JP6056963B2 - 燃料電池用触媒及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、従来の触媒よりもガス拡散抵抗を抑制でき且つ優れたIV特性を示す燃料電池用触媒及びその製造方法に関する。
燃料電池は、燃料及び酸化剤を電気的に接続された2つの電極にそれぞれ供給し、電気化学的に燃料を酸化させることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないため、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極で挟持した膜・電極接合体を基本構造とする単セルを複数積層して構成されている。
従来、燃料電池のアノード及びカソードの電極触媒として、担持白金及び白金合金材料が採用されてきた。しかし、今日の電極触媒に必要とされる量の白金は、燃料電池の大量生産を商業的に実現するには依然として高価である。したがって、白金をより安価な金属と組み合わせることにより、燃料電池カソード及びアノードに含まれる白金の量を低減させる研究がなされてきた。
近年、燃料電池の電極触媒として、コアシェル型の触媒微粒子が注目を集めている。コアに対するシェルの被覆率を上げる観点から、通常、コアシェル型の触媒微粒子の製造方法においては、銅アンダーポテンシャル析出法(Cu under potential deposition method;以下、Cu−UPDと称する場合がある)等のアンダーポテンシャル析出法によって予めコア部表面に単原子層を形成した後、当該単原子層をシェル部に置換する方法が知られている。
Cu−UPD法を応用した技術として、特許文献1には、界面活性剤の存在下において、銅原子層を白金原子層に置換することにより、白金原子層を含む触媒原料を製造することを特徴とする触媒原料の形成方法が開示されている。
国際公開第2012/115624号
特許文献1のクレーム9には、界面活性剤としてクエン酸等を用いることが記載されている。しかし、後述するように、本発明者らによる検討の結果、Cu−UPD法に続く白金シェル層の形成においてクエン酸を用いた場合、製造後の触媒において、残留したクエン酸に由来するクエン酸変性物が担体表面に形成される結果、触媒活性に悪影響が及ぶ問題があることが明らかとなった。
本発明は、上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、従来の触媒よりもガス拡散抵抗を抑制でき且つ優れたIV特性を示す燃料電池用触媒及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の燃料電池用触媒は、パラジウム含有粒子、及び白金を含み且つ当該パラジウム含有粒子を被覆する最外層を備える触媒微粒子、並びに、当該触媒微粒子が担持された担体を備える燃料電池用触媒であって、前記担体の原料のBET比表面積をS1、前記燃料電池用触媒における前記担体のBET比表面積をS2としたとき、0.9×S1≦S2を満たすことを特徴とする。
本発明の燃料電池用触媒は、前記担体の原料が炭素材料であってもよい。
本発明の燃料電池用触媒は、質量活性が450(A/gPt)以上であり、且つ、比活性が4.0(A/m)以上であることが好ましい。
本発明の燃料電池用触媒の製造方法は、パラジウム含有粒子、及び白金を含み且つ当該パラジウム含有粒子を被覆する最外層を備える触媒微粒子、並びに、当該触媒微粒子が担持された担体を備える燃料電池用触媒の製造方法であって、パラジウム含有粒子が担持された担体を準備し;前記パラジウム含有粒子に単原子層を被覆し;前記単原子層を、添加剤の存在下において白金を含む前記最外層に置換することにより、前記触媒微粒子を合成し;前記触媒微粒子が担体に担持された触媒前駆体を水により洗浄する方法であり、前記触媒微粒子の合成に使用した添加剤の総質量に対する、前記洗浄後の燃料電池用触媒に残る添加剤及びその誘導体の総質量の割合が2.5質量%以下であることを特徴とする。
本発明の製造方法において、前記触媒前駆体を水により洗浄する際に、当該触媒前駆体を水中に分散させて洗浄することが好ましい。
本発明の製造方法において、前記洗浄に用いられる水の温度が30℃以上100℃未満であることが好ましい。
本発明の製造方法において、前記添加剤は、クエン酸及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、並びにこれらのナトリウム塩及びカリウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1つの界面活性剤であることが好ましい。
本発明の製造方法において、前記単原子層を前記最外層に置換する際に、さらに酸を用いることが好ましい。
本発明の製造方法において、前記パラジウム含有粒子が担持された担体を準備する際に、当該パラジウム含有粒子が担持された担体を酸処理することが好ましい。
本発明の燃料電池は、高分子電解質膜の一面側に少なくともアノード触媒層を備えるアノード電極を備え、他面側に少なくともカソード触媒層を備えるカソード電極を備える膜・電極接合体を備える単セルを備える燃料電池であって、上記燃料電池用触媒を、前記アノード触媒層及び前記カソード触媒層の少なくともいずれか一方に含むことを特徴とする。
本発明によれば、担体原料のBET比表面積に対して、燃料電池用触媒における担体のBET比表面積が9割以上となるため、コアシェル構造を有する従来の燃料電池用触媒と比較して、ガス拡散抵抗を抑制でき、且つ高いIV特性を示す。
本発明に係る燃料電池の単セルの一例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。 実施例1、及び比較例1−比較例3の燃料電池用触媒のBET比表面積S2について比較した棒グラフである。 実施例1について製造工程ごとのBET比表面積を比較した棒グラフである。 実施例2、比較例4、及び比較例5の膜・電極接合体に関する低酸素濃度条件下におけるIV曲線を重ねて示したグラフである。 実施例2、比較例4、及び比較例5の膜・電極接合体に関するガス拡散抵抗を比較した棒グラフである。 実施例2、比較例4、及び比較例6の膜・電極接合体に関する空気下におけるIV曲線を重ねて示したグラフである。 クエン酸濃度に対する洗浄水の伝導度の検量線である。 クエン酸を用いて製造した従来のコアシェル触媒を含む電極触媒層の断面のSEM画像である。 従来の白金−コバルト合金触媒を含む電極触媒層の断面のSEM画像である。
1.燃料電池用触媒
本発明の燃料電池用触媒は、パラジウム含有粒子、及び白金を含み且つ当該パラジウム含有粒子を被覆する最外層を備える触媒微粒子、並びに、当該触媒微粒子が担持された担体を備える燃料電池用触媒であって、前記担体の原料のBET比表面積をS1、前記燃料電池用触媒における前記担体のBET比表面積をS2としたとき、0.9×S1≦S2を満たすことを特徴とする。
上述したように、コアシェル触媒の製造方法において、白金シェル層への置換に際してクエン酸を添加する従来技術が知られている。
しかし、本発明者らによる詳細な検討の結果、クエン酸の除去が不十分な従来の条件下で後処理工程(例えば酸処理工程や焼成工程等)を実施した場合に、担体表面に物理吸着したクエン酸が変性することが明らかとなった。特に、親水性の官能基を有する炭素材料等の担体を用いた場合には、担体表面の官能基とクエン酸とが脱水縮合反応を起こし、クエン酸変性物を形成する。下記式(1)は、クエン酸と担体表面の官能基との脱水縮合反応の様子を模式的に示したものである。下記式(1)において、「carrier」と記載された楕円は担体を示し、当該担体表面に存在する水酸基(−OH)及びカルボキシル基(−COOH)は、担体表面の親水性の官能基を示す。
Figure 0006056963
上記式(1)に示すように、クエン酸変性物は、担体表面の官能基とエステル結合を介して強固に結合している。したがって、このようなクエン酸変性物を含むコアシェル触媒を燃料電池用電極に用いた場合、クエン酸変性物により、担体表面に対するアイオノマの吸着が阻害される。担体表面に吸着されないアイオノマは、遊離アイオノマとなって電極中を漂う。
図8は、クエン酸を用いて製造した従来のコアシェル触媒を含む電極触媒層の断面のSEM画像であり、図9は、従来の白金−コバルト合金触媒を含む電極触媒層の断面のSEM画像である。図8から分かるように、クエン酸を用いた従来のコアシェル触媒においては、遊離アイオノマの存在が確認された(図8中の横方向に筋状に比較的白く見える部分)。一方、図9から分かるように、クエン酸を用いずに製造した白金−コバルト合金触媒においては、遊離アイオノマが見られなかった。したがって、このような遊離アイオノマの発生は、クエン酸を用いて製造した触媒特有の問題であるといえる。
