JP2007253619A - 二軸延伸樹脂フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】クロスニコル法の検査において、虹模様の発生が抑制された二軸延伸樹脂フィルムを提供する。
【解決手段】ポリエチレンテレフタレート系樹脂(A)を含む層とシンジオタクチックポリスチレン系樹脂(B)を含む層が交互に合わせて5層以上積層されており、ベレック型コンペンセーターを用いた偏光顕微鏡により測定されるレターデーションの絶対値が500nm以下であることを特徴とする二軸延伸樹脂フィルム。好ましくは、上記ポリエチレンテレフタレート系樹脂(A)とシンジオタクチックポリスチレン系樹脂(B)の質量比が、10/90〜90/10である。
【選択図】なし
【解決手段】ポリエチレンテレフタレート系樹脂(A)を含む層とシンジオタクチックポリスチレン系樹脂(B)を含む層が交互に合わせて5層以上積層されており、ベレック型コンペンセーターを用いた偏光顕微鏡により測定されるレターデーションの絶対値が500nm以下であることを特徴とする二軸延伸樹脂フィルム。好ましくは、上記ポリエチレンテレフタレート系樹脂(A)とシンジオタクチックポリスチレン系樹脂(B)の質量比が、10/90〜90/10である。
【選択図】なし
Description
本発明は、各種食品包装用、一般工業用、光学用、電気材料用、成形加工用などの各種用途に適した二軸延伸樹脂フィルムに関する。
ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる二軸延伸フィルムは、機械的特性、耐熱性、平面性などが優れているため、様々な分野で使用されている。
その一つとして、偏光板のクロスニコル法による欠陥検査で使用される離型ポリエステルフィルムがある(例えば、特許文献1参照)。クロスニコル法の検査は、2枚の偏光板をその配向主軸を直交させて消光状態とし、偏光板中に異物や欠陥があればそこが輝点として現れるので、目視による欠点検査ができるというものであり、通常、2枚の偏光板の間に離型ポリエステルフィルムをはさみこんだ状態で実施される。この離型フィルムとして二軸延伸PETフィルムを用いた場合には、フィルムの複屈折率が大きいため虹模様(虹のような色を持って現れる色縞)が発生し、これがクロスニコル法の検査の障害となり、偏光板中の異物の混入や欠陥を見逃しやすくなるという不具合が生じる場合があった。
上記クロスニコル法の検査では、偏光板に挟まれたフィルム中の異物や欠陥も偏光板中の異物等と同様に輝点として検出されるので、クロスニコル法によってフィルム中の異物や欠陥を検出する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、二軸延伸PETフィルムの場合には、やはり上記した複屈折率に由来する虹模様が発生し、この虹模様がクロスニコル法による検査の障害となる。
上述のような虹模様の発生は、偏光板の欠陥検査やフィルムの異物検査の場合のみならず、例えばフィルムに透明性や透視性の要求される用途においても好ましいものではない。また、かかる虹模様は、フィルム面に対して垂直な位置から観察した場合のみならず、フィルムの法線方向に対して様々な角度から観察した場合にも発生し難いものであることが望まれる。特に、上記離型フィルムを偏光板の保護フィルムとして用いる場合、各種装置への組み込み作業は偏光板に離型フィルムを備えたまま行われるが、この組み込み作業の操業性を改善するためにも、上述のような虹模様の発生が抑制されたフィルムが望まれている。
特開2005−15726号公報
特開2005−49158号公報
本発明の目的は、クロスニコル法による検査において、虹模様の発生が抑制された二軸延伸樹脂フィルムを提供することにある。
本発明者らが鋭意検討した結果、原料としてポリエチレンテレフタレート系樹脂に加えてシンジオタクチックポリスチレン系樹脂を用い、フィルムをポリエチレンテレフタレート系樹脂層とシンジオタクチックポリスチレン系樹脂層が交互に積層した多層構造とし、ベレック型コンペンセーターを用いた偏光顕微鏡により測定されるレターデーションの絶対値を特定値以下にすることにより、上記課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂(A)を含む層と、シンジオタクチックポリスチレン系樹脂(B)を含む層が交互に合わせて5層以上積層されており、ベレック型コンペンセーターを用いた偏光顕微鏡により測定されるレターデーションの絶対値が500nm以下であるところに特徴を有する二軸延伸樹脂フィルムである。
上記レターデーションの値とは、フィルムの複屈折率の程度を示すものであって、本発明では、ベレック型コンペンセーターを用いた偏光顕微鏡により測定されるレターデーションの絶対値を、フィルムの虹模様の発生の有無の指標として採用する。上記ベレック型コンペンセーターを用いた偏光顕微鏡による評価は白色光を用いるものであるため、特定の波長の光を利用するアッベ屈折率計による評価に比べて、より現実に近い評価ができるものと考えられる。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂(A)とシンジオタクチックポリスチレン系樹脂(B)の質量比は、10/90〜90/10であることが好ましい。
本発明のフィルムは、本発明の効果を発揮する上では、ヘイズが5%以下であることが好ましく、また、生産性の観点から、150℃で30分間熱処理した際の縦方向および横方向の熱収縮率が3%以下であることが好ましい。さらに、本発明のフィルムは、同時二軸延伸されたものであるのが望ましい。
本発明によれば、クロスニコル法の検査において虹模様の発生がほとんどないため、本発明のフィルムを離型PETフィルムとして偏光板のクロスニコル法の検査に供した場合、偏光板中の異物の混入や欠陥を容易に発見することができる。また、クロスニコル法の検査により、本発明のフィルム中の異物や欠陥を検出する場合においても、その検出が容易であるため、検査に確実を期すことができる。したがって、本発明のフィルムは、各種食品包装用、一般工業用、光学用、電気材料用、成形加工用などの各種用途のフィルム製品として、高い信頼性をもって供給することができる。
