は、痛風の分類を示す説明図である。尿酸クリアランス(FEUA)及び腎臓尿酸排泄(UUE)の量による特徴が異なるROL型及びRUE型の痛風に着目して痛風サブタイプの遺伝的異質性を調べた(非特許文献7)。サブタイプ特異的GWASは、関連シグナルに明らかな違いを示し(図2〜3)、ROL及びRUE型特異的GWASはそれぞれABCG2及びSLC2A9に主要なピークシグナルを示した。他方、MYL2-CUX2における関連シグナルは、これらのサブタイプ間で違いはなかった。同定されたSNPと痛風の間の関連の大きさがサブタイプによって異なるかどうかを、サブタイプ特異的ORの査定と症例−サブタイプ異質性検定によって検討した。このサブグループ分析により、ABCG2の2つの非同義SNP(rs72552713及びrs2231142)の関連が、RUE型(それぞれOR=1.28及び1.88)よりもROL型(それぞれOR=4.35及び3.37)で強いことが示された。これらのサブタイプ間のORの違いは極めて有意であった(それぞれP=2.4X10−5及び1.0X10−7)。他方、SLC2A9のrs3775948の関連は、ROL型(OR=1.38)よりもRUE型(OR=1.94)で強かった。症例−サブタイプ異質性検定では、ORの有意差が示された(P=2.7X10−4)。他のSNPはサブタイプ間でORに有意差を示さなかった。
図12は、7つのSNPと痛風のサブタイプ及びそれらのサブタイプの基礎にある尿酸輸送パラメーターとの関連を示す表である。FEUAは尿酸クリアランスの排泄率(単位:%)、UUEは尿中尿酸排泄(単位:mg/時/1.73m2)、ROLは腎臓過負荷、RUEは腎臓排泄低下、Coef.は回帰係数、ORはオッズ比、CIは信頼区間である。adbSNP rs番号である。b本発明者らは多変量ロジスティック回帰分析を行い、モデルに7つ全てのSNP、飲酒及びBMIを含めた。illumina OmniExpressプラットフォームに基づくものではないが、ABCG2のrs72552713及びrs2231142の遺伝子型を有する1,613名の痛風患者と1,334名の対照を用いた。375名及び509名の痛風患者がそれぞれROL型及びRUE型のサブ表現型に分類された。c0.05より小さいP値を太字で示した。
図13は、症例−サブタイプ異質性検定におけるORの自然対数の関数とし、尿酸輸送の臨床パラメーターに及ぼす同定されたSNPのリスク対立遺伝子の影響を示すグラフである。(A)FEUA及び(B)UUE。症例−サブタイプ異質性検定におけるORは、ROL型とRUE型との症例−対照ORの比率の推定値であり、RUE型よりもROL型でSNPが強い効果を持つ場合には1を超える値をとる。菱形及び直線は、点推定値及びそれらの95%CIを表す。ピアソンの相関係数(r)及びそのゼロからの有意な偏差を調べた。
SNPと尿酸輸送パラメーター(FEUA及びUUE)の間の関連を評価した。サブタイプ間でORに有意差を示すSNPだけが、これら2つの臨床パラメーターと有意に関連していて、ABCG2の2つのSNPとSLC2A9のrs3775948のリスク対立遺伝子は、FEUA及びUUEレベルのそれぞれ増強及び低下に関連していた。尿酸輸送パラメーターに対する各SNPのリスク対立遺伝子の影響を、症例−サブタイプ異質性検定におけるOR(サブタイプに関する症例−対照ORの比率の推定値)の自然対数の関数としてプロットしたところ、明確な直線関係を示した(FEUAについてはr=0.96[P=5.0X10−4]、UUEについては0.96[P=4.8X10−4])。
この結果は、痛風のリスクと強い関連のあった対立遺伝子が尿酸輸送パラメーターに対して示差的効果を表し、痛風の特定のサブタイプの発症に至るということを示す。またこの結果は、異常な尿酸排泄経路に対する影響を考慮する。SLC2A9のリスク対立遺伝子によるFEUA及びUUEの低下は、腎臓の尿酸排泄経路の機能低下を反映すると言える。ここで見られた、ABCG2の2つのSNPのリスク対立遺伝子によるFEUA及びUUEの上昇は、ABCG2機能不全による腸管排泄経路の機能低下の代償としての、腎排泄に対する過負荷作用によって説明することができる。これはABCG2ノックアウトマウスから得られる知見と一致する(非特許文献7)。痛風サブタイプと尿酸輸送の臨床パラメーターの分析は、痛風サブタイプの遺伝的異質性と効果量の連続的分布を示した。痛風サブタイプ及び臨床パラメーターに対して最も強い影響を持つと思われるABCG2及びSLC2A9のSNPのサブタイプ間でORに有意な異質性が検出された。サブタイプ特異的GWAS及び続いての繰り返し実験は、特定の痛風サブタイプにのみ強く関連する遺伝的因子を同定するために有用であり得る。
rs671の痛風への関連について飲酒で補正して解析したところ、rs671の関連は飲酒で補正しても高い有意性を維持することが分かった(OR=1.62;P=6.5X10−9)このことはrs671の痛風のリスク評価における重要性を示しているといえる。
図14は、SNPの違いによる痛風・高尿酸血症の病型への影響を示す説明図であり、図15及び16は、痛風とMYL2-CUX2 locusにおけるtag SNPとの関連を男性痛風患者1048名と対照1334名を対象に解析した結果及び各tag SNPとrs671での補正による影響を解析した結果を示す表、痛風とALDH2遺伝子rs671または飲酒との関連を男性痛風患者1048名と対照1323名(飲酒の情報のある対象者)を対象に解析した結果を示す表であり、図17は、痛風を発症するための6つの痛風関連SNPの相加作用を男性痛風患者1993名と対照1334名(6つのSNPの情報のある対象者)を対象にした解析した結果を示すグラフである。
図15及び16に示した解析により、ALDH2遺伝子(アルコール代謝関連の遺伝子)の遺伝子多型rs671と痛風との有意な関係が認められた。特に、図16は、ALDH2遺伝子のrs671と痛風の有意な関連は飲酒で補正しても有意であることを示す。
図17に示した解析により、各サンプルにおいてリスク対立遺伝子の数を計算することにより、同定された遺伝子座のSNP(rs72552713、rs2231142、rs671、rs3775948、rs1260326、rs4073582)の累積的効果を評価した。参照カテゴリーをリスク対立遺伝子4以下に設定すると、5、6、7、8、及び9またはそれを超えるリスク対立遺伝子を有するためのORは、それぞれ2.18、3.83、6.51、12.8、24.9であった。
図18は、高尿酸血症・痛風の臨床病型を示す説明図であり、図19は、ABCG2のハプロタイプを示す説明図であり、図20は、痛風の各タイプにおけるABCG2の機能低下による発症リスクを示す説明図である。
ABCG2のハプロタイプとして、Q126Xの変異を認めるものを「*3」と命名した。これは、ABCG2の機能がゼロになるハプロタイプである。Q141Kの変異を認めるものとして、「*2」と命名した。ABCG2の機能が1/2になるハプロタイプである。Q126X, Q141Kのどちらも認めないものとして、「*1」と命名した。ABCG2の機能が正常であるハプロタイプである。
図21は、5005人の日本人におけるABCG2機能の頻度を示す表であり、図22は、 ABCG2の機能低下による高尿酸血症のPAR%(人口寄与危険度)を示す説明図であり、図23は、ABCG2の機能低下による有意な血清尿酸値の上昇を示す説明図であり、図24は、ABCG2の機能低下、BMI、アルコール摂取などが血清尿酸値に与える影響を示す表である。
また、本発明者は特許文献5において、ABCG2タンパク質について尿酸トランスポーターとしての機能を開示したが、尿酸排出メカニズムについてさらなる検討を加えた。
図25は、尿酸の輸送機構を示す説明図であり、図26は、ABCG2の機能低下と痛風の発症リスクとの関係を示す説明図であり、図27は、ABCG2の構造と変異を示す説明図である(非特許文献1〜2、8、10)。
痛風患者では8割がABCG2遺伝子変異を有するが、健常人で変異を有するのは5割である。高尿酸血症の被験者90 人のABCG2 遺伝子の全コーディング領域をシークエンスしたが、アミノ酸置換を伴う変異が見つかったのは6つであった。うち3つは変異の頻度が高いが、そのうち1つは尿酸排泄機能低下を引き起こさなかった(非特許文献8)。最も重要な遺伝子変異は、Q126X とQ141K である(特許文献5)。Q126X変異は、日本人の5.5%に認められ、これがあると機能が全くなくなる。Q141K 変異は、53.6%もの日本人に認められ、機能は半分に低下する。Q141K変異があると、タンパクは野生型と同じだけ作られるが、細胞膜に発現するトランスポーターは半分になってしまうために、機能も半分になる。この2つの変異は1つの染色体上では同時に存在しないため、いずれか、あるいは両方を有するかどうかで、集団的なリスクを簡易的に判断できる。しかし、どちらも正常であったとしても、他の変異を有している可能性もある。
図28は、ABCG2の機能と年齢別の痛風発症リスクとの関係を示す説明図である(非特許文献9)。
705名の痛風患者について調査した結果、痛風発症リスクが一番低かったのが40代でABCG2の機能が75%(4分の3)の群で、発症リスクは2.3倍。50 代以上のABCG2の機能75%群で2.5倍である。特に20代以下の発症リスクは群を抜いて高く、20代以下でABCG2の機能が25%(4分の1)だと痛風発症リスクは22 倍にも高まる。機能が25%の群は30代、40代でも発症リスクは非常に高いといえる。