遊離アイオノマは、電極触媒層中のガス導通路を塞いだり、電極触媒層中の親水性細孔量を増やすことによって特に低温過加湿条件下でフラッディングが生じる原因となったりする。その結果、電極触媒層中のガス拡散性が急激に悪化することによって、高電流密度域の特性を支配する濃度過電圧が非常に高くなり、製造後の燃料電池の出力性能が低くなるという問題が生じた。
本発明者らは、鋭意努力の結果、燃料電池用触媒の触媒前駆体の担体表面において物理吸着したクエン酸を、後処理工程前に除去して減らすことにより、燃料電池用触媒の触媒性能が向上することを見出した。クエン酸を担体表面から除去する具体的な方法は、触媒前駆体の製造後且つ後処理工程前に、触媒前駆体を温水により洗浄する方法である。本発明者らは、温水により洗浄する際、洗浄後の水の伝導度を測定し、当該伝導度が特定の値以下となるまで洗浄を繰り返すことにより、得られる燃料電池用触媒のIV特性が向上することを見出した。また、得られた燃料電池用触媒のBET比表面積が、従来のコアシェル触媒のBET比表面積よりも高くなることを見出し、本発明を完成させた。
本発明におけるパラジウム含有粒子とは、パラジウム粒子及びパラジウム合金粒子の総称である。
後述するように、パラジウム含有粒子を被覆する最外層は白金を含む。白金は、触媒活性、特に酸素還元反応(ORR:Oxygen Reduction Reaction)活性に優れている。また、白金の格子定数は3.92Åであるのに対し、パラジウムの格子定数は3.89Åであり、パラジウムの格子定数は白金の格子定数の±5%の範囲内の値であることから、白金−パラジウム間で格子不整合が生じず、白金によるパラジウムの被覆が十分に行われる。
本発明におけるパラジウム含有粒子は、コストを抑える観点から、最外層に用いられる後述の材料よりも安価な金属材料を含むことが好ましい。さらに、パラジウム含有粒子は、電気的導通がとれる金属材料を含むことが好ましい。
以上の観点から、本発明におけるパラジウム含有粒子は、パラジウム粒子、又は、イリジウム、ロジウム若しくは金等の金属とパラジウムとの合金粒子であることが好ましい。パラジウム合金粒子を用いる場合には、当該パラジウム合金粒子にはパラジウムの他に金属が1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。
パラジウム含有粒子の平均粒径は、後述する触媒微粒子の平均粒径以下であれば、特に限定されない。なお、パラジウム含有粒子1つ当たりのコストに対する表面積の割合が高いという観点から、パラジウム含有粒子の平均粒径は、好ましくは30nm以下、より好ましくは5〜10nmである。
なお、本発明におけるパラジウム含有粒子及び触媒微粒子の平均粒径は、常法により算出される。パラジウム含有粒子及び触媒微粒子の平均粒径の算出方法の例は以下の通りである。まず、400,000〜1,000,000倍のTEM画像において、ある1つの粒子について、当該粒子を球状と見なした際の粒径を算出する。このようなTEM観察による粒径の算出を、同じ種類の200〜300個の粒子について行い、これらの粒子の平均を平均粒径とする。
本発明における触媒微粒子表面の最外層は、触媒活性が高いことが好ましい。ここでいう触媒活性とは、燃料電池用触媒としての活性、特に酸素還元反応(ORR)活性のことを指す。
最外層は、白金のみを含んでいてもよいし、白金以外にイリジウム、ルテニウム、ロジウム、又は金を含んでいてもよい。最外層に白金合金を用いる場合には、当該白金合金には白金の他に金属が1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。
中心粒子の溶出をより抑制できるという観点から、パラジウム含有粒子に対する最外層の被覆率は、通常0.5〜2、好ましくは0.8〜1である。パラジウム含有粒子に対する最外層の被覆率が0.5未満である場合、電気化学反応においてパラジウム含有粒子が溶出し、その結果、触媒微粒子が劣化するおそれがある。
なお、ここでいう「パラジウム含有粒子に対する最外層の被覆率」とは、パラジウム含有粒子の全表面積を1とした時の、最外層により被覆されているパラジウム含有粒子の面積の割合のことである。当該被覆率を算出する方法の一例を以下説明する。まず、誘導結合プラズマ質量分析法(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry:ICP−MS)等により、触媒微粒子中の最外層金属含有量(A)を測定する。一方で、透過型電子顕微鏡(TEM)等により、触媒微粒子の平均粒径を測定する。測定した平均粒径から、その粒径の粒子が表面に有する原子の数を推定し、粒子表面の1原子層が最外層に含まれる金属に置き換わった場合の最外層金属含有量(B)を推定する。最外層金属含有量(A)を最外層金属含有量(B)で除した値が、「パラジウム含有粒子に対する最外層の被覆率」となる。
パラジウム含有粒子を被覆する最外層は、単原子層であることが好ましい。このような構造を有する触媒微粒子は、2原子層以上の最外層を有する触媒微粒子と比較して、最外層における触媒性能が極めて高いという利点、及び、最外層の被覆量が少ないため材料コストが低いという利点がある。
なお、触媒微粒子の平均粒径は、その下限が好適には4nm以上、より好適には5nm以上であり、その上限が好適には40nm以下、より好適には10nm以下である。
前記担体の原料は、炭素材料であってもよい。このことにより、本発明に係る燃料電池用触媒を燃料電池の電極触媒層に使用した際、電極触媒層に導電性を付与できる。
担体として使用できる炭素材料の具体例としては、ケッチェンブラック(商品名:ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製)、バルカン(商品名:Cabot社製)、ノーリット(商品名:Norit社製)、ブラックパール(商品名:Cabot社製)、アセチレンブラック(商品名:Chevron社製)等の炭素粒子や、炭素繊維等の導電性炭素材料等が挙げられる。
また、担体の原料は、金属粒子や金属繊維等の金属材料であってもよい。
本発明においては、担体の原料のBET比表面積をS1(m/g)、燃料電池用触媒における担体のBET比表面積をS2(m/g)としたとき、0.9×S1≦S2を満たすことが主な特徴の1つである。
上述したように、パラジウム含有粒子に対し白金を含む最外層を被覆する際、クエン酸等の添加剤を用いた場合には、担体表面に当該添加剤の変性物が物理吸着する。その結果、当該変性物により担体表面のBET比表面積は低下するため、燃料電池用触媒における担体の従来のBET比表面積(S2)は、担体の原料のBET比表面積(S1)の70%を超えることはなかった。
BET比表面積S2は、0.95×S1≦S2であることが好ましく、0.99×S1≦S2であることがより好ましい。また、BET比表面積S2に特に上限値はないが、例えば、S2≦2×S1としてもよい。
本発明におけるBET比表面積とは、BET法(例えば、Nガス吸着法)により求められた比表面積である。
以下、BET比表面積S1及びS2の測定例について説明する。まず、担体の原料のBET比表面積を測定し、これをS1(m/g−担体)とする。次に、担体の原料に触媒微粒子を担持して燃料電池用触媒を製造した後、当該燃料電池用触媒について、BET比表面積S(m/g−燃料電池用触媒)を測定し、且つ、誘導結合プラズマ質量分析法(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry:ICP−MS)により金属担持割合x(質量%)を測定する。ここで測定されたSは、燃料電池用触媒全体に関するBET比表面積である。最後に、S及びxの値から、下記式(2)により、燃料電池用触媒における担体のBET比表面積S2(m/g−担体)を算出する。
S2=S×{(100−x)/100} 式(2)
上記式(2)により、金属の寄与を除いた、担体のみのBET比表面積S2を算出することができる。
本発明に係る燃料電池用触媒が添加剤を用いて製造された場合には、通常、燃料電池用触媒中に添加剤の変性物の痕跡が見られる。添加剤の変性物の痕跡の確認方法としては、例えば、同位体標識を有する添加剤(例:炭素13及び/又は酸素17を有するクエン酸等)を用いて燃料電池用触媒を製造し、得られた燃料電池用触媒について固体13CNMR及び/又は固体17ONMRを行うか、又は、当該燃料電池用触媒を溶解した溶液について13CNMR及び/又は17ONMRを行う方法が挙げられる。また、添加剤の変性物の痕跡の確認方法としては、フーリエ変換赤外線吸収スペクトル測定法(FT−IR)も採用できる。
本発明の燃料電池用触媒は、質量活性が450(A/gPt)以上であり、且つ、比活性が4.0(A/m)以上であることが好ましい。