本発明の二軸延伸樹脂フィルムとは、ポリエチレンテレフタレート系樹脂(A)を含む層と、シンジオタクチックポリスチレン系樹脂(B)を含む層が交互に合わせて5層以上積層されており、ベレック型コンペンセーターを用いた偏光顕微鏡により測定されるレターデーションの絶対値が500nm以下であるところに特徴を有するものである。上記特性を有する二軸延伸樹脂フィルムは、当該フィルム面に垂直な位置や、フィルムの法線方向に対して斜めの位置から偏光板を通して観察した場合にも虹模様が発生し難いものである。
まず、本発明に係る二軸延伸フィルムに含まれるポリエチレンテレフタレート系樹脂(A)について説明する。本発明において用いられるポリエチレンテレフタレート系樹脂(A)(以下、樹脂(A)ともいう。)は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主たる構成成分とするものである。このポリエチレンテレフタレート系樹脂(A)は、ホモポリマーであってもよく、他の共重合可能な成分が共重合されたコポリマーであってもよい。共重合可能な酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸、1,4‐シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸;アジピン酸、ダイマー酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、エイコ酸などの脂肪族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能酸;ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(2−オキシ酪酸)、及びそれらの誘導体が挙げられる。共重合可能なアルコール成分としては、プロピレングリコール、1,4‐ブタンジオール、1,5‐ペンタンジオール、1,6‐ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4‐シクロヘキサンジメタノール、及びそれらの誘導体が挙げられる。
上記ポリエチレンテレフタレート系樹脂(A)としてコポリマーを使用する場合、上記共重合可能な酸成分は、コポリマーの全酸成分100モル%中、30モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。また、上記共重合可能なアルコール成分は、共重合体の全アルコール成分100モル%中、30モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。
樹脂(A)の還元粘度(ηsp/c)は、好ましくは0.55〜1.10であり、より好ましくは0.58〜1.00である。樹脂(A)の還元粘度が0.55より小さくなると、実用に供することのできる機械的強度を有するフィルムが得られにくくなり、一方、樹脂(A)の還元粘度が1.10を超えると、フィルム製造時の操業性が悪化する場合がある。
本発明では、上記ポリエチレンテレフタレート系樹脂(A)に加えて、シンジオタクチックポリスチレン系樹脂(B)を使用する(以下、樹脂(B)ともいう)。ここで、シンジオタクチックポリスチレン系樹脂とは、シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系ポリマーを主たる構成成分とするものである。ポリスチレン系ポリマーとしては、例えば、ポリスチレン、ポリ(p−、m−またはo−メチルスチレン)、ポリ(2,4−、2,5−、3,4−または3,5−ジメチルスチレン)、ポリ(p−ターシャリーブチルスチレン)などのポリ(アルキルスチレン);ポリ(p−、m−またはo−クロロスチレン)、ポリ(p−、m−またはo−ブロモスチレン)、ポリ(p−、m−またはo−フルオロスチレン)、ポリ(o−メチル−p−フルオロスチレン)などのポリ(ハロゲン化スチレン);ポリ(p−、m−またはo−クロロメチルスチレン)などのポリ(ハロゲン置換アルキルスチレン);ポリ(p−、m−またはo−メトキシスチレン)、ポリ(p−、m−またはo−エトキシスチレン)などのポリ(アルコキシスチレン);ポリ(p−、m−またはo−カルボキシメチルスチレン)などのポリ(カルボキシアルキルスチレン);ポリ(p−ビニルベンジルプロピルエーテル)などのポリ(アルキルエーテルスチレン);ポリ(p−トリメチルシリルスチレン)などのポリ(アルキルシリルスチレン);さらにはポリ(ビニルベンジルジメトキシホスファイド)などが挙げられる。これらのうちでは、ポリスチレンが好ましい。
本発明において、シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系ポリマーとは、炭素−炭素結合から形成された主鎖に対して側鎖であるフェニル基(場合によっては置換フェニル基)が交互に反対方向に位置する立体構造を主として有するポリスチレン系ポリマーのことをいう。本発明に係るフィルムに用いるシンジオタクチック構造を有するポリスチレン系ポリマーは、核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量される値で、ダイアット(構成単位が2個)でr(ラセモ)が85%以上、ペンタッド(構成単位が5個)でrrrrが50%以上である立体規則性を有することが好ましい。
本発明においては、上記シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系ポリマーは、全ポリマーでみたタクティシティが上記範囲内であれば、アイソタクチック構造のポリマーまたはアタクチック構造のポリマーが混合されていてもよい。また、上記シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系ポリマーは、タクティシティが上記範囲内であれば、本発明の効果を損なわない範囲内で他種のモノマーと共重合された樹脂であってもよい。
樹脂(B)の重量平均分子量は、10,000〜150万であるのが好ましく、より好ましくは30,000〜100万、さらに好ましくは50,000〜50万である。分子量が大きすぎる場合にはフィルム成形時の作業性に劣る場合があり、小さすぎる場合には、実用に供することのできる機械的強度を有するフィルムが得られ難い場合がある。
本発明のフィルムにおいては、樹脂(A)と樹脂(B)の質量比は、樹脂(A)/樹脂(B)として、10/90〜90/10であることが好ましく、20/80〜80/20であることがより好ましく、30/70〜70/30であることが最も好ましい。
