JP2018032019A - 積層フィルム - Google Patents

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英幸 山内
孝行 宇都
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孝行 宇都
合田 亘
Wataru Goda
亘 合田
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Abstract

【課題】 本発明は、積層フィルムとして様々な機能を備えつつも、フィルムの厚み斑が少なく、かつ高い偏光特性を備えた積層フィルムを提供すること。【解決手段】結晶性ポリエステルからなるA層と前記結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂BからなるB層が交互に合計11層以上積層されてなる積層フィルムであって、かつ前記積層フィルムの配向方向を含む入射面に対して平行な偏光成分について入射角度10°での反射率をR1、それと積層フィルムの配向方向を含む入射面に対して垂直な偏光成分について入射角度10°での反射率をR2とした場合、波長400〜700nmにおいて反射率R1が最大となる波長λnmにおける反射率が下記式1および式2を満足し、かつ前記積層フィルムについて直径15cmの基準円を設定し、その円周に沿って8分割し、図1に示す8箇所の厚みの最大値と最小値の差が平均厚みの6%以下であることを特徴とする積層フィルム。R2(λ)≦40% ・・・式1R1(λ)≧70% ・・・式2【選択図】なし

Description

本発明は、積層フィルムに関するものである。
熱可塑性樹脂フィルム、中でも二軸延伸ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性および耐薬品性などに優れた性質を有することから、磁気記録材料や包装材料などの多くの用途において基材フィルムとして広く使用されている。
一方、ポリエステルフィルムの中には、異なる樹脂が交互に積層された積層フィルムが用いられている。このような積層フィルムでは、単層のフィルムでは得られない特異な機能を備えたフィルムとすることが可能となり、例えば、フィルムの大面積にわたって物性ムラの小さい光学用途に好適に使用できるフィルム(特許文献1)、フィルムの機械軸方向と光学軸の方向とが高精度で一致しており、その光学軸の方向がフィルム面内で一様である光学用フィルム(特許文献2)、偏光サングラス等の偏光子を介して見ても、干渉色の見えない多層積層フィルム(特許文献3)などが挙げられる。
特開2011−213770号公報 特開2012−166555号公報 特開2014−012401号公報
しかしながら、これらのフィルムにおいては、その製造方法から、フィルム幅方向の光学特性や機械特性のばらつきを極小にすることは困難であり、また、偏光反射用途等に採用するには反射率が不完全な値となるなどの課題がある。
そこで、本発明の目的は、上記の課題を解消し、積層フィルムとして様々な機能を備えつつも、フィルムの厚み斑が少なく、かつ高い偏光特性を備えた積層フィルムを提供することを目的とする。
本発明の積層フィルムは、上記課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
[I]結晶性ポリエステルからなるA層と前記結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂BからなるB層が交互に合計11層以上積層されてなる積層フィルムであって、かつ前記積層フィルムの配向方向を含む入射面に対して平行な偏光成分について入射角度10°での反射率をR1、前記積層フィルムの配向方向を含む入射面に対して垂直な偏光成分について入射角度10°での反射率をR2とした場合、波長400〜700nmにおいて反射率R1が最大となる波長λnmにおける反射率が下記式1および式2を満足し、かつ、下記測定方法により求められる前記積層フィルムの厚み斑が6%以下であることを特徴とする積層フィルム。
R2(λ)≦40% ・・・式1
R1(λ)≧70% ・・・式2
[積層フィルムの厚み斑の測定方法]
積層フィルムの任意の場所に、直径15cmの基準円を設定し、その円周に沿って8分割した8箇所の厚みを、ダイヤルゲージ式厚み計(JIS B7503(1997)、PEACOCK製UPRIGHT DIAL GAUGE(0.001×2mm)、No.25、測定子5mmφ平型)を用い測定する。測定により得られたフィルム厚みの最大値(a)、最小値(b)、平均厚みを用いて、積層フィルムの厚み斑を次式により求める。測定は任意の場所に5回実施し、その平均値をもって、積層フィルムの厚み斑(%)とする。
積層フィルムの厚み斑(%)=((a−b)/2)/平均厚み×100
[II]下記測定方法により求められる配向角度斑が6°以下であることを特徴とする[I]に記載の積層フィルム。
[配向角度斑の測定方法]
積層フィルムの任意の場所に、直径15cmの基準円を設定し、その円周に沿って8分割した8箇所の配向角を、王子計測機器(株)製 位相差測定装置(KOBRA−21ADH)を用いて測定する。測定により得られた配向角の最大値と最小値の差を配向角度斑(°)とする。測定は任意の場所に5回実施し、その平均値をもって、積層フィルムの配向角度斑(°)とする。
[III]下記測定方法により求められる偏光度斑が5%以下であることを特徴とする[I]または[II]に記載の積層フィルム。
[偏光度斑の測定方法]
積層フィルムの任意の場所に、直径15cmの基準円を設定し、その円周に沿って8分割した8箇所の偏光度を測定する。測定により得られた偏光度の最大値と最小値の差を偏光度斑(%)とする。測定は任意の場所に5回実施し、その平均値をもって、積層フィルムの偏光度斑(%)とする。
[IV]下記測定方法により求められる透過率長波長端斑が50nm以下であることを特徴とする[I]〜[III]のいずれかに記載の積層フィルム。
[透過率長波長端斑の測定方法]
積層フィルムの任意の場所に、直径15cmの基準円を設定し、その円周に沿って8分割した8箇所の透過率を、日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotometer)に付属の積分球を用いた基本構成で、装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準とし、また、付属のグランテーラ社製偏光子を設置して、偏光成分を0〜180°において、5度刻みで回転させた方位角で波長400〜1750nmの透過率を測定する。測定条件:スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/min.で測定し、方位角0〜180度における透過率を得た。これらの測定結果から、これらの測定結果から、偏光子を回転させた際に波長λnmでの透過率が最大となる方位角θmaxにおける波長400〜1200nmでの透過率が最小となる波長λminでの透過率をT(λmin)、波長400〜1200nmでの透過率が最大となる波長λmaxでの透過率をT(λmax)とした場合、透過率が[T(λmin)+T(λmax)]/2となる波長λの中で最もλminに近い波長を持って長波長端とする。上記8箇所の測定により得られた長波長端の最大値と最小値の差を長波長端斑(nm)とする。測定は任意の場所に5回実施し、その平均値をもって、積層フィルムの透過率長波長端斑(nm)とする。
[V]前記積層フィルムが、波長400〜700nmの波長帯域において、いずれの偏光状態の光も80%以上透過する帯域を連続して50nm以上備えることを特徴とする[I]〜[IV]のいずれかに記載の積層フィルム。
[VI]下記測定方法により求められる彩度C*斑が30以下であることを特徴とする[V]に記載の積層フィルム。
[彩度C*斑の測定方法]
