JPWO2015029693A1 - マスクブランク、マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法 - Google Patents

マスクブランク、マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法 Download PDF

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Abstract

化学増幅型レジストにより形成されたレジスト層2と、前記レジスト層2を被覆するように形成された保護層4と、前記レジスト層2と前記保護層4との間に設けられたバッファ層3と、を有し、前記保護層4は、酸性物質、塩基性物質、および当該酸性物質が当該塩基性物質と反応することにより生じた塩を含有しており、前記バッファ層3は、前記保護層4により被覆される前の被覆前レジスト層20の表層部分であって前記被覆前レジスト層20と前記保護層4とが接触する部分を構成要素とするものであり、且つ、当該部分が、前記保護層4から移動してきた前記酸性物質、前記塩基性物質および前記塩を受け入れることにより形成されるものであるマスクブランクを提供する。

Description

本発明は、マスクブランク、マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法に関する。
マスクブランクは、フォトリソグラフィー法に用いられる転写用マスクの基として使用されている。そして転写用マスクは、半導体パターンの形成に使用されている。
半導体パターンの細密化に伴い、そのパターン形成に用いられる転写用マスクのパターンも細密化が進んでいる。転写用マスクは、マスクブランク上に形成された薄膜を、予め設定したパターン形状に形成することにより製造される。
マスクブランクにおいて、最初にパターン形成すべきは、薄膜の上に形成されたレジスト層である。このため、レジスト層のパターニングがいかに高感度で細密なパターンが形成できるかが課題となっている。その結果、マスクブランクを製造する際に使用されるレジストとしては、露光光に対する感度が高い化学増幅型レジストが使用されるようになっている。
そして、マスクブランクおよび化学増幅型レジストに関しては、以下の2つの改良すべき点が存在することが、各文献に開示されている。
1つ目の点は、マスクブランクを保管および移送する際に、マスクブランクの最表面に、異物が付着してしまうという点である。
2つ目の点は、化学増幅型レジストは外気に触れると外気中の汚染物質が付着したり化学増幅型レジストそのものが劣化したりして、感度を維持できなくなるという点である。
以上の2つの点を改善するために、本出願人は、水溶性樹脂からなる防塵保護膜を化学増幅型レジスト層の上に形成するという技術を公開している(特許文献1参照)。
WO2004/088419号公報
以上の2つの課題を解決するための手法としては、まずは、化学増幅型レジスト層の上に保護層を形成することが挙げられる。しかしながら、化学増幅型レジスト層の上に保護層を形成することについて、本発明者は、以下の点を新たな課題として見出した。
すなわち、3つ目の点として、化学増幅型レジスト層の上に保護層を形成すると、保護層に含まれる酸や塩基などの成分や、保護層を透過してくる水分やアウトガスなどにより、化学増幅型レジスト層の感度が低下してしまう。
また、上記の点に加え、本発明者は、以下の点を新たな課題として見出した。
4つ目の点として、特許文献1に開示されている構成だと、化学増幅型レジスト層と保護層との間の密着性を高く保持する必要がある。先にも述べたように、半導体パターンの細密化が進んでおり、マイクロサイズないしナノサイズのパターンが必要となっている。このような微細なパターン形成において、ある部分では化学増幅型レジスト層と保護層とが密着している一方、ある部分では化学増幅型レジスト層から保護層が脱離すると、マスクブランクの主表面にムラが生じることになる。このムラが、最終的に、微細なパターン形成の阻害要因となるおそれがある。
また、5つ目の点として、化学増幅型レジスト層に対して露光を行った際、化学増幅型レジスト層の主表面における露光部分の性質が変化するおそれがある。例として、ポジ型の化学増幅型レジストに対して数十nmの径のスポット露光を行う場合を考える。この場合、化学増幅型レジスト層に対して露光を行い、保護層を除去した後、化学増幅型レジスト層に対して現像液を塗布する。本来なら、数十nmの径の孔を形成しなければならない。つまり、数十nmの径の孔に現像液が入り込まなければならない。仮に、露光部分の性質が変化していた場合、数十nmの径のスポットである露光部分に現像液が上手く入り込まず、精緻なレジストパターンを形成できないというおそれもある。
そこで本発明は、保護層によって化学増幅型レジスト層を異物から保護し且つ化学増幅型レジストとしての機能が維持され、微細なパターンを形成可能なマスクブランクを提供することを、主たる目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するための手法について検討した。まず、1〜2の点を解決するために、特許文献1に記載の技術のように、化学増幅型レジスト層を被覆するように保護層を形成するという構造を踏襲するのが良いと、本発明者は考えた。ただ、3〜5の点を解決する必要は依然として存在する。
そこで、本発明者は、3つ目の点の解決手段について検討を加えた。当業者ならば、保護層に含まれる酸や塩基などの成分は、化学増幅型レジスト層に入り込む前に遮蔽されるべきと考えるのが通常である。しかしながら、本発明者は、そのような発想とは全く逆の思想を想到した。すなわち、保護層が有する成分を、意図的に化学増幅型レジスト層へと侵入させるという思想へと到達した。そして、化学増幅型レジスト層のうち、保護層が有する成分が侵入した部分をバッファ層へと作り変え、このバッファ層により、保護層が有する酸や塩基の過度な侵入、および、保護層を透過してくる水分やアウトガスなどの侵入を抑制するという画期的な手法を想到した。詳しくは後述するが、こうすることにより、3つ目の点と同様に、4つ目および5つ目の点も解決できることを、本発明者は見出した。
以上の知見に基づいて成された本発明の構成は、以下の通りである。
本発明の第1の構成は、
化学増幅型レジストにより形成されたレジスト層と、
前記レジスト層を被覆するように形成された保護層と、
前記レジスト層と前記保護層との間に設けられたバッファ層と、
を有し、
前記保護層は、酸性物質、塩基性物質、および当該酸性物質が当該塩基性物質と反応することにより生じた塩を含有しており、
前記バッファ層は、前記保護層により被覆される前の被覆前レジスト層の表層部分であって前記被覆前レジスト層と前記保護層とが接触する部分を構成要素とするものであり、
且つ、当該部分が、前記酸性物質、前記塩基性物質および前記塩を含むものである、マスクブランクである。
第2の構成は、第1の構成に記載の構成であって、
前記レジスト層は塩基性物質を含有しており、
前記保護層の塩基性物質は、前記レジスト層の塩基性物質よりも嵩高い。
第3の構成は、第1の構成に記載の構成であって、
前記レジスト層は塩基性物質を含有しており、
前記保護層の塩基性物質は、前記レジスト層の塩基性物質よりも分子が大きい。
第4の構成は、第1ないし第3のいずれかの構成に記載の構成であって、
前記保護層の酸性物質は芳香族化合物である。
