JP7086519B2 - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
上記課題に鑑み、本発明は上記の課題を解決したフィルムを提供することを目的とする。
また、フィルムの位相差は、光の入射角を0°から変えていくと大きく増加していく。本発明において光の入射角度が50°のときに求められる位相差を厚み位相差と呼ぶ。この厚み位相差が300nmを超えると、斜め方向から見たときに虹ムラが観察される場合がある。そのため、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、厚み位相差が300nm以下であることが好ましい。より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは150nm以下である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム幅方向のフィルムの長さが600mm以上であることが必要である。フィルム幅方向のフィルム長さが600mm未満であると、大型のフィルム偏光板化に対応することができない。また、PVA製造者から調達可能な汎用PVAフィルムロールの幅方向のフィルム長さは800~3100mmであるため、二軸配向ポリエステルフィルムのフィルム幅方向のフィルムの長さが600mm未満であると、ロスが多くなるため好ましくない。フィルム長手方向、フィルム幅方向の少なくともどちらか一方のフィルムの長さが5000mm以上であることがより好ましい。上記フィルム長さを有する二軸配向ポリエステルフィルムとすることで、広幅でのフィルム偏光板化に対応することが可能となる。特に、フィルムの長さが5000mm以上であるフィルム長さの方向がフィルムの長手方向であると、フィルムを斜め方向に裁断せずにロール・ツー・ロールでλ/4の円偏光を持つフィルムを供給することが可能となるため、生産性が大幅に向上するため好ましい。このフィルム全領域において位相差が400nm以下、フィルム長手方向に対する主配向軸の傾きが20~70°、フィルム幅方向における位相差の変動が50nm/200mm以下であることが求められる。
(工程A)
工程Aは、未延伸フィルムに対して二軸延伸と熱処理を行う。二軸延伸と熱延伸は、以下(1)~(3)の工程を順に含むことが好ましい。
(1)ポリエステル樹脂を溶融した後、長手方向および幅方向への二軸延伸を行う工程
(2)二軸延伸後、熱処理Aを行う工程
(3)熱処理A後、ポリエステルフィルムを巻き取る工程
長手方向への延伸(長手方向への延伸は、縦延伸と言う場合がある)は、通常は、ロールの周速差により施される。この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロールを使用して多段階に行っても良い。延伸倍率は厚みムラや、後述する横倍率で破れが発生しない範囲で行われる。用いる樹脂によって延伸倍率は異なるが、生産性の点から2.5~6.5倍の範囲で行われるのが好ましい。また、延伸温度としてはポリエステルフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度~ガラス転移温度+60℃の範囲が好ましい。特に、ポリエステルフィルムが積層ポリエステルフィルムである場合、積層ポリエステルフィルムを構成する最表層樹脂のガラス転移温度~ガラス転移温度+60℃の範囲が好ましい。次にこのフィルムを幅方向に延伸(幅方向への延伸は、横延伸と言う場合がある)を行う。
幅方向への延伸は、フィルム幅方向端部をレールに担持させ、レール幅を広げる方法(テンター方法)により行われることが好ましい。この時の延伸倍率は、厚みムラや破れが発生しない範囲で、かつ、フィルム幅方向中央部の、屈折率差(Δn:長手方向屈折率-幅方向屈折率)が、以下の式(i)を満たしていることが好ましい。
式(i) -0.02<Δn<0.03
