JP2008000096A - 尿路結石症の発症リスク判定方法、及び発症リスク判定用キット - Google Patents

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Abstract

【課題】尿路結石関連遺伝子の遺伝子多型を利用して尿路結石の発症リスクを正確に予測することが可能な判定方法を提供することにある。
【解決手段】上記課題を解決する手段は、核酸試料中に含まれるオステオポンチン遺伝子の2122番目の塩基の多型を解析する工程を含む、尿路結石症の発症リスク判定方法である。あるいは、上記課題を解決する別の手段は、核酸試料中に含まれるオステオポンチン遺伝子の2123番目の塩基の多型を解析する工程を含む、尿路結石症の発症リスク判定方法である。
【選択図】 図5

Description

本発明は、尿路結石症の発症リスクを判定する方法、及びそれに用いる発症リスク判定用キットに関するものである。
尿路結石は多くの要因によって発症する疾患であり、遺伝要因と環境要因とが重なることで発症すると考えられている。尿路結石には全人口の5〜10%がその生涯にて罹患すると考えられている(非特許文献1)。食事による尿中成分の変化などが結石形成の契機になると考えられるが、健常人の場合、尿中の蓚酸、カルシウムなどの排泄量が増加しても結石の形成には至らない。一方、結石患者には何らかの遺伝的素因があるため、結石の発症に至ると考えられる。
また、尿路結石は再発率が高いこと、家族歴があることなどが報告されており、これらのことからも尿路結石の発症における遺伝要因の存在が示唆される。結石は結晶の核形成、凝集、成長を経て形成されると考えられているが、近年、結石形成時に腎臓で多くの蛋白の発現が増強することが報告されている(非特許文献2〜5)。これらの蛋白は健常人においても結石患者においても検出されるが、尿細管細胞での発現が結石形成に影響を及ぼすと考えられている(非特許文献3、6〜8)。また、蓚酸カルシウム結晶と尿細管細胞との接着も結石形成に重要と考えられ、この過程についても蛋白が作用すると考えられている(非特許文献9〜12)。
ところで、尿路結石に関連する蛋白が従来いくつか知られており、その中でもオステオポンチン(OPN)は最も重要なものの1つと考えられている。OPNは糖鎖を伴うリン酸化蛋白であって、多くの機能を持っている。OPN遺伝子は第4染色体長腕に存在し、7つのエクソンより成る(非特許文献13)。本発明者らは、結石形成時にOPNが遠位尿細管で過剰に発現することを報告してきた(非特許文献2、14)。最近マイクロアレイを用いた研究でも、OPNがカルシウム結石ラットにおいて他の高分子蛋白よりも有意に発現が増強されたことが報告されている(非特許文献15)。しかしながら、OPNの発現が結石形成に作用するのか、抑制に作用するのかは明らかではなく、結石形成の様々な過程で重要な役割を果たすと考えられている。生体内の石灰化を伴う部位ではOPNの発現が観察されているのみならず、結石形成時には結晶形成、結晶の尿細管細胞への付着や結晶の凝集、成長にも作用すると考えられている(非特許文献3、16、17)。結石形成の初期過程を想定した尿細管細胞への蓚酸暴露や蓚酸カルシウムへ暴露によってOPNの発現が増加していることも報告されている(非特許文献18、19)。家族歴のある結石患者は再発歴が有意に高いことが報告されており、この報告は遺伝素因の存在を示唆している(非特許文献20)。また、結石患者は健常者に比較して尿中OPN排泄が少ないことが報告されており、この報告はOPNと結石との関連を示唆している(非特許文献21)。しかしながら、OPN遺伝子要因が結石にどのように関連しているかの詳細については明らかではない。
ヒトの多要因疾患の遺伝要因を考えるうえでは、その発症機序に注目する必要がある。そこで、遺伝子多型について多くの遺伝子で検討する試みが、癌、心血管病、糖尿病などで行われている。近年、尿路結石関連遺伝子(例えば、ビタミンDレセプター遺伝子、Eカドヘリン遺伝子、ウロキナーゼ遺伝子、VEGF(vascular endothelial growth factor)遺伝子)について、遺伝子多型の研究が行われてきた。しかし、これらの遺伝子と尿路結石との関連性を明らかにすることはできなかった。それゆえ、尿路結石関連遺伝子の遺伝子多型を利用して尿路結石の発症リスクを判定する有効な方法は、従来提案されていなかった。
ちなみに、OPN遺伝子の遺伝子多型は、医療分野において従来全く利用されなかったわけではない。具体的には、個体に感染したウイルスや細菌がその個体に対してどの程度の障害をもたらし得るかを予測する方法、言い換えると感染症の程度を予測する方法において、OPN遺伝子の遺伝子多型を利用した例がある(特許文献1)。しかしながら、この従来方法は尿路結石とは全く異なるタイプの疾病を対象としていて、本発明者らが直接目的とするところのものではないので、殆ど参考に値しない。
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本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、尿路結石関連遺伝子の遺伝子多型を利用して尿路結石の発症リスクを正確に予測することが可能な判定方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記方法を実施するのに好適な発症リスク判定用キットを提供することにある。
上記の課題を解決するために本願発明者らは、尿路結石関連遺伝子の中でも尿路結石のマトリクスを構成するOPN蛋白をコードするOPN遺伝子に注目した。そして本願発明者らは、OPN遺伝子の遺伝子異常が尿路結石に関連し、その遺伝子多型が尿路結石発症リスクに何らかの影響を及ぼすであろうと想定して、鋭意研究を行った。具体的には、多数の結石患者及び多数の健常者のそれぞれについて約11KbpからなるOPN遺伝子の全体をシークエンスし、このシークエンスによって見付けたいくつかの一遺伝子多型(SNPs: single nucleotide polymorphisms)と尿路結石の発症との関連性を調査した。この調査の結果、本願発明者らは、OPN遺伝子における特定部位の一遺伝子多型と尿路結晶の発症との間で統計的に有意な相関があることを新規に知見し、この新規な知見に基づいて最終的に本発明を完成させるに至ったのである。
そして、本発明の方法によって尿路結晶の発症リスクの判定ができるようになれば、不必要な検査を受ける必要がなくなり、患者の身体的及び経済的な負担を確実に軽減することができる。従って、本発明の方法は、臨床において尿路結石の発症リスクを判定するうえで第1の選択肢となりうるものである。また、発症リスク判定の際にOPN遺伝子における特定部位の一遺伝子多型がわかれば、その一遺伝子多型をターゲットとして何らかの治療(例えば遺伝子治療等)を施すことにより、尿路結石高リスク者に対して適切な発症予防措置を講じることも十分可能になるであろうと考えられる。
ここで、上記課題を解決するための手段を以下に列挙する。
[手段1]核酸試料中に含まれるオステオポンチン遺伝子の2122番目の塩基の多型を解析する工程を含む、尿路結石症の発症リスク判定方法。
[手段2]核酸試料中に含まれるオステオポンチン遺伝子の2123番目の塩基の多型を解析する工程を含む、尿路結石症の発症リスク判定方法。
