JPWO2014181699A1 - 硬化性エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、硬化させることにより、ガラス転移温度が高く、特に耐熱性と透明性のバランスに優れた硬化物を形成できる硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することにある。本発明は、下記式(1)で表される脂環式エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)とを含むことを特徴とする硬化性エポキシ樹脂組成物に関する。当該硬化性エポキシ樹脂組成物は、さらに、硬化促進剤(C)を含むことが好ましい。【化1】[式(1)中、R1〜R22は、同一又は異なって、水素原子、メチル基、又はエチル基を示す。]

Description

本発明は、硬化性エポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関する。本願は、2013年5月10日に日本に出願した特願2013−099976号の優先権を主張し、その内容をここに援用する。
エポキシ化合物を必須成分として含む硬化性エポキシ樹脂組成物は、硬化させることにより、電気特性、耐湿性、耐熱性等に優れた硬化物(樹脂硬化物)を形成することが知られている。このような硬化性エポキシ樹脂組成物は、例えば、コーティング剤、インク、接着剤、シーラント、封止剤、レジスト、複合材料、透明基材、透明フィルム又はシート、光学材料(例えば、光学レンズ等)、絶縁材料、光造形材料、電子材料(例えば、電子ペーパー、タッチパネル、太陽電池基板、光導波路、導光板、ホログラフィックメモリ等)等の用途を含む様々な方面で用いられている。
硬化性エポキシ樹脂組成物としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレートに代表される脂環式エポキシ化合物を必須成分として含む組成物が知られている(例えば、特許文献1〜3等)。このような硬化性エポキシ樹脂組成物は、脂環式エポキシ化合物を含むため、優れた耐熱性を有する硬化物を形成できることが知られている。
特開昭63−264625号公報 特開昭63−012623号公報 特開昭59−011317号公報
硬化性エポキシ樹脂組成物は、近年、ますますその用途が拡大しており、これに伴って硬化物に要求される特性(耐熱性、透明性等の特性)もいっそう厳しいものとなってきている。このため、上記特許文献1〜3に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物では、その用途によっては耐熱性や透明性が不十分であるという問題が生じていた。
従って、本発明の目的は、硬化させることにより、ガラス転移温度が高く、特に耐熱性と透明性のバランスに優れた硬化物を形成できる硬化性エポキシ樹脂組成物及びその硬化物を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の脂環式エポキシ化合物と硬化剤とを必須成分として含む硬化性エポキシ樹脂組成物が、硬化させることにより、ガラス転移温度が高く、特に耐熱性と透明性のバランスに優れた硬化物を形成できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記式(1)
Figure 2014181699
[式(1)中、R1〜R22は、同一又は異なって、水素原子、メチル基、又はエチル基を示す。]
で表される脂環式エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)とを含むことを特徴とする硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。
さらに、硬化促進剤(C)を含む前記の硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、前記の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させることにより得られる硬化物を提供する。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]上記式(1)で表される脂環式エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)とを含むことを特徴とする硬化性エポキシ樹脂組成物。
[2]上記式(1)におけるR1〜R22の全てが水素原子である[1]に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
[3]脂環式エポキシ化合物(A)が、位置異性体(エポキシ基の位置が異なる構造異性体)の含有量が5%以下である[1]又は[2]に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
[4]脂環式エポキシ化合物(A)の含有量が、硬化性エポキシ樹脂組成物(100重量%)に対して0.1重量%以上、100重量%未満である[1]〜[3]のいずれか1つに記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
[5]硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるカチオン硬化性化合物の全量に対する脂環式エポキシ化合物(A)の含有量が、1〜100重量%である[1]〜[4]のいずれか1つに記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
[6]硬化剤(B)が酸無水物系硬化剤である[1]〜[5]のいずれか1つに記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
[7]酸無水物系硬化剤が、飽和単環炭化水素ジカルボン酸の無水物である[6]に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
[8]硬化剤(B)の含有量が、硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるカチオン硬化性化合物の全量100重量部に対して、50〜200重量部である[1]〜[7]のいずれか1つに記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
[9]硬化剤(B)の含有量が、硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれる全てのエポキシ基を有する化合物におけるエポキシ基1当量当たり、0.5〜1.5当量となる割合である[1]〜[8]のいずれか1つに記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
[10]さらに、硬化促進剤(C)を含む[1]〜[9]のいずれか1つに記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
[11]硬化促進剤(C)の含有量が、硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるカチオン硬化性化合物の全量100重量部に対して、0.01〜5重量部である[10]に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
[12]エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリンからなる群より選択される少なくとも1種の水酸基を有する化合物を含有する[1]〜[11]のいずれか1つに記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
[13][1]〜[12]のいずれか1つに記載の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させることにより得られる硬化物。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は上記構成を有するため、硬化させることにより、ガラス転移温度が高く、特に耐熱性と透明性のバランスに優れた硬化物を形成できる。
<硬化性エポキシ樹脂組成物>
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、下記式(1)で表される脂環式エポキシ化合物(A)(単に「脂環式エポキシ化合物(A)」と称する場合がある)と、硬化剤(B)とを必須成分として含む硬化性エポキシ樹脂組成物である。本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、上記必須成分(成分(A)及び(B))以外にも必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。
Figure 2014181699
[脂環式エポキシ化合物(A)]
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における脂環式エポキシ化合物(A)は、上記式(1)で表される化合物である。式(1)中のR1〜R22は、同一又は異なって、水素原子、メチル基、又はエチル基を示す。中でも、R1〜R22としては水素原子が好ましく、R1〜R22の全てが水素原子であることが特に好ましい。
脂環式エポキシ化合物(A)は、例えば、下記式(2)
Figure 2014181699
[式(2)中、R1〜R10及びR13〜R22は、前記に同じ]
で表される化合物(不飽和ジエポキシ化合物)の水素添加反応により製造できる。
水素添加反応は触媒の存在下で行うことが好ましい。上記触媒としては、水素添加反応に有効な金属触媒(金属単体又は金属化合物からなる触媒)を使用することが好ましい。該金属触媒としては、例えば、白金触媒、パラジウム触媒、ロジウム触媒、イリジウム触媒、ルテニウム触媒、ニッケル触媒などが挙げられる。中でも、パラジウム触媒が好ましく、特に好ましくはパラジウム炭素触媒(活性炭を担体とし、該担体表面にパラジウム(0)を分散、担持させたもの)、パラジウム−フィブロイン複合体等であり、最も好ましくはパラジウム炭素−エチレンジアミン複合錯体等である。
金属触媒の使用量(金属換算)は、特に限定されないが、式(2)で表される化合物100重量部に対して、0.05〜5重量部程度が好ましい。金属触媒の使用量の上限は、より好ましくは2.5重量部、特に好ましくは1重量部である。下限は、より好ましくは0.1重量部、特に好ましくは0.25重量部である。金属触媒の使用量が上記範囲を下回ると、脂環式エポキシ化合物(A)の収率が低下する傾向がある。一方、金属触媒の使用量が上記範囲を上回ると、不経済となる場合がある。
