JPWO2014188954A1 - 積層フィルムおよび偏光板 - Google Patents
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Abstract
Description
熱可塑性樹脂フィルム、中でも二軸延伸ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性、耐薬品性などに優れた性質を有することから磁気記録材料、包装材料などの多くの用途において基材フィルムとして広く使用されている。特に近年、フラットパネルディスプレイやタッチパネル分野において、偏光板に用いる偏光子保護フィルムや透明導電フィルムなど、各種光学用フィルムの需要が高まっており、その中でも、偏光子保護フィルム用途では、低コスト化や偏光板の薄膜化を目的として、従来のTAC(トリアセチルセルロース)フィルムから二軸延伸ポリエステルフィルムへの置換えが盛んに検討されている。
結晶性ポリエステルからなるA層と前記結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂BからなるB層が交互に5層以上積層されてなる積層フィルムであり、かつ、A層の層厚みの総和/B層の層厚みの総和が0.1以上1.0以下であり、かつ前記積層フィルム中央においてフィルム面に垂直な方向に対するリタデーションならびにフィルム面に対して50°傾斜した角度に対するリタデーションが1300nm以下である積層フィルム。
結晶性ポリエステルAとしては、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールとを主たる構成成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルが好ましい。ここで、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸などを挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。中でも高い屈折率を発現するテレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
熱可塑性樹脂Bとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)などの鎖状ポリオレフィン;ノルボルネン類の開環メタセシス重合、付加重合、他のオレフィン類との付加共重合体である脂環族ポリオレフィン;ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66などのポリアミド、アラミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアセタール、ポリグルコール酸、ポリスチレン、スチレン共重合ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボーネート;ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチルサクシネートなどのポリエステル;ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどを用いることができる。この中で、強度、耐熱性、透明性および汎用性の観点に加え、A層に用いる結晶性ポリエステルとの密着性および積層性という観点からポリエステルが好ましい。これらは、共重合体であっても、混合物であってもよい。
熱可塑性樹脂Bとしては、非晶性樹脂が好ましい。結晶性樹脂と比較して非晶性樹脂は二軸延伸フィルムを製造する際に配向が生じにくいため、熱可塑性樹脂BからなるB層のリタデーションの増加を抑制でき、ひいては積層フィルムのリタデーションの不均一を抑制することが容易となる。特に、二軸延伸フィルムを製造する際に熱処理工程を設けた場合、にこの効果は顕著となる。延伸工程で生じた配向のうち、B層に生じた配向は、熱処理工程で完全に緩和させることができ、実質的に結晶性ポリエステルからなるA層に起因するリタデーションのみが積層フィルムとしてのリタデーションに影響を与えるようになる。ここでいう非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定において融解エンタルピーが5J/g以上の融点に相当するピークを示さない樹脂である。
結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの好ましい組み合わせとしては、両者のSP値の差の絶対値が、1.0以下であることが好ましい。SP値の差の絶対値が1.0以下であるとA層とB層の層間剥離が生じにくくなる。より好ましくは、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bは同一の基本骨格を供えた組み合わせからなることが好ましい。ここでいう基本骨格とは、樹脂を構成する繰り返し単位のことである。たとえば、結晶性ポリエステルAとしてポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレート共重合体を用いる場合は、熱可塑性樹脂Bとして非晶性のポリエチレンテレフタレート共重合体または結晶性ポリエステルAより融点の低い結晶性ポリエチレンテレフタレート共重合体を用いることが好ましい。また、結晶性ポリエステルAとしてポリエチレンナフタレートまたはポリエチレンナフタレート共重合体を用いる場合は、熱可塑性樹脂Bとして非晶性のポリエチレンナフタレート共重合体または結晶性ポリエステルAより融点の低い結晶性ポリエチレンナフタレート共重合体を用いることが好ましい。