明治時代には、痛風患者は殆どいなかったといわれているが、その時代は遺伝子変異があると、ほどよく血清尿酸値を高めていたといえる。尿酸には抗酸化作用もあるから、ほどよい血中濃度であれば身体によい作用を及ぼす。しかし、現代では過栄養や運動不足のため、もともと多くの日本人の背景に
ある痛風遺伝子のリスクも主要な原因となって、痛風患者の数が増えているといえる。
図29は、高尿酸血症の病型分類をを示す説明図である(非特許文献6、10)。
ABCG2トランスポーターは、腎臓と腸管にも発現していることがわかっていた。これまで、高尿酸血症は尿酸の産生が増加する「産生過剰型」と、腎臓からの尿酸排泄が低下する「排泄低下型」の2つの病型と、その「混合型」に分類されてきた。ABCG2 遺伝子変異による排泄機能低下は、「排泄低下型」になるだろうと予測されていた。ところが、ABCG2 遺伝子変異により、高尿酸血症症例において腎臓からの尿酸排泄量(尿中尿酸排泄量)が増加することがわかった。尿中尿酸排泄量が高いと、従来の病型分類では「産生過剰型」もしくは「混合型」に診断できまるが、ABCG2 排泄機能が4分の1以下に低下した例では、「産生過剰型」もしくは「混合型」が9割に達した。一方で、尿酸は腎臓から2/3が排泄され、腸管から1/3が排泄されることがわかっていた。
しかし、ABCG2ノックアウトマウスを用いて、ABCG2 の尿酸排泄機能が低下すると、血清尿酸値と腎臓からの尿酸排泄量が増加し、逆に腸管からの尿酸排泄量は有意に下がっていることを証明した。胆汁への尿酸排泄は変わらなかった(非特許文献6)。
これらの結果から、高尿酸血症の新たな病型として「腎外排泄低下型」高尿酸血症という概念が提唱できる。また、「腎外排泄低下型」高尿酸血症と「真の産生過剰型」高尿酸血症を併せた従来の分類における「産生過剰型」高尿酸血症を、「腎負荷型」高尿酸血症と改称し得る。
薬剤選択は、「従来の産生過剰型」である「腎負荷型」には尿酸合成阻害薬、「排泄低下型」には排泄促進薬を基本とし、排泄促進薬を使用するときや、尿pH が酸性であるときは、尿酸排泄を促進させる意味でも、尿アルカリ化薬も併用するのがよいと考えられる。
ABCG2遺伝子検査でリスクの程度がわかれば、それによって早期予防や早期の医療介入・薬物治療開始の時期を考慮するといった対応が可能になる。現在のガイドラインでは血清尿酸値が8.0mg/dL、9.0mg/dL 以上になってから薬物療法を行うことになっているが、そこまで高くなる前に痛風を発症する人もいる。ABCG2遺伝子ハイリスク群では、早期に生活習慣改善に介入し、必要であれば早めに薬物治療を行うことが望まれる。
高尿酸血症は尿酸沈着症(痛風、腎障害)だけでなく、循環器疾患にも関わることので、遺伝リスクの高い人は、例えば肥満していたら体重を落とし、食事や運動に注意するなど、自ら予防することに本発明は寄与する。
さらに、遺伝子多型の組み合わせの検査により、臨床病型の推定や使用薬剤を含む推奨治療方針を評価することも可能である。
また、本発明者は特許文献5において、ABCG2タンパク質をコードする遺伝子の変異について、Q126X、Q141K、G268R、S441N、F506SfsXの少なくともいずれかにSNPがある場合を開示したが、ABCG2についてさらなる検討を加えた。
ヒトABCG2野生型のcDNAは、pcDNA3.1(+)ベクターに組み込まれN末端にmycタグを付加したものを利用した(非特許文献8)。ABCG2の変異体(F208S,P269S,E334X,L447V,S486N,R575X,C608X)に関しては、myc-ABCG2野生型/pcDNA3.1(+)ベクターを鋳型に、site-directed mutagenesisの手法により変異導入を行った。
12 wellプレート上に1.5 x 105 cells/dishでHEK293細胞を播種し約24時間後、野生型または各変異体のmyc-ABCG2/pcDNA3.1(+)ベクター0.5g/dishを用いてトランスフェクションした。48時間培養の後RNA-solve reagentを用いて回収し、逆転写産物を得た。mRNAの定量は、得られた逆転写産物とSYBR GreenER qPCR SuperMix Universal (Invitrogen)を用いたリアルタイムPCR反応をCHROMO4にて検出し解析した。ABCG2野生型または各変異体のmRNA量はβアクチンのmRNA量により規格化した。
ウエスタンブロッティングによる発現解析を行い、免疫染色し共焦点顕微鏡を用いて可視化し、観察した。また、HEK293細胞から細胞膜小胞を調製し、輸送実験を行った。
図30は、ABCG2における7種のアミノ酸変異の位置を示す説明図である。ATP結合部位のうちWalker A配列、Walker B配列、signature C配列を四角で示した。変異の位置である赤丸には変異名を示す標識を付加した。#:N型糖鎖結合サイト(N596)、*:ジスルフィド結合を形成するシステイン残基(C592,C603,C608)である。
図31は、HEK293細胞での野生型及び変異体ABCG2のmRNA及び蛋白質の定量を示し、(A)ABCG2の野生型及び変異体をHEK293細胞に一過性導入した際のmRNA量の比較を示すグラフ、(B)whole cell lysate及び(C)crude membraneをポリアクリルアミドゲルにより分離し、PVDF膜に転写した後、抗myc抗体で標識し、化学発光により検出したウエスタンブロッティング写真である。
ABCG2の各変異体が発現量にどのような影響を与えるのかを解析するために、野生型及び各変異体のmyc-ABCG2発現ベクターを一過性導入したHEK293においてmRNAの定量PCRを行った。その結果、野生型と各変異体間のmRNA発現量に有意な差は確認されなかった。
whole cell lysate及びcrude membraneを用いて、ウエスタンブロッティングを行ったところ、いずれも、野生型ABCG2ではバンドが分子量としておよそ80 kDaの位置に認められた。P269S、L447V、S486Nは野生型と同じ分子量にバンドが検出されたが、発現量はL447V、S486Nにおいて野生型の約60 %まで低下していた。一方、F208S、E334X、R575XではRNA発現量に有意な変化がないにも関わらず、蛋白質の正常な発現は見られなかった。また、C608Xは野生型よりわずかに高分子量のバンドを生じ、蛋白質発現量は2割以下まで低下していた。
図32は、野生型及び変異体ABCG2のLLC-PK1細胞における細胞内局在を示す共焦点顕微鏡写真である。LLC-PK1細胞に野生型及び変異体myc-ABCG2を一過性導入し、抗myc抗体及びTO-PRO3にて染色を行った。緑がABCG2を、灰色が核を示している。
ABCG2の各変異が細胞内局在にどのような影響を与えるかを解析するために、LLC-PK1細胞に野生型及び各変異体のmyc-ABCG2発現ベクターを一過性導入し、局在パターンの比較を行った。抗myc抗体により免疫染色し、共焦点顕微鏡にて観察したところ、野生型ABCG2はLLC-PK1細胞において専ら頂端膜表面に局在しており、生体における局在と一致していることが明らかとなった。
各変異体のABCG2の細胞内局在を調べた結果、P269S、L447V、S486N、C608Xは野生型と同様に頂端膜表面に発現が見られた。一方、E334X、R575Xは頂端膜への発現が見られず細胞内に蓄積する様子が観察された。F208Sについてはウエスタンブロッティングと同様シグナルが検出されなかった。
図33は、野生型及び変異体ABCG2を発現した細胞膜小胞を用いた蛋白質定量のウエスタンブロッティング写真である。野生型及び変異体のABCG2を発現したHEK293細胞より調製した細胞膜小胞をポリアクリルアミドゲルにより分離し、PVDF膜に転写した後、抗myc抗体で標識し、化学発光により検出した。正常な発現の見られたものに関して、下にmyc-ABCG2のバンドの濃度を示した。
ABCG2の各変異体が尿酸の輸送活性にどのような影響を与えるかを解析するため、細胞膜小胞を用いた輸送活性の比較を行った。野生型及び各変異体のmyc-ABCG2発現ベクターを一過性導入したHEK293細胞を回収し、調製した細胞膜小胞を用いてウエスタンブロッティングを行ったところ、crude membraneと同様の結果が観察された。変異体発現ベシクルにおける蛋白質あたりのABCG2発現量は、P269Sでは野生型の1.16倍であったが、L447Vは0.70倍、S486Nは0.58倍、C608Xでは0.37倍まで低下し、F208S、E334X、R575Xでは正常な蛋白質の発現が認められなかった。
図34は、(A)ABCG2変異体による[14C]尿酸輸送を示すグラフ、(B)ABCG2蛋白質で規格化した輸送活性を示すグラフである。
野生型及び変異体のABCG2を発現したHEK293細胞より調製した細胞膜小胞を用いて尿酸輸送実験を行った。その結果、P269Sは野生型と同程度の尿酸輸送活性を保っている一方で、F208S、E334X、R575Xでは尿酸輸送は見出されなかった。C608Xについては、発現量低下に伴う輸送能の低下が見られたが、ABCG2蛋白質発現量あたりの尿酸輸送活性は野生型と同程度であった。また、L447V、S486Nについては、細胞内局在が正常であるにも関わらず尿酸輸送活性が激減していた。