樹脂(A)および樹脂(B)は粒子を含有していてもよい。粒子を添加することにより、フィルムの製造時や当該フィルムをロール状に巻取る際、あるいは巻出す際のハンドリング性を本発明のフィルムに付与することができる。使用できる粒子としては、例えば、シリカ、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛等の無機粒子;架橋アクリル粒子、架橋スチレン粒子、シリコーン粒子等の有機粒子などが挙げられる。また、これら例示したものと同等の効果を有する粒子を使用することもできる。これらのうち、シリカが好ましい。
樹脂(A)および樹脂(B)には、必要に応じて、従来公知の添加剤、例えば、滑剤、安定剤、着色剤、酸化防止剤、消泡剤、静電防止剤、紫外線吸収剤等を配合してもよい。
本発明に係るフィルムは、樹脂(A)を含む層と樹脂(B)を含む層が、厚み方向において、交互に合わせて5層以上積層された構造を有するものであり、好ましくは11層以上、より好ましくは30層以上の積層構造を有するものである。層数が4層以下では、ベレック型コンペンセーターを用いた偏光顕微鏡により測定されるレターデーションの絶対値を500nm以下にし難い場合があり、虹模様発生の低減効果が低くなるおそれがある。
フィルムの積層数を測定するには、基本的には、樹脂(A)を含む層と樹脂(B)を含む層を染め分けた後、フィルム断面をTEM観察することにより行う。ただし、層数が増えてくると、TEM画像の倍率を高めても、目視で数えることが困難となる。よって、その場合は、画像解析ソフトを用いて画像の濃淡度合いを明瞭化し、次いで数値化(2値化)して、層数を求める方法を採用すればよい。
本発明に係る二軸延伸樹脂フィルムは、ベレック型コンペンセーターを用いた偏光顕微鏡により測定されるレターデーションの絶対値が500nm以下である。上記レターデーションの絶対値とは、フィルムの複屈折率の程度を示すものであって、レターデーションの絶対値が小さいほど、フィルムの複屈折率が低く、偏光板を通してフィルムを観察した際に虹模様が発生し難いものといえる。上記レターデーションの絶対値は400nm以下であるのが好ましく、より好ましくは300nm以下、さらに好ましくは200nm以下である。レターデーションの絶対値が上記範囲であれば、虹模様の発生低減効果が大きく、フィルムの観察位置によらず虹模様が発生し難いフィルムといえる。
なお、上記レターデーションの絶対値の測定方法は、例えば、アグネ技術センター発行の「高分子素材の偏光顕微鏡入門」(粟屋裕 著)にも記載されており、具体的には、以下のようにして測定される値である。
偏光子(ポーラライザー)と検光子(アナライザー)の偏光軸方向が直交する状態(クロスニコル)に調整した偏光顕微鏡(例えば、ニコン社製のECLIPSE E600 POLなど、光源:白色光)の試料ステージに、スライドガラスとカバーガラスの間に1cm四方のフィルムを挟んだ測定試料を載せ、視野がもっとも暗くなる(消光位)ように試料ステージを回転させる。次に、ベレック型コンペンセーター(日本地科学社製)を挿入し、試料ステージを消光位から+または−の方向に45°回転させて試料フィルムの干渉色の変化と試料ステージの回転方向の関係からフィルムの複屈折の正負を決定する。
次に、挿入したベレック型コンペンセーターを外し、試料ステージを消光位からフィルムの複屈折の符号の方向に45°回転させて、再びベレック型コンペンセーターを挿入する。ベレック型コンペンセーターのつまみを30°の位置から時計方向、反時計方向に回し、このとき現れる黒い帯を視野の中心に合わせたときの目盛りの角度を夫々a、bとし、i=(a‐b)/2の計算式により、補償値iを算出する。このiの値からベレック型コンペンセーターに付属の数表を用いて10000f(i)値を求め、これにベレック型コンペンセーターに固有の補正定数C/10000を掛ければ試料フィルムのレターデーションが求められる。
また、本発明の二軸延伸樹脂フィルムは、後述する実施例に記載の方法により測定されるフィルムの0°、45°、90°および135°の各方向における複屈折率ΔPが0.05以下であるのが好ましく、より好ましくは0.01以下であり、さらに好ましくは0.005以下である。複屈折率ΔPが0.05を超えると虹模様が顕著に観測されるようになる。複屈折率ΔPは0に近いほど良いため、下限については特に制限が無く、下限はフィルムを構成する樹脂の種類や製法上の限界により定まる。本発明のフィルムの複屈折率ΔPの最小値(すなわち下限)は、現時点においては0.0001程度、または0.0002程度、あるいは0.0005程度であると考えられる。
本発明の二軸延伸樹脂フィルムは、0°、45°、90°および135°の各方向における複屈折率ΔPの値のうち、その最大値と最小値の差は、好ましくは0.01以下、より好ましくは0.008以下、さらに好ましくは0.005以下である。当該最大値と最小値の差が、0.01を超えると虹模様が顕著に現れる場合がある。
本発明の二軸延伸樹脂フィルムは、ヘイズが5%以下であることが好ましく、より好ましくは2%以下である。ヘイズが5%を超えると、クロスニコル法の検査自体の実施が困難となるおそれがある。
本発明のフィルムは、150℃で30分間熱処理した際の熱収縮率が、縦および横方向とも3%以下であることが好ましい。より好ましくは2%以下であり、特に好ましくは1.5%以下である。熱収縮率3%を超えると離型加工などの後加工時の生産性が低下する場合がある。なお、上記熱収縮率の値は、無張力下にある二軸延伸樹脂フィルムを加熱して測定した値である。
本発明のフィルムは、フィルムの縦および横方向の夫々に5%伸張したときの引っ張り応力値F‐5値が、50MPa以上1000MPa以下であるのが好ましく、より好ましくは100MPa以上400MPa以下である。F‐5値が50MPa未満では、離型加工時や連続して欠点検査を行う際にフィルム破れが発生しやすくなる。また、1000MPaを超えるものはフィルム生産性が悪くなり、製造が困難である。
本発明のフィルムは、厚みが1μm以上1000μm以下であるのが好ましく、より好ましくは3μm以上300μm以下であり、さらに好ましくは、10μm以上50μm以下である。上記範囲を超えたフィルムは二軸延伸樹脂フィルムとしての生産性が不良であり、好ましくない。
以下、本発明のフィルムの製造方法を具体的に説明するが、その製造方法は、以下の製造方法に限定されるものではなく、本発明のフィルムは別の製造方法により製造されたものであってもよい。
