JPWO2014184850A1 - 触媒微粒子の製造方法、及び当該製造方法により製造される触媒微粒子を含む燃料電池 - Google Patents

触媒微粒子の製造方法、及び当該製造方法により製造される触媒微粒子を含む燃料電池 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2014184850A1
JPWO2014184850A1 JP2015516773A JP2015516773A JPWO2014184850A1 JP WO2014184850 A1 JPWO2014184850 A1 JP WO2014184850A1 JP 2015516773 A JP2015516773 A JP 2015516773A JP 2015516773 A JP2015516773 A JP 2015516773A JP WO2014184850 A1 JPWO2014184850 A1 JP WO2014184850A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
platinum
palladium
copper
catalyst
particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015516773A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5991430B2 (ja
Inventor
桂一 金子
桂一 金子
次男 藤沢
次男 藤沢
典之 喜多尾
典之 喜多尾
誠 安達
誠 安達
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Application granted granted Critical
Publication of JP5991430B2 publication Critical patent/JP5991430B2/ja
Publication of JPWO2014184850A1 publication Critical patent/JPWO2014184850A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/90Selection of catalytic material
    • H01M4/92Metals of platinum group
    • H01M4/925Metals of platinum group supported on carriers, e.g. powder carriers
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/8647Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells consisting of more than one material, e.g. consisting of composites
    • H01M4/8657Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells consisting of more than one material, e.g. consisting of composites layered
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/88Processes of manufacture
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/90Selection of catalytic material
    • H01M4/9041Metals or alloys
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/90Selection of catalytic material
    • H01M4/9075Catalytic material supported on carriers, e.g. powder carriers
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/90Selection of catalytic material
    • H01M4/92Metals of platinum group
    • H01M4/921Alloys or mixtures with metallic elements
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M8/00Fuel cells; Manufacture thereof
    • H01M8/10Fuel cells with solid electrolytes
    • H01M2008/1095Fuel cells with polymeric electrolytes
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/88Processes of manufacture
    • H01M4/8803Supports for the deposition of the catalytic active composition
    • H01M4/8807Gas diffusion layers
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/88Processes of manufacture
    • H01M4/8803Supports for the deposition of the catalytic active composition
    • H01M4/881Electrolytic membranes
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/88Processes of manufacture
    • H01M4/8825Methods for deposition of the catalytic active composition
    • H01M4/8828Coating with slurry or ink
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Abstract

製造当初から高い活性を示す触媒微粒子の製造方法、及び当該製造方法により製造される触媒微粒子を含む燃料電池を提供する。パラジウム含有粒子、及び当該パラジウム含有粒子を被覆する白金最外層を備える触媒微粒子の製造方法であって、前記パラジウム含有粒子と、白金化合物が溶解した第1の溶液とを混合し、前記パラジウム含有粒子表面の少なくとも一部を白金によって被覆することにより、パラジウム及び白金を含む第1の複合体を形成し;前記第1の複合体と、銅化合物が溶解した第2の溶液とを混合し、銅アンダーポテンシャル析出法を用いて前記第1の複合体表面の少なくとも一部を銅によって被覆することにより、パラジウム、白金、及び銅を含む第2の複合体を形成し;且つ、前記第2の複合体と、白金化合物が溶解した第3の溶液とを混合することによって、前記第2の複合体中の銅を、前記第3の溶液に由来する白金に置換することを特徴とする、触媒微粒子の製造方法。

