JP6728580B2 - 積層フィルム、光学表示装置またはタッチパネル - Google Patents

積層フィルム、光学表示装置またはタッチパネル Download PDF

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Description

本発明は積層フィルムに関する。特に液晶ディスプレイに用いられる偏光板の外側に用いられる光学用フィルムに関するものである。
近年、液晶ディスプレイはテレビ、パソコン、デジタルカメラ、スマートフォンの表示装置として幅広く使用されており、特にスマートフォンやカーナビなど屋外で用いられるケースが非常に多くなってきている。屋外で使用する場合、目の保護のためにサングラスをかける場合もあるが、表示画像から出射される光は偏光板を介しているため直線偏光であるのに対し、サングラスも偏光により入射光を減衰させているため、表示画像の直線偏光とサングラスの直線偏光の偏光軸が直交している場合に表示画像が真っ暗となる現象が発生する(ブラックアウト現象ともいう)。上記問題を解決するために表示画像の偏光板の外側(視認側)に、λ/4位相差フィルムを設けることにより、直線偏光を円偏光に変調させる方法が知られているが、従来の位相差フィルムは、縦延伸と横延伸を組み合わせた二軸延伸で製造されているため、原理的に配向軸がフィルムの長手方向に対しほぼ0°または90°方向になる。長手方向から位相をλ/4ずらすためには、長尺の延伸フィルムロールから30〜60°の角度で切り出す必要があるため、生産性やロスが多く問題があった。また、二軸延伸フィルムは、幅方向の端部に行くにしたがってボーイングによる配向軸の傾斜が見られるため、幅方向の両端部を使用することによりロール・トウ・ロールで使用できることが知られている(特許文献1)。しかしこの方法ではフィルムの端部以外は使用できないためロスが非常に大きく、幅方向の位相差ムラも大きいという問題がある。
また、近年はコスト削減と偏光板の薄膜化の要求が高くなっていることから、位相差フィルムを使用せずに、視認側の偏光子保護フィルムにλ/4位相差の機能を併せ持つことが望まれてきている。これに対し、ほぼ無配向のフィルムを斜め方向に微延伸し、フィルム長手方向に対し配向軸が30〜60°となる長尺の偏光子保護フィルムの製造方法が提案されている(例えば特許文献2〜4参照。)。このような配向軸が傾斜した延伸フィルムを使用することにより、従来のバッチ式の貼り合せではなく、ロール・トウ・ロールの貼合が可能になることから生産性は飛躍的に向上し、ロスも大幅に低下する。 しかしながら、斜め延伸を行うには特殊な斜め延伸装置が不可欠であるため、設備投資額が甚大なものとなる。また、斜め延伸はTAC(トリアセチルセルロース)やCOP(シクロオレフィンポリマー)といった非晶性樹脂に適用が限定されるものであるため、コストが高くフィルム薄膜化が不可能である。低コスト化や偏光板の薄膜化を目的として、従来のTACフィルムから二軸延伸ポリエステルフィルムへの置換えが盛んに検討されているものの、ポリエステルのような結晶性樹脂に、斜め延伸を行うと、延伸ムラが発生しまた配向不足により耐熱性が悪いものしか得られない。一方、斜め方向の位相差を非常に大きくして干渉ムラを低減させたポリエステルフィルムも知られている(特許文献5)。しかしこの製造方法にて得られたポリエステルフィルムは、一軸延伸フィルムであるため熱寸法安定性が悪く、また、熱処理時のボーイングにより幅方向位相差ムラが発生する問題は解消できていない。現状、これら全ての問題を改善した斜め配向のフィルムは達成できていない。
特開2013−194107号公報 特開2006−069192号公報 特開2012−103651号公報 特開2014−069436号公報 特開2015−004826号公報
上記課題に鑑み、本発明は以下課題を解決したフィルムを提供することを目的とする。(1)二軸配向したA層とB層とを有する積層フィルムであり、A層とB層の各位相差が互いに減算されることにより、低位相差のフィルムを提供し、幅方向の位相差ムラや配向角ムラが少ないため、偏光子保護フィルムとして大画面の液晶ディスプレイなどの表示装置に搭載した際にもコントラストや干渉色の変化が少なく、高品位な表示を得ることができる。またさらに好ましい形態によると、(2)配向軸が長手方向より傾斜していること、(3)幅方向の位相差が均一であること、(4)従来の二軸延伸装置で作成することができ、ロール・トウ・ロールで作成することができ、生産ロスが少ないこと、である。
本発明は次の構成からなる。すなわち、少なくとも2層以上積層された積層フィルムであって、二軸配向した、スピログリコールを含まないポリエステル樹脂であるA層とB層とを有し、表層からk番目における位相差をRe(k、全層数をnとした時に、積層フィルムの全位相差Reが式(1)(2)を満たし、A層及びB層の、フィルム幅方向における位相差ムラが30nm/200mm以上であることを特徴とする積層フィルムである。
Figure 0006728580
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本発明は、低位相差を有し、従来の二軸延伸装置で斜め配向フィルムをロスがなく作成されるもので有り、位相差フィルム、位相差機能を備えた偏光子保護フィルム、タッチパネル用位相差フィルムなどに使用することができる。また、幅方向の位相差ムラや配向角ムラも少ないため、偏光子保護フィルムとして大画面の液晶ディスプレイなどの表示装置に搭載した際にもコントラストや干渉色の変化が少なく、高品位な表示を得ることができる効果を奏する。
本発明の好ましい実施形態による、フィルム幅方向位置での位相差と配向角の関係図である。 本発明の他の実施形態による、フィルム幅方向位置での位相差と配向角の関係図である。 本発明の他の実施形態による、フィルム幅方向位置での位相差と配向角の関係図である。 ストレート延伸時のテンターレール幅の概略図である。 オニオン延伸時のテンターレール幅の概略図である。 本発明のより好ましい実施形態による、フィルム幅方向位置での位相差と配向角の関係図である。 A層フィルムとB層フィルムをラミネートするときのフィルム状態を示す図である。矢印はフィルム製膜工程における流れ方向を表す。 図7のラミネートにより得られたフィルムの、幅方向位置での位相差と配向角の関係図である。 図7のラミネートにより得られたフィルムの中央部と両端部をトリミングして除去し、残ったフィルムの、幅方向位置での位相差と配向角の関係図である。 A層フィルム同士をラミネートするときのフィルム状態を示す図である。 図10のラミネートにより得られたフィルムの、幅方向位置での位相差と配向角の関係図である。 A層フィルムとB層フィルムを、中央部と両端部をトリミングして除去し、残ったフィルムをラミネートするときのフィルム状態を示す図である。 A層フィルムを、中央部と両端部をトリミングして除去し、残った中央部から+部分と中央部から−部分ラミネートするときのフィルム状態を示す図である。 図13のラミネートにより得られたフィルムの、幅方向位置での位相差と配向角の関係図である。 厚みの異なるフィルムを、図7に示す方式でラミネートし得られたフィルムの幅方向位置での位相差と配向角の関係図である。 熱処理温度の異なるフィルムを、図7に示す方式でラミネートし得られたフィルムの幅方向位置での位相差と配向角の関係図である。 タッチパネル積層体の一例の断面図である。 タッチパネル積層体の一例の断面図である。