公知の手法により乾燥したポリエチレンテレフタレート系樹脂(A)チップおよびシンジオタクチックポリスチレン系樹脂(B)チップをそれぞれ別個の溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上の温度に加熱して溶融させる。樹脂(A)に対する加熱温度は、260〜300℃が好適であり、樹脂(B)に対しては270〜310℃が好適である。
次いで、両樹脂を溶融状態のまま、フィードブロックに導いて合流させる。そして、樹脂(A)を含む層と樹脂(B)を含む層が交互に合わせて5層以上となる積層構造を形成するために、樹脂を積層装置に供する。上記積層装置としては、フィードブロック、マルチマニホールドダイ、スタティックミキサ等が挙げられ、これらの中でもスタティックミキサを用いるのが好ましい。
本発明におけるスタティックミキサとは、配管内に、横長の長方形の板をその短辺同士のなす角(捩り角)が45度〜270度となるように捩じ曲げた形状のエレメントを、隣接するエレメントの短辺同士が交差するように交互に配列させた配管内混合装置のことである。1つのエレメントを溶融樹脂が通過する時、樹脂が2層に分割されると共に、各樹脂層に、エレメントの旋回方向とは逆方向への捩れが生じる。さらに、次のエレメントを通過すると、同様に樹脂の分割と捩れが生じ、4層に分割される。従って、樹脂成分Aと樹脂成分Bとを1層ずつ積層した状態で、スタティックミキサに導入すると、理論上は、最初のエレメントの短辺が積層面に水平であれば、n個のエレメントを通過すると2n層に、最初のエレメントの短辺が積層面に垂直であれば2n+1層になるが、実際には、流路径と長さ、エレメントの捩り角、捩り勾配、樹脂の吐出量、各樹脂の粘度や表面張力などの溶融特性の影響で変化することもある。
スタティックミキサのエレメントのL/D(配管長/配管の内径)比は、1.0〜3.0の範囲が好ましく、1.4〜2.0の範囲がより好ましい。L/D比が1.0より小さいと樹脂の分割効率が悪くなり、3.0を超えるとミキサ内を通過する樹脂の滞留時間が長くなるため実用的ではない。
スタティックミキサのエレメントの捩り角は、45度以上とする。捩り角が45度未満では樹脂層のねじりが不充分となるからである。捩り角は、90度以上がより好ましく、135度以上がさらに好ましい。捩り角の上限は315度がよい。315度を超えると過度の捩りによって、均一な積層構造が得られない。捩り角は270度以下が好ましく、215度以下がより好ましい。なお、均一な積層構造が得られないというのは、積層した各層が波打った状態となるなど、積層構造が乱れてしまうことをいう。
また、スタティックミキサの配管側面を樹脂の進行方向に切断して展開した場合の、配管内壁とエレメントとのつなぎ目をたどる直線と、樹脂の進行方向とがなす角度、つまりエレメントの捩り勾配は、27度以上が好ましい。この捩り勾配が27度未満では樹脂層の捩り効果が少なく、樹脂に充分なねじりを与えるためにはL/D比を大きくしなければならないため、実用的ではない。捩り勾配は38度以上がより好ましく、42度以上がさらに好ましい。一方、捩り勾配が65度を超える場合は、樹脂の乱流が激しくなり、積層構造が乱れるため好ましくない。捩り勾配は54度以下がより好ましく、50度以下がさらに好ましい。
スタティックミキサのエレメントの好ましい形状は、樹脂の吐出量や溶融特性に応じて適宜選択することができ、また、スタティックミキサを通過する樹脂の溶融特性の変化に対応して、形状の異なる複数のエレメントを組み合わせて用いることもできる。最も好ましいエレメントは、L/D=1.5、捩り角180度、捩り勾配46度のものである。
スタティックミキサのエレメントの配列は、エレメントの捩れ方向が、右旋回、左旋回、右旋回となるように、交互に方向を変えることが好ましい。均一な積層構造が得られるためである。また、隣接するエレメントを直角に交わるように配列することも、均一な積層構造が得られるため好ましい。
上記で説明したスタティックミキサの構造は1つの典型であり、本発明の目的を逸脱しない範囲で形状や配置を変更したり、また、スタティックミキサの前後や、そのエレメント間に別の装置を配置することも、もちろん可能である。例えば、樹脂配管よりも小径のスタティックミキサを配管内に2列以上並列させてもよい。樹脂成分Aと樹脂成分Bとをスタティックミキサを通過させて積層した積層樹脂に、さらに、別の樹脂を合流させて積層させることもできる。
また、フィードブロックを複数用いて、3層以上に積層した積層樹脂を、スタティックミキサに導いてさらに多層化することもできる。この場合には、フィードブロックでの積層数の分だけ、スタティックミキサのエレメント数を少なくすることができるが、スタティックミキサでの積層によって生じるフィルムの特異な効果(ミシン目開封性の向上等)が小さくなるため、フィードブロックによる積層数は100層以内とすることが好ましい。
なお、本発明においては、スタティックミキサのエレメント数nを2以上10以下とすることが好ましい。より好ましくは4以上8以下である。このようなエレメント数のスタティックミキサを用いることによって、適切な多層構造が得られ、虹模様の低減効果が得られる。
続いて樹脂を、積層装置からスリットダイに導き、溶融状態のままダイから表面温度20〜60℃程度の回転冷却ドラム上に押出す。押出された樹脂を、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度にまで急冷固化させれば、実質的に非晶状態の未配向シートが得られる。この場合、シートの平面性を向上させるためにシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましい。本発明においては、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高める手段として、例えば、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