従来のカーボン担持白金触媒は、製造時に高温焼成を行っても、白金触媒の構造が損なわれることはなく、触媒性能にも悪影響はなかった。しかし、本発明の燃料電池用触媒の場合、焼成温度が高すぎると、白金を含む最外層の構造が維持できなくなるおそれがある。一方、焼成温度を十分高くしなければ、添加剤(クエン酸等)等の不純物を除去することはできない。
したがって、上述したように、燃料電池用触媒における担体のBET比表面積S2を十分に高く維持しつつ、質量活性及び比活性を上記の如く高く保つことができるのは、本発明に係る燃料電池用触媒特有の効果である。上記質量活性及び比活性を有し、且つコアシェル構造を維持できる燃料電池用触媒は、比較的低い温度による焼成を経ているものと考えられる。このように低温処理という制約の中で担体のBET比表面積がこれだけ大きいコアシェル触媒は、これまでに存在しなかった。
本発明の燃料電池用触媒は、質量活性が500(A/gPt)以上であることがより好ましく、550(A/gPt)以上であることがさらに好ましい。また、本発明の燃料電池用触媒は、比活性が4.2(A/m)以上であることがより好ましく、4.4(A/m)以上であることがさらに好ましい。
以上のように、本発明に係る燃料電池用触媒は、担体において十分大きなBET比表面積S2を有するため、当該燃料電池用触媒を含む燃料電池は、十分量のアイオノマを担体表面に吸着させることができ、その結果、遊離のアイオノマが電極触媒層中のガス導通路を塞ぐおそれや、遊離のアイオノマに由来するフラッディングのおそれがなく、ガス拡散抵抗を抑制でき、高いIV性能を示す。
2.燃料電池用触媒の製造方法
本発明の燃料電池用触媒の製造方法は、パラジウム含有粒子、及び白金を含み且つ当該パラジウム含有粒子を被覆する最外層を備える触媒微粒子、並びに、当該触媒微粒子が担持された担体を備える燃料電池用触媒の製造方法であって、パラジウム含有粒子が担持された担体を準備し;前記パラジウム含有粒子に単原子層を被覆し;前記単原子層を、添加剤の存在下において白金を含む前記最外層に置換することにより、前記触媒微粒子を合成し;前記触媒微粒子が担体に担持された触媒前駆体を水により洗浄する方法であり、前記触媒微粒子の合成に使用した添加剤の総質量に対する、前記洗浄後の燃料電池用触媒に残る添加剤及びその誘導体の総質量の割合が2.5質量%以下であることを特徴とする。
本発明に係る燃料電池用触媒の製造方法は、(1)原料を準備する工程、(2)パラジウム含有粒子に単原子層を被覆する工程、(3)単原子層を最外層に置換することにより触媒微粒子を合成する工程、(4)触媒前駆体を水洗浄する工程を有する。本発明は、必ずしも上記4工程のみに限定されることはなく、上記4工程以外にも、例えば、後述するようなろ過工程、洗浄工程、及び乾燥工程等を有していてもよい。
以下、上記工程(1)〜(4)及びその他の工程について、順に説明する。
2−1.原料を準備する工程
本工程は、パラジウム含有粒子が担持された担体を準備する工程である。本発明に使用できるパラジウム含有粒子及び担体は上述した通りである。
パラジウム含有粒子が担持された担体は、予め調製されたものであってもよいし、市販のものであってもよい。パラジウム含有粒子の担体への担持方法には、従来から用いられている方法を採用することができる。パラジウム合金粒子を用いる場合には、パラジウム合金の調製とパラジウム合金粒子の担体への担持が同時に行われてもよい。
本工程においては、パラジウム含有粒子が担持された担体を酸処理することが好ましい。ここでいう酸処理とは、パラジウム含有粒子が担持された担体を酸溶液に単に添加する処理や、パラジウム含有粒子が担持された担体を酸溶液に添加した後に電位を付与する処理を含む。
本発明に好適に使用される酸溶液は、パラジウム含有粒子表面の酸化物を除去できる程度に十分な酸化力を持つ酸溶液であり、具体的には、硝酸、硫酸、過塩素酸、塩酸、次亜塩素酸等が挙げられる。特に、主にパラジウムを溶解するのに十分な酸化力を持つという観点から、硫酸が好ましい。なお、酸溶液の濃度、及びバブリングによる酸溶液中の雰囲気制御は、酸溶液の種類ごとに適宜調節すればよい。
全てのパラジウム含有粒子に対し電位処理が満遍なく速やかに進行するという観点から、パラジウム含有粒子が分散した酸溶液においては、各パラジウム含有粒子が互いに凝集することなく、酸溶液中に均一に分散していることが好ましい。
酸処理において分散液に電位を付与する場合には、付与する電位について特に制限はなく、例えば、0.1〜1.1Vの矩形波パターン等を付与することができる。
特に、0.4〜0.6V(vs.RHE)の電位の範囲は、パラジウム含有粒子表面の酸化物(酸化被膜)を除去できる電位の範囲であるため好ましい。0.4V(vs.RHE)未満の電位においては、パラジウムによる水素の吸蔵が始まるおそれがある。一方、0.6V(vs.RHE)を超える電位においては、パラジウム含有粒子中のパラジウム等の金属が溶出しだすおそれがある。なお、下限の0.4V(vs.RHE)を0.2V程度下回ったとしても、パラジウム含有粒子の表面の酸化物を除去するクリーニング効果そのものは、0.4〜0.6V(vs.RHE)の電位範囲の掃引の効果と同程度である。酸処理において付与する電位の範囲は、0.4〜0.45V(vs.RHE)の範囲が好ましい。
酸処理においては、0.4〜0.6V(vs.RHE)の範囲内であれば、所定の電位に固定して電位処理を実行してもよいし、所定の電位の範囲を1回又は2回以上掃引してもよい。なお、パラジウム含有粒子表面に対する吸着物質の脱着を繰り返し、当該表面に存在する酸化物を効率よく除去できるという観点からは、酸処理における電位処理は、0.4〜0.6V(vs.RHE)の範囲内の任意の2つの電位間を掃引する電位処理であることが好ましい。
任意の2つの電位間にて電位を掃引する場合には、掃引の回数は、反応スケールにより適宜調節することができる。掃引の回数は、例えば、1〜100gのパラジウム含有粒子について、1〜1,000サイクル程度である。
酸処理における電位付与に要する時間は、パラジウム含有粒子の表面の酸化物が十分除去できる時間であれば特に限定されず、合成スケールにより適宜調節できる。電位付与終了の目安としては、例えば、0.4〜0.6V(vs.RHE)の範囲内の任意の2つの電位間を掃引する電位処理を行った場合には、電位処理の波形の軌道が、前回掃引時の波形の軌道とほぼ重なり、複数回掃引しても電位処理の波形がほぼ同一の軌跡を描くようになった場合が挙げられる。このような場合には、当該電位処理に対する電流の変動が一定となり、パラジウム含有粒子の表面の酸化物がほぼ消失したとみなすことができる。
電位付与に要する時間は、例えば、1〜100gのパラジウム含有粒子について、1〜24時間程度である。
酸処理の具体例は以下の通りである。まず、パラジウム担持カーボンを酸溶液中に加え、適宜酸溶液中に分散させた後、0.1〜1.1Vの矩形波パターンで電位を往復して掃引する。このとき、酸溶液は、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスにより予めバブリングし、酸溶液中の酸素等を可能な限り除去することが好ましい。
このように、白金被覆前のパラジウム含有粒子に対し予め電位処理を行うことにより、パラジウム含有粒子の表面に吸着しているパラジウム酸化物等の酸化物を除去でき、パラジウム含有粒子表面をクリーニングできる。また、付与する電位を0.4〜0.6V(vs.RHE)の範囲内、好適には0.4〜0.45V(vs.RHE)の範囲内とすることにより、パラジウム含有粒子からのパラジウム等金属の溶出や、パラジウムによる水素吸蔵のおそれもないため、パラジウム含有粒子表面に酸化物が新たに現れるおそれもない。
2−2.パラジウム含有粒子に単原子層を被覆する工程
本工程は、パラジウム含有粒子に単原子層を被覆する工程である。
本工程の具体的態様としては、アンダーポテンシャル析出法によりパラジウム含有粒子表面に単原子層を形成する態様が挙げられる。アンダーポテンシャル析出法としては、Cu−UPDを用いることが好ましい。Cu−UPDを用いることにより、パラジウム含有粒子に銅を被覆する際に、各パラジウム含有粒子への銅析出量を均一にすることができる。
最外層に白金層を使用する場合には、パラジウムの格子定数と白金の格子定数が互いに近いことから、Cu−UPD法によって、白金の被覆率が高く耐久性に優れる燃料電池用触媒を製造できる。
本工程の具体例は以下の通りである。まず、上記酸処理を終えた反応容器に、硫酸銅等の銅化合物を加える。次に、パラジウム含有粒子表面に銅が1原子層分だけ析出するように、アンダーポテンシャル析出電位(UPD電位)と略等しい電位を反応混合物に付与する。このまま、電流値が0Aに近づいてプラトーになるまで(すなわち、銅の還元反応が終了するまで)電位を保持することにより、銅単原子層の被覆を進行させる。