第5の構成は、第1ないし第4のいずれかの構成に記載の構成であって、
前記保護層の塩基性物質はアミンである。
第6の構成は、第1ないし第5のいずれかの構成に記載の構成であって、
前記バッファ層の厚さは10nm以下である。
第7の構成は、第1ないし第6のいずれかの構成に記載の構成であって、
前記保護層は水およびアルカリ性水溶液のうちのいずれかまたはその両方に可溶である。
第8の構成は、第1ないし第7のいずれかの構成であって、
前記バッファ層は水およびアルカリ性水溶液のうちのいずれかまたはその両方に可溶である。
第9の構成は、
化学増幅型レジストにより形成されたレジスト層を被覆するように、酸性物質、塩基性物質、および当該酸性物質が当該塩基性物質と反応することにより生じた塩を含有している保護層を形成する保護層形成工程と、
前記保護層形成工程中ないし後、前記保護層により被覆される前の被覆前レジスト層の表層部分であって前記被覆前レジスト層と前記保護層とが接触する部分に、前記保護層から移動してきた前記酸性物質、前記塩基性物質および前記塩を受け入れさせることにより、前記レジスト層と前記保護層との間にバッファ層を形成するバッファ層形成工程と、
を有する、マスクブランクの製造方法である。
第10の構成は、
第1ないし第8のいずれかの構成に記載のマスクブランクに対して、200nm以下のサイズのパターンを形成するパターン形成工程と、
を有する、転写用マスクの製造方法である。
本発明によれば、保護層によって化学増幅型レジスト層を異物から保護し且つ化学増幅型レジストとしての機能が維持され、微細なパターンを形成可能なマスクブランクを提供することができる。
本実施形態におけるバイナリマスクブランクの概略断面図である。 本実施形態における光半透過型位相シフトマスクブランクの概略断面図である。 本実施形態における反射型マスクブランクの概略断面図である。 本実施形態におけるマスクブランクの製造の手順を示す概略断面図である。 本実施形態における転写用マスクの製造の手順を示す概略断面図である。 実施例1および比較例1にて作製した各マスクブランクから形成されたレジストパターンに対する評価を行った結果を示すグラフであり、Dose量に対するCD(Critical Dimension)幅の値を基にレジストパターンに対する評価を行った結果を示すグラフである。 実施例2および比較例2にて作製した各マスクブランクから形成されたレジストパターンに対する評価を行った結果を示すグラフであり、Dose量に対するCD(Critical Dimension)幅の値を基にレジストパターンに対する評価を行った結果を示すグラフである。
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態について、主に図1〜図5を用いて説明する。本実施形態においては、次の順序で説明を行う。
1.マスクブランク
1−A)概要
1−B)基体
1−B−1)基板
1−B−2)薄膜
1−C)化学増幅型レジスト層
1−D)バッファ層
1−E)保護層
1−F)その他
2.マスクブランクの製造方法
2−A)基体準備工程
2−B)化学増幅型レジスト層形成工程
2−C)保護層形成工程
2−D)バッファ層形成工程
3.転写用マスクおよびその製造方法
4.実施の形態による効果
5.変形例
なお、以下に記載が無い内容については、マスクブランク、マスクブランクの製造方法、転写用マスクおよびその製造方法に関する技術における公知の構成(例えば特許文献1に記載の構成)を適宜採用しても構わない。
<1.マスクブランク>
1−A)概要
本実施形態におけるマスクブランクに関して、図1〜図3を用いて説明する。
本実施形態におけるマスクブランクは、大きく分けて以下の構成を有している。
・マスクブランクの基となる基体1
・化学増幅型レジストにより形成された化学増幅型レジスト層2(以降、単に「レジスト層2」とも言う。)
・レジスト層2を覆うように形成されたバッファ層3であって、保護層4から酸や塩基が過度にレジスト層2に向かわないようにしつつ、レジスト層2と保護層4との間のpHバランスを取るバッファ層3
・レジスト層2(さらに詳しく言うとバッファ層3)を被覆するように形成された保護層4
なお、記載順は積層順を表している。つまり、天地方向で言うと、基体1から見て天の方向からレジスト層2を積層させ、レジスト層2から見て天の方向からバッファ層3が積層されている。
1−B)基体1
本実施形態における基体1としては、基板10を含むものであって、特許文献1に記載のマスクブランクであって、レジスト層2を形成する前の段階のものであっても構わない。基体1としては、基板10そのものであっても構わないし、基板10の上に光半透過膜11や遮光膜12やエッチングマスク13(ハードマスク)や反射防止膜などが形成されていても構わない。また、基板10としては石英ガラスからなる基板10であっても構わない。
なお、これら各種の膜や層の具体的な組成としては、特許文献1に記載の内容や公知の内容を採用しても構わない。一例として挙げれば、光半透過膜11としてはMoSiN膜、遮光膜12としてはCrONやCrNなどの複数のクロム化合物含有膜、エッチングマスク13としてはMoSiN膜を用いても構わない。
基板10および薄膜15について以下に詳述する。
1−B−1)基板10
本実施形態における基板10としては、ガラス基板を用いることができる。透過型マスクの場合、基板10は、ウェハ上にパターンを形成するときの露光光に対して高い透過率を有するガラス材のものが選択される。反射型マスクの場合、露光光のエネルギーに伴う基板10の熱膨張が最小限にできる低熱膨張ガラスが選択される。
具体的には、透過型マスク(例えば、バイナリマスク、位相シフトマスクおよびグレートーンマスク)の場合、基板10の材質としては、合成石英ガラス、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、無アルカリガラスなどが挙げられる。詳しい例として、波長193nmのArFエキシマレーザーや波長254nmのKrFエキシマレーザーを露光光として用いる転写型マスクの基板10には、波長300nm以下の光に対して高い透過率を有する合成石英ガラスを好ましく用いることができる。
また、反射型マスクであるEUVマスクの場合、基板10には、露光時の熱による被転写パターンの歪みを抑えるために、約0±1.0×10−7/℃の範囲内、より好ましくは約0±0.3×10−7/℃の範囲内の低熱膨張係数を有するガラス材料であるSiO2−TiO2系ガラスを好ましく用いることができる。
1−B−2)薄膜
基板10の主表面に対して薄膜15が形成される。基板10の主表面であってレジスト膜2の下に形成される薄膜を構成する元素は、マスクブランク5から製造される転写用マスクの用途に応じて選択される。薄膜の具体的な構成を列挙するならば、以下の(1)〜(5)が挙げられる。
(1)バイナリマスクブランクの薄膜15
図1を参照し、バイナリマスクブランクの薄膜15について説明する。図1は、バイナリマスクブランクの構成図である。バイナリマスクブランクを作製する場合、露光波長の光に対して透光性を有する基板上に、遮光膜を有する薄膜が形成される。
この遮光膜111は、クロム、タンタル、ルテニウム、タングステン、チタン、ハフニウム、モリブデン、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ロジウム等の遷移金属単体あるいはその化合物を含む材料からなる。例えば、クロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素から選ばれる1種以上の元素を添加したクロム化合物で構成した遮光膜111が挙げられる。また、例えば、タンタルに、酸素、窒素、ホウ素などの元素から選ばれる1種以上の元素を添加したタンタル化合物で構成した遮光膜111が挙げられる。