Description

本発明は、製造当初から高い活性を示す触媒微粒子の製造方法、及び当該製造方法により製造される触媒微粒子を含む燃料電池に関する。
燃料電池は、燃料及び酸化剤を電気的に接続された2つの電極にそれぞれ供給し、電気化学的に燃料を酸化させることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないため、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極で挟持した膜・電極接合体を基本構造とする単セルを複数積層して構成されている。
従来、燃料電池のアノード及びカソードの電極触媒として、担持白金及び白金合金材料が採用されてきた。しかし、今日の電極触媒に必要とされる量の白金は、燃料電池の大量生産を商業的に実現するには依然として高価である。したがって、白金をより安価な金属と組み合わせることにより、燃料電池カソード及びアノードに含まれる白金の量を低減させる研究がなされてきた。
近年、燃料電池の電極触媒として、コアシェル型の触媒微粒子(以下、コアシェル触媒と称する場合がある。)が注目を集めている。コアに対するシェルの被覆率を上げる観点から、通常、コアシェル触媒の製造方法においては、銅アンダーポテンシャル析出法(Cu under potential deposition method;以下、Cu−UPD法と称する場合がある)等のアンダーポテンシャル析出法によって予めコア部表面に単原子層を形成した後、当該単原子層をシェル部に置換する方法が知られている。
Cu−UPD法を応用した技術として、特許文献1には、界面活性剤の存在下において、銅原子層を白金原子層に置換することにより、白金原子層を含む触媒原料を製造することを特徴とする触媒原料の形成方法が開示されている。
国際公開第2012/115624号
しかし、本発明者らによる検討の結果、特許文献1に記載されたような、Cu−UPD法によりコアに銅原子層を被覆した後、銅原子層を白金原子層に置換する方法では、コアが白金原子層により十分に被覆されない。したがって、得られるコアシェル触媒は、製造当初は高い活性を持たず、高い活性となるまでに長い慣らし運転、すなわち、電位サイクルの付与等によってコアシェル触媒表面の状態を変化させることにより、コアシェル触媒の活性を予め高める運転が必要となるという問題があった。
本発明は、上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、製造当初から高い活性を示す触媒微粒子の製造方法、及び当該製造方法により製造される触媒微粒子を含む燃料電池を提供することを目的とする。
本発明の触媒微粒子の第1の製造方法は、パラジウム含有粒子、及び当該パラジウム含有粒子を被覆する白金最外層を備える触媒微粒子の製造方法であって、前記パラジウム含有粒子と、白金化合物が溶解した第1の溶液とを混合し、前記パラジウム含有粒子表面の少なくとも一部を白金によって被覆することにより、パラジウム及び白金を含む第1の複合体を形成し;前記第1の複合体と、銅化合物が溶解した第2の溶液とを混合し、銅アンダーポテンシャル析出法を用いて前記第1の複合体表面の少なくとも一部を銅によって被覆することにより、パラジウム、白金、及び銅を含む第2の複合体を形成し;且つ、前記第2の複合体と、白金化合物が溶解した第3の溶液とを混合することによって、前記第2の複合体中の銅を、前記第3の溶液に由来する白金に置換することを特徴とする。
本発明の触媒微粒子の第2の製造方法は、パラジウム含有粒子、及び当該パラジウム含有粒子を被覆する白金最外層を備える触媒微粒子の製造方法であって、前記パラジウム含有粒子と、銅化合物が溶解した第2の溶液とを混合し、銅アンダーポテンシャル析出法を用いて前記パラジウム含有粒子表面の少なくとも一部を銅によって被覆することにより、パラジウム及び銅を含む複合体Aを形成し;前記複合体Aと、白金化合物が溶解した第3の溶液とを混合し、前記複合体A中の銅を、前記第3の溶液に由来する白金に置換することにより、パラジウム及び白金を含む複合体Bを形成し;且つ、前記複合体Bと、白金化合物が溶解した第1の溶液とを混合することにより、前記複合体B表面の少なくとも一部を白金によって被覆することを特徴とする。
本発明において、前記パラジウム含有粒子が担体に担持されていることが好ましい。
本発明において、前記第1の複合体又は前記複合体Aを形成する前に、予め前記パラジウム含有粒子を酸処理することが好ましい。
本発明においては、前記パラジウム含有粒子を白金の単原子層により被覆する場合に要する最少白金原子量を100atm%としたとき、前記第1の溶液中に含まれる白金原子の量を70atm%以下としてもよい。
本発明の燃料電池は、高分子電解質膜の一面側に少なくともアノード触媒層を備えるアノード電極を備え、他面側に少なくともカソード触媒層を備えるカソード電極を備える膜・電極接合体を備える単セルを備える燃料電池であって、上記第1又は第2の製造方法により製造される触媒微粒子を、前記アノード触媒層及び前記カソード触媒層の少なくともいずれか一方に含むことを特徴とする。
本発明によれば、パラジウム含有粒子と前記第1の溶液とを混合して、パラジウム含有粒子表面の少なくとも一部を白金によって被覆した後、Cu−UPD法を用いて当該パラジウム含有粒子表面の残りの部分を白金によって被覆することにより、極めて高い被覆率を有する触媒微粒子を製造できる。また、本発明によれば、得られる触媒微粒子が製造当初から高い活性を示すため、慣らし運転の必要がなく、その結果、製造後すぐに触媒反応に用いることができる。
本発明における第1の複合体の典型例の断面模式図である。 本発明に係る触媒微粒子の製造方法における、被覆状態の断面の変遷を示した模式図である。 本発明に係る燃料電池の単セルの一例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。 実施例1における第1の複合体の形成の際のモニタリングの様子を示したグラフである。 実施例1における銅原子層の白金最外層への置換の際のモニタリングの様子を示したグラフである。 参考例1における白金被覆の際のモニタリングの様子を示したグラフである。 コアとなるパラジウム粒子の平均粒径に対する、パラジウム粒子表面に白金が占める割合を示したグラフである。 Cu−UPD法を用いた従来のコアシェル触媒の製造方法から予測される、被覆状態の断面の変遷を示した模式図である。 比較例1における銅原子層の白金最外層への置換の際のモニタリングの様子を示したグラフである。 比較例2における銅原子層の白金最外層への置換の際のモニタリングの様子を示したグラフである。 パラジウム粒子表面が銅原子により完全に被覆されてなる複合体の断面模式図である。
1.触媒微粒子の第1の製造方法
本発明の触媒微粒子の第1の製造方法は、パラジウム含有粒子、及び当該パラジウム含有粒子を被覆する白金最外層を備える触媒微粒子の製造方法であって、前記パラジウム含有粒子と、白金化合物が溶解した第1の溶液とを混合し、前記パラジウム含有粒子表面の少なくとも一部を白金によって被覆することにより、パラジウム及び白金を含む第1の複合体を形成し;前記第1の複合体と、銅化合物が溶解した第2の溶液とを混合し、銅アンダーポテンシャル析出法を用いて前記第1の複合体表面の少なくとも一部を銅によって被覆することにより、パラジウム、白金、及び銅を含む第2の複合体を形成し;且つ、前記第2の複合体と、白金化合物が溶解した第3の溶液とを混合することによって、前記第2の複合体中の銅を、前記第3の溶液に由来する白金に置換することを特徴とする。
上記特許文献1には、コアシェル触媒の合成方法として、シェルとなる白金単原子層の制御を目的としたCu−UPD法を用いた従来の合成方法が記載されている。
しかし、本発明者らの検討の結果、特にコアにパラジウム且つシェルに白金を含む従来のコアシェル触媒は、mgスケールやgスケールで製造した場合に製造直後の質量活性が低く、当該質量活性は白金担持カーボンの質量活性のたかだか2倍強程度に留まるという課題が見出された。したがって、従来のコアシェル触媒においては、回転ディスク電極(Rotating Disk Electrode:RDE)法等の電位処理を経なければ、μgスケール合成で得られるような質量活性(白金担持カーボンの質量活性の3倍以上に相当)は得られないという課題があった。
また、燃料電池への応用の観点から、製造直後の触媒活性(初期活性)が重要となるものの、従来のコアシェル触媒は、そもそも触媒活性が低いことに加えて、触媒活性を一定以上とするために、非常に長い時間の慣らし運転を要するという問題も見出された。これは、燃料電池内部と液セル内部との運転環境の違いにより、燃料電池内部における電位処理の効果が、液セル内でRDEを用いた電位処理の効果よりも劣ることによるものである。ここで、燃料電池内部の運転環境が液セル内部の運転環境と違う点としては、例えば、コアシェル触媒がアイオノマーにより被覆されていること、触媒層が非常に薄いこと、回転による物質輸送の対流効果があること等である。
本発明者らは、Cu−UPD法を用いてmgスケール以上で製造された従来のコアシェル触媒が、製造直後は、不均一なシェルを有する未完成のコアシェル構造を有するため、当該従来のコアシェル触媒に対し電位処理を施した場合、シェルの被覆状態が変化する結果初めてコアシェル構造が完成すると予測した。本発明者らは、製造直後から完成したコアシェル構造を有する触媒微粒子の製造を目指し、研究開発を進めた。
一方、コアシェル触媒の製造方法として、コアとなる金粒子を白金錯体溶液と接触させることにより、金粒子上に白金を直接析出させる方法が知られている。この方法は、Cu−UPD法を経ずに、金粒子に対し直接白金を被覆する。
しかし、コアに金を用いた場合、従来の白金担持カーボン触媒と同程度のコストがかかるため、コストメリットが無い。また、公知文献(M.Inaba et,al.,ECS Transaction,33(1)231−238(2010))の第237頁には、金をコアとするコアシェル触媒においては、白金シェルが金コアに溶解して合金を形成する旨、及びこのような白金シェルの溶解は電位サイクルを付与した場合に活性が低下する原因となる旨の記載がある。これは、金が展性や延性等の機械的な柔軟性に富むためであると考えられる。
また、金は酸素還元活性が非常に乏しいため、白金シェルの損失が深刻な活性低下につながるというデメリットも考えられる。
従来、パラジウム含有粒子と白金化合物を含む溶液とを直接接触させた場合、イオン化傾向に従いパラジウム含有粒子表面のパラジウムと白金とが置換すると考えられていた。しかし、本発明者らは、後述する実施例において示すように、この場合パラジウムと白金とが置換することはなく、塩化白金酸塩を用いた系でパラジウム含有粒子表面に白金が析出することを初めて見出した。また本発明者らは、パラジウム含有粒子と白金化合物を含む溶液とを直接接触させて得られたコアシェル触媒が、Cu−UPD法を用いて製造された従来のコアシェル触媒よりも、活性が高く耐久性にも優れていることを見出した。
さらに本発明者らは、パラジウム含有粒子と白金化合物を含む溶液とを直接接触させることにより白金層を形成した後、Cu−UPD法によって白金層が形成されていない部分について白金をさらに析出させることにより、触媒活性が合成直後から高く、且つ耐久性に優れたコアシェル触媒が得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、(1)第1の複合体を形成する工程、(2)第2の複合体を形成する工程、及び(3)第2の複合体中の銅を白金に置換する工程を有する。本発明は、必ずしも上記3工程のみに限定されることはなく、上記3工程以外にも、例えば、後述するような酸処理工程、ろ過工程、洗浄工程、及び乾燥工程等を有していてもよい。
以下、上記工程(1)〜(3)及びその他の工程について、順に説明する。
1−1.第1の複合体を形成する工程
本工程は、パラジウム含有粒子と、白金化合物が溶解した第1の溶液とを混合し、パラジウム含有粒子表面の少なくとも一部を白金によって被覆することにより、パラジウム及び白金を含む第1の複合体を形成する工程である。
本発明におけるパラジウム含有粒子とは、パラジウム粒子及びパラジウム合金粒子の総称である。
後述するように、パラジウム含有粒子を被覆する最外層は白金を含む。白金は、触媒活性、特に酸素還元反応(ORR:Oxygen Reduction Reaction)活性に優れている。また、白金の格子定数は3.92Åであるのに対し、パラジウムの格子定数は3.89Åであり、パラジウムの格子定数は白金の格子定数の±5%の範囲内の値であることから、白金−パラジウム間で格子不整合が生じず、白金によるパラジウムの被覆が十分に行われる。
本発明におけるパラジウム含有粒子は、コストを抑える観点から、最外層に用いられる白金よりも安価な金属材料を含むことが好ましい。さらに、パラジウム含有粒子は、電気的導通がとれる金属材料を含むことが好ましい。
以上の観点から、本発明におけるパラジウム含有粒子は、パラジウム粒子、又は、イリジウム、ロジウム若しくは金等の金属とパラジウムとの合金粒子であることが好ましい。パラジウム合金粒子を用いる場合には、当該パラジウム合金粒子にはパラジウムの他に金属が1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。
パラジウム含有粒子の平均粒径は、後述する触媒微粒子の平均粒径以下であれば、特に限定されない。なお、パラジウム含有粒子1つ当たりのコストに対する表面積の割合が高いという観点から、パラジウム含有粒子の平均粒径は、好ましくは30nm以下、より好ましくは3〜10nmである。
なお、本発明におけるパラジウム含有粒子及び触媒微粒子の平均粒径は、常法により算出される。パラジウム含有粒子及び触媒微粒子の平均粒径の算出方法の例は以下の通りである。まず、400,000〜1,000,000倍のTEM画像において、ある1つの粒子について、当該粒子を球状と見なした際の粒径を算出する。このようなTEM観察による粒径の算出を、同じ種類の200〜300個の粒子について行い、これらの粒子の平均を平均粒径とする。
パラジウム含有粒子は担体に担持されていてもよい。特に、本発明により製造される触媒微粒子を燃料電池の電極触媒層に使用した際、電極触媒層に導電性を付与するという観点から、担体が導電性材料であることが好ましい。
担体として使用できる導電性材料の具体例としては、ケッチェンブラック(商品名:ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製)、バルカン(商品名:Cabot社製)、ノーリット(商品名:Norit社製)、ブラックパール(商品名:Cabot社製)、アセチレンブラック(商品名:Chevron社製)等の炭素粒子や、炭素繊維等の導電性炭素材料;金属粒子や金属繊維等の金属材料;が挙げられる。
パラジウム含有粒子が担持された担体は、予め調製されたものであってもよいし、市販のものであってもよい。
パラジウム含有粒子の担体への担持方法には、従来から用いられている方法を採用することができる。パラジウム合金粒子を用いる場合には、パラジウム合金の調製とパラジウム合金粒子の担体への担持が同時に行われてもよい。
