JP5906879B2 - 位相差板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、位相差板の製造方法に関する。
液晶表示装置の光学補償などの用途に用いられる位相差板は、観察角度による表示装置の色調の変化を少なくできるものが求められ、従来から、様々な技術が開発されてきた。例えば特許文献1には、固有複屈折値が正である樹脂Aの樹脂層aと、固有複屈折値が負である樹脂Bの樹脂層bとを有する延伸前フィルムを、ある方向に一軸延伸し、さらに当該方向とは異なる方向に一軸延伸することにより、位相差板を製造する技術が記載されている。
特開2011−39338号公報
前記のような製造方法では、例えば、三次元位相差板を製造しうる。三次元位相差板とは、NZ係数が0以上1以下である位相差板のことをいう。NZ係数を前記の範囲に収めるためには、一般に、固有複屈折値が負である樹脂を含有する樹脂層よりも、固有複屈折値が正である樹脂を含有する樹脂層それぞれを薄くすることが求められる。さらに、固有複屈折値が負である樹脂の層の両面に固有複屈折値が正である樹脂の層を設ける場合、光学性能及び機械的強度を発現するために、2つの固有複屈折値が正である樹脂の層のうち、一方を他方よりも更に薄くすることも求められる。
このような位相差板を、全体的な厚みが薄く且つ光学的特性が均質なものとし、且つ高効率で製造するためには、2回の延伸のうち一方、好ましくは2回目の方を、自由一軸延伸により行うことが好ましい。
しかしながら、このような位相差板の製造において、自由一軸延伸を行った場合、延伸後のフィルムにおいて、フィルムに残留応力が大きく残され、その結果、フィルムの製造後に配向緩和が大きく発生することがある。かかる配向緩和は、位相差板の使用時においては光学的特性の経時変化として現れるものであるため、位相差板の耐久性を著しく低下させる。
配向緩和を低減するための方策としては、延伸を比較的高い温度で行うことが考えられるが、その場合、位相差板の異方性の発生が抑制されてしまい、その結果、薄く且つ所望の光学的特性を得る位相差板を得ることが困難となる。
従って、本発明の目的は、薄く、所望の光学的特性を均質に有する位相差板を、高効率に製造しうる位相差板の製造方法を提供することにある。
本発明者は前記の課題を解決するべく検討し、特に、配向緩和を大きく発生させずにフィルムの残留応力を十分に緩和しうる手段について検討した。その結果、所定の条件での熱処理を、延伸に際し付加した張力を低減した状態で行うことにより、そのような残留応力の緩和を行いうることを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成させた。
すなわち、本発明によれば、下記のものが提供される。
〔1〕 固有複屈折値が正である樹脂Aからなる樹脂層aと、前記樹脂層aの少なくとも一方の面に設けられ、固有複屈折値が負である樹脂Bからなる樹脂層bとを備えるフィルムを形成する工程と、
延伸前の前記フィルムを温度T1(℃)で一方向に延伸する第一延伸工程と、
前記第一延伸工程の後に、温度T1より低い温度T2(℃)において前記の延伸方向に略直交する他方向へ、前記フィルムを延伸する第二延伸工程と、
を有する位相差板の製造方法であって、
前記第二延伸工程は自由一軸延伸する工程であり、
前記樹脂Aのガラス転移温度および前記樹脂Bのガラス転移温度のうち高い方の温度TgH(℃)と前記温度T2とがT2<TgH−10の関係を満たし、
前記第二延伸工程の後に、
前記フィルムの張力を低減する工程と、
前記フィルムを、張力が低減された状態において温度T4(℃)で熱処理する緩和工程であって、前記樹脂Aのガラス転移温度および前記樹脂Bのガラス転移温度のうち低い方の温度TgL(℃)と前記温度T4とがTgL−20≦T4≦TgLの関係を満たす緩和工程と、
をさらに有する位相差板の製造方法。
〔2〕 前記フィルムの張力を低減する工程が、前記フィルムを温度T3(℃)のニップロールに通すことを含み、
前記緩和工程における前記熱処理が、前記フィルムを温度T4(℃)に加温したロールに接触させることを含み、
前記温度T3と、前記温度T4とが、T4≦T3+10の関係を満たす、〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕 前記温度TgHと前記温度TgLとの差が10℃以上である、〔1〕または〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕 前記樹脂Aがポリカーボネート重合体を含有する樹脂であり、前記樹脂Bがポリスチレン系重合体を含有する樹脂である、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔5〕 前記温度T1と前記温度TgHがT1>TgHの関係を満たす、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の製造方法。
本発明の位相差板の製造方法によれば、薄く、所望の光学的特性を均質に有する位相差板を、高効率に製造しうる。
図1は、樹脂層aを構成する樹脂Aのガラス転移温度Tgが高く、樹脂層bを構成する樹脂Bのガラス転移温度Tgが低い場合に、樹脂層aと樹脂層bとを延伸したときのレターデーションΔの温度依存性と、延伸前フィルムを延伸したときのレターデーションΔの温度依存性の一例を示すグラフである。 図2は、本発明の製造方法を実施するための製造ライン及びその操作の具体例を概略的に示す側面図である。
以下、例示物及び実施形態を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下に挙げる例示物及び実施形態に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施してもよい。
後述する樹脂A及び樹脂層Aの符号「A」、樹脂B及び樹脂層Bの符号「B」、樹脂層aの符号「a」、並びに樹脂層bの符号「b」は、いずれもその符号が付された要素を他の要素から区別するために付した符号であり、要素の区別以外の意味を有するものではない。また、一枚のフィルムに同種の樹脂層が複数存在する場合、それらの名称に数字を付してさらに区別する(例えば樹脂層A1、樹脂層A2等)ことがある。
また、固有複屈折値が正であるとは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも大きくなることを意味し、固有複屈折値が負であるとは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも小さくなることを意味する。固有複屈折の値は誘電率分布から計算することもできる。
フィルム又は層の面内レターデーション(面内位相差)は、別に断らない限り、(nx−ny)×dで表される値である。また、フィルム又は層の厚み方向のレターデーション(厚み方向の位相差)は、別に断らない限り、{|nx+ny|/2−nz}×dで表される値である。ここで、nxはフィルム又は層の厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって、フィルム又は層の延伸方向の屈折率を表わし、nyは前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表し、nzは厚み方向の屈折率を表し、dはフィルム又は層の厚みを表す。また、延伸を複数回数行う場合には、1回目の延伸における延伸方向をnxの方向とし、その方向を2回目以降の延伸においてもnxの方向とする。レターデーションは、市販の位相差測定装置(例えば、自動複屈折計(王子計測機器社製「KOBRA−21ADH」))あるいはセナルモン法を用いて測定しうる。また、これらの測定波長は、別に断らない限り550nmである。