2−3.単原子層を最外層に置換することにより触媒微粒子を合成する工程
本工程は、単原子層を、添加剤の存在下において白金を含む最外層に置換することにより、触媒微粒子を合成する工程である。以下、最外層として白金層を形成する場合について説明する。
まず、KPtCl等の白金化合物、及び添加剤を、好ましくは酸に適宜溶かして、白金元素を含む溶液を調製する。白金元素を含む溶液には、窒素等の不活性ガスを予めバブリングさせることが好ましい。
白金元素を含む溶液に添加する添加剤としては、クエン酸、クエン酸のナトリウム塩、クエン酸のカリウム塩、エチレンジアミン四酢酸(以下、EDTAと称する場合がある)、EDTAのナトリウム塩、及びEDTAのカリウム塩等の界面活性剤が好ましい。これらの添加剤は溶液中において白金と錯体を形成するため、溶液中における白金元素の分散性が高くなり、その結果、パラジウム含有粒子の表面に対し均一に最外層を被覆することができる。上記添加剤は、1種類のみ用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
白金元素を含む溶液に添加する酸としては、硫酸、硝酸、過塩素酸、塩酸、次亜塩素酸等が例示でき、これらの酸の中でも、硫酸が好ましい。
白金元素を含む溶液を、上述したパラジウム含有粒子を含む反応混合物に徐々に添加し、添加終了後、反応混合物の自然電位がプラトーになるまで攪拌することにより、銅から白金への置換反応が終了し、触媒微粒子が合成される。合成後の触媒微粒子を含む分散液は、適宜ろ過し、ろ過物を次の工程に供する。
2−4.触媒前駆体を水洗浄する工程
本工程は、触媒微粒子が担体に担持された触媒前駆体を水により洗浄する工程である。
本発明において、触媒前駆体とは、少なくとも本工程において水洗浄される前における、触媒微粒子及び当該触媒微粒子を担持する担体を指すものとする。触媒前駆体は、例えば、本工程における水洗浄や、後述する酸処理、水素バブリング、及び焼成等によって、燃料電池用触媒へ変換される。
本工程においては、水として冷水を用いてもよいし、温水を用いてもよい。また、冷水と温水を組み合わせて洗浄に用いてもよい。具体的には、触媒前駆体を30℃未満の冷水により洗浄した後に、温水により洗浄してもよい。
本発明に使用される温水は、その温度が30℃以上100℃未満であることが好ましい。温水の温度が30℃未満であると、添加剤を溶出する効果が小さくなるおそれがある。また、温水の温度が100℃以上であると、水蒸気となり洗浄に適さなくなるほか、合成した触媒微粒子の構造を損なうおそれがある。温水の温度は、40〜90℃であることがより好ましく、50〜70℃であることがさらに好ましい。
本工程は、触媒前駆体を水中、好ましくは温水中に分散させて洗浄する工程であることが好ましい。触媒前駆体を水中に分散させる方法には特に限定はないが、例えば、超音波による分散法や、ボールミルにより粉砕した後に水中に加える方法、ナノマイザー等のせん断力を用いた装置により分散する方法等が挙げられる。これらの中でも、触媒微粒子の構造を比較的傷つけにくいという観点から、超音波による分散法を用いることが好ましい。
本工程のように、水による洗浄、特に温水による洗浄を経なければ、担体表面に物理吸着している添加剤を完全に除くことは困難である。これは、後述する酸処理工程や焼成工程においては、添加剤と担体表面との結合形成が、酸や熱によりむしろ促進されるためである。
本工程は、必要に応じて2回以上繰り返すことが好ましい。このとき、洗浄を終了する目安としては、例えば、洗浄に使用された水(以下、洗浄水と称する場合がある)の伝導度が挙げられる。洗浄水の伝導度は、洗浄水中の添加剤量の指標となる。したがって、洗浄水の伝導度が十分高い場合には、担体表面に物理吸着している添加剤の量が未だ多いものとみなし、再度洗浄する必要があると判定することができる。
本発明においては、洗浄水の伝導度が10μS/cm以下となるまで、本工程を繰り返すことが好ましい。洗浄水とは、具体的には、容器中に水1L当たり触媒前駆体10gを加えて分散させた後に得られる上澄み液を指す。
このように、洗浄を終える毎に洗浄水の伝導度を測定することにより、担体表面に残った添加剤等の残留割合を簡便に逐一確認することができる。
本発明においては、触媒微粒子の合成に使用した添加剤の総質量に対する、洗浄後の燃料電池用触媒に残る添加剤及びその誘導体(以下、添加剤等と称する場合がある)の総質量の割合(以下、添加剤等の残留割合と称する場合がある)が、2.5質量%以下である。本発明において、「添加剤の誘導体」とは、例えば、上述したような、添加剤が担体表面の官能基と反応することにより担体表面に生成した変性物等が挙げられる。
燃料電池用触媒から添加剤等の量を直接定量することは困難である。したがって、添加剤等の残留割合は、通常、合成に用いた添加剤の総質量に対する、洗浄工程以降において除去した添加剤の総質量の割合(以下、添加剤の除去割合と称する場合がある)を算出し、100%から当該添加剤の除去割合(%)を減ずることにより算出できる。
上記洗浄水の伝導度と添加剤等の残留割合との関係は、添加剤の種類によって異なる。例えば、上記洗浄水の伝導度が10μS/cmのときの、クエン酸及びクエン酸誘導体の残留割合は2.4質量%である。
2−5.その他の工程
上記水洗浄(温水洗浄)工程後には、得られた燃料電池用触媒の酸処理、水素バブリング、及び焼成等を行ってもよい。
燃料電池用触媒の酸処理及び水素バブリングは、触媒微粒子の被覆構造を損なうことなく、不純物を除去できる方法であれば特に限定されない。
(a)酸処理工程
酸処理工程は、触媒前駆体を、白金よりもパラジウムを優先的に溶解する酸溶液に接触させる工程である。
本発明において使用する酸溶液は、白金よりもパラジウムを優先的に溶解するものであり、パラジウムを溶出できる十分な酸化力を持ち、且つ、白金溶出を最小限に留めることができる。
一般的に、金属単体の溶解度は、当該金属単体のイオン化傾向、すなわち、当該金属単体の標準電極電位E(すなわち、25℃、且つpH=0の水溶液中の電極電位)により決まる。パラジウムの標準電極電位E Pdは+0.915V(vs.SHE)であるのに対し、白金の標準電極電位E Ptは+1.188V(vs.SHE)である。従って、パラジウムのイオン化傾向は、白金のイオン化傾向よりも大きい。
ただし、上記標準電極電位Eによるイオン化傾向は、25℃、且つpH=0の水溶液中に限られ、また、バルク状態の金属における値である。そのため、あくまでも目安に過ぎず、温度や酸濃度等の処理条件によっては、必ずしも白金よりもパラジウムを選択的に溶出できるとは限らない。また、溶解析出反応は平衡反応であるため、理想的な酸溶液であっても、白金溶出が全く生じないわけではない。また、触媒微粒子は、ナノオーダーのサイズを有するため、実際の白金溶出電位やパラジウム溶出電位は、上記標準電極電位Eよりも低くなる。従って、実際に使用する触媒微粒子のパラジウム溶出量及び白金溶出量を予め検討することによって、酸処理条件(酸の種類、濃度、温度、時間等)を設定することが好ましい。
本発明において使用する酸溶液は、具体的には、酸化還元電位がパラジウム溶出電位の0.915V(vs.SHE)近傍の値であり、白金溶出電位の1.188V(vs.SHE)未満であることが好ましい。
具体的な酸溶液としては、例えば、硝酸、硫酸、過塩素酸、塩酸、次亜塩素酸等が挙げられる。特に、パラジウムを溶解できるのに十分な酸化力を持つという観点から、硝酸が好ましい。
酸溶液の濃度や温度、酸溶液を接触させる時間等、酸処理の具体的な条件は、酸溶液によりパラジウム含有粒子が溶出する質量Mcに対する、酸溶液により白金含有最外層が溶出する質量Msの比(以下、Ms/Mc比ということがある)が0.4〜2.0、特に0.5〜1.5となるように設定することが好ましい。Ms/Mc比が、0.4未満の場合には、パラジウム含有粒子からのパラジウム溶出量が多すぎるため、製造効率が低下するおそれがある。また、Ms/Mc比が2.0を超える場合には、パラジウム含有粒子の溶出量が少なすぎるため、欠陥部位の補修効果が充分に得られないおそれ、又は、白金含有最外層の溶出量が多すぎるため、触媒活性が低下するおそれがある。
具体的には、酸溶液の濃度は、例えば、酸溶液として硝酸を用いる場合には、硝酸の濃度は、1.0×10−4〜2mol/L、特に1.0×10−3〜1mol/L、さらに1.0×10−2〜1.0×10−1mol/Lであることが好ましい。また、酸溶液として硫酸を用いる場合には、硫酸の濃度は、1.0×10−4〜2mol/L、特に1.0×10−3〜1mol/L、さらに1.0×10−2〜1.0×10−1mol/Lであることが好ましい。