本工程においては、パラジウム含有粒子と、白金化合物が溶解した第1の溶液とを混合する。パラジウム含有粒子と第1の溶液とを混ぜる態様については特に限定されない。例えば、パラジウム含有粒子の粉末そのものと第1の溶液とを混合してもよいし、パラジウム含有粒子が担持された担体の粉末と第1の溶液とを混合してもよいし、パラジウム含有粒子の分散液と第1の溶液とを混合してもよいし、パラジウム含有粒子が担持された担体の分散液と第1の溶液とを混合してもよい。すなわち、パラジウム含有粒子については、固体の状態であってもよいし、液体中に分散している状態であってもよい。また、パラジウム含有粒子は、担体に担持されているか否かを問わない。
また、本発明における「白金化合物が溶解した第1の溶液」中には、白金化合物がそのまま存在していてもよいし、白金イオンが存在していてもよい。すなわち、第1の溶液中には、白金化合物に由来する白金元素が含まれていればよい。なお、ここでいう白金化合物には、白金塩及び白金錯体が含まれる。
上述したように、パラジウム含有粒子と、白金化合物が溶解した溶液(以下、白金化合物溶液と称する場合がある)とを直接接触させた場合について、本発明者らは、パラジウムと白金とが置換することなく、パラジウム含有粒子表面に白金が析出することを今回初めて見出した。ここで、白金化合物溶液とは、特に塩化白金酸塩を用いた系を指す。この知見は、以下の検証に基づくものである(参考例1参照)。まず、参考例1に使用されたパラジウム担持カーボン中のパラジウムの割合は15.9%である。次に、パラジウム粒子表面(粒子中の約33%に相当)のパラジウムが溶出して白金が析出した場合(計算上、Pt:9.47%、Pd:10.1%となる)、パラジウム担持カーボン(90.5%)に対するパラジウム(10.1%)の割合は、10.1/90.5=11.2%と算出される。しかし、参考例1の燃料電池用触媒において、パラジウム担持カーボン(93.4%)に対するパラジウム(13.9%)の割合は、13.9/93.4=14.9%である。参考例1におけるパラジウムの割合(14.9%)は、パラジウムが溶出した場合の値(11.2%)よりも、原料(パラジウム担持カーボン)におけるパラジウムの割合(15.9%)により近い。この結果から、パラジウム含有粒子を白金化合物溶液に浸漬させた場合、パラジウム含有粒子表面が損なわれることなく、パラジウム含有粒子表面に白金がそのまま析出することが明らかとなった。
本発明者らは、さらに、このようにパラジウム粒子と白金化合物溶液とを直接接触させて得られた触媒微粒子が、Cu−UPD法により合成した従来のコアシェル触媒と比較して、より優れた質量活性、比活性、及び耐久性を有することを見出した。すなわち、後述する参考例1と比較例1との比較から明らかなように、パラジウム粒子表面に略等しい量の白金を析出させたにもかかわらず、パラジウム粒子と白金化合物溶液とを直接接触させて得られた触媒微粒子(参考例1)は、Cu−UPD法により合成した従来のコアシェル触媒(比較例1)よりも、質量活性及び比活性に優れ、且つ、電位サイクル後の電気化学表面積の維持率が高い。
上記の如く電気化学表面積の維持率が異なる理由は、白金の析出方法の違いにより、パラジウム含有粒子表面における白金の被覆場所が異なる結果、得られる触媒微粒子の完全性が異なるためであると考えられる。特に、パラジウム含有粒子と白金化合物溶液とを直接接触させる方法は、比較的不安定なパラジウム含有粒子表面に白金を優先的に析出できる方法であると考えられる。
参考例1及び参考例2の燃料電池用触媒は、使用した白金化合物の量が異なるのみで、いずれもパラジウム粒子と白金化合物溶液とを直接接触させて得られた触媒微粒子を含む。後述する表1に示すように、参考例1及び参考例2のICP測定結果を比較すると、パラジウム粒子表面における白金及びパラジウムの割合、並びに被覆率はほぼ変わらない。この結果から、パラジウム含有粒子を白金化合物溶液と直接接触させる方法においては、白金化合物の量を変えたとしてもパラジウム含有粒子表面の組成に大した影響はなく、パラジウム含有粒子表面の組成は白金添加量に対して感度が鈍いこと、及びパラジウム含有粒子表面に直接析出できる白金量は予め決まっていることが分かる。この結果から、パラジウム含有粒子を白金化合物溶液と接触させる方法においては、比較的白金が不安定となるパラジウム表面にのみ白金原子が析出し、比較的白金が安定となるパラジウム表面には白金原子が析出しないと推測される。
したがって、比較的不安定なパラジウム含有粒子表面に対し白金を析出させた後に、パラジウム含有粒子のその他の表面に白金を析出させる方法により、安定性に優れる触媒微粒子が得られると考えられる。
図1は、本工程により得られる第1の複合体の典型例の断面模式図である。なお、図1は、パラジウム含有粒子に対する白金の被覆の様子を説明するための図であり、本発明における第1の複合体は、必ずしも図1に描かれた態様のみに限定されるとは限らない。
図1に示すように、第1の複合体の典型例100aは、パラジウム含有粒子1の表面の一部に白金原子2が析出してなる複合体である。第1の複合体の典型例100aは、Cu−UPD法により合成した従来のコアシェル触媒よりも質量活性及び比活性に優れ、電気化学表面積の維持率(触媒耐久性の指標)が高い。したがって、パラジウム含有粒子と白金化合物溶液とを直接接触させる場合、より溶出しやすいエッジやコーナーからなるPd{110}部位、及び白金の酸素還元活性がより高いPd{111}部位の一部に白金が析出すると考えられる。
一方、Cu−UPD法により得られる幾何被覆率60%程度の量の白金は、溶出しやすいPd{110}部位を被覆できないと考えられる。
なお、本明細書においては、金属結晶の所定の結晶面の表記として、当該結晶の化学組成を示す化学式(単体の場合は元素記号)に結晶面を併記したものを用いる。例えば、Pd{110}部位とは、パラジウム金属結晶の{110}部位を意味する。また、本明細書においては、結晶面の表記について、等価な面群を中カッコで括って表す。例えば、(110)部位、(101)部位、(011)部位、(−1−10)部位、(−10−1)部位、(0−1−1)部位等は、全て{110}部位として表記する。
本工程においてパラジウム含有粒子表面の少なくとも一部を被覆する白金は、燃料電池用触媒としての活性、特に酸素還元反応(ORR)活性が高い。白金は、触媒微粒子における白金最外層を構成する材料となる。
本工程に使用される第1の溶液は酸を含むことが好ましい。第1の溶液に含まれる酸としては、硫酸、硝酸、過塩素酸、塩酸、次亜塩素酸等が例示でき、これらの酸の中でも、硫酸が好ましい。
第1の溶液は、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスを予めバブリングし、当該第1の溶液中の酸素等を可能な限り除去することが好ましい。
第1の溶液中の白金化合物の量は、パラジウム含有粒子の平均粒径から予め算出した、形成予定の白金最外層の面積(又は体積)から決定することが好ましい。パラジウム含有粒子の平均粒径は、上述した方法により算出できる。
パラジウム含有粒子を白金の単原子層により被覆する場合に要する最少白金原子量(以下、最少白金原子量と称する場合がある)を100atm%としたとき、第1の溶液中に含まれる白金原子の量を70atm%以下としてもよい。このように、第1の溶液中に含まれる白金原子の量を所定量以下とすることにより、100atm%以上の量の白金原子を一度に用いる場合と比較して、得られる第1の複合体自体の触媒活性を上げることができる。
最少白金原子量を100atm%としたとき、第1の溶液中に含まれる白金原子の量を65atm%以下とすることが好ましく、60atm%以下とすることがより好ましい。
第1の複合体の形成に要する時間は、第1の溶液中に含まれる白金がパラジウム含有粒子の表面に十分に析出する時間であれば特に限定されず、反応スケールにより適宜調節できる。第1の複合体の形成を終了する目安としては、例えば、パラジウム含有粒子と第1の溶液とを混合すると開回路電位が上昇するが、当該開回路電位の上昇が止んだときが挙げられる。
第1の複合体の形成に要する時間は、例えば、1〜100gのパラジウム含有粒子について、1〜24時間程度である。
第1の複合体を形成する工程の具体例は以下の通りである。まず、パラジウム含有粒子を含む反応容器中に、予め酸素を脱気した第1の溶液を徐々に滴下する。第1の溶液の滴下量は、パラジウム含有粒子を白金の単原子層により被覆する場合に要する最少白金原子量を100atm%としたとき、70atm%以下とする。反応容器内の自然電位をモニタリングしながら、電位がプラトーになるまで(すなわち、白金の被覆反応が終了するまで)攪拌し、パラジウム含有粒子表面の一部を白金によって被覆する。
第1の複合体を形成する前に、予めパラジウム含有粒子を酸処理することが好ましく、パラジウム含有粒子が担持された担体を酸処理することがより好ましい。ここでいう酸処理とは、パラジウム含有粒子が担持された担体を酸溶液に単に添加する処理や、パラジウム含有粒子が担持された担体を酸溶液に添加した後に電位を付与する処理を含む。
本発明に好適に使用される酸溶液は、パラジウム含有粒子表面の酸化物を除去できる程度に十分な酸化力を持つ酸溶液であり、具体的には、硝酸、硫酸、過塩素酸、塩酸、次亜塩素酸等が挙げられる。特に、主にパラジウムを溶解するのに十分な酸化力を持つという観点から、硫酸が好ましい。なお、酸溶液の濃度、及びバブリングによる酸溶液中の雰囲気制御は、酸溶液の種類ごとに適宜調節すればよい。
全てのパラジウム含有粒子に対し電位処理が満遍なく速やかに進行するという観点から、パラジウム含有粒子が分散した酸溶液においては、各パラジウム含有粒子が互いに凝集することなく、酸溶液中に均一に分散していることが好ましい。
酸処理において分散液に電位を付与する場合には、付与する電位について特に制限はなく、例えば、0.1〜1.1Vの矩形波パターン等を付与することができる。
特に、0.4〜0.6V(vs.RHE)の電位の範囲は、パラジウム含有粒子表面の酸化物(酸化被膜)を除去できる電位の範囲であるため好ましい。0.4V(vs.RHE)未満の電位においては、パラジウムによる水素の吸蔵が始まるおそれがある。一方、0.6V(vs.RHE)を超える電位においては、パラジウム含有粒子中のパラジウム等の金属が溶出しだすおそれがある。なお、下限の0.4V(vs.RHE)を0.2V程度下回ったとしても、パラジウム含有粒子の表面の酸化物を除去するクリーニング効果そのものは、0.4〜0.6V(vs.RHE)の電位範囲の掃引の効果と同程度である。酸処理において付与する電位の範囲は、0.4〜0.45V(vs.RHE)の範囲が好ましい。
酸処理においては、0.4〜0.6V(vs.RHE)の範囲内であれば、所定の電位に固定して電位処理を実行してもよいし、所定の電位の範囲を1回又は2回以上掃引してもよい。なお、パラジウム含有粒子表面に対する吸着物質の脱着を繰り返し、当該表面に存在する酸化物を効率よく除去できるという観点からは、酸処理における電位処理は、0.4〜0.6V(vs.RHE)の範囲内の任意の2つの電位間を掃引する電位処理であることが好ましい。
任意の2つの電位間にて電位を掃引する場合には、掃引の回数は、反応スケールにより適宜調節することができる。掃引の回数は、例えば、1〜100gのパラジウム含有粒子について、1〜1,000サイクル程度である。
酸処理における電位付与に要する時間は、パラジウム含有粒子の表面の酸化物が十分除去できる時間であれば特に限定されず、合成スケールにより適宜調節できる。電位付与終了の目安としては、例えば、0.4〜0.6V(vs.RHE)の範囲内の任意の2つの電位間を掃引する電位処理を行った場合には、電位処理の波形の軌道が、前回掃引時の波形の軌道とほぼ重なり、複数回掃引しても電位処理の波形がほぼ同一の軌跡を描くようになった場合が挙げられる。このような場合には、当該電位処理に対する電流の変動が一定となり、パラジウム含有粒子の表面の酸化物がほぼ消失したとみなすことができる。
電位付与に要する時間は、例えば、1〜100gのパラジウム含有粒子について、1〜24時間程度である。
酸処理の具体例は以下の通りである。まず、パラジウム含有粒子を水中に加え、適宜水中に分散させた後、酸溶液をさらに加え、0.4〜0.6V(vs.RHE)の範囲内で電位を往復して掃引する。このとき、酸溶液は、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスにより予めバブリングし、酸溶液中の酸素等を可能な限り除去することが好ましい。
このように、白金被覆前のパラジウム含有粒子に対し予め電位処理を行うことにより、パラジウム含有粒子の表面に吸着しているパラジウム酸化物等の酸化物を除去でき、パラジウム含有粒子表面をクリーニングできる。また、付与する電位を0.4〜0.6V(vs.RHE)の範囲内、好適には0.4〜0.45V(vs.RHE)の範囲内とすることにより、パラジウム含有粒子からのパラジウム等金属の溶出や、パラジウムによる水素吸蔵のおそれもないため、パラジウム含有粒子表面に酸化物が新たに現れるおそれもない。
1−2.第2の複合体を形成する工程
本工程は、前記第1の複合体と、銅化合物が溶解した第2の溶液とを混合し、銅アンダーポテンシャル析出法(Cu−UPD法)を用いて第1の複合体表面の少なくとも一部を銅によって被覆することにより、パラジウム、白金、及び銅を含む第2の複合体を形成する工程である。Cu−UPD法によって、第1の複合体に銅を被覆する際に、各第1の複合体への銅析出量を均一にすることができる。
本工程においては、第1の複合体と、銅化合物が溶解した第2の溶液とを混合する。第1の複合体と第2の溶液とを混ぜる態様については特に限定されない。例えば、第1の複合体の粉末そのものと第2の溶液とを混合してもよいし、第1の複合体が担持された担体の粉末と第2の溶液とを混合してもよいし、第1の複合体の分散液と第2の溶液とを混合してもよいし、第1の複合体が担持された担体の分散液と第2の溶液とを混合してもよい。すなわち、第1の複合体については、固体の状態であってもよいし、液体中に分散している状態であってもよい。また、第1の複合体は、担体に担持されているか否かを問わない。さらに、第1の複合体は、上述した第1の溶液中に分散した状態で第2の溶液と混合してもよい。
また、本発明における「銅化合物が溶解した第2の溶液」中には、銅化合物がそのまま存在していてもよいし、銅イオンが存在していてもよい。すなわち、第2の溶液中には、銅化合物に由来する銅元素が含まれていればよい。なお、ここでいう銅化合物には、銅塩及び銅錯体が含まれる。
本工程におけるCu−UPD法のその他の条件には、公知の条件を用いることができる。
本工程の具体例は以下の通りである。まず、第1の複合体を含む反応容器中に、硫酸銅等の銅化合物を加える。次に、第1の複合体に銅が1原子層分だけ析出するように、アンダーポテンシャル析出電位(UPD電位)と略等しい電位を反応混合物に付与する。この操作により、第1の複合体表面の少なくとも一部が銅により被覆されてなる第2の複合体が形成される。
1−3.第2の複合体中の銅を白金に置換する工程