Δnがこの範囲にあると、長さ方向と幅方向の配向が等方であるために、加熱によりボーイングが顕著に発生しやすくなり、幅方向で主配向軸の傾きが30~60°の範囲が広くなる。図1に、-0.02<Δn<0.03の条件で製膜した厚み15μm、ポリエチレンテレフタレートの、幅方向における位相差と配向角の分布を示す(便宜的に幅方向の中心部分を0、右手方向を+、左手方向を-とする)。また、図2に-0.02<Δnの条件で、図3にΔn<0.03の条件で、製膜した厚み15μm、ポリエチレンテレフタレートの、幅方向における位相差と配向角の分布を示す。Δnが-0.02よりも低い場合、加熱によりボーイングが発生しにくくなるため、主配向軸の傾きを大きくするのが困難である(図2)。また、Δnが0.03よりも大きい場合、ボーイングは顕著に発生するものの、幅方向において配向角が70°よりも大きくなる領域が広くなるため好ましくない(図3)。-0.015<Δn<0.015の範囲であると、ボーイングがより起こりやすく、配向角を20~70°の範囲に制御しやすいため好ましい。
(1.9≧a≧1.1)
Xmax:幅方向延伸終了点のレール幅
Xmin:幅方向延伸開始時のレール幅
X(50%):延伸区間の中間地点(50%)の時のレール幅
このとき定数aが1であると、図4に示すような延伸区間に対してレール幅が均一に上昇する延伸パターンである。一方、定数aが1よりも大きくなると、延伸区間長の初期に延伸倍率が大きくなる延伸パターンである。定数aは1.1以上1.9以下が好ましく、より好ましくは1.4以上1.7以下が好ましい。定数aが1.1未満もしくは1.9より大きいと、配向角20~70°の領域が少なくなり好ましくない。
また、X(50%)の前後の延伸点において、以下の式(iii)を満たす点を複数もっていても問題ない。
延伸区間長Lとは、横延伸開始点から、フィルム進行方向への任意の点までの長さを示すものであり、横延伸開点から横延伸終了点までの長さをLmaxとする。また、横延伸開点から横延伸終了点までの長さの半分の値をL(50%)とする。また、任意の延伸区間長Lのときのレール幅をXとし、横延伸開始点のレール幅をXmin、横延伸終了点のレール幅をXmax、延伸区間長L(50%)のときのレール幅をX(50%)とする。また、横延伸終了点は、熱処理Aに入る前における最も高倍率な点を示しており、熱処理A後にさらに幅方向に延伸もしくは弛緩してもそれは含まれない。
また、延伸区間長の初期に延伸倍率が大きくなる延伸パターンにおいて、延伸開始点の横延伸温度(T0)と、延伸終了点の横延伸温度(T)が以下の式(iv)を満たすことが好ましい。
(i)~(iv)を満たす製造方法により得られた二軸配向フィルムの幅方向の位相差と配向角の分布を図5に示す。図1において、配向角の分布がV字状だったのに対し、(ii)(iii)を満たすことにより、主配向軸の傾きが20~70°の領域が幅方向で広がっているため好ましい。また、このような横延伸方法をとると、その後に熱処理を行っても配向角の分布形状はほとんど変化しないため好ましい。さらにこのフィルムを横延伸温度以上~融点-60℃の温度で熱処理Aを行い、室温まで冷やして巻き取られる。
(工程B)
工程Bは、工程Aにて得られたフィルムを巻き取った後、工程Aのフィルム進行方向と反対方向に巻き出し、熱処理Aよりも10~100℃高温で熱処理を行う。より好ましくは熱処理Aよりも40~80℃高温であることが好ましい。図6に、図5の幅方向の位相差と幅方向分布を持つフィルムに対し、進行方向を反転させて熱処理Aよりも60℃高温で熱処理を行ったときの配向角と位相差の幅方向分布の一例を示す。このフィルムの幅方向中央部(図6において全幅に対して22%)と端部(図6において全幅に対して6%ずつ)をトリミングして除去し、得た2丁のフィルムは、広幅において配向角20~70°であり、図5のと比べると大幅に位相差が均一化されている(図7)。これは、工程Aで発生する位相差ムラに対し、工程Bで発生する位相差ムラが打ち消し合うことによるものと推測される。そのため、工程Bの熱処理温度が熱処理Aよりも10℃未満であると、打ち消し合うボーイングが弱すぎるために発生せず、幅方向位相差ムラは解消されない。工程Bの熱処理温度が熱処理Aよりも100℃以上であると、工程Bのボーイングが強くなりすぎ位相差ムラが悪化するため好ましくない。また、工程Aの後に巻き返しせずにそのまま熱処理Bを行っても、幅方向の位相差ムラは解消されない(図8)。
本製造方法においては、工程Aと工程Bにてわざと大きなボーイングを発生させ、それぞれのボーイング応力を直交させることにより、幅方向の位相差を減算しあい、低位相差と幅方向の位相差ムラを解消するものである。そのため、工程Aを経たフィルムの配向角が、中央部と端部を除いて20~70°の範囲にないと、工程Bにて位相差は減算されずに位相差ムラは解消されないため好ましくない。