水素添加反応は溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては反応の進行を阻害しないものであればよく、特に限定されないが、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなど);エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)など)等が挙げられる。溶媒の使用量は、特に限定されないが、式(2)で表される化合物100重量部に対して、100〜3000重量部程度が好ましく、より好ましくは1000〜2000重量部である。
水素添加反応における反応圧力は、特に限定されないが、常圧〜100気圧(0.1〜10MPa)が好ましく、より好ましくは常圧〜10気圧(0.1〜1MPa)である。水素添加反応は水素の存在下(水素雰囲気下)又は水素流通下で行うことができる。反応系の気相部には水素以外にも、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスが存在していてもよい。気液接触を高めるため、水素含有ガスを吹き込み管によって反応系液相部に吹き込んでもよい。反応温度は、特に限定されないが、10〜50℃程度が好ましい。反応時間は、特に限定されないが、5〜100時間程度が好ましい。また、水素添加反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式などのいずれの方法で行うこともできる。
上記水素添加反応により、式(2)で表される化合物の炭素−炭素二重結合が水素添加されて、対応する式(1)で表される化合物(脂環式エポキシ化合物(A);式(1)におけるR11及びR12は水素原子である)が生成する。
反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィーなどの公知乃至慣用の分離精製手段やこれらを組み合わせた手段等により分離精製できる。
なお、式(2)で表される化合物は、例えば、下記1又は2の方法により製造することができる。下記式中、R1〜R10及びR13〜R22は、前記に同じく、同一又は異なって、水素原子、メチル基、又はエチル基を示す。
1.下記式(3)で表される化合物と、下記式(3')で表される化合物とをメタセシス反応(特に、オレフィンメタセシス反応)に付す。
Figure 2014181699
2.下記式(4)で表される化合物と、下記式(4')で表される化合物とをメタセシス反応に付すことにより下記式(5)で表される化合物を得、得られた式(5)で表される化合物をエポキシ化する。
Figure 2014181699
上記1又は2の方法におけるメタセシス反応は、触媒の存在下で行うことが好ましい。上記触媒としては、例えば、ルテニウム錯体、タングステン化合物、モリブデン化合物、チタン化合物、バナジウム化合物等が好ましい。より具体的には、例えば、Dichloro-(3-phenyl-1H-inden-1-ylidene)bis(tricyclohexylphosphine)ruthenium(II)(商品名「Umicore M1」)、Dichloro-(3-phenyl-1H-inden-1-ylidene)bis(isobutylphobane)ruthenium(II)(商品名「Umicore M11」)、[1,3-Bis(2,4,6-trimethylphenyl)-2-imidazolidinylidene]dichloro-(3-phenyl-1H-inden-1-ylidene)(tricyclohexylphosphine)ruthenium(II)(商品名「Umicore M2」)、[1,3-Bis(2,4,6-trimethylphenyl)-2-imidazolidinylidene]dichloro-(3-phenyl-1H-inden-1-ylidene)(pyridyl)ruthenium(II)(商品名「Umicore M31」)、[1,3-Bis(2,4,6-trimethylphenyl)-2-imidazolidinylidene]-[2-[[(4-methylphenyl)imino]methyl]-4-nitro-phenolyl]chloro-[3-phenyl-indenylidene]ruthenium(II)(商品名「Umicore M41」)、[1,3-Bis(2,4,6-trimethylphenyl)-2-imidazolidinylidene]-[2-[[(2-methylphenyl)imino]methyl]-phenolyl]chloro-(3-phenyl-indenylidene)ruthenium(II)(商品名「Umicore M42」)、[1,3-bis(2,4,6-trimethylphenyl)-2-imidazolidinylidene]dichloro[2-(1-methylacetoxy)phenyl]methyleneruthenium(II)(商品名「Umicore M51」、以上Umicore社製);ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリドベンジリデン−ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロロルテニウム(商品名「Grubbs Catalyst, 1st Generation」)、(1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム[1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムベンジリデン[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(商品名「Grubbs Catalyst, 2nd Generation」)、(ジクロロo−イソプロポキシフェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)(商品名「Hoveyda-Grubbs Catalyst 1st Generation」)、(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム(商品名「Hoveyda-Grubbs Catalyst 2nd Generation」、以上Sigma-Aldrich社製);Tricyclohexylphosphine[1,3-bis(2,4,6-trimethylphenyl)imidazol-2-ylidene][2-thienylmethylene]ruthenium(II) dichloride(商品名「catMETium RF 2」)、Tricyclohexylphosphine[4,5-dimethyl-1,3-bis(2,4,6-trimethylphenyl)imidazol-2-ylidene][2-thienylmethylene]ruthenium(II) dichloride(商品名「catMETium RF 3」)、Tricyclohexylphosphine[2,4-dihydro-2,4,5-triphenyl-3H-1,2,4-triazol-3-ylidene][2-thienylmethylene]ruthenium(II) dichloride(商品名「catMETium RF 4」、以上Evonik社製)等のルテニウムカルベン錯体の市販品を好ましく使用することができる。また、上記触媒としては、塩化タングステン、酸化塩化タングステン、塩化モリブデン、塩化チタン、塩化バナジウム等の周期表第4〜8族の遷移金属化合物と、トリエチルアルミニウム等の有機アルミニウムやテトラメチル錫等の有機錫との組み合わせも使用することができるほか、2,6-Diisopropylphenylimido Neophylidenemolybdenum(VI) Bis(hexafluoro-t-butoxide)(STREM社製)等のモリブデンカルベン錯体も使用することができる。
メタセシス反応における触媒の使用量は、特に限定されないが、式(3)で表される化合物及び式(3')で表される化合物の総量[又は、式(4)で表される化合物及び式(4')で表される化合物の総量]1モルに対して、0.00001〜0.01モル程度が好ましい。触媒の使用量の上限は、より好ましくは0.005モル、特に好ましくは0.003モルである。下限は、より好ましくは0.00002モル、特に好ましくは0.00005モルである。触媒の使用量が上記範囲を下回ると、式(2)で表される化合物の収率が低下する傾向がある。一方、触媒の使用量が上記範囲を上回ると、不経済となる場合がある。
メタセシス反応は溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては反応の進行を阻害しないものであればよく、特に限定されないが、例えば、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;酢酸エチルなどのエステル;ジオキサンなどのエーテル;N,N−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。溶媒は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
溶媒の使用量は、特に限定されないが、式(3)で表される化合物及び式(3')で表される化合物の総量[又は、式(4)で表される化合物及び式(4')で表される化合物の総量]100重量部に対して、0〜2000重量部が好ましく、より好ましくは0〜500重量部である。
上記メタセシス反応における反応温度は、反応成分や触媒の種類などに応じて適宜選択でき、特に限定されないが、10〜100℃が好ましく、より好ましくは20〜80℃、さらに好ましくは30〜50℃である。反応時間は、特に限定されないが、5〜100時間が好ましく、より好ましくは12〜60時間である。反応は常圧で行ってもよいし、減圧又は加圧下で行ってもよい。反応の雰囲気は反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などのいずれであってもよい。また、上記メタセシス反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式などのいずれの方法で行うこともできる。