本工程は、前記第2の複合体と、白金化合物が溶解した第3の溶液とを混合することによって、第2の複合体中の銅を、第3の溶液に由来する白金に置換する工程である。
本工程においては、第2の複合体を第3の溶液と混合した後、電位が一定となるまで保持することにより、第2の複合体中の銅を、前記第3の溶液に由来する白金に置換することが好ましい。
第3の溶液に溶解している白金化合物、及び第3の溶液に好適に含まれる酸については、第1の溶液と同様である。
第1の溶液及び第3の溶液に含まれる白金化合物の量は、反応条件に合わせてそれぞれ適宜調節することができる。白金使用量を少なく抑えるという観点から、第1の溶液中及び第3の溶液中に含まれる白金原子の総量を、上述した最少白金原子量と略等しくすることが好ましい。
Cu−UPD法を用いた従来の製造方法においては、パラジウム含有粒子表面のエッジ部分等が白金によって置換されにくいため、得られるコアシェル構造が不完全となると考えられる。図11は、パラジウム粒子表面が銅原子により完全に被覆されてなる複合体の断面模式図である。図11に示すように、複合体300は、パラジウム含有粒子1の表面に銅原子3が析出してなる粒子である。銅原子3には、パラジウム含有粒子表面のエッジ部分又はコーナー部分に析出した銅原子3aと、パラジウム含有粒子表面のテラス部分に析出した銅原子3bが含まれる。パラジウム含有粒子表面のエッジ部分及びコーナー部分には、酸素原子が吸着しやすく、脱離しにくいことが知られている。これと同様の原理により、銅原子3aは、銅原子3bよりも、パラジウム含有粒子表面に対する吸着力が大きい。したがって、銅原子3aは白金と置換されにくくなる。銅原子3aと置換されなかった白金原子は、他の白金原子上又は担体上に析出する他ない。その結果、白金自体は析出するものの、析出した当該白金のORR活性に対する寄与は小さくなり、触媒微粒子全体の質量活性が低くなる。
本発明の製造方法は、図1に示したような第1の複合体に対し、さらにCu−UPD法を用いて白金の被覆を行う。白金の被覆状態については、図2の下段及び図8の下段に示す2つのモデルが予想される。
図8は、Cu−UPD法を用いた従来のコアシェル触媒の製造方法から予測される、被覆状態の断面の変遷を示した模式図である。図8の上段は、第1の複合体100aの断面模式図であり、図1と同様である。図8の中段は、第1の複合体表面に、さらに銅原子3からなる単原子層が1層被覆してなる第2の複合体100bの断面模式図である。図8の下段は、第2の複合体100bにおいて、白金原子2上の銅原子3が優先的に白金原子2に置換した状態を示す断面模式図である。図の間の矢印は、被覆状態の変遷を示す。
図8の下段に示すモデルにおいて、例えば、コアシェル触媒表面に白金が60%、パラジウムが40%露出しているとすると、コアシェル触媒の比活性は2.40(A/m)と算出される。この比活性は、第1の複合体100aの比活性と変わらない。しかし、後述する表1において示すように、本発明の製造方法により得られた触媒微粒子(実施例1)の比活性は4.73(A/m)であるため、このモデルは採用し得ない。
図2は、パラジウム原子上の銅原子が優先的に白金原子に置換した場合における、被覆状態の断面の変遷を示した模式図である。図2の上段及び中段は、図8の上段及び中段と同じ図である。図8の下段は、第2の複合体100bにおいて、パラジウム含有粒子1表面の銅原子3が優先的に白金原子2に置換した状態を示す断面模式図である。図の間の矢印は、被覆状態の変遷を示す。
パラジウム原子上の白金原子の比活性は、純白金の比活性の1.3倍を超えることが知られている。白金の比活性は3.2(A/m)であるため、パラジウム原子上の白金原子の比活性は、計算上は4.2(A/m)を超える。したがって、上記4.73(A/m)(実施例1の比活性)の値は、パラジウム粒子の表面が白金により100%被覆されたと仮定したときの計算値とおおよそ等しくなる。すなわち、図2の下段に示したモデル100cこそが、本発明により製造された触媒微粒子であるといえる。
公知文献(J.Greeley et al.Electrochimica Acta 52(2007)5829−5836の図2)には、第一原理によるエネルギー計算によって、銅原子がパラジウムホストの表面から分離するエネルギーの方が、銅原子が白金ホストの表面から分離するエネルギーよりも低いことが記載されている。当該公知文献の計算結果は、図2の下段に示したモデルにおける、パラジウム含有粒子表面の銅原子の方が、白金原子上の銅原子よりも優先的に白金原子に置換されやすいという現象を理解するための参考となる。
また、後述する表1に示すように、本発明により製造される触媒微粒子は、未使用時の質量活性と、電位サイクルを付与した後の質量活性との差が極めて小さい(実施例1参照)。これは、製造直後において、パラジウム含有粒子の表面に対し、ORR活性を司る白金最外層がほぼ完全に被覆された、完成したコアシェル構造が形成されていることを示唆する。
本工程の具体例は以下の通りである。まず、第2の複合体を含む反応容器中に、白金化合物が溶解した第3の溶液を徐々に滴下する。反応容器内の自然電位をモニタリングしながら、電位がプラトーになるまで(すなわち、白金の被覆反応が終了するまで)攪拌し、パラジウム含有粒子表面の銅単原子層を白金単原子層に置換することにより、触媒微粒子が得られる。
1−4.その他の工程
触媒微粒子を形成した後には、触媒微粒子のろ過、洗浄、及び乾燥等が行われてもよい。
触媒微粒子のろ過及び洗浄は、製造された触媒微粒子の被覆構造を損なうことなく、不純物を除去できる方法であれば特に限定されない。当該ろ過及び洗浄の例としては、水、過塩素酸、希硫酸、希硝酸等を用いて吸引ろ過をする方法が挙げられる。
触媒微粒子の乾燥は、溶媒等を除去できる方法であれば特に限定されない。当該乾燥の例としては、室温下の真空乾燥を0.5〜2時間行った後、不活性ガス雰囲気下、60〜80℃の温度条件で1〜12時間乾燥させるという方法が挙げられる。
以上のように、本発明の製造方法においては、Cu−UPD法を用いることなくパラジウム含有粒子表面の少なくとも一部に白金を析出させた後、さらにCu−UPD法を用いてパラジウム含有粒子表面の残りの部分に白金を析出させることにより、Cu−UPD法のみを用いた従来の製造方法よりも、初期(製造直後)から質量活性及び比活性が高く、且つ耐久性に優れた触媒微粒子を得ることができる。この結果は、本発明の製造方法が、従来のCu−UPD法と比較して、完成品(すなわち活性の最も高い触媒微粒子)の構造に近いコアシェル構造が構築できたことを示唆している。また、その完成度の高さゆえに、電位サイクルを施した後であっても、初期とほぼ変わらない質量活性、比活性、及び電気化学表面積を維持することができる。
さらに、本発明においては、Cu−UPD法のみを用いた従来の合成法と異なり、銅の使用量が少ないため、合成後に排出される銅含有排液が少なくて済むという利点がある。また、本発明により製造される触媒微粒子を膜・電極接合体に使用するにあたり、従来からの懸案であった、触媒微粒子中に残留した銅が膜・電極接合体に及ぼす影響も小さい。
このように、本発明の製造方法は、従来の合成方法に比べ、より低いコストで、より簡易に、より高い被覆率を有する触媒微粒子を提供することが可能となる。
2.触媒微粒子の第2の製造方法
本発明の触媒微粒子の第2の製造方法は、パラジウム含有粒子、及び当該パラジウム含有粒子を被覆する白金最外層を備える触媒微粒子の製造方法であって、(A)前記パラジウム含有粒子と、銅化合物が溶解した第2の溶液とを混合し、銅アンダーポテンシャル析出法を用いて前記パラジウム含有粒子表面の少なくとも一部を銅によって被覆することにより、パラジウム及び銅を含む複合体Aを形成し;(B)前記複合体Aと、白金化合物が溶解した第3の溶液とを混合し、前記複合体A中の銅を、前記第3の溶液に由来する白金に置換することにより、パラジウム及び白金を含む複合体Bを形成し;且つ、(C)前記複合体Bと、白金化合物が溶解した第1の溶液とを混合することにより、前記複合体B表面の少なくとも一部を白金によって被覆することを特徴とする。
上記第1の製造方法においては、Cu−UPD法を用いない白金被覆工程(上記「1−1.第1の複合体を形成する工程」)の後に、Cu−UPD法を用いた白金被覆工程(上記「1−2.第2の複合体を形成する工程」及び「1−3.第2の複合体中の銅を白金に置換する工程」)が行われる。
発明の原理としては、上記順序を逆にして、Cu−UPD法を用いた白金被覆工程の後にCu−UPD法を用いない白金被覆工程を行っても、白金被覆に何ら支障はなく、これまで説明した製造方法と同様の効果を得ることができる。
上記工程(A)はCu−UPD法を行う工程であり、上記「1−2.第2の複合体を形成する工程」に対応する。上記「1−2.第2の複合体を形成する工程」においては、Cu−UPD法を行う対象が、パラジウム及び白金を含む第1の複合体であるのに対し、工程(A)においては原料であるパラジウム含有粒子である点において異なる。しかし、工程(A)においては、上記「1−2.第2の複合体を形成する工程」とほぼ同様の条件下でCu−UPD法を行うことにより、パラジウム及び銅を含む複合体Aを形成することができる。また、複合体Aを形成する前に、予めパラジウム含有粒子を酸処理することが好ましく、パラジウム含有粒子が担持された担体を酸処理することがより好ましい。
上記工程(B)は上記「1−3.第2の複合体中の銅を白金に置換する工程」に対応する。上記「1−3.第2の複合体中の銅を白金に置換する工程」においては、白金を被覆する対象が、パラジウム、白金、及び銅を含む第2の複合体であるのに対し、工程(B)においてはパラジウム及び銅を含む複合体Aである点において異なる。しかし、工程(B)においては、上記「1−3.第2の複合体中の銅を白金に置換する工程」とほぼ同様の条件下で銅を白金に置換することにより、パラジウム及び白金を含む複合体Bを形成することができる。
工程(B)後、且つ工程(C)の前に、得られた複合体Bを洗浄することにより、複合体B表面に残留した余剰の銅を除いてもよい。
上記工程(C)は上記「1−1.第1の複合体を形成する工程」に対応する。上記「1−1.第1の複合体を形成する工程」においては、白金を被覆する対象が原料であるパラジウム含有粒子であるのに対し、工程(C)においてはパラジウム及び白金を含む複合体Bである点において異なる。しかし、工程(C)においては、上記「1−1.第1の複合体を形成する工程」とほぼ同様の条件下で白金を被覆することにより、目的とする触媒微粒子が得られる。
3.触媒微粒子
本発明により製造される触媒微粒子において、パラジウム含有粒子に対する白金最外層の被覆率が88〜100%であることが好ましい。パラジウム含有粒子に対する白金最外層の被覆率が88%未満である場合、電気化学反応においてパラジウム含有粒子が溶出し、その結果、触媒微粒子が劣化するおそれがある。
本発明により製造される触媒微粒子において、パラジウム含有粒子に対する白金最外層の被覆率が89〜100%であることがより好ましく、97〜100%であることがさらに好ましい。
本工程において形成される白金最外層は、単原子層であることが好ましい。このような触媒微粒子は、2原子層以上の白金最外層を有する触媒微粒子と比較して、白金最外層における触媒性能が極めて高いという利点、及び、白金最外層の被覆量が少ないため材料コストが低いという利点がある。
なお、触媒微粒子の平均粒径は、その下限が好適には3nm以上、より好適には4nm以上であり、その上限が好適には40nm以下、より好適には10nm以下である。
本発明の製造方法により製造される触媒微粒子は、担体に担持されていることが好ましい。担体については上述した通りである。
4.燃料電池
本発明の燃料電池は、高分子電解質膜の一面側に少なくともアノード触媒層を備えるアノード電極を備え、他面側に少なくともカソード触媒層を備えるカソード電極を備える膜・電極接合体を備える単セルを備える燃料電池であって、上記第1又は第2の製造方法により製造される触媒微粒子を、前記アノード触媒層及び前記カソード触媒層の少なくともいずれか一方に含むことを特徴とする。
図3は、本発明に係る燃料電池の単セルの一例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。膜・電極接合体18は、水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜(以下、単に電解質膜ということがある)11、並びに、当該電解質膜11を挟む一対のカソード電極16及びアノード電極17を備える。単セル200は、膜・電極接合体18、並びに、当該膜・電極接合体18を電極の外側から挟む一対のセパレータ19及び20を備える。セパレータと電極との境界にはガス流路21及び22が確保されている。通常は電極として、電解質膜側から順に触媒層及びガス拡散層の積層体が用いられる。すなわち、カソード電極16はカソード触媒層12及びガス拡散層14の積層体を備え、アノード電極17はアノード触媒層13及びガス拡散層15の積層体を備える。本発明に係る触媒微粒子は、アノード触媒層及びカソード触媒層の少なくともいずれか一方に用いられる。
高分子電解質膜とは、燃料電池において用いられる高分子電解質膜であり、ナフィオン(商品名)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂のようなフッ素系高分子電解質を含むフッ素系高分子電解質膜の他、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリパラフェニレン等のエンジニアリングプラスチックや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の汎用プラスチック等の炭化水素系高分子にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ボロン酸基等のプロトン酸基(プロトン伝導性基)を導入した炭化水素系高分子電解質を含む炭化水素系高分子電解質膜等が挙げられる。
電極は、触媒層及びガス拡散層を備える。
アノード触媒層及びカソード触媒層はいずれも、触媒、導電性材料及び高分子電解質を含有する触媒インクを用いて形成することができる。高分子電解質としては、上述した高分子電解質膜同様の材料を用いることができる。触媒としては、本発明に係る触媒微粒子が用いられる。
本発明に係る触媒微粒子は、アノード触媒層のみに用いられてもよく、カソード触媒層のみに用いられてもよく、アノード触媒層及びカソード触媒層の両方に用いられてもよい。本発明に係る触媒微粒子をアノード触媒層のみに用いる場合には、カソード触媒層には他の触媒が用いられる。また、本発明に係る触媒微粒子をカソード触媒層のみに用いる場合には、アノード触媒層には他の触媒が用いられる。
他の触媒としては、通常、触媒成分を導電性粒子に担持させたものが用いられる。触媒成分としては、アノード電極に供給される燃料の酸化反応又はカソード電極に供給される酸化剤の還元反応に対して触媒活性を有しているものであれば、特に限定されず、固体高分子型燃料電池に一般的に用いられているものを使用することができる。例えば、白金、又はルテニウム、鉄、ニッケル、マンガン、コバルト、銅等の金属と白金との合金等を用いることができる。触媒担体である導電性粒子としては、カーボンブラック等の炭素粒子や炭素繊維のような導電性炭素材料、金属粒子や金属繊維等の金属材料も用いることができる。導電性材料は、触媒層に導電性を付与する役割も担っている。