[手段3]、核酸試料中に含まれるオステオポンチン遺伝子の2122番目の塩基の多型及び2123番目の塩基の多型を解析する工程を含む、尿路結石症の発症リスク判定方法。
[手段4]核酸試料中に含まれるオステオポンチン遺伝子の2122番目の塩基の多型、2123番目の塩基の多型、3221番目の塩基の多型及び3287番目の塩基の多型を解析する工程を含む、尿路結石症の発症リスク判定方法。
[手段5]手段4において、前記2122番目の塩基がチミン、前記2123番目の塩基がチミン、前記3221番目の塩基がチミン、前記3287番目の塩基がグアニンとなる組合せの場合、前記尿路結石症の発症リスクが高いと判定する、尿路結石症の発症リスク判定方法。
[手段6]手段4において、前記2122番目の塩基がグアニン、前記2123番目の塩基がグアニン、前記3221番目の塩基がシトシン、前記3287番目の塩基がアデニンとなる組合せの場合、前記尿路結石症の発症リスクが高いと判定する、尿路結石症の発症リスク判定方法。
[手段7]手段4において、前記2122番目の塩基がチミン、前記2123番目の塩基がグアニン、前記3221番目の塩基がチミン、前記3287番目の塩基がグアニンとなる組合せの場合、前記尿路結石症の発症リスクが低いと判定する、尿路結石症の発症リスク判定方法。
[手段8]核酸試料中に含まれるオステオポンチン遺伝子の520番目の塩基の多型及び1652番目の塩基の多型を解析する工程を含む、尿路結石症の発症リスク判定方法。
[手段9]手段8において、前記520番目の塩基がアデニン、前記1652番目の塩基がチミンとなる組合せの場合、前記尿路結石症の発症リスクが高いと判定する、尿路結石症の発症リスク判定方法。
[手段10]核酸試料中に含まれるオステオポンチン遺伝子の520番目の塩基の多型、1652番目の塩基の多型、2122番目の塩基の多型、2123番目の塩基の多型、3221番目の塩基の多型及び3287番目の塩基の多型を解析する工程を含む、尿路結石症の発症リスク判定方法。
[手段11]手段10において、第1ハプロタイプブロックに属する前記520番目の塩基がアデニン、前記1652番目の塩基がチミンの組合せであり、かつ、第2ハプロタイプブロックに属する前記2122番目の塩基がチミン、前記2123番目の塩基がチミン、前記3221番目の塩基がチミン、前記3287番目の塩基がグアニンとなる組合せの場合、前記尿路結石症の発症リスクが高いと判定する、尿路結石症の発症リスク判定方法。
[手段12]手段10において、第1ハプロタイプブロックに属する前記520番目の塩基がアデニン、前記1652番目の塩基がチミンの組合せであり、かつ、第2ハプロタイプブロックに属する前記2122番目の塩基がグアニン、前記2123番目の塩基がグアニン、前記3221番目の塩基がシトシン、前記3287番目の塩基がアデニンとなる組合せの場合、前記尿路結石症の発症リスクが高いと判定する、尿路結石症の発症リスク判定方法。
[手段13]手段10において、第1ハプロタイプブロックに属する前記520番目の塩基がアデニン、前記1652番目の塩基がチミンの組合せ以外の組合せであり、かつ、第2ハプロタイプブロックに属する前記2122番目の塩基がチミン、前記2123番目の塩基がグアニン、前記3221番目の塩基がチミン、前記3287番目の塩基がグアニンとなる組合せの場合、前記尿路結石症の発症リスクが低いと判定する、尿路結石症の発症リスク判定方法。
[手段14]オステオポンチン遺伝子の2122番目の塩基の多型を解析するための核酸断片、及び2123番目の塩基の多型を解析するための核酸断片のうちの少なくともいずれかを含む、尿路結石症の発症リスク判定用キット。
[手段15]オステオポンチン遺伝子の2122番目の塩基の多型を解析するための核酸断片、2123番目の塩基の多型を解析するための核酸断片、3221番目の塩基の多型を解析するための核酸断片、及び3287番目の塩基の多型を解析するための核酸断片を含む、尿路結石症の発症リスク判定用キット。
[手段16]オステオポンチン遺伝子の520番目の塩基の多型を解析するための核酸断片、及び1652番目の塩基の多型を解析するための核酸断片を含む、尿路結石症の発症リスク判定用キット。
[手段17]手段14乃至16のいずか1項において、前記核酸断片は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に用いられるプライマーである、尿路結石症の発症リスク判定用キット。
以上詳述したように、請求項1〜13に記載の発明によると、尿路結石関連遺伝子の一種であるOPN遺伝子の遺伝子多型を利用して尿路結石の発症リスクを正確に予測することが可能な判定方法を提供することができる。また、請求項14〜17に記載の発明によると、上記方法を実施するのに好適な発症リスク判定用キットを提供することができる。
手段1にかかる尿路結石症の発症リスク判定方法は、核酸試料中に含まれるOPN遺伝子の2122番目の塩基の多型(以下「SNP2122T/G」と表記する)を解析する工程を含むことを特徴とする。SNP2122T/Gという表記は、OPN遺伝子の2122番目の塩基の多型が、T(チミン)またはG(グアニン)という2つの遺伝子型からなることを意味している。SNP2122T/GはOPN遺伝子のプライマー領域に存在するものであって、本願発明者が今回新規に見付けたものである。
手段2にかかる尿路結石症の発症リスク判定方法は、核酸試料中に含まれるOPN遺伝子の2123番目の塩基の多型(以下「SNP2123G/T」と表記する)を解析する工程を含むことを特徴とする。SNP2123G/Tという表記は、OPN遺伝子の2123番目の塩基の多型が、G(グアニン)またはT(チミン)という2つの遺伝子型からなることを意味している。SNP2123G/TはOPN遺伝子のプライマー領域に存在するものであって、本願発明者が今回新規に見付けたものである。
手段3にかかる尿路結石症の発症リスク判定方法は、核酸試料中に含まれるSNP2122T/G及びSNP2123G/Tの2つを解析する工程を含むことを特徴とする。先に挙げた手段1及び手段2では、OPN遺伝子における1つのSNPを利用して発症リスクの判定を行うが、手段3のように2つのSNPsを利用すれば判定精度を高くすることができる。
手段4にかかる尿路結石症の発症リスク判定方法は、核酸試料中に含まれるOPN遺伝子のSNP2122T/G及びSNP2123G/Tの解析に加えて、さらに3221番目の塩基の多型(以下「SNP3221C/T」と表記する)及び3287番目の塩基の多型(以下「SNP3287A/G」と表記する)を解析する工程を含むことを特徴とする。SNP3221C/Tという表記は、OPN遺伝子の3221番目の塩基の多型が、C(シトシン)またはT(チミン)という2つの遺伝子型からなることを意味している。SNP3221C/TはOPN遺伝子のプロモーター領域に隣接した第1イントロンに存在するものであって、既知のものである(refSNP ID: rs2853749)。SNP3287A/Gという表記は、OPN遺伝子の3287番目の塩基の多型が、A(アデニン)またはG(グアニン)という2つの遺伝子型からなることを意味している。SNP3287A/GはOPN遺伝子のプロモーター領域に隣接した第1イントロンに存在するものであって、既知のものである(refSNP ID: rs2853750)。先に挙げた手段3では、OPN遺伝子における2つのSNPsを利用して発症リスクの判定を行うが、手段4のように4つのSNPsを利用すれば判定精度をより高くすることができる。