以下、本発明の製造方法によって得られる積層フィルムについて説明する。本発明の積層フィルムは、少なくとも2層以上積層された積層フィルムであって、二軸配向したA層とB層とを有する。ここで二軸配向とは、基本的に長手方向と幅方向に二軸延伸することにより得られ、長手方向と幅方向に強く配向しているものを指す。また、表層からk番目における位相差をRe(k)、全層数をnとしたときに、積層フィルムの全位相差Reが式(1)(2)を満たす。
Figure 0006728580
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ここで一般的に位相差とは、フィルム又は層の面内位相差であり、別に断らない限り、(Nx−Ny)×dで表される値である。ここで、Nxは、フィルム又は層の厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。Nyは、フィルム又は層の前記面内方向であってNxの方向に垂直な方向の屈折率を表す。dは、フィルム又は層の膜厚を表す。別に断らない限り、前記の位相差の測定波長は590nmである。前記の位相差は、市販の位相差測定装置(例えば、王子計測機器社製、「KOBRA−21ADH」、フォトニックラティス社製、「WPA−micro」)あるいはセナルモン法を用いて測定できる。フィルムを、偏光方向が平行となるように設けられた2枚の偏光板で挟んで、該偏光板を回転させた時の透過光強度の変化から測定サンプルの位相差と、フィルム上の屈折率が最も大きくなる方向である配向角を計測することができる。各層の位相差Re(k)は、各層を剥離してそれぞれを、位相差測定装置を用いて測定した値であり、積層フィルムの全位相差とは、積層フィルムそのものを測定した値とする。
本発明の積層フィルムは、表層からk番目の層における位相差をRe(k)、全層数をnとした時に、積層フィルムの全位相差Reが下記式(1)
Figure 0006728580
を満たす。(1)式は、市販の測定装置を用いて得られる積層フィルム全体の位相差が、各層の位相差を個別に測定・算出し、それぞれの位相差を加算して得られた値の0.85倍未満となることを意味する。より好ましくは、積層フィルムの位相差が、各層の位相差の合計値の半分以下であることが好ましい。ここで、各層の位相差を測定する場合には、各層を剥離して単膜になったフィルムを市販の測定装置で測定しても良いし、特開2014−149346にあるように表層を、プラスチック用研磨布で研磨し、各層を単層にした後に測定しても良い。
本発明の積層フィルムは、Reが250nm以下であることが必要である。偏光子を介して使用する目的のフィルムでは、位相差の値が高くなると液晶ディスプレイに実装した際に位相差に応じた干渉色を生じるようになり、品位が低下するため問題となる。ここで、位相差が250nm以下であれば、そのような干渉色の発生を抑制できる。より好ましくは、200nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。位相差の値が小さくなるに従い、偏光子保護フィルムとして液晶ディスプレイに実装した際の干渉色が生じにくくなり、好ましいものとなる。
また、入射角を変えていくとフィルムの位相差は大きく増加していく。入射角度50°の位相差を厚み方向位相差と呼ぶが、厚み位相差が300nmを超えると虹ムラが観察されることから厚み位相差は300nm以下が好ましい。より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは150nm以下である。
本発明においては各層の位相差の合計値Σ Re(k)が積層フィルムの合計値よりも低くなるものである。従来であれば、積層フィルムの位相差は、各層の配向軸がほぼ同軸である場合は各位相差の合計値と同じ値を示す。一方でA層の主配向軸とB層の主配向軸とがなす角度が20°以上となると、各層の位相差は単純加算とならず低い値を示すようになり、60°を超えると、減算効果が働き、積層フィルムの位相差はより低くなる。そのため、本発明においては積層フィルムに含まれるA層の主配向軸とB層の主配向軸とがなす角度が、60〜120°であることが好ましい。この範囲であればA層の主配向軸とB層の主配向軸は直交しているため、A層とB層の位相差が減算しあう(本発明ではA層フィルムとB層フィルムの主配向軸の傾きが60〜120°の範囲にある場合を「直交」と呼ぶ)。より好ましくは80〜100°であり、こうするとA層とB層の位相差の減算効果が非常に高くなる。
本発明の積層フィルムは、フィルム長手方向に対する主配向軸の傾きが30〜60°となることが好ましい。フィルム長手方向に対する主配向軸の傾きが30〜60°であると、ロール・トウ・ロールでλ/4の円偏光を持つフィルムを供給することが可能となるため、生産性が大幅に向上する。より好ましくは40〜50°であり、もっとも円偏光の効果が高くなる。
本発明の積層フィルムは、フィルム幅方向における位相差ムラが50nm/200mm以下であることが好ましい。フィルム幅方向における位相差ムラが50nm/200mmより大きいと、大画面のディスプレイに用いたときに幅方向の場所の違いにより干渉色や明度ムラが目立つため好ましくない。より好ましい値は30nm/200mm以下であり、さらに好ましくは10nm/200mm以下である。また、フィルム長手方向とは、フィルム製膜工程におけるフィルムの進行方向のことであり、幅方向とは長手方向から90°角度を傾けた方向である。
本発明の積層フィルムは、A層及びB層の、フィルム幅方向における位相差ムラが30nm/200mm以上であることが重要である。フィルム幅方向における位相差ムラが30nm/200mmより小さいと、二軸延伸工程においてフィルム長手方向に対する主配向軸の傾きを30〜60°とすることが困難となる。
本発明の積層フィルムは、A層とB層の長手方向と幅方向のヤング率の差の絶対値が1.5GPa以下であることが好ましい。長手方向と幅方向のヤング率の差の絶対値が1.5GPaより大きいと、異方性が強すぎるために熱収縮率が高くなるため好ましくない。
本発明の積層フィルムは、フィルム長手方向に対する主配向軸の傾きが30〜60°の2層以上からなり、A層の主配向軸とB層の主配向軸とがなす角度を、60〜120°とするには、A層とB層を溶融製膜時に一括積層して達成することは困難であるため、A層とB層が粘着層を介して積層されていることが好ましい。
本発明の積層フィルムの好ましい製造方法について説明する。本発明の積層フィルムは、二軸延伸工程においてボーイングを顕著に発生させて巻き取る工程(A)と、巻き取ったフィルムを、進行方向(製膜方向ともいう)が逆となるように貼り合わせる工程(B)がとられる。なお、工程Aと工程Bとの間、もしくは工程Bの後には、本発明の効果を阻害しないものであれば任意の工程を含んでいてもよい。
(工程A)