触媒層の形成方法は特に限定されず、例えば、触媒インクをガス拡散シートの表面に塗布、乾燥することによって、ガス拡散シート表面に触媒層を形成してもよいし、或いは、高分子電解質膜表面に触媒インクを塗布、乾燥することによって、高分子電解質膜表面に触媒層を形成してもよい。或いは、転写用基材表面に触媒インクを塗布、乾燥することによって、転写シートを作製し、該転写シートを、高分子電解質膜又はガス拡散シートと熱圧着等により接合した後、転写シートの基材フィルムを剥離する方法で、高分子電解質膜表面上に触媒層を形成するか、ガス拡散シート表面に触媒層を形成してもよい。
触媒インクは上記のような触媒及び電極用電解質等を、溶媒に分散させて得られる。触媒インクの溶媒は、適宜選択すればよく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒、又はこれら有機溶媒の混合物やこれら有機溶媒と水との混合物を用いることができる。触媒インクには、触媒及び電解質以外にも、必要に応じて結着剤や撥水性樹脂等のその他の成分を含有させてもよい。
触媒インクの塗布方法、乾燥方法等は適宜選択することができる。例えば、塗布方法としては、スプレー法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法等が挙げられる。また、乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥、加熱乾燥、減圧加熱乾燥等が挙げられる。減圧乾燥、加熱乾燥における具体的な条件に制限はなく、適宜設定すればよい。また、触媒層の膜厚は、特に限定されないが、1〜50μm程度とすればよい。
ガス拡散層を形成するガス拡散シートとしては、触媒層に効率良く燃料を供給することができるガス拡散性、導電性、及びガス拡散層を構成する材料として要求される強度を有するもの、例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等の炭素質多孔質体や、チタン、アルミニウム及びその合金、ニッケル、ニッケル−クロム合金、銅及びその合金、銀、亜鉛合金、鉛合金、ニオブ、タンタル、鉄、ステンレス、金、白金等の金属から構成される金属メッシュ又は金属多孔質体等の導電性多孔質体からなるものが挙げられる。導電性多孔質体の厚さは、50〜500μm程度であることが好ましい。
ガス拡散シートは、上記導電性多孔質体の単層からなるものであってもよいが、触媒層に面する側に撥水層を設けることもできる。撥水層は、通常、炭素粒子や炭素繊維等の導電性粉粒体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の撥水性樹脂等を含む多孔質構造を有するものである。撥水層は、必ずしも必要なものではないが、触媒層及び高分子電解質膜内の液水量を適度に保持しつつ、ガス拡散層の排水性を高めることができる上に、触媒層とガス拡散層間の電気的接触を改善できるという利点がある。
上記方法によって触媒層を形成した高分子電解質膜及びガス拡散シートは、適宜、重ね合わせて熱圧着等し、互いに接合することで、膜・電極接合体が得られる。
作製された膜・電極接合体は、好ましくは、反応ガス流路を有するセパレータで狭持され、単セルを形成する。セパレータとしては、導電性及びガスシール性を有し、集電体及びガスシール体として機能しうるもの、例えば、炭素繊維を高濃度に含有し、樹脂との複合材からなるカーボンセパレータや、金属材料を用いた金属セパレータ等を用いることができる。金属セパレータとしては、耐腐食性に優れた金属材料からなるものや、表面をカーボンや耐腐食性に優れた金属材料等で被覆し、耐腐食性を高めるコーティングが施されたもの等が挙げられる。このようなセパレータを、適切に圧縮成形又は切削加工等することによって、上述した反応ガス流路を形成することができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
1.触媒微粒子を含む燃料電池用触媒の製造
[実施例1]
1−1.カーボン担持パラジウム粒子の事前処理
まず、カーボン担持パラジウム粒子5gを純水1L中に加え、超音波ホモジナイザーを用いて、カーボン担持パラジウム粒子を純水中に分散させた。得られた分散液を電気化学リアクター内に投入し、硫酸を加えて、硫酸濃度が0.05mol/Lとなるように調整した。電気化学リアクターをグローブボックス内に移し、分散液中を不活性ガス(Nガス)により十分にバブリングすることによって酸素を脱気した。電気化学リアクターの作用極に対し電位窓0.4〜0.45V(vs.RHE)を360サイクル実施し、パラジウム粒子表面を十分に還元した。
1−2.第1の複合体の形成
電気化学リアクター中に、予め酸素を脱気したKPtClの硫酸溶液を徐々に滴下した。ここで添加したKPtClの硫酸溶液の量は、パラジウム粒子を白金の単原子層により被覆する場合に要する最少白金原子量を100atm%としたとき、55atm%であった。電気化学リアクター中の自然電位をモニタリングしながら、電位がプラトーになるまで(すなわち、白金の被覆反応が終了するまで)攪拌し、パラジウム粒子表面の一部を白金によって被覆した。
図4は、実施例1における第1の複合体の形成の際のモニタリングの様子を示したグラフである。図4においては、測定開始後2分の時点においてKPtClの硫酸溶液を滴下し始めている。図4から分かるように、KPtClの硫酸溶液を滴下開始直後は自然電位がやや急に上昇し始めたものの、KPtClが消費されることによって自然電位の上昇が徐々に緩やかとなり、測定開始後20分を経過したところで自然電位は0.86V(vs.RHE)においてプラトーを迎え、反応が終了した。
1−3.第2の複合体の形成
上記第1の複合体を含む電気化学リアクター中に、予め酸素を脱気した硫酸銅(CuSO)の0.05mol/L硫酸溶液を加え、混合物中の銅イオン(Cu2+)濃度が0.05mol/Lになるように調整した。その後、電気化学リアクターの作用電極に0.37V(vs.RHE)を付与し、電流値が0Aになるまで電位をそのまま維持した(Cu−UPD)。この操作により、第1の複合体表面の少なくとも一部が銅により被覆されてなる第2の複合体を形成した。
1−4.銅原子層の白金最外層への置換
上記第2の複合体を含む電気化学リアクター中に、予め酸素を脱気したKPtClの硫酸溶液を徐々に滴下し、電気化学リアクター中の自然電位をモニタリングしながら、自然電位がプラトーになるまで(すなわち、自然電位の変動が無くなるまで)攪拌することにより、パラジウム粒子表面の銅単原子層を白金層に置換し、触媒微粒子を合成した。ここで添加したKPtClの硫酸溶液の量は、第1の複合体の形成において用いた量の残り、すなわち、パラジウム粒子を白金の単原子層により被覆する場合に要する最少白金原子量を100atm%としたとき、45atm%であった。
図5は、実施例1における銅原子層の白金最外層への置換の際のモニタリングの様子を示したグラフである。図5から分かるように、KPtClの硫酸溶液を滴下開始直後(0分)から自然電位が上昇し始めたものの、KPtClが消費された時点(開始後80分)を経過したところで自然電位が0.58V(vs.RHE)においてプラトーを迎え、反応が終了した。なお、0.58V(vs.RHE)までしか電位が上がらない理由は、第1の複合体形成においてパラジウム粒子表面に白金が析出し、その後Cu−UPDにより当該白金上に銅が析出したが、その銅がそのまま残ったことによるものと考えられる。
1−5.後処理
電気化学リアクター中の混合物をろ過し、ろ過物を純水4Lによって洗浄することにより、不純物(余剰のイオン、白金上に析出した銅等)を除去した。洗浄後のろ過物を60℃にて10時間真空乾燥することにより、触媒微粒子を含む実施例1の燃料電池用触媒を製造した。
[参考例1]
まず、実施例1の「1−1.カーボン担持パラジウム粒子の事前処理」と同様に事前処理を行った。
次に、電気化学リアクター中に、予め酸素を脱気したKPtClの硫酸溶液を徐々に滴下した。ここで滴下したKPtClの硫酸溶液の量は、パラジウム粒子を白金の単原子層により被覆する場合に要する最少白金原子量を100atm%としたとき、120atm%(St=1.2)であった。電気化学リアクター内の自然電位をモニタリングしながら、電位がプラトーになるまで(すなわち、白金の被覆反応が終了するまで)攪拌し、パラジウム粒子表面を白金によって被覆した。
図6は、参考例1における白金被覆の際のモニタリングの様子を示したグラフである。図6から分かるように、KPtClの硫酸溶液を滴下開始した直後は自然電位が急に上昇し始めたものの、KPtClが消費されることによって自然電位の上昇が徐々に緩やかとなり、測定開始後40分を経過したところで自然電位は0.88V(vs.RHE)においてプラトーを迎え、反応が終了した。
あとは、実施例1の「1−5.後処理」と同様に後処理を行うことにより、触媒微粒子を含む参考例1の燃料電池用触媒を製造した。
[参考例2]
参考例1のKPtClの硫酸溶液の滴下において、滴下したKPtClの硫酸溶液の量を、パラジウム粒子を白金の単原子層により被覆する場合に要する最少白金原子量を100atm%としたとき、100atm%(St=1.0)としたこと以外は、参考例1と同様に事前処理、白金被覆、及び後処理を行うことにより、触媒微粒子を含む参考例2の燃料電池用触媒を製造した。
[比較例1]
まず、実施例1の「1−1.カーボン担持パラジウム粒子の事前処理」と同様に事前処理を行った。
次にカーボン担持パラジウム粒子を含む電気化学リアクター中に、予め酸素を脱気した硫酸銅(CuSO)の0.05mol/L硫酸溶液を加え、混合物中の銅イオン(Cu2+)濃度が0.05mol/Lになるように調整した。その後、電気化学リアクターの作用電極に0.37V(vs.RHE)を付与し、電流値が0Aになるまで電位をそのまま維持した(Cu−UPD)。この操作により、パラジウム粒子表面を銅原子層により被覆した。この工程は、実施例1の「1−3.第2の複合体の形成」に対応する。
続いて、パラジウム−銅複合体を含む電気化学リアクター中に、予め酸素を脱気したKPtClの硫酸溶液を徐々に滴下し、電気化学リアクター中の自然電位をモニタリングしながら、自然電位が0.65V(vs.RHE)になるまで滴下した後、KPtClの硫酸溶液の滴下を止めた。この操作により、パラジウム粒子表面の銅原子層を白金最外層に置換した。この工程は、実施例1の「1−4.銅原子層の白金最外層への置換」に対応する。
図9は、比較例1における銅原子層の白金最外層への置換の際のモニタリングの様子を示したグラフである。図9においては、測定開始後4分の時点においてKPtClの硫酸溶液を滴下し始めている。図9から分かるように、リアクター内の自然電位は、KPtClの硫酸溶液を滴下開始直後から、自然電位が0.65V(vs.RHE)となるまで(測定開始後50分)上昇し続けた。
あとは、実施例1の「1−5.後処理」と同様に後処理を行うことにより、触媒微粒子を含む比較例1の燃料電池用触媒を製造した。
[比較例2]
まず、実施例1の「1−1.カーボン担持パラジウム粒子の事前処理」と同様に事前処理を行った。
次にカーボン担持パラジウム粒子を含む電気化学リアクター中に、予め酸素を脱気した硫酸銅(CuSO)の0.05mol/L硫酸溶液を加え、混合物中の銅イオン(Cu2+)濃度が0.05mol/Lになるように調整した。その後、電気化学リアクターの作用電極に0.37V(vs.RHE)を付与し、電流値が0Aになるまで電位をそのまま維持した(Cu−UPD)。この操作により、パラジウム粒子表面を銅原子層により被覆した。この工程は、実施例1の「1−3.第2の複合体の形成」に対応する。
続いて、パラジウム−銅複合体を含む電気化学リアクター中に、予め酸素を脱気したKPtClの硫酸溶液を徐々に滴下し、電気化学リアクター内の自然電位をモニタリングしながら、自然電位がプラトーになるまで(すなわち、自然電位の変動が止まるまで)滴下した後、KPtClの硫酸溶液の滴下を止めた。ここで滴下したKPtClの硫酸溶液の量は、パラジウム粒子を白金の単原子層により被覆する場合に要する最少白金原子量を100atm%としたとき、120atm%(St=1.2)であった。この操作により、パラジウム粒子表面の銅原子層を白金最外層に置換した。この工程は、実施例1の「1−4.銅原子層の白金最外層への置換」に対応する。
図10は、比較例2における銅原子層の白金最外層への置換の際のモニタリングの様子を示したグラフである。図10においては、測定開始後2分の時点においてKPtClの硫酸溶液を滴下し始めている。図10から分かるように、KPtClの硫酸溶液を滴下開始直後は自然電位が上昇し始めたものの、KPtClが消費されることによって自然電位の上昇が徐々に緩やかとなり、測定開始後80分を経過したところで自然電位は0.85V(vs.RHE)においてプラトーを迎え、反応が終了した。
あとは、実施例1の「1−5.後処理」と同様に後処理を行うことにより、触媒微粒子を含む比較例2の燃料電池用触媒を製造した。
[比較例3]
比較例2のKPtClの硫酸溶液の滴下において、滴下したKPtClの硫酸溶液の量を、パラジウム粒子を白金の単原子層により被覆する場合に要する最少白金原子量を100atm%としたとき、100atm%(St=1.0)としたこと以外は、比較例2と同様に事前処理、白金被覆、及び後処理を行うことにより、触媒微粒子を含む比較例3の燃料電池用触媒を製造した。
2.燃料電池用触媒の評価
2−1.白金及びパラジウムの組成分析、及び被覆率の算出
実施例1、参考例1−参考例2、及び比較例1−比較例3の燃料電池用触媒について、ICP−MSにより、触媒微粒子表面の白金量及びパラジウム量を定量し、被覆率を算出した。結果を表1に示す。
2−2.燃料電池用触媒の質量活性及び電気化学表面積の測定
実施例1、参考例1、及び比較例1−比較例3の燃料電池用触媒について、回転ディスク電極(RDE)法により、質量活性(ORR活性@0.9V vs.RHE)及び電気化学表面積(ECSA)を測定した。また、これらの燃料電池用触媒について、1.05〜0.1V(vs.RHE)の範囲内の電位サイクルを100往復掃引した後、RDE法により質量活性(ORR活性@0.9V vs.RHE)及び電気化学表面積(ECSA)を測定した。
2−3.実験結果のまとめ
下記表1は、実施例1、参考例1−参考例2、及び比較例1−比較例3の燃料電池用触媒について、白金添加量、ICP測定結果、質量活性、電気化学表面積、及び比活性をまとめた表である。比活性の値は、質量活性及び電気化学表面積の結果から算出したものである。なお、下記表1中「初期」とは、充放電に使用されていない新品の燃料電池用触媒の結果を意味する。
Figure 2014184850