また、酸溶液の温度は、上記欠陥部位の補修を効果的に且つ効率良く実施できることから、40℃以上、特に50℃以上、さらに特に60℃以上であることが好ましく、また、触媒微粒子のシンタリングや触媒前駆体の凝集等を防止する観点から、90℃以下、特に80℃以下、さらに特に60℃以下であることが好ましい。
また、触媒前駆体を酸溶液に接触させる時間は、酸の種類や濃度、酸溶液の温度等に応じて、適宜調節することができ、例えば30分間〜2時間程度でよい。
酸溶液の濃度、温度、酸の種類、接触時間以外にも、例えば、2種以上の酸を組み合わせ、その比率を調整する方法、バブリング等により酸溶液の雰囲気を制御する方法等によっても、上記Ms/Mc比をコントロールすることができる。
酸処理条件の最適化方法としては、例えば、回転ディスク電極(Rotating Disk Electrode;以下、RDEと称する場合がある)法による触媒活性の評価を行う方法が挙げられる。
触媒前駆体を酸溶液に接触させる方法は特に限定さない。十分に酸処理が進行するという観点から、触媒前駆体を酸溶液中に浸漬させる方法が好ましい。浸漬の際、酸溶液は、超音波ホモジナイザー、マグネチックスターラー、攪拌羽つきモーター等を用いて、分散及び攪拌することが好ましい。
上述したように、酸は、担体と添加剤との結合形成を促進する触媒となるおそれがある。例えば、添加剤としてクエン酸を用いた場合には、酸が、担体表面のカルボキシル基又はヒドロキシル基と、クエン酸中のヒドロキシル基又はカルボキシル基との脱水縮合反応における触媒となり得る。酸処理工程前に添加剤が多く残留している場合、酸処理によって、添加剤が担体と共有結合等を形成することにより、触媒前駆体中に添加剤変性物として残留する量が多くなる。したがって、本発明において酸処理を行う場合には、酸処理前に上記水洗浄工程を実施することが重要である。
(b)水素バブリング工程
本発明の燃料電池用触媒の製造方法は、酸処理工程後であって焼成工程前に、触媒前駆体の分散液に水素ガスをバブリングする工程を有することが好ましい。このようなバブリング工程を設け、酸処理後の触媒前駆体表面に水素を吸着させることによって、焼成工程において、触媒前駆体表面の酸化被膜を効果的に除去することが可能となる。
触媒前駆体の分散液としては、特に限定されず、適宜選択することができる。好ましい分散媒としては、酸溶液が挙げられる。酸溶液としては、例えば、上記酸処理にて使用されるものと同様とものを用いることができる。
水素ガスの濃度は、特に限定されず、例えば、10〜90体積%程度でよい。また、水素ガスのバブリング時間は、水素ガス濃度、処理する触媒前駆体量等に応じて適宜設定すればよく、例えば、0.5〜1時間程度でよい。
バブリング工程を設ける場合、バブリング前に上記のような洗浄工程を設けることが好ましい。
また、水素ガスのバブリングに先立ち、触媒前駆体の分散液は、不活性ガスによるバブリングを行うことが好ましい。水素ガスバブリング時の安全性を高めることができるからである。同様の観点から、水素ガスバブリング後にも不活性ガスのバブリングを行うことが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガスやアルゴンガス等の一般的なものを用いることができ、バブリング時間等は、適宜設定すればよい。
また、水素ガスバブリング後、上記のような水洗浄工程、及び乾燥工程を設けることが好ましい。後続の焼成工程を効率良く実施することができるからである。
(c)焼成工程
焼成工程は、水素バブリング工程後、触媒前駆体を、還元性ガス雰囲気下、80℃以上200℃未満の温度で焼成する工程である。
還元性ガス雰囲気とは、還元性ガスを含めば、還元性ガスの種類、濃度等は特に限定されない。例えば、還元性ガスとして、Hガス等が挙げられる。
還元性ガスの濃度は、酸化被膜を効率良く除去する観点から、1体積%以上、特に2.5体積%以上であることが好ましい。
焼成温度は、80℃以上200℃未満の範囲であればよい。表面白金拡散開始エネルギーの観点から、90℃以上、特に100℃以上であることが好ましく、コアシェル構造の維持の観点から、170℃以下、特に150℃以下であることが好ましい。
焼成時間は、焼成温度、サンプル量等に応じて、適宜設定すればよいが、例えば、1〜3時間程度でよい。
なお、コアシェル構造を有する触媒微粒子を含む燃料電池用触媒の質量活性が450(A/gPt)以上であり、且つ、比活性が4.0(A/m)以上である場合には、当該燃料電池用触媒は、80℃以上200℃未満の温度で焼成して製造されたものであると推測される。このような比較的低い焼成温度でなければコアシェル構造の維持が難しく、そのため優れた触媒活性を発揮することが困難となるからである。本発明において、このような低温条件下で焼成を行う場合には、触媒微粒子を担持する担体のBET比表面積を従来よりもさらに広く確保することができる。
3.燃料電池
本発明の燃料電池は、高分子電解質膜の一面側に少なくともアノード触媒層を備えるアノード電極を備え、他面側に少なくともカソード触媒層を備えるカソード電極を備える膜・電極接合体を備える単セルを備える燃料電池であって、上記「1.燃料電池用触媒」又は上記「2.燃料電池用触媒の製造方法」により製造される燃料電池用触媒を、前記アノード触媒層及び前記カソード触媒層の少なくともいずれか一方に含むことを特徴とする。
図1は、本発明に係る燃料電池の単セルの一例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。膜・電極接合体8は、水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜(以下、単に電解質膜ということがある)1、並びに、当該電解質膜1を挟む一対のカソード電極6及びアノード電極7を備える。単セル100は、膜・電極接合体8、並びに、当該膜・電極接合体8を電極の外側から挟む一対のセパレータ9及び10を備える。セパレータと電極との境界にはガス流路11及び12が確保されている。通常は電極として、電解質膜側から順に触媒層及びガス拡散層の積層体が用いられる。すなわち、カソード電極6はカソード触媒層2及びガス拡散層4の積層体を備え、アノード電極7はアノード触媒層3及びガス拡散層5の積層体を備える。本発明に係る燃料電池用触媒は、アノード触媒層及びカソード触媒層の少なくともいずれか一方に用いられる。
高分子電解質膜とは、燃料電池において用いられる高分子電解質膜であり、ナフィオン(商品名)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂のようなフッ素系高分子電解質を含むフッ素系高分子電解質膜の他、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリパラフェニレン等のエンジニアリングプラスチックや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の汎用プラスチック等の炭化水素系高分子にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ボロン酸基等のプロトン酸基(プロトン伝導性基)を導入した炭化水素系高分子電解質を含む炭化水素系高分子電解質膜等が挙げられる。
電極は、触媒層及びガス拡散層を備える。
アノード触媒層及びカソード触媒層はいずれも、触媒、導電性材料及び高分子電解質を含有する触媒インクを用いて形成することができる。高分子電解質としては、上述した高分子電解質膜同様の材料を用いることができる。触媒としては、本発明に係る燃料電池用触媒が用いられる。
本発明に係る燃料電池用触媒は、アノード触媒層のみに用いられてもよく、カソード触媒層のみに用いられてもよく、アノード触媒層及びカソード触媒層の両方に用いられてもよい。本発明に係る燃料電池用触媒をアノード触媒層のみに用いる場合には、カソード触媒層には他の触媒が用いられる。また、本発明に係る燃料電池用触媒をカソード触媒層のみに用いる場合には、アノード触媒層には他の触媒が用いられる。
他の触媒としては、通常、触媒成分を導電性粒子に担持させたものが用いられる。触媒成分としては、アノード電極に供給される燃料の酸化反応又はカソード電極に供給される酸化剤の還元反応に対して触媒活性を有しているものであれば、特に限定されず、固体高分子型燃料電池に一般的に用いられているものを使用することができる。例えば、白金、又はルテニウム、鉄、ニッケル、マンガン、コバルト、銅等の金属と白金との合金等を用いることができる。触媒担体である導電性粒子としては、カーボンブラック等の炭素粒子や炭素繊維のような導電性炭素材料、金属粒子や金属繊維等の金属材料も用いることができる。導電性材料は、触媒層に導電性を付与する役割も担っている。