また、薄膜15は、遮光膜111の構造が、遮光層と主表面反射防止層の2層構造や、さらに遮光層と基板10との間に裏面反射防止層を加えた3層構造としたものなどがある。また、遮光膜111の膜厚方向における組成が連続的または段階的に異なる組成傾斜膜としてもよい。
また、遮光膜111上にエッチングマスク13を有する薄膜15の構成としてもよい。このエッチングマスク13は、遷移金属シリサイドを含む遮光膜111のエッチングに対してエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)特にクロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物からなる材料で構成することが好ましい。このとき、エッチングマスク13に反射防止機能を持たせることにより、遮光膜111上にエッチングマスク13を残した状態で転写用マスクを作製してもよい。
(2)他の構成を有するバイナリマスクの薄膜15
また、バイナリマスクの薄膜15の他の例としては、遷移金属およびケイ素(遷移金属シリサイド、特にモリブデンシリサイドを含む)の化合物を含む材料からなる遮光膜111を有する構成も挙げることができる。
この遮光膜111は、遷移金属およびケイ素の化合物を含む材料からなり、これらの遷移金属およびケイ素と、酸素および/または窒素を主たる構成要素とする材料が挙げられる。また、遮光膜111は、遷移金属と、酸素、窒素および/またはホウ素を主たる構成要素とする材料が挙げられる。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、クロム等が適用可能である。
特に、遮光膜111をモリブデンシリサイドの化合物で形成する場合であって、遮光層(MoSi等)と主表面反射防止層(MoSiON等)の2層構造や、さらに遮光層と基板10との間に裏面反射防止層(MoSiON等)を加えた3層構造がある。
また、遮光膜111の膜厚方向における組成が連続的または段階的に異なる組成傾斜膜としてもよい。
(3)ハーフトーン型位相シフトマスクの薄膜15
図2は、ハーフトーン型位相シフトマスクブランク5の構成図である。ハーフトーン型位相シフトマスクを作製する場合、転写時に使用する露光光の波長に対して透光性を有する基板10上に遷移金属およびケイ素(遷移金属シリサイド、特にモリブデンシリサイドを含む)の化合物を含む材料からなる光半透過膜11を有する薄膜15が形成される。
薄膜15に含まれる光半透過膜11は、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜30%)を透過させるものであって、所定の位相差(例えば180度)を有するものである。なお、ハーフトーン型位相シフトマスクは、この光半透過膜11をパターニングした光半透過部と、光半透過膜11が形成されていない実質的に露光に寄与する強度の光を透過させる光透過部とによって、光半透過部を透過して光の位相が光透過部を透過した光の位相に対して実質的に反転した関係になるようにすることによって、光半透過部と光透過部との境界部近傍を通過し回折現象によって互いに相手の領域に回り込んだ光が互いに打ち消しあうようにし、境界部における光強度をほぼゼロとし境界部のコントラスト即ち解像度を向上させるものである。
この光半透過膜11は、例えば遷移金属およびケイ素(遷移金属シリサイドを含む)の化合物を含む材料からなり、これらの遷移金属およびケイ素と、酸素および/または窒素を主たる構成要素とする材料が挙げられる。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、クロム等が適用可能である。
また、光半透過膜11上に遮光膜12を有する形態の場合、上記光半透過膜11の材料が遷移金属およびケイ素を含むので、遮光膜12の材料としては、光半透過膜11に対してエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)特にクロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物で構成することが好ましい。
(4)多階調マスクの薄膜15
多階調マスクの薄膜15は、1以上の半透過膜と遮光膜12との積層構造である。
半透過膜の材料については、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜11と同様の元素のほか、クロム、タンタル、チタン、アルミニウムなどの金属単体や合金あるいはそれらの化合物を含む材料も含まれる。
各元素の組成比や膜厚は、露光光に対して所定の透過率となるように調整される。遮光膜111の材料についてもバイナリマスクブランクの遮光膜12が適用可能であるが、半透過膜との積層構造で、所定の遮光性能(光学濃度)となるように、遮光膜12の材料の組成や膜厚は調整される。
(5)反射型マスクの薄膜15
図3を参照し、反射型マスクブランク(EUVマスクブランク)の薄膜15について説明する。図3は、反射型マスクブランクの構成図である。
反射型マスクブランクの薄膜15は、低熱膨張係数を有するガラス材料からなる基板10上に露光光を反射する多層反射膜21が形成され、多層反射膜21上に保護膜22(キャッピング層)が形成され、保護膜22の上に露光光を吸収する吸収体膜23が形成された構造を有する。
反射型マスクブランクから製造された反射型マスクは、露光光を吸収する吸収体膜23がパターン状に形成された構造を有しており、露光機(パターン転写装置)に搭載された反射型マスクに入射した光(EUV光)は、吸収体膜23のある部分では吸収され、吸収体膜のない部分では多層反射膜21により反射された光像が反射光学系を通して半導体基板上に転写される。
多層反射膜21は、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層して形成される。多層反射膜21の例としては、Mo膜とSi膜を交互に40周期程度積層したMo/Si周期積層膜、Ru/Si周期多層膜、Mo/Be周期多層膜、Mo化合物/Si化合物周期多層膜、Si/Nb周期多層膜、Si/Mo/Ru周期多層膜、Si/Mo/Ru/Mo周期多層膜、Si/Ru/Mo/Ru周期多層膜などがある。露光波長により、材質を適宜選択することができる。
保護膜22(キャッピング層)は、多層反射膜21を保護する膜であり、たとえばRuで構成される。
また、吸収体膜23は、露光光である例えばEUV光を吸収する機能を有するもので、例えばタンタル(Ta)単体またはTaを主成分とする材料を好ましく用いることができる。このような吸収体膜23の結晶状態は、平滑性、平坦性の点から、アモルファス状または微結晶の構造を有しているものが好ましい。
1−C)化学増幅型レジスト層2
本実施形態におけるレジスト層2の形成のために用いられる化学増幅型レジストには、