また、手段8にかかる尿路結石症の発症リスク判定方法は、核酸試料中に含まれるOPN遺伝子の520番目の塩基の多型(以下「SNP520A/G」と表記する)及び1652番目の塩基の多型(以下「SNP1652G/T」と表記する)を解析する工程を含むことを特徴とする。SNP520A/Gという表記は、OPN遺伝子の520番目の塩基の多型が、A(アデニン)またはG(グアニン)という2つの遺伝子型からなることを意味している。SNP520A/GはOPN遺伝子のプロモーター領域に存在するものであって、既知のものである(refSNP ID: rs2728127)。SNP1652G/Tという表記は、OPN遺伝子の1652番目の塩基の多型が、G(グアニン)またはT(チミン)という2つの遺伝子型からなることを意味している。SNP1652G/TはOPN遺伝子のプロモーター領域に存在するものであって、既知のものである(refSNP ID: rs2853744)。
また、手段10にかかる尿路結石症の発症リスク判定方法は、核酸試料中に含まれるOPN遺伝子のSNP520A/G、SNP1652G/T、SNP2122T/G、SNP2123G/T、SNP3221C/T及びSNP3287A/Gを解析する工程を含むことを特徴とする。この方法によれば、OPN遺伝子における6つのSNPsを利用して発症リスクの判定を行っているため、判定精度を極めて高くすることができる。
なお、OPN遺伝子の塩基配列は、NCBI(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)が提供する公共のデータベースであるGenBank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Genbank/index.html)やMolecular Databases(例えばdbSNP:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/)に登録されている(GenBank受付番号D14813)(配列番号1)。同様にOPN遺伝子の塩基配列は、Molecular Databases(例えばdbSNP:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/)にも登録されている。これらのデータベースには基本的に誰もが自由にアクセスすることが可能であり、それゆえOPN遺伝子の塩基配列情報を取得することができる。
本発明において「核酸試料」とは、核酸を含む試料のことを意味し、具体的にここではOPN遺伝子の多型を含む試料のことを意味している。なお、この場合の「核酸」とは、必ずしもDNAに限定されず、mRNAのようなRNAも含むものである。このような試料としては、医師等によってあらかじめ被験体である哺乳類から採取され、または調製されたものが使用される。ここで、本発明の発症リスク判定方法が適用されるべき最も好適な「被験体」はヒトである。ただし、ヒト以外の哺乳類(例えばラット、マウス、ウサギ、ハムスター、ウシ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ等)を、核酸試料が採取されるべき被験体としても勿論構わない。また、哺乳類から核酸を含む試料は、細胞組織、体液、分泌物、排泄物などのいずれからも採取可能であるが、これらの中でも例えば血液等の体液から採取することが好適である。即ち、血液からの試料採取は、技術的に比較的容易であることに加え、被験体に与える負担も比較的小さいからである。
本発明の方法では、まず、上記試料から核酸試料を調製する。生体成分から核酸を抽出する方法は、当業者に周知であり、いずれの方法を使用してもよいが、たとえばフェノール抽出、エタノール沈殿等によって行うことができる。具体的には、例えば市販のゲノム抽出用キットを用いて、全血試料からゲノムDNAを抽出することができる。
本発明において「多型を解析する」とは、解析対象の多型部位に関して核酸試料がどのような遺伝子の型を有しているのかを調査することを意味し、多型存在部位の塩基の種類を調査することと同義である。本発明において「遺伝子の型」とは、特定のアリルの存否で表される分類、またはアリルの組合せである遺伝子型で表される分類のことをいう。従って、本発明における「多型を解析する工程」では、核酸試料中における特定の多型のアリルの存否、または遺伝子型(アリルの組合せ)が調査、決定される。
各遺伝子多型を解析する方法は特に限定されるものではなく、例えばアリル特異的プライマー(及びプローブ)を用い、PCR法による増幅、及び増幅産物の多型を蛍光又は発光によって解析する方法や、PCR(polymerase chain reaction)法を利用したPCR-RFLP(restriction fragment length polymorphism:制限酵素断片長多型)法、PCR-SSCP(single strand conformation polymorphism:単鎖高次構造多型)法(Orita,M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci., U.S.A., 86, 2766-2770(1989)等)、PCR-SSO(specific sequence oligonucleotide:特異的配列オリゴヌクレオチド)法、PCR-SSO法とドットハイブリダイゼーション法を組み合わせたASO(allele specific oligonucleotide:アリル特異的オリゴヌクレオチド)ハイブリダイゼーション法(Saiki, Nature, 324, 163-166(1986)等)、またはTaqMan-PCR法(Livak, KJ, Genet Anal,14,143(1999),Morris, T. et al., J. Clin. Microbiol.,34,2933(1996))、Invader法(Lyamichev V et al., Nat Biotechnol,17,292(1999))、プライマー伸長法を用いたMALDI-TOF/MS(matrix)法(Haff LA, Smirnov IP, Genome Res 7,378(1997))、RCA(rolling cycle amplification)法(Lizardi PM et al., Nat Genet 19,225(1998))、DNAチップまたはマイクロアレイを用いた方法(Wang DG et al., Science 280,1077(1998)等)、プライマー伸長法、サザンブロットハイブリダイゼーション法、ドットハイブリダイゼーション法(Southern,E., J. Mol. Biol. 98, 503-517(1975))等、公知の方法を採用することができる。さらに、解析対象の多型部分を直接シークエンスすることにより解析してもよい。なお、これらの方法を任意に組み合わせて多型解析を行ってもよい。また、PCR法またはPCR法を応用した方法などの核酸増幅法により核酸試料をあらかじめ増幅(核酸試料の一部領域の増幅を含む)した後、上記いずれかの解析方法を適用することもできる。