反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィーなどの公知乃至慣用の分離精製手段やこれらを組み合わせた手段等により分離精製できる。
式(3)で表される化合物及び式(3')で表される化合物をメタセシス反応に付した場合は、上記2つのエポキシ化合物の間で結合の組換えが起こり、対応する式(2)で表される化合物が生成する。また、式(4)で表される化合物及び式(4')で表される化合物をメタセシス反応に付した場合は、上記2つの化合物の間で結合の組換えが起こり、対応する式(5)で表される化合物が得られる。
上記メタセシス反応により得られた式(5)で表される化合物を、さらにエポキシ化することにより、対応する式(2)で表される化合物が得られる。
上記エポキシ化反応はエポキシ化剤の存在下で行うことが好ましい。エポキシ化剤としては、例えば、過酸、過酸化水素等が挙げられる。中でも、過酸を使用することが好ましい。
上記過酸としては、例えば、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、メタクロロ過安息香酸、トリフルオロ過酢酸等が挙げられる。中でも、エポキシ化剤としてメタクロロ過安息香酸を使用することが、入手が容易な点で好ましい。なお、エポキシ化剤は一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
エポキシ化剤の使用量は、使用するエポキシ化剤の種類や式(5)で表される化合物の種類等に応じて適宜調節することができ、特に限定されないが、式(5)で表される化合物1モルに対して、1.6〜2.4モルが好ましく、より好ましくは1.8〜2.2モルである。
式(5)で表される化合物のエポキシ化反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては反応の進行を阻害しないものであればよく、特に限定されないが、例えば、トルエン、ベンゼン等の芳香族化合物;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル類などが挙げられる。
上記エポキシ化反応における反応温度は、特に限定されないが、0〜60℃が好ましく、より好ましくは0〜40℃、特に好ましくは0〜20℃、最も好ましくは0〜10℃である。反応温度が0℃を下回ると反応が遅くなる場合がある。一方、反応温度が60℃を上回るとエポキシ化剤の分解が起こる場合がある。上記エポキシ化反応は、例えば、式(5)で表される化合物とエポキシ化剤とを少なくとも含む混合物を1〜5時間程度撹拌することにより進行させることができる。
上記エポキシ化反応は、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウムなどの還元剤を反応系に添加して上記エポキシ化剤をクエンチすることで、終了させることができる。反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィーなどの公知乃至慣用の分離精製手段やこれらを組み合わせた手段等により分離精製できる。
また、脂環式エポキシ化合物(A)は、下記式(6)
Figure 2014181699
[式(6)中、R1〜R22は、前記に同じ。]
で表される化合物(ジオレフィン化合物)をエポキシ化することによっても製造できる。式(6)で表される化合物のエポキシ化は、例えば、上述の式(5)で表される化合物のエポキシ化と同様に、エポキシ化剤を使用して実施できる。
上記エポキシ化剤としては、例えば、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、メタクロロ過安息香酸、トリフルオロ過酢酸などの過酸や過酸化水素等を用いることができる。中でも、入手が容易な点で、メタクロロ過安息香酸が好ましい。
エポキシ化剤の使用量は、特に限定されないが、式(6)で表される化合物1モルに対して、3.0モル以下が好ましく、より好ましくは2.2〜2.6モルである。
式(6)で表される化合物のエポキシ化反応は溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては反応の進行を阻害しないものであればよく、特に限定されないが、トルエン、ベンゼン等の芳香族化合物;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル類などが挙げられる。溶媒の使用量は、特に限定されないが、式(6)で表される化合物の3〜10重量倍程度が好ましい。
上記エポキシ化反応における反応温度は、特に限定されないが、0〜60℃が好ましく、より好ましくは10〜50℃、特に好ましくは20〜40℃である。反応温度が0℃を下回ると反応が遅くなる場合がある。一方、反応温度が60℃を上回るとエポキシ化剤の分解が起こる場合がある。上記エポキシ化反応は、例えば、式(6)で表される化合物とエポキシ化剤とを少なくとも含む混合物を1〜5時間程度撹拌することにより進行させることができる。
上記エポキシ化反応は、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウムなどの還元剤を反応系に添加して上記エポキシ化剤をクエンチすることで、終了させることができる。反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィーなどの公知乃至慣用の分離精製手段やこれらを組み合わせた手段等により分離精製できる。
なお、式(6)で表される化合物(ジオレフィン化合物)は、例えば、下記式(8)
Figure 2014181699
[式(8)中、R1〜R11は、前記に同じく、同一又は異なって、水素原子、メチル基、又はエチル基を示す。Xは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を示す。]
で表される化合物と、下記式(7)
Figure 2014181699
[式(7)中、R12〜R22は、前記に同じく、同一又は異なって、水素原子、メチル基、又はエチル基を示す。Yは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を示す。]
で表される化合物とを反応させることによって製造できる。
上記反応は触媒の存在下で行うことが好ましい。触媒としては、例えば、鉄触媒、銅触媒、ニッケル触媒等が挙げられる。中でも、鉄触媒又は銅触媒が好ましい。
上記鉄触媒としては、例えば、鉄(III)とアセチルアセトン(=acac)、ジベンゾイルメタン(=DBM)等との有機キレート化合物[具体的には、Fe(acac)3、Fe(DBM)3等]や、FeCl3等のハロゲン化鉄等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
鉄触媒の使用量は、特に限定されないが、式(8)で表される化合物1モルに対して、0.001〜0.3モルが好ましく、より好ましくは0.005〜0.2モル、特に好ましくは0.01〜0.1モルである。鉄触媒を上記範囲で使用すると、優れた収率で式(6)で表される化合物を製造できる。
上記反応を鉄触媒の存在下で行う場合、鉄触媒と共にN−メチルピロリジノン(NMP)等の第3級カルボン酸アミドや、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)等の第3級リン酸アミド等の第3級アミド類を使用することが、収率を著しく向上させることができる点で好ましい。上記第3級アミド類の使用量は、特に限定されないが、式(8)で表される化合物1モルに対して、0.1〜5モルが好ましく、より好ましくは0.5〜3モル、特に好ましくは0.5〜2モルである。
上記銅触媒としては、例えば、CuCl2等のハロゲン化銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅(I)(Cu(OTf))等のスルホン酸銅が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
銅触媒の使用量は、特に限定されないが、式(8)で表される化合物1モルに対して、0.005〜0.2モルが好ましく、より好ましくは0.005〜0.15モル、特に好ましくは0.01〜0.1モルである。銅触媒を上記範囲で使用すると、優れた収率で式(6)で表される化合物を製造できる。
上記反応を銅触媒の存在下で行う場合、銅触媒と共に下記式(9)で表される化合物(アルキン)を使用することが、収率を著しく向上することができる点で好ましい。式(9)中、R23、R24は、同一又は異なって、鎖状脂肪族炭化水素基、環状脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基を示す。
Figure 2014181699
23、R24における鎖状脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基、ドデシル基などの炭素数1〜20(好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜3)程度のアルキル基;ビニル基、アリル基、1−ブテニル基などの炭素数2〜20(好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜3)程度のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基などの炭素数2〜20(好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜3)程度のアルキニル基等が挙げられる。
23、R24における環状脂肪族炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などの3〜20員(好ましくは3〜15員、さらに好ましくは5〜8員)程度のシクロアルキル基;シクロペンテニル基、シクロへキセニル基などの3〜20員(好ましくは3〜15員、さらに好ましくは5〜8員)程度のシクロアルケニル基;パーヒドロナフタレン−1−イル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−3−イル基などの橋かけ環式炭化水素基等が挙げられる。
23、R24における芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などの炭素数6〜14(好ましくは6〜10)程度の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