図7は、コアとなるパラジウム粒子の平均粒径に対する、パラジウム粒子表面に白金が占める割合を示したグラフである。パラジウム粒子表面に白金が占める割合x(%、グラフの縦軸)は、表1におけるICP測定結果のPtの割合xPt(%)とPdの割合xPd(%)から、以下の式(1)により求められる。
x=xPt/(xPt+xPd) 式(1)
図7中、白四角のプロットは参考例1のデータを、黒三角のプロットは比較例1のデータを、黒丸のプロットは比較例2のデータを、それぞれ示したものである。また、白菱形のプロットは、パラジウム粒子に白金層が1層のみ被覆した場合の計算結果を示すデータである。さらに、図7中の曲線は、全てのプロットに関する近似式を表す。当該近似式(理論的に求められる白金単原子層の近似式)は以下の通りである。
y=−25.924ln(x)+88.944
上記表1及び図7の結果を踏まえ、まず比較例1について検討する。
表1のICP測定結果より、比較例1の燃料電池用触媒は、燃料電池用触媒表面に白金が7.69%、パラジウムが14.6%存在することが分かる。この結果から、パラジウム粒子表面に占める白金の割合xは、x=7.69/(7.69+14.6)=34%と算出される。したがって、図7からも分かる通り、比較例1(黒三角のプロット)における白金の量は、パラジウム粒子表面を1層被覆する量としては足りないことが分かる。また、ICP測定結果から算出された被覆率は67%である。
表1より、比較例1の燃料電池用触媒は、初期の質量活性が394(A/g−Pt)、電位サイクル後の質量活性が493(A/g−Pt)であり、その変化率は25.1%である。また、比較例1の燃料電池用触媒は、初期の電気化学表面積が202(m/g−Pt)、電位サイクル後の電気化学表面積が162(m/g−Pt)であり、その変化率(減少率)は−19.8%である。当該減少率の絶対値は、実施例1、参考例1、及び比較例1−比較例3の燃料電池用触媒中、最も大きい。さらに、比較例1の燃料電池用触媒は、初期の比活性が1.95(A/m)、電位サイクル後の比活性が3.04(A/m)であり、その変化率は55.9%である。
したがって、従来のCu−UPD法を用いて途中まで白金最外層を形成させて得られた比較例1の燃料電池用触媒は、新品の状態において未だ白金最外層の被覆状態が完成していないことが分かる。また、比較例1の燃料電池用触媒は、慣らし運転によって電気化学表面積が極めて減りやすいことも分かる。
次に比較例2について検討する。表1のICP測定結果より、比較例2の燃料電池用触媒は、燃料電池用触媒表面に白金が13.2%、パラジウムが13.0%存在することが分かる。この結果から、パラジウム粒子表面に占める白金の割合xは、x=13.2/(13.2+13.0)=50%と算出される。したがって、図7からも分かる通り、比較例2(黒丸のプロット)における白金の量は、パラジウム粒子表面を1層ほぼ被覆できる量である。また、ICP測定結果から算出された被覆率は97%である。
表1より、比較例2の燃料電池用触媒は、初期の質量活性が470(A/g−Pt)、電位サイクル後の質量活性が730(A/g−Pt)であり、その変化率が55.3%である。また、比較例2の燃料電池用触媒は、初期の電気化学表面積が124(m/g−Pt)、電位サイクル後の電気化学表面積が115(m/g−Pt)であり、その変化率(減少率)が−7.26%である。さらに、比較例2の燃料電池用触媒は、初期の比活性が3.79(A/m)、電位サイクル後の比活性が6.35(A/m)であり、その変化率が67.5%である。
したがって、従来のCu−UPD法において自然電位がプラトーを迎えるまで白金最外層を形成させて得られた比較例2の燃料電池用触媒は、電位サイクル後の質量活性に対して新品の状態の質量活性が2/3に満たず、全く白金最外層の状態が完成していないことが分かる。また、比較例2の燃料電池用触媒は、慣らし運転によって電気化学表面積が減りやすいことも分かる。
続いて比較例3について検討する。表1のICP測定結果より、比較例3の燃料電池用触媒は、燃料電池用触媒表面に白金が12.4%、パラジウムが14.4%存在することが分かる。この結果から、パラジウム粒子表面に占める白金の割合xは、x=12.4/(12.4+14.4)=46%と算出される。したがって、比較例2における白金の量は、パラジウム粒子表面を1層ほぼ被覆できる量である。また、ICP測定結果から算出された被覆率は89%である。
表1より、比較例3の燃料電池用触媒は、初期の質量活性が503(A/g−Pt)、電位サイクル後の質量活性が785(A/g−Pt)であり、その変化率が56.1%である。当該変化率は、実施例1、参考例1、及び比較例1−比較例3の燃料電池用触媒中、最も大きい。また、比較例3の燃料電池用触媒は、初期の電気化学表面積が140(m/g−Pt)、電位サイクル後の電気化学表面積が123(m/g−Pt)であり、その変化率(減少率)が−12.1%である。さらに、比較例3の燃料電池用触媒は、初期の比活性が3.59(A/m)、電位サイクル後の比活性が6.38(A/m)であり、その変化率が77.7%である。
したがって、従来のCu−UPD法において自然電位がプラトーを迎えるまで白金最外層を形成させて得られた比較例3の燃料電池用触媒は、電位サイクル後の質量活性に対して新品の状態の質量活性が2/3に満たず、全く白金最外層の状態が完成していないことが分かる。また、比較例3の燃料電池用触媒は、慣らし運転によって電気化学表面積が減りやすいことも分かる。
また、比較例2と比較例3とを比較すると、白金添加量がより多い比較例2(St=1.2)は、白金添加量がより少ない比較例3(St=1.0)よりも、パラジウム粒子表面における白金の割合がやや大きくなり、質量活性の変化率がやや小さくなり、電気化学表面積の変化率(減少率)の絶対値も小さくなることが分かる。
一方、表1のICP測定結果より、実施例1の燃料電池用触媒は、燃料電池用触媒表面に白金が12.1%、パラジウムが14.4%存在することが分かる。この結果から、パラジウム粒子表面に占める白金の割合xは、x=12.1/(12.1+14.4)=46%と算出される。したがって、比較例2における白金の量は、パラジウム粒子表面を1層ほぼ被覆できる量である(図7参照)。また、ICP測定結果から算出された被覆率は88%である。
表1より、実施例1の燃料電池用触媒は、初期の質量活性が624(A/g−Pt)、電位サイクル後の質量活性が629(A/g−Pt)であり、その変化率は0.801%である。当該変化率は、実施例1、参考例1、及び比較例1−比較例3の燃料電池用触媒中、最も小さい。また、実施例1の燃料電池用触媒は、初期の電気化学表面積が132(m/g−Pt)、電位サイクル後の電気化学表面積が123(m/g−Pt)であり、その変化率(減少率)が−6.82%である。当該減少率の絶対値は、実施例1、参考例1、及び比較例1−比較例3の燃料電池用触媒中、最も小さい。さらに、実施例1の燃料電池用触媒は、初期の比活性が4.73(A/m)、電位サイクル後の比活性が5.11(A/m)であり、その変化率が8.03%である。実施例1の初期の比活性は、実施例1、参考例1、及び比較例1−比較例3の燃料電池用触媒中、最も大きい。また、実施例1の比活性の変化率は、実施例1、参考例1、及び比較例1−比較例3の燃料電池用触媒中、最も小さい。
以上より、パラジウム粒子を白金化合物溶液に浸漬させた後、さらにCu−UPDを経て得られた実施例1の燃料電池用触媒は、新品の状態において白金最外層が既にほぼ完成しており、慣らし運転することなく触媒反応にそのまま使用できることが分かる。また、実施例1の燃料電池用触媒は、電気化学表面積が減りにくく、耐久性に優れることが分かる。
次に参考例1について検討する。表1のICP測定結果より、参考例1の燃料電池用触媒は、燃料電池用触媒表面に白金が6.58%、パラジウムが13.9%存在することが分かる。この結果から、パラジウム粒子表面に占める白金の割合xは、x=6.58/(6.58+13.9)=32%と算出される。したがって、図7からも分かる通り、参考例1(白四角のプロット)における白金の量は、パラジウム粒子表面を1層被覆する量としては足りないことが分かる。また、ICP測定結果から算出された被覆率は62%である。
表1より、参考例1の燃料電池用触媒は、初期の質量活性が525(A/g−Pt)、電位サイクル後の質量活性が654(A/g−Pt)であり、その変化率が24.6%である。また、参考例1の燃料電池用触媒は、初期の電気化学表面積が219(m/g−Pt)、電位サイクル後の電気化学表面積が202(m/g−Pt)であり、その変化率(減少率)が−7.76%である。さらに、参考例1の燃料電池用触媒は、初期の比活性が2.40(A/m)、電位サイクル後の比活性が3.24(A/m)であり、その変化率が35.0%である。
参考例1のICP測定結果についてさらに検討する。参考例1の原料であるカーボン担持パラジウム粒子のICP測定結果によると、燃料電池用触媒表面におけるパラジウムの割合は15.9%である。
ここで、パラジウム粒子表面のパラジウムが1層分溶出して白金が析出したと仮定する(以下、このモデルをパラジウム溶出モデルと称する場合がある)。パラジウム粒子が4.2nmの時の表面におけるパラジウム原子数を算出し、表面におけるパラジウム原子が1層全て白金原子に置換されたときの組成を計算した場合、燃料電池用触媒表面に白金が9.47%、パラジウムが10.1%存在することとなる。ここで、白金を除いた残りの部分(90.5%)に関するパラジウムの量は10.1/90.5=11.2%である。
しかし、実際には、表1に示すように、参考例1の燃料電池用触媒表面に白金が6.58%、パラジウムが13.9%存在している。参考例1における白金を除いた残りの部分(93.4%)に関するパラジウムの量は13.9/93.4=14.9%である。この値は、上記溶出モデルにおける値(11.2%)よりも、原料であるカーボン担持パラジウム粒子に関する値(15.9%)により近い。すなわち、参考例1の製造方法においては、原料におけるパラジウム量がほぼ維持されていることが分かる。
したがって、パラジウム粒子を白金化合物溶液に浸漬させる方法においては、パラジウムと白金が置換する反応ではなく、パラジウム表面に白金が析出していることが明らかとなった。
続いて参考例2について検討する。表1のICP測定結果より、参考例2の燃料電池用触媒は、パラジウム粒子表面に白金が6.40%、パラジウムが13.8%存在することが分かる。この結果から、パラジウム粒子表面に占める白金の割合xは、x=6.40/(6.40+13.8)=32%と算出される。したがって、参考例2における白金の量は、パラジウム粒子表面を1層被覆する量としては足りないことが分かる。また、ICP測定結果から算出された被覆率は61%である。
ここで、参考例1及び参考例2のICP測定結果を比較すると、パラジウム粒子表面における白金及びパラジウムの割合、並びに被覆率はほぼ変わらない。この結果から、パラジウム粒子を白金化合物溶液に浸漬させて得る方法においては、白金添加量をSt=1.0(参考例2)からSt=1.2(参考例1)に増やしたとしてもパラジウム粒子表面の組成に大きな変化はなく、パラジウム粒子表面の組成は白金添加量に対して感度が鈍いこと、及びパラジウム粒子表面に直接析出できる白金量は予め決まっていることが分かる。
最後に、参考例1と比較例1の結果を比較する。表1より、参考例1の初期の質量活性は、比較例1の初期の質量活性の1.3倍であり、参考例1の初期の比活性は、比較例1の初期の比活性の1.2倍である。また、電位サイクル後において、参考例1の質量活性は、比較例1の質量活性の1.3倍であり、参考例1の比活性は、比較例1の比活性の1.1倍である。図7に示すように、パラジウム粒子表面における白金の占める割合は、比較例1と参考例1とではほぼ差がないにもかかわらず、参考例1の方がより高い質量活性及び比活性を示している。これは、白金の被覆状態において参考例1が比較例1よりも優れていること、すなわち、参考例1においてパラジウム粒子表面に対し白金の単原子層が被覆しているのに対し、比較例1においてはパラジウム粒子表面に対し2原子層以上の白金が析出していることを示している。
また、表1より、参考例1の電気化学表面積の変化率(減少率)は、比較例1の電気化学表面積の変化率(減少率)の39%に留まる。白金の割合が略等しいことから鑑みるに、この結果は、参考例1の方が比較例1よりも白金がパラジウム粒子上により広く分布しており、パラジウム粒子表面が露出した部分がより少ないため、耐久性が高いことを示している。
1 パラジウム含有粒子
2 白金原子
3 銅原子
3a パラジウム含有粒子表面のエッジ部分又はコーナー部分に析出した銅原子
3b パラジウム含有粒子表面のテラス部分に析出した銅原子
11 高分子電解質膜
12 カソード触媒層
13 アノード触媒層
14,15 ガス拡散層
16 カソード電極
17 アノード電極
18 膜・電極接合体
19,20 セパレータ
21,22 ガス流路
100a 第1の複合体の典型例
100b 第2の複合体の典型例
100c 触媒微粒子の典型例
200 燃料電池の単セル
300 パラジウム粒子表面に銅原子が析出してなる複合体
本発明の触媒微粒子の第1の製造方法は、パラジウム含有粒子、及び当該パラジウム含有粒子を被覆する白金最外層を備える触媒微粒子の製造方法であって、
前記パラジウム含有粒子と、白金化合物が溶解した第1の溶液とを混合し前記パラジウム含有粒子と白金化合物を含む前記第1の溶液とを直接接触させる結果、前記パラジウム含有粒子表面の少なくとも一部を白金によって被覆することにより、パラジウム及び白金を含む第1の複合体を形成し;
前記第1の複合体と、銅化合物が溶解した第2の溶液とを混合し、銅アンダーポテンシャル析出法を用いて前記第1の複合体表面の少なくとも一部を銅によって被覆することにより、パラジウム、白金、及び銅を含む第2の複合体を形成し
記第2の複合体と、白金化合物が溶解した第3の溶液とを混合することによって、前記第2の複合体中の銅を、前記第3の溶液に由来する白金に置換し;且つ、
前記パラジウム含有粒子を白金の単原子層により被覆する場合に要する最少白金原子量を100atm%としたとき、前記第1の溶液中に含まれる白金原子の量を70atm%以下とすることを特徴とする。
本発明の触媒微粒子の第2の製造方法は、パラジウム含有粒子、及び当該パラジウム含有粒子を被覆する白金最外層を備える触媒微粒子の製造方法であって、
前記パラジウム含有粒子と、銅化合物が溶解した第2の溶液とを混合し、銅アンダーポテンシャル析出法を用いて前記パラジウム含有粒子表面の少なくとも一部を銅によって被覆することにより、パラジウム及び銅を含む複合体Aを形成し;
前記複合体Aと、白金化合物が溶解した第3の溶液とを混合し、前記複合体A中の銅を、前記第3の溶液に由来する白金に置換することにより、パラジウム及び白金を含む複合体Bを形成し;
前記第3の溶液に替えて白金化合物が溶解した第1の溶液と前記複合体Bとを混合し前記複合体Bと白金化合物を含む前記第1の溶液とを直接接触させる結果、前記複合体B表面の少なくとも一部を白金によって被覆し;且つ、
前記パラジウム含有粒子を白金の単原子層により被覆する場合に要する最少白金原子量を100atm%としたとき、前記第1の溶液中に含まれる白金原子の量を70atm%以下とすることを特徴とする。