積層フィルムの任意の場所に、直径15cmの基準円を設定し、その円周に沿って8分割した8箇所についてD65光源の透過モードでの測色値を測定する。測定により得られた彩度C*の最大値と最小値の差を彩度C*斑とする。測定は任意の場所に5回実施し、その平均値をもって、積層フィルムの彩度C*斑とする。
[VII]前記積層フィルムの配向方向におけるヤング率が6GPa以上であるであることを特徴とする[I]〜[VI]のいずれかに記載の積層フィルム。
[VIII]前記積層フィルムの配向方向と直交する方向の長さが500mm以上であることを特徴とする[I]〜[VII]のいずれかに記載の積層フィルム。
[IX][VII]の積層フィルムの配向方向に直交する方向における、中心から100mm間隔で測定した透過率長波長端斑が50nm以下であることを特徴とする積層フィルム。
[X]前記積層フィルムの配向方向において1cm間隔で1m(100箇所)計測した際の厚みの最大値と最小値の差が平均厚みの6%以下であることを特徴とする[I]〜[IX]のいずれかに記載の積層フィルム。
[XI][I]に記載の積層フィルムを配向軸に沿って巻きとってなることを特徴とするフィルムロール。
本発明によれば、積層フィルムとして様々な機能を備えつつも、フィルムの厚み斑が少なく、かつ高い偏光特性を備えた積層フィルムを提供することができる。
直径15cmの基準円をその円周に沿って8分割したときの測定位置を示す模式図である。 フィルム長手方向を含む入射面に対して垂直な偏光と、フィルム長手方向を含む入射面に対して平行な偏光と表す模式図である。
本発明の積層フィルムは、結晶性ポリエステルからなるA層と前記結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂BからなるB層が交互に合計11層以上積層されてなる積層フィルムであって、かつ前記積層フィルムの配向方向を含む入射面に対して平行な偏光成分について入射角度10°での反射率をR1、それと積層フィルムの配向方向を含む入射面に対して垂直な偏光成分について入射角度10°での反射率をR2とした場合、波長400〜700nmにおいて反射率R1が最大となる波長λnmにおける反射率が下記式1および式2を満足し、かつ、後述する測定方法により求められる前記積層フィルムの厚み斑(前記積層フィルムについて直径15cmの基準円を設定し、その円周に沿って8分割し、図1に示す8箇所の厚みの最大値と最小値の差)が6%以下であることを特徴とする
R2(λ)≦40% ・・・式1
R1(λ)≧70% ・・・式2
以下、本発明の各要件について説明する。
本発明の積層フィルムは、結晶性ポリエステル(以下、結晶性ポリエステルAと称することがある。)からなる層(A層)と前記の結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂Bと称することがある。)からなる層(B層)が交互に、合計11層以上積層されてなる積層フィルムである。
ここで、結晶性ポリエステルAとは、具体的には、JIS K7122(1999)に準じて示差走査熱量測定(以下、DSCと称することがある。)を行い、昇温速度20℃/分で樹脂を25℃から300℃の温度まで20℃/分の昇温速度で加熱(1stRUN)し、その状態で5分間保持後、次いで25℃以下の温度となるように急冷し、再度25℃から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行って得られた2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、融解ピークのピーク面積から求められる結晶融解熱量ΔHmが、15J/g以上であるポリエステルのことを指す。本発明で用いられる結晶性ポリエステルAの結晶融解熱量はより好ましくは20J/g以上であり、さらに好ましくは25J/g以上である。
また、熱可塑性樹脂Bは、A層に用いられる結晶性ポリエステルAとは異なる光学特性または熱特性を示すものである。異なる光学特性を示すとは、具体的には、積層フィルムの面内で任意に選択される直交する2方向および該面に垂直な方向のいずれかにおいて、屈折率が0.01以上異なるものをさす。また、異なる熱特性を示すとは、DSCにおいて、結晶性ポリエステルAと異なる融点やガラス転移点温度を示すものをさす。
また、ここでいう交互に積層されてなるとは、A層とB層が厚み方向に規則的な配列で積層されていることをいう。例えば、A(BA)n(nは自然数)で表される規則的な配列で積層されたものである。このように光学的性質の異なる樹脂が交互に積層されることにより、各層の屈折率の差と層厚みとの関係より設計した波長の光を反射させることができる干渉反射を発現させることが可能となる。
また、熱特性の異なる樹脂が交互に積層されることにより、二軸延伸フィルムを製造する際に各々の層の配向状態を高度に制御することが可能となり、光学特性や機械特性や熱収縮特性を制御することが可能となる。
積層フィルムの好ましい積層の形態として、結晶性ポリエステルAからなるA層、結晶性ポリエステルAとは異なる熱可塑性樹脂BからなるB層、および結晶性ポリエステルAならびに熱可塑性樹脂Bとは異なる熱可塑性樹脂CからなるC層を有する場合も挙げられる。このような場合には、CA(BA)n、CA(BA)nC、およびA(BA)nCA(BA)mなど、層Cが最外層もしくは中間層に積層される構成とすることができる。
また、結晶性ポリエステルからなるA層と前記の結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂からなるB層を積層する層数が11層未満の場合には、異なる熱可塑性樹脂が積層されていることの製膜性や機械物性などの諸物性への影響によって、例えば、二軸延伸フィルムの製造が困難になる場合があり、また、他の構成要素と組み合わせて製品とする際に目標とする特性に到達しない場合がある。
一方、本発明の積層フィルムのように合計11層以上の層が交互に積層された積層フィルムの場合、層数が11層未満の積層フィルムと対比して、均質に各々の熱可塑性樹脂が配されるため、製膜性や機械物性を安定化させることが可能である。また、層数が増加するに従い、各々の層での配向の成長を抑制できる傾向がみられ、例えば、界面張力による耐引裂強度向上というように機械特性や熱収縮特性を制御しやすくなることに加えて、干渉反射機能を発現させるという特異な光学特性の付与が可能となる。積層する層数は、好ましくは100層以上であり、さらに好ましくは200層以上である。フィルムを100層以上積層した場合には、幅広い帯域の光を高反射率で反射することも可能となり、さらに200層以上積層した場合には、例えば、波長400〜700nmの可視光全体の光をほぼ反射できるようになる。また、積層する層数に上限はないものの、層数が増えるに従い、製造装置の大型化および複雑化に伴う製造コストの増加の原因ともなりうるために、現実的には10000層以内が実用範囲となる。
本発明の積層フィルムの配向方向を含む入射面に対して平行な偏光成分について入射角度10°での反射率をR1、それと積層フィルムの配向方向を含む入射面に対して垂直な偏光成分について入射角度10°での反射率をR2とした場合、波長400〜700nmにおいて反射率R1が最大となる波長λnmにおける反射率が下記式1および式2を満足することが重要である。下記の式1および式2を満足することにより、いずれかの偏光を反射し、他方の偏光を透過するという偏光反射特性を付与することが可能となる。
R2(λ)≦40% ・・・式1
R1(λ)≧70% ・・・式2
より好ましくは、下記の式1’および式2’を満たすことが好ましい。
R2(λ)≦20% ・・・式1’
R1(λ)≧80% ・・・式2’
上記の式1を満足するフィルムを得るためには、積層フィルムの配向軸方向におけるA層とB層の屈折率差を0.02以下、より好ましくは、0.01以下、さらに好ましくは、0.005以下となる樹脂の組合せで調整することができる。また、下記の式2を満足するフィルムを得るためには、積層フィルムの配向軸方向と直交する方向におけるA層とB層の屈折率差を0.08以上、より好ましくは、0.1以上、さらに好ましくは、0.15以上となる樹脂の組合せの選択および製膜条件で調整できる。