このようにして得られた未配向(未延伸)のシートを二軸方向に同時延伸すれば、本発明の二軸延伸樹脂フィルムが得られる。上記未配向シートを、同時二軸テンターへと導き、シートの両端部(幅方向)をクリップで把持しながら搬送し、隣り合うクリップ同士の長手方向の間隔と幅方向の間隔を同時に広げることで、長手方向(MD方向)と、幅方向(TD方向)を同時に延伸する。なお、同時二軸延伸工程は一段階で最終の延伸倍率となるように行ってもよく、また、二段階以上に分けて行ってもよい。上記同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式などが挙げられる。これらの中でも、延伸倍率の変更が可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式やリニアモーター方式の同時二軸延伸機を採用するのが好ましい。
具体的な延伸条件は、使用する樹脂の種類に応じて適宜決定すればよいが、通常、80〜130℃の温度下で、未延伸シートを縦および横方向に1.3〜6倍(面積倍率で1.69〜36倍)同時に延伸するのが好ましい。なお、同時二軸延伸フィルムの面内における配向差を抑制するためには、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とすると共に、延伸速度がほぼ等しくなるようにすることが推奨される。
また、同時二軸延伸する際には、必要に応じて、未配向シートにコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
同時二軸延伸した後、延伸フィルムに、150〜240℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩させることが好ましい。
本発明のフィルムは、公知の方法に準じて離型層を設けて、離型フィルムとすることができる。離型層を構成する材料は離型性を有するものであれば特に限定されるものではなく、硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプのものを使用してもよい。これらの中でも、硬化型シリコーン樹脂を主成分とするものは離型性が良好であるので好ましい。当該離型フィルムを、接着剤層を介して偏光板や偏光フィルムと接合することにより、偏光板のクロスニコル法による検査に好適に使用することができる。
また、本発明のフィルムは、PETフィルムとしての、優れた機械的特性、耐熱性、平面性を有し、さらに積層フィルムとしての特異な光学特性を有するものである。そして、本発明のフィルムの使用の際には、公知の方法に準じて本発明のフィルムの表面にコート層を設けてもよい。また、公知の方法に準じてフィルム表面を、金属または金属酸化物により蒸着処理することもできる。従って、本発明のフィルムは、各種食品包装用、一般工業用、光学用、電気材料用、成形加工用などの各種用途に好適に使用できる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
まず、本実施例においてフィルム特性は、下記のようにして評価した。
(1)フィルムの複屈折率の正負の決定とレターデーションの測定
実施例および比較例で得られたフィルムから切り出した1cm四方のフィルム片を、スライドガラスとカバーガラスの間に挟み測定試料とし、偏光顕微鏡はニコン社製のECLIPSE E600 POL(光源:白色光)を使用し、以下の手順に従ってフィルムのレターデーションを測定した。
1.光源と回転ステージとの間にポーラライザー(偏光子)をセットし、目盛りを0に合わせ、アナライザー(検光子)を対物レンズと接眼レンズの間にセットする。
2.アナライザーを回転させ、視野が最も暗くなる位置(クロスニコル)で固定する。
3.測定試料を回転ステージにセットする。
4.アナライザーを抜き、サンプルにピントを合わせ、再度アナライザーを入れてから回転ステージを回して、最も暗く見える位置(消光位)で、回転ステージのクイックレバーを締める。
5.回転ステージを消光位から時計回り(あるいは反時計回り)に45°回し、次いで、目盛りを30に合わせたベレック型コンペンセーターを検板挿入口に挿入し、固定する。
6.像を見ながらベレック型コンペンセーターのつまみを右に回し、このとき黒い帯が現れたなら、この帯の中心をクロスゲージの交点に合わせて、このときのベレック型コンペンセーター目盛り(a)を読む。ベレック型コンペンセーターのつまみを回しても黒い帯が現れないときは、回転ステージを4の消光位を挟んで90°回し、ベレック型コンペンセーターのつまみを30の目盛りを起点に右に回して目盛り(a)を読む。
(1)フィルムの複屈折率の正負の決定とレターデーションの測定
実施例および比較例で得られたフィルムから切り出した1cm四方のフィルム片を、スライドガラスとカバーガラスの間に挟み測定試料とし、偏光顕微鏡はニコン社製のECLIPSE E600 POL(光源:白色光)を使用し、以下の手順に従ってフィルムのレターデーションを測定した。
1.光源と回転ステージとの間にポーラライザー(偏光子)をセットし、目盛りを0に合わせ、アナライザー(検光子)を対物レンズと接眼レンズの間にセットする。
2.アナライザーを回転させ、視野が最も暗くなる位置(クロスニコル)で固定する。
3.測定試料を回転ステージにセットする。
4.アナライザーを抜き、サンプルにピントを合わせ、再度アナライザーを入れてから回転ステージを回して、最も暗く見える位置(消光位)で、回転ステージのクイックレバーを締める。
5.回転ステージを消光位から時計回り(あるいは反時計回り)に45°回し、次いで、目盛りを30に合わせたベレック型コンペンセーターを検板挿入口に挿入し、固定する。
6.像を見ながらベレック型コンペンセーターのつまみを右に回し、このとき黒い帯が現れたなら、この帯の中心をクロスゲージの交点に合わせて、このときのベレック型コンペンセーター目盛り(a)を読む。ベレック型コンペンセーターのつまみを回しても黒い帯が現れないときは、回転ステージを4の消光位を挟んで90°回し、ベレック型コンペンセーターのつまみを30の目盛りを起点に右に回して目盛り(a)を読む。
なお、ステージのどちらに回してもベレック型コンペンセーターのつまみの可動範囲で黒い帯が現れない場合は、複屈折の絶対量が大きすぎることを示しているので、このような場合は測定範囲外とする。
7.さらに目盛り(a)を読んだ状態からベレック型コンペンセーターのつまみを30の目盛りを越えて左に回し、もう一方の黒い帯の中心をクロスゲージの交点に合わせ、このときのベレック型コンペンセーターの目盛り(b)を読む。
8.同じ視野で上記6.および7.の操作を繰り返し、a、bを夫々5点読む。
9.a,bの値からi=(a−b)/2の計算式により補償値iを求める。得られたiの値からベレック型コンペンセーターに付属の数表(下記表1)を用いて10000f(i)値を求め、これにベレック型コンペンセーターに固有の補正定数C/10000を掛けることによりフィルムのレターデーションを求めた。