種々の制限がある。後述の1−D)バッファ層3にて説明するが、本実施形態におけるレジスト層2は、保護層4から塩等を受け入れるという重要な役割を担う必要がある。ただ、保護層4から受け入れる塩によって(すなわち塩生成の反応物である保護層4の酸性物質および塩基性物質の種類によって)、使用が可能となる化学増幅型レジストの種類も変わる。つまり、レジスト層2と保護層4とでは、バッファ層3を形成するための相性が存在する。この相性については、以下の1−D)バッファ層3および1−E)保護層4で述べる。なお、上記の相性を満たしていれば、化学増幅型レジストの種類としては公知のものを用いても構わない。
1−D)バッファ層3
本実施形態におけるバッファ層3は、保護層4により被覆される前の被覆前レジスト層20の表層部分であって被覆前レジスト層20と保護層4とが接触する部分を構成要素とするものであり、且つ、当該部分が、保護層4から移動してきた塩やその基となった酸性物質および塩基性物質(以降、これらをまとめて「塩等」とも言う。)を受け入れることにより形成される。
組成という観点で見ると、バッファ層3は、保護層4が有する成分とレジスト層2が有する成分が共存する層である。推測ではあるが、共存している態様について詳しく言うと、以下の通りと考えられる。
1.まず、保護層4としては、酸性物質および塩基性物質を含有したものを、本実施形態では用いる。
2.保護層4の内部においては、酸性物質が塩基性物質と反応することにより塩が生じることになる。
3.被覆前レジスト層20の表層部分が、当該塩や未反応の酸性物質および未反応の塩基性物質のそれぞれ一部を受け入れる。
4.最終的に、被覆前レジスト層20の表層部分が、保護層4が有する成分とレジスト層2が有する成分との共存状態となる。
なお、ここで言う「被覆前レジスト層20」は、その名の通り保護層4を被覆する前(すなわちバッファ層3が形成される前)におけるレジスト層2のことである。保護層4を被覆した後、被覆前レジスト層20の表層部分がバッファ層3へと変化する。そのため、以下に述べる「レジスト層2」は、被覆前レジスト層20においてバッファ層3へと変化しなかった部分のことを指すものとする。つまり、「被覆前レジスト層20」は「保護層4の塩が入り込みバッファ層3となる予定の部分」と「保護層4の塩等が入り込まないままレジスト層2となる予定の部分」とで構成されている。
上記のように、被覆前レジスト層20の表層部分に対して意図的に保護層4から塩等を受け入れさせることにより、塩、酸性物質、そして塩基性物質との間での酸・塩基反応による化学平衡の系が形成されて緩衝作用が生じ、最終的には、保護層4から酸や塩基が過度にレジスト層2に向かわないようにしつつ、レジスト層2と保護層4との間のpHバランスを取ることが可能となる。
上記の効果が奏されるメカニズムとしては、推測ではあるが、レジスト層2が含有しているメインポリマーの成分等が、保護層4から受け入れた塩等を所定量混在することにより、塩、酸性物質、そして塩基性物質との間で塩生成反応に係る化学平衡の系を形成し、レジスト層2と保護層4との間に緩衝地帯を設けているものと考えられる。その結果、バッファ層3は、緩衝地帯として、保護層4が含有する塩基成分をレジスト側に浸透させないような構造になっているものと考えられる。
レジスト層2および保護層4の間にバッファ層3を設けることにより、本発明の課題の項目で述べた点を全て解決できる。
具体的に言うと、保護層4を設けることにより、1つ目の点(マスクブランクの最表面に付着する異物)および2つ目の点(外気に触れたときの化学増幅型レジストの劣化)を解決できる。
そして、3つ目の点として、以下の点を挙げた。すなわち、レジスト層2の上に保護層4(別の層)を形成すると、保護層4に含まれる酸や塩基などの成分や、保護層4を透過してくる水分やアウトガスなどにより、レジスト層2の感度が低下してしまうという点である。しかしながら、本実施形態のように、被覆前レジスト層20および保護層4を利用してバッファ層3を設けることにより、結果的にレジスト層2と保護層4との間に、保護層4に含まれる酸や塩基などの成分や、保護層4を透過してくる水分やアウトガスなどに対する緩衝地帯を設けることが可能となる。
さらに、4つ目の点として、レジスト層2と保護層4との間の密着性を高く保持する必要がある。しかしながら、本実施形態のように、レジスト層2と保護層4との間にバッファ層3を設けることにより、4つ目の点も解決できる。その理由としては以下の通りである。
先に述べたように、被覆前レジスト層20の表層部分が、保護層4が有する成分とレジスト層2が有する成分との共存状態となる。ある意味、レジスト層2と保護層4とが両者の界面において融合している状態となる。そうなると、保護層4が有する塩等をレジスト層2が全く受け入れない場合に比べて、レジスト層2と保護層4との間の密着性が著しく向上する。
また、5つ目の点として、レジスト層2に対して露光を行った際、レジスト層2の主表面における露光部分の性質が変化するおそれがある。しかしながら、本実施形態のように、レジスト層2と保護層4との間にバッファ層3を設けることにより、5つ目の点も解決できる。その理由としては以下の通りである。
まず、本発明の課題の項目で述べたように、例として、ポジ型の化学増幅型レジストに対して数十nmの径のスポット露光を行う場合を考える。レジストは疎水性であるため、数十nmの径のスポットである露光部分に現像液が上手く入り込まず、精緻なレジストパターンを形成することが困難となる。
一方、上記の場合を本実施形態の場合に置き換えると、レジスト層2への露光後、現像液によって保護層4もろともレジスト層2の露光部を除去する。その際、保護層4が除去されると共に、バッファ層3もある程度除去されることになる。なぜなら、バッファ層3は、保護層4が有する成分とレジスト層2が有する成分とが共存したものであり、疑似的に露光されたかような状態になり、溶解性が向上しバッファ層3が除去されることになるためである。
ここで、バッファ層3の除去は、被覆前レジスト層20の表層部分の除去を意味する。つまり、被覆前レジスト層20の主表面の影響による、露光部分への現像液の入り込みにくさを、被覆前レジスト層20の表層部分の除去(バッファ層3の除去)により無くすことが可能となる。しかも、現像液によって保護層4もろともレジスト層2の露光部を除去するため、レジスト層2の濡れ性が向上することになる。その結果、先に説明した従来の例のように、レジスト層2の主表面において露光部分に現像液が入り込まないという現象をなくすことが可能となる。
ちなみに、化学増幅型レジストには、基体1に対して良好に塗布されるようにするために、界面活性剤が添加されている。レジスト層2を形成した後であって保護層4を形成する前だと、表面張力の関係上、レジスト層2の最表面には界面活性剤が多く存在していると考えられる。そのため、従来だと、レジスト層2を覆うように保護層4を設けたとしても、両者の間に界面活性剤が存在することになる。その結果、レジスト層2と保護層4との間の密着性が低下するおそれがある。さらに悪いことに、保護層4を除去した後にレジスト層2に対して現像液を塗布したとしても、界面活性剤のせいで現像液が露光部分に行き届かない可能性もある。
しかしながら、本実施形態のように、バッファ層3の除去という形で被覆前レジスト層20の表層部分の除去を行うと、レジスト層2の最表面に存在していた界面活性剤もろとも表層部分の除去を行うことが可能になる。
いずれにせよ、本実施形態の手法を用いる結果、通常通り、露光部分の方が非露光部分よりも現像液により高い溶解速度を発揮することができ、数十nmの径のスポットである露光部分であっても、精緻なレジストパターンを形成することが可能となる。
なお、バッファ層は水およびアルカリ性水溶液のうちのいずれかまたはその両方に可溶であるのが好ましい。水にしてもアルカリ性水溶液にしても、取り扱いが容易でありコストも低廉となるためである。