ある遺伝子が疾患の原因遺伝子であった場合、その遺伝子の変異全てを疾患リスクファクターとしてカウントするという考え方も存在するが、ABCG2の場合、例えばV12M、P269Sの変異は尿酸輸送に影響を及ぼさないことから、これらの変異は痛風発症のリスクに影響を与えないと考えられ、高尿酸血症・痛風の発症リスク予測を目的とした遺伝子解析の際、リスク上昇をもたらす因子として考えなくてもよい。一方、これら2つ以外の変異はQ126X、Q141Kと同様、尿酸輸送機能に影響を与えるため、高尿酸血症・痛風の発症リスクを高めると考えられた。
F208Sは、mRNAは発現しているものの蛋白質の発現が見られず、尿酸の輸送機能も見られなかった。E334X、R575Xはナンセンス変異であり、正常な蛋白質が発現しないため、輸送機能がないことは当然のことと考えられるが、C608Xはナンセンス変異でありながらも輸送機能を一部保持していた。C608Xは6か所の膜貫通部位以降に終止コドンが生じていることが一因と考えられる。また、C608Xは野生型に比べてウエスタンブロッティングのバンドがやや高分子量側にシフトしており、これはジスルフィド結合を形成に重要であることが示唆されているC608が欠失することにより、野生型と異なった三次構造を取ることが原因であると示唆される。
L447V、S486Nはin vitroでの免疫染色の結果では細胞内局在は野生型と同様冊子縁膜側であり、かつ蛋白質発現量も野生型と比べてそれほど低下していないにも関わらず、尿酸輸送はほとんど検出されなかった。
図35は、上記解析及び非特許文献6にて解析を行ったABCG2の多型及び変異を示す表である。
ABCG2のアミノ酸置換を伴う13種類の変異・多型の尿酸輸送機能に与える影響が評価された。 R575Xは既報(非特許文献11)ではあるが、機能について解析されたのは本発明が初めてである。F208S、P269S、E334Xはメトトレキセート等の基質について機能解析がなされているが(非特許文献11〜14)、尿酸輸送活性の変化は他の基質に対する輸送活性の変化と同様の傾向であった。L447V、S486N、C608Xは新規の変異である。これらの変異は高尿酸血症や痛風等を罹患しているヒトという特殊な集団を解析した結果見つかったものであり、ABCG2遺伝子変異が集積しやすい集団であることが伺え、ABCG2遺伝子と高尿酸血症や痛風等の関連性の強さを反映した結果である。
本発明者は、NPT1について、更に検討を加えた。
図36は、痛風とNPT1/SLC17A1の遺伝子多型rs1165196との関連を解析した結果を示す表である。
痛風患者の男性545名と、尿酸値正常の男性1115名について、NPT1/SLC17A1の遺伝子多型(SNP)(rs1165196、I269T)について解析した。その結果、腎尿酸排泄低下を認める痛風(RUE gout)(FEUA 5.5%未満)で、NPT1/SLC17A1の変異(rs1165196、I269T)が痛風のリスクを有意に軽減することが判明した。オッズ比は、0.73倍(95%信頼区間0.54〜0.97, P値0.031)であった。
また、免疫組織化学的解析により、NPT1がヒトの腎臓の近位尿細管の管腔側に発現していることも見出した。また、アフリカツメガエル卵母細胞にNPT1を発現させたliving cellを用いた機能解析においても、野生型に比べて、I269Tは尿酸排泄機能を高めることも見出した。これにより、I269Tがgain-of-function型(機能獲得型)の変異であり、NPT1による尿酸排泄を促進し、痛風発症のリスクを軽減することを支持することがわかった。
なお、本解析では、痛風全体(All gout)や腎尿酸排泄低下を認めない痛風(Non-RUE gout)(FEUA 5.5%以上)では、痛風発症のリスクに有意差は認められなかったが、サンプル数を増やした別の解析では、NPT1/SLC17A1の遺伝子多型(SNP)(rs1165196、I269T)が痛風全体(All gout)の発症リスクを有意に下げることも見出している。
図37は、免疫組織化学染色によりヒト腎臓におけるNPT1の局在を示した写真である。
ヒト腎臓の組織切片を用いて、ウサギから作成した抗ヒトNPT1抗体(SANTA CRUZ, Santa Cruz, CA, USA)(1:500希釈)を4℃で一晩静置し抗ウサギペルオキシダーゼ標識ポリマー(Envision+: Dako, Tokyo, Japan)で30分間処理し、免疫反応をディアミノベンジディン(0.8 mM)で染色することにより検出した。写真中のバーは50μmである。
その結果、NPT1がヒト腎臓の近位尿細管で管腔側に局在していることが明らかになった。
図38は、NPT1の生理学的機能を示す説明図である。
NPT1は、ヒト腎臓の近位尿細管の管腔側において、尿中への尿酸排泄を司り、血清尿酸値を下げる方向に作用することで、血清尿酸値の調節において生理学的に重要な役割を担っている。
また、NPT1のgain-of-function型(機能獲得型)の変異であるI269Tは、尿中への尿酸排泄を促進し(その結果FE UAを上昇)、血清尿酸値をさらに下げる方向に作用するため、痛風発症リスクを有意に下げることが病態生理学的にも明らかとなった。
また、NPT4/SLC17A3のrs56027330 (G279R)について、日本人男女5017人で血清尿酸値に対するQTL解析を行った。性別、BMI、ABCG2機能、NPT1/SLC17A1 (rs1165196;I269T)で補正を行った結果、NPT4のG279Rは血清尿酸値に対して有意な(P=0.03)関連を示した。これにより、NPT4の稀な遺伝子多型と血清尿酸値との関連が初めて証明され、NPT4が痛風・高尿酸血症を含む尿酸関連疾患や、それに関連する炎症性疾患に関連する可能性が示唆された。
図39は、突然変異を起こしたABCG2の尿酸輸送解析の結果を示すグラフ及びウエスタンブロッティング写真である。
ABCG2の機能に対する尿酸輸送活性の作用を明らかにするため、野生型及び変異体ABCG2蛋白質を発現している膜小胞を用いて、7種類の変異体の尿酸輸送活性について調べた。ATP依存性尿酸輸送は、V178I、N299S、E311K、V508I、A634Vで顕著に低下し、G462R、V516Mではほとんど消失した。ウエスタンブロット解析によると、 V178I、N299S、E311K、V508I、V516M、A634Vでは膜小胞上におけるABCG2蛋白質発現量に大きな差は見られなかったが、G462Rでは顕著に低下していた。
図40は、(A)痛風症例のシークエンス解析で見いだされたABCG2遺伝子の非同義変異のうちF489L(エクソン12)についての結果を示すグラフ、(B)痛風症例のシークエンス解析で見いだされたABCG2遺伝子の非同義変異のうちD620G(エクソン16)についての結果を示すグラフである。
ABCG2遺伝子の非同義変異について調べるために、痛風症例500例においてABCG2遺伝子のエクソンをシークエンスした。その結果、その他の非同義変異としてF489L(エクソン12)と、D620G(エクソン16)が見いだされた。
図41は、(A)高尿酸血症とURAT1非同義変異との関連を解析した結果を示す表、(B)高尿酸血症とURAT1非同義変異との関連を解析した結果(Q126X及びQ141K変異による補正あり)を示す表である。
男性の高尿酸血症2209人と対照コントロール1388人を対象とした。URAT1遺伝子(尿酸再吸収トランスポーター遺伝子)の稀な多型W258X,R90Hと痛風との有意な関係が認められた。
図42は、2次解析でカスタムチップを用いた痛風のゲノムワイド関連解析の結果を示す表である。
一次解析(GWAS,臨床診断された痛風症例945例,対照コントロール1213例)と、二次解析(カスタムチップを用いたreplication study,臨床診断された痛風症例1048例,対照コントロール1334例)の解析結果をもとに、メタ解析(meta-analysis)を実施したところ、NRXN2-SLC22A12/URAT1の遺伝子多型(SNP)(rs2285340)、SLC17A1/NPT1の遺伝子多型(SNP)(rs 1165196)、HIST1H2BF/HIST1H4Eの遺伝子多型(SNP)(rs11758351)、HIST1H2BE/HIST1H4Dの遺伝子多型(SNP)(rs4496782)で有意な関連が認められた。また、上記の他、FAM35A(rs7903456,Chromosome 10)は、腎排泄低下をきたす痛風(RUE gout)で有意な関連を二次解析で認められた。
図43は、ABCG2の機能による尿中コプロポルフィリンの変化を解析した結果を示す表である。
健康診断受検者509名を対象とし、ポルフィリン体の一種である尿中コプロポルフィリンは尿中クレアチニンでの補正値で解析した(μg/gCrea)。ABCG2は尿酸だけでなく、ポルフィリンも輸送することが知られているが、ABCG2とポルフィリンとが関連することが認められた。また、ABCG2のQ126Xホモ(ABCG2機能が0%)の症例について解析したところ、尿中コプロポルフィリンは16 μg/gCreaであり、図43に示した結果と矛盾しない結果であった。さらに、同症例の全血中プロトポルフィリンは92.5 μg/dl(正常値40 μg/dl以下)であり、正常値よりも明らか上昇を示した。これらの所見は、ABCG2の機能低下によりヒトの細胞中のポルフィリンが上昇することを示していて、光線過敏症などの病態に関わることが示唆された。