本発明の積層フィルムは、破断伸度が100%以上であることが好ましい。フィルムの破断伸度が低いと、偏光板の偏光子保護フィルムとして用いる場合に、偏光板を製造する工程においてフィルムが破断するなど、ハンドリング性が悪化する場合もある。破断伸度が100%以上である場合、偏光板の製造工程に安定して用いることが容易となる。特に、偏光板を薄膜化するために偏光子保護フィルムを薄膜化した際には、破断伸度のハンドリングへの影響が顕著となる。本発明の積層フィルムは、優れた機械強度を備えた結晶性ポリエステルからなるA層と、前記結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂BからなるB層を積層することで、機械的な強度と低リタデーション化を両立できる。
本発明の積層フィルムは、フィルムの幅が400mm以上であり、かつ、前記積層フィルムの両末端ならびに中央における配向角の差がいずれも20°以下であるが好ましい。ここでいう配向角は、フィルム上の屈折率が最も大きくなる方向をさし、実際には、リタデーションと同様に光学的手法にて計測されるものである。配向角の差が大きいと、液晶ディスプレイに実装した場合に視野角に伴う色づきや輝度の低下の原因となって好ましくない。一般的な二軸延伸ポリエステルフィルムの製造に用いられる逐次二軸延伸工程においては、フィルム幅方向への延伸時にクリップ式テンターが用いられる。この方式ではフィルムの両端をクリップにて把持した状態でレールに沿って延伸していく過程でフィルムの中央部分とクリップ近傍の部分でのフィルム流れ方向にかかる応力が異なるために、結果として配向角の差が生じる。前記積層フィルムの両末端ならびに中央における配向角の差がいずれも20°以下である場合には、偏光子保護フィルムとして本発明の積層フィルムを用いた偏光板を液晶ディスプレイに実装した際にも視野角に伴う色づきや輝度の低下を抑制できる。好ましくは、前記積層フィルムの両末端ならびに中央における配向角の差がいずれも10°以下である。この場合は、ほぼ液晶ディスプレイ実装時の色づきや輝度低下のない高品位の液晶ディスプレイを得ることができる。前記積層フィルムの両末端ならびに中央における配向角の差をいずれも20°以下とすることは、後述のとおり延伸条件を制御することで達成できる。
多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、本発明の構成を効率よく得るためには、5個以上の微細スリットを有するフィードブロックを用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となった。
本発明における特性の測定方法、および効果の評価方法は次のとおりである。
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察することにより求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件でフィルムの断面写真を撮影し、層構成および各層厚みを測定した。なお、場合によっては、コントラストを高くするために、RuO4やOsO4などを使用した染色技術を用いた。また、1枚の画像に取り込められるすべての層の中で最も厚みの薄い層(薄膜層)の厚みにあわせて、薄膜層厚みが50nm未満の場合は10万倍、薄膜層厚みが50nm以上500nm未満である場合は4万倍、500nm以上である場合は1万倍の拡大倍率にて観察を実施した。
(1)項で得られたTEM写真画像を、スキャナ(キャノン(株)製CanoScan D1230U)を用いて画像サイズ720dpiで取り込んだ。画像をビットマップファイル(BMP)もしくは、圧縮画像ファイル(JPEG)でパーソナルコンピューターに保存し、次に、画像処理ソフト Image-Pro Plus ver.4(販売元 プラネトロン(株))を用いて、このファイルを開き、画像解析を行った。画像解析処理は、垂直シックプロファイルモードで、厚み方向位置と幅方向の2本のライン間で挟まれた領域の平均明るさとの関係を、数値データとして読み取った。表計算ソフト(Excel 2000)を用いて、位置(nm)と明るさのデータに対してサンプリングステップ2(間引き2)でデータ採用した後に、5点移動平均の数値処理を施した。さらに、この得られた周期的に明るさが変化するデータを微分し、VBA(Visual Basic for Applications)プログラムにより、その微分曲線の極大値と極小値を読み込み、隣り合う明るさが極大の領域と極小の領域の間隔を1層の層厚みとして層厚みを算出した。この操作を写真毎に行い、全ての層の層厚みを算出した。
王子計測機器(株)製 位相差測定装置(KOBRA−21ADH)を用いた。測定するフィルムのフィルム幅方向中央部から3.5cm×3.5cmのサイズで切り出して、測定サンプルとした。フィルム幅方向が本測定装置にて定義されている角度0°となるように、測定サンプルを装置に設置し、入射角0°ならびに50°における波長590nmのリタデーションとその配向角を測定した。