さらに、フィルム又は層のNZ係数は、別に断らない限り、(Nx−Nz)/(Nx−Ny)で表される値である。ここで、Nxはフィルム又は層の厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表わし、Nyは前記面内方向であってNxの方向に直交する方向の屈折率Nyを表し、Nzは厚み方向の屈折率を表し、dはフィルム又は層の厚みを表す。また、これらの測定波長は、別に断らない限り550nmである。
さらに、「長尺」とは、幅に対して、少なくとも5倍以上の長さを有するものをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するものをいう。
また、「略直交」とは、なす角度が通常85°以上、好ましくは89°以上、通常95°以下、好ましくは91°以下であることをいう。
また、「略平行」とは、なす角度が0°の場合(真に平行な場合)に加えて、なす角度が±5°の範囲内、好ましくは±1°の範囲内であることをいう。
さらに、「偏光板」及び「位相差板」とは、剛直な部材だけでなく、例えば樹脂製のフィルムのように可撓性を有する部材も含む。
本願において、温度に関する変数は摂氏(℃)による。
[1.概要]
本発明の位相差板の製造方法は、固有複屈折値が正である樹脂Aからなる樹脂層aと、前記樹脂層aの一方の面に設けられ、固有複屈折値が負である樹脂Bからなる樹脂層bとを備える延伸前のフィルム(延伸前フィルム)を形成する工程(延伸前フィルム形成工程)と、延伸前の前記フィルムを温度T1(℃)で一方向に延伸する第一延伸工程と、前記第一延伸工程の後に、温度T1より低い温度T2(℃)において前記の延伸方向に略直交する他方向へ、前記フィルムを延伸する第二延伸工程と、その後に前記フィルムの張力を低減する工程と、前記フィルムを、張力が低減された状態において温度T4(℃)で熱処理する緩和工程とを有する。
[2.延伸前フィルム形成工程]
〔2.1.樹脂A〕
樹脂Aは、固有複屈折値が正である樹脂である。通常は、樹脂Aとして、固有複屈折値が正である熱可塑性樹脂を用いる。
樹脂Aの固有複屈折値が正であるので、通常、樹脂Aは固有複屈折値が正である重合体を含む。この重合体の例を挙げると、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル重合体;ポリフェニレンサルファイド等のポリアリーレンサルファイド重合体;ポリビニルアルコール重合体、ポリカーボネート重合体、ポリアリレート重合体、セルロースエステル重合体、ポリエーテルスルホン重合体、ポリスルホン重合体、ポリアリルスルホン重合体、ポリ塩化ビニル重合体、ノルボルネン重合体、棒状液晶ポリマーなどが挙げられる。これらの重合体は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、重合体は単独重合体でもよく共重合体でもよい。これらの中でも、レターデーションの発現性、低温での延伸性、および樹脂層aと樹脂層a以外の層との接着性の観点からポリカーボネート重合体が好ましい。
ポリカーボネート重合体としては、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)による繰り返し単位を有する重合体であれば任意のものを使用しうる。ポリカーボネート重合体の例を挙げると、ビスフェノールAポリカーボネート、分岐ビスフェノールAポリカーボネート、o,o,o’,o’−テトラメチルビスフェノールAポリカーボネートなどが挙げられる。
樹脂Aは配合剤を含んでいてもよい。配合剤の例を挙げると、層状結晶化合物;微粒子;酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤等の安定剤;可塑剤;染料や顔料等の着色剤;帯電防止剤;などが挙げられる。中でも、紫外線吸収剤は、耐候性を向上させることができるので好ましい。また、配合剤は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体などが挙げられる。好適な紫外線吸収剤の具体例を挙げると、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。特に好適なものとしては、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)が挙げられる。
配合剤の量は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で適宜定めうる。例えば、延伸前フィルムの1mm厚での全光線透過率が80%以上を維持できる範囲としうる。
樹脂A中の重合体の重量平均分子量は、樹脂Aを用いて溶融押し出し法又は溶液流延法を実施できる範囲に調整することが好ましい。
樹脂Aのガラス転移温度Tgは、通常80℃以上、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは110℃以上、特に好ましくは120℃以上である。ガラス転移温度Tgがこのように高いことにより、樹脂Aの配向緩和を低減することができる。ガラス転移温度Tgの上限に特に制限は無いが、通常は200℃以下である。
後述する樹脂Bのガラス転移温度Tgにおける樹脂Aの破断伸度は、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。破断伸度がこの範囲にあれば、延伸により安定的に位相差板を作製することができる。なお破断伸度は、JISK7127記載の試験片タイプ1Bの試験片を用いて、引っ張り速度100mm/分によって求める。また、樹脂Aの破断伸度の上限に特に制限は無いが、通常は200%以下である。
〔2.2.樹脂B〕
樹脂Bは、固有複屈折値が負である樹脂である。通常は、樹脂Bとして、固有複屈折値が負である熱可塑性樹脂を用いる。
樹脂Bの固有複屈折値が負であるので、通常、樹脂Bは固有複屈折値が負である重合体を含む。この重合体の例を挙げると、スチレン又はスチレン誘導体の単独重合体または他のモノマーとの共重合体を含むポリスチレン系重合体;ポリアクリロニトリル重合体、ポリメチルメタクリレート重合体、あるいはこれらの多元共重合ポリマーなどが挙げられる。また、ポリスチレン系重合体に含まれる他のモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、無水マレイン酸、メチルメタクリレート、及びブタジエンが好ましいものとして挙げられる。これらの重合体は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、レターデーションの発現性が高いという観点から、ポリスチレン系重合体が好ましく、さらに耐熱性が高いという点で、スチレン又はスチレン誘導体と無水マレイン酸との共重合体が特に好ましい。この場合、スチレン系重合体100重量部に対して、無水マレイン酸を重合して形成される構造単位(無水マレイン酸単位)の量は、好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上、特に好ましくは15重量部以上であり、好ましくは30重量部以下、より好ましくは28重量部以下、特に好ましくは26重量部以下である。
樹脂Bは配合剤を含んでいてもよい。その例としては、樹脂Aが含んでいてもよい配合剤と同様のものが挙げられる。また、配合剤は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
配合剤の量は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で適宜定めうる。例えば、延伸前フィルムの1mm厚での全光線透過率が80%以上を維持できる範囲としうる。
樹脂Bに含まれる重合体の重量平均分子量は、樹脂Bを用いて溶融押し出し法又は溶液流延法を実施できる範囲に調整することが好ましい。
樹脂Bのガラス転移温度Tgは、通常80℃以上、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは110℃以上、特に好ましくは120℃以上である。ガラス転移温度Tgがこのように高いことにより、樹脂Bの配向緩和を低減することができる。ガラス転移温度Tgの上限に特に制限は無いが、通常は200℃以下である。