式(9)で表される化合物としては、中でも、R23及びR24の一方が芳香族炭化水素基である化合物が好ましく、特に、1−フェニルプロピン、1−フェニルブチン、1−(p−メチルフェニル)プロピン、1−(p−メチルフェニル)ブチン等が好ましい。
式(9)で表される化合物の使用量は、特に限定されないが、式(8)で表される化合物1モルに対して、0.01〜0.4モルが好ましく、より好ましくは0.01〜0.3モル、特に好ましくは0.02〜0.2モルである。式(9)で表される化合物の使用量が上記範囲を下回ると、反応が停止し、収率が低下する傾向がある。一方、式(9)で表される化合物の使用量が上記範囲を上回ると、得られる生成物の純度が低下する傾向がある。
上記反応は溶媒の存在下、又は非存在下で行うことができる。溶媒としては、反応の進行を阻害しないものであればよく、特に限定されないが、例えば、炭化水素類(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、トルエンなど);エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)など)等が挙げられる。溶媒の使用量は、特に限定されないが、式(8)で表される化合物の1〜10重量倍程度が好ましい。
上記反応は常圧下で行ってもよいし、減圧下又は加圧下で行ってもよい。また、反応雰囲気としては反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などのいずれであってもよい。反応温度は、特に限定されないが、20〜100℃が好ましい。反応時間は、特に限定されないが、2〜10時間が好ましい。また、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式などのいずれの方法で行うこともできる。
反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィーなどの公知乃至慣用の分離精製手段やこれらを組み合わせた手段等により分離精製できる。
なお、例えば、上記式(8)で表され、R1〜R11がいずれも水素原子である化合物は、例えば、1,2,5,6−テトラヒドロベンジルアルコールとHX(Xは前記に同じ)とを反応させることにより得られる。
上記1,2,5,6−テトラヒドロベンジルアルコールとHXとの反応は溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては反応の進行を阻害しないものであればよく、特に限定されないが、例えば、炭化水素類(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、トルエンなど);エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)など)等が挙げられる。溶媒の使用量は、特に限定されないが、1,2,5,6−テトラヒドロベンジルアルコールの1〜10重量倍程度が好ましい。
上記1,2,5,6−テトラヒドロベンジルアルコールとHXの反応は常圧下で行ってもよいし、減圧下又は加圧下で行ってもよい。また、反応雰囲気としては反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などのいずれであってもよい。反応温度は、特に限定されないが、20〜130℃程度が好ましい。反応時間は、特に限定されないが、1〜50時間程度が好ましい。また、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式などのいずれの方法で行うこともできる。
また、上記式(7)で表される化合物(Grignard試薬)は、例えば、式(8)で表される化合物に、さらにマグネシウムとヨウ素(I2)を反応させることにより得られる。
式(8)で表される化合物とマグネシウムとヨウ素(I2)の反応は溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては反応の進行を阻害しないものであればよく、特に限定されないが、例えば、炭化水素類(例えば、ヘキサン、ヘプタン、トルエンなど);エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)など)等が挙げられる。溶媒の使用量は、特に限定されないが、式(8)で表される化合物の2〜10重量倍程度が好ましい。
式(8)で表される化合物とマグネシウムとヨウ素(I2)の反応は常圧下で行ってもよいし、減圧下又は加圧下で行ってもよい。また、上記反応の反応雰囲気としては反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などのいずれであってもよい。反応温度は、特に限定されないが、10〜100℃程度が好ましい。反応時間は、特に限定されないが、1〜3時間程度が好ましい。また、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式などのいずれの方法で行うこともできる。
上述のいずれの方法により得られる工業製品としての式(1)で表される化合物(脂環式エポキシ化合物(A))も、位置異性体(エポキシ基の位置が異なる構造異性体)の含有量が極めて低く、位置異性体の含有量は例えば5%以下、好ましくは1%以下である。これは、上述のいずれの方法も、エポキシ基の前駆構造である炭素−炭素不飽和二重結合の転位が生じ得る反応を含まないためと推測される。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物において脂環式エポキシ化合物(A)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における脂環式エポキシ化合物(A)の含有量(配合量;二種以上含む場合にはこれらの総量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物(100重量%)に対して、0.1重量%以上(例えば、0.1重量%以上、100重量%未満)が好ましく、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは5〜90重量%、特に好ましくは10重量%以上、最も好ましくは15〜80重量%である。脂環式エポキシ化合物(A)の含有量が上記範囲を外れると、硬化物の耐熱性や透明性が不十分となる場合がある。
硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるカチオン硬化性化合物の全量(100重量%;脂環式エポキシ化合物(A)と後述のその他のカチオン硬化性化合物の総量)に対する脂環式エポキシ化合物(A)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、1重量%以上(例えば、1〜100重量%)が好ましく、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上、特に好ましくは50重量%以上である。脂環式エポキシ化合物(A)の含有量が1重量%未満では、硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化速度が不十分となったり、硬化物の耐熱性や透明性が不十分となる場合がある。
[硬化剤(B)]
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における硬化剤(B)は、脂環式エポキシ化合物(A)等のカチオン硬化性化合物と反応することにより、硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させる働きを有する化合物である。硬化剤(B)としては、エポキシ樹脂用硬化剤として公知乃至慣用の硬化剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、酸無水物類(酸無水物系硬化剤)、アミン類(アミン系硬化剤)、ポリアミド樹脂、イミダゾール類(イミダゾール系硬化剤)、ポリメルカプタン類(ポリメルカプタン系硬化剤)、フェノール類(フェノール系硬化剤)、ポリカルボン酸類、ジシアンジアミド類、有機酸ヒドラジド等が挙げられる。
硬化剤(B)としての酸無水物類(酸無水物系硬化剤)としては、公知乃至慣用の酸無水物(酸無水物系硬化剤)を使用することができ、特に限定されないが、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸等)、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等)、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、水素化メチルナジック酸無水物、4−(4−メチル−3−ペンテニル)テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水アジピン酸、無水セバシン酸、無水ドデカン二酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、アルキルスチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。中でも、取り扱い性の観点で、25℃で液状の酸無水物[例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等]が好ましい。一方、25℃で固体状の酸無水物については、例えば、25℃で液状の酸無水物に溶解させて液状の混合物とすることで、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における硬化剤(B)としての取り扱い性が向上する傾向がある。酸無水物系硬化剤としては、硬化物の耐熱性、透明性の観点で、飽和単環炭化水素ジカルボン酸の無水物(環にアルキル基等の置換基が結合したものも含む)が好ましい。