その最適な樹脂の組み合わせに使用される結晶性ポリエステルAと前記結晶性ポリエステルAとは異なる熱可塑性樹脂Bの好ましい例については、後述の通りである。
本発明で用いられる結晶性ポリエステルAとしては、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールとを主たる構成成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルが好ましく用いられる。
ここで、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸などを挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、およびシクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用することもできる。
特に、本発明の積層フィルムに用いられる結晶性ポリエステルAを構成するカルボン酸成分としては、高屈折率を発現し、ヤング率を高めるという観点から、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく用いられる。テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸は、高い対称性を備えた芳香族環を含むことから、配向および結晶化させることにより、高い屈折率と高ヤング率を両立することが容易となる。特に、結晶性ポリエステルAを構成するカルボン酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸を含む場合、芳香族環の体積比率が増えることにより、高ヤング率を達成することができ、かつ工業的に汎用に得られるため低コストの製品とすることが可能である。
さらに好ましくは、結晶性ポリエステルを構成するカルボン酸成分のうち、2,6−ナフタレンジカルボン酸を80mol%以上含むことである。ナフタレンジカルボン酸を80mol%以上含むことにより、積層フィルムの製造時に、延伸と熱処理を行うことで、容易に配向結晶化させることが可能となり、高ヤング率化させることが容易となる。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルビド、およびスピログリコールなどを挙げることができる。中でも、重合が容易であるという観点から、エチレングリコールが主たる成分であることが好ましい態様である。
ここで主たる成分とは、ジオール成分のうち80mol%以上であることを指す。より好ましくは、90mol%以上である。これらのジオール成分は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用することもできる。ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸などを、一部共重合することもできる。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂Bとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)などの鎖状ポリオレフィン;ノルボルネン類の開環メタセシス重合、付加重合、他のオレフィン類との付加共重合体である脂環族ポリオレフィン;ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66などのポリアミド、アラミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアセタール、ポリグルコール酸、ポリスチレン、スチレン共重合ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボーネート;ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチルサクシネートなどのポリエステル;ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、およびポリフッ化ビニリデンなどを用いることができる。
これらの中でも、強度、耐熱性、透明性および汎用性の観点に加え、A層に用いられる結晶性ポリエステルAとの密着性および積層性という観点から、ポリエステルが好ましく用いられる。これらは、共重合体であっても混合物であっても用いられる。
本発明の積層フィルムにおいて、熱可塑性樹脂Bがポリエステルの場合は、芳香族ジカルボン酸成分および/または脂肪族ジカルボン酸成分とジオール成分とを主たる構成成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルが好ましく用いられる。ここで、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分およびジオール成分としては、結晶性ポリエステルAで挙げられた成分が好適に用いられる。
本発明の積層フィルムにおいて、熱可塑性樹脂Bは、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分を主たる構成成分とする芳香族ポリエステルであることが好ましい。特に、ジカルボン酸成分100mol%のうち30〜75mol%が2,6−ナフタレンジカルボン酸であり、5〜60mol%がイソフタル酸であり、1,8−ナフタレンジカルボン酸であり、2,3−ナフタレンジカルボン酸からなる群から選ばれる成分であり、ジオール成分100mol%のうち、80〜100mol%がエチレングリコールとすることがより好ましい態様である。
イソフタル酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸および2,3−ナフタレンジカルボン酸は、その分子骨格により、分子鎖を屈曲させる効果を有し、その結果、熱可塑性樹Bの結晶性や延伸時の配向性を低下させることが可能となる。その結果、延伸フィルムを製造時にB層の配向結晶化に伴う屈折率の増加を抑制することができ、結晶性ポリエステルAからなるA層との屈折率差(偏光反射性能の場合は、A層の配向軸との屈折率差)を容易に発生させることが可能となる。その結果、特に偏光反射特性を発現させる場合により高い光学特性を発現させることが可能となる。
干渉反射機能を備えた積層フィルムを得るためには、熱可塑性樹脂Bとしては、非晶性樹脂であることも好ましい態様である。結晶性樹脂と比較して非晶性樹脂は二軸延伸フィルムを製造する際に配向が生じにくいため、熱可塑性樹脂BからなるB層の配向結晶化に伴う屈折率の増加を抑制でき、結晶性ポリエステルAからなるA層との屈折率差を容易に発生させることが可能となる。特に、延伸フィルムを製造する際に熱処理工程を設けた場合にこの効果は顕著となる。
延伸工程で生じた配向のうち、B層に生じた配向は熱処理工程で完全に緩和させることができ、結晶性ポリエステルからなるA層との屈折率差を最大化できる。
ここでいう非晶性樹脂とは、JIS K7122(1999)に準じて、昇温速度20℃/分で樹脂を25℃から300℃の温度まで20℃/分の昇温速度で加熱(1stRUN)、その状態で5分間保持後、次いで25℃の温度以下となるように急冷し、再度室温から20℃/分の昇温速度で300℃の温度まで昇温を行って、得られた2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、融解ピークのピーク面積から求められる結晶融解熱量ΔHmが、5J/g以下の樹脂であり、本発明に用いられる非晶性樹脂は、より好ましくは結晶融解に相当するピークを示さない樹脂が挙げられる。