図44は、ABCG2の機能と脳卒中との関連を解析した結果を示す表である。
ABCG2の遺伝子多型と炎症性疾患としての脳卒中との間に、有意な相関が認められた。
また、ABCG2は、尿酸などの高容量性輸送への影響を介して、炎症性疾患に関与する可能性がある。不整脈のうち心房細動においても、その病態に炎症が関与することが報告されている(非特許文献15〜16)。本発明者の解析によると、4999名の住民健診から心房細動の既往のある20名を抽出したところ、この20名における ABCG2機能の分布は、心房細動でない者と比較して有意に差があり(P=0.01)、ABCG2機能の低下が心房細動の病態に関係することが示唆された。
図45は、潰瘍性大腸炎症例のABCG2機能による血清尿酸値の解析結果を示す表である。
潰瘍性大腸炎症例において、ABCG2機能低下により、血清尿酸値(SUA)が上昇する傾向認められた。
図46は、ウィルス性腸炎症例のABCG2機能による治療前血清尿酸値の解析結果を示す表である。
ウイルス性腸疾患としてのウィルス性腸炎疾患におけるABCG2機能と、治療前尿酸値の上昇との有意な相関が認められた。更に、治療前血清尿酸値はABCG2機能が低下するほど有意に上昇していた。回復期血清尿酸値の平均は4.85 ± 0.26 mg/dlであり、治療前には顕著に上昇していた。小児のウィルス性腸炎症例58例(男30,女28)を対象とした。
図47は、(A)透析症例のABCG2機能による透析導入年齢の解析結果を示す表、(B)透析症例のABCG2機能による血清尿酸値の解析結果を示す表である。
透析症例139例(男101人,女38人)を対象として、透析導入年齢とABCG2機能との関連を調べたところ、ABCG2の変異によって透析導入年齢早くなることが認められた。また、痛風・高尿酸血症治療薬の内服無しの症例106例(男73人,女33人)を対象として、血清尿酸値とABCG2機能との関連を調べたところ、ABCG2の変異によって血清尿酸値が極めて有意に高くなることが認められた。
図48は、(A)痛風の発症年齢とABCG2機能との関連を解析した結果を示す表、(B)パーキンソン病の発症年齢とABCG2機能との関連を解析した結果を示す表であり、図49は、痛風とパーキンソン病におけるABCG2機能低下の異なる影響を示す説明図である。
男性の痛風症例507人についてABCG2遺伝子のQ141K変異を調べたところ、痛風の発症年齢とABCG2機能との間に有意な関係が認められた。また、神経変性疾患であるパーキンソン病症例1015人についてABCG2遺伝子のQ141K変異を調べたところ、パーキンソン病の発症年齢とABCG2機能との間に有意な関係が認められた。パーキンソン病とABCG2多型とは逆相関ではあるが、パーキンソン病を含む神経変性疾患の予防のためにも尿酸値の適切なコントロールが必要である。
上記実施例及び知見に基づき、本発明による痛風発症関連分子は、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのいずれかのタンパク質またはcDNA、またはGLUT9、NPT1、 URAT1、 NXRN2のいずれかのタンパク質またはcDNAを含めたその組み合わせから成り、痛風の発症に関わる能力を備えるか、または、ABCG2の変異体のタンパク質またはcDNAから成り、尿酸を選択的・ATP依存的に排出を低下させる能力を備える。
本発明者は、同様に痛風の発症に関連する分子としての尿酸トランスポーターとして、特許文献5において、ABCG2を有するタンパク質から成り、尿酸を選択的・ATP依存的に排出する能力を備える尿酸トランスポーターと、非特許文献2において、SLC2A9/GLUT9を有するタンパク質から成り、尿酸を選択的・ATP依存的に排出する能力を備える尿酸トランスポーターを開示している。
これに基づき、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのいずれかと、ABCG2、SLC2A9/GLUT9 GLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2とを組み合わせて構成してもよい。
本発明による尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法は、尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または疾患を生じ得る素因を有するか否かを評価する方法であって、被験者のヒト遺伝子を含む試料を用い、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかのタンパク質をコードする遺伝子の変異を検知する工程を有する。
CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのいずれかのタンパク質をコードする遺伝子の変異の検知として、SNPまたはそれと連鎖不均衡の関係にある遺伝子多型の検知を用いてもよい。
上記と同様に、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aと、ABCG2、SLC2A9/GLUT9 GLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2とを組み合わせて構成してもよい。
なお、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aと、ABCG2、SLC2A9/GLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2遺伝子には、ヒト由来cDNAや、相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、尿酸調節能を有するポリペプチドをコードするヒト由来の同質遺伝子、哺乳動物におけるそれらの相同物も含まれる。
尿酸関連疾患及び炎症関連疾患としては、高尿酸血症、痛風、リウマチ、変形性関節症、不妊症、脳卒中、神経変性疾患、虚血性心疾患、慢性腎臓病、腎機能障害、尿路結石、腎結石、動脈瘤、心房細動を含む不整脈、炎症性腸疾患、腸炎、機能性腸疾患、ウイルス性腸疾患、光線過敏症が挙げられる。
また、血清中尿酸濃度が高い方が尿酸関連疾患及び炎症関連疾患を生じやすいので、例えば8.0 mg/dlなどの所定値以上の場合に、尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または疾患を生じ得る素因を高く有すると評価してもよい。この閾値は、7や9など適宜設定変更可能である。
本発明による尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法は、尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または疾患を生じ得る素因を有するか否かを評価する方法であって、被験者のヒト遺伝子を含む試料を用い、ABCG2タンパク質をコードする遺伝子の変異を検知する工程を有し、その遺伝子の変異の検知が、SNPまたはそれと連鎖不均衡の関係にある遺伝子多型の検知であり、少なくともR113X、F208S、L447V、S486N、R575X、C608X、P269S、E334X、F489L、D620Gのいずれかのアミノ酸変異を生じさせるSNPがある場合に、尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または疾患を生じ得る素因を有すると評価してもよい。
本発明者は、同様のABCG2遺伝子変異として、特許文献5において、Q126X、Q141K、G268R、S441N、F506SfsX、特に、Q126X単独、または、Q126X 及びQ141Kの組み合わせにSNPがある場合の同様の方法を開示している。
これに基づき、R113X、F208S、L447V、S486N、R575X、C608X、P269S、E334X、F489L、D620Gのいずれかと、Q126X、Q141K、G268R、S441N、F506SfsXとを組み合わせて構成してもよい。
その評価としては、例えば図26に示したように、Q126X及びQ141Kに基づき次の通りに行える。
Q126XのQをコードする遺伝子がC/CかつQ141KのQをコードする遺伝子がC/Cであれば、ABCG2は機能正常と評価し、Q126XのQをコードする遺伝子がC/CかつQ141KのQをコードする遺伝子がA/Cであれば、ABCG2は機能3/4と評価し、Q126XのQをコードする遺伝子がT/CかつQ141KのQをコードする遺伝子がC/Cであれば、ABCG2は機能1/2と評価し、Q126XのQをコードする遺伝子がC/CかつQ141KのQをコードする遺伝子がA/Aであれば、ABCG2は機能1/2と評価し、Q126XのQをコードする遺伝子がT/CかつQ141KのQをコードする遺伝子がA/Cであれば、ABCG2は機能1/4と評価し、Q126XのQをコードする遺伝子がT/TかつQ141KのQをコードする遺伝子がC/Cであれば、ABCG2は機能無しと評価し、ABCG2の機能喪失程度によって、尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または疾患を生じ得る素因を高く有すると評価する。なお、C/C等は母方由来/父方由来を意味する。