硬化剤(B)としてのアミン類(アミン系硬化剤)としては、公知乃至慣用のアミン系硬化剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ポリプロピレントリアミンなどの脂肪族ポリアミン;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−3,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどの脂環式ポリアミン;m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、トリレン−2,4−ジアミン、トリレン−2,6−ジアミン、メシチレン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトリレン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトリレン−2,6−ジアミン等の単核ポリアミン;ビフェニレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルメタン、2,5−ナフチレンジアミン、2,6−ナフチレンジアミンなどの芳香族ポリアミンなどが挙げられる。
硬化剤(B)としてのフェノール類(フェノール系硬化剤)としては、公知乃至慣用のフェノール系硬化剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型クレゾール樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂、パラキシリレン・メタキシリレン変性フェノール樹脂等のアラルキル樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、トリフェノールプロパンなどが挙げられる。
硬化剤(B)としてのポリアミド樹脂としては、例えば、分子内に第1級アミノ基及び第2級アミノ基のいずれか一方又は両方を有するポリアミド樹脂等が挙げられる。
硬化剤(B)としてのイミダゾール類(イミダゾール系硬化剤)としては、公知乃至慣用のイミダゾール系硬化剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌレート、2−フェニルイミダゾリウムイソシアヌレート、2,4−ジアミノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−s−トリアジンなどが挙げられる。
硬化剤(B)としてのポリメルカプタン類(ポリメルカプタン系硬化剤)としては、例えば、液状のポリメルカプタン、ポリスルフィド樹脂等が挙げられる。
硬化剤(B)としてのポリカルボン酸類としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、カルボキシル基含有ポリエステル等が挙げられる。
中でも、硬化剤(B)としては、硬化物の耐熱性、透明性の観点で、酸無水物類(酸無水物系硬化剤)が好ましい。なお、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物において硬化剤(B)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、硬化剤(B)としては、市販品を使用することもでき、例えば、商品名「リカシッド MH−700」、「リカシッド MH−700F」(以上、新日本理化(株)製);商品名「HN−5500」(日立化成工業(株)製)等が挙げられる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における硬化剤(B)の含有量(配合量;二種以上含む場合にはこれらの総量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるカチオン硬化性化合物の全量100重量部に対して、50〜200重量部が好ましく、より好ましくは80〜150重量部である。より具体的には、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれる全てのエポキシ基を有する化合物におけるエポキシ基1当量当たり、0.5〜1.5当量となる割合で使用することが好ましい。硬化剤(B)の含有量が50重量部未満であると、硬化が不十分となり、硬化物の耐熱性や強靱性が低下する傾向がある。一方、硬化剤(B)の含有量が200重量部を超えると、硬化物が着色して色相が悪化する場合がある。
[硬化促進剤(C)]
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、さらに硬化促進剤(C)を含むことが好ましい。硬化促進剤(C)は、カチオン硬化性化合物(特に、エポキシ基を有する化合物)が硬化剤(B)と反応する際に、その反応速度を促進する機能を有する化合物である。硬化促進剤(C)としては、公知乃至慣用の硬化促進剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)又はその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩など);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)又はその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩など);ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンなどの3級アミン;2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール;リン酸エステル;トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシ)ホスフィンなどのホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラ(p−トリル)ボレートなどのホスホニウム化合物;オクチル酸亜鉛、オクチル酸スズ、ステアリン酸亜鉛などの有機金属塩;アルミニウムアセチルアセトン錯体などの金属キレートなどが挙げられる。硬化促進剤(C)は一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
また、硬化促進剤(C)としては、商品名「U−CAT SA 506」、「U−CAT SA 102」、「U−CAT 5003」、「U−CAT 18X」、「U−CAT 12XD」(開発品)(以上、サンアプロ(株)製);商品名「TPP−K」、「TPP−MK」(以上、北興化学工業(株)製);商品名「PX−4ET」(日本化学工業(株)製)などの市販品を使用することもできる。
硬化性エポキシ樹脂組成物における硬化促進剤(C)の含有量(配合量;二種以上含む場合にはこれらの総量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるカチオン硬化性化合物の全量100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.03〜3重量部、さらに好ましくは0.03〜2重量部である。硬化促進剤(C)の含有量が0.01重量部未満であると、硬化促進効果が不十分となる場合がある。一方、硬化促進剤(C)の含有量が5重量部を超えると、硬化物が着色して色相が悪化する場合がある。
[その他のカチオン硬化性化合物]
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、脂環式エポキシ化合物(A)以外のカチオン硬化性化合物(「その他のカチオン硬化性化合物」と称する場合がある)を含んでいてもよい。その他のカチオン硬化性化合物としては、例えば、脂環式エポキシ化合物(A)以外の脂環式エポキシ化合物、芳香族グリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂肪族多価アルコールポリグリシジルエーテル、オキセタン化合物(オキセタニル化合物)、ビニルエーテル化合物(ビニルエーテル基を有する化合物)等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物(A)以外の脂環式エポキシ化合物としては、具体的には、(i)脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(脂環エポキシ基)を有する脂環式エポキシ化合物(A)以外の化合物、(ii)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物、(iii)脂環とグリシジル基とを有する化合物などが挙げられる。
上述の(i)脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(脂環エポキシ基)を有する脂環式エポキシ化合物(A)以外の化合物としては、公知乃至慣用のものの中から任意に選択して使用することができる。中でも、上記脂環エポキシ基としては、シクロヘキセンオキシド基が好ましい。
上述の(i)脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物(A)以外の化合物としては、透明性、耐熱性の観点で、シクロヘキセンオキシド基を有する化合物が好ましく、特に、下記式(I)で表される化合物(脂環式エポキシ化合物)が好ましい。
Figure 2014181699
上記式(I)中、Zは単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基(但し、下記式(i)で表される基は含まれない)、炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、これらが複数個連結した基などが挙げられる。
Figure 2014181699
[式(i)中、R10〜R13は、前記と同じく、同一又は異なって、水素原子、メチル基、又はエチル基を示す。]
上記式(I)中のZが単結合である化合物としては、3,4,3',4'−ジエポキシビシクロヘキサンなどが挙げられる。
上記二価の炭化水素基としては、式(i)で表される基以外の炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基、二価の脂環式炭化水素基などが挙げられる。上述の炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、トリメチレン基などが挙げられる。上記二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基などの二価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)などが挙げられる。
上記炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2〜8の直鎖又は分岐鎖状のアルケニレン基等が挙げられる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化された炭素数2〜4のアルケニレン基である。