工程Aは、未延伸フィルムに対して二軸延伸と熱処理を行う。長手方向への延伸は、通常は、ロールの周速差により施される。この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロールを使用して多段階に行っても良い。延伸倍率は厚みムラや、後述する横倍率で破れが発生しない範囲で行われる。用いる樹脂によって延伸倍率は異なるが、生産性の点から2.5〜6.5倍の範囲で行われるのが好ましい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する最表層樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+60℃の範囲が好ましい。次にこのフィルムをテンターに通して幅方向に横延伸を行う。このときの延伸倍率は、厚みムラや破れが発生しない範囲で、かつ、フィルム幅方向中央部の、屈折率差(Δn:長手方向屈折率−幅方向屈折率)が、以下の式(3)を満たしていることが好ましい。
(3) −0.02>Δn>0.03
Δnがこの範囲にあると、長手方向と幅方向の配向が等方であるために、加熱によりボーイングが顕著に発生しやすくなり、幅方向で配向角30〜60°の範囲が広くなる。図1に、−0.02>Δn>0.03の条件で製膜した厚み15μm、2700mm幅のポリエチレンテレフタレートの、幅方向における位相差と配向角分布を示す(便宜的に幅方向の中心部分を0、右手方向を+、左手方向を−とする)。Δnが−0.02よりも低い場合、加熱によりボーイングが発生しにくくなるため好ましくない(図2)。また、Δnが0.02よりも大きい場合、ボーイングは顕著に発生するものの、幅方向において配向角が60°よりも大きくなる領域が広くなるため好ましくない(図3)。−0.015>Δn>0.015の範囲がより好ましく、ボーイングがより起こりやすい。
横延伸については、段階昇温延伸やオニオン延伸で行うことが好ましい。通常の横延伸では、延伸ゾーンの温度は一定に設定されているが、段階昇温延伸ではテンターゾーンを数セクションに分割して、徐々に昇温して延伸する方法である。また、通常のストレート延伸が、延伸区間長Lの比率に比例して延伸倍率が上昇するのに対し(図4)、オニオン延伸とは、延伸区間長の初期に延伸倍率を大きくする方法であり、(図5)以下の式(4)を満たすことが好ましい。
(4) Xl≧X0+a×(X−X0)×Ll/L (a≧1.1)
L:横延伸終了時の延伸区間長、Ll:延伸区間長
X:横延伸終了時のフィルム幅、X0:横延伸開始時のフィルム幅
X:延伸区間長Ll時のフィルム幅
このとき、定数aは1.1以上が好ましく、より好ましくは1.2以上が好ましい。また、オニオン延伸において、延伸開始時の横延伸温度(T0)と、延伸終了時の横延伸温度(T)が以下の式(5)を満たすことが好ましい。
(5) 60>T2−T1>15
(3)(4)(5)を満たした二軸延伸フィルムの幅方向の位相差と配向角の分布を図6に示す。図1において、配向角の分布がV字状だったのに対し、(4)(5)を満たすことにより、配向角30〜60°の領域が幅方向で広がっていることからより好ましい。また、このような横延伸方法をとると、その後に熱処理を行っても配向角の分布形状はほとんど変化しないため好ましい。二軸延伸は、同時二軸延伸または逐次二軸延伸のどちらにも限定されないが、逐次二軸延伸の方が図6の配向角分布を形成しやすいことから好ましい。また、結晶性樹脂の場合は、さらにこのフィルムを横延伸温度以上〜融点−20℃の温度で熱処理を行うことにより、フィルムの強度、表面均一性、熱寸法安定性が保たれるため好ましい。熱処理後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。
(工程B)
工程Bは、工程Aにて得られたフィルムを裁断してラミネートを行う。図6に示すようなフィルム長手方向に対する主配向軸の傾きが30〜60°の幅方向分布を持つフィルムロールを二つ用意し、一方はフィルムを巻き返しておくことにより、フィルムの進行方向を逆転させておく(便宜的に、ここでは巻き返しのないフィルムをA層フィルム、巻き返したフィルムをB層フィルムと呼ぶ)。この二つのフィルムを図7に示すように、A層フィルムとB層フィルムをロール・トゥ・ロールでラミネートを行う(図7)。この時に使用するラミネート材は特に限定されないが、透明性に優れる部材が好ましい。液状の樹脂で熱や湿気、紫外線等にて硬化させる接着剤(OCR)よりは硬化収縮の影響を受けない光学用透明粘着シート(OCA)で圧着する方式が好ましい。
このようにして得た積層フィルムは、図8に示すような配向角と位相差の幅方向分布を持つ。このフィルムの幅方向中央部(−300〜300mm)と端部(−1200mm以下、および1200mm以上)をトリミングして除去し、得た2丁の積層フィルムは、広幅において配向角30〜60°で、かつほぼ位相差が均一である(図9)。これは、A層フィルムとB層フィルムを重ねると、幅方向の中央部と端部を除けば、主配向軸がほぼ直交することになるため、位相差はほぼ単純減算しあうことに加え、A層フィルムとB層フィルムが同一のフィルムであれば幅方向の位相差ムラも同一であるため、均等に減算しあい、非常に低位相差となったと考えられる。
この製造方法においては、貼り合わせるフィルムの内一方を、フィルムの進行方向を逆転してラミネートすることが重要である。図10に示すように、巻き返しせずに進行方向が同じフィルムをラミネートした場合、フィルムの主配向軸が重なるため位相差が加算され、幅方向の位相差ムラは悪化する(図11)。また、貼り合わせるフィルムは、(3)の式を満たしているフィルムであれば効果があるが、特に(4)および(5)の式を満たす方式で作られたフィルムであれば、位相差の減算効果が高いために好ましい形態である。
上記工程(A)(B)を経ることにより、下記本発明の構成をすべて満たしたフィルムが得られる。
上記説明において、全幅フィルムをそのまま使用してラミネートする方法を示したが本発明では特に限定されない。工程Aで得たロールフィルムを、先に中央部と端部のトリミングを行い、得られた2丁のロールフィルムを、どちらか一方を巻き返すことにより進行方向を逆転し、貼り合わせる方法でも同様のサンプルを得ることができることから、工程の順番を任意に入れ替えてもよい(図12)。いずれにしても、どの方法においても、進行方向を逆転してラミネートすることは必須である。中央部をトリミングして得たフィルム同士を、巻き返しのないままラミネートを行った場合の模式図を図13に示す。2丁のフィルムの配向角は直交し合っているため位相差は減算しあうものの、位相差が均等に減算されないため幅方向の位相差ムラは結果的に解消されない(図14)。
上記方法は、フィルムを貼り合わせて互いの幅方向位相差ムラを減算して解消する手法であることから、全幅にわたってA層とB層の主配向軸が完全に直交し、かつ位相差が同一であるならば、全幅にわたって位相差ゼロの積層フィルムが得られる。だが実際にはフィルムの流れ方向および幅方向には、厚みムラや位相差ムラおよび配向角ムラが存在することから、それがそのまま幅方向位相差ムラに直結する。そのため、幅方向位相差ムラを低減するために厚みムラを低減するプロセスや、幅方向にわたって配向角が均一となる手法を講じることは本発明の効果を高めるため、より好ましい。また、裁断して破棄する領域も減るためコスト的にも好ましい。