前記の樹脂Aのガラス転移温度Tgにおける樹脂Bの破断伸度は、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。破断伸度がこの範囲にあれば、延伸により安定的に本発明の位相差板を作製することができる。樹脂Bの破断伸度の上限に特に制限は無いが、通常は200%以下である。
樹脂Aのガラス転移温度Tg及び樹脂Bのガラス転移温度Tgのうちの高い方の温度TgHと低い方の温度TgLとの差(即ちTgとTgとの差の絶対値)は、好ましくは10℃以上であり、より好ましくは12℃以上であり、好ましくは40℃以下、より好ましくは20℃以下である。前記のガラス転移温度の差の絶対値を前記範囲の下限値より大きくすることによりレターデーションの発現の温度依存性を大きくできる。一方、前記のガラス転移温度の差の絶対値を前記範囲の上限値以下にすることによりガラス転移温度の高い樹脂の延伸を容易にして、位相差板の平面性を高めることができる。また、前記のガラス転移温度Tgは、ガラス転移温度Tgよりも高いことが好ましい。よって、樹脂Aと樹脂Bとは通常はTg≧Tg+10℃の関係を満足することが好ましい。
〔2.3.延伸前フィルムの形成方法〕
延伸前フィルムの形成方法の例としては、共押出し法及び共流延法を挙げることができ、共押出し法が好ましい。共押出し法は、溶融状態にした複数の樹脂を押し出して成形する方法である。共押出し法は、製造効率の点、並びに、延伸前フィルム中に溶剤などの揮発性成分を残留させないという点で、優れている。
共押出し方法としては、例えば、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等が挙げられる。これらの中でも、共押出Tダイ法が好ましい。共押出Tダイ法にはフィードブロック方式およびマルチマニホールド方式がある。その中でも、樹脂層aの厚みのばらつきを少なくできる点で、マルチマニホールド方式が特に好ましい。
共押出Tダイ法を採用する場合、Tダイを有する押出機における樹脂の溶融温度は、各樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも、80℃高い温度以上にすることが好ましく、100℃高い温度以上にすることがより好ましく、また、180℃高い温度以下にすることが好ましく、150℃高い温度以下にすることがより好ましい。押出機での樹脂の溶融温度を前記範囲の下限値以上とすることにより樹脂の流動性を十分に高めることができ、上限値以下とすることにより樹脂の劣化を防止することができる。
通常、ダイスの開口部から押出されたシート状の溶融樹脂は、冷却ドラムに密着させるようにする。溶融樹脂を冷却ドラムに密着させる方法は、特に制限されず、例えば、エアナイフ方式、バキュームボックス方式、静電密着方式などが挙げられる。
冷却ドラムの数は特に制限されないが、通常は2本以上である。また、冷却ドラムの配置方法としては、例えば、直線型、Z型、L型などが挙げられるが特に制限されない。またダイスの開口部から押出された溶融樹脂の冷却ドラムへの通し方も特に制限されない。
冷却ドラムの温度により、押出されたシート状の樹脂の冷却ドラムへの密着具合が変化する。冷却ドラムの温度を上げると密着はよくなるが、温度を上げすぎるとシート状の樹脂が冷却ドラムから剥がれずに、ドラムに巻きつく可能性がある。そのため、冷却ドラム温度は、ダイスから押し出す樹脂A及び樹脂Bのうちドラムに接触する層の樹脂のガラス転移温度をTgとすると、好ましくは(Tg+30)℃以下、さらに好ましくは(Tg−5)℃〜(Tg−45)℃の範囲にする。そうすることにより滑りやキズなどの不具合を防止することができる。
ここで、延伸前フィルム中の残留溶剤の含有量は少なくすることが好ましい。そのための手段としては、例えば、(1)原料となる樹脂の残留溶剤を少なくする;(2)延伸前フィルムを成形する前に樹脂を予備乾燥する;などの手段が挙げられる。予備乾燥は、例えば樹脂をペレットなどの形態にして、熱風乾燥機などで行われる。乾燥温度は100℃以上が好ましく、乾燥時間は2時間以上が好ましい。予備乾燥を行うことにより、延伸前フィルム中の残留溶剤を低減させる事ができ、さらに押し出されたシート状の樹脂の発泡を防ぐことができる。
〔2.4.延伸前フィルム〕
延伸前フィルムは、樹脂Aを含有する樹脂層aと、樹脂Bを含有する樹脂層bとを備える。通常、樹脂層aと樹脂層bとは直接に接する。
樹脂層a及び樹脂層bの厚みは、製造すべき位相差板のレターデーションに応じて設定しうる。
延伸前フィルムにおける、樹脂層a及び樹脂層bの層の数は特に限定されず、それぞれ1層以上とすることができるが、1層の樹脂層aと、樹脂層bと、もう1層の樹脂層aとをこの順に備える三層の構造を有することが、位相差及び強度に優れる位相差板を得られるため好ましい。
さらに、位相差板として三次元位相差板を製造する場合、通常は、樹脂層bの厚みは、樹脂層aの厚みよりも、厚くなる。例えば、樹脂Aとしてポリカーボネート重合体を含む樹脂を用い、樹脂Bとしてポリスチレン系重合体を含む樹脂を用いて三次元位相差板を製造する場合、樹脂層aの厚みの総和と、樹脂層bの厚みの総和との比(樹脂層aの厚みの総和/樹脂層bの厚みの総和)は、通常1/20以上、好ましくは1/15以上であり、また、通常1/4以下である。これにより、レターデーションの発現の温度依存性を大きくできる。
また、延伸前フィルムの総厚は、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、特に好ましくは30μm以上であり、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、特に好ましくは250μm以下である。延伸前フィルムを前記範囲の下限以上にすることにより十分なレターデーションを発現させたり機械的強度を高くしたりでき、前記範囲の上限以下にすることにより位相差板に十分な柔軟性を持たせて、ハンドリング性を高めることができる。
延伸前フィルムは、温度T1及びT2という異なる温度で互いに略直交する異なる方向に延伸することにより、樹脂層a及び樹脂層bのそれぞれにおいて各温度T1及びT2並びに延伸方向に応じてレターデーションが生じるという性質を有する。本発明の位相差板の製造方法によって三次元位相差板を製造する場合には、この性質を利用して、位相差板を製造する。この場合、樹脂層aに生じたレターデーションと、樹脂層bに生じたレターデーションとを合成することにより、位相差板のNZ係数を0以上1以下にすることができる。
樹脂層a及び樹脂層bにおいて延伸により生じるレターデーションの大きさは、延伸前フィルムの厚み、延伸温度、及び延伸倍率などに応じて決まる。そのため、延伸前フィルムの具体的な構成は、発現させようとする偏光板補償機能等の光学的機能に応じて定めることが好ましい。
中でも、延伸前フィルムは、ある一方向への延伸方向(すなわち、一軸延伸方向)をX軸、一軸延伸方向に対してフィルム面内で直交する方向をY軸、およびフィルム厚み方向をZ軸としたときに、フィルム面に垂直に入射しかつ電気ベクトルの振動面がXZ面にある直線偏光(以下、適宜「XZ偏光」という。)の、フィルム面に垂直に入射しかつ電気ベクトルの振動面がYZ面にある直線偏光(以下、適宜「YZ偏光」という。)に対する位相が、
温度TaでX軸方向に一軸延伸したときには遅れ、
温度Taとは異なる温度TbでX軸方向に一軸延伸したときには進む、
との要件(以下、適宜「要件P」という。)を満たすことが好ましい。本願の製造方法は、第一延伸工程の温度T1及び第二延伸工程の温度T2を、上で述べたTa及びTbとした場合において、前記要件Pを満たす延伸前フィルムを用いて行うことが、良好な位相差の発現の観点から特に好ましい。
延伸前フィルムの面内の様々な方向のうち、少なくとも一の方向をX軸とした場合に前記の要件Pを満たすものを、要件Pを満たすフィルムとして、本発明において好ましく用いうる。通常、延伸前フィルムは等方な(即ち、異方性を有しない)原反フィルムであるので、面内の一の方向をX軸としたときに要件Pを満たせば、他のどの方向をX軸としたときも要件Pを満たすことができる。