多数の核酸試料を解析する場合には、アリル特異的PCR法、アリル特異的ハイブリダイゼーション法、TaqMan-PCR法、Invader法、プライマー伸長法を用いたMALDI-TOF/MS(matrix)法、RCA(rolling cycle amplification)法、DNAチップまたはマイクロアレイを用いた方法等、多数の検体を比較的短時間で解析できる解析方法を用いることが特に好ましい。
ここに列挙した方法においては、それぞれの方法に応じたプライマーやプローブ等の核酸断片(以下「多型解析用核酸断片」とも呼ぶ)が使用される。多型解析用核酸断片の例としては、解析対象の多型を含む遺伝子において、当該多型部位を含む一定領域(部分DNA領域)に相補的な配列を有する核酸断片を挙げることができる。また、解析対象の多型を含む遺伝子において当該多型部位を含む一定領域(部分DNA領域)に相補的な配列を有し、当該多型部分を含むDNAフラグメントをPCR等の手段により特異的に増幅できるように設計された核酸断片(プライマー)を挙げることができる。
例えば、OPN遺伝子の2122番目の塩基の多型が解析対象である場合、解析に使用される前記核酸断片としては、2122番目の塩基がT(チミン)であってOPN遺伝子の2122番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片、または2122番目の塩基がG(グアニン)であってOPN遺伝子の2122番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片が該当する。
例えば、OPN遺伝子の2123番目の塩基の多型が解析対象である場合、解析に使用される前記核酸断片としては、2123番目の塩基がG(グアニン)であってOPN遺伝子の2123番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片、または2123番目の塩基がT(チミン)であってOPN遺伝子の2123番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片が該当する。
例えば、OPN遺伝子の520番目の塩基の多型が解析対象である場合、解析に使用される前記核酸断片としては、520番目の塩基がA(アデニン)であってOPN遺伝子の520番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片、または520番目の塩基がG(グアニン)であってOPN遺伝子の520番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片が該当する。
例えば、OPN遺伝子の1652番目の塩基の多型が解析対象である場合、解析に使用される前記核酸断片としては、1652番目の塩基がG(グアニン)であってOPN遺伝子の1652番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片、または1652番目の塩基がT(チミン)であってOPN遺伝子の1652番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片が該当する。
例えば、OPN遺伝子の3221番目の塩基の多型が解析対象である場合、解析に使用される前記核酸断片としては、3221番目の塩基がC(シトシン)であってOPN遺伝子の3221番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片、または3221番目の塩基がT(チミン)であってOPN遺伝子の3221番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片が該当する。
例えば、OPN遺伝子の3287番目の塩基の多型が解析対象である場合、解析に使用される前記核酸断片としては、3287番目の塩基がA(アデニン)であってOPN遺伝子の3287番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片、または3287番目の塩基がG(グアニン)であってOPN遺伝子の3287番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片が該当する。
また、多型解析用核酸断片の他の具体例としては、解析対象の多型部位がいずれかの遺伝子型である場合にのみ当該多型部位を含む部分DNA領域を特異的に増幅するように設計された核酸セットを挙げることができる。より具体的には解析対象の多型部位を含む部分DNA領域を特異的に増幅するように設計された核酸セットであって、多型部位がいずれかの遺伝子型であるアンチセンス鎖の当該多型部位を含む部分DNA領域に対して特異的にハイブリダイズするセンスプライマーと、センス鎖の一部領域に対して特異的にハイブリダイズするアンチセンスプライマーとからなる核酸セットを例示することができる。ここで、前記多型解析用核酸により増幅される部分DNA領域の長さは、その検出に適した範囲で適宜設定されることが可能であり、例えば50bp〜200bp、好ましくは80bp〜150bpである。
なお、先に列挙した多型解析用核酸断片(プローブ、プライマー)は単なる一例であり、プライマーであれば目的の増幅反応を支障なく行える限度において、あるいはプローブであれば目的のハイブリダイゼーション反応を支障なく行える限度において、一部の塩基配列に改変が施されていてもよい。ここでの「一部の塩基配列の改変」とは、塩基の一部が欠失、置換、挿入及び/または付加されていることを意味する。改変にかかる塩基数は例えば1〜7個、好ましくは1〜5個、さらに好ましくは、1〜3個である。このような改変は、原則として多型部位に対応する塩基以外の部分において行われるべきである。
多型解析用核酸断片(プローブ、プライマー)としては、解析方法に応じて適宜DNA断片またはRNA断片が用いられる。多型解析用核酸断片の塩基長はそれぞれの機能が発揮される程度であればよく、当該核酸断片がプライマーである場合の塩基長の好適例としては10〜50bp程度、好ましくは15〜40bp程度、さらに好ましくは15〜30bp程度である。
なお、多型解析用核酸断片がプライマーである場合には増幅対象(鋳型)に特異的にハイブリダイズし、目的のDNAフラグメントを増幅することができる限り、鋳型となる配列に対して多少のミスマッチがあってもよい。多型解析用核酸断片がプローブである場合も同様に、検出対象の配列と特異的なハイブリダイズが行える限り、検出対象の配列に対して多少のミスマッチがあってもよい。ミスマッチの程度としては、1〜数個、好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜3個である。勿論、このような多型解析用核酸断片(プライマー、プローブ)は、当業者であれば、例えばホスホジエステル法など公知の方法によって比較的容易に合成することができる。
本発明の方法における「発症リスク判定」とは、尿路結石症が発症するリスクが高いか低いかを判定することを意味する。このような発症リスク判定は、通常、所定の発症リスク判定用プログラムが格納されたコンピュータを用いて行われることがよい。具体的には以下のような手法による。
例えば、核酸試料中に含まれるOPN遺伝子のSNP2122T/G、SNP2123G/T、SNP3221C/T及びSNP3287A/Gを解析する工程を含む発症リスク判定方法である場合について述べる。SNP2122T/G、SNP2123G/T、SNP3221C/T及びSNP3287A/Gは同じハプロタイプブロック(以下「第2ハプロタイプブロック」と呼ぶ)に属していると把握できる。