Claims (6)

  1. パラジウム含有粒子、及び当該パラジウム含有粒子を被覆する白金最外層を備える触媒微粒子の製造方法であって、
    前記パラジウム含有粒子と、白金化合物が溶解した第1の溶液とを混合し、前記パラジウム含有粒子表面の少なくとも一部を白金によって被覆することにより、パラジウム及び白金を含む第1の複合体を形成し;
    前記第1の複合体と、銅化合物が溶解した第2の溶液とを混合し、銅アンダーポテンシャル析出法を用いて前記第1の複合体表面の少なくとも一部を銅によって被覆することにより、パラジウム、白金、及び銅を含む第2の複合体を形成し;且つ、
    前記第2の複合体と、白金化合物が溶解した第3の溶液とを混合することによって、前記第2の複合体中の銅を、前記第3の溶液に由来する白金に置換することを特徴とする、触媒微粒子の製造方法。
  2. パラジウム含有粒子、及び当該パラジウム含有粒子を被覆する白金最外層を備える触媒微粒子の製造方法であって、
    前記パラジウム含有粒子と、銅化合物が溶解した第2の溶液とを混合し、銅アンダーポテンシャル析出法を用いて前記パラジウム含有粒子表面の少なくとも一部を銅によって被覆することにより、パラジウム及び銅を含む複合体Aを形成し;
    前記複合体Aと、白金化合物が溶解した第3の溶液とを混合し、前記複合体A中の銅を、前記第3の溶液に由来する白金に置換することにより、パラジウム及び白金を含む複合体Bを形成し;且つ、
    前記複合体Bと、白金化合物が溶解した第1の溶液とを混合することにより、前記複合体B表面の少なくとも一部を白金によって被覆することを特徴とする、触媒微粒子の製造方法。
  3. 前記パラジウム含有粒子が担体に担持されている、請求項1又は2に記載の触媒微粒子の製造方法。
  4. 前記第1の複合体又は前記複合体Aを形成する前に、予め前記パラジウム含有粒子を酸処理する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の触媒微粒子の製造方法。
  5. 前記パラジウム含有粒子を白金の単原子層により被覆する場合に要する最少白金原子量を100atm%としたとき、前記第1の溶液中に含まれる白金原子の量を70atm%以下とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の触媒微粒子の製造方法。
  6. 高分子電解質膜の一面側に少なくともアノード触媒層を備えるアノード電極を備え、他面側に少なくともカソード触媒層を備えるカソード電極を備える膜・電極接合体を備える単セルを備える燃料電池であって、
    前記請求項1乃至5のいずれか一項に記載の製造方法により製造される触媒微粒子を、前記アノード触媒層及び前記カソード触媒層の少なくともいずれか一方に含むことを特徴とする、燃料電池。
JP2015516773A 2013-05-13 2013-05-13 触媒微粒子の製造方法、及び当該製造方法により製造される触媒微粒子を含む燃料電池 Active JP5991430B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2013/063313 WO2014184850A1 (ja) 2013-05-13 2013-05-13 触媒微粒子の製造方法、及び当該製造方法により製造される触媒微粒子を含む燃料電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5991430B2 JP5991430B2 (ja) 2016-09-14
JPWO2014184850A1 true JPWO2014184850A1 (ja) 2017-02-23