一軸延伸によってX軸に遅相軸が現れるフィルムでは、XZ偏光はYZ偏光に対して位相が遅れる。逆に一軸延伸によってX軸に進相軸が現れるフィルムでは、XZ偏光はYZ偏光に対して位相が進む。
このように、要件Pを満たす場合、延伸前フィルムは、遅相軸または進相軸の現れ方が延伸温度に依存するフィルムとなる。このようなレターデーションの発現の温度依存性は、例えば、樹脂A及び樹脂Bの光弾性係数並びに各層の厚み比などの関係を調整することで調整できる。
面内のレターデーションは、延伸方向であるX軸方向の屈折率nxと延伸方向に直交する方向であるY軸方向の屈折率nyとの差(=nx−ny)に厚みdを乗じて求められる値である。樹脂層aと樹脂層bとを積層したときの延伸前フィルムのレターデーションは、樹脂層aのレターデーションと樹脂層bのレターデーションとのレターデーションとから合成される。そこで、高い温度Taおよび低い温度Tbにおける延伸によって、樹脂層aと樹脂層bとを含む延伸前フィルムのレターデーションの符号が逆になるようにするために、(i)低い温度Tbにおける延伸で、ガラス転移温度の高い樹脂が発現するレターデーションの絶対値がガラス転移温度の低い樹脂が発現するレターデーションの絶対値よりも小さくなり、(ii)高い温度Taにおける延伸で、ガラス転移温度の低い樹脂が発現するレターデーションの絶対値がガラス転移温度の高い樹脂が発現するレターデーションの絶対値よりも小さくなるように、樹脂層a及び樹脂層bの厚みを調整することが好ましい。
このように、一方向への延伸(即ち、一軸延伸)によって樹脂層a及び樹脂層bのそれぞれに発現するX軸方向の屈折率nxとY軸方向の屈折率nyとの差;樹脂層aの厚みの総和;並びに樹脂層bの厚みの総和;を調整することで、要件P(即ち、XZ偏光のYZ偏光に対する位相が、温度TaでX軸方向に一軸延伸したときには遅れ、温度TbでX軸方向に一軸延伸したときには進む、という要件)を満たす延伸前フィルムを得ることができる。
要件Pを満たす延伸前フィルムを延伸した場合のレターデーションの発現について、図面を参照して具体的に説明する。図1は、樹脂層aを構成する樹脂Aのガラス転移温度Tgが高く、樹脂層bを構成する樹脂Bのガラス転移温度Tgが低い場合に、樹脂層aと樹脂層bとを延伸したときのレターデーションΔの温度依存性と、延伸前フィルムを延伸したときのレターデーションΔの温度依存性の一例を示すグラフである。図1に示すような延伸前フィルムでは、温度Tbにおける延伸では樹脂層aにおいて発現するプラスのレターデーションに比べ樹脂層bにおいて発現するマイナスのレターデーションの方が大きいので、位相差板全体としてはマイナスのレターデーションΔを発現することになる。一方、温度Taにおける延伸では樹脂層aにおいて発現するプラスのレターデーションに比べ樹脂層bにおいて発現するマイナスのレターデーションの方が小さいので、位相差板全体としてはプラスのレターデーションΔを発現することになる。したがって、このような異なる温度Ta及びTbの延伸を組み合わせることにより、各温度での延伸で生じるレターデーションを合成して、所望のレターデーションを有し、ひいては所望の光学的機能を発揮する位相差板を安定して実現できる。
また、延伸前フィルムにおいて、樹脂層a及び樹脂層bの各厚みのばらつきは全面で1μm以下であることが好ましい。これにより、位相差板を表示装置に設けた場合に、その表示装置の色調のばらつきが小さくできる。また、長期使用後の色調変化を均一にできるようになる。
前記のように樹脂層a及び樹脂層bの膜厚のばらつきを全面で1μm以下とするために、例えば、下記の(1)〜(6)のようにしうる。
(1)押出機内に目開きが20μm以下のポリマーフィルターを設ける。
(2)ギヤポンプを5rpm以上で回転させる。
(3)ダイス周りに囲い手段を配置する。
(4)エアギャップを200mm以下とする。
(5)フィルムを冷却ロール上にキャストする際にエッジピニングを行う。
(6)押出機として二軸押出機又はスクリュー形式がダブルフライト型の単軸押出機を用いる。
各樹脂層の厚みは、市販の接触式厚み計を用いて、フィルムの総厚を測定し、次いで厚み測定部分を切断し断面を光学顕微鏡で観察して、各層の厚み比を求めて、その比率より計算できる。また、この操作をフィルムのMD方向(フィルムの流れ方向)及びTD方向(フィルムの幅方向)において一定間隔毎に行い、厚みの平均値およびばらつきを求めてもよい。
厚みのばらつきは、上記で測定した測定値の算術平均値Taveを基準とし、測定した厚みTの内の最大値をTmax、最小値をTminとして、以下の式から算出する。
厚みのばらつき(μm)=「Tave−Tmin」及び「Tmax−Tave」のうちの大きい方。
延伸前フィルムは、本発明の効果を著しく損なわない限り樹脂層a及び樹脂層b以外にその他の任意の層を有してもよい。任意の層としては、例えば、各樹脂層間を接着する接着層、フィルムの滑り性を良くするマット層、耐衝撃性ポリメタクリレート樹脂層などのハードコート層、反射防止層、防汚層等が挙げられる。任意の層は、共押出しにより得られた延伸前フィルムに対して後から設けてもよいが、樹脂A及び樹脂Bを共押出しする際に任意の層の形成材料を樹脂A及び樹脂Bと共押出しするようにしてもよい。
延伸前フィルムは、全光線透過率が85%以上であることが好ましい。得られる位相差板を光学部材として適したものにするためである。また上限は、理想的には100%である。前記光線透過率は、JIS K0115に準拠して、分光光度計(日本分光社製、紫外可視近赤外分光光度計「V−570」)を用いて測定できる。
延伸前フィルムのヘイズは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。ヘイズを低い値とすることにより、製造される位相差板を組み込んだ表示装置の表示画像の鮮明性を高めることができる。また下限は、理想的にはゼロである。ここで、ヘイズは、JIS K7361−1997に準拠して、日本電色工業社製「濁度計 NDH−300A」を用いて、5箇所測定し、それから求めた平均値である。
延伸前フィルムは、ΔYIが5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。このΔYIが上記範囲にあると、着色がなく視認性が良好となる。また下限は、理想的にはゼロである。ΔYIは、ASTM E313に準拠して、日本電色工業社製「分光色差計 SE2000」を用いて測定する。同様の測定を五回行い、その算術平均値にして求める。
延伸前フィルムの外表面は、MD方向に伸びる不規則に生じる線状凹部や線状凸部(いわゆるダイライン)を実質的に有さず、平坦であることが好ましい。ここで、「不規則に生じる線状凹部や線状凸部を実質的に有さず、平坦」とは、仮に線状凹部や線状凸部が形成されたとしても、深さが50nm未満もしくは幅が500nmより大きい線状凹部であること、および、高さが50nm未満もしくは幅が500nmより大きい線状凸部であること、である。より好ましくは、深さが30nm未満もしくは幅が700nmより大きい線状凹部であること、及び、高さが30nm未満もしくは幅が700nmより大きい線状凸部であること、である。このような構成とすることにより、線状凹部や線状凸部での光の屈折等に基づく、光の干渉や光漏れの発生を防止でき、光学性能を向上できる。また、不規則に生じるとは、意図しない位置に意図しない寸法、形状等で形成されるということである。
上述した線状凹部の深さや、線状凸部の高さ、及びこれらの幅は、次に述べる方法で求めることができる。延伸前フィルムに光を照射して、透過光をスクリーンに映し、スクリーン上に現れる光の明又は暗の縞の有る部分(この部分は線状凹部の深さ及び線状凸部の高さが大きい部分である。)を30mm角で切り出す。切り出したフィルム片の表面を三次元表面構造解析顕微鏡(視野領域5mm×7mm)を用いて観察し、これを3次元画像に変換し、この3次元画像から断面プロファイルを求める。断面プロファイルは視野領域で1mm間隔で求める。