7.さらに目盛り(a)を読んだ状態からベレック型コンペンセーターのつまみを30の目盛りを越えて左に回し、もう一方の黒い帯の中心をクロスゲージの交点に合わせ、このときのベレック型コンペンセーターの目盛り(b)を読む。
8.同じ視野で上記6.および7.の操作を繰り返し、a、bを夫々5点読む。
9.a,bの値からi=(a−b)/2の計算式により補償値iを求める。得られたiの値からベレック型コンペンセーターに付属の数表(下記表1)を用いて10000f(i)値を求め、これにベレック型コンペンセーターに固有の補正定数C/10000を掛けることによりフィルムのレターデーションを求めた。
なお、Cはベレック型コンペンセーターに特有の値であり、本実施例で使用したベレック型コンペンセーターは、日本地科学社製No.10533であり、C=7520であった(下記表2参照)。
(2)複屈折率ΔP
実施例および比較例で得られたフィルムを幅2cm、長さ3cmとなるように切り出したものをサンプルとした。このとき、サンプルの長さ方向がフィルムの長さ方向と平行になるようにして切り出したサンプル(0°サンプル)、およびサンプルの長さ方向とフィルムの長さ方向との関係がそれぞれ45°、90°、135°となるように切り出したサンプル(それぞれ45°サンプル、90°サンプル、135°サンプル)を準備した。
実施例および比較例で得られたフィルムを幅2cm、長さ3cmとなるように切り出したものをサンプルとした。このとき、サンプルの長さ方向がフィルムの長さ方向と平行になるようにして切り出したサンプル(0°サンプル)、およびサンプルの長さ方向とフィルムの長さ方向との関係がそれぞれ45°、90°、135°となるように切り出したサンプル(それぞれ45°サンプル、90°サンプル、135°サンプル)を準備した。
上記各測定用サンプルそれぞれについて、アタゴ光学社製アッベ屈折計4Tを用いて、フィルムの長さ方向(縦延伸方向)、幅方向(横延伸方向)および厚み方向の屈折率を測定した。測定に使用した溶剤はジヨードメタンであり、測定条件は23℃60RH%下である。n=5で測定し、各サンプルの屈折率の平均値(ΔP)を、下記の式に基づき求めた。
ΔP=|0.5(Nx+Ny)−Nz|
ただし、Nx、Ny、Nzはそれぞれ、フィルムの長さ方向、幅方向および厚み方向の屈折率を示す。
ΔP=|0.5(Nx+Ny)−Nz|
ただし、Nx、Ny、Nzはそれぞれ、フィルムの長さ方向、幅方向および厚み方向の屈折率を示す。
(3)熱収縮率
フィルムを長さ方向および幅方向にそれぞれ、幅10mm、長さ150mmに10枚ずつ切り出してサンプルとし、サンプルの長さ方向について100mm間隔の表示線を設けた。
フィルムを長さ方向および幅方向にそれぞれ、幅10mm、長さ150mmに10枚ずつ切り出してサンプルとし、サンプルの長さ方向について100mm間隔の表示線を設けた。
150℃のオーブン(タバイエスペック社製、型式PHH−101)で30分間、無張力の状態になるようサンプルの長さ方向の一方を把持しながら、加熱処理した。
その後フィルムを取り出し、以下の式に従って熱収縮率を求めた。
熱収縮率=(1−加熱後の表示線の間隔/加熱前の表示線の間隔)×100%
熱収縮率=(1−加熱後の表示線の間隔/加熱前の表示線の間隔)×100%
(4)F−5値
フィルムを長さ方向および幅方向にそれぞれ、幅10mm、長さ150mmに10枚ずつ切り出してサンプルとし、サンプルの長さ方向について100mm間隔の表示線を設けた。これらのサンプルについて、チャック間距離100mm、温度23℃、引張速度100mm/分とし、JIS−K7127(1999)に準拠して引張試験を実施した。なお、試験片はタイプ2とし、5%伸長時の引張応力をF−5値とした。
フィルムを長さ方向および幅方向にそれぞれ、幅10mm、長さ150mmに10枚ずつ切り出してサンプルとし、サンプルの長さ方向について100mm間隔の表示線を設けた。これらのサンプルについて、チャック間距離100mm、温度23℃、引張速度100mm/分とし、JIS−K7127(1999)に準拠して引張試験を実施した。なお、試験片はタイプ2とし、5%伸長時の引張応力をF−5値とした。
(5)虹模様1
水平な拡散板を備えた光源(10W蛍光灯(東芝製FL100−ELD−56K)を2本)の上に水平に置いた直交偏光の関係にある平行な2枚の偏光板(株式会社美舘イメージング販売の「MLPH‐4」)の間に、フィルム平面が水平面と平行な状態に保たれるようにしてフィルムを水平面内で回転させたときのフィルム表面の色の変化を、フィルムの法線方向に平行な方向から上側の偏光板を通して観察し、フィルム表面が無色あるいは、単色に着色した場合を良好、二色以上の色が観察された場合を不良として判断した。なお、虹模様1の評価は5枚のフィルムについて行い、全てのフィルムが良好と判断された場合は◎、4枚のフィルムが良好で、1枚のフィルムが不良である場合を○で、不良と判断されたフィルムが2枚以上の場合を×として下記表に示した。
水平な拡散板を備えた光源(10W蛍光灯(東芝製FL100−ELD−56K)を2本)の上に水平に置いた直交偏光の関係にある平行な2枚の偏光板(株式会社美舘イメージング販売の「MLPH‐4」)の間に、フィルム平面が水平面と平行な状態に保たれるようにしてフィルムを水平面内で回転させたときのフィルム表面の色の変化を、フィルムの法線方向に平行な方向から上側の偏光板を通して観察し、フィルム表面が無色あるいは、単色に着色した場合を良好、二色以上の色が観察された場合を不良として判断した。なお、虹模様1の評価は5枚のフィルムについて行い、全てのフィルムが良好と判断された場合は◎、4枚のフィルムが良好で、1枚のフィルムが不良である場合を○で、不良と判断されたフィルムが2枚以上の場合を×として下記表に示した。
(6)虹模様2
水平な拡散板を備えた光源(10W蛍光灯(東芝製FL100−ELD−56K)を2本)の上に水平に置いた直交偏光の関係にある平行な2枚の偏光板(株式会社美舘イメージング販売の「MLPH‐4」)の間に、フィルム平面が水平面と平行な状態に保たれるようにしてフィルムを水平面内で回転させたときのフィルム表面の色の変化を、フィルムの法線方向に対して20〜70°の方向から上側の偏光板を通して観察し、フィルム表面が無色、または単色に着色した場合を良好、二色以上の色が観察された場合を不良として判断した。なお、虹模様2の評価は、5枚のフィルムについて行い、すべてのフィルムが良好と判断された場合は◎、4枚のフィルムが良好で、1枚のフィルムが不良である場合を○で、不良と判断されたフィルムが2枚以上の場合を×として下記表に示した。