また、B工程においては、熱処理温度を工程Aよりも高くすることによりボーイングを発生させることから、熱処理工程はフィルム両端を把持するテンター方式であることが好ましい。ロール搬送による熱処理では両端がフリーになるため、幅方向のフィルムの熱収縮が激しく、フィルムの表面性と幅方向の物性ムラを損なうことから好ましくない場合がある。
本発明における特性の測定方法、および効果の評価方法は次のとおりである。
位相差は、王子計測機器(株)製、「KOBRA-21ADH」を用い、フィルムの幅中央部から両端部にかけて200mm間隔で、入射角0°における波長590nmの位相差を測定した。平均位相差とは全測定点の平均値で表す。
位相差ムラの測定法は(1)に準じる。フィルムの幅中央部から両端部にかけて200mm間隔で位相差を測定していき、その中で、隣り合う位相差の差の絶対値最も大きい値を位相差ムラとする。
主配向軸の傾きの測定法は(1)に準じる。フィルム長手方向が本測定装置にて定義されている角度0°となるように、測定サンプルを装置に設置し、フィルムの幅中央部から両端部にかけて200mm間隔で、入射角0°における波長590nmの配向角を測定した。その中で最も大きい値を主配向軸の傾き(最大)、最も小さい値を主配向軸の傾き(最小)、平均値を主配向軸の傾きで表す。また、KOBRAで測定した際、配向角は+90~-90°の値で出力されるが、すべて正数に変換して表すものとする。
(3)の測定法に準じて全幅の主配向軸の傾きを求め、全幅に対し、主配向軸の傾きが20~70°である比率を算出した。
示差熱量分析(DSC)を用いてJIS-K-7122(1987年)に従って、測定サンプルのDSC曲線を測定した。試験は、25℃から290℃まで5℃/minで昇温し、その際のガラス転移温度と結晶融解熱量を計測した。40~140℃の範囲内にある、2か所の変曲点を接線で結び、その中間点をガラス転移温度とした。
装置: セイコーインスルメンツ(株)製:SII ロボットDSC(モデルDSC6220)
データ解析”Standard Analysis”
サンプル質量:5mg。
フィルムロールの幅方向中央部が幅方向中央となるように幅方向150mm、長手方向150mmのフィルム試料を採取した。それぞれの試料の中央部に、長手方向、幅方向それぞれについて、原長(L0)として100mmの間隔となるように一対の印をつけた。試料をオーブン中で150℃にて30分間熱処理をした後に室温まで冷却し、一対の印間の距離を測定し、処理後の長さ(L1)とした。それぞれの位置・方向における熱収縮率は、100×(L0-L1)/L0に従い算出した。得られた結果を長手方向・幅方向の平均値を算出し、フィルムの熱収縮率とした。
LEDトレースボード上に、クロスニコルとなるように偏光フィルムを直交させる。その偏光フィルムの間に、積層フィルムを長手方向が偏光フィルムの偏光軸と一致するようにして挟み込む。このときの入射角度を真上から目視で観察したときに下記判定方法で判定した。
A:中央部から端部にかけて明度の差がほとんどない。
B:中央部から端部にかけて明度の差がわずかにある。
C:中央部から端部にかけて明度の差がはっきりと確認できる。
(7)と同様の方法でサンプルを用意し、入射角度を真上から観察したときと40°傾けて観察したときの着色を下記判定方法で判定した。
A:真上および40°傾斜観察でも全く着色は見られない。
B:真上から観察したときは着色ないが、40°傾斜観察ではわずかに黄色い着色が見られる。
C:真上から観察したときは着色ないが、40°傾斜観察では黄色から桃色の着色が見られる
D:真上および40°傾斜観察でもはっきりとした着色が見られる。
(実施例1)
融点が258℃、結晶融解熱量40mJ/mgのポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、単軸押出機に投入し、280℃で溶融させて、混練し、ダイから押し出した。ダイから押し出した溶融シートを、25℃に冷却された回転ドラムに静電印可により密着固化させ、平滑なキャストフィルムを得た。得られたキャストフィルムを、予熱ロール65℃、延伸ロール85℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、フィルム長手方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却した。この一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、100~120℃の温度でフィルム幅方向に3.4倍延伸した。ここでの延伸区間は3セクションに分け延伸倍率と延伸温度は表1のパターン1に示す通りとした。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で170℃の熱風にて熱処理Aを行い、室温まで徐冷後、巻きとった。