また、干渉反射機能を備えた積層フィルムを得るためには、熱可塑性樹脂Bとしては、結晶性ポリエステルAの融点より20℃以上低い融点をもつ結晶性樹脂も好ましく用いられる。この場合、熱処理工程において、熱可塑性樹脂Bの融点と結晶性ポリエステルAの融点との間の温度で熱処理を実施することにより、熱処理工程で完全に緩和させることができ、結晶性ポリエステルAからなるA層との屈折率差を最大化できる。好ましくは、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの融点の差は、40℃以上である。この場合、熱処理工程での温度の選択幅が広くなるために、熱可塑性樹脂Bの配向緩和の促進や結晶性ポリエステルの配向の制御がさらに容易にできるようになる。
結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bの好ましい組み合わせとしては、両者のSP値の差の絶対値は、1.0以下であることが好ましい。SP値の差の絶対値が1.0以下になると、A層とB層の層間剥離が生じにくくなる。より好ましくは、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bは、同一の基本骨格を供えた組み合わせからなることである。
ここでいう基本骨格とは、樹脂を構成する繰り返し単位のことである。例えば、結晶性ポリエステルAとしてカルボン酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸のみからなるポリエチレンナフタレートまたは2,6−ナフタレンジカルボン酸をカルボン酸成分の80%以上含む主成分とするポリエチレンナフタレート共重合体を用いる場合は、熱可塑性樹脂Bとして非晶性のポリエチレンナフタレート共重合体または結晶性ポリエステルAより融点の低い結晶性ポリエチレンナフタレート共重合体を用いることが好ましい。
また、干渉反射機能を備えた積層フィルムを得るためには、熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度が結晶性ポリエステルAのガラス転移温度より10℃以上低いことが好ましい。この場合、延伸工程においても結晶性ポリエステルを延伸するために最適な延伸温度をとった場合に、熱可塑性樹脂Bでの配向が進まないため、結晶性ポリエステルからなるA層との屈折率差を大きくとることができる。より好ましくは、熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度が結晶性ポリエステルAのガラス転移温度より20℃以上低いことである。
後述する本発明の積層フィルムを得るために好適な製造方法においては、熱可塑性樹脂Bの配向結晶化が進みやすく所望の干渉反射機能が得られない場合もあるが、熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度が結晶性ポリエステルAのガラス転移温度より20℃以上低くすることにより、配向結晶化を抑制できるものである。
また、熱可塑性樹脂中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機系易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、および核剤などを、その特性を悪化させない程度に添加させることができる。
本発明の積層フィルムは、後述する測定方法により求められる厚み斑(積層フィルムの任意の場所に直径15cmの基準円を設定し、その円周に沿って8分割し、図1に示す8箇所の厚みの最大値と最小値の差を2で割ったものを8箇所の厚みの平均値で割った値)が6%以下であることが重要である。偏光反射特性の均一化から、好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下である。厚み斑が、この範囲内であるとフィルム面全体で偏光反射特性が良好であり高い光学特性を発現させることが可能である。
厚み斑を6%以下にする方法としては、前述のとおり、樹脂の選択に加えてフィルムの製造方法によって達成されるものである。
また、本発明の積層フィルムは、後述する測定方法により求められる配向角度斑(積層フィルムの任意の場所に直径15cmの基準円を設定し、その円周に沿って8分割し、図1に示す8箇所の配向角度の最大値と最小値の差)が6°以下が好ましく、より好ましくは5°以下、更に好ましくは4°以下である。
配向角度斑がこの範囲内であるとフィルム面全体で偏光反射特性が良好であり高い光学特性を発現させることが可能である。
配向角度斑を6°以下にする方法としては、前述のとおり、樹脂の選択に加えてフィルムの製造方法によって達成されるものである。
また、本発明の積層フィルムは、後述する測定方法により求められる偏光度斑(積層フィルムの任意の場所に直径15cmの基準円を設定し、その円周に沿って8分割し、図1に示す8箇所の透過率より算出される偏光度の最大値と最小値の差)が5%以下が好ましく、より好ましくは4%以下、更に好ましくは3%以下である。偏光度斑がこの範囲内であるとフィルム面全体で偏光反射特性が良好であり高い光学特性を発現させることが可能である。
偏光度斑を5%以下にする方法としては、前述のとおり、樹脂の選択に加えてフィルムの製造方法によって達成されるものである。
また、本発明の積層フィルムは、後述する測定方法により求められる透過率長波長端斑(積層フィルムの任意の場所に直径15cmの基準円を設定し、その円周に沿って8分割し、図1に示す8箇所の過率より算出される長波長端の最大値と最小値の差)が50nm以下が好ましく、より好ましくは40nm以下、更に好ましくは30nm以下である。透過率長波長端斑がこの範囲内であるとフィルム面全体で偏光反射特性が良好であり高い光学特性を発現させることが可能である。透過率長波長端斑を50nm以下にする方法としては、前述のとおり、樹脂の選択に加えてフィルムの製造方法によって達成されるものである。
本発明の積層フィルムは、波長400〜700nmの波長帯域において、いずれの偏光状態の光も80%以上透過する帯域を連続して50nm以上備えることも好ましい。ここでいういずれの偏光状態の光も80%以上透過するとは、積層フィルムに対して、波長400〜700nmの波長帯域において偏光特性を示す偏光フィルターを0〜180°まで15°ずつ回転させて測定した透過率について、いずれかの偏光フィルターの角度においても透過率が80%以上であることをさす。また、80%以上透過する帯域を連続して50nm以上備えるとは、前述の方法で波長1nm間隔にて波長400〜700nmの透過率を測定し、透過率が80%以上となる波長が連続して50nm以上あることをさす。本願の積層フィルムの用途の一つとして、干渉反射機能を活かした光学フィルターが挙げられるが、このような光学フィルターでは、特定の色の光を透過し、特定の色の光を反射する特性が求められる場合があるが、波長400〜700nmの波長帯域において、いずれの偏光状態の光も80%以上透過する帯域を連続して50nm以上備えることにより選択的に特定の色の光を透過・反射する特性を満足できるようになる。
より好ましくは、波長430〜470nmの帯域において、いずれかの偏光状態の光を70%未満透過し、波長550〜700nmの帯域において、いずれの偏光状態の光も80%以上透過することである。本願の光学フィルターが用いられる代表的な用途は液晶ディスプレイであるが、液晶ディスプレイでは波長430〜470nmの青色光を発光する青色LEDが用いられるようになってきている。波長430〜470nmの帯域において、いずれかの偏光状態の光を70%未満透過し、波長550〜700nmの帯域において、いずれの偏光状態の光も80%以上透過することにより、この青色LEDの光を選択に反射する光学フィルターとして用いることができ、該光学フィルターならびに青色LEDを実装した液晶ディスプレイにて輝度向上、消費電力抑制などの効果が得られるものである。