ABCG2の機能低下は、血清中尿酸値に与える影響に相当するBMI低下の程度、純アルコールの摂取量、年齢、性別を判別することを含み、ABCG2の機能1/4低下を、BMIの約1.97上昇または1週間あたり純アルコール約552ml摂取に相当する。この指標を用いると、痛風等の疾患の発症予防のみならず、生活習慣に対する意識により健康管理に寄与する。
すなわち、ABCG2の機能1/4低下が血清尿酸値に与える影響は約0.193 mg/dl(95%信頼区間0.150-0.235 mg/dl)上昇に相当するが、BMIの1 kg/m2の上昇は血清尿酸値の約0.098 mg/dl(95%信頼区間0.087-0.108 mg/dl)上昇に相当し、1週間あたり純アルコール1 gの摂取は血清尿酸値の約0.00035 mg/dl(95%信頼区間0.00017-0.00053 mg/dl)上昇に相当すると評価できる。
遺伝子多型を決定するには、ヒト血液または組織を材料として、ダイレクトシークエンス法や、BACアレイCGH法、FISH法、RFLP法、PCR−SSCP法、アレル特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション法、TaqMan PCR法、インベーダー法、HRM法、MALDI−TOF/MS法、モレキュラービーコン法、RCA法、UCAN法、DNAチップまたはDNAマイクロアレイを用いた核酸ハイブリダイゼーション法などが利用できる。
ダイレクトシークエンシング法などによると、ゲノムDNAから直接SNPを検出することができる。
また、クローンや、PCR法、LCR法、SDA法、RCK法、LAMP法、NASBA法などにより、特定のゲノムDNA領域を増幅した後に、少なくとも多型部位を含む対立遺伝子の一部の塩基配列の決定、多型部位に特異的にハイブリダイズするプローブによる検出、多型部位を含む遺伝子断片の分子量の測定を行ったりしてもよい。
増幅産物は、塩基配列の決定、MALDI−TOF質量分析法等による分子量の測定、制限酵素断片長の解析、SSCPによる検出、電気泳動などによって、SNPを決定することができる。
例えば、TaqMan法は、アレル特異的なオリゴヌクレオチドと鋳型とのハイブリダイゼーションとPCR法を同時に行い、蛍光エネルギー移動現象を用いてSNPを検出する方法である。蛍光色素と消光物質により標識したアレル特異的プローブを標的部位にハイブリダイズさせて、この部位を含む領域を増幅するように設計したプライマーでPCRを行うと、プライマーからの伸長反応が進むと同時に、Taqポリメラーゼの5'ヌクレアーゼ活性によりハイブリダイズしたプローブが切断される。蛍光色素が消光物質と離れると蛍光が生じ、またPCR反応により鋳型が増幅するため、蛍光強度は指数関数的に増強する。2種類のアレルに特異的なプローブを異なる蛍光色素で標識しておけば、1回のアッセイでホモ接合体とヘテロ接合体とを区別することもできる。
インベーダー法は、2種類のオリゴヌクレオチドを用い、これらのプローブが鋳型DNAと形成する特異的な構造を認識して切断する酵素反応に基づく方法である。目的塩基配列の第1の部位に実質的に相補的なインベーダープローブと、3'末端側が目的塩基配列の第2の部位と実質的に相補的であり5'末端側には鋳型と非相補的で一本鎖を形成するフラップを含むアレルプローブとの2種類の異なるプローブで、目的とする塩基配列を認識する。これらのプローブが鋳型の隣接する領域にハイブリダイズすると、SNP部位にインベーダープローブの3'末端が侵入し、この構造が酵素により切断されてフラップが遊離する。遊離したフラップはあらかじめ標識しておくことにより定量することができる。フラップ−FRETプローブを2組用意し、異なる蛍光色素で標識することにより、1回のアッセイで各ホモ接合体とヘテロ接合体とを区別することができる。
MALDI−TOF質量分析法は、SNP部位に隣接するプライマーを作製し、PCR増幅させた試料DNAを鋳型として、ddNTPを用いて1塩基分だけプライマー伸長反応を行い、伸長反応生成物の質量分析により、付加したddNTPを識別する方法である。プライマーの蛍光標識を必要とすることなく、短時間で大量の試料を処理することができる。
RCA法は、環状の一本鎖DNAを鋳型として、DNAポリメラーゼがその上を移動しながら長い相補鎖DNAを合成していくDNA増幅手段を、SNPタイピングに応用した方法である。SNPの識別をRCA法による増幅の有無で行う。すなわち、ゲノムDNAとアニールし、環状になりうる一本鎖プローブをゲノムDNAにハイブリダイズさせて連鎖反応を行う。プローブの端を識別したいSNPの部位としておけば、その部位がマッチしていれば連結され環状となってRCAによる増幅が起こるが、ミスマッチであれば連結されず環状とならないためRCA増幅は起こらない。この2種類の増幅反応を識別することによってSNPを決定することができる。
DNAチップ法は、多型部位を含むオリゴヌクレオチドプローブをマイクロアレイ上に配置したDNAチップを用いて、PCR増幅させた蛍光標識cDNAやcRNAとハイブリダイゼーションする方法である。多くのSNPを迅速に検出することができる。
アミノ酸配列の多型を決定する方法には、例えば、二次元電気泳動法やマイクロフルーイディクス法によるプロテオーム解析、質量分析装置を用いたペプチドマッピングとアミノ酸配列分析、プロテインシークエンサーによるアミノ酸配列分析、プロテインチップを用いてポリペプチドとリガンドとの相互作用を検出する方法などが利用できる。
例えば、二次元電気泳動法は、一般的には、一次元目に等電点電気泳動を、二次元目にSDS−PAGEを行うものであり、1枚のゲルで数千のタンパク質を分離することができる。等電点電気泳動には、両性担体や固定化pH勾配ゲルストリップを用いる。SDS−PAGEには、1種類のpHの緩衝液を用いる連続緩衝液系と、複数のpHの緩衝液を用いる不連続緩衝液系とがある。また、分離するタンパク質の種類によって、低BIS濃度ゲル電気泳動、濃度勾配ゲル電気泳動、トリシン−SDS−PAGEなどを用いることができる。分離されたタンパク質は、クーマシーブルー染色や銀染色や蛍光試薬を用いてゲル上で感度よく検出できる。また、ABCG2ポリペプチドに対する抗体を用いたウエスタンブロッティング法も利用可能である。
質量分析方法の一つであるMALDI−TOF/MS法は、タンパク質試料とシナピン酸等のレーザー光を吸収するマトリクスとの混合、乾燥後に強力なパルスレーザー光を照射し、マトリクスからのエネルギー移動によるタンパク質試料のイオン化を行い、初期加速による試料分子イオンの飛行時間差でイオンの分子量を分析する方法である。ペプチドを質量分析計内部で断片化し、断片の質量解析からアミノ酸配列やアミノ酸組成などを得るためには、質量分離部を複数連結したタンデム質量分析法が利用され、エレクトロスプレーイオン化法を用いた三連四重極型やハイブリッド型やイオントラップ型分析計等も用いられる。
プロテインチップ法は、基板上に並べたタンパク質や、ペプチド、抗体、発現タンパク質などと試料との相互作用を、包括的かつ迅速に行うことができる。
本発明の尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価キットは、尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または疾患を生じ得る素因を有するか否かを評価するキットであって、被験者のヒト遺伝子を含む試料を用い、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35A遺伝子のうちの少なくともいずれかにおけるSNP、またはそれと連鎖不均衡の関係にある遺伝子多型または頻度1%以下の遺伝子多型、またはABCG2、GLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2の遺伝子多型を含むその組み合わせを検知する手段を備えることを特徴とする。
なお、前記と同様に、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aと、ABCG2、SLC2A9/GLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2とを組み合わせて構成してもよい。
CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、GLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35AのSNPとしては、それぞれ、rs4073582、rs671、rs2188380、rs1260326、rs10791821、rs56027330、rs3775948、rs1165196、rs505802、rs2285340またはrs506338、rs11758351、rs4496782、rs7903456が利用できる。
ABCG2遺伝子に関しては、R113X、F208S、L447V、S486N、R575X、C608X、P269S、E334X、V178I、N299S、E311K、G462R、V508I、V516M、A634V、F489L、D620Gのうちのの少なくともいずれかにおけるSNP、またはそれと連鎖不均衡の関係にある遺伝子多型を検出する手段を備える。