そして、第2ハプロタイプブロックに属するSNP2122T/Gの塩基がT(チミン)、SNP2123G/Tの塩基がT(チミン)、SNP3221C/Tの塩基がT(チミン)、SNP3287A/Gの塩基がG(グアニン)となる組合せの場合、あるいは、SNP2122T/Gの塩基がG(グアニン)、SNP2123G/Tの塩基がG(グアニン)、SNP3221C/Tの塩基がC(シトシン)、SNP3287A/Gの塩基がA(アデニン)となる組合せの場合には、尿路結石症の発症リスクが高いと判定する。これに対し、第2ハプロタイプブロックに属するSNP2122T/Gの塩基がT(チミン)、SNP2123G/Tの塩基がG(グアニン)、SNP3221C/Tの塩基がT(チミン)、SNP3287A/Gの塩基がG(グアニン)となる組合せの場合には、尿路結石症の発症リスクが低いと判定する。
また、これとは別のものとして、例えば、核酸試料中に含まれるOPN遺伝子のSNP520A/G及びSNP1652G/Tを解析する工程を含む発症リスク判定方法である場合について述べる。SNP520A/G及びSNP1652G/Tは、同じハプロタイプブロック(以下「第1ハプロタイプブロック」と呼ぶ)に属していると把握できる。そして、第1ハプロタイプブロックに属するSNP520A/Gの塩基がA(アデニン)、SNP1652G/Tの塩基がT(チミン)の組合せである場合には、尿路結石症の発症リスクが高いと判定する。これに対し、第1ハプロタイプブロックに属するSNP520A/Gの塩基がA(アデニン)、SNP1652G/Tの塩基がT(チミン)の組合せ以外の組み合わせである場合には、尿路結石症の発症リスクが低いと判定する。
なお、第1ハプロタイプブロックのみに基づく発症リスク判定、第2ハプロタイプブロックのみに基づく発症リスク判定に代えて、第1ハプロタイプブロック及び第2ハプロタイプブロックの両方に基づく発症リスク判定を行うようにしてもよい。
また本発明は、上述した尿路結石症の発症リスク判定方法にて使用するのに好適な発症リスク判定用キットを提供するものである。この発症リスク判定用キットは、OPN遺伝子における1つのSNPまたは2つ以上のSNPsの解析を行うための所定の核酸断片を含むことを特徴とする。その第1の態様は、OPN遺伝子の2122番目の塩基の多型を解析するための核酸断片を含むキットである。具体的にいうと当該キットは、2122番目の塩基がT(チミン)であってOPN遺伝子の2122番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片、または2122番目の塩基がG(グアニン)であってOPN遺伝子の2122番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片を含んでいてもよい。
第2の態様は、OPN遺伝子の2123番目の塩基の多型を解析するための核酸断片を含むキットである。具体的にいうと当該キットは、2123番目の塩基がG(グアニン)であってOPN遺伝子の2123番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片、または2123番目の塩基がT(チミン)であってOPN遺伝子の2123番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片を含んでいてもよい。
第3の態様は、OPN遺伝子の2122番目の塩基の多型を解析するための核酸断片及び2123番目の塩基の多型を解析するための核酸断片の両方を含むキットである。
第4の態様は、OPN遺伝子の2122番目の塩基の多型を解析するための核酸断片、2123番目の塩基の多型を解析するための核酸断片、3221番目の塩基の多型を解析するための核酸断片、及び3287番目の塩基の多型を解析するための核酸断片を含むキットである。2122番目の塩基の多型及び2123番目の塩基の多型を解析するための核酸断片の具体例については、既に示したため、ここでは説明を省略する。具体的にいうと当該キットは、3221番目の塩基がC(シトシン)であってOPN遺伝子の3221番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片、または3221番目の塩基がT(チミン)であってOPN遺伝子の3221番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片を含んでいてもよい。また、当該キットは、3287番目の塩基がA(アデニン)であってOPN遺伝子の3287番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片、または3287番目の塩基がG(グアニン)であってOPN遺伝子の3287番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片を含んでいてもよい。
第5の態様は、OPN遺伝子の520番目の塩基の多型を解析するための核酸断片、及び1652番目の塩基の多型を解析するための核酸断片を含むキットである。具体的にいうと当該キットは、例えば、OPN遺伝子の520番目の塩基の多型が解析対象である場合、520番目の塩基がA(アデニン)であってOPN遺伝子の520番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片、または520番目の塩基がG(グアニン)であってOPN遺伝子の520番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片を含んでいてもよい。また、当該キットは、例えば、OPN遺伝子の1652番目の塩基の多型が解析対象である場合、1652番目の塩基がG(グアニン)であってOPN遺伝子の1652番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片、または1652番目の塩基がT(チミン)であってOPN遺伝子の1652番目の塩基を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する核酸断片を含んでいてもよい。
なお、本発明の発症リスク判定用キットは、SNPの解析に必要な上記核酸断片を含む試薬を構成要素として成立しているが、この試薬のほか、使用方法に応じてさらに他の試薬(バッファー等)、反応容器、使用説明書などを構成要素として成立していてもよい。
SNPの解析に必要な試薬の好適例としては、解析対象の多型部分を含むDNA領域またはそれに対応するmRNAを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により特異的に増幅できる多型解析用核酸断片(即ちプライマー)を含む試薬を挙げることができる。また、SNPの解析に必要な試薬の別の好適例としては、解析対象の多型部分を含むDNA領域またはそれに対応するmRNAを特異的に検出できる多型解析用核酸断片(即ちプローブ)を含む試薬を挙げることができる。
当該キットの構成要素である多型解析用核酸断片は、必ずしも試薬に含まれる形態で、言い換えると溶液の状態で提供されなくてもよい。例えば、上記多型解析用核酸断片は、不溶性支持体に固定化した状態で用いられることもできる。固定化に使用する不溶性支持体をチップ状、ビーズ状などに加工しておけば、これら固定化核酸断片を用いて多型の解析をより簡便に行うことができる。つまり、当該キットは、SNPの解析に必要な上記多型解析用核酸断片を含むDNAチップ、DNAアレイを構成要素として成立していてもよい。