上記連結基Zとしては、特に、酸素原子を含有する連結基が好ましく、具体的には、−CO−、−O−CO−O−、−COO−、−O−、−CONH−、エポキシ化アルケニレン基;これらの基が複数個連結した基;これらの基の1又は2以上と二価の炭化水素基の1又は2以上とが連結した基などが挙げられる。二価の炭化水素基としては上記で例示したものが挙げられる。
上記式(I)で表される脂環式エポキシ化合物の代表的な例としては、下記式(I−1)〜(I−10)で表される化合物、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパンなどが挙げられる。なお、下記式(I−5)、(I−7)中のa、bは、それぞれ1〜30の整数を表す。下記式(I−5)中のRは炭素数1〜8のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、s−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。下記式(I−9)、(I−10)中のc1〜c6は、それぞれ1〜30の整数を示す。
Figure 2014181699
Figure 2014181699
上述の(ii)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物としては、例えば、下記式(II)で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2014181699
式(II)中、R′は、構造式上、e価のアルコールからe個の−OHを除した基であり、d、eはそれぞれ自然数を表す。e価のアルコール[R′−(OH)e]としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノール等の多価アルコール等(炭素数1〜15のアルコール等)が挙げられる。eは1〜6が好ましく、dは1〜30が好ましい。eが2以上の場合、それぞれの( )内(外側の括弧内)の基におけるdは同一でもよく異なっていてもよい。上記式(II)で表される化合物としては、具体的には、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物[例えば、商品名「EHPE3150」((株)ダイセル製)など]などが挙げられる。
上述の(iii)脂環とグリシジル基とを有する化合物としては、例えば、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパンなどのビスフェノールA型エポキシ化合物を水素化した化合物(水素化ビスフェノールA型エポキシ化合物);ビス[o,o−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[o,p−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[p,p−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタンなどのビスフェノールF型エポキシ化合物を水素化した化合物(水素化ビスフェノールF型エポキシ化合物);水添ビフェノール型エポキシ化合物;水添フェノールノボラック型エポキシ化合物;水添クレゾールノボラック型エポキシ化合物;ビスフェノールAの水添クレゾールノボラック型エポキシ化合物;水添ナフタレン型エポキシ化合物;トリスフェノールメタンから得られるエポキシ化合物の水添エポキシ化合物などの水素化芳香族グリシジルエーテル系エポキシ化合物などが挙げられる。
上述の芳香族グリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビフェノール型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAのクレゾールノボラック型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、トリスフェノールメタンから得られるエポキシ化合物等が挙げられる。
上述の脂肪族多価アルコールポリグリシジルエーテルとしては、例えば、グリセリン、テトラメチレングリコール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
上述のオキセタン化合物としては、例えば、3,3−ビス(ビニルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3−エチル−3−(ヘキシルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(クロロメチル)オキセタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、ビス{[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル}エーテル、4,4'−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロヘキシル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]シクロヘキサン、1,4−ビス{〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕メチル}ベンゼン、3−エチル−3−{〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕メチル}オキセタン等が挙げられる。
上述のビニルエーテル化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、1−メチル−3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−メチル−2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−ヒドロキシメチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,2−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,2−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、p−キシリレングリコールモノビニルエーテル、p−キシリレングリコールジビニルエーテル、m−キシリレングリコールモノビニルエーテル、m−キシリレングリコールジビニルエーテル、o−キシリレングリコールモノビニルエーテル、o−キシリレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエチレングリコールモノビニルエーテル、ペンタエチレングリコールジビニルエーテル、オリゴエチレングリコールモノビニルエーテル、オリゴエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、テトラプロピレングリコールモノビニルエーテル、テトラプロピレングリコールジビニルエーテル、ペンタプロピレングリコールモノビニルエーテル、ペンタプロピレングリコールジビニルエーテル、オリゴプロピレングリコールモノビニルエーテル、オリゴプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、イソソルバイドジビニルエーテル、オキサノルボルネンジビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ハイドロキノンジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル等が挙げられる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物においてその他のカチオン硬化性化合物は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。その他のカチオン硬化性化合物としては、市販品を使用することもできる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物におけるその他のカチオン硬化性化合物の含有量(配合量;二種以上を含む場合にはこれらの総量)は、特に限定されないが、カチオン硬化性化合物の全量(100重量%)に対して、90重量%以下(例えば、0〜90重量%)が好ましく、より好ましくは80重量%以下である。
[添加剤]
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、上記以外にも、本発明の効果を損なわない範囲内で各種添加剤を含んでいてもよい。上記添加剤として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の水酸基を有する化合物を含有させると、反応を緩やかに進行させることができる。その他にも、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲で、硬化触媒、硬化助剤、オルガノシロキサン化合物、金属酸化物粒子、ゴム粒子、シリコーン系やフッ素系の消泡剤、シランカップリング剤、充填剤、可塑剤、レベリング剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、イオン吸着体、顔料、染料等の慣用の添加剤を使用することができる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、特に限定されないが、上述の各成分を、必要に応じて加熱した状態で、攪拌・混合することにより調製することができる。なお、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、各成分があらかじめ混合されたものをそのまま使用する1液系の組成物として使用することもできるし、例えば、2以上に分割された成分(各成分は2以上の成分の混合物であってもよい)を使用前に所定の割合で混合して使用する多液系(例えば、2液系)の組成物として使用することもできる。上記攪拌・混合の方法は、特に限定されず、例えば、ディゾルバー、ホモジナイザーなどの各種ミキサー、ニーダー、ロール、ビーズミル、自公転式撹拌装置などの公知乃至慣用の攪拌・混合手段を使用できる。また、攪拌・混合後、真空下にて脱泡してもよい。
<硬化物>