この断面プロファイルに、平均線を引く。この平均線から線状凹部の底までの長さが線状凹部深さとなり、またこの平均線から線状凸部の頂までの長さが線状凸部高さとなる。平均線とプロファイルとの交点間の距離が幅となる。これら線状凹部深さ及び線状凸部高さの測定値からそれぞれ最大値を求め、その最大値を示した線状凹部又は線状凸部の幅をそれぞれ求める。以上から求められた線状凹部深さ及び線状凸部高さの最大値、その最大値を示した線状凹部の幅及び線状凸部の幅を、そのフィルムの線状凹部の深さ、線状凸部の高さ及びそれらの幅とする。
延伸前フィルムは、そのTD方向の寸法を、例えば500mm〜2000mmとしてもよい。また、延伸前フィルムは、そのMD方向の寸法に制限は無いが、長尺のフィルムであることが好ましい。
[3.第一延伸工程]
第一延伸工程では、延伸前フィルムを温度T1で一方向に延伸する。即ち、延伸前フィルムを温度T1で一軸延伸する。温度T1で延伸すると、樹脂層a及び樹脂層bのそれぞれにおいて、延伸前フィルムの構成、延伸温度T1及び延伸倍率などに応じてレターデーションが生じ、樹脂層a及び樹脂層bの全体としてもレターデーションを生じる。この際、例えば延伸前フィルムが要件Pを満たす場合には、XZ偏光のYZ偏光に対する位相は、遅れる。
温度T1は、所望のレターデーションが得られるように、適切な温度に設定する。例えば、樹脂Aのガラス転移温度Tg及び樹脂Bのガラス転移温度Tgのうちの高い方の温度TgHとの関係において、T1>TgHとすることができる。一方温度T1の上限は、特に限定されないが、TgH+40℃以下であることが好ましく、TgH+20℃以下であることがさらに好ましい。温度T1を前記温度範囲内とすることにより、所望のレターデーションを有する位相差板を製造しうる。
第一延伸工程においては、通常3倍以上、好ましくは3.3倍以上、より好ましくは3.5倍以上の高い延伸倍率で延伸しうる。このように高い延伸倍率で延伸することにより、得られる位相差板の厚みを薄くすることが可能である。また、位相差板を安定して製造する観点から、上限は、通常6倍以下、好ましくは5倍以下、より好ましくは4倍以下である。
一軸延伸は、従来公知の方法で行いうる。例えば、長尺の延伸前フィルムを延伸する場合であれば、例えば、ロール間の周速の差を利用して縦方向(通常はMD方向に一致する。)に一軸延伸する方法;テンターを用いて横方向(通常はTD方向に一致する。)に一軸延伸する方法;などが挙げられる。本発明の製造方法では、第二延伸工程を縦方向の延伸で行うことが好ましいので、第一延伸工程は横方向の延伸にて行うことが好ましい。
延伸の際には、延伸ムラ及び厚みムラを小さくするために、延伸ゾーンにおいてフィルムの幅方向に温度差がつくようにしてもよい。延伸ゾーンにおいてフィルムの幅方向に温度差をつけるには、例えば、温風ノズルの開度を幅方向で調整したり、IRヒーターを幅方向に並べて加熱制御したりするなど、公知の手法を用いうる。
[4.第二延伸工程]
第一延伸工程の後、第二延伸工程を行う。第二延伸工程では、第一延伸工程で一方向に延伸したフィルムを、第一延伸工程での延伸方向とは略直交する他方向へ延伸する。
第二延伸工程では、温度T1よりも低い温度T2においてフィルムを延伸する。即ち、フィルムを相対的に低い温度T2において一軸延伸する。温度T2で延伸すると、樹脂層a及び樹脂層bのそれぞれにおいて、フィルムの構成、延伸温度T2及び延伸倍率などに応じてレターデーションが生じ、樹脂層a及び樹脂層bの全体としてもレターデーションを生じる。この際、例えばフィルムが要件Pを満たすのであれば、第二延伸工程での延伸によりXZ偏光のYZ偏光に対する位相は、進む。
第二延伸工程では、自由一軸延伸により延伸を行う。フィルムの自由一軸延伸とは、延伸方向以外のフィルムの変形を制限しない一軸延伸である。例えば、縦方向の一軸延伸においては、フィルムは幅方向に収縮しようとするが、縦方向の自由一軸延伸では、幅方向の収縮を制限せずに延伸が行われる。
自由一軸延伸は、例えば、長尺の延伸前フィルムを延伸する場合であれば、例えば、ロール間の周速の差を利用して縦方向に一軸延伸する方法により行うことができる。より具体的には、製造ラインの上流及び下流の2箇所に一組ずつのニップロールを設け、上流のニップロールより下流のニップロールの周速をより速く回転させることにより、自由一軸延伸を行うことができる。
第二延伸工程での一軸延伸は、第一延伸工程での一軸延伸よりも小さい延伸倍率で行うことが好ましい。具体的には、第二延伸工程での延伸倍率は1.1倍〜2倍であることが好ましく、1.1倍〜1.5倍であることがより好ましい。
第二延伸工程の温度T2は、樹脂Aのガラス転移温度Tg及び樹脂Bのガラス転移温度Tgのうちの高い方の温度TgHとの関係において、T2<TgH−10の関係を満たす。このような低い温度で自由一軸延伸を行った場合は、高い温度で自由一軸延伸を行う場合にくらべて、位相差を高く発現させることができる一方、延伸後の配向緩和が大きくなる。そこで本発明では、第二延伸工程の後に特定の緩和工程を行う。これにより、配向緩和が抑制された態様で残留応力を緩和することができ、その結果、良好な位相差の発現と配向緩和の抑制とを両立することができる。
温度T2の下限は、特に限定されないが、位相差を安定して発現する観点から、樹脂Aのガラス転移温度Tg及び樹脂Bのガラス転移温度Tgのうちの低い方の温度TgLとの関係において、TgL−20℃以上であることが好ましく、TgL−10℃以上であることがより好ましい。
また、温度T1と温度T2との差は、通常5℃以上、好ましくは10℃以上である。温度T1と温度T2との差を前記のように大きくすることで、位相差板に偏光板補償機能を安定して発現させることができる。なお、温度T1と温度T2との差の上限に制限は無いが、工業生産性の観点からは100℃以下である。
上述したように延伸前フィルムに対して第一延伸工程と第二延伸工程とを行うことにより、第一延伸工程及び第二延伸工程のそれぞれにおいて樹脂層a及び樹脂層bに延伸温度、延伸方向及び延伸倍率等に応じたレターデーションが生じる。このため、第一延伸工程と第二延伸工程とを経て得られる位相差板では、第一延伸工程及び第二延伸工程のそれぞれにおいて樹脂層a及び樹脂層bに生じたレターデーションが合成されることにより、所望のレターデーションが生じることになる。したがって、第二延伸工程により、所望のレターデーションを有する位相差板を得ることができる。
また、樹脂層a及び樹脂層bを備える延伸前フィルムを共延伸することにより、別々に延伸した樹脂層a及び樹脂層bを貼り合せて位相差板を製造する場合に比べて、製造工程を短縮し、製造コストを低減することができる。また、固有複屈折値が負である樹脂Bを含有する樹脂層bは、単独では延伸しにくく、延伸ムラや破断などが生ずる場合があるが、樹脂層aで保護することにより、安定して共延伸することが可能となり、かつ樹脂層bの厚みむらを小さくすることができる。
[5.張力を低減する工程]
第二延伸工程の後に、フィルムの張力を低減する工程を行う。
第二延伸工程を、製造ラインの上流及び下流の2箇所に設けられた2組のニップロールにより行う場合は、下流の一組のニップロールから搬出されるフィルムを、単に張力を与えずに搬送することにより、かかる張力の低減を達成することができる。ただし張力を低減する方法はこれに限られず、例えば、第二延伸工程の下流の一組のニップロールよりさらに下流に別のニップロールを設け、そこから搬出されるフィルムを張力を与えずに搬送することによっても、張力の低減を達成しうる。
この工程により、フィルムの張力をどの程度まで低減させるかは、第二延伸工程において延伸のためにフィルムに付加される張力より少ない張力とする限りにおいて特に限定されないが、100N/m以下とすることが好ましい。
[6.緩和工程]