位相差は複屈折と厚みの積によって決まるため、厚みや複屈折の異なるA層とB層を貼り合わせることも好ましい。図15に厚み20μmと厚み15μmのPETフィルムを同様の方法にて貼り合わせたときの幅方向分布を示す。また、図16には、熱処理温度の異なる厚み15μmのフィルムを貼り合わせたときの幅方向分布を示す。図15および図16に示す通り、厚みまたは複屈折の異なるフィルムを用いることで位相差を調整することが可能である。一方で、厚みや熱処理温度が異なるフィルム同士は、幅方向の配向角ムラや位相差分布の傾向が少しずつ異なるため、A層とB層の位相差の差を大きくすればするほど、最終的に得られる積層フィルムの幅方向位相差ムラは増大する傾向にあり、使用可能なフィルム幅が狭まる。そのため、貼り合わせるフィルムの、厚みの差は10μm以内、熱処理温度の差は30℃以内にすることが好ましく、最終的に貼り合わされて得られた積層フィルムの位相差は150以下、さらに好ましくは70以下にすることが好ましい。
本発明に用いる樹脂としては、溶融可塑化できる状態を有しているものであれば特に制限はなく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂のいずれでもよく、単一の繰り返し単位からなる樹脂であってもよく、共重合体または2種類以上の樹脂のブレンドであってもよい。ここで、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂を用いうる場合としては、硬化前に溶融可塑化できる状態がある場合が挙げられる。より好ましくは、成形性が良好であるため、熱可塑性樹脂が用いられる。また、A層とB層の樹脂は同一である必要はなく、異なる樹脂同士であっても良い。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチルサクシネート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体樹脂、フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂などを用いることができる。A層とB層が厚み方向に正の屈折率を持っていることが好ましい。ここで正の屈折率を有するとは、二軸延伸後にフィルムの延伸方向に屈折率の最大値が存在することを表し、負の屈折率を有するとは、フィルムの厚さ方向に屈折率の最大値が存在することを表す(負の固有複屈折率ともいう)。厚み方向に負の屈折率を持つ樹脂は一般的に二軸延伸性が悪いため好ましくない。負の屈折率を持つ樹脂としてスチレン系重合体が挙げられる。また、成形に耐え得るだけの延伸性と追従性を備える樹脂であることが好ましい。この中で、強度・耐熱性・透明性の観点から、A層とB層がポリエステル樹脂であることが好ましい。
本発明においてポリエステルとしては、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合体であるホモポリエステルや共重合ポリエステルのことをいう。ここで、ホモポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニルレートなどが代表的なものである。特にポリエチレンテレフタレートは、安価であるため、非常に多岐にわたる用途に用いることができ好ましい。
また、共重合ポリエステルとは、2種以上のジカルボン酸成分もしくはジオール成分が用いられ、または、ジカルボン酸成分、ジオール成分に加えてヒドロキシカルボン酸成分が用いられた樹脂をいい、例えば、次にあげるジカルボン酸構造単位を与える成分とジオール構造単位を与える成分より選ばれる少なくとも3つ以上の成分からなる重縮合体が挙げられる。ジカルボン酸骨格を有する成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。グリコール骨格を有する成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノールそれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。本発明においては、正面から観察した際の位相差は任意に変更できるが、入射角を傾けた際の厚み方向の位相差は低減できないため、これらの共重合ポリエステルをそのまま、ないし積層すると、厚み方向位相差を低減することができるためが好ましい。特に、熱処理温度を共重合ポリエステルの融点よりも高温にしておくと、配向緩和が進むためより好ましい。また、共重合ポリエステルが非晶性ポリエステルであるとより好ましい。非晶性ポリエステルであると、配向緩和後の加熱でも結晶化が起こらないため、加熱白化しにくい。非晶性ポリエステルは、先述したポリエステルの中から、示差熱量分析(DSC)において昇温速度5℃/分で昇温させたときの結晶融解熱量が1mJ/mg未満であることが必要であり、特に、ジカルボン酸成分とジオール成分を合わせて3種以上用いて重縮合して得られる共重合ポリエステルであることが好ましい。
また、非晶性ポリエステルとしては、共重合成分としてイソフタル酸を含むポリエステルが好ましい。イソフタル酸を含むポリエステルは、結晶性を低下させることができるために、容易に位相差を抑制することができ、かつ、二軸延伸しても厚み方向の屈折率が低下しにくいために、入射角を変えたときの虹ムラも発生しにくくなる。イソフタル酸の好ましい共重合量は、全カルボン酸成分の中で5モル%以上35モル%以下である。5モル%未満では効果がなく、35モル%より大きくすると重合が困難となる。
また、耐熱性や低熱収縮率が求められる用途においては、非晶性ポリエステルのガラス転移温度は高い方がよく、好ましくは85℃以上、さらに好ましくは90℃以上、特に好ましくは105℃以上である。また、ガラス転移温度の上限は特に限定されるものではないが、通常130℃以下である。非晶性ポリエステル樹脂としては市販の各種原料を好ましく使用することができ、例えば商品名:「TRITAN」(EASTMAN Chemical(株)製、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを使用)、及び商品名:「ECOZEN」(SK Chemical(株)製、イソソルビドを使用)などを挙げることができる。
本発明の積層フィルムは、本発明の効果を阻害しない範囲であれば特に積層数は限定されないが、粘着層を介して積層される層数は2~5層の間が好ましい。その中でも、積層フィルムに含まれる少なくとも2層は配向軸が直交している必要がある。
本発明の積層フィルムは、厚みは特に限定されないが、取扱い性と機能性の点から10〜300μmの範囲にあることが好ましい。また、フィルム厚みが厚くなるほど厚み方向位相差が大きくなり、入射角を変えたときに虹ムラが観察されやすくなることから、より好ましい厚みは10〜100μmの範囲である。また、偏光子保護フィルムの用途では、位相差低減のためとパネル薄膜化のためフィルム厚みは薄い方が有利であり、好ましいフィルム厚みは10〜25μmである。また、タッチパネル用のITO基材フィルムとしては飛散防止機能が必要であることから20〜200μmのフィルム厚みが好ましい。
本発明の積層フィルムは、厚みを自由に設定することが可能でありながら、低位相差であり、主配向軸が長手方向より傾いているため、サングラスを装着した際のブラックアウト現象を引き起こすことがなく、位相差フィルムや偏光子保護フィルムに用いられることができる。偏光子としては、例えば市販のPVA中にヨウ素を含有させて配向させて作成されたPVAシートを用いることができる。本発明の積層フィルムは偏光子と貼り合わされて偏光板として用いられることが好ましい。