なお、バッファ層3の厚さとしては、0.1nm以上10nm以下が好ましい。0.1nm以上ならば、上述のようなバッファ層3としての働きを奏することが可能となる。10nm以下ならば、保護層4からの塩等が被覆前レジスト層20へと入り込みすぎていない状態であり、転写用マスクを製造する際のレジストパターンの形成の際に悪影響を与えないで済む。なお、バッファ層3の厚さは10nm以下が好ましいものの、更に好ましくは5nm以下で最も好ましくは1nmである。
ちなみに、バッファ層3の確認方法としては、公知の組成分析方法(XPS等)を用いてバッファ層3を特定しても構わない。その際、バッファ層3の厚さを求めても構わない。
なお、バッファ層3の厚さを求める方法としては、バッファ層3を設けない場合のレジスト層2に対する現像の際の減膜量と、バッファ層3を設ける場合のレジスト層2に対する現像の際の減膜量の差分をバッファ層3の厚さと認定する方法も挙げられる。上述の通り、バッファ層3は、保護層4の塩等の成分が入り込んでいる分、露光部分、非露光部分にかかわらず、現像液により減膜しやすくなっている。つまり、各々の減膜量の差分が、バッファ層3を設けたことに起因する減膜量となり、ひいてはこれがバッファ層3の減膜量ということになる。その結果、減膜量の差分をバッファ層3の厚さとしてもよい。
以降、上記の減膜量を用いた測定手法を「減膜法」とも言う。
1−E)保護層4
さて、先に述べたように、本実施形態における保護層4は、マスクブランクの主表面を異物等から保護するのみならず、バッファ層3を形成するための塩等の提供源でもある。どのような塩等が、レジスト層2に入り込んだ時にバッファ層3を形成するかは相性の問題もある。その相性については現在検討中ではあるが、現在、本発明者が把握している内容としては以下の通りである。
まず、レジスト層2は塩基性物質を含有している状態であって、保護層4の塩基性物質は、レジスト層2の塩基性物質よりも嵩高いようにするのが好ましい。なお、本明細書における「嵩高さ」とは、堅い置換基などにより分子の末端の構成単位が立体的に拡がって他の分子との配列や分子内の回転運動が妨害される状態を示す。また、本明細書における「嵩高さ」とは、具体的には、α炭素上の置換基のファンデルワールス容積をいい、分子量で一義的に規定されるものではなく、t−ブチル基のように分岐構造を有すると増加する指標である。
先にも述べたように、保護層4から入り込む塩は、酸性物質と塩基性物質とが反応して生成される。そのため、当該塩は当該塩基性物質をその構成の一部としている。そこで、保護層4の塩基性物質が、レジスト層2の塩基性物質よりも嵩高ければ、保護層4の塩基性物質を構成の一部とする塩が被覆前レジスト層20の全体に入り込むことを防ぐことができる。いくらバッファ層3が有効な働きを行うといっても、被覆前レジスト層20の全体がバッファ層3になってしまうと、レジスト層2の役割を果たすことが十分にできなくなる。これを防ぐべく、上記のような塩基性物質の嵩高さの規定を設けている。さらに、上記の嵩高さの規定に従うのならば、塩を形成せず保護層4の中で遊離している塩基性物質がレジスト層2にむやみに入り込むのを防ぐことも可能となる。
なお、塩基性物質の嵩高さについては、公知の方法で調べればよく、質量分析法やクロマトグラフィー法、フーリエ変換赤外分光法、X線回折法等を用いても構わない。
また、レジスト層2は塩基性物質を含有している状態であって、保護層4の塩基性物質は、前記レジスト層2の塩基性物質よりも分子が大きいようにするのが好ましい。上記の嵩高さの規定と同様の効果を発揮するためである。
なお、ここでいう「分子が大きい」とは、文字通り「分子の大きさ」の大小についてのものである。もちろん、この分子の大きさは、上記に列挙した公知の方法を用いても構わない。また、簡易的な手法として一例を挙げると、分子量として両者の塩基性物質を比較して、分子量が大きい方を分子が大きいとみなしても構わない。
好適な一例を挙げると、レジスト層2の塩基性物質は低級アミンであり、保護層4の塩基性物質はそれよりも高級アミンであるのが好ましい。
また、保護層4の酸性物質は芳香族化合物であるのが好ましく、特にポリアニリン系樹脂であるのが好ましい。なお、ポリアニリン系樹脂は、ベンゼン環にスルホ基の酸性置換基を有していてもよい。アミノベンゼンスルホン等の酸性基置換アニリンを、保護層の成分とすることによって導電性が向上するので、電子線描画型のレジストの場合には電子線で描画する時のチャージアップを効果的に防止する。また、保護層4の塩基性物質はアミンであるのが好ましく、具体的にはテトラアルキルアンモニウムヒドライド系の4級アンモニウム塩であるのが好ましい。さらに好ましくは、両者を合わせたものを保護層4の構成物質とする。この場合、保護層4はポリアニリン系樹脂を主成分として構成されることになる。こうすることにより、保護層4が水溶性のポリマーとなり、現像の前に保護層4を除去する際に、容易に保護層4を除去することが可能となる。なお、ここで言う主成分とは、組成比において50%を超えて存在する成分のことを指す。なおその際、レジスト層2の塩基性物質はテトラブチルアミンであるのが好ましい。
なお、バッファ層3と同様、保護層4は水およびアルカリ性水溶液のうちのいずれかまたはその両方に可溶であるのが好ましい。
1−F)その他
上記の構成を有するのならば、その他の公知の層(膜)をマスクブランクに設けても構わない。例えば、基体1に対して上記で述べた以外の層を追加しても構わないし、保護層4を覆うように別の層を設けても構わない。
<2.マスクブランクの製造方法>
次に、本実施形態におけるマスクブランクの製造方法について、図4を用いて説明する。図4は、本実施形態におけるマスクブランクの製造方法を示す概略断面図である。なお、以下の工程の内容は、<1.マスクブランク>にて説明した内容と重複する部分もある。そのため、以下に記載が無い内容については、<1.マスクブランク>にて説明した通りである。
2−A)基体準備工程
まず、マスクブランクの基となる基体1を準備する。具体的な構成や準備の手法は、特許文献1に記載の内容や公知の内容を用いても構わない。なお、本実施形態においては、石英ガラスからなる基板10の上に光半透過膜11、遮光膜12およびエッチングマスク13等の薄膜15を設けたものを基体1として用いた場合について述べる。
2−B)化学増幅型レジスト層形成工程
本工程においては、基体1を覆うように、化学増幅型レジストによりレジスト層2を形成する。具体的な手法は、特許文献1に記載の内容や公知の手法を用いても構わない。一例として挙げるとすれば、基体1の主表面にHMDS処理を施した後、化学増幅型レジストをスピンコートにより基体1の主表面に塗布し、ベーク処理を行う。こうして、基体1を覆うようにレジスト層2を形成する。
2−C)保護層形成工程
本工程においては、レジスト層2を被覆するように保護層4を形成する。具体的な手法は、特許文献1に記載の内容や公知の手法を用いても構わない。一例として挙げるとすれば、保護層4の原料となる薬剤をスピンコートによりレジスト層2の主表面に塗布し、ベーク処理を行う。