[1.材料と方法]
1−1.対象:
名古屋市立大学に受診している55名のカルシウム結石患者と54名の健常者(非結石患者)とを本研究の対象とした。患者の臨床特徴を図1の表1に示す。なお、患者はいずれも日本人である。
24時間尿中カルシウム排泄量を測定し、高カルシウム尿症の有無を診断した。結石の数は腹部レントゲン検査等によって、結石成分は赤外線分光法にて確認した。上皮小体機能亢進症(Hyperparathyroidism)、尿路感染及び非カルシウム結石の患者は除外した。尿路結石の病歴と家族歴なしの54人の健常人は、コントロールグループとした。この研究は名古屋市立大学倫理審査委員会によって承認され、患者の承諾を得て行った。ゲノムDNAは、市販のQIAampキット(登録商標、QIAGEN社製)を使用して、採血した白血球から抽出した。
1−2.Long PCR:
109人(結石患者55名、健常者54名)の全OPN遺伝子配列をシークエンスした。本実施例では、校正機能を持つプラチナTaq DNAポリメラーゼのキット(Invitrogen社製)を使用するとともに、300ngのゲノムDNAをテンプレートとして使用した。プライマーは公表されているヒトOPN遺伝子(GenBank no. D14813)(配列番号1)の配列から設計した。具体的には図2の表2に示すとおりである。試薬の濃度は2mM MgSO4、0.2mMプライマー、2.5 単位プラチナTaq DNA Polymerase、0.2μM dNTPsであった。PCR反応は94℃,30 秒後、94℃,30秒、55℃,30秒、35回の後、68℃,12分で行った。なお、Long PCR用のプライマーの塩基配列は以下のとおりである。
順方向(Forward):5'-ACCTCCCCGATAGTCAGAAT-3'(配列番号2)
逆方向(Reverse):5'-AACTTGGTCATGCCCTTGGAT-3'(配列番号3)
1−3.Genotyping(遺伝子型の決定):
109名のDNAサンプルについてPCRを行った。図2の表2に示すSequence PCR用のプライマーは、Primer Premier 5.0(商品名)で設計した。各々のプライマーの間隔はおよそ450bpである。いくつかのものについては、順方向のプライマー(Forward Primer)だけでなく、補足のための逆方向のプライマー(Reverse Primer)も設計した。使用したSequence PCR用プライマーを以下に具体的に示す。
プライマー1(Forward):5'-TCAACTCCAAAGCATCCCAGAC-3'(配列番号4)
プライマー2(Forward):5'-CTTTTTTCAGAAATGCTGCC-3'(配列番号5)
プライマー3(Forward):5'-AATGTTCATGAAACCTATG-3'(配列番号6)
プライマー4(Forward):5'-CTTTACATACCTTGGGAG-3'(配列番号7)
プライマー5(Forward):5'-CTCTCAGTCAGAAACTGC-3'(配列番号8)
プライマー6(Forward):5'-AACCAGAGGGGGAAG TGTGG-3'(配列番号9)
プライマーR6(Reverse):5'-TCTGATTAGCATCGGTGG-3'(配列番号10)
プライマー7(Forward):5'-ACTTAAAAATACTTCCACTGG-3'(配列番号11)
プライマー8(Forward):5'-GTACATGTTGGAAAAATGG-3'(配列番号12)
プライマー9(Forward):5'-CACTACCATGAGAATTGC-3'(配列番号13)
プライマー10(Forward):5'-TATGATGAGTTATCGCATG-3'(配列番号14)
プライマー11(Forward):5'-GTTCAATTCCAGTTGAACAG-3'(配列番号15)
プライマー12(Forward):5'-GTTAGGATTACTGGGTGGT-3'(配列番号16)
プライマーR12(Reverse):5'-TCCTTGCTTTAAGAAGATG-3'(配列番号17)
プライマー13(Forward):5'-CTGGGATTACAGGCGTAGC-3'(配列番号18)
プライマーR13(Reverse):5'-CAGTTCCTCAGTTGCACTAG-3'(配列番号19)
プライマー14(Forward):5'-CATATGGCTATTGAGCACTC-3'(配列番号20)
プライマーR14(Reverse):5'-GCACATCTAAACCAGAAGTG-3'(配列番号21)
プライマー15(Forward):5'-CTTCTTGTTCCATGGACTG-3'(配列番号22)
プライマー16(Forward):5'-TTTTTCCATTCATCCCTAC-3'(配列番号23)
プライマー17(Forward):5'-ACAAGAGGTAAGTTCTCAT-3'(配列番号24)
プライマー18(Forward):5'-AGCAAGTTAGATAAATTACC-3'(配列番号25)
プライマー19(Forward):5'-GCCATGGTATGTACTGTG-3'(配列番号26)
プライマー20(Forward):5'-GCAGACCTGACATCCAGG-3'(配列番号27)
プライマー21(Forward):5'-CTAACAATTCACTTCCTCT-3'(配列番号28)
プライマー22(Forward):5'-CCACAGCCACAAGCAGTC-3'(配列番号29)
プライマー23(Forward):5'-TGTCTATGTTCATTCTATAG-3'(配列番号30)
プライマー24(Forward):5'-CTTGTCATTTATTTGTGCTG-3'(配列番号31)
プライマー25(Forward):5'-TGGGCACAAATCTGAATAG-3'(配列番号32)
そして、ABI BigDye Terminator Cycle sequencing Ready Reaction Kit(商品名)でsequencing PCR反応を行った。反応産物はエタノール沈殿で精製してから、ABI3100(商品名)でシークエンスした。この後、精製されたDNAの塩基配列をSeqScape V2.1ソフト(商品名)で確認した。
1−4.統計方法:
ハーディ・ワインベルグ平衡(Hardy-Weinberg平衡)を計算するために、カイ二乗検定(chi-square test)あるいはフィッシャーの直接確率検定(Fisher’s exact test)を使用した。1%頻度以上の各SNPの対立遺伝子の配分をカイ二乗検定を使用して評価した。また、確率(OR)と95%信頼区間(CI)とを計算した。Pair-wise linkage disequilibrium(LD)はHaploviewのソフトウエアで評価した。また、タギングSNPsを識別し、LD Blockを計算した。患者と健常人との間にハプロタイプと遺伝子型の配分の関連性を比較するために、カイ二乗検定あるいはフィッシャーの直接確率検定で検定を行った。統計ソフトはStatistical Package for Social Sciences(SPSS)を使用した。P<0.05をもって有意差ありとした。