また、偏光子保護フィルムに用いられる場合、250〜380nmの透過率が30%以下であることが好ましい。より好ましくは15%以下である。250〜380nmの紫外光の遮蔽が求められる理由としては、偏光板内の偏光子の劣化を抑制するためである。偏光子とは、特定の振動方向のみを有する光を透過させる機能を有するものであり、ヨウ素や二色性染料などで染色したポリビニルアルコール(PVA)系フィルムが最も多く使用されている。この偏光子は、有機材料により構成されているため、紫外線によって劣化されやすいという問題がある。特に、250〜380nmの波長の紫外線を照射することで劣化が起こるため、この領域における紫外線光を偏光子に届く手前で遮蔽することにより、偏光子の劣化、あるいは液晶の劣化を防止することが可能となる。また、画像表示装置のバックライトとして蛍光管を用いている場合、偏光板にバックライトの蛍光管から直接光が照射されるため、偏光子の保護膜に紫外線遮蔽性能を付与することは必須となる。光線を遮蔽する機構として、多層構造によって紫外光を反射させることが好ましい。反射波長の設定は、上述した通り多層積層フィルムの各層の層厚みによって決定される。反射以外に吸収を併用してもよい。光線吸収を利用する場合、本発明の好ましい態様である積層した二軸延伸フィルムの最外層を含むA層もしくは内層であるB層あるいはその両方に添加してもよい。中でも、B層にのみ紫外線吸収剤を含有することが最も好ましい。最外層に紫外線吸収剤を添加すると、添加した紫外線吸収剤がフィルム表面に析出する現象、およびそれが揮散する現象が発生しやすくなり、これによってフィルム製膜機が汚染され、析出物が加工工程において悪影響を及ぼすため好ましくないものである。内層にのみ添加することで、最外層が紫外線吸収剤の揮散を防ぐフタとしての役割を果たすため、析出現象が起こりにくくなり好ましいものである。
フィルム中に含有される紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤が好ましい。無機系の紫外線吸収剤はベースとなる樹脂と相溶せずヘイズの上昇につながり、液晶表示した際の視認性を低減させることに繋がるため、好ましくない。
添加する有機系紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、たとえば、フェニルサリチレート、t−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等、ベンゾフェノン系、例えば、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−オクトキベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−ドデシロキシベンゾフェノン、2−2´−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4,4´−ジメトキシベンゾフェノン等、ベンゾトリアゾール系、たとえば、2−(2´−ヒドロキシ−5´−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−5´−t―メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−3´、5´−ジ―t―ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−3´―t―ブチル―5´―メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−3´、5´−ジ―t―ブチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール等、天然物系(たとえば、オリザノール、シアバター、バイカリン等)、生体系(たとえば、角質細胞、メラニン、ウロカニン等)が挙げられる。これら有機系紫外線吸収剤は、1種類、または2種類以上併用して用いることが出来る。これらの有機系紫外線吸収剤には紫外線安定剤として、ヒンダードアミン系化合物を併用することが出来る。
紫外線吸収剤の含有量は、A層とB層の両層に添加する場合でも、その添加量の総和が2.0wt%以下であることが好ましく、より好ましくは1.00wt%以下であり、さらに好ましくは0.60wt%以下である。
また、ポリエステル中には、紫外線吸収剤以外のその他各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、有機系易滑剤、顔料、染料、有機又は無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などが本来満たすべきフィルム特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。
また、本発明の積層フィルムは、タッチパネル用フィルムにも用いられることが好ましい。タッチパネルは、抵抗膜式、光学式、静電容量式のいずれでもよい。静電容量式には、投影型と表面型に大別できる。マルチタッチが可能な観点から投影型静電容量式が最も好ましい。導電層は、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、インジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、スズ、などの金属およびこれらの合金や、酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化カドミウム、インジウムティンオキサイド(ITO)などの金属酸化物膜、ヨウ化銅などの複合膜によって形成することができる。これらの透明導電膜は真空蒸着、スパッタリング、反応性RFイオンプレーティング、スプレー熱分解法、化学メッキ法、電気メッキ法、CVD法、コーティング法あるいはこれらの組み合わせ法で薄膜を得ることができる。その他、導電性高分子としては、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリフェニレン・ビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ−p−フェニレン、ポリへテロサイクル・ビニレン、特に好ましくは、(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)である。その他、カーボンナノチューブやナノ銀なども高い導電性を示すため好ましい。これらは、有機溶媒に溶かすことにより、コーティング法で基材に塗布することができる。コーティング法は、ハードコート層の方法と同様に種々の方法を採用することができる。汎用性の観点から、ITOが好ましい。
アウトセルタイプのタッチセンサーとしては、大別してガラスセンサーとフィルムセンサーに分けられる。ガラスセンサータイプとしては、GG、GG2、G2、G1Mがある。GGとはカバーガラス/ITO/ガラス/ITO、GG2とはカバーガラス/ガラス/ITO/絶縁層/ITO、G2(OGS)とはカバーガラス/ITO/絶縁層/ITO、G1Mとはカバーガラス/ITOを基本構成としたものである。
飛散防止性の観点から、本発明の積層フィルムをタッチパネルと液晶パネルの間に用いることが好ましい。この場合は、特に、ガラスセンサータイプで用いられることが好ましい。