PVA中にヨウ素を吸着および配向させて作成した偏光度99.9%の偏光子の一方の面に、測定するフィルムの幅方向中央部分から幅方向に420mm、長手方向に310mmのサイズで切り出したものを貼り合わせてテストピースとした。作成したテストピースとフィルムを貼り付けていない偏光板とをクロスニコルの配置にて重ね合わせLED光源(トライテック製A3−101)上においた場合の視認性を確認した。
GTRテック(株)製 ガス・水蒸気透過率測定装置(GTR−10XACT)を用い、JIS−K−7129−C(2008)に従って、水蒸気透過率を測定した。測定するフィルムのフィルム幅方向中央部からφ45mmで切り出して、測定サンプルとした。測定サンプルを装置に設置し、透過面積15.2cm2で40℃90RH%雰囲気下にて測定時間5分で測定を実施した。
ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッベ屈折計を用いて、フィルムの表面の長手方向屈折率(Nx)、幅方向屈折率(Ny)、厚み方向屈折率(Nz)を測定し、下記式から面配向係数(fn)を算出した。
面配向係数 fn=(Nx+Ny)/2−Nz
(7)破断伸度
測定するフィルムを幅10mm、長さ150mmに切断して、測定サンプルとした。オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTA−100”を用いて、測定サンプルをチャック間距離50mmの装置にセットして、引張速度300mm/分、温度23℃、相対湿度65%の条件下で引張試験を行った。フィルム破断時の長さからチャック間距離を減じたものをチャック間距離で除したものに100を乗じて破断伸度(%)とした。また、フィルムの長手方向とフィルム幅方向での破断伸度を計測し、その計測値の平均値をもって本願での破断伸度とした。
測定する積層フィルムからサンプリングを行い、示差熱量分析(DSC)を用いてJIS−K−7122(1987年)に従って、測定サンプルのDSC曲線を測定した。試験は、25℃から290℃まで20℃/min.で昇温し、その際の融解エンタルピーを計測した。
装置:セイコー電子工業(株)製”ロボットDSC−RDC220”
データ解析”ディスクセッションSSC/5200”
サンプル質量:5mg。
結晶性ポリエステルAとして、融点が258℃のポリエチレンテレフタレート(PET)を用いた。また熱可塑性樹脂Bとして融点を持たない非晶性樹脂であるスピログリコール25mol%、シクロヘキサンジカルボン酸30mol%共重合したエチレンテレフタレート(PE/SPG・T/CHDC)を用いた。準備した結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bを、2台の単軸押出機にそれぞれ投入し、280℃で溶融させて、混練した。次いで、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bを、それぞれFSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて計量しながら、スリット数51個の積層装置にて合流させて、厚み方向に交互に51層積層された積層体を得た。積層体とする方法は、特開2007−307893号公報〔0053〕〜〔0056〕段の記載に従って行った。ここでは、スリットの長さおよび間隔は全て一定とした。得られた積層体は、結晶性ポリエステルAが26層、熱可塑性樹脂Bが25層であり、厚み方向に交互に積層された積層構造を有していた。また、口金内部での拡幅比である口金リップのフィルム幅方向長さを口金の流入口部でのフィルム幅方向の長さで割った値が2.5となるようにした。
フィルム幅方向への延伸時の温度を延伸区間前半は110℃、延伸区間後半を150℃とした以外は、実施例1と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表1に示すとおりの物性を示すものであった。実施例1と比較してフィルム幅方向での配向角の均一性が改善しており、実際に液晶ディスプレイに搭載した場合と同様の環境における色づきや輝度が改善されていた。
フィルム幅方向への延伸時の延伸速度を、延伸区間前半で最大延伸量の70%まで延伸するように調整した以外は、実施例2と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表1に示すとおりの物性を示すものであった。実施例2と比較してフィルム幅方向での配向角の均一性がさらに改善しており、実際に液晶ディスプレイに搭載した場合と同様の環境においても色づきや輝度は良好なものであった。
用いる積層装置をスリット数が11個である装置を用いた以外には、実施例1と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表1に示すとおりの物性を示すものであり、実施例1と比較すると、若干リタデーションが増加する傾向が見られた。