波長400〜700nmの波長帯域において、いずれの偏光状態の光も80%以上透過する帯域を連続して50nm以上備える積層フィルムにおいては、下記測定方法により求められる彩度C*斑が30以下であることも好ましい。
[彩度C*斑の測定方法]
積層フィルムの任意の場所に、直径15cmの基準円を設定し、その円周に沿って8分割した8箇所についてD65光源の透過モードでの測色値を測定する。測定により得られた彩度C*の最大値と最小値の差を彩度C*斑とする。測定は任意の場所に5回実施し、その平均値をもって、積層フィルムの彩度C*斑とする。
このような積層フィルムの場合、光学フィルターとして液晶ディスプレイなどに実装した際に色ムラのないフィルムを得ることができる。彩度C*斑が30以下を達成する方法は上述の透過率長波長端斑が50nm以下であることである。
本発明の積層フィルムの配向方向におけるヤング率は6GPa以上が好ましく、より好ましくは8GPa以上、更に好ましくは10GPaである。ヤング率がこの範囲内であると、打ち抜き、断裁、コーティングおよびラミネートなどの加工工程や機能性フィルムとして使用時に積層フィルムに力がかかった際にも変形を抑制することができ、フィルムの変形に伴う加工不良や使用時の性能変化を抑制することが容易となる。
ヤング率を高めるためには、前述のとおり、樹脂の選択に加えてフィルムの製造方法によって達成されるものである。
本発明の積層フィルムは、積層フィルムの配向方向と直交する方向の長さが500mm以上が好ましく、より好ましくは700mm以上、更に好ましくは1000mm以上である。積層フィルムの配向方向と直交する方向の長さがこの範囲内であると大画面ディスプレイ用途などに使用が可能である。
また、本発明の積層フィルムは、配向方向と直交する方向における、中心から10mm間隔で測定した透過率長波長端斑は50nm以下が好ましく、より好ましくは40nm以下、更に好ましくは30nm以下である。
配向方向と直交する方向における、中心から10nm間隔で測定した透過率長波長端斑がこの範囲内であるとフィルム面全体で偏光反射特性が良好であり高い光学特性を発現させることが可能である。
配向方向と直交する方向における、中心から10nm間隔で測定した透過率長波長端斑を50nm以下にする方法としては、前述のとおり、樹脂の選択に加えてフィルムの製造方法によって達成されるものである。
本発明の積層フィルムは、積層フィルムの配向方向において、1m長さを1cm間隔で計測した際の厚みの最大値と最小値の差が平均厚みの6%以下であることが好ましい。
厚みの最大値と最小値の差がこの範囲内であるとフィルム面全体で偏光反射特性が良好であり高い光学特性を発現させることが可能である。厚みの最大値と最小値の差が平均厚みの6%以下にする方法としては、前述のとおり、樹脂の選択に加えてフィルムの製造方法によって達成されるものである。
本発明においては、積層フィルムが、積層フィルムの配向軸に沿って巻かれたフィルムロールとすることができる。上述のとおり打ち抜き、断裁、コーティングおよびラミネートなどの加工工程、特にロール状のフィルムを用いて連続的に加工する工程においては、積層フィルム長手方向におけるヤング率を高めることが加工工程の安定化に有効であり、積層フィルムの配向軸に沿って巻かれたフィルムロールを得ることにより、本発明の積層フィルムを用いて、製品を得る際にも容易に高品位な製品を得られるようになる。
このようなフィルムロールを得るために、積層フィルムの配向軸方向とフィルムの製造工程における流れ方向とのなす角が10°以下であることが好ましい態様である。
積層フィルムの配向軸方向とフィルムの製造工程における流れ方向とのなす角が10°以下であれば、得られた積層フィルムを連続してロール状に巻き取ることにより、打ち抜き、断裁、コーティングおよびラミネートなどの加工工程、特にロール状のフィルムを用いて連続的に加工する工程において、配向軸方向と加工工程の流れ方向が同一となるため、加工工程の安定化が容易となる。
次に、本発明の積層フィルムの好ましい製造方法を以下について説明する。
また、本発明で用いられる積層フィルムの積層構造は、特開2007−307893号公報の[0053]〜[0063]段に記載の内容と同様の方法により簡便に実現することができる。
まず、結晶性ポリエステルAおよび熱可塑性樹脂Bを、ペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。押出機内において、加熱溶融された樹脂は、ギアポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。これらの樹脂は、多層積層装置に送り込まれる。
多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、本発明の構成を効率よく得るためには、11個以上の微細スリットを有するフィードブロックを用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いることにより、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となる。
そして、ダイから吐出された積層シートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化されることにより、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力により、吐出されたシートを冷却体に密着させ、急冷固化させることが好ましい。また、吐出されたシートを冷却体に密着させる他の方法としては、スリット状、スポット状および面状の装置からエアーを吹き出すこと、およびニップロールを用いる方法も好ましい態様である。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、二軸延伸することが好ましい。ここで、二軸延伸とは、フィルムを長手方向および幅方向に延伸することをいい、延伸方式としては、長手方向、横方向を同時に延伸する同時二軸延伸方式や長手方向、横方向をこの順番に連続して延伸する逐次に軸延伸方式がある。
さらに、本発明の積層フィルムを得るために好適な二軸延伸の方法として、フィルム長手方向に倍率2〜5倍で延伸した後、フィルム幅方向に2〜5倍で逐次二軸延伸した後に、さらに再度フィルム長手方向に1.3〜4倍で延伸することが必要である。
その詳細を、次に記す。
上記方法により、得られたキャストフィルムを、まず長手方向に延伸する。長手方向への延伸は、通常はロールの周速差により施される。この延伸は、1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行うこともできる。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、2〜5倍であることが好ましい。この1回目の長手方向への延伸の目的は、次に続くフィルム幅方向への延伸時の均一延伸性を向上させるために必要最低限の配向を設けることにある。そのため、延伸倍率を5倍より大きい倍率とする場合、後述のフィルム幅方向延伸、および、その工程後に実施される長手方向への再延伸時に十分な延伸倍率のフィルムが得られなくなる場合がある。また、延伸倍率が2倍未満である場合には、延伸時に必要最低限の配向も付与できず、かつフィルム長手方向に厚みムラが生じ品位が低下する場合もある。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する結晶性ポリエステルAのガラス転移温度〜ガラス転移温度+30℃の温度であることが好ましい。この長手方向の延伸に用いる延伸ロールの材質は、キャストフィルムを粘着なく、均一に延伸するためにシリコン加工ロールやフッ素加工ロールなどの非粘着ロールを使用することが肝要である。
このようにして得られた一軸延伸フィルムに、必要に応じてコロナ処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性および帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与することもできる。