水平な拡散板を備えた光源(10W蛍光灯(東芝製FL100−ELD−56K)を2本)の上に水平に置いた直交偏光の関係にある平行な2枚の偏光板(株式会社美舘イメージング販売の「MLPH‐4」)の間に、フィルム平面が水平面と平行な状態に保たれるようにしてフィルムを水平面内で回転させたときのフィルム表面の色の変化を、フィルムの法線方向に対して20〜70°の方向から上側の偏光板を通して観察し、フィルム表面が無色、または単色に着色した場合を良好、二色以上の色が観察された場合を不良として判断した。なお、虹模様2の評価は、5枚のフィルムについて行い、すべてのフィルムが良好と判断された場合は◎、4枚のフィルムが良好で、1枚のフィルムが不良である場合を○で、不良と判断されたフィルムが2枚以上の場合を×として下記表に示した。
(7)へイズ
JIS−K7136に基づき、日本電色工業製NDH2000を用いて求めた。
JIS−K7136に基づき、日本電色工業製NDH2000を用いて求めた。
(8)フィルム内部の層数の測定
フィルム内部の層数は、透過型電子顕微鏡を用いて観察して求めた。
1.測定サンプルの作成
まず、フィルムをエポキシ樹脂に包埋した。エポキシ樹脂としては、ルアベック812、ルアベックNMA(以上ナカライテスク社製)、DMP30(TAAB社製)を、それぞれ100:89:3(質量)の割合で良く混合したものを用いた。フィルムを上述のエポキシ樹脂中に包埋した後、温度60℃に調整したオーブン中に16時間放置し、エポキシ樹脂を硬化せしめ包埋ブロックを得た。
フィルム内部の層数は、透過型電子顕微鏡を用いて観察して求めた。
1.測定サンプルの作成
まず、フィルムをエポキシ樹脂に包埋した。エポキシ樹脂としては、ルアベック812、ルアベックNMA(以上ナカライテスク社製)、DMP30(TAAB社製)を、それぞれ100:89:3(質量)の割合で良く混合したものを用いた。フィルムを上述のエポキシ樹脂中に包埋した後、温度60℃に調整したオーブン中に16時間放置し、エポキシ樹脂を硬化せしめ包埋ブロックを得た。
得られた包埋ブロックを、日製産業製ウルトラカットNに取り付け、ガラスナイフを用いてトリミングを実施し、フィルムの観察に供したい部分の断面をレジン表面に露出させた。次いで、ダイアモンドナイフ(住友電工製スミナイフSK2045)を用いて、上記レジン表面から超薄切片を切りだした。切りだした超薄切片は、メッシュ上に回収した後、室温(25℃)で四酸化ルテニウム蒸気中に30分間静置して染色し、薄くカーボン蒸着を施した。
2.電子顕微鏡による観察
電子顕微鏡観察は、日本電子製JEM−2010を使用し、加速電圧200kV、倍率5000〜20000の条件で実施した。得られた像をイメージングプレート(富士写真フイルム製FDL UR−V)上に記録し、イメージングプレート上に記録した信号を、デジタルルミノグラフィー(日本電子製PixsysTEM)を用いて読み出し、ウインドウズ(登録商標)パソコン上にデジタルの画像情報として記録し、樹脂(A)を含む層と樹脂(B)を含む層の染色度の差から確認される層の数を数えた。
電子顕微鏡観察は、日本電子製JEM−2010を使用し、加速電圧200kV、倍率5000〜20000の条件で実施した。得られた像をイメージングプレート(富士写真フイルム製FDL UR−V)上に記録し、イメージングプレート上に記録した信号を、デジタルルミノグラフィー(日本電子製PixsysTEM)を用いて読み出し、ウインドウズ(登録商標)パソコン上にデジタルの画像情報として記録し、樹脂(A)を含む層と樹脂(B)を含む層の染色度の差から確認される層の数を数えた。
実施例1
樹脂(A)として、酸成分にテレフタル酸100モル%を、グリコール成分にエチレングリコール85モル%とネオペンチルグリコール15モル%とを使用して共重合させた共重合ポリエステル(固有粘度0.62)を、60mmφ単軸押出機に投入し、285℃で溶融した。樹脂(B)としてシンジオタクチックポリスチレン(出光石油化学製300zc)を二軸押出機(22.5mmφ×2本)に投入し、300℃で溶融した。それぞれの樹脂を溶融状態のまま樹脂(A)/樹脂(B)の2層積層構造となるようにフィードブロックに導き、次いでそのまま295℃に昇温したスタティックミキサ(ノリタケカンパニー製、6エレメント、内径38.4mm、1エレメントのL/D=1.5、1エレメントの板の捩り角度180度、捩り勾配46度)を通過させた。このときの樹脂の比率は樹脂(A)/樹脂(B)=40/60(質量比)とした。
樹脂(A)として、酸成分にテレフタル酸100モル%を、グリコール成分にエチレングリコール85モル%とネオペンチルグリコール15モル%とを使用して共重合させた共重合ポリエステル(固有粘度0.62)を、60mmφ単軸押出機に投入し、285℃で溶融した。樹脂(B)としてシンジオタクチックポリスチレン(出光石油化学製300zc)を二軸押出機(22.5mmφ×2本)に投入し、300℃で溶融した。それぞれの樹脂を溶融状態のまま樹脂(A)/樹脂(B)の2層積層構造となるようにフィードブロックに導き、次いでそのまま295℃に昇温したスタティックミキサ(ノリタケカンパニー製、6エレメント、内径38.4mm、1エレメントのL/D=1.5、1エレメントの板の捩り角度180度、捩り勾配46度)を通過させた。このときの樹脂の比率は樹脂(A)/樹脂(B)=40/60(質量比)とした。
スタティックミキサ通過後の樹脂をT−ダイから押出し、30℃の冷却ロールにて冷却することにより、未延伸シートを得た。このシートを110℃に加熱したフィルムストレッチャー(東洋精機製、二軸延伸装置No.586、パンタグラフ方式)で、縦及び横方向を同時に3.5倍延伸した後、オーブン内で220℃8秒間熱処理することにより、厚み50μmの同時二軸延伸樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの層数は64層であった。
なお、固有粘度は、チップ0.1gを精秤し、25mlのフェノール/テトラクロロエタン=3/2(質量比)の混合溶媒に溶解した後、オストワルド粘度計で30±0.1℃で測定した。固有粘度[η]は、下式(Huggins式)によって求められる。