用いる積層装置をスリット数が5個である装置を用いた以外には、実施例1と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表1に示すとおりの物性を示すものであり、実施例1と比較すると、若干リタデーションが増加する傾向が見られた。
実施例1の積層装置のかわりに結晶性ポリエステル/熱可塑性樹脂B/結晶性ポリエステルの3層構成を作成できる別の積層装置を用いて3層積層フィルムとした以外には、実施例1と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表3に示すとおりの物性を示すものであった。実施例1と比較すると、リタデーションが悪化しており、実際に液晶ディスプレイに搭載した場合と同様の環境においても色づきが若干目立つものであった。また、製膜安定性も悪く高い収率は望めないため、安定して低コストで製品を供給するのは難しいものであった。
用いる積層装置をスリット数が101個である装置を用いた以外には、実施例1と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表1に示すとおりの物性を示すものであり、実施例1とほぼ同様なフィルムとなっていた。
用いる積層装置をスリット数が251個である装置を用いた以外には、実施例1と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表1に示すとおりの物性を示すものであり、実施例1と比較すると若干リタデーションが抑制されたものとなっていた。
A層の層厚みの総和/B層の層厚みの総和が1.0となるように結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの吐出量を調整した以外は、実施例3と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表1に示すとおりの物性を示すものであった。結晶性ポリエステルの比率が増加することでリタデーション、特にフィルム面から斜視した際のリタデーションが顕著に増加しており、偏光板として液晶ディスプレイに実装した際に問題ないレベルであるものの色づきの見られるものであった。
A層の層厚みの総和/B層の層厚みの総和が0.5となるように結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの吐出量を調整した以外は、実施例3と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表1に示すとおりの物性を示すものであった。結晶性ポリエステルの比率が減少することでリタデーションが抑制されており、実際に液晶ディスプレイに搭載した場合と同様の環境においても干渉色はほとんど分からないものであった。
フィルム長手方向への延伸時のロール群の温度を95℃に調整した以外は、実施例9と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表1に示すとおりの物性を示すものであった。結晶性ポリエステルの面配向が減少することで特にフィルム面に対して斜視した際のリタデーションが抑制されており、実際に液晶ディスプレイに搭載した場合と同様の環境においても干渉色はほとんど分からないものであった。
フィルム長手方向への延伸時の延伸区間長を200mmとした以外は、実施例10と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表1に示すとおりの物性を示すものであった。結晶性ポリエステルの面配向がさらに減少することで特にフィルム面に対して斜視した際のリタデーションが抑制されており、実際に液晶ディスプレイに搭載した場合と同様の環境においても干渉色はほとんど分からないものであった。
結晶性ポリエステルAとして、ポリエチレングリコール(PEG)を全ジオール成分中の8mol%共重合したPEG共重合PETを用いた以外は、実施例9と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表2に示すとおりの物性を示すものであった。特にPEG共重合PETの効果により水蒸気透過率が向上しており、さらには、面配向抑制効果も確認された。その結果、PVAと貼りあわせて偏光板を設ける際にもPVAの脱水にかかる時間が短縮され、生産効率に優れたものであった。
結晶性ポリエステルAとして、ナフタレンジカルボン酸を全ジカルボン酸成分中の8mol%共重合したPET/Nを用いた以外は、実施例9と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表2に示すとおりの物性を示すものであった。結晶性ポリエステルの面配向が減少することで特にフィルム面に対して斜視した際のリタデーションが抑制されており、実際に液晶ディスプレイに搭載した場合と同様の環境においても干渉色はほとんど分からないものであった。
結晶性ポリエステルAとして、イソフタル酸を全ジカルボン酸成分中の10.0mol%共重合した、融点が230℃の共重合PET(PET/I(10))を用いた以外は、実施例9と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表2に示すとおりの物性を示すものであった。結晶性ポリエステルの面配向が減少することで特にフィルム面に対して斜視した際のリタデーションが抑制されており、実際に液晶ディスプレイに搭載した場合と同様の環境においても干渉色はほとんど分からないものであった。