得られたフィルムを、全幅に対して中央部を21%、両端部をそれぞれ7%トリミングして除去し、幅700mmの2丁のフィルムを得た。
横延伸条件を表1のパターン2に示す通りとした以外、実施例1と同じとした。結果を表2に示す。全幅にわたって主配向軸の傾きが45~66°であり、また幅方向の位相差の変動も小さいものであった。視認性は、正面から観察したときに着色は見られなかったものの、入射角を傾けると着色が目立った。
横延伸条件を表1のパターン3に示す通りとした以外、実施例1と同じとした。結果を表2に示す。実施例1よりも主配向軸の傾きが45°に近くなり、幅方向の位相差の変動は良化した。
熱処理温度横Aを200℃とした以外、実施例3と同じとした。結果を表2に示す。主配向軸の傾きが45°に近いが、幅方向の位相差の変動は実施例3よりも悪化した。
吐出量のコントロールによりフィルム厚みを12μmとなるようにした以外は、実施例3と同じとした。結果を表2に示す。フィルム厚みが薄くなったことにより厚み方向位相差が低減し、わずかに視認性が良化した。
イソフタル酸が17モル%共重合されたPET(融点215℃、以降PET/Iともいう)を用いた。工程Aにおける熱処理温度155℃とし、工程Bにおける熱処理温度を195℃とした以外、押出・延伸・巻き取り・トリミング工程は実施例5と同じに行った。結果を表2に示す。PETと比べて結晶配向しにくいPET/Iを使用することにより、位相差や幅方向の位相差の変動は低減した。幅方向明度ムラや視認性も非常に良好であった。
PETとPET/Iを別々の押出機に投入して、複合ピノールを用いて合流し、内層がPET/I、表層がPETの3層となる積層フィルムを作成した(積層比は1/3/1)。条件は実施例5と同じとした。結果を表2に示す。熱処理温度を上げたことにより、熱収縮率は実施例6よりも低減した。
PETとスピログリコールが全ジオール成分に対して20モル%共重合されたPET(融点なし、以降PET/SPGともいう)を別々の押出機に投入して、複合ピノールを用いて合流し、内層がPET/SPG、表層がPETの3層となる積層フィルムを作成した(積層比は1/3/1)。条件は実施例7と同じとした。結果を表2に示す。原料の変更により、幅方向位相差の変動と熱収縮率が実施例7よりも低減した。
PETとPET/SPGを別々の押出機に投入して、スリット数251個の積層装置にて合流させて、厚み方向に交互に251層積層された積層体を得た。積層体とする方法は、特開2007-307893号公報〔0053〕~〔0056〕段の記載に従って行った。ここでは、スリットの長さおよび間隔は全て一定とした。また、口金内部での拡幅比である口金リップのフィルム幅方向長さを口金の流入口部でのフィルム幅方向の長さで割った値が2.5となるようにした。他の条件は実施例8と同じとした。結果を表2に示す。積層数の増加により、幅方向位相差の変動が実施例8よりも低減した。
実施例3の工程A後のフィルムを、全幅に対して、中央部を21%、両端部をそれぞれ7%トリミングして除去し、幅700mmの2丁のフィルムを得た。そのうちどちらか一方をトリミングした部位以外の全幅の位相差を、KOBRAを用いて測定した。その結果を表3に示す。主配向軸の傾きは43~55°であったものの、位相差および幅方向の位相差の変動が大きく、使用に耐えないものである。
実施例3の工程A後のフィルムを巻き取らず、そのまま連続して2番目のテンターに通して235℃の熱風にて熱処理を行った以外は実施例3と同じとした。結果を表2に示す。フィルムの巻き返しなしに熱処理行う場合、位相差の減算効果が得られないため、幅方向の位相差の変動は非常に大きく、使用に耐えないものである。
横延伸条件を表1のパターン4に示す通りとした以外、実施例1と同じとした。結果を表3に示す。フィルム幅方向において、主配向軸の傾きが70°以上の部分が多いため幅方向明度ムラが悪化した。