触媒層の形成方法は特に限定されず、例えば、触媒インクをガス拡散シートの表面に塗布、乾燥することによって、ガス拡散シート表面に触媒層を形成してもよいし、或いは、高分子電解質膜表面に触媒インクを塗布、乾燥することによって、高分子電解質膜表面に触媒層を形成してもよい。或いは、転写用基材表面に触媒インクを塗布、乾燥することによって、転写シートを作製し、該転写シートを、高分子電解質膜又はガス拡散シートと熱圧着等により接合した後、転写シートの基材フィルムを剥離する方法で、高分子電解質膜表面上に触媒層を形成するか、ガス拡散シート表面に触媒層を形成してもよい。
触媒インクは上記のような触媒及び電極用電解質等を、溶媒に分散させて得られる。触媒インクの溶媒は、適宜選択すればよく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒、又はこれら有機溶媒の混合物やこれら有機溶媒と水との混合物を用いることができる。触媒インクには、触媒及び電解質以外にも、必要に応じて結着剤や撥水性樹脂等のその他の成分を含有させてもよい。
触媒インクの塗布方法、乾燥方法等は適宜選択することができる。例えば、塗布方法としては、スプレー法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法等が挙げられる。また、乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥、加熱乾燥、減圧加熱乾燥等が挙げられる。減圧乾燥、加熱乾燥における具体的な条件に制限はなく、適宜設定すればよい。また、触媒層の膜厚は、特に限定されないが、1〜50μm程度とすればよい。
ガス拡散層を形成するガス拡散シートとしては、触媒層に効率良く燃料を供給することができるガス拡散性、導電性、及びガス拡散層を構成する材料として要求される強度を有するもの、例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等の炭素質多孔質体や、チタン、アルミニウム及びその合金、ニッケル、ニッケル−クロム合金、銅及びその合金、銀、亜鉛合金、鉛合金、ニオブ、タンタル、鉄、ステンレス、金、白金等の金属から構成される金属メッシュ又は金属多孔質体等の導電性多孔質体からなるものが挙げられる。導電性多孔質体の厚さは、50〜500μm程度であることが好ましい。
ガス拡散シートは、上記導電性多孔質体の単層からなるものであってもよいが、触媒層に面する側に撥水層を設けることもできる。撥水層は、通常、炭素粒子や炭素繊維等の導電性粉粒体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の撥水性樹脂等を含む多孔質構造を有するものである。撥水層は、必ずしも必要なものではないが、触媒層及び高分子電解質膜内の液水量を適度に保持しつつ、ガス拡散層の排水性を高めることができる上に、触媒層とガス拡散層間の電気的接触を改善できるという利点がある。
上記方法によって触媒層を形成した高分子電解質膜及びガス拡散シートは、適宜、重ね合わせて熱圧着等し、互いに接合することで、膜・電極接合体が得られる。
作製された膜・電極接合体は、好ましくは、反応ガス流路を有するセパレータで狭持され、単セルを形成する。セパレータとしては、導電性及びガスシール性を有し、集電体及びガスシール体として機能しうるもの、例えば、炭素繊維を高濃度に含有し、樹脂との複合材からなるカーボンセパレータや、金属材料を用いた金属セパレータ等を用いることができる。金属セパレータとしては、耐腐食性に優れた金属材料からなるものや、表面をカーボンや耐腐食性に優れた金属材料等で被覆し、耐腐食性を高めるコーティングが施されたもの等が挙げられる。このようなセパレータを、適切に圧縮成形又は切削加工等することによって、上述した反応ガス流路を形成することができる。
膜・電極接合体を用いてIV測定を行うことにより、当該膜・電極接合体のガス拡散性を評価することができる。具体的には、IV測定により得られた限界電流値Ilim(A/cm)、評価条件である酸素分圧PO2(KPa−abs)及びセル温度T(K)、並びに、ファラデー定数F(=96,485(C/mol))及び気体定数R(=8.314(J/mol・K))を下記式(3)に代入することにより、ガス拡散抵抗R(sec/m)が求められる。
R(sec/m)=(4F×PO2×1000)/(R×T×Ilim×10000) 式(3)
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
1.燃料電池用触媒の製造
[実施例1]
1−1.原料の準備
まず、公知の方法により、カーボン担体(Vulcan)にパラジウムを担持させた。得られた担持物を適宜洗浄した後、焼成することにより、カーボン担持パラジウム粒子粉末を準備した。
次に、カーボン担持パラジウム粒子粉末10gを、0.05mol/Lの硫酸1L中に分散させ、得られた分散液を電気化学リアクタ中に投入した。分散液中を不活性ガス(Nガス)により十分にバブリングすることによって酸素を脱気した後、0.1〜1.1V(vs.RHE)の矩形波パターンの電位サイクルを実施し、パラジウム粒子表面の不純物や酸化物の除去を行った。
1−2.パラジウム粒子への銅単原子層の被覆
電気化学リアクタ中に、銅イオンの濃度が0.05mol/Lとなるように、CuSO・5HOを所定量添加した後、溶解させた。CuSO・5HOの添加及び溶解は、混合物中をNガスによりバブリングしながら行った。その後、所定の電位を作用電極に付与し、電流値が0Aに近づいてプラトーになるまで、すなわち、Cu2++2e→Cuの反応が終了するまで、当該電位をそのまま維持した。ここで作用電極に付与した所定の電位とは、パラジウム粒子表面に銅が1原子層分だけ析出するよう、予め回転ディスク電極(RDE)測定により確認したUPD電位と略等しい電位である。以上の操作により、パラジウム粒子へ銅単原子層を被覆した。
1−3.銅単原子層の白金最外層への置換
電気化学リアクタ中に、KPtCl 3.32g、クエン酸75g、及び酸素脱気済みの硫酸100mLの混合物を、徐々に加えた。添加終了後、反応混合物の自然電位がプラトーになるまで(すなわち、自然電位の変動が無くなるまで)攪拌し続けた。以上の操作により、パラジウム粒子表面の銅単原子層を白金層に置換し、触媒微粒子を合成した。
1−4.冷水洗浄及び温水洗浄
触媒微粒子を合成した後の反応混合物をろ過した後、ろ過物を純水(冷水)4Lにより洗浄した(冷水洗浄)。
冷水洗浄後のろ過物を、純水1L中に投入した。超音波ホモジナイザーにより純水中に固体を十分分散させた後、分散液を攪拌しながら60℃まで昇温させ、そのまま1時間維持した(温水洗浄)。当該分散液の上澄み(洗浄水)40mLを回収し、フィルター付シリンジを用いてろ過し、以下に示す条件下で洗浄水の伝導度を測定した。
測定装置:導電率計(CONDUCTIVITY METER AOL−40、DKK社製)
測定温度:25℃
洗浄水の伝導度が10μS/cmを超えた場合には、触媒に残存するクエン酸量が2.5質量%を超えるものと判定し、分散液をろ過した後、ろ過物を再度純水1L中に投入し、温水洗浄を繰り返した。一方、洗浄水の伝導度が10μS/cm以下となった場合には、触媒に残存するクエン酸量が2.5質量%以下であると判定し、分散液をろ過し、温水洗浄を終了した。
図7は、クエン酸濃度(g/L)に対する洗浄水の伝導度(μS/cm)の検量線である。なお、当該検量線の近似式は、以下の通りである。
y=−423.18x+1051.1x+3.7025(R=0.9999)
図7を用いて、洗浄水の伝導度をクエン酸濃度に換算した。洗浄水の伝導度及びクエン酸濃度を、後述する表2に示す。
1−5.酸処理及び水素バブリング
温水洗浄後のろ過物を回収し、純水中に投入して超音波ホモジナイザーにより分散させた後、濃硝酸を所定量加え、1mol/L硝酸分散液を調製した。なお、硝酸分散媒中の固形分濃度は1g/mLとした。調製した分散液の温度が60℃の状態で、30分間攪拌した。その後、硝酸分散液をろ過し、ろ液が中性になるまで純水による洗浄を繰返した。
洗浄後の触媒粉末を純水1L中に投入し、超音波ホモジナイザーにより分散させた後、まず分散液中にNガスを30分間バブリングさせ、次にHガスを30分間バブリングさせた後、さらにNガスを3分間バブリングした。バブリング後の分散液をろ過した後、純水による洗浄を行った。得られた触媒ケーキを60℃で8時間以上、減圧状態で乾燥させることにより、触媒粉末を得た。
1−6.焼成
水素バブリング後の触媒粉末5gを、不活性ガス(Ar)雰囲気下の焼成炉に投入した。当該焼成炉を2.5%H/Arガス雰囲気下とし、150℃まで昇温させた後、1時間放置し、触媒粉末を焼成した。焼成後に空冷することにより、実施例1の燃料電池用触媒を製造した。
[比較例1]
実施例1において、温水洗浄を行わなかった他は、実施例1と同様に、触媒微粒子の合成、酸処理、水素バブリング、及び焼成を行い、比較例1の燃料電池用触媒を製造した。