すなわち、ABCG2遺伝子多型を含むポリヌクレオチド、または多型を含むDNA断片を増幅するためのプライマー対、多型を検出するためのポリヌクレオチドとして提供してもよい。
なお、前記と同様に、R113X、F208S、L447V、S486N、R575X、C608X、P269S、E334X、V178I、N299S、E311K、G462R、V508I、V516M、A634V、F489L、D620Gと、V12M、Q126X、Q141K、P269S、S441N、F506SfsXとを組み合わせて構成してもよい。
なお、ポリヌクレオチドとは、ポリリボヌクレオチドとポリデオキシリボヌクレオチドの双方を含み、それらは非修飾RNAまたはDNA、修飾RNAまたはDNAであってもよく、例えばDNA、cDNA、ゲノムDNA、mRNA、未プロセッシングRNA、それらの断片などが挙げられる。
また、ポリペプチドとは、2以上のアミノ酸がペプチド結合で連結されたものであり、比較的短鎖のペプチドまたはオリゴペプチドと呼ばれるものからタンパク質と呼ばれる長鎖のものまでを含む。ポリペプチドには、遺伝的にコードされている20種類のアミノ酸以外のアミノ酸や、修飾されたアミノ酸を含んでもよい。その修飾には、ペプチド結合の主鎖、アミノ酸側鎖、アミノ末端、カルボキシル末端において、アセチル化、アシル化、ADPリボシル化、アミド化、ビオチン化、脂質や脂質誘導体との共有結合、架橋結合の生成、ジスルフィド結合、糖鎖の付加、GPIアンカーの付加、リン酸化及びプレニル化などが挙げられる。
本発明による検査体は、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35A遺伝子のうちの少なくとも1つ、または、それとABCG2、SLC2A9/GLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2遺伝子との組み合わせを欠損または過剰発現させた非ヒト動物であり、尿酸の輸送動態を検査する手段として提供してもよい。
非ヒト動物としては、マウスなどの哺乳類等が挙げられ、その生体を構成している組織や細胞も含む。また、試料としては、生物に由来するポリヌクレオチドを含有するものであって、組織や細胞から採取される体液、皮膚、毛根、粘膜、内臓、胎盤、臍帯血等を含む。
同様に、ヒトABCG2遺伝子または非ヒトABCG2遺伝子のR113X、F208S、L447V、S486N、R575X、C608X、P269S、E334X、V178I、N299S、E311K、G462R、V508I、V516M、A634V、F489L、D620Gのうちの少なくともいずれかの変異(特に遺伝子多型)を含むヒトABCG2遺伝子または非ヒトABCG2遺伝子を過剰発現させた非ヒト動物、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかの遺伝子を欠損させた非ヒト細胞株またはヒト細胞株、ヒトCNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかの遺伝子または非ヒトCNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかの遺伝子を過剰発現させた非ヒト細胞株またはヒト細胞株、R113X、F208S、L447V、S486N、R575X、C608X、P269S、E334X、V178I、N299S、E311K、G462R、V508I、V516M、A634V、F489L、D620Gのうちの少なくともいずれかの変異を含むヒトABCG2遺伝子または非ヒトABCG2遺伝子を過剰発現させた非ヒト細胞株またはヒト細胞株、或いはそれら細胞株より調製した細胞膜小胞を用いてもよい。
なお、前記と同様に、R113X、F208S、L447V、S486N、R575X、C608X、P269S、E334X、V178I、N299S、E311K、G462R、V508I、V516M、A634V、F489L、D620Gと、V12M、Q126X、Q141K、G268R、S441N、F506SfsXとを組み合わせて構成してもよい。
本発明による尿酸関連疾患及び炎症関連疾患薬は、尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または疾患を生じ得る素因を低減する薬剤であって、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかのタンパク質をコードするポリヌクレオチドを細胞内に導入可能な形態で有するか、または、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかのタンパク質に相当するポリペプチドを細胞内に導入可能な形態で有するものである。前者によると、長期間にわたって安定に尿酸輸送を改善させることができ、後者によると、注射等の投与によって簡便に尿酸輸送を改善させることができる。
なお、前記と同様に、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aと、ABCG2、SLC2A9/GLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2とを組み合わせて構成してもよい。
なお、ポリヌクレオチドを細胞内に導入可能な形態とは、ポリヌクレオチドが細胞内に導入され、細胞内のCNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかの遺伝子が、それぞれCNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかを発現するようにコードされているCNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかをそれぞれ発現すること可能とする形態を意味する。同様に、ポリペプチドを細胞内に導入可能な状態とは、ポリペプチドが細胞内に導入され、細胞内のCNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかと同様な機能を発揮することを可能とする形態を意味する。
CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aポリヌクレオチドは、既知のヌクレオチド配列に基づいて作製したオリゴヌクレオチドプローブを用いて既存のcDNAライブラリーをスクリーニングする方法や、オリゴヌクレオチドプライマーを用いたRT-PCR等の方法によって取得することができる。
R113X、F208S、L447V、S486N、R575X、C608X、P269S、E334X、V178I、N299S、E311K、G462R、V508I、V516M、A634V、F489L、D620GのいずれにもSNPのないABCG2、少なくともQ126XにSNPのないABCG2が好ましく、そのポリヌクレオチドを細胞内に導入可能な状態にするためには、例えば、むき出しDNAとする方法や、組換えウイルスベクターの形態で製剤化する方法が用いられる。ウイルスベクターには、バキョロウイルス科、パルボウイルス科、ピコルノウイルス科、ヘルペスウイルス科、ポックスウイルス科、アデノウイルス科、ピコルナウイルス科などのウイルスのゲノムに由来するものが利用できる。
なお、前記と同様に、R113X、F208S、L447V、S486N、R575X、C608X、P269S、E334X、V178I、N299S、E311K、G462R、V508I、V516M、A634V、F489L、D620Gと、V12M、Q126X、Q141K、G268R、S441N、F506SfsXとを組み合わせて構成してもよい。
また、生体より取り出した組織または細胞にポリヌクレオチド発現ベクターを導入した後に、生体に戻すようにしてもよい。そのような場合は、ポリヌクレオチドを組込んだ発現ベクターを、例えばマイクロインジェクション法やエレクトロポーレーション法などのトランスフェクションにより細胞内に導入する方法が利用できる。
ウイルスベクターや発現ベクターにおけるポリヌクレオチドは、全身性または組織特異的に発現するプロモーター支配下に連結してもよい。また、ウイルスベクターを腎臓特異的に感染させる場合には、経皮的に動脈にカテーテルを挿入して、X線でカテーテルの位置を確認しながら腎臓動脈にカテーテルを挿入して組換えベクターを導入することが可能である。
ABCG2等のポリペプチドは、前記のABCG2等のポリヌクレオチドを用いた遺伝子工学的方法により作成することができる。すなわち、ポリヌクレオチドを有するベクターからインビトロ転写によってRNAを調製し、これを鋳型としてインビトロ翻訳を行うことによりインビトロでABCG2等のポリペプチドを得ることができる。また、ポリヌクレオチドを発現ベクターに組換えれば、大腸菌や枯草菌等の原核細胞や、酵母や、昆虫細胞、哺乳動物細胞等の真核細胞の発現産物としてABCG2等のポリペプチドを得ることができる。
また、ABCG2等のポリペプチドは、公知の化学合成法に準じて合成することもできる。
ABCG2等のポリペプチドは、ペプチド誘導体として提供してもよい。この誘導体には、合成や精製を促進するための修飾、物理、化学的安定化を促進するための修飾、生体内の代謝に対する安定性と不安定性、条件付けの等の活性化修飾などを含む。