本発明の製造方法では、フィルムの張力を低減する工程により張力が低減された状態において、フィルムを熱処理する緩和工程を行う。ここで、熱処理の温度T4は、樹脂Aのガラス転移温度Tg及び樹脂Bのガラス転移温度Tgのうちの低い方の温度TgLとの関係において、TgL−20≦T4≦TgLの関係を満たす。TgLとT4は、TgL−15≦T4≦TgL−5の関係を満たすことがより好ましい。
本発明者の見出したところによれば、このように、フィルムの張力が低減された状態において所定の温度範囲内において熱処理する緩和工程を行うことにより、配向緩和を大きく発生させずにフィルムの残留応力を十分に緩和しうる。そのため、フィルムに高い残留応力を発生させる第二延伸工程と、本緩和工程を組み合わせることにより、良好な位相差の発現と配向緩和の抑制とを両立することができる。
フィルムの熱処理は、フィルムを加温したロールに接触させる処理、フィルムをオーブンに通す処理等の処理としうる。特に、フィルムを加温したロールに接触させる処理が、設備の小型化等により製造工程のコストを低減しうるため好ましい。
熱処理の時間は、フィルムの残留応力の緩和が達成される範囲で、任意に定めることができるが、例えば、フィルムを加温したロールに接触させる場合は、フィルム温度がT4に達してから好ましくは1〜20秒、より好ましくは5〜15秒であり、フィルムをオーブンに通す場合は、フィルム温度がT4に達してから好ましくは30〜90秒、より好ましくは45〜75秒としうる。
長尺のフィルムを加温したロールに接触させる熱処理を行う場合、加温によりフィルムが幅方向に膨張する一方、ロールに接触したフィルムは容易に幅方向に伸びることができないため、フィルムに縦方向の皺が生じることがある。このような皺の発生を防止するため、好ましい態様において、フィルムの張力を低減する工程は、フィルムを温度T3のニップロールに通すことを含み、熱処理は、フィルムを加温したロールに接触させることを含み、温度T3と温度T4とが、T4≦T3+10の関係を満たすものとしうる。ここで、温度T3のニップロールは、第二延伸工程の下流のニップロールを兼ねることができる。その場合、当該ニップロールに達した時点で第二延伸工程は終了するので、第二延伸工程の延伸温度T2とは独立に、下流のニップロールにおいて温度T3を設定することができる。
[7.その他の工程]
本発明の位相差板の製造方法においては、所望の位相差板が得られる限り、上述した延伸前フィルム形成工程、第一延伸工程、第二延伸工程、フィルムの張力を低減する工程、及び緩和工程以外に任意の工程を行いうる。
例えば、延伸前フィルムを延伸する前に、延伸前フィルムを予め加熱する工程(予熱工程)を設けてもよい。延伸前フィルムを加熱する手段としては、例えば、オーブン型加熱装置、ラジエーション加熱装置、又は液体中に浸すことなどが挙げられる。中でもオーブン型加熱装置が好ましい。予熱工程における加熱温度は、通常は延伸温度−40℃以上、好ましくは延伸温度−30℃以上であり、通常は延伸温度+20℃以下、好ましくは延伸温度+15℃以下である。
さらに、例えば、得られた位相差板の表面に、例えばマット層、ハードコート層、反射防止層、防汚層等を設ける工程を行ってもよい。
[8.実施形態]
次に、図面を参照して、本発明の製造方法の具体的な実施態様を説明する。
図2は、本発明の製造方法を実施するための製造ライン及びその操作の具体例を概略的に示す側面図である。図2に示す製造ラインは、上流から順に、第一延伸部100、第二延伸部200、及び緩和部300を有している。
第一延伸部100には、フィルムを把持する把持具102を備えたテンター延伸機101が設けられている。
第二延伸部200には、上流から順に、一対のニップロール201と、予熱のためのロール211と、オーブン220と、一対のニップロール202とが設けられている。オーブン220は、筐体221と、ブロワー222とを有している。
緩和部300には、加温ロール311が設けられている。
操作において、延伸前フィルム形成のための装置(不図示)で調製された延伸前のフィルム10は、矢印A1に沿って、第一延伸部100に供給され、テンター延伸機101の把持具102に、その左右の端部(即ち、長尺のフィルムの幅方向の両端の部分)を把持される。テンター延伸機101においては、フィルム10が矢印A1に沿って進むにつれて幅方向が拡張するよう構成され、その結果フィルム10は幅方向に延伸される。
幅方向に延伸されたフィルム10は、続いて第二延伸部200に供給され、ニップロール201でニップされ、ロール211に接触して予備的に加熱され、オーブン220内でブロワー222から矢印A4の方向に噴出する温風により加熱され、ニップロール202でニップされる。ニップロール201及び202はそれぞれ矢印A2及びA3の方向に回転するよう駆動され、ニップロール202のほうが速い周速で駆動される。これらにより、フィルム10は、加熱された状態で縦方向(即ち、長尺のフィルムの長手方向)に延伸される。
延伸されたフィルム10は、ニップロール202から、さらに下流に搬送される。ここで、ニップロール202で張力をカットし、それより下流で張力をかけずにフィルムを搬送することにより、フィルムの張力を低減することができる。
張力が低減された状態で搬送されたフィルム10は、さらに緩和部300に供給され、ここで加温ロール311により加熱処理される。加熱処理されたフィルムは、そのまま又は必要に応じて任意の操作(任意の追加の層の貼付、裁断、巻き取り等)を経て、製品たる位相差板として用いることができる。
[9.実施形態:変形例]
本発明の製造方法は、上記実施形態に限られず、上記実施形態に様々な変形を施した形態により行うこともできる。
例えば、図2に示した例では、緩和工程における加熱手段として加温ロールを用いたが、加熱手段はこれに限られず、オーブンによる加熱を行うこともできる。
また、図2に示した例では、延伸前フィルム形成工程、第一延伸工程、第二延伸工程、張力を低減する工程、及び緩和工程を連続したライン上で行ったが、これらは必ずしも連続して行う必要はない。例えば、ニップロール202から搬出されたフィルムを、一旦巻き取り、これを緩和工程のための別のラインに供給して緩和工程を行うこともできる。
[10.位相差板]
上述した製造方法により、位相差板が得られる。前述した第一延伸工程および第二延伸工程を含む方法により得られる位相差板は、各延伸工程の延伸条件により、(1)延伸後の樹脂層a(以下において「樹脂層A」という。)の遅相軸、及び延伸後の樹脂層b(以下において、「樹脂層B」という。)の遅相軸が互いに略平行である態様;(2)樹脂層Aの遅相軸が、樹脂層Bの遅相軸と略直交する態様;の2つの態様が考えられる。このうち、通常は、(1)樹脂層Aの遅相軸、及び樹脂層Bの遅相軸が互いに略平行である態様となる。
また、上述した製造方法によって製造される位相差板は、三次元位相差板であることが好ましい。すなわち、製造される位相差板のNZ係数は、好ましくは0以上、より好ましくは0.3以上、特に好ましくは0.5以上であり、好ましくは1以下、より好ましくは0.9以下、特に好ましくは0.8以下である。このような三次元位相差板は、表示装置に装着した場合に優れた光学補償機能を発現しうる。
位相差板は、使用に際して高温に長期間曝されても、レターデーションが大きく変化しないものとしうる。具体的には、大気中での80℃、500時間の熱処理前の面内方向のレターデーションRe2と、処理後の面内方向のレターデーションRe3について、耐久性の指標となるRe変化率(=(Re3/Re2)×100(%))が、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上である。
位相差板の厚みは、樹脂層A及び樹脂層Bの厚みの合計として、通常10μm以上、好ましくは30μm以上であり、通常200μm以下、好ましくは150μm以下である。さらに、樹脂層A及び樹脂層Bの厚みのばらつきが全面で1μm以下であることが好ましい。これにより、表示装置における色調のばらつきを小さくできる。また、長期使用後の色調変化を均一にできるようになる。これを実現するために、延伸前フィルムにおいて樹脂層a及び樹脂層bの厚みのばらつきを全面で1μm以下にしてもよい。