一方、フィルムセンサータイプとしては、GFF、GF2、G1F、GF1、PFF、PF1があり、いずれを用いてもよい。また、GFFとはカバーガラス/ITO/フィルム/ITO/フィルム、GF2とはカバーガラス/ITO/フィルム/ITO、またはカバーガラス/ITO/絶縁層/ITO/フィルム、G1Fとはカバーガラス/ITO/ITO/フィルム、GF1とはカバーガラス/ITO/フィルム、PFFとはカバープラスチック/ITO/フィルム/ITO/フィルム、P1Mカバープラスチック/ITOを基本構成としたものであり、本発明の積層フィルムは、ITOの支持基材フィルムとして用いることが好ましい。GF1、GF2のように、フィルムが一枚構成の場合は、本発明の積層フィルム構成をそのまま使用することができるが、GFFのようにフィルムが2枚構成の場合は、タッチパネルの構成に、A層とB層が独立して組み込まれている場合も本発明に含まれる。図17にその構成の一例を示すが(透明粘着シートは省略する)、この構成の場合はA層とB層のどちらか一方のフィルムロールを巻き返しておき、A層とB層の主配向軸が直交されていれば本発明の効果を奏する。また、ITO基材フィルムではなく、λ/4位相差フィルムとして使用することができる。図18にその構成の一例を示すが(透明粘着シートは省略する)、この場合でも、A層とB層の主配向軸が直交している必要がある。このときのフィルムには取扱い性と飛散防止機能が必要であることから20〜200μmのフィルム厚みが必要となるが、本発明の積層フィルムであれば厚みに関係なく、低位相差とすることが可能であり、着色や虹ムラが発生しない。
(特性の測定方法および効果の評価方法)
本発明における特性の測定方法、および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)層厚み、積層数、積層構造
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察することにより求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件でフィルムの断面写真を撮影し、層構成および各層厚みを測定した。なお、場合によっては、コントラストを高くするために、RuOやOsOなどを使用した染色技術を用いた。また、1枚の画像に取り込められるすべての層の中で最も厚みの薄い層(薄膜層)の厚みにあわせて、薄膜層厚みが50nm未満の場合は10万倍、薄膜層厚みが50nm以上500nm未満である場合は4万倍、500nm以上である場合は1万倍の拡大倍率にて観察を実施した。
(2)積層フィルムの全位相差・各層フィルムの位相差
位相差は、王子計測機器(株)製、「KOBRA”(登録商標)−21ADH」を用い、フィルムの幅中央部から両端部にかけて200mm間隔で、入射角0°における波長590nmの位相差を測定した。平均位相差とは全測定点の平均値で表す。積層フィルムの全位相差は、積層フィルムをそのまま測定した平均位相差で表す。各層フィルムの位相差は、積層フィルムの各層を剥離して粘着層をメチルエチルケトンなどで除去を行い、単層の状態で位相差測定を行い、その平均位相差で表す。
(3)位相差ムラ
位相差ムラの測定法は(2)に準じる。フィルムの幅中央部から両端部にかけて200mm間隔で位相差を測定していき、その中で最も大きい値から最も小さい値の差を位相差ムラとする。
(4)配向角
配向角の測定法は(2)に準じる。フィルム幅方向が本測定装置にて定義されている角度0°となるように、測定サンプルを装置に設置し、フィルムの幅中央部から両端部にかけて200mm間隔で、入射角0°における波長590nmの配向角を測定した。その中で最も大きい値を最大配向角、最も小さい値を最小配向角とする。また、KOBRAで測定した際、配向角は+90〜−90°の値で出力されるが、すべて正数に変換して表すものとする。
(5)主配向軸の傾き
主配向軸の傾きの測定法は(4)に準じる。フィルム長手方向が本測定装置にて定義されている角度0°となるように設定し、A層とB層のフィルムの配向角を測定し、A層とB層の配向角の差の絶対値を主配向軸の傾きとした。一方、ここで測定される配向角は、負数を正数に変換せずに計算するものとする。
(6)結晶融解熱量・ガラス転移温度
示差熱量分析(DSC)を用いてJIS−K−7122(1987年)に従って、測定サンプルのDSC曲線を測定した。試験は、25℃から290℃まで5℃/minで昇温し、その際のガラス転移温度と結晶融解熱量を計測した。40〜140℃の範囲内にある、2か所の変曲点を接線で結び、その中間点をB層のガラス転移温度とした。
装置:セイコー電子工業(株)製”ロボットDSC−RDC220”
データ解析”ディスクセッションSSC/5200”
サンプル質量:5mg。
(7)耐熱白化性
フィルムをオーブン中で100℃にて24時間処理をした後に室温まで冷却した。熱処理前後のヘイズ値の変化が3%未満である場合を〇、3%以上である場合を×とした。
(8)熱収縮率
フィルムロールの幅方向中央部から幅方向150mm、長手方向150mmのフィルム試料を採取した。それぞれの試料の中央部に、長手方向、幅方向それぞれについて、原長(L0)として100mmの間隔となるように一対の印をつけた。試料をオーブン中で150℃にて30分間熱処理をした後に室温まで冷却し、一対の印間の距離を測定し、処理後の長さ(L1)とした。それぞれの位置・方向における熱収縮率は、100×(L0−L1)/L0に従い算出した。得られた結果を長手方向・幅方向それぞれについて平均値を算出し、フィルムの熱収縮率とした。
(9)幅方向明度ムラ
LEDトレースボード上に、クロスニコルとなるように偏光フィルムを直交させる。その偏光フィルムの間に、積層フィルムを長手方向が偏光フィルムの偏光軸から45°となるように挟み込む。このときの入射角度を真上から観察したときに下記判定方法で判定した。
A:中央部から端部にかけて明度の差がほとんどない。
B:中央部から端部にかけて明度の差がわずかにある。
C:中央部から端部にかけて明度の差がはっきりと確認できる。
(10)視認性
(9)と同様の方法でサンプルを用意し、入射角度を真上から観察したときと40°傾けて観察したときの着色を下記判定方法で判定した。
A:真上および40°傾斜観察でも全く着色は見られない。
B:真上から観察したときは着色はないが、40°傾斜観察ではわずかに黄色い着色が見られる。
C:真上から観察したときは着色はないが、40°傾斜観察では黄色から桃色の着色が見られる
D:真上および40°傾斜観察でもはっきりとした着色が見られる。
(11)ヤング率
フィルムを10mm幅×200mm長に切り出し、長手方向にチャックで把持してインストロン型引っ張り試験機(インストロン社製超精密材料試験機MODEL5848)にて引っ張り速度100mm/分で伸長した。n数5で得られた平均値のヤング率を求めた。
(12)屈折率
アタゴ製アッベ屈折率計NAR−1Tにて、各層フィルムの長手方向(Nm)・幅方向(Nt)・厚み方向(Nz)の屈折率を測定した。Nm>Nz、Nt>Ntの場合は正の屈折率、Nm<Nz、Nt<Ntの場合は正の屈折率を持つと判定する。
(実施例1)