ペプチド誘導体におけるその他の修飾には、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、交差架橋、環化、ジスルフィド結合、脱メチル化、交差架橋共有結合形成、シスチン形成、ピログルタメート形成、ホルミル化、ガンマーカルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、水酸化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質加水分解プロセッシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、脂質結合、硫酸化、セレノイル化などが含まれる。
具体的には、ペプチド誘導体は、ABCG2等のポリペプチドの活性を破壊せず、またこれを含有する組成物に毒性を与えない範囲において、残基の側鎖またはN末端基もしくはC末端基として生じる機能性基として調製することができる。例えば、体液中でポリペプチドの残存を延長するポリエチレングリコール側鎖を含む誘導体、カルボキシル基の脂肪族エステル、アンモニアまたはアミンと反応することによるカルボキシル基のアミド、アシル部分と形成されるアミノ酸残基の遊離アミノ基のN−アシル誘導体またはアシル部分と形成される遊離の水酸基のO−アシル誘導体などが挙げられる。
ABCG2等のポリペプチドはまた、薬理学的に許容し得る塩として提供してもよい。この塩には、ポリペプチドのカルボキシル基の塩とアミノ基の酸付加塩の双方を含む。
カルボキシル基の塩は、例えば、ナトリウム、カルシウム、アンモニウム、鉄、亜鉛などの無機塩や、トリエタノールアミン、アルギニン、リジン、ピペリジン、プロカインなどのアミンを用いて形成された有機塩基との塩が挙げられる。酸付加塩としては、例えば塩酸や硫酸などの鉱酸との塩、酢酸やシュウ酸などの有機酸との塩が挙げられる。
このようなABCG2等のポリペプチドを細胞内に導入可能な形態に製剤化するには、例えば、ポリペプチドのN末端側に細胞膜通過ペプチドを連結させた融合ポリペプチドの利用が挙げられる。細胞膜通過ペプチドとしては、HIV-1・TATのPTDや、ショウジョウバエのホメオボックスタンパク質アンテナペディアのPTDを使用することができる。融合ポリペプチドは、例えば、ABCG2等のポリヌクレオチドとPTDポリヌクレオチドとを連結して作製した融合ポリヌクレオチドを用いて、遺伝子工学的に作製することができる。また、EDCやβ−アラニン等の架橋剤を介して、ポリペプチドとPTDペプチドを結合させる方法によって細胞膜通過ペプチドを連結した融合ポリペプチドを作成することもできる。このような融合ポリペプチドは、経皮的に動脈にカテーテルを挿入して、X線でカテーテルの位置を確認しながら腎臓動脈にカテーテルを挿入して組換えベクターを導入することが可能である。
本発明によると、尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患を生じ得る素因を有するか否かを有効に評価するので、尿酸値の異常や尿酸・痛風関連遺伝子に関連する様々な疾病の予防や早期治療に寄与する。また、発症後であっても、好ましくない他の作用を起こすことなく、尿酸輸送に関連する疾患の治療に寄与する。そのため、高尿酸血症、痛風などの尿酸関連疾患や、リウマチ、変形性関節症、不妊症、脳卒中、神経変性疾患、虚血性心疾患、慢性腎臓病、腎機能障害、尿路結石、腎結石、動脈瘤、心房細動を含む不整脈、炎症性腸疾患、腸炎、機能性腸疾患、ウイルス性腸疾患、光線過敏症などの炎症関連疾患や、合併症として発症しやすい高血圧や、肥満、糖尿病、冠動脈疾患、脳血管疾患、腎疾患などにも有効である。さらに、無用な投薬を避けることや、健康管理のための生活習慣の指標も提示でき、産業上有用である。

Claims (19)

  1. 痛風の発症に関連する分子であって、
    CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのいずれかのタンパク質またはcDNA、またはGLUT9、NPT1、 URAT1、 NXRN2のいずれかのタンパク質またはcDNAを含めたその組み合わせから成り、痛風の発症に関わる能力を備えるか、または、ABCG2の変異体のタンパク質またはcDNAから成り、尿酸を選択的・ATP依存的に排出を低下させる能力を備える
    ことを特徴とする痛風発症関連分子。
  2. 尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患を生じ得る素因を有するか否かを評価する方法であって、
    被験者のヒト遺伝子を含む試料を用い、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかのタンパク質またはcDNAをコードする遺伝子多型、またはGLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2の遺伝子多型を含めたその組み合わせを検知する工程を有する
    ことを特徴とする尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法。
  3. CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのいずれかのタンパク質またはcDNAをコードする遺伝子の遺伝子多型、またはGLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2を含めたその組み合わせの検知が、
    SNPまたはそれと連鎖不均衡の関係にある遺伝子多型または頻度1%以下の遺伝子多型の検知である
    請求項2に記載の尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法。
  4. CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35AのSNP(それぞれ、rs4073582、rs671、rs2188380、rs1260326、rs10791821、rs56027330、rs11758351、rs4496782、rs7903456)またはそれと連鎖不均衡の関係にある遺伝子多型または他の遺伝子多型の検知との組み合わせを用いる
    請求項2または3に記載の尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法。
  5. NPT4のG279R、ABCG2のV178I、N299S、E311K、G462R、V508I、V516M、A634V、F489L、D620Gの遺伝子多型の検知と、またはそれと連鎖不均衡の関係にある遺伝子多型、及びそれらの組み合わせを用いる
    請求項2ないし4のいずれかに記載の尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法。
  6. GLUT9のSNP(rs3775948)、NPT1の遺伝子多型(SNP)(rs1165196、I269T)、URAT1のSNP(rs505802)、NXRN2のSNP(rs2285340またはrs506338)またはそれと連鎖不均衡の関係にある遺伝子多型または遺伝子多型、またはURAT1のW258X、R90H、ABCG2のSNP(Q126X、 Q141K、 V12M)と遺伝子多型(R113X、F208S、G268R、P269S、E334X、S441N、L447V、S486N、F506SfsX4、R575X、C608X)の検知との組み合わせを用いる
    請求項2ないし5のいずれかに記載の尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法。
  7. 尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または疾患を生じ得る素因を有するか否かを評価する方法であって、
    被験者のヒト遺伝子を含む試料を用い、ABCG2タンパク質をコードする遺伝子の2つのSNPであるQ126X、Q141Kに基づき、
    Q126XのQをコードする遺伝子がC/CかつQ141KのQをコードする遺伝子がC/Cであれば、ABCG2は機能正常と評価し、
    Q126XのQをコードする遺伝子がC/CかつQ141KのQをコードする遺伝子がA/Cであれば、ABCG2は機能3/4と評価し、
    Q126XのQをコードする遺伝子がT/CかつQ141KのQをコードする遺伝子がC/Cであれば、ABCG2は機能1/2と評価し、
    Q126XのQをコードする遺伝子がC/CかつQ141KのQをコードする遺伝子がA/Aであれば、ABCG2は機能1/2と評価し、
    Q126XのQをコードする遺伝子がT/CかつQ141KのQをコードする遺伝子がA/Cであれば、ABCG2は機能1/4と評価し、
    Q126XのQをコードする遺伝子がT/TかつQ141KのQをコードする遺伝子がC/Cであれば、ABCG2は機能無しと評価し、
    ABCG2の機能喪失程度によって、尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または疾患を生じ得る素因を高く有すると評価する
    ことを特徴とする尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法。