A層の層厚みの総和/B層の層厚みの総和が0.3となるように結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの吐出量を調整した以外は、実施例3と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表2に示すとおりの物性を示すものであった。結晶性ポリエステルの比率が減少することでリタデーションが抑制されており、実際に液晶ディスプレイに搭載した場合と同様の環境においても干渉色はほとんど分からないものであった。
A層の層厚みの総和/B層の層厚みの総和が0.1となるように結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの吐出量を調整した以外は、実施例3と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表2に示すとおりの物性を示すものであった。結晶性ポリエステルの比率が減少することでリタデーションが大幅に抑制されており、実際に液晶ディスプレイに搭載した場合と同様の環境においても干渉色は全くみられなかった。
A層の層厚みの総和/B層の層厚みの総和が1.5となるように結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの吐出量を調整した以外は、実施例3と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表3に示すとおりの物性を示すものであった。結晶性ポリエステルの比率が増加することでリタデーションが増加しており、実際に液晶ディスプレイに搭載した場合と同様の環境においても干渉色が目立つものであった。
結晶性ポリエステルAのみを使用して単層フィルムとした以外は、実施例3と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表3に示すとおりの物性を示すものであった。積層フィルムと比較してリタデーションが大幅に増加しており、実際に液晶ディスプレイに搭載した場合と同様の環境においても干渉色が目立つものであった。
フィルム厚みを15μmとした以外は、実施例7と同様にして無色透明なフィルムを得た。得られたフィルムは、表2に示すとおりの物性を示すものであった。フィルム厚みが減少したことによりさらに結晶性ポリエステルからなるA層の厚みが減少してリタデーションが抑制されており、実際に液晶ディスプレイに搭載した場合と同様の環境においてもほとんど干渉色はみられなかった。また、ハンドリング性についても、問題のないものであった。
A層の層厚みの総和/B層の層厚みの総和を0.5とした以外は、実施例17と同様にして無色透明なフィルムを得た。得られたフィルムは、表2に示すとおりの物性を示すものであった。結晶性ポリエステルの比率が減少することでリタデーションが抑制されており、実際に液晶ディスプレイに搭載した場合と同様の環境においても干渉色は全くみられなかった。また、ハンドリング性についても、問題のないものであった。
フィルム厚みを15μmとした以外は、実施例16と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表2に示すとおりの物性を示すものであった。フィルム厚みが減少したことによりさらに結晶性ポリエステルからなるA層の厚みが減少してリタデーションが抑制されており、実際に液晶ディスプレイに搭載した場合と同様の環境においても干渉色はほとんどみられなかった。また、ハンドリング性についても、問題のないものであった。
フィルム厚みを10μmとした以外は、実施例16と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表2に示すとおりの物性を示すものであった。フィルム厚みが減少したことによりさらに結晶性ポリエステルからなるA層の厚みが減少してリタデーションの不均一が抑制されており、実際に液晶ディスプレイに搭載した場合と同様の環境においてもリタデーション由来の干渉色は全くみられなかった。ただし、実施例16と比較すると、ハンドリング性がやや悪いものであった。
フィルム厚みを50μmとした以外は、実施例9と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表2に示すとおりの物性を示すものであった。フィルム厚みが増加したことにより結晶性ポリエステルからなるA層の厚みが増加してリタデーションが大きくなっており、実際に液晶ディスプレイに搭載した場合と同様の環境においても若干干渉色がみられるものであった。
フィルム厚みを75μmとした以外は、実施例9と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表3に示すとおりの物性を示すものであった。フィルム厚みが増加したことにより結晶性ポリエステルからなるA層の厚みが増加してリタデーションが大きくなっており、実際に液晶ディスプレイに搭載した場合と同様の環境においても干渉色が目立つものであった。