融点が258℃、結晶融解熱量40mJ/mgのポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、単軸押出機に投入し、280℃で溶融させて、混練し、ダイから押し出した。ダイから押し出した溶融シートを、25℃に冷却された回転ドラムに静電印可により密着固化させ、平滑なキャストフィルムを得た。得られたキャストフィルムを、予熱ロール65℃、延伸ロール85℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、フィルム長手方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却した。この一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、110℃の温度でフィルム幅方向に3.4倍延伸した。ここでの延伸区間は3セクションに分け延伸倍率と延伸温度は表1のパターン1に示す通りとした。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で215℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に3%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷後、巻きとり、幅2800mm、厚さ25μmのA層フィルムを得た。また、A層フィルムの一部を巻き返して得たフィルムをB層フィルムとする。
A層フィルムとB層フィルムを図5に示すように、透明粘着シート(日東電工株式会社製LUCIACS”(登録商標))でラミネートを行った。得られた積層フィルムは、幅2800mmの内、中央部の600mm、両端部をそれぞれ200mmトリミングして除去し、幅900mmの2丁の積層フィルムを得た。
トリミングした部位以外の全幅の位相差をKOBRAを用いて測定した。その結果を表2に示す。全幅にわたって配向角が28〜56°であり、このA層フィルムと巻き返しを行ったB層フィルムを貼り合わせることにより、全幅の位相差および位相差ムラも小さいものであった。視認性は、正面から観察したときに着色は見られなかったものの、入射角を傾けると着色が目立った。
(実施例2)
横延伸条件を表1のパターン2に示す通りとした以外、実施例1と同じとした。結果を表2に示す。全幅にわたって配向角が30〜52°であり、このフィルムを貼り合わせることにより、全幅の位相差および位相差ムラも小さいものであった。実施例1と比べると、わずかに位相差ムラは良化した。
(実施例3)
横延伸条件を表1のパターン3に示す通りとした以外、実施例1と同じとした。結果を表2に示す。全幅にわたって配向角が44〜51°であり、このフィルムを貼り合わせることにより、全幅の位相差および位相差ムラもより小さくなった。実施例2と比べると、位相差および位相差ムラは良化した。
(比較例1)
横延伸条件を表1のパターン4に示す通りとした以外、実施例1と同じとした。結果を表2に示す。フィルム幅方向のほとんどの配向角が30°未満であるため、このフィルムを貼り合わせても、位相差はほとんど減算されないため、全幅の位相差および位相差ムラは実施例1と比べて大幅に悪化し、視認性も色ムラがひどく使用できないものであった。
(実施例4)
横延伸条件を表1のパターン5に示す通りとした以外、実施例1と同じとした。結果を表2に示す。このフィルムを貼り合わせることにより、全幅の位相差および位相差ムラは小さくなったものの実施例1より悪かった。これは配向角が23〜49と、配向角が30°を下回っている部分があるため、その部分の位相差の減算効果が低かったと考えられる。
このフィルムを貼り合わせても、位相差の減算効果が低かった。また、全幅の位相差ムラは比較例2と比べればわずかに良化しているが依然として悪く、視認性も色ムラがひどく使用できないものであった。
(比較例2)
縦延伸倍率を3.1倍、横延伸倍率を3.7倍とした以外は実施例1と同じとした。全幅にわたって配向角は0〜7°であるため、このフィルムを貼り合わせると位相差は加算され、全幅の位相差は実施例1と比べて大幅に悪化し、視認性も色ムラがひどく使用できないものであった。
(実施例5)
厚みを8μmとした以外、実施例1と同じとした。結果を表2に示す。全幅にわたって配向角が30〜45°であり、このフィルムを貼り合わせることにより、全幅の位相差および位相差ムラも小さいものであった。また、フィルム厚みを薄くすることにより厚み方向位相差も低くなり、視認性も大幅に良化した。
(実施例6)
厚みを8μmとした以外、実施例2と同じとした。結果を表2に示す。全幅にわたって配向角が32〜48°であり、このフィルムを貼り合わせることにより、全幅の位相差および位相差ムラも小さいものであった。また、フィルム厚みを薄くすることにより厚み方向位相差も低くなり、視認性も大幅に良化した。
(実施例7)
厚みを8μmとした以外、実施例3と同じとした。結果を表2に示す。全幅にわたって配向角が36〜49°であり、このフィルムを貼り合わせることにより、全幅の位相差および位相差ムラも小さいものであった。また、フィルム厚みを薄くすることにより厚み方向位相差も低くなり、視認性も大幅に良化した。
(比較例3)
B層フィルムを使用せず、図8に示すように、A層フィルムを2枚貼り合わることによって積層フィルムを得た以外は、実施例7と同じとした。全幅にわたって配向角が36〜49°であるものの、貼り合わせるフィルム同士の配向角がそろっているために位相差は加算され、全幅の位相差は実施例7と比べて大幅に悪化した。
(実施例8)
実施例7と同じ条件で製膜した二軸延伸フィルムを、幅2800mmの内、中央部の600mm、両端部をそれぞれ200mmトリミングして除去し、2丁の二軸延伸フィルムを得た。このうち一方をA層フィルム、残りの一方を巻き返して得たフィルムをB層フィルムとする。A層フィルムとB層フィルムを図10に示すように、透明粘着シート(日東電工株式会社製LUCIACS”(登録商標))でラミネートを行い、積層フィルムを得た。その結果を表2に示す。全幅にわたって配向角が36〜49°であり、このフィルムを貼り合わせることにより、全幅の位相差および位相差ムラも小さいものであった。
(比較例4)
B層フィルムを使用せず、図11に示すように、A層フィルムを2枚貼り合わせることによって積層フィルムを得た以外は、実施例8と同じとした。全幅にわたって配向角が36〜49°であるものの、貼り合わせるフィルム同士の配向角がそろっているために位相差は加算され、全幅の位相差は実施例8と比べて大幅に悪化した。
(実施例9)
PETと、シクロヘキサンジカルボン酸が28モル%共重合されたPETを用いた(以降PETGともいう)。2台の単軸押出機にそれぞれの樹脂を投入し、280℃で溶融させて、混練した。次いで、それぞれピノールにて3層となるように合流させ、PETが表層、PETGが芯層となるようにした。このときの積層比(PET//PETG)は吐出量にて1になるように調整した。それ以外は実施例7と同じとした。結果を表3に示す。全幅にわたって配向角が46〜54°であり、このフィルムを貼り合わせることにより、全幅の位相差および位相差ムラも小さいものであった。非晶ポリエステルが使用されていることにより、厚み方向位相差も低くなり、視認性もさらに良化した。
(実施例10)