なお、冷水洗浄に用いた洗浄水について、上記実施例1と同様の条件下にて伝導度を測定し、図7を用いて、洗浄水の伝導度をクエン酸濃度に換算した。洗浄水の伝導度及びクエン酸濃度を、後述する表2に示す。
[比較例2]
まず、実施例1と同様に冷水洗浄までを行った。
次に、冷水洗浄後のろ過物を、純水1L中に投入した。超音波ホモジナイザーにより純水中に固体を十分分散させた後、分散液を攪拌しながら60℃まで昇温させ、そのまま1時間維持した(温水洗浄)。当該分散液の上澄み(洗浄水)40mLを回収し、フィルター付シリンジを用いてろ過し、上記実施例1と同様の条件下にて伝導度を測定したところ、分散液の伝導度が164μS/cmであった。その後、分散液をろ過し、温水洗浄を終了した。図7を用いて、洗浄水の伝導度をクエン酸濃度に換算した。洗浄水の伝導度及びクエン酸濃度を、後述する表2に示す。
あとは、実施例1と同様に、酸処理、水素バブリング、及び焼成を行い、比較例2の燃料電池用触媒を製造した。
[比較例3]
公知文献(Platinum Metals Rev.,2010,54,(4),223−232)の「2.Experimental Details」「2.1 Catalyst Preparation」に記載された方法に従い、白金−コバルト合金触媒である比較例3の燃料電池用触媒を製造した。
2.燃料電池用触媒の評価
実施例1及び比較例1−比較例3の燃料電池用触媒についてBET比表面積の測定を、及び実施例1の各工程において回収したクエン酸の定量を、それぞれ行った。詳細は以下の通りである。
2−1.BET比表面積の測定
まず、原料に含まれるカーボン担体(Vulcan)について、自動比表面積/細孔分布測定装置(Tristar 3020、Micromeritics社製)により、BET比表面積を測定した。測定したBET比表面積をS1(m/g−カーボン)とした。
次に、各燃料電池用触媒について、ICP−MSにより金属担持割合x(質量%)を測定した。また、各燃料電池用触媒について、BET比表面積を測定した。測定したBET比表面積をS(m/g−触媒)とした。
BET比表面積S、及び金属担持割合xから、以下の式(2)より、燃料電池用触媒におけるカーボン担体のBET比表面積S2(m/g−カーボン)を算出した。
S2=S×{(100−x)/100} 式(2)
なお、実施例1については、製造工程ごとに、触媒前駆体におけるカーボン担体のBET比表面積を算出した。すなわち、(a)パラジウム担持後、(b)パラジウム担持した後の焼成後、(c)電位サイクル実施後、(d)Cu−UPD後、(e)白金置換後、(f)冷水洗浄後、(g)温水洗浄後、(h)酸処理後、(i)水素バブリング後について、それぞれBET比表面積S、及び金属担持割合xを測定し、上記式(2)に基づき、触媒前駆体におけるカーボン担体のBET比表面積を算出した。なお、(a)〜(i)の順は、製造工程の順序に沿うものである。
図2は、実施例1、及び比較例1−比較例3の燃料電池用触媒のBET比表面積S2について比較した棒グラフである。なお、参考として、カーボン担体(Vulcan)のBET比表面積S1も並べて示す。
比較例1のBET比表面積S2は151(m/g−カーボン)である。この値は、実施例1、及び比較例1−比較例3中、最も小さい。したがって、温水洗浄を行わなかった比較例1においては、クエン酸が十分に除去できない結果、BET比表面積が最も小さくなることが分かる。
比較例2のBET比表面積S2は180(m/g−カーボン)であり、200(m/g−カーボン)に満たない。したがって、分散液の伝導度が164μS/cmと高いまま温水洗浄を終了した比較例2においては、クエン酸が未だ十分に除去できない結果、BET比表面積が小さいことが分かる。
一方、実施例1のBET比表面積S2は215(m/g−カーボン)であり、比較例3のBET比表面積S2は200(m/g−カーボン)であり、いずれも200(m/g−カーボン)以上である。また、原料であるカーボンのBET比表面積S1は220(m/g−カーボン)であることから、実施例1及び比較例3のBET比表面積S2は、いずれも、BET比表面積S1の90%以上である。
図3は、実施例1について製造工程ごとのBET比表面積を比較した棒グラフであり、カーボン担体(Vulcan)のBET比表面積S1、上記工程(a)〜(i)における触媒前駆体の各BET比表面積、及び得られた燃料電池用触媒のBET比表面積S2について比較したものである。なお、各BET比表面積は、カーボン担体(Vulcan)のBET比表面積S1を100%としたときの相対値で表されている。
まず、(a)パラジウム担持後において、BET比表面積は100%から59%まで低下した。これは、担体原料にパラジウムを担持させる際に添加した分散剤等が、担体に付着したことによる。次に、(b)パラジウム担持後の焼成、及び(c)電位サイクル実施を経て、BET比表面積は99%まで上昇した。これは、酸化パラジウム等の不純物や余分な官能基が電位サイクルにより担体表面から除去されたことによる。続いて、(d)Cu−UPD、及び(e)白金置換を経ることにより、BET比表面積は60%まで低下した。これは、上述したように、クエン酸が担体表面に物理吸着したことによるものである。その後、BET比表面積は、(f)冷水洗浄により68%まで、(g)温水洗浄により81%まで、(h)酸処理により85%まで、(i)水素バブリングにより98%まで上昇し、焼成によりBET比表面積(S2)はほぼ100%まで回復した。
2−2.クエン酸の定量
実施例1において、冷水洗浄から水素バブリングまでに使用した洗浄水及びろ液をプロセスごとに全量回収し、イオンクロマト法により分析することによって、触媒前駆体から除去したクエン酸量を定量した。具体的な定量条件は以下の通りである。
装置:イオンクロマトグラフ装置(DIONEX製 製品名:DX−600)
分離カラム:DIONEX製 IonPac AG11−HC + AS11−HC (2mm径)
溶離液:KOHグラジエント、0.38mL/min
検出器:電気伝導度検出器
下記表1は、イオンクロマト法により定量したクエン酸量、及びクエン酸の除去割合について、工程ごとにまとめた表である。なお、下記表1中の「N.D」とは、検出限界以下であったことを示す。また、下記表1の「(f)冷水洗浄」、「(g)温水洗浄」、「(h)酸処理」、及び「(i)水素バブリング」は、上記図3に示す工程(f)〜(i)にそれぞれ対応する。
Figure 0006056963
上記表1に示すように、(f)冷水洗浄に使用した洗浄水からは74.5gのクエン酸量が定量されたのに対し、(g)温水洗浄に使用した洗浄水からは0.202gのクエン酸量が定量された。したがって、添加したクエン酸の量(75g)に対し、除去しきれずに燃料電池用触媒中に残存したクエン酸及びその誘導体の総量は0.3gである。したがって、得られた燃料電池用触媒の総質量は、原料であるカーボン担持パラジウム粒子粉末の質量10g、パラジウム粒子を被覆する白金の質量(ICP−MSにより測定した)2g、及び残存するクエン酸及びその誘導体の総質量0.3gの合計であるから、上述したように(g)温水洗浄に使用した洗浄水の伝導度が10μS/cm以下となるときには、クエン酸は、{0.3/(10+2+0.3)}×100=2.4質量%残存することになる。
3.膜・電極接合体の製造
[実施例2]
まず、実施例1の燃料電池用触媒0.9g及び水14.24gを遠心攪拌により混合し、燃料電池用触媒と水を馴染ませた。次に、当該混合物にエタノール8.16gを加え、同様に遠心攪拌により混合物全体を均一にした。さらに、当該混合物に電解質(デュポン社製、DE2020CS)1.9gを加え、同様に遠心攪拌により混合物を均一にし、触媒インク原料を得た。
乾燥雰囲気下、触媒インク原料20mL、及び破砕用PTFEボール(φ=2.4mm)60gを、PTFE製ポットに入れ、密閉した。その後、容器を遊星型ボールミル装置に取り付け、台盤回転数600rpm、20℃の温度条件下、処理時間1時間の条件でメカニカルミリングを行った。
メカニカルミリング終了後、メッシュにより容器内の混合物を濾過してボールを除き、触媒インクを得た。
上記触媒インクをスプレーガン(Nordson社製、Spectrum S−920N)に充填し、電解質膜(デュポン社製、NR211)の両面に、触媒量300〜500μg/cm塗布し、実施例2の膜・電極接合体を得た。
[比較例4]
実施例2において、実施例1の燃料電池用触媒0.9gの替わりに、比較例1の燃料電池用触媒0.9gを用いたこと以外は、実施例2と同様の工程により、比較例4の膜・電極接合体を得た。
[比較例5]
実施例2において、実施例1の燃料電池用触媒0.9gの替わりに、比較例2の燃料電池用触媒0.9gを用いたこと以外は、実施例2と同様の工程により、比較例5の膜・電極接合体を得た。