続いて、一軸延伸フィルムを幅方向に延伸する。幅方向の延伸は、テンター式横延伸機を用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては、樹脂の種類により異なるが、通常、2〜5倍であることが好ましい。この幅方向への延伸の目的は、次に続くフィルム長手方向への延伸時の高い延伸性を付与するために必要最低限の配向を設けることにある。そのため、延伸倍率を5倍より大きい倍率とする場合、この工程に続いて実施されるフィルム長手方向への再延伸時に十分な延伸倍率のフィルムが得られなくなる場合がある。また、延伸倍率が2倍未満である場合には、延伸時にフィルム幅方向に厚みムラが生じ品位が低下する場合もある。また、延伸温度は、積層フィルムを構成する結晶性ポリエステルAのガラス転移温度〜ガラス転移温度+30℃、もしくはガラス転移温度〜結晶性ポリエステルの結晶化温度の間であることが好ましい。
続いて、得られた2軸延伸フィルムを再度長手方向に延伸する。この長手方向への延伸は、通常は、ロールの周速差により施される。この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行うこともできる。延伸の倍率は樹脂の種類により異なるが、1.3〜4倍であることが好ましい。この再度長手方向の延伸に用いる延伸ロールの材質は、二軸延伸フィルムを粘着なく、均一に延伸するためにシリコン加工ロールやフッ素加工ロールなどの非粘着ロールを使用することが特に好ましい。
この2回目の長手方向への延伸の1つ目の目的は、フィルム長手方向へ可能な限り強く配向させることにあり、このように再度長手方向へ延伸することにより樹脂が強く配向され、結果として厚み斑が均一となり、フィルム面全体で偏光反射特性が良好になり高い光学特性を発現させることが容易となる。
このようにして得られた二軸延伸フィルムは、フィルム面全体の偏光反射特性を向上する目的で熱処理を行っても好ましい。熱処理の方法としては再度長手方向に延伸した後に、過熱されたロールで熱処理を行う方法やテンター式オーブンで熱処理を行う方法が好ましく採用できる。この時の熱処理温度は、結晶性ポリエステルAのガラス転移温度+30℃〜融点−10℃の温度であることが好ましく、熱処理時間は、1秒以上10分以下が好ましい。
(特性の測定方法および効果の評価方法)
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は、次のとおりである。
(1)積層数:
積層フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察することにより求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件でフィルムの断面写真を撮影し、層構成を測定した。
(2)厚み斑(%)
積層フィルムの任意の場所に、直径15cmの基準円を設定し、その円周に沿って8分割し、図1に示す8箇所の厚みの最大値(a)と最小値(b)の差を測定し、次式により求めた。厚みの測定は、ダイヤルゲージ式厚み計(JIS B7503(1997)、PEACOCK製UPRIGHT DIAL GAUGE(0.001×2mm)、No.25、測定子5mmφ平型)を用いた。測定は任意の場所に5回実施し、その平均値をもって、積層フィルムの厚み斑(%)とする。
積層フィルムの厚み斑(%)=((a−b)/2)/平均厚み(8箇所)×100
(3)積層フィルムの配向方向の厚み斑(%)
積層フィルムの配向方向において1cm間隔で計測した際の厚みの最大値(a)と最小値(b)の差を測定し、次式により求めた。厚みの測定は、ダイヤルゲージ式厚み計(JIS B7503(1997)、PEACOCK製UPRIGHT DIAL GAUGE(0.001×2mm)、No.25、測定子5mmφ平型)を用いた。
また、測定長さを1mとし、100点を測定した。
((a−b)/2)/平均厚み(100箇所)×100
(4)反射率、透過率、偏光度、偏光度斑
積層フィルムの任意の場所に、直径15cmの基準円を設定し、その円周に沿って8分割し、図1に示す8箇所について、日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotometer)に付属の積分球を用いた基本構成で、装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準とし、また、付属のグランテーラ社製偏光子を設置して、偏光成分を0〜180°において、5度刻みで回転させた方位角で波長400〜1750nmの反射率、透過率を測定した。測定条件:スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/min.で測定し、方位角0〜180度における反射率、透過率を得た。ここで、積層フィルムの配向方向を含む入射面に対して平行な偏光成分について入射角度10°での反射率をR1、前記積層フィルムの配向方向を含む入射面に対して垂直な偏光成分について入射角度10°での反射率をR2とし、偏光成分を90°とした際に波長400〜700nmの区間にて反射率R1が最大となる波長をλnmとし、λnmにおける反射率R1、λnmにおける反射率R2を求めた。
また、偏光子を回転させた際に波長λnmでの透過率が最大となる方位角θmaxにおける透過率をT(θmax)、波長λnmでの透過率が最小となる方位角θminにおける透過率をT(θmin)とし、偏光度Pを以下の次式により求めた。
P=[T(θmax)−T(θmin))/[(T(θmax)+T(θmin))×100
測定により得られた偏光度の最大値と最小値の差を偏光度斑(%)とする。測定は任意の場所に5回実施し、その平均値をもって、積層フィルムの偏光度斑(%)とする。
(5)透過率長波長端、透過率長波長端斑
上述のとおり測定された透過率について、偏光子を回転させた際に波長λnmでの透過率が最大となる方位角θmaxにおける波長400〜1200nmでの透過率が最小となる波長λminでの透過率をT(λmin)、波長400〜1200nmでの透過率が最大となる波長λmaxでの透過率をT(λmax)とした場合、透過率が[T(λmin)+T(λmax)]/2となる波長λの中で最もλminに近い波長をもって透過率長波長端とする。上記8箇所の測定により得られた透過率の長波長端の最大値と最小値の差を透過率長波長端斑(nm)とする。測定は任意の場所に5回実施し、その平均値をもって、積層フィルムの透過率長波長端斑(nm)とする。
(6)ヤング率、積層フィルムの配向軸方向
積層フィルムのフィルム面内に10°毎に方向を変えて、長さ150mm×幅10mmの短冊形に切り出し、サンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分として引張試験を行った。測定は室温23℃、相対湿度65%の雰囲気で実施し、得られた荷重−歪曲線からヤング率を求めた。測定は、各サンプルについて5回ずつ行い、それらの平均値で評価を行った。
この測定で得られたヤング率の最大になる方向を積層フィルムの配向軸方向とした。
また、この配向軸方向のヤング率を積層フィルムのヤング率とした。
(7)配向角度、配向角度斑
積層フィルムの任意の場所に、直径15cmの基準円を設定し、その円周に沿って8分割し、図1に示す8箇所の配向角度をKSシステムズ(株)製(現王子計測機器(株))の分子配向計MOA−2001(周波数4GHz)を用いて測定した。測定により得られた配向角の最大値と最小値の差を配向角度斑(°)とする。測定は任意の場所に5回実施し、その平均値をもって、積層フィルムの配向角度斑(°)とする。
(8)融点Tmおよびガラス転移温度Tg
測定する積層フィルムから必要な層を削り取ってサンプリングを行い、示差熱量分析(DSC)を用いてJIS−K−7122(1987年)に従って、測定サンプルのDSC曲線を測定した。試験は、25℃から290℃の温度まで20℃/分で昇温し、その際の融点Tmならびにガラス転移温度Tgを計測した。用いた装置等は、次のとおりである。