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させることにより、ガラス転移温度が高く、特に耐熱性と透明性のバランスに優れた硬化物(本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物を「本発明の硬化物」と称する場合がある)を得ることができる。硬化の際に加熱する温度(硬化温度)は、特に限定されないが、45〜200℃が好ましく、より好ましくは50〜190℃、さらに好ましくは55〜180℃である。また、硬化の際に加熱する時間(硬化時間)は、特に限定されないが、30〜600分が好ましく、より好ましくは45〜540分、さらに好ましくは60〜480分である。硬化温度と硬化時間が上記範囲の下限値より低い場合は硬化が不十分となり、逆に上記範囲の上限値より高い場合は樹脂成分の分解が起きる場合があるので、いずれも好ましくない。硬化条件は種々の条件に依存するが、例えば、硬化温度を高くした場合は硬化時間を短く、硬化温度を低くした場合は硬化時間を長くする等により、適宜調整することができる。また、硬化は、一段階で行うこともできるし、二段階以上の多段階で行うこともできる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、コーティング剤、インク、接着剤、シーラント、封止剤、レジスト、複合材料[例えば、CFRP、GFRP等の繊維強化プラスチック(FRP)等]、透明基材、透明フィルム又はシート、光学材料(例えば、光学レンズ等)、光造形材料、電子材料(例えば、電子ペーパー、タッチパネル、太陽電池基板、光導波路、導光板、ホログラフィックメモリ等)、機械部品材料、電気部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料、プラスチック形成材料、溶剤等の各種用途に使用することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、表1に示す硬化性エポキシ樹脂組成物の各成分の配合割合の単位は、重量部である。また、表1における「−」は、当該成分の配合を行わなかったことを意味する。
製造例1
[式(1−1)で表される化合物の製造(1)]
(1.式(2−1)で表される化合物の製造)
窒素雰囲気下で、[1,3-Bis(2,4,6-trimethylphenyl)-2-imidazolidinylidene]dichloro-(3-phenyl-1H-inden-1-ylidene)(tricyclohexylphosphine)ruthenium(II)(商品名「Umicore M2」、Umicore社製)1.0g(下記「セロキサイド2000」1モルに対して0.0025モルに相当)をトルエン(超脱水、和光純薬工業(株)製)53.3gに溶解させ、200mL三口フラスコへ仕込んだ。
三口フラスコの気相部へ窒素を吹き込みつつ、下記式(3−1)で表される化合物[1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、商品名「セロキサイド2000」、(株)ダイセル製]52.3gをシリンジで仕込んだ後、40℃で48時間撹拌した。その後、反応液を濃縮して得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、下記式(2−1)で表される化合物(エポキシ化合物)11.2gを褐色の固体として得た。式(2−1)で表される化合物の式(3−1)で表される化合物基準の収率は24.1%であった。
1H−NMRでは、式(3−1)で表される化合物のオレフィン部位に対応するδ4.8−5.8にかけて二種類あるピークが一種類に減少していることが確認された。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS基準):δ5.2−5.0(m,2H)、3.1−3.0(m,4H)、2.2−0.9(m,14H)
また、上記で得た生成物の臭化水素の酢酸溶液を用いた滴定により求めたオキシラン酸素濃度は14.3重量%と、理論値(14.5重量%)の99%であった。また、上記で得た生成物の示差熱・熱重量同時測定装置(TG/DTA)(商品名「EXSTAR TG/DTA6200」、エスアイアイ・ナノテクノロジー製)を用いて、窒素200mL/分を通気しつつ30℃から400℃まで10℃/分で昇温した測定で観測された融解に伴う吸熱ピークのトップ温度は、50℃であった。
Figure 2014181699
(2.式(1−1)で表される化合物の製造)
触媒としての5%パラジウム炭素−エチレンジアミン複合錯体(5%Pd/C(en)、和光純薬工業(株)製)2.0g(Pd:0.1g)、上記で得た式(2−1)で表される化合物20.0g、及びTHF363gを1000mL三口フラスコへ仕込んだ後、水素雰囲気下、30℃で50時間撹拌した。その後、触媒をろ過で除いた液を濃縮して得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、下記式(1−1)で表される化合物(1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサニル)エタン)を淡黄色透明の液体として12.7g得た。式(1−1)で表される化合物の式(2−1)で表される化合物基準の収率は63%であった。
1H−NMRでは、式(2−1)で表される化合物の二重結合に対応するδ5.2−5.0のピークの消失が確認された。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS基準):δ3.2−3.1(m,4H)、2.2−0.8(m,18H)
また、上記で得た生成物の臭化水素の酢酸溶液を用いた滴定により求めたオキシラン酸素濃度は14.3重量%と、理論値(14.4重量%)の99%であった。
Figure 2014181699
製造例2
[式(1−1)で表される化合物の製造(2)]
(1.式(5−1)で表される化合物の製造)
窒素雰囲気下で、[1,3-Bis(2,4,6-trimethylphenyl)-2-imidazolidinylidene]dichloro-(3-phenyl-1H-inden-1-ylidene)(tricyclohexylphosphine)ruthenium(II)(商品名「Umicore M2」、Umicore社製)0.08g(下記4−ビニル−1−シクロヘキセン1モルに対して0.0001モルに相当)をトルエン(超脱水、和光純薬工業(株)製)90.0gに溶解させ、300mL三口フラスコへ仕込んだ。
上記三口フラスコの気相部へ窒素を吹き込みつつ、式(4−1)で表される化合物(4−ビニル−1−シクロヘキセン)89.5gをシリンジで仕込んだ後、40℃で24時間撹拌した。その後、反応液を濃縮して得られた濃縮残渣を減圧下(0.9kPa)、単蒸留で精製し、125〜126℃の留分として下記式(5−1)で表される化合物(オレフィン化合物)37.1gを得た。式(5−1)で表される化合物の式(4−1)で表される化合物基準の収率は47.4%であった。
1H−NMRでは、式(4−1)で表される化合物の末端オレフィンに対応するδ5.1−4.9に見られるプロトンのピークの消失が確認された。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS基準):δ5.7−5.6(m,4H)、5.5−5.2(m,2H)、2.3−1.3(m,14H)
Figure 2014181699
(2.式(2−1)で表される化合物の製造)
上記で得られた式(5−1)で表される化合物1.0gを酢酸エチル10gに溶解させた。氷冷により液温度を0〜5℃に保ちながら含水のメタクロロ過安息香酸(純度70%)2.6g(式(5−1)で表される化合物1モルに対して2.0モルに相当)を20分かけて添加し、0〜5℃で2時間撹拌した。次いで、得られた反応液へ10重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液17gを加えて30分撹拌した後、トルエン10gを加えて分液し、水層を再度トルエン10gで抽出処理した。
得られた有機層を混合し、7重量%炭酸水素ナトリウム水溶液23gで2回、水20gで2回洗浄し、その後、有機層を濃縮した。ガスクロマトグラフィー内標法により、得られた濃縮残渣1.08g中、0.21gの下記式(2−1)で表される化合物(エポキシ化合物)が定量された。式(2−1)で表される化合物の式(5−1)で表される化合物基準の収率は18%であった。
Figure 2014181699
(3.式(1−1)で表される化合物の製造)
上記で得た式(2−1)で表される化合物を原料として使用したこと以外は製造例1の2.と同様にして、式(1−1)で表される化合物(1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサニル)エタン)を製造した。
製造例3
[式(1−1)で表される化合物の製造(3)]
(1.Grignard試薬の製造)
マグネシウム(0.414g、0.0171mol)、及びヨウ素(0.043g、0.17mmol)をテトラヒドロフラン(8.5mL)に加え、窒素雰囲気下、40℃で30分撹拌した。その後、下記式(10−1)で表されるテトラヒドロベンジルクロリド(2.23g、0.171mol)を40℃で1時間かけて滴下後、2時間還流させて下記式(7−1)で表されるGrignard試薬を調製した。
Figure 2014181699
(2.式(6−1)で表される化合物の製造)
下記式(8−1)で表されるテトラヒドロベンジルブロミド(2.00g,0.0114mol)、1−フェニルプロピン(0.066g、0.571mmol、テトラヒドロベンジルブロミドの0.05mol倍)、及び塩化銅(II)(0.031g、0.224mmol、テトラヒドロベンジルブロミドの0.02mol倍)の混合液に、上記で得た式(7−1)で表されるGrignard試薬を氷冷下で30分かけて滴下した。次いで、反応液を30℃に昇温して3時間撹拌後、10%塩酸を加えて反応を停止し、分液した。
有機層を水で2回洗浄後、濃縮して下記式(6−1)で表される化合物(1,2−ビス(シクロヘキサ−3−エニル)エタン)を含む粗生成物を得た。粗生成物をガスクロマトグラフィーで定量した結果、式(6−1)で表される化合物のテトラヒドロベンジルブロミド基準の収率は87%であった。
1H−NMR(CDCl3):δ5.66(s,4H)、2.12−2.03(m,6H)、1.76−1.72(m,2H)、1.67−1.61(m,2H)、1.52−1.47(m,2H)、1.31−1.17(m,6H)
Figure 2014181699