[比較例6]
実施例2において、実施例1の燃料電池用触媒0.9gの替わりに、比較例3の燃料電池用触媒0.9gを用いたこと以外は、実施例2と同様の工程により、比較例6の膜・電極接合体を得た。
4.膜・電極接合体の評価
膜・電極接合体のガス拡散性を評価するため、実施例2、比較例4、及び比較例5の膜・電極接合体について、以下の条件下でIV評価を実施した。
・雰囲気:2%O
・温度:40℃
・湿度:アノード/カソード露点55℃
IV評価により得られた限界電流値Ilim(A/cm)、評価条件である酸素分圧PO2(KPa−abs)及びセル温度T(K)、並びに、ファラデー定数F(=96,485(C/mol))及び気体定数R(=8.314(J/mol・K))を下記式(3)に代入することにより、ガス拡散抵抗R(sec/m)を算出した。
R(sec/m)=(4F×PO2×1000)/(R×T×Ilim×10000) 式(3)
図4は、実施例2、比較例4、及び比較例5の膜・電極接合体に関する低酸素濃度条件下におけるIV曲線を重ねて示したグラフである。図4中、電圧0.1Vにおいて、電流密度が約0.4A/cmであるのが実施例2のデータ、電流密度が約0.3A/cmであるのが比較例5のデータ、電流密度が約0.2A/cmであるのが比較例4のデータである。
図4に示すように、例えば電圧0.1Vにおいて、実施例2の膜・電極接合体は、比較例4の膜・電極接合体の2倍、比較例5の膜・電極接合体の1.3倍の電流密度を示した。
図5は、図4のIV曲線より求めた、実施例2、比較例4、及び比較例5の膜・電極接合体に関するガス拡散抵抗を比較した棒グラフである。また、下記表2は、実施例2、比較例4、及び比較例5の膜・電極接合体について、ガス拡散抵抗、及び使用した燃料電池用触媒に関する洗浄水のデータをまとめたものである。なお、伝導度及びクエン酸濃度のデータについては、実施例1及び比較例2については温水洗浄に用いた洗浄水に関するデータであり、比較例1については冷水洗浄に用いた洗浄水のデータである。
Figure 0006056963
上記表2より、比較例1に関する洗浄水の伝導度は452μS/cm、クエン酸濃度は0.39g/Lである。洗浄水に関するこれらのデータから、温水洗浄を行っていない比較例1においては、クエン酸及びその誘導体が燃料電池用触媒中に多く残存することが分かる。このような比較例1の燃料電池用触媒を用いた膜・電極接合体(比較例4)のガス拡散抵抗は131.2(sec/m)であり、実施例2、比較例4、及び比較例5の膜・電極接合体中、最も高い値である。
また、上記表2より、比較例2に関する洗浄水の伝導度は164μS/cm、クエン酸濃度は0.14g/Lである。洗浄水に関するこれらのデータから、温水洗浄が不十分な比較例2においては、クエン酸及びその誘導体が燃料電池用触媒中に未だ多く残存することが分かる。このような比較例2の燃料電池用触媒を用いた膜・電極接合体(比較例5)のガス拡散抵抗は112.7(sec/m)であり、100(sec/m)を上回る高い値であることが分かる。
一方、上記表2より、実施例1に関する洗浄水の伝導度は10μS/cm未満、クエン酸濃度は0.016g/Lである。洗浄水に関するこれらのデータから、洗浄水の伝導度を指標にして温水洗浄を繰り返し行うことにより、クエン酸濃度を確実に減らせることが分かる。このような実施例1の燃料電池用触媒を用いた膜・電極接合体(実施例2)のガス拡散抵抗は、83.4(sec/m)と極めて小さい。
以上より、温水洗浄が行われなかった燃料電池用触媒を用いた膜・電極接合体(比較例4)、及び洗浄水が高い伝導度のまま温水洗浄を終了した燃料電池用触媒を用いた膜・電極接合体(比較例5)と比較して、洗浄水の伝導度が十分低くなるまで温水洗浄を繰り返して製造した燃料電池用触媒を用いた膜・電極接合体(実施例2)は、ガス拡散抵抗が64〜74%小さくなることが分かる。
実施例2、比較例4、及び比較例6の膜・電極接合体に空気を供給して、以下の条件下でIV評価を実施した。
・雰囲気:空気
・温度:40℃
・湿度:アノード/カソード露点55℃
図6は、実施例2、比較例4、及び比較例6の膜・電極接合体に関する空気下におけるIV曲線を重ねて示したグラフである。図6中、黒四角のプロットが実施例2のデータ、黒菱形のプロットが比較例4のデータ、及び白三角のプロットが比較例6のデータを示す。
図6に示すように、実施例2の膜・電極接合体は、比較例4及び比較例6の膜・電極接合体よりも広い電流密度領域において高い電圧を示した。実施例2の膜・電極接合体のIV特性は、特に、ガス拡散性が大きく寄与する中電流〜大電流密度領域(0.5〜3(A/cm))において、顕著に改善された。
以上より、温水洗浄が行われなかった燃料電池用触媒を用いた膜・電極接合体(比較例4)、及び従来の白金−コバルト合金触媒を用いた膜・電極接合体(比較例6)と比較して、洗浄水の伝導度が十分低くなるまで温水洗浄を繰り返して製造した燃料電池用触媒を用いた膜・電極接合体(実施例2)は、IV特性に優れることが明らかとなった。
1 高分子電解質膜
2 カソード触媒層
3 アノード触媒層
4,5 ガス拡散層
6 カソード電極
7 アノード電極
8 膜・電極接合体
9,10 セパレータ
11,12 ガス流路
100 燃料電池の単セル

Claims (9)

  1. パラジウム含有粒子、及び白金を含み且つ当該パラジウム含有粒子を被覆する最外層を備える触媒微粒子、並びに、当該触媒微粒子が担持された担体を備える燃料電池用触媒であって、
    前記担体の原料のBET比表面積をS1、前記燃料電池用触媒における前記担体のBET比表面積をS2としたとき、0.9×S1≦S2を満たし、且つ、
    前記担体の原料が炭素材料であることを特徴とする、燃料電池用触媒。
  2. 質量活性が450(A/gPt)以上であり、且つ、比活性が4.0(A/m)以上である、請求項1に記載の燃料電池用触媒。
  3. パラジウム含有粒子、及び白金を含み且つ当該パラジウム含有粒子を被覆する最外層を備える触媒微粒子、並びに、当該触媒微粒子が担持された担体を備える燃料電池用触媒の製造方法であって、
    パラジウム含有粒子が担持された担体を準備し;
    前記パラジウム含有粒子に単原子層を被覆し;
    前記単原子層を、添加剤の存在下において白金を含む前記最外層に置換することにより、前記触媒微粒子を合成し;
    前記触媒微粒子が担体に担持された触媒前駆体を水により洗浄する方法であり、
    前記触媒微粒子の合成に使用した添加剤の総質量に対する、前記洗浄後の燃料電池用触媒に残る添加剤及びその誘導体の総質量の割合が2.5質量%以下であり、且つ、
    前記担体の原料が炭素材料であることを特徴とする、燃料電池用触媒の製造方法。
  4. 前記触媒前駆体を水により洗浄する際に、当該触媒前駆体を水中に分散させて洗浄する、請求項3に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
  5. 前記洗浄に用いられる水の温度が30℃以上100℃未満である、請求項3又は4に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
  6. 前記添加剤は、クエン酸及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、並びにこれらのナトリウム塩及びカリウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1つの界面活性剤である、請求項3乃至5のいずれか一項に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
  7. 前記単原子層を前記最外層に置換する際に、さらに酸を用いる、請求項3乃至6のいずれか一項に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
  8. 前記パラジウム含有粒子が担持された担体を準備する際に、当該パラジウム含有粒子が担持された担体を酸処理する、請求項3乃至7のいずれか一項に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
  9. 高分子電解質膜の一面側に少なくともアノード触媒層を備えるアノード電極を備え、他面側に少なくともカソード触媒層を備えるカソード電極を備える膜・電極接合体を備える単セルを備える燃料電池であって、
    前記請求項1又は2に記載の燃料電池用触媒を、前記アノード触媒層及び前記カソード触媒層の少なくともいずれか一方に含むことを特徴とする、燃料電池。
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