位相差板は、その全光線透過率、ヘイズ、ΔYI、JIS鉛筆硬度、並びに外表面が線状凹部や線状凸部を実質的に有さず平坦であることが好ましい点については、延伸前フィルムと同様である。
位相差板は、樹脂層A及び樹脂層B以外に任意の層を有してもよい。任意の層の例としては、延伸前フィルムの項で説明したのと同様の層が挙げられる。
また、位相差板は、その幅方向の寸法を1000mm〜2000mmとしてもよい。
[11.液晶表示装置]
本発明の製造方法によって製造された位相差板は、通常、優れた偏光板補償機能を有する。そのため、この位相差板は、それ単独で、あるいは他の部材と組み合わせて、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置、FED(電界放出)表示装置、SED(表面電界)表示装置等の表示装置に適用してもよい。
液晶表示装置は、通常、それぞれの吸収軸が略直交する一対の偏光板(光入射側偏光板及び光出射側偏光板)と、前記一対の偏光板の間に設けられた液晶セルとを備える。液晶表示装置に位相差板を設ける場合、前記一対の偏光板の間に位相差板を設けてもよい。この際、位相差板は、液晶セルよりも光入射側に設けてもよく、液晶セルよりも光出射側に設けてもよく、液晶セルよりも光入射側及び光出射側の両方に設けてもよい。通常、これら一対の偏光板、位相差板及び液晶セルは液晶パネルとして一体に設けられ、この液晶パネルに光源から光を照射して液晶パネルの光出射側に存在する表示面に画像が表示されるようになっている。この際、位相差板が優れた偏光板補償機能を発揮するため、液晶表示装置の表示面を斜めから見た場合の光漏れを低減することが可能である。また、位相差板は、通常、偏光板補償機能の他にも優れた光学的機能を有するため液晶表示装置の視認性を更に向上させることが可能である。
液晶セルの駆動方式としては、例えば、インプレーンスイッチング(IPS)方式、バーチカルアラインメント(VA)方式、マルチドメインバーチカルアラインメント(MVA)方式、コンティニュアスピンホイールアラインメント(CPA)方式、ハイブリッドアラインメントネマチック(HAN)方式、ツイステッドネマチック(TN)方式、スーパーツイステッドネマチック(STN)方式、オプチカルコンペンセイテッドベンド(OCB)方式などが挙げられる。中でもインプレーンスイッチング方式及びバーチカルアラインメント方式が好ましく、インプレーンスイッチング方式が特に好ましい。インプレーンスイッチング方式の液晶セルは視野角が広いが、位相差板を適用することにより視野角を更に広げることが可能である。
位相差板は液晶セルまたは偏光板に貼り合わせてもよい。貼り合わせには公知の接着剤を用いうる。
また、位相差板は1枚を単独で用いてもよく、2枚以上を用いてもよい。
さらに、位相差板を液晶表示装置に設ける場合、本発明の製造方法で製造された位相差板と、それ以外の位相差板とを組み合わせて用いてもよい。例えば本発明の製造方法で製造された位相差板をバーチカルアラインメント方式の液晶セルを備えた液晶表示装置に設ける場合、一対の偏光板の間に、本発明の製造方法で製造された位相差板に加えて、視野角特性を改善するための別の位相差板を設けるようにしてもよい。
[12.その他の事項]
本発明の製造方法によって製造した位相差板は、上述した以外の用途に用いることも可能である。例えば、位相差板の面内レターデーションReを120nm〜160nmとすることによって位相差板を1/4波長板とし、この1/4波長板を直線偏光子と組み合わせれば、円偏光板とすることができる。この際、1/4波長板の遅相軸と直線偏光子の吸収軸とのなす角度は45±2°にすることが好ましい。
また、位相差板を偏光板の保護フィルムとして用いることもできる。偏光板は、通常、偏光子とその両面に貼り合わせられた保護フィルムとを備える。位相差板を偏光子に貼り合わせれば、位相差板を保護フィルムとして用いることができる。この場合、保護フィルムが省略されるので液晶表示装置を薄くすることができる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明は以下に説明する実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
以下の実施例及び比較例において、諸特性の評価は、以下の通り行った。
〔ガラス転移温度〕
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量計(セイコーインストルメンツ社製EXSTAR6220)を用いて、20℃/分で昇温することにより測定した。
〔レターデーションの測定〕
フィルムの面内レターデーションReおよびNZ係数は、自動複屈折計(王子計測機器社製「KOBRA−21ADH」)を用いて、測定波長550nmで測定した。
〔緩和工程後のフィルムの皺〕
緩和工程後のフィルムの皺の有無を、目視により判定し、緩和工程により発生した皺の有無を検討した。
[製造例1]
〔P1−1.延伸前フィルムの調製〕
二種三層(2種類の樹脂により3層からなるフィルムを形成するタイプのもの)の共押出成形用のフィルム成形装置を準備した。
ポリカーボネート樹脂(旭化成社製「ワンダーライトPC−115」、ガラス転移温度145℃)のペレットを、ダブルフライト型のスクリューを備えた一方の一軸押出機に投入して、溶融させた。このポリカーボネート樹脂は、固有複屈折値が正の樹脂Aに相当する。
また、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂(NovaChemicals社製「DylarkD332」、無水マレイン酸単位含有量17重量%、ガラス転移温度130℃)のペレットを、ダブルフライト型のスクリューを備えた他方の一軸押出機に投入して、溶融させた。このスチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂は、固有複屈折値が負の樹脂Bに相当する。
溶融された260℃の樹脂Aを目開き10μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを通して、マルチマニホールドダイ(ダイスリップの表面粗さRa=0.1μm)の一方のマニホールドに供給した。また、溶融された260℃の樹脂Bを、目開き10μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを通して、他方のマニホールドに供給した。
樹脂A及び樹脂Bを、前記マルチマニホールドダイから260℃で同時に押し出して、樹脂Aの層、樹脂Bの層、及び樹脂Aの層をこの順に備えた3層構造の、フィルム状の溶融樹脂を連続的に調製した。このフィルム状の溶融樹脂を、表面温度115℃に調整された冷却ロールにキャストし、次いで表面温度120℃に調整された2本の冷却ロール間に通して、樹脂層a1(厚さ7.1μm)、樹脂層b(厚さ169.9μm)、及び樹脂層a2(厚さ19.5μm)をこの順に備えた3層構造の延伸前フィルムを調製した。
〔P1−2.延伸前フィルムの位相発現〕
上記の工程〔P1−1〕で調製した延伸前フィルムを、延伸温度150℃、延伸倍率1.25倍で自由一軸延伸した。延伸後のフィルムについて、一軸延伸方向をX軸、一軸延伸方向に対してフィルム面内で直交する方向をY軸、およびフィルム厚さ方向をZ軸としたときに、フィルム面に垂直に入射しかつ電気ベクトルの振動面がXZ面にある直線偏光の、フィルム面に垂直に入射しかつ電気ベクトルの振動面がYZ面にある直線偏光に対する面内レターデーションReを測定したところ、74.4nmであり、位相が遅れることが分かった。
また、別の、上記の工程〔P1−1〕で調製した延伸前フィルムについて、延伸温度を130℃とする以外は上記と同様の自由一軸延伸を行った。延伸後のフィルムについて、フィルム面に垂直に入射しかつ電気ベクトルの振動面がXZ面にある直線偏光の、フィルム面に垂直に入射しかつ電気ベクトルの振動面がYZ面にある直線偏光に対する面内レターデーションReを測定したところ、−160.4nmであり、位相が進むことが分かった。