  8. ABCG2のV178I、N299S、E311K、G462R、V508I、V516M、A634V、R113X、F208S、G268R、E334X、S441N、S486N、F506SfsX4のいずれかのアミノ酸変異を生じさせる遺伝子多型が1つある場合には、Q126Xが1つある場合と同様の尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または疾患を生じ得る素因を有すると評価する
    ことを特徴とする尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法。
  9. ABCG2のL447V、R575X、C608Xのいずれかのアミノ酸変異を生じさせる遺伝子多型が1つある場合には、Q126Xが1つある場合と略同様な尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または疾患を生じ得る素因を有すると評価する
    ことを特徴とする尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法。
  10. ABCG2のV12M、P269S、F489L、D620Gのいずれかのアミノ酸変異を生じさせる遺伝子多型が1つある場合には、尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または疾患を生じ得る素因に関連すると評価する
    ことを特徴とする尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法。
  11. 請求項2ないし10のいずれかに記載の尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法によって得られた結果に基づき、臨床病型の推定または適する薬剤を評価する
    請求項2ないし10のいずれかに記載の尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法。
  12. 血清中尿酸濃度が所定値以上の場合に、尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または疾患を生じ得る素因を高く有すると評価する
    請求項2ないし11のいずれかに記載の尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法。
  13. 血清中尿酸濃度の閾値が、6.0〜9.0mg/dl、より好ましくは7.0〜8.0 mg/dlの間にあるいずれかの値である
    請求項12に記載の尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法。
  14. 尿酸関連疾患及び炎症関連疾患が、高尿酸血症、痛風、リウマチ、変形性関節症、不妊症、脳卒中、神経変性疾患、虚血性心疾患、慢性腎臓病、腎機能障害、尿路結石、腎結石、動脈瘤、心房細動を含む不整脈、炎症性腸疾患、腸炎、機能性腸疾患、ウイルス性腸疾患、光線過敏症のいずれかである
    請求項2ないし13のいずれかに記載の尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価方法。
  15. 尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または疾患を生じ得る素因を有するか否かを評価するキットであって、
    被験者のヒト遺伝子を含む試料を用い、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35A遺伝子のうちの少なくともいずれかにおけるSNP、またはそれと連鎖不均衡の関係にある遺伝子多型または頻度1%以下の遺伝子多型、またはGLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2の遺伝子多型を含むその組み合わせを検知する手段を備える
    ことを特徴とする尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価キット。
  16. CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、GLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aの各SNPが、それぞれ、rs4073582、rs671、rs2188380、rs1260326、rs10791821、rs56027330、rs3775948、rs1165196、rs505802、rs2285340またはrs506338、rs11758351、rs4496782、rs7903456である 請求項15に記載の尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価キット。
  17. ABCG2遺伝子における検知が、
    V178I、N299S、E311K、G462R、V508I、V516M、A634V、Q126X、Q141K、V12M、R113X、F208S、G268R、P269S、E334X、S441N、L447V、S486N、F506SfsX4、R575X、C608X、F489L、D620Gのうちの少なくともいずれかまたはその組み合わせにおける検知である
    請求項15または16に記載の尿酸関連疾患素因及び炎症関連疾患素因の評価キット。
  18. 尿酸の輸送動態を検査する生体であって、
    CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、GLUT9、NPT1、URAT1、 NXRN2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかの遺伝子を欠損させた非ヒト動物、または、ヒトCNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、GLUT9、NPT1、URAT1、 NXRN2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかの遺伝子または非ヒトCNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、GLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかの遺伝子を過剰発現または発現低下させた非ヒト動物、ABCG2のV178I、N299S、E311K、G462R、V508I、V516M、A634V、Q126X、Q141K、V12M、R113X、F208S、G268R、P269S、E334X、S441N、L447V、S486N、F506SfsX4、R575X、C608X、F489L、D620Gのうちの少なくともいずれかまたはその組み合わせの遺伝子多型を含むヒトABCG2遺伝子または非ヒトABCG2遺伝子を過剰発現または発現低下させた非ヒト動物、CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、GLUT9、NPT1、 URAT1、NXRN2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかの遺伝子を欠損させた非ヒト細胞株またはヒト細胞株、ヒトCNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、GLUT9、NPT1、URAT1、 NXRN2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかの遺伝子、または非ヒトCNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、GLUT9、NPT1、 URAT1、NXRN2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかの遺伝子を過剰発現または発現低下させた非ヒト細胞株またはヒト細胞株、ABCG2のV178I、N299S、E311K、G462R、V508I、V516M、A634V、Q126X、Q141K、V12M、P269S、R113X、F208S、G268R、E334X、S441N、L447V、S486N、F506SfsX4、R575X、C608X、F489L、D620Gのうちの少なくともいずれかまたはその組み合わせの遺伝子多型を含むヒトABCG2遺伝子または非ヒトABCG2遺伝子を過剰発現または発現低下させた非ヒト細胞株またはヒト細胞株、或いはそれら細胞株より調製した細胞膜小胞である
    ことを特徴とする検査体。
  19. 尿酸調節能の不全或いはそれに起因する状態または疾患を生じ得る素因を低減する薬剤であって、
    CNIH2-PACS1、ALDH2、MYL2-CUX2、GCKR、MAP3K11、NPT4、ABCG2、HIST1H2BF/HIST1H4E、HIST1H2BE/HIST1H4D、FAM35Aのうちの少なくともいずれかのタンパク質をコードするポリヌクレオチドまたはポリペプチド、またはGLUT9、NPT1、URAT1、NXRN2を含めたその組み合わせを細胞内に導入可能な形態で有する
    ことを特徴とする尿酸関連及び炎症関連疾患薬。
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