・装置:セイコー電子工業(株)製“ロボットDSC−RDC220”
・データ解析”ディスクセッションSSC/5200”
・サンプル質量:5mg。
(9)彩度C*斑
積層フィルムの任意の場所に、直径15cmの基準円を設定し、その円周に沿って8分割し、図1に示す8箇所について、コニカミノルタ(株)製CM−3600dを用いて、透過モードで、a*値、b*値を測定し、n数5の平均値を求めた。なお、白色校正板、およびゼロ校正ボックスは下記のものを用いて校正を行った。さらに、彩度C*は、a*値、b*値のそれぞれの2乗の和の平方根として求めた。測定により得られた彩度C*の最大値と最小値の差を彩度C*斑(%)とする。なお、測色値の計算に用いる光源はD65を選択した。
白色校正板 :CM−A103
ゼロ校正ボックス:CM−A104
(実施例1〜10)
結晶性ポリエステルAとして、結晶性ポリエステルを構成するカルボン酸成分のうち2,6−ナフタレンジカルボン酸が100mol%であり、結晶性ポリエステルを構成するジオール成分のうちネオペンチルグリコールが10mol%、エチレングリコールが90mol%であり、前記3成分を共重合した共重合PEN(共重合PEN1:融点246℃、ガラス転移温度112℃)を用いた。また、熱可塑性樹脂Bとして、熱可塑性樹脂を構成するカルボン酸成分のうち2,6−ナフタレンジカルボン酸が50mol%、テレフタル酸が50mol%であり、熱可塑性樹脂を構成するジオール成分のうちネオペンチルグリコールが10mol%と、エチレングリコールが90mol%であり、前記4成分を共重合した共重合PEN(共重合PEN2:融点無し、ガラス転移温度92℃)を用いた。
準備した結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bを、2台の単軸押出機にそれぞれ投入し、290℃の温度で溶融させて混練した。次いで、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bを、それぞれFSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて計量しながら、スリット数401個の積層装置にて合流させて、厚み方向に交互に401層積層された積層体を得た。積層体とする方法は、日本特開2007−307893号公報〔0053〕〜〔0056〕段の記載の方法に従って行った。
ここでは、スリットの長さおよび間隔は、全て一定とした。得られた積層体は、結晶性ポリエステルAが201層、熱可塑性樹脂Bが200層であり、厚み方向に交互に積層された積層構造を有していた。また、口金内部での拡幅比である口金リップのフィルム幅方向長さを口金の流入口部でのフィルム幅方向の長さで割った値が2.5となるようにした。得られたキャストフィルムの幅は、600mmであった。
得られたキャストフィルムを、120℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルム長手方向に135℃の温度に設定されたシリコン被膜ロールで3.9倍に延伸し、その後一旦冷却した。このようにして得られた一軸延伸フィルムをテンター式横延伸機に導き、115℃の温度の熱風で予熱後、135℃の温度でフィルム幅方向に3.0倍に延伸し、二軸延伸フィルムをフィルムロールとして得た。ここで得られた二軸延伸フィルムの幅は、1500mmであった。
さらに、二軸延伸フィルムを延伸ロールがシリコン被膜ロールであるロール群からなる延伸機で表1に示す予熱温度、延伸温度、倍率で長さ方向に延伸を行った。この時、延伸区間長さはフィルムの幅収縮を抑制するために表1に示す条件で延伸を行った。次にテンター式オーブンで表1の条件で熱処理をおこなった。延伸・熱処理されたフィルムは、フィルム幅は表1に示す通りであり、両端をトリミングして、目的とする積層フィルムをフィルム幅が800mmで長さが200mのフィルムロールを得た。
得られた積層フィルムは、表2に示すとおりの物性を示すものであり、厚み斑が良好で光学特性に優れるものであった。
(実施例11)
結晶性ポリエステルAとして、融点が256℃で、ガラス転移温度が81℃のポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、熱可塑性樹脂Bとして非晶性樹脂であり、ガラス転移温度が78℃であるシクロヘキサンジメタノール共重合PET(共重合PET)を用い、キャストフィルムのシリコンロール被膜ロールでの延伸温度を100℃、続けて実施したテンター式オーブンでの延伸温度が100℃であるここと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは、フィルム幅は表1に示す通りであり、両端をトリミングして、目的とする積層フィルムをフィルム幅が800mmで長さが200mのフィルムロールを得た。得られた積層フィルムは、表2に示すとおりの物性を示すものであり、厚み斑が良好で光学特性に優れるものであった。
(比較例1〜3)
結晶性ポリエステルAとして、結晶性ポリエステルを構成するカルボン酸成分のうち2,6−ナフタレンジカルボン酸が100mol%であり、結晶性ポリエステルを構成するジオール成分のうちネオペンチルグリコールが10mol%、エチレングリコールが90mol%であり、前記3成分を共重合した共重合PEN(共重合PEN1:融点246℃、ガラス転移温度112℃)を用いた。また、熱可塑性樹脂Bとして、熱可塑性樹脂を構成するカルボン酸成分のうち2,6−ナフタレンジカルボン酸が50mol%、テレフタル酸が50mol%であり、熱可塑性樹脂を構成するジオール成分のうちネオペンチルグリコールが10mol%と、エチレングリコールが90mol%であり、前記4成分を共重合した共重合PEN(共重合PEN2:融点無し、ガラス転移温度92℃)を用いた。
準備した結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bを、2台の単軸押出機にそれぞれ投入し、290℃の温度で溶融させて混練した。次いで、結晶性ポリエステルAと熱可塑性樹脂Bを、それぞれFSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて計量しながら、スリット数401個の積層装置にて合流させて、厚み方向に交互に401層積層された積層体を得た。積層体とする方法は、日本特開2007−307893号公報〔0053〕〜〔0056〕段の記載の方法に従って行った。
ここでは、スリットの長さおよび間隔は、全て一定とした。得られた積層体は、結晶性ポリエステルAが201層、熱可塑性樹脂Bが200層であり、厚み方向に交互に積層された積層構造を有していた。また、口金内部での拡幅比である口金リップのフィルム幅方向長さを口金の流入口部でのフィルム幅方向の長さで割った値が2.5となるようにした。得られたキャストフィルムの幅は、600mmであった。
得られたキャストフィルムを、120℃の温度に設定したロール群で加熱した後、フィルム長手方向に135℃の温度に設定されたシリコン被膜ロールで表1に示す倍率に延伸し、その後一旦冷却した。このようにして得られた一軸延伸フィルムをテンター式横延伸機に導き、115℃の温度の熱風で予熱後、135℃の温度でフィルム幅方向に表1に示す倍率に延伸し、テンター内で表1に示す条件で熱処理を行った後に巻き取って、フィルムロールとして得た。ここで得られた二軸延伸フィルムの幅は、1500mmであった。
得られた積層フィルムは、表2に示すとおりの物性を示すものであり、厚み斑が悪く、光学特性も満足したものは得られなかった。
(実施例12)