PETと、融点194℃のイソフタル酸が25モル%共重合されたPET(以降PET/I−1ともいう)を用いた以外は実施例9と同じとした。結果を表3に示す。全幅にわたって配向角が39〜47°であり、このフィルムを貼り合わせることにより、全幅の位相差および位相差ムラも小さいものであった。また、PET/Iが使用されていることにより、厚み方向位相差も低くなり、視認性もさらに良化した。一方で、PET/Iは加熱により白化するために耐熱白化性は悪化した。
(実施例11)
PETと、融点が224℃のイソフタル酸が12モル%共重合されたPET(以降PET/I−2ともいう)を用い、積層比(PET//PET/I−2)を0.5とした以外は実施例9と同じとした。結果を表3に示す。全幅にわたって配向角が36〜51°であり、このフィルムを貼り合わせることにより、全幅の位相差および位相差ムラも小さいものであった。また、熱処理温度がPET/I−2の融点未満でされているため、実施例10と比べると耐熱白化性は良化した。
(実施例12)
厚みを25μmとした以外、実施例11と同じとした。厚みを厚くした分、位相差および視認性は悪化するが、同厚みの実施例3と比べると大幅に良化していた。
(実施例13)
融点が236℃のイソフタル酸が8モル%共重合されたPET(以降PET/I−3ともいう)とした以外は実施例7と同じとした。結果を表3に示す。全幅にわたって配向角が40〜52°であり、このフィルムを貼り合わせることにより、全幅の位相差および位相差ムラも小さいものであった。また、厚み位相差が低いため、視認性においても全く問題がなかった。一方で、フィルム支持性が低下することから熱収縮率がやや悪化した。
(実施例14)
融点264の℃ポリエチレンナフタレート(以降PENともいう)と、シクロヘキサンジメタノール20モル%とイソソルベート14モル%を共重合したPET(以降PET/IS)を用い、積層比(PEN//PET/IS−1)を0.5として280℃で溶融させて混練した。得られたキャストフィルムを、予熱ロール75〜95℃、延伸ロール135℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、フィルム長手方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却した。この一軸延伸フィルムをテンターに導き、115℃の熱風で予熱後、110℃の温度でフィルム幅方向に3.35倍延伸した。ここでの延伸区間は3セクションに分け延伸倍率と延伸温度は表1のパターン3に示す通りとした。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で230℃の熱風にて熱処理を行った。それ以外は実施例7と同じとした。結果を表3に示す。全幅にわたって配向角が33〜49°であり、このフィルムを貼り合わせることにより、全幅の位相差および位相差ムラも小さいものであった。また、ガラス転移温度が高い樹脂を使用することにより、熱収縮率も低いものが得られた。
(実施例15)
PENと、シクロヘキサンジメタノール15モル%と2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールモル12%を共重合したPET(以降PET/TMCDともいう)を用いた以外は、実施例14と同じとした。結果を表3に示す。全幅にわたって配向角が30〜46°であり、このフィルムを貼り合わせることにより、全幅の位相差および位相差ムラも小さいものであった。また、ガラス転移温度が高い樹脂を使用することにより、熱収縮率も低いものが得られた。
参考例
PENと、スピログリコール45モル%を共重合したPET(以降PET/SPGともいう)を用いた以外は、実施例14と同じとした。結果を表3に示す。全幅にわたって配向角が40〜48°であり、このフィルムを貼り合わせることにより、全幅の位相差および位相差ムラも小さいものであった。また、ガラス転移温度が高い樹脂を使用することにより、熱収縮率も低いものが得られた。
(実施例17)
実施例11で得られた8μmのフィルムをA層フィルムに使用し、厚みを12μmとして巻き返しを行ったフィルムをB層に使用した以外は実施例11と同じとした。全幅にわたって配向角が36〜51°であり、このフィルムを貼り合わせることにより、位相差ムラを抑えつつ、位相差50の積層フィルムを得た。
(実施例18)
実施例11で得られたフィルムをA層フィルムに使用し、横延伸倍率を3.45倍、熱処理温度を235℃として、巻き返しを行ったフィルムをB層フィルムに使用した以外は実施例11と同じとした。全幅にわたって配向角が36〜51°であり、このフィルムを貼り合わせることにより、位相差ムラを抑えつつ、位相差30の積層フィルムを得た。
また、実施例および比較例において使用原料はすべてポリエステル系樹脂であり、正の屈折率を持つ樹脂である。
Figure 0006728580
Figure 0006728580
Figure 0006728580
本発明の製造方法によって得られた積層フィルムは偏光子用、偏光板用または位相差板用保護フィルムの基材、またはタッチパネル用ITO基板、ガラス飛散防止用フィルム、AR基材、LCD有機ディスプレイに用いるフィルタとして好適に使用できる。特に、大型液晶表示装置の構成部材である偏光子、偏光板、位相差板の保護フィルムとして好適である。
1 カバ−ガラス
2 位相差フィルム(A層)
3 ITOフィルム
4 ITO基材フィルム
5 位相差フィルム(B層)
6 LCDモジュール

Claims (9)

  1. 少なくとも2層以上積層された積層フィルムであって、二軸配向した、スピログリコールを含まないポリエステル樹脂であるA層とB層とを有し、表層からk番目における位相差をRe(k)、全層数をnとした時に、積層フィルムの全位相差Reが式(1)(2)を満たし、A層及びB層の、フィルム幅方向における位相差ムラが30nm/200mm以上であることを特徴とする積層フィルム。
    Figure 0006728580
    Figure 0006728580
  2. フィルム幅方向における位相差ムラが50nm/200mm以下であることを特徴とする請求項に記載の積層フィルム
  3. A層とB層が粘着層を介して積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. A層とB層が厚み方向に正の屈折率を持っていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の積層フィルム。
  5. A層とB層がポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 偏光子保護フィルムに用いられることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の積層フィルム。
  7. タッチパネル用の基材フィルムに用いられることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の積層フィルム。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の積層フィルムを用いことを特徴とす光学表示装置。
  9. 請求項1から7のいずれかに記載の積層フィルムを用いことを特徴とすタッチパネル。
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