先にも述べたように、保護層4の内部に存在する酸性物質が、同じく保護層4の内部に存在する塩基性物質と反応することにより塩を生じさせる。保護層4は、当該塩を含有している。保護層4の原料となる薬剤(コート液)の具体例としては、酸性物質がポリアニリンであり塩基性物質がアミンである場合、コート液のうち90質量%以上を水とするのが好ましい。こうすることにより、保護層4の中に過度に塩を存在させることがなくなり、適度な厚みのバッファ層3を形成することが容易に可能となる。また、レジスト層2にも保護層4にも塩基性物質が含まれていたとしても、90質量%以上を水とすることにより、化学増幅型レジストからなるレジスト層2に含まれる塩基性物質に比べて、保護層4に含まれる塩基性物質を薄くすることができる。そうなると、濃度の差を利用することにより、保護層4の中の塩基性物質を、バッファ層3およびその奥のレジスト層2には浸透しないようにすることが可能となる。
2−D)バッファ層形成工程
本工程においては、保護層形成工程中ないし後、保護層4により被覆される前の被覆前レジスト層20の表層部分であって被覆前レジスト層20と保護層4とが接触する部分に、保護層4から移動してきた塩等(すなわち酸性物質、塩基性物質および塩)を受け入れさせる。それにより、レジスト層2と保護層4との間にバッファ層3を形成する。
具体的な手法について説明すると、保護層形成工程中にバッファ層形成工程を行う場合、保護層形成工程におけるベーク処理の際に、被覆前レジスト層20の表層部分が、保護層4から移動してきた塩等を受け入れることになる。また、保護層形成工程後にバッファ層形成工程を行う場合としては、保護層形成工程におけるベーク処理後に室温へと温度が低下する際に、被覆前レジスト層20の表層部分が、保護層4から移動してきた塩等を受け入れることになる。
なお、バッファ層3の形成のメカニズムは、推測ではあるが、以下の論が挙げられる。 被覆前レジスト層20の塩基性物質と保護層4の塩基性物質が同種の化合物(例えば共にアミン)である場合、アミン同士なので両塩基性物質は混じり合いやすい。しかしながら、上記のようにコート液を薄くすると、保護層4の中の塩基性物質は被覆前レジスト層20には浸透しにくくなる。その結果、被覆前レジスト層20と保護層4との間に両塩基性物質が集まる部分が形成される。そのうち、被覆前レジスト層20が、保護層4の主な塩基性物質(つまりポリアニリンにアミンが結合した塩)を受け入れるようになる。そしてそれとともに未反応の酸性物質および塩基性物質も受け入れ、化学平衡を形成する。その結果、被覆前レジスト層20の表層部分がバッファ層3へと変化する。
ただ、上記の内容はあくまで推測であり、詳細については本発明者が鋭意検討中である。
以上の工程を経て、洗浄などのその他の処理を適宜行うことにより、本実施形態におけるマスクブランクは製造される。
<3.転写用マスクおよびその製造方法>
次に、本実施形態における転写用マスクおよびその製造方法について、図5を用いて説明する。図5は、本実施形態における転写用マスクの製造方法を示す概略断面図である。本実施形態における転写用マスクの製造方法は、以下の内容となる。
上記の<2.マスクブランクの製造方法>によって製造されたマスクブランクに対し、所定のパターンの形状に対応する露光を行った後、現像によりレジストパターンを形成するパターン形成工程を行い、最終的には所定の凹凸パターンを有する基体1または基板10を製造する。なお、ここでいうパターン形成工程は、レジストパターンを形成することを指しても構わないし、そこからさらに進んで、基体1または基板10に対して凹凸パターンを形成することを指しても構わない。
ここで、本実施形態のマスクブランクは、保護層4によってレジスト層2を異物から保護し且つ化学増幅型レジストとしての機能が維持され、微細なパターンを形成可能な状態となっている。その結果、本実施形態のマスクブランクに対して露光および現像を行うことにより、微細なパターンが形成された転写用マスクを製造することが可能となる。なお、パターンのサイズとしては、200nm以下であるのが好ましい。本実施形態における転写用マスクの製造方法ならば、50nm以下という微細なパターンであっても安定して形成可能となる。ここで言うパターンの形状は、任意の形状で構わない。例えば直線状であってもよいし点状であってもよいし両者を組み合わせた形状であってもよい。
<4.実施の形態による効果>
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
被覆前レジスト層20の表層部分に対して意図的に保護層4から塩等(塩、それの基となる酸性物質および塩基性物質)を受け入れさせる。これにより、塩、酸性物質、そして塩基性物質との間での酸・塩基反応による化学平衡の系が形成されて緩衝作用が生じる。その結果、最終的には、保護層4から酸や塩基が過度にレジスト層2に向かわないようにしつつ、レジスト層2と保護層4との間のpHバランスを取ることが可能となる。
具体的に言うと、保護層4を設けることにより、1つ目の点(マスクブランクの最表面に付着する異物)および2つ目の点(外気に触れたときの化学増幅型レジストの劣化)を解決できる。その結果、従来の保護膜つきマスクブランクは、外からの物理的な衝撃がレジスト層2に直接加わったり、ダストがレジスト層2に付着したりすることを効果的に防止することができる。
そして、3つ目の点に関しては、被覆前レジスト層20および保護層4を利用してバッファ層3を設けることにより、結果的にレジスト層2と保護層4との間に、保護層4に含まれる酸や塩基などの成分や、保護層4を透過してくる水分やアウトガスなどに対する緩衝地帯を設けることが可能となる。この緩衝地帯となるバッファ層3の存在によって、雰囲気中の酸素等、また、収納容器に由来するアウトガス等が保護層4を透過したとしても、それらがレジスト層2にまで入り込むことをバッファ層3が妨げてくれる。その結果、レジスト層2を形成した状態でマスクブランクを長期にわたって保管していても、雰囲気中のガスの影響による感度変化が生じなくなる。感度変化が生じないことにより、転写用マスクの製造直前(つまりパターン状の露光直前)になってはじめてレジスト層2を形成するという、工程を複雑化させることをする必要がなくなる。
さらに、4つ目の点に関しては、被覆前レジスト層20の表層部分が、保護層4が有する成分とレジスト層2が有する成分との共存状態となる。ある意味、レジスト層2と保護層4とが両者の界面において融合している状態となる。そうなると、保護層4が有する塩をレジスト層2が全く受け入れない場合に比べて、レジスト層2と保護層4との間の密着性が著しく向上する。
また、5つ目の点に関しては、被覆前レジスト層20の主表面の影響による、露光部分への現像液の入り込みにくさを、被覆前レジスト層20の表層部分の除去(バッファ層3の除去)により無くすことが可能となる。その結果、先に説明した従来の例のように、レジスト層2の主表面において露光部分に現像液が付着し続けるという性質を無くすことが可能となる。その結果、通常通り、露光部分の方が非露光部分よりも現像液により高い溶解速度を発揮することができ、高い照射線量(Dose)の露光を行っても、また、数十nmの径のスポットである露光部分であっても、精緻なレジストパターンを形成することが可能となる。
以上の通り、本実施形態によれば、保護層4によってレジスト層2を異物から保護し且つ化学増幅型レジストとしての機能が維持され、微細なパターンを形成可能なマスクブランクおよびそれに関連する技術を提供することができる。
<5.変形例>
本発明の技術的範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
(レジスト層2の原料と保護層4の原料との相性)