層数が401層である積層装置を用い、以下の透過率となるように積層フィルムの各層の厚みを調整した以外は、実施例2と同様にして積層フィルムを得た。得られたフィルムは波長400〜500nmの範囲においていずれの偏光状態の光に対しても85%以上の透過率を示す一方で、波長560〜700nmの範囲においては、一つの偏光状態に光に対して5%未満の低い透過率を示すものであった。また、彩度C*ムラは24であった。この積層フィルムを青色LEDと青色LEDの光を受けて赤〜緑色の光を発光するQDシートを搭載する液晶ディスプレイの中に実施した際に、フィルム挿入前と比較して色に関するパラメータであるx値が0.03、y値が0.02増加して色が白色化するとともに、輝度も10%向上するものであった。
(実施例13)
以下の透過率となるように積層フィルムの各層の厚みを調整した以外は、実施例12と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは波長560〜700nmの範囲においていずれの偏光状態の光に対しても85%以上の透過率を示す一方で、波長400〜520nmの範囲においては、一つの偏光状態に光に対して5%未満の低い透過率を示すものであった。また、彩度C*ムラは29であった。この積層フィルムを青色LEDと青色LEDの光を受けて赤〜緑色の光を発光するQDシートを搭載する液晶ディスプレイの中に実施した際に、フィルム挿入前と比較して色に関するパラメータであるx値が0.02、y値が0.01増加して色が白色化するとともに、輝度も8%向上するものであった。
Figure 2018032019
Figure 2018032019
1.フィルム長手方向
2.フィルム長手方向を含む入射面に対して垂直な偏光
3.フィルム長手方向を含む入射面に対して平行な偏光

Claims (11)

  1. 結晶性ポリエステルからなるA層と前記結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂BからなるB層が交互に合計11層以上積層されてなる積層フィルムであって、かつ前記積層フィルムの配向方向を含む入射面に対して平行な偏光成分について入射角度10°での反射率をR1、前記積層フィルムの配向方向を含む入射面に対して垂直な偏光成分について入射角度10°での反射率をR2とした場合、波長400〜700nmにおいて反射率R1が最大となる波長λnmにおける反射率が下記式1および式2を満足し、かつ、下記測定方法により求められる前記積層フィルムの厚み斑が6%以下であることを特徴とする積層フィルム。
    R2(λ)≦40% ・・・式1
    R1(λ)≧70% ・・・式2
    [積層フィルムの厚み斑の測定方法]
    積層フィルムの任意の場所に、直径15cmの基準円を設定し、その円周に沿って8分割した8箇所の厚みを、ダイヤルゲージ式厚み計(JIS B7503(1997)、PEACOCK製UPRIGHT DIAL GAUGE(0.001×2mm)、No.25、測定子5mmφ平型)を用い測定する。測定により得られたフィルム厚みの最大値(a)、最小値(b)、平均厚みを用いて、積層フィルムの厚み斑を次式により求める。測定は任意の場所に5回実施し、その平均値をもって、積層フィルムの厚み斑(%)とする。
    積層フィルムの厚み斑(%)=((a−b)/2)/平均厚み×100
  2. 下記測定方法により求められる配向角度斑が6°以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
    [配向角度斑の測定方法]
    積層フィルムの任意の場所に、直径15cmの基準円を設定し、その円周に沿って8分割した8箇所の配向角を、KSシステムズ(株)製(現王子計測機器(株))の分子配向計MOA−2001(周波数4GHz)を用いて測定する。測定により得られた配向角の最大値と最小値の差を配向角度斑(°)とする。測定は任意の場所に5回実施し、その平均値をもって、積層フィルムの配向角度斑(°)とする。
  3. 下記測定方法により求められる偏光度斑が5%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層フィルム。
    [偏光度斑の測定方法]
    積層フィルムの任意の場所に、直径15cmの基準円を設定し、その円周に沿って8分割した8箇所の偏光度を測定する。測定により得られた偏光度の最大値と最小値の差を偏光度斑(%)とする。測定は任意の場所に5回実施し、その平均値をもって、積層フィルムの偏光度斑(%)とする。
  4. 下記測定方法により求められる透過率長波長端斑が50nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
    [透過率長波長端斑の測定方法]
    積層フィルムの任意の場所に、直径15cmの基準円を設定し、その円周に沿って8分割した8箇所の透過率を、日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotometer)に付属の積分球を用いた基本構成で、装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準とし、また、付属のグランテーラ社製偏光子を設置して、偏光成分を0〜180°において、5度刻みで回転させた方位角で波長400〜1750nmの透過率を測定する。測定条件:スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/min.で測定し、方位角0〜180度における透過率を得た。これらの測定結果から、これらの測定結果から、偏光子を回転させた際に波長λnmでの透過率が最大となる方位角θmaxにおける波長400〜1200nmでの透過率が最小となる波長λminでの透過率をT(λmin)、波長400〜1200nmでの透過率が最大となる波長λmaxでの透過率をT(λmax)とした場合、透過率が[T(λmin)+T(λmax)]/2となる波長λの中で最もλminに近い波長をもって長波長端とする。上記8箇所の測定により得られた透過率の長波長端の最大値と最小値の差を透過率長波長端斑(nm)とする。測定は任意の場所に5回実施し、その平均値をもって、積層フィルムの透過率長波長端斑(nm)とする。
  5. 前記積層フィルムが、波長400〜700nmの波長帯域において、いずれの偏光状態の光も80%以上透過する帯域を連続して50nm以上備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 下記測定方法により求められる彩度C*斑が30以下であることを特徴とする請求項5に記載の積層フィルム。
    [彩度C*斑の測定方法]
    積層フィルムの任意の場所に、直径15cmの基準円を設定し、その円周に沿って8分割した8箇所についてD65光源の透過モードでの測色値を測定する。測定により得られた彩度C*の最大値と最小値の差を彩度C*斑とする。測定は任意の場所に5回実施し、その平均値をもって、積層フィルムの彩度C*斑とする。
  7. 前記積層フィルムの配向方向におけるヤング率が6GPa以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. 前記積層フィルムの配向方向と直交する方向の長さが500mm以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
  9. 請求項7の積層フィルムの配向方向に直交する方向における、中心から100mm間隔で測定した透過率長波長端斑が50nm以下であることを特徴とする積層フィルム。
  10. 前記積層フィルムの配向方向において1cm間隔で1m(100箇所)計測した際の厚みの最大値と最小値の差が平均厚みの6%以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の積層フィルム。
  11. 請求項1に記載の積層フィルムを配向軸に沿って巻きとってなることを特徴とするフィルムロール。
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