ここで、ηsp :比粘度、t0:オストワルド粘度計を用いた溶媒の落下時間、t:オストワルド粘度計を用いたチップ溶液の落下時間、C:チップ溶液の濃度である。なお、実際の測定では、Huggins式においてk=0.375とした下記近似式で固有粘度を算出した。
実施例2
樹脂(A)/樹脂(B)=50/50(質量比)とした以外は、実施例1と同様の方法で、厚み50μmの同時二軸延伸樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの層数は64層であった。
樹脂(A)/樹脂(B)=50/50(質量比)とした以外は、実施例1と同様の方法で、厚み50μmの同時二軸延伸樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの層数は64層であった。
比較例1
樹脂(A)として、酸成分にテレフタル酸100モル%を、グリコール成分にエチレングリコール85モル%とネオペンチルグリコール15モル%とを使用して共重合させた共重合ポリエステル(固有粘度0.62)を、60mmφ単軸押出機に投入し、285℃で溶融した。樹脂(B)としてシンジオタクチックポリスチレン(出光石油化学製300zc)を二軸押出機(22.5mmφ×2本)に投入し、300℃で溶融した。それぞれの樹脂を溶融状態のまま樹脂(A)/樹脂(B)の2層積層構造となるようにフィードブロックに導き、次いでそのまま295℃に昇温したスタティックミキサ(ノリタケカンパニー製、6エレメント)を通過させた。このときの樹脂の比率は樹脂(A)/樹脂(B)=40/60(質量比)とした。
樹脂(A)として、酸成分にテレフタル酸100モル%を、グリコール成分にエチレングリコール85モル%とネオペンチルグリコール15モル%とを使用して共重合させた共重合ポリエステル(固有粘度0.62)を、60mmφ単軸押出機に投入し、285℃で溶融した。樹脂(B)としてシンジオタクチックポリスチレン(出光石油化学製300zc)を二軸押出機(22.5mmφ×2本)に投入し、300℃で溶融した。それぞれの樹脂を溶融状態のまま樹脂(A)/樹脂(B)の2層積層構造となるようにフィードブロックに導き、次いでそのまま295℃に昇温したスタティックミキサ(ノリタケカンパニー製、6エレメント)を通過させた。このときの樹脂の比率は樹脂(A)/樹脂(B)=40/60(質量比)とした。
スタティックミキサ通過後の樹脂をT−ダイから押出し、30℃の冷却ロールにて冷却することにより、未延伸シートを得た。このシートを、110℃に表面を加熱したロール上で、縦方向に3.3倍延伸し、そのまま予熱温度110℃、延伸温度120℃のテンターで横方向に3.5倍延伸した後、そのままテンター内で220℃4秒間熱処理することにより、厚み50μmの逐次二軸延伸樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの層数は64層であった。
比較例2
樹脂(A)/樹脂(B)=50/50(質量比)とした以外は、比較例1と同様の方法で、厚み50μmの逐次二軸延伸樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの層数は64層であった。
樹脂(A)/樹脂(B)=50/50(質量比)とした以外は、比較例1と同様の方法で、厚み50μmの逐次二軸延伸樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの層数は64層であった。
比較例3
本比較例では、樹脂(A)のみを使用した。実施例1で使用した樹脂(A)を285℃で溶融し、そのままT−ダイから押出し、25℃の冷却ロールにて冷却することにより、未延伸シートを得た。このシートを90℃に表面を加熱したロール上で、縦方向に3.3倍延伸し、そのまま予熱温度110℃、延伸温度120℃のテンターで横方向に3.5倍延伸した後、そのままテンター内で220℃4秒間熱処理することにより、厚み50μmの逐次二軸延伸樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの層数は64層であった。
本比較例では、樹脂(A)のみを使用した。実施例1で使用した樹脂(A)を285℃で溶融し、そのままT−ダイから押出し、25℃の冷却ロールにて冷却することにより、未延伸シートを得た。このシートを90℃に表面を加熱したロール上で、縦方向に3.3倍延伸し、そのまま予熱温度110℃、延伸温度120℃のテンターで横方向に3.5倍延伸した後、そのままテンター内で220℃4秒間熱処理することにより、厚み50μmの逐次二軸延伸樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの層数は64層であった。
実施例1および2、ならびに比較例1〜3で得られた二軸延伸樹脂フィルムの評価結果を、表3〜8に示した。
本発明のフィルムは、偏光板のクロスニコル法による検査に使用する離型フィルムに好適である。また、本発明のフィルムは、各種食品包装用、一般工業用、光学用、電気材料用、成形加工用などの各種用途に利用することができる。
Claims (5)
- ポリエチレンテレフタレート系樹脂(A)を含む層とシンジオタクチックポリスチレン系樹脂(B)を含む層が交互に合わせて5層以上積層されており、ベレック型コンペンセーターを用いた偏光顕微鏡により測定されるレターデーションの絶対値が500nm以下であることを特徴とする二軸延伸樹脂フィルム。
- ポリエチレンテレフタレート系樹脂(A)とシンジオタクチックポリスチレン系樹脂(B)の質量比が、10/90〜90/10である請求項1に記載の二軸延伸樹脂フィルム。
- ヘイズが5%以下である請求項1または2に記載の二軸延伸樹脂フィルム。
- 150℃で30分間熱処理した際の縦方向および横方向の熱収縮率が3%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の二軸延伸樹脂フィルム。
- 同時二軸延伸されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の二軸延伸樹脂フィルム。
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-
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