上記の実施形態においては、レジスト層2が塩基性物質を有しており、保護層4における塩基性物質の嵩高さや大きさによって保護層4における塩の入り込み度合を規定した。しかしながら、これは一例であり、そもそも塩基性物質に依存せず他の物質によって塩の入り込み度合が決定される可能性もある。また、保護層4における酸性物質にしても塩基性物質にしても、上記にあげた例以外の化合物を使用しても、結局のところバッファ層3
が形成されればそれでよい。
保護層の塩基性物質としては、水に可溶で比較的嵩高な構造を有するアミン系化合物が挙げられる。アミン系化合物の分子に含まれる炭素原子の数は、1〜30であると好ましい。具体的な例として、ピペラジン、モルホリン、ペンチルアミン、ジプロピルアミン、エチレンジアミン、2−ヘプチルアミン、2−アミノピリジン、2−アミノエタノール、シクロヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N−イソプロピルエチレンジアミン、3−ジメチルアミノプロピオニトリル、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチル−n−ドデシルアミン、(S)−(+)−2−アミノ−1−ブタノール、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミンなどが挙げられる。
塩基性物質が4級アミンである場合、アンモニウムハイドライドであることが好ましい。下記の一般式(1)に示されるアンモニウムヒドロキシド化合物であることが好ましい。式(1)中、R1、R2、R3、R4としては、炭素数1〜7のアルキル基、アルコール基、および、アリール基が挙げられる。具体的には、テトラメチルアンモニウムハイドライド、エチルトリメチルアンモニウムハイドライド、テトラエチルアンモニウムハイドライド、トリエチルブチルアンモニウムハイドライド、トリブチルエチルアンモニウムハイドライド、テトラnブチルアンモニウムハイドライド、テトラsブチルアンモニウムハイドライド、テトラtブチルアンモニウムハイドライドなどが挙げられる。
また、保護層4の酸性物質としては、カルボキシ基、スルホ基等の酸性基を有する有機酸類であり、芳香族、脂肪族を問わない。カルボキシ基を有する酸性物質として、飽和脂肪酸類、不飽和脂肪酸類、芳香族脂肪酸類等が挙げられる。また、スルホ基を有する有機酸類として、ベンゼンスルホン酸類、アルキルベンゼンスルホン酸類、アミノベンゼンスルホン酸類、アルキル置換アミノベンゼンスルホン酸類などが挙げられる。
次に実施例を示し、本発明について具体的に説明する。もちろん本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例においては保護層4を設けた一方、比較例においては保護層4を設けなかった。
また、実施例1(および比較例1)においてはポジ型のレジストを使用し、実施例2(および比較例2)においてはネガ型のレジストを使用した。
<実施例1>
2−A)基体準備工程
本実施例においては、基板10に対し、積層順に言うと、光半透過膜11、遮光膜12、エッチングマスク13を設けたものを基体1として作製した。なお、本実施例においては図2に記載の構成を採用した。
まず、石英ガラスからなり透光性を有する基板10上に、枚葉式DCスパッタ装置を用いて光半透過膜11を形成した。光半透過膜11は、Mo、Si、およびNを主たる構成要素とする膜厚69nmの単層のMoSiN膜とした。その際の条件としては、以下のようにした。
スパッタターゲットにモリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(原子%比 Mo:Si=10:90)を用い、アルゴン(Ar)と窒素(N2)とヘリウム(He)の混合ガス雰囲気(ガス圧0.3Pa,ガス流量比 Ar:N2:He=5:49:46)で、DC電源の電力を2.8kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)を行った。スパッタリング後、250℃で5分間の加熱処理(アニール処理)を行った。
なお、光半透過膜11は、ArFエキシマレーザー(波長193nm)用の位相シフト膜でもある。なお、この位相シフト膜は、ArFエキシマレーザー(波長193nm)において、透過率は5.24%、位相差が173.85度となっていた。
その後、光半透過膜11の上に、枚葉式DCスパッタ装置を用いて遮光膜12を形成した。遮光膜12は、以下のように3層構造とした。
まず、第1の遮光膜12aとして、膜厚30nmのCrOCN層を形成した。その際の条件としては、以下のようにした。
スパッタターゲットにクロムターゲットを使用し、アルゴンと二酸化炭素と窒素とヘリウムの混合ガス雰囲気(ガス圧0.2Pa,ガス流量比 Ar:CO2:N2:He=22:39:6:33)中で、DC電源の電力を1.7kWとし、反応性スパッタリングを行った。
次に、第2の遮光膜12bとして、膜厚4nmのCrN層を形成した。その際の条件としては、以下のようにした。
クロムターゲットを使用し、アルゴンと窒素の混合ガス雰囲気(ガス圧0.1Pa,ガス流量比 Ar:N2=83:17)中で、DC電源の電力を1.7kWとし、反応性スパッタリングを行った。
最後に、第3の遮光膜12cとして、膜厚14nmのCrOCN層を形成した。その際の条件としては、以下のようにした。
クロムターゲットを使用し、アルゴンと二酸化炭素と窒素とヘリウムの混合ガス雰囲気(ガス圧0.2Pa,ガス流量比 Ar:CO2:N2:He=21:37:11:31)中で、DC電源の電力を1.8kWとし、反応性スパッタリングを行った。
以上の工程により、総膜厚が48nmの遮光膜12を形成した。なお、この遮光膜12は、位相シフト膜との積層構造において波長193nmでの光学濃度(O.D.)が3.1であった。
その後、遮光膜12の上に、枚葉式DCスパッタ装置を用いて膜厚10nmのエッチングマスク13を形成した。なお、エッチングマスク13の組成は、Mo:2.3原子%,Si:56.6原子%,N:41.1原子%とした。エッチングマスク13を形成する際の条件としては、以下のようにした。
スパッタターゲットにモリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(原子%比 Mo:Si=4:96)を用い、アルゴン(Ar)と窒素(N2)とヘリウム(He)との混合ガス雰囲気(ガス圧0.1Pa,ガス流量比 Ar:N2:He=6:11:16)とし、DC電源の電力を3.0kWとした。
こうして、本実施例における基体1を作製した。
2−B)化学増幅型レジスト層形成工程
上記の基体1の表面に対し、HMDS処理を所定の条件で施した。その後、ポジ型レジストであって電子線描画用の化学増幅型レジスト(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製XFP−255HC)を、基体1の主表面にスピンコートした。その後、加熱乾燥装置を用いて所定の加熱乾燥処理(ベーク処理)を行った。被覆前レジスト層20の膜厚は120nmとした。
2−C)保護層形成工程
保護層4の原料となる薬剤(コート液)を、レジスト層2の上にスピンコートした。なお、コート液における溶媒として、水とイソプロピルアルコールを用いた。質量比は、水:IPA=90:10とした。コート液における溶質として、三菱レイヨン社製アクアセーブ(登録商標)を用いた。この時、溶質と溶媒の質量比は、溶質:溶媒=1〜3:97〜99とした。その後、加熱乾燥装置を用いて所定の加熱乾燥処理(ベーク処理)を行った。保護層4の膜厚は20nmとした。