(3.式(1−1)で表される化合物の製造)
30℃で、下記式(6−1)で表される化合物1.00g(5.24mmol)のトルエン(5.0g)溶液に、含水のメタクロロ過安息香酸3.16g(純度:70%、12.6mmol、式(6−1)で表される化合物の2.4mol倍)を3回に分けて添加し、30℃で2時間撹拌した後、酢酸エチルで希釈し、さらにチオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて30分撹拌した。
水層を酢酸エチルで抽出して、得られた有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、水で1回洗浄した後濃縮した。その後、濃縮後の残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して下記式(1−1)で表される化合物(1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサニル)エタン)0.689gを透明液体として得た。式(1−1)で表される化合物の式(6−1)で表される化合物基準の収率は59%であった。また、上記生成物の臭化水素の酢酸溶液を用いた滴定により求めたオキシラン酸素濃度は、13.9%(実測値)であった(計算値(理論値)は14.4%である)。
1H−NMR(CDCl3):δ3.15−3.11(m,4H)、2.15−2.11(m,2H)、2.03−1.98(m,2H)、1.85−1.78(m,1H)、1.73−1.67(m,1H)、1.45−1.28(m,5H)、1.13−1.07(m,6H)、0.91−0.88(m,1H)
Figure 2014181699
実施例1
[硬化性エポキシ樹脂組成物及びその硬化物の製造]
表1に示す配合割合(単位:重量部)で、商品名「リカシッド MH−700F」(硬化剤、新日本理化(株)製)、商品名「U−CAT 12XD」(硬化促進剤、サンアプロ(株)製)、及びエチレングリコール(希釈剤、和光純薬工業(株)製)を、自公転式攪拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し、脱泡して硬化剤を含む組成物(硬化剤組成物)を得た。
次に、表1に示す配合割合(単位:重量部)となるように、製造例1で得た式(1−1)で表される化合物[1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサニル)エタン]と、上記で得た硬化剤組成物とを、自公転式攪拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し、脱泡して硬化性エポキシ樹脂組成物を製造した。
さらに、上記で得た硬化性エポキシ樹脂組成物を成形型(厚さ4mm、3mm及び0.5mmの注型用型枠)に注型し、それぞれ樹脂硬化オーブンに入れて表1に示す硬化条件[100℃で2時間、続いて、150℃で4時間]で加熱することによって硬化させ、硬化物を製造した。
比較例1〜3
[硬化性エポキシ樹脂組成物及びその硬化物の製造]
エポキシ化合物の種類及び量、硬化剤組成物の組成、並びに硬化条件を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性エポキシ樹脂組成物及びその硬化物を製造した。
<評価>
実施例及び比較例で得られた硬化性エポキシ樹脂組成物及びその硬化物について、以下の評価試験を実施した。
[硬化性エポキシ樹脂組成物の粘度(25℃)]
実施例及び比較例で得られた硬化性エポキシ樹脂組成物の25℃における粘度は、デジタル粘度計(型番「DVU−EII型」、(株)トキメック製)を用いて、ローター:標準1°34′×R24、温度:25℃、回転数:0.5〜10rpmの条件で測定した。
[ポットライフ]
実施例及び比較例で得られた硬化性エポキシ樹脂組成物を50℃で4時間加熱した後の25℃における粘度を、デジタル粘度計(型番「DVU−EII型」、(株)トキメック製)を用いて、ローター:標準1°34′×R24、温度:25℃、回転数:0.5〜10rpmの条件で測定した。
なお、加熱前の粘度と加熱後の粘度とを比較して、加熱による粘度の上昇幅が小さいほど、ポットライフが長いことを意味する。
[ゲルタイム]
実施例及び比較例で得られた硬化性エポキシ樹脂組成物を、ゲルタイムテスター((株)安田精機製作所製)を用いて、ローター:直径φ5×110mm、試験管:外径φ12×90mm、オイル:SRX310(表1に示す所定の温度(150℃)に加温)の条件で測定し、サンプルがゲル化した時間(増粘によりローターを固定しているマグネットが外れた時間)をゲルタイムとした。
[耐熱性(TMA)]
実施例及び比較例で得られた硬化物のガラス転移温度(Tg(TMA))は、TMA測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「TMA/SS100」)を使用し、JIS K7197に準拠した方法により、窒素雰囲気下にて、昇温速度5℃/分で、測定温度範囲30〜250℃における熱膨張率を測定した後、ガラス転移点の前及び後の曲線に接線を引き、これら接線の交点から求めた。また、実施例及び比較例で得られた硬化物の線膨張係数は、上記で求めたガラス転移温度より低温側の直線の勾配をα1、ガラス転移点より高温側の直線の勾配をα2として求めた。
[耐熱性(DMA)]
実施例及び比較例で得られた硬化物(厚さ0.5mm)より、厚さ0.5mm×幅8mm×長さ40mmのサイズの試験片を切り出し、動的粘弾性測定装置(DMA)(セイコーインスツルメント(株)製)を用いて、上記試験片の損失正接(tanδ)のピークトップ温度(Tg(DMA−tanδ))及び貯蔵弾性率(E')のガラス転移のオンセット温度(Tg(DMA−E'))を測定した。なお、測定は、窒素気流下、測定温度範囲:−50〜300℃、昇温温度:3℃/分、変形モード:引張モードの条件で実施した。
[機械特性(曲げ試験)]
厚さ4mm×幅10mm×長さ80mmの硬化物(実施例及び比較例で得られた硬化物)をサンプルとし、テンシロン万能試験機((株)オリエンテック製)を使用して、エッジスパン:67mm、曲げ速度2mm/分の条件で、3点曲げ試験を行うことにより、硬化物の曲げ強度、曲げ弾性率、及び曲げ伸度を測定した。
[透明性]
実施例及び比較例で得られた硬化物(厚さ3mm)の波長400nmの光の透過率(透過率(400nm)[150℃×0h])を、分光光度計(商品名「UV−2450」、(株)島津製作所製)を使用して測定した。
次いで、上記硬化物を150℃で加熱し、加熱開始から24時間後における波長400nmの光の透過率(透過率(400nm)[150℃×24h])と、加熱開始から50時間後における波長400nmの光の透過率(透過率(400nm)[150℃×50h])とを、上記と同様にして測定した。
[吸水率]
実施例及び比較例で得られた硬化物(厚さ3mm)を50℃、24時間の条件で乾燥後、デシケータ(シリカゲル入)内で冷却してブランクの重量(M1)を測定した。その後、23℃、24時間の条件で水中に静置し、取り出した後、ガーゼでふき取り、1分以内に重量を測定して、これを吸水後の重量(M2)とした。そして、下記式により吸水率を測定した。
吸水率(%)={(M2−M1)/M1}×100
Figure 2014181699
なお、表1中の略号は、次のものを示す。
(エポキシ化合物)
セロキサイド2021P:商品名「セロキサイド2021P」[3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、(株)ダイセル製]
EHPE3150:商品名「EHPE3150」[2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキセン付加物(Mw:約2000)、(株)ダイセル製]
YD−128:商品名「YD−128」[ビスフェノールA型エポキシ樹脂、新日鐵化学(株)製]
(硬化剤)
リカシッドMH−700F:商品名「リカシッド MH−700F」[4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30、新日本理化(株)製]
(硬化促進剤)
U−CAT 12XD:商品名「U−CAT 12XD」[サンアプロ(株)製]
(希釈剤)
EG:商品名「エチレングリコール」[和光純薬工業(株)製]
表1に示すように、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物(実施例1)は、ガラス転移温度及び透明性が高く、また、加熱時の透明性の低下幅が小さく、耐熱性と透明性のバランスに優れていた。より詳しくは、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物(実施例1)は、脂環式エポキシ化合物(A)を含まない組成物、例えば、比較例1〜3で得られる組成物と比較して低粘度であって取り扱い性に優れており、また、硬化物においては、比較例1〜3で得られる硬化物と比較してガラス転移温度が高く、高いレベルの透明性を有しており、また、加熱時の透明性の保持率に最も優れていた。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、コーティング剤、インク、接着剤、シーラント、封止剤、レジスト、複合材料[例えば、CFRP、GFRP等の繊維強化プラスチック(FRP)等]、透明基材、透明フィルム又はシート、光学材料(例えば、光学レンズ等)、光造形材料、電子材料(例えば、電子ペーパー、タッチパネル、太陽電池基板、光導波路、導光板、ホログラフィックメモリ等)、機械部品材料、電気部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料、プラスチック形成材料、溶剤等の各種用途に使用することができる。

Claims (3)

  1. 下記式(1)
    Figure 2014181699
    [式(1)中、R1〜R22は、同一又は異なって、水素原子、メチル基、又はエチル基を示す。]
    で表される脂環式エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)とを含むことを特徴とする硬化性エポキシ樹脂組成物。
  2. さらに、硬化促進剤(C)を含む請求項1に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させることにより得られる硬化物。
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