Family

ID=51897871

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015516773A Active JP5991430B2 (ja) 2013-05-13 2013-05-13 触媒微粒子の製造方法、及び当該製造方法により製造される触媒微粒子を含む燃料電池

Country Status (6)

Country Link
US (1) US10103388B2 (ja)
JP (1) JP5991430B2 (ja)
KR (1) KR101857338B1 (ja)
CN (1) CN105209169B (ja)
DE (1) DE112013007069T5 (ja)
WO (1) WO2014184850A1 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6036748B2 (ja) * 2014-05-28 2016-11-30 トヨタ自動車株式会社 コアシェル触媒の製造方法
JP6653875B2 (ja) * 2015-03-10 2020-02-26 学校法人同志社 白金触媒の製造方法及びそれを用いた燃料電池
JP6441834B2 (ja) * 2016-01-19 2018-12-19 国立大学法人信州大学 コアシェル構造型ナノシート、電極触媒及び燃料電池用電極触媒の製造方法
US11491471B2 (en) * 2016-04-27 2022-11-08 University Of Science And Technology Of China Method of preparing wide-temperature catalyst for preferential oxidation of carbon monoxide in hydrogen-enriched atmosphere, and product and use lthereof
JP2018014258A (ja) * 2016-07-21 2018-01-25 シャープ株式会社 空気極材料、空気極、金属空気電池及び燃料電池
KR102515799B1 (ko) * 2016-08-26 2023-03-30 아리엘 싸이언티픽 이노베이션스 엘티디. 주석-기반 촉매, 그것의 제조법, 및 상기 촉매를 사용한 연료 전지
KR101994088B1 (ko) * 2017-03-20 2019-06-28 전북대학교산학협력단 팔라듐계 연료전지용 촉매의 제조방법 및 이에 의해 제조된 팔라듐계 연료전지용 촉매
KR20200043397A (ko) 2017-08-24 2020-04-27 아리엘 싸이언티픽 이노베이션스 엘티디. 전기 촉매, 이의 제조방법, 및 연료 전지를 위한 이의 사용
CN114068966B (zh) * 2020-07-31 2024-01-09 广州市香港科大霍英东研究院 一种核壳催化剂后处理方法和系统
CN112774697B (zh) * 2020-09-07 2022-09-23 南京大学 一种单原子金属-硫化钼纳米复合物及其制备方法和应用
KR102398409B1 (ko) 2020-09-07 2022-05-17 한국에너지기술연구원 일산화탄소를 이용한 코어-쉘 입자의 제조방법
KR20220102854A (ko) * 2021-01-14 2022-07-21 현대자동차주식회사 인터메탈릭 촉매 및 이의 제조 방법

Family Cites Families (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9005331B2 (en) 2004-12-22 2015-04-14 Brookhaven Science Associates, Llc Platinum-coated non-noble metal-noble metal core-shell electrocatalysts
US7855021B2 (en) * 2004-12-22 2010-12-21 Brookhaven Science Associates, Llc Electrocatalysts having platium monolayers on palladium, palladium alloy, and gold alloy core-shell nanoparticles, and uses thereof
CA2661489A1 (en) * 2006-08-30 2008-03-06 Umicore Ag & Co. Kg Core/shell-type catalyst particles comprising metal or ceramic core materials and methods for their preparation
EP2303452B1 (en) * 2008-06-23 2016-02-24 Brookhaven Science Associates LLC Underpotential deposition-mediated layer-by-layer growth of thin films
US20100099012A1 (en) * 2008-10-17 2010-04-22 Brookhaven Science Associates, Llc Electrocatalyst Synthesized by Depositing a Contiguous Metal Adlayer on Transition Metal Nanostructures
CN101572316B (zh) * 2009-06-06 2011-09-07 西北师范大学 用于低温燃料电池的修饰型催化剂及其制备方法
CN102039124B (zh) * 2009-10-21 2012-11-21 国家纳米科学中心 铂诱导的金核/钯铂岛状合金壳结构纳米棒溶液及制法
US20120329642A1 (en) * 2009-12-28 2012-12-27 Utc Power Corporation Platinum-palladium catalyst with intermediate layer
US20120309615A1 (en) 2010-02-12 2012-12-06 Utc Power Corporation Platinum monolayer on alloy nanoparticles with high surface areas and methods of making
JP5660603B2 (ja) 2010-03-19 2015-01-28 学校法人同志社 白金コアシェル触媒の製造方法
US20130022899A1 (en) 2010-04-07 2013-01-24 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Core-shell type metal nanoparticles and method for producing the same
DE112010005593T5 (de) 2010-05-25 2013-03-28 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Brennstoffzellensystem
JP5565135B2 (ja) 2010-06-25 2014-08-06 トヨタ自動車株式会社 触媒担持担体の製造方法および電極触媒の製造方法
JP5758609B2 (ja) 2010-11-05 2015-08-05 公立大学法人大阪府立大学 コアシェル粒子の製造方法
WO2012105107A1 (ja) * 2011-02-01 2012-08-09 トヨタ自動車株式会社 触媒微粒子、カーボン担持触媒微粒子、触媒合剤、及び電極の各製造方法
JP5678698B2 (ja) * 2011-02-01 2015-03-04 トヨタ自動車株式会社 触媒微粒子の製造方法
EP2678105B1 (en) 2011-02-22 2019-06-12 Audi AG Method of forming a catalyst with an atomic layer of platinum atoms
JP5664370B2 (ja) * 2011-03-16 2015-02-04 トヨタ自動車株式会社 触媒微粒子の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
US10103388B2 (en) 2018-10-16
US20160079607A1 (en) 2016-03-17
KR101857338B1 (ko) 2018-05-11
WO2014184850A1 (ja) 2014-11-20
JP5991430B2 (ja) 2016-09-14
CN105209169B (zh) 2017-05-31
KR20150138316A (ko) 2015-12-09
CN105209169A (zh) 2015-12-30
DE112013007069T5 (de) 2016-02-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5991430B2 (ja) 触媒微粒子の製造方法、及び当該製造方法により製造される触媒微粒子を含む燃料電池
CN102318112B (zh) 三元铂合金催化剂
JP6282321B2 (ja) 触媒
JP5699287B2 (ja) 触媒微粒子、カーボン担持触媒微粒子、触媒合剤、及び電極の各製造方法
JP5829973B2 (ja) 燃料電池用触媒の製造方法
WO2017126137A1 (ja) コアシェル構造型ナノシート
JP5477463B2 (ja) 燃料電池
JP6056963B2 (ja) 燃料電池用触媒及びその製造方法
JP2013215701A (ja) コアシェル触媒の製造方法、及び、膜電極接合体の製造方法
KR20210114052A (ko) 연료 전지용 척매
JP2012035178A (ja) 触媒の製造方法及び触媒
JP5929942B2 (ja) カーボン担持触媒
JP6759651B2 (ja) 触媒粒子の製造方法および電極触媒の製造方法
JP5488486B2 (ja) 触媒合剤の製造方法
WO2018069979A1 (ja) 触媒層の製造方法、触媒層、ならびに触媒前駆体および当該触媒前駆体の製造方法
JP2014117652A (ja) 触媒微粒子の製造方法、及び当該製造方法により製造される触媒微粒子を含む燃料電池

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160614

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160623

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160719

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160801

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5991430

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151