[実施例1]
製造例1で調製した延伸前フィルムをテンター横一軸延伸機に供給し、延伸温度152℃、延伸倍率3.5倍で横方向に延伸した(第一延伸工程)。続いて延伸されたフィルムを、上流の一組のニップロールと下流の一組のニップロールとの間の周速の差を利用して一軸延伸する縦一軸延伸機に供給し、延伸倍率1.25倍で縦方向に延伸した(第二延伸工程)。二組のニップロール間のオーブンにおいて、延伸温度を130℃に設定した。下流のニップロールの温度は115℃に設定し、下流のニップロールより下流の領域では、フィルムを低い張力で搬送し、これにより、フィルムの張力を80N/mに低減させた。
次いで、張力が低減された状態のフィルムを、温度120℃のセラミックロールを用いて7秒間熱処理した(緩和工程)。これにより、樹脂層A1、樹脂層B、および樹脂層A2をこの順に備えた3層構造の位相差板を製造した。
得られた位相差板は、樹脂層A1の遅相軸と、樹脂層Bの遅相軸と、樹脂層A2の遅相軸とが互いに略平行であり、NZ係数は0.67であった。
第二延伸工程後緩和工程前の面内レターデーションRe1、及び緩和工程後の面内レターデーションRe2を測定し、緩和工程におけるRe維持率(=(Re2/Re1)×100(%))を求めた。
さらに、得られた位相差板を80℃で500時間、大気中で静置し、その後さらに面内レターデーションRe3を測定し、耐久性の指標となるRe変化率(=(Re3/Re2)×100(%))を求めた。
さらに、得られた位相差板について、緩和工程後のフィルムの皺の有無を評価した。結果を表1に示す。
[実施例2]
縦延伸の温度を128℃に変更し、下流のニップロールの設定温度を114℃に変更した他は、実施例1と同様にして、位相差板を製造し評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
縦延伸の温度を124℃に変更し、下流のニップロールの設定温度を116℃に変更した他は、実施例1と同様にして、位相差板を製造し評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
製造例1で調製した延伸前フィルムをテンター横一軸延伸機に供給し、延伸温度152℃、延伸倍率3.5倍で横方向に延伸した(第一延伸工程)。続いて延伸されたフィルムを、上流の一組のニップロールと下流の一組のニップロールとの間の周速の差を利用して一軸延伸する縦一軸延伸機に供給し、延伸温度130℃、延伸倍率1.25倍で縦方向に延伸した(第二延伸工程)。下流のニップロールの温度は25℃に設定し、下流のニップロールより下流の領域では、フィルムを低い張力で搬送し、これを、緩和工程を経ずに温度25℃のセラミックロールを通過させ、そのまま、樹脂層A1、樹脂層B、および樹脂層A2をこの順に備えた3層構造の位相差板として得た。
得られた位相差板は、樹脂層A1の遅相軸と、樹脂層Bの遅相軸と、樹脂層A2の遅相軸とが互いに略平行であった。
得られた位相差板の面内レターデーションRe1を測定した後、位相差板を80℃で500時間、大気中で静置し、その後さらに面内レターデーションRe3を測定し、耐久性の指標となるRe変化率(=(Re3/Re1)×100(%))を求めた。結果を表1に示す。
[比較例2]
縦延伸の温度を128℃に変更した他は、比較例1と同様にして、位相差板を製造し評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
縦延伸の温度を124℃に変更した他は、比較例1と同様にして、位相差板を製造し評価した。結果を表2に示す。
[比較例4]
縦延伸の温度を140℃に変更した他は、比較例1と同様にして、位相差板を製造し評価した。結果を表2に示す。
[比較例5]
縦延伸の温度を150℃に変更した他は、比較例1と同様にして、位相差板を製造し評価した。結果を表2に示す。
[比較例6]
縦延伸の温度を128℃に変更し、下流のニップロールの設定温度を105℃に変更し、緩和工程におけるセラミックロールの温度を100℃に変更した他は、実施例1と同様にして、位相差板を製造し評価した。結果を表2に示す。
[比較例7]
縦延伸の温度を128℃に変更し、下流のニップロールの設定温度を114℃に変更し、緩和工程におけるセラミックロールの温度を140℃に変更した他は、実施例1と同様にして、位相差板を製造し評価した。結果を表2に示す。
Figure 0005906879
Figure 0005906879
表1〜表2の結果から、以下のことが分かる。
本発明の要件を満たす製造方法を実施した実施例1〜3で得られた位相差板は、高い値の面内レターデーションが得られ、しかも耐久性が高かった。これに対して、緩和工程を行わなかった比較例1〜3では、対応する実施例(それぞれ、実施例1〜3)に比べて、高温の負荷による配向緩和が大きかった。また、高い延伸温度で延伸し、緩和工程を行わなかった比較例4〜5では、高温による負荷を加えた後の面内レターデーションの減少は低減できたものの、延伸工程直後のレターデーション自体が小さかった。緩和工程における熱処理の温度が低すぎる比較例6では、高温の負荷による配向緩和が大きかった。緩和工程における熱処理の温度が高すぎる比較例7では、熱処理により配向も緩和してしまった。また、熱処理における昇温の量が大きかったため、フィルムに皺が発生した。
10:フィルム
100:第一延伸部
101:テンター延伸機
102:把持具
200:第二延伸部
201:ニップロール
202:ニップロール
211:予熱のためのロール
220:オーブン
221:筐体
222:ブロワー
300:緩和部
311:加温ロール

Claims (5)

  1. 固有複屈折値が正である樹脂Aからなる樹脂層aと、前記樹脂層aの少なくとも一方の面に設けられ、固有複屈折値が負である樹脂Bからなる樹脂層bとを備えるフィルムを形成する工程と、
    延伸前の前記フィルムを温度T1(℃)で一方向に延伸する第一延伸工程と、
    前記第一延伸工程の後に、温度T1より低い温度T2(℃)において前記の延伸方向に略直交する他方向へ、前記フィルムを延伸する第二延伸工程と、
    を有する位相差板の製造方法であって、
    前記第二延伸工程は自由一軸延伸する工程であり、
    前記樹脂Aのガラス転移温度および前記樹脂Bのガラス転移温度のうち高い方の温度TgH(℃)と前記温度T2とがT2<TgH−10の関係を満たし、
    前記第二延伸工程の後に、
    前記フィルムの張力を低減する工程と、
    前記フィルムを、張力が低減された状態において温度T4(℃)で熱処理する緩和工程であって、前記樹脂Aのガラス転移温度および前記樹脂Bのガラス転移温度のうち低い方の温度TgL(℃)と前記温度T4とがTgL−20≦T4≦TgLの関係を満たす緩和工程と、
    をさらに有する位相差板の製造方法。
  2. 前記フィルムの張力を低減する工程が、前記フィルムを温度T3(℃)のニップロールに通すことを含み、
    前記緩和工程における前記熱処理が、前記フィルムを温度T4(℃)に加温したロールに接触させることを含み、
    前記温度T3と、前記温度T4とが、T4≦T3+10の関係を満たす、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記温度TgHと前記温度TgLとの差が10℃以上である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記樹脂Aがポリカーボネート重合体を含有する樹脂であり、前記樹脂Bがポリスチレン系重合体を含有する樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記温度T1と前記温度TgHがT1>TgHの関係を満たす、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
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