実施例3の工程A後のフィルムを、中央部からカットして2丁のフィルムを得た。そのうちどちらか一方を進行方向が逆となるようにして送り出し、再びテンター内で235℃の熱風にて熱処理を行い、その際幅方向に3%の弛緩処理を施し、室温まで徐冷後、巻きとり、両端を全幅に対してそれぞれ14%トリミングして幅700mm、厚さ25μmのフィルムを得た。その結果を表3に示す。幅方向の位相差の変動も大きく、また、主配向軸の傾きの変動も大きく使用に耐えないものである。
実施例3の工程A後のフィルムを、両端部を全幅に対してそれぞれ6%トリミングしてフィルムを得た。このフィルムを進行方向が逆となるようにして送り出し、再びテンター内で235℃の熱風にて熱処理を行い、その際幅方向に3%の弛緩処理を施し、室温まで徐冷後、巻きとり、両端をトリミングして幅700mm、厚さ25μmのフィルムを得た。その結果を表3に示す。幅方向の位相差の変動も大きく、また、主配向軸の傾きの変動も大きく使用に耐えないものである。
実施例3の熱処理温度Aを223℃とした以外、実施例3と同じとした。結果を表3に示す。主配向軸の傾きは45°に近いが、位相差の減算効果はほとんどなく、幅方向の位相差の変動および位相差は非常に大きいものである。
縦延伸倍率を3.5倍、横延伸倍率を3.6倍、横延伸条件を表1のパターン4に示す通りとし、工程Bの熱処理温度を235℃とした以外、実施例1と同じとした。結果を表3に示す。フィルム幅方向において、主配向軸の傾きが70°以上の部分が多く、配向角ムラも大きいため、工程Bを経ても幅方向明度ムラおよび視認性は悪いものであった。
Claims (4)
- 位相差が400nm以下であり、フィルム幅に占める、配向角が20~70°であるフィルム幅方向の領域が全フィルム幅の60%以上のフィルムであって、フィルム厚みが10~25μmであり、フィルム幅方向のフィルムの長さが600mm以上であり、フィルム長手方向のフィルムの長さが100m以上であり、フィルム幅方向における位相差の変動幅が50nm/200mm以下であり、結晶性樹脂を主成分とする層と非晶性樹脂を主成分とする層が交互に3層以上積層されてなり、前記非晶性樹脂が共重合成分としてイソフタル酸を全カルボン酸成分の中で5モル%以上35モル%以下含むポリエステルまたは、共重合成分としてスピログリコールを全グリコール成分の中で5モル%以上40モル%以下含むポリエステルであり、偏光子保護フィルムまたはタッチパネル用の位相差フィルムに用いられることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
- フィルム幅方向のフィルムの長さが5000mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法であって、以下(1)~(5)の工程を順に含み、以下(1)の二軸延伸工程において、幅方向への延伸が、フィルム幅方向端部をレールに担持させ、レール幅を広げる方法により行われるものであって、レール幅Xが以下の関係式を満たすことを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
(1)ポリエステル樹脂を溶融した後、長手方向および幅方向への二軸延伸を行う工程。
(2)二軸延伸後、熱処理Aを行う工程。
(3)熱処理A後、ポリエステルフィルムを巻き取る工程。
(4)巻き取ったフィルムを、(1)~(3)の工程時のフィルム進行方向と反対方向に巻き出し、前記熱処理Aの熱処理温度よりも40~80℃高い温度で熱処理Bを行う工程。
(5)フィルム中央部分の主配向軸の傾きが20~70°の範囲を外れる領域、及びフィルム幅方向の両端部をトリミングにより除去する工程。
X(50%)≧Xmin+a×(Xmax-Xmin)×0.5
(1.9≧a≧1.1)
Xmax:幅方向延伸終了点のレール幅
Xmin:幅方向延伸開始時のレール幅
X(50%):延伸区間の中間地点(50%)の時のレール幅 - 前記二軸延伸が、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する逐次二軸延伸であることを特徴とする請求項3に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
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