2.結果
2−1.OPNの遺伝子多型
上記のような遺伝子型の決定を行ったところ、69個の多型が認識された(64個のSNPsと5個の欠失(deletion)多型)。2113, 2317, 2337, 2514及び2515の位置の多型については、ハーディ・ワインベルグ平衡からかなり逸脱したので(p<0.001)、次の統計から取り除いた。新規に見つかった11個の多型を含む残った64個の多型は、ハーディ・ワインベルグ平衡になった。その中に、23カ所のSNPsの対立遺伝子の頻度が1%以上であることが、対立遺伝子の頻度とLD平衡とを計算することで示すことができた。非同義的な(nonsynonymous)SNPは、観察されなかった。なお、図3の表3においては、対立遺伝子の頻度が1%以上である23個のSNPsを上段に示し、5個の欠失多型を下段に示している。
図3の表3に示すように、2122の位置にあるSNP及び2123の位置にあるSNPの2つ(即ちSNP2122T/GとSNP2123G/T)については、患者と健常人との間に有意差が認められた(p<0.01)。SNP2122T/GにあるTT、あるいはTGと、SNP2123G/TにあるGG、あるいはTGの対立遺伝子の頻度は、結石患者と健常人とでそれぞれ69.1%と30.9%、90.7%と9.3%であった。SNP2122T/Gにある対立遺伝子のGを持つ人あるいはSNP2123G/Tにある対立遺伝子のTを持つ人は、4.4倍の結石発症リスクがあると計算された。特に男性に限ってみると結石発症リスクが6.3倍であった。その他のSNPsには有意差が認められなかった。
2−2.連鎖不平衡とLDブロック分析
対立遺伝子の頻度が1%以上の23SNPsで、連鎖不平衡とLDブロック分析とを行った。大半のペアは高度の連鎖不平衡になった(D’>0.8)。ハプロタイプ(haplotype; ht)の数は121個であり、この中から4つのLDブロックと16個のhtSNPs(ハプロタイプ・タギングSNPs)とを検出した。ブロック1はSNP520A/G及びSNP1652G/Tを含んでいる(図4,図5ではそれぞれSNP2,SNP4と表現されている)。ブロック2はSNP2122T/G, SNP2123G/T, SNP3221C/T及びSNP3287A/G を含んでいる(図4,図5ではそれぞれSNP10,SNP11,SNP22,SNP23と表現されている)。ブロック3はSNP4825T/A及びSNP4839A/Tを含んでいる(図4,図5ではそれぞれSNP28,SNP29と表現されている)。ブロック4はSNP5764A/G, SNP6352C/T, SNP7282A/G, SNP7600A/G, SNP7803C/T, SNP8090C/T, SNP8588C/G及びSNP9250C/Tを含んでいる(図4,図5ではそれぞれSNP35,SNP37,SNP41,SNP42,SNP45,SNP49,SNP52,SNP59と表現されている)。なお、近隣のブロックは互いに強い連鎖不平衡を示した。
そこで、ハプロタイプと毎ブロックの遺伝子型を分析した。ブロック1には3通りのハプロタイプが認められ、ブロック2には4通りのハプロタイプが認められ、ブロック3には主に4通りのハプロタイプが認められ、ブロック4には主に6通りのハプロタイプが認められた(図4,図5の表4参照)。
4つのブロックのハプロタイプの遺伝子型配分は、ハーディ・ワインベルグ平衡から逸脱しなかった。図5の表4及び図7の表6に示すように、ブロック1のハプロタイプc (A-T)(p=0.000057)、ハプロタイプe (T-T-T-G) (p=0.016), f (G-G-C-A) ( p=0.035)及びブロック2のハプロタイプg (T-G-T-G) (p=0.000003)については、患者と健常人との間に有意差が認められた。尿路結石患者ではハプロタイプc,e及びfの頻度が高いのに対し、ハプロタイプgの頻度が低かった。ハプロタイプc,e,fを持つヒトは結石発症リスクが著しく増加するが、ハプロタイプgを持つヒトはリスクが著しく減少することが示唆された。
そして、ブロック1のハプロタイプc(A-T)は、ハプロタイプa(A-G)、b(G-T)より結石発症リスクを増加させることがわかった。また、ブロック2のハプロタイプeは、ハプロタイプdまたはgより4.4倍結石発症リスクを増加させることもわかった。また、ハプロタイプのgが著しくリスクを減少させることもわかった。ブロック3及びブロック4については、結石患者と健常者との間に有意差が認められなかった。以上の結果は図6の表5に示されている。当該表においてノン・リスク・ハプロタイプ(即ち結石発症リスクを減少させるハプロタイプ)を薄い網掛けで表し、リスク・ハプロタイプ(即ち結石発症リスクを増加させるハプロタイプ)を濃い網掛けで表している。図7の表6においても同様である。
なお、尿路結石患者の性別、尿カルシウム排泄、結石成分、結石の数、結石の発生頻度などについても評価を行ってみたが、各ハプロタイプに特に有意差は認められなかった。
3.考察
高分子蛋白質が尿路結石形成に重要な役割を果たすことが示されている。OPNは結石の主要なマトリクス蛋白であり、結晶と相互作用する物質である。このため、本実施例では遺伝子多型と尿路結石とのリスクについて評価した。そこで本発明者らはOPNの全配列遺伝子に再度シークエンスを行い、新規なもの14カ所を含む69カ所の遺伝子多型を確認した。プロモーター領域にある2つのSNPsは、尿路結石との相関を示した。リスクアレルを持つものは尿路結石リスクを4.4倍に増加させるという結果も得た。また、リスクを増加させるハプロタイプと、減少させるハプロタイプと、をそれぞれ見い出した。
本発明者らは連鎖不平衡とハプロタイプとの分析を利用して、尿路結石と相関するハプロタイプを発見した。本発明者らの研究は以下のような特徴がある。(a) 調査された個人はすべてアジア日本民族であるため、民族間の混同の可能性が除去されている。従って、日本民族を対象として尿路結石症の発症リスク判定を行ったような場合には、比較的信頼度の高い判定を行うことが可能である。(b) サンプル数は必ずしも多くなかったが、既知のほぼ全ての遺伝子多型を検出し、LD及びハプロタイプの構造の分析が可能であった。(c) OPNの遺伝子全配列をシークエンスして遺伝子多型を解析しており、一部の既知の遺伝子多型に絞った検索でなく、信頼性の高い結果を得ることができた。(d)LR-PCRの不正確さを考慮し、一般的疾患から、極めて稀なSNPsの影響が少ないと考え、1%以下に見られるSNPsについては検討から外した。即ち、このことも判定の信頼度の向上に寄与しうる。
本発明者らの研究グループが1992年にOPN蛋白が尿路結石のマトリクスの主成分であることを発見して以来、他の多くの研究グループがOPNについて研究を行ってきた。しかし、OPN遺伝子多型についての研究はまだ少ない。Yamateらは、家族性尿路結石患者と健常人とを検討し、RFLP (restriction fragment length polymorphism)の方法を使用し、OPN遺伝子のエクソン7のSNP9250に対応するC/Tの変異を見つけた。彼らは、対立遺伝子Cが健常人で尿路結石患者より高い (0.528) (p<0.05) ことを示した。FrancoisらはOPNの遺伝子に近い三カ所のマイクロサテライトマーカーを検討したが、有意差が認められなかった。しかし、マイクロサテライトマーカーによる検討は、全SNPsに比較して検討すべき部位が極めて少ない。このため、得られた検討結果は疾患との相関性が無いことを示すものではないと考えられる。