2−D)バッファ層形成工程
保護層形成工程におけるベーク処理により、被覆前レジスト層20の表層部分に対して保護層4の塩等を入り込ませることにより、バッファ層3を形成した。なお、減膜法を用いてバッファ層3の厚さを求めた結果、バッファ層3の厚さは5nmであった。
以上の工程を経て、本実施例におけるマスクブランクを作製した。そして、本実施例においては、当該マスクブランクを室温にて樹脂製ケース内で3か月保管した。3か月保管したマスクブランクに対して、後述の評価試験を行った。
<比較例1>
比較例1においては、保護層4を設けなかった。つまり、2−C)保護層形成工程および2−D)バッファ層形成工程を行わなかった。それ以外は実施例1と同様とし、比較例1におけるマスクブランクを作製した。そして、当該マスクブランクを室温にて樹脂製ケース内で3か月保管した。3か月保管したマスクブランクに対して、後述の評価試験を行った。
<参考例1>
なお、参考例として、本実施例と同様の手法でマスクブランクを別途作成し、3か月の保管を行うことなく以下の評価試験を行った。つまり、参考例1のマスクブランクは、経時により劣化する前のマスクブランクを示し、以下の評価結果が参考例1に近ければ近いほど、レジスト感度の低下を抑制することができていると言える。
なお、「参考例」と銘打ってはいるが、参考例1のマスクブランクは本実施例に則して作成されたものであり、本発明の一具体例であることは言うまでもない。
<評価1>
各マスクブランクに対し、電子線による露光、露光後の120℃でのベーク処理(Post Exposure Bake=PEBとも言う。)、現像を順次行い、レジストパターンを形成した。そしてそのレジストパターンに対する評価を行った。レジストパターンに対する評価は、Dose量に対するCD(Critical Dimension)幅の値を基に行った。その結果を図6に示す。なお、CDの測定にあたっては、SEM(Advantest社製 E3620)を使用した。
結果に示すように、実施例1のマスクブランクは比較例1のマスクブランクよりも電子線のDose量に対するCD性能が高いことがわかった。また、実施例1のマスクブランクは参考例1のマスクブランクとほぼ同等の結果を示すことがわかった。このことから、実施例1のように、レジスト層2と保護層4との間にバッファ層3を設けることにより、レジスト感度の低下が抑制されることがわかった。
<実施例2>
実施例1におけるレジスト層2の形成において、ネガ型のレジスト層2を形成したことを除けば同じ手順でマスクブランクを作製した。なお、ネガ型のレジストとしては、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製XFN−003を用いた。
<比較例2>
比較例2においては、保護層4を設けなかった。つまり、2−C)保護層形成工程および2−D)バッファ層形成工程を行わなかった。それ以外は実施例2と同様とし、比較例2におけるマスクブランクを作製した。
<評価2>
実施例2および比較例2にて作製した各マスクブランクに対し、電子線による露光、露光後の120℃でのベーク処理(PEB)、現像を順次行い、レジストパターンを形成した。
実施例2および比較例2にて作製した各マスクブランクから形成されたレジストパターンに対する評価を行った。レジストパターンに対する評価は、Dose量に対するCD(Critical Dimension)幅の値を基に行った。ただ、実施例2および比較例2ではネガ型のレジストを用いているため、パターンの評価としては、IS(Isolated Spaces)評価を行った。その結果を図7に示す。
結果に示すように、実施例2のマスクブランクは、Dose量を増加することができ、非露光部分の幅(スペース幅)を180nm以下(さらに言うと160nm程度)に調整した場合でも、優れた現像性を発揮することができた。
一方、比較例2のマスクブランクは、実施例2ほど優れた現像性を発揮することはなかった。特に、Dose量を32μC/cm2以上でスペース幅を180nm以下に調整した場合、現像時に、非露光部分が溶解しきらない(いわゆるスペースが抜けきらない)という現象が生じていた。
<まとめ>
以上の通り、本実施例において、保護層4によってレジスト層2を異物から保護し且つ化学増幅型レジストとしての機能が維持され、微細なパターンを形成可能なマスクブランクを提供することができることがわかった。
1………基体
10……基板
15……薄膜
11……光半透過膜
12……遮光膜
12a…第一遮光膜
12b…第二遮光膜
12c…第三遮光膜
13……エッチングマスク
21……多層反射膜
22……保護膜
23……吸収体膜
2………レジスト層
3………バッファ層
4………保護層
20……被覆前レジスト層

Claims (10)

  1. 化学増幅型レジストにより形成されたレジスト層と、
    前記レジスト層を被覆するように形成された保護層と、
    前記レジスト層と前記保護層との間に設けられたバッファ層と、
    を有し、
    前記保護層は、酸性物質、塩基性物質、および当該酸性物質が当該塩基性物質と反応することにより生じた塩を含有しており、
    前記バッファ層は、前記保護層により被覆される前の被覆前レジスト層の表層部分であって前記被覆前レジスト層と前記保護層とが接触する部分を構成要素とするものであり、
    且つ、当該部分は、前記酸性物質、前記塩基性物質および前記塩を含む、マスクブランク。
  2. 前記レジスト層は塩基性物質を含有しており、
    前記保護層の塩基性物質は、前記レジスト層の塩基性物質よりも嵩高い、請求項1に記載のマスクブランク。
  3. 前記レジスト層は塩基性物質を含有しており、
    前記保護層の塩基性物質は、前記レジスト層の塩基性物質よりも分子が大きい、請求項1に記載のマスクブランク。
  4. 前記保護層の酸性物質は芳香族化合物である、請求項1ないし3のいずれかに記載のマスクブランク。
  5. 前記保護層の塩基性物質はアミンである、請求項1ないし4のいずれかに記載のマスクブランク。
  6. 前記バッファ層の厚さは10nm以下である、請求項1ないし5のいずれかに記載のマスクブランク。
  7. 前記保護層は水およびアルカリ性水溶液のうちのいずれかまたはその両方に可溶である、請求項1ないし6のいずれかに記載のマスクブランク。
  8. 前記バッファ層は水およびアルカリ性水溶液のうちのいずれかまたはその両方に可溶である、請求項1ないし7のいずれかに記載のマスクブランク。
  9. 化学増幅型レジストにより形成されたレジスト層を被覆するように、酸性物質、塩基性物質、および当該酸性物質が当該塩基性物質と反応することにより生じた塩を含有している保護層を形成する保護層形成工程と、
    前記保護層形成工程中ないし後、前記保護層により被覆される前の被覆前レジスト層の表層部分であって前記被覆前レジスト層と前記保護層とが接触する部分に、前記保護層から移動してきた前記酸性物質、前記塩基性物質および前記塩を受け入れさせることにより、前記レジスト層と前記保護層との間にバッファ層を形成するバッファ層形成工程と、
    を有する、マスクブランクの製造方法。
  10. 請求項1ないし8のいずれかに記載のマスクブランクに対して、200nm以下のサイズのパターンを形成するパターン形成工程と、
    を有する、転写用マスクの製造方法。
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