フィルム厚みを5μmとした以外は、実施例18と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表2に示すとおりの物性を示すものであった。フィルム厚みが減少したことにより実施例18と比較してもさらに結晶性ポリエステルからなるA層の厚みが減少してリタデーションの不均一が抑制されており、実際に液晶ディスプレイに搭載した場合と同様の環境においてもリタデーション由来の干渉色は全くみられなかった。ただし、ハンドリング性は実施例18よりもさらに悪くなり、製膜安定性も悪化した。
熱可塑性樹脂Bとして、イソフタル酸を全ジカルボン酸成分中の17.5mol%共重合した、融点が210℃の共重合PET(PET/I(17.5))を用いた以外は、実施例1と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表3に示すとおりの物性を示すものであった。非晶性樹脂を用いた実施例1と比較すると若干リタデーションは大きいものの十分に低い値であり、実際に液晶ディスプレイに搭載した場合と同様の環境においても使用に問題ないレベルであった。
熱可塑性樹脂Bとして、シクロヘキサンジメタノールを全ジオール成分中の33.3mol%共重合した、非晶性の共重合PET(PET/G)を用いた以外は、実施例1と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表3に示すとおりの物性を示すものであった。非晶性樹脂としてSPG共重合PETを用いた実施例1と比較すると、若干リタデーションは大きいものの十分に低い値であり、実際に液晶ディスプレイに搭載した場合と同様の環境においても使用に問題ないレベルであった。
結晶性ポリエステルAとして融点268℃のポリエチレンナフタレート(PEN)を、熱可塑性樹脂Bとして実施例1で結晶性ポリエステルAとして用いたポリエチレンテレフタレートを用いた以外は、実施例1と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは、表3に示すとおりの物性を示すものであった。非晶性樹脂を用いた実施例1と比較するとリタデーションが大幅に増加しており、実際に液晶ディスプレイに搭載した場合と同様の環境においても干渉色が目立つものであった。
市販のトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを用いて偏光板を作製した。TACフィルムは、表3に示すとおりの物性を示すものであった。リタデーションについては非常に低い値を示すものの、偏光板を作製する際にハンドリング性に乏しく、安定した偏光板の作製が難しいものであった。
市販のポリメチルメタクリレート(PMMA)フィルムを用いて偏光板を作製した。PMMAフィルムは、表3に示すとおりの物性を示すものであった。リタデーションについては非常に低い値を示すものの、偏光板を作製する際にハンドリング性に乏しく、安定した偏光板の作製が難しいものであった。
Claims (10)
- 結晶性ポリエステルからなるA層と前記結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂BからなるB層が交互に、合計5層以上積層されてなる積層フィルムであって、A層の層厚みの総和/B層の層厚みの総和が0.1以上1.0以下であり、かつ、前記積層フィルム中央においてフィルム面に垂直な方向から測定したリタデーションならびにフィルム面に垂直な方向に対して50°傾斜した角度から測定したリタデーションが1300nm以下である積層フィルム
- 前記積層フィルムの幅が400mm以上であり、かつ、前記積層フィルムの両末端ならびに中央におけるフィルム面に垂直な方向から測定したリタデーションの値がいずれも400nm以下である請求項1に記載の積層フィルム。
- 前記熱可塑性樹脂Bが非晶性樹脂である請求項1または2に記載積層フィルム。
- 前記結晶性ポリエステルからなるA層の面配向係数が0.12以下である請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
- (積層フィルムの融解エンタルピー)/(前記A層の層厚みの総和)が0.5J/g・μm以上1.2J/g・μm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記積層フィルムの厚みが10μm以上50μm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記積層フィルムの幅が400mm以上であり、かつ前記積層フィルムの両末端ならびに中央における配向角の差がいずれも20°以下である請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
- 水蒸気透過率が50g/m2・24h・atm以上である請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム
- 破断伸度が100%以上である請求項1〜8のいずれかに記載の積層フィルム。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の積層フィルムとPVAフィルムとが積層されてなる偏光板。
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