実施例において本発明者らが識別した23カ所のSNPsは、どれもアミノ酸の突然変異を起こさない変異であった。また、結石発症リスクを増加させるハプロタイプ、及び結石発症リスクを減少させるハプロタイプは、全てOPN遺伝子のプロモーター領域及びそれに近い領域に存在していた。この結果より、プロモーター領域、つまり遺伝子発現制御の領域の変異が尿路結石の形成に影響している可能性が示唆された。GiacopelliらはOPN遺伝子のプロモーター領域にあるSNPsがOPNの転写活性を影響することを示している。WangらもOPN遺伝子のプロモーター領域がOPNの発現に対して重要な役割を果たすことを報告している。また本発明者らは、OPN遺伝子の上流5Kbpの領域の発現に際しての重要性を解析し、OPNに近い上流1.5kbpの重要性を示している。これらの報告は、いずれもOPNのプロモーター領域が結石形成に重要な役割を持つことを示すものである。
以上述べてきたように、本発明によると、OPN遺伝子のSNPsを利用して尿路結石の発症リスクを正確に予測することが可能な判定方法を提供することができる。そして、この方法による発症リスク判定が可能になれば、不必要な検査を受ける必要がなくなり、患者の身体的及び経済的な負担を確実に軽減することができる。ゆえに、本発明の尿路結石の発症リスク判定方法は、臨床上有意義なものであると言うことができる。
なお、本発明は上記の実施例のみに限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において自由に変更することが可能である。
55名のカルシウム結石患者の臨床特徴を示した表である(表1)。 使用されるOPN遺伝子用のプライマーを示した表である(表2)。 対立遺伝子の頻度が1%以上である23個のSNPsと、5個の新規な欠失多型とを示した表である(表3)。 4つのブロックと16個のhtSNPsとの位置関係を示した概念図である。 結石患者と健常者との間で、各ハプロタイプ及び各ブロックの遺伝子型を分析した結果を示した表である(表4)。 結石患者及び健常者の個々についての尿路結石症の発症リスクの高低を示した表である(表5)。 発症リスクを増加させるハプロタイプと、発症リスクを減少させるハプロタイプとをそれぞれ示した表である(表6)。

Claims (17)

  1. 核酸試料中に含まれるオステオポンチン遺伝子の2122番目の塩基の多型を解析する工程を含む、尿路結石症の発症リスク判定方法。
  2. 核酸試料中に含まれるオステオポンチン遺伝子の2123番目の塩基の多型を解析する工程を含む、尿路結石症の発症リスク判定方法。
  3. 核酸試料中に含まれるオステオポンチン遺伝子の2122番目の塩基の多型及び2123番目の塩基の多型を解析する工程を含む、尿路結石症の発症リスク判定方法。
  4. 核酸試料中に含まれるオステオポンチン遺伝子の2122番目の塩基の多型、2123番目の塩基の多型、3221番目の塩基の多型及び3287番目の塩基の多型を解析する工程を含む、尿路結石症の発症リスク判定方法。
  5. 前記2122番目の塩基がチミン、前記2123番目の塩基がチミン、前記3221番目の塩基がチミン、前記3287番目の塩基がグアニンとなる組合せの場合、前記尿路結石症の発症リスクが高いと判定する、請求項4に記載の尿路結石症の発症リスク判定方法。
  6. 前記2122番目の塩基がグアニン、前記2123番目の塩基がグアニン、前記3221番目の塩基がシトシン、前記3287番目の塩基がアデニンとなる組合せの場合、前記尿路結石症の発症リスクが高いと判定する、請求項4に記載の尿路結石症の発症リスク判定方法。
  7. 前記2122番目の塩基がチミン、前記2123番目の塩基がグアニン、前記3221番目の塩基がチミン、前記3287番目の塩基がグアニンとなる組合せの場合、前記尿路結石症の発症リスクが低いと判定する、請求項4に記載の尿路結石症の発症リスク判定方法。
  8. 核酸試料中に含まれるオステオポンチン遺伝子の520番目の塩基の多型及び1652番目の塩基の多型を解析する工程を含む、尿路結石症の発症リスク判定方法。
  9. 前記520番目の塩基がアデニン、前記1652番目の塩基がチミンとなる組合せの場合、前記尿路結石症の発症リスクが高いと判定する、請求項8に記載の尿路結石症の発症リスク判定方法。
  10. 核酸試料中に含まれるオステオポンチン遺伝子の520番目の塩基の多型、1652番目の塩基の多型、2122番目の塩基の多型、2123番目の塩基の多型、3221番目の塩基の多型及び3287番目の塩基の多型を解析する工程を含む、尿路結石症の発症リスク判定方法。
  11. 第1ハプロタイプブロックに属する前記520番目の塩基がアデニン、前記1652番目の塩基がチミンの組合せであり、かつ、第2ハプロタイプブロックに属する前記2122番目の塩基がチミン、前記2123番目の塩基がチミン、前記3221番目の塩基がチミン、前記3287番目の塩基がグアニンとなる組合せの場合、前記尿路結石症の発症リスクが高いと判定する、請求項10に記載の尿路結石症の発症リスク判定方法。
  12. 第1ハプロタイプブロックに属する前記520番目の塩基がアデニン、前記1652番目の塩基がチミンの組合せであり、かつ、第2ハプロタイプブロックに属する前記2122番目の塩基がグアニン、前記2123番目の塩基がグアニン、前記3221番目の塩基がシトシン、前記3287番目の塩基がアデニンとなる組合せの場合、前記尿路結石症の発症リスクが高いと判定する、請求項10に記載の尿路結石症の発症リスク判定方法。
  13. 第1ハプロタイプブロックに属する前記520番目の塩基がアデニン、前記1652番目の塩基がチミンの組合せ以外の組合せであり、かつ、第2ハプロタイプブロックに属する前記2122番目の塩基がチミン、前記2123番目の塩基がグアニン、前記3221番目の塩基がチミン、前記3287番目の塩基がグアニンとなる組合せの場合、前記尿路結石症の発症リスクが低いと判定する、請求項10に記載の尿路結石症の発症リスク判定方法。
  14. オステオポンチン遺伝子の2122番目の塩基の多型を解析するための核酸断片、及び2123番目の塩基の多型を解析するための核酸断片のうちの少なくともいずれかを含む、尿路結石症の発症リスク判定用キット。
  15. オステオポンチン遺伝子の2122番目の塩基の多型を解析するための核酸断片、2123番目の塩基の多型を解析するための核酸断片、3221番目の塩基の多型を解析するための核酸断片、及び3287番目の塩基の多型を解析するための核酸断片を含む、尿路結石症の発症リスク判定用キット。
  16. オステオポンチン遺伝子の520番目の塩基の多型を解析するための核酸断片、及び1652番目の塩基の多型を解析するための核酸断片を含む、尿路結石症の発症リスク判定用キット。
  17. 前記核酸断片は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に用いられるプライマーである、請求項14乃至16のいずれか1項に記載の尿路結石症の発症リスク判定用キット。
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